説明

プローブカード移載補助装置及び検査設備

【課題】大重量化したプローブカードであってもオペレータの負担を軽減し、円滑にプローブカードを移載することができるプローブカード移載補助装置及び検査設備を提供する。
【解決手段】本発明のプローブカード移載補助装置55は、プローブカード51を保持する保持具551と、保持具551が先端部に取り付けられた伸縮可能なアーム552と、アーム552を支持する旋回自在な支持体553と、支持体553を介してプローブカード51を重量別に昇降させる昇降駆動装置554と、を備え、保持具551は、上下の第1、2の部材551A、551Bと、これらを連結する4本のバネ部材551Cと、第1の部材551Aに取り付けられた4本のワイヤ551Dと、第1、第2の部材551A、551Bの間隔を検出する容量センサ551Eと、を有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プローブカードを用いてウエハ等の被検査体の電気的特性検査を行う検査装置を複数備えた検査設備に関し、更に詳しくは、検査設備内で検査装置と搬送台車との間でプローブカードの移載作業を補助するプローブカード移載補助装置及び検査設備に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の検査装置は、例えば図7に示すように、被検査体(例えば、ウエハ)Wを搬送するローダ室1と、ローダ室1に隣接し且つローダ室1から受け取ったウエハWの電気的特性検査を行うプローバ室2と、を備えて構成されている。プローバ室2は、同図に示すように、X、Y、Z及びθ方向に移動可能に配設され且つウエハを載置する載置台(ウエハチャック)3と、このウエハチャック3の上方に配置されたカードホルダ付きプローブカード4と、プローブカード4を保持するクランプ機構5と、を備えている。プローバ室2内ではウエハチャック3がX、Y、Z及びθ方向に移動する間にアライメント機構6を介してウエハWとプローブカード4のプローブ4Aとのアライメントを行った後、ウエハWのインデックス送りを行いながらウエハの電気的特性検査を実行する。尚、アライメント機構6は、上カメラ6A及び下カメラ6Bを有している。Tはテストヘッドである。
【0003】
而して、プローブカード4をプローバ室2内のクランプ機構5に着脱する場合には、例えば本出願人が特開2001−24039号において提案したカード搬送装置が用いられる。このカード搬送装置は、図8に示すように、ウエハチャック3と、このウエハチャック3との間でプローブカード4を受け渡す受け渡し機構7とを備えている。受け渡し機構7は、図8に示すように、カードホルダ付きプローブカード4を着脱自在に保持するアダプタ8と、このアダプタ8を着脱自在に保持するように先端部が二股に分かれたフォーク状のアーム9と、このアーム9を矢印A方向に押し込んでプローブカード4を受け渡し位置まで移動案内する一対のガイドレール10と、これらのガイドレール10が固定されたアーム支持体11とを備え、アーム9とウエハチャック3に装着されたアダプタ支持体12との間でプローブカード4を搭載したアダプタ8の受け渡しを行なう。
【0004】
そして、カード搬送装置を用いてプローブカード4をクランプ機構5に装着する場合には、オペレータ等が受け渡し機構7上にカードホルダ付きプローブカード4を設置した後、カード搬送装置を介してクランプ機構5の真下まで搬送し、この位置からウエハチャック3を上昇させた後、クランプ機構5でプローブカード4を検査装置本体側に固定する。尚、図8において、13は受け渡す受け渡し機構7を矢印Bと反対方向に折り畳んで収納する収納部である。
【0005】
ところで、プローブカード4をカード搬送装置に設置する場合には、オペレータが所定の収納棚から検査装置までプローブカード4を運んで設置するか、オペレータが搬送台車等を用いて収納棚から検査装置まで運び、搬送台車からカード搬送装置に移載して設置するなどしている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、近年のプローブカード4の大型化に伴って、その重量が15〜25Kgと大重量化しているため、例えばオペレータ等がプローブカード4を搬送台車から持ち上げてカード搬送装置に移載して設置するには大きな力を必要とする上に、プローブカード4を持ち上げる際に掴む部分が制限され、取り扱いに慎重を要するため、オペレータに過度の負担がかかるという課題があった。
【0007】
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、大重量化したプローブカードであってもオペレータの負担を軽減し、円滑にプローブカードを移載することができるプローブカード移載補助装置及び検査設備を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の請求項1に記載のプローブカード移載補助装置は、電気的検査装置に用いられるプローブカードの移載作業を補助するプローブカード移載補助装置であって、上記プローブカードの一対の取っ手を紐状部材で吊り下げて保持する保持部と、上記保持部を移動可能に支持する支持部と、上記支持部を昇降させる手段と、を備えたことを特徴とするものである。
