説明

プロトコル変換装置

【課題】
既存機器のハードやソフトの改造をすることなく、プロトコル変換による通信やデータのモニタリングを可能にする。
【解決手段】
制御PC1からプロトコル変換装置2にあるTCP/IP通信部21を介して、プロトコル変換部22でTCP/IPからRS232Cに変換を行い、RS232C通信部23を通って、現場機器3に制御信号を送る。また、現場機器からは、プロトコル変換装置2のRS232C通信部23、プロトコル変換部22、TCP/IP通信部21を通って、制御PC1に応答信号を送る。その際、プロトコル変換部22において、送受信しているデータのコピーを取るモニタ用データコピー処理部24を通って、TCP/IP通信部を21介して、外部装置4にデータを送信する、また、外部装置4からプロトコル変換部22へ切替信号を送信すると外部装置4のデータをそのまま現場機器3へ送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はプロトコル変換装置に係り、特にシリアルデータを通信ネットワーク上の端末に送信できるようにするためのプロトコル変換装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のプロトコル変換装置として、シリアル回線から受信したシリアルデータを、所定の通信ネットワークであるイーサネット(登録商標)上の端末に送信できるように、TCP/IP(Transmission Control Protocol/Internet Protocol)変換するものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この特許文献1記載のプロトコル変換装置では、複数のシリアル回線から入力されたシリアルデータにID番号(ID番号は送信先であるイーサネット(登録商標)上の各端末に応じて決める。)を付加すると共に、同時に入力されたシリアルデータを1つの送信パケットに変換する(プロトコル変換する)演算装置を備え、この送信パケットを記憶装置に格納させる。そしてイーサネット(登録商標)通信網の回線が空いたとき、送信パケットをイーサネット(登録商標)上の各端末へブロードキャストさせる。
【0004】
また、発呼側端末の発呼側プロトコルと着呼側端末の着呼側プロトコルとの間の複数種類のプロトコル変換を行うプロトコル変換部と、発呼側端末と着呼側端末との間で通信される接続性確認信号を検出する信号検出部と、信号検出部により検出された接続性確認信号に基づき、発呼側プロトコルの特定及び着呼側プロトコルの特定を行う制御部とを有するプロトコル変換装置も従来知られている(例えば、特許文献2参照)。このプロトコル変換装置は、上記の制御部が発呼側プロトコルの特定及び着呼側プロトコルの特定に基づき、プロトコル変換部が行う複数種類のプロトコル変換のうちの一つのプロトコル変換を選択してプロトコル変換部にそのプロトコル変換を行わせる。
【0005】
更に、端末装置から受信したデータをプロトコル変換解析部でプロトコル変換解析し、その変換解析結果に基づいて、プロトコル変換解析部で受信データを変換プロトコルに変換し、その変換データを出力機器によりモニタさせる装置も知られている(例えば、特許文献3参照)。
【0006】
【特許文献1】特開2001−67293号公報(要約)
【特許文献2】再公表特許WO01/061963(7頁3−14行、9頁4−8行、図1、図2)
【特許文献3】特開平8−102772号公報(2−3頁、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1記載のプロトコル変換装置では、外部装置からデータの送信ができないという問題がある。その理由は、FA(ファクトリオートメーション)、計装、LA(ラボラトリオートメーション)分野では、現場機器と制御用コンピュータ(以下、制御PC)間の通信はRS−232C、RS−422などのシリアル信号を用いている場合が多い。そのため、現場機器と制御PCとの通信データを第三者である外部装置から現場機器にデータ送信することができないためである。
【0008】
また、特許文献1記載のプロトコル変換装置では、制御PCのアプリケーションソフトの改造が必要であるという問題がある。その理由は、データをモニタリングすることや、プロトコル変換をする場合、制御PCのアプリケーション自体にその機能が対応していないと、改造を必要とするためである。
