説明

プロピレン重合化触媒

【課題】高い活性を有し、高い立体選択性及び高い嵩密度を有するポリマー生成物を生成し、活性が長寿命であり、良好な温度応答性を示すプロピレン重合化触媒の提供。
【解決手段】本質的にアルコキシ官能性のない、活性化されたアモルファスのマグネシウムジハライド支持体上に支持された少なくとも1のチタン―ハロゲン結合を有するチタン化合物を含む、プロピレンの重合化のための触媒であって、該触媒が以下の物理的パラメータ:チタンの重量百分率、2%未満;フタル酸エステルの重量百分率、10%から25%;フタル酸エステル対チタンモル比、0.9から2;マグネシウムの重量百分率、14%から23%;マグネシウム対チタンのモル比、7から30;表面積、250m2/gから500m2/g;孔体積、0.2cc/gから0.5cc/g、及び平均孔直径、50オングストローム以下、を有する触媒。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はプロピレンの重合化のための触媒の合成に関する。この触媒は高い活性を有し、高い立体選択性及び高い嵩密度を有するポリマー生成物を生成する。触媒の活性は長寿命であり、良好な温度応答性を示す。これらの特徴の全ては工業用のプロピレン重合化触媒のために望ましい。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0002】
本発明は、プロピレン重合化触媒を生成する方法に関する。この方法は、一般的な用語に
おいて述べると、以下を含む。すなわち、四塩化チタン、マグネシウムジハライドに転化
され得るマグネシウム含有化合物、例えばマグネシウムクロロアルコキシド、及び内部電
子供与体、例えばフタル酸エステルとの組合せを芳香族炭化水素溶媒中で形成し、そして
該組合せを高められた温度に至らせて中間生成物を生成し、例えばデカンテーションによ
り分離すること;該中間生成物を高められた温度において芳香族炭化水素溶媒で洗浄して
、洗浄された生成物及び上澄みを生成し、続いてそこから上澄みをデカンテーションする
こと;該洗浄された生成物を芳香族炭化水素溶媒中で四塩化チタンで好ましくは2又は3
回処理して、処理された生成物及び上澄みを形成し、続いて該処理された生成物及び上澄
みを加熱し、そこから上澄みをデカンテーションして、前に述べたように、該処理された
生成物を高められた温度において芳香族炭化水素溶媒で洗浄し、望まれる生成物を分離す
る(例えばやはりデカンテーションによる)こと;及び該処理された生成物へ脂肪族炭化
水素溶媒を添加して、そこから溶媒をデカンテーションして、所望により鉱油を洗浄され
た生成物に添加して触媒を含むスラリーを形成した後に、プロピレン重合化触媒として使
用され得るところの、洗浄された生成物を形成すること、を含む。
【0003】
マグネシウムジハライドに転化され得る可溶性又は不溶性のマグネシウム含有化合物は1以上の以下のタイプの化合物から選択されることができる。すなわちマグネシウムジアルコキシド(例えばマグネシウムジエトキシド);クロロマグネシウムアルコキシド(例えばクロロマグネシウムエトキシド);マグネシウムジハライド電子供与体付加物(例えばMgCl2 (EtOH)x及びMgCl2(THF)x、ここでTHFはテトラヒドロフランであり、Xは両方の場合において≧0.5である);アルキルマグネシウムハライド(“グリニヤール試薬”例えばクロロブチルマグネシウム);及びジアルキルマグネシウム化合物,例えばブチルエチルマグネシウムである。前記の種類の化合物の全てにおいて、アルコキシド/アルキル部分中の炭素原子の数は、適宜、1〜約12、好ましくは4の範囲であるだろう。そのような任意の前駆体は、不活性な担体、例えばシリカの上に支持されることができる。
【0004】
