説明

プロセスカートリッジ及び画像形成装置

【課題】 帯電器の小型化を図りやすい構成を提供する。
【解決手段】 グリッド電極38における一対の対向壁38a、38bの各々において、
切り欠き部からなる連結部160が形成されている。連結部160は、長手方向に延びてなる延出部160bを備えており、かつ、被連結部165を長手方向に案内するための案内部160aが長手方向に溝状に形成されている。グリッド電極38を上フレーム27に
組み付ける際には、被連結部165を連結部160内に相対移動させ、グリッド電極38を上フレーム27に対し長手方向に相対的にスライドさせることにより、被連結部165が、連結部160に形成された案内部160aによって長手方向に案内されて互いに係合
し、グリッド電極38と上フレーム27とが互いに連結される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プロセスカートリッジ及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、画像形成装置の帯電器の一例として、例えば特許文献1に示すように、いわゆるスコロトロン型のものが使用されている。この帯電器は、フレームに帯電ワイヤが架設される構成をなし、この帯電ワイヤに対し所定距離隔てて配置される電極板との間でコロナ放電を行い、コロナ放電により発生した正あるいは負イオンを用いて感光体を帯電するように構成されている。
【特許文献1】特許第3198917号公報
【特許文献2】実開平5−11160号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
一方、近年では、画像形成装置の小型化が要望されている。そのため、画像形成装置の小型化のために、帯電器の小型化も必要である。しかしながら、特許文献1に示される技術には、帯電器の小型化に関する技術は開示されておらず、例えば、特許文献1では、帯電ワイヤの架設部の長手方向とコイルスプリング部のコイル中心線の方向とが平行であるため、帯電ワイヤに安定した張力を与えようとした場合、コイルスプリング部の巻線が増大し、結果として、上記長手方向の寸法が大きくなり、帯電器、即ち、画像形成装置の小型化に不向きな構成になってしまうという問題が生じていた。
【0004】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、帯電器の小型化を図りやすく、ひいては画像形成装置の小型化に寄与しうる構成を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の目的を達成するための手段として、請求項1の発明は、感光体と、前記感光体を帯電させる帯電器とを有する画像形成装置の装置本体に対して着脱可能に構成されたプロセスカートリッジであって、前記帯電器は、長手状に構成され、かつその長手方向と直交する断面が略コの字状に構成されており、前記長手方向に沿った一対の対向壁を有する導電性のグリッド電極と、前記グリッド電極の前記対向壁の各々を支持することにより前記グリッド電極を保持するフレームと、前記フレームに装着され、かつ前記グリッド電極における一対の前記対向壁の間においてこれら対向壁に沿って架設される帯電ワイヤと、を備え、前記グリッド電極における一対の前記対向壁の各々において、前記長手方向に延びてなる延出部を備えた、突起部及び切り欠き部のいずれかからなる連結部が設けられており、前記フレームには、前記連結部と係合する被連結部が設けられており、前記グリッド電極を前記フレームに組み付ける際において、当該グリッド電極を前記フレームに対し前記長手方向に相対的にスライドさせることにより、前記連結部に設けられた前記延出部が前記被連結部と係合し、前記グリッド電極と前記フレームとが互いに連結されることを特徴とする。
【0006】
請求項2の発明は、請求項1に記載のプロセスカートリッジにおいて、前記対向壁における長手方向に延びる端縁部において、外縁が略直線状に構成された直線部が形成され、前記連結部は、前記直線部の一部を略L字状に切り欠いた切り欠き部として構成されており、当該切り欠き部の縁部が前記延出部として構成されていることを特徴とする。
【0007】
請求項3の発明は、感光体と、前記感光体を帯電させる帯電器とを有する画像形成装置
の装置本体に対して着脱可能に構成されたプロセスカートリッジであって、前記帯電器は、長手状に構成され、かつその長手方向と直交する断面が略コの字状に構成されており、前記長手方向に沿った一対の対向壁を有する導電性のグリッド電極と、前記グリッド電極の前記対向壁の各々を支持することにより前記グリッド電極を保持するフレームと、前記フレームに装着され、かつ前記グリッド電極における一対の前記対向壁の間においてこれら対向壁に沿って架設される帯電ワイヤと、を備え、前記グリッド電極における一対の前記対向壁の各々において、前記フレームと連結するための連結部が形成され、前記フレームには、前記連結部と係合する被連結部が設けられており、前記連結部及び前記被連結部のいずれか一方には、他方を前記長手方向に案内するための案内部が形成されており、前記グリッド電極を前記フレームに組み付ける際において、当該グリッド電極を前記フレームに対し前記長手方向に相対的にスライドさせることにより、前記連結部又は前記被連結部のいずれか一方が、他方に形成された前記案内部によって前記長手方向に案内されて互いに係合し、前記グリッド電極と前記フレームとが互いに連結されることを特徴とする。
【0008】
請求項4の発明は、請求項1ないし請求項3のいずれかに記載のプロセスカートリッジにおいて、前記グリッド電極が装着されている状態において、当該グリッド電極が、前記フレームに対して組み付けの際のスライド側とは逆方向に移動しないように規制する移動規制部材を備えたことを特徴とする。
【0009】
請求項5の発明は、請求項1ないし請求項4のいずれかに記載のプロセスカートリッジにおいて、前記フレームには、前記対向壁が対向側に傾倒することを防止する傾倒防止部が形成されていることを特徴とする。
【0010】
請求項6の発明は、請求項1ないし請求項5のいずれかに記載のプロセスカートリッジにおいて、前記連結部は、一対の前記対向壁の各々において2つずつ設けられており、いずれの対向壁においても、当該連結部が前記長手方向の両端部に設けられていることを特徴とする。
