説明

プロポリスの処理法、プロポリス抽出物の製造方法、プロポリス、及びプロポリス抽出物

【課題】簡便な方法で、効率的に刺激味の少ないプロポリス及びプロポリス抽出物を製造可能なプロポリスの処理方法、及びプロポリス抽出物の製造方法、並びに刺激味の少ないプロポリス及びプロポリス抽出物を提供する。
【解決手段】本発明のプロポリスの処理方法は、プロポリスの原塊と超臨界流体とを接触させ、該プロポリスの原塊に含まれるプロポリスの刺激味成分を該超臨界流体で抽出し、プロポリスの原塊から刺激味成分を除去する。これにより刺激味の少ないプロポリスを得ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、刺激味の少ないプロポリス、プロポリス抽出物を製造可能なプロポリスの処理法、プロポリス抽出物の製造方法、及び刺激味の少ないプロポリス、プロポリス抽出物に関する。
【背景技術】
【0002】
天然物に含まれる有効成分を抽出し、これを健康機能食品などに用いる例は、従来から多く知られている。プロポリスもその一つである。プロポリスは、ミツバツが植物の若芽などの樹液を採取し、自らの唾液と混合して生産する物質であり、抗菌作用、抗酸化作用などがあるとされている。プロポリス原体は、暗褐色のペースト状塊状物であり、通常有効成分を抽出して利用されている。
【0003】
有効成分を抽出する方法としては、アルコールを溶媒としたアルコール抽出法が多く用いられている。しかしアルコール抽出物は、水に溶けにくく、また、ヤニやロウなどの樹脂成分が含まれているため、水とアルコール抽出物とを混合すると、これら樹脂成分が析出するなど、製品として利用しにくいという問題が指摘されている。さらに、泥臭い、ピリピリする刺激味を有するという問題点も指摘されている。水とアルコール抽出物とを混合すると、樹脂成分が析出する問題に対しては、アルコール抽出物をさらにアルカリ処理することで、これを解決する技術が開示されている(例えば特許文献1参照)。
【0004】
抽出溶媒に水を用いた抽出法は、刺激臭のない抽出物を得ることができるが、有効成分が僅かにしか抽出されないという問題を有している。さらに超臨界流体を用いて、プロポリスから有効成分を抽出する超臨界抽出法も、よく知られている。超臨界抽出法では、アルコール抽出法で抽出することが不可能な、有効成分を抽出することができる一方で、水溶性成分とエチルアルコールに溶解可能な成分の大部分を抽出することができないという問題が指摘されている。これを解決する技術として、エチルアルコールをエントレーナとした超臨界二酸化炭素抽出物と、水抽出物の粉末とを合わせ、有効成分を均一化した液体を得る製造方法も開示されている(例えば特許文献2参照)。
【特許文献1】特開2004−149415号公報
【特許文献2】特開2001−149027号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1に記載の技術は、水とプロポリスのアルコール抽出物とを混合すると、樹脂成分が析出する問題を解決する一手法ではあるが、プロポリス抽出物が刺激味を有することを解決するものではない。特許文献2に記載の技術も、超臨界抽出液を取得した後これを加熱し、次いで撹拌しながら、水抽出のプロポリス粉末を添加することで、プロポリスの有効成分を全体的に利用しようとするものではあるが、特許文献1に記載の技術と同様に、プロポリス抽出物が刺激味を有することを解決するものではない。以上のようにプロポリスから刺激味を除去する技術、あるいは刺激味の少ないプロポリスを得る技術は、開発されていないのが現状である。
【0006】
本発明の目的は、簡便な方法で、効率的に刺激味の少ないプロポリス及びプロポリス抽出物を製造可能なプロポリスの処理方法、及びプロポリス抽出物の製造方法、並びに刺激味の少ないプロポリス及びプロポリス抽出物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
