プロビジョニングデバイス、およびプロビジョニングネットワークにおけるネットワークパラメータの設定方法
【課題】プロビジョニングデバイスとフィールド機器間のランダム性を持った無作為な選択方式を改善して相互接続性の向上をはかる。
【解決手段】ルータ広告部10aは、ルータ広告圏内に位置するフィールド機器のうち、プロビジョニングの対象になるフィールド機器を一意に指定してユニキャスト送信し、パラメータ設定部10bは、ルータ広告を受信したフィールド機器がプロビジョニングネットワークに接続された後、指定されたフィールド機器に対し、管理しているネットワークパラメータ(DBP#1用設定情報10c)の設定を行う。
【解決手段】ルータ広告部10aは、ルータ広告圏内に位置するフィールド機器のうち、プロビジョニングの対象になるフィールド機器を一意に指定してユニキャスト送信し、パラメータ設定部10bは、ルータ広告を受信したフィールド機器がプロビジョニングネットワークに接続された後、指定されたフィールド機器に対し、管理しているネットワークパラメータ(DBP#1用設定情報10c)の設定を行う。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プロビジョニングの対象となるフィールド機器とは、ターゲットネットワークと分離されたプロビジョニングネットワークを介して接続される、プロビジョニングデバイス、およびプロビジョニングネットワークにおけるネットワークパラメータの設定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
産業用無線通信規格において、フィールド機器の設定情報を管理するプロビジョニングデバイス(PD:Provisioning Device)が、フィールド機器(DBP:Device
Being Provisioning)に対してターゲットネットワークに接続するための設定を行う工程をプロビジョニング(Provisioning)と呼ぶ。プロビジョニングには、PDと、DBP間の通信を実際に制御で用いる通信プロトコルにしたがい行うOTA(Over The Air)プロビジョニングと、赤外線等、実際に制御で用いる通信プロトコル以外の通信プロトコルで行うOOB(Out Of Band)プロビジョニングとがある。
【0003】
さらに、OTAプロビジョニングには、フィールドに設置されたDBPに対してターゲットネットワーク上のPDが直接プロビジョニングを行う方法と、ターゲットネットワークとは隔離されたネットワークでPD機能を備えたハンドヘルドデバイス(以下、ハンドヘルドPD)がDBPをプロビジョニングする方法とがある。なお、OTAプロビジョニングにおいて、プロビジョニングを行うネットワークはプロビジョニングネットワークと呼ばれ、ターゲットネットワークと区別され使用されている。
【0004】
図9はハンドヘルドPD101を用いたOTAプロビジョニングの工程を示す図である。ハンドヘルドPD101を用いたプロビジョニングでは、DBP103は、ターゲットネットワーク200から分離されたプロビジョニングネットワーク100において、ハンドヘルドPD101からターゲットネットワーク200に接続するために必要な、ネットワークパラメータとセキュリティパラメータ(以下、総称してネットワークパラメータ102という)が設定される。一度設定が完了すると、DBP103は、ターゲットネットワーク200に接続することができる。
【0005】
なお、図9において、ターゲットネットワーク200には、ゲートウエイ201を介して、産業用イーサネット(登録商標)等の制御ネットワーク300が接続され、更にこの制御ネットワーク300には、コンフィギュレータ301、DCS(Distributed Control System)302、管理ツール303等が接続されている。
【0006】
図10はプロビジョニングの工程を説明する図である。ハンドヘルドPD101は、ルーティングデバイスの機能を有しており、ハンドヘルドPD101もルーティングデバイスと同じくプロビジョニングネットワーク100へルータ広告を定期的にブロードキャスト送信している(S1)。図中、円内はルータ広告を受信できる範囲を示す。ハンドヘルドPD101のルータ広告圏内に位置するDBP103はルータ広告を受信すると、プロビジョニングネットワーク100の情報を得、そのハンドヘルドPD101に接続することができる(S2)。なお、実際の接続工程は複数のトランザクションから成る。
【0007】
ハンドヘルドPD101への接続が完了すると、ハンドヘルドPD101はDBP103を不図示のターゲットネットワークに接続するためのネットワークパラメータ(DBP用設定情報102)を設定する(S3)。なお、実際の設定工程は複数のトランザクションから成る。なお、上記したプロビジョニングの際の接続工程については、例えば、「ISA−100.11a−2009標準仕様」(非特許文献1参照)に詳細に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【非特許文献1】ISA100.11a−2009「Wireless systemsfor industrial automation : Process control and related applications」<HTTP://www.isa.org/ISA100-11a>平成23年3月30日閲覧。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、上記した従来のプロビジョニングネットワークにおけるネットワークパラメータの設定方法によれば、ハンドヘルドPD101のルータ広告圏内に位置する全てのDBP103がプロビジョニングの対象であり、ハンドヘルドPD101はプロビジョニングの対象としてDBP103を一意に選択できないという問題がある。また、DBP103は、ルータ広告の送信元である全てのハンドヘルドPD101が接続の候補であるため、不適切なハンドヘルドPD101に接続した場合、プロビジョニングに失敗してしまうということもある。
【0010】
ここでは、産業用無線通信規格としてISA(International Society
of Automation )100.11aを用いるものとして説明するが、ISA100.11aに限らず、ISA100.11aと同様の動作を行う通信プロトコルであれば同じ問題が発生する。以下にその詳細を説明する。
【0011】
まず、図11を用いて複数のDBP103、104に対するプロビジョニング工程における問題を説明する。図11では、ハンドヘルドPD101のルータ広告圏内にDBP#1(103)とDBP#2(104)が位置しているが、ハンドヘルドPD101はDBP#1(103)のみ設定情報を管理しているものとする。ISA100.11aにおいて、ハンドヘルドPD101は、ルータ広告をブロードキャストで送信するため、DBP#1(103)とDBP#2(104)は共にルータ広告を受信する(S1)。続いて、ルータ広告を受信したDBP#1(103)とDBP#2(104)は、ハンドヘルドPD101に接続する(S2)。
【0012】
DBP#1(103)とDBP#2(104)のハンドヘルドPD101への接続工程が完了すれば、ハンドヘルドPD101は、DBP#1(103)、DBP#2(104)に対してネットワークパラメータの設定を行う。しかしながら、この例では、ハンドヘルドPD101は、DBP#1(103)の設定情報のみを管理しているため、DBP#1(103)へのプロビジョニングは成功しても、DBP#2(104)のプロビジョニングは失敗に終わってしまう(S3)。つまり、ルータ広告圏内に位置するDBP#1(103)、DBP#2(104)は、ハンドヘルドPD101のプロビジョニング対象に依存せず、無作為にハンドヘルドPD101に接続してしまうという問題がある。
【0013】
次に、図12(a)(b)を用い、複数のハンドヘルドPD#1(101)、#2(201)によるプロビジョニング工程における問題点を説明する。図12(a)(b)では、ハンドヘルドPD#1(101)とハンドヘルドPD#2(201)とが隣接して位置し、かつ、プロビジョニングネットワーク#1(100)とプロビジョニングネットワーク#2(200)が重複する部分にDBP103が位置している。またDBP103の設定情報は、ハンドヘルドPD#1(101)のみが管理しているものとする。
【0014】
図12(a)に示すように、DBP103がハンドヘルドPD#1(101)に接続すればPD#1(101)によるプロビジョニングは成功に終わるが、図12(b)に示すように、DBP103がハンドヘルドPD#2(201)に接続すれば、ハンドヘルドPD#2(201)は、DBP103の設定情報を管理していないため、プロビジョニングは失敗に終わる。なお、ISA100.11aによれば、DBPによるハンドヘルドPDの選択方法は定義されておらず、実装依存である。したがって、DBPの実装によっては、DBPはハンドヘルドPDをトライ・アンド・エラー(試行錯誤)で探索する可能性があり、DBPが最適なハンドヘルドPDを選択するという確実性は保証されていない。
【0015】
本発明は上記した問題を解決するためになされたものであり、プロビジョニングデバイスとフィールド機器間のランダム性を持った無作為な選択方式を改善して相互接続性の向上をはかった、プロビジョニングデバイス、およびプロビジョニングネットークにおけるネットワークパラメータの設定方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記した課題を解決するために本発明は、プロビジョニングの対象になるフィールド機器とは、ターゲットネットワークと分離したプロビジョニングネットワークを介して接続されるプロビジョニングデバイスであって、ルータ広告圏内に位置する前記フィールド機器のうち、前記プロビジョニングの対象になるフィールド機器を一意に指定してユニキャスト送信するルータ広告部と、前記ルータ広告を受信した前記フィールド機器が前記プロビジョニングネットワークに接続された後、前記指定されたフィールド機器に対し、管理しているネットワークパラメータの設定を行うパラメータ設定部と、を有することを特徴とする。
【0017】
本発明によれば、ルータ広告部は、ルータ広告圏内に位置するフィールド機器のうち、プロビジョニングの対象になるフィールド機器を一意に指定してユニキャスト送信し、パラメータ設定部は、ルータ広告を受信したフィールド機器がプロビジョニングネットワークに接続された後、指定されたフィールド機器に対し、管理しているネットワークパラメータの設定を行う。このように、プロビジョニングデバイスはルータ広告をユニキャスト送信するため、プロビジョニングの対象となるフィールド機器を一意に指定でき、このため、プロビジョニングデバイスとフィールド機器間の接続に関する不確実性を解消することが出来る。また、近隣に複数のプロビジョニングデバイスが存在する場合でも、重複したプロビジョニングネットワークに位置するフールド機器は、不要なルータ広告の受信を回避でき、フィールド機器がプロビジョニングデバイスを探索する工程を最適化することが出来る。その結果、フィールド機器は、トライ・アンド・エラーによる無作為なプロビジョニングデバイスの探索を回避でき、リソースの消費を軽減することができる。
