説明

プロドラッグおよびその作成ならびに使用方法

親薬物のプロドラッグ、ならびにそれを作製する方法および使用する方法が記載される。本プロドラッグは、アミン含有親薬物部分、およびメトキシホスホン酸またはエトキシホスホン酸などのプロドラッグ部分を含む。本プロドラッグは、疼痛などの様々な徴候を処置するための治療において使用され得、また、乱用傾向薬物の乱用の可能性を減少させる方法、ならびに/または親薬物の投与と比べて親薬物活性の開始を遅延させる方法および/もしくは親薬物活性を延長する方法において使用され得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本出願は、2006年12月5日に出願された、米国仮特許出願第60/873,519号の優先権を主張する。
【0002】
連邦支援の研究または開発に関する声明
該当せず。
【背景技術】
【0003】
発明の背景
治療的に有益な多くの薬物は、治療においてその薬物の使用を制限する1つ以上の望ましくない特徴を有する。例えば、ある特定の薬物の投与は、望ましくない副作用を伴う。いくつかの薬物は、半減期が短く、その他のものは、不安定であるか、または有効期間が限られている。なおも他の薬物は、治療的に有効であるが、乱用の可能性がある。
【0004】
乱用傾向薬物は、多種多様な治療領域(例えば、疼痛、不眠、ナルコレプシー、うつ、注意欠陥障害、注意欠陥多動性障害、パニック不安障害、麻酔および体重減少)に適用されるかなりの範囲の薬物を占める。オピオイド類、刺激剤、ベンゾジアゼピン類および食欲抑制剤に従来分類されるものが、乱用の可能性を有する耽溺薬のほとんどを占めている。これらの薬物は、治療的に大変重要であるが、それを使用することは、処方する医師、調剤する薬剤師、および患者に密接に関わる者、そしてしばしば患者自身にとって、関心が高いことであったり、不本意なことであったりする。
【0005】
広く使用されている乱用傾向薬物の1つであるオピオイド鎮痛薬は、疼痛管理のかなめである。例えば、オピオイド鎮痛薬は、外傷性の損傷または手術に起因する疼痛、慢性の炎症状態(例えば、変形性関節症、関節リウマチおよび腰痛)によってもたらされる疼痛を管理するために使用され得る。オピオイド鎮痛薬はまた、混合型の侵害受容性/神経障害性の原因(例えば、癌または線維筋痛症)に起因する疼痛を処置するためにも使用され得る。オピオイド類はまた、糖尿病性ニューロパシー、帯状疱疹後神経痛、HIV/AIDS、神経に対する外傷性の損傷、複合性局所性疼痛症候群、三叉神経痛、肢端紅痛症および幻痛に関連する疼痛をはじめとした神経因性疼痛を管理するためにも使用され得る。
【0006】
オピオイド類は、臨床上の利点を有しているにもかかわらず、オピオイドの乱用の可能性が、物質と知覚の両方において主要な問題である。その結果として、オピオイド乱用は、中毒者の健康、安全性および社会における積極的な役割に悪影響を及ぼすだけでなく、医師および薬剤師の処方および調剤の実施をゆがめ、無数の社会的に望ましくない結果をもたらし得る。最近の研究によると、およそ3180万人の米国人が、その生涯において非医学的に鎮痛剤を使用しており、2002年の2960万人から増えている。例えば、徐放型の塩酸オキシコドンであるOxyContin(登録商標)を一生のうちに非医学的に使用していると報告された人数は、米国では、2002年から2004年までの間に、190万人から310万人に増加した(Nonmedical Users of Pain Relievers:Characteristics of Recent Initiatives,the National Survey on Drug Use and Health,2006を参照のこと)。
【0007】
オピオイド類の非医学的な使用は、世界的な問題でもあり、そのような使用によって、疼痛の処置不十分の可能性がもたらされ得る。最近の調査では、オピオイド鎮痛薬の処方に関して、医師は、有害作用、寛容性または薬剤相互作用(それぞれ68%、61%および32%)よりも、乱用および耽溺に関心があった(それぞれ84%および79%)(Survey of select practices by primary physicians on the opioids chronic pain,Curr.Med.Res.Opin.2006.22(9):1859−1865)。報告によれば、一部のプライマリケア医師は、常に持続的な鎮痛が必要な状態である慢性の非悪性疼痛において24時間使用するためにSchedule IIオピオイド類を処方することを躊躇する(Opioids for chronic nonmalignant pain.Attitudes and practices of primary care physicians in the UCSF/Stanford Collaborative Research Network.University of California,San Francisco J.Fam.Pract.2001.50(2):145−151を参照のこと)。カナダの調剤実施に関する1つの研究によれば、23%のプライマリケア医師および35%の一般医が、重篤な疼痛に対してでさえオピオイド類を処方しないだろうという結果だった(Attitudes toward opioid use for chronic pain:a Canadian physician survey Pain Res.Manag.2003.8(4):189−194を参照のこと)。さらなる文献では、医師はオピオイド類を処方することが不本意であることも指摘している(Oncologists and primary care physicians’ attitudes toward pain control and morphine prescribing in France,Cancer 1995.76(11):2375−2382およびMorphine prescription to terminal cancer patients suffering from severe pain:results of a French survey,Bull Cancer.2005.92(7):733−740)。
【0008】
たとえその個人がオピオイド乱用の問題を経験していなくても、既存のオピオイド治療に伴い得る他の欠点(例えば、不便な投薬スケジュールに関連する問題、すぐに過剰摂取をもたらすリスク、低用量容積で適切な用量レベルを送達できないこと、およびオピオイド鎮痛薬が長期間にわたる送達または持続的な送達に適していないこと)が存在する。その薬物の消化管における高い局所濃度およびオピオイド鎮痛薬の長期使用が必要な(例えば、癌患者および他の慢性疼痛患者において)既存のオピオイド治療は、吐き気、嘔吐および便秘などの有害作用をもたらすことが多い。ある特定のオピオイド類が高用量を必要とすることによってもまた、急速なボーラス曝露が起き、呼吸困難、眩暈、疲労、傾眠、悪心および/または嘔吐をもたらす確率が上がる(例えば、“Are peripheral opioid antagonists the solution to opioid side effects?”Anesth.Analg.2004.98:116−122を参照のこと)。
【0009】
オピオイドの使用に伴い得る乱用の可能性および/または他の有害な副作用を緩和する試みで、様々な製剤およびデバイスが開発されてきた。例えば、オピオイドレセプターのアゴニストおよびアンタゴニストを含む乱用耐性の錠剤が開発され、ここで、そのアンタゴニストは、薬物乱用者が、大量の薬物を含む徐放製剤からそのオピエートを抽出しようとするときに、その錠剤を粉砕するかまたは固めるときにだけ生物学的に利用可能である。オピオイドレセプターアンタゴニストはまた、例えば過剰摂取が起きるときに、オピオイドアゴニストの作用を阻止するために使用されている。オピオイドアンタゴニストは、オピオイドアゴニストの過剰摂取の効果を逆転させるため、消化管における高濃度のオピオイドアゴニストに関連する有害作用を低減するため、またはオピオイドもしくは他の娯楽的な薬物の嗜癖に立ち向かうために、臨床上使用され得るが、これらの有害作用を回避すること、および引き続きオピオイドレセプターアンタゴニストを求めることが、非常に好ましい。オピオイド乱用の可能性に対処する他の製剤(例えば、米国特許公開番号2005/0281748に記載されているオピオイド/脂肪酸もしくは脂肪族アミン製剤、または持続放出の経口製剤に催吐薬を含めたもの(例えば、Acura Pharmaceuticalsによって開発されたACUROXTM錠剤(オキシコドンHClおよびナイアシン))もまた報告されている。
【0010】
従来のオピオイド類に代わる別のものとして、オピオイドプロドラッグまたはオピオイドアナログが開発されている。親薬物化合物のプロドラッグおよび/またはアナログは、親薬物と比べて様々な薬理学的特性を示し得、親薬物化合物に関する問題(例えば、溶解性、部位特異性、安定性、毒性および活性の持続性)の数または重症度を減少させ得る。例えば、特許文献1では、乱用の可能性を低下させ、薬物の作用時間を延長させる際に使用するためのプロドラッグ(例えば、オキシコドン)が記載されている。特許文献2および特許文献3では、ナルブフィンのプロドラッグおよびポリエステル誘導体が記載されている。
【0011】
ベンゾジアゼピン類(例えば、ジアゼパム、テトラゼパム、ロラゼパム、ニトラゼパム)および同様の徴候をもたらす多くの他の薬物(例えば、ゾルピデム、ザレプロン、ゾピクロン)は、心理学的障害または睡眠障害の緩和において重要な役割を有する。ベンゾジアゼピン類が低毒性であることによって、ベンゾジアゼピン類はそのような障害に適するようになるが、乱用の可能性があるため、医師はそれらを処方するのをためらう。このクラスの薬物は乱用されることによって、多幸感もしくは変性意識状態をもたらすか、または他の耽溺薬の離脱症状を鎮静する。しかしながら、多幸感をもたらすためにベンゾジアゼピン類を使用することは、より一般的な問題であると報告されている(Woody G.E.ら、“Diazepam use by patients in methadone program:how serious a problem?”J Psychedelic Drugs 1975,7:373−379を参照のこと)。比較的高い末端価格(street value)および再使用(use again)値に関して測定された薬物の乱用の可能性について、ジアゼパムは、他のベンゾジアゼピン類のうち最も乱用の可能性が高いことが見出された(O’Brien C.P.“Benzodiazepine Use,Abuse and Dependence J.Clin.Psychiatry 2005,66(suppl.2):28−33を参照のこと)。
【0012】
中枢神経系(CNS)の刺激剤(例えば、アンフェタミン、メタンフェタミンおよびメチルフェニデート)は、注意欠陥多動性障害(ADHD)の治療に適応されており、うつを管理するために使用され得るか、または補助的な疼痛治療薬として使用され得る。ADHDは、同程度の発達状態の正常個体では観察されない、衝動性、不注意および持続性のパターンの異常に高レベルの活動性を特徴とする。メチルフェニデート(RitalinTM)は、ADHDを有する成人ならびに小児に対して価値ある薬剤であり得る。メチルフェニデートおよび精神療法は、ADHDの異常な行動、ならびに患者の自尊心、認識ならびに社会的および家族的な役割を改善し得る(Konrad,K.ら、“Differential Effects of Methylphenidate on Attentional Functions in Children With Attention−Deficit/Hyperactivity Disorder”.J.Am.Acad.Child Adolesc.Psychiatry,2004,43:191−198を参照のこと)。National Institute on Drug Abuse,National Institutes of Health,DHHSに資金援助され、University of Michigan’s Institute for Social Researchによって毎年行われている未来予測(Monitoring the Future(MTF))調査によれば、2006年の1年における、8年生、10年生および12年生のメチルフェニデートおよびメタンフェタミンの違法な使用は、それぞれ2.7%、3.2%および4.4%だった。悲惨なことに、アンフェタミンの使用は、8年生、10年生および12年生でそれぞれ7.3%、11.2%および12.4%とより高い(http://www.monitoringthefuture.org/data/06data/pr06tl.pdf;2007年12月2日アクセスしたものを参照のこと)。主にCNSの過剰刺激および過剰な交感神経刺激作用に起因する急激なメチルフェニデートの過剰摂取の徴候および症状としては、以下:嘔吐、動揺、振戦、反射亢進、筋攣縮、痙攣(その後昏睡となり得る)、多幸感、錯乱、幻覚、譫妄、発汗、潮紅、頭痛、超高熱、頻拍、動悸、心不整脈、高血圧症、散瞳および粘膜の乾燥が挙げられ得る。過剰摂取による死亡は、よくあることではないが、起きている。
【0013】
処方箋が必要ないくつかの食欲抑制剤(例えば、フェンメトラジン)は、乱用の可能性が高く、そのため、DEAによりSchedule IIに分類されている。フェンメトラジンの誘導体であるフェンジメトラジンは、乱用の可能性がより低いので、DEAによりSchedule IIIに分類されている。
【0014】
本来の投薬量が、加減されるか、または規定されていない様式で(例えば、別の投与経路(例えば、鼻で吸い込む、噛む、または静脈内注射)を介して)使用されるときにだけ放出される刺激物質を製剤に組み込むことによる、乱用抑止も試みた。欧州特許出願番号1392270(WO02094254)では、経口使用が意図された薬学的組成物が記載されており、その薬学的組成物は、有効な成分ならびに他の代表的な充填剤および賦形剤のほかに、その錠剤が不正な吸い込み、注射または摂取に使用される場合に粘膜の刺激をもたらすカプサイシン(非常に刺激性の物質)を含んでいる。
【0015】
オピオイド類、ベンゾジアゼピン類、刺激剤または食欲抑制剤、および第三級もしくは第二級アミン官能基を含む他の乱用傾向薬物の薬物動態学的な特性(特に作用開始の遅延)を変化させることによって、それらの治療的な有用性を保ったまま、これらの薬物の乱用の傾向を低下させ得る。
【0016】
米国特許第5,985,856号(例えば、米国特許第5,985,856号の11−13欄を参照のこと)およびKrise,J.ら、“Novel prodrug approach for tertiary amines:synthesis and preliminary evaluation of N−phosphonooxymethyl prodrugs”J.Med.Chem.1999 42(16):3094−3100に報告されているように、第三級アミンを有する親化合物を、アミン位においてメトキシホスホン酸で修飾することによって、改善された水溶性の特徴が付与され得る。その明細書中に報告されているインビボでの研究は、i.v.投与後のビーグル犬において、シンナリジンプロドラッグが親薬物のシンナリジンに変換され得ることを開示している。第二級アミンを有する化合物もまた、リン酸基を用いた誘導体化に供された。例えば、抗痙攣薬フェニトイン(Dilantin(登録商標))は、イミダゾリジン−2,4−ジオン環の3位の第二級アミンをホスホノオキシメチル基で第三級アミンに変換することによって、ホスフェニトイン(Cerebyx(登録商標))に変換された。この変更によって、ホスフェニトインのプロファイルが改善され、静脈炎の発生頻度が低下した(Venous irritation related to intravenous administration of phenytoin versus fosphenytoin Pharmacotherapy 1994;14:47−52を参照のこと)。
【0017】
ある特定の親薬物の望ましくない特徴の1つ以上を減少させるかまたは無くすことを目的とした薬物治療が進展しているにもかかわらず、好ましくは既存の治療法に関連する問題の1つ以上に対処する、さらなるアプローチまたは代わりのアプローチおよび治療法に大きな関心が寄せられ、今なおそれらが必要とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0018】
【特許文献1】米国特許出願公開第2004/0204434号明細書
【特許文献2】米国特許第6,225,321号明細書
【特許文献3】米国特許第6,703,398号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0019】
発明の簡単な要旨
親薬物に好ましい特徴を付与するプロドラッグは、種々の徴候および症状の管理に対して有望な新規治療をもたらす。プロドラッグは、親薬物よりも高い安定性および/または好ましい製剤化の特徴をもたらし得、そのプロドラッグは、有効期間の延長、または製剤化された薬物が保存されるべき条件の過酷さの低減(lessoning)に有用であり得る。いくつかの場合において、プロドラッグは、インビボにおける分解を受けにくい場合があり、その親薬物よりも長い半減期を示し得る。より長い半減期を有するプロドラッグは、親薬物よりも必要な投薬頻度が低く、そして/または必要な用量が少なくて済む可能性があり、このことは、親薬物の投与が悪心などの好ましくない副作用を伴うとき、または投薬頻度が服薬遵守を促さないときに、特に重要であり得る。なおもさらに、親薬物とは異なる物理化学的特徴を有するプロドラッグは、ある特定の薬物送達経路に対してより適する場合がある。
【0020】
本発明は、プロドラッグ、および治療においてそれを使用する方法に関する。本プロドラッグは、アミン官能基を有する親薬物およびプロドラッグ部分、好ましくは、式(IA)、(IB)または(2)の部分を使用し、ここで、そのプロドラッグ部分は、親薬物上のアミン官能基に対する共有結合を介して親薬物部分に結合されている。本発明の1つの局面において、本明細書中に詳述されるプロドラッグは、それらの親薬物に対して1つ以上の好ましい特徴を示す。1つのバリエーションにおいて、本発明は、親オピオイドに対して1つ以上の好ましい特徴を示すオピオイドプロドラッグに関する。別のバリエーションにおいて、本発明は、中枢神経系に影響を及ぼす化合物(「CNS薬」)のプロドラッグに関し、ここで、そのプロドラッグは、親CNS薬に対して1つ以上の好ましい特徴を示す。さらに別のバリエーションにおいて、本発明は、親刺激剤に対して1つ以上の好ましい特徴を示す刺激剤プロドラッグに関する。なおも別のバリエーションにおいて、本発明は、親ベンゾジアゼピンに対して1つ以上の好ましい特徴を示すベンゾジアゼピンプロドラッグに関する。本発明はまた、親食欲抑制剤に対して1つ以上の好ましい特徴を示す食欲抑制剤プロドラッグも包含する。プロドラッグの好ましい特徴は、その親薬物と比べたときの乱用の可能性の減少であり得るが、これに限定されない。プロドラッグの他の好ましい特徴としては、低い副作用、長い有効期間、長い半減期、より高い安定性、より好ましい製剤化の特徴、および親薬物が適していない剤形(例えば、持続放出、遅延放出および/または部位特異的送達)に対する適合性が挙げられ得るが、これらに限定されない。
【0021】
親薬物(オピオイド類、ベンゾジアゼピン、刺激剤または食欲抑制剤であり得るが、これらに限定されない)に関連する1つ以上の既存の問題に対処し得る本発明のプロドラッグ(例えば、乱用傾向親薬物(APD)のプロドラッグ)が記載される。1つのバリエーションにおいて、その親薬物は、乱用傾向親薬物すなわちAPDである。疼痛または精神的障害を処置する方法(ここで、その親薬物はADPである)、およびAPDの乱用の可能性を減少させる方法をはじめとした、本発明のプロドラッグを使用する方法も記載される。親薬物の投与と比べて、親薬物の活性の開始を遅延させる方法および/またはその活性を延長する方法もまた、本発明に包含される。
【0022】
本発明のプロドラッグは、プロドラッグ部分−アルキル−OP(O)(OH)(例えば、プロドラッグ部分−CHCHOP(O)(OH)、−CH(CH)OP(O)(OH)および−CHOP(O)(OH))を含み得、1つのバリエーションにおいて、プロドラッグ部分は、親薬物上に存在する窒素(例えば、アミン(例えば、第三級アミン)からの窒素)を介して親薬物に結合される。1つのバリエーションにおいて、プロドラッグは、N−ホスホノオキシメチルレボルファノールまたはN−ホスホノオキシエチルレボルファノールである。1つのバリエーションにおいて、本明細書中に記載される方法は、プロドラッグであるN−ホスホノオキシメチルレボルファノールまたはN−ホスホノオキシエチルレボルファノールを使用する。
【0023】
本プロドラッグは、式(I)
【0024】
【化1】

または式(II):
【0025】
【化2】

または式(III):
【0026】
【化3】

または式(IV):
【0027】
【化4】

または式(V):
【0028】
【化5】

または式(VI)
【0029】
【化6】

または式(VII)
【0030】
【化7】

または式(VIII)
【0031】
【化8】

または式(IX)
【0032】
【化9】

のプロドラッグ(ここで、式(I)〜(IX)に対する置換基は、本明細書中に記載されるとおりである)であり得、本明細書中に記載される方法は、これらのプロドラッグを使用し得る。
【0033】
新規APDプロドラッグを含む新規プロドラッグ、およびそれらを使用する方法は、本発明に包含される。1つのバリエーションにおいて、プロドラッグは、親薬物部分および式:
【0034】
【化10】

のプロドラッグ部分を含む化合物である。
【0035】
1つのバリエーションにおいて、プロドラッグ部分が、式(2)であるとき、親薬物部分は、米国特許第5,985,856号の11−14欄に列挙される親薬物(例えば、レボメタジル、メタドン、プロポキシフェン、ブプレノルフィン、ブトルファノール、コデイン、ジフェノキシレート、フェンタニール、ヒドロコドン、ヒドロモルホン、ロペルアミド、メペリジン、モルヒネ、ナルブフィン、ナルメフェン(nalmefene)、ナロキソン、ナルトレキソン、オキシコドン、オキシモルホン、ペンタゾシン、スフェンタニル、アルプラゾラム、クロラゼペート、クロナゼパム、エスタゾラム、フルラゼパム、ハラゼパム、ロラゼパム、ミダゾラム、オキサゼパム、クアゼパム、テマゼパムおよびトリアゾラム)の部分ではない。別のバリエーションにおいて、プロドラッグ部分が、式(2)であるとき、親薬物部分は、米国特許第5,985,856号の11−14欄に列挙される親薬物(例えば、レボメタジル、メタドン、プロポキシフェン、ブプレノルフィン、ブトルファノール、コデイン、ジフェノキシレート、フェンタニール、ヒドロコドン、ヒドロモルホン、ロペルアミド、メペリジン、モルヒネ、ナルブフィン、ナルメフェン、ナロキソン、ナルトレキソン、オキシコドン、オキシモルホン、ペンタゾシン、スフェンタニル、アルプラゾラム、クロラゼペート、クロナゼパム、エスタゾラム、フルラゼパム、ハラゼパム、ロラゼパム、ミダゾラム、オキサゼパム、クアゼパム、テマゼパムおよびトリアゾラム)の部分をはじめとした任意の適当な親薬物部分であり得る。1つのバリエーションにおいて、プロドラッグ部分が、式(1A)であるとき、親薬物部分は、米国特許第5,985,856号の11−14欄に列挙される親薬物(例えば、レボメタジル、メタドン、プロポキシフェン、ブプレノルフィン、ブトルファノール、コデイン、ジフェノキシレート、フェンタニール、ヒドロコドン、ヒドロモルホン、ロペルアミド、メペリジン、モルヒネ、ナルブフィン、ナルメフェン、ナロキソン、ナルトレキソン、オキシコドン、オキシモルホン、ペンタゾシン、スフェンタニル、アルプラゾラム、クロラゼペート、クロナゼパム、エスタゾラム、フルラゼパム、ハラゼパム、ロラゼパム、ミダゾラム、オキサゼパム、クアゼパム、テマゼパムおよびトリアゾラム)の部分ではない。1つのバリエーションにおいて、プロドラッグ部分が、式(1A)であるとき、親薬物部分は、米国特許5,985,856号の11−14欄に列挙される親薬物(例えば、レボメタジル、メタドン、プロポキシフェン、ブプレノルフィン、ブトルファノール、コデイン、ジフェノキシレート、フェンタニール、ヒドロコドン、ヒドロモルホン、ロペルアミド、メペリジン、モルヒネ、ナルブフィン、ナルメフェン、ナロキソン、ナルトレキソン、オキシコドン、オキシモルホン、ペンタゾシン、スフェンタニル、アルプラゾラム、クロラゼペート、クロナゼパム、エスタゾラム、フルラゼパム、ハラゼパム、ロラゼパム、ミダゾラム、オキサゼパム、クアゼパム、テマゼパムおよびトリアゾラム)の部分をはじめとした任意の適当な親薬物部分であり得る。1つのバリエーションにおいて、プロドラッグ部分が、式(1B)であるとき、親薬物部分は、米国特許5,985,856号の11−14欄に列挙される親薬物(例えば、レボメタジル、メタドン、プロポキシフェン、ブプレノルフィン、ブトルファノール、コデイン、ジフェノキシレート、フェンタニール、ヒドロコドン、ヒドロモルホン、ロペルアミド、メペリジン、モルヒネ、ナルブフィン、ナルメフェン、ナロキソン、ナルトレキソン、オキシコドン、オキシモルホン、ペンタゾシン、スフェンタニル、アルプラゾラム、クロラゼペート、クロナゼパム、エスタゾラム、フルラゼパム、ハラゼパム、ロラゼパム、ミダゾラム、オキサゼパム、クアゼパム、テマゼパムおよびトリアゾラム)の部分ではない。別のバリエーションにおいて、プロドラッグ部分が、式(1B)であるとき、親薬物部分は、米国特許5,985,856号の11−14欄に列挙される親薬物(例えば、レボメタジル、メタドン、プロポキシフェン、ブプレノルフィン、ブトルファノール、コデイン、ジフェノキシレート、フェンタニール、ヒドロコドン、ヒドロモルホン、ロペルアミド、メペリジン、モルヒネ、ナルブフィン、ナルメフェン、ナロキソン、ナルトレキソン、オキシコドン、オキシモルホン、ペンタゾシン、スフェンタニル、アルプラゾラム、クロラゼペート、クロナゼパム、エスタゾラム、フルラゼパム、ハラゼパム、ロラゼパム、ミダゾラム、オキサゼパム、クアゼパム、テマゼパムおよびトリアゾラム)の部分をはじめとした任意の適当な親薬物部分であり得る。別のバリエーションにおいて、プロドラッグは、親薬物部分および式(1A)のプロドラッグ部分を含む化合物である。別のバリエーションにおいて、プロドラッグは、親薬物部分および式(1B)のプロドラッグ部分を含む化合物である。なおも別のバリエーションにおいて、プロドラッグは、親薬物部分および式(2)のプロドラッグ部分を含む化合物である。
【0036】
1つのバリエーションにおいて、プロドラッグ部分は、(1A)、(1B)または(2)であり、親薬物は、ジヒドロコデイン、ブロマゼパム、クロラゼペート、フルニトラゼパムまたはオキサゾラムである。1つのバリエーションにおいて、プロドラッグ部分は、(1A)、(1B)または(2)であり、親薬物は、4−(4−(4−クロロフェニル)−4−ヒドロキシシクロヘキシル)N,N−ジエチル−2,2−ジフェニルブタンアミドまたは4−(4−(4−クロロフェニル)−4−ヒドロキシシクロヘキシル)−N−エチル−N−メチル−2,2−ジフェニルブタンアミドである。
【0037】
プロドラッグは、式(I):
【0038】
【化11】