発明者は、プロポリスに含まれる刺激味成分を超臨界流体で抽出することが可能なことを見出し、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は、プロポリスの原塊と超臨界流体とを接触させ、該プロポリスの原塊に含まれるプロポリスの刺激味成分を該超臨界流体で抽出し、プロポリスの原塊から刺激味成分を除去することを特徴とするプロポリスの処理方法である。
【0008】
また本発明は、エチルアルコールをエントレーナとし、プロポリスの原塊と超臨界流体とを接触させ、該プロポリスの原塊に含まれるプロポリスの刺激味成分を該超臨界流体で抽出し、プロポリスの原塊から刺激味成分を除去することを特徴とするプロポリスの処理方法である。
【0009】
また本発明は、プロポリスの原塊とアルコールとを接触させ、プロポリスの有効成分をアルコールで抽出したプロポリス抽出物と超臨界流体とを接触させ、該プロポリス抽出物に含まれるプロポリスの刺激味成分を該超臨界流体で抽出し、刺激味成分の少ない抽出物を得ることを特徴とするプロポリス抽出物の製造方法である。
【0010】
また本発明は、請求項1又は請求項2に記載のプロポリスの処理方法で得られる、刺激味成分を除去したプロポリスの原塊に含まれる有効成分を抽出溶媒で抽出し、刺激味成分の少ない抽出物を得ることを特徴とするプロポリス抽出物の製造方法である。
【0011】
また本発明は、請求項1又は請求項2に記載のプロポリスの処理方法により得られたプロポリスである。
【0012】
また本発明は、請求項3又は請求項4に記載のプロポリス抽出物の製造方法により得られたプロポリス抽出物である。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、プロポリスの刺激味成分の除去は、超臨界抽出法を用いて、プロポリスの原塊から直接行うので、効率的に刺激味成分を除去することができる。また、エチルアルコールをエントレーナとして超臨界抽出法を用いて、プロポリスの原塊から刺激味成分を除去するので、さらに効率的に刺激味成分を除去することができる。
【0014】
また本発明によれば、プロポリスの有効成分を多く含むアルコール抽出液と超臨界流体とを接触させ、アルコール抽出液に含まれるプロポリスの刺激味成分を除去するので、有効成分を多く含み、かつ刺激味成分の少ない抽出物を得ることができる。また、アルコール抽出物から刺激味成分を除去するので、市販のプロポリスのアルコール抽出物から刺激味成分を除去することもできる。
【0015】
また本発明によれば、刺激味成分を除去したプロポリスの原塊から、抽出溶媒で有効成分を抽出するので、刺激味をほとんど有さないプロポリス抽出物を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
図1は、本発明の実施の一形態としてのプロポリスから刺激味成分を除去する超臨界処理装置1の概略的な構成を示す図である。超臨界流体として二酸化炭素を用いて本実施形態を説明する。なお発明は、本実施形態に限定されるものではない。超臨界処理装置1は、原材料であるプロポリス原塊、又はプロポリス原塊に含まれる有効成分を溶媒で抽出した溶媒抽出物、及び超臨界流体を受入れ、後述の操作によりプロポリスの刺激味成分を除去する処理槽10、この処理槽10に超臨界流体を形成し供給する超臨界流体供給手段20、処理槽10にエントレーナとしてアルコールを供給するエントレーナ供給手段30、処理槽10の圧力を保持又は減圧する圧力調節手段40、留出物を回収する回収手段50を主な構成とする。
【0017】
処理槽10は、原材料であるプロポリス原塊、又はプロポリス原塊に含まれる有効成分を溶媒で抽出した溶媒抽出物を受入れる金属製の圧力容器であり、原材料を受入れ可能なように上部が開閉可能な構造となっている。底部には超臨界流体を受入れる管路11が接続され、この管路11を通じて超臨界流体供給手段20から供給される超臨界流体を受入れる。また処理槽10は上部に管路12を有し、管路12を通じて処理槽10内の超臨界流体を排出する。
【0018】
