説明

プロトパナキサトリオール及びプロトパナキサジオール含有組成物

【課題】抗ガン作用、抗炎症作用、糖代謝調節作用などの生理活性を有するプロトパナキサトリオール(PPT)及びプロトパナキサジオール(PPD)の少なくともいずれかを高含有させ、更に安定性を高めた組成物、及び該組成物を利用した安全性の高い飲食品の提供。
【解決手段】(A)パナキサトリオール及び(B)プロトパナキサトリオール、並びに、(C)パナキサジオール及び(D)プロトパナキサジオールの少なくともいずれかを含有し、前記(A)成分と前記(B)成分との質量比が、(A)/(B)≧1であり、前記(C)成分と前記(D)成分との質量比が、(C)/(D)≧1であることを特徴とする組成物である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プロトパナキサトリオール及びプロトパナキサジオールの少なくともいずれかを含有する組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
プロトパナキサトリオール(PPT)及びプロトパナキサジオール(PPD)は、抗ガン作用(特許文献1〜2参照)、皮膚疾患に対する抗炎症作用(特許文献3参照)、尿中アルブミンの排泄抑制作用(特許文献4参照)、脂肪代謝、糖代謝に重要な遺伝子発現を調節するPPARγの活性化作用(特許文献5)などの様々な生理活性を有することが知られている。
【0003】
前記プロトパナキサトリオール(PPT)及び前記プロトパナキサジオール(PPD)は、人参(ginseng)に含まれるサポニン(配糖体)(ginsenoside)から糖がはずれたアグリコン体であり、ダンマラン系トリテルペン類に属する化合物である。
【0004】
前記プロトパナキサトリオール(PPT)及び前記プロトパナキサジオール(PPD)は、白色の粉末であり、水に対しては不溶であるが、有機溶媒を加えることで溶解性を向上させることができる。
サポニンは、体内への吸収性が低く、また腸内細菌により糖が分解された後に吸収されるため、その効果には個人差があるが、前記プロトパナキサトリオール(PPT)及び前記プロトパナキサジオール(PPD)のようなアグリコン体は糖が結合していないため、前記個人差の極小化が期待できる。
【0005】
しかしながら、前記プロトパナキサトリオール(PPT)及び前記プロトパナキサジオール(PPD)は、構造的に不安定であり、液系、特に低pH系においては、分単位で分解してしまう。また、粉末状態でも常温以上の温度条件下では、日単位でその分解が進んでしまい、安定性が悪いという問題がある。
【0006】
したがって、抗ガン作用、抗炎症作用、糖代謝調節作用などの生理活性を有するプロトパナキサトリオール(PPT)及びプロトパナキサジオール(PPD)の少なくともいずれかを高含有させ、更に安定性を高めた組成物、及び該組成物を利用した安全性の高い飲食品の速やかな提供が求められているのが現状である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特表2005−504799号公報
【特許文献2】特開昭58−57399号公報
【特許文献3】特開2007−008896号公報
【特許文献4】特開平10−212296号公報
【特許文献5】韓国公開特許10−2006−0131012号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、前記従来における諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、抗ガン作用、抗炎症作用、糖代謝調節作用などの生理活性を有するプロトパナキサトリオール(PPT)及びプロトパナキサジオール(PPD)の少なくともいずれかを高含有させ、更に安定性を高めた組成物、及び該組成物を利用した安全性の高い飲食品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するため、本発明者らは鋭意検討した結果、以下のような知見を得た。即ち、パナキサトリオール(PT)と、プロトパナキサトリオール(PPT)とを所定の割合で混合することで、プロトパナキサトリオール(PPT)の安定性が向上すること、またパナキサジオール(PD)と、プロトパナキサジオール(PPD)とを所定の割合で混合することで、プロトパナキサジオール(PPD)の安定性が向上することを見出し、本発明の完成に至った。
【0010】
本発明は、本発明者らによる前記知見に基づくものであり、前記課題を解決するための手段としては、以下の通りである。即ち、
<1> (A)パナキサトリオール及び(B)プロトパナキサトリオール、並びに、(C)パナキサジオール及び(D)プロトパナキサジオールの少なくともいずれかを含有し、前記(A)成分と前記(B)成分との質量比が、(A)/(B)≧1であり、前記(C)成分と前記(D)成分との質量比が、(C)/(D)≧1であることを特徴とする組成物である。
<2> 40℃、相対湿度75%の条件下で1箇月間静置後の(B)プロトパナキサトリオール粉末及び(D)プロトパナキサジオール粉末の少なくともいずれかの残存率が90質量%以上である前記<1>に記載の組成物である。
<3> 40℃、相対湿度75%の条件下で1箇月間静置後の(B)プロトパナキサトリオールのエタノール溶液及び(D)プロトパナキサジオールのエタノール溶液の少なくともいずれかの残存率が90質量%以上である前記<1>に記載の組成物である。
<4> 飲食品である前記<1>から<3>のいずれかに記載の組成物である。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、従来における前記諸問題を解決し、前記目的を達成することができ、抗ガン作用、抗炎症作用、糖代謝調節作用などの生理活性を有するプロトパナキサトリオール(PPT)及びプロトパナキサジオール(PPD)の少なくともいずれかを高含有させ、更に安定性を高めた組成物、及び該組成物を利用した安全性の高い飲食品を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(組成物)
本発明の組成物は、(A)パナキサトリオール及び(B)プロトパナキサトリオール、並びに、(C)パナキサジオール及び(D)プロトパナキサジオールの少なくともいずれかを含有し、必要に応じて、更にその他の成分を含有する。
【0013】
<(A)成分>
前記パナキサトリオール(PT)((A)成分)は、下記構造式(1)で表される化合物である。前記パナキサトリオール(PT)は、ダンマラン系トリテルペン類に属する化合物であり、植物由来のサポニン(配糖体)から糖がはずれ、側鎖が閉環し、アグリコン体になったものである。
前記(A)成分を入手する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、植物から抽出する方法、合成する方法、市販品を用いる方法などが挙げられる。
前記組成物に前記(A)成分を配合することで、前記(B)成分を好適に安定化することができる。
【化1】

