説明

プロセスカートリッジ

【課題】本発明は、小型化された場合であっても、ワイヤ電極からグリッド電極への電気のリークを防止することができるプロセスカートリッジを提供することを目的とする。
【解決手段】プロセスカートリッジ50は、静電潜像が形成される感光体(感光ドラム53)と、感光体を帯電させる帯電器と、感光体を露光させる露光部材を通過させる露光開口(露光穴55)が形成されたプロセスフレーム(ドラムフレーム52)を備える。帯電器は、帯電ワイヤと、グリッドと、帯電ワイヤに電圧を印加するためのワイヤ電極と、グリッドに電圧を印加するためのグリッド電極と、を備え、画像形成装置側にある本体電極に接続されるワイヤ電極のワイヤ側本体接続部136およびグリッド電極のグリッド側本体接続部124が、帯電ワイヤの張設方向から見て露光開口55を挟んだ位置にそれぞれ配置される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、帯電ワイヤとグリッドとの間でコロナ放電を発生させる帯電器を備えたプロセスカートリッジに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、レーザプリンタなどの画像形成装置では、帯電器によって帯電させた感光ドラムの表面をレーザ等で露光することで、感光ドラムの表面に静電潜像を形成し、この静電潜像にトナーが供給されて、感光ドラムの表面上にトナー像が形成される。そして、このトナー像が、感光ドラムとの間で用紙を挟持する転写ローラによって引き寄せられることで、用紙にトナー像が転写されて画像が形成されるようになっている。
【0003】
このような画像形成装置としては、従来、前述した感光ドラムや帯電器を主に有するプロセスカートリッジが装置本体に対して着脱可能となる構造のものが知られている(特許文献1参照)。具体的に、この特許文献1に係るプロセスカートリッジに設けられた帯電器は、張設された帯電ワイヤと、帯電ワイヤとの間でコロナ放電を発生させる複数の孔を有したグリッドと、帯電ワイヤに電圧を印加するためのワイヤ電極と、グリッドに電圧を印加するためのグリッド電極とを備えて構成されている。
【0004】
そして、ワイヤ電極とグリッド電極は、プロセスカートリッジの側面から外方に露出することで、プロセスカートリッジを装置本体に装着した際に、装置本体側の電極と接続するようになっている。
【0005】
【特許文献1】特開2006−39139号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、プロセスカートリッジを小型化すると、ワイヤ電極とグリッド電極が露出する側面の面積が小さくなるため、各電極同士が近くに配置されることとなる。しかし、このように各電極同士を近くに配置すると、高電圧が印加されるワイヤ電極からグリッド電極へ電気がリークしてしまうおそれがあった。
【0007】
そこで、本発明は、小型化された場合であっても、ワイヤ電極からグリッド電極への電気のリークを防止することができるプロセスカートリッジを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決する本発明は、静電潜像が形成される感光体と、前記感光体を帯電させる帯電器と、前記感光体および前記帯電器を支持し、前記感光体を露光させる光または露光部材を通過させる露光開口が形成されたプロセスフレームと、を有するプロセスカートリッジであって、前記帯電器は、張設された帯電ワイヤと、前記帯電ワイヤと前記感光体との間に配置される複数の孔を有したグリッドと、前記帯電ワイヤに電圧を印加するためのワイヤ電極と、前記グリッドに電圧を印加するためのグリッド電極と、を備え、画像形成装置側にある本体電極に接続される前記ワイヤ電極のワイヤ側本体接続部および前記グリッド電極のグリッド側本体接続部が、前記帯電ワイヤの張設方向から見て前記露光開口を挟んだ位置にそれぞれ配置されていることを特徴とする。
【0009】
本発明によれば、ワイヤ電極のワイヤ側本体接続部とグリッド電極のグリッド側本体接続部が露光開口を挟んだ位置にそれぞれ配置されているので、少なくとも露光開口分の距離だけ互いに離れることとなる。ここで、露光開口はプロセスカートリッジに必須の構成要素であるため、プロセスカートリッジを小型化しても、露光開口を形成する部位は必ず存在する。
【0010】