【0009】
また、本発明の請求項2に記載のプローブカード移載補助装置は、請求項1に記載の発明において、上記保持部は、上記紐状部材が複数取り付けられた第1の部材と、第1の部材の上方に配置され且つ第1の部材が昇降可能に連結された第2の部材と、第1、第2の部材の間隔の変化を検出するセンサと、を有することを特徴とするものである。
【0010】
また、本発明の請求項3に記載のプローブカード移載補助装置は、請求項1または請求項2に記載の発明において、上記保持部は、上記支持部から張り出す伸縮可能なアームに取り付けられていることを特徴とするものである。
【0011】
また、本発明の請求項4に記載のプローブカード移載補助装置は、請求項3に記載の発明において、上記支持部の昇降手段は、上記アームを昇降させるシリンダ機構と、上記シリンダ機構に駆動流体を供給する流路を開閉するバルブと、上記駆動流体の圧力を制御するレギュレータと、上記レギュレータに対して上記プローブカードの重量を予め入力する入力端子と、上記駆動流体の圧力を検出する圧力センサと、を有することを特徴とするものである。
【0012】
また、本発明の請求項5に記載のプローブカード移載補助装置は、請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の発明において、上記支持部の昇降手段は、上記プローブカードを押し上げる方向に補助力を付与するように構成されていることを特徴とするものである。
【0013】
また、本発明の請求項6に記載のプローブカード移載補助装置は、請求項5に記載の発明において、上記補助力は、上記プローブカードの重量に対応して変更可能に構成されていることを特徴とするものである。
【0014】
また、本発明の請求項7に記載のプローブカード移載補助装置は、請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の発明において、上記検査装置に付設したことを特徴とするものである。
【0015】
また、本発明の請求項8に記載のプローブカード移載補助装置は、請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の発明において、上記検査装置と上記検査装置に用いられるプローブカードを搬送する搬送手段との間で上記プローブカードの移載作業を補助する際に、上記検査装置と上記搬送手段の間に介在することを特徴とするものである。
【0016】
また、本発明の請求項9に記載のプローブカード移載補助装置は、請求項8に記載の発明において、上記搬送手段は、搬送台車であることを特徴とするものである。
【0017】
また、本発明の請求項10に記載の検査設備は、電気的検査装置と、この電気的検査装置に用いられるプローブカードの移載作業を補助するプローブカード移載補助装置と、を備え、上記プローブカード移載補助装置は、上記プローブカードの一対の取っ手を紐状部材で吊り下げて保持する保持部と、上記保持部を移動可能に支持する支持部と、上記支持部を昇降させる手段と、を備えたことを特徴とするものである。
【0018】
本発明の請求項11に記載の検査設備は、請求項10に記載の発明において、上記保持部は、上記保持部は、上記紐状部材が複数取り付けられた第1の部材と、第1の部材の上方に配置され且つ第1の部材が昇降可能に連結された第2の部材と、第1、第2の部材の間隔の変化を検出するセンサと、を有することを特徴とするものである。
【0019】
また、本発明の請求項12に記載の検査設備は、請求項10または請求項11に記載の発明において、上記保持部は、上記支持部から張り出す伸縮可能なアームに取り付けられていることを特徴とするものである。
【0020】
また、本発明の請求項13に記載の検査設備は、請求項12に記載の発明において、上記支持部の昇降手段は、上記アームを昇降させるシリンダ機構と、上記シリンダ機構に駆動流体を供給する流路を開閉するバルブと、上記駆動流体の圧力を制御するレギュレータと、上記レギュレータに対して上記プローブカードの重量を予め入力する入力端子と、上記駆動流体の圧力を検出する圧力センサと、を有することを特徴とするものである。
【0021】
また、本発明の請求項14に記載の検査設備は、請求項10〜請求項13のいずれか1項に記載の発明において、上記支持部の昇降手段は、上記プローブカードを押し上げる方向に補助力を付与するように構成されていることを特徴とするものである。
【0022】
また、本発明の請求項15に記載の検査設備は、請求項14に記載の発明において、上記補助力は、上記プローブカードの重量に対応して変更可能に構成されていることを特徴とするものである。
【0023】
