説明

プローブカード、電子装置の電気特性測定装置、電子装置の電気特性測定方法

【課題】複数個の電子装置の導通端子のレイアウトが異なっていても、各電子装置の電気特性の測定を行えるプローブカード、電気特性測定装置、電気特性測定方法をもたらす。
【解決手段】プローブカード4には、半導体装置2が実装された実装体1の多数の導通端子2bに接触可能な多数のプローブピン6が配設され、プローブピン6は、導通端子2bの配置レイアウトが異なる2種類以上の実装体1の電気特性を測定可能なように、各実装体1の各々の導通端子2bに少なくとも1個のプローブピンが接触できるようにレイアウトされている。電気特性測定装置、電気特性測定方法は、そのプローブカード4を用いる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子装置の電気特性の測定に用いられるプローブカード、およびそれを用いた電子装置の電気特性測定装置、電子装置の電気特性測定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、回路基板に実装した半導体装置の電気特性の測定のためには、回路基板の外周側に配置されたテストパッドにプローブカードのプローブピンを接触させている。
特許文献1には、TABテープに実装されたLSI45の端子に接続した入力テストパッド28及び出力テストパッド29に、検査用プローブの入力端子プローブ53及び出力端子プローブ43を各々接触して、LSI45の電気的検査を行うことが開示されている。
【0003】
また特許文献2には、ウエハー上に配置された半導体チップの検査を行うために、半導体チップの複数のパッド22にプローブカード30の複数のプローブピン32を接触させることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−228761号公報([0038]、[0039]、図9等)
【特許文献2】特開2000−340620号公報([0031]〜[0036]、図1〜図3)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、特許文献1において、検査用プローブにおける入力端子プローブ53及び出力端子プローブ43は、TABテープに予め形成された前記入力テストパッド28及び出力テストパッド29に接触するようにそれぞれの配置位置が予め設定されている。
特許文献2において、プローブカード30の複数のプローブピン32は、ウエハー上に配置された半導体チップの各パッド22の配置レイアウトに対応して配置されている。
ここで、特許文献1の検査用プローブは、TABテープ上に配置された入力テストパッド28及び出力テストパッド29の配置レイアウトに対応するように、入力端子プローブ53及び出力端子プローブ43が配置レイアウトされているものである。従って、検査用プローブは、検査対象の半導体装置や入力テストパッド28及び出力テストパッド29の配置レイアウトに対応した専用のものとして用意される必要があった。
特許文献2も同様に、プローブカード30は、各プローブピン32が半導体チップやその各パッド22の配置レイアウトに対応して配置レイアウトされているため、専用のものとして用意されているものであった。
従って上記専用の検査用プローブやプローブカード30は、製作するのに所定の時間がかかり多種類の電子装置の電気特性の測定が即座に行えないものであった。その上、上記専用の検査用プローブやプローブカード30は、大変高価であり、このため半導体実装品や半導体チップも高価になっていた。
【0006】
本発明の目的は、上記課題を解消するものであり、電子装置が異なっても電気特性の測定を行うことができる汎用性あるプローブカード、プローブカードを使用した電子装置の電気特性測定装置、電子装置の電気特性測定方法をもたらすものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明実施態様1のプローブカードは、電子装置の多数の導通端子に接触可能な多数のプローブピンが配設されたプローブカードであって、前記プローブピンは、前記導通端子の配置レイアウトが異なる2種類以上の前記電子装置の電気特性を測定可能なように、各電子装置の各々の導通端子に少なくとも1個のプローブピンが接触できる配置レイアウトで配置されていることを特徴とする。
【0008】
上記本発明実施態様1の構成によれば、前記導通端子の配置レイアウトが異なる2種類以上の前記電子装置の電気特性の測定を、1つのプローブカードを用いて行うことができる。
従って、前記導通端子の配置レイアウトが異なる電子装置毎に高価な専用のプローブカードを用意することが不要になり、プローブカードを共用できるので、トータルとして安価なプローブカードを得ることができる。
またプローブカード自体の検査も一度で済み、また電気特性測定装置での検査動作も一度ですむので、電気特性測定のランニングコストを安くすることができるとともに、電気特性測定の信頼性も高めることが出来る。
なお上記測定とは、前記電子装置の動作検査や電気特性検査などの検査も含むものである。
また前記導通端子の配置レイアウトが異なるとは、各導通端子同士の配置位置、配置間隔、配置数、広さ等が互いに異なっていることを意味する。
さらに、前記電子装置とは、IC、LSI等の半導体装置が回路基板に実装された状態のものでもよく、あるいは上記半導体装置そのものでもよい。また上記半導体装置に替えて他の電子装置を用いるようにしてもよい。
【0009】
前記のように、プローブピンが、前記導通端子の配置レイアウトが異なる2種類以上の前記電子装置の電気特性を測定可能なように、各電子装置の各々の導通端子に少なくとも1個のプローブピンが接触できる配置レイアウトで配置されているとは、少なくとも次の様な種々の状況を含むものである。
第1の状況は、プローブピンは、前記2種類以上の電子装置において、1つの電子装置の全ての導通端子には第1の数のプローブピンが接触し、他の電子装置の全ての導通端子には第2の数のプローブピンが接触するように配置されている。