内部電子供与体は公知のタイプの内部供与体例えば以下の種類:フタル酸エステル及びその誘導体;ベンゾエート及びその誘導体;シラン及びシロキサン;及びポリシラン及びポリシロキサンから選択され得る。
【0005】
本発明に従うと、選択された内部供与体がハロフタロイル誘導体であるときは、選択されたマグネシウムジクロリド源化合物は、マグネシウムジアルコキシドではありえない。
【0006】
本発明の方法は、本質的にアルコキシ官能性のない、活性化されたアモルファスのマグネシウムジハライド支持体上に支持された少なくとも1のチタン―ハロゲン結合を有するチタン化合物(触媒中のチタン金属含有量は、支持体の重量に基づいて約2重量%以下である)及び内部供与体例えばフタル酸エステル供与体を含む重合化触媒を製造する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下の記載は、ある好ましいマグネシウムジハライド源物質、すなわちクロロマグネシウムエトキシド及び内部供与体(フタル酸ジイソブチル)に焦点を合わせるが、それぞれの選択に対してより広い可能性が、ちょうど上に述べたように、これらの2つの選択の代わりに使用され得ることが理解されるべきである。
【0008】
本発明の触媒は、一連の多重処理サイクルを用いて製造され、該多重処理サイクルのそれぞれは四塩化チタンとアルキルベンゼン溶媒、例えばトルエンとの混合物と支持体前駆体との反応、続く該固体の芳香族炭化水素溶媒、好ましくはアルキルベンゼン溶媒である、による処理を含む。本明細書において記載される方法において使用され得る代表的な芳香族溶媒は、ベンゼン、例えばクロロベンゼンのようなハロ芳香族溶媒、及びトルエン及びキシレンのようなアルキルベンゼンを含む。これらの反応段階は高められた温度において行われる。もしこのタイプのより低い沸点の溶媒、例えばベンゼンが使用されるならば、所望される温度条件を得るために大気圧を超える圧力を使用することが必要であり得る。最初の四塩化チタン/芳香族溶媒反応段階の間に、内部フタル酸エステル供与体例えば好ましいフタル酸ジイソブチルが添加される。製造される予定の最終的なポリマー生成物が望ましい粒子サイズ及び形態上の特徴を有することができるならば、適する粒子サイズ及び形態を制御された支持体前駆体が使用されることが必要である。処理サイクルは次に最終触媒のこれらの特徴を保存して、ポリマー生成物がそれらの特徴を複製するようにするような方法で実行される必要がある。
【0009】
本発明の方法の最初の段階は、四塩化チタン、マグネシウムクロロアルコキシド、例えば及びフタル酸エステルの組合せを芳香族溶媒中で形成し、該組合せを高められた温度に至らせて、中間生成物を形成することを含む。好ましいマグネシウムクロロアルコキシドは、その中のアルキル部分の中に1〜約12の炭素原子を含むだろう。最も好ましいマグネシウムクロロアルコキシドはマグネシウムクロロエトキシドである。トルエンは、使用のために好ましいアルキルベンゼン溶媒であることが見出され、キシレン、エチルベンゼン、プロピルベンゼン、イソプロピルベンゼン、及びトリメチルベンゼンもまた有用である。好ましいフタル酸エステルは、その中のアルキル基中に1〜約12の炭素原子を含んでもよく、代表的な化合物は、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジ- n -プロピル、フタル酸ジ―イソプロピル、フタル酸ジ―n−ブチル、フタル酸ジ―ブチル、フタル酸ジ―tert―ブチル、フタル酸ジイソアミル、フタル酸ジ―tert−アミル、フタル酸ジ―ネオペンチル、フタル酸ジ−2‐エチルヘキシル、及びフタル酸ジ―2−エチルデシルである。