【0014】
<(B)成分>
前記プロトパナキサトリオール(PPT)((B)成分))は、下記構造式(2)で表される化合物である。
前記プロトパナキサトリオール(PPT)は、ダンマラン系トリテルペン類に属する化合物であり、植物由来のサポニン(配糖体)から糖がはずれ、アグリコン体になったものである。
前記(B)成分を入手する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、植物から抽出する方法、合成する方法、市販品を用いる方法などが挙げられる。
【化2】

【0015】
<(C)成分>
前記パナキサジオール(PD)((C)成分)は、下記構造式(3)で表される化合物である。
前記パナキサジオール(PD)は、ダンマラン系トリテルペン類に属する化合物であり、植物由来のサポニン(配糖体)から糖がはずれ、側鎖が閉環し、アグリコン体になったものである。
前記(C)成分を入手する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、植物から抽出する方法、合成する方法、市販品を用いる方法などが挙げられる。
前記組成物に前記(C)成分を配合することで、前記(D)成分を好適に安定化することができる。
【化3】

【0016】
<(D)成分>
前記プロトパナキサジオール(PPD)((D)成分)は、下記構造式(4)で表される化合物である。
前記プロトパナキサジオール(PPD)は、ダンマラン系トリテルペン類に属する化合物であり、植物由来のサポニン(配糖体)から糖がはずれ、アグリコン体になったものである。
前記(D)成分を入手する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、植物から抽出する方法、合成する方法、市販品を用いる方法などが挙げられる。
【化4】

