ヘッドクリーニング装置及び方法並びにインクジェット記録装置
【課題】インクジェットヘッドの汚れを効果的に除去し、安定したクリーニング性能を維持できるヘッドクリーニング装置及び方法並びにインクジェット記録装置を提供する。
【解決手段】ヘッド10のノズル面12に走行するウェブ34を当接させて、ノズル面12を払拭する。ウェブ34には、超音波を印加した洗浄液を付与する。ノズル面12に付着した汚れは、超音波の作用で剥離、溶解させることができる。また、ノズル面12は、ウェブ34で払拭されるので、強固に付着した汚れでも確実に除去することができる。さらに、ウェブ34は走行するので、常に新しい部位でノズル面12を払拭でき、安定したクリーニング性能を維持することができる。
【解決手段】ヘッド10のノズル面12に走行するウェブ34を当接させて、ノズル面12を払拭する。ウェブ34には、超音波を印加した洗浄液を付与する。ノズル面12に付着した汚れは、超音波の作用で剥離、溶解させることができる。また、ノズル面12は、ウェブ34で払拭されるので、強固に付着した汚れでも確実に除去することができる。さらに、ウェブ34は走行するので、常に新しい部位でノズル面12を払拭でき、安定したクリーニング性能を維持することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヘッドクリーニング装置及び方法並びにインクジェット記録装置に係り、特にインクジェットヘッドのノズル面をクリーニングするヘッドクリーニング装置及び方法並びにインクジェット記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェット記録装置では、インクジェットヘッドのノズル面(ノズルが形成されている面)が汚れていると、吐出不良を生じる。このため、インクジェット記録装置では、定期的にノズル面のクリーニングが行われる。
【0003】
特許文献1には、超音波を印加した洗浄液をノズル面に噴射して、ノズル面をクリーニングする方法が記載されている。
【0004】
また、特許文献2には、清掃用溶剤を含浸させた発泡体でノズル面を払拭する方法であって、発泡体に超音波振動を与えることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−28758号公報
【特許文献2】特開2010−58473号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1のように、単に超音波が印加された洗浄液をノズル面に噴射しただけでは、ノズル面に強固に付着した汚れは除去できないという欠点がある。また、洗浄液は、すぐに滴下してしまうため、超音波による汚れの除去効果が得にくいという欠点もある。
【0007】
また、特許文献2では、発泡体に汚れが蓄積してしまうため、時間の経過とともに洗浄効果が低下するという欠点がある。
【0008】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、インクジェットヘッドの汚れを効果的に除去し、安定したクリーニング性能を維持できるヘッドクリーニング装置及び方法並びにインクジェット記録装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
課題を解決するための手段は、次のとおりである。
【0010】
[1]ヘッドクリーニング装置の第1の態様は、インクジェットヘッドのノズル面をクリーニングするヘッドクリーニング装置において、前記ノズル面に押圧当接される押圧ローラと、前記押圧ローラに巻き掛けられるウェブと、前記ウェブを繰り出す繰出軸と、前記ウェブを巻き取る巻取軸と、前記繰出軸から繰り出されて前記巻取軸に巻き取られる前記ウェブが、前記押圧ローラに巻き掛けられるようにガイドするガイド部材と、前記ウェブを走行させるウェブ駆動手段と、前記押圧ローラに巻き掛けられる前記ウェブに洗浄液を付与する洗浄液付与手段と、前記洗浄液に超音波を印加する超音波発生手段と、を備えたことを特徴とする。
【0011】
本態様によれば、ノズル面を払拭するウェブに超音波を印加した洗浄液が付与される。超音波はウェブに浸透した洗浄液を介してノズル面に伝播される。これにより、ノズル面に付着した汚れの溶解性を向上させることができる。また、ノズル面は、ウェブで払拭されるので、強固に付着した汚れでも確実に除去することができる。また、ウェブは走行するので、常に新しい部位でノズル面に接触する。これにより、安定したクリーニング性能を維持することができる。
【0012】
[2]ヘッドクリーニング装置の第2の態様は、上記第1の態様のヘッドクリーニング装置において、前記インクジェットヘッドは、前記ノズル面がほぼ垂直に配置され、前記押圧ローラは、水平かつ前記ノズル面と平行に配置され、前記ガイド部材は、前記ウェブが前記押圧ローラに向かって斜め下方に走行するように、又は、前記押圧ローラから斜め上方に向かって走行するようにガイドし、前記洗浄液付与手段は、前記ウェブが前記押圧ローラに向かって斜め下方に走行する部位、又は、前記ウェブが前記押圧ローラから斜め上方に向かって走行する部位に、前記ウェブの上方から前記洗浄液を付与することを特徴とする。
【0013】
本態様によれば、押圧ローラに巻き掛けられるウェブが、押圧ローラに向かって斜め下方に走行するように、又は、押圧ローラから斜め上方に向かって走行するようにガイドされる。そして、このようにガイドされたウェブに対して、洗浄液がウェブの上方から付与される。これにより、ウェブに付与した洗浄液がウェブを伝ってノズル面に流れ落ち、洗浄液を効率よくノズル面に導くことができる。
【0014】
[3]ヘッドクリーニング装置の第3の態様は、上記第2の態様のヘッドクリーニング装置において、前記洗浄液付与手段は、前記ウェブの表面に前記洗浄液の膜が形成されるように、前記ウェブに飽和量以上の前記洗浄液を付与することを特徴とする。
【0015】
本態様によれば、ウェブに飽和量以上の洗浄液が付与され、ウェブの表面に洗浄液の膜が形成される。これにより、超音波を印加した洗浄液が、洗浄液の膜を通じて、ノズル面に直接付与される。これにより、超音波による洗浄効果をより高めることができる。
【0016】
[4]ヘッドクリーニング装置の第4の態様は、上記第3の態様のヘッドクリーニング装置において、前記ウェブから滴下する前記洗浄液を回収する回収皿を更に備えたことを特徴とする。
【0017】
本態様によれば、ウェブから的化する洗浄液が回収皿で回収される。これにより、周囲の汚染を防止できる。
【0018】
[5]ヘッドクリーニング装置の第5の態様は、上記第1から4のいずれか1のヘッドクリーニング装置において、前記洗浄液付与手段は、ノズルから前記洗浄液を付与し、前記超音波発生手段は、前記ノズル内に設置されて、前記ノズル内の前記洗浄液に前記超音波を印加することを特徴とする。
【0019】
本態様によれば、洗浄液を付与するノズル内に超音波発生手段が設置される。これにより、ノズル面に近接した位置で超音波を洗浄液に印加することができ、超音波の洗浄効果をより高めることができる。
【0020】
