説明

プロドラッグとしてのベンラファクシンおよびO−デスメチルベンラファクシンのN−オキサイド

本発明、ベンラファクシンおよびこれの主要な(有効)代謝産物であるO−デスメチルベンラファクシンのそれぞれのプロドラッグとしてのベンラファクシン−N−オキサイドおよびO−デスメチルベンラファクシン−N−オキサイド、これらのN−オキサイドを含有させた製薬学的組成物、それらの製造方法および組成物製造方法に関する。本発明は、式(1)、
【化1】


[式中、RはHまたはCHである]
で表されるN−オキサイドおよびこれの互変異性体、立体異性体、水化物および溶媒和物に関する。本発明は、また、前記N−オキサイドおよび組成物の使用、特にベンラファクシンを用いて副作用があるとしても有効に治療可能な疾患または病気の治療で用いるに有用な薬剤を製造する目的でそれらを用いることにも関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
インデックス 頁
本発明の名称 1
インデックス 1
技術分野 1
背景技術 2
開示 3
定義 6
実施例1: 分析方法 8
実施例2: 具体的化合物の合成 11
実施例3: 薬理学的方法 16
実施例4: 薬物動態および薬理学的試験結果 18
実施例5: 製薬学的製剤 20
参考文献一覧 23
特許請求の範囲 24
要約 28
【0002】
本発明は製薬学および有機化学の分野に関し、ベンラファクシンおよびこれの主要な(有効)代謝産物であるO−デスメチルベンラファクシンのそれぞれのプロドラッグとしての式(1):
【0003】
【化1】

【0004】
[式中、
星印(*)は不斉炭素原子の印であり、RはHまたはCHである]
で表されるベンラファクシン−N−オキサイドおよびO−デスメチルベンラファクシン−N−オキサイドおよびこれらの互変異性体、立体異性体、水化物および溶媒和物ばかりでなく前記化合物を含有させた製薬学的組成物、それの製造方法および組成物製造方法を提供するものである。
【背景技術】
【0005】
ベンラファクシンは、三環式抗鬱薬にも四環式抗鬱薬にも他の入手可能な抗鬱薬にも化学的に関係しないフェネチルアミン二環式誘導体である。それの(−)−鏡像異性体の方が高い効力を示すノルエピネフリンシナプトソーム吸収阻害剤である一方でそれの(+)−鏡像異性体の方がセロトニン吸収の阻害で高い選択性を示すと報告されている(非特許文献1)。ベンラファクシンはラセミ混合物として市販されている。
【0006】
【化2】

【0007】
ベンラファクシンがヒトで示す抗鬱作用の機構は、それがCNSにおいて神経伝達物質が示す活性を増強することに関連していると考えられている。臨床前試験により、ベンラファクシンおよびこれの主要な代謝産物であるO−デスメチルベンラファクシンは効力のある神経セロトニンおよびノルエピネフリン再取り込み阻害剤および弱いドーパミン再取り込み阻害剤であることが示されている。O−デスメチル−ベンラファクシンが最も主要な有効代謝産物である。他の代謝産物はN−デスメチルベンラファクシンおよびN,O−ジデスメチルベンラファクシンである(非特許文献3)。こはく酸O−デスメチルベンラファクシンが開発の後期段階にあり、大鬱病性障害治療薬としての承認見込通知書をFDAから最近受け取った。この化合物はまた閉経に関連した血管運動症状の治療薬としても開発中にある。
【0008】
N−オキサイドが知られるようになったのは1894年からである。現在では、N−オキサイドがいろいろな第三級アミンの代謝産物でありかつまたたいていはそれは第三級アミンとこれのN−脱アルキル類似体の間の中間体でもあることは非常に良く知られている。全部ではないが大部分の第三級アミンである薬剤はN−オキサイドを生じる。これは例えばモルヒネ、イミプラミン、プロマジン、シンナリジンおよびニコチンの場合に生じる。N−オキサイド化が起こる度合は痕跡量からほぼ定量的変換に及んで多様である。ある種のN−オキサイドはこれらの相当する第三級アミンより効力があることが示された。それの最も有名な例は、精神医学および総合内科で最も頻繁に用いられる薬剤の1つであるクロルジアゼポシキド(Librium(R))である。しかしながら、より多くの様々なケースでは、N−オキサイドの方がそれらの相当する第三級アミンよりも効力が低いことが確認され、最も一般的には、N−オキサイド化は代謝不活性化であると見なされている。N−オキサイドはヒトの体内で化学的手段によって容易に還元を受けて相当する第三級アミンになるが、それが起こる度合は多様である。ある種のN−オキサイドは還元による変換をほぼ定量的に受けて相当する第三級アミンになり、そして他の場合の変換は単に痕跡的反応であるか或は全く起こらないことさえある(非特許文献4)。このように、N−オキサイドおよびこれらの相当する第三級アミンの生成は予測不能である。N−オキサイドが生じた場合、それらは相当する第三級アミンより高い活性を示すか、低い活性を示すか或は完全に不活性であることさえあり得る。N−オキサイドは還元されて相当する第三級アミンになるか或はならないこともあり得る。そのような反応が起こる場合のそれは単に痕跡量であるか或はほぼ定量的であり得る。
【0009】
パラケルスス(Paracelsus)(‘Sola dosis facit ve
nenum’)以来、薬剤が示す治療的効果ばかりでなく毒性効果も関連する標的部位の所のそれらの濃度に関係していることは一般に受け入れられている。一般的に言って標的部位の所の濃度の入手は容易ではないことから、関連した薬剤濃度の近似値として血漿中濃度が用いられる。薬剤開発中、効力が現れる下限または範囲および副作用が現れ始める上限範囲を示す適切な血漿中濃度の枠を限定することが行われる。理想的な場合として、その2つの濃度がすごく離れていると、薬剤を有効かつ副作用が生じないような様式で投与するのが容易になる。現実には、事態はほとんど理想的ではなく、大部分の薬剤が副作用を示す。たいていは、副作用の発生をピーク血漿中濃度が副作用の発生に関係した低い方の濃度を超えていることと関連させることができる。ベンラファクシンがもたらす血漿中濃度がピークになると結果として副作用が生じる。ベンラファクシンの使用に関連して最も一般的に観察されるがプラセボ処置患者には相当する発生率では観察されない副作用(5%以上の発生率)(即ち、ベンラファクシンの場合の発生率はプラセボの場合のそれの少なくとも2倍である)には、持続性高血圧、頭痛、無力症、発汗、吐き気、便秘、眠気、口渇、目まい、不眠症、神経質、不安、ぼやけまたはかすみ目および男性における異常な射精/オルガズムまたはインポテンスが含まれる(非特許文献5、6)。そのような有害事象によって薬剤療法の投与量、頻度および期間が大きく制限される可能性がある。長期放出製剤(ベンラファクシンXR)を用いることで有害事象を軽減することは可能であるが、異なる化合物を用いることでもそのような問題を解決することができる。このように、そのような欠点を回避すると同時にベンラファクシンの利点を有する化合物を見つけだすことができれば、それは望ましいことである。プロドラッグは同じ薬理学的プロファイルを有するが、より好ましい薬物動態プロファイルを示す。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】米国特許第4,761,501号
【非特許文献】
【0011】
【非特許文献1】Howell、S.R.他 Xenobiotica 24(4):315−327(1994)
【非特許文献2】Pento、J.T.Drugs of the Future 13(9):839−840(1988)
【非特許文献3】Klamerus、K.J.他 J.Clin.Pharmacol.32:716−724(1992)
【非特許文献4】Bickel,M.H.,:“The pharmacology and Biochemistry of N−oxides”,Pharmacol.Reviews,21(4),325−355,1969
【非特許文献5】Physicians’Desk Reference、3293−3302頁(53版、1999).
【非特許文献6】Sinclair、J.他 Rev.Contemp.Pharmacother.9:333−344(1998)
【発明の概要】
【0012】
開示
プロドラッグとして作用するベンラファクシン−N−オキサイドおよびO−デスメチルベンラファクシン−N−オキサイドを経口投与するとそれらはそれぞれ親化合物であるベンラファクシンおよびO−デスメチル−ベンラファクシンに急速に変化する。本発明は、式(1):
【0013】
【化3】

