プロセスカートリッジ及び画像形成装置
【課題】現像剤の収容積を確保しつつ、小型で安価なプロセスカートリッジ及び画像形成装置を提供する。
【解決手段】プロセスカートリッジ1は、感光体ドラム2、感光体ドラム2を帯電させる帯電器3、露光することにより静電潜像を感光体ドラム2に形成する露光器4と、感光体ドラム2に現像剤を供給し、静電潜像を現像する現像器5とを備えて構成される。露光器4は、LED発光素子をアレイ状に並べたLED書込みヘッド40を有しており、感光体ドラム2を保持するドラムフレーム21に固定してある。
【解決手段】プロセスカートリッジ1は、感光体ドラム2、感光体ドラム2を帯電させる帯電器3、露光することにより静電潜像を感光体ドラム2に形成する露光器4と、感光体ドラム2に現像剤を供給し、静電潜像を現像する現像器5とを備えて構成される。露光器4は、LED発光素子をアレイ状に並べたLED書込みヘッド40を有しており、感光体ドラム2を保持するドラムフレーム21に固定してある。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、取得した画像データを電子写真方式により現像するプロセスカートリッジ及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式を採用する画像形成装置は、他の方式による画像形成装置に比べて画像品質において優位であるものの、その構造は非常に複雑であるため、装置全体を小型化することが困難とされてきた。
【0003】
特許文献1には、電子写真方式を用いた従来の画像形成装置が記載されており、この画像形成装置は、感光体ドラム、帯電装置、現像装置を備えるプロセスカートリッジ、露光装置、転写装置、及び定着装置等から構成されている。特許文献1に記載された画像形成装置は、帯電装置により帯電させた感光体ドラムに露光装置から光照射して静電潜像に形成し、現像剤の成分であるトナーを現像装置から感光体ドラムに供給して現像することによってトナー像を形成する。画像形成装置は、感光体ドラムに形成されたトナー像を転写装置によりトナー像担持ベルトに一旦転写したのち、記録用紙又はOHP(Overhead Projector)シートなどの記録媒体であるシート上に転写し、転写されたトナー像を定着装置によりシート上に定着させるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−169899号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、近年では、より小型の画像形成装置を求めるユーザが多くなっており、このようなユーザの要望を満たす画像形成装置の開発が急務となっている。特許文献1の画像形成装置は、露光装置をプロセスカートリッジ側ではなく、装置本体側に取り付ける構造になっているため、取り付けのための部材を配置し、露光装置以外の他の装置類とのクリアランスを確保するための空間が必要となり、装置全体を小型化することが困難になっていた。
【0006】
また、特許文献1の画像形成装置では、4色カラー画像に対応するために、各色トナー用に4つのプロセスカートリッジがタンデム配置された形式となっているが、この形式の画像形成装置では、プロセスカートリッジを小型化することが装置全体を小型化する上で有効である。しかし、プロセスカートリッジを単に全体的に小さくしただけでは、現像装置内の現像剤を収容する現像槽も狭くなり、収容できるトナー容量が少なくなってしまう。また、現像槽に収容できるトナー容量が少なくなることで、現像槽内で発生する摩擦等によってトナーが受ける機械的ストレスが大きくなり、トナーの物性寿命が短くなってしまう。
【0007】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、現像剤の収容量を確保しつつ、小型で安価なプロセスカートリッジ及び画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係るプロセスカートリッジは、感光体ドラムと、該感光体ドラムを帯電させる帯電装置と、前記感光体ドラムに現像剤を供給する現像装置とを備え、帯電した前記感光体ドラムに光を当てて形成された静電潜像を現像するプロセスカートリッジにおいて、露光することにより静電潜像を前記感光体ドラムに形成する露光装置を備えることを特徴とする。
【0009】
本発明に係るプロセスカートリッジは、前記露光装置が、LED光源を有することを特徴とする。
【0010】
本発明に係るプロセスカートリッジは、前記現像装置が、前記感光体ドラムに供給する現像剤を担持する現像ローラと、該現像ローラを収容し、該現像ローラの前記感光体ドラムと反対側に現像剤を収容する現像剤収容空間を有する現像槽と、前記現像ローラの前記現像剤収容空間側の面に接し、傾けて配された現像剤規制板とを備えることを特徴とする。
【0011】
本発明に係るプロセスカートリッジは、前記現像装置が、前記現像槽の外側に前記現像剤規制板を固定してあることを特徴とする。
【0012】
本発明に係るプロセスカートリッジは、前記感光体ドラムから現像剤を除去するクリーナー部を備え、該クリーナー部が、前記感光体ドラムに接する板状のクリーナーブレードと、該クリーナーブレードを取り付けるケースとを備え、該ケースと前記クリーナーブレードにより囲まれる空間に感光体ドラムから除去された現像剤を回収するようにしてあることを特徴とする。
【0013】
本発明に係るプロセスカートリッジは、前記クリーナー部が、前記ケースの前記感光体ドラムの回転軸に直交する断面が略L字状の断面形状としてあることを特徴とする。
【0014】
本発明に係る画像形成装置は、上述のプロセスカートリッジと、前記感光体ドラムに現像された像を記録媒体に転写する転写装置と、該転写装置により転写された像を前記記録媒体に定着させる定着装置とを備えたことを特徴とする。
【0015】
本発明にあっては、感光体ドラムと、帯電装置と、現像装置とを備えるプロセスカートリッジにおいて、露光することにより静電潜像を前記感光体ドラムに形成する露光装置を備えるため、露光装置を外部に取り付ける必要がなく、露光装置を取り付けるための空間を削減でき、プロセスカートリッジを装着する画像形成装置を小型化することができる。
【0016】
本発明にあっては、露光装置がLED光源を有するため、露光装置自体を小型化することができる。
【0017】
本発明にあっては、現像装置が、感光体ドラムに供給する現像剤を担持する現像ローラと、現像ローラを収容し、現像ローラの感光体ドラムと反対側に現像剤を収容する現像剤収容空間を有する現像槽と、現像ローラの現像剤収容空間側の面に接し、傾けて配された現像剤規制板とを備えるため、現像槽における現像剤収容空間を広くすることができる。
【0018】
本発明にあっては、現像装置が、現像槽の外側に現像剤規制板を固定してあるため、現像槽における現像剤収容空間を広くすることができる。
【0019】
本発明にあっては、感光体ドラムから現像剤を除去するクリーナー部を備え、クリーナー部が、感光体ドラムに接する板状のクリーナーブレードと、クリーナーブレードを取り付けるケースとを備え、ケースとクリーナーブレードにより囲まれる空間に感光体ドラムから除去された現像剤を回収するようにしてあるため、クリーナー部を小型化し、安価にすることができる。
【0020】
本発明にあっては、クリーナー部が、ケースの感光体ドラムの回転軸に直交する断面が略L字状の断面形状としてあるため、プロセスカートリッジを運搬する際の保持部分にすることができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、感光体ドラムと、帯電装置と、現像装置とを備えるプロセスカートリッジにおいて、露光することにより静電潜像を前記感光体ドラムに形成する露光装置を備えるので、露光装置を外部に取り付ける必要がなく、露光装置を取り付けるための空間を削減でき、プロセスカートリッジを装着する画像形成装置を小型化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の実施の形態に係る画像形成装置の例を示す模式図である。
【図2】図1のプロセスカートリッジの断面を示す模式図である。
【図3】図1のプロセスカートリッジの正面側の斜視図である。
【図4】図1のプロセスカートリッジの背面側の斜視図である。
【図5】図2のドラムフレームの正面側の斜視図である。
【図6】図2のドラムフレームの底面側の斜視図である。
【図7】図3のドラムユニットの正面側の斜視図である。
【図8】図3のドラムユニットの底面側の斜視図である。
【図9】図2の帯電器の底面側の斜視図である。
【図10】図2の帯電器が備える電極の底面側の斜視図である。
【図11】図2の現像器の正面側の斜視図である。
【図12】図2の現像器の背面側の斜視図である。
【図13】図2のトナー供給器の正面側の斜視図である。
【図14】図2のトナー供給器の底面側の斜視図である。
【図15】図2のドラムクリーナの正面側の斜視図である。
【図16】図2のドラムクリーナの背面側の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施の形態に係る画像形成装置を図面に基づいて説明する。尚、以下の実施の形態は、本発明を具体化した一例であって、本発明の技術的範囲を限定する性格のものではない。
【0024】
