説明

プロジェクタ

【課題】プロジェクタのアプリケーションプログラムをバージョンアップする作業において、作業が正常に終了したか否か等を、早い段階で知る。
【解決手段】アプリケーションプログラムの書き込みが正常に終了したか否かを判別し、正常終了でなければ(S13でYES)、ステータスランプを赤色に点滅させ、その旨を作業者に知らせる(S14)。正常に終了している場合には(S13でNO)、書込み前後のバージョン情報を比較し、バージョン情報が一致していれば(S15でYES)、ステータスランプを赤色と緑色で交互に発光させ、バージョンアップが正常に完了していない旨を作業者に知らせる(S16)。バージョン情報が一致していなければ(S15でNO)、ステータスランプを赤色と緑色の発光及び消灯を繰り返して、バージョンアップが正常に完了した旨を作業者に知らせる(S17)。通常動作(S18)に移行後、自己診断動作を行う(S19)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プロジェクタに関し、詳しくは、パソコン等の映像入力源から入力される映像情報を実画像に変換し、変換した実画像を高輝度ランプからの光により前方のスクリーンに投射するプロジェクタに関する。
【背景技術】
【0002】
パソコン等の映像入力源から入力される映像をスクリーンに投射するプロジェクタが知られている。プロジェクタの製造過程では、組立ての最終段階において、作業者が、当該プロジェクタ用の制御プログラムを、装置内のマイクロコンピュータにインストールし、その後実際にプロジェクタを動作させ、投射された映像を目視チェックする等して当該プロジェクタが正常に動作するかどうかの確認を行っている。
【0003】
一方、カメラで撮影した被写体像をシールにプリントして遊戯者に提供する映像プリント遊戯装置が知られており、この映像プリント遊戯装置において遊戯内容を変更するために、新しい動作プログラムを装置内のパソコンに読み込ませる作業が行われる(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
また、電話録音装置において、新しい動作プログラムがあるかどうか調べ、格納されていれば上書きして装置を起動し、プログラムが正常に動作していればシグナルを発するようにした装置が知られている(例えば、特許文献2参照)。
【特許文献1】特開2003−9046号公報
【特許文献2】特開2002−333988号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述のプロジェクタへの制御プログラムのインストール作業については、次のような問題点があった。つまり、プロジェクタへの制御プログラムのインストール作業は、プロジェクタにパソコンを接続して、パソコン内の制御プログラムを、プロジェクタ内のEEPROM(Electrically Erasable Programmable ROM)に書込む工程と、その後、書込んだ制御プログラムが装置を正しく動作させるかどうかを確認するために、プロジェクタを再起動して実際に映像を投射させる等のチェック工程からなるが、書込み工程が終了してプロジェクタを再起動した後、実際に映像を投射するまでには、少なくとも高輝度ランプが所定の輝度に達するまで数10秒間の待ち時間が必要であった。
【0006】
また、上述のパソコンから書込む制御プログラムは、高輝度ランプを点灯させるとか、ファンモータを適正回転数で回転させる等の、プロジェクタの動作そのものを制御するための、いわゆるアプリケーションプログラムであって、EEPROM内には、アプリケーションプログラムとは別にブート用のプログラム(アプリケーションプログラム等の事後的にインストールされるプログラムを導入するためのプログラム)が書込まれている。
【0007】
そして、上述のプロジェクタへの制御プログラムのインストール作業には、大別して次の2種類の作業がある。つまり、ブート用プログラムは書込まれているが、アプリケーションプログラムは書込まれていないEEPROMに、新しくアプリケーションプログラムを書込む場合と、EEPROM内にはバージョンの古いアプリケーションプログラムが既に書込まれていて、そのEEPROMへバージョンの新しいアプリケーションプログラムを書込む(上書きする)場合とがあり、後者の場合には、誤って同一バージョンのアプリケーションプログラムをインストールしてしまうミスが発生しても、後のチェック工程でプロジェクタを実際に動作させ、作業者が点検して、ようやくミスが発見されるという不具合があった。