処理槽10は、ウオターバス13内に設置され一定の温度に保持され、ウオターバス13は、処理槽10の温度を一定に保つ温度保持手段として機能する。ウオターバス13は、温度制御機能を有する電気ヒータ14を備え、ウオターバス内の水温を一定に保つ。本実施形態のように超臨界流体として二酸化炭素を使用する場合は、二酸化炭素の臨界温度が304.2Kであるので、ウオターバス13は、約30〜80℃の温度を保持できればよい。これにより処理槽10に供給した超臨界流体を超臨界状態で安定的に保持することができる。
【0019】
本実施形態では、温度保持手段としてウオターバス13を用いる例を示しているけれども、処理槽の温度を一定に保持する温度保持手段は、これに限定されるものではない。例えば温度制御機構を備えるオイルバス、又は処理槽に装着して使用可能なリボン形状の電気ヒータ、マントルヒータであってもよい。また、本実施形態では、超臨界流体に二酸化炭素を使用しているので比較的温度が低いが、超臨界流体として臨界温度の高い、例えば水を使用するような場合にあっては、温度保持手段として温風ヒータを備える恒温槽などを使用することができる。
【0020】
超臨界流体供給手段20は、処理槽10に超臨界流体を供給するもので、超臨界流体を形成する二酸化炭素の供給源である液体二酸化炭素ボンベ21、液体二酸化炭素を昇圧し処理槽に供給する供給ポンプ22、供給ポンプ22から送液される液体二酸化炭素を加温する熱交換器24を含み構成される。
【0021】
液体二酸化炭素の供給源である液体二酸化炭素ボンベ21出口には、管路23が接続され、管路23を通じて供給ポンプ22に液体二酸化炭素が供給される。供給ポンプ22が稼動すると熱を発生するので、管路23の途中には冷却器を装着し、供給ポンプ22に送液する液体二酸化炭素を冷却し送液することが望ましい。供給ポンプ22は、送液された液体二酸化炭素を所定の圧力まで昇圧する。供給ポンプ22の出口には管路25が接続され、管路25の途中には管路内の圧力を検知する圧力検知器26が設けられている。この圧力検知器26と図示を省略した圧力制御装置とで、供給ポンプ22の作動を制御する。
【0022】
昇圧された液体二酸化炭素は、管路25を通じて熱交換器24に送られ、ここで図示を省略したヒータにより、所定の温度まで加温され超臨界状態となる。超臨界状態の二酸化炭素は、熱交換器24に接続する管路27、管路27に連結する仕切弁28、仕切弁28に連結する管路29、管路29と接続する管路11を通じて、処理槽10に送られる。本実施形態では、圧力検出器26、及び図示を省略した圧力制御装置を供給ポンプに連動させ、圧力を一定に制御する例を示したけれども、供給ポンプ22の出口圧力を一定に制御する方法はこれに限定されない。例えば供給ポンプ22出口に逃がし弁を設けて、圧力が上昇した場合はこの逃がし弁を通じて二酸化炭素を管路23に戻す方法であってもよい。
【0023】
エントレーナ供給手段30は、エントレーナであるエチルアルコールを貯留する貯槽31、貯槽31に貯留されるエチルアルコールを定量供給可能な定量ポンプ32を含み構成される。定量ポンプ32は、管路33を通じて貯槽31からエチルアルコールを吸引し、所定の圧力まで昇圧し、吐出管路34を通じてエチルアコールを処理槽10に供給する。管路34は、途中で管路29と連結し、さらに管路11と連結する。管路34の途中には、定量ポンプ32の吐出圧力を検知可能な圧力計35が装着されている。定量ポンプ32は、所定の圧力まで昇圧可能で、定量性を有する必要があることからプランジャポンプを使用することができる。
【0024】
圧力調節手段40である圧力を調節可能な圧力調節弁41は、処理槽10内の圧力を一定に保持、又は必要に応じて減圧する。圧力調節弁41は、処理槽10の上部の管路12に接続される。管路12は分岐管42を有し、分岐管42には圧力検出器43が設けられ、これにより処理槽10内の圧力を検知することができる。圧力調節弁41を通じて超臨界流体を排出させると、断熱膨張に伴い圧力調節弁41が冷却されるので、流体が固化し閉塞する場合もある。よって圧力調節弁41は、加温しておくことが望ましい。