[6]ヘッドクリーニング方法の第1の態様は、上記第3の態様のヘッドクリーニング装置を用いたインクジェットヘッドのクリーニング方法であって、前記超音波が印加された前記洗浄液を前記ウェブに付与しながら、前記ウェブを走行させて、前記押圧ローラを前記ノズル面に当接させ、前記押圧ローラと前記ノズル面とを相対的に上下方向に移動させて、前記ノズル面を前記ウェブで払拭するヘッドクリーニング方法において、前記ノズル面と前記押圧ローラとの間に前記洗浄液の液溜まりを形成した状態で前記押圧ローラと前記ノズル面とを相対的に上下方向に移動させて、前記ノズル面を前記ウェブで払拭することを特徴とする。
【0021】
本態様によれば、押圧ローラとノズル面との間に洗浄液の液溜まりを形成して払拭が行われる。これにより、超音波が印加された洗浄液の接触時間を長くでき、超音波による洗浄効果を向上させることができる。液溜まりは、たとえば、押圧ローラとノズル面との間の上下方向の相対的な移動を停止した状態でノズル面に押圧ローラを所定の押圧力で当接させることにより形成することができる。したがって、このようにして液溜まりを形成したのち、押圧ローラとノズル面とを相対的に上下方向に移動させれば、液溜まりを維持してノズル面を払拭することができる。
【0022】
[7]ヘッドクリーニング方法の第2の態様は、上記第2の態様のヘッドクリーニング装置を用いたインクジェットヘッドのクリーニング方法であって、前記超音波が印加された前記洗浄液を前記ウェブに付与しながら、前記ウェブを走行させて、前記押圧ローラを前記ノズル面に当接させ、前記押圧ローラと前記ノズル面とを相対的に上下方向に移動させて、前記ノズル面を前記ウェブで払拭するヘッドクリーニング方法において、前記押圧ローラと前記ノズル面とを相対的に上下方向に複数回移動させて、前記ノズル面を前記ウェブで払拭し、少なくとも1回は前記ウェブに飽和量以上の前記洗浄液を付与して前記ノズル面を払拭し、少なくとも最後の1回は前記ウェブに浸透する程度の付与量で前記洗浄液を付与して前記ノズル面を払拭することを特徴とする。
【0023】
本態様によれば、ノズル面が複数回払拭される。そして、複数回のうち少なくとも1回は飽和量以上の洗浄液がウェブに付与されて払拭される。また、複数回のうち少なくとも最後の1回はウェブに浸透する程度の付与量で洗浄液がウェブに付与されて払拭される。たとえば、2回払拭する場合(往復して払拭する場合)、1回目(往路)は、飽和量以上の洗浄液をウェブに付与して払拭し、2回目(復路)は、ウェブに浸透する程度の付与量で洗浄液をウェブに付与して払拭する。また、たとえば、4回払拭する場合、1回目から3回目は、飽和量以上の洗浄液をウェブに付与して払拭し、最後は、ウェブに浸透する程度の付与量で洗浄液をウェブに付与して払拭する。あるいは、1回目と2回目は、飽和量以上の洗浄液をウェブに付与して払拭し、3回目と4回目は、ウェブに浸透する程度の付与量で洗浄液をウェブに付与して払拭する。これにより、拭き残しを生じさせることなく、効果的に汚れを払拭することができる。
【0024】
[8]ヘッドクリーニング方法の第3の態様は、上記第2の態様のヘッドクリーニング装置を用いたインクジェットヘッドのクリーニング方法であって、前記超音波が印加された前記洗浄液を前記ウェブに付与しながら、前記ウェブを走行させて、前記押圧ローラを前記ノズル面に当接させ、前記押圧ローラと前記ノズル面とを相対的に上下方向の往復移動をさせて、前記ノズル面を前記ウェブで払拭するヘッドクリーニング方法において、前記押圧ローラが前記ノズル面に対して相対的に下方向に移動する場合は、前記ウェブに飽和量以上の前記洗浄液を付与して前記ノズル面を払拭し、前記押圧ローラが前記ノズル面に対して相対的に上方向に移動する場合は、前記ウェブに浸透する程度の付与量で前記洗浄液を付与して前記ノズル面を払拭することを特徴とする。
【0025】
本態様によれば、ノズル面に対して押圧ローラを相対的に上下方向に往復動させて、ノズル面が払拭される。この際、押圧ローラがノズル面に対して相対的に下方向に移動するときは、飽和量以上の洗浄液がウェブに付与されて、ノズル面が払拭される。また、押圧ローラがノズル面に対して相対的に上方向に移動するときは、ウェブに浸透する程度の付与量で洗浄液がウェブに付与されて、ノズル面が払拭される。これにより、拭き残しを生じさせることなく、効果的に汚れを払拭することができる。
【0026】
[9]ヘッドクリーニング方法の第4の態様は、上記第1から3の態様のヘッドクリーニング方法において、前記インクジェットヘッドのノズル内の圧力を正圧にして、前記ノズル面を払拭することを特徴とする。
【0027】
本態様によれば、払拭時にノズル面の圧力が正圧に設定される。これにより、ノズル内に洗浄液が引き込まれるのを防止することができる。
【0028】
[10]ヘッドクリーニング方法の第5の態様は、上記第1から4の態様のヘッドクリーニング方法において、前記洗浄液には、400kHz以上の前記超音波が印加されることを特徴とする。
【0029】
本態様によれば、400kHz以上の超音波が洗浄液に印加される。これにより、ノズル面に付着した微細な汚れ(数μmの汚れ)を効果的に除去することができる。また、ノズル面に形成された撥液膜などの破壊も防止することができる。
【0030】
[11]インクジェット記録装置の第1の態様は、上記第1から5のいずれか1の態様のヘッドクリーニング装置を備えたことを特徴とする。
【0031】
本態様によれば、インクジェット記録装置に組み込まれるインクジェットヘッドのノズル面の汚れを効果的に除去することができる。これにより、吐出不良を起こすことなく、高品質な画像を記録することができる。
【発明の効果】
【0032】
本発明によれば、インクジェットヘッドのノズル面の汚れを効果的に除去し、安定したクリーニング性能を維持できる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】インクジェット記録装置の記録部の概略構成を示す側面図
【図2】インクジェット記録装置の記録部の概略構成を示す正面図
【図3】ヘッドクリーニング装置の側面断面図
【図4】ヘッドクリーニング装置の正面図
【図5】洗浄液供給ノズルの断面図
【図6】ヘッドクリーニング装置によるクリーニング動作の説明図
【図7】ヘッドクリーニング装置の第2の実施の形態の側面断面図
【図8】ヘッドクリーニング装置の第2の実施の形態の正面図
【図9】ヘッドクリーニング装置によるクリーニング動作の説明図
【図10】ノズル面を複数回払拭する場合の処理の手順を示すフローチャート
【図11】ノズル面を複数回払拭する場合のクリーニング動作の説明図
【図12】ヘッドクリーニング装置の第3の実施の形態の側面断面図
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、添付図面に従って本発明の好ましい実施形態について詳説する。
【0035】
〔第1の実施の形態〕
[構成]
図1は、インクジェット記録装置の記録部の概略構成を示す側面図であり、図2は、その正面図である。
【0036】
本例のインクジェット記録装置は、いわゆるラインプリンタであり、ラインタイプのインクジェットヘッド10(以下、ヘッドという。)を用いて、メディアMに画像を記録する。
【0037】
メディアMは、いわゆるロール紙(連続紙)である。メディアMは、図示しないメディア搬送機構によって、所定の搬送経路を一定の搬送速度で搬送される。本例では、記録部において、メディアMは、ガイドローラ20にガイドされて、垂直に搬送される。
【0038】