供与体は他の成分に室温において添加されることができ、該混合物は次に高められた温度(例えば約100℃〜約140℃、好ましくは約110℃〜約120℃)にまで至らせられることができるか又はそれは他の2つの成分に室温において添加されて約100℃まで加熱されるか、又はそれらの成分が望まれる温度まで加熱された後、それらに添加されることができる。芳香族溶媒に対する四塩化チタンの量は、一般的に、体積ベースで約40%〜約80%の範囲であり、一般的に約3〜4回の処理工程が十分であることが見出された。使用される、四塩化チタン及び溶媒の体積対支持体前駆体のグラムは、1グラムの支持体前駆体当たり約5〜約10ミリリットルの四塩化チタン及び溶媒である。成分の組合せは好ましくは約10時間まで一緒に保たれ、好ましくは約1〜約2時間攪拌される。この始めの反応からの中間の固体生成物は、上澄み液がデカントされた後に、次に回収される。
【0010】
最初の工程からの中間の生成物は、次に芳香族炭化水素溶媒、例えばアルキルベンゼン溶媒(例えばトルエン)で、高められた温度(例えば約100℃から溶媒の沸点まで)において洗浄されて、洗浄された生成物及び上澄み相を生成する。洗浄は約3までの独立した洗浄工程において行われることができる。各洗浄工程における上澄みは洗浄された生成物からデカントされる。この洗浄は、チタンを含む望ましくない副生物を除去するために役立つ。この段階における支持体前駆体のグラム当たりに使用される芳香族溶媒の体積は、一般的に約5〜約25ミリリットル/グラムの範囲である。
【0011】
前の工程からの洗浄された生成物は、次に前に記載された条件下、前に記載されたタイプの芳香族溶媒中で四塩化チタンにより処理されて、処理された生成物及び上澄みを生成する。この工程は、出発のマグネシウムクロロアルコキシド試薬の未反応のアルコキシド部分を転化させ、そして望まれないチタン含有の副生物を抽出する。この組合せは次に加熱され(例えば約100℃〜約140℃)、続いて、存在する上澄み相のデカンテーション及び、好ましくはそれぞれ1〜2工程の洗浄サイクルにおいて芳香族炭化水素溶媒での洗浄が行われる。
【0012】
所望される回数の処理/洗浄サイクルの後、前の段階からの生成物は次に脂肪族炭化水素溶媒、例えばヘキサンがそれに添加され、得られる上澄み相はデカンテーションされる。脂肪族溶媒による触媒の洗浄(例えば3〜8回までの独立した洗浄工程)が遊離の四塩化チタン及び残存芳香族溶媒を除去するために役立つ。これは、触媒として使用され得る洗浄された生成物を形成する。
【0013】
随意的な最終工程は、前の工程からの洗浄された生成物への鉱油の添加であり、プロピレン重合化触媒として使用され得る鉱油/触媒スラリーを形成する。このスラリーの乾燥は、実質的な触媒活性の低下(例えば約50%までも)をもたらし得るので通常回避される。
【0014】
前で述べられた工程から形成され得る触媒組成物は、ある実施態様においては物質の新規
組成物であるようだ。それは本質的にアルコキシ官能性のない、活性化されたアモルファ
スのマグネシウムジハライド支持体上に支持された少なくとも1のチタン―ハロゲン結合
を有するチタン化合物を含む。その最も広い実施態様において、該触媒組成物は、以下の
物理的パラメータを有する。すなわち、チタンの重量百分率、約1%から約4%未満;フ
タル酸エステルの重量百分率、約10%から約25%;フタル酸エステル対チタンモル比
、約0.9から約2;マグネシウムの重量百分率、約14%から約23%;マグネシウム対
チタンのモル比、約7から約30;表面積、約250m2/gから約500m2/g;孔体
積、約0.2cc/gから約0.5cc/g、及び平均孔直径、約50オングストローム
以下である。
【0015】
触媒組成物のより好ましい実施態様は、以下の物理的パラメータを有する。すなわち、チ
タンの重量%、約2.0%未満、最も好ましくは約1%から約2.5%;フタル酸エステ
ルの重量%、約10%から約20%;フタル酸エステル対チタンモル比、約1から約1.