また、本発明の請求項16に記載の検査設備は、請求項10〜請求項15のいずれか1項に記載の発明において、上記検査装置に付設したことを特徴とするものである。
【0024】
また、本発明の請求項17に記載の検査設備は、請求項10〜請求項15のいずれか1項に記載の発明において、上記検査装置と上記検査装置に用いられるプローブカードを搬送する搬送手段との間で上記プローブカードの移載作業を補助する際に、上記検査装置と上記搬送手段の間に介在することを特徴とするものである。
【0025】
また、本発明の請求項18に記載の検査設備は、請求項17に記載の発明において、上記搬送手段は、搬送台車であることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0026】
本発明の請求項1〜請求項18に記載の発明によれば、重量化したプローブカードであってもオペレータの負担を軽減することができるプローブカード移載補助装置及び検査設備を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、図1〜図6に示す実施形態に基づいて本発明を説明する。尚、図1は本発明の検査設備の一実施形態を示す平面図、図2の(a)、(b)はそれぞれ図1に示す検査設備に適用されるプローブカード移載補助装置を示す図で、(a)はその要部を示す斜視図、(b)は(a)の側面図、図3は図2に示すプローブカード移載補助装置の保持部を拡大して示す斜視図、図4の(a)〜(c)はそれぞれ図2に示すプローブカード移載補助装置の保持部でプローブカードを保持した状態を示す図で、(a)はその側面図、(b)は第2の部材を示す平面、(c)は第1の部材を示す平面図、図5の(a)、(b)はそれぞれ図3に示す保持部を示す図で、(a)はその側面図、(b)はその正面図、図6は図2に示すプローブカード移載補助装置の昇降駆動装置の構成を示すブロック図である。
【0028】
本実施形態の検査設備50は、例えば図1に示すように、被検査体(例えば、ウエハ)(図示せず)の電気的特性検査を行うためのプローブカード51を有する検査装置52と、検査装置52が複数配置された通路53に従ってプローブカード51を搬送する搬送台車54と、搬送台車54と各検査装置52の装置本体52Aに設けられたカード搬送装置52Bとの間においてプローブカード51の移載作業を補助するプローブカード移載補助装置55と、を備えて構成されている。検査装置52は、同図では回転駆動機構52Cを介してテストヘッドTが通路53側へ旋回された状態で示されている。プローブカード51は、収納棚(図示せず)に保管され、プローブカード51を交換する時などに搬送台車54を用いて収納棚と複数の検査装置52との間で搬送される。尚、図1では1台の検査装置52のみを図示してある。
【0029】
しかしながら、プローブカード51は、ウエハの大口径化やICチップの超高集積化等に伴って大型化、大重量化しているため、オペレータが持ち運ぶことは勿論のこと、検査装置52と搬送台車54のカード搬送装置52Bとの間で移載作業を行うにも大きな負担がかかる。そこで、本実施形態では、オペレータが収納棚と検査装置52の間でプローブカード51を運ぶ場合には搬送台車54を使用し、搬送台車54と検査装置52のカード搬送装置52Bとの間でプローブカード51の移載作業を行う場合にはプローブカード移載補助装置55を使用して、オペレータの負担を軽減している。オペレータがプローブカード移載補助装置55を使用する場合には、プローブカード移載補助装置55の保持部でカード搬送装置52B上または搬送台車54上のプローブカード51を保持し、保持を解除する作業を行うだけで実質的な力仕事を格段に軽減することができる。搬送台車54と検査装置52のカード搬送装置52Bとの間でプローブカード51を移載する時には、オペレータがプローブカード移載補助装置55を操作する。尚、搬送台車54は、複数枚のプローブカード51を収納するように複数段に渡って引き出し可能に設けられた棚を有し、これらの棚にトレイに収納されたプローブカード51を収納するようにしてある。
【0030】
而して、プローブカード移載補助装置55は、図2の(a)、(b)に示すように、プローブカード51を保持する保持具551と、この保持具551が先端部に取り付けられた伸縮可能なアーム552と、このアーム552を支持する旋回可能な支持体553と、この支持体553を介してプローブカード51を重量区分して昇降させる昇降駆動装置554を構成するエアシリンダ554Aと、を備え、検査装置52の側方に付設されている。
【0031】
アーム552は、図2の(a)、(b)に示すように、第1アーム552Aと、第1アーム552Aに対して摺動自在に取り付けられた第2アーム552Bと、を有し、第2アーム552Bが第1アーム552Aに対して前後に移動して伸縮するように構成されている。また、アーム552には操作ハンドル552Cが取り付けられ、操作ハンドル552Cを掴んでアーム552を操作するようにしてある。アーム552の長さは、調整部材552Dを用いて第1アーム552Aにおける第2アーム552Bの位置を固定して適宜設定できるようにしてある。