上記のように、ヘッド10は、ラインタイプのヘッド(ラインヘッド)であり、メディアMの幅に対応して形成される(メディアMの幅方向の全域に1パスで記録可能に形成される。)。ヘッド10の先端には、ノズル面12が形成される。ノズル面12には、ノズル14が設けられる。ノズル14は、ノズル面12の長手方向(幅方向)に沿って多数配置される。本例のヘッド10は、いわゆるマトリックスヘッドで構成され、ノズル14がノズル面12にマトリクス状に配置される。
【0039】
ヘッド10は、ヘッドマウント16に搭載される。このヘッドマウント16に搭載されることにより、ヘッド10は、記録部を搬送されるメディアMの搬送方向に直交して配置されるとともに、そのノズル面12が、記録部を搬送されるメディアMと平行に配置される。
【0040】
ヘッドマウント16は、図示しない前後移動機構によって前後方向(記録部を搬送されるメディアMの記録面と直交する方向)に移動可能に設けられるとともに、図示しない上下移動機構によって上下方向(記録部を搬送されるメディアMの搬送方向)に移動可能に設けられる。また、図示しない左右移動機構によって左右方向(記録部を搬送されるメディアMの搬送方向と直交する方向(メディアMの幅方向))に移動可能に設けられる。
【0041】
ヘッドマウント16は、左右方向に移動して、ヘッド10を画像記録位置とクリーニング位置とに移動させる。
【0042】
ヘッド10は、画像記録位置に移動することにより、記録部を搬送されるメディアMに画像を記録することが可能になる。すなわち、ノズル面12が記録部を搬送されるメディアMに面して配置される。
【0043】
また、ヘッド10は、クリーニング位置に移動することにより、ヘッドクリーニング装置30Aによるノズル面12のクリーニングが可能になる。
【0044】
図3は、ヘッドクリーニング装置の側面断面図である。また、図4は、ヘッドクリーニング装置の正面図である。
【0045】
ヘッドクリーニング装置30Aは、インクジェット記録装置のヘッドクリーニング部に設置され、クリーニング位置に移動したヘッド10のノズル面12をウェブで払拭してクリーニングする。
【0046】
このヘッドクリーニング装置30Aは、主として、本体フレーム32と、ノズル面12を払拭するウェブ34と、ウェブ34を繰り出す繰出軸36と、ウェブ34を巻き取る巻取軸38と、ウェブ34をノズル面12に当接させる押圧ローラ40と、ウェブ34の走行をガイドする第1ガイドローラ42及び第2ガイドローラ44と、ウェブ34を走行させるウェブ駆動モータ46と、ウェブ34に超音波が印加された洗浄液を付与する洗浄液付与装置48と、本体フレーム32をヘッド10に対して進退移動させる進退駆動機構50とで構成される。
【0047】
本体フレーム32は、矩形の板状に形成された本体部32Aと、その本体部32Aの両端に設けられた板状の支持部32B、32Bとで構成される。本体部32Aは、クリーニング位置に移動したヘッド10のノズル面12と平行に配置される。支持部32B、32Bは、クリーニング位置に移動したヘッド10に向けて、本体部32Aの両端に直角に設けられる。
【0048】
ウェブ34は、吸収性を有するワイピングクロス(たとえば、極細の長繊維の織り編み物)で構成され、ヘッド10のノズル面12の幅に対応した幅を有する帯状に形成される。ウェブ34は、円筒状に形成された巻芯にロール状に巻かれる。また、ウェブ34の先端には、巻き取り用の巻芯が取り付けられる。
【0049】
繰出軸36は、丸棒状に形成され、両端部を本体フレーム32の支持部32B、32Bに支持されて、本体フレーム32に取り付けられる。この繰出軸36は、ヘッド10と平行に配置される。ロール状に巻かれたウェブ34は、その巻芯の部分を繰出軸36に装着して、繰出軸36に装着される。
【0050】
巻取軸38は、丸棒状に形成され、両端部を本体フレーム32の支持部32B、32Bに支持されて、本体フレーム32に取り付けられる。この巻取軸38は、繰出軸36の下方に配置され、ヘッド10と平行に配置される。ウェブ34を巻き取る巻芯は、この巻取軸38に装着される。
【0051】
押圧ローラ40は、ゴムローラで構成され、両端部を本体フレーム32の支持部32B、32Bに支持されて、本体フレーム32に取り付けられる。この押圧ローラ40は、繰出軸36と巻取軸38の前方(ヘッド側)に配置され、ヘッド10と平行に配置される。ウェブ34は、この押圧ローラ40によってヘッド10のノズル面12に押し当てられる。
【0052】
第1ガイドローラ42と第2ガイドローラ44は、押圧ローラ40の上下に配置され、ウェブ34が、所定の角度で押圧ローラ40に巻き掛けられるように、ウェブ34の走行をガイドする。
【0053】
ここで、押圧ローラ40の上方に配置される第1ガイドローラ42は、押圧ローラ40に巻き掛けられるウェブ34が、押圧ローラ40に向かって斜め下方に走行するようにウェブ34をガイドする。
【0054】
一方、押圧ローラ40の下方に配置される第2ガイドローラ44は、押圧ローラ40に巻き掛けられたウェブ34が、押圧ローラ40から斜め下方に向かって走行するようにウェブ34をガイドする。
【0055】
ウェブ駆動モータ46は、本体フレーム32の片側の支持部32Bにブラケットを介して取り付けられる。このウェブ駆動モータ46は、巻取軸38と同軸上に配置され、巻取軸38に連結される。このウェブ駆動モータ46を駆動することにより、巻取軸38が回転し、ウェブ34が巻取軸38に巻き取られる。そして、この巻取軸38にウェブ34が巻き取られることにより、ウェブ34が走行する。
【0056】
洗浄液付与装置48は、押圧ローラ40に巻き掛けられるウェブ34に超音波が印加された洗浄液を付与する。この洗浄液付与装置48は、主として、洗浄液供給ノズル52と、洗浄液供給タンク54と、洗浄液供給配管56と、洗浄液供給ポンプ58と、洗浄液供給バルブ60と、超音波振動子62とで構成される。
【0057】
洗浄液供給ノズル52は、ウェブ34の幅に対応して形成される。この洗浄液供給ノズル52は、第1ガイドローラ42と押圧ローラ40との間を走行するウェブ34の上方に配置され、第1ガイドローラ42と押圧ローラ40との間を走行するウェブ34に向けて噴出口から洗浄液を噴出する。噴出口は、スリット状に形成され、ウェブ34の走行方向と直交して配置される。
【0058】
洗浄液供給タンク54は、洗浄液供給ノズル52から噴出する洗浄液を貯留する。
【0059】
洗浄液供給配管56は、洗浄液供給タンク54に貯留された洗浄液が洗浄液供給ノズル52に供給されるように、洗浄液供給タンク54と洗浄液供給ノズル52を接続する。
【0060】
洗浄液供給ポンプ58は、洗浄液供給配管56の途中に設けられ、洗浄液供給タンク54に貯留された洗浄液を洗浄液供給ノズル52に送液する。
【0061】
洗浄液供給バルブ60は、洗浄液供給配管56の途中に設けられ、洗浄液供給配管56の管路を開閉する。
【0062】
超音波振動子62は、図5に示すように、洗浄液供給ノズル52の内部に設置され、洗浄液供給ノズル52の噴出口52Aから噴出する洗浄液に超音波を印加(励振)する。超音波振動子62は、たとえば、400kHz以上の超音波を洗浄液に印加する。これにより、微細な汚れを効率よく剥離、溶解することができる。また、ノズル面12が撥液処理等されている場合であっても、その撥液膜を破壊することなく、汚れを除去することができる。
【0063】