9;マグネシウムの重量%、約18%から約21%;マグネシウム対チタンモル比、約1
4から約29;表面積、約300m2/gから約500m2/g;孔体積、約0.2cc/
gから約0.4cc/g;及び平均孔直径、約35オングストローム以下である。
【0016】
本発明の触媒の非常に高い生産性及び低いチタン(Ti)含有量に基づいて、その触媒組成物を用いて生成されるポリプロピレンは非常に低い残存Ti濃度を有する新規組成物であると思われる。重合時間及び温度に依存して、約0.20ppm未満のTi、好ましくは0.15ppm未満のTi、最も好ましくは0.10ppm未満のTiを有するポリマーが製造され得る。
【0017】
以下の実施例は本発明のある好ましくは実施態様を説明するために提供される。
【実施例】
【0018】
実施例1
触媒の製造
窒素で満たされたドライボックス中で、500mlの4口丸底フラスコに10.0gの混合された相のClMg(OEt)を充填した。該フラスコにメカニカルスターラ、窒素導入アダプタ、窒素排出アダプタ付コンデンサ、及びセプタムを装備し、乾燥ボックスから取り出してSchlenkラインに接続した。次に30mlの乾燥トルエンを添加し、混合物を攪拌して、固体を懸濁させ、20mlのTiCl4を添加して、温度を≦25℃に保つ速度においてスラリーを攪拌した。スラリーを70℃に加熱し、3.78gのフタル酸ジイソブチルを添加した。混合物を115℃まで加熱し、この温度において2時間保たった。
【0019】
反応の終わりにおいて、激しい攪拌を止め、固体を沈殿させた。上澄みをデカントし、200mlのトルエンを添加して、反応媒体を還流のすぐ下まで加熱し、この温度において15分間保った。次いで固体を沈殿させ、上澄みをデカントした。次いでトルエン処理を繰り返した。
【0020】
次に、30mlのトルエン及び20mlのTiCl4を添加しれ、媒体を115℃まで加熱し、1時間保った。固体を沈殿させた後、液体をデカントし、上で述べたように固体を200mlのトルエンで2回処理した。これらの処理の後、TiCl4−トルエン反応のシーケンス及び2回のトルエン処理を2回繰り返した。最後のトルエンのデカントの後、固体をそれぞれ100mlのヘキサンで5回洗浄した。次いで触媒をスラリーとして分離した。
【0021】
固体触媒成分の分析は、それが21重量%のMg及び1.5重量%のTiを含むことを示した。
【0022】
触媒試験
攪拌機を装備した4リットルのオートクレーブを、窒素でパージし、酸素及び水が許容できるレベルまで下げた。次に、N2パージ下、50mlの精製されたヘキサン、続いて7.0mmoleのTEAL及び0.48mmoleのジシクロペンチルジメトキシシランを反応器に添加した。4〜6mgの固体触媒を含む、上のように製造された触媒スラリーを45mlの精製されたヘキサンに添加し、次に反応器に添加した。反応器を閉じ、2.5Lの精製されたプロピレン続いて3.6L(STP)のH2を添加した。反応器の中味を攪拌し、70℃まで加熱した。反応混合物を70℃において1又は2時間保った。次いで反応器を排出させ、冷却した。
【0023】
得られたポリマーを集め、乾燥した。ポリマーの重量を測定して、kgポリマー/g装填された触媒として定義される活性を計算した。ポリマーの流動嵩密度(PBD)及び合計キシレン不溶分(TXI)を測定した。制御された粒子サイズ分布及び出発支持体前駆体の形態がポリマー粒子中において維持されていた。これらの試験の結果を表1に示す。多くの場合、2〜3回の試験を各触媒について行い、これらの試験の平均の結果を報告している。
【0024】
実施例2
反応段階において25mlのトルエン及び25mlのTiCl4を使用した以外は、実施例1において記載された方法を用いて、触媒の製造を行った。固体の触媒成分の分析はそれが21重量%のMg及び1.5重量%のTiを含むことを示した。試験は実施例1に記載されたように行い、結果は下の表1に示す。
【0025】
実施例3
反応段階において20mlのトルエン及び30mlのTiCl4を使用し、各TiCl4/トルエン反応の後に1×200mlのトルエン処理のみを行った以外は、実施例1において記載された方法を用いて、触媒の製造を行った。固体の触媒成分の分析はそれが19重量%のMg及び1.8重量%のTiを含むことを示した。試験は実施例1に記載されたように行い、結果を下の表1に示す。
【0026】
実施例4