【0018】
本発明において、前記ルータ広告部は、前記フィールド機器のネットワークパラメータに紐付けられたアドレスを、ルータ広告フレームのMAC(Media Access Control)副層ヘッダにおける終点アドレスとして生成し、前記ルータ広告を前記プロビジョニングの対象になる任意のフィールド機器にユニキャスト送信することを特徴とする。例えば、ISA100.11a無線通信規格によれば、おのおののフィールド機器の設定情報はフィールド機器のEUI−64アドレス毎に識別されることが定義されているため、本発明によれば、ルータ広告部が、プロビジョニングデバイスで管理しているフィールド機器の設定情報に紐付けられたEUI−64アドレスをMAC副層ヘッダの終点アドレスとして用いることで、任意のフィールド機器にルータ広告をユニキャスト送信することが出来る。
【0019】
本発明において、前記ルータ広告部は、前記ユニキャスト送信されたルータ広告に対して前記プロビジョニングの対象となるフィールド機器から応答が無かった場合、前記ルータ広告をブロードキャスト送信することを特徴とする。本発明によれば、ユニキャスト送信されたルータ広告を受信できないフィールド機器に対する互換性を維持できる。
【0020】
本発明において、前記ルータ広告部は、前記ルータ広告をユニキャスト送信する前に、前記ルータ広告をブロードキャスト送信して、前記ルータ広告圏内に位置する全ての前記フィールド機器のリストを動的に取得することを特徴とする。本発明によれば、プロビジョニングデバイスが設定情報を管理している全てのフィールド機器に対して無作為にルータ広告を送信すること無く、実際にルータ広告圏内で動作しているフィールド機器に対してのみルータ広告を送信することが可能になり、無駄なリソースの消費を回避できる。
【0021】
本発明において、前記ルータ広告部は、前記フィールド機器のリストを動的に取得するにあたり、前記フィールド機器の接続要求に対して一時的に拒否するメッセージを送信し、前記接続要求を発行した前記フィールド機器の前記プロビジョニングネットワークの参加を拒否することを特徴とする。本発明によれば、ルータ広告部が、フィールド機器の接続要求に対して一時的な接続拒否を示すメッセージを明示的に送信することで、フィールド機器を迅速にルータ広告の待ち受け状態に遷移させることができる。
【0022】
本発明において、前記ルータ広告部は、前記フィールド機器のリストを動的に取得するにあたり、前記プロビジョニングネットワークへの接続を終えた前記フィールド機器に対し、再起動を要求して前記フィールド機器を一時的に前記プロビジョニングネットワークから切り離すことを特徴とする。本発明によれば、ルータ広告部が、プロビジョニングネットワークへの接続を終えたフィールド機器に対して再起動を要求してフィールド機器を一時的に切り離すことで、フィールド機器を迅速にルータ広告の待ち受け状態に遷移させることができる。
【0023】
本発明は、プロビジョニングの対象になるフィールド機器と、前記フィールド機器とはターゲットネットワークと分離したプロビジョニングネットワークを介して接続されるプロビジョニングデバイスと、からなるプロビジョニングネットワークシステムにおけるネットワークパラメータの設定方法であって、前記プロビジョニングデバイスが、ルータ広告圏内に位置する前記フィールド機器のうち、プロビジョニングの対象になるフィールド機器を一意に指定してユニキャスト送信する広告ステップと、前記ルータ広告を受信した前記フィールド機器が、接続要求を発行して前記プロビジョニングネットワークに接続する接続ステップと、前記プロビジョニングデバイスが、前記指定されたフィールド機器に対し、管理しているネットワークパラメータの設定を行うプロビジョニングステップと、を有することを特徴とする。
【0024】
本発明によれば、プロビジョニングデバイスはルータ広告をユニキャスト送信するため、プロビジョニングの対象となるフィールド機器を一意に指定でき、このため、プロビジョニングデバイスとフィールド機器間の接続に関する不確実性を解消することが出来る。また、近隣に複数のプロビジョニングデバイスが存在する場合でも、重複したプロビジョニングネットワークに位置するフールド機器は、不要なルータ広告の受信を回避でき、フィールド機器がプロビジョニングデバイスを探索する工程を最適化することが出来る。その結果、フィールド機器は、トライ・アンド・エラーによる無作為なプロビジョニングデバイスの探索を回避でき、リソースの消費を軽減することができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、プロビジョニングデバイスとフィールド機器間のランダム性を持った無作為な選択方式を改善して相互接続性の向上をはかった、プロビジョニングデバイス、およびプロビジョニングネットークにおけるネットワークパラメータの設定方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の実施の形態に係るプロビジョニングデバイスによるプロビジョニングの工程の概略を示す図である。
【図2】本発明の実施の形態に係るプロビジョニングデバイスの構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の実施の形態に係るプロビジョニングデバイスにより生成されるルータ広告フレームのフォーマットを示す図である。
【図4】本発明の実施の形態に係るプロビジョニングデバイスによるプロビジョニングの工程を示す図である。
【図5】本発明の実施の形態に係るプロビジョニングデバイスによるプロビジョニングの工程を示すシーケンス図である。
【図6】本発明の実施の形態に係るプロビジョニングデバイスによるフィールド機器の探索工程を示すシーケンス図である。
【図7】本発明の実施の形態に係るプロビジョニングデバイスによるフィールド機器探索の動作例を示す図である。
【図8】本発明の実施の形態に係るプロビジョニングデバイスの再起動によるフィールド機器の切断シーケンスを示す図である。
【図9】プロビジョニングネットワークとターゲットネットネッワークと関係を示す図である。
【図10】従来のプロビジョニングデバイスによるプロビジョニングの工程を示す図である。
【図11】複数のフィールド機器に対するプロビジョニングの工程を示す図である。
【図12】複数のプロビジョニングデバイスによるプロビジョニングの工程を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、添付図面を参照して本発明を実施するための実施の形態(以下、単に本実施形態という)について詳細に説明する。
【0028】
(実施形態の構成)
図1は、本実施形態に係るプロビジョニングデバイスによるプロビジョニングの工程の概略を示す図である。図1に示すプロビジョニングネットワークシステム100において、プロビジョニングデバイスであるハンドヘルドPD#1(10)は、ルータ広告圏内に位置するフィールド機器であるDBP#1(30)、DBP#2(40)を探索し、ハンドヘルドPD#1(10)が管理している設定情報(DBP#1用設定情報)に、該当するDBP#1(30)へルータ広告をユニキャスト送信する。このことにより、ハンドヘルドPD#1(10)は、DBP#1(30)を一意にプロビジョニングすることができ、ハンドヘルドPD#1(10)とDBP#1(30)間の接続に関する不確定性を解消するものである。
【0029】
これに対し、従来は、ハンドヘルドPD#1(10)が送信するルータ広告は、ブロードキャスト送信されていたため、プロビジョニングネットワーク#1(1)、#2(2)が重複する部分に位置するDBP#1(30)、DBP#2(40)は、いずれのプロビジョニングネットワーク#1(1)、#2(2)に接続すればよいのかわからなかった。以下、図2以降を参照して本実施形態に係るプロビジョニングデバイス、およびプロビジョニングネットワークにおけるネットワークパラメータの設定方法について詳細に説明する。
【0030】
図2は、本実施形態に係るプロビジョニングデバイスの構成を示すブロック図である。ここでは、プロビジョニングデバイスとして、図1に示したハンドヘルドPD#1(10)が示されている。なお、ハンドヘルドPD#2(20)もハンドヘルドPD#1(10)と同じ構成を有するものとする。図2において、ハンドヘルドPD#1(10)は、ルータ広告部10aと、パラメータ設定部10bと、ネットワークパラメータが記憶されるDBP#1用設定情報10cとを含み構成される。
【0031】
ルータ広告部10aは、ルータ広告圏内に位置するDBPのうち、プロビジョニングの対象になるDBPを一意に指定してユニキャスト送信する機能を有する。また、パラメータ設定部10bは、ルータ広告を受信したDBPがプロビジョニングネットワーク#1(または#2)に接続された後、指定されたDBPに対し、管理しているネットワークパラメータの設定を行う機能を有する。このとき、ネットワークパラメータとして、DBP#1用設定情報10cが設定される。また、DBP接続制御部10dは、DBPの接続要求を処理する機能を有する。
【0032】
ルータ広告部10aは、DBPのネットワークパラメータに紐付けられたアドレスを、ルータ広告フレームのMAC副層ヘッダにおける終点アドレスとして生成し、ルータ広告をプロビジョニングの対象になる任意のDBPにユニキャスト送信する。また、ルータ広告部10aは、ユニキャスト送信されたルータ広告に対してプロビジョニングの対象となるDBPから応答が無かった場合、ルータ広告をブロードキャスト送信してもよい。
【0033】
また、ルータ広告部10aは、ルータ広告をユニキャスト送信する前に、ルータ広告をブロードキャスト送信して、ルータ広告圏内に位置する全てのDBPのリストを動的に取得してもよい。このとき、ルータ広告部10aは、DBPの接続要求に対して一時的に拒否するメッセージを送信し、接続要求を発行したDBPのプロビジョニングネットワークへの参加を拒否するか、プロビジョニングネットワークへの接続を終えたDBPに対し再起動を要求し、DBPを一時的にプロビジョニングネットワークから切り離す。
【0034】
図3に、ルータ広告部10aによりルータ広告されるルータ広告フレームのフォーマットが示されている。図3(a)が、ブロードキャスト送信による従来のルータ広告、図3(b)がユニキャスト送信による本実施形態にしたがうルータ広告である。いずれのルータ広告フレームも、物理層ヘッダ301、MAC副層ヘッダ302、ルータ広告303、フレームチェックシーケンス304の、各データフィールドからなる。
【0035】
ISA100.11aでは、物理層にIEEE802.15.4通信規格を用いており、MAC副層ヘッダ302では、無線サブネット内でのみ一意性が保証されている。16ビットのサブネットアドレスと、グローバルに一意性が保証されているEUI−64アドレスの2種類のアドレスを用いることができる。なお、ルータ広告の送信元である始点アドレスと送信先である終点アドレスは、MAC副層ヘッダ302で指定される。また、この時に用いられるアドレスの種類もMAC副層ヘッダ302で指定される。ISA100.11aでは通常16ビットのサブネットアドレスを用いており、ルータ広告に関しても始点アドレスはハンドヘルドPD#1(10)の16ビットサブネットアドレスとなる。図3(a)の広告フレームでは、終点アドレスは省略されており、このことからルータ広告がブロードキャスト送信されていることがわかる。