【0025】
圧力調節弁41の出口には管路44が接続され、管路44は、留出物を回収する回収手段50である回収槽に接続する。回収槽50の上部にはベント配管51が接続され、処理槽10から排出される二酸化炭素は最終的にベント配管51を通じて排出される。また回収槽50は底部に、排出される二酸化炭素に同伴し留出する留出物を排出する管路52及び弁53を備える。
【0026】
本発明のプロポリスの処理法、プロポリス抽出物の製造方法は、従来にない発想に基づくものである。従来、超臨界抽出法は有効成分を抽出する手段として使用されてきた。よって、従来法では超臨界抽出物を回収し、これを使用していた。これに対して本発明は、超臨界抽出法を刺激味成分の除去手段として使用するものである。刺激味成分を含まないプロポリス、又はプロポリス抽出物を得るために、超臨界抽出法を用いる点で、従来技術とは発想を全く異にするものである。
【0027】
以下、本発明のプロポリスの処理法、プロポリス抽出物の製造方法の一例を示す。図2は、図1に示した超臨界処理装置1を用いて刺激味成分の少ないプロポリス抽出物を製造する手順を示すフローチャートである。本フローチャートは手順の一例を示しただけで、ステップS1からステップS4までの操作は、変更してもよいことはもちろんである。
【0028】
まずステップS1で、試料であるプロポリスの原塊を破砕し、処理槽10に充填する。試料を破砕しておくことで、超臨界流体による刺激味成分の抽出が容易となる。なお処理槽10にプロポリスの原塊を仕込む際は、プロポリスの原塊が管路11内へ入り込まないように、目皿、金網、焼結金属など貫通孔を有する部材を、処理槽10の底部に設置しておくことが望ましい。
【0029】
次にステップS2において、所定の時間、処理槽10内を、超臨界流体、及びエチルアルコールを流通させ、プロポリス原塊から刺激味成分を抽出する。処理槽10に超臨界流体、及びエントレーナであるエチルアルコールを所定量連続的に供給する。同時に圧力調節弁41を通じて処理槽10の圧力を一定に保持しつつ、処理槽10に供給された超臨界流体、及びエチルアルコールを連続的に排出する。
【0030】
超臨界流体は、液体二酸化炭素を充填した二酸化炭素のボンベ21から管路23を経由し供給ポンプ22に送り、供給ポンプ22で所定の圧力まで昇圧し、熱交換器24で所定の温度まで加温することで形成することができる。なお処理槽10へ超臨界流体を送るに先立ち、処理槽10を所定の温度まで加温しておく。エントレーナであるエチルアルコールの供給は、定量ポンプ32を稼動させることで行う。
【0031】
処理槽10へ超臨界二酸化炭素を供給することで、超臨界二酸化炭素はプロポリス原塊から刺激味成分を抽出する。抽出されたプロポリスの刺激味成分は、超臨界流体とともに、圧力調節弁41を通じて回収槽50に送られ、ここで回収される。
【0032】
本発明における超臨界流体とは、臨界温度及び臨界圧力を超えた状態を言い、二酸化炭素にあっては、圧力7.37MPa、温度304.2Kを超えた状態を言う。二酸化炭素を使用すれば、比較的低い温度及び圧力で超臨界状態を形成可能なので、装置の仕様が緩やかであり、装置コストを抑えることができる。エチルアルコールは超臨界二酸化炭素と相溶性があるので、エチルアルコールをエントレーナとすることで、より効果的にプロポリス原塊から刺激味成分を抽出することができる。
【0033】
超臨界状態の二酸化炭素は、液体二酸化炭素に近似する密度を有するとともに、二酸化炭素ガスの有する拡散速度を示すことから、プロポリス原塊、エチルアルコールへの二酸化炭素の拡散が良好に行われるが、亜臨界状態の二酸化炭素であっても、エチルアルコールに対する溶解量は大きい。このため必要に応じて亜臨界状態の流体を用いることができる。ここで亜臨界状態とは、温度、圧力が臨界点近傍にあるもの、または温度、圧力のうち少なくとも一方は、臨界点を超え、他方は臨界点近傍にある状態を言う。
【0034】