したがって、そのような露光開口を形成する部位のうち露光開口を挟んだそれぞれの位置にワイヤ側本体接続部とグリッド側本体接続部を配置することで、ワイヤ側本体接続部とグリッド側本体接続部との間の距離を確実に確保することができる。そのため、小型化された場合であっても、ワイヤ電極からグリッド電極への電気のリークを防止することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、ワイヤ電極のワイヤ側本体接続部とグリッド電極のグリッド側本体接続部とを少なくとも露光開口分の距離だけ離すことができるので、小型化された場合であっても、ワイヤ電極からグリッド電極への電気のリークを防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
<カラープリンタの全体構成>
次に、本発明の実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。参照する図面において、図1は画像形成装置の一例としてのカラープリンタの全体構成を示す断面図であり、図2はプロセスカートリッジの構造を示す拡大断面図である。
【0013】
以下の説明において、方向は、カラープリンタ使用時のユーザを基準にした方向で説明する。すなわち、図1において、紙面に向かって左側を「前側」、紙面に向かって右側を「後側」とし、紙面に向かって奥側を「左側」、紙面に向かって手前側を「右側」とする。また、紙面に向かって上下方向を「上下方向」とする。
【0014】
図1に示すように、カラープリンタ1は、本体筐体10内に、用紙Pを供給する給紙部20と、給紙された用紙Pに画像を形成する画像形成部30と、画像が形成された用紙Pを排出する排紙部90とを備えている。
【0015】
本体筐体10の上部には開閉自在なアッパーカバー12が、後側に設けられたヒンジ(図示せず)を支点として上下に回動自在に設けられている。アッパーカバー12の上面は、本体筐体10から排出された用紙Pを蓄積する排紙トレイ13となっており、下面には後述する露光部材の一例としてのLEDユニット40を保持する複数の保持部材14が設けられている。
【0016】
給紙部20は、本体筐体10内の下部に設けられ、本体筐体10に着脱自在に装着される給紙トレイ21と、この給紙トレイ21から用紙Pを画像形成部30へ搬送する用紙供給機構22を主に備えている。用紙供給機構22は、給紙トレイ21の手前側に設けられ、給紙ローラ23、分離ローラ24および分離パッド25を主に備えている。
【0017】
このように構成される給紙部20では、給紙トレイ21内の用紙Pが、一枚ずつ分離されて上方へ送られ、紙粉取りローラ26とピンチローラ27の間を通過する過程で紙粉が除去された後、搬送経路28を通って後ろ向きに方向転換され、画像形成部30に供給される。
【0018】
画像形成部30は、4つのLEDユニット40と、4つのプロセスカートリッジ50と、転写ユニット70と、定着ユニット80とから主に構成されている。
【0019】
プロセスカートリッジ50は、アッパーカバー12と給紙部20との間で前後方向に並んで配置され、図2に示すように、ドラムユニット51と、ドラムユニット51に対して着脱自在に装着される現像ユニット61とを備えている。なお、各プロセスカートリッジ50は、現像ユニット61のトナー収容室66に収容されるトナーの色が相違するのみであり、構成は同一である。
【0020】
ドラムユニット51は、プロセスフレームの一例としてのドラムフレーム52と、このドラムフレーム52に回転可能に支持される感光体の一例としての感光ドラム53と、帯電器54とを主に備えている。なお、ドラムフレーム52と帯電器54の構造の詳細は、後で詳述することとする。
【0021】
ドラムフレーム52は、現像ユニット61が装着されることで、外部から感光ドラム53を臨む露光開口の一例としての露光穴55が形成されるようになっている。この露光穴55には、感光ドラム53の上方の面にLEDユニット40が対向して挿入される。
【0022】
現像ユニット61は、プロセスフレームの一例としての現像フレーム62と、現像フレーム62に回転可能に支持される現像ローラ63および供給ローラ64と、ブレード組立体65とを備え、トナーを収容するトナー収容室66を有している。
【0023】
転写ユニット70は、図1に示すように、給紙部20と各プロセスカートリッジ50との間に設けられ、駆動ローラ71、従動ローラ72、搬送ベルト73、転写ローラ74およびクリーニング部75を主に備えている。
【0024】