その場合、上記第1の数と第2の数とは、異なる。
第2の状況は、プローブピンは、前記2種類以上の全ての電子装置において、全ての導通端子には同じ数のプローブピンが接触するように配置されている。
上記同じ数のプローブピンは、1個の場合と複数個の場合とがある。
第3の状況は、プローブピンは、前記2種類以上の電子装置において、少なくとも1つの電子装置内では、各導通端子に接触するプローブピンの数が異なるように配置されている。
第4の状況は、プローブピンは、前記2種類以上の全ての電子装置において、全ての導通端子には少なくとも1つのプローブピンが接触するように配置されているが、少なくとも1つの電子装置においては、前記導通端子が配置されていない導通端子非配置領域にも1個以上のプローブピンが配置されている。
なお、第4の状況は、上記第1の状況から第4の状況の全ての状況と併存できるものである。
【0010】
本発明実施態様2のプローブカードは、実施態様1のプローブカードであって、前記プローブカードは、プローブ基台を備え、前記プローブピンは、前記プローブ基台を貫通しており、前記プローブピンの一端は、前記プローブ基台の下面から突出しており、前記プローブピンの他端は、前記プローブ基台の上面から突出していることを特徴とする。
【0011】
上記本発明実施態様2の構成によれば、前記プローブピンの一端にて電子装置の多数の導通端子に接触することが確実になり、前記プローブピンの他端にて電子装置の電気特性を測定させる制御装置に容易に接続することができる。
【0012】
本発明実施態様3の金属部材のプローブカードは、実施態様1から実施態様2のうちいずれかに記載されたプローブカードであって、前記プローブピンは、前記プローブ基台に対して着脱可能であることを特徴とする。
【0013】
上記本発明実施態様3の構成によれば、導通端子の配置レイアウトが異なる2種類以上の前記電子装置において、導通端子の配置レイアウトが大きく異なっていても、前記プローブピンを増減できるので、プローブカードを共用使用しやすくなる。
また、上記2種類以上の前記電子装置、例えばLSI等半導体装置の平面的大きさや外形形状が異なっている場合には、当該電子装置の配置対応平面箇所のプローブピンが邪魔になる場合がある。その際には、当該電子装置の配置対応平面箇所のプローブピンを抜くことによりプローブピンを当該電子装置の導通端子に接触させることが出来る。
またプローブカードの外縁側にプローブピンを新たに挿入配置することにより、導通端子が中心側から遠い距離に配置されている電子機器にも使用することができる。
【0014】
本発明実施態様4の電子装置の電気特性測定装置は、実施態様1から実施態様3のうちいずれかに記載されたプローブカードを用いて前記2種類以上の電子装置の電気特性を測定するように構成されたことを特徴とする。
【0015】
上記本発明実施態様4の構成によれば、1つのプローブカードを共用して、前記導通端子の配置レイアウトが異なる2種類以上の前記電子装置の電気特性を、容易に測定することができる電気特性測定装置をもたらすことが出来る。
【0016】
本発明実施態様5の電子装置の電気特性測定装置は、実施態様4に記載された電子装置の電気特性測定装置であって、前記電気特性測定装置は、前記電子装置を支持する電子装置支持基台と、前記支持された前記電子装置を基準にして電子装置支持基台の配置側とは反対側に配置されている前記プローブカードを基準として、前記電子装置の配置側とは反対側に配置されたプローブピン接触板と、前記プローブカードとプローブピン接触板とを前記電子装置に対して相対的に移動する移動基台と、を供え、前記プローブピン接触板は、前記プローブカードに対向するプローブカード対向面に、プローブピン接触端子が配置されており、前記プローブピン接触端子は、前記導通端子の配置レイアウトとほぼ同様の配置レイアウトで配置されるとともに、前記電子装置の電気特性を測定する信号を送信または受信する制御装置に導通しており、前記プローブピンは、その一端が前記電子装置の導通端子に接触可能であり、他端が前記プローブピン接触板の前記プローブピン接触端子に接触可能である、ことを特徴とする。
【0017】
上記本発明実施態様5の構成によれば、1つのプローブカードを共用して、前記導通端子の配置レイアウトが異なる2種類以上の前記電子装置の電気特性を、容易に測定することができる。
【0018】
本発明実施態様6の電子装置の電気特性測定方法は、実施態様1から実施態様3のうちいずれかに記載されたプローブカードを用いて、前記2種類以上の電子装置の電気特性を測定することを特徴とする。
【0019】
上記本発明実施態様6の構成によれば、1つのプローブカードを共用して、前記導通端子の配置レイアウトが異なる2種類以上の前記電子装置の電気特性を、容易に測定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の第1実施形態で使用される実装体を示し、(1)はその平面図、(2)は(1)のA−A位置での断面図。
【図2】本発明の第1実施形態のプローブカードを示し、(1)はその平面図、(2)は(1)のB-B-位置での断面図。
【図3】本発明の第1実施形態でプローブピン接触板を示し、(1)はその主要部断面図、(2)は(1)の裏面図。
【図4】本発明の第1実施形態における電気特性測定装置を示し、(1)はその主要部断面図、(2)は(1)のC−C位置での平面配置図。
【図5】本発明の第1実施形態のプローブカードのプローブピンが、他の実装体の導通端子に接触している状態を示す平面図。
【図6】本発明の第2実施形態における電気特性測定装置を示し、(1)はその主要部断面図、(2)は(1)のD−D位置での主要平面配置図。
【図7】本発明の第3実施形態でのプローブカードを示し、(1)、(2)、(3)に各々の形態におけるプローブカードの断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明を具体的な実施形態に基づいて説明する。