【0011】
請求項7の発明は、請求項1ないし請求項6のいずれかに記載のプロセスカートリッジにおいて、前記連結部は、前記長手方向において印字領域外の位置に設けられていることを特徴とする。
【0012】
請求項8の発明は、請求項1ないし請求項7のいずれかに記載のプロセスカートリッジにおいて、前記グリッド電極は、当該プロセスカートリッジの外部に設けられた電源端子と当接する接続端子を有しており、前記接続端子は、当該プロセスカートリッジにおいて、前記グリッド電極の組み付け際のスライド側とは逆側の端部に設けられていることを特徴とする。
【0013】
請求項9の発明は、画像形成装置において、請求項1ないし請求項8のいずれかに記載のプロセスカートリッジを用いて画像形成を行うように構成されたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
<請求項1の発明>
従来では、グリッド電極の対向壁に連結用の孔を形成し、この孔にフレームから突出した係合爪を挿入して互いに係合させる構成が用いられており、この構成では、組み付けの際には、係合爪と連結用の孔とを嵌合させるため、グリッド電極の対向壁を一時的に折り曲げる必要があった。このため、組み付け作業に精度が要求され、慎重に組み付け作業を行わないとグリッド電極の形状を永久変形させてしまう恐れがあり、放電性能に影響が生じやすいという問題があった。特に小型化を図ろうとした場合(即ち、グリッド電極を小型のものとする場合)、その問題はより深刻となっていた。
【0015】
これに対し、請求項1の構成によれば、グリッド電極をスライドさせることによって連結部に設けられた延出部が被連結部と係合するように構成されるため、組み付けの際に、グリッド電極にあまりストレスを生じさせることがなく、グリッド電極の形状を維持した状態でフレームに組み付けることが可能となる。
【0016】
<請求項2の発明>
請求項2の構成によれば、直線部を切り欠いた状態で連結部たる切り欠き部が構成されるため、簡易にかつ安価に連結部を構成でき、その上、対向壁の端縁部において連結部を突出させる必要がなく、連結部に折れ曲がり等の変形が生じにくい構成となる。
【0017】
<請求項3の発明>
請求項3の構成によれば、請求項1と同様の効果を奏することとなる。即ち、グリッド電極をスライドさせることによって連結部に設けられた延出部が被連結部と係合するように構成されるため、組み付けの際に、グリッド電極にあまりストレスを生じさせることがなく、グリッド電極の形状を維持した状態でフレームに組み付けることが可能となる。
【0018】
<請求項4の発明>
請求項4の構成によれば、装着状態において組み付けの際のスライド側とは逆方向に移動しないように規制されるため、グリッド電極の離脱を防止できる好適な構成となる。
【0019】
<請求項5の発明>
請求項5の構成によれば、グリッド電極の変形をより一層確実に防止できる構成となる。
【0020】
<請求項6の発明>
グリッド電極を安定して支持するには、各々の対向壁において2箇所以上ずつ、計4箇所以上で支持することが望ましいが、支持箇所が多くなると、組み付け作業時において支持が確実に行われているか否かの確認作業の労力が増大してしまう。請求項6の構成によれば、フレームにおいてグリッド電極を安定して支持できる構成としつつ、組み付け作業を簡易に行える構成となる。
【0021】
<請求項7の発明>
請求項7の構成によれば、仮に連結部の存在によって放電ムラが生じたとしても、連結部が印字領域外に配置されているため、放電ムラによって印字品質が損なわれることを防止できる。
【0022】
<請求項8の発明>
請求項8の構成によれば、電源端子と接続端子との当接を、グリッド電極の脱落防止にも兼用できることとなる。即ち、電源端子との当接によってグリッド電極が組み付けの際のスライド側に絶えず押されることとなるため、グリッド電極がフレームに安定して保持される構成となる。
【0023】
<請求項9の発明>
請求項9の構成によれば、請求項1ないし請求項8いずれかに記載のものと同様の効果が得られ、小型化を図りやすい画像形成装置となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
次に本発明の実施形態1について説明する。
【0025】
1.全体構成
まず、図1ないし図5を参照して全体構成について説明する。
【0026】
図1および図2は、本発明の画像形成装置としてのレーザプリンタを示す要部側断面図である。このレーザプリンタ1は、本体ケーシング2と、その本体ケーシング2内に収容される、転写媒体としての用紙3を給紙するためのフィーダ部4や、給紙された用紙3に画像を形成するための画像形成部5などを備えている。
【0027】
本体ケーシング2の一方側の側壁には、後述するプロセスカートリッジ20を着脱するための着脱口6が形成されており、その着脱口6を開閉するためのフロントカバー7が設けられている。このフロントカバー7は、その下端部に挿通されたカバー軸(図示せず)に回動自在に支持されている。これによって、フロントカバー7をカバー軸を中心として閉じると、図1に示すように、フロントカバー7によって着脱口6が閉鎖され、フロントカバー7をカバー軸を支点として開くと(傾倒させると)、図2に示すように、着脱口6が開放され、この着脱口6を介して、プロセスカートリッジ20を装置本体1aに対して着脱させることができる。なお、本明細書では、レーザプリンタ1において、プロセスカートリッジ20を除いた部分を装置本体1aとしている。
【0028】
なお、以下の説明において、図1におけるフロントカバー7が設けられる側を「前側」とし、その反対側を「後側」とする。
【0029】
フィーダ部4は、本体ケーシング2内の底部に、着脱可能に装着される給紙トレイ9と、給紙トレイ9の前端部の上方に設けられる給紙ローラ10および分離パッド11と、給紙ローラ10の後側に設けられるピックアップローラ12と、給紙ローラ10の前側下方において対向配置されるピンチローラ13と、給紙ローラ10の前側上方において対向配置される紙粉取りローラ8と、給紙ローラ10の後側上方に設けられるレジストローラ14とを備えている。
【0030】