駆動ローラ71および従動ローラ72は、前後方向に離間して平行に配置され、その間にエンドレスベルトからなる搬送ベルト73が張設されている。搬送ベルト73は、その外側の面が各感光ドラム53に接している。また、搬送ベルト73の内側には、各感光ドラム53との間で搬送ベルト73を挟持する転写ローラ74が、各感光ドラム53に対向して4つ配置されている。この転写ローラ74には、転写時に定電流制御によって転写バイアスが印加される。
【0025】
クリーニング部75は、搬送ベルト73の下方に配置され、搬送ベルト73に付着したトナーを除去し、その下方に配置されたトナー貯留部76に除去したトナーを落下させるように構成されている。
【0026】
定着ユニット80は、各プロセスカートリッジ50および転写ユニット70の後側に配置され、加熱ローラ81と、加熱ローラ81と対向配置され加熱ローラ81を押圧する加圧ローラ82とを備えている。
【0027】
このように構成される画像形成部30では、まず、各感光ドラム53の表面が、帯電器54により一様に帯電された後、各LEDユニット40から照射される光により露光される。これにより、露光された部分の電位が下がって、各感光ドラム53上に画像データに基づく静電潜像が形成される。
【0028】
また、トナー収容室66内のトナーが、供給ローラ64の回転により現像ローラ63に供給され、現像ローラ63の回転により現像ローラ63とブレード組立体65との間に進入して一定厚さの薄層として現像ローラ63上に担持される。
【0029】
現像ローラ63上に担持されたトナーは、現像ローラ63が感光ドラム53に対向して接触するときに、感光ドラム53上に形成された静電潜像に供給される。これにより、感光ドラム53上でトナーが選択的に担持されて静電潜像が可視像化され、反転現像によりトナー像が形成される。
【0030】
そして、搬送ベルト73上に供給された用紙Pが各感光ドラム53と搬送ベルト73の内側に配置される各転写ローラ74との間を通過することで、各感光ドラム53上に形成されたトナー像が用紙P上に転写される。用紙Pが加熱ローラ81と加圧ローラ82との間を通過すると、用紙P上に転写されたトナー像が熱定着される。
【0031】
排紙部90は、定着ユニット80の出口から上方に向かって延び、手前側に反転するように形成された排紙側搬送経路91と、用紙Pを搬送する複数対の搬送ローラ92を主に備えている。トナー像が転写され、熱定着された用紙Pは、搬送ローラ92によって排紙側搬送経路91を搬送され、本体筐体10の外部に排出されて排紙トレイ13に蓄積される。
【0032】
<ドラムフレームと帯電器の詳細構造>
次に、ドラムフレーム52と帯電器54の詳細構造について説明する。参照する図面において、図3はドラムフレームおよび現像ユニットの側面図であり、図4はドラム上フレームを示す斜視図である。図5はドラム上フレームを分解して示す分解斜視図であり、図6は電極カバーを外した状態のドラムフレームおよび現像ユニットの側面図である。図7はワイヤ電極を示す斜視図(a)と、ワイヤ電極をドラム上フレームに取り付けた状態を示す拡大斜視図(b)である。
【0033】
<ドラムフレームの詳細構造>
図3に示すように、ドラムフレーム52は、感光ドラム53を支持し、現像ユニット61が着脱されるドラム下フレーム52Aと、帯電器54(図2参照)を支持し、ドラム下フレーム52Aに組み付けられるドラム上フレーム52Bとを含んで構成されている。
【0034】
図4および図5に示すように、ドラム上フレーム52Bは、樹脂の成型品からなり、左右方向に延びるフレーム本体210と、フレーム本体210の左右方向における一側面211に設けられる電極カバー220とを備えている。
【0035】
フレーム本体210には、その長手方向に沿って帯電器54が取り付けられる取付溝212が形成されている。なお、取付溝212には、後述する帯電ワイヤ110のワイヤ111を清掃する清掃部材(図示せず)がスライド可能に設けられている。
【0036】
また、フレーム本体210の一側面211には、後述するワイヤ電極130が配設される電極取付部213がワイヤ電極130の形状に合わせて形成されている。具体的に、この電極取付部213は、フレーム本体210の前端から前方に延びるように形成されている。これにより、電極取付部213の前端部214は、図6に示すように、ドラム上フレーム52Bと現像ユニット61との間で形成される露光穴55よりも前方の位置に配置されるようになっている。これに対し、電極取付部213の後端部215は、フレーム本体210の前端よりも後方の位置に形成されており、これにより、後端部215が露光穴55よりも後方の位置に配置されるようになっている。