【0036】
本実施形態に係るプロビジョニンクデバイスでは、ルータ広告をブロードキャスト送信ではなくユニキャスト送信することで、図1に示すハンドヘルドPD#1(10)とDBP#1(30)、#2(40)間の接続に関する不確定性を解消する。このため、図3(b)にルータ広告部10aにより生成され送信されるルータ広告フレームのフォーマットに示されるように、MAC副層ヘッダ302の終点アドレスとして、プロビジョニングの対象となるDBP#1(30)のEUI−64アドレスを指定する構造になっている。なお、DBP#1(30)の16ビットサブネットアドレスはハンドヘルドPD#1(10)に接続する工程で設定されるため、ハンドヘルドPD#1(10)に接続する前の段階では用いることはできない。
【0037】
ISA100.11aによれば、各々のDBPの設定情報は、DBPのEUI−64アドレス毎に識別されることが定義されている。したがって、ハンドヘルドPD#1(10)は、管理しているDBP#1(30)の設定情報に紐づいたEUI−64アドレスをMAC副層ヘッダ302の終点アドレスとして用いることで、任意のDBPに対してルータ広告をユニキャスト送信することができる。
【0038】
すなわち、ルータ広告部10aは、ルータ広告圏内に位置するDBP#1(30)、DBP#2(40)のうち、プロビジョニングの対象になるDBP#1(30)を図3(b)に示すアドバタイズメントフレームにより一意に指定してユニキャスト送信する。そして、DBP接続制御部10dは、−タ広告を受信したDBPがプロビジョニングネットワーク#1(または#2)に対して行なう接続要求を処理する。そして、パラメータ設定部10bは、ルータ広告を受信したDBPがプロビジョニングネットワーク#1(または#2)に接続された後、指定されたDBP#1(30)に対し、管理しているネットワークパラメータ(DBP#1設定情報10c)の設定を行う。
【0039】
このことにより、ハンドヘルドPD#1(10)は、プロビジョニングの対象とするDBP#1(30)を一意に指定することができる。例えば、図4(a)にプロビジョニング工程が示されるように、DBP#1(30),DBP#2(40),DBP#3(50)がルータ広告圏内に存在する場合においても、DBP#1用設定情報とDBP#2用設定情報を有するハンドヘルドPD#1(10)は、プロビジョニングの対象であるDBP#1(30),DBP#2(40)にのみルータ広告をユニキャスト送信することができる。このとき、ハンドヘルドPD#1(10)は、DBP#3(50)に対しルータ広告を送信しないため、DBP#3(50)は、ハンドヘルドPD#1(10)に接続することもなく、結果、プロビジョニングが失敗に終わることを回避することができる。
【0040】
また、図4(b)にプロビジョニング工程が示されているように、近隣にハンドヘルドPD#1(10)、PD#2(60)が存在する場合においても、プロビジョニングネットワーク#1(1)と#2(2)が重複する部分に位置するDBP#1(30),DBP#2(40)は、不要なルータ広告の受信を回避することができる。具体的に、DBP#1(30)の設定情報を管理しているハンドヘルドPD#1(10)は、DBP#1(30)に対してのみルータ広告をユニキャスト送信し、DBP#2(40)の設定情報を管理しているハンドヘルドPD#2(60)は、DBP#2(40)に対してのみルータ広告をユニキャスト送信することで、DBP#1(30)はハンドヘルドPD#1(10)に、DBP#2(40)はハンドヘルドPD#2(60)にそれぞれ最適に接続することができる。
【0041】
このように、DBP#1(30)、DBP#2(40)がハンドヘルドPD#1(10)、#2(60)を探索する工程を最適化することで、DBP#1(30)、DBP#2(40)は、トライ・アンド・エラーによる無作為なハンドヘルドPD#1(10)、#2(60)の探索を回避することができ、また、DBP#1(30)、#2(40)は、ハンドヘルドPDの探索によるリソースの消費を削減することができる。
【0042】
なお、上記した本実施形態に係るプロビジョニングデバイスによれば、ルータ広告をユニキャスト送信することで、ハンドヘルドPDを用いたOTAプロビジョニングの工程を最適化したが、DBPの実装によってはユニキャスト送信されたルータ広告を受信できない可能性がある。そこで、以下に説明する拡張を行うことで、ユニキャスト送信されたルータ広告を受信できないDBPに対する互換性を維持することができる。
【0043】
図5にそのためのプロビジョニング工程がシーケンス図で示されている。図5(a)において、ハンドヘルドPD#1(10)は、ルータ広告をDBP#1(30)にユニキャスト送信し(ステップS101)、ルータ広告を受信したDBP#1(30)はプロビジョニングネットワークに接続する(ステップS102)。ここで、接続が完了すれば、ハンドヘルドPD#1(10)がDBP#1(30)にネットワークパラメータの設定を行う(ステップS103)。しかしながら、ISA100.11a通信規格によれば、ルータ広告はブロードキャスト送信されているため、ユニキャスト送信されたルータ広告はDBPの実装によって受信できない可能性がある。
【0044】
そこで、図5(b)に示すように、ユニキャスト送信(ステップS201)されたルータ広告に対し、DBP#1(30)からの反応が無い場合、ハンドヘルドPD#1(10)は、ルータ広告をブロードキャスト送信する(ステップS202)。そして従来同様、ルータ広告を受信したDBP#1(30)はプロビジョニングネットワーク1に接続する(ステップS203)。ここで、接続が完了すれば、ハンドヘルドPD#1(10)がDBP#1(30)にネットワークパラメータの設定を行う(ステップS204)。このことにより、ISA100.11a通信規格に準拠したプロビジョニング工程にフォールバックすることができる。
【0045】
また、DBPの探索にあたり、一度、ブロードキャストでルータ広告を送信し、DBPのプロビジョニングネットワークへの接続要求の結果から、ルータ広告圏内に位置する全てのDBPのEUI−64アドレスを動的に取得し、改めてEUI−64アドレスを指定してユニキャストで広告することも可能である。
【0046】
すなわち、図6にこのときのプロビジョニング工程のシーケンス図が示されるように、ハンドヘルドPD#1(10)は、まず、ルータ広告圏内に位置するDBP#1(30)を探索するために、各DBPに対してブロードキャストでルータ広告を送信する(ステップS301)。次に、このルータ広告を受信したDBP#1(30)は、プロビジョニングネットワーク1に接続要求を送信する(ステップS302)。ここで、ハンドヘルドPD#1(10)は、DBP#1(30)のプロビジョニングネットワークへの接続要求の結果から、ルータ広告圏内に位置するDBP#1(30)のEUI−64アドレスを取得する。
そしてDBP#1(30)に対して一時的な接続拒否のメッセージを送信することで、DBP#1(30)をルータ広告の待ち受け状態にする(ステップS303)。そして、ハンドヘルドPD#1(10)は、先に取得したEUI−64アドレスに基づき、あらためてDBP#1(30)にルータ広告をユニキャスト送信する(ステップS304)。次に、このルータ広告を受信した待ち受け状態にあるDBP#1(30)は、従来と同様の手順でプロビジョニングネットワーク1へ接続する(ステップS305)。ここで接続が完了すれば、ハンドヘルドPD#1(10)がDBP#1(30)にネットワークパラメータの設定を行う(ステップS306)。
【0047】
これによって、ハンドヘルドPDが設定情報を管理している全てのDBPに対して無作為にルータ広告を送信するのではなく、実際にルータ広告圏内で動作しているDBPに対してのみルータ広告をユニキャスト送信することが可能である。また、予めDBPのEUI−64アドレスを知ることなく、任意のDBPを選択することも可能となる。
【0048】
ISA100.11aでは、プロビジョニングネットワークかターゲットネットワークかを問わず、DBP等のフィールド機器が無線ネットワークへの接続要求を送信し一定時間内に応答を得ることができなければ再度ルータ広告を待ち受けることが定義されている。DBPが送信する接続要求のタイムアウトは初期値で60秒と定義されているため、図6のように、接続要求に対する一時的な接続拒否を示すメッセージを明示的に返信(ステップS303)することで、迅速にDBPをルータ広告の待ち受け状態に遷移させることができる。なお、このときに返信する一時的な接続拒否を示すメッセージは、通常の接続工程で用いるエラーメッセージでも良いが、一時的な接続拒否を明示的に示すための独自メッセージを新たに定義し用いても良い。
【0049】
図7にDBP探索工程を含むプロビジョニング工程の流れが示されている。図7において、ハンドヘルドPD#1(10)は、DBP#1(30)およびDBP#2(40)の設定情報を管理しているものとする。また、ハンドヘルドPD#1(10)のルータ広告圏内にはDBP#1(30)とDBP#3(50)が位置しており、DBP#2(40)はルータ広告圏外に位置しているとする。
【0050】
ハンドヘルドPD#1(10)は、ルータ広告圏内に位置するDBP#1(30)、DBP#2(40)を探索するために、まずルータ広告をブロードキャスト送信する(S1)。DBP#1(30)とDBP#3(50)は、共にハンドヘルドPD#1(10)のルータ広告圏内に位置しているため、ハンドヘルドPD#1(10)が送信するルータ広告を受信し、それぞれハンドヘルドPD#1(10)に接続要求を送信する。一方、DBP#2(40)はルータ広告圏外に位置しているため、DBP#2(40)はそのルータ広告を受信しない。したがって、DBP#2(40)はハンドヘルドPD#1(10)に接続要求を送信しない(S2)。
【0051】
DBP#1(30)とDBP#3(50)が送信する接続要求メッセージの始点アドレスからDBP#1(30)とDBP#3(50)のEUI−64アドレスを学習したハンドヘルドPD#1(10)では、ルータ広告部10aが、接続エラーを示す応答メッセージを返答し、一旦、DBP#1(30)とDBP#3(50)のプロビジョニングネットワーク1への接続を拒否する(S3)。次に、ハンドヘルドPD#1(10)は、自身が設定情報を管理するDBP#1(30)とDBP#2(40)のEUI−64アドレスと、S2で学習したDBP#1(30)とDBP#3(50)のEUI−64アドレスを比較し、一致したDBPに対してのみルータ広告をユニキャスト送信する(S4)。具体的に、ハンドヘルドPD#1(10)は、DBP#1(30)に対してのみルータ広告をユニキャスト送信する。このように探索することで、ユニキャスト送信するルータ広告の対象を最小限にすることができる。
【0052】