給紙トレイ9の内部には、用紙3を積層状に載置可能な用紙押圧板15が備えられている。この用紙押圧板15は、後端部において揺動可能に支持されることによって、前端部が下方に配置され、給紙トレイ9の底板16に沿う載置位置と、前端部が上方に配置され、傾斜する搬送位置とに揺動可能とされている。
【0031】
また、給紙トレイ9の前端部には、用紙押圧板15の前端部を上方に持ち上げるためのレバー17が設けられている。このレバー17は、用紙押圧板15の前側から下側へ回り込むように断面略L字状に形成されており、その上端部が、給紙トレイ9の前端部に設けられたレバー軸18に取り付けられ、その後端部が、用紙押圧板15の下面の前端部に当接している。これによって、レバー軸18に図中時計回りの回転駆動力が入力されると、レバー17がレバー軸18を支点として回転し、レバー17の後端部が用紙押圧板15の前端部を持ち上げ、用紙押圧板15を搬送位置に位置させる。
【0032】
用紙押圧板15が搬送位置に位置されると、用紙押圧板15上の用紙3は、ピックアップローラ12に押圧され、ピックアップローラ12の回転によって、給紙ローラ10と分離パッド11との間に向けて搬送開始される。
【0033】
一方、給紙トレイ9を本体ケーシング2から離脱させると、用紙押圧板15は、その自重によって、前端部が下方に移動し、用紙押圧板15が載置位置に位置される。用紙押圧板15が載置位置に位置されると、用紙押圧板15上に用紙3を積層状に載置することができる。
【0034】
ピックアップローラ12によって給紙ローラ10と分離パッド11との間に向けて送り出された用紙3は、給紙ローラ10の回転によって、給紙ローラ10と分離パッド11との間に挟まれたときに、確実に1枚ごとに捌かれて給紙される。給紙された用紙3は、給紙ローラ10とピンチローラ13との間を通り、紙粉取りローラ8によって、紙粉が取り除かれた後、レジストローラ14に搬送される。
【0035】
レジストローラ14は、1対のローラから構成され、用紙3を、レジスト後に、後述する感光ドラム29と転写ローラ32との間であって、感光ドラム29上のトナー像を用紙3に転写する転写位置に搬送する。
【0036】
画像形成部5は、スキャナ部19、プロセスカートリッジ20、定着部21などを備えている。
【0037】
スキャナ部19は、本体ケーシング2内の上部に設けられ、図示しないレーザ光源、回転駆動されるポリゴンミラー22、fθレンズ23、反射鏡24、レンズ25および反射鏡26などを備えている。レーザ光源から発光される画像データに基づくレーザビームは、鎖線で示すように、ポリゴンミラー22で偏向されて、fθレンズ23を通過した後、反射鏡24によって光路が折り返され、さらにレンズ25を通過した後、反射鏡26によってさらに光路が下方に屈曲されることにより、プロセスカートリッジ20の後述する感光ドラム29の表面上に照射される。
【0038】
プロセスカートリッジ20は、スキャナ部19の下方において、本体ケーシング2に対して着脱自在に装着されている。このプロセスカートリッジ20は、図4に示すように、筐体として、第1フレームとしての上フレーム27と、上フレーム27と別体に形成されて、上フレーム27と組み合わされる第2フレームとしての下フレーム28とを備えている。また、プロセスカートリッジ20は、図5に示すように、筐体内に、像担持体としての感光ドラム29、帯電手段としての帯電器30、現像カートリッジ31、転写手段としての転写ローラ32、およびクリーニングブラシ33を備えている。
【0039】
感光ドラム29は、円筒形状をなし、最表層がポリカーボネートなどからなる正帯電性の感光層により形成されるドラム本体34と、このドラム本体34の軸心において、ドラム本体34の長手方向に沿って延びる軸としての金属製のドラム軸35とを備えている。ドラム軸35が上フレーム27に支持され、このドラム軸35に対してドラム本体34が回転自在に支持されることにより、感光ドラム29は、上フレーム27において、ドラム軸35を中心に回転自在に設けられている。
【0040】
帯電器30は、スコロトロン型帯電器として構成されるものであり、感光ドラム29と接触しないように所定間隔を隔てて、感光ドラム29と対向配置されている。この帯電器30は、感光ドラム29の軸方向に所定間隔を隔てて対向配置された帯電ワイヤ37と、帯電ワイヤ37と感光ドラム29との間に設けられ、帯電ワイヤ37から感光ドラム29への放電量を制御するためのグリッド電極38とを備えている。このスコロトロン型帯電器30では、グリッド電極38にバイアス電圧を印加すると同時に、帯電ワイヤ37に高電圧を印加して、帯電ワイヤ37をコロナ放電させることにより、感光ドラム29の表面を一様に正極性に帯電させることができるようになっている。なお、帯電器の具体的な構成については後述する。
【0041】
このスコロトロン型帯電器30には、帯電ワイヤ37をクリーニングするためのクリーニング部材36が、帯電ワイヤ37を挟持するように設けられている。
【0042】
現像カートリッジ31は、後側が開放されるボックス状の収容ケース60を備え、下フ
レーム28に対して着脱自在に装着されている。この現像カートリッジ31内には、トナー収容室39、供給ローラ40、現像ローラ41および層厚規制ブレード42が設けられている。
【0043】
トナー収容室39は、仕切板43によって仕切られる収容ケース60の前側の内部空間として形成されている。トナー収容室39内には、現像剤として、正帯電性の非磁性1成分のトナーが充填されている。このトナーとしては、重合性単量体、たとえば、スチレンなどのスチレン系単量体や、アクリル酸、アルキル(C1〜C4)アクリレート、アルキル(C1〜C4)メタアクリレートなどのアクリル系単量体を、懸濁重合などによって共重合させることにより得られる重合トナーが用いられている。このような重合トナーは、略球状をなし、流動性が極めて良好であり、高画質の画像形成を達成することができる。
【0044】
なお、このようなトナーには、カーボンブラックなどの着色剤やワックスなどが配合され、また、流動性を向上させるために、シリカなどの外添剤が添加されている。トナーの平均粒径は、約6〜10μmである。
【0045】
また、トナー収容室39内には、中央に設けられた回転軸61に支持されたアジテータ44が設けられている。このアジテータ44は、図示しないモータからの動力の入力により回転駆動される。アジテータ44が回転駆動されると、トナー収容室39内のトナーが攪拌されて、仕切板43の下方において前後方向に連通する開口部45から供給ローラ40に向かって放出される。