のオピオイドプロドラッグまたはその任意の立体異性体、塩、水和物もしくは溶媒和物であり得、本明細書中に記載される方法のいずれかは、それを使用し得、ここで、Rは、水素、C−C10アルカノエート、ヒドロキシルならびに置換または非置換のC−C10アルキルおよび置換または非置換のC−C10アルコキシからなる群から選択され;Rは、水素、=O、ヒドロキシル、置換または非置換のC−C10アルキル、置換または非置換のC−C10アルケニルおよび置換または非置換のC−C10アルコキシからなる群から選択され;Rは、水素、ヒドロキシル、C−C10アルカノエート、置換または非置換のC−C10アルキルおよび置換または非置換のC−C10アルコキシからなる群から選択され;Rは、水素、C−C10アルカノエート、置換または非置換のC−C10アルキル、置換または非置換のC−C10アルケニルおよび置換または非置換のC−C10アルコキシからなる群から選択され;Rは、前記プロドラッグ部分(1A)、(1B)または(2)であり;Yは、存在しないか、またはOおよびSから選択され;環Cは、0、1または2個の二重結合を有し;Xは、薬学的に許容可能な陰イオンである。1つのバリエーションにおいて、式(I)の環Cは、0個の二重結合を有する。オピオイドプロドラッグは、式(I)のプロドラッグであり得、本明細書中に記載される方法のいずれかは、それを使用し得、ここで、Rは、ヒドロキシルであり、RおよびRは、水素であり、Rは、メチルであり、Rは、前記プロドラッグ部分(1A)または(1B)であり、Yは、存在しないか、またはRは、ヒドロキシルであり、RおよびRは、水素であり、Rは、メチルであり、Rは、前記プロドラッグ部分(2)であり、Yは、存在しないか、またはRは、メトキシであり、Rは、=Oであり、Rは、ヒドロキシルであり、Rは、メチルであり、Rは、前記プロドラッグ部分(1A)または(1B)であり、Yは、酸素であるか、またはRは、メトキシであり、Rは、=Oであり、Rは、ヒドロキシルであり、Rは、メチルであり、Rは、前記プロドラッグ部分(1A)または(1B)であり、Yは、酸素であるか、またはRは、ヒドロキシルであり、Rは、=Oであり、Rは、ヒドロキシルであり、Rは、メチルであり、Rは、前記プロドラッグ部分(1A)または(1B)であり、Yは、酸素であるか、またはRは、ヒドロキシルであり、Rは、=Oであり、Rは、ヒドロキシルであり、Rは、メチルであり、Rは、前記プロドラッグ部分(1A)または(1B)であり、Yは、酸素であるか、またはRは、メトキシであり、Rは、ヒドロキシルであり、Rは、水素であり、Rは、メチルであり、Rは、前記プロドラッグ部分(1A)または(1B)であり、Yは、酸素であり、CとCとは、二重結合によって連結されているか、またはRは、ヒドロキシルであり、Rは、ヒドロキシルであり、Rは、水素であり、Rは、メチルであり、Rは、前記プロドラッグ部分(1A)または(1B)であり、Yは、酸素であり、CとCとは、二重結合によって連結されているか、またはRは、ヒドロキシルであり、Rは、=Oであり、Rは、ヒドロキシルであり、Rは、シクロプロピルメチルであり、Yは、Oであるか、またはRは、ヒドロキシルであり、Rは、=Oであり、Rは、ヒドロキシルであり、Rは、プロペン−3−イルであり、Yは、Oであるか、またはRは、ヒドロキシルであり、Rは、エテニルであり、Rは、ヒドロキシルであり、Rは、シクロプロピルメチルであり、Yは、Oであるか、またはRは、ヒドロキシルであり、Rは、ヒドロキシルであり、Rは、水素であり、Rは、プロペン−3−イルであり、Yは、Oであるか、またはRは、ヒドロキシルであり、Rは、ヒドロキシルであり、Rは、ヒドロキシルであり、Rは、シクロブチルメチルであり、Yは、Oであるか、またはRは、ヒドロキシルであり、Rは、水素であり、Rは、水素であり、Rは、シクロプロピルメチルであり、Yは、存在しないか、またはRは、ヒドロキシルであり、Rは、水素であり、Rは、ヒドロキシルであり、Rは、シクロプロピルメチルであり、Yは、存在しないか、またはRは、ヒドロキシルであり、Rは、水素であり、Rは、水素であり、Rは、プロペン−3−イルであり、Yは、存在しない。1つのバリエーションにおいて、オピオイドプロドラッグは、式(I)であるが、ただし、プロドラッグ部分が、式(2)であるとき、オピオイド部分は、レボメタジル、メタドン、プロポキシフェン、ブプレノルフィン、ブトルファノール、コデイン、ジフェノキシレート、フェンタニール、ヒドロコドン、ヒドロモルホン、ロペルアミド、メペリジン、モルヒネ、ナルブフィン、ナルメフェン、ナロキソン、ナルトレキソン、オキシコドン、オキシモルホン、ペンタゾシン、スフェンタニル、アルプラゾラム、クロラゼペート、クロナゼパム、エスタゾラム、フルラゼパム、ハラゼパム、ロラゼパム、ミダゾラム、オキサゼパム、クアゼパム、テマゼパムおよびトリアゾラムからなる群から選択されるオピオイドの部分ではない。1つのバリエーションにおいて、オピオイドプロドラッグは、式(I)であり、プロドラッグ部分は、式(2)であり、オピオイド部分は、レボメタジル、メタドン、プロポキシフェン、ブプレノルフィン、ブトルファノール、コデイン、ジフェノキシレート、フェンタニール、ヒドロコドン、ヒドロモルホン、ロペルアミド、メペリジン、モルヒネ、ナルブフィン、ナルメフェン、ナロキソン、ナルトレキソン、オキシコドン、オキシモルホン、ペンタゾシン、スフェンタニル、アルプラゾラム、クロラゼペート、クロナゼパム、エスタゾラム、フルラゼパム、ハラゼパム、ロラゼパム、ミダゾラム、オキサゼパム、クアゼパム、テマゼパムおよびトリアゾラムからなる群から選択されるオピオイドの部分である。別のバリエーションにおいて、オピオイドプロドラッグは、式(I)かつ式(1B)のプロドラッグ部分であるが、ただし、オピオイド部分は、レボメタジル、メタドン、プロポキシフェン、ブプレノルフィン、ブトルファノール、コデイン、ジフェノキシレート、フェンタニール、ヒドロコドン、ヒドロモルホン、ロペルアミド、メペリジン、モルヒネ、ナルブフィン、ナルメフェン、ナロキソン、ナルトレキソン、オキシコドン、オキシモルホン、ペンタゾシン、スフェンタニル、アルプラゾラム、クロラゼペート、クロナゼパム、エスタゾラム、フルラゼパム、ハラゼパム、ロラゼパム、ミダゾラム、オキサゼパム、クアゼパム、テマゼパムおよびトリアゾラムからなる群から選択されるオピオイドの部分ではない。別のバリエーションにおいて、オピオイドプロドラッグは、式(I)かつ式(IB)のプロドラッグ部分であり、そのオピオイド部分は、レボメタジル、メタドン、プロポキシフェン、ブプレノルフィン、ブトルファノール、コデイン、ジフェノキシレート、フェンタニール、ヒドロコドン、ヒドロモルホン、ロペルアミド、メペリジン、モルヒネ、ナルブフィン、ナルメフェン、ナロキソン、ナルトレキソン、オキシコドン、オキシモルホン、ペンタゾシン、スフェンタニル、アルプラゾラム、クロラゼペート、クロナゼパム、エスタゾラム、フルラゼパム、ハラゼパム、ロラゼパム、ミダゾラム、オキサゼパム、クアゼパム、テマゼパムおよびトリアゾラムからなる群から選択されるオピオイドの部分である。別のバリエーションにおいて、オピオイドプロドラッグは、式(I)かつ式(1A)のプロドラッグ部分であるが、ただし、オピオイド部分は、レボメタジル、メタドン、プロポキシフェン、ブプレノルフィン、ブトルファノール、コデイン、ジフェノキシレート、フェンタニール、ヒドロコドン、ヒドロモルホン、ロペルアミド、メペリジン、モルヒネ、ナルブフィン、ナルメフェン、ナロキソン、ナルトレキソン、オキシコドン、オキシモルホン、ペンタゾシン、スフェンタニル、アルプラゾラム、クロラゼペート、クロナゼパム、エスタゾラム、フルラゼパム、ハラゼパム、ロラゼパム、ミダゾラム、オキサゼパム、クアゼパム、テマゼパムおよびトリアゾラムからなる群から選択されるオピオイドの部分ではない。別のバリエーションにおいて、オピオイドプロドラッグは、式(I)かつ式(IA)のプロドラッグ部分であり、そのオピオイド部分は、レボメタジル、メタドン、プロポキシフェン、ブプレノルフィン、ブトルファノール、コデイン、ジフェノキシレート、フェンタニール、ヒドロコドン、ヒドロモルホン、ロペルアミド、メペリジン、モルヒネ、ナルブフィン、ナルメフェン、ナロキソン、ナルトレキソン、オキシコドン、オキシモルホン、ペンタゾシン、スフェンタニル、アルプラゾラム、クロラゼペート、クロナゼパム、エスタゾラム、フルラゼパム、ハラゼパム、ロラゼパム、ミダゾラム、オキサゼパム、クアゼパム、テマゼパムおよびトリアゾラムからなる群から選択されるオピオイドの部分である。さらに別のバリエーションにおいて、オピオイドプロドラッグは、式(I)かつ式(1A)のプロドラッグ部分であり、オピオイド部分は、公知の任意のオピオイドまたはその誘導体の部分である。さらに別のバリエーションにおいて、オピオイドプロドラッグは、式(I)かつ式(1A)のプロドラッグ部分であり、オピオイド部分は、公知の任意のオピオイドまたはその誘導体の部分である。
【0039】
プロドラッグは、式(II):
【0040】
【化12】

のオピオイドプロドラッグまたはその任意の立体異性体、塩、水和物もしくは溶媒和物であり得、本明細書中に記載される方法のいずれかは、それを使用し得、ここで、Rは、水素、ヒドロキシル、置換または非置換のC−C10アルキルおよび置換または非置換のC−C10アルコキシからなる群から選択され;Rは、水素、ヒドロキシル、置換または非置換のC−C10アルキル、置換または非置換のC−C10アルケニルおよび置換または非置換のC−C10アルコキシからなる群から選択され;Rは、水素、置換または非置換のC−C10アルキルおよび置換または非置換のC−C10アルコキシからなる群から選択され;Rは、前記プロドラッグ部分(1A)、(1B)または(2)であり;Xは、薬学的に許容可能な陰イオンである。オピオイドプロドラッグは、式(II)のプロドラッグであり得、本明細書中に記載される方法のいずれかは、それを使用し得、ここで、Rは、ヒドロキシルであり、Rは、メトキシであり、Rは、シクロプロピルメチルであり、Rは、メトキシホスホン酸であり、そしてまたは、Rは、ヒドロキシルであり、Rは、メトキシであり、Rは、シクロプロピルメチルであり、Rは、エトキシホスホン酸である。1つのバリエーションにおいて、Rは、式(1A)、(1B)または(2)のプロドラッグ部分である。
【0041】
プロドラッグは、式(III):
【0042】
【化13】

のオピオイドプロドラッグまたはその任意の立体異性体、塩、水和物もしくは溶媒和物であり得、本明細書中に記載される方法のいずれかは、それを使用し得、ここで、Rは、ヒドロキシル、プロピルベンゼン、エチルベンゼン、2−プロピルチオフェン、酪酸メチル、1−エチル−4−エチル−1H−テトラゾール−5(4H)−オンおよび1−エチル−4−プロピル−1H−テトラゾール−5(4H)−オン、置換または非置換のC−C10アルキルおよび置換または非置換のC−C10アルコキシからなる群から選択され;Rは、水素、=O、ヒドロキシル、置換または非置換のC−C10アルキルおよびC−C10アルコキシ、C−C10アルカノエート、C−C10アルコキシアルキルからなる群から選択され;Rは、前記プロドラッグ部分(1A)、(1B)または(2)であり;Xは、薬学的に許容可能な陰イオンである。オピオイドプロドラッグは、式(III)のプロドラッグであり得、本明細書中に記載される方法のいずれかは、それを使用し得、ここで、Rは、プロピルベンゼンであり、Rは、水素であり、Rは、メトキシホスホン酸であるか、またはRは、プロピルベンゼンであり、Rは、水素であり、Rは、エトキシホスホン酸であるか、またはRは、2−プロピルチオフェンであり、Rは、メトキシメチルであり、Rは、メトキシホスホン酸であるか、またはRは、2−プロピルチオフェンであり、Rは、メトキシメチルであり、Rは、エトキシホスホン酸であるか、またはRは、1−エチル−4−エチル−1H−テトラゾール−5(4H)−オンであり、Rは、メトキシメチルであり、Rは、メトキシホスホン酸であるか、またはRは、1−エチル−4−エチル−1H−テトラゾール−5(4H)−オンであり、Rは、メトキシメチルであり、Rは、エトキシホスホン酸であるか、またはRは、酪酸メチルであり、Rは、ギ酸メチル(methyl formoate)であり、Rは、メトキシホスホン酸であるか、またはRは、酪酸メチルであり、Rは、酢酸メチルであり、Rは、エトキシホスホン酸である。特定のバリエーションにおいて、Rは、式(1A)、(1B)または(2)のプロドラッグ部分である。
【0043】
プロドラッグは、式(IV):
【0044】
【化14】

のオピオイドプロドラッグおよびその任意の立体異性体、塩、水和物または溶媒和物であり得、本明細書中に記載される方法のいずれかは、それを使用し得、ここで、RおよびRは、独立してアルキルであり;Rは、プロドラッグ部分(1A)、(1B)または(2)であり;Rは、アルカリール(alkaryl)またはアルケニルであり、Xは、薬学的に許容可能な陰イオンである。オピオイドプロドラッグは、式(IV)のプロドラッグおよびその任意の立体異性体、塩、水和物または溶媒和物であり得、本明細書中に記載される方法のいずれかは、それを使用し得、ここで、RおよびRは、独立して選択される、置換または非置換のC−Cアルキルであり;Rは、プロドラッグ部分(1A)、(1B)または(2)であり;Rは、−(CH−フェニル(ここで、nは、1〜5から選択される)またはC−C10アルケニルであり、Xは、薬学的に許容可能な陰イオンである。
【0045】
プロドラッグは、式(V):
【0046】
【化15】

のオピオイドプロドラッグおよびその任意の立体異性体、塩、水和物または溶媒和物であり得、本明細書中に記載される方法のいずれかは、それを使用し得、ここで、Rは、アルカノエートまたはカルボニルアルキルであり;R、RおよびRは、独立して、置換または非置換のアルキルであり;Rは、前記プロドラッグ部分(1A)、(1B)または(2)であり;nは、1〜10の整数であり、Xは、薬学的に許容可能な陰イオンである。オピオイドプロドラッグは、式(V)のプロドラッグおよびその任意の立体異性体、塩、水和物または溶媒和物であり得、本明細書中に記載される方法のいずれかは、それを使用し得、ここで、Rは、プロパノエートまたはプロピオニルであり;R、RおよびRは、独立して、置換または非置換のC−Cアルキルであり;Rは、前記プロドラッグ部分(1A)、(1B)または(2)であり;nは、1〜5の整数であり、Xは、薬学的に許容可能な陰イオンである。
【0047】
プロドラッグは、式(VI):
【0048】
【化16】

のベンゾジアゼピンプロドラッグおよびその任意の立体異性体、塩、水和物または溶媒和物であり得、本明細書中に記載される方法のいずれかは、それを使用し得、ここで、Rは、ハロゲン、ニトロ基、−NR、−NHR、−NH、−SOH、−CF、−C(O)Cl、−C(O)OH、−C(O)R、−C(O)OR、−C(O)Hまたはアルキルもしくは水素であり、ここで、Rは、置換または非置換のC−Cアルキルであり;Rは、水素または置換もしくは非置換のアルキルであり;Rは、水素、ハロゲンまたは置換もしくは非置換のC−Cアルキルであり、Rは、水素、ニトロ基、ヒドロキシルまたは酸素であり;環Aは、芳香族または非芳香族であるが、1または2個の二重結合を有し;Rは、前記プロドラッグ部分(1)または(2)であり;Xは、薬学的に許容可能な陰イオンである。ベンゾジアゼピンプロドラッグは、式(VI)のプロドラッグおよびその任意の立体異性体、塩、水和物または溶媒和物であり得、本明細書中に記載される方法のいずれかは、それを使用し得、ここで、Rは、クロロまたはニトロ基であり;Rは、水素またはメチルであり、Rは、水素またはフッ素もしく塩素であり、Rは、水素、ニトロ基または酸素であり;Rは、前記プロドラッグ部分(1)または(2)であり;Xは、薬学的に許容可能な陰イオンである。
【0049】
1つのバリエーションにおいて、ベンゾジアゼピンプロドラッグは、式(VI)であるが、ただし、プロドラッグ部分が式(2)であるとき、ベンゾジアゼピン部分は、アルプラゾラム、クロラゼペート、クロナゼパム、エスタゾラム、フルラゼパム、ハラゼパム、ロラゼパム、ミダゾラム、オキサゼパム、クアゼパム、テマゼパムおよびトリアゾラムからなる群から選択されるベンゾジアゼピンの部分ではない。別のバリエーションにおいて、ベンゾジアゼピンプロドラッグは、式(VI)であり、ここで、プロドラッグ部分は、式(2)であり、ベンゾジアゼピン部分は、アルプラゾラム、クロラゼペート、クロナゼパム、エスタゾラム、フルラゼパム、ハラゼパム、ロラゼパム、ミダゾラム、オキサゼパム、クアゼパム、テマゼパムおよびトリアゾラムからなる群から選択されるベンゾジアゼピンの部分である。別のバリエーションにおいて、ベンゾジアゼピンプロドラッグは、式(VI)かつ式(1B)のプロドラッグ部分であるが、ただし、ベンゾジアゼピン部分は、アルプラゾラム、クロラゼペート、クロナゼパム、エスタゾラム、フルラゼパム、ハラゼパム、ロラゼパム、ミダゾラム、オキサゼパム、クアゼパム、テマゼパムおよびトリアゾラムからなる群から選択されるベンゾジアゼピンの部分ではない。別のバリエーションにおいて、ベンゾジアゼピンプロドラッグは、式(VI)であり、プロドラッグ部分は、式(IB)であり、ベンゾジアゼピン部分は、アルプラゾラム、クロラゼペート、クロナゼパム、エスタゾラム、フルラゼパム、ハラゼパム、ロラゼパム、ミダゾラム、オキサゼパム、クアゼパム、テマゼパムおよびトリアゾラムからなる群から選択されるベンゾジアゼピンの部分である。別のバリエーションにおいて、ベンゾジアゼピンプロドラッグは、式(VI)かつ式(1A)のプロドラッグ部分であるが、ただし、ベンゾジアゼピン部分は、アルプラゾラム、クロラゼペート、クロナゼパム、エスタゾラム、フルラゼパム、ハラゼパム、ロラゼパム、ミダゾラム、オキサゼパム、クアゼパム、テマゼパムおよびトリアゾラムからなる群から選択されるベンゾジアゼピンの部分ではない。別のバリエーションにおいて、ベンゾジアゼピンプロドラッグは、式(VI)であり、プロドラッグ部分は、式(IA)であり、ベンゾジアゼピン部分は、アルプラゾラム、クロラゼペート、クロナゼパム、エスタゾラム、フルラゼパム、ハラゼパム、ロラゼパム、ミダゾラム、オキサゼパム、クアゼパム、テマゼパムおよびトリアゾラムからなる群から選択されるベンゾジアゼピンの部分である。なおも別のバリエーションにおいて、ベンゾジアゼピンプロドラッグは、式(VI)かつ式(1A)のプロドラッグ部分であり、ベンゾジアゼピン部分は、公知の任意のベンゾジアゼピンまたはその誘導体の部分である。
【0050】
プロドラッグは、式(VII):
【0051】
【化17】

のプロドラッグおよびその任意の立体異性体、塩、水和物または溶媒和物であり得、本明細書中に記載される方法のいずれかは、それを使用し得、ここで、Rは、水素または置換もしくは非置換のC−Cアルキルであり;Rは、水素または置換もしくは非置換のアルキルであり;Rは、式(1A)、(1B)または(2)の前記プロドラッグ部分であり;Xは、薬学的に許容可能な陰イオンである。
【0052】
プロドラッグは、式(VIII):
【0053】
【化18】

のプロドラッグおよびその任意の立体異性体、塩、水和物または溶媒和物であり得、本明細書中に記載される方法のいずれかは、それを使用し得、ここで、Rは、水素または置換もしくは非置換のC−Cアルキル(alky)であり;Rは、水素または置換もしくは非置換のアルキル、あるいは式(1A)、(1B)または(2)のプロドラッグ部分であり;Rは、式(1A)、(1B)または(2)の前記プロドラッグ部分であり;Xは、薬学的に許容可能な陰イオンである。RとRの両方が、式(1A)、(1B)または(2)のプロドラッグ部分である場合、薬学的に許容可能な陰イオンXは、2倍になり得る(例えば、2X)。
【0054】
プロドラッグは、式(IX):
【0055】
【化19】