図1は本発明の実施の形態に係る画像形成装置の例を示す模式図である。画像形成装置は、外筐100、プロセスカートリッジ1(1a,1b,1c,1d)、転写ユニット8、給紙ユニット9、及び定着ユニット10を備え、外筐100の一側(正面側)に給紙ユニット9を、他側(正面側)に定着ユニット10を配し、給紙ユニット9と定着ユニット10との間に転写ユニット8を配し、転写ユニット8の上にプロセスカートリッジ1を配してある。画像形成装置は、正面側から給紙ユニット9によりシートを供給し、プロセスカートリッジ1で形成したトナー像を転写ユニット8にてシートに転写し、定着ユニット10でトナー像を定着して背面側から排出することにより、外部から入力される画像データに応じてシート上に多色および単色の画像を形成するものである。
【0025】
プロセスカートリッジ1a,1b,1c,1dは夫々、ブラック(K),シアン(C),マゼンタ(M),イエロー(Y)の各色を用いたカラー画像に対応しており、各色相のデジタル信号(以下、「画像情報」と記載する)に対応する静電潜像を形成し、該静電潜像を現像して、各色ごとに現像剤による画像(トナー像)を形成するカートリッジである。
【0026】
図2は図1のプロセスカートリッジ1の断面を示す模式図、図3は図1のプロセスカートリッジ1の正面側の斜視図、図4は図1のプロセスカートリッジ1の背面側の斜視図である。図2に示すように、プロセスカートリッジ1は、感光体ドラム2、帯電器3、露光器4、現像器5、トナー供給器6及びドラムクリーナ7等を備えている。また、プロセスカートリッジ1は、感光体ドラム2、帯電器3、露光器4、及びドラムクリーナ7等を固定したドラムユニット101に、現像器5及びトナー供給器6を装着する構造となっている。
【0027】
図3及び図4に示すように、現像器5の両側面にはボス58が設けられ、ドラムユニット101の両端面にはL字状の係止部材102が設けられている。係止部材102の一部に爪状の係止部103があり、係止部103とボス58との間に引張コイルバネ104を取り付けることにより、ドラムユニット101に現像器5が押し当てられるように装着される。このとき、感光体ドラム2と後述する現像ローラ50とが所定の圧力で接触する。また、現像器5に設けた係止部材59を、後述するドラムユニット101側の係止部材45に係止させる。トナー供給器6は容易に現像器5から着脱できるように装着してあり、トナー供給器6内のトナーがなくなったときに新たなトナー供給器6に交換できる構造となっている。
【0028】
感光体ドラム2は、ドラムフレーム21により軸線回りに回転駆動可能に支持されており、トナー像が表面に形成される像担持体であり、円筒状又は円柱状の導電性基体と、該導電性基体の表面に形成される感光層とを含む。
【0029】
図5は図2のドラムフレーム21の正面側の斜視図、図6は図2のドラムフレーム21の底面側の斜視図、図7は図3のドラムユニット101の正面側の斜視図、図8は図3のドラムユニット101の底面側の斜視図である。ドラムフレーム21は、例えば、硬質の合成樹脂などによって形成されており、感光体ドラム2を支持する支持板22,22と、支持板22,22を連結する連結部材23からなる。ドラムフレーム21は、支持板22,22に架け渡すように感光体ドラム2を支持している。感光体ドラム2の一端部には、図7に示すように駆動用のギア24が装着されていて、画像形成装置本体側の図示しない駆動ギアと噛み合うことにより感光体ドラム2が回転駆動される。図2に示すように感光体ドラム2は図示の矢印Bの方向へ回転駆動される。
【0030】
帯電器3は、感光体ドラム2の表面を所定の電位に均一に帯電させるチャージャー型の帯電器である。帯電器3は、感光体ドラム2の表面に接触するブラシ又はローラを有する接触型の帯電器であってもよい。図9は図2の帯電器3の底面側の斜視図であり、図10は帯電器3が備える電極30の底面側の斜視図である。帯電器3は、長手方向が感光体ドラム2の軸線方向と平行になるようにドラムフレーム21の支持板22,22に固定されている。帯電器3は、ケース31内に図10に示す鋸歯状の電極30を固定し、感光体ドラム2を臨むケース31の面にグリッド電極32を配してある。電極30、グリッド電極32は、給電用電極端子33に接続されており、給電用電極端子33が図示しない高電圧回路に接続される。該高電圧回路により電極30とグリッド電極32との間に所定の電圧が印加されることにより、電極30が放電し、感光体ドラム2を(−)極性に帯電し、感光体ドラム2に所定の電位が与えられる。
【0031】
露光器4は、LED(Light Emitted Diode)発光素子をアレイ状に並べたLED書込みヘッド40を備えており、帯電された感光体ドラム2を入力された画像データに応じて露光することにより、感光体ドラム2の表面に、画像データに応じた静電潜像を形成する。
【0032】
露光器4は、長手方向が感光体ドラム2の軸線方向と平行となるように配置されている。ドラムフレーム21の支持板22,22上の座面25,25に位置決めスペーサ44,44を設置し、位置決めスペーサ44,44に露光器4を設置する。ドラムフレーム21の連結部材23に固定された補強板金41の突起部42,42と、露光器4との間に、圧縮コイルバネ43,43が配してあり、露光器4が下方へ押圧されることにより、露光器4がドラムユニット101内に取り付けられる。位置決めスペーサ44,44によって、露光器4と感光体ドラム2との間の距離が調整され、露光器4が照射する光の焦点位置が調整できるようにしてある。なお、補強板金41の長手方向の端部には、現像器5側の係止部材59を係止するための係止部材45を設けている。
【0033】
図2に示すように、現像器5は、現像ローラ50、現像槽51、現像剤供給ローラ52、及びドクターブレード53等を備えており、感光体ドラム2上の静電潜像を現像剤により現像化するものである。図11は図2の現像器5の正面側の斜視図、図12は図2の現像器5の背面側の斜視図である。
【0034】
現像ローラ50は、現像槽51内において回転自在に支持される導電ゴム製のローラ部材であり、所定の電圧が印加されることにより、表面にトナーを吸着して担持する。現像ローラ50は、感光体ドラム2を臨み、軸線が感光体ドラム2の軸線と平行になるように配置されており、図2に示す矢印Cの方向へ回転駆動される。
【0035】
図11及び図12に示すように、現像ローラ50の両端部は、現像槽51から突出する駆動軸501,502を形成している。駆動軸501には、回転駆動用のカップリング503が固定されており、画像形成装置本体側のカップリング504(本体側の駆動軸は図示せず)と係合する。また、駆動軸502には、駆動ギア505が固定され、この駆動ギアと噛み合うアイドルギア506が設けられている。このアイドルギア506と噛み合うように、従動ギア521が現像剤供給ローラ52の軸上に固定されている。画像形成装置本体側に配置した駆動手段による回転駆動により、カップリング503,504を介して、現像ローラ50が所定の回転数により回転し、現像ローラ50の回転に伴って、駆動ギア505、アイドルギア506及び従動ギア521により、現像剤供給ローラ52が所定の回転数により回転する。
【0036】
現像槽51は、例えば、硬質の合成樹脂などにより形成される略直方体形状の容器であり、現像剤を収容している。現像剤としては、例えば、非磁性の一成分現像剤が用いることができる。現像槽51には、上部に設けた開口部56を通して、トナー供給器6からトナーが供給される。
【0037】
現像剤供給ローラ52は、芯金の周りに円筒状の例えば発泡ウレタンなどの多孔性弾性部材を配して形成したローラ部材であり、現像ローラ50と摺接するように現像槽51内に配置されている。現像剤供給ローラ52は、図示しない駆動手段によって図2に示す矢印Dの方向へ回転駆動される。現像剤供給ローラ52は、多孔性弾性部材による外周上の孔部に現像剤を保持しつつ現像ローラ50と摺擦することによって、現像剤を現像ローラ50に供給し、現像後の現像ローラ50に残った余分の現像剤を除去する。
【0038】
ドクターブレード53は、現像ローラ50上に担持される現像剤が一定の厚みの現像剤層を形成するように規制する矩形状の薄い金属板である。ドクターブレード53は、長辺の一端部が現像ローラ50の周上に圧接し、圧接する部分から先の部分がL字状に折り曲げられている。また、ドクターブレード53の長辺の他端部は、現像ローラ50の上方において、現像槽51の壁の外側に固定される。詳細には、板部材55を長手方向の両端において板面に略直角に折り曲げてフランジを形成し、該フランジを現像槽51の上部壁54の外側に固定し、板部材55に、スペーサ56及び押さえ板57でドクターブレード53を挟むようにして固定する。尚、板部材55の両端に設けた上記フランジの間の内寸は、ドクターブレード53の長手方向の長さよりも大きく取ってあり、ドクターブレード53は、板部材55の下側の長辺と、上部壁54の端部長辺との間にできる隙間を通して、現像槽51の内部に突き出し、板部材55に固定される位置や角度によって、現像ローラ50に押し付けられる押圧力を調整して取り付けてある。
【0039】
トナー供給器6は、トナーを収容するトナー容器60、現像槽51の中へトナーを供給するトナー補給ローラ62等を備えている。図13は図2のトナー供給器6の正面側の斜視図、図14は図2のトナー供給器6の底面側の斜視図である。
【0040】