また、一旦、DBPのプロビジョニングネットワークへの接続工程を完了させた後に、ハンドヘルドPDがDBPに再起動を促すことで、DBPをプロビジョニングネットワークから切断しても良い。すなわち、図8にシーケンス図で示されているように、ハンドヘルドPD#1(10)では、ルータ広告部10aが、ルータ広告をブロードキャストし(ステップS401)、プロビジョニングネットワーク1への接続工程(ステップS402)を終えたDBP#1(30)に対してDBP接続制御部10dが再起動(リセット)要求を発行する(ステップS403)。このことにより、DBP#1(30)がフィールド機器を一時的にプロビジョニングネットワーク1から切り離す。
【0053】
以降、ハンドヘルドPD#1(10)では、ルータ広告部10aがルータ広告をユニキャスト送信し(ステップS404)、このルータ広告を受信したDBP#1(30)は自身をプロビジョニングネットワーク1に接続する(ステップS405)。ここで、接続が完了すれば、ハンドヘルドPD#1(10)がパラメータ設定部10bでDBP#1(30)にネットワークパラメータの設定を行なう(ステップS406)。
【0054】
(実施形態の効果)
以上説明のように本実施形態に係るプロビジョニングデバイス(ハンドヘルドPD#1)によれば、ルータ広告部10aは、ルータ広告圏内に位置するフィールド機器(DBP#1、#2)のうち、プロビジョニングの対象になるフィールド機器(DBP#1)を一意に指定してルータ広告をユニキャスト送信し、パラメータ設定部10bは、ルータ広告を受信したフィールド機器(DBP#1)がプロビジョニングネットワーク1に接続された後、指定されたフィールド機器(DBP#1)に対し、管理しているネットワークパラメータ(DBP#1用設定情報10c)の設定を行う。
【0055】
このように、プロビジョニングデバイスは、ルータ広告をユニキャスト送信するため、プロビジョニングの対象となるフィールド機器を一意に指定でき、このため、プロビジョニングデバイスとフィールド機器間の接続に関する不確実性を解消することが出来る。また、近隣に複数のプロビジョニングデバイスが存在する場合でも、重複したプロビジョニングネットワークに位置するフールド機器は、不要なルータ広告の受信を回避でき、フィールド機器がプロビジョニングデバイスを探索する工程を最適化することが出来る。その結果、フィールド機器は、トライ・アンド・エラーによる無作為なプロビジョニングデバイスの探索を回避でき、リソースの消費を軽減することができる。
【0056】
また、本実施形態に係るプロビジョニングデバイスによれば、ルータ広告部10aが、プロビジョニングデバイスで管理しているフィールド機器の設定情報に紐付けられたEUI−64アドレスをMAC副層ヘッダの終点アドレスとして用いることで、任意のフィールド機器にルータ広告をユニキャスト送信することが出来る。また、ルータ広告部10aが、ユニキャスト送信されたルータ広告に対してプロビジョニングの対象となるフィールド機器から応答が無かった場合、ルータ広告をブロードキャスト送信することで、ユニキャスト送信されたルータ広告を受信できないフィールド機器に対する互換性を維持できる。
【0057】
また、本実施形態に係るプロビジョニングデバイスによれば、ルータ広告をユニキャスト送信する前にルータ広告をブロードキャスト送信して、ルータ広告圏内に位置する全てのフィールド機器のリストを動的に取得することで、プロビジョニングデバイスが設定情報を管理している全てのフィールド機器に対して無作為にルータ広告を送信すること無く、実際にルータ広告圏内で動作しているフィールド機器に対してのみルータ広告を送信することが可能になり、無駄なリソースの消費を回避できる。このフィールド機器のリストを動的に取得するにあたり、フィールド機器の接続要求に対して一時的に拒否するメッセージを送信し、接続要求を発行したフィールド機器のプロビジョニングネットワークへの参加を拒否することで、あるいは、プロビジョニングネットワークへの接続を終えたフィールド機器に対して再起動を要求してフィールド機器を一時的にプロビジョニングネットワークから切り離すことで、フィールド機器を迅速にルータ広告の待ち受け状態に遷移させることができる。
【0058】
なお、本発明のプロビジョニングネットワークにおけるネットワークパラメータの設定方法は、例えば、図1において、プロビジョニングの対象になるフィールド機器(DBP#1、DBP#2)と、前記フィールド機器(DBP#1、DBP#2)とはターゲットネットワークと分離したプロビジョニングネットワーク#1、#2を介して接続されるプロビジョニングデバイス(PD#1、PD#2)と、からなるプロビジョニングネットワークシステム100に適用される。そして、例えば、図5(a)に示されるように、前記プロビジョニングデバイス(PD#1、PD#2)が、ルータ広告圏内に位置する前記フィールド機器のうち、プロビジョニングの対象になるフィールド機器(DBP#1またはDBP#2)を一意に指定してユニキャスト送信する広告ステップ(S101)と、前記ルータ広告を受信した前記フィールド機器(DBP#1またはDBP#2)が、接続要求を発行して前記プロビジョニングネットワーク#1(#2)に接続する接続ステップ(S102)と、前記プロビジョニングデバイス(PD#1またはPD#2)が、前記指定されたフィールド機器(DBP#1またはDBP#2)に対し、管理しているネットワークパラメータ(DBP#1用設定情報10cまたはDBP#用設定情報)の設定を行うプロビジョニングステップ(S103)と、を有するものである。
【0059】
本発明によれば、プロビジョニングデバイス(PD#1、PD#2)は、ルータ広告をユニキャスト送信するため、プロビジョニングの対象となるフィールド機器(DBP#1またはDBP#2)を一意に指定でき、このため、プロビジョニングデバイス(PD#1、PD#2)とフィールド機器(DBP#1またはDBP#2)間の接続に関する不確実性を解消することが出来る。また、近隣に複数のプロビジョニングデバイス(PD#1、PD#2)が存在する場合でも、重複したプロビジョニングネットワーク#1、#2に位置するフィールド機器(DBP#1、DBP#2)は、不要なルータ広告の受信を回避でき、フィールド機器がプロビジョニングデバイスを探索する工程を最適化することが出来る。その結果、フィールド機器(DBP#1、DBP#2)は、トライ・アンド・エラーによる無作為なプロビジョニングデバイス(PD#1、PD#2)の探索を回避でき、リソースの消費を軽減することができる。
【0060】
なお、本発明は、OTAプロビジョニングにおいて、プロビジョニングデバイスがプロビジョニングの対象であるフィールド機器を一意に指定することでOTAプロビジョニング工程を最適化するものであり、ISA100.11aにおけるOTAプロビジョニングに対応した全てのハンドヘルドPDに適用することができる。また、本発明は、ISA100.11aに特化するものではなく、ISA100.11aと同様の動作を行う産業用無線通信規格であれば同様に適用することができる。
【0061】
以上、本実施形態について説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態に記載の範囲には限定されないことは言うまでもない。上記実施形態に、多様な変更又は改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。またそのような変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【符号の説明】
【0062】
1、2・・プロビジョニングネットワーク#1、#2、10、20、60・・プロビジョニングデバス#1、#2、#3、10a・・ルータ広告部、10b・・パラメータ設定部、10c・・DBP#1用設定情報、10d・・DBP接続制御部、30、40、50・・フィールド機器(DBP#1、#2、#3)、100・・プロビジョニングネットワークシステム
【技術分野】
【0001】
本発明は、プロビジョニングの対象となるフィールド機器とは、ターゲットネットワークと分離されたプロビジョニングネットワークを介して接続される、プロビジョニングデバイス、およびプロビジョニングネットワークにおけるネットワークパラメータの設定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
産業用無線通信規格において、フィールド機器の設定情報を管理するプロビジョニングデバイス(PD:Provisioning Device)が、フィールド機器(DBP:Device
Being Provisioning)に対してターゲットネットワークに接続するための設定を行う工程をプロビジョニング(Provisioning)と呼ぶ。プロビジョニングには、PDと、DBP間の通信を実際に制御で用いる通信プロトコルにしたがい行うOTA(Over The Air)プロビジョニングと、赤外線等、実際に制御で用いる通信プロトコル以外の通信プロトコルで行うOOB(Out Of Band)プロビジョニングとがある。
【0003】
さらに、OTAプロビジョニングには、フィールドに設置されたDBPに対してターゲットネットワーク上のPDが直接プロビジョニングを行う方法と、ターゲットネットワークとは隔離されたネットワークでPD機能を備えたハンドヘルドデバイス(以下、ハンドヘルドPD)がDBPをプロビジョニングする方法とがある。なお、OTAプロビジョニングにおいて、プロビジョニングを行うネットワークはプロビジョニングネットワークと呼ばれ、ターゲットネットワークと区別され使用されている。
【0004】
図9はハンドヘルドPD101を用いたOTAプロビジョニングの工程を示す図である。ハンドヘルドPD101を用いたプロビジョニングでは、DBP103は、ターゲットネットワーク200から分離されたプロビジョニングネットワーク100において、ハンドヘルドPD101からターゲットネットワーク200に接続するために必要な、ネットワークパラメータとセキュリティパラメータ(以下、総称してネットワークパラメータ102という)が設定される。一度設定が完了すると、DBP103は、ターゲットネットワーク200に接続することができる。
【0005】
なお、図9において、ターゲットネットワーク200には、ゲートウエイ201を介して、産業用イーサネット(登録商標)等の制御ネットワーク300が接続され、更にこの制御ネットワーク300には、コンフィギュレータ301、DCS(Distributed Control System)302、管理ツール303等が接続されている。
【0006】
図10はプロビジョニングの工程を説明する図である。ハンドヘルドPD101は、ルーティングデバイスの機能を有しており、ハンドヘルドPD101もルーティングデバイスと同じくプロビジョニングネットワーク100へルータ広告を定期的にブロードキャスト送信している(S1)。図中、円内はルータ広告を受信できる範囲を示す。ハンドヘルドPD101のルータ広告圏内に位置するDBP103はルータ広告を受信すると、プロビジョニングネットワーク100の情報を得、そのハンドヘルドPD101に接続することができる(S2)。なお、実際の接続工程は複数のトランザクションから成る。