【0014】
[式中、
星印(*)は不斉炭素原子の印であり、RはHまたはCHである]
で表されるN−オキサイドおよびこれらの互変異性体、立体異性体、水化物および溶媒和物に関する。本発明のN−オキサイドは、ベンラファクシンおよびO−デスメチルベンラファクシンおよびこれらの互変異性体、立体異性体、塩、水化物および溶媒和物を実質的に含有しない可能性がある。ベンラファクシンN−オキサイドおよびO−デス−メチルベンラファクシンN−オキサイドの調製はベンラファクシンまたはO−デスメチルベンラファクシンに適切な酸化剤、例えばm−CPBAなどを用いた酸化を受けさせることで実施可能である。本発明は、本発明のN−オキサイドのラセミ体、ジアステレオマーの混合物および個々の立体異性体ばかりでなくそれらの水化物および溶媒和物にも関する。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明は、特に、RがCHである式(1)で表されるN−オキサイドに関する。
【0016】
本発明の別の好適な態様は、RがHである式(1)で表されるN−オキサイドである。
【0017】
更に別の好適な態様は、式(1)で表されるN−オキサイドの(S)−および(R)−鏡像異性体である。
【0018】
ベンラファクシン−N−オキサイドおよびこれらを含有して成る組成物は、ベンラファクシンを用いて副作用があるとしても有効に治療可能な疾患または病気の治療で用いるに有用であり、そのような疾患または病気には大鬱病性障害を包含する鬱病、全般性不安障害、強拍性障害、社会不安障害、パニック障害、一般的鬱病性障害、糖尿病性神経障害、片頭痛および閉経に関連した血管運動症状、別名‘ホットフラッシュ’が含まれる。
【0019】
本発明はまた下記も包含する:
式(1)で表されるN−オキサイドおよび製薬学的に許容される担体を含有して成っていて例えばベンラファクシンによって治療可能な障害または疾患などを治療するための製薬学的組成物;
ベンラファクシンによって治療可能な障害または疾患の治療を必要としている哺乳動物に式(1)で表されるN−オキサイドを投与することを含んで成る治療方法;
ベンラファクシンによって治療可能な障害または疾患の治療を必要としている哺乳動物
に式(1)で表されるN−オキサイドを投与することを含んで成る治療方法;
ベンラファクシンによって治療可能な障害または疾患を治療するための式(1)で表されるN−オキサイドおよび製薬学的に許容される担体を含有して成る製薬学的組成物;
ベンラファクシンによって治療可能な障害または疾患の治療を必要としている患者に式(1)で表されるN−オキサイドを投与することを含んで成る治療方法。
【0020】
本発明は、また、薬剤を製造する目的で式(1)で表されるN−オキサイドを用いることも提供する。
【0021】
本発明は更に組み合わせ療法にも関し、ここでは、本発明の化合物または本発明の化合物を含有して成る製薬学的組成物もしくは製剤をその示した疾患の中の1つ以上を治療する目的で別の治療薬1種または2種以上、例えばベンラファクシンまたはO−デスメチル−ベンラファクシンなどと同時または逐次的にか或は組み合わせ製剤として投与する。そのような他の治療薬1種または2種以上の投与は本発明の化合物を投与する前、投与すると同時または投与した後に実施可能である。
【0022】
本発明は、また、ベンラファクシンによって治療可能な障害または疾患を治療するための化合物、製薬学的組成物、キットおよび方法も提供し、この方法は、前記治療を必要としている患者に式(1)で表されるN−オキサイドを投与することを含んで成る。
【0023】
本発明は、また、本発明の化合物を製造する方法および本方法で用いる中間体も提供する。
【0024】
本発明の化合物は不斉中心を含有する。それによって2種類の光学異性体がもたらされる。そのような可能な光学異性体およびジアステレオマーは全部、混合物としてかつ高純度もしくはある程度の純度の化合物として本発明に属する。本発明は本化合物のそのような異性体形態物の全部を包含する。式(1)は、前記種類の化合物の構造を好適な立体化学を伴わせないで示したものである。そのようなジアステレオマーの個々の合成またはそれらのクロマトグラフィー分離は、当該技術分野で公知のように、当該技術分野に開示されている方法を適切に修飾することで達成可能である。それらが示す絶対的立体化学の測定は、結晶性生成物または結晶性中間体(必要ならば絶対配置が既知の不斉中心を含有する反応体を用いた誘導体化を受けさせておく)のX線結晶学を用いて実施可能である。本化合物のラセミ混合物に当該技術分野で良く知られている方法、例えば化合物のラセミ混合物を鏡像異性体的に高純度の化合物と連成させてジアステレオマー混合物を生じさせた後に個々のジアステレオマーを標準的方法、例えば分別結晶化またはクロマトグラフィーなどで分離することなどによる分離を受けさせることで個々の鏡像異性体を得ることができる。次に、そのジアステレオマー誘導体に付加させておいたキラル残基を開裂させることでそれを高純度の鏡像異性体に変化させてもよい。また、キラル固定相を用いたクロマトグラフィー方法を利用して本化合物のラセミ混合物に分離を直接受けさせることも可能であり、そのような方法は当該技術分野で良く知られている。別法として、光学的に高純度の出発材料または配置が既知の反応体を用いた立体選択的合成を当該技術分野で良く知られている方法を用いて実施することで化合物のいずれかの鏡像異性体を得ることも可能である。
【0025】
本化合物が示す結晶形態のいくつかは多形として存在する可能性があり:このように、そのような形態物も本発明に属することを意図する。加うるに、本化合物の数種は水と一緒に溶媒和物(即ち水化物)を形成するか或は通常の有機溶媒と一緒に溶媒和物を形成する可能性もある。そのような溶媒和物もまた本発明の範囲内に入る。
【0026】
PETまたはSPECTで検出可能なように同位体標識を付けておいた式(1)で表さ
れるN−オキサイドもまた本発明の範囲内に入る。同じことが[13C]−、[14C]−、[H]−、[18F]−、[125I]−または他の同位体が豊富に存在する原子による標識を付けておいた式(1)で表されるN−オキサイドにも当てはまり、これらは受容体結合または代謝検定で用いるに適する。
【0027】
ベンラファクシンおよびO−デスメチルベンラファクシンのN−オキサイドがそれらの個々の親化合物のプロドラッグとして有用であることを見つけだすことができれば、そのような化合物を作用期間が長くかつ強い副作用プロファイルをもたらすピーク血漿中濃度が低いと言った臨床的利点を有する代替品として用いることが可能になる。このように、本発明のいくつかの態様では、親化合物である1−[2−(ジメチルアミノ)−1−(4−メトキシフェニル)エチル]−シクロヘキサノール、ベンラファクシンまたはO−デスメチルベンラファクシンを実質的に含有しない本発明の化合物を提供することができる。実質的に含有しないは、本発明の化合物がベンラファクシンまたはO−デスメチルベンラファクシンを不純物として含有する量が約50%、40%、30%、20%、10%、1%、0.5%未満であるか或は検出限界以内で含有しないことを意味する。ベンラファクシンおよび/またはO−デスメチルベンラファクシンのN−オキサイドを含有していてベンラファクシンおよび/またはO−デスメチルベンラファクシンを実質的に含有しない製薬学的組成物は本発明に従う組成物であると考える。
【0028】
定義
本明細書で用いる如き用語“ベンラファクシン”は、ラセミ化合物である(R,S)−1−[2−(ジメチルアミノ)−1−(4−メトキシフェニル)エチル]シクロヘキサノールを意味する。
【0029】