以上のように構成される洗浄液付与装置48は、洗浄液供給バルブ60を開け、洗浄液供給ポンプ58を駆動することにより、洗浄液供給ノズル52から洗浄液が噴出される。また、超音波振動子62を駆動することにより、洗浄液供給ノズル52から噴出される洗浄液に超音波が印加される。
【0064】
洗浄液供給ノズル52から噴出された洗浄液は、第1ガイドローラ42と押圧ローラ40との間を走行するウェブ34に付与される。この第1ガイドローラ42と押圧ローラ40との間を走行するウェブ34は、押圧ローラ40に向かって斜め下方に走行するため、ウェブ34に付与された洗浄液は、押圧ローラ40に向かって流れる。これにより、払拭時に効率よく洗浄液をノズル面12に付与することができる。
【0065】
進退駆動機構50は、本体フレーム32をクリーニング位置に位置したヘッド10のノズル面12に向けて進退移動させる。この進退駆動機構50は、たとえば、シリンダで構成され、インクジェット記録装置のフレーム(図示せず)に固定される。本体フレーム32は、この進退駆動機構50に駆動されて、当接位置と離間位置との間を移動する。本体フレーム32が当接位置に移動することにより、押圧ローラ40が、ヘッドクリーニング位置したヘッド10のノズル面12に当接する。また、本体フレーム32が離間位置に移動することにより、押圧ローラ40がヘッドクリーニング位置に位置したヘッド10のノズル面12から離間(退避)する。
【0066】
ヘッドクリーニング装置30Aを含めてインクジェット記録装置の全体の動作は、図示しない制御装置によって制御される。制御装置は、たとえば、マイクロコンピュータで構成され、所定の制御プログラムを実行して、画像の記録処理、ヘッド10のクリーニング処理等を実施する。
【0067】
[作用]
次に、本実施の形態のヘッドクリーニング装置30Aによるヘッド10のクリーニング動作について説明する。
【0068】
ヘッド10のクリーニングは、オペレータによるクリーニングの実行指令に応じて、あるいは、前回のクリーニングからの経過時間、印刷枚数等に応じて自動で実行される。
【0069】
まず、ヘッド10がクリーニング位置に移動する。図6(a)は、ヘッド10がクリーニング位置に移動したときの状態(初期状態)を示している。
【0070】
初期状態において、ヘッドクリーニング装置30Aの本体フレーム32は離間位置に位置している。ヘッド10は、このヘッドクリーニング装置30Aに備えられた押圧ローラ40の上方に位置する(初期位置)。
【0071】
ヘッド10がクリーニング位置に移動すると、次に、ヘッドクリーニング装置30Aの本体フレーム32が当接位置に移動する。
【0072】
本体フレーム32が当接位置に移動すると、ウェブ駆動モータ46が駆動され、ウェブ34が走行を開始する。また、洗浄液供給バルブ60が開けられるとともに、洗浄液供給ポンプ58が駆動され、洗浄液供給ノズル52から洗浄液が噴出される。更に、超音波振動子62が駆動され、洗浄液供給ノズル52から噴出される洗浄液に超音波が印加される。これにより、走行するウェブ34に超音波が印加された洗浄液が付与される。ここで、洗浄液は、ウェブ34に浸透する程度の付与量で付与される。また、超音波は、400kHz以上の超音波が印加される。
【0073】
次に、ヘッド10が下方に移動する。ヘッド10が下方に移動すると、図6(b)、(c)に示すように、ヘッド10のノズル面12に押圧ローラ40が当接する。押圧ローラ40には、ウェブ34が巻き掛けられているため、ヘッド10のノズル面12は、このウェブ34に接触しながら下方に移動する。これにより、ヘッド10のノズル面12がウェブ34で払拭される。
【0074】
上記のように、ウェブ34には、洗浄液供給ノズル52から噴出される洗浄液が付与されている。洗浄液には、超音波振動子62によって超音波が印加されている。この超音波は、ウェブ34に浸透した洗浄液を通じてノズル面12に伝播する。これにより、ノズル面12に付着した汚れ(特に微細な汚れ)を剥離、溶解することができ、ノズル面12の汚れを効果的に除去することができる(洗浄液を構成する流体分子の振動加速度により洗浄性が向上する。)。
【0075】
また、ウェブ34は、走行している。このため、ノズル面12は常にクリーンなウェブ34で払拭される。これにより、常に一定のクリーニング性能を確保することができる。
【0076】
ヘッド10は、ノズル面12の上端部が押圧ローラ40を通過するまで下降する。ヘッド10は、ノズル面12の上端部が押圧ローラ40を通過すると、ヘッド10の下降が停止する。そして、このヘッド10の停止と同時にウェブ34の走行が停止されるとともに、洗浄液の付与及び超音波の印加が停止される。
【0077】
この後、図6(d)に示すように、ヘッドクリーニング装置30Aは、本体フレーム32が離間位置に移動する。
【0078】
本体フレーム32が離間位置に移動すると、ヘッド10は、上昇して初期位置に復帰する。そして、横方向に移動して、画像記録位置に復帰する。
【0079】
以上一連の工程でヘッド10のクリーニング動作が完了する。
【0080】
このように、本実施の形態のヘッドクリーニング装置30Aは、超音波を印加した洗浄液をウェブ34に付与しながら、ヘッド10のノズル面12をウェブ34で払拭する。これにより、ヘッド10のノズル面12に付着した汚れ(特に微細な汚れ)を効率よく除去することができる。また、ウェブ34を走行させることにより、常にクリーンなウェブ34でノズル面12を払拭でき、安定したクリーニング性能を維持することができる。
【0081】
なお、上記の例では、ノズル面12を1回だけ払拭しているが、複数回払拭するようにしてもよい。この場合、ヘッド10を複数回上下動(往復動)させて、ノズル面12を複数回払拭する。
【0082】
また、払拭に際して、ヘッド10は、ノズル内の圧力を正圧にすることが好ましい。これにより、洗浄液がノズル内に引き込まれるのを防止することができる。
【0083】
〔第2の実施の形態〕
[構成]
図7は、ヘッドクリーニング装置の第2の実施の形態の側面断面図である。図8は、ヘッドクリーニング装置の第2の実施の形態の正面図である。
【0084】
同図に示すように、本実施の形態のヘッドクリーニング装置30Bは、ウェブ34から滴下する洗浄液を回収する回収皿70を備えている。
【0085】
なお、回収皿70を備えている点以外は、上記第1の実施の形態のヘッドクリーニング装置30Aと同じなので、ここでは、回収皿70についてのみ説明する。
【0086】
回収皿70は、本体フレーム32の下方部に設置され、ウェブ34から滴下する洗浄液を回収する。したがって、ウェブ34から滴下する洗浄液をすべて回収可能な大きさで形成される。たとえば、上部が開口した矩形の皿状に形成され、本体フレーム32及びクリーニング位置に位置したヘッド10の下部を囲うように設置される。
【0087】
回収皿70は、図示しない洗浄液回収配管を介して図示しない廃液タンクに接続される。したがって、回収皿70で回収された洗浄液は、廃液タンクに回収される。
【0088】
[作用]
次に、本実施の形態のヘッドクリーニング装置30Bによるヘッド10のクリーニング動作について説明する。
【0089】
本実施の形態のヘッドクリーニング装置30Bでは、ウェブ34に飽和量以上の洗浄液を付与して、ノズル面12をクリーニングする。このようにウェブ34に飽和量以上の洗浄液を付与して、ノズル面12をクリーニングすることにより、押圧ローラ40に巻き掛けられるウェブ34の上に洗浄液の膜を形成でき、ノズル面12に接触する洗浄液の量、接触時間を増やすことができる。これにより、超音波による洗浄効果を向上させることができる。