【0009】
一方、特許文献2や特許文献3記載のプロトコル変換装置では、FA、計装、LA分野に適用した場合、現場機器と制御PCとのモニタリングが可能であるが、第三者である外部装置と現場機器との間でデータを送受信することができないという問題がある。
【0010】
本発明は以上の点に鑑みなされたもので、既存機器のハードウェアやソフトウェアの改造をすることなく、プロトコル変換が行われ、かつ、データをモニタリングすることが可能なプロトコル変換装置を提供することを目的とする。
【0011】
また、本発明の他の目的は、外部装置と現場機器との間でデータ送受信を可能としたプロトコル変換装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の目的を達成するため、第1の発明のプロトコル変換装置は、第1のプロトコルで通信する第1の端末と、第2のプロトコルで通信する第2の端末との間に接続されて、第1の端末と第2の端末との間のプロトコル変換を行うと共に、第1のプロトコルで通信する第三者による外部装置に接続されて外部装置と第2の端末との間のプロトコル変換を行うプロトコル変換装置であって、第1の端末又は外部装置との間で第1のプロトコルで通信する第1の通信部と、第2の端末との間で第2のプロトコルで通信する第2の通信部と、第1の通信部と第2の通信部に接続され、第1の通信部の第1の送受信信号と第2の通信部の第2の送受信信号とのプロトコル変換を行うプロトコル変換部と、プロトコル変換部でプロトコル変換している第1又は第2の送受信信号をコピーした後、第1の通信部を介して外部装置へ出力するモニタ用データコピー処理部とを有することを特徴とする。この発明では、既存の第1及び第2の端末のハードウェアやソフトウェアの改造をすることなく、プロトコル変換を行うことができる。
【0013】
ここで、第2の発明では、外部装置からの切替信号に基づき、第1の通信部は、第1の端末とプロトコル変換部との間の通信をオフラインとし、プロトコル変換部により外部装置と第2の通信部との間のプロトコル変換を行わせることを特徴とする。この発明では、第1及び第2の端末間の送受信信号(データ)を外部装置でモニタリングすることができる。また、モニタ用データコピー処理部により第1及び第2の端末の間の送受信信号をコピーできる。
【0014】
また、上記の目的を達成するため、第3の発明は、第1のプロトコルで通信する第1及び第2の端末の間に接続されて、第1の端末と第2の端末との間のプロトコル変換を行うと共に、第2のプロトコルで通信する第三者による外部装置に接続されて外部装置と第2の端末との間のプロトコル変換を行うプロトコル変換装置であって、第1の端末との間で第1のプロトコルで通信する第1の通信部と、第2の端末との間で第1のプロトコルで通信する第2の通信部と、外部装置との間で第2のプロトコルで通信する第3の通信部と、
第1の通信部及び第2の通信部と第3の通信部に接続され、第1の通信部からの送信信号を第2の通信部へ転送し、かつ、第2の通信部からの送信信号を第1の通信部へ転送すると共に、第2の端末の送受信信号と第3の通信部の送受信信号との間のプロトコル変換を行うプロトコル変換部と、プロトコル変換部でプロトコル変換している第1及び第2の通信部の間の送受信信号をコピーした後、第3の通信部を介して外部装置へ出力するモニタ用データコピー処理部とを有することを特徴とする。この発明では、既存の第1及び第2の端末のハードウェアやソフトウェアの改造をすることなく、プロトコル変換を行うことができる。また、モニタ用データコピー処理部により第1及び第2の端末の間の送受信信号をコピーできる。
【0015】
ここで、第4の発明では外部装置からの切替信号に基づき、第3の発明の第3の通信部は、第1の端末とプロトコル変換部との間の通信をオフラインとし、プロトコル変換部により外部装置と第3の通信部との間のプロトコル変換を行わせることを特徴とする。
【0016】