反応器が250mlの丸底フラスコであり、反応段階において10mlのトルエン及び40mlのTiCl4を使用し、各TiCl4/トルエン反応の後に2×100mlのトルエン処理を行った以外は、実施例1において記載された方法を用いて、触媒の製造を行った。固体の触媒成分の分析はそれが19重量%のMg及び1.6重量%のTiを含むことを示した。試験は実施例1に記載されたように行い、結果を下の表1に示す。
【0027】
実施例5
反応器が250mlの丸底フラスコであり、反応段階において各TiCl4/トルエン反応の後に2×100mlのトルエン処理を行った以外は、実施例1において記載された方法を用いて、固体触媒成分を合成した。固体の触媒成分の分析は、それが19重量%のMg及び1.5重量%のTiを含むことを示した。試験は実施例1に記載されたように行い、結果を下の表1に示す。
【0028】
実施例6
反応器が250mlの丸底フラスコであり、反応段階において各TiCl4/トルエン反応の後に100mlのトルエン処理を1回行った以外は、実施例1において記載された方法を用いて、固体触媒成分を合成した。固体の触媒成分の分析は、それが17重量%のMg及び3.0重量%のTiを含むことを示した。試験は実施例1に記載されたように行い、結果を下の表1に示す。
【0029】
実施例7
反応器が250mlの丸底フラスコであり、反応段階において各TiCl4/トルエン反応の後に2×100mlのトルエン処理を行った以外は、実施例3において記載された方法を用いて、触媒合成を行った。固体の触媒成分の分析は、それが20重量%のMg及び1.7重量%のTiを含むことを示した。試験は実施例1に記載されたように行い、結果を下の表1に示す。
【0030】
実施例8
反応器が250mlの丸底フラスコであり、反応段階において各TiCl4/トルエン反応の後に1×100mlのトルエン処理を行った以外は、実施例3において記載された方法に従って固体触媒成分を合成した。固体の触媒成分の分析は、それが17重量%のMg及び2.9重量%のTiを含むことを示した。試験は実施例1に記載されたように行い、結果を下の表1に示す。
【0031】
実施例9
各反応段階において40mlのトルエン及び60mlのTiCl4を使用した以外は、実施例1において記載された方法を用いて、触媒の製造を行った。固体の触媒成分の分析はそれが20重量%のMg及び1.2重量%のTiを含むことを示した。試験は実施例1に記載されたように行い、結果を下の表1に示す。
【0032】
実施例10
各反応段階において60mlのトルエン及び40mlのTiCl4を使用した以外は、実施例1において記載された方法を用いて、触媒の製造を行った。固体の触媒成分の分析はそれが20重量%のMg及び1.5重量%のTiを含むことを示した。試験は実施例1に記載されたように行い、結果を下の表1に示す。
【0033】
実施例11
実施例9において製造された触媒スラリーの試料を真空下乾燥した。スラリーの代わりに乾燥した触媒を45mlのヘキサンに添加した以外、実施例1に記載された試験方法を、追従した。結果を下の表1に示す。
【0034】
実施例12
反応器が250mlの丸底フラスコであり、3連続のTiCl4―トルエン反応及び1×100のトルエン処理を行った以外は、実施例3において記載された方法を用いて、触媒製造を行った。固体の触媒成分の分析は、それが15重量%のMg及び3.8重量%のTiを含むことを示した。試験は実施例1に記載されたように行い、結果を下の表1に示す。
【0035】
実施例13
反応器が250mlの丸底フラスコであり、3連続のTiCl4−トルエン反応及び1×100のトルエン処理を行った以外は、実施例1において記載された方法を用いて、触媒製造を行った。固体の触媒成分の分析は、それが15重量%のMg及び3.8重量%のTiを含むことを示した。試験は実施例1に記載されたように行い、結果を下の表1に示す。
【0036】
実施例14
この実施例において、実施例1において記載された250mlの4口の丸底フラスコに、5.0gの混合された相のClMg(OEt)を充填した。次に30mlのトルエンを添加し、混合物を攪拌して、固体を懸濁させ、20mlのTiCl4を攪拌したスラリーに添加して、スラリーを90℃まで加熱し、1.95gのフタル酸ジイソブチルを添加した。混合物を115℃まで加熱し、この温度において2時間の間保った。
【0037】