【0017】
<含有量>
前記組成物中に含まれる、前記(A)成分、前記(B)成分、前記(C)成分、及び前記(D)成分の含有量としては、特に制限はなく、本発明の効果を損なわない範囲内で、目的に応じて適宜選択することができる。
前記組成物において、前記(A)成分は、前記(B)成分の安定化のため、また、前記(C)成分は、前記(D)成分の安定化のために配合される。そのため、前記組成物は、前記(A)成分及び前記(B)成分のみを含有するものであってもよく、前記(C)成分及び前記(D)成分のみを含有するものであってもよい。また、前記組成物は、前記(A)成分及び前記(B)成分、又は前記(C)成分及び前記(D)成分そのものであってもよい。
【0018】
−(A)成分と(B)成分との質量比−
前記(A)成分と前記(B)成分との質量比は、(A)/(B)≧1であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、(A)/(B)≧9が好ましく、(A)/(B)≧19がより好ましい。前記(A)成分と(B)成分との質量比が前記好ましい範囲であると、プロトパナキサトリオール(PPT)の安定性が向上する。
なお、前記安定性とは、前記(B)成分(プロトパナキサトリオール(PPT))が粉末の状態の場合、40℃、相対湿度75%の条件下で、1箇月間静置後の前記(B)成分の残存率が90質量%以上であることをいう。また、前記(B)成分(プロトパナキサトリオール(PPT))がエタノール溶液の状態の場合、40℃、相対湿度75%の条件下で、1箇月間静置後の前記(B)成分の残存率が90質量%以上であることをいう。
【0019】
−(C)成分と(D)成分との質量比−
前記(C)成分と前記(D)成分との質量比としては、(C)/(D)≧1であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、(C)/(D)≧9が好ましく、(C)/(D)≧19がより好ましい。前記(C)成分と前記(D)成分との質量比が前記好ましい範囲であると、プロトパナキサジオール(PPD)の安定性が向上する。
なお、前記安定性とは、前記(D)成分(プロトパナキサジオール(PPD))が粉末の状態の場合、40℃、相対湿度75%の条件下で、1箇月間静置後の前記(D)成分の残存率が90質量%以上であることをいう。また、前記(D)成分(プロトパナキサジオール(PPD))がエタノール溶液の状態の場合、40℃、相対湿度75%の条件下で、1箇月間静置後の前記(D)成分の残存率が90質量%以上であることをいう。
【0020】
<その他の成分>
前記その他の成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、飲食品を製造するにあたって通常用いられる補助的原料又は添加物などが挙げられる。
前記補助的原料又は添加物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ブドウ糖、果糖、ショ糖、マルトース、ソルビトール、ステビオサイド、ルブソサイド、コーンシロップ、乳糖、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸、コハク酸、乳酸、L−アスコルビン酸、dl−α−トコフェロール、エリソルビン酸ナトリウム、グリセリン、プロピレングリコール、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、アラビアガム、カラギーナン、カゼイン、ゼラチン、ペクチン、寒天、ビタミンB類、ニコチン酸アミド、パントテン酸カルシウム、アミノ酸類、カルシウム塩類、色素、香料、保存剤などが挙げられる。
前記その他の成分の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0021】
<使用>
前記組成物の使用方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、経口摂取できる飲食品として使用することが好ましい。
ここで、前記飲食品とは、人の健康に危害を加えるおそれが少なく、通常の社会生活において、経口又は消化管投与により摂取されるものをいい、行政区分上の食品、医薬品、医薬部外品などの区分に制限されるものではなく、例えば、経口的に摂取される一般食品、健康食品、保健機能食品、医薬部外品、医薬品などを幅広く含むものを意味する。
前記組成物は、飲食品そのものであってもよく、他の飲食品に配合されていてもよい。
前記組成物の飲食品への配合量としては、特に制限はなく、本発明の効果を損なわない範囲内で、対象となる飲食品の種類に応じて適宜配合することができる。
【0022】
<飲食品>
前記飲食品としては、前記(A)成分及び前記(B)成分、並びに、前記(C)成分及び前記(D)成分の少なくともいずれかを含有していれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、清涼飲料、炭酸飲料、栄養飲料、果実飲料、乳酸飲料等の飲料;アイスクリーム、アイスシャーベット、かき氷等の冷菓;そば、うどん、はるさめ、ぎょうざの皮、しゅうまいの皮、中華麺、即席麺等の麺類;飴、キャンディー、ガム、チョコレート、錠菓、スナック菓子、ビスケット、ゼリー、ジャム、クリーム、焼き菓子、パン等の菓子類;カニ、サケ、アサリ、マグロ、イワシ、エビ、カツオ、サバ、クジラ、カキ、サンマ、イカ、アカガイ、ホタテ、アワビ、ウニ、イクラ、トコブシ等の水産物;かまぼこ、ハム、ソーセージ等の水産・畜産加工食品;加工乳、発酵乳等の乳製品;サラダ油、てんぷら油、マーガリン、マヨネーズ、ショートニング、ホイップクリーム、ドレッシング等の油脂及び油脂加工食品;ソース、たれ等の調味料;カレー、シチュー、親子丼、お粥、雑炊、中華丼、かつ丼、天丼、うな丼、ハヤシライス、おでん、マーボドーフ、牛丼、ミートソース、玉子スープ、オムライス、餃子、シューマイ、ハンバーグ、ミートボール等のレトルトパウチ食品;種々の形態の健康食品や栄養補助食品;錠剤、カプセル剤、ドリンク剤、ゼリー剤、トローチ等の医薬品、医薬部外品などが挙げられる。
【0023】
<剤型>
前記飲食品の剤型としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、経口固形剤、経口半固形剤、及び経口液剤などが挙げられる。
通常、前記(B)成分及び前記(D)成分は、安定性が悪いため、多水分系、低pH系には不向きであるが、本発明の組成物における前記(B)成分及び前記(D)成分は、多水分系、低pH系においても安定であるため、前記経口半固形剤及び前記経口液剤に使用してもよい。
【0024】
−経口固形剤−
前記経口固形剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、錠剤、被覆錠剤、顆粒剤、散剤、カプセル剤などが挙げられる。
前記経口固形剤の製造方法としては、特に制限はなく、常法を使用することができ、例えば、前記(A)成分及び前記(B)成分、並びに、前記(C)成分及び前記(D)成分の少なくともいずれかに、賦形剤、及び必要に応じて各種添加剤を加えることにより製造することができる。ここで、前記賦形剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、乳糖、白糖、塩化ナトリウム、ブドウ糖、デンプン、炭酸カルシウム、カオリン、微結晶セルロース、珪酸などが挙げられる。また、前記添加剤としても、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、着色剤、矯味/矯臭剤などが挙げられる。