【0032】
アーム552は、図2の(a)、(b)に示すように第1アーム552Aの基端部が支持体553の上端部に取り付けられた連結具555にピン結合され、最も縮んだ状態で支持体553側へ折り畳み可能に構成されている。即ち、アーム552の基端は第1ピン552Eを介して連結具555にピン結合され、支持体553の上下方向のやや上部にはピンを有するブラケット556が取り付けられている。そして、第1ピン552Eとブラケット556のピンにはリンク557の両端部が連結されている。従って、アーム552はリンク557を介して水平方向まで起こせるようになっている。リンク557のアーム552側の端部には第2ピン557Aが取り付けられ、また、支持体553の側面には引っ掛け部材558が取り付けられ、この引っ掛け部材558を第2ピン557Aに引っ掛けてアーム552を水平に維持するようにしている。
【0033】
支持体553及びエアシリンダ554Aは、図2の(a)、(b)に示すように、いずれも基台559の先端部に回転自在に取り付けられた回転体560側に連結され、基台559の先端部で回転体560を介して旋回するように構成されている。また、支持体553の背面には支持体553の上下方向に沿ってガイドレール561が一体的に取り付けられ、このガイドレール561と係合するブロック561Aが回転体560に固定されている。また、エアシリンダ554Aは、同図の(b)に示すようにシリンダ本体の上下両端部が回転体560及びこれから下方に垂下する支柱560Aで垂直に支持されている。そして、支持体553の上端部には支持体553の昇降動作と旋回動作を先導する先導部材561Bが設けられ、この先導部材561Bの一部が逆U字状の溝を有するガイド部材561Cの溝に挿入されている。尚、図2の(b)において、554aはシリンダカバーで被覆されたシリンダロッドである。
【0034】
さて、アーム552先端の保持具551は、図3〜図5に示すように、円形状の第1の部材551Aと、第1の部材551Aの中心の上方に配置され且つ第1の部材551Aと略同一径に形成された円形状の第2の部材551Bと、第2の部材551Bに対して第1の部材551Aを連結する複数(本実施形態では、4本)の弾性部材(例えば、バネ部材)551Cと、第1の部材551Aの下面に取り付けられた複数(本実施形態では、4本)のワイヤ551Dと、第1、第2の部材551A、551Bの間隔の変化を検出するカード検出センサ(例えば、容量センサ)551Eと、を有している。この保持具551は、同図に示すように側面形状がL字状の固定具562を介してアーム552の先端に固定されている。第1の部材551は扁平な側壁を有する有底筒状に形成され、第2の部材551Bは板状に形成され、第1、第2の部材551A、551Bは、同一軸芯上に配置されている。ワイヤ551Dの自由端(下端)にはフック551Fが取り付けられ、このフックを取っ手551Aの角に設けられた孔に引っ掛けてプローブカード51を吊り上げるようにしてある。
【0035】
図3、図4に示すように、バネ部材551Cは、第1の部材551Aの側壁の内面に沿って周方向に等間隔を空けて配置されて、第1の部材551Aと第2の部材551Bを連結している。また、第1の部材551Aの側壁の上面には周方向等間隔を空けて複数(本実施形態では4本)の伸縮機構551Gが配置され、これらの伸縮機構551Gによって第1の部材551Aと第2の部材551Bを昇降可能に連結している。伸縮機構551Gは、例えば、第1の部材551Aの側壁に立設されたロッドと、第2の部材551Bから垂下するドライブッシュとからなり、バネ部材551Cの伸縮と同期してロッドがドライブッシュ内で上下動する。4本のバネ部材551Cと4本の伸縮機構551Gは、図4の(c)に示すように互いに周方向に45°ずつ偏倚して配置されている。
【0036】
図3、図4の(a)に示すように、第2の部材551Bの中央から例えば円柱状の昇降ガイド551Hが垂下し、昇降ガイド551Hは第1の部材551Aの底面中央に形成された孔を貫通している。昇降ガイド551Hの下端にはフランジが形成され、このフランジでプローブカード51の自重で下降する第1の部材551Aを係止するようにしてある。
【0037】
また、カード検出センサ551Eは、図3、図4の(b)に示すように第1の部材551Aの側壁上面に周方向に互いに180°隔てて2個配置されている。これらのカード検出センサ551Eは、プローブカード51の自重で第1の部材551Aがバネ部材551Cのバネ力に抗して昇降ガイド551Hに沿って下降した時に、第1、第2の部材551A、551Bの間隔の変化に基づいてプローブカード51を保持したことを検出するようにしてある。カード検出センサ551Eは、後述するように昇降駆動装置554の制御部に対して電気的に接続されている。尚、本実施形態ではカード検出センサ551Eを第1の部材551Aに設けてあるが、第2の部材551B側に設けても良い。また、カード検出センサ551Eは、容量センサ以外にも光学センサ等を用いることもできる。