【0090】
上記第1の実施の形態と同様に、まず、ヘッド10がクリーニング位置に移動する。
【0091】
ヘッド10がクリーニング位置に移動すると、次に、本体フレーム32が当接位置に移動する。
【0092】
本体フレーム32が当接位置に移動すると、ウェブ駆動モータ46が駆動され、ウェブ34が走行を開始する。また、洗浄液供給バルブ60が開けられるとともに、洗浄液供給ポンプ58が駆動され、洗浄液供給ノズル52から洗浄液が噴出される。更に、超音波振動子62が駆動され、洗浄液供給ノズル52から噴出される洗浄液に超音波が印加される。これにより、走行するウェブ34に超音波が印加された洗浄液が付与される。
【0093】
ここで、上記のように、ウェブ34には、飽和量以上の洗浄液(ウェブ34の吸収能力を超える量の洗浄液)が付与される。これにより、ウェブ34の表面に洗浄液の膜が形成される。このとき、本実施の形態のヘッドクリーニング装置30Bでは、押圧ローラ40に向かって下方向に走行するウェブ34に洗浄液が付与されるため、付与した洗浄液を効率よく押圧ローラ40に導くことができる。
【0094】
なお、超音波は、上記第1の実施の形態と同様に、400kHz以上の超音波が印加される。
【0095】
次に、ヘッド10が下方に移動する。ヘッド10が下方に移動すると、ヘッド10のノズル面12に押圧ローラ40が当接する。押圧ローラ40には、ウェブ34が巻き掛けられているため、ヘッド10のノズル面12は、このウェブ34に接触しながら下方に移動する。これにより、ヘッド10のノズル面12がウェブ34で払拭される。
【0096】
上記のように、ウェブ34には、洗浄液供給ノズル52から噴出される洗浄液が付与されている。洗浄液には、超音波振動子62によって超音波が印加されている。この超音波は、ウェブ34に浸透した洗浄液を通じてノズル面12に伝播する。これにより、ノズル面12に付着した汚れを剥離、溶解することができ、ノズル面12の汚れを効果的に除去することができる。特に、本実施の形態では、ウェブ34に飽和量以上の洗浄液を付与し、ウェブ34の表面に洗浄液の膜を形成して、ノズル面12を払拭するため、超音波による洗浄効果を高めて払拭することができる。すなわち、押圧ローラ40に巻き掛けられるウェブ34の表面に洗浄液の膜を形成することにより、ノズル面12に接触する洗浄液の量、接触時間を増やすことができ、超音波による洗浄効果を高めることができる。
【0097】
また、ウェブ34は、走行している。このため、ノズル面12は常にクリーンなウェブ34で払拭される。これにより、常に一定のクリーニング性能を確保することができる。
【0098】
なお、ウェブ34に飽和量以上の洗浄液を付与することにより、ウェブ34から洗浄液が滴下するが、滴下した洗浄液は、回収皿70で回収される。これにより、周囲への汚染を防止できる。
【0099】
ヘッド10は、ノズル面12の上端部が押圧ローラ40を通過するまで下降する。ヘッド10は、ノズル面12の上端部が押圧ローラ40を通過すると、ヘッド10の下降が停止する。そして、このヘッド10の停止と同時にウェブ34の走行が停止されるとともに、洗浄液の付与及び超音波の印加が停止される。
【0100】
この後、本体フレーム32が離間位置に移動する。本体フレーム32が離間位置に移動すると、ヘッド10は、上昇して初期位置に復帰する。そして、横方向に移動して、画像記録位置に復帰する。
【0101】
以上一連の工程でヘッド10のクリーニング動作が完了する。
【0102】
このように、本実施の形態のヘッドクリーニング装置は、超音波を印加した洗浄液をウェブ34に付与しながら、ヘッド10のノズル面12をウェブ34で払拭する。この際、ウェブ34に飽和量以上の洗浄液を付与する。これにより、ノズル面12に接触する洗浄液の量、接触時間を増やすことができ、ヘッド10のノズル面12に付着した汚れ(特に微細な汚れ)を効率よく除去することができる。この場合、洗浄液がウェブ34から滴下することがあるが、ウェブ34から滴下した洗浄液は、回収皿70で回収されるため、周囲を汚染することがない。
【0103】
なお、洗浄液の付与量は、ウェブ34の飽和量以上とするが、付与しすぎると、ウェブ34からの滴下量が多くなるので、ウェブ34の上に膜を形成可能な量であって、必要最小限の付与量で付与することが好ましい。
【0104】
また、ノズル面12への洗浄液の接触量、接触時間を増やすため、ノズル面12と、そのノズル面12に当接される押圧ローラ40との間に液溜まりを形成しながら、払拭することが好ましい。液溜まりは、たとえば、次のようにして形成する。
【0105】
すなわち、初期位置からヘッド10が下方に移動させて、ヘッド10のノズル面12に押圧ローラ40を当接させる際、図9(a)に示すように、ノズル面12の下端部が押圧ローラ40に当接すると同時にヘッド10の下降を停止する。この状態でウェブ34に洗浄液を付与することにより、ノズル面12に当接した押圧ローラ40とノズル面12との間に洗浄液が溜まり(押圧ローラ40とノズル面12との間に形成される谷部に洗浄液が溜まる)、液溜まりが形成される。この状態でヘッド10を下降させることにより、図9(b)に示すように、形成された液溜まりを維持して、ノズル面12を払拭することができる。
【0106】
このように、ノズル面12と押圧ローラ40との間に液溜まりを形成しながら、払拭することにより、洗浄液の接触時間、接触量を更に増やすことができ、更に超音波による洗浄効果を高めることができる。
【0107】
なお、このように液溜まりを形成して払拭する場合は、たとえば、押圧ローラ40の両端部に拡径したフランジ部を形成することが好ましい。これにより、押圧ローラ40の両端部から洗浄液が漏れるのを抑止できる。
【0108】
また、上記の例では、ノズル面12を1回だけ払拭しているが、複数回払拭するようにしてもよい。この場合、ヘッド10を複数回上下動(往復動)させて、ノズル面12を複数回払拭する。また、この場合、各回で洗浄液の付与量を変えて払拭することが好ましい。特に、複数回のうち少なくとも1回は飽和量以上の洗浄液をウェブ34に付与して払拭し、少なくとも最後の1回はウェブに浸透する程度の付与量の洗浄液を付与して払拭することが好ましい。これにより、拭き残しを生じさせることなく、効果的に汚れを払拭することができる。すなわち、少なくとも1回は飽和量以上の付与量で洗浄液を付与して払拭することにより、超音波による洗浄効果を高めて払拭することができ、また、少なくとも最後は、ウェブ34に浸透する程度の付与量で洗浄液を付与して払拭することにより、拭き残しが生じるのを効果的に防止することができる。
【0109】
また、複数回払拭する場合において、ヘッド10を下方向に移動させるときは、ウェブ34に飽和量以上の洗浄液を付与して払拭し、上方向に移動させるときは、ウェブ34に浸透する程度の付与量で洗浄液を付与して払拭することが好ましい。これにより、拭き残しを生じさせることなく、効果的に汚れを払拭することができる。
【0110】
図10は、ノズル面12を複数回払拭する場合の処理の手順を示すフローチャートである。
【0111】
初期状態において、図11(a)に示すように、本体フレーム32は離間位置に位置している。また、ヘッド10は、押圧ローラ40の上方に位置する。