【0046】
また、詳しくは後述するが、収容ケース60の左右両側壁60Aには、それぞれトナー収容室39に対応した領域にトナーの残量検知用の窓孔62が設けられ、各窓孔62にはシール部材(図示せず)を介して窓部材64が装着されている。各窓部材64は、アジテータ44に保持されて連動するワイパ65によって清掃される。なお、本体ケーシング2には、一方の窓孔62の外側に発光素子(図示せず)、他方の窓孔62の外側に受光素子(図示せず)が設けられており、発光素子から出射され収容ケース60内を通過した検知光を受光素子にて検出し、その出力値に応じてトナーの有無を判別する。
【0047】
供給ローラ40は、開口部45の後側に配置されて、現像カートリッジ31に回転可能に支持されている。この供給ローラ40は、金属製のローラ軸を、導電性の発泡材料からなるローラで被覆することにより構成されている。この供給ローラ40は、図示しないモータからの動力の入力により回転駆動される。
【0048】
現像ローラ41は、供給ローラ40の後側において、供給ローラ40と互いに圧縮されるように接触した状態で、現像カートリッジ31に回転可能に支持されている。また、現像ローラ41は、現像カートリッジ31が下フレーム28に装着された状態で、感光ドラム29に対向して接触する。この現像ローラ41は、金属製のローラ軸96を、導電性のゴム材料からなるローラで被覆することにより構成されている。ローラ軸96は、現像カートリッジ31の前端部において、その両端部が現像カートリッジ31の側面から前後方向と直交する幅方向外方に突出している(図3および図4参照)。現像ローラ41のローラは、カーボン微粒子などを含む導電性のウレタンゴムまたはシリコーンゴムからなるローラ本体の表面に、フッ素が含有されているウレタンゴムまたはシリコーンゴムのコート層が被覆されている。現像ローラ41には、現像時に現像バイアスが印加される。また、現像ローラ41は、図示しないモータからの動力の入力により、供給ローラ40と同じ方向に回転駆動される。
【0049】
層厚規制ブレード42は、金属の板ばね材からなるブレード本体46の先端部に、絶縁性のシリコーンゴムからなる断面半円形状の押圧部47を備えている。この層厚規制ブレ
ード42は、現像ローラ41の上方において現像カートリッジ31に支持されて、押圧部47がブレード本体46の弾性力によって現像ローラ41上に圧接されている。
【0050】
開口部45から放出されたトナーは、供給ローラ40の回転により、現像ローラ41に供給され、このとき、供給ローラ40と現像ローラ41との間で正に摩擦帯電される。現像ローラ41上に供給されたトナーは、現像ローラ41の回転に伴って、層厚規制ブレード42の押圧部47と現像ローラ41との間に進入し、一定厚さの薄層として現像ローラ41上に担持される。
【0051】
収容ケース60の左側面には、前述のアジテータ44、供給ローラ40及び現像ローラ41の各回転軸に図示しないモータからの動力を伝達するためのギア機構(図示せず)が設けられており、さらにそのギア機構を覆うカバー66が複数のネジ67によって固着されている。
【0052】
転写ローラ32は、下フレーム28に回転自在に支持されており、上フレーム27と下フレーム28とが組み合わされた状態において、感光ドラム29と上下方向において対向して接触し、感光ドラム29との間にニップを形成するように配置されている。この転写ローラ32は、金属製のローラ軸108を、導電性のゴム材料からなるローラで被覆することにより構成されている。転写ローラ32には、転写時に転写バイアスが印加される。また、転写ローラ32は、図示しないモータからの動力の入力により、感光ドラム29と反対方向に回転駆動される。
【0053】
クリーニングブラシ33は、下フレーム28に取り付けられており、上フレーム27と下フレーム28とが組み合わされた状態において、感光ドラム29の後側において、感光ドラム29と対向して接触するように配置されている。
【0054】
感光ドラム29の表面は、その感光ドラム29の回転に伴って、まず、スコロトロン型帯電器30により一様に正帯電された後、スキャナ部19からのレーザビームの高速走査により露光され、用紙3に形成すべき画像に対応した静電潜像が形成される。
【0055】
次いで、現像ローラ41の回転により、現像ローラ41上に担持されかつ正帯電されているトナーが、感光ドラム29に対向して接触するときに、感光ドラム29の表面上に形成されている静電潜像、すなわち、一様に正帯電されている感光ドラム29の表面のうち、レーザビームによって露光され電位が下がっている露光部分に供給される。これにより、感光ドラム29の静電潜像は、可視像化され、感光ドラム29の表面には、反転現像によるトナー像が担持される。
【0056】
その後、感光ドラム29の表面上に担持されたトナー像は、図1に示すように、レジストローラ14によって搬送されてくる用紙3が、感光ドラム29と転写ローラ32との間の転写位置を通る間に、転写ローラ32に印加される転写バイアスによって、用紙3に転写される。トナー像が転写された用紙3は、定着部21に搬送される。
【0057】
なお、転写後に感光ドラム29上に残存する転写残トナーは、現像ローラ41に回収される。また、転写後に感光ドラム29上に付着する用紙3からの紙粉は、クリーニングブラシ33によって回収される。
【0058】
定着部21は、プロセスカートリッジ20の後側に設けられ、定着フレーム48と、その定着フレーム48内に、加熱ローラ49および加圧ローラ50とを備えている。
【0059】
加熱ローラ49は、表面がフッ素樹脂によってコーティングされた金属管と、その金属
管内に加熱のためのハロゲンランプとを備え、図示しないモータからの動力の入力により回転駆動される。
【0060】
加圧ローラ50は、加熱ローラ49の下方において、加熱ローラ49を押圧するように対向配置されている。この加圧ローラ50は、金属製のローラ軸を、ゴム材料からなるローラで被覆することにより構成されており、加熱ローラ49の回転駆動に従って従動される。
【0061】