【0038】
また、プローブカード移載補助装置55で取り扱うプローブカード51は、例えば図2の(a)、(b)に示すように構成されている。即ち、プローブカード51は、同図に示すように、例えば回路基板からなる略円形状のカード本体51Bと、カード本体51Bの上面に取り付けられた補強部材51Cと、カード本体51Bの下面中央部に取り付けられた複数のプローブを有するコンタクタ(図示せず)と、を有している。補強部材51Cは、カード本体51Bの中央部に形成された矩形部51Dと、矩形部51Dからカード本体51Aの外周まで放射状に伸びる放射状部51Eと、放射状部51Eの径方向中ほどに形成されたリング状部51Fとからなっている。矩形部51Dの上面左右にはそれぞれ取付部材51Gを介して一対の取っ手51Aが取り付けられている。取っ手51Aは、不使用時にはそれぞれ外側に倒せるようになっている。
【0039】
アーム552を昇降させる昇降駆動装置554は、例えば図6に示すように、エアシリンダ554Aと、エアシリンダ554Aに駆動流体(圧縮空気)を供給する配管554Bを開閉する電磁バルブ(例えば3ポートバルブ)554Cと、圧縮空気の圧力をプローブカード51の重量に即して制御する電空レギュレータ554Dと、電空レギュレータ554Dに対してプローブカード51の重量に見合った圧縮空気の圧力値を予め選択して入力する入力端子554Eと、圧縮空気の圧力を検出する圧力センサ554Fと、を有し、入力端子554Eからの入力値に基づいて電磁バルブ554Cと電空レギュレータ554Dが協働してエアシリンダ554Aを駆動制御する。
【0040】
更に、昇降駆動装置554は、操作ハンドル552Cを掴んで操作する時に機能する操作スイッチ554G(図6参照)を有し、後述するように、操作スイッチ554Gがカード検出センサ551Eと協働して電磁バルブ554Cと電空レギュレータ554Dとを開閉制御するようにしてある。即ち、カード検出センサ551E及び操作スイッチ554Gは、制御部554Hを介して入力端子554Eに対して電気的に接続され、カード検出センサ551E及び操作スイッチ554Gの双方がオンの時に制御部554Hを介して入力端子554Eの入力値に基づいて電空レギュレータ554Dが作動すると共に電磁バルブ554Cが開状態になる。
【0041】
更に云えば、カード検出センサ551E及び操作スイッチ554Iの双方がオンの時には、制御部554Hを介して電磁バルブ554Cを開いて電空レギュレータ554Dの制御下でエアシリンダ554Aに圧縮空気を供給する。また、カード検出センサ551E、操作スイッチ554Gのいずれか一方がオフの時には制御部554Hを介して電磁バルブ554Cを閉じて、圧縮空気をエアシリンダ554A内に封止し、エアシリンダ554Aを止めてアーム552を下降途中で停止させる。例えば、プローブカード51の重量が入力端子554Eの入力重量より大きい時には、操作ハンドル552Cを掴んでアーム552を旋回させる時に、エアシリンダ554Aの押上げ力が不足し、アーム552が自重で下降し始める。この時、それに気付かないオペレータの手から操作ハンドル552Cが離れると、操作スイッチ554Gがオフになって電磁バルブ554Cを閉じ、それまでエアシリンダ554Aに供給された圧縮空気がエアシリンダ554A内に封止される。これによって、アーム552がプローブカード51の自重で下降して、圧縮空気の働きでアーム552は途中で停止し、プローブカード51の落下を防止することができる。また、入力端子554Eにプローブカード51の重量を過小に設定した場合にも、操作ハンドル552Cがオペレータの手を離れ、上述した場合と同様にエアシリンダ554Aの急激な上昇を停止させる。尚、図6において、554Iはミストセパレータである。
【0042】
次に、動作について説明する。検査設備50において、オペレータが検査装置52のプローブカード51を装着しあるいは交換する時には、収納棚からプローブカード51を取り出し、搬送台車54にプローブカード51をトレイと一緒に必要枚数収納する。そして、オペレータは、図1に示すように搬送台車54を目的の検査装置52まで移動させる。
【0043】
オペレータは、棚の上にトレイと一緒に収納されたプローブカード51を棚に載せた状態で搬送台車54から引き出し、搬送台車54の上面に載せる。プローブカード51のみをプローブカード移載補助装置55を使用して検査装置52に移載する。プローブカード移載補助装置55を使用する場合には、昇降駆動装置554の入力端子554Eを介してプローブカード51の重量を予め設定する。そして、アーム552を起こし、引っ掛け部材558を第2ピン557Aに引っ掛けてアーム552を水平に維持する。この状態で操作ハンドル552Cを操作してアーム552を旋回させ、保持具551をプローブカード51の略中央に合わせる。