トナー容器60は、例えば硬質の合成樹脂などにより形成された容器である。トナー容器60は、底部にトナー供給口61を有し、上部は蓋61で塞がれている。トナー容器60の形状は、底部から上部にかけて水平断面積が概ね大きくなっていく形状としている。
【0041】
トナー補給ローラ62は、芯金の周りに円筒状の例えば発泡ウレタンなどの多孔性弾性部材が設けたローラ部材である。トナー補給ローラ62の軸端には駆動用カップリング64が固定されており、画像形成装置本体側の図示しない駆動カップリングと係合し、図示しない駆動手段により回転駆動されて所定の回転数で回転する。トナー補給ローラ62は、多孔性弾性部材による外周上の孔部に現像剤を保持しつつ、矢印Eの方向へ回転することによってトナー容器60の内壁の一部と摺接して孔部に保持したトナーを掻き落とし、現像器5内にトナーを供給する。
【0042】
ドラムクリーナ7は、クリーナーブレード70、及びケース71等を備えており、画像転写後の感光体ドラム2上の表面に残留するトナーを除去・回収するものである。図15は図2のドラムクリーナ7の正面側の斜視図、図16は図2のドラムクリーナ7の背面側の斜視図である。
【0043】
クリーナーブレード70には、例えば、ウレタン製のゴムブレード74を固定板75に接着等により固着させたものを用いることができる。クリーナーブレード70は、固定板金72を介してケース71へ固定されており、ゴムブレード74が感光体ドラム2に一定量食い込むように、固定板金72の曲げ角度が設定されている。
【0044】
ケース71は、例えば硬質の合成樹脂などにより形成された容器であり、感光体ドラム2の軸線方向と直交する断面が略L字状の断面としてある。ケース71の底面76の端面には、該端面からクリーナーブレード70側へ延伸する薄い板状の仕切り板73を設ける。ケース71、仕切り板73及びクリーナーブレード70によって囲まれる空間に、クリーナーブレード70を感光体ドラム2の表面に接触させ、掻き落とすようにして除去したトナーを回収する。
【0045】
転写ユニット8は、転写ベルト80、転写ローラ83(83a,83b,83c,83d)、及びベルトクリーナ84を備えている。
【0046】
転写ベルト80は、例えば、厚さ100μm〜150μmの合成樹脂又はゴム材料等によるフィルムで形成される無端状のベルト部材であり、駆動ローラ81、従動ローラ82、及び転写ローラ83に張架されている。駆動ローラ81を図示しない駆動手段によって回転駆動することにより、転写ベルト80が矢印A方向に駆動される。従動ローラ82は、転写ベルト80の駆動に従って従動的に回転する。転写ベルト80は、後述する給紙ユニット9からのシートを搬送する。
【0047】
転写ローラ83は、例えば、直径8〜10mmの金属製(例えばステンレス)の芯金の周りに導電性を有する弾性材(例えばEPDM,発泡ウレタン等)を設けたローラ状部材である。また、転写ローラ83の代わりにブラシ電極などを用いてもよい。転写ローラ83は、図示しない加圧手段によって、転写ベルト80を介して感光体ドラム2に圧接するように配置してある。転写ローラ83には、感光体ドラム2上に担持されたトナーの帯電極性(−)とは逆極性(+)のバイアス電圧が図示しない高電圧回路により印加されており、該バイアス電圧によって、転写ベルト80上を搬送されるシートを帯電させる機能を有する。帯電したシートに、感光体ドラム2上に担持されたトナーが吸着し、シートにトナー像が転写される。プロセスカートリッジ1a,1b,1c,1d夫々に対応する転写ローラ83a,83b,83c,83dによって、各色のトナー像をシート上に順次的に重ねて転写することで、カラーのトナー像(多色トナー像)を形成する。
【0048】
ベルトクリーナ84は、例えば、転写ベルト80に先端部分が圧接する板部材を備えており、転写ベルト80に付着したトナーを除去して回収するものである。感光体ドラム2との接触により転写ベルト80に付着したトナーは、転写ベルト80上を搬送されるシートの裏面を汚す原因となるため、ベルトクリーナ84により除去・回収するようにしてある。
【0049】
給紙ユニット9は、レジストローラ91、対向ローラ92等を備え、シートを転写ユニット8へ供給するユニットである。給紙ユニット9は、画像形成装置中のシートの搬送経路において、プロセスカートリッジ1及び転写ユニット8の上流側に設けられている。給紙ユニット9の上流側には、図示しない給紙カセットが装着されており、シートを転写ユニット8へ供給する搬送経路として、図示しないガイド板等が配置されている。
【0050】
レジストローラ91は、対向する対向ローラ92とで挟持して搬送させるシートを一旦保持し、感光体ドラム2の回転に同期してシートを搬送する機能を有している。このため、レジストローラ91は、図示しないレジスト前検知スイッチが出力する検知信号に基づいて、各感光体ドラム2上に担持されたトナー像の先端をシートにおける画像形成範囲の先端に合わせるように、シートを搬送するように設定されている。
【0051】
定着ユニット10は、加熱ローラ11、加圧ローラ12を備えており、加熱ローラ11及び加圧ローラ12が、シートを挟んで回転し、シートを搬送しながら、多色トナー像をシートに定着させるものである。
【0052】
加熱ローラ11は、図示しない熱源、温度検出器及び温度制御回路によって、加熱されて所定の定着温度となるよう温度制御される。また、加圧ローラ12は、図示しない加圧手段によって加熱ローラ11に圧接するように配してあり、加熱ローラ11と加圧ローラ12とが接触する位置に定着ニップ部13が形成される。この定着ニップ部13において、シート上の多色トナー像が加熱されて溶融・混合し、シート上に押圧されることによって、シート上に多色トナー像が定着する。定着ユニット10によって多色トナー像を定着させたシートは、定着ユニット10の下流側の排紙トレイ(図示せず)へ排出される。
【0053】
つぎに、画像形成装置によって画像形成する動作について説明する。プロセスカートリッジ1において、感光体ドラム2は、その軸線まわりに矢印Bの方向へ回転しながら、帯電器3からの放電によって、表面が帯電する。帯電状態にある感光体ドラム2の表面に、露光器4から画像情報により制御された光を照射し、画像情報に対応する静電潜像を形成する。
【0054】
次いで、感光体ドラム2が回転して、現像ローラ50に近接して対面し、現像ローラ50表面に担持されるトナーが、現像ローラ50と感光体ドラム2との電位差に応じて、感光体ドラム2の表面に形成されている静電潜像に付着し、感光体ドラム2の表面にトナー像を担持させる。ここで、現像ローラ50の表面に担持されるトナーの厚みが一定となるように、ドクターブレード53によって、現像ローラ50へ供給する現像剤の量を規制する。感光体ドラム2の表面に担持されたトナー像は、転写ユニット8によりシートに転写されるが、転写後に感光体ドラム2の表面に残留するトナーはドラムクリーナ7により除去回収される。
【0055】
転写ユニット8は、給紙ユニット9から供給されるシートを搬送し、感光体ドラム2上に担持されたトナー像をシートに転写する。転写ローラ83は、感光体ドラム2上に担持されたトナーの帯電極性(−)とは逆極性(+)のバイアス電圧が印加されており、該バイアス電圧によって、転写ベルト80上を搬送されるシートを帯電させる。帯電したシートに、感光体ドラム2上に担持されたトナーが吸着し、シートにトナー像が転写される。プロセスカートリッジ1a,1b,1c,1d夫々に対応する転写ローラ83a,83b,83c,83dによって、各色のトナー像をシート上に順次的に重ねて転写することで、カラーのトナー像(多色トナー像)を形成する。
【0056】
転写ユニット8は、多色トナー像が転写されたシートを定着ユニット10へ搬送する。定着ユニット10は、定着ニップ部13において、加熱ローラ11によりシート上の多色トナー像を加熱して溶融・混合し、加圧ローラ12によりトナー像をシート上に押圧して多色トナー像をシート上に定着させる。多色トナー像を定着させたシートは、定着ユニット10の下流側の排紙トレイへ排出される。
【0057】
以上のように、プロセスカートリッジ1において、ドラムユニット101が、感光体ドラム2を支持するドラムフレーム21に帯電器3、露光器4及びドラムクリーナ7等を取り付けた構造としてあるので、露光器4を画像形成装置本体側に取り付ける必要がなく、露光器4を本体側に取り付けるための部材等を配置するためのスペースが不要となり、画像形成装置を小型化することができる。また、不要となった空きスペースを利用して、現像器5の現像槽51、及びトナー供給器6のトナー容器60の形状を、これらの容積がより増加するような形状にすることができる。
【0058】
また、ドラムユニット側の係止部材45に現像器5側の係止部材59を係止し、ドラムユニット側の係止部103と現像器5側のボス58との間に引張コイルバネ104を取り付けることによって、ドラムユニット101へ現像器5を装着するので、現像器5を容易に着脱することができる。また、仮に引張コイルバネ104が取り付けられていない状態でプロセスカートリッジ1を手で持ち上げた場合でも、ドラムユニット101と現像器5とが係止部材45及び係止部材59により係止していれば、直ちに、ばらばらになってしまうことはないので、誤ってプロセスカートリッジ1を落下させてしまうことを防ぐことができる。
【0059】