定着部21では、転写位置において用紙3上に転写されたトナーを、用紙3が加熱ローラ49と加圧ローラ50との間を通過する間に熱定着させる。トナーが定着した用紙3は、本体ケーシング2の上面に向かって上下方向に延びた排紙パス51に搬送される。排紙パス51に搬送された用紙3は、その上側に設けられる排紙ローラ52によって、本体ケーシング2の上面に形成された排紙トレイ53上に排紙される。
【0062】
2.プロセスカートリッジ
(プロセスカートリッジの全体構成)
図3は、プロセスカートリッジ20の平面図であり、図4は、プロセスカートリッジ20の側面図である。また、図5は、図3に示す切断線A−Aにおける断面図である。
【0063】
上フレーム27は、図3に示すように、左右一対の側壁54と上壁56とを一体的に備え、図5に示すように、前方および下方が開放されている。感光ドラム29のドラム軸35の両端には、軸受部材57が装着されており、上フレーム27の一対の側壁54間には、軸受部材57を介してドラム軸35が支持されている。
【0064】
下フレーム28は、1対の側壁92と(図4参照)、それら側壁92の下端線を連結する後連結部93、前下連結部94および後下連結部95と(図5参照)を一体的に備え、上方が開放されるように形成されている。
【0065】
1対の側壁92は、図4に示すように、左右方向において、上フレーム27および現像カートリッジ31を挟んで対向配置している。これら側壁92は、現像カートリッジ31の着脱時に、現像カートリッジ31の側面から左右方向外方に突出した現像ローラ41のローラ軸96の端部を案内するためのローラ軸案内部97と、このローラ軸案内部97の後端に設けられ、ローラ軸案内部97に案内されるローラ軸96の端部を受け入れるローラ軸受入部98と、ローラ軸受入部98の後側において、上フレーム27の着脱時に軸受部材57を受け入れる軸受部材受入溝99とを備えている。
【0066】
ローラ軸案内部97は、各側壁92の前後方向中央部の上端縁として形成されている。このローラ軸案内部97は、前側から後側に向かって、斜め下方に延びた後、略水平方向の平坦状に延びるように形成されている。
【0067】
ローラ軸受入部98は、各側壁92において、ローラ軸案内部97の後側に連続し、ローラ軸案内部97の後端部よりも上方に突出した突出部分101に、その突出部分101の前端縁から側面視略矩形状に切り欠くことによって形成されており、その下端縁が、ローラ軸案内部97の後端縁に連続している。
【0068】
そして、ローラ軸受入部98よりも前側が、現像カートリッジ31を装着するための装着スペースとなっており、現像カートリッジ31は、その側面から突出したローラ軸96の端部が、ローラ軸案内部97に案内されて、ローラ軸受入部98に向けて移動され、ローラ軸96の端部がローラ軸受入部98に受け入れられることにより、ローラ軸96が1対の側壁92によって支持された状態で、現像カートリッジ31がその装着スペースに装
着される。
【0069】
なお、現像カートリッジ31が下フレーム28に装着された状態では、ローラ軸96の端部が、ローラ軸受入部98を介して、各側壁92の幅方向外方に露出しており(図3参照)、プロセスカートリッジ20を本体ケーシング2に装着したときには、そのローラ軸96の左側端部に、現像バイアスを印加するための電極が接続される。また、各側壁92には、現像カートリッジ31が下フレーム28に装着された状態において、収容ケース60の窓孔62に対応する位置に円形の貫通孔68が設けられている。
【0070】
軸受部材受入溝99は、各側壁92の突出部分101において、その上端縁から下方に向けて上下方向に延び、上端線が開放される側面視略U字状の溝として形成されている。また、軸受部材受入溝99の下端部には、軸受部材57が回転自在に受け入れられる。そして、このプロセスカートリッジ20では、各軸受部材57を軸受部材受入溝99に挿入しつつ、上フレーム27が下フレーム28に対して上方から組み付けられる。
【0071】
また、左側の側壁92には、軸受部材受入溝99の下方に、後述する転写電極113を露出させるための開口部111が形成されている。
【0072】
また、左側の側壁92には、軸受部材受入溝99の後方に、クリーニングブラシ33にクリーニングバイアスを印加するためのクリーニング電極104が設けられている。
【0073】
後連結部93は、図5に示すように、1対の側壁92の後端部間を連結している。この後連結部93には、感光ドラム29の後側において対向する対向壁部105が立設されており、この対向壁部105にクリーニングブラシ33が取り付けられている。
【0074】
前下連結部94は、1対の側壁92の下端縁前部間を連結している。この前下連結部94は、一方(上側)のレジストローラ14を収容するレジストローラ収容部106を備えている。
【0075】
後下連結部95は、図4に示すように、軸受部材受入溝99の下方において、1対の側壁92の下端縁後部を連結している。この後下連結部95には、図5に示すように、転写ローラ32を収容する転写ローラ収容部107を備えている。また、後下連結部95には、転写ローラ収容部107の幅方向両端部に、転写ローラ32のローラ軸108の両端部を受ける図示しないローラ軸受が設けられており、転写ローラ32は、ローラ軸108の両端部がローラ軸受に受けられて、後下連結部95に回転可能に支持されている。
【0076】
また、ローラ軸108の左側端部と、転写バイアスを印加するための転写電極113とは互いに接触するように配置されている。この転写電極113は、左側の側壁92の孔111を介して、左側外向に露出されている。
【0077】
(帯電器)
次に、帯電器の構成について説明する。
【0078】
図6は、帯電器を斜め後方から見た斜視図であり、図7は、帯電器の一部を切断して示す図である。また、図8は、帯電器のキャップを外した側面を示す側面図であり、(a)は帯電ワイヤが設けられた構成、(b)は帯電ワイヤを外した構成をそれぞれ示している。図9は、ワイヤ牽引部材によって帯電ワイヤを牽引する様子を示す説明図である。なお、図6以降の説明では、感光ドラム29の長手方向をZ軸方向、当該画像形成装置の前後方向をX軸方向、当該画像形成装置の高さ方向をY軸方向として説明する。
【0079】