【0037】
図4および図5に示すように、電極カバー220は、電極取付部213との間でワイヤ電極130を収容するスペースを形成しており、電極取付部213と側面視において略同形状に形成されている。電極カバー220の前端部には、後述するワイヤ電極130のワイヤ側本体接続部136を外方に露出させる第1開口221が形成されている。そのため、この第1開口221から露出するワイヤ側本体接続部136は、図3に示すように、露光穴55よりも前方の位置に配置される。
【0038】
また、電極カバー220の後端部には、後述するグリッド120のグリッド側本体接続部124(図4参照)を外方に露出させる第2開口222が形成されている。そのため、この第2開口222から露出するグリッド側本体接続部124は、図3に示すように、露光穴55よりも後方の位置に配置される。すなわち、前述したワイヤ側本体接続部136とグリッド側本体接続部124は、側方(帯電ワイヤ110の張設方向)から見て露光穴55を挟んだ位置にそれぞれ配置されるようになっている。
【0039】
<帯電器の詳細構造>
図5に示すように、帯電器54は、帯電ワイヤ110と、グリッド120と、ワイヤ電極130とを備えて構成されている。
【0040】
帯電ワイヤ110は、金属製のワイヤ111と、このワイヤ111の両端に取り付けられたリングフック112とを備えてなる。そして、この帯電ワイヤ110は、その一端側のリングフック112がドラム上フレーム52Bに係合し、その他端側のリングフック112が後述するワイヤ電極130によって引っ張られることで、左右方向(感光ドラム53の軸方向)に沿って張設されている。
【0041】
グリッド120は、左右方向、すなわち帯電ワイヤ110が張られた方向に延びる下板121と、この下板121の短手方向の端部から連なる前側板122および後側板123とを有し、下板121、前側板122および後側板123により、側面視でコ字型に形成されている。
【0042】
下板121は、グリッド120のドラム上フレーム52Bへの組み付け状態において、感光ドラム53と帯電ワイヤ110の間に配置されている。下板121は、中央に、複数の孔の一例としてのスリット形状のグリッド穴127が複数配列して形成されている。
【0043】
前側板122は、下板121よりも左右方向の両方に長く延びて形成されている。前側板122の右側の端部には、図5における上方向(ドラム上フレーム52B側)に開口するL字型の切欠部128が形成されている。切欠部128は、図5における上から下に延びた後、右端の方へ向けて曲がって延びることでL字型を形成している。前側板122の左側の端部には、左方向に開口する切欠部129が形成されている。
【0044】
後側板123には、前側板122と同様に、切欠部128および切欠部129が形成されている。また、後側板123の右側端部は、前側板122の右端よりもさらに長く延びて、下板121とは逆側(外側)に2回折り曲げられてフック状の端部形状となっている。これにより、後側板123の右側端部が、グリッド120に電圧を印加するためのグリッド電極になるとともに、その右側の端面が、本体筐体10側にあるピン状の本体電極102(図8参照)と接触して電気的に接続されるグリッド側本体接続部124となっている。
上述の切欠部128および切欠部129は、グリッド120をドラム上フレーム52Bに係合させるためのものである。
【0045】
ワイヤ電極130は、帯電ワイヤ110に電圧を印加するためのものであり、金属製の線状部材が適宜屈曲形成されることによって形成されている。具体的に、このワイヤ電極130は、図7(a)に拡大して示すように、ワイヤ接続部131と、ばね状部132と、前端部133とを主に備えて構成されている。
【0046】
ワイヤ接続部131は、U字状のフック形状に形成されており、図7(b)に示すように、帯電ワイヤ110のリングフック112に引っ掛かることで帯電ワイヤ110に電気的に接続されている。そして、このワイヤ接続部131は、棒状の第1アーム部134を介してばね状部132の一端に結合されている。
【0047】
ばね状部132は、コイル状に形成されており、ワイヤ接続部131と前端部133との間に配置されている。そして、このばね状部132は、図7(b)に示すように、ワイヤ電極130が帯電ワイヤ110およびドラム上フレーム52Bに取り付けられた状態において、第1アーム部134およびワイヤ接続部131を介して帯電ワイヤ110に張力を与えている。