【0112】
まず、本体フレーム32が離間位置から当接位置に移動する(ステップS10)。
【0113】
次に、ウェブ駆動モータ46が駆動され、ウェブ34が走行を開始する(ステップS11)。次に、洗浄液供給バルブ60が開けられるとともに、洗浄液供給ポンプ58が駆動され、洗浄液供給ノズル52から洗浄液が噴出される。これにより、ウェブ34に洗浄液が付与される(ステップS12)。このとき、洗浄液は、飽和量以上の付与量でウェブ34に付与される。次に、超音波振動子62が駆動され、洗浄液供給ノズル52から噴出される洗浄液に超音波が印加される(ステップS13)。これにより、走行するウェブ34に超音波が印加された洗浄液が付与される。
【0114】
次に、ヘッド10が下方に移動する(ステップS14)。ヘッド10が下方に移動すると、図11(b)、(c)に示すように、ヘッド10のノズル面12に押圧ローラ40が当接する。押圧ローラ40には、ウェブ34が巻き掛けられているため、ヘッド10のノズル面12は、このウェブ34に接触しながら下方に移動する。これにより、ヘッド10のノズル面12がウェブ34で払拭される。
【0115】
ここで、ウェブ34には、飽和量以上の洗浄液が付与されているため、超音波による洗浄効果を高めて払拭することができる。
【0116】
ヘッド10は、ノズル面12の上端部が押圧ローラ40を通過するまで下降する。制御装置は、ノズル面12の上端部が押圧ローラ40を通過したか否かを判定する(ステップS15)。
【0117】
ノズル面12の上端部が押圧ローラ40を通過すると、ヘッド10の下降が停止する(ステップS16)。そして、洗浄液の付与量が切り替えられ、ウェブ34に浸透する程度の付与量で洗浄液が付与される(ステップS17)。
【0118】
この後、ヘッド10が上方に移動する(ステップS18)。ヘッド10が上方に移動すると、図11(d)、(e)に示すように、ヘッド10のノズル面12に押圧ローラ40が当接する。押圧ローラ40には、ウェブ34が巻き掛けられているため、ヘッド10のノズル面12は、このウェブ34に接触しながら上方に移動する。これにより、ヘッド10のノズル面12がウェブ34で払拭される。
【0119】
ここで、ウェブ34には、浸透する程度の付与量で洗浄液が付与されているため、拭き残しを生じることなくノズル面12を払拭することができる。
【0120】
ヘッド10は、ノズル面12の下端部が押圧ローラ40を通過するまで上昇する。制御装置は、ノズル面12の下端部が押圧ローラ40を通過したか否かを判定する(ステップS19)。
【0121】
ノズル面12の上端部が押圧ローラ40を通過すると、ヘッド10は、初期位置で上昇が停止する(ステップS20)。
【0122】
ヘッド10の移動が停止すると、洗浄液の供給が停止されるとともに(ステップS21)、超音波の印加が停止される(ステップS22)。更に、ウェブ34の走行が停止される(ステップS23)。
【0123】
この後、図11(f)に示すように、本体フレーム32が離間位置に移動する。
【0124】
以上一連の工程でヘッド10のクリーニング動作が完了する。
【0125】
このように、ヘッド10を複数回払拭する場合において、ヘッド10を下方向に移動させるときは、ウェブ34に飽和量以上の洗浄液を付与して払拭し、上方向に移動させるときは、ウェブ34に浸透する程度の付与量で洗浄液を付与して払拭することにより、拭き残しを生じさせることなく、効果的に汚れを払拭することができる。
【0126】
なお、上記の例では、ヘッド10を1回往復動させて、ノズル面12を払拭する例で説明したが、ヘッド10を複数回往復動させて、ノズル面12を払拭することもできる。また、ヘッド10を複数回往復動させる場合は、最後の1回(上昇時)のみウェブ34に浸透する程度の付与量で洗浄液を付与して払拭することもできる。
【0127】
〔第3の実施の形態〕
図12は、ヘッドクリーニング装置の第3の実施の形態の側面断面図である。
【0128】
同図に示すように、本実施の形態のヘッドクリーニング装置30Cは、水平に設置されたヘッド10をクリーニング対象としている。
【0129】
ヘッド10は、下方に向けて水平にノズル面12が配置される。このノズル面12に対してヘッドクリーニング装置30Cは、下方から押圧ローラ40を当接させて、ノズル面12を払拭する。
【0130】
この場合、洗浄液供給ノズル52は、押圧ローラ40とノズル面12との当接部に向けて洗浄液を噴出するように設置される。これにより、超音波による洗浄効果を与えつつ、ウェブ34でノズル面12を払拭することができる。
【0131】
〔その他の実施の形態〕
上記実施の形態では、ヘッド側を移動させて、ノズル面を払拭する構成としているが、ヘッドクリーニング装置側を移動させて、ノズル面を払拭する構成とすることもできる。また、ヘッドとヘッドクリーニング装置の双方を移動させて、ノズル面を払拭する構成とすることもできる。
【0132】
また、上記実施の形態では、ヘッドを幅方向(ノズル列の方向)と直交する方向に移動させて、ノズル面を払拭する構成としているが、ヘッドを幅方向に移動させて払拭する構成とすることもできる。
【0133】
また、上記一連の実施の形態では、ラインヘッドをクリーニングする場合を例に説明したが、いわゆるシャトルヘッドをクリーニングする場合にも本発明を適用することができる。
【0134】
また、上記実施の形態のインクジェット記録装置は、ロール紙に画像を記録するインクジェット記録装置に本発明を適用した場合を例に説明したが、本発明は、枚葉紙に画像を記録するインクジェット記録装置にも同様に適用することができる。
【0135】
また、上記実施の形態では、超音波振動子を洗浄液供給ノズルに設置した場合を例に説明したが、超音波振動子の設置位置は、これに限定されるものではない。たとえば、洗浄液供給配管の管路中に設置することもできる。
【符号の説明】
【0136】
10…ヘッド(インクジェットヘッド)、12…ノズル面、14…ノズル、16…ヘッドマウント、20…ガイドローラ、30A、30B、30C…ヘッドクリーニング装置、32…本体フレーム、32A…本体部、32B…支持部、34…ウェブ、36…繰出軸、38…巻取軸、40…押圧ローラ、42…第1ガイドローラ、44…第2ガイドローラ、46…ウェブ駆動モータ、48…洗浄液付与装置、50…進退駆動機構、52…洗浄液供給ノズル、52A…噴出口、54…洗浄液供給タンク、56…洗浄液供給配管、58…洗浄液供給ポンプ、60…洗浄液供給バルブ、62…超音波振動子、70…回収皿、M…メディア
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヘッドクリーニング装置及び方法並びにインクジェット記録装置に係り、特にインクジェットヘッドのノズル面をクリーニングするヘッドクリーニング装置及び方法並びにインクジェット記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェット記録装置では、インクジェットヘッドのノズル面(ノズルが形成されている面)が汚れていると、吐出不良を生じる。このため、インクジェット記録装置では、定期的にノズル面のクリーニングが行われる。
【0003】
特許文献1には、超音波を印加した洗浄液をノズル面に噴射して、ノズル面をクリーニングする方法が記載されている。
【0004】