生体内で代謝を受けて生物活性剤(即ち式(1)で表される化合物)になる化合物のいずれも本出願の範囲および精神の範囲内でプロドラッグである。プロドラッグは、本質的に不活性ではあるが1種以上の有効な代謝産物に変化する治療薬である。このように、本発明の治療方法における用語“投与”は、具体的に開示した化合物または具体的には開示しなかったが患者に投与した後に生体内で指定化合物に変化する化合物を用いて記述するいろいろな障害を治療することを包含する。プロドラッグは、親薬剤分子の利用にとってある種の障害を克服する目的で用いられる生体内可逆的薬剤分子誘導体である。そのような障害には、これらに限定するものでないが、溶解性、透過性、安定性、全身に至る前に起こる代謝および標的の制限が含まれる(Bundgaard、1985;King、1994;Stella、2004;Ettmayer、2004;Jarvinen、2005)。プロドラッグ、即ちヒトにいずれかの公知経路で投与された時に代謝を受けて式(1)で表される化合物になる化合物は本発明に属する。特に、このことは、ヒドロキシ基に関係しており、それを有機酸と反応させることで投与後に容易に除去される追加的基が存在する式(1)で表される化合物を生じさせることができ、そのような追加的基は、例えばこれらに限定するものでないが、アミジン、エナミン、マンニッヒ塩基、ヒドロキシル−メチレン誘導体、O−(アシルオキシメチレンカルバメート)誘導体、カルバメート、エステル、アミドまたはエナミノンなどである。
【0030】
用語‘多形’は、ある化合物が2種以上の結晶形態、いわゆる多形体として存在し得ることを定義するものである。多形はしばしば起こる現象である。多形はいくつかの結晶化条件、例えば温度、過飽和の度合、不純物の存在、溶媒の極性、冷却速度などの影響を受ける。多形体はいくつかの方法、例えば固体状態NMR、溶解度試験、DSCまたは融点測定、IRまたはラマン分光測定などで特徴づけ可能である。
【0031】
説明をより簡潔にする目的で本明細書に示す量的表現のいくつかには用語“約”による修飾を受けさせていない。用語“約”を明確に用いるか否かに拘らず本明細書に示す全て
の量は実際に示す値を指すことを意味しかつまた当該技術分野の通常の技術を基にして妥当に推測されるであろう前記所定値の近似値(前記所定値の実験および/または測定条件が原因の近似値を包含)も指すことを意味すると理解する。本明細書の説明および請求項の全体に渡って、言葉“含んで成る”およびこの言葉の変形、例えば“含んで成っている”および“含有して成る”は、他の添加剤、成分、整数または段階などを排除することを意図するものでない。本明細書で用いる如き用語“組成物”は、指定材料を前以て決めていた量および比率で含有して成る製品ばかりでなく指定材料を指定量で一緒にすることで直接または間接的にもたらされる生成物のいずれも包含する。この用語が製薬学的組成物に関係する場合、この用語は、1種以上の有効成分および任意の担体(不活性な材料を包含)を含有して成る製品ばかりでなくいずれか2種以上の材料を一緒にするか、複合させるか或は凝集させるか、或は1種以上の材料を解離させるか、或は1種以上の材料が示す他の種類の反応または相互作用によって直接または間接的にもたらされる生成物のいずれも包含する。製薬学的組成物の調製を一般に有効成分を液状担体または微細な固体状担体または両方と均一かつ密に関連させた後に必要ならばその生成物を成形して所望の製剤を生じさせることで実施する。そのような製薬学的組成物に含有させる活性のある目的化合物の量は病気の進行または状態に所望の効果をもたらすに充分な量である。従って、本発明の製薬学的組成物には、本発明の化合物と製薬学的に許容される担体を混合することで作られた如何なる組成物も含まれる。
【0032】
本出願の文脈の範囲内で、用語‘組み合わせ製剤’には、真の組み合わせ[これは式(1)で表されるN−オキサイドと他の薬剤がある種の製剤、例えば錠剤または注射液など中で物理的に組み合わされていることを意味する]ばかりでなく‘パーツで出来ているキット(kit−of−parts)’[これには式(1)で表されるN−オキサイドとベンラファクシンまたは他の薬剤が個別の投薬形態物として使用説明書に加えて場合により成分である化合物の投与に関するコンプライアンスを助長するさらなる手段、例えばラベルまたは図などと一緒に入っている]の両方が含まれる。真の組み合わせの場合、定義による薬物療法は同時である。‘パーツで出来ているキット’の内容物の投与は同時またはいろいろな時間的間隔を置いて実施可能である。治療を同時に行うか或は逐次的に行うかは、用いる他の薬剤の特性、作用開始および持続期間の如き特性、血漿中濃度、クリアランスなどばかりでなく個々の患者の病気、それの状態および特徴などに依存するであろう。
【0033】
“製薬学的に許容される”は、担体、希釈剤または賦形剤が当該製剤に入っている他の材料に適合しかつそれの受益者に有害であってはならないことを意味する。
【0034】
投与量:推奨される治療投与量はベンラファクシンの場合のそれと同じである:即ち1日当たり75mgの投与量を2または3回に分けて食物と一緒に投与する。薬物動態、薬物力学および他の考慮によって実際に投与する量をより高い値または低い値に変更することも可能である。投与すべき化合物の量は、関連する適応症、患者の年齢、体重および性に依存するが、医者はその量を決定することができるであろう。その投与量は好適には0.01mg/kgから10mg/kgの範囲内であろう。典型的な1日当たりの有効成分投与量は幅広い範囲に渡って多様であり、いろいろな要因、例えば関連する適応症、投与経路、患者の年齢、体重および性などに依存し、医者は投与量を決定することができるであろう。経口および非経口投薬量は一般に総有効成分が1日当たり0.1から1,000mgの範囲内の量であろう。
【0035】
本明細書で用いる如き用語“治療的に有効な量”は、本発明の組成物を投与することによって治療可能な疾患を治療または予防する治療薬量を指す。その量は組織系、動物またはヒトに検出可能な治療的、予防的または改善反応が現れるに充分な量である。そのような効果には、例えば本明細書に示す疾患の治療および予防などが含まれ得る。ある被験体
に有効な正確な量は、その被験体の大きさおよび健康状態、治療すべき疾患の性質および度合、治療を施す医者(研究者、獣医、医師または他の臨床医)の推奨および投与の目的で選択した療法または療法の組み合わせに依存するであろう。このように、正確な有効量を前以て指定するのは有効ではない。
【0036】
本明細書で用いる如き用語“治療”は、哺乳動物、好適にはヒトの疾患または病気の治療のいずれかを指し、それには(1)病気にかかり易いがまだ病気にかかっていると診断されていない被験体が病気または疾患にかからないようにすること、(2)病気または疾患を抑制、即ちそれの進行を阻止すること、(3)病気または疾患を和らげる、即ち疾患の退行を引き起こすこと、または(4)病気の症状をなくすことが含まれる。本明細書で用いる如き用語”薬物療法”にヒトまたは他の哺乳動物に対して生体内または生体外で実施する予防、診断および治療的療法を包含させることを意図する。本明細書で用いる如き用語“被験体”は、治療、観察または実験の対象である動物、好適には哺乳動物、最も好適にはヒトを指す。
【実施例1】
【0037】
分析方法
核磁気共鳴スペクトル(H NMRおよび13C NMR、APT)の測定を指定溶媒中で特に明記しない限りBruker DRX 600(H:600MHz、13C:150MHz)を300Kで用いて実施した。スペクトルの測定をCambridge Isotope Laboratories Ltd.から入手した重水素化DMSO中で実施した。化学シフト(δ)をテトラメチルシラン(H)からダウンフィールドのppmで示す。結合定数JをHzで示す。NMRスペクトルにおけるピークの形状を記号‘q’(四重線)、‘dq’(二重の四重線)、‘t’(三重線)、‘dt’(二重の三重線)、‘d’(二重線)、‘dd’(二重の二重線)、‘s’(一重線)、‘bs’(幅広い一重線)および‘m’(多重線)で示す。サンプルを1滴のDOと混合した後にNHおよびOHシグナルの同定を実施した。
【0038】
融点をBuechi B−545融点装置を用いて記録した。
【0039】
フラッシュクロマトグラフィーは、指示溶離剤およびシリカゲル(Acros:0.030−0.075mmまたはMerckのシリカゲル60:0.040−0.063mmのいずれか)を用いた精製を指す。
【0040】
反応の監視をシリカ被覆プラスチックシート(Merckのシリカゲル60 F254で前以て被覆)を用いた薄層クロマトグラフィー(TLC)を指示溶離剤と一緒に用いて実施した。斑点を紫外光(254nm)またはIで可視化した。
【0041】
液クロ−質量分析(LC−MS)を2個のPerkin Elmerシリーズ200ミクロポンプで構成されている装置を用いて実施した。前記ポンプは、Gilson 215オートサンプラーに連結している50μlのT字形混合装置によって互いに連結している。この方法は下記の如くである:

ステップ 総時間 流量(μl/分) A(%) B(%)
0 0 2000 95 5
1 1.8 2000 0 100
2 2.5 2000 0 100
3 2.7 2000 95 5
4 3.0 2000 95 5

A=HCOOHが0.025%でNHHCOOが10ミリモルの水(pH=+/−3)が100%
B=HCOOHが0.025%のACNが100%
【0042】
前記オートサンプラーには2μlの注入用ループが備わっている。前記オートサンプラーは3μmの粒子が入っているWaters Atlantis C18 304.6mmカラムに連結している。前記カラムはPerkin Elmerシリーズ200カラムオーブンで40℃に自動調節されている。前記カラムは2.7μlのフローセルが備わっているPerkin Elmerシリーズ200 UVメーターに連結している。波長を254nmに設定する。前記UVメーターはSciex API 150EX質量分析装置に連結している。その質量分析装置は下記のパラメーターを有する:走査範囲:150−900a.m.u.;極性:正;走査様式:プロファイル;解像度Q1:UNIT;ステップサイズ:0.10a.m.u.;1走査当たりの時間:0.500秒;NEB:10;CUR:10;IS:5200;TEM:325;DF:30;FP:225およびEP:10。光散乱検出器がSciex API 150に連結している。その光散乱検出器はSedere Sedex 55であり、それを50℃および3バールのN下で操作する。その装置全体をG3 powermacで制御する。
【0043】
マウスの血漿および脳サンプルに入っているベンラファクシンおよびこれのN−オキサイドの分析を蛋白質を沈澱させた後にMS/MS検出が備わっているHPLCを実施することを含んで成る一般的生物学的分析方法を用いて行った。
【0044】
100μlの血漿に入っている蛋白質をアセトニトリルで沈澱させた後、その得た溶液のサンプル(5μl)を分析した。脳全体を均一にしかつ遠心分離にかけた後、その上澄み液のサンプル(10μl)を分析した。
【0045】
液クロ−タンデム質量分析(LC−MS/MS)をSciex API4000 LC−MS/MSを用いて実施した。サンプルは、試験用サンプルと同じ様式で処理した抽出された較正サンプルを用いて、血漿および脳サンプルのそれぞれが1−5000ng/mlおよび5.0−5000ng/脳の範囲内になるように定量された。化合物が示すピークの面積を定量で用いた。較正曲線をモデルy=A+Bx+Cx(yは分析物が示すピークの面積でありxは名目上の較正レベル(ng/ml)(血漿)またはng/g(脳)であり、Aは切片であり、Bは傾きであり、そしてCは曲率の記述である)に合致させた。1/xの計量を用いた。LC−MS/MS装置の性能の監視を標準溶液を標準的間隔で注入することを利用して実施した。この方法は詳細には有効ではなく、従って、報告する濃度は良好な推定値であった。血漿および脳サンプルのそれぞれの定量の下限(LLOQ)は1.00ng/mlおよび5.00ng/脳であると確立した。値がLLOQより低い場合には、それを最良の推定値として示した。Hypersil BDS C18 100 x 4.6mm 3μm分析用カラムを用いた逆相HPLCを流量を1.00ml/分にした勾配溶離を用いて45℃で実施した:
【0046】
【表1】

【0047】
MS/MSを用いた検出を正MRMイオン化を用いて実施した。測定したイオンは下記であった:
ベンラファクシン ベンラファクシン−N−オキサイド
Q1 278.3 294.5
Q3 121.1 121.1
【実施例2】
【0048】
具体的化合物の合成
(R,S)−1−[2−(ジメチルアミノ)−1−(4−メトキシフェニル)エチル]−シクロヘキサノール(ベンラファクシン)および(R,S)−1−[2−(ジメチルアミノ)−1−(4−ヒドロキシフェニル)エチル]−シクロヘキサノール(O−デスメチルベンラファクシン)の合成をEP 1 721 889に記述されているようにして実施した。後者の代替合成を以下に示す。
【0049】
(R,S)−1−[2−オキシド−(ジメチルアミノ)−1−(4−メトキシフェニル)エチル]−シクロヘキサノール(ベンラファクシンN−オキサイド):
ベンラファクシン(0.28g、1.02ミリモル)を20mlのDCMに溶解させて−10℃に冷却した。その反応混合物にメタ−クロロ過安息香酸(m−CPBA、0.8g、2.02ミリモル)を加えた後、その溶液を−10℃で30分間撹拌した。固体状KCO(2g)を加えた後、その結果として得た混合物を0℃で更に30分間撹拌した。その反応混合物を濾過(ガラス製漏斗)した後、沈澱物をDCMで注意深く洗浄した。その結果として得た溶液を濃縮した後、フラッシュクロマトグラフィー(SiO、DCM/MeOH(95/5に続いて9/1)で精製することで表題の化合物を固体として得た(0.22g、74%)。融点145℃.LCMS;R:1.12分、([M+H]=294).H−NMR(600MHz、DDMSO):δ 7.12(bd、J=8Hz、2H)、6.86(bd、J=8Hz、2H)、3.95−3.89(m、1H)、3.73(s、3H)、3.56−3.52(m、1H)、3.28−3.25(m、1H)、3.14(s、3H)、2.95(s、3H)、1.69−1.53(m、3H)、1.47−1.42(m、1H)、1.38−1.32(m、2H)、1.31−1.25(m、1H)、1.02(dt、J=11Hz、4Hz、1H)、0.87(
dt、J=11Hz、4Hz、1H)、0.77−0.69(m、1H)。
【0050】
(R,S)−1−[2−オキシド−(ジメチルアミノ)−1−(4−ヒドロキシフェニル)エチル]−シクロヘキサノール(O−デスメチル−ベンラファクシンN−オキサイド)の調製を同じ方法を用いて実施することができる。
【0051】
ベンラファクシンの(S)−および(R)−鏡像異性体、それらの個々N−オキサイドおよびO−デスメチル類似物の合成を以下のスキームに示すようにして実施した。
【0052】
【化4】