のプロドラッグおよびその任意の立体異性体、塩、水和物または溶媒和物であり得、本明細書中に記載される方法のいずれかは、それを使用し得、ここで、Rは、水素または置換もしくは非置換のアルキル、あるいは式(1A)、(1B)もしくは(2)のプロドラッグ部分であり;Rは、式(1A)、(1B)または(2)のプロドラッグ部分であり;Xは、薬学的に許容可能な陰イオンである。RとRの両方が、式(1A)、(1B)または(2)のプロドラッグ部分である場合、薬学的に許容可能な陰イオンXは、2倍になり得る(例えば、2X)。
【0056】
本明細書中に記載されるプロドラッグのいずれかは、薬学的に許容可能な組成物として、例えば、そのプロドラッグを薬学的に許容可能なキャリアと組み合わせるか、またはそのプロドラッグを薬学的に許容可能なキャリア中に分散させることによって、製剤化され得る。
【0057】
記載される方法は、本明細書中に記載されるプロドラッグのいずれかを使用し得る。1つのバリエーションにおいて、その方法は、親薬物による治療の必要のある個体において親薬物活性の開始を遅延させる方法であり、その方法は、親薬物部分および式(1A)、(1B)または(2)のプロドラッグ部分を含む有効量のプロドラッグまたはその任意の立体異性体、塩、水和物もしくは溶媒和物を上記個体に投与する工程を包含し、ここで、そのプロドラッグは、親薬物と比べて親薬物活性の開始が遅い。1つのバリエーションにおいて、上記方法は、APDによる治療の必要のある個体におけるAPD活性の開始を遅延させる方法であり、その方法は、APD部分および式(1A)、(1B)または(2)のプロドラッグ部分を含む、有効量のプロドラッグ、またはその任意の立体異性体、塩、水和物もしくは溶媒和物を上記個体に投与する工程を包含し、ここで、そのプロドラッグは、親APDに比べてAPD活性の開始が遅い。他のバリエーションにおいて、親薬物は、オピオイド、ベンゾジアゼピン、刺激剤または食欲抑制剤である。特定のバリエーションにおいて、親薬物は、オピオイド、ベンゾジアゼピン、刺激剤または食欲抑制剤であり、ここで、そのオピオイド、ベンゾジアゼピン、刺激剤または食欲抑制剤は、APDである。別のバリエーションにおいて、親薬物は、オピオイド、ベンゾジアゼピン、刺激剤または食欲抑制剤であり、ここで、そのオピオイド、ベンゾジアゼピン、刺激剤または食欲抑制剤は、APDではない。
【0058】
1つのバリエーションにおいて、上記方法は、親薬物による治療の必要のある個体において親薬物作用を延長する方法であり、その方法は、親薬物部分および式(1A)、(1B)または(2)のプロドラッグ部分を含む、有効量のプロドラッグ、またはその任意の立体異性体、塩、水和物もしくは溶媒和物を個体に投与する工程を包含し、ここで、そのプロドラッグは、親薬物と比べて親薬物作用が長い。1つのバリエーションにおいて、上記方法は、オピオイドによる治療の必要な個体におけるオピオイド作用を延長する方法であり、その方法は、オピオイド部分および式(1A)、(1B)または(2)のプロドラッグ部分を含む、有効量のオピオイドプロドラッグまたはその任意の立体異性体、塩、水和物もしくは溶媒和物を個体に投与する工程を包含し、ここで、そのオピオイドプロドラッグは、親オピオイドと比べてオピオイド作用が長い。他のバリエーションにおいて、親薬物は、オピオイド、ベンゾジアゼピン、刺激剤または食欲抑制剤である。特定のバリエーションにおいて、親薬物は、オピオイド、ベンゾジアゼピン、刺激剤または食欲抑制剤であり、ここで、そのオピオイド、ベンゾジアゼピン、刺激剤または食欲抑制剤は、APDである。別のバリエーションにおいて、親薬物は、オピオイド、ベンゾジアゼピン、刺激剤または食欲抑制剤であり、ここで、そのオピオイド、ベンゾジアゼピン、刺激剤または食欲抑制剤は、APDではない。さらに1つのバリエーションにおいて、上記方法は、メチルフェニデート、アンフェタミンまたはメタンフェタミンによる治療の必要な個体においてメチルフェニデート、アンフェタミンまたはメタンフェタミンの作用を延長する方法であり、その方法は、メチルフェニデート部分、アンフェタミン部分またはメタンフェタミン部分および式(1A)、(1B)または(2)のプロドラッグ部分を含む、有効量のメチルフェニデートプロドラッグ、アンフェタミンプロドラッグもしくはメタンフェタミンプロドラッグ、またはその任意の立体異性体、塩、水和物もしくは溶媒和物を個体に投与する工程を包含し、ここで、そのメチルフェニデートプロドラッグ、アンフェタミンプロドラッグまたはメタンフェタミンプロドラッグは、メチルフェニデート自体、アンフェタミン自体またはメタンフェタミン自体と比べて、メチルフェニデート、アンフェタミンまたはメタンフェタミンの作用が長い。
【0059】
1つのバリエーションにおいて、上記方法は、APDによる治療の必要な個体においてAPDの乱用の可能性を減少させる方法であり、その方法は、APD部分および式(1A)、(1B)または(2)のプロドラッグ部分を含む、有効量のプロドラッグまたはその任意の立体異性体、塩、水和物もしくは溶媒和物を個体に投与する工程を包含し、ここで、そのプロドラッグは、親APDと比べて乱用を起こしにくい。1つのバリエーションにおいて、上記方法は、オピオイドによる治療の必要な個体においてオピオイドの乱用の可能性を減少させる方法であり、その方法は、オピオイド部分および式(1A)、(1B)または(2)のプロドラッグ部分を含む、有効量のプロドラッグまたはその任意の立体異性体、塩、水和物もしくは溶媒和物を個体に投与する工程を包含し、ここで、そのオピオイドプロドラッグは、親オピオイドと比べて乱用を起こしにくい。別のバリエーションにおいて、APDは、ベンゾジアゼピン、刺激剤または食欲抑制剤である。
【0060】
1つのバリエーションにおいて、上記方法は、メチルフェニデート、アンフェタミンまたはメタンフェタミンによる治療の必要な個体においてメチルフェニデート、アンフェタミンまたはメタンフェタミンの乱用の可能性を減少させる方法であり、その方法は、メチルフェニデート部分、アンフェタミン部分またはメタンフェタミン部分および式(1A)、(1B)または(2)のプロドラッグ部分を含む、有効量のプロドラッグまたはその任意の立体異性体、塩、水和物もしくは溶媒和物を個体に投与する工程を包含し、ここで、そのメチルフェニデートプロドラッグ、アンフェタミンプロドラッグまたはメタンフェタミンプロドラッグは、メチルフェニデート自体、アンフェタミン自体またはメタンフェタミン自体と比べて乱用を起こしにくい。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】N−ホスホノオキシメチルレボルファノールのHPLC解析
【図2】N−ホスホノオキシメチルレボルファノールのUVスペクトル
【図3】N−ホスホノオキシメチルレボルファノールのH−NMR
【図4】N−ホスホノオキシメチルレボルファノールのFT−IR
【図5】N−ホスホノオキシメチルレボルファノールの質量スペクトル
【図6】pH1.2におけるN−ホスホノオキシメチルレボルファノールの化学安定性
【図7】pH6におけるN−ホスホノオキシメチルレボルファノールの化学安定性
【図8】pH8におけるN−ホスホノオキシメチルレボルファノールの化学安定性
【図9】N−ホスホノオキシメチルレボルファノールの酵素安定性
【発明を実施するための形態】
【0062】
発明の詳細な説明
本発明のプロドラッグは、望ましくない特徴がその親薬物よりも少ない新規治療薬を提供する。例えば、オピオイドレセプターに対する親和性がその親オピオイドよりも低く、例えば、消化管中、血液中または投与部位においてその親オピオイドをゆっくりと放出する、オピオイドアゴニストまたはオピオイドアンタゴニストのプロドラッグは、医薬として大きな価値があり得る。消化管におけるプロドラッグからの親薬物の放出は、酵素的加水分解(すなわち、大腸に多量に存在するアルカリホスファターゼによる加水分解)によってもっぱら媒介され得るか、または化学的および/もしくは酵素的な加水分解の組み合わせとして生じ得る。ADPプロドラッグなどの本発明のプロドラッグからの親薬物の放出は、親薬物自体の投与に伴い得る低いかまたは逆の副作用(side affect)とおそらく共に、有益な薬理学的効果(例えば、痛覚消失、不安緩解、催眠、抗痙攣、筋弛緩、食欲不振またはCNS刺激をもたらし得る。
【0063】
オピオイドアゴニストのプロドラッグなどのAPDプロドラッグは、迅速な多幸感をもたらし得る薬物を求めるAPDの薬物中毒者または非医学的使用者にとってより魅力的でないと考えられている。すなわち、例えば、プロドラッグからの親APDの酵素的または化学的放出と相関関係にあるものとしてのAPDバイオアベイラビリティの不応時間は、親APDの投与と比べてAPDプロドラッグの作用が速やかに開始されるのを妨げる。例えば、迅速な作用開始は、他のベンゾジアゼピン類よりも、ジアゼパムの「末端価格」および「再使用」値を上昇させることが知られている(O’Brien C.P.“Benzodiazepine Use,Abuse and Dependence”,J.Clin.Psychiatry 2005.66[Suppl.2]:28−33を参照のこと)。他のAPD、例えば、オピオイド類は、同じ理由(すなわち、迅速な作用開始)に基づいて、それを乱用している者によって値がつけられる(Development and validation of an Opioid Attractiveness Scale:a novel measure of the attractiveness of opioid products to potential abusers,Harm Reduction Journal,2006.3:5を参照のこと)。プロドラッグからオピオイドなどの親APDが放出されるのが、遅れたり、ゆっくりであるとき、多幸感到達の開始も同様に遅くゆっくりになり、その薬物の非医学的使用を考えている者にとってオピオイドプロドラッグなどのAPDプロドラッグの魅力が低下する。
【0064】
プロドラッグからの親APD(例えば、オピオイドアゴニスト)のゆっくりとした放出または遅延放出(従って、オピオイドなどの親APDの制御された全身性吸収または遅延された全身性吸収)の別の利点は、過剰投与に起因する有害事象(例えば、呼吸抑制)が仮に発症するとしても、ゆっくりと発症し得るので、例えば、オピオイドアンタゴニスト(例えば、ナロキソン)による迅速な介入の機会を与えることができるという点である。本製剤によってもたらされるオピオイドアゴニストなどのAPDの局所的な高濃度が低下するので、オピオイドプロドラッグなどのAPDプロドラッグの投与は、オピオイド鎮痛薬などのAPDの胃腸の寛容性を同様に増大させるはずである。すなわち、プロドラッグの酵素的切断が、例えば、アルカリホスファターゼを介して生じると、その親薬物が、より下部の消化管においてゆっくり放出され、吸収されて、腸の管腔において比較的低濃度の親薬物(例えばオピオイド)がもたらされる。オピオイド鎮痛薬によってもたらされる嘔吐、悪心および便秘は、消化管における局所的な高濃度と密接に関係する(Are peripheral opioid antagonists the solution to opioid side effects? Anesth.Analg.2004.98:116−122を参照のこと)。
【0065】
「発明の簡単な要旨」およびその他の箇所において詳述されるプロドラッグなどの本開示を通して詳述されるプロドラッグが、本発明に包含される。本発明は、ベンゾジアゼピン類、CNS刺激剤、催眠薬、オピオイドアンタゴニストおよび食欲抑制剤(例えば、フェンメトラジンおよびレボルファノールなどの乱用の可能性が高いものが挙げられるがこれらに限定されない)のプロドラッグも企図する。オピオイドアンタゴニストプロドラッグ、例えば、メチルナルトレキソンプロドラッグの利点の1つは、メチルナルトレキソンが非常に有効であるが、限られた治療指数という欠点を有する、便秘の症状の緩和時などに、オピオイドアンタゴニストを使用することであり得る。メチルナルトレキソンなどのオピオイドアンタゴニストの消化管におけるゆっくりとした局在化された放出は、迅速かつ過剰な全身性吸収の可能性を低下させることによってこの欠点を回避することを助け得る(Are peripheral opioid antagonists the solution to opioid side effects? Anesth.Analg.2004.98:116−122を参照のこと)。消化管におけるプロドラッグから親オピオイドアンタゴニストへのゆっくりとした酵素的変換は、意図された作用部位(大腸および結腸)におけるオピオイドアンタゴニストの送達ももたらし得、その結果、例えば、オピオイドに誘導される痛覚消失を逆転させる能力を保持しながら、治療的に無益な全身性吸収の機会が減少する。本発明のプロドラッグが、他の親薬物(例えば、ベンゾジアゼピン類、CNS刺激剤、催眠薬および食欲抑制剤)を使用する場合に、同様の利点があり得る。
【0066】
生物学的な作用部位(例えば、レセプター)において不活性であるかまたは親薬物よりも活性でないプロドラッグ、ならびに親薬物を変更することによりそれを生物学的な作用部位において不活性にする方法およびそれらを使用する方法が、本発明に包含される。例えば、オピオイドレセプターにおいて不活性であるかまたは親オピオイドよりも活性でないオピオイドプロドラッグ、ならびに親オピオイドを変更することによりそれをオピオイドレセプターにおいて不活性にする方法およびそれらを使用する方法が、本発明に包含される。胃腸系のpHに類似の様々なpHにおいて化学的加水分解に対して安定であるが、大腸において選択的に活性な酵素によって放出可能であるオピオイドプロドラッグ、親オピオイドを変更することにより、それを胃腸系のpHに類似の様々なpHにおいて化学的加水分解に対して安定にするが、大腸において選択的に活性な酵素によって放出可能にする方法、およびそれらを使用する方法が、本発明に包含される。親オピオイドと比べて、オピオイド活性の開始を遅延させる方法および/またはオピオイド活性を延長する方法および/またはオピオイドの乱用の可能性を減少させる方法もまた、本発明に包含される。本明細書中のプロドラッグまたは製剤を使用して疼痛を処置するための方法もまた記載される。いくつかのバリエーションにおいて、疼痛は、外傷(例えば、手術または別のものによるもの)、変形性関節症、関節リウマチ、腰痛、線維筋痛症、帯状疱疹後神経痛、糖尿病性ニューロパシー、HIV関連ニューロパシーおよび複合性局所性疼痛症候群に関連する疼痛からなる群から選択される。
【0067】
すべてのベンゾジアゼピン類のうち、ジアゼパムおよびフルラゼパムは、経口投与時に迅速に作用を開始するが、半減期が長く、ゆえに投薬頻度が少なくてすむ。それらの迅速な作用の開始は、乱用の可能性をもたらし、それによって、使用の選択に悪影響を及ぼす。本発明によって企図されるこれらのベンゾジアゼピン類のプロドラッグは、作用の開始を遅延させ得、それにより、多くの医師がこれを選択するようになり得る。
【0068】
静脈内用の剤形として投与するために製剤化される親薬物は、プロドラッグに変換することによって溶解性を改善するための候補である。プロドラッグの改善された水溶性とは、投与された薬物が投与部位において結晶化するかまたは沈殿する恐れなく、高用量の化合物が低用量容積で患者に送達され得るので、静脈刺激および静脈炎のリスクを最小限にするか、または無くすことを意味する。そのようなプロドラッグを含む製剤は、必要とされる有益な治療的効果をなおも提供しつつ、より良好に寛容されるはずであり、より安全であり得る。このクラスの分子が一般に改善された水溶性を示すにもかかわらず、親薬物のホスフェート誘導体自体は、消化管から受動的または能動的に吸収されないので、経口的に生物学的に利用可能でない。ホスホン酸基を有する化合物が消化管から能動的または受動的に吸収されないことは、広く認識されている。従って、本発明のプロドラッグは、消化管に存在するだけで、代謝的に活性化されるか、または排泄される。このことから、個体が、APDなどの親薬物に全身性に曝露されることが少なくとも減るかまたは無くなるという安全性の利点がもたらされる。
【0069】
本発明はまた、レボルファノールなどの親オピオイドが、オピオイドプロドラッグからの放出後に全身性吸収に利用可能であることも企図する。レボルファノールまたは他のオピオイド類は、時間をかけてゆっくりと放出され、迅速な高用量のオピオイドに関連する副作用を軽減する。これらの副作用としては、悪心、嘔吐、眩暈、疲労、傾眠および呼吸抑制が挙げられる。オピオイドプロドラッグは、ミューおよび/もしくは他のオピオイドレセプターに対して低い親和性を示し得るか、または親和性をまったく示さず、ゆえに、親オピオイドに生物変換される前はオピオイドレセプターにおいて本質的にまたは完全に薬理学的に不活性である。理論に拘束するつもりはないが、オピオイドプロドラッグのプロドラッグ部分(例えば、ホスホノオキシアルキル基)は、投与時に、大腸において除去されるかまたは切断されて(例えば、アルカリホスファターゼによって加水分解され得て)、制御された様式で遊離親オピオイドを放出すると考えられている。従って、親オピオイドの投与後の従来の即時放出プロファイルと比べて、比較的遅れた放出プロファイルおよび徐放性のプロファイルが、オピオイドプロドラッグに対して予想され、それは、より長い痛覚消失を保証するだけでなく、呼吸抑制などの用量依存的で重大な副作用のリスクを最小限にもする。
【0070】
本発明は、プロドラッグならびにそれを作製する方法および使用する方法を包含し、ここで、そのプロドラッグの親薬物部分は、任意の親薬物(例えば、APD、天然、半合成もしくは合成の起源のオピオイドアゴニストまたはアンタゴニスト、ベンゾジアゼピン類、CNS刺激剤、食欲抑制剤および乱用の可能性が知られている他の薬物)から入手可能である。いくつかの例示的なオピオイド類は、以下の構造(A)に示される化学構造:
【0071】
【化20】

を含む。
【0072】
構造(A)において、太字で示されている上記構造の一部分は、オピオイド活性に対するファルマコフォアである。歴史的には、主として、オピオイド類の誘導体化は、上記のような化合物のR位、R位およびR位の化学修飾に焦点が当てられてきた。これらの分子の、オピオイドアゴニスト、アンタゴニストまたは混合型アゴニスト−アンタゴニストとしての厳格な構造要件によって、構造改変にとって非常に望ましくない位置に第三級アミンが与えられていた。なぜなら、本分子のこの部分における小さい改変によって活性が喪失し得るからである。例えば、N−エチルモルヒネにおいて、Rがエチルから水素に変更されるとき、鎮痛効果は、75%低下する。多くのオピオイドアンタゴニスト(例えば、ナルブフィン、ナルメフェン、オキシロルファン(oxilorphan)、ナルトレキソン、シクロルファン(cyclorphan))の場合、メチルシクロプロピルなどの嵩高い基によるN−置換が存在し、これは、窒素置換基の変更によって、そのオピオイドのアゴニストまたはアンタゴニストの性質が決定され得ることを示唆している。ゆえに、歴史的には、構造(A)のオピオイド核のアミン部分の誘導体化が、大規模に試みられていなかった。しかしながら、本発明者らは、そのプロドラッグの活性が低いかまたは無いことが望ましく、かつそのプロドラッグがオピオイドプロドラッグよりも本質的に高い生物学的活性を有する親オピオイドを放出することができる場合に、そのようなオピオイド類のアミンの誘導体化が、そのような化合物をプロドラッグとして使用する場合に魅力的であることを見出した。
【0073】
本発明は、オピオイドプロドラッグ、ならびにそれを作製する方法および使用する方法を包含し、ここで、そのプロドラッグのオピオイド部分は、構造(A)に示されるような化学構造を含むオピオイドから入手可能であり、上記プロドラッグは、Rを含むオピオイド窒素への共有結合を介してオピオイド部分に結合され、R、R、RおよびRは、下記の式(I)に対して定義されるとおりであり得る。好ましくは、そのようなプロドラッグは、オピオイドレセプターに結合しないかまたはその親オピオイドと比べてオピオイドレセプターに対する結合親和性が低いかもしくは無いが、オピオイドレセプターに結合し、オピオイドプロドラッグと比べてオピオイドレセプターに対する結合親和性が固有でありかつ高い親オピオイドを放出する。1つのバリエーションにおいて、プロドラッグ部分は、メトキシホスホン酸部分である。別のバリエーションにおいて、プロドラッグ部分は、エトキシホスホン酸部分である。プロドラッグ部分は、式(1A)、(1B)または(2)のプロドラッグ部分であり得る。別のバリエーションにおいて、プロドラッグのオピオイド部分のR、R、Rおよび/またはR基の性質を変化させることによって、上記プロドラッグの物理的および/または化学的特性を操作して、加水分解の速度ならびに/または薬物動態および/もしくは薬力学が制御され、ここで、上記オピオイド部分は、構造Aに示される構造を有するオピオイドから入手可能である。加水分解の速度および他の薬物動態特性は、製剤化学によっても操作され得る。
【0074】
本発明は、任意の適当な親薬物のプロドラッグ(例えば、ベンゾジアゼピン類、CNS刺激剤、構造(A)によって表されないオピオイド類およびAPDが挙げられるがこれらに限定されない)、ならびにそのプロドラッグを作製する方法および使用する方法を包含する。1つのバリエーションにおいて、プロドラッグは、構造II〜IXから選択されるプロドラッグである。1つの局面において、プロドラッグ部分は、親薬物の窒素への共有結合を介して親薬物部分に結合される。好ましくは、そのようなプロドラッグは、親薬物の固有の生物活性を全く示さないか、または低い生物活性しか示さない。しかしながら、酵素的および/または化学的に切断されるとき、親薬物は、その固有の生物活性を顕すように放出される。プロドラッグ部分の切断は、親薬物の作用の開始を遅延させる。この遅延は、親薬物のプロドラッグ(例えば、APDプロドラッグ)を、迅速な反応を求める乱用者にとって望ましくないものにし得る。1つのバリエーションにおいて、プロドラッグ部分は、メトキシホスホン酸である。別のバリエーションにおいて、プロドラッグ部分は、エトキシホスホン酸である。プロドラッグ部分は、式(1A)、(1B)または(2)であり得る。別のバリエーションにおいて、プロドラッグの親薬物部分の置換基の性質を変化させることによって、上記プロドラッグの物理的および/または化学的特性を操作して、加水分解の速度ならびに/または薬物動態および/もしくは薬力学が制御され、ここで、親薬物部分は、構造II〜IXを有する任意の親薬物から入手可能である。
【0075】
定義
本明細書中での使用について、用語「乱用傾向薬物」または「APD」の使用は、別段明確に示されない限り、不正使用の可能性を有するか、または有すると考えられる任意の薬物のことを指す。その不正使用は、乱用の可能性が、同様の患者集団もしくは異なる患者集団において知られていないか、または存在しないと考えられる薬物と比べて、物理的依存性をもたらすかもしくはもたらす可能性があると考えられ得るか、または既存の物理的依存性を満足させると考えられ得る。不正使用は、一般に、事実上、強迫性であり、その薬物の通常の治療的な有用性の外側に存在するものである。
【0076】
本明細書中での使用について、用語「APDプロドラッグ」の使用は、別段明確に示されない限り、APD部分−プロドラッグ部分という形の化合物のことを指す。APDプロドラッグは、式(1A)、(1B)または(2)のプロドラッグ部分およびAPD部分を含み、ここで、そのプロドラッグは、共有結合によってAPD部分に結合している。APDプロドラッグの誘導体、立体異性体、塩、水和物または溶媒和物は、本発明によって包含される。
【0077】
本明細書中での使用について、用語「a」、「an」などの使用は、別段明確に示されない限り、1つまたはそれ以上のことを指す。
【0078】
本明細書中での使用について、「個体」は、別段明確に示されない限り、本明細書中で使用されるとき、哺乳動物のことを意図しており、その哺乳動物としては、ヒトが挙げられるがこれに限定されない。その個体は、オピオイド治療などの親薬物治療の必要のあるヒトであり得る。例えば、その個体は、急性疼痛または慢性疼痛に関連する1つ以上の症状を示すヒトであり得る。その個体は、神経因性疼痛に関連する1つ以上の症状を示すヒト(例えば、糖尿病性ニューロパシー、帯状疱疹後神経痛、HIV/AIDS、複合性局所性疼痛症候群、三叉神経痛、肢端紅痛症もしくは幻痛と診断されたヒト、または神経への外傷性の損傷を経験したことのあるヒト)であり得る。その個体は、炎症性疼痛に関連する1つ以上の症状を示すヒト(例えば、変形性関節症、関節リウマチまたは腰痛などの慢性炎症状態と診断されたヒト)であり得る。その個体は、混合型の炎症性/神経因性疼痛に関連する1つ以上の症状を示すヒトであり得る。その個体は、外傷性の損傷または手術に起因する疼痛に関連する1つ以上の症状を示すヒトであり得る。その個体は、CNSの損傷または機能不全に関連する1つ以上の症状を示すヒトであり得る。その個体は、睡眠障害に関連する1つ以上の症状を示すヒトであり得る。その個体は、ADHDに関連する1つ以上の症状を示すヒトであり得る。その個体は、オピオイド応答性状態と診断されたかまたはそれに関連する症状を示しているヒトであり得る。その個体は、ベンゾジアゼピン応答性状態と診断されたかまたはそれに関連する症状を示しているヒトであり得る。その個体は、CNS薬応答性状態と診断されたかまたはそれに関連する症状を示しているヒトであり得る。その個体は、刺激剤応答性状態と診断されたかまたはそれに関連する症状を示しているヒトであり得る。その個体は、食欲抑制剤応答性状態と診断されたかまたはそれに関連する症状を示しているヒトであり得る。その個体は、APD応答性状態と診断されたかまたはそれに関連する症状を示しているヒトであり得る。
【0079】
本明細書中で使用されるとき、プロドラッグ、薬物、化合物または薬学的組成物の「有効な投薬量」または「有効量」は、有益な結果または所望の結果をもたらすと考えられる量か、またはもたらすのに十分な量である。治療的な使用に関して、有益な結果または所望の結果としては、疾患もしくは状態の開始および/または発症を抑制するかまたは減少させること、あるいは、親薬物治療に応答性の疾患または状態に起因する1つ以上の症状(生化学的、組織学的および/または行動性のもの)を減少させること(例えば、親薬物治療に応答性の疾患または状態に罹患している者の生活の質を増大させること、および/あるいはその疾患または状態を処置するために必要な、親薬物または他の薬剤、薬物、化合物もしくは薬学的組成物の用量を減少させること、および/あるいはその個体の疾患または状態を処置するために必要な薬剤に関連する1つ以上の副作用を減少させるか、または無くすことが挙げられる)などの結果が挙げられる。上記疾患または状態は、オピオイド、ベンゾジアゼピン、刺激剤、食欲抑制剤、APDまたはCNS親薬物に対して応答性であると考えられるものであり得る。例えば、治療的な使用に関して、有益な結果または所望の結果としては、疼痛の開始および/または発症を抑制するかまたは減少させること、あるいは、オピオイド治療に応答性の疾患または状態に起因する1つ以上の症状(生化学的、組織学的および/または行動性のもの)を減少させること(例えば、オピオイド治療に応答性の疾患または状態に罹患している者の生活の質を増大させること、および/あるいは疾患または状態を処置するために必要な、オピオイドまたは他の薬剤、薬物、化合物もしくは薬学的組成物の用量を減少させること、および/あるいはその個体の疾患または状態を処置するために必要な薬剤に関連する1つ以上の副作用を減少させるか、または無くすことが挙げられる)などの結果が挙げられる。有効な投薬量は、1回以上の投与で投与され得る。本発明の目的で、プロドラッグ、薬物、化合物または薬学的組成物の有効な投薬量は、直接または間接的に予防的または治療的な処置を達成するのに十分な量である。臨床の状況において理解されるように、プロドラッグ、薬物、化合物または薬学的組成物の有効な投薬量は、別の薬物、化合物または薬学的組成物と併用して達成されてもよいし、併用せずに達成されてもよい。従って、「有効な投薬量」は、1つ以上の治療薬を投与する状況において考慮され得、また、単一の薬剤が、1つ以上の他の薬剤と併用して望ましい結果が達成され得るかまたは達成される場合に、有効量で投与されると考えられ得る。
【0080】
本明細書中で使用されるとき、「併用での」投与には、同時投与および/または異なる時点での投与が含まれる。併用での投与は、同時製剤(co−formulation)としての投与または別個の組成物としての投与も含まれる。
【0081】
本明細書中で使用されるとき、「薬学的に許容可能なキャリア」は、活性成分と組み合されるとき、その成分の生物学的活性の保持を可能にする任意の材料を含む。例としては、標準的な薬学的キャリアのいずれか(例えば、リン酸緩衝食塩水、水、エマルジョン(例えば、油/水エマルジョン)および様々なタイプの湿潤剤)が挙げられるが、これらに限定されない。そのようなキャリアを含む組成物は、従来の周知の方法によって製剤化される(例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences,第18版,A.Gennaro編,Mack Publishing Co.,Easton,Pa.,1990;およびRemington,The Science and Practice of Pharmacy 第20版.Mack Publishing,2000を参照のこと)。
【0082】
本明細書中で使用されるとき、「処置」または「処置する」は、臨床結果をはじめとした、有益な結果または所望の結果を得るためのアプローチである。本発明の目的で、有益な臨床結果または所望の臨床結果としては、疾患もしくは状態、または親薬物治療に応答性である疾患もしくは状態に起因する症状の、発生および/または発症および/または重症度を阻害することか、抑制することか、または減少させること(例えば、親薬物治療に応答性の疾患または状態に罹患している者の生活の質を増大させることが挙げられる)が挙げられるが、これらに限定されない。上記疾患または状態は、オピオイド、ベンゾジアゼピン、刺激剤、食欲抑制剤、APDまたはCNS親薬物に対して応答性であると考えられているものであり得る。例えば、本発明の目的で、有益な臨床結果または所望の臨床結果としては、オピオイド治療に応答性である疾患もしくは状態に起因する疼痛または症状の、発生および/または発症および/または重症度を阻害することか、抑制することか、もしくは減少させること(例えば、オピオイド治療に応答性の疾患または状態に罹患している者の生活の質を増大させることが挙げられる)、あるいは、ベンゾジアゼピン治療に応答性である疾患もしくは状態に起因する心理学的な障害または症状の、発生および/または発症および/または重症度を阻害することか、抑制することか、もしくは減少させること(例えば、ベンゾジアゼピン治療に応答性の疾患または状態に罹患している者の生活の質を増大させることが挙げられる)、あるいはADHDまたはCNS刺激剤による治療に応答性である疾患もしくは状態に起因する症状の、発生および/または発症および/または重症度を阻害することか、抑制することか、もしくは減少させること(例えば、CNS刺激剤による治療に応答性の疾患または状態に罹患している者の生活の質を増大させることが挙げられる)、あるいはフェンメトラジンまたはフェンジメトラジンによる治療に応答性である疾患もしくは状態に起因する症状の、発生および/または発症および/または重症度を阻害することか、抑制することか、もしくは減少させること(例えば、フェンメトラジンまたはフェンジメトラジンによる治療に応答性の疾患または状態に罹患している者の生活の質を増大させることが挙げられる)、ならびに/あるいは上記疾患または状態を処置するために必要な他の薬剤の用量を減少させること、および/またはその個体の疾患もしくは状態を処置するのに必要な薬剤に関連する1つ以上の副作用を減少させることかもしくは無くすこと、が挙げられるが、これらに限定されない。1つのバリエーションにおいて、本発明の方法および組成物、特にオピオイドプロドラッグは、任意の原因の疼痛(例えば、急性および慢性の疼痛、炎症性の要素を伴う任意の疼痛、ならびにオピオイド鎮痛薬が通常処方される任意の疼痛が挙げられる)の処置に有用である。疼痛の例としては、術後疼痛、手術後疼痛(歯痛を含む)、片頭痛、頭痛および三叉神経痛、火傷、創傷または腎石に関連する疼痛、外傷(外傷性頭部損傷を含む)に関連する疼痛、神経因性疼痛(例えば、末梢神経障害および帯状疱疹後神経痛)、筋骨格障害(例えば、関節リウマチ、変形性関節症、膀胱炎、膵炎、炎症性腸疾患、強直性脊椎炎、血清反応陰性(非リウマチ様)関節症、非関節性リウマチおよび関節周囲の障害)に関連する疼痛、および癌に関連する疼痛(「突出痛」および末期癌に関連する疼痛を含む)が挙げられる。炎症性の要素を伴う疼痛の例(上で記載されたもののいくつかに加えて)としては、リウマチ性の疼痛、粘膜炎および月経困難に関連する疼痛が挙げられる。いくつかのバリエーションにおいて、本発明の方法および組成物は、術後疼痛および癌疼痛の処置または予防に使用される。いくつかのバリエーションにおいて、本発明の方法および組成物は、手術、外傷、変形性関節症、関節リウマチ、腰痛、線維筋痛症、帯状疱疹後神経痛、糖尿病性ニューロパシー、HIV関連ニューロパシーおよび複合性局所性疼痛症候群に関連する疼痛からなる群から選択される疼痛の処置または予防に使用される。別のバリエーションにおいて、本発明の方法および組成物、特に、CNSプロドラッグは、任意の原因の精神的障害(例えば、ベンゾジアゼピンまたはCNS刺激剤が通常処方される、急性および慢性の任意の精神的障害が挙げられる)の処置に有用である。精神的障害の例としては、一過性または短期間の不眠、急性ストレス反応、突発性不安症、全般的な不安、適応障害、重篤なパニック障害、広場恐怖、癲癇、いくつかの運動障害、急性精神病、うつ、筋痙攣およびてんかん、眩暈、倦怠感、頭痛、蒼白、ADHDおよび心因性過食(compulsive overeating)が挙げられる。
【0083】
本明細書中で使用されるとき、「オピオイド」または「オピオイド鎮痛薬」とは、一般的な意味において、オピオイドレセプターにおいて作用することができる天然、合成または半合成のすべての薬物のことを指し、それは、当業者に公知のインビトロにおける結合アッセイによって測定され得る。本発明によれば、オピオイド類には、1つ以上のオピオイドレセプター(例えば、ミュー、デルタおよびカッパー(それぞれモルヒネ、エンケファリン類およびダイノルフィン類が結合する)ならびにそのサブタイプ)上で作用し得る薬剤が含まれる。薬理学的に、これらの化合物は、多種多様な活性を有し得、従って、いくつかは、オピオイドレセプターにおいて強力なアゴニストである(例えば、モルヒネ);その他のものは、中程度から軽度のアゴニストである(例えば、コデイン);なおも他のものは、混合型のアゴニスト−アンタゴニスト活性を示す(例えば、ナルブフィン);そして、さらに他のものは、部分的なアゴニストである(例えば、ナロルフィン)。いくつかのバリエーションにおいて、オピオイドは、ナロキソンなどのオピオイドアンタゴニストである。他のバリエーションにおいて、オピオイドは、オピオイドアゴニストである。
【0084】
本明細書中で使用されるとき、「オピオイドプロドラッグ」とは、オピオイド部分−プロドラッグ部分の形の化合物のことを指す。オピオイドプロドラッグは、酵素的反応または非酵素的反応(例えば、化学的な加水分解)によって体内で親オピオイドに変換されるか、または親オピオイドを放出する。オピオイドプロドラッグは、任意の方法(例えば、線形合成(linear synthesis)またはオピオイド部分に対するプロドラッグ部分の結合体化)によって作製され得る。例えば、親オピオイドがプロドラッグ部分の共有結合によって改変されて、オピオイドプロドラッグがもたらされ得る。その親オピオイドは、一般に、プロドラッグ部分の除去によって、例えば、プロドラッグ部分の加水分解または酵素的切断によって入手可能である。
【0085】
本明細書中で使用されるとき、「親オピオイド」とは、プロドラッグ部分を含まないオピオイドのことを指す。例えば、実施例1のレボルファノールプロドラッグ(化合物7)の親オピオイドは、レボルファノールである。
【0086】
本明細書中で使用されるとき、「親薬物」とは、プロドラッグ部分を含まない薬物のことを指す。
【0087】
本明細書中で使用されるとき、「ベンゾジアゼピン類」とは、一般的な意味において、当業者に公知の天然、合成または半合成のすべてのベンゾジアゼピン類のことを指す。薬理学的には、これらの化合物は、多種多様な活性(例えば、催眠、抗不安、抗痙攣、筋弛緩および健忘)を有し得る。
【0088】
本明細書中で使用されるとき、「ベンゾジアゼピンプロドラッグ」とは、ベンゾジアゼピン部分−プロドラッグ部分の形の化合物のことを指す。ベンゾジアゼピンプロドラッグは、酵素的反応または非酵素的反応(例えば、化学的な加水分解)によって体内で親ベンゾジアゼピンに変換されるか、または親ベンゾジアゼピンを放出する。ベンゾジアゼピンプロドラッグは、任意の方法(例えば、線形合成またはベンゾジアゼピン部分に対するプロドラッグ部分の結合体化)によって作製され得る。例えば、親ベンゾジアゼピンは、プロドラッグ部分の共有結合によって改変されて、ベンゾジアゼピンプロドラッグがもたらされ得る。その親ベンゾジアゼピンは、一般に、プロドラッグ部分の除去によって、例えば、プロドラッグ部分の加水分解または酵素的切断によって入手可能である。
【0089】
本明細書中で使用されるとき、「親ベンゾジアゼピン」とは、プロドラッグ部分を含まないベンゾジアゼピンのことを指す。例えば、ジアゼパムプロドラッグの親ベンゾジアゼピンは、ジアゼパムである。
【0090】
本明細書中で使用されるとき、「CNS薬」は、中枢神経系に影響を及ぼす薬物である。
【0091】
本明細書中で使用されるとき、「CNS刺激剤」とは、一般的な意味において、当業者に公知の天然、合成または半合成の、すべてのCNS刺激剤のことを指す。そのようなCNS刺激剤の例としては、メチルフェニデート、デキサメチルフェニデート、アンフェタミンおよびメタンフェタミンが挙げられるがこれらに限定されない。
【0092】
本明細書中で使用されるとき、「CNS刺激剤プロドラッグ」とは、CNS刺激剤部分−プロドラッグ部分の形の化合物のことを指す。CNS刺激剤プロドラッグは、酵素的反応または非酵素的反応(例えば、化学的な加水分解)によって体内で親CNS刺激剤に変換されるか、または親CNS刺激剤を放出する。CNS刺激剤プロドラッグは、任意の方法(例えば、線形合成またはCNS刺激剤部分に対するプロドラッグ部分の結合体化)によって作製され得る。例えば、親CNS刺激剤は、プロドラッグ部分の共有結合によって改変されて、CNS刺激剤プロドラッグがもたらされ得る。その親CNS刺激剤は、一般に、プロドラッグ部分の除去によって、例えば、プロドラッグ部分の加水分解または酵素的切断によって入手可能である。
【0093】
本明細書中で使用されるとき、「親CNS刺激剤」とは、プロドラッグ部分を含まないCNS刺激剤のことを指す。例えば、メチルフェニデートプロドラッグの親CNS刺激剤は、メチルフェニデートである。
【0094】
本明細書中で使用されるとき、「食欲抑制剤」とは、一般的な意味において、当業者に公知の天然、合成または半合成の、すべての食欲抑制剤のことを指す。そのような食欲抑制剤の例としては、フェンメトラジンおよびフェンジメトラジンが挙げられるがこれらに限定されない。
【0095】
本明細書中で使用されるとき、「食欲抑制剤プロドラッグ」とは、食欲抑制剤(ANREXIANT)部分−プロドラッグ部分の形の化合物のことを指す。食欲抑制剤プロドラッグは、酵素的反応または非酵素的反応(例えば、化学的な加水分解)によって体内で親食欲抑制剤に変換されるか、または親食欲抑制剤を放出する。食欲抑制剤プロドラッグは、任意の方法(例えば、線形合成または食欲抑制剤部分に対するプロドラッグ部分の結合体化)によって作製され得る。例えば、親食欲抑制剤は、プロドラッグ部分の共有結合によって改変されて、食欲抑制剤プロドラッグがもたらされ得る。その親食欲抑制剤は、一般に、プロドラッグ部分の除去によって、例えば、プロドラッグ部分の加水分解または酵素的切断によって入手可能である。
【0096】
本明細書中で使用されるとき、「親食欲抑制剤」とは、プロドラッグ部分を含まない食欲抑制剤のことを指す。例えば、フェンメトラジンプロドラッグの親食欲抑制剤は、フェンメトラジンである。
【0097】
本明細書中で使用されるとき、「オピオイド部分」とは、オピオイドプロドラッグに存在する親オピオイドの残基またはラジカルのことを指す。例えば、実施例1のレボルファノールプロドラッグ(化合物7)のオピオイド部分は、レボルファノールから誘導可能なレボルファノールプロドラッグの一部分である:
【0098】
【化21】