この第5の発明は、上記の目的を達成するため、第1のプロトコルで通信する第1及び第2の端末の間に接続されて、第1の端末と第2の端末との間のプロトコル変換を行うと共に、第2のプロトコルで通信する第三者による外部装置に接続されて外部装置と第2の端末との間のプロトコル変換を行うプロトコル変換装置であって、第1の端末との間で第1のプロトコルで通信する第1の通信部と、第2の端末との間で第1のプロトコルで通信すると共に、第1の通信部との間で通信する第2の通信部と、外部装置との間で第2のプロトコルで通信する第3の通信部と、第1の通信部及び第2の通信部と第3の通信部とに接続され、第1の通信部と第2の通信部との間の送受信信号のプロトコル変換を行って第3の通信部を介して外部装置へ出力するプロトコル変換部とを有することを特徴とする。
【0017】
ここで、第6の発明は、第1乃至第5の発明における第1の端末は制御用パーソナルコンピュータであり、第2の端末は現場機器であり、制御用パーソナルコンピュータは現場機器の起動・停止、動作指示などの制御信号や、現場機器への状態問い合わせ信号、あるいは現場機器のログ情報吸い上げ要求コマンドなどの信号を発生し、現場機器は制御用パーソナルコンピュータからの信号に対応した信号を応答送信することを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、第1及び第2の端末がTCP/IPなどの第1のプロトコルやRS232Cの第2のプロトコルで通信可能であれば、プロトコル変換装置の接続が可能であるため、端末の機種の種類に依存せず、プロトコル変換やデータモニタリングが可能である。
【0019】
また、本発明によれば、第1の端末が更新され、通信方法が変わった場合でも、第1の端末にインストールされているソフトウェアに改造することなく、汎用OSのドライバソフトである仮想COMを第1の端末にインストールすることにより、通信が可能となり、また、外部装置により、プロトコル変換部でプロトコル変換している送受信信号(データ)のモニタリングが可能であるため、既存の第1及び第2の端末のハードウェア/ソフトウェアの改造が不要である。
【0020】
更に、本発明によれば、第1の端末と第2の端末との間の通信をオフラインにした後、外部装置と第2の端末との間で双方向の通信ができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
(第1の実施の形態)
次に、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。図1は本発明になるプロトコル変換装置の第1の実施の形態のブロック図を示す。同図において、プロトコル変換装置2aは、制御信号等を送信する制御PC1と、制御PC1により制御される現場機器3と、制御PC1と現場機器3との通信データをモニタリングする外部装置4とそれぞれ接続されており、TCP/IP通信部21、プロトコル変換部22、RS232C通信部23、モニタ用データコピー処理部24とを備えており、TCP/IPとRS232Cとのプロトコル変換をし、通信データをコピーする。
【0022】
TCP/IP通信部21は、制御PC1もしくはプロトコル変換部22もしくは外部装置4とデータを送受信する。プロトコル変換部22は、TCP/IP通信部21から受信したデータをプロトコル変換してRS232C通信部23へ、RS232C通信部23から受信したデータをプロトコル変換してTCP/IP通信部21へ送信する。RS232C通信部23は、プロトコル変換部22もしくは現場機器3とデータを送受信する。
【0023】
本実施の形態のプロトコル変換装置2aは、FA、計装、LA分野に適用されるプロトコル変換装置である。この技術分野では、現場機器3と制御用パーソナルコンピュータ(制御PC)1の間の通信はRS−232C、RS−422などのシリアル信号を用いている場合が多い。近年、TCP/IP(Transmission Control Protocol/Internet Protocol)の普及に伴い、制御PC1はTCP/IP通信が主流となっている。しかし、現場機器3は10年から15年と耐用年数が長く、RS232Cのようなシリアル通信であるものが殆どであるのに対し、制御PC1は一般のPCを用いる場合が多く、メーカーの保証期間やハードディスク等の消耗により耐用年数が5年程度と短く、また、最近、普及しているPCはTCP/IP接続のものが殆どであるため、両者の更新周期の相違から通信方法が異なるため、その結果、現在、主流となっているTCP/IP通信で接続できないためである。そして、制御PC1のアプリケーションソフトは、更新費用の低減や更新期間の短縮のため、そのまま使用することが多い。