また、特許文献2には、清掃用溶剤を含浸させた発泡体でノズル面を払拭する方法であって、発泡体に超音波振動を与えることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−28758号公報
【特許文献2】特開2010−58473号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1のように、単に超音波が印加された洗浄液をノズル面に噴射しただけでは、ノズル面に強固に付着した汚れは除去できないという欠点がある。また、洗浄液は、すぐに滴下してしまうため、超音波による汚れの除去効果が得にくいという欠点もある。
【0007】
また、特許文献2では、発泡体に汚れが蓄積してしまうため、時間の経過とともに洗浄効果が低下するという欠点がある。
【0008】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、インクジェットヘッドの汚れを効果的に除去し、安定したクリーニング性能を維持できるヘッドクリーニング装置及び方法並びにインクジェット記録装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
課題を解決するための手段は、次のとおりである。
【0010】
[1]ヘッドクリーニング装置の第1の態様は、インクジェットヘッドのノズル面をクリーニングするヘッドクリーニング装置において、前記ノズル面に押圧当接される押圧ローラと、前記押圧ローラに巻き掛けられるウェブと、前記ウェブを繰り出す繰出軸と、前記ウェブを巻き取る巻取軸と、前記繰出軸から繰り出されて前記巻取軸に巻き取られる前記ウェブが、前記押圧ローラに巻き掛けられるようにガイドするガイド部材と、前記ウェブを走行させるウェブ駆動手段と、前記押圧ローラに巻き掛けられる前記ウェブに洗浄液を付与する洗浄液付与手段と、前記洗浄液に超音波を印加する超音波発生手段と、を備えたことを特徴とする。
【0011】
本態様によれば、ノズル面を払拭するウェブに超音波を印加した洗浄液が付与される。超音波はウェブに浸透した洗浄液を介してノズル面に伝播される。これにより、ノズル面に付着した汚れの溶解性を向上させることができる。また、ノズル面は、ウェブで払拭されるので、強固に付着した汚れでも確実に除去することができる。また、ウェブは走行するので、常に新しい部位でノズル面に接触する。これにより、安定したクリーニング性能を維持することができる。
【0012】
[2]ヘッドクリーニング装置の第2の態様は、上記第1の態様のヘッドクリーニング装置において、前記インクジェットヘッドは、前記ノズル面がほぼ垂直に配置され、前記押圧ローラは、水平かつ前記ノズル面と平行に配置され、前記ガイド部材は、前記ウェブが前記押圧ローラに向かって斜め下方に走行するように、又は、前記押圧ローラから斜め上方に向かって走行するようにガイドし、前記洗浄液付与手段は、前記ウェブが前記押圧ローラに向かって斜め下方に走行する部位、又は、前記ウェブが前記押圧ローラから斜め上方に向かって走行する部位に、前記ウェブの上方から前記洗浄液を付与することを特徴とする。
【0013】
本態様によれば、押圧ローラに巻き掛けられるウェブが、押圧ローラに向かって斜め下方に走行するように、又は、押圧ローラから斜め上方に向かって走行するようにガイドされる。そして、このようにガイドされたウェブに対して、洗浄液がウェブの上方から付与される。これにより、ウェブに付与した洗浄液がウェブを伝ってノズル面に流れ落ち、洗浄液を効率よくノズル面に導くことができる。
【0014】
[3]ヘッドクリーニング装置の第3の態様は、上記第2の態様のヘッドクリーニング装置において、前記洗浄液付与手段は、前記ウェブの表面に前記洗浄液の膜が形成されるように、前記ウェブに飽和量以上の前記洗浄液を付与することを特徴とする。
【0015】
本態様によれば、ウェブに飽和量以上の洗浄液が付与され、ウェブの表面に洗浄液の膜が形成される。これにより、超音波を印加した洗浄液が、洗浄液の膜を通じて、ノズル面に直接付与される。これにより、超音波による洗浄効果をより高めることができる。
【0016】
[4]ヘッドクリーニング装置の第4の態様は、上記第3の態様のヘッドクリーニング装置において、前記ウェブから滴下する前記洗浄液を回収する回収皿を更に備えたことを特徴とする。
【0017】
本態様によれば、ウェブから的化する洗浄液が回収皿で回収される。これにより、周囲の汚染を防止できる。
【0018】
[5]ヘッドクリーニング装置の第5の態様は、上記第1から4のいずれか1のヘッドクリーニング装置において、前記洗浄液付与手段は、ノズルから前記洗浄液を付与し、前記超音波発生手段は、前記ノズル内に設置されて、前記ノズル内の前記洗浄液に前記超音波を印加することを特徴とする。
【0019】
本態様によれば、洗浄液を付与するノズル内に超音波発生手段が設置される。これにより、ノズル面に近接した位置で超音波を洗浄液に印加することができ、超音波の洗浄効果をより高めることができる。
【0020】
[6]ヘッドクリーニング方法の第1の態様は、上記第3の態様のヘッドクリーニング装置を用いたインクジェットヘッドのクリーニング方法であって、前記超音波が印加された前記洗浄液を前記ウェブに付与しながら、前記ウェブを走行させて、前記押圧ローラを前記ノズル面に当接させ、前記押圧ローラと前記ノズル面とを相対的に上下方向に移動させて、前記ノズル面を前記ウェブで払拭するヘッドクリーニング方法において、前記ノズル面と前記押圧ローラとの間に前記洗浄液の液溜まりを形成した状態で前記押圧ローラと前記ノズル面とを相対的に上下方向に移動させて、前記ノズル面を前記ウェブで払拭することを特徴とする。
【0021】
本態様によれば、押圧ローラとノズル面との間に洗浄液の液溜まりを形成して払拭が行われる。これにより、超音波が印加された洗浄液の接触時間を長くでき、超音波による洗浄効果を向上させることができる。液溜まりは、たとえば、押圧ローラとノズル面との間の上下方向の相対的な移動を停止した状態でノズル面に押圧ローラを所定の押圧力で当接させることにより形成することができる。したがって、このようにして液溜まりを形成したのち、押圧ローラとノズル面とを相対的に上下方向に移動させれば、液溜まりを維持してノズル面を払拭することができる。
【0022】
[7]ヘッドクリーニング方法の第2の態様は、上記第2の態様のヘッドクリーニング装置を用いたインクジェットヘッドのクリーニング方法であって、前記超音波が印加された前記洗浄液を前記ウェブに付与しながら、前記ウェブを走行させて、前記押圧ローラを前記ノズル面に当接させ、前記押圧ローラと前記ノズル面とを相対的に上下方向に移動させて、前記ノズル面を前記ウェブで払拭するヘッドクリーニング方法において、前記押圧ローラと前記ノズル面とを相対的に上下方向に複数回移動させて、前記ノズル面を前記ウェブで払拭し、少なくとも1回は前記ウェブに飽和量以上の前記洗浄液を付与して前記ノズル面を払拭し、少なくとも最後の1回は前記ウェブに浸透する程度の付与量で前記洗浄液を付与して前記ノズル面を払拭することを特徴とする。
【0023】