本明細書中で使用されるとき、「開始を遅延させる」または「開始の遅延」とは、同じ投与経路による、同じ期間内の同じ量の親薬物の投与と比べて、プロドラッグによってもたらされる作用が開始するまでの時間が延びることを指す。例えば、オピオイドプロドラッグは、好ましくは、親オピオイドと比べてオピオイドレセプターに対する親和性が全く無いかまたは低く、消化管内、血液中または投与部位において親オピオイドをゆっくり放出する。消化管における親オピオイドの放出は、酵素的加水分解(すなわち、大腸に多量に存在するアルカリホスファターゼによる加水分解)によってもっぱら媒介され得るか、または化学的加水分解と酵素的加水分解との組み合わせであり得るか、もしくは他の化学反応によるものであり得る。プロドラッグからの親オピオイドのゆっくりとした放出は、個体に対する同じ量の親オピオイドの投与と比べて、親オピオイドに対する全身性曝露の遅延をもたらすはずである。同様の結果は、本発明の他のプロドラッグによって得られる場合がある。
【0099】
本明細書中で使用されるとき、「活性を延長する」または「活性の延長」とは、プロドラッグから親薬物を放出するか、または別途プロドラッグから親薬物を生成するのに必要な時間のおかげで、プロドラッグによってもたらされる持続性の作用のことを指す。例えば、オピオイドプロドラッグの投与は、同じ投与経路による同じ時間にわたる同じ量の親オピオイドの投与と比べて、親オピオイドの持続放出をもたらし得る。「徐放」とは、個体におけるオピオイドなどの親薬物またはその代謝産物の血中濃度が、長時間にわたって治療的な範囲に維持されるか、またはその範囲内(例えば、鎮痛薬の最低有効濃度よりも高いが、毒性レベルより低い)に維持される速度での、オピオイドなどの親薬物の放出のことを指す。この文脈における長時間とは、オピオイドプロドラッグとしてではなく親オピオイドとして投与される同じ量の対応親オピオイドが治療的な範囲内の親オピオイド(またはその代謝産物)の血中濃度をもたらす時間よりも長い任意の時間のことを意図している。
【0100】
本明細書中で使用されるとき、「乱用の可能性を減少させる」または「乱用の可能性の減少」とは、親APDと比べて、APDプロドラッグの不適切な投与の可能性の減少のことを指し、ここで、APDプロドラッグは、指導のもと投与されたときに、なおも治療的に有効な用量の親APDを送達することができる。APDまたはそのプロドラッグの乱用の全体的な可能性は、任意の1つの因子によって確証されない。その代わり、休薬が薬物探索行動をもたらす十分な窮迫を引き起こす種類の身体依存をその薬物がもたらす能力;他の薬剤からの離脱によって引き起こされる離脱症状を抑制する能力;モルヒネおよび他のオピオイド類によってもたらされるのと同様の多幸感を誘導する程度;多幸感(eurphoria)を誘導する迅速さ;通常の治療的な範囲を超えてその薬物が投薬されるときに生じる毒性のパターン;および水溶性などの薬物の物理的特徴をはじめとした複合的な因子が存在する。APDプロドラッグが、多幸感を迅速に誘導せず、そして/または長時間にわたって治療的な範囲を超えた親APDの薬物の血中濃度をもたらさず、そして/または親オピオイドもしくはその代謝産物の治療的な薬物血中濃度を維持するために複数回のボーラス用量を必要としないので、1つ以上の因子(例えば、オピオイドなどの親APDが作用するまでの時間および/または徐放)が、親APDと比べて薬物乱用に対するAPDプロドラッグの魅力を低下させるはずである。APDプロドラッグの乱用の可能性は、当該分野で公知の方法(米国特許公開番号2004008656およびJasinski D R.,“Assessment of the Abuse Potential of Morphine−Like Drugs(methods used in man).”Drug Addiction I(Martin,W.R.編),1997:197−258.Springer−Verlag,New York and Preson K L,Jasinski D R,Testa M.“Abuse Potential and Pharmacological Comparison of Tramadol and Morphine.”Drug and Alcohol Dependence 1991;27:7−17(これらの各々は、本明細書によって参考として援用される)に記載されているような患者への質問票が挙げられるがこれらに限定されない)によってその親APDの乱用の可能性と比較され得る。オピオイドプロドラッグの魅力と既存のオピオイド鎮痛薬の魅力との比較もまた、オピオイド魅力測定尺度(Opioid Attractiveness Scale)と呼ばれる有効な医療機器を用いて行われ得る(Development and validation of an Opioid Attractiveness Scale:a novel measure of the attractiveness of opioid products to potential abusers,Harm Reduction Journal,2006.3:5を参照のこと)。オピオイドプロドラッグの相対的な魅力およびその乱用の可能性は、げっ歯類、ブタ、イヌまたは非ヒト霊長類を用いるインビボ研究(例えば、薬物弁別、自己投与および依存可能性アッセイ)に基づいても予測され得る。例えば、Colpaert FC and Janssen PA.OR discrimination:a new drug discrimination method.Eur J Pharmacol.1982 Feb 19;78(1):141−144;またはLyness WH,Smith FL,Heavner JE,Iacono CU,Garvin RD.Morphine self−administration in the rat during adjuvant−induced arthritis.Life Sci.1989;45(23):2217−2224を参照のこと。
【0101】
「アルキル」とは、好ましくは、1〜20個の炭素原子を有し(「C−C20アルキル」)、より好ましくは、1〜10個の炭素原子または1〜6個の炭素原子を有する、直鎖、分枝鎖または環状の炭化水素構造のことを指す。この用語の例としては、メチル、t−ブチル、n−ヘプチル、オクチル、シクロブチルメチル、シクロプロピルメチルなどの基が挙げられる。「非置換アルキル」とは、任意のさらなる置換基で置換されないアルキル基のことを指す。特定数の炭素を有するアルキル残基に名前が付けられているとき、その数の炭素を有するすべての幾何異性体が包含されると意図される;従って、例えば、「ブチル」は、n−ブチル、sec−ブチル、イソブチルおよびt−ブチルを包含すると意味される。
【0102】
「置換アルキル」とは、好ましくは、1〜5個の置換基を有する1〜10個の炭素原子のアルキル基のことを指し、その置換基としては、ハロゲン、アルコキシ、アシル、アシルアミノ、アシルオキシ、アミノ、ヒドロキシル、メルカプト、カルボキシル、アリール、シアノ、ニトロなどの基が挙げられるがこれらに限定されない。例えば、アルカリール基(アルキル−アリール)は、置換アルキルであり、これは、プロピルベンゼンなどの部分を含み、その部分は、アリールまたはアルキル部を介して、最も好ましくは、置換基のアルキル部を介して、親構造に結合される。
【0103】
「アルケニル」とは、好ましくは、2〜20個の炭素原子を有し(「C−C20アルケニル」)、より好ましくは、2〜10個の炭素原子または2〜6個の炭素原子を有し、かつ、アルケニル不飽和の部位を少なくとも1個、好ましくは、1〜2個を有する、直鎖、分枝鎖または環状の炭化水素構造のことを指す。「非置換アルケニル」とは、任意のさらなる置換基で置換されないアルケニル基のことを指す。特定数の炭素を有するアルケニル残基に名前が付けられているとき、その数の炭素を有するすべての幾何異性体が包含されると意図される。この用語の例としては、プロペン−3−イル(−CH−CH=CH)、3−メチル−ブト−2−エニルおよび(=CH)などの基が挙げられる。=CHで表される基は、例えば、二重結合を介して親構造のsp2混成炭素原子からCHへの結合を示している。
【0104】
「置換アルケニル」とは、好ましくは、1〜5個の置換基を有するC−C10アルケニルであるアルケニル基のことを指し、その置換基としては、ハロゲン、アルコキシ、アシル、アシルアミノ、アシルオキシ、アミノ、ヒドロキシル、メルカプト、カルボキシル、アリール、シアノ、ニトロなどの置換基が挙げられるがこれらに限定されない。
【0105】
「アルコキシ」とは、「アルキル−O−」基のことを指し、その例としては、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソ−プロポキシ、n−ブトキシ、tert−ブトキシ、sec−ブトキシ、n−ペントキシ、n−ヘキソキシ、1,2−ジメチルブトキシなどが挙げられる。
【0106】
「置換アルコキシ」とは、「置換アルキル−O−」基のことを指す。
【0107】
「アルコキシアルキル」とは、「アルキル−O−アルキル−」基のことを指し、その例としては、メトキシメチルなどが挙げられる。
【0108】
「アルカノエート」とは、「アルキル−C(=O)−O−」のことを指し、その例としては、エタノエートおよびペンタノエートが挙げられる。「アルキル−アルカノエート」とは、「−アルキル−O−C(=O)アルキル」のことを指し、例えば、−CH(CHCH)−O−C(=O)CHである。
【0109】
「カルボニルアルキル」とは、−C(=O)アルキルのことを指し、その例としては、−C(=O)−CHCHが挙げられる。
【0110】
「アルコキシホスホン酸」とは、「アルキル−O−P(=O)(OH)」のことを指すか、または、親構造に連結されている部分について言及するかもしくはその部分を意味するとき、アルコキシホスホン酸がアルキル部分を介して親構造に結合する「−アルキル−O−P(=O)(OH)」ラジカルのことを指す。この用語の例としては、メトキシホスホン酸およびエトキシホスホン酸ならびにそのラジカル−CH−O−P(=O)(OH)、−CH(CH)OP(O)(OH)および−CHCH−O−P(=O)(OH)などの基が挙げられる。
【0111】
「アルキルカルボニルアルコキシ」とは、アルキル−C(=O)−O−アルキルのことを指す。1つのバリエーションにおいて、そのアルキルカルボニルアルコキシとは、C−Cアルキル−C(=O)−O−C−Cアルキル部分のことを指す。例示的なアルキルカルボニルアルコキシは、−CHCHC(=O)OCHである。
【0112】
本方法、製剤およびキットにおいて使用するための化合物
生体適合性で生理的に除去可能なプロドラッグ部分を含めるために、本発明に従って親薬物を改変してもよく、そのプロドラッグ部分は、インビボにおいて除去可能であり、それによって、親薬物、その薬学的に許容可能な塩またはその生物学的に活性な代謝産物が提供される。第三級アミンまたは第二級アミンを有する任意の親薬物が、本明細書中に記載される方法における使用に適している。プロドラッグの投与により、好ましくは、以下:親薬物自体の投与と比べて、親薬物活性の開始の遅延、親薬物活性の延長および/または乱用の可能性の低下の1つ以上がもたらされる。本発明は、親薬物部分−(CH−O−P(=O)(OH)(nは、1〜10の整数である)という形のプロドラッグを包含する。親薬物部分−プロドラッグ部分(1A)、親薬物部分−プロドラッグ部分(1B)および親薬物部分−プロドラッグ部分(2)という形のプロドラッグも包含される。1つのバリエーションにおいて、n=lのとき、親薬物部分は、レボメタジル、メタドン、プロポキシフェン、ブプレノルフィン、ブトルファノール、コデイン、ジフェノキシレート、フェンタニール、ヒドロコドン、ヒドロモルホン、ロペルアミド、メペリジン、モルヒネ、ナルブフィン、ナルメフェン、ナロキソン、ナルトレキソン、オキシコドン、オキシモルホン、ペンタゾシン、スフェンタニル、アルプラゾラム、クロラゼペート、クロナゼパム、エスタゾラム、フルラゼパム、ハラゼパム、ロラゼパム、ミダゾラム、オキサゼパム、クアゼパム、テマゼパムおよびトリアゾラムからなる群から選択される親薬物の部分ではない。別のバリエーションにおいて、n=1のとき、親薬物部分は、レボメタジル、メタドン、プロポキシフェン、ブプレノルフィン、ブトルファノール、コデイン、ジフェノキシレート、フェンタニール、ヒドロコドン、ヒドロモルホン、ロペルアミド、メペリジン、モルヒネ、ナルブフィン、ナルメフェン、ナロキソン、ナルトレキソン、オキシコドン、オキシモルホン、ペンタゾシン、スフェンタニル、アルプラゾラム、クロラゼペート、クロナゼパム、エスタゾラム、フルラゼパム、ハラゼパム、ロラゼパム、ミダゾラム、オキサゼパム、クアゼパム、テマゼパムおよびトリアゾラムからなる群から選択される親薬物の部分である。1つのバリエーションにおいて、親薬物がオピオイドであるとき、オピオイド部分は、オピオイドレボルファノールの部分ではない。1つのバリエーションにおいて、オピオイド部分は、オピオイドレボルファノールの部分である。
【0113】
本明細書中の方法、製剤およびキットにおいて使用され得る特定のプロドラッグとしては、レボルファノールエチルホスフェート、オキシコドンエチルホスフェート、ヒドロコドンエチルホスフェート、オキシモルホンエチルホスフェート、コデインエチルホスフェート、フェンタニールエチルホスフェート、メタドンエチルホスフェート、ブプレノルフィンエチルホスフェート、DiPOA((8−3,3−ジフェニル−プロピル)−4−オキソ−1−フェニル−1,3,8−トリアザ−スピロ[4.5]dec−3−イル−酢酸)メチルホスフェート、DiPOAエチルホスフェート、アンフェタミンメチルホスフェート、アンフェタミンエチルホスフェート、メタンフェタミンメチルホスフェート、メタンフェタミンエチルホスフェート、メチルフェニデートメチルホスフェート、メチルフェニデートエチルホスフェート、デキサメチルフェニデートメチルホスフェート、デキサメチルフェニデートエチルホスフェート、フェンメトラジンメチルホスフェート、フェンメトラジンエチルホスフェート、フェンジメトラジンメチルホスフェート、フェンジメトラジンエチルホスフェート、ジアゼパムメチルホスフェート、ジアゼパムエチルホスフェート、カーフェンタニルメチルホスフェート、カーフェンタニルエチルホスフェート、レミフェンタニルメチルホスフェート、レミフェンタニルエチルホスフェート、レボ−アルファセチルメタドールメチルホスフェート、レボ−アルファセチルメタドールエチルホスフェート、エチルモルヒネメチルホスフェート、エチルモルヒネエチルホスフェートおよびクロナゼパムエチルホスフェートが挙げられるが、これらに限定されない。1つのバリエーションにおいて、オピオイドプロドラッグは、レボルファノールメチルホスフェートである。別のバリエーションにおいて、APDプロドラッグは、メチルフェニデートメチルホスフェートである。別のバリエーションにおいて、APDプロドラッグは、アンフェタミンメチルホスフェートである。別のバリエーションにおいて、APDプロドラッグは、メタンフェタミンメチルホスフェートである。なおも別のバリエーションにおいて、APDプロドラッグは、レミフェンタニルメチルホスフェートである。さらに別のバリエーションにおいて、APDプロドラッグは、カーフェンタニルメチルホスフェートである。
【0114】
1つのバリエーションにおいて、プロドラッグは、親薬物部分および式:
【0115】
【化22】

のプロドラッグ部分を含む。
【0116】
プロドラッグ部分(1A)または(1B)を含むプロドラッグについて、プロドラッグ部分(2)を含むオピオイドプロドラッグよりも、毒性または有害な生物学的影響の可能性が低いというさらなる利点がある。すなわち、親オピオイドが、プロドラッグ部分(2)を含むプロドラッグから放出されるとき、そのプロドラッグは、分解されて最終的にギ酸を形成し得る。しかしながら、プロドラッグ部分(1A)または(1B)を含むプロドラッグは、ギ酸に分解されず、改善された安全性および寛容性のために望ましい場合がある。
【0117】
1つのバリエーションにおいて、プロドラッグ部分が、式(2)であるとき、親薬物部分は、レボメタジル、メタドン、プロポキシフェン、ブプレノルフィン、ブトルファノール、コデイン、ジフェノキシレート、フェンタニール、ヒドロコドン、ヒドロモルホン、ロペルアミド、メペリジン、モルヒネ、ナルブフィン、ナルメフェン、ナロキソン、ナルトレキソン、オキシコドン、オキシモルホン、ペンタゾシン、スフェンタニル、アルプラゾラム、クロラゼペート、クロナゼパム、エスタゾラム、フルラゼパム、ハラゼパム、ロラゼパム、ミダゾラム、オキサゼパム、クアゼパム、テマゼパムおよびトリアゾラムからなる群から選択されるオピオイドの部分ではない。1つのバリエーションにおいて、プロドラッグ部分が、式(2)であるとき、親薬物部分は、レボメタジル、メタドン、プロポキシフェン、ブプレノルフィン、ブトルファノール、コデイン、ジフェノキシレート、フェンタニール、ヒドロコドン、ヒドロモルホン、ロペルアミド、メペリジン、モルヒネ、ナルブフィン、ナルメフェン、ナロキソン、ナルトレキソン、オキシコドン、オキシモルホン、ペンタゾシン、スフェンタニル、アルプラゾラム、クロラゼペート、クロナゼパム、エスタゾラム、フルラゼパム、ハラゼパム、ロラゼパム、ミダゾラム、オキサゼパム、クアゼパム、テマゼパムおよびトリアゾラムからなる群から選択されるオピオイドの部分である。1つのバリエーションにおいて、オピオイド部分は、オピオイドレボルファノールの部分ではない。1つのバリエーションにおいて、オピオイド部分は、オピオイドレボルファノールの部分である。
【0118】
1つのバリエーションにおいて、オピオイドプロドラッグは、式(I):
【0119】
【化23】