実施例1の手順に従って、上澄みをデカントし、それぞれ100mlのトルエンでの処理を2回行った。TiCl4+トルエン反応/トルエン処理段階をさらに3回繰り返した。次いで固体をそれぞれ100mlのヘプタンで4回洗浄した。追加の100mlのヘプタンをフラスコに添加し、スラリーを真空濾過装置へ移し、濾過、乾燥した。
【0038】
固体の触媒成分の分析は、それが21重量%のMg及び1.3重量%のTiを含むことを示した。45mlのヘキサンにスラリーの代わりに乾燥触媒を添加しれた以外は、実施例1に記載されたように試験を行った。結果を下の表1に示す。
【0039】
実施例15
最初のTiCl4の充填の添加の後、室温においてフタル酸ジイソブチルを添加したこと以外は、実施例14と同じ方法において固体触媒成分のスラリーを製造した。固体触媒成分の分析は、それが20重量%のMg及び1.4重量%のTiを含むことを示した。実施例1に示されたのと同じ条件下で得られた重合化試験の結果を下の表1に示す。
【0040】
実施例16
実施例15において得られた触媒スラリーの一部を濾過し、真空乾燥した。表1は、実施例1の条件下行われた(実施例11の乾燥触媒の使用のために修正された)この触媒の重合化試験結果を含む。この実施例の結果は表1に示されていない。
【0041】
実施例17
実施例1で製造した触媒について、試験を、80℃において1時間行ったたこと以外は実施例1のように重合化性能について試験した。2回の試験の平均化された結果は以下のようであった:活性132.6kg/g触媒;流動嵩密度、0.474g/ml、合計キシレン不溶分、99.37重量%。
【0042】
比較例1
フタル酸ジイソブチルのかわりに1.43gのフタロイルジクロリドを用いたこと以外、実施例12において記載された方法を追従して、固体触媒成分を製造した。実施例1の方法(実施例11におけるように、乾燥触媒の使用のために修正された)を用いる重合化試験の結果を、下の表1において示す。
【0043】
比較例2
反応段階において40mlのトルエン及び10mlのTiCl4を使用した以外は、実施例1において記載された方法を用いて、触媒の製造を行った。固体の触媒成分の分析はそれが22重量%のMg及び0.69重量%のTiを含むことを示した。試験は実施例1に記載されたように行い、結果を下の表1に示す。
【表1】

【0044】
実施例18
この実施例において、米国特許第5,262,573号に記載された純粋相のClMg(OEt)5.0gを30mlのトルエン及び20mlのTiCl4でスラリー化した。スラリーを90℃まで加熱し、1.94gのフタル酸ジイソブチルを添加した。方法の残りの部分は、次に、処理段階に対して100mlのトルエン及び反応段階に対して30mlのトルエン及び20mlのTiCl4を使用して、実施例1に記載されたように行った。生成物をヘプタンで洗浄し、真空乾燥により単離した。
【0045】
試験を実施例1に記載したように行い、結果を次の表に示す:
【表2】

【0046】
先行する実施例は、触媒の以下の特徴及び性能の特色を説明する。実施例1〜8はTiCl4/トルエン比及びトルエン処理の回数と体積を変化させることの効果と共に触媒を製造するための方法について記載する。実施例1対実施例9、及び実施例3及び7対実施例10は、TiCl4/トルエン反応混合物の体積を10ml/g支持体前駆体(実施例9及び10)から5ml/g支持体前駆体(実施例1、3、及び7)に減少させることの恩恵を示す。
【0047】
実施例9対実施例11は、触媒が乾燥されておらず、スラリーとして単離されているとき対乾燥した粉末としての単離であるときの、触媒性能における改善を説明する。実施例3対実施例12及び実施例6対実施例13は4対3の処理サイクルを実施することに対して見出される相違を示す。実施例9対実施例15は、スラリーとして単離された触媒についての内部供与体であるフタル酸ジイソブチルの添加の温度の影響、70℃対室温、を比較する(室温の方が高活性)。
【0048】
実施例14、11、及び16は、乾燥粉末として単離された触媒について、DIBP内部供与体の添加温度の影響、90℃対70℃対室温、を示す(室温のとき、高活性)。
【0049】
実施例17は、重合化試験が70℃の代わりに80℃において行われたとき、達成された活性の増加を示す。
【0050】
実施例18は、混合された相のClMg(OEt)支持体前駆対を使用する実施例11に最もよく比較され、出発試薬として、純粋相のClMg(OEt)物質を使用する本発明を示す。触媒の活性は、混合された相の支持体物質に対する活性よりおよそ50%高い。