ここで、ドクターブレード53について、更に詳しく説明する。ドクターブレード53は、長手方向の長さが現像ローラ50の軸線方向の長さとほぼ同じ長さとなっている。上述のように、ドクターブレード53の長辺の他端部は、スペーサ56及び押さえ板57に挟み込む形で、ねじなどの締結具により板部材55に固定されている。ドクターブレード53は、長辺の他端部における取り付けの位置や角度によって、長辺の一端部が現像ローラ50の周上に押し付けられて撓むことによって板ばねとして働き、弾性力によって、現像ローラ50に圧接する。
【0060】
ドクターブレード53が現像ローラ50に圧接する位置(以下、「圧接位置」という)に流入したトナーは、現像ローラ50及びドクターブレード53によって摩擦力を受け帯電する。そして圧接位置を通過したトナーは、現像ローラ50の回転によって感光体ドラム2に対向する現像位置へ搬送される。
【0061】
ドクターブレード53が現像ローラ50を押圧する押圧力は、ドクターブレード53が板ばねとして機能することにより発生する弾性力であり、次に示すように押圧力の調整をすることができる。即ち、ドクターブレード53の撓みを調整することによって、押圧力を調整することができる。撓みと押圧力との関係は、理論的には、次式による片持ち梁の先端における撓みδと先端荷重P(=押圧力)の関係で表される。
P(kgf)=3EIδ/L2
【0062】
ここで、Eはドクターブレード53材料のヤング率、Iは断面二次モーメント、δはたわみ量、Lはドクターブレード53の長辺の他端部(固定端)から一端部(自由端)までの長さ(いわゆる梁の自由長)である。
【0063】
なお、ドクターブレード53による押圧力の調整は、ドクターブレード53と現像ローラ50との間に、短冊状にカットしたPET(ポリエチレンテレフタレート)部材等の一端を挟んでおき、他端をテンションゲージに繋いで一定の速度でPET部材を引き抜いた時の引抜力により調整することもできる。
【0064】
また、ドクターブレード53は、鉛直方向に対して約20degほど斜めに傾けて、ドクターブレード53の長辺の他端部(上方の端部)がドラムユニット101寄りになるように配置している。このようにドクターブレードを配置することで、現像槽51の現像剤を収容する容積を出来るだけ大きくとれるようにし、トナー容量を増やしている。図2に示すように、現像剤を収容する空間(以下、「現像剤収容空間」という)は、現像槽51の中でも現像ローラ50の感光体ドラム2と反対側にある空間であり、この空間を仕切るドラムユニット2側の側面は、実際にはドクターブレード53であるため、ドクターブレード53の配置によって、現像剤収容空間の容積が増減する。上記のようなドクターブレード53の配置は、現像剤収容空間の容積をより増加させるものである。
【0065】
また、上述のとおり、板部材55を現像槽51の上部壁54の外側に固定し、該板部材55の外側にドクターブレード53を固定していることによって、現像剤収容空間の容積をより増加させることができる。なお、板部材55は、ドクターブレード53を取り付けるための部材であるが、上部壁54に取り付けられることによって、現像槽51の上部壁54を端部から上方へ延伸するため現像槽51の側壁の一部を形成する部材であるとも考えられる。
【0066】
また、上述のように、トナー容器60の形状は、底部から上部にかけて水平断面積が概ね大きくなっていく形状としている。トナー容器60の形状をこのような形状とすることができるのは、ドクターブレード53を垂直方向に対してやや斜め方向に傾いて取り付けたためであり、さらには、露光器4を画像形成装置側ではなくドラムユニット101内に設けることによって現像器5及びトナー供給器6側に配分されるスペースが増加したためである。また、トナー容器60の形状が、底部から上部にかけて水平断面積が概ね大きくなっていく形状とすることによって、トナー容器60の高さがある程度低くてもトナーを収容する容積を十分確保できるので、トナーの収容量を確保しつつ、プロセスユニット101の高さを、更には画像形成装置全体の高さを低く抑えることができる。
【0067】
また、ドラムクリーナ7におけるケース71、仕切り板73及びクリーナーブレード70によって囲まれる空間の内部は、仕切り板73を除くと中空となっており、その他の部品はない。通常、クリーナーブレード70を有するドラムクリーナは、感光体ドラム2から除去されたトナーを、スクリュー等の搬送部材によってドラムクリーナ外へ排出するトナー排出機構を内部に有しているが、本実施の形態においては、該トナー排出機構を設けない構成としている。その為、ドラムクリーナ7内に収容した排トナーの掃除を適宜行う必要が生じるものの、トナー排出機構を設置するスペースが不要であるのでドラムクリーナ7の外形寸法が小さくすることができ、更には、トナー排出機構分の部品点数が減るので、ドラムクリーナ7を安価に製作することができる。
【0068】
また、ケース71の長手方向(感光体ドラム2の軸線方向)に直交する断面形状を、図2に示すように略L字状とすることによって、L字状の角の部分が、プロセスカートリッジ1の他の外形部分に比して、外側へ張り出した形になる。このL字状の角の部分は、プロセスカートリッジ1を手で持ち運ぶときに適度な引っ掛かりとなり、誤って落とすことが少なくなる。また、ケース71におけるL字状の部分を、プロセスカートリッジ1を画像形成装置に装着するときの係止部として利用することができる。
【0069】
(実施例)
本発明の一実施例は、以下のとおりである。
感光体ドラム2 ; 外径24mm
現像ローラ50 ; 外径12mm
プロセス速度 ; 145mm/sec
現像ローラ/感光体ドラム周速比 ; 0.86
現像剤搬送量 ; 0.6mg/cm2
【0070】
ドクターブレード53による現像ローラ50への押圧力の調整は、ドクターブレード53と現像ローラ50との間に挟んだPET部材を一定の速度で引き抜いた時の引抜力が150gf/cm程度となるように、ドクターブレード53の取り付けの位置や角度を調整した。なお、引抜力の測定には、テンションゲージ(例えば、アイコーエンジニアリング社製RX−5)を用いる。
【0071】
ドラムクリーナ7におけるクリーナーブレード70には、ウレタン製のゴムブレードを使用し、感光体ドラム2に対して食い込む量を約1.2mmに設定することで、良好なクリーニング効果が得られた。
【0072】
実施例に対する出力画像評価において、用紙上の画像濃度は、ベタ画像濃度をポータブル分光測色濃度計(例えば、商品名:X−Rite939、X−Rite社製)を用いて測定している。また、トナー帯電量は、例えば、TReK社製Model210HS−2Aを用いて測定できる。
【0073】
なお、前述した実施の形態の他にも、この発明について種々の変形例があり得る。それらの変形例は、この発明の範囲に属さないと解されるべきものではない。この発明には、請求の範囲と均等の意味及び前記範囲内でのすべての変形とが含まれるべきである。
【符号の説明】
【0074】
1 プロセスカートリッジ
2 感光体ドラム
21 ドラムフレーム(筐体)
3 帯電器(帯電装置)
4 露光器(露光装置)
40 LED書込みヘッド(LED光源)
5 現像器(現像装置)
50 現像ローラ
51 現像槽
53 ドクターブレード(現像剤規制板)
7 ドラムクリーナ(クリーナー部)
70 クリーナーブレード
71 ケース
8 転写ユニット(転写装置)
10 定着ユニット(定着装置)
【技術分野】
【0001】
本発明は、取得した画像データを電子写真方式により現像するプロセスカートリッジ及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式を採用する画像形成装置は、他の方式による画像形成装置に比べて画像品質において優位であるものの、その構造は非常に複雑であるため、装置全体を小型化することが困難とされてきた。
【0003】
特許文献1には、電子写真方式を用いた従来の画像形成装置が記載されており、この画像形成装置は、感光体ドラム、帯電装置、現像装置を備えるプロセスカートリッジ、露光装置、転写装置、及び定着装置等から構成されている。特許文献1に記載された画像形成装置は、帯電装置により帯電させた感光体ドラムに露光装置から光照射して静電潜像に形成し、現像剤の成分であるトナーを現像装置から感光体ドラムに供給して現像することによってトナー像を形成する。画像形成装置は、感光体ドラムに形成されたトナー像を転写装置によりトナー像担持ベルトに一旦転写したのち、記録用紙又はOHP(Overhead Projector)シートなどの記録媒体であるシート上に転写し、転写されたトナー像を定着装置によりシート上に定着させるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−169899号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、近年では、より小型の画像形成装置を求めるユーザが多くなっており、このようなユーザの要望を満たす画像形成装置の開発が急務となっている。特許文献1の画像形成装置は、露光装置をプロセスカートリッジ側ではなく、装置本体側に取り付ける構造になっているため、取り付けのための部材を配置し、露光装置以外の他の装置類とのクリアランスを確保するための空間が必要となり、装置全体を小型化することが困難になっていた。
【0006】