【0008】
そこで、本発明は、映像入力源からの映像を前方のスクリーンに投射するための高輝度ランプを有し、装置全体の動作を制御する制御部と、その制御プログラムを格納したEEPROMを備えたプロジェクタにおいて、制御プログラムのEEPROMへのインストール作業が正常に終了したか否か、及びインストールした制御プログラムがプロジェクタを正しくバージョンアップするものであるか否かについて、後のチェック工程を実行する以前の可及的に早い段階で知ることができ、インストール作業のやり直し等の対応を早い段階で効率的に行うことができるプロジェクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、映像入力源からの映像情報を実画像に変換するための変換機能部と、前記変換機能部により生成された実画像を前方のスクリーンに投射するための高輝度ランプを含む投射機能部と、前記変換機能部、投射機能部及び装置全体の動作を制御する制御部と、前記制御部の制御プログラムを格納したEEPROMと、装置の動作状況を異なった色の点灯、消灯又は点滅により表示するステータスランプとを備え、前記変換機能部及び投射機能部の自己診断機能を有し、前記制御部が前記EEPROM内の制御プログラムに基づいて映像入力源からの映像情報を実画像として投射する等の動作を実行するプロジェクタにおいて、前記EEPROM内の制御プログラムには、製品のバージョンアップ等に伴って更新されるアプリケーションプログラムと、製品のバージョンアップ等によって更新されないブート用プログラムとが含まれており、前記ブート用プログラムは、当該プロジェクタを、装置の起動時に、当該起動が前記アプリケーションプログラムの書換え後の初回の起動であるか否かを判別する初回判別手段と、前記初回判別手段による判別の結果、当該起動が前記アプリケーションプログラムの書換え後の初回の起動でない場合には、前記ステータスランプを、その旨を示す表示パターンで表示し、前記高輝度ランプが正常点灯するまで前記表示を継続した後、通常動作に移行させる非初回表示手段と、前記初回判別手段による判別の結果、当該起動が前記アプリケーションプログラムの書換え後の初回の起動である場合には、前記アプリケーションプログラムの書換えが正常に終了したか否かを判別する判別手段と、前記判別手段による判別の結果、正常に終了しなかったと判別された場合には、前記ステータスランプを、その旨を示す表示パターンで表示し、前記高輝度ランプが正常点灯するまで前記表示を継続した後、通常動作に移行させるエラー表示手段と、前記EEPROM内のアプリケーションプログラムの書換え前後におけるアプリケーションプログラムのバージョンを記憶するバージョン情報記憶手段と、前記判別手段により正常に終了したと判別された場合に、前記バージョン情報記憶手段に記憶された書換え前後のバージョン情報を比較して、バージョン情報が更新されている場合には、前記ステータスランプを、その旨を示す表示パターンで表示し、前記高輝度ランプが正常点灯するまで前記表示を継続した後、通常動作に移行させるバージョンアップ完了表示手段と、前記判別手段により正常に終了したと判別された場合に、前記バージョン情報記憶手段に記憶された書換え前後のバージョン情報を比較して、バージョン情報が更新されていない場合には、前記ステータスランプを、その旨を示す表示パターンで表示し、前記高輝度ランプが正常点灯するまで前記表示を継続した後、通常動作に移行させるバージョンアップ未完了表示手段と、前記通常動作に移行した後に、前記ステータスランプを、その旨を示す表示パターンで表示する通常動作表示手段と、前記通常動作に移行した後に、前記自己診断機能を動作させる自己診断機能動作手段として機能させることを特徴とする。
【0010】