【0053】
【化5】

【0054】
(R,S)−1−(2−(ジメチルアミノ)−1−(4−メトキシフェニル)エチル)シクロヘキサノール(ベンラファクシン、10):
シクロヘキサノール(33g、0.13モル)を蟻酸(99%、54mL、1.43モル)と水(330mL)にホルムアルデヒド(37%、41mL、1.48モル)を添加することで溶解させた。その混合物を2時間還流させた。反応混合物を濃縮して150mL(pH〜1.0)にし、水(100ml)を加えた後、その混合物に酢酸エチル(4x100mL)を用いた抽出を受けさせた。その水層を氷浴で冷却しそして50%のNaOHを添加して塩基性にすることでpH〜10にした。その混合物を酢酸エチル(3x100mL)で抽出し、NaSOで乾燥させた後、濃縮した。収穫:
その材料(23.8g、主に化合物11)をジエチルエーテル(500mL)に入れて懸濁させた後、水素化リチウムアルミニウム(3.8g、0.1モル)で処理した。その懸濁液を室温で18時間撹拌した。5NのKOH(16mL)を注意深く加えた後の混合物を15分間撹拌した。セライトを用いた濾過で固体を取り出した後、洗浄(ジエチルエーテル、300mL)した。その濾液を乾燥(硫酸ナトリウム)させた後、濃縮した。収量:化合物10を白色の固体として21.4g(60%)。
H−NMR(300MHz、CDCl):δ 7.05(d、2H、J=8.8Hz)、6.81(d、2H、J=8.8Hz)、3.79(s、3H)、3.27(t、1H、J=12.6)、2.93(dd、1H、J=3.2Hz、J=12.5Hz)、2.32(s、6H)、2.30(dd、1H、J=3.2Hz、J 12.5Hz)、1.82−1.61(m、3H)、1.60−1.45(m、3H)、1.42−1.22(m、2H)、1.01−0.78(m、2H)。
【0055】
R−ベンラファクシン(前記スキームに示した化合物2):
(R,S)−ベンラファクシン(23.4g、84ミリモル)を酢酸エチル(160mL)に溶解させた。その溶液にD−ジトルイル−酒石酸(18.7g、48ミリモル)を酢酸エチル(130mL)に入れることで生じさせた溶液を加えた。10分以内に塩が沈澱し始めた。その混合物を室温で4時間撹拌した。その沈澱物をガラス製フィルターを用
いた濾過で集めた後、酢酸エチル(2x100mL)で洗浄した。白色結晶性固体。その固体の再結晶化を酢酸エチル:メタノール(6:1、100mL)を用いて実施した。固体をガラス製フィルターで集めた。収量:14.0g。その材料を2NのNaOH(冷、180mL)で処理した。その水相に酢酸エチル(3x200mL)を用いた抽出を受けさせた。その有機相を2NのNaOH(冷、75mL)に続いて水で洗浄液が中性(pH7)になるまで洗浄した。その有機相を乾燥(硫酸ナトリウム)させた後、濃縮した。収量:R−ベンラファクシン(2)を白色結晶性固体として8.1g。融点:106℃−109.5℃.[α]23=−8.0(c=1.5、MeOH).キラルHPLC:99%e.e.H−NMR(CDCl):上を参照。
【0056】
S−ベンラファクシン(1):
1NのNaOH(4x100mL)、水(3x200mL)そして食塩水(100mL)を用いた洗浄で前記分割(上を参照)の母液を除去した。その有機相を乾燥(硫酸ナトリウム)させた後、濃縮した。油が急速に固化する。その材料を酢酸エチル(75mL)に再溶解させた。L−ジトルイル酒石酸(11.3g、29ミリモル)を酢酸エチル(75mL)に入れることで生じさせた溶液を加えた。5分以内に沈澱が開始した。酢酸エチル(50mL)を加えた後の混合物を室温で72時間撹拌した。固体をガラス製フィルターで集めた。収量:14.2g。その材料を2NのNaOH(冷、180mL)で処理した。その水相に酢酸エチル(3x200mL)を用いた抽出を受けさせた。その有機相を2NのNaOH(冷、75mL)に続いて水で洗浄液が中性(pH7)になるまで洗浄した。その有機相を乾燥(硫酸ナトリウム)させた後、濃縮した。収量:S−ベンラファクシン(1)を白色結晶性固体として6.7g。融点104.5℃−106℃.[α]23=+13.9(c=1.6、MeOH).キラルHPLC:98%e.e.H−NMR(CDCl):上を参照。
【0057】
S−ベンラファクシンN−オキサイド(3)
粗材料(2.2g、7.5ミリモル)を4に関して記述した手順に従ってFAI(106796)によって得た。高純度の3をカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン:メタノールが9:1→ジクロロメタン:メタノール中3.5Mのアンモニアが9:1の勾配)で得た。収量:3を若干黄色の固体として1.70g(5.8ミリモル、78%)。[α]23=−20.8(c=1.0、MeOH).H−NMR(300MHz、CDCl):δ 7.09(d、2H、J=8.5Hz)、6.84(d、2H、J=8.5Hz)、4.16(m、1H)、3.79(s、3H)、3.51(dd、1H、J=3.8Hz、J=12.7Hz)、3.41(m、1H)、3.27(s、3H)、3.07(s、3H)、1.78−1.60(m、3H)、1.60−1.35(m、4H)、1.29−1.01(m、2H)、0.95−0.76(m、1H)。
【0058】
R−ベンラファクシンN−オキサイド(4)
R−ベンラファクシン(2、1.0g、3.4ミリモル)をジクロロメタン(60mL)に溶解させた。その溶液を−10℃に冷却した。m−CPBA(新鮮、2.9g、7.3ミリモル)を加えた。その懸濁液を−10℃で30分間撹拌した。TLCによる検査で変換が完了したことを確認した。KCO(5.0g、36ミリモル.)を加えた後の混合物を0℃で30分間撹拌した。ジクロロメタン(50mL)を加えた後の懸濁液を濾過した。その濾液を乾燥させた後、濃縮した。粗生成物の精製をこの上に示したようにして実施した。収量:白色固体として0.9g(3.0ミリモル、90%)。[α]23:測定せず。H−NMR(300MHz、CDCl):上を参照。
【0059】
O−デスメチル−S−ベンラファクシン(5)
ジフェニルホスフィン(18mL、0.1モル)を無水テトラヒドロフラン(120mL)に入れることで生じさせた溶液をN下で−10℃に冷却した。n−BuLi(ヘキ
サン中2.5M、50mL)および追加的テトラヒドロフラン(40mL)を加えた。その混合物を−10℃で30分間撹拌した後、温度を上昇させて0℃にした。その温度でS−ベンラファクシン(1、6.2g、23ミリモル)をテトラヒドロフラン(60mL)に入れることで生じさせた溶液を加えた。その混合物を2時間撹拌しながら温度を室温にまで上昇させた後、還流温度で16時間撹拌した。その反応混合物を室温に冷却し、2NのHCl(冷、300mL)の中に注ぎ込んだ後、10分間撹拌した。その水相を洗浄(酢酸エチル、3x300mL)した後、NaHCO(固体)をゆっくり(!)添加することで中和(pH7)しそして抽出(酢酸エチル、6x300mL)を実施した。その有機相を乾燥(NaSO)させた後、真空下で濃縮した。その残留物を酢酸エチル(100mL)に入れて懸濁させた後、30分間撹拌した。固体をガラス製フィルターで集めた後、酢酸エチルでジフェニルホスフィン臭がもはや検出されなくなるまで洗浄した。白色の固体。収量:4.6g(17.5ミリモル、76%)。融点237.3℃−237.9℃.[α]23=+17.0(c=0.88、MeOH).H−NMR(300MHz、DMSO−d):δ 9.12(br、1H)、6.94(d、2H、J=8.3Hz)、6.62(d、2H、J=8.3Hz)、5.37(br、1H)、2.98(m、1H)、2.71(t、1H、J=5.8Hz)、2.34(m、1H)、2.14(s、6H)、1.64−1.22(m、7H)、1.20−0.78(m、3H)。
【0060】
O−デスメチル−R−ベンラファクシン(6)
この上に示したようにして、R−ベンラファクシン(5.0g、18ミリモル)を用いて出発し、ジフェニルホスフィン(14mL)およびヘキサン中のn−BuLi(2.5M、41mL)を用いた。収量:3.8g(14.5ミリモル、80%)。融点235.5℃−237.1℃.[α]23=−21.3(c=0.9、MeOH).H−NMR(300MHz、DMSO−d):上を参照。
【0061】
O−デスメチル−S−ベンラファクシンN−オキサイド(7)
O−デスメチル−S−ベンラファクシン(5、1.5g、5.7ミリモル)をジクロロメタン(100mL)に入れて懸濁させた。その懸濁液を−10℃に冷却した。m−CPBA(4.8g、12ミリモル)を加えた。その懸濁液を−10℃で60分間撹拌した。TLCによる検査で変換が完了したことを確認した。KCO(7.5g、54ミリモル.)を加えた後の混合物を0℃で30分間撹拌した。ジクロロメタン(100mL)を加えた後の懸濁液を濾過した。その残留物をメタノール(300mL)に入れて撹拌した後、再び濾過した。その濾液を一緒にして真空下で濃縮した(収量:7.1g)。その材料をカラムクロマトグラフィーで精製した:粗生成物をメタノール(20mL)に溶解させ、カラム(ジクロロメタン中のシリカ)の上に置き、ジクロロメタン(200mL)に続いてジクロロメタン:メタノール中7MのNHが9:1で溶離させた。収量:化合物7を若干黄色の固体として1.15g(4.1ミリモル、72%)。[α]23=−26.8(c=0.8、MeOH).H−NMR(300MHz、DMSO−d):δ
9.66(br、1H)、6.98(d、2H、J=8.3Hz)、6.69(d、2H、J=8.3Hz)、3.88(m、1H)、3.55(dd、J=2.4Hz、J=12.7Hz、1H)、3.34(br、1H)、3.20(dd、J=2.4Hz、J=12.7Hz、1H)、3.14(s、3H)、2.95(s、3H)、1.69−1.20(m、6H)、1.11−0.66(m、4H)。
【0062】
O−デスメチル−R−ベンラファクシンN−オキサイド(8)
この上に示したようにして、O−デスメチル−R−ベンラファクシン(6、1.5g、5.7ミリモル)を用いて出発した。収量:若干黄色の固体として1.20g(4.3ミリモル、75%)。[α]23=+16.3(c=0.8、MeOH).H−NMR(300MHz、DMSO−d):上を参照。
【実施例3】
【0063】
薬理学的方法
神経伝達物質再取り込み部位へのインビトロ親和性をCEREP(128、rue Danton、92500 Rueil−Malmaison、フランス)またはSolvay Pharmaceuticals B.V.(C.J.van Houtenlaan 36、1381 CP Weesp、オランダ)のいずれかで充分に立証された手順を用いて得た。セロトニン(Tatsumi、1999)、ノルエピネフリン(Pacholczyk、1991)およびドーパミン再取り込み部位(Pristupa、1994)への親和性を測定した。
【0064】
H]−セロトニン再取り込みのインビトロ機能的阻害:オスラット(Wistar
Hsd/Cpb:WU;175−200g)の頭部を切除し、大脳半球を迅速に取り出した後、P2−シナプトソーム画分を調製した。シナプトソームを試験化合物の存在有り無しでMAO阻害剤であるパーギリン(7μM)を入れておいた培地中37℃で15分間予培養した。その後、そのシナプトソームを[H]−セロトニン(0.2mMの最終濃度)に10分間接触させた。収穫装置を用いた濾過で[H]−セロトニンの吸収を停止させた後、取り込まれなかった放射能を強力洗浄で除去した。シナプトソームが入っているフィルタープレートに脱水を受けさせた後、Betaplate液体シンチレーション計数で[H]−セロトニンの存在量を測定した。[H]−セロトニンの吸収に対する阻害効果をpIC50値として表したが、これは、放射能標識神経伝達物質吸収の最大阻害の半分が達成される時の濃度の負対数である。示すpIC50値は重複して実施した2−9実験の平均値である。試験化合物をDMSOに10−2Mになるように溶解させ、Krebs Ringer緩衝液で希釈することで10−8から10−5Mの試験濃度にした。さらなる実験詳細は記述されている通りであった(Coyle、1969)。
【0065】
H]−ノルエピネフリン再取り込みのインビトロ機能的阻害:
オスラット(Wistar Hsd/Cpb:WU;175−200g)の頭部を切除し、視床下部を迅速に取り出した後、粗シナプトソーム画分を調製した。シナプトソームを試験化合物の存在有り無しでMAO阻害剤であるパーギリン(7μM)を入れておいた培地中37℃で10分間予培養した。その後、そのシナプトソームを[H]−ノルエピネフリン(0.4mMの最終濃度)に15分間接触させた。収穫装置を用いた濾過で[H]−ノルエピネフリンの吸収を停止させた後、取り込まれなかった放射能を強力洗浄プログラムで除去した。シナプトソームが入っているフィルタープレートに脱水を受けさせた後、Betaplate液体シンチレーション計数で[H]−ノルエピネフリンの存在量を測定した。[H]−ノルエピネフリンの吸収に対する阻害効果をpIC50値として表したが、これは、放射能標識神経伝達物質吸収の最大阻害の半分が達成される時の濃度の負対数である。示すpIC50値は重複して実施した2−9実験の平均値である。試験化合物をDMSOに10−2Mになるように溶解させ、Krebs Ringer緩衝液で希釈することで10−8−10−5Mの試験濃度にした。さらなる実験詳細は記述されている通りであった(Coyle、1969)。
【0066】
H]−ドーパミン再取り込みのインビトロ機能的阻害:
オスラット(Wistar Hsd/Cpb:WU;175−200g)の頭部を切除し、線条体を迅速に取り出した後、粗シナプトソーム画分(P2)を均一化に続く遠心分離で調製した。シナプトソームを試験化合物の存在有り無しでモノアミンオキシダーゼ阻害剤であるパーギリン(7x10−6M)(Coyle、1969)を入れておいた培地中37℃で15分間予培養した。その後、[H]−ドーパミン(2x10−7Mの最終濃度)を加えて、インキュベーションを10分間継続した。濾過で[H]−ドーパミンの吸収を停止させた後、シナプトソームを燐酸塩緩衝食塩水で4回洗浄した。シナプトソーム中の[H]−ドーパミン量をBetaplate液体シンチレーション計数で測定
した。化合物に試験を10−9から10−5Mの範囲の濃度で受けさせた。[H]−ドーパミンの吸収に対する阻害効果をpIC50値(薬剤が50%の吸収阻害をもたらす時の濃度の負対数)で表した。DA吸収の阻害を重複して実施した。
【0067】
ヒト大腸モデルTIM2(TNO腸モデル2)は、生体内の状態を模擬するヒト大腸の動的モデルである。これはいろいろな研究で立証された人工消化系である(Minekus、1999)。
【0068】
ベンラファクシン−N−オキサイドは親化合物のプロドラッグである。それらはベンラファクシンを用いて副作用があるとしても有効に治療可能な病気、即ち大鬱病性障害を包含する鬱病、全般性不安障害、強拍性障害、社会不安障害、パニック障害、一般的鬱病性障害、糖尿病性神経障害、片頭痛および閉経に関連した血管運動症状、別名‘ホットフラッシュ’の治療で用いるに有用である。
【実施例4】
【0069】
薬物動態および薬理学的試験結果
ベンラファクシンおよびこれのN−オキサイドのそれぞれを40%のHPβCDまたは1%のメチルセルロースに入れて製剤にして、オスNMRIマウス(1時間点当たり3匹の動物)に個別に投与(静脈内(i.v.)または経口(p.o.))した後、それらの血漿および脳をLC−MS(この上に示した方法を参照)で両方の化合物に関して分析した。データの平均(n=3)を取りそしてそれらを表1に示す。
【0070】
【表2】