前記結合剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、水、エタノール、プロパノール、単シロップ、ブドウ糖液、デンプン液、ゼラチン液、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルスターチ、メチルセルロース、エチルセルロース、シェラック、リン酸カルシウム、ポリビニルピロリドンなどが挙げられる。
前記崩壊剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、乾燥デンプン、アルギン酸ナトリウム、カンテン末、炭酸水素ナトリウム、炭酸カルシウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ステアリン酸モノグリセリド、乳糖などが挙げられる。
前記滑沢剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、精製タルク、ステアリン酸塩、ホウ砂、ポリエチレングリコールなどが挙げられる。
前記着色剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、酸化チタン、酸化鉄などが挙げられる。
前記矯味/矯臭剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、白糖、橙皮、クエン酸、酒石酸などが挙げられる。
【0025】
−経口半固形剤−
前記経口半分固形剤としては、液剤と固形剤の中間に位置するものであれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、舐剤、チューインガム剤、ホイップ剤、ゼリー剤などが挙げられる。
前記経口半固形剤の製造方法としては、特に制限はなく、常法を使用することができ、例えば、前記(A)成分及び前記(B)成分、並びに、前記(C)成分及び前記(D)成分の少なくともいずれかに、ゲル化剤、増粘剤、安定剤などを加えることにより、製造することができる。
前記ゲル化剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、寒天、ゼラチン、澱粉、ジェランなどが挙げられる。
前記増粘剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、キサンタン、カラギナン、ローカスト、グァー、タマリンド、ペクチンなどが挙げられる。
前記安定剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、トラガント、アラビアゴム、ガティゴムなどが挙げられる。
【0026】
−経口液剤−
前記経口液剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、内服液剤、シロップ剤、エリキシル剤などが挙げられる。
前記経口液剤の製造方法としては、特に制限はなく、常法を使用することができ、例えば、前記(A)成分及び前記(B)成分、並びに、前記(C)成分及び前記(D)成分の少なくともいずれかに、添加剤を加えることにより製造することができる。ここで、前記添加剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、矯味/矯臭剤、緩衝剤、安定化剤などが挙げられる。
【0027】
前記矯味/矯臭剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、白糖、橙皮、クエン酸、酒石酸などが挙げられる。
前記緩衝剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、クエン酸ナトリウムなどが挙げられる。
前記安定化剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、トラガント、アラビアゴム、ゼラチンなどが挙げられる。
【0028】
<摂取>
前記組成物の摂取方法、摂取量、摂取時期、及び摂取対象としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記摂取量としては、特に制限はなく、摂取対象個体の年齢、体重、体質、症状、他の成分を有効成分とする医薬の投与の有無など、様々な要因を考慮して適宜選択することができる。
前記摂取対象となる動物種としては、ヒトに対して好適に適用されるものであるが、その作用効果が奏される限り、ヒト以外の動物(例えば、マウス、ラット、ハムスター、トリ、イヌ、ネコ、ヒツジ、ヤギ、ウシ、ブタ、サルなど)に対して適用することも可能である。
【0029】
<用途>
前記組成物は、抗ガン作用、抗炎症作用、糖代謝調節作用などの生理活性を有する飲食品として使用できる。
【実施例】
【0030】
以下、実施例を挙げて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
【0031】
(比較例1〜2:PPT((B)成分)及びPPD((D)成分)の安定性)
<方法>
プロトパナキサトリオール(PPT)粉末((B)成分)(LKT Laboratories社製)(比較例1)5mg及びプロトパナキサジオール(PPD)粉末((D)成分)(LKT Laboratories社製)(比較例2)5mgを、それぞれスクリューキャップ付褐色ビンに入れ、40℃、相対湿度75%の条件下で、3週間静置した。その後、プロトパナキサトリオール(PPT)粉末((B)成分)及びプロトパナキサジオール(PPD)粉末((D)成分)を、それぞれ約1mg使用し、高速液体クロマトグラフ用エタノール(純度99.5質量%)(和光純薬工業株式会社製)1mLに溶解し、下記条件にて高速液体クロマトグラフィーにより分析を行った。
【0032】
−分析条件−
装置: 1200 シリーズ高速液体クロマトグラフ(アジレント・テクノロジー株式会社製)
カラム: TSKgel ODS−80Ts、内径4.6mm、長さ15cm(東ソー株式会社製)
カラム温度: 40℃
溶離液: 水:アセトニトリル=50:50(PPT分析時)
水:アセトニトリル=30:70(PPD分析時)
測定波長: 196nm
流速: 1mL/min
注入量: 10μL
【0033】
<結果>
前記分析の結果、プロトパナキサトリオール(PPT)粉末((B)成分)(比較例1)及びプロトパナキサジオール(PPD)粉末((D)成分)(比較例2)は、検出されなかった。これらの結果より、プロトパナキサトリオール(PPT)粉末((B)成分)及びプロトパナキサジオール(PPD)粉末((D)成分)は、それぞれ単体の状態では非常に安定性が悪いことが認められた。
【0034】
(実施例1〜3及び比較例3〜7:PT((A)成分)及びPPT((B)成分)の併用時の配合比率と安定性)
パナキサトリオール(PT)粉末((A)成分)(LKT Laboratories社製)と、プロトパナキサトリオール(PPT)粉末((B)成分)(LKT Laboratories社製)とを、合計10mgになるように表1に示す配合比で配合し、スクリューキャップ付褐色ビンに入れ、40℃、相対湿度75%の条件下で1箇月間静置した。その後、前記条件で静置したパナキサトリオール(PT)粉末((A)成分)と、プロトパナキサトリオール(PPT)粉末((B)成分)との混合物を、それぞれ約10mg使用し、高速液体クロマトグラフ用エタノール(純度99.5質量%)(和光純薬工業株式会社製)1mLに溶解した。前記エタノール溶液について、比較例1〜2と同様の分析条件で高速液体クロマトグラフィーを行い、パナキサトリオール(PT)((A)成分)及びプロトパナキサトリオール(PPT)((B)成分)を定量した。結果を表1に示す。
【0035】
【表1】