請求項2の発明は、映像入力源からの映像情報を実画像に変換するための変換機能部と、前記変換機能部により生成された実画像を前方のスクリーンに投射するための高輝度ランプを含む投射機能部と、前記変換機能部、投射機能部及び装置全体の動作を制御する制御部と、前記制御部の制御プログラムを格納した記憶手段と、装置の動作状況を異なった色の点灯、消灯又は点滅により表示するステータスランプとを備え、前記制御部が前記記憶手段内の制御プログラムに基づいて映像入力源からの映像情報を実画像として投射する等の動作を実行するプロジェクタにおいて、装置の起動時に、当該起動が前記制御プログラムの書換え後の初回の起動であるか否かを判別する初回判別手段と、前記初回判別手段による判別の結果、当該起動が前記制御プログラムの書換え後の初回の起動でない場合には、前記ステータスランプを、その旨を示す表示パターンで表示させる非初回表示手段と、前記初回判別手段による判別の結果、当該起動が前記制御プログラムの書換え後の初回の起動である場合には、前記制御プログラムの書換えが正常に終了したか否かを判別する判別手段と、前記判別手段による判別の結果、正常に終了しなかったと判別された場合には、前記ステータスランプを、その旨を示す表示パターンで表示させるエラー表示手段と、前記記憶手段内の制御プログラムの書換え前後における制御プログラムのバージョンを記憶するバージョン情報記憶手段と、前記判別手段により正常に終了したと判別された場合に、前記バージョン情報記憶手段に記憶された書換え前後のバージョン情報を比較して、バージョン情報が更新されている場合には、前記ステータスランプを、その旨を示す表示パターンで表示させるバージョンアップ完了表示手段と、前記判別手段により正常に終了したと判別された場合に、前記バージョン情報記憶手段に記憶された書換え前後のバージョン情報を比較して、バージョン情報が更新されていない場合には、前記ステータスランプを、その旨を示す表示パターンで表示させるバージョンアップ未完了表示手段とを備えたことを特徴とする。
【0011】
請求項3の発明は、請求項2の発明において、前記非初回表示手段により所定の表示パターンで表示される前記ステータスランプの表示、前記エラー表示手段により所定の表示パターンで表示される前記ステータスランプの表示、前記バージョンアップ完了表示手段により所定の表示パターンで表示される前記ステータスランプの表示、及び前記バージョンアップ未完了表示手段により所定の表示パターンで表示される前記ステータスランプの表示が、いずれも前記投射機能部の高輝度ランプが正常に点灯するまで維持されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
請求項1の発明によれば、プロジェクタの制御プログラムのバージョンアップ作業(新しくアプリケーションプログラムをインストールする作業も含む)において、制御プログラムのEEPROMへのインストール作業が正常に終了したか否か、及びインストールした制御プログラムがプロジェクタを正しくバージョンアップするものであるか否かについて、後のチェック工程を実行する以前の可及的に早い段階で知ることができ、インストール作業のやり直し等の対応を早い段階で効率的に行うことができる。また、自己診断機能が動作されるまで待てば、不具合が生じている箇所の詳細を知ることができる。
【0013】
請求項2及び請求項3の発明によれば、プロジェクタの制御プログラムのバージョンアップ作業(新しくアプリケーションプログラムをインストールする作業も含む)において、制御プログラムの記憶手段へのインストール作業が正常に終了したか否か、及びインストールした制御プログラムがプロジェクタを正しくバージョンアップするものであるか否かについて、後のチェック工程を実行する以前の可及的に早い段階で知ることができ、インストール作業のやり直し等の対応を早い段階で効率的に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の一実施形態に係るプロジェクタについて、図1乃至図4を参照して説明する。本実施形態のプロジェクタ1は、図1に外観を示すように、略直方形の筐体2の前面に投射用のレンズ3を有し、後面において、USBコード4等によりパソコン5等の外部入力機器を接続されるようになっている。そして、パソコン5等の外部入力機器から入力された映像情報が、DMD(Digital Micromirror Device)等からなる変換機能部によって実画像に変換され、生成された実画像が高輝度ランプ6、冷却用ファン10等の光学系部材からなる投射機能部によって、前方のスクリーンに投射されるようになっている。
【0015】