【0022】
〔第1実施形態〕
本発明の第1実施形態は、予め定められた外形を有する実装基板2に実装された半導体装置3の電極と導通している導通端子2bにプローブピン6を接触させて半導体装置3の電気特性を測定するプローブカード4を用いており、そのプローブカード4を使用して上記半導体装置3の電気特性を測定する電子装置の電気特性測定装置8を用いている。
この電子装置の電気特性測定装置8は、少なくとも前記半導体装置3を実装基板2に実装した実装体1、プローブカード4、プローブピン接触板7を備えている。電気特性測定装置8を用いて半導体装置3の電気特性を測定するためには、プローブカード4のプローブピン6とプローブピン接触板7を介して、半導体装置3の電極と、半導体装置3の電気特性を測定する信号を送受信する制御装置とを導通させる必要がある。
以下、前述した実装体1、プローブカード4、プローブピン接触板7および電気特性測定装置8について詳述する。
なお上記測定とは、本発明においては半導体装置3の動作を検査することや電気特性値が適性であるかを検査することも含む。
【0023】
実装体1は図1に図示されており、プローブカード4は図2に図示され、プローブピン接触板7は図3に図示されている。電気特性測定装置8は図4に図示されている。
【0024】
〔実装体〕
実装体1は、図1に図示されている。
図1の(1)は実装体1の平面図、図1の(2)は(1)のA−A位置において切断しその矢印方向に見た際の断面図である。
実装体1は、フレキシブル基板などの実装基板2にLSI、IC等の半導体装置3を実装したものである。
実装基板2には、半導体装置3の電極と導通するように表面に導電パターン2aと、導電パターン2aの外端に広く四角形状に形成された出力パッドとしての導通端子2bとが、多数形成されている。この導通端子2bは、後述するがプローブピンが接触するためのものである。
また実装基板2は、左右両端に等間隔に配置されたスプロケット孔2cが開けられている。
このスプロケット孔2cは、実装基板2がもともとテープ状であり長手方向に搬送する際に用いられるが、後述するように半導体装置3の電気特性を測定するための電気特性測定装置8に実装基板2を位置決めする際にも用いられる。
半導体装置3は、電極形成面を実装基板2の表面に載置し、半導体装置3の電極と導電パターン2aの内端とを導電性接合材で導電接合されている電子装置である。
上記実装基板2に実装された半導体装置3の周囲には、封止樹脂が覆って樹脂封止部が形成されているが、樹脂封止部の図示は省略した。
【0025】
なお、実装基板2は、フレキシブル基板以外に、例えばガラス繊維入りエポキシ樹脂基板などのリジッド基板であってもよい。
また、実装基板2に半導体装置3を実装する構造は、上記以外であってもよく、例えば、実装基板2の中央に開口を設け、この開口内に半導体装置3を配置し、開口の内側まで延出した導電パターン2aの内端を半導体装置3の電極に導電接合させるものでもよい。
上記実装体1は、後述する電気特性測定装置8にセットされ電気特性の測定が終了した後には、周囲、例えばスプロケッと孔2c領域を切断し、全導通端子2bを残した実装モジュールとして電子機器の回路基板に組み入れられるようになる。
【0026】
〔プローブカード〕
プローブカード4は、図2に図示されている。図2の(1)はプローブカード4の平面図、図2の(2)は、(1)のB−B位置で切断し矢印方向に見た際の断面図である。
プローブカード4は、板状のプローブ基台5と、プローブピン6とを備えている。
プローブ基台5は、セラミック等の絶縁材からなり、中央付近に多数のプローブ6が植設されているプローブピン配置領域5aと、プローブピン配置領域5aの左右両外端側に開口されたプローブ基台5の平面位置を定めるプローブカード案内孔5bとを有している。
またプローブピン配置領域5aの中央側には、プローブピン6が配置されていない半導体装置対応領域5cが構成されている。
この半導体装置対応領域5cは、後述する電気特性測定装置8において半導体装置3の電気特性を測定する際に、半導体装置3の上面にプローブピン6が当たらないようにプローブピン6が配置されていない領域であり、半導体装置3よりも多少大きめの領域である。
【0027】
プローブピン6は、細い線状のピンであり、プローブ基台5に表裏(図2の(2)の上下)に貫通し、下端6aがプローブ基台5の表面(図2の(2)の下面)から下側に所定量だけ突出しており、上端6bがプローブ基台5の裏面(図2の(2)の上面)から上側に所定量だけ突出してプローブ基台5に固定されている。
この下端6aは、電気特性測定装置8において半導体装置3の電気特性を測定する際には、各導通端子2bに接触するようになる。また上記上端6bは、電気特性測定装置8において半導体装置3の電気特性を測定する際には、後述するプローブピン接触板7のプローブピン接触端子7aに接触するようになる。
プローブピン6がプローブ基台5に固定されることは、種々の方法によるが、例えば、プローブ基台5に予め孔を開けておき、プローブピン6を貫通してから、金属接合材(例えばハンダ等)で熱接合させてもよく、あるいはプローブピン6をプローブ基台5に押し入れて固定してもよい。
プローブピン6は、高硬度の金属線(例えば鋼材)を用いて、金メッキ被覆や銅メッキ等の導電メッキを施したものを用いる。
【0028】
プローブピン配置領域5aにおけるプローブピン6は、その多数が所定の配置レイアウトで整然と配置されている。
上記プローブピン6の配置レイアウトは、プローブピン配置領域5aにおいて左右及び前後に当間隔に配置されている。そのプローブピン6同士の間隔は、図1に図示された導通端子2b同士の間隔よりも狭く設定されており、導通端子2b同士の間隔に比べて約1/2である。その場合、導通端子2bの中心位置付近と隣の導通端子2bの中心位置付近には、図4の(1)図示のようにプローブピン6が各々位置するように互いに位置出しされており、上記導通端子2bと隣の導通端子2bとの間には、各々の導通端子2b、2bに接触しないように他のプローブピン6が配置される。