【0044】
次いで、操作ハンドル552Cを用いて保持具551を押し下げてワイヤ551Dのフックを取っ手51Aの孔に引っ掛けられるようにする。この状態でプローブカード51の取っ手51A、51Aを起こし、4本のワイヤ551Dのフック551Fを一対の取っ手51A、51Aの孔にそれぞれ掛ける。そして、オペレータが操作スイッチ554Gをオンにすると、圧力センサ554Fは正常な圧縮空気の圧力を検出してオンとなっているため、電磁バルブ554Cは開状態となり電空レギュレータ554Dの制御下でエアシリンダ554A内にプローブカード51の入力重量に基づいた所定圧力の圧縮空気が供給される。これによりアーム552及び保持具551が上昇してワイヤ551Dが伸びて弛みが取れ、更にアーム552が上昇すると保持具551の第2の部材551Bがバネ部材551Cにバネ力に抗して上昇し、第1の部材551Aとの間隔が変化すると、カード検出センサ551Eが作動し、プローブカード51を検出し、搬送台車54の棚からプローブカード51を持ち上げる方向に補助力が付与される。これにより第2の部材551Bが上昇し、昇降ガイド551Hのフランジが第1の部材551Aに当たると、プローブカード51が搬送台車54の棚から持ち上げられる。この状態でオペレータは操作ハンドル552Cを操作して、アーム552を検査装置52側へ旋回させ、プローブカード51を検査装置52のカード搬送装置52Bの真上まで搬送する。
【0045】
カード搬送装置52Bの真上で操作スイッチ554Gをオフにして操作ハンドル552Cを押し下げ、プローブカード51をカード搬送装置52B上に着地させた後、プローブカード51をカード搬送装置52B上に着地させる。その後、ワイヤ551Dのフック551Fを取っ手51A、51Aから外し、保持具551からプローブカード51を解放し、プローブカード51の移載作業を終了する。
【0046】
しかし、万一、プローブカード51の重量を、例えば実際の重量よりも軽いものとして誤って入力端子554Eに入力し、操作ハンドル552Cを掴んで操作スイッチ554Gがオンになってエアシリンダ554Aが電空レギュレータ554Dの制御下で作動すると、アーム552を旋回させる際にアーム552がプローブカード51の過大重量で降下し、操作ハンドル552Cがオペレータの手から離れることがある。この場合には、操作スイッチ554Gが自動的にオフになって電磁バルブ554Cを閉じて、エアシリンダ554A内にそれまで供給された圧縮空気を封止する。これによってアーム552は多少下降しても、その間のエアシリンダ554A内の圧縮空気の昇圧によって途中でアーム552の降下が止まり、プローブカード51が搬送台車54等に衝突することもなく、プローブカード51を損傷から防止することができる。
【0047】
また、検査装置52から搬送台車54へプローブカード51を移載する場合にも上述した手順でプローブカード移載補助装置55を使用することで、プローブカード51を円滑に移載することができる。
【0048】
以上説明したように本実施形態によれば、ウエハの電気的特性検査を行うためのプローブカード51を有する検査装置52(図1では1台のみ図示してある)と、この検査装置52が複数配置された通路53に従ってプローブカード51を搬送する搬送台車54と、この搬送台車54と各検査装置52の装置本体52Aに設けられたカード搬送装置52Bとの間においてプローブカード51の移載作業を補助するプローブカード移載補助装置55と、を備えた検査設備50であって、プローブカード移載補助装置55は、プローブカード51を、その取っ手51Aを掛けて保持する保持具551と、この保持具551が先端部に取り付けられた伸縮可能なアーム552と、このアーム552を支持する旋回自在な支持体553と、この支持体553を介してプローブカード51を重量区分して昇降させる昇降駆動装置554と、を備えているため、保持具551のワイヤ551Dでプローブカード51を保持し、昇降駆動装置554でアーム552を搬送台車54または検査装置52のカード搬送装置52Bから持ち上げ、操作ハンドル552Cを操作してアーム552を旋回させるだけで、オペレータは力仕事を伴うことなくプローブカード51を搬送台車54と検査装置52のカード搬送装置52Bとの間で容易に移載することができ、オペレータの負荷を格段に軽減することができる。また、保持具551でプローブカード51を保持して搬送する時に、アーム552の剛性が不十分でアーム552が撓んでも、アーム552の撓みがなくなるまで昇降駆動装置554で保持具551を十分に下降させれば、ワイヤ551Dが張っていない状態でプローブカード51の取っ手51A、51Aに対してワイヤ551Dを着脱することができるため、プローブカード51を安定的に移載することができる。
【0049】