図5で示したように、帯電器30は、スコロトロン型帯電器として構成され、上述の上フレーム27を備え、その上フレームに帯電ワイヤ37とグリッド電極38とが取り付けられた形態にて設けられている。図6、図7に示すように、上フレーム27には、帯電ワイヤ37を架設した状態で支持する一対のワイヤ支持壁27a、27bが設けられており、図7のように、ワイヤ支持壁27aにおいて、帯電ワイヤ37の一端側を係止させる係止部27cが設けられている。帯電ワイヤ37の両端部には、円環部を有する被係合部材37cが設けられており、係止部27cは、ワイヤ部分を通し、かつ、被係合部材37cを通さない隙間を隔てて対向する一対の対向部129,129によって構成されている。
【0080】
また、図6に示すように、この上フレーム27には、帯電ワイヤ37を牽引するワイヤ牽引部材120が装着されている。ワイヤ牽引部材120は、図8、図9に示すように、螺旋状に構成されるコイルスプリング部121と、このコイルスプリング部121の端部に設けられ、帯電ワイヤ37における他端側(係止部27とは逆の端部側)に設けられた被係合部材37cと係合する係合部123とが設けられている。
【0081】
また、図8、図9に示すように、コイルスプリング部121は、コイル中心線Lを中心として端部のアーム121a、121bが相対的に移動するように構成されたねじりばねからなり、一方のアーム121b側が上フレーム27に固定され、他方のアーム121a側がコイル中心線Lの周りを回動できるように構成されている。アーム121aは、図9の矢印方向に移動可能となっており、自然状態から矢印方向に移動させると矢印方向とは反対側(即ち、帯電ワイヤ37を引っ張る方向)に付勢力を発生するようになっている。なお、帯電ワイヤ37を装着する際には、係止部27c(図7)に一端側の被係合部材37cを係止させた後、図8(b)のような自然状態(帯電ワイヤ37が架設されずコイルスプリング部121に付勢力を与えていない状態)から、図9の矢印方向にアーム121aを付勢に抗して移動させ、他端側の被係合部材37cを係合部123に係合させるようにして装着できる。装着後は、アーム121aが帯電ワイヤ37を引っ張ることで、図6、図8(a)、図9のように帯電ワイヤ37が架設されることとなる。
【0082】
また、図8及び図9に示すように、ワイヤ牽引部材120は、コイルスプリング部121のコイル中心線Lと、帯電ワイヤ37におけるワイヤ支持壁27a、27b(図6参照)の間に設けられた架設部37aの長手方向とが略直交した状態で上フレーム27に保持されている。架設部37aの長手方向は、感光ドラム29(図5)の長手方向(図9でいうZ軸方向)と略平行とされている。また、図8、図9に示すように、帯電ワイヤ37は、ワイヤ支持壁27bからワイヤ牽引部材120の係合部123まで延びる延設部37bを有しており、架設部37aは、延設部37bの端部から感光ドラム29の長手方向(図9のZ軸方向、図8では紙面直交方向)に沿って延びるように設けられている。
【0083】
また、図8、図9に示すように、上フレーム27には、延設部37bに沿うように延設部37bと対向する対向面142aが設けられている。具体的には、上フレーム27におけるワイヤ支持壁27bよりも外側の端部において、延設部37bに沿うように、延設部37bと対向するワイヤ対向部142が設けられており、このワイヤ対向部142の外面として対向面142aが構成されている。
【0084】
また、上フレーム27には、係合部123の移動範囲を規制する範囲規制部144が設けられている。範囲規制部144は、長手方向(Z軸方向)にリブ状に突出する壁部150によって構成されている。壁部150の先端側には、壁部150の先端部と対向面142aとの間においてアーム121aの通過を許容する隙間が形成されており、壁部150の基端側には隙間が設けられず、先端面よりも基端側(−Z方向側)に下がった外面を有する基端部150aが設けられている。アーム121aが一定範囲以上回動しようとすると、破線121a’にて概念的に示すように、アーム121aが基端部150aに当接し
て移動範囲が規制されることとなる。
【0085】
図9に示すように、ワイヤ牽引部材120の係合部123は、ワイヤ支持壁27bによる支持位置P(延設部37bの端部位置)より、架設部37aの長手方向(Z軸方向)において外方位置となるように構成されている。
【0086】
また、図8、図9に示すように、コイルスプリング部121は、上フレーム27に設けられた凹部141内に収容され、かつ、コイルスプリング部121の内部が中空とされた状態で、凹部141に保持されている。
【0087】
また、図8、図9に示すように、ワイヤ牽引部材120には、コイルスプリング部121における係合部123が設けられる側とは反対の端部側から延出した部分に、帯電ワイヤ37に電圧を印加するための電極部125が形成されている。電極部125の端部は、上フレーム27に形成された凸部142と係合しており、長手方向(Z軸方向)に関し、係合部123の端部よりも外方に位置するように構成されている。
【0088】
(グリッド電極)
次に、グリッド電極について説明する。
【0089】
図10はグリッド電極を例示する斜視図であり、図11(a)は、帯電器の要部を拡大して示すものであり、グリッド電極をフレームに組み付ける前の状態を示す斜視図である。また、図11(b)は(a)の状態から相対移動させて双方を組み付けた状態を示す斜視図である。図11(c)は、(b)の状態を対向壁の壁面と直交する切断面にて示す図であり、被連結部及び傾倒防止部が設けられた位置において、長手方向(Z軸方向)に切断した断面図である。グリッド電極38は、図5に示すように、帯電ワイヤ37と感光ドラム29との間に介在するように配置され、図7に示すように、上フレーム27に取り付けられるものである。具体的には、図10の斜視図にて示すように、金属材料等の導電性の材料によって長手状に形成されており、かつその長手方向と直交する断面が略コの字状となるように構成されている。また、グリッド電極38には、長手方向に沿った一対の対向壁38a、38bが、互いに板面を略平行とするように設けられており、図5、図7に示すように、上フレーム27にこれら対向壁38a、38bの各々が支持されるように構成されている。また、上述の帯電ワイヤ37は、図5、図7に示すように、対向壁38a、38bの間においてこれら対向壁38a、38bに沿って架設されている。帯電ワイヤ37と各対向壁38a、38bとの距離は共に略同一とされている。
【0090】