筐体2内のプリント配線基板上には、マイクロコンピュータからなり、変換機能部、投射機能部及びプロジェクタ装置全体の動作を制御する制御部7が備えられ、制御部7の制御プログラムを格納したEEPROM(Electrically Erasable Programmable ROM)8が備えられている。また、筐体2の上面には、複数の操作キー9と共に、赤色と緑色の2色に、色を異ならせて発光することができるLEDからなるステータスランプ11が備えられている。ステータスランプ11は、色を異ならせて発光する以外にも、点灯、消灯及び点滅が可能であって、それらの点灯態様(表示パターン)を組み合わせて多くの動作状況(スタンバイ中、投射中等)を表示することができるようになっている。この点灯態様を組み合わせる機能は制御部7によって制御され、詳細は後述する。
【0016】
EEPROM8内に格納される制御プログラムには、図2に示すように、高輝度ランプ6を安定して点灯させるとか、冷却用ファン10のモータを適正回転数で回転させるとか、変換機能部と投射機能部間のタイミングをとる等の、プロジェクタの動作そのものを制御するためのアプリケーションプログラムと、ブート用のプログラムとが含まれている。アプリケーションプログラムは、製品のバージョンアップに伴って更新されるが、ブート用のプログラムは、製品のバージョンアップに伴って更新されない。
【0017】
そして、ブート用のプログラムには、当該プロジェクタ1が制御プログラムのインストール用のパソコン5と接続されたときに、パソコン5側からIPL(Initial Program Loader)を読み込むための、いわゆるブートストラッププログラムと、アプリケーションプログラムをインストールした後に、アプリケーションプログラムが適正にバージョンアップされたプログラムか否か等をチェックするためのプログラムとが含まれる。つまり、ブート用のプログラムは、プロジェクタ1が、図1に示すように、USBコード4でパソコン5に接続された状態で、パソコン5側から制御プログラムをプロジェクタ1内のEEPROM8にインストール(書き込み)するときに、実行される。
【0018】
以下、後者のチェック用のプログラムについて、図3及び図4のフローチャートを参照して説明する。まず、図3のフローチャートを参照して、アプリケーションプログラムのバージョンアップ手順の全体について説明する。作業者が、プロジェクタ1の電源をオン(S1)した後、プロジェクタ1とパソコン5を接続する(S2)。作業者によるパソコン5の操作に応じて、新しい制御プログラムのインストールを実行する信号がプロジェクタ1側へ送信されると、プロジェクタ1は、インストールの準備のために、インストールに関係する部分(主に制御部7)以外の部分(高輝度ランプ6とか、冷却用ファン10のモータ等)の動作を停止し、それらへの電源供給をオフする(S3)。
【0019】
次に、新しいアプリケーションプログラムがパソコン5からプロジェクタ1のEEPROM8内の所定の領域へと書込まれる(S4)。この書込み(インストール)時に、書込んだアプリケーションプログラムのバージョン番号をバージョン情報として、EEPROM8内の所定の領域に記憶させる等の処理も行うが、これについては後に詳述する。書込みが終了すると、プロジェクタ1がパソコン5からの信号によって再起動され(S5)、バージョンアップが正常に完了したか否かを点検するバージョンアップチェックのサブルーチン(S6)へ移行する。なお、以下の説明では、EEPROM8内の所定の領域には、既に古いアプリケーションプログラムが格納されており、その古いアプリケーションプログラムに上書きする形式で新しいアプリケーションプログラムをインストールする場合について説明する。
【0020】
次に、バージョンアップのチェック手順について図4のフローチャートを参照して説明する。このバージョンアップのチェック手順については、パソコン5は関与せず、プロジェクタ1が独立して実行する。制御部7については、まず、その起動がEEPROM8へのアプリケーションプログラムの書込み後初回の起動か否かを判別し、初回の起動でなければ(S11でNO)、ステータスランプ11を緑色に発光させ、且つ、点滅させる(S12)。
【0021】