また、特許文献1の画像形成装置では、4色カラー画像に対応するために、各色トナー用に4つのプロセスカートリッジがタンデム配置された形式となっているが、この形式の画像形成装置では、プロセスカートリッジを小型化することが装置全体を小型化する上で有効である。しかし、プロセスカートリッジを単に全体的に小さくしただけでは、現像装置内の現像剤を収容する現像槽も狭くなり、収容できるトナー容量が少なくなってしまう。また、現像槽に収容できるトナー容量が少なくなることで、現像槽内で発生する摩擦等によってトナーが受ける機械的ストレスが大きくなり、トナーの物性寿命が短くなってしまう。
【0007】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、現像剤の収容量を確保しつつ、小型で安価なプロセスカートリッジ及び画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係るプロセスカートリッジは、感光体ドラムと、該感光体ドラムを帯電させる帯電装置と、前記感光体ドラムに現像剤を供給する現像装置とを備え、帯電した前記感光体ドラムに光を当てて形成された静電潜像を現像するプロセスカートリッジにおいて、露光することにより静電潜像を前記感光体ドラムに形成する露光装置を備えることを特徴とする。
【0009】
本発明に係るプロセスカートリッジは、前記露光装置が、LED光源を有することを特徴とする。
【0010】
本発明に係るプロセスカートリッジは、前記現像装置が、前記感光体ドラムに供給する現像剤を担持する現像ローラと、該現像ローラを収容し、該現像ローラの前記感光体ドラムと反対側に現像剤を収容する現像剤収容空間を有する現像槽と、前記現像ローラの前記現像剤収容空間側の面に接し、傾けて配された現像剤規制板とを備えることを特徴とする。
【0011】
本発明に係るプロセスカートリッジは、前記現像装置が、前記現像槽の外側に前記現像剤規制板を固定してあることを特徴とする。
【0012】
本発明に係るプロセスカートリッジは、前記感光体ドラムから現像剤を除去するクリーナー部を備え、該クリーナー部が、前記感光体ドラムに接する板状のクリーナーブレードと、該クリーナーブレードを取り付けるケースとを備え、該ケースと前記クリーナーブレードにより囲まれる空間に感光体ドラムから除去された現像剤を回収するようにしてあることを特徴とする。
【0013】
本発明に係るプロセスカートリッジは、前記クリーナー部が、前記ケースの前記感光体ドラムの回転軸に直交する断面が略L字状の断面形状としてあることを特徴とする。
【0014】
本発明に係る画像形成装置は、上述のプロセスカートリッジと、前記感光体ドラムに現像された像を記録媒体に転写する転写装置と、該転写装置により転写された像を前記記録媒体に定着させる定着装置とを備えたことを特徴とする。
【0015】
本発明にあっては、感光体ドラムと、帯電装置と、現像装置とを備えるプロセスカートリッジにおいて、露光することにより静電潜像を前記感光体ドラムに形成する露光装置を備えるため、露光装置を外部に取り付ける必要がなく、露光装置を取り付けるための空間を削減でき、プロセスカートリッジを装着する画像形成装置を小型化することができる。
【0016】
本発明にあっては、露光装置がLED光源を有するため、露光装置自体を小型化することができる。
【0017】
本発明にあっては、現像装置が、感光体ドラムに供給する現像剤を担持する現像ローラと、現像ローラを収容し、現像ローラの感光体ドラムと反対側に現像剤を収容する現像剤収容空間を有する現像槽と、現像ローラの現像剤収容空間側の面に接し、傾けて配された現像剤規制板とを備えるため、現像槽における現像剤収容空間を広くすることができる。
【0018】
本発明にあっては、現像装置が、現像槽の外側に現像剤規制板を固定してあるため、現像槽における現像剤収容空間を広くすることができる。
【0019】
本発明にあっては、感光体ドラムから現像剤を除去するクリーナー部を備え、クリーナー部が、感光体ドラムに接する板状のクリーナーブレードと、クリーナーブレードを取り付けるケースとを備え、ケースとクリーナーブレードにより囲まれる空間に感光体ドラムから除去された現像剤を回収するようにしてあるため、クリーナー部を小型化し、安価にすることができる。
【0020】
本発明にあっては、クリーナー部が、ケースの感光体ドラムの回転軸に直交する断面が略L字状の断面形状としてあるため、プロセスカートリッジを運搬する際の保持部分にすることができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、感光体ドラムと、帯電装置と、現像装置とを備えるプロセスカートリッジにおいて、露光することにより静電潜像を前記感光体ドラムに形成する露光装置を備えるので、露光装置を外部に取り付ける必要がなく、露光装置を取り付けるための空間を削減でき、プロセスカートリッジを装着する画像形成装置を小型化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の実施の形態に係る画像形成装置の例を示す模式図である。
【図2】図1のプロセスカートリッジの断面を示す模式図である。
【図3】図1のプロセスカートリッジの正面側の斜視図である。
【図4】図1のプロセスカートリッジの背面側の斜視図である。
【図5】図2のドラムフレームの正面側の斜視図である。
【図6】図2のドラムフレームの底面側の斜視図である。
【図7】図3のドラムユニットの正面側の斜視図である。
【図8】図3のドラムユニットの底面側の斜視図である。
【図9】図2の帯電器の底面側の斜視図である。
【図10】図2の帯電器が備える電極の底面側の斜視図である。
【図11】図2の現像器の正面側の斜視図である。
【図12】図2の現像器の背面側の斜視図である。
【図13】図2のトナー供給器の正面側の斜視図である。
【図14】図2のトナー供給器の底面側の斜視図である。
【図15】図2のドラムクリーナの正面側の斜視図である。
【図16】図2のドラムクリーナの背面側の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施の形態に係る画像形成装置を図面に基づいて説明する。尚、以下の実施の形態は、本発明を具体化した一例であって、本発明の技術的範囲を限定する性格のものではない。
【0024】
図1は本発明の実施の形態に係る画像形成装置の例を示す模式図である。画像形成装置は、外筐100、プロセスカートリッジ1(1a,1b,1c,1d)、転写ユニット8、給紙ユニット9、及び定着ユニット10を備え、外筐100の一側(正面側)に給紙ユニット9を、他側(正面側)に定着ユニット10を配し、給紙ユニット9と定着ユニット10との間に転写ユニット8を配し、転写ユニット8の上にプロセスカートリッジ1を配してある。画像形成装置は、正面側から給紙ユニット9によりシートを供給し、プロセスカートリッジ1で形成したトナー像を転写ユニット8にてシートに転写し、定着ユニット10でトナー像を定着して背面側から排出することにより、外部から入力される画像データに応じてシート上に多色および単色の画像を形成するものである。
【0025】
プロセスカートリッジ1a,1b,1c,1dは夫々、ブラック(K),シアン(C),マゼンタ(M),イエロー(Y)の各色を用いたカラー画像に対応しており、各色相のデジタル信号(以下、「画像情報」と記載する)に対応する静電潜像を形成し、該静電潜像を現像して、各色ごとに現像剤による画像(トナー像)を形成するカートリッジである。
【0026】
図2は図1のプロセスカートリッジ1の断面を示す模式図、図3は図1のプロセスカートリッジ1の正面側の斜視図、図4は図1のプロセスカートリッジ1の背面側の斜視図である。図2に示すように、プロセスカートリッジ1は、感光体ドラム2、帯電器3、露光器4、現像器5、トナー供給器6及びドラムクリーナ7等を備えている。また、プロセスカートリッジ1は、感光体ドラム2、帯電器3、露光器4、及びドラムクリーナ7等を固定したドラムユニット101に、現像器5及びトナー供給器6を装着する構造となっている。
【0027】
図3及び図4に示すように、現像器5の両側面にはボス58が設けられ、ドラムユニット101の両端面にはL字状の係止部材102が設けられている。係止部材102の一部に爪状の係止部103があり、係止部103とボス58との間に引張コイルバネ104を取り付けることにより、ドラムユニット101に現像器5が押し当てられるように装着される。このとき、感光体ドラム2と後述する現像ローラ50とが所定の圧力で接触する。また、現像器5に設けた係止部材59を、後述するドラムユニット101側の係止部材45に係止させる。トナー供給器6は容易に現像器5から着脱できるように装着してあり、トナー供給器6内のトナーがなくなったときに新たなトナー供給器6に交換できる構造となっている。
【0028】
感光体ドラム2は、ドラムフレーム21により軸線回りに回転駆動可能に支持されており、トナー像が表面に形成される像担持体であり、円筒状又は円柱状の導電性基体と、該導電性基体の表面に形成される感光層とを含む。
【0029】
図5は図2のドラムフレーム21の正面側の斜視図、図6は図2のドラムフレーム21の底面側の斜視図、図7は図3のドラムユニット101の正面側の斜視図、図8は図3のドラムユニット101の底面側の斜視図である。ドラムフレーム21は、例えば、硬質の合成樹脂などによって形成されており、感光体ドラム2を支持する支持板22,22と、支持板22,22を連結する連結部材23からなる。ドラムフレーム21は、支持板22,22に架け渡すように感光体ドラム2を支持している。感光体ドラム2の一端部には、図7に示すように駆動用のギア24が装着されていて、画像形成装置本体側の図示しない駆動ギアと噛み合うことにより感光体ドラム2が回転駆動される。図2に示すように感光体ドラム2は図示の矢印Bの方向へ回転駆動される。