【0048】
前端部133は、棒状の第2アーム部135を介してばね状部132の他端に結合されている。具体的に、この前端部133は、第1延在部133A、第2延在部133B、第1接触部133C、折り返し部133D、第2接触部133E、第3延在部133Fおよび係合部133Gを備えて構成されている。
【0049】
第1延在部133Aは、第2アーム部135の前端から前斜め上方に延びている。
第2延在部133Bは、第1延在部133Aの前端から右側(左右方向外側)に延びている。
【0050】
第1接触部133Cは、第2延在部133Bの右端から前斜め上方、詳しくは、プロセスカートリッジ50の装着方向X(図8参照)に沿うように延び、図3に示すドラム上フレーム52Bの第1開口221から外方に露出している。また、第1接触部133Cは、図7(b)に示すように、ドラム上フレーム52Bの一部で支持されることによって、第2接触部133Eから離れる方向への移動が規制されている。
【0051】
折り返し部133Dは、第1接触部133Cの前端から左側に延びた後、U字状に折り返されて右側に延びている。
【0052】
第2接触部133Eは、折り返し部133Dの第1接触部133Cとは反対側の端部から後斜め下方に向かって第1接触部133Cと平行に延び、図3に示すドラム上フレーム52Bの第1開口221から外方に露出している。
【0053】
そして、この第2接触部133Eと、前述した第1接触部133Cとで、本体筐体10側にあるピン状の本体電極101(図8参照)と接触して電気的に接続されるワイヤ側本体接続部136が構成されている。すなわち、ワイヤ側本体接続部136は、互いに平行となる2本の線状に形成されている。
【0054】
そして、ワイヤ側本体接続部136は、前述したように第2延在部133Bによってドラム上フレーム52Bの一側面211よりも左右方向外側に位置している。そのため、ワイヤ側本体接続部136は、ドラム上フレーム52Bの一側面211から僅かに突出するように露出するグリッド側本体接続部124よりも左右方向外側(帯電ワイヤ110の張設方向外側)に配置される。さらに、ワイヤ側本体接続部136は、プロセスカートリッジ50の装着方向X(図8参照)において、グリッド側本体接続部124よりも後側に配置される。
【0055】
第3延在部133Fは、第2接触部133Eの後端から左側に延びている。
係合部133Gは、第3延在部133Fの先端が第2接触部133Eに沿った後斜め下方に折り曲げられることで形成される。
【0056】
そして、この係合部133Gは、図7(b)に示すように、ドラム上フレーム52Bに形成される係合片216に対して第2延在部133B側から係合するようになっている。これにより、後述するピン状の本体電極101(図8参照)が、第1接触部133Cと第2接触部133Eとの間に入って、これらを押し広げたときに、係合部133Gの移動が係合片216で規制され、係合部133Gと折り返し部133Dの屈曲部を中心にして第3延在部133Fと折り返し部133Dの一方のアーム部が撓む。そして、このような第3延在部133Fと折り返し部133Dの一方のアーム部の撓み変形により第2接触部133Eを第1接触部133C側に近付けるような付勢力が発生して、第1接触部133Cと第2接触部133Eとの間で本体電極101が確実に挟持される。
【0057】
<帯電器の各本体接続部と本体筐体の各本体電極との接続>
次に、帯電器54のグリッド側本体接続部124およびワイヤ側本体接続部136と、本体筐体10の各本体電極101,102とが接続する様子について、図8を参照して説明する。参照する図面において、図8はプロセスカートリッジの装着前の状態を示す側面図(a)および平面図(b)と、装着後の状態を示す側面図(c)および平面図(d)である。
【0058】
なお、図8においては、グリッド側本体接続部124およびワイヤ側本体接続部136と各本体電極101,102との関係を強調して示すため、簡略化して示している。ここで、各本体電極101,102は、先端が丸まったピン状の電極であり、常時先端側に向けて弾性部材により付勢されている。
【0059】
まず、図8(a)に示すように、プロセスカートリッジ50を装着方向Xに沿って本体筐体10内に挿入していく。このとき、プロセスカートリッジ50は、本体筐体10に適宜形成された図示せぬガイドとの間で所定の隙間を開けた状態で挿入されることで、ワイヤ側本体接続部136の延在方向と略同じ方向に沿って移動する。
【0060】
