説明

プロセス蒸気の制御装置

【課題】 プロセス蒸気の圧力値を、低圧から高圧へ変換するのみならず、高圧から低圧へも変換することができるプロセス蒸気の制御装置を得ること。
【解決手段】 増圧プロセス蒸気供給管2に切換弁5,6を取り付けて、分岐管7を接続する。分岐管7を蒸気圧縮及び膨張機4のスクリュー式ロータ部8と接続する。スクリュー式ロータ部8の下部を、連通管10によって減圧プロセス蒸気供給管3と接続する。
切換弁5,6,15,16を操作して、増圧プロセス蒸気供給管2からスクリュー式ロータ部8にプロセス蒸気を供給することによって、プロセス蒸気は膨張して減圧され、反対に、減圧プロセス蒸気供給管3からスクリュー式ロータ部8にプロセス蒸気を供給することによって、プロセス蒸気は圧縮されて増圧する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蒸気供給管を介して蒸気使用箇所へ圧力値の異なった蒸気を供給するプロセス蒸気の制御装置に関する。ここで、プロセス蒸気とは、蒸気使用箇所へ供給する蒸気を示す。
【背景技術】
【0002】
従来のプロセス蒸気の制御装置は、複数の異なる値の圧力、温度の蒸気を、蒸気タービンからプロセス蒸気として供給する間に、プロセスへの蒸気供給による有効エネルギー損失を低減して、蒸気プラントの動力効率の向上を図ることができるものである。
【0003】
上記従来のプロセス蒸気の制御装置は、背圧タービンから排気された低圧蒸気を、モータにより駆動される蒸気圧縮機によって、高圧プロセス蒸気として供給することはできるが、反対に、高圧蒸気を低圧蒸気に減圧して低圧プロセス蒸気として供給することができない問題があった。
【特許文献1】特開平5−65808号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
解決しようとする課題は、プロセス蒸気の圧力値を、低圧から高圧へ変換するのみならず、高圧から低圧へも変換することができるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、蒸気使用箇所へ圧力値の異なった蒸気を供給するプロセス蒸気供給管を設けたものにおいて、少なくとも1本のプロセス蒸気供給管に蒸気圧縮及び膨張機を配置して、当該蒸気圧縮及び膨張機の圧縮と膨張を切り換える切換弁を取り付けたものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明は、少なくとも1本のプロセス蒸気供給管に蒸気圧縮及び膨張機を配置したことによって、プロセス蒸気を圧縮することにより高圧蒸気に変換することができ、また、プロセス蒸気を膨張させることにより低圧蒸気に変換することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明のプロセス蒸気の制御装置は、プロセス蒸気供給管に蒸気圧縮及び膨張機を配置したものであるが、この蒸気圧縮及び膨張機としては、冷凍や空調やガスコンプレッサとして従来から幅広く使用されてきたスクリュー式コンプレッサを蒸気圧縮機として用い、一方、蒸気膨張機としては、スクリュー式コンプレッサの逆サイクルを利用することによって、すなわち、スクリュー式コンプレッサの蒸気の入口と出口を逆にして、出口側から高圧蒸気を注入し、入口側から膨張して圧力の低下した低圧蒸気を流下させることによって蒸気膨張機として用いることができる。更に、従来周知の蒸気コンプレッサを蒸気圧縮機として用い、その逆サイクルを蒸気膨張機として用いることもできる。
【実施例1】
【0008】
図1において、プロセス蒸気供給管1と増圧プロセス蒸気供給管2と減圧プロセス蒸気供給管3、及び、蒸気圧縮及び膨張機4とで本発明のプロセス蒸気の制御装置を構成する。
【0009】
プロセス蒸気供給管1は、図面左側の図示しない蒸気源から、図面右側の同じく図示しない蒸気使用箇所へ、プロセス蒸気を供給するものである。
【0010】
増圧プロセス蒸気供給管2に切換弁5,6を介して分岐管7を接続する。分岐管7の下端に蒸気圧縮及び膨張機4を接続する。本実施例においては、スクリュー式蒸気圧縮及び膨張機4を用いた例を示す。スクリュー式蒸気圧縮及び膨張機4は、左右一対のオス・メスのスクリュー式ロータ部8、及び、発電機又は電動モータ部9とで構成する。
【0011】
減圧プロセス蒸気供給管3に切換弁15,16を介して連通管10を接続する。接続管10の上端はスクリュー式ロータ部8と接続する。
【0012】
プロセス蒸気の圧力値を減圧する場合は、増圧プロセス蒸気供給管2の切換弁5を開弁し切換弁6を閉弁すると共に、減圧プロセス蒸気供給管3の切換弁15を閉弁し切換弁16を開弁して、プロセス蒸気供給管1からの蒸気を分岐管7からスクリュー式ロータ部8に供給する。供給蒸気がスクリュー式ロータ部8を回転させながら膨張し、減圧されて減圧プロセス蒸気供給管3へ供給される。また、スクリュー式ロータ部8の回転駆動力は、連結された発電機9を回転させて所定の電力を発生する。
【0013】
プロセス蒸気の圧力値を増圧する場合は、減圧プロセス蒸気供給管3の切換弁15を開弁し切換弁16を閉弁すると共に、増圧プロセス蒸気供給管2の切換弁5を閉弁し切換弁6を開弁して、プロセス蒸気供給管からの蒸気を連通管10を介してスクリュー式ロータ部8の下部から、すなわち、上述の減圧膨張する場合とは逆方向からスクリュー式ロータ部8に供給する。スクリュー式ロータ部8が電動モータ部9によって回転駆動され、プロセス蒸気は圧縮されて所定圧力まで増圧し、増圧プロセス蒸気供給管2へ供給される。
【0014】
このように、プロセス蒸気の圧力値を、減圧したり、あるいは、増圧することができ、プロセス蒸気の用途に応じた圧力の蒸気をすばやく供給することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明のプロセス蒸気の制御装置の構成図。
【符号の説明】
【0016】
1 プロセス蒸気供給管
2 増圧プロセス蒸気供給管
3 減圧プロセス蒸気供給管
4 蒸気圧縮及び膨張機
5,6 切換弁
8 スクリュー式ロータ部
9 発電機又は電動モータ部
10 連通管
15,16 切換弁


【特許請求の範囲】
【請求項1】
蒸気使用箇所へ圧力値の異なった蒸気を供給するプロセス蒸気供給管を設けたものにおいて、少なくとも1本のプロセス蒸気供給管に蒸気圧縮及び膨張機を配置して、当該蒸気圧縮及び膨張機の圧縮と膨張を切り換える切換弁を取り付けたことを特徴とするプロセス蒸気の制御装置。


【図1】
image rotate