【0036】
<結果>
表1より、40℃、相対湿度75%の条件下で1箇月間PPT量を維持するためには、(A)PT/(B)PPTの質量比を、50/50(=1)以上、望ましくは90/10(=9)以上、更に望ましくは95/5(=19)以上にすることがよいことが確認された。
【0037】
(実施例4〜6及び比較例8〜12:PD((C)成分)及びPPD((D)成分)の併用時の配合比と安定性)
パナキサジオール(PD)粉末((C)成分)(LKT Laboratories社製)と、プロトパナキサジオール(PPD)粉末((D)成分)(LKT Laboratories社製)とを、合計10mgになるように表2に示す配合比で配合し、スクリューキャップ付褐色ビンに入れ、40℃、相対湿度75%の条件下で1箇月間静置した。その後、前記条件で静置したパナキサジオール(PD((C)成分))粉末とプロトパナキサジオール(PPD)((D)成分)粉末との混合物を、それぞれ約10mg使用し、高速液体クロマトグラフ用エタノール(純度99.5質量%)(和光純薬工業株式会社製)1mLに懸濁した。前記エタノール溶液について、比較例1〜2と同様の分析条件で高速液体クロマトグラフィーを行い、パナキサジオール(PD)((C)成分)及びプロトパナキサジオール(PPD)((D)成分)を定量した。結果を表2に示す。
【0038】
【表2】