なお、ローブピン6同士の間隔は、導通端子2b同士の間隔よりも狭く設定されていれば、上記のように導通端子2b同士の間隔の約1/2に限定されるものではなく、使用状況を加味して、さらに狭くしてもよく、もっと広くしてもよいものである。この点に関する詳細は後述する。
【0029】
〔プローブピン接触板〕
プローブピン接触板7は、図3に図示されている。
図3の(1)は、プローブピン接触板7の主要部断面、(2)は、(1)の裏面図である。
プローブピン接触板7は、電気特性測定装置8において、半導体装置3の電気特性を測定する際に、プローブカード4を間(基準)にして実装体1(半導体装置3)が配置されている側とは反対側に配置され。従って、プローブピン接触板7の裏面は、プローブカード4に対向している側の面、即ちプローブカード4との対面である。
プローブピン接触板7は、板状のプローブピン接触板7aと、プローブピン接触板7aの前記裏面に形成されたプローブピン接触端子7bと、その反対側の面である表面に形成された外部接続端子7dと、プローブピン接触端子7bと外部接続端子7dとを導通させる導通部材7eと、左右両端側に配置された位置決め用のプローブピン接触板案内孔7cとを備えている。
プローブピン接触板基板7aはセラミック、合成樹脂等の絶縁材から構成されている。
プローブピン接触板7aの前記裏面は図3の(1)では下側の面に相当する。
前記裏面のプローブピン接触端子7bは、図3の(2)のように配置形成されている。
【0030】
プローブピン接触端子7bのレイアウト(配置位置)は、ほぼ図1の(1)の導通端子2bと同様である。即ち、各プローブピン接触端子7bの中心位置間の間隔やプローブピン接触端子7bの配置関係は、各導通端子2bの中心位置間の間隔や導通端子2bの配置関係とほぼ同じに設定されている。
さらに、プローブピン接触板7の表面(図3の(1)の上側の面)には、上記プローブピン接触端子7bと同じ配置位置で外部接続端子7dが形成されている。
プローブピン接触板7の前記裏面に形成されたプローブピン接触端子7bと、前記表面に形成された外部接続端子7dとは、導通部材7eにより互いに導通していることは前述した通りである。この導通部材7eは、裏面と表面とを貫通するように予め形成されたスルーホール内に電気メッキなどによって構成される。
前記プローブピン接触端子7bは、プローブピン6の上端6bと接触することになり、外部接続端子7dの各々は、導電線14が接合されるものであり、この各導電線14は、前記電子装置の電気特性を測定する信号を送信または受信する制御装置(図示せず)に導通するようになる。
【0031】
〔電気特性測定装置の構造〕
電気特性測定装置8は、図4に図示されている。
図4の(1)は電気特性測定装置8の主要部の断面図、図4の(2)は(1)のC−C位置で切断し矢印方向に見た際の関係部材の平面配置図である。なお、図4の(2)の関係部材の平面配置図では、隠れる部材についても便宜上、実線で表示した。
図4において、9は電子装置保基台で、移動しないように床面に固定されている。
電子装置保基台9の中央上側には、被測定物載置面9aが構成され、この被測定物載置面9aに被測定物としての実装体1が載置される。
その際に、電子装置保基台9に対して実装体1の平面位置を定めるため、位置案内ピン10が被測定物載置面9aの左右2箇所に植設されている。
【0032】
電子装置保基台9の上方には、硬質ゴムなどの弾性材からなる移動基台11が上下方向に移動可能に配置されている。
この移動基台11の上方には、電子装置保基台9に平面位置が調整されて固定された移動基台案内台12が配置されている。
この移動基台案内台12の中央付近には案内穴12aが開けられている。この案内穴12aは、移動基台11の中央部に固定された移動基台案内パイプ11aを上下移動可能に案内するものである。移動基台案内パイプ11aの上方には、モーター等の移動手段が配置されており(移動手段は図示せず)、移動基台案内パイプ11aを上下動させるようにしている。移動基台案内パイプ11aの下端は、移動基台11に固定されており、移動基台案内パイプ11aが上下動する際は、移動基台11も同様に上下動する。
移動基台11と移動基台案内台12との間には、コイルバネ13が挿入されている。このコイルバネ13は、移動基台11を電子装置保基台9側に押圧するものである。
【0033】
実装体1は、被測定物載置面9aに載置されるが、その際にスプロケット孔2c、2cに前記位置案内ピン10、10が挿入することにより、実装体1の平面方向の位置出しが行われる。実装体1は、実装される半導体装置3が図4の(1)では上側になるように、即ち導電端子2bが同上側となるように載置される。
さらに、実装体1の同上方にプローブカード4、プローブカード4の同上方にプローブピン接触板7が配置される。即ち、実装体1が被測定物載置面9aに載置されてから、プローブカード4のプローブカード案内孔5b、5bを位置案内ピン10、10に挿入し、プローブピン接触板7のプローブピン接触板案内孔7c、7cを位置案内ピン10、10に挿入する。このため、位置案内ピン10、10は、電子装置保基台9に対して、実装体1とプローブカード4とプローブピン接触板7の平面位置を定めることになる。
【0034】
従って、被測定物載置面9aの上方には、順に実装体1、プローブカード4、プローブピン接触板7が配置されることになる。
その際に、プローブカード4のプローブピン6は、下側に突出している下端6aが実装体1の導通端子2bの各々に接触し、上側に突出している上端6bがプローブピン接触板7の裏面(図4の(1)の下側の面)に形成されているプローブピン接触端子7bに接触することになる。上記各接触は、前記コイルバネ13により移動基台11が下側に押圧され、移動基台11の下端の各段面で各々プローブカード4およびプローブピン接触板7を下側に押圧することにより確実になされる。なお、移動基台11が弾性材により構成されるようにすると、上記各接触はより確実になされる。