またはその任意の立体異性体、塩、水和物もしくは溶媒和物であり、ここで、Rは、水素、C−C10アルカノエート、ヒドロキシル、ならびに置換または非置換のC−C10アルキルおよび置換または非置換のC−C10アルコキシからなる群から選択され;Rは、水素、=O(炭素6における水素が存在せず、Rが6位のsp2混成炭素から酸素への二重結合をもたらすことを意味する)、ヒドロキシル、置換または非置換のC−C10アルキル、置換または非置換のC−C10アルケニル(例えば、炭素6における水素が存在せず、Rが6位のsp2混成炭素からCH基への二重結合をもたらす(例えば、=CH)ときが挙げられるがこれに限定されない)および置換または非置換のC−C10アルコキシからなる群から選択され;Rは、水素、ヒドロキシル、C−C10アルカノエート、置換または非置換のC−C10アルキルおよび置換または非置換のC−C10アルコキシからなる群から選択され;Rは、水素、C−C10アルカノエート、置換または非置換のC−C10アルキル、置換または非置換のC−C10アルケニルおよび置換または非置換のC−C10アルコキシからなる群から選択され;Rは、前記プロドラッグ部分(1A)または(1B)または(2)であり;Yは、存在しない(環Dが存在しないと示唆される)か、またはOおよびSから選択され;環Cは、0、1または2個の二重結合を有し;Xは、薬学的に許容可能な陰イオンである。1つのバリエーションにおいて、オピオイドプロドラッグは、式(I)であるが、ただし、Rが、プロドラッグ部分(2)であるとき、オピオイド部分は、レボメタジル、メタドン、プロポキシフェン、ブプレノルフィン、ブトルファノール、コデイン、ジフェノキシレート、フェンタニール、ヒドロコドン、ヒドロモルホン、ロペルアミド、メペリジン、モルヒネ、ナルブフィン、ナルメフェン、ナロキソン、ナルトレキソン、オキシコドン、オキシモルホン、ペンタゾシン、スフェンタニル、アルプラゾラム、クロラゼペート、クロナゼパム、エスタゾラム、フルラゼパム、ハラゼパム、ロラゼパム、ミダゾラム、オキサゼパム、クアゼパム、テマゼパムおよびトリアゾラムからなる群から選択されるオピオイドの部分ではない。1つのバリエーションにおいて、式(I)によって表されるオピオイドプロドラッグのオピオイド部分は、親オピオイドのレボルファノールまたはオキシコドンまたはヒドロコドンまたはオキシモルホンまたはヒドロモルホンまたはコデインまたはモルヒネまたはナルトレキソンまたはナロキソンまたはナルメフェンまたはナロルフィンまたはナルブフィンまたはシクロルファンまたはオキシロルファンまたはレバロルファンから誘導可能なものである。別のバリエーションにおいて、オピオイドプロドラッグは、式(I)かつ式(1B)のプロドラッグ部分であるが、ただし、オピオイド部分は、レボメタジル、メタドン、プロポキシフェン、ブプレノルフィン、ブトルファノール、コデイン、ジフェノキシレート、フェンタニール、ヒドロコドン、ヒドロモルホン、ロペルアミド、メペリジン、モルヒネ、ナルブフィン、ナルメフェン、ナロキソン、ナルトレキソン、オキシコドン、オキシモルホン、ペンタゾシン、スフェンタニル、アルプラゾラム、クロラゼペート、クロナゼパム、エスタゾラム、フルラゼパム、ハラゼパム、ロラゼパム、ミダゾラム、オキサゼパム、クアゼパム、テマゼパムおよびトリアゾラムからなる群から選択されるオピオイドの部分ではない。さらに別のバリエーションにおいて、オピオイドプロドラッグは、式(I)かつ式(IA)のプロドラッグ部分であり、オピオイド部分は、公知の任意のオピオイドまたはその誘導体の部分である。
【0120】
1つのバリエーションにおいて、オピオイドプロドラッグは、Rが、ヒドロキシルまたはC−Cアルコキシであり;Rが、水素、ヒドロキシル、C−Cアルケニルまたは=Oであり;Rが、水素またはヒドロキシルであり、Rが、C−Cアルキルであり;Yが、存在しないか、または酸素であり、CおよびCが、必要に応じて二重結合によって結合される、式(I)である。1つのバリエーションにおいて、オピオイドプロドラッグは、Rが、ヒドロキシルまたはメトキシであり;Rが、水素、ヒドロキシル、=CHまたは=Oであり;Rが、水素またはヒドロキシルであり、Rが、メチル、シクロプロピルメチル、プロペン−3−イルまたはシクロブチルメチルであり;Yが、存在しないか、または酸素であり、CおよびCが、必要に応じて二重結合によって結合される、式(I)である。1つの実施形態において、本明細書中の任意のバリエーションにおけるCおよびCは、二重結合によって結合される。1つの実施形態において、式(I)の任意のバリエーションの環Cは、0個の二重結合を含む。
【0121】
1つのバリエーションにおいて、オピオイドプロドラッグは、Rが、水素、アルカノエート、ヒドロキシル、アルキルおよびアルコキシからなる群から選択され;Rが、水素、=O、ヒドロキシル、アルキル、アルケニルおよびアルコキシからなる群から選択され;Rが、水素、ヒドロキシル、アルカノエート、アルキルおよびアルコキシからなる群から選択され;Rが、水素、アルカノエート、アルキル、アルケニルおよびアルコキシからなる群から選択され;Yが、存在しないか、または酸素である、式(I)である。
【0122】
式(I)に対して上で列挙されたか、または式(II)から(IX)に対して下で列挙されるアルキル置換基、アルケニル置換基またはアルコキシ置換基のいずれかは、1つのバリエーションにおいて、それぞれ置換アルキル置換基、置換アルケニル置換基または置換アルコキシ置換基で置換され得る。
【0123】
1つのバリエーションにおいて、オピオイドプロドラッグは、式(II):
【0124】
【化24】

またはその任意の立体異性体、塩、水和物もしくは溶媒和物であり、ここで、Rは、水素、ヒドロキシル、置換または非置換のC−C10アルキルおよび置換または非置換のC−C10アルコキシからなる群から選択され;Rは、水素、ヒドロキシル、置換または非置換のC−C10アルキル、置換または非置換のC−C10アルケニルおよび置換または非置換のC−C10アルコシキからなる群から選択され;Rは、水素、置換または非置換のC−C10アルキルおよび置換または非置換のC−C10アルコキシからなる群から選択され;Rは、メトキシホスホン酸またはエトキシホスホン酸であり;環Cは、0または1個の二重結合を有し;Xは、薬学的に許容可能な陰イオンである。1つのバリエーションにおいて、オピオイドプロドラッグのオピオイド部分は、親オピオイドのブプレノルフィンから誘導可能である。1つのバリエーションにおいて、Rは、式(1A)、(1B)または(2)のプロドラッグ部分である。
【0125】
1つのバリエーションにおいて、オピオイドプロドラッグは、式(III):
【0126】
【化25】

およびその任意の立体異性体、塩、水和物または溶媒和物であり、ここで、Rは、ヒドロキシル、プロピルベンゼン、エチルベンゼン、2−プロピルチオフェン、酪酸メチル、1−エチル−4−エチル−1H−テトラゾール−5(4H)−オンおよび1−エチル−4−プロピル−1H−テトラゾール−5(4H)−オン、置換または非置換のC−C10アルキルおよび置換または非置換のC−C10アルコキシ、アルキルカルボニルアルコキシからなる群から選択され;Rは、水素、ヒドロキシル、置換または非置換のC−C10アルキルおよびC−C10アルコキシ、C−C10アルカノエート、C−C10アルコキシアルキルからなる群から選択され;Rは、メトキシホスホン酸およびエトキシホスホン酸からなる群から選択され;Xは、薬学的に許容可能な陰イオンである。1つのバリエーションにおいて、Rは、式(1A)、(1B)または(2)のプロドラッグ部分である。1つのバリエーションにおいて、オピオイドプロドラッグのオピオイド部分は、親オピオイドのフェンタニール、スフェンタニル、アルフェンタニル、カーフェンタニルまたはレミフェンタニルから誘導可能である。
【0127】
1つのバリエーションにおいて、オピオイドプロドラッグは、Rが、プロピルベンゼン、2−プロピルチオフェンまたは1−エチル−4−エチル−1H−テトラゾール−5(4H)−オンであり;Rが、水素、メトキシメチルまたはギ酸メチルであり;Rが、エトキシホスホン酸である、式(III)である。別のバリエーションにおいて、オピオイドプロドラッグは、Rが、プロピルベンゼン、2−プロピルチオフェンまたは1−エチル−4−エチル−1H−テトラゾール−5(4H)−オンであり;Rが、水素、メトキシメチルまたはギ酸メチルであり;Rが、メトキシホスホン酸である、式(III)である。1つのバリエーションにおいて、Rは、式(1A)、(1B)または(2)のプロドラッグ部分である。
【0128】
1つのバリエーションにおいて、オピオイドプロドラッグは、式(IV):
【0129】
【化26】

およびその任意の立体異性体、塩、水和物または溶媒和物であり、ここで、RおよびRは、独立してアルキルであり;Rは、メトキシホスホン酸またはエトキシホスホン酸であり;Rは、アルカリールまたはアルケニルであり、Xは、薬学的に許容可能な陰イオンである。1つのバリエーションにおいて、Rは、式(1A)、(1B)または(2)のプロドラッグ部分である。1つのバリエーションにおいて、プロドラッグは、式(IV)およびその任意の立体異性体、塩、水和物または溶媒和物であり、ここで、RおよびRは、独立して選択される置換または非置換のC−C10アルキルであり;Rは、メトキシホスホン酸またはエトキシホスホン酸であり;Rは、C−C10アルカリールまたはC−C10アルケニルであり、Xは、薬学的に許容可能な陰イオンである。1つのバリエーションにおいて、プロドラッグは、式(IV)およびその任意の立体異性体、塩、水和物または溶媒和物であり、ここで、RおよびRは、独立して選択される置換または非置換のC−Cアルキルであり;Rは、メトキシホスホン酸またはエトキシホスホン酸であり;Rは、−(CH−フェニル(nは、1〜5から選択される)またはC−C10アルケニルであり、Xは、薬学的に許容可能な陰イオンである。1つのバリエーションにおいて、オピオイドプロドラッグのオピオイド部分は、親オピオイドのペンタゾシンまたはフェナゾシンから誘導可能である。
【0130】
1つのバリエーションにおいて、オピオイドプロドラッグは、式(V):
【0131】
【化27】

およびその任意の立体異性体、塩、水和物または溶媒和物であり、ここで、Rは、アルキル−アルカノエート、アルカノエートまたはカルボニルアルキルであり;R、RおよびRは、独立して、置換または非置換のアルキルであり;Rは、メトキシホスホン酸およびエトキシホスホン酸からなる群から選択され;nは、1〜10の整数であり、Xは、薬学的に許容可能な陰イオンである。1つのバリエーションにおいて、Rは、式(1A)、(1B)または(2)のプロドラッグ部分である。1つのバリエーションにおいて、プロドラッグは、式(V)およびその任意の立体異性体、塩、水和物または溶媒和物であり、ここで、Rは、C−C10アルカノエートまたはC−C10カルボニルアルキルであり;R、RおよびRは、独立して、置換または非置換のC−C10アルキルであり;Rは、メトキシホスホン酸およびエトキシホスホン酸からなる群から選択され;nは、1〜10の整数であり、Xは、薬学的に許容可能な陰イオンである。1つのバリエーションにおいて、プロドラッグは、式(V)およびその任意の立体異性体、塩、水和物または溶媒和物であり、ここで、Rは、プロパノエートまたはプロピオニルであり;R、RおよびRは、独立して、置換または非置換のC−Cアルキルであり;Rは、メトキシホスホン酸およびエトキシホスホン酸からなる群から選択され;nは、1〜5の整数であり、Xは、薬学的に許容可能な陰イオンである。1つのバリエーションにおいて、オピオイドプロドラッグのオピオイド部分は、親オピオイドのプロポキシフェンまたはメタドンから誘導可能である。
【0132】
プロドラッグは、式(VI):
【0133】
【化28】

のベンゾジアゼピンプロドラッグおよびその任意の立体異性体、塩、水和物または溶媒和物であり得、本明細書中に記載される方法のいずれかは、それを使用し得、ここで、Rは、ハロゲン、ニトロ基、−NR、−NHR、−NH、−SOH、−CF、−C(O)Cl、−C(O)OH、−C(O)R、−C(O)OR、−C(O)Hまたはアルキルもしくは水素であり(各Rは、独立して、置換または非置換のC−Cアルキルである);Rは、水素または置換もしくは非置換のアルキルであり;Rは、水素、ハロゲンまたは置換もしくは非置換のC−Cアルキルであり、Rは、水素、ニトロ基、ヒドロキシルまたは=Oであり;環Aは、芳香族または非芳香族であるが、1または2個の二重結合を有し;Rは、プロドラッグ部分(1A)、(1B)または(2)であり;Xは、薬学的に許容可能な陰イオンである。ベンゾジアゼピンプロドラッグは、式(VI)のプロドラッグおよびその任意の立体異性体、塩、水和物または溶媒和物であり得、本明細書中に記載される方法のいずれかは、それを使用し得、ここで、Rは、塩素またはニトロ基であり;Rは、水素またはメチルであり、Rは、水素またはフッ素または塩素であり、Rは、水素、ニトロ基または=Oであり;Rは、プロドラッグ部分(1A)、(1B)または(2)であり;Xは、薬学的に許容可能な陰イオンである。
【0134】
1つのバリエーションにおいて、ベンゾジアゼピンプロドラッグは、式(VI)であるが、ただし、プロドラッグ部分が式(2)であるとき、ベンゾジアゼピン部分は、アルプラゾラム、クロラゼペート、クロナゼパム、エスタゾラム、フルラゼパム、ハラゼパム、ロラゼパム、ミダゾラム、オキサゼパム、クアゼパム、テマゼパムおよびトリアゾラムからなる群から選択されるベンゾジアゼピンの部分ではない。別のバリエーションにおいて、ベンゾジアゼピンプロドラッグは、式(VI)かつ式(1B)のプロドラッグ部分であるが、ただし、ベンゾジアゼピン部分は、アルプラゾラム、クロラゼペート、クロナゼパム、エスタゾラム、フルラゼパム、ハラゼパム、ロラゼパム、ミダゾラム、オキサゼパム、クアゼパム、テマゼパムおよびトリアゾラムからなる群から選択されるベンゾジアゼピンの部分ではない。さらに別のバリエーションにおいて、ベンゾジアゼピンプロドラッグは、式(VI)かつ式(1A)のプロドラッグ部分であり、ベンゾジアゼピン部分は、公知の任意のベンゾジアゼピンまたはその誘導体の部分である。
【0135】
プロドラッグは、式(VII):
【0136】
【化29】

のプロドラッグおよびその任意の立体異性体、塩、水和物または溶媒和物であり得、本明細書中に記載される方法のいずれかは、それを使用し得、ここで、Rは、水素または置換もしくは非置換のC−Cアルキルであり;Rは、水素または置換もしくは非置換のアルキルであり;Rは、式(1A)、(1B)または(2)のプロドラッグ部分であり;Xは、薬学的に許容可能な陰イオンである。
【0137】
プロドラッグは、式(VIII):
【0138】
【化30】

のプロドラッグおよびその任意の立体異性体、塩、水和物または溶媒和物であり得、本明細書中に記載される方法のいずれかは、それを使用し得、ここで、Rは、水素または置換もしくは非置換のC−Cアルキルであり;Rは、水素または置換もしくは非置換のアルキルあるいは式(1A)、(1B)または(2)のプロドラッグ部分であり;Rは、式(1A)、(1B)または(2)のプロドラッグ部分であり;Xは、薬学的に許容可能な陰イオンである。RとRの両方が、式(1)または(2)のプロドラッグ部分である場合、薬学的に許容可能な陰イオンXは、2つ存在し得る(例えば、2X)。
【0139】
プロドラッグは、式(IX):
【0140】
【化31】

のプロドラッグおよびその任意の立体異性体、塩、水和物または溶媒和物であり得、本明細書中に記載される方法のいずれかは、それを使用し得、ここで、Rは、水素または置換もしくは非置換のアルキルあるいは式(1A)、(1B)または(2)のプロドラッグ部分であり;Rは、式(1A)、(1B)または(2)のプロドラッグ部分であり;Xは、薬学的に許容可能な陰イオンである。RとRの両方が、式(1A)、(1B)または(2)のプロドラッグ部分である場合、薬学的に許容可能な陰イオンXは、2つ存在し得る(例えば、2X)。
【0141】
本発明はまた、本明細書中で開示されるプロドラッグのいずれかの塩、多形、結晶または非結晶形のすべて、ならびにそれらおよび前述のもの(forgoing)のいずれかの薬学的組成物(例えば、本化合物が薬学的に許容可能なキャリアとともに製剤化されるとき)を使用する方法を包含する。本明細書中で開示されるプロドラッグをはじめとしたすべての化合物について、任意のジアステレオマー(diasteriomers)、エナンチオマーまたは混合物(例えば、ラセミ混合物または鏡像体過剰率の1つの異性体を含む混合物)をはじめとしたすべての立体異性体が包含される。適切な生物学的機能を保持している立体異性体が、特に好ましく、それは、純粋な形態または実質的に純粋な形態で存在し得る。
【0142】
プロドラッグのいずれかは、実質的に純粋な形態の薬学的組成物などの組成物であり得る。本明細書中で使用されるとき、「実質的に純粋」とは、少なくとも50%純粋(すなわち、夾雑物を含まない)、より好ましくは、少なくとも90%純粋、より好ましくは、少なくとも95%純粋、より好ましくは、少なくとも98%純粋、より好ましくは、少なくとも99%純粋である材料のことを指す。
【0143】
上記のプロドラッグのいずれかは、薬学的に許容可能な塩で存在し得、その塩は、当該分野で周知の種々の有機対イオンおよび無機対イオンから誘導され得、そのような塩としては、有機酸または無機酸(例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、スルファミン酸、リン酸、硝酸など)の塩;および有機酸(例えば、酢酸、プロピオン酸、コハク酸、グリコール酸、ステアリン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、アスコルビン酸、パモ酸、マレイン酸、ヒドロキシマレイン酸、フェニル酢酸、グルタミン酸、安息香酸、サリチル酸、スルファニル酸、2−アセトキシ安息香酸、フマル酸、トルエンスルホン酸(tolunesulfonic)、メタンスルホン酸、エタンジスルホン酸、シュウ酸、トリフルオロ酢酸およびイセチオン酸)から調製される塩が挙げられるが、これらは単なる例である。式(I)〜(V)における対イオン(X)は、本明細書中で明確に述べられる特定の対イオンであり得るが、これらに限定されない。薬学的に許容可能な塩は、従来の化学的な方法によって、塩基性部分または酸性部分を含む親化合物またはプロドラッグから作製され得る。一般に、そのような塩は、水もしくは有機溶媒またはその2つの混合物中で、これらの化合物の遊離酸または遊離塩基の形態のものを、化学量論的な量の適切な塩基または酸と反応させることによって調製され得る。適当な塩のリストは、Remington’s Pharmaceutical Sciences,第20版,Lippincott Williams & Wilkins,Baltimore,Md.,2000にみられる。
【0144】
1つのバリエーションにおいて、プロドラッグは、その親薬物と比べて高い溶解性を示す。例えば、レボルファノール遊離塩基の溶解性は、pH8 PBSに対して1mg/mL未満だった。対照的に、N−ホスホノオキシメチルレボルファノールの溶解性は、pH8 PBSに対して約137mg/mLだった。
【0145】
1つのバリエーションにおいて、プロドラッグは、適用可能である限り、その親薬物と比べて、低い生物活性を示すか、もしくは生物活性を全く示さないか、またはレセプターに対して低い親和性を示すか、もしくは親和性を全く示さない。例えば、ヒトミューレセプターにおけるN−ホスホノオキシメチルレボルファノールおよび酒石酸レボルファノールのIC50は、それぞれ1.4E−08Mおよび5.2E−10Mだった。同じアッセイにおいて、阻害定数のKiは、N−ホスホノオキシメチルレボルファノールおよびレボルファノールに対してそれぞれ5.7E−09および2.2E−10だった。
【0146】
方法
本明細書中に記載される方法のいずれかは、本明細書中に記載されるプロドラッグ(例えば、プロドラッグN−ホスホノオキシメチルレボルファノールが挙げられるがこれに限定されない)の1つ以上を用い得る。
【0147】
疼痛、心理学的障害、心因性過食、またはオピオイド、ベンゾジアゼピン類、CNS刺激剤もしくは食欲抑制剤に対して応答性の任意の病的状態を処置するための方法が記載される。1つのバリエーションにおいて、上記方法は、疼痛を処置するために任意の剤形(例えば、錠剤、カプセル、経口溶液、懸濁液、エマルジョンなど)でプロドラッグを投与する工程を包含する。いくつかのバリエーションにおいて、上記疼痛は、手術、外傷、帯状疱疹後神経痛、糖尿病性ニューロパシー、HIV関連ニューロパシー、複合性局所性疼痛症候群、変形性関節症、関節リウマチ、線維筋痛症および腰痛に関連する疼痛からなる群から選択される。他のバリエーションにおいて、上記疼痛は、神経損傷、脳卒中、多発性硬化症、脊髄空洞症、癲癇、脊髄損傷および癌に関連する疼痛からなる群から選択される。他のバリエーションにおいて、上記心理学的障害は、一過性または短期間の不眠、急性ストレス反応、突発性不安症、全般的な不安、適応障害、重篤なパニック障害、広場恐怖、癲癇、いくつかの運動障害、急性の精神病、筋痙攣およびてんかん、眩暈、倦怠感、頭痛、蒼白、ADHDからなる群から選択される。さらに他のバリエーションにおいて、処置されるべき上記病状は、心因性過食である。
【0148】
親薬物による治療の必要のある個体において親薬物の作用の開始を遅延させる方法もまた記載され、その方法は、その個体に有効量のプロドラッグを投与する工程を包含し、ここで、そのプロドラッグは、親薬物の作用を親薬物よりもゆっくりと開始する。1つのバリエーションにおいて、そのプロドラッグの投与によって、親オピオイドの投与と比べて、オピオイド活性の開始が、約5分または約15分または約30分または約1時間または約2時間または約3時間または約4時間または約6時間または約8時間または約10時間または約12時間または約18時間またはそれ以上遅延する。
【0149】
オピオイドまたは他の親薬物による治療の必要な個体においてオピオイドまたは他の親薬物の活性を延長する方法もまた記載され、その方法は、有効量の本発明の適当なプロドラッグを個体に投与する工程を包含し、ここで、そのプロドラッグは、親オピオイドまたは他の親薬物と比べてオピオイド活性の延長をもたらす。1つのバリエーションにおいて、オピオイドプロドラッグの投与によって、親オピオイドの投与と比べて、オピオイド活性が、約5分または約15分または約30分または約1時間または約2時間または約3時間または約4時間または約6時間または約8時間または約10時間または約12時間または約18時間またはそれ以上延長する。
【0150】
オピオイドによる治療の必要な個体においてオピオイドの乱用の可能性を減少させる方法もまた記載され、その方法は、有効量のオピオイドプロドラッグを個体に投与する工程を包含し、ここで、そのオピオイドプロドラッグは、親オピオイド自体の投与と比べて、乱用になりにくい。
【0151】
特定のバリエーションにおいて、記載される方法は、プロドラッグN−ホスホノオキシメチルレボルファノールを使用する。
【0152】
本化合物を作製する方法
本明細書中に記載されるプロドラッグは、任意の方法(例えば、線形合成またはプロドラッグ部分に対するオピオイド部分の結合体化)によって作製され得る。さらなる合成の詳細は、添付の実施例の項にみられる。合成方法は、米国特許第5,985,856号にも記載されている。
【0153】
上記プロドラッグを合成するための1つの方法は、式Aに表される一般形態の誘導体化試薬に関し、
【0154】
【化32】

ここで、式(A)中のQは、任意の脱離基であり、Yは、−CH−、−CHCH−または−CH(CH)−であり、Zは、少なくとも1つのリン酸保護基をもたらすように選択される。一般的な反応スキーム(I)を以下に示す:
一般的な合成スキーム(I):
【0155】
【化33】

一般的な反応スキーム(I)に示されるジ保護(di−protected)に反して、試薬(A)は、モノ保護(mono−protected)され得る。ジ保護された試薬(A)から開始したときでさえも、生じる中間体または化合物と同様に、薬物−Aは、モノ保護され得る。モノ保護されるとき、1つのZは、Hであり得る。リン酸保護基であるZは、試薬(A)と親薬物との結合中に反応性のリン酸ヒドロキシル基をブロックする基であるので、一般的な合成スキーム(I)の工程1においてQの選択的な求核置換を可能にする。そのリン酸保護基は、スキーム(I)の工程2に示されるように、選択的に除去され得る。リン酸保護基の例としては、メチル、エチル、イソプロピル、三級ブチル、ベンジル、p−メトキシベンジル、アリル、3’,5’−ジメトキシベンゾイン、p−ヒドロキシフェナシル、2−シアノエチル、9−フルオレニルメチル、2−(トリメチルシリル)エチル、2−(メチルスルホニル)エチル、トリチルおよびβ−シアノエチルなどが挙げられるが、これらに限定されない。適切なリン酸保護基のさらなる議論は、Wuts,P.and Greene,J.Greene’s Protective Groups in Organic Synthesis 第4版.John Wiley & Sons,2006;Greene,T.W.,Wuts,G.M.P.,Protective Groups in Organic Synthesis,第3版,New York,Wiley−Interscience,1999およびMcOmie,J.F.W.,Protective Groups in Organic Chemistry.London and New York,Plenum Press,1973にみられる。
【0156】
スキームIの合成を改変したものもまた、本発明の1つの局面である。具体的には、以下の反応条件が、首尾よい反応の重要な局面であると決定された:(1)粗リン酸クロロメチルジ−tert−ブチルを反応に用いた;(2)反応が完了するまで過剰に高いモル濃度(4.8×)のリン酸クロロメチルジ−tert−ブチルを2日ごとに繰り返し加えた;そして(3)デカップリングに適した溶媒系としておよそアセトニトリル/1%TFA/水(2/1)を用いて脱保護工程を行った(完了するまでに通常24日かかった)。これは、主にスキームIに記載されている合成を改変したものに対するものであるが、この改変は、下記のスキームIIに記載の合成のある特定の局面にも適用可能であり得る。
【0157】
スキームIの代わりとして、親薬物上のアミン部分を、親薬物とリン酸部分との間の「スペーサー」部分と組み合わせてもよく、そのスペーサー部分は、例えば2つの脱離基を含む−CH−であり得る。一方の脱離基は、プロドラッグの合成における第1工程で「スペーサー」部分と親薬物とを結合させ、第2の脱離基は、合成の第1工程からもたらされる中間体にリン酸部分を結合させる。反応スキームIIは、この合成経路を示している。
【0158】
【化34】