このようにプロセスカートリッジ50を挿入していくと、図8(b)に示すように、プロセスカートリッジ50の装着方向Xの先頭側に位置するグリッド側本体接続部124が、本体筐体10の装着方向Xの後方に位置する帯電ワイヤ110用の本体電極101に近付いていく。ここで、帯電ワイヤ110用の本体電極101は、グリッド側本体接続部124とワイヤ側本体接続部136とが前述したような配置になることによって、グリッド120用の本体電極102よりも装着方向Xの後側であって、左右方向外側の位置に配置されている。
【0061】
そのため、グリッド側本体接続部124が帯電ワイヤ110用の本体電極101に近付いていっても、これらの左右方向の距離が確保されているため、グリッド側本体接続部124と本体電極101との誤接触が抑制される。
【0062】
その後、図8(c)に示すように、プロセスカートリッジ50を本体筐体10に装着させると、図8(d)に示すように、グリッド側本体接続部124がグリッド120用の本体電極102に接続されるとともに、ワイヤ側本体接続部136が帯電ワイヤ110用の本体電極101に接続される。
【0063】
この際、ワイヤ側本体接続部136を構成する2本の接触部133C,133Eが装着方向Xに沿って互いに平行となることにより、これら2本の接触部133C,133E間に本体電極101が入り込んでスライドし、これらの接触部133C,133Eに確実に接続される。
【0064】
以上によれば、本実施形態において以下のような効果を得ることができる。
グリッド側本体接続部124とワイヤ側本体接続部136が露光穴55を挟んで互いに離れた位置に配置されることによって、各本体接続部124,136を少なくとも露光穴55分の距離だけ離すことができる。そのため、プロセスカートリッジ50を小型化した場合であっても、ワイヤ側本体接続部136からグリッド側本体接続部124への電気のリークを防止することができる。
【0065】
ワイヤ側本体接続部136が互いに平行となる2本の線状に形成されているので、良好な付勢力で本体電極101を2本のワイヤ側本体接続部136の間に押し付けることができ、本体電極101とワイヤ側本体接続部136とを安定して接続させることができる。ちなみに、ワイヤ本体接続部が1本の線状に形成される場合では、先端が丸まった本体電極が1本の線状のワイヤ本体接続部に対して滑ってしまい適切な付勢力でワイヤ側本体接続部に押し付けることができず、安定した接続を行うことが困難となっている。
【0066】
装着方向Xに平行となる2本のワイヤ側本体接続部136が、その間に本体電極101を挟みつつ装着方向Xにスライドするので、本体電極101を2本のワイヤ側本体接続部136の間で確実に接続させることができる。ちなみに、2本のワイヤ側本体接続部136が装着方向Xと交差する向きで配設される場合には、本体電極101が2本のワイヤ側本体接続部136のうちいずれか1本のワイヤ側本体接続部136を乗り越えなければ、2本のワイヤ側本体接続部136の間で接続することができない。そして、本体電極101が1本のワイヤ側本体接続部136を乗り越えられなかった場合には、良好な付勢力で本体電極101をワイヤ側本体接続部136に押し付けることができず、安定した接続を行うことが困難となっている。
【0067】
ワイヤ電極130が帯電ワイヤ110に張力を与えるばね状部132を備えているので、帯電ワイヤ110に張力を与える部品を別途設ける必要がなく、コストの低減を図ることができる。
【0068】
ワイヤ側本体接続部136がグリッド側本体接続部124よりも左右方向外側であって、グリッド側本体接続部124よりも装着方向Xの後側に配置されているので、グリッド側本体接続部124と帯電ワイヤ110用の本体電極101との左右方向距離が確保され、グリッド側本体接続部124と本体電極101との誤接触を抑制することができる。さらに、ワイヤ側本体接続部136とグリッド側本体接続部124は、装着方向Xと直交する方向にもずれるように配置されているので(図8参照)、この方向におけるグリッド側本体接続部124と帯電ワイヤ110用の本体電極101との距離が確保され、グリッド側本体接続部124と本体電極101との誤接触を抑制することができる。
【0069】
なお、本発明は前記実施形態に限定されることなく、以下に例示するように様々な形態で利用できる。
前記実施形態では、プロセスカートリッジとしてトナーを収容するトナー収容室66を一体に有したカートリッジを採用したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、トナー収容室を有するトナーカートリッジとは別部品として構成される現像カートリッジをプロセスカートリッジとしてもよい。