【0030】
帯電器3は、感光体ドラム2の表面を所定の電位に均一に帯電させるチャージャー型の帯電器である。帯電器3は、感光体ドラム2の表面に接触するブラシ又はローラを有する接触型の帯電器であってもよい。図9は図2の帯電器3の底面側の斜視図であり、図10は帯電器3が備える電極30の底面側の斜視図である。帯電器3は、長手方向が感光体ドラム2の軸線方向と平行になるようにドラムフレーム21の支持板22,22に固定されている。帯電器3は、ケース31内に図10に示す鋸歯状の電極30を固定し、感光体ドラム2を臨むケース31の面にグリッド電極32を配してある。電極30、グリッド電極32は、給電用電極端子33に接続されており、給電用電極端子33が図示しない高電圧回路に接続される。該高電圧回路により電極30とグリッド電極32との間に所定の電圧が印加されることにより、電極30が放電し、感光体ドラム2を(−)極性に帯電し、感光体ドラム2に所定の電位が与えられる。
【0031】
露光器4は、LED(Light Emitted Diode)発光素子をアレイ状に並べたLED書込みヘッド40を備えており、帯電された感光体ドラム2を入力された画像データに応じて露光することにより、感光体ドラム2の表面に、画像データに応じた静電潜像を形成する。
【0032】
露光器4は、長手方向が感光体ドラム2の軸線方向と平行となるように配置されている。ドラムフレーム21の支持板22,22上の座面25,25に位置決めスペーサ44,44を設置し、位置決めスペーサ44,44に露光器4を設置する。ドラムフレーム21の連結部材23に固定された補強板金41の突起部42,42と、露光器4との間に、圧縮コイルバネ43,43が配してあり、露光器4が下方へ押圧されることにより、露光器4がドラムユニット101内に取り付けられる。位置決めスペーサ44,44によって、露光器4と感光体ドラム2との間の距離が調整され、露光器4が照射する光の焦点位置が調整できるようにしてある。なお、補強板金41の長手方向の端部には、現像器5側の係止部材59を係止するための係止部材45を設けている。
【0033】
図2に示すように、現像器5は、現像ローラ50、現像槽51、現像剤供給ローラ52、及びドクターブレード53等を備えており、感光体ドラム2上の静電潜像を現像剤により現像化するものである。図11は図2の現像器5の正面側の斜視図、図12は図2の現像器5の背面側の斜視図である。
【0034】
現像ローラ50は、現像槽51内において回転自在に支持される導電ゴム製のローラ部材であり、所定の電圧が印加されることにより、表面にトナーを吸着して担持する。現像ローラ50は、感光体ドラム2を臨み、軸線が感光体ドラム2の軸線と平行になるように配置されており、図2に示す矢印Cの方向へ回転駆動される。
【0035】
図11及び図12に示すように、現像ローラ50の両端部は、現像槽51から突出する駆動軸501,502を形成している。駆動軸501には、回転駆動用のカップリング503が固定されており、画像形成装置本体側のカップリング504(本体側の駆動軸は図示せず)と係合する。また、駆動軸502には、駆動ギア505が固定され、この駆動ギアと噛み合うアイドルギア506が設けられている。このアイドルギア506と噛み合うように、従動ギア521が現像剤供給ローラ52の軸上に固定されている。画像形成装置本体側に配置した駆動手段による回転駆動により、カップリング503,504を介して、現像ローラ50が所定の回転数により回転し、現像ローラ50の回転に伴って、駆動ギア505、アイドルギア506及び従動ギア521により、現像剤供給ローラ52が所定の回転数により回転する。
【0036】
現像槽51は、例えば、硬質の合成樹脂などにより形成される略直方体形状の容器であり、現像剤を収容している。現像剤としては、例えば、非磁性の一成分現像剤が用いることができる。現像槽51には、上部に設けた開口部56を通して、トナー供給器6からトナーが供給される。
【0037】
現像剤供給ローラ52は、芯金の周りに円筒状の例えば発泡ウレタンなどの多孔性弾性部材を配して形成したローラ部材であり、現像ローラ50と摺接するように現像槽51内に配置されている。現像剤供給ローラ52は、図示しない駆動手段によって図2に示す矢印Dの方向へ回転駆動される。現像剤供給ローラ52は、多孔性弾性部材による外周上の孔部に現像剤を保持しつつ現像ローラ50と摺擦することによって、現像剤を現像ローラ50に供給し、現像後の現像ローラ50に残った余分の現像剤を除去する。
【0038】
ドクターブレード53は、現像ローラ50上に担持される現像剤が一定の厚みの現像剤層を形成するように規制する矩形状の薄い金属板である。ドクターブレード53は、長辺の一端部が現像ローラ50の周上に圧接し、圧接する部分から先の部分がL字状に折り曲げられている。また、ドクターブレード53の長辺の他端部は、現像ローラ50の上方において、現像槽51の壁の外側に固定される。詳細には、板部材55を長手方向の両端において板面に略直角に折り曲げてフランジを形成し、該フランジを現像槽51の上部壁54の外側に固定し、板部材55に、スペーサ56及び押さえ板57でドクターブレード53を挟むようにして固定する。尚、板部材55の両端に設けた上記フランジの間の内寸は、ドクターブレード53の長手方向の長さよりも大きく取ってあり、ドクターブレード53は、板部材55の下側の長辺と、上部壁54の端部長辺との間にできる隙間を通して、現像槽51の内部に突き出し、板部材55に固定される位置や角度によって、現像ローラ50に押し付けられる押圧力を調整して取り付けてある。
【0039】
トナー供給器6は、トナーを収容するトナー容器60、現像槽51の中へトナーを供給するトナー補給ローラ62等を備えている。図13は図2のトナー供給器6の正面側の斜視図、図14は図2のトナー供給器6の底面側の斜視図である。
【0040】
トナー容器60は、例えば硬質の合成樹脂などにより形成された容器である。トナー容器60は、底部にトナー供給口61を有し、上部は蓋61で塞がれている。トナー容器60の形状は、底部から上部にかけて水平断面積が概ね大きくなっていく形状としている。
【0041】
トナー補給ローラ62は、芯金の周りに円筒状の例えば発泡ウレタンなどの多孔性弾性部材が設けたローラ部材である。トナー補給ローラ62の軸端には駆動用カップリング64が固定されており、画像形成装置本体側の図示しない駆動カップリングと係合し、図示しない駆動手段により回転駆動されて所定の回転数で回転する。トナー補給ローラ62は、多孔性弾性部材による外周上の孔部に現像剤を保持しつつ、矢印Eの方向へ回転することによってトナー容器60の内壁の一部と摺接して孔部に保持したトナーを掻き落とし、現像器5内にトナーを供給する。
【0042】
ドラムクリーナ7は、クリーナーブレード70、及びケース71等を備えており、画像転写後の感光体ドラム2上の表面に残留するトナーを除去・回収するものである。図15は図2のドラムクリーナ7の正面側の斜視図、図16は図2のドラムクリーナ7の背面側の斜視図である。
【0043】
クリーナーブレード70には、例えば、ウレタン製のゴムブレード74を固定板75に接着等により固着させたものを用いることができる。クリーナーブレード70は、固定板金72を介してケース71へ固定されており、ゴムブレード74が感光体ドラム2に一定量食い込むように、固定板金72の曲げ角度が設定されている。
【0044】
ケース71は、例えば硬質の合成樹脂などにより形成された容器であり、感光体ドラム2の軸線方向と直交する断面が略L字状の断面としてある。ケース71の底面76の端面には、該端面からクリーナーブレード70側へ延伸する薄い板状の仕切り板73を設ける。ケース71、仕切り板73及びクリーナーブレード70によって囲まれる空間に、クリーナーブレード70を感光体ドラム2の表面に接触させ、掻き落とすようにして除去したトナーを回収する。
【0045】
転写ユニット8は、転写ベルト80、転写ローラ83(83a,83b,83c,83d)、及びベルトクリーナ84を備えている。
【0046】
転写ベルト80は、例えば、厚さ100μm〜150μmの合成樹脂又はゴム材料等によるフィルムで形成される無端状のベルト部材であり、駆動ローラ81、従動ローラ82、及び転写ローラ83に張架されている。駆動ローラ81を図示しない駆動手段によって回転駆動することにより、転写ベルト80が矢印A方向に駆動される。従動ローラ82は、転写ベルト80の駆動に従って従動的に回転する。転写ベルト80は、後述する給紙ユニット9からのシートを搬送する。
【0047】
転写ローラ83は、例えば、直径8〜10mmの金属製(例えばステンレス)の芯金の周りに導電性を有する弾性材(例えばEPDM,発泡ウレタン等)を設けたローラ状部材である。また、転写ローラ83の代わりにブラシ電極などを用いてもよい。転写ローラ83は、図示しない加圧手段によって、転写ベルト80を介して感光体ドラム2に圧接するように配置してある。転写ローラ83には、感光体ドラム2上に担持されたトナーの帯電極性(−)とは逆極性(+)のバイアス電圧が図示しない高電圧回路により印加されており、該バイアス電圧によって、転写ベルト80上を搬送されるシートを帯電させる機能を有する。帯電したシートに、感光体ドラム2上に担持されたトナーが吸着し、シートにトナー像が転写される。プロセスカートリッジ1a,1b,1c,1d夫々に対応する転写ローラ83a,83b,83c,83dによって、各色のトナー像をシート上に順次的に重ねて転写することで、カラーのトナー像(多色トナー像)を形成する。