初回起動であると判別された場合には(S11でYES)、制御部7は、新しいアプリケーションプログラムのEEPROM8への書き込みが正常に終了したか否かを判別する(S13)。この判別は、ステップS4で書込みが実行された後に、書込みが正常に終了しておれば、EEPROM8内に書込みの正常終了を示すフラグが立てられるので、そのフラグをチェックすることによりなされる。
【0022】
書込みが正常に終了していない場合には(S13でYES)、ステータスランプ11を赤色に発光させ、且つ、点滅させる(S14)。作業者は、この表示を見て新しいアプリケーションプログラムのEEPROM8への書込みが正常に終了しなかったことを認識し、アプリケーションプログラムの書込み作業のやり直し等の処理を直ちに行うことができる。
【0023】
書込みが正常に終了している場合には(S13でNO)、制御部7は、インストールされた新しいアプリケーションプログラムが正しくバージョンアップされているか否かを判別する(S15)。前述の通り、書込みが終了したアプリケーションプログラムのバージョンは、EEPROM8内の所定の領域にバージョン情報として記憶させてあり、書込みが実行される以前の古いアプリケーションプログラムのバージョン情報も同様にしてEEPROM8内に記憶させてある。S15の判別は、これらのバージョン情報を読出してきて比較することにより行われる。
【0024】
その結果、バージョン情報が一致していれば(S15でYES)、誤って同一のアプリケーションプログラムがインストールされたことになるので、ステータスランプ11を赤色と緑色で交互に発光させ(S16)、バージョンアップが完了していない旨を作業者に知らせる。作業者は、その表示を見て、インストールしたアプリケーションプログラムの間違いに気付き、アプリケーションプログラムの書込み作業のやり直し等の処理を直ちに行うことができる。
【0025】
バージョン情報が一致していなければ(S15でNO)、バージョンアップが正しく行われたことになり、ステータスランプ11を赤色と緑色で交互に発光させ、一定の消灯時間を挟んで再び赤色と緑色で交互に発光させるという表示パターンを繰返し(S17)、バージョンアップが完了した旨を作業者に知らせる。作業者は、その表示を見て、インストールした新しいアプリケーションプログラムが、正しくバージョンアップするものであったことを認識する。
【0026】
上述のステップS12、S14、S16及びS17におけるステータスランプ11の発光パターンは、本実施形態では、ステータスランプ11が赤色と緑色の2つの異なった色で発光可能であるので、点灯、消灯又は点滅の組み合わせを複雑なものにすることなく4種の状況を表示できたが、これら表示パターンは種々に変形が可能である。例えば、若干のコスト高になることを容認すれば、ステータスランプ11を4色以上の多数色で発光可能なものにし、4種の状況をそれぞれ1つの発光色で表示することも可能である。
【0027】
また、ステップS12、S14、S16及びS17におけるステータスランプ11の発光は、プロジェクタ1の高輝度ランプ6が所定の正常な高輝度になるまで継続される。つまり、高輝度ランプ6は、プロジェクタ1が起動されてから(ランプの電源がオンにされてから)徐々に、その輝度が増し、20〜30秒経過して初めて所定の高輝度になり、その時点でプロジェクタ1全体が、映像をスクリーンに正常に投射できる状態になるのであるが、ステータスランプ11の上記4種の状態を示す発光状態は、その間維持され、バージョンアップのチェックの結果を作業者に周知させる。
【0028】
高輝度ランプ6の輝度が所定の高輝度に達し、プロジェクタ1全体が通常動作が可能な状態になれば、ステータスランプ11が緑色の継続点灯に変化し(S18)、作業者にプロジェクタ1が通常動作に移行した旨を知らせる。次に、制御部7は、予め設定されている自己診断動作を実行する(S19)。自己診断動作は、テストパターンをスクリーンに投射するとか、自己診断のメニューをスクリーン上に投射して、その中から作業者が診断項目を操作キー9によって選択する等、種々のものが開発されており、どのような自己診断動作を行ってもよい。そして、自己診断動作を行うことによって、プロジェクタ1に新たにインストールされたアプリケーションプログラムの詳細な検査を行うことができる。
【0029】