プローブピン接触板7の表面(図4の(1)では上側の面)に配置された外部接続端子7dは、各々導電線14が接合されており、各々の導電線14は、移動基台案内パイプ11aの中空部を通り、上方の制御装置に接続している。この制御装置は、半導体装置3の電気特性を測定(検査)するための信号を送受信するものである。
【0035】
〔プローブピンと導通端子との接触状況〕
ここで、プローブカード4のプローブピン6が実装体1の導通端子2bの各々に接触する状態について説明する。
図4の(2)において、プローブカード4のプローブピン6は、実装体1の半導体装置3が配置された中央部に対応する半導体装置対応領域5cには配設されていないが、導通端子2bが配列された領域に対応するプローブピン配置領域5aには多数が配設されている。
上記プローブピン6が上記半導体装置対応領域5cには配設されていないので、図4の(1)のように移動基台11が電子装置保基台9側に降下する際に、プローブピン6が半導体装置3に当たることがなく、従って、プローブピン配置領域5aのプローブピン6が、導通端子2bまで降下でき、導通端子2bに接触することが出来る。
【0036】
上記プローブピン配置領域5aでは、導通端子2bの各々に対して必ずどれか1個のプローブピン6が接触しており、その接触が可能なように多くのプローブピン6が配設されている。図4の(2)では、1つの導通端子2bと縦方向の隣接した導通端子2bとの間に、同時に横方向の隣接した導通端子2bとの間に、どの導通端子2bとも接触しないプローブピン6が配置されている。それは、プローブピン6の配設密度が、導通端子2bの配設密度より高く(濃く)配設していることを意味する。
導通端子2bに接触したプローブピン6は、プローブカード4のプローブ基台5を貫通し、貫通した先端の上端6bは、プローブピン接触板7のプローブピン接触端子7bに接触する。このプローブピン接触端子7bは、導通部材7eにより外部接続端子7dに導通しており、外部接続端子7dに接合された導電線14により前述の制御装置に接続するものである。
一方、いずれの導通端子2bにも接触していないプローブピン6は、上述のような接触および導通はなされない。
【0037】
上記プローブピン6を用いて、他の半導体装置が配置された他の実装体に使用する例について、具体的に説明する。
図5は、図4で使用したものと同じプローブカード4を用いて、上記プローブピン6が他の実装体の導通端子である導通端子102bに接触している状態を図示する平面配置図である。
図5に図示された上記導通端子102bは、図4の(2)に図示される導通端子2bに対して面積が大きく、配置個数が少なく、従って、配設密度が低く配設されている。図5には、導通端子102bは図示されているが、半導体装置の図示は省略し、また導通端子102bと半導体装置を導通する導電パターンの図示も省略した。但し、半導体装置と導電パターンは、図1と同様に構成される。
前記プローブピン6は、1つの導通端子102bに4個が接触しており、導通端子102bと隣接する導通端子102bとの間には横に2個と4個のプローブピン6が配置されている。
【0038】
上記1つの導通端子102bに接触している4個のプローブピン6は、前述と同様に、プローブ基台5を貫通し、その先端の上端6bが、プローブピン接触板のプローブピン接触端子107bに接触する。このプローブピン接触端子107bは、前述と同様に外部接続端子に導通しており、外部接続端子に接合された導電線により前述の制御装置に接続することは、前述と同様である。
なお、この場合のプローブピン接触板のプローブピン接触端子107bは、各導通端子102bに対応して各導通端子102bと同じレイアウト、及び同じ外径形状・広さに形成されているので、プローブピン6の上端6bは、各プローブピン接触端子107bに対して4本づつ接触することになる。すなわち4本1組のプローブピン6により、各導通端子102bとプローブピン接触端子107bとが導通することになる。
以上のように、図4の(1)に図示された導通端子2bのレイアウトを有する実装体1と、図5に図示された異なる導通端子102bのレイアウトを有する実装体とに、同じプローブカード4を共用でき、図4に図示の電気特性測定装置8によって、各々の異なる半導体装置の電気特性を測定することが出来るようになる。
従って、高価なプローブカード4を異なる実装体にも共通使用でき、従来のように各々の実装体毎に専用のプローブカードを用意することがなくなり、安価で、使いやすいプローブカード4と電気特性測定装置8を得ることが出来き、上記プローブカード4を用いて異なる実装体の電気特性を測定することができる。
【0039】
なお、上記他の導通端子102bは、図5に図示されたレイアウト、形状、大きさに限定されるものではなく、実装体により種々異なったレイアウト、形状、大きさのものでも適用可能である。例えば、導通端子2b、102bは、図4や図5では、四角形状の一重囲いにレイアウトされているが、その内側に二重目の囲い、その更に内側に三重目の囲い等、多重囲いに配列しても適用でき、導通端子102b同士の間隔を長く或いは短く配置しても適用できる。
他方、プローブピン6の配設レイアウトは、異なる複数個の実装体1の導通端子2b、102bのレイアウト状況により、どのような配置にするかを決定すればよい。
例えば、図4の(2)では、いずれの導通端子2bにも接触していないプローブピン6は、導通端子2bの配置密度がより高い(導通端子2b同士の間隔がより狭い)レイアウトを供えた他の実装体にも適応することができる。上記導通端子2bの配置密度が高いとは、その導通端子2b同士の間隔が狭くなるが、図4の(2)の場合の前記いずれの導通端子2bにも接触していないプローブピン6は、他の電子機器のより狭く配置された導通端子2bに接触させることができる。
いずれにしても、前記プローブピンは、前記導通端子の配置レイアウトが異なる2種類以上の半導体装置の電気特性を測定が可能なように、各半導体装置の各々の導通端子に少なくとも1個のプローブピンが接触できる配置レイアウトで配置されていることが肝要である。