【0039】
<結果>
表2より、40℃、相対湿度75%の条件下で1箇月間PPD量を維持するためには、(C)PD/(D)PPDの質量比を、50/50(=1)以上、望ましくは90/10(=9)以上、更に望ましくは95/5(=19)以上にすることがよいことが確認された。
【0040】
(実施例7〜15及び比較例13〜27:PT((A)成分)及びPPT((B)成分)の併用時のエタノール溶液中での安定性)
<方法>
パナキサトリオール(PT)((A)成分)10mg及びプロトパナキサトリオール(PPT)((B)成分)10mgを、それぞれエタノール0.5mLに溶解し、5質量%塩酸及び1M水酸化ナトリウム水溶液のいずれかにより、pH3.5、pH6.8、及びpH8.3のいずれかにそれぞれ調整し、表3〜5に示す配合比になるように適宜エタノールで希釈し、エタノール溶液を調製した。スクリューキャップ付褐色ビンに入れ、40℃、相対湿度75%の条件下で1箇月間静置した。その後前記条件で静置したパナキサトリオール(PT)エタノール溶液((A)成分)及びプロトパナキサトリオール(PPT)((B)成分)エタノール溶液を、エタノールで10倍希釈後、比較例1〜2と同様の分析条件で高速液体クロマトグラフィーを行い、プロトパナキサトリオール(PPT)((B)成分)の含有量を分析し、初期値に対する残存率(質量%)を算出した。結果を表3〜5に示す。
【0041】
【表3】