【0024】
この場合、制御PC1を更新しても、アラーム詳細情報の取得や、遠隔地からのリモート保守などの機能強化は実現できない。アラーム詳細情報を取得するためには、一度、制御PC1を停止し解析装置を設置してから、解析装置を介して制御PCと現場機器との間で再度通信する必要があるからである。また、現状の制御PC1に解析ソフトをインストールすることは、制御PC1に負荷がかかり本来の制御機能に支障を来す場合もあるので容易には実現できないためである。
【0025】
そこで、RS232C等でのシリアル通信を行う現場機器3からアラーム詳細情報を制御PC1で取得したり、遠隔地にある制御PC1からの現場機器3のリモート保守をしたりモニタリングするためには、制御PC1との間でTCP/IP通信を行い、かつ、現場機器3との間でRS232C等のシリアル通信を行う事ができるプロトコル変換装置2aが必要となる。更には、外部装置4がTCP/IP接続で制御PC1と現場機器3との間の通信をモニタリングするためにもプロトコル変換装置2aが必要となる。
【0026】
次に、本実施の形態のプロトコル変換装置2aの動作について説明する。図1において、制御PC1で発生された現場機器3の起動・停止、動作指示などの制御信号や、現場機器3への状態問い合わせ信号、あるいは現場機器3のログ情報(アラーム情報)吸い上げ要求コマンドなどの信号は、TCP/IP通信にてプロトコル変換装置2a内のTCP/IP通信部21で受信された後、プロトコル変換部22に供給され、ここでTCP/IPからRS232Cにプロトコル変換される。プロトコル変換部22でプロトコル変換された制御信号、状態問い合わせ信号あるいはログ情報吸い上げ要求コマンドなどは、RS232C通信部23によりRS232Cの通信プロトコルに従い現場機器3に送信される。
【0027】
一方、現場機器3は制御PC1からの制御信号、状態問い合わせ信号あるいはログ情報吸い上げ要求コマンドなどを受信すると、その受信信号に対応した動作を行うと共に、応答信号を制御PC1へ送信する。この応答信号は、プロトコル変換装置2a内のRS232C通信部23にRS232C通信プロトコルに従って受信された後、プロトコル変換部22に供給され、ここでRS232CからTCP/IPにプロトコル変換される。プロトコル変換部22でプロトコル変換された現場機器3からの応答信号は、TCP/IP通信部21によりTCP/IPの通信プロトコルに従って制御PC1へ送信される。
【0028】
その際、プロトコル変換部22において制御PC1と現場機器3との間で送受信している全てのデータが、モニタ用データコピー処理部24にてコピーされた後、TCP/IP通信部21を介して、外部装置4に送信される。
【0029】
また、外部装置4からプロトコル変換部22へ切替信号を送信すると、続いて送信される外部装置4のデータがTCP/IP通信部21、プロトコル変換部22及びRS23C通信部23を経由してそのまま現場機器3へ送信される。これにより、例えば、現場機器3から外部装置4を遠隔地に設置して、遠方から現場機器3のアラームの詳細情報を取得したい場合に、外部装置4からログ情報(アラーム情報)吸い上げ要求コマンドを現場機器3へ送信し、現場機器3から応答送信されるアラームの詳細情報を外部装置4が受信することで、保守者が直接現場機器3の設置場所に出向かなくても、アラームの詳細情報を見ることができる。
【0030】
また、外部装置4と現場機器3との通信をオフラインにし、その後現場機器3と外部装置4の通信を可能とすることもできる。この場合は、制御PC1と現場機器3との通信をオフラインにし、現場機器3と外部装置4を接続する。これにより、現場機器3からのアラーム詳細情報を外部装置4に提供できるようになる。ただし、この間、現場機器3と制御PC1との通信は途絶える。
【0031】
従って、本実施の形態によれば、プロトコル変換により通信方法が異なる制御PC1と現場機器3との間の双方向の通信を可能とすると共に、外部装置4が現場機器3と制御PC1との間の通信をモニタリングするだけでなく、現場機器3と制御PC1との間の通信をオフラインにした後、外部装置4と現場機器3との間で双方向の通信ができる。第三者である外部装置4から現場機器3へ送信するデータの具体的な例としては、現場機器3のログ情報を吸い上げたい時に外部装置4から送信するログ吸い上げのコマンドがある。