【0048】
ベルトクリーナ84は、例えば、転写ベルト80に先端部分が圧接する板部材を備えており、転写ベルト80に付着したトナーを除去して回収するものである。感光体ドラム2との接触により転写ベルト80に付着したトナーは、転写ベルト80上を搬送されるシートの裏面を汚す原因となるため、ベルトクリーナ84により除去・回収するようにしてある。
【0049】
給紙ユニット9は、レジストローラ91、対向ローラ92等を備え、シートを転写ユニット8へ供給するユニットである。給紙ユニット9は、画像形成装置中のシートの搬送経路において、プロセスカートリッジ1及び転写ユニット8の上流側に設けられている。給紙ユニット9の上流側には、図示しない給紙カセットが装着されており、シートを転写ユニット8へ供給する搬送経路として、図示しないガイド板等が配置されている。
【0050】
レジストローラ91は、対向する対向ローラ92とで挟持して搬送させるシートを一旦保持し、感光体ドラム2の回転に同期してシートを搬送する機能を有している。このため、レジストローラ91は、図示しないレジスト前検知スイッチが出力する検知信号に基づいて、各感光体ドラム2上に担持されたトナー像の先端をシートにおける画像形成範囲の先端に合わせるように、シートを搬送するように設定されている。
【0051】
定着ユニット10は、加熱ローラ11、加圧ローラ12を備えており、加熱ローラ11及び加圧ローラ12が、シートを挟んで回転し、シートを搬送しながら、多色トナー像をシートに定着させるものである。
【0052】
加熱ローラ11は、図示しない熱源、温度検出器及び温度制御回路によって、加熱されて所定の定着温度となるよう温度制御される。また、加圧ローラ12は、図示しない加圧手段によって加熱ローラ11に圧接するように配してあり、加熱ローラ11と加圧ローラ12とが接触する位置に定着ニップ部13が形成される。この定着ニップ部13において、シート上の多色トナー像が加熱されて溶融・混合し、シート上に押圧されることによって、シート上に多色トナー像が定着する。定着ユニット10によって多色トナー像を定着させたシートは、定着ユニット10の下流側の排紙トレイ(図示せず)へ排出される。
【0053】
つぎに、画像形成装置によって画像形成する動作について説明する。プロセスカートリッジ1において、感光体ドラム2は、その軸線まわりに矢印Bの方向へ回転しながら、帯電器3からの放電によって、表面が帯電する。帯電状態にある感光体ドラム2の表面に、露光器4から画像情報により制御された光を照射し、画像情報に対応する静電潜像を形成する。
【0054】
次いで、感光体ドラム2が回転して、現像ローラ50に近接して対面し、現像ローラ50表面に担持されるトナーが、現像ローラ50と感光体ドラム2との電位差に応じて、感光体ドラム2の表面に形成されている静電潜像に付着し、感光体ドラム2の表面にトナー像を担持させる。ここで、現像ローラ50の表面に担持されるトナーの厚みが一定となるように、ドクターブレード53によって、現像ローラ50へ供給する現像剤の量を規制する。感光体ドラム2の表面に担持されたトナー像は、転写ユニット8によりシートに転写されるが、転写後に感光体ドラム2の表面に残留するトナーはドラムクリーナ7により除去回収される。
【0055】
転写ユニット8は、給紙ユニット9から供給されるシートを搬送し、感光体ドラム2上に担持されたトナー像をシートに転写する。転写ローラ83は、感光体ドラム2上に担持されたトナーの帯電極性(−)とは逆極性(+)のバイアス電圧が印加されており、該バイアス電圧によって、転写ベルト80上を搬送されるシートを帯電させる。帯電したシートに、感光体ドラム2上に担持されたトナーが吸着し、シートにトナー像が転写される。プロセスカートリッジ1a,1b,1c,1d夫々に対応する転写ローラ83a,83b,83c,83dによって、各色のトナー像をシート上に順次的に重ねて転写することで、カラーのトナー像(多色トナー像)を形成する。
【0056】
転写ユニット8は、多色トナー像が転写されたシートを定着ユニット10へ搬送する。定着ユニット10は、定着ニップ部13において、加熱ローラ11によりシート上の多色トナー像を加熱して溶融・混合し、加圧ローラ12によりトナー像をシート上に押圧して多色トナー像をシート上に定着させる。多色トナー像を定着させたシートは、定着ユニット10の下流側の排紙トレイへ排出される。
【0057】
以上のように、プロセスカートリッジ1において、ドラムユニット101が、感光体ドラム2を支持するドラムフレーム21に帯電器3、露光器4及びドラムクリーナ7等を取り付けた構造としてあるので、露光器4を画像形成装置本体側に取り付ける必要がなく、露光器4を本体側に取り付けるための部材等を配置するためのスペースが不要となり、画像形成装置を小型化することができる。また、不要となった空きスペースを利用して、現像器5の現像槽51、及びトナー供給器6のトナー容器60の形状を、これらの容積がより増加するような形状にすることができる。
【0058】
また、ドラムユニット側の係止部材45に現像器5側の係止部材59を係止し、ドラムユニット側の係止部103と現像器5側のボス58との間に引張コイルバネ104を取り付けることによって、ドラムユニット101へ現像器5を装着するので、現像器5を容易に着脱することができる。また、仮に引張コイルバネ104が取り付けられていない状態でプロセスカートリッジ1を手で持ち上げた場合でも、ドラムユニット101と現像器5とが係止部材45及び係止部材59により係止していれば、直ちに、ばらばらになってしまうことはないので、誤ってプロセスカートリッジ1を落下させてしまうことを防ぐことができる。
【0059】
ここで、ドクターブレード53について、更に詳しく説明する。ドクターブレード53は、長手方向の長さが現像ローラ50の軸線方向の長さとほぼ同じ長さとなっている。上述のように、ドクターブレード53の長辺の他端部は、スペーサ56及び押さえ板57に挟み込む形で、ねじなどの締結具により板部材55に固定されている。ドクターブレード53は、長辺の他端部における取り付けの位置や角度によって、長辺の一端部が現像ローラ50の周上に押し付けられて撓むことによって板ばねとして働き、弾性力によって、現像ローラ50に圧接する。
【0060】
ドクターブレード53が現像ローラ50に圧接する位置(以下、「圧接位置」という)に流入したトナーは、現像ローラ50及びドクターブレード53によって摩擦力を受け帯電する。そして圧接位置を通過したトナーは、現像ローラ50の回転によって感光体ドラム2に対向する現像位置へ搬送される。
【0061】
ドクターブレード53が現像ローラ50を押圧する押圧力は、ドクターブレード53が板ばねとして機能することにより発生する弾性力であり、次に示すように押圧力の調整をすることができる。即ち、ドクターブレード53の撓みを調整することによって、押圧力を調整することができる。撓みと押圧力との関係は、理論的には、次式による片持ち梁の先端における撓みδと先端荷重P(=押圧力)の関係で表される。
P(kgf)=3EIδ/L2
【0062】
ここで、Eはドクターブレード53材料のヤング率、Iは断面二次モーメント、δはたわみ量、Lはドクターブレード53の長辺の他端部(固定端)から一端部(自由端)までの長さ(いわゆる梁の自由長)である。
【0063】
なお、ドクターブレード53による押圧力の調整は、ドクターブレード53と現像ローラ50との間に、短冊状にカットしたPET(ポリエチレンテレフタレート)部材等の一端を挟んでおき、他端をテンションゲージに繋いで一定の速度でPET部材を引き抜いた時の引抜力により調整することもできる。
【0064】
また、ドクターブレード53は、鉛直方向に対して約20degほど斜めに傾けて、ドクターブレード53の長辺の他端部(上方の端部)がドラムユニット101寄りになるように配置している。このようにドクターブレードを配置することで、現像槽51の現像剤を収容する容積を出来るだけ大きくとれるようにし、トナー容量を増やしている。図2に示すように、現像剤を収容する空間(以下、「現像剤収容空間」という)は、現像槽51の中でも現像ローラ50の感光体ドラム2と反対側にある空間であり、この空間を仕切るドラムユニット2側の側面は、実際にはドクターブレード53であるため、ドクターブレード53の配置によって、現像剤収容空間の容積が増減する。上記のようなドクターブレード53の配置は、現像剤収容空間の容積をより増加させるものである。
【0065】
また、上述のとおり、板部材55を現像槽51の上部壁54の外側に固定し、該板部材55の外側にドクターブレード53を固定していることによって、現像剤収容空間の容積をより増加させることができる。なお、板部材55は、ドクターブレード53を取り付けるための部材であるが、上部壁54に取り付けられることによって、現像槽51の上部壁54を端部から上方へ延伸するため現像槽51の側壁の一部を形成する部材であるとも考えられる。
【0066】