また、本実施形態によれば、保持具551は、第1の部材551Aと、第1の部材551Aの中心の上方に配置され且つ第1の部材551と略同一径に形成された円形状の第2の部材551Bと、第2の部材551Bに対して第1の部材551Aを昇降可能に連結するバネ部材551Cと、第1の部材551Aの下面に取り付けられた4のワイヤ551Dと、第1、第2の部材551A、551Bの間隔の変化を検出するカード検出センサ551Eと、を有するため、カード検出センサ551Eによって保持具551でプローブカード51を保持したことを確実に検出することができる。また、昇降駆動装置554は、カード検出センサ551E及び操作スイッチ554G双方からの検出信号に基づいてアーム552に補助力を付与し、プローブカード51を持ち上げることができる。
【0050】
また、アーム552は、縮んだ状態で回転体560を中心に旋回して保持具551で保持されたプローブカード51を移動させるため、アーム552の基端を中心とする移動範囲を最小限に抑えることができる。従って、検査設備50の省スペース化のため複数の検査装置52が密集し、隣り合う検査装置52間の間隔が狭くてこの隙間に搬送台車54を配置できなくても、通路53に配置した搬送台車54から検査装置52側へのアーム552の旋回領域を確保することができると共にオペレータの入るスペースを確保することができる。
【0051】
また、昇降駆動装置554は、アーム552を昇降させるエアシリンダ554Aと、エアシリンダ554Aに圧縮空気を供給する配管554Bを開閉する電磁バルブ554Cと、圧縮空気の圧力をプローブカード51の重量に即して制御する電空レギュレータ554Dと、電空レギュレータ554Dに対してプローブカード51の重量を予め入力する入力端子554Eと、圧縮空気の圧力を検出する圧力センサ554Fと、を有するため、プローブカード51の重量に即してエアシリンダ554Aの駆動力を制御することができる。また、プローブカード51の重量を重量センサで測定して、測定重量に基づいてエアシリンダ554Aの駆動力を制御しても良い。
【0052】
また、昇降駆動装置554は、アーム552を操作する時に機能する操作スイッチ554Gを有し、カード検出センサ551E、操作スイッチ554G及び圧力センサ554Fが連携して電磁バルブ554Cを開閉するため、オペレータの手から操作ハンドル552Cが離れると操作スイッチ554Gが自動的にオフになって電磁バルブ554Cを閉じてアーム552がプローブカード51の自重で降下することを抑制し、プローブカード51の損傷を防止することができる。
【0053】
尚、上記実施形態ではプローブカード51を単体で移載する場合について説明したが、カードホルダ付きのプローブカードについても同様に移載できることは云うまでもない。従って、本発明は上記実施形態に何等制限されるものではなく、必要に応じて各構成要素を設計変更することができる。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明は、プローブカードを備えた検査装置が複数配置された検査設備に好適に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明の検査設備の一実施形態を示す平面図である。
【図2】(a)、(b)はそれぞれ図1に示す検査設備に適用されるプローブカード移載補助装置を示す図で、(a)はその要部を示す斜視図、(b)は(a)の側面図である。
【図3】図2に示すプローブカード移載補助装置の保持部を拡大して示す斜視図である。
【図4】(a)〜(c)はそれぞれ図2に示すプローブカード移載補助装置の保持部でプローブカードを保持した状態を示す図で、(a)はその側面図、(b)は第2の部材を示す平面、(c)は第1の部材を示す平面図ある。
【図5】(a)、(b)はそれぞれ図3に示す保持部を示す図で、(a)はその側面図、(b)はその正面図ある。
【図6】図2に示すプローブカード移載補助装置の昇降駆動装置の構成を示すブロック図である。
【図7】従来の検査装置の一例を部分的に破断して示す正面図である。
【図8】図7に示す検査装置に適用されたプローブカード搬送装置の動作説明図である。
【符号の説明】
【0056】
50 検査設備
51 プローブカード
51A 取っ手
52 検査装置
54 搬送台車
55、55A プローブカード移載補助装置
551 保持具(保持部)
551A 第1の部材
551B 第2の部材
551C バネ部材
551D ワイヤ(紐部材)
551E カード検出センサ
552 アーム
553 支持体
554 昇降駆動装置
554A エアシリンダ(シリンダ機構)
554B 配管(流路)
554C 電磁バルブ
554D 電空レギュレータ
554E 入力端子
554F 圧力センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気的検査装置に用いられるプローブカードの移載作業を補助するプローブカード移載補助装置であって、
上記プローブカードの一対の取っ手を紐状部材で吊り下げて保持する保持部と、