【0032】
(第2の実施の形態)
次に、本発明の第2の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。図2は本発明になるプロトコル変換装置の第1の実施の形態のブロック図を示す。同図中、図1と同一構成部分には同一符号を付し、その説明を省略する。図2において、プロトコル変換装置2bは、制御信号等を送信する制御PC1’と、制御PC1’により制御される現場機器3と、制御PC1と現場機器3との通信データをモニタリングする外部装置4とそれぞれ接続されており、TCP/IP通信部21、プロトコル変換部22’、RS232C通信部23及び23’、モニタ用データコピー処理部24とを備えており、TCP/IPとRS232Cとのプロトコル変換をし、通信データをコピーする。
【0033】
このプロトコル変換装置2bは、制御PC1’に対してTCP/IP通信部21と接続するのではなく、新たなRS232C通信部23’と接続する点に特徴がある。RS232C通信部23’は、プロトコル変換部22’もしくは制御PC1’との間でRS232Cの通信プロトコルに基づいてデータを送受信する。ここで、制御PC1’にインストールされてなるアプリケーションソフトはシリアル通信対応になっているため、そのままでは通信プロトコルがRS232Cである現場機器3と通信ができない。その解決策として、制御PC1’はRS232C→TCP/IPに変換する仮想COMというドライバソフトがインストールされることにより、既存のアプリケーションソフトを改造することなく、通信が可能となる。
【0034】
次に、本実施の形態の動作について説明する。制御PC1’により発生された現場機器3の起動・停止、動作指示などの制御信号や、現場機器3への状態問い合わせ信号、あるいは現場機器3のログ情報(アラーム情報)吸い上げ要求コマンドなどの信号は、RS232C通信にてプロトコル変換装置2b内のRS232C通信部23’で受信された後、プロトコル変換部22’に供給され、そのままのプロトコルでRS232C通信部23を通して現場機器3に供給される。
【0035】
また、制御PC’1からRS232C通信部23’に供給された制御信号、状態問い合わせ信号あるいはログ情報吸い上げ要求コマンドなどは、プロトコル変換部22’で通信プロトコルがRS232CからTCP/IPにプロトコル変換された後TCP/IP通信部21によりTCP/IPの通信プロトコルに従い外部装置4に送信されると共に、モニタ用データコピー処理部24に供給される。
【0036】
また、現場機器3は制御PC1’からの制御信号、状態問い合わせ信号あるいはログ情報吸い上げ要求コマンドなどを受信すると、その受信信号に対応した動作を行うと共に、応答信号を制御PC1’へ送信する。この応答信号は、プロトコル変換装置2b内のRS232C通信部23にRS232C通信プロトコルに従って受信された後、プロトコル変換部22’、RS232C通信部23’を通って、制御PC1に供給される。
【0037】
その際、プロトコル変換部22’において制御PC1’と現場機器3との間で送受信している全てのデータが、モニタ用データコピー処理部24にてコピーされた後、TCP/IP通信部21を介して、外部装置4に送信される。また、外部装置4からプロトコル変換部22’へ切替信号を送信すると、続いて送信される外部装置4のデータがTCP/IP通信部21、プロトコル変換部22’及びRS23C通信部23’を経由してそのまま現場機器3へ送信される。これにより、外部装置4により現場機器3の動作を制御することも可能となる。
【0038】
また、本実施の形態も制御PC1’と現場機器3との通信をオフラインにし、その後現場機器3と制御PC1’の通信を可能とすることもできる。これにより、本実施の形態のプロトコル変換装置2bは図1のプロトコル変換装置2aと同様の特長を有する。また、この実施の形態では、制御PC1’がRS232Cの通信プロトコルによるPCに適用できる。
【0039】
(第3の実施の形態)