【0040】
〔第2実施形態〕
本発明の第1実施形態は、予め定められた外形を有する実装基板2に実装された半導体装置3に対して適用されるプローブカード4と、そのプローブカード4を用いて半導体装置3の電気特性を測定する電気特性測定装置8、およびその電気特性の測定方法に関するものであった。
本発明の第2実施形態は、予め定められた外形を有する実装基板に代わりにテープ状の実装基板を用いることが第1実施形態と異なる。そのテープ状の実装基板には、多数個の半導体装置3が配置されている。また上記テープ状の実装基板を使用することができる電気特性測定装置としたものである。
その他は、基本的に第1実施形態と同様である。
【0041】
本発明の第2実施形態の電気特性測定装置208は、図6に図示されており、(1)はその主要部断面図、(2)は(1)のD−D位置で切断し矢印方向から見た主要平面配置図である。なお、図6の(2)において、便宜上、見えない主要部材は実線で表示した。
図6の(1)において、209は電子装置支持基台、209aは被測定物載置面、201はテープ状の実装基板202を備えたテープ状の実装体、4はプローブカード、7はプローブピン接触板、211は移動基台、211aは移動基台案内パイプ、12は移動基台案内台、13はコイルバネ、14は導電線である。
上記のうち、プローブカード4、プローブピン接触板7、移動基台案内台12、コイルバネ13、導電線14は、第1実施形態と同一のものである。
なお、第1実施形態で使用していた位置案内ピン7は使用していない。
位置案内ピン7を使用しないが、テープ状の実装体201は、電子装置支持基台209の被測定物載置面209aでの左右両壁により、幅方向の位置合わせがなされる。
【0042】
実装体201は、図6の(2)に平面図が図示されているように、テープ状で、その表面には、半導体装置3が実装され、半導体装置3の外周側には出力パッドとしての導通端子202b、半導体装置3の電極と導通端子202bとを接続する導電パターン202aが形成されている。なお、上記半導体装置3の周囲には半導体装置3を密封するように封止樹脂がモールドされていても良い。
この場合、半導体装置3は第1実施形態と同一のものであり、導通端子202bと導電パターン202aは、第1実施形態の導通端子2bと導電パターン2aと同様のレイアウトに形成されている。
図6の(2)の実装体201において、1つの半導体装置3、その周囲に形成されている導通端子202b、上記1つの半導体装置3とその周囲の導電パターン202aは、1組の実装モジュール205を構成しており、半導体装置3の電気特性測定が終了したならば、所定寸法のもとに周囲のテープ部分を切断するものであり、得られた個々の実装モジュール205は各電子機器に搭載されるようになる。
図6の(2)の実装体201においては、前記実装モジュール205がテープの長手方向に順次複数個が配置されている。
実装体201には、幅方向の両端にスプロケット孔202cが開口されており、テープ状の実装体201を所定位置まで搬送できるようにしている。この搬送装置は、図示を省略した。
【0043】
図6の(1)に図示された電気特性測定装置208は、電子装置支持基台209の被測定物載置面209aにテープ状の実装体201を載置し、実装体201の上方にプローブカード4を、その上方にプローブピン接触板7を配置する。
上記プローブカード4とその上方のプローブピン接触板7は、移動基台211の左右両壁及び前後両壁により平面方向の左右方向及び前後方向の位置案内をされながら断面方向にも保持される。この断面方向の保持は、例えば移動基台案内パイプ211aの上方より真空引きしてプローブカード4とプローブピン接触板7を移動基台211下端に保持する。
移動基台211が移動手段(図示せず)により上下動すること、移動基台案内台12が移動基台211の上下動を案内すること、コイルバネ13が移動基台211を電子装置支持基台209側に押し下げることなどは、第1実施形態と同様である。
【0044】
プローブカード4とプローブピン接触板7の現在の平面位置に対して実装体201の基準位置(例えば所定のスプロケット孔202c位置)が合致しているか否かは、例えば移動基台案内台12に設置したカメラにより画像確認し、両者が合致するように平面位置補正手段を設けてもよい。
この平面位置補正手段は、例えば、上記カメラにより実装体201の基準位置(所定のスプロケット孔202c位置)が移動基台案内台12の基準位置に一致するように、移動基台案内台12を平面方向のX軸方向とY軸方向に移動するX軸モーターとY軸モーターであり、この両モーターを移動基台案内台12に設置する。あるいは、上記一致がなされるようにテープ状の実装体201を搬送手段により搬送方向または逆搬送方向に移動させてもよい。
【0045】
図6の(1)のように各部材が配置され、プローブカード4のプローブピン6の下端6aが導通端子202bに接触し、プローブピン6の上端6bがプローブピン接触板7のプローブピン接触端子7bに接触することにより、半導体装置3の電気特性を測定できるもので、この点も第1実施形態と同様である。
図6の(2)に二点鎖線で記載された長方形状は、プローブカード4の外径形状を表している。
プローブピン接触板7は、プローブピン6の上端6bが接触するプローブピン接触端子7bが裏面に形成され、導電線14が接合される外部接続端子7dが表面に形成されているが、プローブピン接触端子7bと外部接続端子7dのレイアウトは、図3の(1)と同様である。
また、図6の(2)の導通端子のレイアウトとは異なるレイアウトの導通端子が形成された実装体を用いる場合、例えば図5のレイアウトで構成された導通端子102bの実装体を用いる場合には、同じプローブカード4を用いるが、導通端子102bに対するプローブピン6の配置関係は、図5の通りである。その場合、プローブピン接触板7のプローブピン接触端子7b、外部接続端子7dのレイアウトは、第1実施形態と同様に、図5に図示された導通端子102b、プローブピン接続端子107b、外部接触端子107dと同じレイアウトである。