【0007】
ハンドヘルドPD101への接続が完了すると、ハンドヘルドPD101はDBP103を不図示のターゲットネットワークに接続するためのネットワークパラメータ(DBP用設定情報102)を設定する(S3)。なお、実際の設定工程は複数のトランザクションから成る。なお、上記したプロビジョニングの際の接続工程については、例えば、「ISA−100.11a−2009標準仕様」(非特許文献1参照)に詳細に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【非特許文献1】ISA100.11a−2009「Wireless systemsfor industrial automation : Process control and related applications」<HTTP://www.isa.org/ISA100-11a>平成23年3月30日閲覧。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、上記した従来のプロビジョニングネットワークにおけるネットワークパラメータの設定方法によれば、ハンドヘルドPD101のルータ広告圏内に位置する全てのDBP103がプロビジョニングの対象であり、ハンドヘルドPD101はプロビジョニングの対象としてDBP103を一意に選択できないという問題がある。また、DBP103は、ルータ広告の送信元である全てのハンドヘルドPD101が接続の候補であるため、不適切なハンドヘルドPD101に接続した場合、プロビジョニングに失敗してしまうということもある。
【0010】
ここでは、産業用無線通信規格としてISA(International Society
of Automation )100.11aを用いるものとして説明するが、ISA100.11aに限らず、ISA100.11aと同様の動作を行う通信プロトコルであれば同じ問題が発生する。以下にその詳細を説明する。
【0011】
まず、図11を用いて複数のDBP103、104に対するプロビジョニング工程における問題を説明する。図11では、ハンドヘルドPD101のルータ広告圏内にDBP#1(103)とDBP#2(104)が位置しているが、ハンドヘルドPD101はDBP#1(103)のみ設定情報を管理しているものとする。ISA100.11aにおいて、ハンドヘルドPD101は、ルータ広告をブロードキャストで送信するため、DBP#1(103)とDBP#2(104)は共にルータ広告を受信する(S1)。続いて、ルータ広告を受信したDBP#1(103)とDBP#2(104)は、ハンドヘルドPD101に接続する(S2)。
【0012】
DBP#1(103)とDBP#2(104)のハンドヘルドPD101への接続工程が完了すれば、ハンドヘルドPD101は、DBP#1(103)、DBP#2(104)に対してネットワークパラメータの設定を行う。しかしながら、この例では、ハンドヘルドPD101は、DBP#1(103)の設定情報のみを管理しているため、DBP#1(103)へのプロビジョニングは成功しても、DBP#2(104)のプロビジョニングは失敗に終わってしまう(S3)。つまり、ルータ広告圏内に位置するDBP#1(103)、DBP#2(104)は、ハンドヘルドPD101のプロビジョニング対象に依存せず、無作為にハンドヘルドPD101に接続してしまうという問題がある。
【0013】
次に、図12(a)(b)を用い、複数のハンドヘルドPD#1(101)、#2(201)によるプロビジョニング工程における問題点を説明する。図12(a)(b)では、ハンドヘルドPD#1(101)とハンドヘルドPD#2(201)とが隣接して位置し、かつ、プロビジョニングネットワーク#1(100)とプロビジョニングネットワーク#2(200)が重複する部分にDBP103が位置している。またDBP103の設定情報は、ハンドヘルドPD#1(101)のみが管理しているものとする。
【0014】
図12(a)に示すように、DBP103がハンドヘルドPD#1(101)に接続すればPD#1(101)によるプロビジョニングは成功に終わるが、図12(b)に示すように、DBP103がハンドヘルドPD#2(201)に接続すれば、ハンドヘルドPD#2(201)は、DBP103の設定情報を管理していないため、プロビジョニングは失敗に終わる。なお、ISA100.11aによれば、DBPによるハンドヘルドPDの選択方法は定義されておらず、実装依存である。したがって、DBPの実装によっては、DBPはハンドヘルドPDをトライ・アンド・エラー(試行錯誤)で探索する可能性があり、DBPが最適なハンドヘルドPDを選択するという確実性は保証されていない。
【0015】
本発明は上記した問題を解決するためになされたものであり、プロビジョニングデバイスとフィールド機器間のランダム性を持った無作為な選択方式を改善して相互接続性の向上をはかった、プロビジョニングデバイス、およびプロビジョニングネットークにおけるネットワークパラメータの設定方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記した課題を解決するために本発明は、プロビジョニングの対象になるフィールド機器とは、ターゲットネットワークと分離したプロビジョニングネットワークを介して接続されるプロビジョニングデバイスであって、ルータ広告圏内に位置する前記フィールド機器のうち、前記プロビジョニングの対象になるフィールド機器を一意に指定してユニキャスト送信するルータ広告部と、前記ルータ広告を受信した前記フィールド機器が前記プロビジョニングネットワークに接続された後、前記指定されたフィールド機器に対し、管理しているネットワークパラメータの設定を行うパラメータ設定部と、を有することを特徴とする。
【0017】
本発明によれば、ルータ広告部は、ルータ広告圏内に位置するフィールド機器のうち、プロビジョニングの対象になるフィールド機器を一意に指定してユニキャスト送信し、パラメータ設定部は、ルータ広告を受信したフィールド機器がプロビジョニングネットワークに接続された後、指定されたフィールド機器に対し、管理しているネットワークパラメータの設定を行う。このように、プロビジョニングデバイスはルータ広告をユニキャスト送信するため、プロビジョニングの対象となるフィールド機器を一意に指定でき、このため、プロビジョニングデバイスとフィールド機器間の接続に関する不確実性を解消することが出来る。また、近隣に複数のプロビジョニングデバイスが存在する場合でも、重複したプロビジョニングネットワークに位置するフールド機器は、不要なルータ広告の受信を回避でき、フィールド機器がプロビジョニングデバイスを探索する工程を最適化することが出来る。その結果、フィールド機器は、トライ・アンド・エラーによる無作為なプロビジョニングデバイスの探索を回避でき、リソースの消費を軽減することができる。
【0018】
本発明において、前記ルータ広告部は、前記フィールド機器のネットワークパラメータに紐付けられたアドレスを、ルータ広告フレームのMAC(Media Access Control)副層ヘッダにおける終点アドレスとして生成し、前記ルータ広告を前記プロビジョニングの対象になる任意のフィールド機器にユニキャスト送信することを特徴とする。例えば、ISA100.11a無線通信規格によれば、おのおののフィールド機器の設定情報はフィールド機器のEUI−64アドレス毎に識別されることが定義されているため、本発明によれば、ルータ広告部が、プロビジョニングデバイスで管理しているフィールド機器の設定情報に紐付けられたEUI−64アドレスをMAC副層ヘッダの終点アドレスとして用いることで、任意のフィールド機器にルータ広告をユニキャスト送信することが出来る。
【0019】
本発明において、前記ルータ広告部は、前記ユニキャスト送信されたルータ広告に対して前記プロビジョニングの対象となるフィールド機器から応答が無かった場合、前記ルータ広告をブロードキャスト送信することを特徴とする。本発明によれば、ユニキャスト送信されたルータ広告を受信できないフィールド機器に対する互換性を維持できる。
【0020】
本発明において、前記ルータ広告部は、前記ルータ広告をユニキャスト送信する前に、前記ルータ広告をブロードキャスト送信して、前記ルータ広告圏内に位置する全ての前記フィールド機器のリストを動的に取得することを特徴とする。本発明によれば、プロビジョニングデバイスが設定情報を管理している全てのフィールド機器に対して無作為にルータ広告を送信すること無く、実際にルータ広告圏内で動作しているフィールド機器に対してのみルータ広告を送信することが可能になり、無駄なリソースの消費を回避できる。
【0021】
本発明において、前記ルータ広告部は、前記フィールド機器のリストを動的に取得するにあたり、前記フィールド機器の接続要求に対して一時的に拒否するメッセージを送信し、前記接続要求を発行した前記フィールド機器の前記プロビジョニングネットワークの参加を拒否することを特徴とする。本発明によれば、ルータ広告部が、フィールド機器の接続要求に対して一時的な接続拒否を示すメッセージを明示的に送信することで、フィールド機器を迅速にルータ広告の待ち受け状態に遷移させることができる。
【0022】
本発明において、前記ルータ広告部は、前記フィールド機器のリストを動的に取得するにあたり、前記プロビジョニングネットワークへの接続を終えた前記フィールド機器に対し、再起動を要求して前記フィールド機器を一時的に前記プロビジョニングネットワークから切り離すことを特徴とする。本発明によれば、ルータ広告部が、プロビジョニングネットワークへの接続を終えたフィールド機器に対して再起動を要求してフィールド機器を一時的に切り離すことで、フィールド機器を迅速にルータ広告の待ち受け状態に遷移させることができる。
【0023】
本発明は、プロビジョニングの対象になるフィールド機器と、前記フィールド機器とはターゲットネットワークと分離したプロビジョニングネットワークを介して接続されるプロビジョニングデバイスと、からなるプロビジョニングネットワークシステムにおけるネットワークパラメータの設定方法であって、前記プロビジョニングデバイスが、ルータ広告圏内に位置する前記フィールド機器のうち、プロビジョニングの対象になるフィールド機器を一意に指定してユニキャスト送信する広告ステップと、前記ルータ広告を受信した前記フィールド機器が、接続要求を発行して前記プロビジョニングネットワークに接続する接続ステップと、前記プロビジョニングデバイスが、前記指定されたフィールド機器に対し、管理しているネットワークパラメータの設定を行うプロビジョニングステップと、を有することを特徴とする。
【0024】