【0051】
実施例14対比較例1は、ClMg(OEt)が支持体前駆体(乾燥触媒)であるとき、フタル酸エステル、この場合DIBP、の使用は、対応する酸クロリド、フタロイルジクロリドの使用より優れた触媒を与えることを示す。
【0052】
比較例2対実施例1〜4は、TiCl4/トルエン反応混合物中のTiCl4の体積%を40%から20%に削減することは、80%〜40%の範囲において見出される傾向からは明らかでないが、活性の大きな損失をもたらすことを示す。
【0053】
先行する実施例は、単に本発明のある実施態様を説明するために共されているため、制限する方式で解釈されるべきではない。請求する保護の範囲は、後に続く特許請求の範囲に述べられている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本質的にアルコキシ官能性のない、活性化されたアモルファスのマグネシウムジハライド支持体上に支持された少なくとも1のチタン―ハロゲン結合を有するチタン化合物を含む、プロピレンの重合化のための触媒であって、該触媒が以下の物理的パラメータ:チタンの重量百分率、2%未満;フタル酸エステルの重量百分率、10%から25%;フタル酸エステル対チタンモル比、0.9から2;マグネシウムの重量百分率、14%から23%;マグネシウム対チタンのモル比、7から30;表面積、250m2/gから500m2/g;孔体積、0.2cc/gから0.5cc/g、及び平均孔直径、50オングストローム以下、を有する触媒。
【請求項2】
本質的にアルコキシ官能性のない、活性化されたアモルファスのマグネシウムジハライド支持体上に支持された少なくとも1のチタン―ハロゲン結合を有するチタン化合物を含む、プロピレンの重合化のための触媒であって、該触媒は以下の物理的パラメータ:チタンの重量百分率、1%から2.0%未満;フタル酸エステルの重量百分率、10%から20%;フタル酸エステル対チタンモル比、1から1.9;マグネシウムの重量百分率、18%から21%;マグネシウム対チタンのモル比、14から29;表面積、300m2/gから500m2/g;孔体積、0.2cc/gから0.4cc/g、及び平均孔直径、35オングストローム以下、を有する触媒。
【請求項3】
本質的にアルコキシ官能性のない、活性化されたアモルファスのマグネシウムジハライド支持体上に支持された少なくとも1のチタン―ハロゲン結合を有するチタン化合物を含む、プロピレンの重合化のための触媒であって、該触媒中のチタン金属含有量が、支持体及びフタル酸エステル供与体の重量に基づいて2重量%未満であって、該触媒の表面積が250m2/g〜500m2/gの範囲である触媒。
【請求項4】
マグネシウムジハライド支持体が、そのアルキル部分の中に12までの炭素原子を含むマグネシウムクロロアルコキシドから形成される、請求項3に記載の触媒。
【請求項5】
フタル酸エステル供与体がそのアルキル基の中に12までの炭素原子を含む、請求項3に記載の触媒。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の触媒の存在下、プロピレンを重合化することにより生成される、0.20ppm以下のチタンを含むポリプロピレン。
【請求項7】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の触媒の存在下、プロピレンを重合化することにより生成される、0.15ppm以下のチタンを含むポリプロピレン。
【請求項8】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の触媒の存在下、プロピレンを重合化することにより生成される、0.10ppm以下のチタンを含むポリプロピレン。

【公開番号】特開2009−114457(P2009−114457A)
【公開日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−332523(P2008−332523)
【出願日】平成20年12月26日(2008.12.26)
【分割の表示】特願2002−587471(P2002−587471)の分割
【原出願日】平成14年5月3日(2002.5.3)
【出願人】(390009612)アクゾ ノーベル ナムローゼ フェンノートシャップ (132)
【氏名又は名称原語表記】Akzo Nobel N.V.
【Fターム(参考)】