上記保持部を移動可能に支持する支持部と、
上記支持部を昇降させる手段と、
を備えたことを特徴とするプローブカード移載補助装置。
【請求項2】
上記保持部は、上記紐状部材が複数取り付けられた第1の部材と、第1の部材の上方に配置され且つ第1の部材が昇降可能に連結された第2の部材と、第1、第2の部材の間隔の変化を検出するセンサと、を有することを特徴とする請求項1に記載のプローブカード移載補助装置。
【請求項3】
上記保持部は、上記支持部から張り出す伸縮可能なアームに取り付けられていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のプローブカード移載補助装置。
【請求項4】
上記支持部の昇降手段は、上記アームを昇降させるシリンダ機構と、上記シリンダ機構に駆動流体を供給する流路を開閉するバルブと、上記駆動流体の圧力を制御するレギュレータと、上記レギュレータに対して上記プローブカードの重量を予め入力する入力端子と、上記駆動流体の圧力を検出する圧力センサと、を有することを特徴とする請求項3に記載のプローブカード移載補助装置。
【請求項5】
上記支持部の昇降手段は、上記プローブカードを押し上げる方向に補助力を付与するように構成されていることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載のプローブカード移載補助装置。
【請求項6】
上記補助力は、上記プローブカードの重量に対応して変更可能に構成されていることを特徴とする請求項5に記載のプローブカード移載補助装置。
【請求項7】
上記検査装置に付設したことを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載のプローブカード移載補助装置。
【請求項8】
上記検査装置と上記検査装置に用いられるプローブカードを搬送する搬送手段との間で上記プローブカードの移載作業を補助する際に、上記検査装置と上記搬送手段の間に介在することを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載のプローブカード移載補助装置。
【請求項9】
上記搬送手段は、搬送台車であることを特徴とする請求項8に記載のプローブカード移載補助装置。
【請求項10】
電気的検査装置と、この電気的検査装置に用いられるプローブカードの移載作業を補助するプローブカード移載補助装置と、を備え、
上記プローブカード移載補助装置は、
上記プローブカードの一対の取っ手を紐状部材で吊り下げて保持する保持部と、
上記保持部を移動可能に支持する支持部と、
上記支持部を昇降させる手段と、
を備えたことを特徴とする検査設備。
【請求項11】
上記保持部は、上記紐状部材が複数取り付けられた第1の部材と、第1の部材の上方に配置され且つ第1の部材が昇降可能に連結された第2の部材と、第1、第2の部材の間隔の変化を検出するセンサと、を有することを特徴とする請求項10に記載の検査設備。
【請求項12】
上記保持部は、上記支持部から張り出す伸縮可能なアームに取り付けられていることを特徴とする請求項10または請求項11に記載の検査設備。
【請求項13】
上記支持部の昇降手段は、上記アームを昇降させるシリンダ機構と、上記シリンダ機構に駆動流体を供給する流路を開閉するバルブと、上記駆動流体の圧力を制御するレギュレータと、上記レギュレータに対して上記プローブカードの重量を予め入力する入力端子と、上記駆動流体の圧力を検出する圧力センサと、を有することを特徴とする請求項12に記載の検査設備。
【請求項14】
上記支持部の昇降手段は、上記プローブカードを押し上げる方向に補助力を付与するように構成されていることを特徴とする請求項10〜請求項13のいずれか1項に記載の検査設備。
【請求項15】
上記補助力は、上記プローブカードの重量に対応して変更可能に構成されていることを特徴とする請求項14に記載の検査設備。
【請求項16】
上記検査装置に付設したことを特徴とする請求項10〜請求項15のいずれか1項に記載の検査設備。
【請求項17】
上記検査装置と上記検査装置に用いられるプローブカードを搬送する搬送手段との間で上記プローブカードの移載作業を補助する際に、上記検査装置と上記搬送手段の間に介在することを特徴とする請求項10〜請求項15のいずれか1項に記載の検査設備。
【請求項18】
上記搬送手段は、搬送台車であることを特徴とする請求項17に記載の検査設備。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−147537(P2007−147537A)
【公開日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−345048(P2005−345048)
【出願日】平成17年11月30日(2005.11.30)
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【Fターム(参考)】