【0042】
【表4】

【0043】
【表5】

【0044】
<結果>
表3〜5より、(A)PT/(B)PPTの質量比が50/50(=1)より少ない場合、PPT((B)成分)の安定性は悪く(比較例13〜27)、特にpHが低い程、PPT((B)成分)の残存率は低かった(比較例13〜17)。一方、(A)PT/(B)PPTの質量比を50/50(=1)以上にすることで、pHを変えたいずれのエタノール溶液においても、残存率は90質量%以上であり(実施例7〜15)、低pHでもPPT((B)成分)の安定性が保たれていることが確認された(実施例7〜9)。
これらの結果より、1箇月間PPT量を維持するためには、(A)PT/(B)PPTの質量比を、50/50(=1)以上、望ましくは90/10(=9)以上、更に望ましくは95/5(=19)以上にすることがよいことが確認された。
【0045】
(実施例16〜24、比較例28〜42:PD((C)成分)及びPPD((D)成分)の併用時のエタノール溶液中での安定性)
<方法>
パナキサジオール(PD)((C)成分)10mg及びプロトパナキサジオール(PPD)((D)成分)10mgを、それぞれエタノール0.5mLに溶解し、5質量%塩酸及び1M水酸化ナトリウム水溶液のいずれかにより、pH3.5、pH6.8、及びpH8.3のいずれかにそれぞれ調整し、表6〜8に示す配合比になるように適宜エタノールで希釈し、エタノール溶液を調製した。スクリューキャップ付褐色ビンに入れ、40℃、相対湿度75%の条件下で1箇月間静置した。その後前記条件で静置したプロトパナキサジオール(PPD)エタノール溶液((D)成分)及びパナキサジオール(PD)((C)成分)エタノール溶液を、エタノールで10倍希釈後、比較例1〜2と同様の分析条件で高速液体クロマトグラフィーを行い、プロトパナキサジオール(PPD)((D)成分)の含有量を分析し、初期値に対する残存率(質量%)を算出した。結果を表6〜8に示す。
【0046】
【表6】

【0047】
【表7】

【0048】
【表8】

【0049】
<結果>
表6〜8より、(C)PD/(D)PPDの質量比が50/50(=1)より少ない場合、PPD((D)成分)の安定性は悪く(比較例28〜42)、特にpHが低い程、PPD((D)成分)の残存率は低かった(比較例28〜32)。一方、(C)PD/(D)PPDの質量比を50/50(=1)以上にすることで、pHを変えたいずれの水溶液においても、残存率は90質量%以上であり(実施例16〜24)、低pHでもPPD((D)成分)の安定性が保たれていることが確認された(実施例16〜18)。
これらの結果より、1箇月間PPD量を維持するためには、(C)PD/(D)PPDの質量比を、50/50(=1)以上、望ましくは90/10(=9)以上、更に望ましくは95/5(=19)以上にすることがよいことが確認された。
【0050】
プロトパナキサトリオール(PPT)((B)成分)及びプロトパナキサジオール(PPD)((D)成分)は、抗ガン作用、抗炎症作用、糖代謝調節作用などの優れた生理活性を有するものの、安定性が悪いため、PPT((B)成分)及びPPD((D)成分)を高含有させた組成物を提供することは困難であった。しかしながら、実施例1〜24によれば、PPT((B)成分)及びPPD((D)成分)を高含有した組成物を提供することが可能であることが認められた。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明の組成物は、プロトパナキサトリオール(PPT)及びプロトパナキサジオール(PPD)の少なくともいずれかを高含有していることから、抗ガン作用、抗炎症作用、糖代謝調節作用などの優れた生理活性を安定に発揮し得る組成物として利用でき、該組成物は、飲食品として好適に利用可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)パナキサトリオール及び(B)プロトパナキサトリオール、並びに、(C)パナキサジオール及び(D)プロトパナキサジオールの少なくともいずれかを含有し、前記(A)成分と前記(B)成分との質量比が、(A)/(B)≧1であり、前記(C)成分と前記(D)成分との質量比が、(C)/(D)≧1であることを特徴とする組成物。
【請求項2】
飲食品である請求項1に記載の組成物。

【公開番号】特開2011−121926(P2011−121926A)
【公開日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−282764(P2009−282764)
【出願日】平成21年12月14日(2009.12.14)
【出願人】(000006769)ライオン株式会社 (1,816)
【Fターム(参考)】