本発明によれば、プロビジョニングデバイスはルータ広告をユニキャスト送信するため、プロビジョニングの対象となるフィールド機器を一意に指定でき、このため、プロビジョニングデバイスとフィールド機器間の接続に関する不確実性を解消することが出来る。また、近隣に複数のプロビジョニングデバイスが存在する場合でも、重複したプロビジョニングネットワークに位置するフールド機器は、不要なルータ広告の受信を回避でき、フィールド機器がプロビジョニングデバイスを探索する工程を最適化することが出来る。その結果、フィールド機器は、トライ・アンド・エラーによる無作為なプロビジョニングデバイスの探索を回避でき、リソースの消費を軽減することができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、プロビジョニングデバイスとフィールド機器間のランダム性を持った無作為な選択方式を改善して相互接続性の向上をはかった、プロビジョニングデバイス、およびプロビジョニングネットークにおけるネットワークパラメータの設定方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の実施の形態に係るプロビジョニングデバイスによるプロビジョニングの工程の概略を示す図である。
【図2】本発明の実施の形態に係るプロビジョニングデバイスの構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の実施の形態に係るプロビジョニングデバイスにより生成されるルータ広告フレームのフォーマットを示す図である。
【図4】本発明の実施の形態に係るプロビジョニングデバイスによるプロビジョニングの工程を示す図である。
【図5】本発明の実施の形態に係るプロビジョニングデバイスによるプロビジョニングの工程を示すシーケンス図である。
【図6】本発明の実施の形態に係るプロビジョニングデバイスによるフィールド機器の探索工程を示すシーケンス図である。
【図7】本発明の実施の形態に係るプロビジョニングデバイスによるフィールド機器探索の動作例を示す図である。
【図8】本発明の実施の形態に係るプロビジョニングデバイスの再起動によるフィールド機器の切断シーケンスを示す図である。
【図9】プロビジョニングネットワークとターゲットネットネッワークと関係を示す図である。
【図10】従来のプロビジョニングデバイスによるプロビジョニングの工程を示す図である。
【図11】複数のフィールド機器に対するプロビジョニングの工程を示す図である。
【図12】複数のプロビジョニングデバイスによるプロビジョニングの工程を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、添付図面を参照して本発明を実施するための実施の形態(以下、単に本実施形態という)について詳細に説明する。
【0028】
(実施形態の構成)
図1は、本実施形態に係るプロビジョニングデバイスによるプロビジョニングの工程の概略を示す図である。図1に示すプロビジョニングネットワークシステム100において、プロビジョニングデバイスであるハンドヘルドPD#1(10)は、ルータ広告圏内に位置するフィールド機器であるDBP#1(30)、DBP#2(40)を探索し、ハンドヘルドPD#1(10)が管理している設定情報(DBP#1用設定情報)に、該当するDBP#1(30)へルータ広告をユニキャスト送信する。このことにより、ハンドヘルドPD#1(10)は、DBP#1(30)を一意にプロビジョニングすることができ、ハンドヘルドPD#1(10)とDBP#1(30)間の接続に関する不確定性を解消するものである。
【0029】
これに対し、従来は、ハンドヘルドPD#1(10)が送信するルータ広告は、ブロードキャスト送信されていたため、プロビジョニングネットワーク#1(1)、#2(2)が重複する部分に位置するDBP#1(30)、DBP#2(40)は、いずれのプロビジョニングネットワーク#1(1)、#2(2)に接続すればよいのかわからなかった。以下、図2以降を参照して本実施形態に係るプロビジョニングデバイス、およびプロビジョニングネットワークにおけるネットワークパラメータの設定方法について詳細に説明する。
【0030】
図2は、本実施形態に係るプロビジョニングデバイスの構成を示すブロック図である。ここでは、プロビジョニングデバイスとして、図1に示したハンドヘルドPD#1(10)が示されている。なお、ハンドヘルドPD#2(20)もハンドヘルドPD#1(10)と同じ構成を有するものとする。図2において、ハンドヘルドPD#1(10)は、ルータ広告部10aと、パラメータ設定部10bと、ネットワークパラメータが記憶されるDBP#1用設定情報10cとを含み構成される。
【0031】
ルータ広告部10aは、ルータ広告圏内に位置するDBPのうち、プロビジョニングの対象になるDBPを一意に指定してユニキャスト送信する機能を有する。また、パラメータ設定部10bは、ルータ広告を受信したDBPがプロビジョニングネットワーク#1(または#2)に接続された後、指定されたDBPに対し、管理しているネットワークパラメータの設定を行う機能を有する。このとき、ネットワークパラメータとして、DBP#1用設定情報10cが設定される。また、DBP接続制御部10dは、DBPの接続要求を処理する機能を有する。
【0032】
ルータ広告部10aは、DBPのネットワークパラメータに紐付けられたアドレスを、ルータ広告フレームのMAC副層ヘッダにおける終点アドレスとして生成し、ルータ広告をプロビジョニングの対象になる任意のDBPにユニキャスト送信する。また、ルータ広告部10aは、ユニキャスト送信されたルータ広告に対してプロビジョニングの対象となるDBPから応答が無かった場合、ルータ広告をブロードキャスト送信してもよい。
【0033】
また、ルータ広告部10aは、ルータ広告をユニキャスト送信する前に、ルータ広告をブロードキャスト送信して、ルータ広告圏内に位置する全てのDBPのリストを動的に取得してもよい。このとき、ルータ広告部10aは、DBPの接続要求に対して一時的に拒否するメッセージを送信し、接続要求を発行したDBPのプロビジョニングネットワークへの参加を拒否するか、プロビジョニングネットワークへの接続を終えたDBPに対し再起動を要求し、DBPを一時的にプロビジョニングネットワークから切り離す。
【0034】
図3に、ルータ広告部10aによりルータ広告されるルータ広告フレームのフォーマットが示されている。図3(a)が、ブロードキャスト送信による従来のルータ広告、図3(b)がユニキャスト送信による本実施形態にしたがうルータ広告である。いずれのルータ広告フレームも、物理層ヘッダ301、MAC副層ヘッダ302、ルータ広告303、フレームチェックシーケンス304の、各データフィールドからなる。
【0035】
ISA100.11aでは、物理層にIEEE802.15.4通信規格を用いており、MAC副層ヘッダ302では、無線サブネット内でのみ一意性が保証されている。16ビットのサブネットアドレスと、グローバルに一意性が保証されているEUI−64アドレスの2種類のアドレスを用いることができる。なお、ルータ広告の送信元である始点アドレスと送信先である終点アドレスは、MAC副層ヘッダ302で指定される。また、この時に用いられるアドレスの種類もMAC副層ヘッダ302で指定される。ISA100.11aでは通常16ビットのサブネットアドレスを用いており、ルータ広告に関しても始点アドレスはハンドヘルドPD#1(10)の16ビットサブネットアドレスとなる。図3(a)の広告フレームでは、終点アドレスは省略されており、このことからルータ広告がブロードキャスト送信されていることがわかる。
【0036】
本実施形態に係るプロビジョニンクデバイスでは、ルータ広告をブロードキャスト送信ではなくユニキャスト送信することで、図1に示すハンドヘルドPD#1(10)とDBP#1(30)、#2(40)間の接続に関する不確定性を解消する。このため、図3(b)にルータ広告部10aにより生成され送信されるルータ広告フレームのフォーマットに示されるように、MAC副層ヘッダ302の終点アドレスとして、プロビジョニングの対象となるDBP#1(30)のEUI−64アドレスを指定する構造になっている。なお、DBP#1(30)の16ビットサブネットアドレスはハンドヘルドPD#1(10)に接続する工程で設定されるため、ハンドヘルドPD#1(10)に接続する前の段階では用いることはできない。
【0037】
ISA100.11aによれば、各々のDBPの設定情報は、DBPのEUI−64アドレス毎に識別されることが定義されている。したがって、ハンドヘルドPD#1(10)は、管理しているDBP#1(30)の設定情報に紐づいたEUI−64アドレスをMAC副層ヘッダ302の終点アドレスとして用いることで、任意のDBPに対してルータ広告をユニキャスト送信することができる。
【0038】
すなわち、ルータ広告部10aは、ルータ広告圏内に位置するDBP#1(30)、DBP#2(40)のうち、プロビジョニングの対象になるDBP#1(30)を図3(b)に示すアドバタイズメントフレームにより一意に指定してユニキャスト送信する。そして、DBP接続制御部10dは、−タ広告を受信したDBPがプロビジョニングネットワーク#1(または#2)に対して行なう接続要求を処理する。そして、パラメータ設定部10bは、ルータ広告を受信したDBPがプロビジョニングネットワーク#1(または#2)に接続された後、指定されたDBP#1(30)に対し、管理しているネットワークパラメータ(DBP#1設定情報10c)の設定を行う。
【0039】
このことにより、ハンドヘルドPD#1(10)は、プロビジョニングの対象とするDBP#1(30)を一意に指定することができる。例えば、図4(a)にプロビジョニング工程が示されるように、DBP#1(30),DBP#2(40),DBP#3(50)がルータ広告圏内に存在する場合においても、DBP#1用設定情報とDBP#2用設定情報を有するハンドヘルドPD#1(10)は、プロビジョニングの対象であるDBP#1(30),DBP#2(40)にのみルータ広告をユニキャスト送信することができる。このとき、ハンドヘルドPD#1(10)は、DBP#3(50)に対しルータ広告を送信しないため、DBP#3(50)は、ハンドヘルドPD#1(10)に接続することもなく、結果、プロビジョニングが失敗に終わることを回避することができる。
【0040】
また、図4(b)にプロビジョニング工程が示されているように、近隣にハンドヘルドPD#1(10)、PD#2(60)が存在する場合においても、プロビジョニングネットワーク#1(1)と#2(2)が重複する部分に位置するDBP#1(30),DBP#2(40)は、不要なルータ広告の受信を回避することができる。具体的に、DBP#1(30)の設定情報を管理しているハンドヘルドPD#1(10)は、DBP#1(30)に対してのみルータ広告をユニキャスト送信し、DBP#2(40)の設定情報を管理しているハンドヘルドPD#2(60)は、DBP#2(40)に対してのみルータ広告をユニキャスト送信することで、DBP#1(30)はハンドヘルドPD#1(10)に、DBP#2(40)はハンドヘルドPD#2(60)にそれぞれ最適に接続することができる。
【0041】
このように、DBP#1(30)、DBP#2(40)がハンドヘルドPD#1(10)、#2(60)を探索する工程を最適化することで、DBP#1(30)、DBP#2(40)は、トライ・アンド・エラーによる無作為なハンドヘルドPD#1(10)、#2(60)の探索を回避することができ、また、DBP#1(30)、#2(40)は、ハンドヘルドPDの探索によるリソースの消費を削減することができる。
【0042】