以上のようにテープ状の実装体を用いて際に、導通端子のレイアウトが異なる複数の実装体であっても、プローブカードを共通使用できるものである。
【0046】
〔第3実施形態〕
第1実施形態、第2実施形態では、プローブカードのプローブピンはプローブ基台に固定されているものであった。
第3実施形態では、プローブカードのプローブピンは、プローブ基台に対して着脱可能に保持したものである。
電気特性の測定対象の電子機器、特に半導体装置は種々のものがあり、その半導体装置を実装した実装基板の前記導通端子も、種々のものが存在する。その場合、実装基板の前記導通端子のレイアウト、数、場所等も種々のものがあり、導通端子の配置領域が比較的狭い場合、比較的広い場合がある。また半導体装置の形状や広さにも種々のものがある。それらの全てのケースにおける全ての導通端子に接触することが出来るようにプローブピンをプローブカードに配置しておくことは、不可能に近い。
そこで、導通端子の配置領域が比較的広い場合には、プローブピンを増設でき、半導体装置の面積が広い場合には、中央付近のプローブピンを抜くなど、プローブピンをプローブ基台に対して着脱可能に構成することにより、より多くの異なる実装体にも適用できるプローブカードを提供することができる。
【0047】
上記の場合、全てのプローブピンをプローブ基台に対して着脱可能に構成してもよく、あるいはプローブピン配置領域において、比較的着脱が多いと予測される領域のプローブピンは上記のように着脱可能に構成し、比較的着脱が少ない領域のプローブピンは、着脱不可能にプローブ基台に固定しても良い。
上記着脱可能の領域は、例えばプローブピン配置領域のうち、中央部と外周部である。中央部は、半導体装置の大きさや形状が異なった実装体に対応しやすくするために着脱可能とし、外周部は、導通端子の配置、数、大きさなどが異なった場合に対応しやすくするためである。
【0048】
具体的には、プローブ基台に対して予め形成しておいた多数の孔にプローブピンを差込、あるいは抜き去りが可能なように構成する。
その好適な構造例は、図7に図示されている。
図7の(1)は、プローブカードのプローブ基台305を硬質合成ゴム等の弾性材で構成し、プローブ基台305にプローブピン案内孔305dを開けておき、このプローブピン案内孔305dにプローブピン306を押し込み固定するものである。
プローブピン案内孔305dは、下方の径小孔部305daと上方の径大孔部305dbとが形成されている。プローブピン306は、下方の径小部306aと上方の径大部306bとを構成している。
プローブピン306がプローブピン案内孔305dに対して上方から挿入されると、下方の径小部306aが径小孔部305daに押し込まれ、同時に上方の径大部306bが径大孔部305dbに押し込まれるので、プローブピン306の平面位置が定まる。プローブピン306の断面方向は、上方の径大部306bが径大孔部305dbの底部の段まで押し込まれることにより定まる。
この際、プローブピン案内孔305dにおいて、径小孔部305daと径大孔部305dbとの間の部分は、中間孔径に形成されており、その中間孔径の部分は径小部306aと径方向に隙間が生じているので、上記押し込みの際に、大きな押し込み力が無くとも無理無く押し込むことが出来る。
【0049】
図7の(2)もほぼ同様に、プローブカードのプローブ基台405を硬質合成ゴムで構成し、プローブ基台405にプローブピン案内孔405dを開けておき、このプローブピン案内孔405dにプローブピン406を押し込み固定する。
プローブピン案内孔405dは、下方の径小孔部405daと上方の径大孔部405dbとが形成されている。プローブピン406は、下方の径小部406aと上方の径大部406bとを構成している。
プローブピン406がプローブピン案内孔405dに対して上方から挿入されると、上方の径大部406bが径大孔部405dbに押し込まれると、この径大部406bが径大孔部405dbとの接触長さが長いので、プローブピン406の平面位置が定まる。プローブピン406の断面方向では、径大部406bが径大孔部405dbの底部の段まで押し込まれるので、断面方向の位置が定まる。
この際、プローブピン案内孔405dにおいて、径小孔部405daと径小部406aとの径方向に隙間が生じているので、径小部406aが細くても押し込み時に径小部406aが折り曲がるなどの損傷を防止することができる。
【0050】
図7の(3)は、プローブカードのプローブ基台505に対して、プローブピン506をネジ込み固定するものである。プローブ基台505は、剛体であってもよい。
プローブピン506の長さ方向中間部にネジ部506aを形成しておき、プローブ基台505にも同様に形成したネジ部にねじ込むものである。
ネジ部506aの下側ピン部分及び上側ピン部分は、ネジ部506aのネジ谷径より細く構成しておくと、上記下側ピン部分及び上側ピン部にはネジ溝が形成されず、それらの強度の低下を防止することができる。
図7の(1)〜(3)の各図において、プローブピン306、406、506をプローブ基台305、405、505に挿入し、必要に応じて高さ方向の位置を確認後に、接着材により固定するようにしてもよい。その場合は、プローブピン306、406、506をプローブ基台305、405、505から取り外すことが困難であるから、多くの場合は取り外すことが必要ないと判断された場合に限られる。
【0051】
〔変形例1〕
上記各実施形態では、実装基板はフレキシブル基板であったが、リジッド基板を用いてもよく、半導体装置の実装基板への実装構造は、上記構造以外でもよく、例えば、半導体装置の電極形成面を表側にして裏側を実装基板に接合し、その電極と実装基板の導電パターンとをワイヤーボンディングで導通させるようにしても良い。
【0052】
〔変形例2〕