投与様式
本明細書中での使用について、別段明確に示されない限り、プロドラッグは、任意の利用可能な剤形、投与経路、処置レジメンまたは製剤によって個体に投与され得る。
【0159】
プロドラッグは、任意の剤形または量で製剤化され得る。プロドラッグの投薬量は、モルベースで、親薬物の投薬量とほぼ同じ範囲である;個別の用量レベルは、親薬物ならびに個体の寛容性および感度に応じて、マイクログラムからグラムの範囲であり得る。
【0160】
記載されるような製剤は、1つ以上のプロドラッグを含み得、そして治療的な効果を有すると予想されるかまたは実際に有する1つ以上の他の化合物または薬物も含み得る。例えば、製剤は、レボルファノール(levophanol)およびアセトアミノフェンのプロドラッグ、またはヒドロコドンとアセトアミノフェンとの組み合わせ、またはヒドロコドンとイブプロフェンとの組み合わせ、またはヒドロコドンとアスピリンとの組み合わせ、またはプロポキシフェンとアスピリンとカフェインとの組み合わせを含み得る。製剤は、2つ以上のプロドラッグも含み得る(例えば、モルヒネおよびレボルファノールのプロドラッグを含む製剤、またはオピオイドアゴニストおよびオピオイドアンタゴニストのプロドラッグを含む製剤)。
【0161】
本明細書中に記載されるプロドラッグは、経口、非経口によって(筋肉内、腹腔内、静脈内(IV)または皮下への注射)、局所的、経皮的(受動的、またはイオン導入もしくはソノフォレーシスもしくはエレクトロポレーションもしくはマイクロニードルを用いる)、経粘膜的(例えば、鼻、膣、直腸または舌下)もしくは肺への(例えば、吸入を介する)投与経路によって、または生体内分解性の挿入物を用いて投与され得、各投与経路に適切な剤形で製剤化され得る。経口製剤は、即時放出または遅延放出、部位特異的であり得、そして任意の他の薬物または別のAPD、例えば、オピオイドアンタゴニスト(オピオイドアゴニスト誘導体の場合)(その剤形が、処方された指示以外の任意の使用様式に供される場合に放出される)さえも含み得る。
【0162】
局所的
上に記載されたプロドラッグは、皮膚送達または経皮的送達のための局所的投与に使用され得る。皮膚用の局所的剤形は、アルカリホスファターゼが皮膚において発現され、ゆえに火傷または外傷の部位に継続的に曝露されるという点で価値があり、その酵素は、著しい全身性曝露を伴わずに局所的な痛覚消失を誘導するのに十分な量のオピオイド鎮痛薬をゆっくりと放出する。さらに、APDプロドラッグによってもたらされる乱用者にとっての魅力を内因的に減少させることによって、そのような局所的製剤がオピオイド乱用を促進するという過度の恐れなしに広く処方されることが可能になる。従って、クリーム、ゲルまたは軟膏は、局所的投与のために意図された増粘剤および浸透促進剤をはじめとした薬学的賦形剤とともに調製され得る。組成物は、プロドラッグの0.01〜20重量%の範囲であり得る。例示的な浸透促進剤は:d−ピペルトン(pipertone)およびオレイン酸;l−メントンおよびオレイン酸;l−メントンおよびオレイン酸エチル;l−メントンおよびベンジルアルコール;エチレングリコールおよびl−メントン;ベンジルアルコールおよびオレイルアルコール(oleyl alcoholic);l−メントンおよびセチルアルコール;1,3−ブタンジオールおよびオレイン酸;ジエチレングリコールモノエチルエーテルおよびl−メントン;エチレン(ethelyne)グリコールおよびオレイン酸;ミリスチン酸イソプロピル;オレイルアルコールおよび1−3,ブタンジオール;l−メントンおよび酪酸イソプロピル;l−メントンおよび1,3−ブタンジオール;n−ヘキサンおよびオレイン酸;メントンおよびメタノール;メチルノネン酸およびn−ヘキサン;オレイルアルコールおよびプロピレングリコール;メチルノネン酸(methylnonenoic)アルコールおよびジメチルアセトアミド、ステアリルアルコール、オレイルアルコール、リノレイルアルコール、リノレニルアルコール、カプリル(caprylic)アルコール、デカル(decal)アルコール、ラウリル(laurel)アルコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリアトロン(triathlon)グリコール、エトキシグリコール(ethoxy digkycol)、ジプロピレングリコール、グリセロール、プロパンジオール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサントリオール2−ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、カプリル酸、吉草酸、ヘプタン酸、ペラゴン酸、カプロン酸、イソ吉草酸、ネオペンタン酸、トリメチルヘキサン酸、ネオデカン酸、イソステアリン酸、ネオヘプタン酸、ネオノナン酸、n−デカン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸メチル、n−酪酸イソプロピル、吉草酸エチル、プロピオン酸メチル、セバシン酸ジエチル、オレイン酸エチル、n−ヘキサン酸イソプロピル、ミリスチン酸イソプロピル、尿素、ジメチルアセトアミド、ジエチルトルアミド、ジメチルホルムアミド、ジメチルオクタアミド、ジメチルデカアミド、1−ヘキシル−4−メトキシカルボニル−2−ピロリドン、1−ラウリル−4−カルボキシ−2−ピロリドン、1−メチル−4−カルボキシ−2−ピロリドン、1−アルキル−4−イミダゾリン−2−オン、1−メチル−2−ピロリドン、2−ピロリドン、1−ラウリル−2−ピロリドン、1−ヘキシル−4−カルボキシ−2−ピロリドン、1−メチル−4−メトキシカルボニル−2−ピロリドン、1−ラウリル−4−メトキシカルボニル−2−ピロリドン、ジメチルスルホキシド、デシルメチルスルホキシド、N−ココアルキピロリドン、N−ジメチルアミノプロピルピロリドン、N−タロワルキルピロリドン、N−シクロヘキシルピロリドン、1−ファルネシルアザシクロヘプタン−2−オン、1−ゲラニルゲラニルアザシクロヘプタン−2−オン、−(2−ヒドロキシエチル)−2−ピロリドンの脂肪酸エステル、1−ゲラニルアザシクロヘプタン−2−オン、1−ドデシルアザシクロヘプタン−2−オン(Azone(登録商標))、1−(3,7−ジメチルオクチル)アザシクロヘプタン−2−オン、1−ゲラニルアザシクロヘキサン−2−オン、1−(3,7,11−トリメチルドデシル)アザシクロヘプタン(azacyclohaptan)−2−オン、1−ゲラニルアザシクロペンタン−2,5−ジオン、1−ファルネシルアザシクロペンタン−2−オン、ベンジルアルコール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、オクタノール、ノナノール、デカノール、エタノール、2−ブタノール、2−ペンタノール、プロパノール、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン;ヘキサメチレンラウラミドおよびその誘導体、塩化ベンザルコニウム、ラウリン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム;塩化セチルピリジニウム、クエン酸、コハク酸、サリチル酸、シリシレート(sylicylate)セチルトリメチルアンモニウムブロミド、臭化テトラデシルトリメチルアンモニウム;塩化オクタデシルトリメチルアンモニウム;塩化ドデシルトリメチルアンモニウム、塩化ヘキサデシルトリメチルアンモニウム、Span20、Span40、Span60、Span80、Span85、Poloxamer231、Poloxamer182、Poloxamer184)、Brij30、Brij35、Brij93、Brij96、Span99、Myrj45、Myrj51、Myrj52、Miglyol840、グリコール酸(glycholic)、タウロコール酸のナトリウム塩、レシチン、コール酸ナトリウム、デスオキシコール酸、D−リモネン、α−ピネン、β−カレン、α−テルピネオール、テルピネン−4−オール、カルボール(carvol)、カルボン、プレゴン、ピペリトン、イランイランノキ、メントン、アニス、アカザ、ユーカリ、リモネンオキシド、α−ピネンオキシド、シクロペンテンオキシド、1,8−シネオール、シクロヘキセンオキシド、N−ヘプタン、N−オクタン、N−ノナン、N−デカン、N−ウンデカン、N−ドデカン、N−トリデカン、N−テトラデカン、N−ヘキサデカンおよび精油(例えば、ティーツリー油)である。上に記載されたプロドラッグは、パッチとして製剤化され得る。パッチ構造は、粘着性マトリクス、微小液体レザバまたは多層の液体レザバに薬物を含み得る。他の組成物は、粘着性マトリクスにナノ粒子または微粒子の懸濁液を含み得る。液体レザバパッチは、プロドラッグが、適用時に再構成されるように設計され得る。再構成は、原薬と液体レザバとの間の遮断物の破壊を必要とするだけであり、必要があればそのパッチを静かに振ることが必要である。
【0163】
軟膏は、代表的には、4つの認識されているクラス:油性基剤;乳化性基剤;エマルジョン基剤;および水溶性基剤から選択される従来の軟膏基剤を含む。ローションは、摩擦なしに皮膚または粘膜の表面に適用される調製物であり、代表的には、活性な薬剤を含む固体粒子が水またはアルコールの基剤中に存在する、液体または半流動体の調製物である。ローションは、通常、固体の懸濁液であり、好ましくは本目的では、水中油型の液体油性エマルジョンを含む。クリームは、当該分野で公知のように、粘稠性の液体、または水中油型もしくは油中水型の半固体のエマルジョンである。局所的製剤はまた、ゲルの形態、すなわち、半固体、懸濁液の形態の系または溶液の形態であり得る。
【0164】
経口
プロドラッグは、経口的に送達され得る。例えば、製剤は、経口製剤からプロドラッグを抽出するのを困難にする腸溶コーティングまたは腸溶特性(これらは、その分子に内因性であるものに加えてさらなる乱用の制止をもたらす)を含み得る。
【0165】
経口投与用の固体剤形としては、カプセル、錠剤、丸剤、散剤および顆粒剤が挙げられる。そのような固体剤形において、活性な化合物は、少なくとも1つの不活性な薬学的に許容可能なキャリア(例えば、スクロース、ラクトースまたはデンプン)と混合される。そのような剤形はまた、通常の実施のように、不活性な希釈剤、例えば、ステアリン酸マグネシウムなどの潤滑剤以外のさらなる物質も含み得る。カプセル、錠剤および丸剤の場合、その剤形は、緩衝剤も含み得る。錠剤および丸剤は、さらに腸溶コーティングで調製され得る。
【0166】
経口投与用の液体剤形としては、当該分野で通常使用される不活性な希釈剤(例えば、水)を含むエリキシル剤とともに、薬学的に許容可能なエマルジョン、溶液、懸濁液、シロップ剤が挙げられる。そのような不活性な希釈剤に加えて、組成物はまた、補助剤(例えば、湿潤剤、乳化剤および懸濁剤)および甘味剤、香味剤および芳香剤も含み得る。
【0167】
粘膜
経口バイオアベイラビリティの利点と同様に、粘膜からの送達方法は、膀胱注入などの投与または口腔粘膜炎に対して改善された成績を示し得る。これらの製剤としては、クリーム、ゲル、軟膏または油/水エマルジョンが挙げられ得る。直腸または膣への投与用の組成物は、好ましくは、活性な物質に加えて、カカオバターまたは坐剤ワックスなどの賦形剤を含み得る坐剤である。経鼻投与用または舌下投与用の組成物はまた、当該分野で周知の標準的な賦形剤とともに調製される。頬側送達もまた包含され、頬側投与用の組成物は、当該分野で公知のとおり調製され得る(例えば、カプセル、ガムまたは舐剤として製剤化され得る)。
【0168】
非経口
いくつかの親薬物、例えば、オピオイド化合物は、水溶液に適度に可溶性である。本明細書中に記載されるAPDプロドラッグ化合物は、改善された水陽性を示し得るので、低用量容積で投与することができる。このことは、注射可能な製剤または非経口製剤の場合、結晶が注射部位または投与部位に形成し得るという懸念を緩和することになる。親薬物の誘導体は、注射用と意図される、適当な水性懸濁液または水溶液において製剤化され得る。製剤は、水、食塩水または他の滅菌された注射可能な注射用の媒体とともに、適当な緩衝液および安定化賦形剤を含み得る。
【0169】
非経口投与用の本発明の調製物としては、滅菌された水溶液および非水溶液、懸濁液またはエマルジョンが挙げられる。非水性の溶媒またはビヒクルの例は、プロピレングリコールポリエチレングリコール、植物油(例えば、オリーブ油およびトウモロコシ油)、ゼラチンおよび注射可能な有機エステル(例えば、オレイン酸エチル)である。そのような剤形はまた、補助剤(例えば、保存剤、湿潤剤、乳化剤および分散剤)も含み得る。それらは、例えば、細菌を通過させないフィルターによる濾過、組成物に滅菌剤を組み込むこと、組成物に照射すること、または組成物を加熱すること、によって滅菌され得る。
【0170】
吸入
肺に存在する細胞によってアルカリホスファターゼが産生されるので、適切である限り、本明細書中に記載されるプロドラッグは、吸入による送達後に代謝的に活性化され得る。例えば、いくつかの吸入オピオイド治験製剤は、臨床評価を受けているが、本明細書中に記載されるプロドラッグ化合物は、既存の化合物のこれらの治験製剤に対する利点を有し得る。利点は、高い水溶性、局所的な低刺激性(irritancy)もしくは低毒性の可能性、または代謝性の活性化を必要とする、分子に対して期待される制御されたゆっくりとした送達からもたらされるだろう。
【0171】
キット
キットは、本明細書中で開示される化合物またはプロドラッグのいずれかおよび使用するための指示書も備え、それらを使用し得る。キットは、通常、適当な包装を備える。キットは、本明細書中に記載される任意の化合物が入った1つ以上の容器を備え得る。各構成要素(2つ以上の構成要素が存在する場合)は、別個の容器に包装され得るか、またはいくつかの構成要素が、交差反応性および有効期間が許容する場合、1つの容器の中に組み合され得る。
【0172】
キットは、本発明の方法の構成要素の使用に関する一連の指示書(通常は書面による指示書)を必要に応じて備え得るが、指示書を含んでいる電子記憶媒体(例えば、磁気ディスケットまたは光ディスク)もまた許容可能である。
【0173】
以下の実施例は、本発明の様々な実施形態を説明するために提供され、いかなる様式によっても、添付の請求項の範囲を限定すると意図されないか、または別途本発明を限定すると意図されない。
【0174】
任意の特許、特許公報、特許出願、学術論文または学術記事をはじめとした本明細書中に列挙されるすべての参考文献は、あたかもその各々の参考文献およびすべての参考文献が、別々に、および個別に、本明細書中でその全体が参考として援用されるように、それらの全体が本明細書中で参考として援用される。
【実施例】
【0175】
実施例1:N−ホスホノオキシメチルレボルファノールの合成
リン酸クロロメチルジ−tert−ブチル(3)の調製。反応実施例スキーム1に従って、リン酸クロロメチルジ−tert−ブチルを調製した。
【0176】
【化35】

反応実施例スキーム1
リン酸ジ−tert−ブチル(2)。氷浴内の、28mLの水中の、亜リン酸ジ−tert−ブチル(1)(25g,128mmol)および重炭酸カリウム(7.g,77.9mmol)の撹拌溶液に、粉末の過マンガン酸カリウム(34.7g,220mmol)をほぼ等しく6回に分けて1時間にわたって加えた。その紫色混合物を室温でさらに45分間撹拌した。ノーライト(Norite)(5g)を加え、得られた混合物を60℃で撹拌した。その混合物をCeliteケークで濾過し、そのケークを3×50mLの水で洗浄した。併せた濾液を10gのノーライトと混合し、60℃で30分間撹拌した。その混合物をCeliteで再度濾過し、その濾過ケークを50mLの温水で洗浄した。透明の濾液を氷水/アセトン浴上で約0℃に冷却し、撹拌しながら、55mLの濃塩酸でゆっくり酸性化した(白色の沈殿物が形成された)。リン酸ジ−tert−ブチル(2)を濾過し、50mLの氷水で洗浄した。その固体を一晩、真空乾燥することにより、23gのリン酸ジ−tert−ブチル(2)を得た(85%)。MS 209(M−1).その固体をアルゴン下、−10℃において保存した。
【0177】
リン酸クロロメチルジ−tert−ブチル(3)。氷浴上で、2.68g(12.7mmol)のリン酸ジ−tert−ブチル(2)を50mLのアセトン中で撹拌した(濁った溶液)。撹拌しながら、その混合物に10mLの水中の2.30g(12.7mmol)の水酸化テトラメチルアンモニウム五水和物を加えることにより、透明溶液を得た。濁った濃厚な油になるまでその溶液を蒸発させ、50mLのジメトキシエタンに溶解した。濁った半固体になるまでその濁ったジメトキシエタンを蒸発させ、残渣が固体になるまで高真空下に置いた。その固体を50mLの還流ジメトキシエタン中にスラリーにし、2g(141.7mmol)のクロロヨードメタンを加えた。ほぼ透明の淡黄色溶液が形成され、還流を1時間続けた。約5分で沈殿物が形成され、それは、初めは黄色で、その後白色になった。熱い混合物を濾過し、ジメトキシエタンを蒸発させることにより、1.90g(58%)の淡黄色油状物を得た(3)。
【0178】
【化36】

このNMRは、100%酢酸エチル溶出剤を用いたときでさえもフラッシュカラムクロマトグラフィ(シリカゲル、酢酸エチル/ヘキサン溶出剤)で除去することができなかった約10〜15%のリン酸ビス−ジ−tert−ブチルメチル不純物を示した。
【0179】
【化37】

N−ホスホノオキシメチルレボルファノール(7)の調製
レボルファノール(4)。900g(203mmol)の酒石酸レボルファノール二水和物塩に、20mLの10%炭酸水素ナトリウムを加え、その溶液を3×30mLのクロロホルムで抽出した。そのクロロホルム溶液を硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、乾燥するまで蒸発させることにより、495mg(94%)の白色固体を得た(4)。
【0180】
【化38】

モノ−tert−ブチルN−(ホスホノオキシメチル(phsphonooxymethyl))レボルファノール(levorphanl)塩酸塩(6)。450mg(1.75mmol)のレボルファノール(4)のサンプルを、20mLの無水アセトニトリル(3Åモレキュラーシーブで乾燥させたもの)中の、540mg(2.10mmol)のリン酸クロロメチルジ−tert−ブチル(3)および326mg(2.10mmol)の1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン(pentamethylpipperidine)(5)の溶液に加え、アルゴンを流し、栓で密閉した。その溶液を43℃の油浴内で2日間撹拌し、2回目の540mg(2.10mmol)のリン酸クロロメチルジ−tert−ブチル(3)、および326mg(2.10mmol)の1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン(5)を加えた。そのフラスコにアルゴンを流し、密閉されたフラスコをさらに2日間、43℃の油浴内で撹拌し、その時点で3回目の540mg(2.10mmol)のリン酸クロロメチルジ−tert−ブチル(3)および326mg(2.10mmol)の1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン(5)を加え、アルゴン下の密閉されたフラスコを43℃の油浴内でさらに2日間撹拌した。その反応物を油状物になるまで蒸発させ、撹拌しながら20mLのエチルエーテルを加えた。白色固体を濾過し、真空乾燥させることにより(吸湿性)、800mg(94%)の粗生成物(6)を得た。HPLC:Supelco Discovery RP Amide 250×4mm C16 5μカラム;流速1mL/分;検出 UV MaxPlot 220−400nm;溶媒:65%0.0025Nギ酸アンモニウムpH=6.5/35%アセトニトリル:保持時間3.59;46%の未知のもの(レボルファノール誘導体のuvでない)、保持時間3.96;7%のレボルファノール−ホスフェート,保持時間6.23;37.3%のモノ−tert−ブチル−レボルファノールホスフェート;保持時間18.8;8.85%のレボルファノール.
モノ−tert−ブチル−レボルファノールホスフェート(6)の分離分取。Waters製のSunfire C18 OBD prepカラム(10mμ 10×150mm)において、7回の注入で(5〜75mg)260mgを注入することによって、上記粗モノ−tert−ブチル−レボルファノールホスフェート(6)を精製した。5mL/分の、35分間の70%0.03N(pH=5.4)ギ酸アンモニウム/30%アセトニトリル、次いで、3分間の60/40混合物(60%0.03N(pH=5.4)ギ酸アンモニウム/40%アセトニトリル)、そして17分間の60/40混合物の勾配で、生成物を溶出した。生成物を約15〜20分間溶出し、手動で回収した。7つの画分を併せ、30〜35℃の高真空下で乾燥するまで蒸発させた。その固体を30〜35℃の真空下に一晩置いてギ酸アンモニウムを除去することにより、120mgの粗生成物を得た。HPLCは、72%のモノ−tert−ブチル−レボルファノールホスフェート(6)および28%のレボルファノール(4)を示した。NMRは、モノ−tert−ブチル−レボルファノールホスフェート(6)およびほぼ1当量のギ酸アンモニウムを示した。蒸発前の画分のHPLCは、96%の生成物(6)および2.6%のレボルファノール(4)を示した。
【0181】
【化39】

MS:ESI陽イオンm/z 424(M+)。
【0182】
N−ホスホノオキシメチルレボルファノール(7)。上記モノ−tert−ブチル−レボルファノールホスフェート(6)を10mLのアセトニトリル/1%TFA/水(2/1)に入れ、HPLCが、tert−ブチル基が除去されたと示すまで、室温で24日間撹拌した。その溶液を乾燥するまで蒸発させた。N−ホスホノオキシメチルレボルファノール(7)を、0.0025ギ酸アンモニウム(pH=6.5/アセトニトリルで溶出するWaters製のSunfire C18 OBD分取カラム(10mμ 10×150mm)において精製した。70/30〜60/40の勾配を用いた(70%0.03N(pH=5.4)ギ酸アンモニウム/30%アセトニトリル)。4回の注入で、最大ピークが得られ、70mgのガラス状物になるまで室温で蒸発させた。そのガラス状物をアセトニトリルで滴定することにより、白色固体を得た。その固体を濾過し、真空乾燥(非常に吸湿性)することにより、40mgの所望の生成物(7)を得た。
【0183】
【化40】

MS:ESI陽イオンm/z 368(M)。HPLC:Supelco Discover RP Amide 250×4.6mm C16 5μカラム;流速1mL/分;検出UV MaxPlot 220−400nm;溶媒;85%0.0025Nギ酸アンモニウムpH=6.5/15%アセトニトリル:保持時間4.53;98.6%の生成物(7)。HPLC:Sunfire 250×4.6mm C18 5μカラム;流速1mL/分;検出UV82nm;溶媒;85%25mMギ酸アンモニウムpH=4/26%アセトニトリル:保持時間9.37;88.9%の生成物(7)。
【0184】
N−ホスホノオキシメチルレボルファノールに対するHPLC、UVスペクトル、H NMR、FT−IRおよび質量分析データについては、図1〜5を参照のこと。
【0185】
実施例2:化学的加水分解研究
37℃、pH1.2、6および8におけるN−ホスホノオキシメチルレボルファノールの水溶液中での安定性を、下記のデータ表に示されるような特定の時点におけるサンプル溶液と比較することによって測定した。濃リン酸および/または0.01N NaOHを滴下し、pH4〜7で較正されたpHメーターでモニターすることによって、37℃に維持された60mLの容積のPBSを調整することによって、様々なpH(1.2,6および8)のPBS溶液を調製した。pH8のPBS中のN−ホスホノオキシメチルレボルファノールおよびレボルファノール(遊離塩基)の溶解度は、約137mg/mLであることが見出された。37℃、1mg/mL未満での超音波処理によって、レボルファノール(遊離塩基)を可溶性にした。t=0の時点で50μLのサンプルを採取した。次いで、残りの溶液を、サンプリングの時点が標識された微量遠心バイアルに5つのアリコート(各175μL)に分けた。次いで、密閉されたバイアルを、温度制御された水浴内において37℃でインキュベートした。各時点において、適切なバイアルを水浴から取り出し、50μLのサンプルをHPLC解析のために取り出した。アッセイ条件、サンプリングの時点およびその時点において溶液中に残っているN−ホスホノオキシメチルレボルファノールの割合を示しているHPLC解析データの表が、以下の表1である:
表1〜3:N−ホスホノオキシメチルレボルファノールの化学的加水分解研究
【0186】
【表1】

【0187】
【表2】

【0188】
【表3】

pH12におけるN−ホスホノオキシメチルレボルファノールの化学安定性データについては、図6を参照のこと。pH6におけるN−ホスホノオキシメチルレボルファノールの化学安定性データについては、図7を参照のこと。pH8におけるN−ホスホノオキシメチルレボルファノールの化学安定性データについては、図8を参照のこと。
【0189】
実施例3:酵素加水分解研究
HPLCによる、37℃、pH8のアルカリホスファターゼ(EC3.1.3.1;Sigma−Aldrich Catalog #P7923)の存在下におけるN−ホスホノオキシメチルレボルファノールの安定性を、特定の時点(0、0.5、1.25、3、5.5および23時間後)におけるサンプル溶液のピーク下面積を、新しく調製されたサンプルのピーク面積と比較することによって測定した。アルカリホスファターゼ(400単位)を、37℃に維持された10mLのアルカリホスファターゼ安定化緩衝液(APSB;Sigma−Aldrich Catalog #A4955)に加えた。25μLの溶液を、較正されたColor−pHast Indicator Strips(pH2−9,Darmstadt,Germany)上に垂らし、較正スケールに対する色を確認することによって、溶液のpHを確かめた。N−ホスホノオキシメチルレボルファノール(3mg)を3mLの上記酵素+緩衝液溶液に加え、37℃でインキュベートした。各サンプリング時点において200μLのアリコートを、標識された微量遠心チューブ(各々50μLのアルカリホスファターゼ停止液(APSS;Sigma−Aldrich Catalog #A5852)が入っている)に取り出した。アセトニトリル(400μL)を各微量遠心チューブに加え、軽くボルテックスし、12,000rpmで5分間遠心した。得られた上清のアリコート(200μL)を、底にある酵素ペレットを乱さないように慎重に各チューブから取り出し、小容量インサートが入ったHPLCバイアルに移した。各参照を1mLの60/40アセトニトリル/APSB溶液に溶解することによって、50〜150%の範囲のアッセイ濃度の参照N−ホスホノオキシメチルレボルファノール溶液(すなわち1mg/mL)を調製し、サンプル注入間およびクロマトグラフィの直前に用い、HPLCのクロマトグラフィに供した。N−ホスホノオキシメチルレボルファノールは、1mgあたり40単位のアルカリホスファターゼ(AP)の比のAPの存在下において37℃で保存されたとき、30分以内にレボルファノールに加水分解したとみられ、それは、9.4分(N−ホスホノオキシメチルレボルファノールのピーク)のピーク面積の減少および18分(レボルファノールピーク)に広いピークが現れたことから証明される。図9は、時間0(a、上図)および30分後(b、下図)にサンプリングされた抽出物のクロマトグラムを示している。加水分解は、すぐに始まったとみられる。図1aに示されるように、時間0では、たった1.4%の総ピーク面積が、N−ホスホノオキシメチルレボルファノールである。30分後、測定可能な量のN−ホスホノオキシメチルレボルファノールは存在しなかった。N−ホスホノオキシメチルレボルファノールの酵素安定性データについては、図9を参照のこと。
【0190】
実施例4:N−ホスホノオキシメチルモルヒネの合成
モノ−tert−ブチル−N−(ホスホノオキシメチル)モルヒネの調製:
100mg(0.35mmol)のモルヒネに、5mLの無水アセトニトリル(3Åモレキュラーシーブで乾燥させたもの)中の、110mg(0.426mmol)のリン酸クロロメチルジ−tert−ブチル+75mg(0.48mmol)の1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジンの溶液を加え、アルゴンを流し、密閉した。その溶液を45℃の油浴内で2日間撹拌した後、2回目の110mg(0.426mmol)のリン酸クロロメチルジ−tert−ブチル+70mg(0.45mmol)の1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジンを加え、フラスコにアルゴンを流し、密閉し、45℃の油浴内で2日間撹拌した。次いで、3回目の110mg(0.426mmol)のリン酸クロロメチルジ−tert−ブチル+70mg(0.45mmol)の1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジンを加え、そのフラスコをアルゴン下で密閉し、45℃の油浴内でさらに2日間撹拌した。その反応物を油状物になるまで蒸発させ、撹拌しながら20mLのエチルエーテルを加えた。白色固体を濾過し、真空乾燥(吸湿性)することにより、200mgを得た(110%収率)。HPLCおよびMS(ESI+)は、モノ−t−ブチル(多数)と、ジ−t−ブチルと、t−ブチルを含んでいない化合物と、モルヒネ出発物質との混合物を示した。
【0191】
N−ホスホノオキシメチルモルヒネの調製:MSが、t−ブチル保護基のほとんどが除去されたと示すまで、10mLのアセトニトリル/1%TFA/H2O(1/3)中の上記粗モノ−tブチル−モルヒネ−メチルホスフェートを室温で6日間撹拌した。その溶液を乾燥するまで蒸発させた。80/20〜60/40の勾配を用いて0.0025ギ酸アンモニウム(pH=6.5)/アセトニトリルで溶出する、Waters製のSunfire C18 OBD prepカラム(10μ,10×150mm)において、表題化合物を精製した。2回の注入で、最大ピークが得られ、ガラス状物になるまで室温で蒸発させた。HPLCは、約25%の不純物を示し、その残渣を、同じ系を用いて1回の注入によるクロマトグラフィに再度供した。主要なピークを乾燥するまで蒸発させて、アセトニトリルで倍散した後、20mgの生成物を蒼白色固体として得た(13%)。
【0192】
【化41】