なお、上記した本実施形態に係るプロビジョニングデバイスによれば、ルータ広告をユニキャスト送信することで、ハンドヘルドPDを用いたOTAプロビジョニングの工程を最適化したが、DBPの実装によってはユニキャスト送信されたルータ広告を受信できない可能性がある。そこで、以下に説明する拡張を行うことで、ユニキャスト送信されたルータ広告を受信できないDBPに対する互換性を維持することができる。
【0043】
図5にそのためのプロビジョニング工程がシーケンス図で示されている。図5(a)において、ハンドヘルドPD#1(10)は、ルータ広告をDBP#1(30)にユニキャスト送信し(ステップS101)、ルータ広告を受信したDBP#1(30)はプロビジョニングネットワークに接続する(ステップS102)。ここで、接続が完了すれば、ハンドヘルドPD#1(10)がDBP#1(30)にネットワークパラメータの設定を行う(ステップS103)。しかしながら、ISA100.11a通信規格によれば、ルータ広告はブロードキャスト送信されているため、ユニキャスト送信されたルータ広告はDBPの実装によって受信できない可能性がある。
【0044】
そこで、図5(b)に示すように、ユニキャスト送信(ステップS201)されたルータ広告に対し、DBP#1(30)からの反応が無い場合、ハンドヘルドPD#1(10)は、ルータ広告をブロードキャスト送信する(ステップS202)。そして従来同様、ルータ広告を受信したDBP#1(30)はプロビジョニングネットワーク1に接続する(ステップS203)。ここで、接続が完了すれば、ハンドヘルドPD#1(10)がDBP#1(30)にネットワークパラメータの設定を行う(ステップS204)。このことにより、ISA100.11a通信規格に準拠したプロビジョニング工程にフォールバックすることができる。
【0045】
また、DBPの探索にあたり、一度、ブロードキャストでルータ広告を送信し、DBPのプロビジョニングネットワークへの接続要求の結果から、ルータ広告圏内に位置する全てのDBPのEUI−64アドレスを動的に取得し、改めてEUI−64アドレスを指定してユニキャストで広告することも可能である。
【0046】
すなわち、図6にこのときのプロビジョニング工程のシーケンス図が示されるように、ハンドヘルドPD#1(10)は、まず、ルータ広告圏内に位置するDBP#1(30)を探索するために、各DBPに対してブロードキャストでルータ広告を送信する(ステップS301)。次に、このルータ広告を受信したDBP#1(30)は、プロビジョニングネットワーク1に接続要求を送信する(ステップS302)。ここで、ハンドヘルドPD#1(10)は、DBP#1(30)のプロビジョニングネットワークへの接続要求の結果から、ルータ広告圏内に位置するDBP#1(30)のEUI−64アドレスを取得する。
そしてDBP#1(30)に対して一時的な接続拒否のメッセージを送信することで、DBP#1(30)をルータ広告の待ち受け状態にする(ステップS303)。そして、ハンドヘルドPD#1(10)は、先に取得したEUI−64アドレスに基づき、あらためてDBP#1(30)にルータ広告をユニキャスト送信する(ステップS304)。次に、このルータ広告を受信した待ち受け状態にあるDBP#1(30)は、従来と同様の手順でプロビジョニングネットワーク1へ接続する(ステップS305)。ここで接続が完了すれば、ハンドヘルドPD#1(10)がDBP#1(30)にネットワークパラメータの設定を行う(ステップS306)。
【0047】
これによって、ハンドヘルドPDが設定情報を管理している全てのDBPに対して無作為にルータ広告を送信するのではなく、実際にルータ広告圏内で動作しているDBPに対してのみルータ広告をユニキャスト送信することが可能である。また、予めDBPのEUI−64アドレスを知ることなく、任意のDBPを選択することも可能となる。
【0048】
ISA100.11aでは、プロビジョニングネットワークかターゲットネットワークかを問わず、DBP等のフィールド機器が無線ネットワークへの接続要求を送信し一定時間内に応答を得ることができなければ再度ルータ広告を待ち受けることが定義されている。DBPが送信する接続要求のタイムアウトは初期値で60秒と定義されているため、図6のように、接続要求に対する一時的な接続拒否を示すメッセージを明示的に返信(ステップS303)することで、迅速にDBPをルータ広告の待ち受け状態に遷移させることができる。なお、このときに返信する一時的な接続拒否を示すメッセージは、通常の接続工程で用いるエラーメッセージでも良いが、一時的な接続拒否を明示的に示すための独自メッセージを新たに定義し用いても良い。
【0049】
図7にDBP探索工程を含むプロビジョニング工程の流れが示されている。図7において、ハンドヘルドPD#1(10)は、DBP#1(30)およびDBP#2(40)の設定情報を管理しているものとする。また、ハンドヘルドPD#1(10)のルータ広告圏内にはDBP#1(30)とDBP#3(50)が位置しており、DBP#2(40)はルータ広告圏外に位置しているとする。
【0050】
ハンドヘルドPD#1(10)は、ルータ広告圏内に位置するDBP#1(30)、DBP#2(40)を探索するために、まずルータ広告をブロードキャスト送信する(S1)。DBP#1(30)とDBP#3(50)は、共にハンドヘルドPD#1(10)のルータ広告圏内に位置しているため、ハンドヘルドPD#1(10)が送信するルータ広告を受信し、それぞれハンドヘルドPD#1(10)に接続要求を送信する。一方、DBP#2(40)はルータ広告圏外に位置しているため、DBP#2(40)はそのルータ広告を受信しない。したがって、DBP#2(40)はハンドヘルドPD#1(10)に接続要求を送信しない(S2)。
【0051】
DBP#1(30)とDBP#3(50)が送信する接続要求メッセージの始点アドレスからDBP#1(30)とDBP#3(50)のEUI−64アドレスを学習したハンドヘルドPD#1(10)では、ルータ広告部10aが、接続エラーを示す応答メッセージを返答し、一旦、DBP#1(30)とDBP#3(50)のプロビジョニングネットワーク1への接続を拒否する(S3)。次に、ハンドヘルドPD#1(10)は、自身が設定情報を管理するDBP#1(30)とDBP#2(40)のEUI−64アドレスと、S2で学習したDBP#1(30)とDBP#3(50)のEUI−64アドレスを比較し、一致したDBPに対してのみルータ広告をユニキャスト送信する(S4)。具体的に、ハンドヘルドPD#1(10)は、DBP#1(30)に対してのみルータ広告をユニキャスト送信する。このように探索することで、ユニキャスト送信するルータ広告の対象を最小限にすることができる。
【0052】
また、一旦、DBPのプロビジョニングネットワークへの接続工程を完了させた後に、ハンドヘルドPDがDBPに再起動を促すことで、DBPをプロビジョニングネットワークから切断しても良い。すなわち、図8にシーケンス図で示されているように、ハンドヘルドPD#1(10)では、ルータ広告部10aが、ルータ広告をブロードキャストし(ステップS401)、プロビジョニングネットワーク1への接続工程(ステップS402)を終えたDBP#1(30)に対してDBP接続制御部10dが再起動(リセット)要求を発行する(ステップS403)。このことにより、DBP#1(30)がフィールド機器を一時的にプロビジョニングネットワーク1から切り離す。
【0053】
以降、ハンドヘルドPD#1(10)では、ルータ広告部10aがルータ広告をユニキャスト送信し(ステップS404)、このルータ広告を受信したDBP#1(30)は自身をプロビジョニングネットワーク1に接続する(ステップS405)。ここで、接続が完了すれば、ハンドヘルドPD#1(10)がパラメータ設定部10bでDBP#1(30)にネットワークパラメータの設定を行なう(ステップS406)。
【0054】
(実施形態の効果)
以上説明のように本実施形態に係るプロビジョニングデバイス(ハンドヘルドPD#1)によれば、ルータ広告部10aは、ルータ広告圏内に位置するフィールド機器(DBP#1、#2)のうち、プロビジョニングの対象になるフィールド機器(DBP#1)を一意に指定してルータ広告をユニキャスト送信し、パラメータ設定部10bは、ルータ広告を受信したフィールド機器(DBP#1)がプロビジョニングネットワーク1に接続された後、指定されたフィールド機器(DBP#1)に対し、管理しているネットワークパラメータ(DBP#1用設定情報10c)の設定を行う。
【0055】
このように、プロビジョニングデバイスは、ルータ広告をユニキャスト送信するため、プロビジョニングの対象となるフィールド機器を一意に指定でき、このため、プロビジョニングデバイスとフィールド機器間の接続に関する不確実性を解消することが出来る。また、近隣に複数のプロビジョニングデバイスが存在する場合でも、重複したプロビジョニングネットワークに位置するフールド機器は、不要なルータ広告の受信を回避でき、フィールド機器がプロビジョニングデバイスを探索する工程を最適化することが出来る。その結果、フィールド機器は、トライ・アンド・エラーによる無作為なプロビジョニングデバイスの探索を回避でき、リソースの消費を軽減することができる。
【0056】
また、本実施形態に係るプロビジョニングデバイスによれば、ルータ広告部10aが、プロビジョニングデバイスで管理しているフィールド機器の設定情報に紐付けられたEUI−64アドレスをMAC副層ヘッダの終点アドレスとして用いることで、任意のフィールド機器にルータ広告をユニキャスト送信することが出来る。また、ルータ広告部10aが、ユニキャスト送信されたルータ広告に対してプロビジョニングの対象となるフィールド機器から応答が無かった場合、ルータ広告をブロードキャスト送信することで、ユニキャスト送信されたルータ広告を受信できないフィールド機器に対する互換性を維持できる。
【0057】
また、本実施形態に係るプロビジョニングデバイスによれば、ルータ広告をユニキャスト送信する前にルータ広告をブロードキャスト送信して、ルータ広告圏内に位置する全てのフィールド機器のリストを動的に取得することで、プロビジョニングデバイスが設定情報を管理している全てのフィールド機器に対して無作為にルータ広告を送信すること無く、実際にルータ広告圏内で動作しているフィールド機器に対してのみルータ広告を送信することが可能になり、無駄なリソースの消費を回避できる。このフィールド機器のリストを動的に取得するにあたり、フィールド機器の接続要求に対して一時的に拒否するメッセージを送信し、接続要求を発行したフィールド機器のプロビジョニングネットワークへの参加を拒否することで、あるいは、プロビジョニングネットワークへの接続を終えたフィールド機器に対して再起動を要求してフィールド機器を一時的にプロビジョニングネットワークから切り離すことで、フィールド機器を迅速にルータ広告の待ち受け状態に遷移させることができる。
【0058】