【0071】
マウスでは、ベンラファクシンが代謝を受けてそれのN−オキサイドになる度合は僅かのみである:血漿中のそれの濃度は親化合物の濃度の1−2%を超えることは決してなく、そして脳中の測定濃度は痕跡のみであり得る。ベンラファクシン−N−オキサイド自身を投与すると、これは還元を受けて親化合物になる。ベンラファクシン−N−オキサイドをi.v.投与してから約1時間後の血漿および脳中のベンラファクシン濃度はN−オキサイドの濃度より高い。そのような効果は経口投与を行った後の方が顕著である:血漿および脳両方の中のベンラファクシン濃度はN−オキサイドの濃度の10から100倍以上の濃度にまで上昇する。
【0072】
ベンラファクシン−N−オキサイド(1mg)を1%のメチルセルロースに入れて懸濁させた後、TIM2モデル(上を参照、Minekus、1999)の管腔(120ml)の中に挿入した。その管腔および透析物(後者は腸の血管床のモデルである)からサン
プルをいろいろな時間的間隔で採取して、ベンラファクシン−N−オキサイドおよびベンラファクシンに関して分析した:表2:
【0073】
【表3】

【0074】
この上に示した結果から、ベンラファクシンN−オキサイドを投与してから2時間以内に既にそれがほぼ定量的な還元を受けてベンラファクシンになったことは明らかである。いろいろな研究でTIM2は生きているヒトにおける消化管の状態を高度に予測する値をもたらすインビトロモデルであるとして立証されていることから、ベンラファクシンN−オキサイドを経口投与するとヒトの場合にもまたそれが還元を受けてベンラファクシンになるであろう、即ちそれはプロドラッグであると予測する。
【0075】
【表4】