【0193】
【化42】

MS:(ESI陽イオン)m/z 396(M+)。
【0194】
実施例5:N−ホスホノオキシメチルフェンタニールの合成
フェンタニール遊離塩基の調製:100mg(1.89mmol)のクエン酸フェンタニール塩のサンプルを20mLの10%炭酸水素ナトリウムに溶解し、3×30mLのクロロホルムで抽出した。そのクロロホルムを硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、乾燥するまで蒸発させることにより、60mg(94%)の白色固体を得た。
【0195】
モノ−tert−ブチル−N−ホスホノオキシメチルフェンタニールの調製:60mg(0.179mmol)のフェンタニールに、5mLの無水アセトニトリル(3Åモレキュラーシーブで乾燥させたもの)中の、65mg(0.251mmol)のリン酸クロロメチルジ−tert−ブチル+55mg(0.354Menlo)の1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジンの溶液を加え、アルゴンを流し、栓で密閉した。その溶液を45℃の油浴内で2日間撹拌した後、2回目の65mg(0.251mmol)のリン酸クロロメチルジ−tert−ブチル+55mg(0.35mmol)の1.2,2,6,6−ペンタメチルピペリジンを加え、フラスコにアルゴンを流し、密閉し、45℃の油浴内で2日間撹拌した。次いで、3回目の65mg(0.25mmol)のリン酸クロロメチルジ−tert−ブチル+55mg(0.35mmol)の1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジンを加え、フラスコにアルゴンを流し、密閉し、45℃の油浴内でさらに4日間撹拌した。その反応物を油状物になるまで蒸発させ、撹拌しながら20mLのエチルエーテルを加えた。白色固体を濾過し、真空乾燥(吸湿性)することにより、75mgを得た(75%)。HPLCおよびMS(ESI+)は、モノ−t−ブチル(多数)と、ジ−t−ブチルと、t−ブチルを含まない化合物と、フェンタニール出発物質との混合物を示した。
【0196】
N−ホスホノオキシメチルフェンタニールの調製:MSが、t−ブチルのほとんどが除去されたと示すまで、10mLのアセトニトリル/1%TFA/HO(1/3)中の上記粗モノ−t−ブチル−フェンタニール−メチルホスフェートを室温で6日間撹拌した。その溶液を蒸発させた。そのホスフェートを、80/20〜60/40の勾配を用いて0.0025ギ酸アンモニウム(pH=6.5)/アセトニトリルで溶出する、Waters製のSunfire C18 OBD prepカラム(10μ,10×150mm)において精製した。1回の注入で、最大ピークが得られ、ガラス状物になるまで室温で蒸発させた。HPLCは、約2%の不純物を示した。アセトニトリルで倍散した後の残渣から5mg(7%)の所望の生成物を得た。
【0197】
【化43】

MS:(ESI陽イオン)m/z 447(M+)。
【0198】
実施例6:N−ホスホノオキシメチルペンタゾシンの合成
モノ−tert−ブチル−N−ホスホノオキシメチルペンタゾシンの調製:50mg(0.179mmol)のペンタゾシンに、5mLの無水アセトニトリル(3Åモレキュラーシーブで乾燥させたもの)中の、65mg(0.251mmol)のリン酸クロロメチルジ−tert−ブチル+55mg(0.354mmol)の1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジンの溶液を加え、アルゴンを流し、密閉した。その溶液を45℃の油浴内で2日間撹拌した後、2回目の65mg(0.251mmol)のリン酸クロロメチルジ−tert−ブチル+55mg(0.35mmol)の1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジンを加え、フラスコにアルゴンを流し、密閉し、45℃の油浴内で2日間撹拌した。次いで、3回目の65mg(0.25mmol)のリン酸クロロメチルジ−tert−ブチル+55mg(0.35mmol)の1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジンを加え、アルゴン下の密閉されたフラスコを45℃の油浴内でさらに3日間撹拌した。その反応物を油状物になるまで蒸発させ、撹拌しながら20mLのエチルエーテルを加えた。白色固体を濾過し、真空乾燥(吸湿性)することにより、100mgを得た(105%)。HPLCおよびMS(ESI+)は、モノ−t−ブチル(多数)と、ジ−t−ブチルと、t−ブチルを含まない化合物と、ペンタゾシン出発物質との混合物を示した。
【0199】
N−ホスホノオキシメチルペンタゾシンの調製:MSが、t−ブチルのほとんどが除去されたと示すまで、10mLのアセトニトリル/1%TFA/HO(1/3)中の上記粗モノ−t−ブチル−ペンタゾシン−メチルホスフェートを室温で6日間撹拌した。その溶液を蒸発させ、そのホスフェートを、80/20〜60/40の勾配を用いて0.0025ギ酸アンモニウム(pH=6.5)/アセトニトリルで溶出するWaters製のSunfire C18 OBD prepカラム(10μ,10×150mm)において精製した。1回の注入で、最大ピークが得られ、ガラス状物になるまで室温で蒸発させた。HPLCは、約12%の不純物を示した。アセトニトリルで倍散した後の残渣から、10mg(14%収率)の所望の生成物が得られた。
【0200】
【化44】

MS:(ESI 陽イオン)m/z 396(M+)。
【0201】
実施例7:N−ホスホノオキシメチルトラマドールの合成
モノ−tert−ブチル−N−ホスホノオキシメチルトラマドールの調製:20mLのアセトニトリルに溶解した2g(8.5mmol;1.0eel)のトレアドル(treadle)遊離塩基に、1.5g(5.7mmol;0.68eel)のリン酸クロロメチルジ−tert−ブチル+1.05g(6.8mmol;0.80eel)の1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジンを加えた。その溶液を40℃で5日間撹拌し、その後、溶媒を蒸発させ、得られた残渣をジエチルエーテルで洗浄し、粗生成物を分取HPLCで精製することにより、0.5gの生成物を得た(14%収率)。
【0202】
N−ホスホノオキシメチルトラマドールの調製:10mLのアセトニトリル中の0.5g(1.2mmol;1.0eq)のモノ−tert−ブチル−N−ホスホノオキシメチルトラマドールに、3mLのTFA/水(2:1)をゆっくり加え、室温で12時間撹拌した。次いで、その溶媒を蒸発させ、得られた残渣をジエチルエーテルおよびアセトニトリルで洗浄することにより、100mg(25%収率)のオフホワイトの固体を得た。
【0203】
【化45】

実施例8:N−ホスホノオキシメチルDiPOAの合成
ジ−tert−ブチル−N−ホスホノオキシメチルDiPOAの調製:10mLのアセトニトリルに溶解した0.25g(0.51mmol;1.0eq)のDiPOAに、0.133g(0.51mmol;1.0eq)のリン酸クロロメチルジ−tert−ブチル+0.06g(0.41mmol;0.8eq)の1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジンを加えた。その溶液を40℃で5日間撹拌し、その後、溶媒を蒸発させ、得られた残渣をジエチルエーテルで洗浄し、粗生成物を分取HPLCで精製することにより、0.1g(27%収率)の生成物を白色固体として得た。
【0204】
N−ホスホノオキシメチルDiPOAの調製:10mLのアセトニトリル中の0.10g(0.14mmol;1.0eq)のジ−tert−ブチル−N−ホスホノオキシメチルDiPOAに、3mLのTFA/水(2:1)をゆっくり加え、室温で12時間撹拌した。次いで、その溶媒を蒸発させ、得られた残渣をジエチルエーテルおよびアセトニトリルで洗浄することにより、50mg(62.5%収率)のオフホワイトの固体を得た。
【0205】
【化46】

実施例9:N−(ホスホノオキシメチル)コデインの合成
モノ−tert−ブチル−N−(ホスホノオキシメチル)コデインの調製:57mg(0.190mmol)のコデインに、5mLの無水アセトニトリル(3Åモレキュラーシーブで乾燥させたもの)中の72mg(0.278mmol)のリン酸クロロメチルジ−tert−ブチル+55mg(0.354mmol)の1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジンの溶液を加え、アルゴンを流し、栓で密閉した。その溶液を45℃の油浴内で4日間撹拌した。その反応混合物の質量スペクトル解析は、出発物質+強いリン酸モノ−t−ブチル、弱いジ−t−ブチルおよび弱い非ブロック化されたリン酸化合物を示した。アルゴンを流しながら2回目の75mg(0.290mmol)のリン酸クロロメチルジ−tert−ブチル+55mg(0.35mmol)の1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジンを加え、そのフラスコを密閉し、43℃の油浴内で3日間撹拌した。その質量スペクトルは、ほぼ同じであった。3回目の65mg(0.25mmol)のリン酸クロロメチルジ−tert−ブチル+55mg(0.35mmol)の1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジンを加え、アルゴン下の密閉したフラスコを43℃の油浴上でさらに4日間撹拌した。その反応物を油状物になるまで蒸発させ、撹拌しながら20mLのエチルエーテルを加えた。ゴム状の白色固体を、エーテル混合物から分離することにより、125mgを得た(160%)。HPLCおよびMS(ESI+)は、モノ−t−ブチルとコデインとの約1対1の混合物+いくらかのジ−t−ブチルおよび遊離コデイン−Me−リン酸および1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジンを示した。
【0206】
N−(ホスホノオキシメチル)コデインの調製:質量スペクトルが、t−ブチルのほとんどが除去されたと示すまで、10mLのアセトニトリル/1%TFA/水(1/3)中の上記粗モノ−t−ブチル−コデイン−Me−ホスフェートを室温で4日間撹拌した。その溶液を蒸発させ、そのホスフェートを、0.03Nギ酸アンモニウム(pH=6.2)/アセトニトリルで溶出するWaters製のSunfire C18 OBD prepカラム(10mu,10×150mm)において精製した。99/1〜60/40の勾配を用いた。1回の注入で、正確なuvの第1の最大ピークが得られ、ガラス状物になるまで室温で蒸発させることにより、15mgの固体を得た(NMRは、強いペンタメチルピペリジンピークを示す)。
【0207】
【化47】

MS:(ESI 陽イオン)m/z 410(M+)。
【0208】
実施例10:N−(ホスホノオキシメチル)ヒドロコドンの合成
ヒドロコドンの抽出:350mg(0.71mmol)のヒドロコドン二酒石酸塩のサンプルを20mLの10%炭酸水素ナトリウムに溶解し、3×30mLのクロロホルムで抽出した。そのクロロホルムを硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、乾燥するまで蒸発させることにより、196mg(92%)の白色固体を得た。ΝMR
モノ−tert−ブチル−N−(ホスホノオキシメチル)ヒドロコドンの調製:196mg(0.654mmol)のヒドロコドンに、5mLの無水アセトニトリル(3Aモレキュラーシーブで乾燥させたもの)中の、190mg(0.734mmol)のリン酸クロロメチルジ−tert−ブチル+120mg(0.77mmol)の1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジンの溶液を加え、アルゴンを流し、栓で密閉した。その溶液を45℃の油浴内で4日間撹拌した。質量スペクトル解析は、出発物質+強いリン酸モノ−t−ブチル、弱いジ−t−ブチルおよび弱い非ブロック化されたリン酸化合物を示した。2回目の160mg(0.618mmol)リン酸クロロメチルジ−tert−ブチル+100mg(0.64mmol)の1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジンを加え、アルゴンを流し、密閉したフラスコを43℃の油浴内で3日間撹拌した。質量スペクトルは、ほぼ同じであった。3回目の65mg(0.25mmol)のリン酸クロロメチルジ−tert−ブチル+55mg(0.35mmol)の1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジンを加え、アルゴン下の密閉したフラスコを43℃の油浴上でさらに3日間撹拌した。その反応物を油状物になるまで蒸発させ、撹拌しながら20mLのエチルエーテルを加えた。ゴム状の白色固体をそのエーテル混合物から分離することにより、250mgを得た(85%)。HPLCおよびMS(ESI+)は、モノ−t−ブチルとヒドロコドンとの約1対1の混合物+いくらかのジ−t−ブチルおよび遊離ヒドロコドン−Me−リン酸および1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジンを示した。
【0209】
N−(ホスホノオキシメチル)ヒドロコドンの調製:質量スペクトルが、t−ブチルのほとんどが除去されたと示すまで、10mLのアセトニトリル/1%TFA/水(1/3)中の上記粗モノ−t−Bu−ヒドロコドン−Me−ホスフェートを室温で4日間撹拌した。その溶液を蒸発させ、そのホスフェートを、0.03Nギ酸アンモニウム(pH=6.2)/アセトニトリルで溶出するWaters製のSunfire C18 OBD prepカラム(10mu,10×150mm)において精製した。95/5〜60/40の勾配を用いた。2回の注入で、正確なUVの第1の最大ピークが得られ、ガラス状物になるまで室温で蒸発させた。35mgの固体(NMRは、強いペンタメチルピペリジンピークを示し、これは、その生成物の極性に起因して、取り出すことが困難である)。
【0210】
【化48】

MS:(ESI陽イオン)m/z 410(M+)。
【0211】
実施例11.N−ホスホノオキシメチルオキシコドンの合成の試み
【0212】
【化49】

リン酸クロロメチルジ−tert−ブチル(3)およびオキシコドン(4)。250mg(0.712mmol)の塩酸オキシコドンを50mLのエーテルおよび25mLの炭酸水素ナトリウム溶液と混合した。その混合物を振盪し、そのエーテル層を分離した。すべての白色固体が溶解するまで、50mLのエーテルを3回以上加えた。その併せたエーテル層を硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、乾燥するまで蒸発させた(200mg,0.64mmol)。残渣を10mLの乾燥アセトニトリル(モレキュラーシーブで乾燥させたもの)に溶解し、アルゴン下で350mgの85%リン酸クロロメチル(約1.15mmol)に加えた。撹拌子が入ったアルゴン下のガラスボンベ(glass bomb)内の上記反応混合物を、40℃の油浴内で加熱し、一晩撹拌した。その反応物を乾燥するまで蒸発させたところ、CDClにおけるNMRは、出発物質のみを示した。
【0213】
ラン(Run)2.上記残渣を10mLの乾燥アセトニトリルに溶解し、アルゴン下で1mlのアセトニトリル中の178mg(1.15mmol)の1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジンを加えた。ガラスボンベ内の反応物を60℃の油浴内で3日間撹拌した。その反応混合物を乾燥するまで蒸発させ、エチルエーテルを加えた(10mL)。白色固体を濾過し、その濾液を乾燥するまで蒸発させた。白色固体(185mg)から、MSが316(M+1)のオキシコドンが得られた。上記濾液から、316ピークおよび532ピークが得られたが、生成物の538ピークまたはモノ−t−ブチル生成物のいかなる482も得られなかった。上記濾液のNMRは、リン酸クロロメチルSMの5.63ppmダブレットを示さなかった。
【0214】
ラン3.上記固体(185mg,59mmol)を10mLの乾燥アセトニトリルに溶解し、アルゴン下で、1mlのアセトニトリル中の178mg(1.15mmol)の1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジンおよび350mgの上記リン酸クロロメチルを加えた。ガラスボンベ内の反応物を90〜100℃の油浴内で3日間撹拌した。その反応混合物を乾燥するまで蒸発させ、エチルエーテルを加えた(10mL)。白色固体を濾過し、その濾液を乾燥するまで蒸発させた。白色固体(155mg)から、MSが316(M+1)のオキシコドンが得られた。その濾液から、316ピークおよび532ピークが得られたが、生成物の538ピークまたは任意の482は得られなかった。上記濾液のNMRは、リン酸クロロメチルSMの5.63ppmダブレットを示さなかったが、ホスフェートピークを示した。その残渣をprep厚TLCプレート上に置き、20%MeOH/CHClで展開することにより、3つのバンドを得た。それらのバンドを20MeOH/CHClで抽出した。いずれのバンドもNMRにおいていかなる31Pも有していなかった。
【0215】
ラン4.新しい210mg(0.67mmol)のオキシコドン(遊離塩基)+新しい350mgの上記リン酸クロロメチルを用いて、アルゴン下の5mLのアセトニトリル中の176mgのペンタメチルピペリジンおよび1結晶のヨウ化ナトリウムを加えた。ガラスボンベ内の混合物を、油浴上で撹拌しながら90〜100℃に18時間加熱した。溶解は最初に完了したが、一晩で黄色の沈殿物が形成された。その混合物を冷却し、濾過した。その黄色固体(195mg)から、MSが316のオキシコドンが得られ、同様に、濾液からMS316および532が得られた。
【0216】
ラン5.上記黄色固体をクロロホルムに溶解し、炭酸水素ナトリウム溶液で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、固体になるまで蒸発させた(192mg)。その固体+350mgのリン酸クロロメチルおよび178mgのペンタメチルピペリジン(pentamethylpiperdine)を40mlのメチルエチルケトン中に入れ、3日間還流した。その溶液を蒸発させたところ、MSは、316のオキシコドンおよび532ピークを示した。NMRは、すべてではないホスフェートが分解していないことを示唆する、いくつかのリン酸クロロメチルダブレットを示した。
【0217】
ラン6.100mgの回収されたオキシコドン+175mgの上記リン酸クロロメチルを50mLのメチルエチルケトン中で3日間還流したところ、5回目のrunと同じ結果が得られた。
【0218】
ラン7.5mgのオキシコドン(遊離塩基)を、3滴のヨウ化メチルを含んだMEK中で3日間還流した。MSは、いくらかの反応を示唆するが大部分はSMであることを示唆する小さい330ピークを示した。ヨウ化メチルを追加して、その反応を続けた。2日後、反応物を蒸発させたところ、MSは、いかなる新しい330ピークも示さなかった。
【0219】
【化50】

ラン8.5mLのアセトニトリル中の、25mg((0.27mmol)のモルホリン+127mg(0.39mmol)のリン酸クロロメチルジ−tert−ブチル(3)をガラスボンベ内で撹拌しながら45℃の油浴で加熱した。18時間後、反応物を乾燥するまで蒸発させることにより、油状物を得た。生成物のMS(ESI)は、上記クロロホスフェートが単純環N−メチルcpdと反応し得ることを示唆する、324の強いピークを示した。
【0220】
ラン9.2mLのアセトニトリル中の、5mg(0.016mmol)のオキシコドン(4)、10mg(0.038mmol)のリン酸クロロメチルジ−tert−ブチル(3)を撹拌し、最初140で、10分間マイクロ波で加熱し、次いで、100℃で加熱した(温度について最小条件)。蒸発させることにより、MSが316のみのオキシコドン(SM)が示され、生成物の可能性のある538または482は示されなかった。
【0221】
ラン10.164mg(0.52mmol)のオキシコドンに、5mLの無水アセトニトリル(3Aモレキュラーシーブで乾燥させたもの)中の、210mg(0.81mmol)のリン酸クロロメチルジ−tert−ブチル+155mg(1.0mmol)の1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジンおよび15mgのヨウ化ナトリウムの溶液を加え、アルゴンを流し、栓で密閉した。その溶液を45℃の油浴内で3日間撹拌した。その質量スペクトルは、出発物質に対する316という強いm/eを示した。2回目の100mg(0.386mmol)のリン酸クロロメチルジ−tert−ブチル+80mg(0.51mmol)の1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジンを加え、そのフラスコにアルゴンを流し、密閉した。撹拌を43℃の油浴内で5日間続けた。その反応混合物の質量スペクトルは、出発物質および他の不純物を示したが、m/e426(生成物)、482(モノ−t−ブチル)または538(ジ−t−ブチル)のピークは示されなかった。その反応物を油状物になるまで蒸発させることにより、300mgを得た。その油状物を50mLの0.1%TFA/20%アセトニトリルの80%に溶解し、2日間撹拌したところ、その質量スペクトルは、出発物質に対する316のm/eおよび他のピークを示したが、生成物に対する426は示されなかった。
【0222】
実施例12.N−ホスホノオキシメチルオキシモルホンの合成の試み
オキシモルホン:20錠のオキシモルホンHCl塩を粉末にすりつぶし、100mLの10%炭酸ナトリウム溶液中のスラリーにし、そして100mLのクロロホルムで抽出した。その混合物はエマルジョンを形成し、それをCeliteで濾過し、層を分離した。その濾過ケークを100mLのクロロホルムで3回抽出し、併せた濾液を硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、乾燥するまで蒸発させることにより、365mgの黄色−白色固体を得た。
【0223】
モノ−tert−ブチル−N−(ホスホノオキシメチル)オキシモルホン.361mg(1.20mmol)のオキシモルホンのサンプルを、5mLの無水アセトニトリル(3Aモレキュラーシーブで乾燥させたもの)中の、335mg(0.129mmol)のリン酸クロロメチルジ−tert−ブチル+210mg(0.135mmol)の1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジンの溶液に加え、アルゴンを流し、栓で密閉した。その溶液を45℃の油浴上で3日間撹拌した。質量スペクトルは、モノ−t−ブチル化合物の弱いm/e467ピークおよび生成物に対する412の弱いm/eおよび出発物質に対する302の強いm/eを示した。2回目の210mg(0.811mmol)のリン酸クロロメチルジ−tert−ブチル+130mg(0.84mmol)の1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジンを加え、アルゴンを流し、密閉したフラスコを5日間、43℃の油浴内で撹拌した。その反応物の質量スペクトルは、出発物質を示したが、412および467ピークのほとんどは失われていた。その反応物を油状物になるまで蒸発させ、400mgを得た。その油状物を75mLの80%0.15TFA/アセトニトリルに溶解し、2日間撹拌したところ、質量スペクトルは、出発物質に対する312のm/eおよび他のピークを示したが、生成物に対する412のm/eは示されなかった。
【0224】
実施例13.N−ホスホノオキシメチルブプレノルフィンの合成の試み
ブプレノルフィン.ブプレノルフィンHCl塩の110mg(1.89mmol)のサンプルを20mLの10%炭酸ナトリウムに溶解し、3×30mLのクロロホルムで抽出した。そのクロロホルムを硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、乾燥するまで蒸発させることにより、85mg(85%)の白色固体を得た。
【0225】
モノ−tert−ブチル−N−(ホスホノオキシメチル)ブプレノルフィン.85mg(0.182mmol)のブプレノルフィンに、5mLの無水アセトニトリル(3Aモレキュラーシーブで乾燥させたもの)中の、80mg(0.309mmol)のリン酸クロロメチルジ−tert−ブチル+65mg(0.418mmol)の1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジンの溶液を加え、アルゴンを流し、栓で密閉した。その溶液を45℃の油浴内で3日間撹拌した。その反応混合物の質量スペクトル解析は、出発物質に対する316の強いm/eおよび生成物の可能性のある非常に弱い578ピークを示した。2回目の100mg(0.386mmol)のリン酸クロロメチルジ−tert−ブチル+70mg(0.45mmol)の1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジンを加え、アルゴンを流し、密閉したフラスコを43℃の油浴内で5日間撹拌した。その反応物の質量スペクトルは、弱い出発物質および他の不純物のピークを示したが、578(生成物)、634(モノ−t−ブチル)または690(ジ−t−ブチル)のピークは示されなかった。その反応物を油状物になるまで蒸発させることにより、100mgを得た。その油状物を30mLの0.1%TFA/20%アセトニトリルの80%に溶解し、2日間撹拌した。その質量スペクトルは、出発物質に対する467の弱いm/eおよび他のピークを示したが、生成物に対する578は示されなかった。リン酸クロロメチルジ−tert−ブチル反応がより長く行われると、出発物質が分解されるとみられた。
【0226】
実施例14.N−ホスホノオキシメチルメタドンの合成の試み
モノ−tert−ブチル−N−(ホスホノオキシメチル)メタドン.80mg(0.258mmol)のメタドンに、5mLの無水アセトニトリル(3Åモレキュラーシーブで乾燥させたもの)中の、90mg(0.349mmol)のリン酸クロロメチルジ−tert−ブチル+65mg(0.419mmol)の1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジンの溶液を加え、アルゴンを流し、栓で密閉した。その溶液を45℃の油浴内で3日間撹拌し、2回目の90mg(0.349mmol)のリン酸クロロメチルジ−tert−ブチル+65mg(0.42mmol)の1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジンを加え、アルゴンを流し、密閉したフラスコを45℃の油浴内で2日間撹拌し、3回目の90mg(0.35mmol)リン酸クロロメチルジ−tert−ブチル+65mg(0.42mmol)の1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジンを加え、アルゴン下で密閉された密閉したフラスコを45℃の油浴内でさらに4日間撹拌した。その反応物を油状物になるまで蒸発させ、撹拌しながら20mLのエチルエーテルを加えた。白色固体を濾過し、真空乾燥(吸湿性)することにより、75mgを得た(75%)。そのHPLCおよびMS(ESI+)は、モノ−t−ブチルと、ジ−t−ブチルと、t−ブチルを含まない化合物と、メタドン出発物質との混合物を示した。
【0227】
メタドン−Me−ホスフェート.MSが、t−ブチルのほとんどだけでなく、大量のメタドン出発物質が除去されたと示すまで、10mLのアセトニトリル/1%TFA/HO(1/3)中の上記粗モノ−t−ブチル−メタドン−メチルホスフェートを室温で6日間撹拌した。その溶液を蒸発させ、そのホスフェートを、80/20〜60/40の勾配を用いる0.0025ギ酸アンモニウム(pH=6.5)/アセトニトリルで溶出するWaters製のSunfire C18 OBD prepカラム(10μ,10×150mm)において精製した。1回の注入で、ピークが得られた。そのMSは、ホスフェート化合物を示さなかった。上記反応をさらに2回行い、分取HPLCを行うまでMSにおいてすべてがホスフェート化合物を示さなかった。そのクロマトグラフィから生成物は単離されなかった。
【0228】
実施例15.N−ホスホノオキシメチルナルトレキソンの合成の試み
ラン1 アセトニトリル中の0.5gのナルトレキソンの撹拌溶液に、0.27g(1.2eq)のペンタメチルピペリジン(1.2eq)を加えた後、0.45gのリン酸クロロメチルジ−tert−ブチル(1.2eq)を加え、2日間43℃に加熱した。2日後、さらに1.2eqのペンタメチルピペリジンおよび1.2eqのリン酸クロロメチルジ−tert−ブチルを加え、さらに5日間加熱を続けた。生成物は形成されなかった。その反応をTLCおよびHPLCでモニターした。ワークアップ後に得られた粗化合物のNMRは、所望の生成物構造に適合しなかった。
【0229】
ラン2 アセトニトリル中の0.5gのナルトレキソンの撹拌溶液に、0.27g(1.2eq)のペンタメチルピペリジン(1.2eq)を加えた後、0.45gのリン酸クロロメチルジ−tert−ブチル(1.2eq)を加え、3日間43℃に加熱した。3日後、さらに1.2eqのペンタメチルピペリジンおよび1.2eqのリン酸クロロメチルジ−tert−ブチルを加え、さらに3日間加熱を続けた。3日後、さらに1.2eqのペンタメチルピペリジンおよび1.2eqのリン酸クロロメチルジ−tert−ブチルを加え、その反応を加熱しながらさらに3日間続けた。生成物は形成されなかった。その反応をTLCおよびHPLCでモニターした。ワークアップ後に得られた粗化合物のNMRは、所望の生成物構造に適合しなかった。
【0230】
ラン3 アセトニトリル中の0.5gのナルトレキソンの撹拌溶液に、0.27g(1.2eq)のペンタメチルピペリジン(1.2eq)を加えた後、0.45gのリン酸クロロメチルジ−tert−ブチル(1.2eq)を加え、7日間43℃に加熱した。7日後、さらに1.2eqのペンタメチルピペリジンおよび1.2eqのリン酸クロロメチルジ−tert−ブチルを加え、加熱しながらさらに7日間その反応を続けた。さらに1.2eqのペンタメチルピペリジンおよび1.2eqのリン酸クロロメチルジ−tert−ブチルを加え、加熱しながらさらに7日間その反応を続けた。生成物は形成されなかった。その反応をTLCおよびHPLCでモニターした。ワークアップ後に得られた粗化合物のNMRは、所望の生成物構造に適合しなかった。
【0231】
ラン4 アセトニトリル中の0.2gのナルトレキソンの撹拌溶液に、1.2eqのペンタメチルピペリジンを加えた後、1.2eqのリン酸クロロメチルジ−tert−ブチルを加え、7日間43℃に加熱した。7日後、さらに1.2eqのペンタメチルピペリジンおよび1.2eqのリン酸クロロメチルジ−tert−ブチルを加え、加熱しながら7日間その反応を続けた。生成物は形成されなかった。その反応をTLCおよびHPLCでモニターした。Prep−HPLCの後に得られた化合物のNMRは、所望の生成物構造に適合しなかった。
【0232】
ラン5 アセトニトリル中の100mgのナルトレキソンの撹拌溶液に、ペンタメチルピペリジン(1.2eq)および40mgのブロモクロロメタン(bromochlormethane)を加え、45℃で5日間撹拌した。TLCおよび大まかなMSでモニターしたところ、生成物は形成されていなかった。
【0233】
ラン6 アセトニトリル中の100mgのナルトレキソンの撹拌溶液に、ペンタメチルピペリジン(1.2eq)および62mgのクロロヨードメタンを加え、45℃で3日間撹拌した。TLCおよび大まかなMSでモニターしたところ、生成物は形成されていなかった。
【0234】
ラン7 アセトニトリル中の100mgのナルトレキソンの撹拌溶液に、ペンタメチルピペリジン(1.2eq)および1−ブロモ−1−クロロエタン(1.2eq)を加え、45℃で5日間撹拌した。TLCおよび大まかなMSでモニターしたところ、生成物は形成されていなかった。
【0235】
ラン8 アセトニトリル中の50mgのナルトレキソンの撹拌溶液に、DIPEA(1.2eq)およびクロロヨードメタン(1.2eq)を加えた。その反応物を3日間45℃に加熱した。TLCおよび大まかなMSで測定したところ、生成物は形成されていなかった。
【0236】
ラン9 アセトニトリル中の50mgのナルトレキソンの撹拌溶液に、KI(1eq)、DIPEA(2eq)およびクロロヨードメタン(1.2eq)を加えた。その反応物を2日間45℃に加熱した。TLCおよび大まかなMSで測定したところ、生成物は形成されていなかった。
【0237】
ラン10 アセトニトリル中の50mgのナルトレキソンの撹拌溶液に、KI(1eq)、Bu4N Br(触媒)およびクロロヨードメタン(1.2eq)を加えた。その反応物を2日間45℃に加熱した。TLCおよび大まかなMSで測定したところ、生成物は形成されていなかった。
【0238】
ラン11 DMF中の50mgのナルトレキソンの撹拌溶液に、DIPEA(2eq)および加熱されたクロロヨードメタン(1.2eq)を加えた。その反応物を2日間45℃に加熱した。TLCおよび大まかなMSで測定したところ、生成物は形成されていなかった。
【0239】
ラン12 アセトニトリル中の50mgのナルトレキソンの撹拌溶液に、DBU(1eq)およびクロロヨードメタン(1.2eq)を加えた。その反応物を2日間45℃に加熱した。TLCおよび大まかなMSで測定したところ、生成物は形成されていなかった。
【0240】
本明細書中に開示されたすべての参考文献は、その全体が本明細書中で参考として援用される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)親薬物部分;および
(b)式:
【化51】