また、上述のように、トナー容器60の形状は、底部から上部にかけて水平断面積が概ね大きくなっていく形状としている。トナー容器60の形状をこのような形状とすることができるのは、ドクターブレード53を垂直方向に対してやや斜め方向に傾いて取り付けたためであり、さらには、露光器4を画像形成装置側ではなくドラムユニット101内に設けることによって現像器5及びトナー供給器6側に配分されるスペースが増加したためである。また、トナー容器60の形状が、底部から上部にかけて水平断面積が概ね大きくなっていく形状とすることによって、トナー容器60の高さがある程度低くてもトナーを収容する容積を十分確保できるので、トナーの収容量を確保しつつ、プロセスユニット101の高さを、更には画像形成装置全体の高さを低く抑えることができる。
【0067】
また、ドラムクリーナ7におけるケース71、仕切り板73及びクリーナーブレード70によって囲まれる空間の内部は、仕切り板73を除くと中空となっており、その他の部品はない。通常、クリーナーブレード70を有するドラムクリーナは、感光体ドラム2から除去されたトナーを、スクリュー等の搬送部材によってドラムクリーナ外へ排出するトナー排出機構を内部に有しているが、本実施の形態においては、該トナー排出機構を設けない構成としている。その為、ドラムクリーナ7内に収容した排トナーの掃除を適宜行う必要が生じるものの、トナー排出機構を設置するスペースが不要であるのでドラムクリーナ7の外形寸法が小さくすることができ、更には、トナー排出機構分の部品点数が減るので、ドラムクリーナ7を安価に製作することができる。
【0068】
また、ケース71の長手方向(感光体ドラム2の軸線方向)に直交する断面形状を、図2に示すように略L字状とすることによって、L字状の角の部分が、プロセスカートリッジ1の他の外形部分に比して、外側へ張り出した形になる。このL字状の角の部分は、プロセスカートリッジ1を手で持ち運ぶときに適度な引っ掛かりとなり、誤って落とすことが少なくなる。また、ケース71におけるL字状の部分を、プロセスカートリッジ1を画像形成装置に装着するときの係止部として利用することができる。
【0069】
(実施例)
本発明の一実施例は、以下のとおりである。
感光体ドラム2 ; 外径24mm
現像ローラ50 ; 外径12mm
プロセス速度 ; 145mm/sec
現像ローラ/感光体ドラム周速比 ; 0.86
現像剤搬送量 ; 0.6mg/cm2
【0070】
ドクターブレード53による現像ローラ50への押圧力の調整は、ドクターブレード53と現像ローラ50との間に挟んだPET部材を一定の速度で引き抜いた時の引抜力が150gf/cm程度となるように、ドクターブレード53の取り付けの位置や角度を調整した。なお、引抜力の測定には、テンションゲージ(例えば、アイコーエンジニアリング社製RX−5)を用いる。
【0071】
ドラムクリーナ7におけるクリーナーブレード70には、ウレタン製のゴムブレードを使用し、感光体ドラム2に対して食い込む量を約1.2mmに設定することで、良好なクリーニング効果が得られた。
【0072】
実施例に対する出力画像評価において、用紙上の画像濃度は、ベタ画像濃度をポータブル分光測色濃度計(例えば、商品名:X−Rite939、X−Rite社製)を用いて測定している。また、トナー帯電量は、例えば、TReK社製Model210HS−2Aを用いて測定できる。
【0073】
なお、前述した実施の形態の他にも、この発明について種々の変形例があり得る。それらの変形例は、この発明の範囲に属さないと解されるべきものではない。この発明には、請求の範囲と均等の意味及び前記範囲内でのすべての変形とが含まれるべきである。
【符号の説明】
【0074】
1 プロセスカートリッジ
2 感光体ドラム
21 ドラムフレーム(筐体)
3 帯電器(帯電装置)
4 露光器(露光装置)
40 LED書込みヘッド(LED光源)
5 現像器(現像装置)
50 現像ローラ
51 現像槽
53 ドクターブレード(現像剤規制板)
7 ドラムクリーナ(クリーナー部)
70 クリーナーブレード
71 ケース
8 転写ユニット(転写装置)
10 定着ユニット(定着装置)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
感光体ドラムと、該感光体ドラムを帯電させる帯電装置と、前記感光体ドラムに現像剤を供給する現像装置とを備え、帯電した前記感光体ドラムに光を当てて形成された静電潜像を現像するプロセスカートリッジにおいて、
露光することにより静電潜像を前記感光体ドラムに形成する露光装置を備えることを特徴とするプロセスカートリッジ。
【請求項2】
前記露光装置は、LED光源を有することを特徴とする請求項1に記載のプロセスカートリッジ。
【請求項3】
前記現像装置は、前記感光体ドラムに供給する現像剤を担持する現像ローラと、
該現像ローラを収容し、該現像ローラの前記感光体ドラムと反対側に現像剤を収容する現像剤収容空間を有する現像槽と、
前記現像ローラの前記現像剤収容空間側の面に接し、傾けて配された現像剤規制板と
を備えることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のプロセスカートリッジ。
【請求項4】
前記現像装置は、前記現像槽の外側に前記現像剤規制板を固定してあることを特徴とする請求項3に記載のプロセスカートリッジ。
【請求項5】
前記感光体ドラムから現像剤を除去するクリーナー部を備え、
該クリーナー部は、前記感光体ドラムに接する板状のクリーナーブレードと、該クリーナーブレードを取り付けるケースとを備え、
該ケースと前記クリーナーブレードにより囲まれる空間に感光体ドラムから除去された現像剤を回収するようにしてあることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1つに記載のプロセスカートリッジ。
【請求項6】
前記クリーナー部は、前記ケースの前記感光体ドラムの回転軸に直交する断面が略L字状の断面形状としてあることを特徴とする請求項5に記載のプロセスカートリッジ。
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれか1つに記載のプロセスカートリッジと、前記感光体ドラムに現像された像を記録媒体に転写する転写装置と、該転写装置により転写された像を前記記録媒体に定着させる定着装置とを備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項1】
感光体ドラムと、該感光体ドラムを帯電させる帯電装置と、前記感光体ドラムに現像剤を供給する現像装置とを備え、帯電した前記感光体ドラムに光を当てて形成された静電潜像を現像するプロセスカートリッジにおいて、
露光することにより静電潜像を前記感光体ドラムに形成する露光装置を備えることを特徴とするプロセスカートリッジ。
【請求項2】
前記露光装置は、LED光源を有することを特徴とする請求項1に記載のプロセスカートリッジ。
【請求項3】
前記現像装置は、前記感光体ドラムに供給する現像剤を担持する現像ローラと、
該現像ローラを収容し、該現像ローラの前記感光体ドラムと反対側に現像剤を収容する現像剤収容空間を有する現像槽と、
前記現像ローラの前記現像剤収容空間側の面に接し、傾けて配された現像剤規制板と
を備えることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のプロセスカートリッジ。
【請求項4】
前記現像装置は、前記現像槽の外側に前記現像剤規制板を固定してあることを特徴とする請求項3に記載のプロセスカートリッジ。
【請求項5】
前記感光体ドラムから現像剤を除去するクリーナー部を備え、
該クリーナー部は、前記感光体ドラムに接する板状のクリーナーブレードと、該クリーナーブレードを取り付けるケースとを備え、
該ケースと前記クリーナーブレードにより囲まれる空間に感光体ドラムから除去された現像剤を回収するようにしてあることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1つに記載のプロセスカートリッジ。
【請求項6】
前記クリーナー部は、前記ケースの前記感光体ドラムの回転軸に直交する断面が略L字状の断面形状としてあることを特徴とする請求項5に記載のプロセスカートリッジ。
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれか1つに記載のプロセスカートリッジと、前記感光体ドラムに現像された像を記録媒体に転写する転写装置と、該転写装置により転写された像を前記記録媒体に定着させる定着装置とを備えたことを特徴とする画像形成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2013−37292(P2013−37292A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−175301(P2011−175301)
【出願日】平成23年8月10日(2011.8.10)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年8月10日(2011.8.10)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】
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