【0076】
この上に示したデータから、ベンラファクシンのクリアランス、分布体積および生物学的利用能の方がこれのピリジンN−オキサイドのそれらよりも2倍高いことは明らかである。この2種類の化合物は明らかに異なる薬物動態特性を示す。また、表1に示したデータからも明らかなように、ベンラファクシン−N−オキサイドは脳の中に入り込み難い、従って脳/血漿比は劇的に異なる。
【0077】
【表5】

【0078】
この上の表に示したインビトロ薬理学的データは、ベンラファクシンがセロトニン再取り込みの阻害剤として効力が最も高いことを明らかに示している。それの(R)−と(S)−鏡像異性体が示した差は僅かのみであった。主要な代謝産物であるO−デスメチルベンラファクシンはラセミ体および個々の鏡像異性体形態物の両方としてベンラファクシンと同じ効力を有することを確認した。
【0079】
ベンラファクシンおよびO−デスメチル−ベンラファクシンのN−オキサイドはラセミ体としてばかりでなく個々の(R)−または(S)−鏡像異性体として実質的に活性を示さないことを確認した。
【実施例5】
【0080】
製薬学的製剤
臨床使用の目的で、式(1)で表されるN−オキサイドを製薬学的組成物に構築したが、これは本発明にとって重要でありかつ新規な態様である、と言うのは、それらは本化合物、より詳細には本明細書に開示する特定の化合物を含有するからである。使用可能な種類の製薬学的組成物には、錠剤、かみ砕くことができる錠剤、カプセル(ミクロカプセルを包含)、溶液、非経口用溶液、軟膏(クリームおよびゲル)、座薬、懸濁液および本明細書に開示する他の種類が含まれるか、或はそれらは本明細書および当該技術分野における一般的知識を基に当業者に明らかである。また、本有効成分を例えばシクロデキストリン、これらのエーテルまたはエステルに入っている包接錯体の形態にすることも可能である。そのような組成物を経口、静脈内、皮下、気管、気管支、鼻内、肺、経皮、口腔、直腸、非経口または他の様式の投与で用いる。そのような製薬学的製剤は式(1)で表される少なくとも1種のN−オキサイドを少なくとも1種の製薬学的に許容されるアジュバント、希釈剤および/または担体と混ざり合っている状態で含有する。本有効成分の総量を適切には当該製剤の約0.1%(重量/重量)から約95%(重量/重量)、適切には0.5%から50%(重量/重量)、好適には1%から25%(重量/重量)の範囲内にする。いくつかの態様では、本有効成分の量を約95%(重量/重量)以上または約0.1%(重量/重量)未満にする。
【0081】
本発明の化合物を補助物質、例えば液状もしくは固体粉末状の材料、例えば製薬学的に普通の液状もしくは固体状の充填材および増量剤、溶媒、乳化剤、滑剤、風味剤、着色剤および/または緩衝剤物質などを用いて通常方法で投与に適した形態にしてもよい。頻繁に用いられる補助物質には、炭酸マグネシウム、二酸化チタン、ラクトース、サッカロース、ソルビトール、マンニトールおよび他の糖もしくは糖アルコール、タルク、乳蛋白質、ゼラチン、澱粉、アミロペクチン、セルロースおよびこれの誘導体、動物性および植物性油、例えば魚肝油、ヒマワリ、落花生またはゴム油など、ポリエチレングリコールおよび溶媒、例えば無菌水および一価もしくは多価アルコール、例えばグリセロールなどばかりでなく崩壊剤および滑剤、例えばステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリルフマル酸ナトリウムおよびポリエチレングリコールワックスなどが含まれる。次に、その混合物を加工して顆粒にするか或は圧縮して錠剤にしてもよい。錠剤の調製を以下に示す材料を用いて実施する。

材料 量(mg/錠剤)
ベンラファクシンN−オキサイド 10
微結晶性セルロース 200
ヒュームド二酸化ケイ素 10
ステアリン酸 10
総量 230
【0082】
前記成分を混合した後、圧縮することで各重量が230mgの錠剤を生じさせた。
【0083】
本有効成分を個別に前以て他の非有効成分と混合しておいた後、混合することで製剤を生じさせてもよい。また、本有効成分を互いに混合した後、非有効成分と混合することで製剤を生じさせることも可能である。
【0084】
軟質ゼラチン製カプセルの調製は、カプセルに本発明の有効成分、植物油、脂肪または軟質ゼラチン製カプセル用の他の適切な媒体の混合物を含有させることで実施可能である。硬質ゼラチン製カプセルには本有効成分の顆粒を含有させてもよい。硬質ゼラチン製カプセルにまた本有効成分と一緒に固体粉末状材料、例えばラクトース、サッカロース、ソルビトール、マンニトール、ジャガイモ澱粉、コーンスターチ、アミロペクチン、セルロース誘導体またはゼラチンなどを含有させることも可能である。
【0085】
直腸投与用投薬単位の調製は、(i)本活性物質が中性の脂肪基材と混ざり合っている状態で入っている座薬の形態、(ii)本活性物質が植物油、パラフィン油または直腸用ゼラチン製カプセルに適した他の媒体と混ざり合っている状態で入っている直腸用ゼラチン製カプセルの形態、(iii)既製微細浣腸の形態または(iv)投与直前に適切な溶媒を用いて戻す乾燥微細浣腸製剤の形態で実施可能である。
【0086】
液状製剤の調製はシロップ、エリキシル、濃滴もしくは懸濁液、例えば溶液または懸濁液などの形態で実施可能であり、それらに本有効成分を入れそして残りを例えば糖もしくは糖アルコールおよびエタノール、水、グリセロール、プロピレングリコールおよびポリエチレングリコールの混合物などで構成させる。必要ならば、そのような液状製剤に着色剤、風味剤、防腐剤、サッカリンおよびカルボシメチルセルロースまたは他の増粘剤を含有させることも可能である。液状製剤の調製をまた使用前に適切な溶媒を用いて戻す乾燥粉末の形態で実施することも可能である。非経口投与用溶液の調製は本発明の製剤が製薬学的に許容される溶媒に入っている溶液として実施可能である。そのような溶液にまた安定化用材料、防腐剤および/または緩衝用材料を入れることも可能である。非経口投与用溶液の調製をまた使用前に適切な溶媒を用いて戻す乾燥製剤として実施することも可能である。
【0087】
本発明に従い、また、医学的治療で用いる目的で本発明の製薬学的組成物に含める材料の中の1種以上を充填しておいた容器を1個以上含有して成る製剤および‘部分で出来ているキット’も提供する。そのような容器1個または2個以上と一緒に、いろいろな資料、例えば使用説明書または医薬品の製造、使用または販売を規制する政府機関が規定する形態の注意書き(この注意書きにヒトまたは獣医学的投与の目的で製造、使用または販売することが政府機関によって認可されたことを示す)を入れてもよい。本発明の製剤を大鬱病性障害を包含する鬱病、全般性不安障害、強拍性障害、社会不安障害、パニック障害、一般的鬱病性障害、糖尿病性神経障害、片頭痛および閉経に関連した血管運動症状、別名‘ホットフラッシュ’の治療で用いるための薬剤の製造で用いることおよび大鬱病性障害を包含する鬱病、全般性不安障害、強拍性障害、社会不安障害、パニック障害、一般的鬱病性障害、糖尿病性神経障害、片頭痛および閉経に関連した血管運動症状、別名‘ホットフラッシュ’に苦しんでいる患者に式(1)で表される少なくとも1種のN−オキサイドをそのまままたはプロドラッグの場合には投与後に治療的に有効な総量で投与することを含んで成る医学的治療方法。
【0088】
例として、限定するものでないが、全身的使用または局所的塗布に好適な活性化合物を含有して成る数種の製薬学的組成物を示す。本発明の他の化合物またはこれらの組み合わせを前記化合物の代わりに(またそれに加えて)用いることも可能である。本有効成分の濃度は本明細書に考察したように幅広い範囲に渡って多様であり得る。含有させることができる材料の量および種類は当該技術分野で良く知られている。
【0089】
参考文献一覧
以下に示す文献が当業者に有用である範囲でか或は本発明をより詳細に記述する目的でそれらは引用することによって本明細書に組み入れられる。それらのいずれもまた本明細書に引用する他の資料も引用もまた如何なる引用文献の引用も従来技術の資料または引用であるとは認められない。

Bickel,M.H.,:“The pharmacology and Biochemistry of N−oxides”,Pharmacol.Reviews21(4),325−355,1969

Bundgaard、H.(編集者)、“Design of Prodrugs”、Elsevier、1985.