のプロドラッグ部分
を含む化合物であるが、ただし、該プロドラッグ部分が、該式(2)であるとき、該親薬物部分は、レボメタジル、メタドン、プロポキシフェン、ブプレノルフィン、ブトルファノール、コデイン、ジフェノキシレート、フェンタニール、ヒドロコドン、ヒドロモルホン、ロペルアミド、メペリジン、モルヒネ、ナルブフィン、ナルメフェン、ナロキソン、ナルトレキソン、オキシコドン、オキシモルホン、ペンタゾシン、スフェンタニル、アルプラゾラム、クロラゼペート、クロナゼパム、エスタゾラム、フルラゼパム、ハラゼパム、ロラゼパム、ミダゾラム、オキサゼパム、クアゼパム、テマゼパムおよびトリアゾラムからなる群から選択される親薬物の部分ではない、化合物。
【請求項2】
前記プロドラッグ部分が、前記式(1A)または(1B)であり、前記親薬物部分が、オピオイド、ベンゾジアゼピン、CNS薬、刺激剤または食欲抑制剤の部分である、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
請求項2に記載の化合物またはその任意の立体異性体、塩、水和物もしくは溶媒和物であって、該化合物は、式(I):
【化52】

であり、ここで:
は、水素、C−C10アルカノエート、ヒドロキシル、ならびに置換または非置換のC−C10アルキルおよび置換または非置換のC−C10アルコキシからなる群から選択され;
は、水素、=O、ヒドロキシル、置換または非置換のC−C10アルキル、置換または非置換のC−C10アルケニルおよび置換または非置換のC−C10アルコキシからなる群から選択され;
は、水素、ヒドロキシル、C−C10アルカノエート、置換または非置換のC−C10アルキルおよび置換または非置換のC−C10アルコキシからなる群から選択され;
は、水素、C−C10アルカノエート、置換または非置換のC−C10アルキル、置換または非置換のC−C10アルケニルおよび置換または非置換のC−C10アルコキシからなる群から選択され;
は、前記プロドラッグ部分(1A)、(1B)または(2)であり;
Yは、存在しないか、またはOおよびSから選択され;
環Cは、0、1または2個の二重結合を有し;
は、薬学的に許容可能な陰イオンである;
化合物またはその任意の立体異性体、塩、水和物もしくは溶媒和物。
【請求項4】
前記プロドラッグ部分が、前記式(2)である、請求項2または3に記載の化合物。
【請求項5】
が、ヒドロキシルであり、RおよびRが、水素であり、Rが、メチルであり、Rが、前記プロドラッグ部分(1A)または(1B)であり、Yが、存在しない、請求項3に記載の化合物。
【請求項6】
が、ヒドロキシルであり、RおよびRが、水素であり、Rが、メチルであり、Rが、前記プロドラッグ部分(2)であり、Yが、存在しない、請求項3に記載の化合物。
【請求項7】
が、メトキシであり、Rが、ヒドロキシであり、Rが、水素であり、Rが、メチルであり、Rが、前記プロドラッグ部分(1A)または(1B)であり、Yが、酸素であり、環Cが、二重結合を有しない、請求項3に記載の化合物。
【請求項8】
が、メトキシであり、Rが、ヒドロキシであり、Rが、水素であり、Rが、メチルであり、Rが、前記プロドラッグ部分(2)であり、Yが、酸素であり、環Cが、二重結合を有しない、請求項3に記載の化合物。
【請求項9】
が、エトキシであり、Rが、ヒドロキシであり、Rが、水素であり、Rが、メチルであり、Rが、前記プロドラッグ部分(1A)または(1B)であり、Yが、酸素であり、環Cが、炭素7と8との間に1つの二重結合を有する、請求項3に記載の化合物。
【請求項10】
が、エトキシであり、Rが、ヒドロキシであり、Rが、水素であり、Rが、メチルであり、Rが、前記プロドラッグ部分(2)であり、Yが、酸素であり、環Cが、炭素7と8との間に1つの二重結合を有する、請求項3に記載の化合物。
【請求項11】
が、メトキシであり、Rが、=Oであり、Rが、ヒドロキシルであり、Rが、メチルであり、Rが、前記プロドラッグ部分(1A)または(1B)であり、Yが、酸素である、請求項3に記載の化合物。
【請求項12】
が、メトキシであり、Rが、=Oであり、Rが、ヒドロキシルであり、Rが、メチルであり、Rが、前記プロドラッグ部分(1A)または(1B)であり、Yが、酸素である、請求項3に記載の化合物。
【請求項13】
が、ヒドロキシルであり、Rが、=Oであり、Rが、ヒドロキシルであり、Rが、メチルであり、Rが、前記プロドラッグ部分(1A)または(1B)であり、Yが、酸素である、請求項3に記載の化合物。
【請求項14】
が、ヒドロキシルであり、Rが、=Oであり、Rが、ヒドロキシルであり、Rが、メチルであり、Rが、前記プロドラッグ部分(2)であり、Yが、酸素である、請求項3に記載の化合物。
【請求項15】
が、メトキシであり、Rが、ヒドロキシルであり、Rが、水素であり、Rが、メチルであり、Rが、前記プロドラッグ部分(1A)または(1B)であり、Yが、酸素であり、CとCとが、二重結合によって連結されている、請求項3に記載の化合物。
【請求項16】
が、ヒドロキシルであり、Rが、ヒドロキシルであり、Rが、水素であり、Rが、メチルであり、Rが、前記プロドラッグ部分(1A)または(1B)であり、Yが、酸素であり、CとCとが、二重結合によって連結されている、請求項3に記載の化合物。
【請求項17】
が、ヒドロキシルであり、Rが、=Oであり、Rが、ヒドロキシルであり、Rが、シクロプロピルメチルであり、Yが、Oである、請求項3に記載の化合物。
【請求項18】
が、ヒドロキシルであり、Rが、=Oであり、Rが、ヒドロキシルであり、Rが、プロペン−3−イルであり、Yが、Oである、請求項3に記載の化合物。
【請求項19】
が、ヒドロキシルであり、Rが、エテニルであり、Rが、ヒドロキシルであり、Rが、シクロプロピルメチルであり、Yが、Oである、請求項3に記載の化合物。
【請求項20】
が、ヒドロキシルであり、Rが、ヒドロキシルであり、Rが、水素であり、Rが、プロペン−3−イルであり、Yが、Oである、請求項3に記載の化合物。
【請求項21】
が、ヒドロキシルであり、Rが、ヒドロキシルであり、Rが、ヒドロキシルであり、Rが、シクロブチルメチルであり、Yが、Oである、請求項3に記載の化合物。
【請求項22】
が、ヒドロキシルであり、Rが、水素であり、Rが、水素であり、Rが、シクロプロピルメチルであり、Yが、存在しない、請求項3に記載の化合物。
【請求項23】
が、ヒドロキシルであり、Rが、水素であり、Rが、ヒドロキシルであり、Rが、シクロプロピルメチルであり、Yが、存在しない、請求項3に記載の化合物。
【請求項24】
が、ヒドロキシルであり、Rが、水素であり、Rが、水素であり、Rが、プロペン−3−イルであり、Yが、存在しない、請求項3に記載の化合物。
【請求項25】
請求項2に記載の化合物またはその任意の立体異性体、塩、水和物もしくは溶媒和物であって、該化合物は、式(II):
【化53】

であり、ここで:
は、水素、ヒドロキシル、置換または非置換のC−C10アルキルおよび置換または非置換のC−C10アルコキシからなる群から選択され;
は、水素、ヒドロキシル、置換または非置換のC−C10アルキル、置換または非置換のC−C10アルケニルおよび置換または非置換のC−C10アルコキシからなる群から選択され;
は、水素、置換または非置換のC−C10アルキルおよび置換または非置換のC−C10アルコキシからなる群から選択され;
は、前記プロドラッグ部分(1A)または(1B)または(2)であり;
Yは、存在しない、OおよびSからなる群から選択され;
環Cは、0または1個の二重結合を有し;
は、薬学的に許容可能な陰イオンである;
化合物またはその任意の立体異性体、塩、水和物もしくは溶媒和物。
【請求項26】
が、ヒドロキシルであり、Rが、メトキシであり、Rが、シクロプロピルメチルであり、Rが、メトキシホスホン酸であり、Yが、酸素である、請求項25に記載の化合物。
【請求項27】
が、ヒドロキシルであり、Rが、メトキシであり、Rが、シクロプロピルメチルであり、Rが、エトキシホスホン酸であり、Yが、酸素である、請求項25に記載の化合物。
【請求項28】
請求項2に記載の化合物またはその任意の立体異性体、塩、水和物もしくは溶媒和物であって、該化合物は、式(III):
【化54】

であり、ここで:
は、ヒドロキシル、プロピルベンゼン、エチルベンゼン、2−プロピルチオフェン、酪酸メチル、1−エチル−4−エチル−1H−テトラゾール−5(4H)−オンおよび1−エチル−4−プロピル−1H−テトラゾール−5(4H)−オン、置換または非置換のC−C10アルキルおよび置換または非置換のC−C10アルコキシ、アルキルカルボニルアルコキシからなる群から選択され;
は、水素、=O、ヒドロキシル、置換または非置換のC−C10アルキルおよびC−C10アルコキシ、C−C10アルカノエート、C−C10アルコキシアルキルからなる群から選択され;
は、前記プロドラッグ部分(1A)、(1B)または(2)であり;
は、薬学的に許容可能な陰イオンである;
化合物またはその任意の立体異性体、塩、水和物もしくは溶媒和物。
【請求項29】
が、プロピルベンゼンであり、Rが、水素であり、Rが、メトキシホスホン酸である、請求項28に記載の化合物。
【請求項30】
が、プロピルベンゼンであり、Rが、水素であり、Rが、エトキシホスホン酸である、請求項28に記載の化合物。
【請求項31】
が、プロピルベンゼンであり、Rが、Rが、ギ酸メチルであり、Rが、メトキシホスホン酸である、請求項28に記載の化合物。
【請求項32】
が、プロピルベンゼンであり、Rが、Rが、ギ酸メチルであり、Rが、エトキシホスホン酸である、請求項28に記載の化合物。
【請求項33】
が、2−プロピルチオフェンであり、Rが、メトキシメチルであり、Rが、メトキシホスホン酸である、請求項28に記載の化合物。
【請求項34】
が、2−プロピルチオフェンであり、Rが、メトキシメチルであり、Rが、エトキシホスホン酸である、請求項28に記載の化合物。
【請求項35】
が、1−エチル−4−エチル−1H−テトラゾール−5(4H)−オンであり、Rが、メトキシメチルであり、Rが、メトキシホスホン酸である、請求項28に記載の化合物。
【請求項36】
が、1−エチル−4−エチル−1H−テトラゾール−5(4H)−オンであり、Rが、メトキシメチルであり、Rが、エトキシホスホン酸である、請求項28に記載の化合物。
【請求項37】
が、酪酸メチルであり、Rが、ギ酸メチルであり、Rが、メトキシホスホン酸である、請求項28に記載の化合物。
【請求項38】
が、酪酸メチルであり、Rが、酢酸メチルであり、Rが、エトキシホスホン酸である、請求項28に記載の化合物。
【請求項39】
親薬物による治療の必要のある個体において親薬物活性の開始を遅延させる方法であって、該方法は、親薬物部分および式:
【化55】

のプロドラッグ部分を含む有効量のプロドラッグまたはその任意の立体異性体、塩、水和物もしくは溶媒和物を該個体に投与する工程を包含し、ここで、該プロドラッグは、該親薬物と比べて親薬物活性の開始が遅い、方法。
【請求項40】
親薬物による治療の必要のある個体において親薬物の作用を延長する方法であって、該方法は、親薬物部分および式:
【化56】

のプロドラッグ部分を含む有効量のプロドラッグまたはその任意の立体異性体、塩、水和物もしくは溶媒和物を個体に投与する行程を包含し、ここで、該プロドラッグは、該親薬物と比べて親薬物作用の開始が遅い、方法。
【請求項41】
APDによる治療の必要な個体においてAPDの乱用の可能性を減少させる方法であって、該方法は、APD部分および式:
【化57】

のプロドラッグ部分を含む、有効量の化合物またはその任意の立体異性体、塩、水和物もしくは溶媒和物を個体に投与する工程を包含し、ここで、該プロドラッグは、該親APDと比べて、乱用になりにくい、方法。
【請求項42】
前記プロドラッグが、本明細書中に詳述されるような式(I)〜(IX)のプロドラッグまたはその任意の立体異性体、塩、水和物もしくは溶媒和物から選択される、請求項39〜41のいずれか1項に記載の方法。
【請求項43】
前記プロドラッグ部分が、前記式(1A)または(1B)である、請求項2または3に記載の化合物。
【請求項44】
(a)オピオイド部分および式:
【化58】

のプロドラッグ部分を含むオピオイドプロドラッグ、および(b)疼痛を処置する際、予防する際、または疼痛の発生および/もしくは発症を遅延させる際に使用するための指示書を備える、キット。
【請求項45】
(a)親薬物部分および式:
【化59】

のプロドラッグ部分を含むプロドラッグ
および(b)薬学的に許容可能なキャリア
を含む、薬学的組成物。
【請求項46】
請求項1に記載の化合物およびその任意の立体異性体、塩、水和物または溶媒和物であって、該化合物は、式(IV):
【化60】

であり、ここで、RおよびRは、独立してアルキルであり;Rは、前記プロドラッグ部分(1A)、(1B)または(2)であり;Rは、アルカリールまたはアルケニルであり、Xは、薬学的に許容可能な陰イオンである、化合物およびその任意の立体異性体、塩、水和物または溶媒和物。
【請求項47】
およびRが、独立して選択された、置換または非置換のC−Cアルキルであり;Rが、前記プロドラッグ部分(1A)、(1B)または(2)であり;Rが、nが1〜5から選択される(CH−フェニル、またはC−C10アルケニルであり、Xが、薬学的に許容可能な陰イオンである、請求項44に記載の化合物およびその任意の立体異性体、塩、水和物または溶媒和物。
【請求項48】
請求項1に記載の化合物およびその任意の立体異性体、塩、水和物または溶媒和物であって、該化合物は、式(V):
【化61】

であり、ここで、Rは、アルカノエートまたはカルボニルアルキルであり;R、RおよびRは、独立して、置換または非置換のアルキルであり;Rは、前記プロドラッグ部分(1A)、(1B)または(2)であり;nは、1〜10の整数であり、Xは、薬学的に許容可能な陰イオンである、化合物およびその任意の立体異性体、塩、水和物または溶媒和物。
【請求項49】
が、プロパノエートまたはプロピオニルであり;R、RおよびRが、独立して、置換または非置換のC−Cアルキルであり;Rが、前記プロドラッグ部分(1A)、(1B)または(2)であり;nが、1〜5の整数であり、Xが、薬学的に許容可能な陰イオンである、請求項46に記載の化合物およびその任意の立体異性体、塩、水和物または溶媒和物。
【請求項50】
請求項1に記載の化合物またはその任意の立体異性体、塩、水和物もしくは溶媒和物であって、該化合物は、式(VI):
【化62】

であり、ここで:
は、臭素、塩素およびニトロからなる群から選択され;
は、水素およびメチルからなる群から選択され;
は、水素およびフッ素からなる群から選択され;
は、水素およびカルボキシルからなる群から選択され;
は、前記プロドラッグ部分(1A)、(1B)または(2)である;
化合物またはその任意の立体異性体、塩、水和物もしくは溶媒和物。
【請求項51】
が、塩化物であり、Rが、メチルであり、Rが、水素であり、Rが、水素であり、Rが、前記プロドラッグ部分(1A)である、請求項50に記載の化合物。
【請求項52】
が、塩化物であり、Rが、メチルであり、Rが、水素であり、Rが、水素であり、Rが、前記プロドラッグ部分(1B)である、請求項50に記載の化合物。
【請求項53】
が、塩化物であり、Rが、メチルであり、Rが、水素であり、Rが、水素であり、Rが、前記プロドラッグ部分(2)である、請求項50に記載の化合物。
【請求項54】
が、ニトロであり、Rが、水素であり、Rが、水素であり、Rが、水素であり、Rが、前記プロドラッグ部分(1A)である、請求項50に記載の化合物。
【請求項55】
が、ニトロであり、Rが、水素であり、Rが、水素であり、Rが、水素であり、Rが、前記プロドラッグ部分(1B)である、請求項50に記載の化合物。
【請求項56】
が、ニトロであり、Rが、水素であり、Rが、水素であり、Rが、水素であり、Rが、前記プロドラッグ部分(2)である、請求項50に記載の化合物。
【請求項57】
が、塩化物であり、Rが、メチルであり、Rが、水素であり、Rが、水素であり、Rが、前記プロドラッグ部分(1A)である、請求項50に記載の化合物。
【請求項58】
が、塩化物であり、Rが、メチルであり、Rが、水素であり、Rが、水素であり、Rが、前記プロドラッグ部分(1B)である、請求項50に記載の化合物。
【請求項59】
が、塩化物であり、Rが、メチルであり、Rが、水素であり、Rが、水素であり、Rが、前記プロドラッグ部分(2)である、請求項50に記載の化合物。
【請求項60】
が、ニトロであり、Rが、メチルであり、Rが、フッ化物であり、Rが、水素であり、Rが、前記プロドラッグ部分(1A)である、請求項50に記載の化合物。
【請求項61】
が、ニトロであり、Rが、メチルであり、Rが、フッ化物であり、Rが、水素であり、Rが、前記プロドラッグ部分(1B)である、請求項50に記載の化合物。
【請求項62】
が、ニトロであり、Rが、メチルであり、Rが、フッ化物であり、Rが、水素であり、Rが、前記プロドラッグ部分(2)である、請求項50に記載の化合物。
【請求項63】
が、塩化物であり、Rが、水素であり、Rが、水素であり、Rが、アセチルであり、Rが、前記プロドラッグ部分(1A)である、請求項50に記載の化合物。
【請求項64】
が、塩化物であり、Rが、水素であり、Rが、水素であり、Rが、アセチルであり、Rが、前記プロドラッグ部分(1B)である、請求項50に記載の化合物。
【請求項65】
が、塩化物であり、Rが、水素であり、Rが、水素であり、Rが、アセチルであり、Rが、前記プロドラッグ部分(2)である、請求項50に記載の化合物。
【請求項66】
が、臭化物であり、Rが、水素であり、Rが、水素であり、Rが、水素であり、Rが、前記プロドラッグ部分(1A)である、請求項50に記載の化合物。
【請求項67】
が、臭化物であり、Rが、水素であり、Rが、水素であり、Rが、水素であり、Rが、前記プロドラッグ部分(1B)である、請求項50に記載の化合物。
【請求項68】
が、臭化物であり、Rが、水素であり、Rが、水素であり、Rが、水素であり、Rが、前記プロドラッグ部分(2)である、請求項50に記載の化合物。
【請求項69】
請求項1に記載の化合物またはその任意の立体異性体、塩、水和物もしくは溶媒和物であって、該化合物は、式(VII):
【化63】

であり、ここで:
は、水素であり、
は、メチルであり;
は、前記プロドラッグ部分(1A)、(1B)または(2)である;
化合物またはその任意の立体異性体、塩、水和物もしくは溶媒和物。
【請求項70】
が、水素であり、Rが、メチルであり、Rが、前記プロドラッグ部分(1A)である、請求項69に記載の化合物。
【請求項71】
が、水素であり、Rが、メチルであり、Rが、前記プロドラッグ部分(1B)である、請求項50に記載の化合物。
【請求項72】
が、水素であり、Rが、メチルであり、Rが、前記プロドラッグ部分(2)である、請求項50に記載の化合物。
【請求項73】
請求項1に記載の化合物またはその任意の立体異性体、塩、水和物もしくは溶媒和物であって、該化合物は、式(VIII):
【化64】

であり、ここで:
は、水素およびメチルからなる群から選択され;
は、水素であり;
は、前記プロドラッグ部分(1A)、(1B)または(2)である;
化合物またはその任意の立体異性体、塩、水和物もしくは溶媒和物。
【請求項74】
が、水素であり、Rが、水素であり、Rが、前記プロドラッグ部分(1A)である、請求項73に記載の化合物。
【請求項75】
が、水素であり、Rが、水素であり、Rが、前記プロドラッグ部分(1B)である、請求項73に記載の化合物。
【請求項76】
が、水素であり、Rが、水素であり、Rが、前記プロドラッグ部分(2)である、請求項73に記載の化合物。
【請求項77】
が、メチルであり、Rが、水素であり、Rが、前記プロドラッグ部分(1A)である、請求項73に記載の化合物。
【請求項78】
が、メチルであり、Rが、水素であり、Rが、前記プロドラッグ部分(1B)である、請求項73に記載の化合物。
【請求項79】
が、メチルであり、Rが、水素であり、Rが、前記プロドラッグ部分(2)である、請求項73に記載の化合物。
【請求項80】
請求項1に記載の化合物またはその任意の立体異性体、塩、水和物もしくは溶媒和物であって、該化合物は、式(IX):
【化65】

であり、ここで:
は、水素およびメチルからなる群から選択され;
は、前記プロドラッグ部分(1A)、(1B)または(2)である;
化合物またはその任意の立体異性体、塩、水和物もしくは溶媒和物。
【請求項81】
が、水素であり、Rが、前記プロドラッグ部分(1A)である、請求項80に記載の化合物。
【請求項82】
が、水素であり、Rが、前記プロドラッグ部分(1B)である、請求項73に記載の化合物。
【請求項83】
が、水素であり、Rが、前記プロドラッグ部分(2)である、請求項73に記載の化合物。
【請求項84】
が、メチルであり、Rが、前記プロドラッグ部分(1A)である、請求項80に記載の化合物。
【請求項85】
が、メチルであり、Rが、前記プロドラッグ部分(1B)である、請求項73に記載の化合物。
【請求項86】
が、メチルであり、Rが、前記プロドラッグ部分(2)である、請求項73に記載の化合物。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公表番号】特表2010−511717(P2010−511717A)
【公表日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−540292(P2009−540292)
【出願日】平成19年12月5日(2007.12.5)
【国際出願番号】PCT/US2007/024984
【国際公開番号】WO2008/070149
【国際公開日】平成20年6月12日(2008.6.12)
【出願人】(505080910)ニューロジェシックス, インコーポレイテッド (12)
【Fターム(参考)】