次に、本発明の第3の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。図3は本発明になるプロトコル変換装置の第3の実施の形態のブロック図を示す。同図中、図2と同一構成部分には同一符号を付し、その説明を省略する。図3において、プロトコル変換装置2cは、制御信号等を送信する制御PC1’と、制御PC1’により制御される現場機器3と、制御PC1’と現場機器3との通信データをモニタリングする外部装置4とそれぞれ接続されており、TCP/IP通信部21、プロトコル変換部22”、RS232C通信部23及び23’とを備えており、TCP/IPとRS232Cとのプロトコル変換をする。この実施の形態のプロトコル変換装置2cは図1、図2で有していたモニタ用データコピー処理部24を有していない。
【0040】
本実施の形態は、図2に示された第2の実施の形態におけるデータの流れにおいて、制御PC1’と現場機器3とはプロトコル変換部22”を介さず、直接、RS232C通信部23とRS232C通信部23’でデータの送受信を行う。そして、外部装置4へのデータ送信は図1、図2で利用していたモニタ用データコピー処理部24を介さない。RS232C通信部23’は、RS232C通信部23もしくはプロトコル変換部22とデータを送受信する。
【0041】
次に、本実施の形態のプロトコル変換装置2cの動作について説明する。図3において、制御PC1’で発生された現場機器3の起動・停止、動作指示などの制御信号や、現場機器3への状態問い合わせ信号、あるいは現場機器3のログ情報(アラーム情報)吸い上げ要求コマンドなどの信号は、RS232C通信にてプロトコル変換装置2c内のRS232C通信部23’で受信された後、RS232C通信部23を通って現場機器3に送信される。
【0042】
一方、現場機器3は制御PC1からの制御信号、状態問い合わせ信号あるいはログ情報吸い上げ要求コマンドなどを受信すると、その受信信号に対応した動作を行うと共に、応答信号を制御PC1へ送信する。この応答信号は、プロトコル変換装置2c内のRS232C通信部23にRS232C通信プロトコルに従って受信された後、RS232C通信部23’を通って制御PC1’へRS232C通信プロトコルに従って送信される。
【0043】
ここで、制御PC1’と現場機器3との間の信号はすべてプロトコル変換部22”に供給され、ここでRS232CからTCP/IPにプロトコル変換された後、TCP/IP通信部を21を介して、外部装置4に送信される。これにより、本実施の形態では、外部装置4により、制御PC1’と現場機器3とのデータ送受信内容が外部装置4によりモニタリングやコピーすることができる。
【0044】
また、制御PC1’と現場機器3との通信をオフラインにし、その後現場機器3と外部装置4の通信を可能とすることもできる。この場合は、制御PC1’と現場機器3との通信をオフラインにし、現場機器3と外部装置4を接続する。これにより、現場機器3からのアラーム詳細情報を外部装置4に提供できるようになる。ただし、この間、現場機器3と制御PC1’との通信は途絶える。
【0045】
このように、本実施の形態によれば、制御PC1’と現場機器3との間の双方向の通信を可能とすると共に、外部装置4が現場機器3と制御PC1’との間の通信をモニタリングするだけでなく、現場機器3と制御PC1’との間の通信をオフラインにした後、プロトコル変換により通信方法が異なる外部装置4と現場機器3との間で双方向の通信ができる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明の第1の実施の形態のブロック図である。
【図2】本発明の第2の実施の形態のブロック図である。
【図3】本発明の第3の実施の形態のブロック図である。
【符号の説明】
【0047】
1、1’ 制御PC(パーソナルコンピュータ)
2a、2b、2c プロトコル変換装置
3 現場機器
4 外部装置
21 TCP/IP通信部
22、22’、22” プロトコル変換部
23、23’ RS232C通信部
24 モニタ用データコピー処理部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のプロトコルで通信する第1の端末と、第2のプロトコルで通信する第2の端末との間に接続されて、前記第1の端末と前記第2の端末との間のプロトコル変換を行うと共に、前記第1のプロトコルで通信する第三者による外部装置に接続されて該外部装置と前記第2の端末との間のプロトコル変換を行うプロトコル変換装置であって、
前記第1の端末又は前記外部装置との間で前記第1のプロトコルで通信する第1の通信部と、