Coyle、J.T.およびS.H.Snyder、1969,“Catecholamine uptake by synaptosomes in homogenates of rat brain;stereospecificity in different areas”、J.Pharmacol.Exp.Ther.170、221−231、1969.

Ettmayer、P.他、“Lessons learned from marketed and investigational prodrugs”、J.Med.Chem.、47、2393−2404、2004.

Howell、S.R.他 Xenobiotica 24(4):315−327(1994).

Janowsky、A.他、J.Neurochem.、46、1272−1276、1986.

Jarvinen、T.他、“Design and Pharmaceutical applications of prodrugs”、733−796頁:S.C.Gad(編集者):“Drug Discovery Handbook”、John Wiley & Sons Inc.、New Jersey、U.S.A.、2005.

King、F.D.、(編集者)、215頁:“Medicinal Chemistry:Principles and Practice”、1994、ISBN 0−85186−494−5.

Klamerus、K.J.他 J.Clin.Pharmacol.32:716−724(1992).

Minekus、M.、M.Smeets−Peter、A.Bernalier、S.Marol−Bonnin、R.Havenaar、P.Marteau、M.Alric、G.FontyおよびJ.H.J.Huis in’t Veld.‘A computer−controlled system to simulate conditions of the large intestine with peristaltic mixing、water absorption and absorption of fermentation products’.Appl.Microbiol.Biotechnol.53:108−114、1999.

Pacholczyk、T.他、Nature、350、350−354、1991

Pento、J.T.Drugs of the Future 13(9):839−840(1988).

Physicians’Desk Reference、3293−3302頁(53版、1999).

Pristupa、Z.B.他、Mol.Pharmacology.、45、125−135、1994.

Sinclair、J.他 Rev.Contemp.Pharmacother.9:333−344(1998).

Stella,J.、“Prodrugs as therapeutics”、Expert Opin.Ther.Patents14(3)、277−280、2004.

Tatsumi、M.他、Eur.J.Pharmacol.,368、277−283、1999
【0090】
特許および特許出願:
EP 1 721 889
米国特許第4,761,501号

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(1):
【化1】

[式中、
星印(*)は、不斉炭素原子の印であり、RはHまたはCHである]
で表されるN−オキサイドおよびこれの互変異性体、立体異性体、水化物および溶媒和物。
【請求項2】
1−[2−(ジメチルアミノ)−1−(4−メトキシ−フェニル)エチル]−シクロヘキサノールおよび1−[2−(ジメチルアミノ)−1−(4−ヒドロキシ−フェニル)エチル]−シクロ−ヘキサノールおよびこれらの互変異性体、立体異性体、塩、水化物および溶媒和物を実質的に含有しない請求項1記載のN−オキサイド。
【請求項3】
がCHである請求項1記載のN−オキサイドおよびこれの互変異性体、立体異性体、水化物および溶媒和物。
【請求項4】
1−[2−(ジメチルアミノ)−1−(4−メトキシ−フェニル)エチル]−シクロヘキサノールおよびこれの互変異性体、立体異性体、塩、水化物および溶媒和物を実質的に含有しない請求項3記載のN−オキサイド。
【請求項5】
がHである請求項1記載のN−オキサイドおよびこれの互変異性体、立体異性体、水化物および溶媒和物。
【請求項6】
1−[2−(ジメチルアミノ)−1−(4−ヒドロキシ−フェニル)エチル]−シクロヘキサノールおよびこれの互変異性体、立体異性体、塩、水化物および溶媒和物を実質的に含有しない請求項5記載のN−オキサイド。
【請求項7】
光学活性鏡像異性体である請求項1−6のいずれか1項記載のN−オキサイドまたは前記いずれかの薬理学的に許容される塩、水化物または溶媒和物。
【請求項8】
(R)−鏡像異性体である請求項7項記載のN−オキサイドまたは前記いずれかの薬理学的に許容される塩、水化物または溶媒和物。
【請求項9】
(S)−鏡像異性体である請求項7記載のN−オキサイドまたは前記いずれかの薬理学的に許容される塩、水化物または溶媒和物。
【請求項10】
(S)−1−[2−(ジメチルアミノ)−1−(4−メトキシ−フェニル)エチル]−シクロヘキサノールおよび(S)−1−[2−(ジメチルアミノ)−1−(4−ヒドロキ
シ−フェニル)−エチル]−シクロ−ヘキサノールおよびこれらの薬理学的に許容される塩、水化物および溶媒和物を実質的に含有しない請求項8記載のN−オキサイド。
【請求項11】
(R)−1−[2−(ジメチルアミノ)−1−(4−メトキシ−フェニル)エチル]−シクロヘキサノールおよび(R)−1−[2−(ジメチルアミノ)−1−(4−ヒドロキシ−フェニル)−エチル]−シクロヘキサノールおよびこれらの薬理学的に許容される塩、水化物および溶媒和物を実質的に含有しない請求項9記載のN−オキサイド。
【請求項12】
請求項1−11のいずれか1項記載の化合物またはこれの水化物または溶媒和物を含有して成る薬剤。
【請求項13】
製薬学的に許容される担体および/または少なくとも1種の製薬学的に許容される補助物質以外に請求項1−11のいずれか1項記載の少なくとも1種の化合物またはこれの水化物または溶媒和物を有効成分として薬理学的に有効な量で含有して成る製薬学的組成物。
【請求項14】
大鬱病性障害を包含する鬱病、全般性不安障害、強拍性障害、社会不安障害、パニック障害、一般的鬱病性障害、糖尿病性神経障害、片頭痛および‘ホットフラッシュ’の治療で同時、個別または逐次的に用いるための(i)式(1)で表されるN−オキサイドまたはこれの水化物または溶媒和物および(ii)別の治療薬を含有して成る組み合わせ製薬学的製剤。
【請求項15】
前記他の治療薬がベンラファクシンまたはO−デメチルベンラファクシンである請求項14記載の組み合わせ製薬学的製剤。
【請求項16】
大鬱病性障害を包含する鬱病、全般性不安障害、強拍性障害、社会不安障害、パニック障害、一般的鬱病性障害、糖尿病性神経障害、片頭痛および‘ホットフラッシュ’を治療するための請求項1−11のいずれか記載の化合物。
【請求項17】
大鬱病性障害を包含する鬱病、全般性不安障害、強拍性障害、社会不安障害、パニック障害、一般的鬱病性障害、糖尿病性神経障害、片頭痛および‘ホットフラッシュ’を治療する製薬学的組成物を製造するための請求項1−11のいずれか記載化合物の使用。
【請求項18】
大鬱病性障害を包含する鬱病、全般性不安障害、強拍性障害、社会不安障害、パニック障害、一般的鬱病性障害、糖尿病性神経障害、片頭痛および‘ホットフラッシュ’を治療する製薬学的組成物を製造するための請求項15記載組み合わせ製剤の使用。
【請求項19】
請求項1記載の化合物を製造する方法であって、一般式(a)で表される化合物に酸化剤を用いた酸化を受けさせることで一般式(1)で表される化合物を生じさせる:
【化2】

ことを特徴とする方法。

【公表番号】特表2010−531326(P2010−531326A)
【公表日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−513873(P2010−513873)
【出願日】平成20年6月23日(2008.6.23)
【国際出願番号】PCT/EP2008/057939
【国際公開番号】WO2009/000797
【国際公開日】平成20年12月31日(2008.12.31)
【出願人】(501439149)ソルベイ・フアーマシユーチカルズ・ベー・ブイ (71)
【Fターム(参考)】