なお、本発明のプロビジョニングネットワークにおけるネットワークパラメータの設定方法は、例えば、図1において、プロビジョニングの対象になるフィールド機器(DBP#1、DBP#2)と、前記フィールド機器(DBP#1、DBP#2)とはターゲットネットワークと分離したプロビジョニングネットワーク#1、#2を介して接続されるプロビジョニングデバイス(PD#1、PD#2)と、からなるプロビジョニングネットワークシステム100に適用される。そして、例えば、図5(a)に示されるように、前記プロビジョニングデバイス(PD#1、PD#2)が、ルータ広告圏内に位置する前記フィールド機器のうち、プロビジョニングの対象になるフィールド機器(DBP#1またはDBP#2)を一意に指定してユニキャスト送信する広告ステップ(S101)と、前記ルータ広告を受信した前記フィールド機器(DBP#1またはDBP#2)が、接続要求を発行して前記プロビジョニングネットワーク#1(#2)に接続する接続ステップ(S102)と、前記プロビジョニングデバイス(PD#1またはPD#2)が、前記指定されたフィールド機器(DBP#1またはDBP#2)に対し、管理しているネットワークパラメータ(DBP#1用設定情報10cまたはDBP#用設定情報)の設定を行うプロビジョニングステップ(S103)と、を有するものである。
【0059】
本発明によれば、プロビジョニングデバイス(PD#1、PD#2)は、ルータ広告をユニキャスト送信するため、プロビジョニングの対象となるフィールド機器(DBP#1またはDBP#2)を一意に指定でき、このため、プロビジョニングデバイス(PD#1、PD#2)とフィールド機器(DBP#1またはDBP#2)間の接続に関する不確実性を解消することが出来る。また、近隣に複数のプロビジョニングデバイス(PD#1、PD#2)が存在する場合でも、重複したプロビジョニングネットワーク#1、#2に位置するフィールド機器(DBP#1、DBP#2)は、不要なルータ広告の受信を回避でき、フィールド機器がプロビジョニングデバイスを探索する工程を最適化することが出来る。その結果、フィールド機器(DBP#1、DBP#2)は、トライ・アンド・エラーによる無作為なプロビジョニングデバイス(PD#1、PD#2)の探索を回避でき、リソースの消費を軽減することができる。
【0060】
なお、本発明は、OTAプロビジョニングにおいて、プロビジョニングデバイスがプロビジョニングの対象であるフィールド機器を一意に指定することでOTAプロビジョニング工程を最適化するものであり、ISA100.11aにおけるOTAプロビジョニングに対応した全てのハンドヘルドPDに適用することができる。また、本発明は、ISA100.11aに特化するものではなく、ISA100.11aと同様の動作を行う産業用無線通信規格であれば同様に適用することができる。
【0061】
以上、本実施形態について説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態に記載の範囲には限定されないことは言うまでもない。上記実施形態に、多様な変更又は改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。またそのような変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【符号の説明】
【0062】
1、2・・プロビジョニングネットワーク#1、#2、10、20、60・・プロビジョニングデバス#1、#2、#3、10a・・ルータ広告部、10b・・パラメータ設定部、10c・・DBP#1用設定情報、10d・・DBP接続制御部、30、40、50・・フィールド機器(DBP#1、#2、#3)、100・・プロビジョニングネットワークシステム
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロビジョニングの対象になるフィールド機器とは、ターゲットネットワークと分離したプロビジョニングネットワークを介して接続されるプロビジョニングデバイスであって、
ルータ広告圏内に位置する前記フィールド機器のうち、前記プロビジョニングの対象になるフィールド機器を一意に指定してユニキャスト送信するルータ広告部と、
前記ルータ広告を受信した前記フィールド機器が前記プロビジョニングネットワークに接続された後、前記指定されたフィールド機器に対し、管理しているネットワークパラメータの設定を行うパラメータ設定部と、
を有することを特徴とするプロビジョニングデバイス。
【請求項2】
前記ルータ広告部は、
前記フィールド機器のネットワークパラメータに紐付けられたアドレスを、ルータ広告フレームのMAC副層ヘッダにおける終点アドレスとして生成し、前記ルータ広告を前記プロビジョニングの対象になる任意のフィールド機器にユニキャスト送信することを特徴とする請求項1記載のプロビジョニングデバイス。
【請求項3】
前記ルータ広告部は、
前記ユニキャスト送信されたルータ広告に対して前記プロビジョニングの対象となるフィールド機器から応答が無かった場合、前記ルータ広告をブロードキャスト送信することを特徴とする請求項1または2記載のプロビジョニングデバイス。
【請求項4】
前記ルータ広告部は、
前記ルータ広告をユニキャスト送信する前に、前記ルータ広告をブロードキャスト送信して、前記ルータ広告圏内に位置する全ての前記フィールド機器のリストを動的に取得することを特徴とする請求項3記載のプロビジョニングデバイス。
【請求項5】
前記ルータ広告部は、
前記フィールド機器のリストを動的に取得するにあたり、前記フィールド機器の接続要求に対して一時的に拒否するメッセージを送信し、前記接続要求を発行した前記フィールド機器の前記プロビジョニングネットワークへの参加を拒否することを特徴とする請求項4記載のプロビジョニングデバイス。
【請求項6】
前記ルータ広告部は、
前記フィールド機器のリストを動的に取得するにあたり、前記プロビジョニングネットワークへの接続を終えた前記フィールド機器に対し、再起動を要求して前記フィールド機器を一時的に前記プロビジョニングネットワークから切り離すことを特徴とする請求項4記載のプロビジョニングデバイス。
【請求項7】
プロビジョニングの対象になるフィールド機器と、前記フィールド機器とはターゲットネットワークと分離したプロビジョニングネットワークを介して接続されるプロビジョニングデバイスと、からなるプロビジョニングネットワークシステムにおけるネットワークパラメータの設定方法であって、
前記プロビジョニングデバイスが、
ルータ広告圏内に位置する前記フィールド機器のうち、プロビジョニングの対象になるフィールド機器を一意に指定してユニキャスト送信する広告ステップと、
前記ルータ広告を受信した前記フィールド機器が、接続要求を発行して前記プロビジョニングネットワークに接続する接続ステップと、
前記プロビジョニングデバイスが、前記指定されたフィールド機器に対し、管理しているネットワークパラメータの設定を行うプロビジョニングステップと、
を有することを特徴とするプロビジョニングネットワークシステムにおけるネットワークパラメータの設定方法。
【請求項1】
プロビジョニングの対象になるフィールド機器とは、ターゲットネットワークと分離したプロビジョニングネットワークを介して接続されるプロビジョニングデバイスであって、
ルータ広告圏内に位置する前記フィールド機器のうち、前記プロビジョニングの対象になるフィールド機器を一意に指定してユニキャスト送信するルータ広告部と、
前記ルータ広告を受信した前記フィールド機器が前記プロビジョニングネットワークに接続された後、前記指定されたフィールド機器に対し、管理しているネットワークパラメータの設定を行うパラメータ設定部と、
を有することを特徴とするプロビジョニングデバイス。
【請求項2】
前記ルータ広告部は、
前記フィールド機器のネットワークパラメータに紐付けられたアドレスを、ルータ広告フレームのMAC副層ヘッダにおける終点アドレスとして生成し、前記ルータ広告を前記プロビジョニングの対象になる任意のフィールド機器にユニキャスト送信することを特徴とする請求項1記載のプロビジョニングデバイス。
【請求項3】
前記ルータ広告部は、
前記ユニキャスト送信されたルータ広告に対して前記プロビジョニングの対象となるフィールド機器から応答が無かった場合、前記ルータ広告をブロードキャスト送信することを特徴とする請求項1または2記載のプロビジョニングデバイス。
【請求項4】
前記ルータ広告部は、
前記ルータ広告をユニキャスト送信する前に、前記ルータ広告をブロードキャスト送信して、前記ルータ広告圏内に位置する全ての前記フィールド機器のリストを動的に取得することを特徴とする請求項3記載のプロビジョニングデバイス。
【請求項5】
前記ルータ広告部は、
前記フィールド機器のリストを動的に取得するにあたり、前記フィールド機器の接続要求に対して一時的に拒否するメッセージを送信し、前記接続要求を発行した前記フィールド機器の前記プロビジョニングネットワークへの参加を拒否することを特徴とする請求項4記載のプロビジョニングデバイス。
【請求項6】
前記ルータ広告部は、
前記フィールド機器のリストを動的に取得するにあたり、前記プロビジョニングネットワークへの接続を終えた前記フィールド機器に対し、再起動を要求して前記フィールド機器を一時的に前記プロビジョニングネットワークから切り離すことを特徴とする請求項4記載のプロビジョニングデバイス。
【請求項7】
プロビジョニングの対象になるフィールド機器と、前記フィールド機器とはターゲットネットワークと分離したプロビジョニングネットワークを介して接続されるプロビジョニングデバイスと、からなるプロビジョニングネットワークシステムにおけるネットワークパラメータの設定方法であって、
前記プロビジョニングデバイスが、
ルータ広告圏内に位置する前記フィールド機器のうち、プロビジョニングの対象になるフィールド機器を一意に指定してユニキャスト送信する広告ステップと、
前記ルータ広告を受信した前記フィールド機器が、接続要求を発行して前記プロビジョニングネットワークに接続する接続ステップと、
前記プロビジョニングデバイスが、前記指定されたフィールド機器に対し、管理しているネットワークパラメータの設定を行うプロビジョニングステップと、
を有することを特徴とするプロビジョニングネットワークシステムにおけるネットワークパラメータの設定方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2012−213125(P2012−213125A)
【公開日】平成24年11月1日(2012.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−78743(P2011−78743)
【出願日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【出願人】(000006507)横河電機株式会社 (4,443)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年11月1日(2012.11.1)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【出願人】(000006507)横河電機株式会社 (4,443)
【Fターム(参考)】
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