上記各実施形態では、プローブカードのプローブピンが接触する対象は、半導体装置の電極に導通している導電パターンの先端に形成された導通端子であったが、それ以外の部分でも良い。
例えば、プローブカードのプローブピンが接触する対象が、実装基板に実装された半導体装置の表面に形成されている電極でもよい。各プローブピンが上記電極に直接接触するので、プローブピン同士の間隔は狭くしておく必要がある。
あるいは、各プローブピンが、シリコンウエーハー表面に多数個配置された半導体装置であってもよい。この状態の各半導体装置の電極に各プローブピンが接触するものである。この際は、各半導体装置がシリコン等のウエーハーから切り出す前に電気特性の測定を行えるので、不要な半導体装置を切り出すムダを省くことができる。
【0053】
〔変形例3〕
第1実施形態及び第2実施形態では、図4及び図6に図示したように、プローブカードに対向してプローブピン接触板を用いていたが、プローブピン接触板を用いずに電子装置の各導通端子に接触している各プローブピンを、半導体装置の電気特性を測定するための信号を送受信させる制御装置に導通させるようにしても良い。例えば、上記各プローブピンの上端に導電ワイヤーを接合させて、その導電ワイヤーを制御装置に導通させるようにしても良い。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明のプローブカードおよびプローブカードを用いた電子装置の電気特性測定装置は、プローブピンを電子装置を実装した実装体の導通端子に接触させて用いても良く、プローブピンを電子装置の電極に直接接触して用いても良いものである。
なお、本発明は、本発明の特徴を用いているならば、前述した以外の構造及び電気特性測定方法を採用することを含むものである。
【符号の説明】
【0055】
1、201:実装体、2、202:実装基板、2a、202a:導電パターン、2b、102b、202b:導通端子(出力パッド)、2c、202c:スプロケット孔、3:半導体装置、4:プローブカード、5、305、405、505:プローブ基台、5a、プローブピン配置領域、5b:プローブカード案内孔、5c:半導体装置対応領域、6、306、406、506:プローブピン、6a:下端、6b:上端、7:プローブピン接触板、7a:プローブピン接触板基板、7b、107b:プローブピン接触端子、7c:プローブピン接触板案内孔、7d:外部接続端子、7e:導通部材、8、208:電気特性測定装置、9、209:電子装置支持基台、9a、209a:被測定物載置面、10:位置案内ピン、11、211:移動基台、11a、211a:移動基台案内パイプ、12:移動基台案内台、12a:案内穴、13:コイルバネ、14:導電線、205:実装モジュール、305d、405d:プローブピン案内孔、305da、405da:径小孔部、305db、405db:径大孔部、306a、406a:径小部、306b、406b:径大部、506a:ネジ部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子装置の多数の導通端子に接触可能な多数のプローブピンが配設されたプローブカードであって、
前記プローブピンは、前記導通端子の配置レイアウトが異なる2種類以上の前記電子装置の電気特性を測定可能なように、各電子装置の各々の導通端子に少なくとも1個のプローブピンが接触できる配置レイアウトで配置されている
ことを特徴とするプローブカード。
【請求項2】
請求項1に記載されたプローブカードであって、
前記プローブカードは、プローブ基台を備え、
前記プローブピンは、前記プローブ基台を貫通しており、
前記プローブピンの一端は、前記プローブ基台の下面から突出しており、
前記プローブピンの他端は、前記プローブ基台の上面から突出している
ことを特徴とするプローブカード。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載されたプローブカードであって、
前記プローブピンは、前記プローブ基台に対して着脱可能である
ことを特徴とするプローブカード。
【請求項4】
請求項1から請求項3のうちいずれかに記載されたプローブカードを用いて前記2種類以上の電子装置の電気特性を測定するように構成された
ことを特徴とする電子装置の電気特性測定装置。
【請求項5】
請求項4に記載された電子装置の電気特性測定装置であって、
前記電気特性測定装置は、
前記電子装置を支持する電子装置支持基台と、
前記支持された前記電子装置を基準にして電子装置支持基台の配置側とは反対側に配置されている前記プローブカードを基準として、前記電子装置の配置側とは反対側に配置されたプローブピン接触板と、
前記プローブカードとプローブピン接触板とを前記電子装置に対して相対的に移動する移動基台と、を供え、
前記プローブピン接触板は、前記プローブカードに対向するプローブカード対向面に、プローブピン接触端子が配置されており、
前記プローブピン接触端子は、前記導通端子の配置レイアウトとほぼ同様の配置レイアウトで配置されるとともに、前記電子装置の電気特性を測定する信号を送信または受信する制御装置に導通しており、
前記プローブピンは、その一端が前記電子装置の導通端子に接触可能であり、他端が前記プローブピン接触板の前記プローブピン接触端子に接触可能である、
ことを特徴とする電子装置の電気特性測定装置。
【請求項6】
請求項1から請求項3のうちいずれかに記載されたプローブカードを用いて、
前記2種類以上の電子装置の電気特性を測定する
ことを特徴とする電子装置の電気特性測定方法。





【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−163850(P2011−163850A)
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−25258(P2010−25258)
【出願日】平成22年2月8日(2010.2.8)
【出願人】(591093494)株式会社ミスズ工業 (58)
【Fターム(参考)】