図10に示すように、グリッド電極38における一対の対向壁38a、38bの各々において、上フレーム27(図7参照)と連結するための切り欠き部からなる連結部160が形成され、図7に示す上フレーム27には、この連結部160と係合する被連結部165が設けられている。連結部160は、図11(a)に示すように、長手方向(Z軸方向)に延びてなる延出部160bを備えており、かつ、被連結部165を長手方向に案内するための案内部160aが長手方向に溝状に形成されている。
【0091】
図10、図11(a)に示すように、対向壁38a、38bにおける長手方向に延びる端縁部において、外縁が略直線状に構成された直線部161が形成され、連結部160は、直線部161の一部を略L字状に切り欠いた切り欠き部として構成されている。そして、切り欠き部の縁部が延出部160bとして構成されている。
【0092】
グリッド電極38を上フレーム27に組み付ける際には、図11(a)の状態から、被連結部165を連結部160内に相対移動させ、グリッド電極38を上フレーム27に対し長手方向に相対的にスライドさせることにより、被連結部165が、連結部160に形
成された案内部160aによって長手方向(Z軸方向)に案内されて図11(b)(c)のように互いに係合し、グリッド電極38と上フレーム27とが互いに連結されることとなる。
【0093】
また、図12は、グリッド電極38が装着されてない上フレーム27を裏面側から示す図であり、図11(b)(c)及び図12に示すように、上フレーム27には、対向壁38a、38bが対向側に傾倒することを防止する傾倒防止部167が凸状に形成されている。傾倒防止部167は、対向壁38a、38bの板厚方向(即ち対向方向)に突出した構成をなしており、図11(b)(c)のようにグリッド電極38を上フレーム27に組み付けた組み付け状態においては、傾倒防止部167の先端部が対向壁38a、38bの内面と当接し、対向壁38a、38bの内側(対向側)への傾倒が防止される。また、図11(b)(c)、図12に示すように、対向壁38a、38bの外面は、上フレーム27に形成された壁部170,170にて支持され、対向壁38a、38bは外側(対向側とは逆側)にも傾倒しないように構成されている。
【0094】
本実施形態では、図10に示すように、連結部160は、一対の対向壁38a、38bの各々において2つずつ設けられており、いずれの対向壁38a、38bにおいても、連結部160が長手方向の両端部に設けられている。また、グリッド電極38は、自身の長手方向が感光ドラム29(図5)の長手方向(即ちZ軸方向)とが略平行となるように感光ドラム29(図5)と対向して配置されるが、連結部160は、長手方向(Z軸方向)における感光ドラム29(図5)の印字領域外の位置に設けられている。
【0095】
また、図6、図10に示すように、グリッド電極38には、プロセスカートリッジ20の外部に設けられた電源端子(図示略)と当接する接続端子169aが設けられており、接続端子169aは、グリッド電極38の組み付け際のスライド側とは逆側の端部に設けられている。一方、帯電器30におけるワイヤ牽引部材120が設けられた側をカバーするようにキャップ127が設けられており、キャップ127には、電極部125と接続端子169aとを挿入するための孔127a、127bが設けられている。そして、キャップ127を上フレーム27に取り付けた状態では、電極部125と接続端子169aとがプロセスカートリッジ20において外部に露出することとなる(図4参照)。
【0096】
キャップ127は、特許請求の範囲でいう移動規制部材に相当しており、グリッド電極38が装着されている状態において、当該グリッド電極38が、上フレーム27に対して組み付けの際のスライド側とは逆方向に移動しないように規制する。具体的には、図6に示す孔127により先端の接続端子169aのみを通し、段差状に構成された段差部169bを孔127に通さない構成(即ち段差部169bよりも孔127が小さい構成)をなしており、キャップ127が上フレーム27に装着された状態では、上フレーム27に対しグリッド電極38が接続端子169a側に相対的にスライドできなくなる。図11(b)の図からもわかるように、グリッド電極38は接続端子169a側にスライドできないと連結部160と被連結部165の連結状態が解除されないため、キャップ127を取り外さない限り、グリッド電極38は上フレーム27に安定して固定されることとなる。
【0097】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれ、さらに、下記以外にも要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することができる。
【0098】
(1)上記実施形態では、切り欠き部によって連結部160を構成したが、被連結部と係合可能な構成であれば、L字状の突起部などであってもよい。
【0099】
(2)上記実施形態では、傾倒防止部167と被連結部165とが別位置に形成された例を示したが、図13に示すように、傾倒防止部と被連結部とを一体的に形成してもよい。図13の例では、被連結部175が組み付けの際における対向壁38a、38bの板厚方向に突出し、かつ延出部160bと交差するように折れ曲がる構成をなしている。被連結部175の先端部175aと、壁部170の壁面との間には延出部160bの厚さと略同程度の隙間が形成されており、図13(b)のように連結部160と被連結部175とが連結すると、対向壁38bの傾倒も防止されることとなる。この構成では、被連結部175が傾倒防止部に相当することとなる。
【図面の簡単な説明】
【0100】
【図1】本発明の画像形成装置としてのレーザプリンタの一実施形態を示す要部側断面図であり、フロントカバーを閉じた状態を示す。
【図2】図1に示すレーザプリンタの要部側断面図であり、フロントカバーを開いた状態を示す。
【図3】図1に示すプロセスカートリッジの平面図である。
【図4】図1に示すプロセスカートリッジの側面図である。
【図5】図3に示す切断線A−Aにおける断面図である。
【図6】帯電器を斜め後方から見た斜視図
【図7】図7は、帯電器の一部を切断して示す図
【図8】帯電器の一方側の側面をキャップを外して示す図であり、(a)は帯電ワイヤが装着された状態を示す図、(b)は帯電ワイヤを外した状態を示す図
【図9】ワイヤ牽引部材によって帯電ワイヤを牽引する様子を示す説明図