例えば、ステップS16でバージョンアップ未完了の表示がされた後に、この自己診断動作が実行され、実際にスクリーン上に投射される映像を見ることによって、微妙な色のずれとか、冷却用ファン10のモータの回転の安定度等の細かな不具合点を発見することができる。また、例えばステップS14で新たなアプリケーションプログラムの書込みが正常に行われなかった旨の表示がなされた場合にも、そこで直ちにインストール作業のやり直しを行わず、この自己診断動作を実行させて、新たなアプリケーションプログラムでの動作が具体的にどのような不具合を生じるのかを検証することができる。
【0030】
もちろん、作業者は、ステップS14とS16におけるステータスランプ11の表示を見ることにより、当該バージョンアップ作業が正常ではないことを認識できるので、自己診断動作に移行する以前に、アプリケーションプログラムのインストールのやり直し等の処理を行うことができ、バージョンアップ作業の効率化を図ることができる。
【0031】
なお、上述の説明では、EEPROM8内に古いアプリケーションプログラムが格納されていて、バージョンアップ作業により、新しいアプリケーションプログラムを書込んでバージョンを更新する場合について説明したが、EEPROM8内のアプリケーションプログラムの記憶領域には何も格納されていない状態から、新たにアプリケーションプログラムを書込む場合にも、本発明は適用される。その場合には、ステップS15におけるバージョン情報の比較において、比較される書込み以前のバージョン情報が例えば”00”等の値になるため、ステップS15の判別については必ずバージョンアップ完了の判断(S15でNO)となる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の一実施形態に係るプロジェクタに、外部入力機器であるパソコンを接続した状態の斜視図。
【図2】EEPROM内の構成を示す説明図。
【図3】バージョンアップ作業の手順を示すフローチャート。
【図4】バージョンアップが正常に行われたか否かをチェックする手順を示すフローチャート。
【符号の説明】
【0033】
1 プロジェクタ
5 パソコン(映像入力源)
6 高輝度ランプ
7 制御部(初回判別手段、非初回表示手段、判別手段、エラー表示手段、バージョン情報記憶手段、バージョンアップ完了表示手段、バージョンアップ未完了表示手段、通常動作表示手段、自己診断機能動作手段)
8 EEPROM(記憶手段)
11 ステータスランプ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
映像入力源からの映像情報を実画像に変換するための変換機能部と、前記変換機能部により生成された実画像を前方のスクリーンに投射するための高輝度ランプを含む投射機能部と、前記変換機能部、投射機能部及び装置全体の動作を制御する制御部と、前記制御部の制御プログラムを格納したEEPROMと、装置の動作状況を異なった色の点灯、消灯又は点滅により表示するステータスランプとを備え、
前記変換機能部及び投射機能部の自己診断機能を有し、
前記制御部が前記EEPROM内の制御プログラムに基づいて映像入力源からの映像情報を実画像として投射する等の動作を実行するプロジェクタにおいて、
前記EEPROM内の制御プログラムには、製品のバージョンアップ等に伴って更新されるアプリケーションプログラムと、製品のバージョンアップ等によって更新されないブート用プログラムとが含まれており、
前記ブート用プログラムは、当該プロジェクタを、
装置の起動時に、当該起動が前記アプリケーションプログラムの書換え後の初回の起動であるか否かを判別する初回判別手段と、
前記初回判別手段による判別の結果、当該起動が前記アプリケーションプログラムの書換え後の初回の起動でない場合には、前記ステータスランプを、その旨を示す表示パターンで表示し、前記高輝度ランプが正常点灯するまで前記表示を継続した後、通常動作に移行させる非初回表示手段と、
前記初回判別手段による判別の結果、当該起動が前記アプリケーションプログラムの書換え後の初回の起動である場合には、前記アプリケーションプログラムの書換えが正常に終了したか否かを判別する判別手段と、
前記判別手段による判別の結果、正常に終了しなかったと判別された場合には、前記ステータスランプを、その旨を示す表示パターンで表示し、前記高輝度ランプが正常点灯するまで前記表示を継続した後、通常動作に移行させるエラー表示手段と、