【0070】
前記実施形態では、露光開口としての露光穴55にLEDユニット40を挿入したが、本発明はこれに限定されず、例えば露光開口にレーザ光を通過させてもよい。
【0071】
前記実施形態では、ワイヤ電極を金属製の線状部材で形成したが、本発明はこれに限定されず、例えば板状部材で形成してもよい。この場合、ワイヤ側本体接続部を平板状に形成してもよく、ばね状部を単に折り曲げた部分としてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】画像形成装置の一例としてのカラープリンタの全体構成を示す断面図である。
【図2】プロセスカートリッジの構造を示す拡大断面図である。
【図3】ドラムフレームおよび現像ユニットの側面図である。
【図4】ドラム上フレームを示す斜視図である。
【図5】ドラム上フレームを分解して示す分解斜視図である。
【図6】電極カバーを外した状態のドラムフレームおよび現像ユニットの側面図である。
【図7】ワイヤ電極を示す斜視図(a)と、ワイヤ電極をドラム上フレームに取り付けた状態を示す拡大斜視図(b)である。
【図8】プロセスカートリッジの装着前の状態を示す側面図(a)および平面図(b)と、装着後の状態を示す側面図(c)および平面図(d)である。
【符号の説明】
【0073】
10 本体筐体
40 LEDユニット
50 プロセスカートリッジ
51 ドラムユニット
52 ドラムフレーム
52B ドラム上フレーム
53 感光ドラム
54 帯電器
55 露光穴
61 現像ユニット
62 現像フレーム
101,102 本体電極
110 帯電ワイヤ
120 グリッド
124 グリッド側本体接続部
127 グリッド穴
130 ワイヤ電極
131 ワイヤ接続部
132 ばね状部
133C 第1接触部
133E 第2接触部
136 ワイヤ側本体接続部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
静電潜像が形成される感光体と、
前記感光体を帯電させる帯電器と、
前記感光体および前記帯電器を支持し、前記感光体を露光させる光または露光部材を通過させる露光開口が形成されたプロセスフレームと、を有するプロセスカートリッジであって、
前記帯電器は、
張設された帯電ワイヤと、
前記帯電ワイヤと前記感光体との間に配置される複数の孔を有したグリッドと、
前記帯電ワイヤに電圧を印加するためのワイヤ電極と、
前記グリッドに電圧を印加するためのグリッド電極と、を備え、
画像形成装置側にある本体電極に接続される前記ワイヤ電極のワイヤ側本体接続部および前記グリッド電極のグリッド側本体接続部が、前記帯電ワイヤの張設方向から見て前記露光開口を挟んだ位置にそれぞれ配置されていることを特徴とするプロセスカートリッジ。
【請求項2】
前記ワイヤ側本体接続部が、互いに平行となる2本の線状に形成されていることを特徴とする請求項1に記載のプロセスカートリッジ。
【請求項3】
前記ワイヤ側本体接続部が、前記プロセスカートリッジの装着方向に沿って形成されていることを特徴とする請求項2に記載のプロセスカートリッジ。
【請求項4】
前記ワイヤ電極は、
前記帯電ワイヤに接続されるワイヤ接続部と、
前記ワイヤ接続部と前記ワイヤ側本体接続部との間に設けられ、前記ワイヤ接続部を介して前記帯電ワイヤに張力を与えるばね状部とを備えていることを特徴とする請求項2または請求項3に記載のプロセスカートリッジ。
【請求項5】
前記ワイヤ側本体接続部は、前記グリッド側本体接続部よりも前記帯電ワイヤの張設方向外側であって、前記グリッド側本体接続部よりも前記プロセスカートリッジの装着方向における後側に配置されていることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載のプロセスカートリッジ。




【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−157316(P2009−157316A)
【公開日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−338737(P2007−338737)
【出願日】平成19年12月28日(2007.12.28)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】