前記第2の端末との間で前記第2のプロトコルで通信する第2の通信部と、
前記第1の通信部と前記第2の通信部に接続され、前記第1の通信部の前記第1の送受信信号と前記第2の通信部の前記第2の送受信信号とのプロトコル変換を行うプロトコル変換部と、
前記プロトコル変換部でプロトコル変換している前記第1又は第2の送受信信号をコピーした後、前記第1の通信部を介して前記外部装置へ出力するモニタ用データコピー処理部と
を有することを特徴とするプロトコル変換装置。
【請求項2】
前記外部装置からの切替信号に基づき、前記第1の通信部は、前記第1の端末と前記プロトコル変換部との間の通信をオフラインとし、前記プロトコル変換部により前記外部装置と前記第2の通信部との間のプロトコル変換を行わせることを特徴とする請求項1記載のプロトコル変換装置。
【請求項3】
第1のプロトコルで通信する第1及び第2の端末の間に接続されて、前記第1の端末と前記第2の端末との間のプロトコル変換を行うと共に、第2のプロトコルで通信する第三者による外部装置に接続されて該外部装置と前記第2の端末との間のプロトコル変換を行うプロトコル変換装置であって、
前記第1の端末との間で前記第1のプロトコルで通信する第1の通信部と、
前記第2の端末との間で前記第1のプロトコルで通信する第2の通信部と、
前記外部装置との間で前記第2のプロトコルで通信する第3の通信部と、
前記第1の通信部及び前記第2の通信部と前記第3の通信部に接続され、前記第1の通信部からの送信信号を前記第2の通信部へ転送し、かつ、前記第2の通信部からの送信信号を前記第1の通信部へ転送すると共に、前記第2の端末の送受信信号と前記第3の通信部の送受信信号との間のプロトコル変換を行うプロトコル変換部と、
前記プロトコル変換部でプロトコル変換している前記第1及び第2の通信部の間の送受信信号をコピーした後、前記第3の通信部を介して前記外部装置へ出力するモニタ用データコピー処理部と
を有することを特徴とするプロトコル変換装置。
【請求項4】
前記外部装置からの切替信号に基づき、前記第3の通信部は、前記第1の端末と前記プロトコル変換部との間の通信をオフラインとし、前記プロトコル変換部により前記外部装置と前記第3の通信部との間のプロトコル変換を行わせることを特徴とする請求項3記載のプロトコル変換装置。
【請求項5】
第1のプロトコルで通信する第1及び第2の端末の間に接続されて、前記第1の端末と前記第2の端末との間のプロトコル変換を行うと共に、第2のプロトコルで通信する第三者による外部装置に接続されて該外部装置と前記第2の端末との間のプロトコル変換を行うプロトコル変換装置であって、
前記第1の端末との間で前記第1のプロトコルで通信する第1の通信部と、
前記第2の端末との間で前記第1のプロトコルで通信すると共に、前記第1の通信部との間で通信する第2の通信部と、
前記外部装置との間で前記第2のプロトコルで通信する第3の通信部と、
前記第1の通信部及び前記第2の通信部と前記第3の通信部とに接続され、前記第1の通信部と前記第2の通信部との間の送受信信号のプロトコル変換を行って前記第3の通信部を介して前記外部装置へ出力するプロトコル変換部と
を有することを特徴とするプロトコル変換装置。
【請求項6】
前記第1の端末は制御用パーソナルコンピュータであり、前記第2の端末は現場機器であり、前記制御用パーソナルコンピュータは前記現場機器の起動・停止、動作指示などの制御信号や、前記現場機器への状態問い合わせ信号、あるいは前記現場機器のログ情報吸い上げ要求コマンドなどの信号を発生し、前記現場機器は前記制御用パーソナルコンピュータからの信号に対応した信号を応答送信することを特徴とする請求項1乃至5のうちいずれか一項記載のプロトコル変換装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−134774(P2008−134774A)
【公開日】平成20年6月12日(2008.6.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−319755(P2006−319755)
【出願日】平成18年11月28日(2006.11.28)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】