ステップS3において、超臨界流体、及びエチルアルコールの供給を停止する。その後処理槽10内の圧力を大気圧まで戻し、プロポリス原塊を回収する。ここまでの操作により、刺激味の少ないプロポリスを得ることができる。回収したプロポリス原塊は、ステップS4で、溶媒を用いて有効成分の抽出を行う。溶媒抽出に使用するプロポリスは、ステップS3までの工程で、刺激味成分が除去されているので、溶媒抽出を行っても刺激味の少ない抽出物を得ることができる。この有効成分の抽出に用いる溶媒は、特に限定されるものではなく水、アルコールなどを用いることができる。アルコール抽出を行う場合は、かかる抽出物を最終的には、経口摂取用途として用いることが多いことから、エチルアルコール等、食用可能なアルコールを用いることが好ましい。
【0035】
なお、プロポリスの有効成分の溶媒による抽出は、ステップS3の工程が終了した後、処理槽10に抽出溶媒を投入し、行ってもよい。この方法を採用すれば、プロポリス原塊からの刺激味成分除去に引き続き、刺激味成分除去を行った処理槽10で溶媒抽出を行なうことができるので、有効成分を抽出するために特別の装置を必要としない。
【0036】
なお、本実施形態では、エチルアルコールをエントレーナとして使用する例を示したけれども、エントレーナはエチルコールに限定されるものではない。また、エントレーナを使用することなく、プロポリス原塊を超臨界抽出し、刺激味成分を除去することもできる。また図1に示す実施形態では、超臨界流体の供給管路11は、処理槽10の底部に設ける例を示しているけれども、処理槽10の上部に設け、処理槽10の上部から供給するようにしてもよい。さらに本実施形態では、超臨界流体、エントレーナを所定の時間連続的に供給、排出する例を示したけれども、間欠的に行ってもよいことは言うまでもない。
【0037】
以上ステップS1からステップS4の操作によりプロポリスから刺激味成分の少ない抽出物を得ることができる。上記のように本発明は、操作が非常に簡便で、しかも短時間に刺激味成分の少ないプロポリス及びプロポリス抽出物を得ることができる。プロポリス原塊に代え、プロポリスのアルコール抽出物を被処理物とすることも可能である。
【0038】
プロポリス原塊とアルコールとを接触させ、有効成分を抽出したアルコール抽出物は、背景技術の欄に記載したように、多くの刺激味成分を含んでいる。この刺激味成分を多く含むアルコール抽出物を、超臨界流体と接触させることで、アルコール抽出物から刺激味成分を抽出除去することができる。これにより刺激味成分の少ないアルコール抽出物を得ることができる。なお、アルコール抽出物に、市販のプロポリス抽出物を使用可能なことは言うまでもない。
【0039】
以下、本発明の実施例を示す。
(実施例1)プロポリス原塊をエチルアルコールに浸漬し、有効成分を抽出したアルコール抽出液30mL(27g)を、供試体として処理槽10に投入し、40℃で10分間保持した。次に二酸化炭素を20MPaの圧力で、毎分5mlの割合で供給し、処理槽10内の圧力が20MPaに到達した後、その状態で10分間保持した。その後、超臨界二酸化炭素流体を、20MPa、毎分5mlの割合で90分間、処理槽10内を流通させた。その間30分毎に回収槽50に回収された排出液の状況を観察した。その後、超臨界二酸化炭素の供給を止め、徐々に圧力を低下させ、処理槽10を開放し、内容液を取り出した。取り出した内容液にエチルアルコールを加え、30mLとした。
【0040】
結果、回収槽50に回収された液体は2.0gであり、淡黄緑色液体で、強い刺激味を有していた。一方、処理槽10内に残留していた内容液は、19gであり、供試体である処理前のアルコール抽出液に比較して、刺激味は減少していた。
【0041】
(実施例2)供試体にはプロポリス原塊を使用した。プロポリス原塊をはさみで幅2mm程度の大きさに切断し、20.0gを処理槽10に投入した。次に処理槽10に二酸化炭素を圧入し、圧力20MPa、温度40℃の状態で1時間保持した。その後、超臨界二酸化炭素流体を、20MPa、毎分5mlの割合で1時間流通させた。その後、超臨界二酸化炭素の供給を止め、徐々に圧力を低下させ、処理槽10を開放し、内容物を取り出した。