前記EEPROM内のアプリケーションプログラムの書換え前後におけるアプリケーションプログラムのバージョンを記憶するバージョン情報記憶手段と、
前記判別手段により正常に終了したと判別された場合に、前記バージョン情報記憶手段に記憶された書換え前後のバージョン情報を比較して、バージョン情報が更新されている場合には、前記ステータスランプを、その旨を示す表示パターンで表示し、前記高輝度ランプが正常点灯するまで前記表示を継続した後、通常動作に移行させるバージョンアップ完了表示手段と、
前記判別手段により正常に終了したと判別された場合に、前記バージョン情報記憶手段に記憶された書換え前後のバージョン情報を比較して、バージョン情報が更新されていない場合には、前記ステータスランプを、その旨を示す表示パターンで表示し、前記高輝度ランプが正常点灯するまで前記表示を継続した後、通常動作に移行させるバージョンアップ未完了表示手段と、
前記通常動作に移行した後に、前記ステータスランプを、その旨を示す表示パターンで表示する通常動作表示手段と、
前記通常動作に移行した後に、前記自己診断機能を動作させる自己診断機能動作手段として機能させることを特徴とするプロジェクタ。
【請求項2】
映像入力源からの映像情報を実画像に変換するための変換機能部と、前記変換機能部により生成された実画像を前方のスクリーンに投射するための高輝度ランプを含む投射機能部と、前記変換機能部、投射機能部及び装置全体の動作を制御する制御部と、前記制御部の制御プログラムを格納した記憶手段と、装置の動作状況を異なった色の点灯、消灯又は点滅により表示するステータスランプとを備え、
前記制御部が前記記憶手段内の制御プログラムに基づいて映像入力源からの映像情報を実画像として投射する等の動作を実行するプロジェクタにおいて、
装置の起動時に、当該起動が前記制御プログラムの書換え後の初回の起動であるか否かを判別する初回判別手段と、
前記初回判別手段による判別の結果、当該起動が前記制御プログラムの書換え後の初回の起動でない場合には、前記ステータスランプを、その旨を示す表示パターンで表示させる非初回表示手段と、
前記初回判別手段による判別の結果、当該起動が前記制御プログラムの書換え後の初回の起動である場合には、前記制御プログラムの書換えが正常に終了したか否かを判別する判別手段と、
前記判別手段による判別の結果、正常に終了しなかったと判別された場合には、前記ステータスランプを、その旨を示す表示パターンで表示させるエラー表示手段と、
前記記憶手段内の制御プログラムの書換え前後における制御プログラムのバージョンを記憶するバージョン情報記憶手段と、
前記判別手段により正常に終了したと判別された場合に、前記バージョン情報記憶手段に記憶された書換え前後のバージョン情報を比較して、バージョン情報が更新されている場合には、前記ステータスランプを、その旨を示す表示パターンで表示させるバージョンアップ完了表示手段と、
前記判別手段により正常に終了したと判別された場合に、前記バージョン情報記憶手段に記憶された書換え前後のバージョン情報を比較して、バージョン情報が更新されていない場合には、前記ステータスランプを、その旨を示す表示パターンで表示させるバージョンアップ未完了表示手段とを備えたことを特徴とするプロジェクタ。
【請求項3】
前記非初回表示手段により所定の表示パターンで表示される前記ステータスランプの表示、前記エラー表示手段により所定の表示パターンで表示される前記ステータスランプの表示、前記バージョンアップ完了表示手段により所定の表示パターンで表示される前記ステータスランプの表示、及び前記バージョンアップ未完了表示手段により所定の表示パターンで表示される前記ステータスランプの表示が、いずれも前記投射機能部の高輝度ランプが正常に点灯するまで維持されることを特徴とする請求項2に記載のプロジェクタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−174607(P2007−174607A)
【公開日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−373309(P2005−373309)
【出願日】平成17年12月26日(2005.12.26)
【出願人】(000201113)船井電機株式会社 (7,855)
【Fターム(参考)】