【図10】グリッド電極を例示する斜視図
【図11】グリッド電極を上フレームに装着する方法を説明する説明図
【図12】上フレームを裏面側から見た図
【図13】被連結部及び傾倒防止部の別例を示す図
【符号の説明】
【0101】
1…レーザプリンタ(画像形成装置)
1a…装置本体
20…プロセスカートリッジ
27…上フレーム(フレーム)
27a,27b…ワイヤ支持壁 27c…係止部
29…感光ドラム(感光体)
30…帯電器37…帯電ワイヤ
37a…架設部
37b…延設部
38…グリッド電極
38a、38b…対向壁
120…ワイヤ牽引部材
121…コイルスプリング部
123…係合部
125…電極部
127…キャップ(移動規制部材)
141…凹部
142a…対向面
160…連結部
165…被連結部
160a…案内部
160b…延出部
167…傾倒防止部
169a…接続端子
L…コイル中心線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
感光体と、
前記感光体を帯電させる帯電器とを有するプロセスカートリッジであって、
前記帯電器は、
長手状に構成され、かつその長手方向と直交する断面が略コの字状に構成されており、前記長手方向に沿った一対の対向壁を有する導電性のグリッド電極と、
前記グリッド電極の前記対向壁の各々を支持することにより前記グリッド電極を保持するフレームと、
前記フレームに装着され、かつ前記グリッド電極における一対の前記対向壁の間においてこれら対向壁に沿って架設される帯電ワイヤと、
を備え、
前記グリッド電極における一対の前記対向壁の各々において、前記長手方向に延びてなる延出部を備えた、突起部及び切り欠き部のいずれかからなる連結部が設けられており、
前記フレームには、前記連結部と係合する被連結部が設けられており、
前記グリッド電極を前記フレームに組み付ける際において、当該グリッド電極を前記フレームに対し前記長手方向に相対的にスライドさせることにより、前記連結部に設けられた前記延出部が前記被連結部と係合し、前記グリッド電極と前記フレームとが互いに連結されることを特徴とする画像形成装置の装置本体に対して着脱可能に構成されたプロセスカートリッジ。
【請求項2】
前記対向壁における長手方向に延びる端縁部において、外縁が略直線状に構成された直線部が形成され、
前記連結部は、前記直線部の一部を略L字状に切り欠いた切り欠き部として構成されており、当該切り欠き部の縁部が前記延出部として構成されていることを特徴とする請求項1に記載のプロセスカートリッジ。
【請求項3】
感光体と、
前記感光体を帯電させる帯電器とを有するプロセスカートリッジであって、
前記帯電器は、
長手状に構成され、かつその長手方向と直交する断面が略コの字状に構成されており、前記長手方向に沿った一対の対向壁を有する導電性のグリッド電極と、
前記グリッド電極の前記対向壁の各々を支持することにより前記グリッド電極を保持するフレームと、
前記フレームに装着され、かつ前記グリッド電極における一対の前記対向壁の間においてこれら対向壁に沿って架設される帯電ワイヤと、
を備え、
前記グリッド電極における一対の前記対向壁の各々において、前記フレームと連結するための連結部が形成され、
前記フレームには、前記連結部と係合する被連結部が設けられており、
前記連結部及び前記被連結部のいずれか一方には、他方を前記長手方向に案内するための案内部が形成されており、
前記グリッド電極を前記フレームに組み付ける際において、当該グリッド電極を前記フレームに対し前記長手方向に相対的にスライドさせることにより、前記連結部又は前記被連結部のいずれか一方が、他方に形成された前記案内部によって前記長手方向に案内されて互いに係合し、前記グリッド電極と前記フレームとが互いに連結されることを特徴とする画像形成装置の装置本体に対して着脱可能に構成されたプロセスカートリッジ。
【請求項4】
前記グリッド電極が装着されている状態において、当該グリッド電極が、前記フレームに対して組み付けの際のスライド側とは逆方向に移動しないように規制する移動規制部材
を備えたことを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載のプロセスカートリッジ。
【請求項5】
前記フレームには、前記対向壁が対向側に傾倒することを防止する傾倒防止部が形成されていることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれかに記載のプロセスカートリッジ。
【請求項6】
前記連結部は、一対の前記対向壁の各々において2つずつ設けられており、いずれの対向壁においても、当該連結部が前記長手方向の両端部に設けられていることを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれかに記載のプロセスカートリッジ。
【請求項7】
前記連結部は、前記長手方向において印字領域外の位置に設けられていることを特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれかに記載のプロセスカートリッジ。
【請求項8】
前記グリッド電極は、当該プロセスカートリッジの外部に設けられた電源端子と当接する接続端子を有しており、
前記接続端子は、当該プロセスカートリッジにおいて、前記グリッド電極の組み付け際のスライド側とは逆側の端部に設けられていることを特徴とする請求項1ないし請求項7のいずれかに記載のプロセスカートリッジ。
【請求項9】
請求項1ないし請求項8のいずれかに記載のプロセスカートリッジを用いて画像形成を行うように構成されたことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2006−323425(P2006−323425A)
【公開日】平成18年11月30日(2006.11.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−243683(P2006−243683)
【出願日】平成18年9月8日(2006.9.8)
【分割の表示】特願2004−217714(P2004−217714)の分割
【原出願日】平成16年7月26日(2004.7.26)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】