【0042】
結果、回収槽50に回収され物質は0.5gであり、淡黄色、タール状であった。この物質は、舌の感覚が戻り難いほどの非常に強い刺激味を有していた。一方、処理槽10内に残留していた残留物は、19.8gであり、やや薄い茶色を呈し、舌先ではあまり感じない程に、刺激味は大幅に減少していた。
【0043】
(実施例3)供試体にはプロポリス原塊を使用した。プロポリス原塊をはさみで幅2mm程度の大きさに切断し、20.1gを処理槽10に投入した。次に温度40℃で、超臨界二酸化炭素流体を、圧力20MPa、毎分5mlの流量で、エチルアルコールを毎分0.5mLの流量で1時間流通させた。その後、エチルアルコールのみ供給を停止し、超臨界二酸化炭素のみ30分間供給した。その後、超臨界二酸化炭素の供給を止め、徐々に圧力を低下させ、処理槽10を開放し、内容物を取り出した。
【0044】
結果、回収槽50に回収され物質は6.9gであり、白っぽい懸濁液であった。この物質は、舌の感覚が戻り難いほどの非常に強い刺激味を有していた。一方、処理槽10内に残留していた残留物は、26.5gであり、やや薄い茶色を呈した。この物質は、喉の奥では刺激味を感じるものの、舌先ではあまり感じない程に、刺激味は大幅に減少していた。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明の実施の一形態としてのプロポリスから刺激味成分を除去する超臨界処理装置1の概略的な構成を示す図である。
【図2】本発明の刺激味成分の少ないプロポリス抽出物を製造する手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0046】
1 超臨界処理装置
10 処理槽
20 超臨界流体供給手段
21 液体二酸化炭素ボンベ
22 供給ポンプ
30 エントレーナ供給手段
41 圧力調節弁
50 回収槽

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロポリスの原塊と超臨界流体とを接触させ、該プロポリスの原塊に含まれるプロポリスの刺激味成分を該超臨界流体で抽出し、プロポリスの原塊から刺激味成分を除去することを特徴とするプロポリスの処理方法。
【請求項2】
エチルアルコールをエントレーナとし、プロポリスの原塊と超臨界流体とを接触させ、該プロポリスの原塊に含まれるプロポリスの刺激味成分を該超臨界流体で抽出し、プロポリスの原塊から刺激味成分を除去することを特徴とするプロポリスの処理方法。
【請求項3】
プロポリスの原塊とアルコールとを接触させ、プロポリスの有効成分をアルコールで抽出したプロポリス抽出物と超臨界流体とを接触させ、該プロポリス抽出物に含まれるプロポリスの刺激味成分を該超臨界流体で抽出し、刺激味成分の少ない抽出物を得ることを特徴とするプロポリス抽出物の製造方法。
【請求項4】
請求項1又は請求項2に記載のプロポリスの処理方法で得られる、刺激味成分を除去したプロポリスの原塊に含まれる有効成分を抽出溶媒で抽出し、刺激味成分の少ない抽出物を得ることを特徴とするプロポリス抽出物の製造方法。
【請求項5】
請求項1又は請求項2に記載のプロポリスの処理方法により得られたプロポリス。
【請求項6】
請求項3又は請求項4に記載のプロポリス抽出物の製造方法により得られたプロポリス抽出物。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2006−288280(P2006−288280A)
【公開日】平成18年10月26日(2006.10.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−113532(P2005−113532)
【出願日】平成17年4月11日(2005.4.11)
【出願人】(592148878)株式会社東洋高圧 (49)
【出願人】(505132747)株式会社ファーマシィ (1)
【Fターム(参考)】