本態様によれば、ノズル面が複数回払拭される。そして、複数回のうち少なくとも1回は飽和量以上の洗浄液がウェブに付与されて払拭される。また、複数回のうち少なくとも最後の1回はウェブに浸透する程度の付与量で洗浄液がウェブに付与されて払拭される。たとえば、2回払拭する場合(往復して払拭する場合)、1回目(往路)は、飽和量以上の洗浄液をウェブに付与して払拭し、2回目(復路)は、ウェブに浸透する程度の付与量で洗浄液をウェブに付与して払拭する。また、たとえば、4回払拭する場合、1回目から3回目は、飽和量以上の洗浄液をウェブに付与して払拭し、最後は、ウェブに浸透する程度の付与量で洗浄液をウェブに付与して払拭する。あるいは、1回目と2回目は、飽和量以上の洗浄液をウェブに付与して払拭し、3回目と4回目は、ウェブに浸透する程度の付与量で洗浄液をウェブに付与して払拭する。これにより、拭き残しを生じさせることなく、効果的に汚れを払拭することができる。
【0024】
[8]ヘッドクリーニング方法の第3の態様は、上記第2の態様のヘッドクリーニング装置を用いたインクジェットヘッドのクリーニング方法であって、前記超音波が印加された前記洗浄液を前記ウェブに付与しながら、前記ウェブを走行させて、前記押圧ローラを前記ノズル面に当接させ、前記押圧ローラと前記ノズル面とを相対的に上下方向の往復移動をさせて、前記ノズル面を前記ウェブで払拭するヘッドクリーニング方法において、前記押圧ローラが前記ノズル面に対して相対的に下方向に移動する場合は、前記ウェブに飽和量以上の前記洗浄液を付与して前記ノズル面を払拭し、前記押圧ローラが前記ノズル面に対して相対的に上方向に移動する場合は、前記ウェブに浸透する程度の付与量で前記洗浄液を付与して前記ノズル面を払拭することを特徴とする。
【0025】
本態様によれば、ノズル面に対して押圧ローラを相対的に上下方向に往復動させて、ノズル面が払拭される。この際、押圧ローラがノズル面に対して相対的に下方向に移動するときは、飽和量以上の洗浄液がウェブに付与されて、ノズル面が払拭される。また、押圧ローラがノズル面に対して相対的に上方向に移動するときは、ウェブに浸透する程度の付与量で洗浄液がウェブに付与されて、ノズル面が払拭される。これにより、拭き残しを生じさせることなく、効果的に汚れを払拭することができる。
【0026】
[9]ヘッドクリーニング方法の第4の態様は、上記第1から3の態様のヘッドクリーニング方法において、前記インクジェットヘッドのノズル内の圧力を正圧にして、前記ノズル面を払拭することを特徴とする。
【0027】
本態様によれば、払拭時にノズル面の圧力が正圧に設定される。これにより、ノズル内に洗浄液が引き込まれるのを防止することができる。
【0028】
[10]ヘッドクリーニング方法の第5の態様は、上記第1から4の態様のヘッドクリーニング方法において、前記洗浄液には、400kHz以上の前記超音波が印加されることを特徴とする。
【0029】
本態様によれば、400kHz以上の超音波が洗浄液に印加される。これにより、ノズル面に付着した微細な汚れ(数μmの汚れ)を効果的に除去することができる。また、ノズル面に形成された撥液膜などの破壊も防止することができる。
【0030】
[11]インクジェット記録装置の第1の態様は、上記第1から5のいずれか1の態様のヘッドクリーニング装置を備えたことを特徴とする。
【0031】
本態様によれば、インクジェット記録装置に組み込まれるインクジェットヘッドのノズル面の汚れを効果的に除去することができる。これにより、吐出不良を起こすことなく、高品質な画像を記録することができる。
【発明の効果】
【0032】
本発明によれば、インクジェットヘッドのノズル面の汚れを効果的に除去し、安定したクリーニング性能を維持できる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】インクジェット記録装置の記録部の概略構成を示す側面図
【図2】インクジェット記録装置の記録部の概略構成を示す正面図
【図3】ヘッドクリーニング装置の側面断面図
【図4】ヘッドクリーニング装置の正面図
【図5】洗浄液供給ノズルの断面図
【図6】ヘッドクリーニング装置によるクリーニング動作の説明図
【図7】ヘッドクリーニング装置の第2の実施の形態の側面断面図
【図8】ヘッドクリーニング装置の第2の実施の形態の正面図
【図9】ヘッドクリーニング装置によるクリーニング動作の説明図
【図10】ノズル面を複数回払拭する場合の処理の手順を示すフローチャート
【図11】ノズル面を複数回払拭する場合のクリーニング動作の説明図
【図12】ヘッドクリーニング装置の第3の実施の形態の側面断面図
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、添付図面に従って本発明の好ましい実施形態について詳説する。
【0035】
〔第1の実施の形態〕
[構成]
図1は、インクジェット記録装置の記録部の概略構成を示す側面図であり、図2は、その正面図である。
【0036】
本例のインクジェット記録装置は、いわゆるラインプリンタであり、ラインタイプのインクジェットヘッド10(以下、ヘッドという。)を用いて、メディアMに画像を記録する。
【0037】
メディアMは、いわゆるロール紙(連続紙)である。メディアMは、図示しないメディア搬送機構によって、所定の搬送経路を一定の搬送速度で搬送される。本例では、記録部において、メディアMは、ガイドローラ20にガイドされて、垂直に搬送される。
【0038】
上記のように、ヘッド10は、ラインタイプのヘッド(ラインヘッド)であり、メディアMの幅に対応して形成される(メディアMの幅方向の全域に1パスで記録可能に形成される。)。ヘッド10の先端には、ノズル面12が形成される。ノズル面12には、ノズル14が設けられる。ノズル14は、ノズル面12の長手方向(幅方向)に沿って多数配置される。本例のヘッド10は、いわゆるマトリックスヘッドで構成され、ノズル14がノズル面12にマトリクス状に配置される。
【0039】
ヘッド10は、ヘッドマウント16に搭載される。このヘッドマウント16に搭載されることにより、ヘッド10は、記録部を搬送されるメディアMの搬送方向に直交して配置されるとともに、そのノズル面12が、記録部を搬送されるメディアMと平行に配置される。
【0040】
ヘッドマウント16は、図示しない前後移動機構によって前後方向(記録部を搬送されるメディアMの記録面と直交する方向)に移動可能に設けられるとともに、図示しない上下移動機構によって上下方向(記録部を搬送されるメディアMの搬送方向)に移動可能に設けられる。また、図示しない左右移動機構によって左右方向(記録部を搬送されるメディアMの搬送方向と直交する方向(メディアMの幅方向))に移動可能に設けられる。
【0041】
ヘッドマウント16は、左右方向に移動して、ヘッド10を画像記録位置とクリーニング位置とに移動させる。
【0042】
ヘッド10は、画像記録位置に移動することにより、記録部を搬送されるメディアMに画像を記録することが可能になる。すなわち、ノズル面12が記録部を搬送されるメディアMに面して配置される。
【0043】
また、ヘッド10は、クリーニング位置に移動することにより、ヘッドクリーニング装置30Aによるノズル面12のクリーニングが可能になる。
【0044】
図3は、ヘッドクリーニング装置の側面断面図である。また、図4は、ヘッドクリーニング装置の正面図である。
【0045】
ヘッドクリーニング装置30Aは、インクジェット記録装置のヘッドクリーニング部に設置され、クリーニング位置に移動したヘッド10のノズル面12をウェブで払拭してクリーニングする。
【0046】
このヘッドクリーニング装置30Aは、主として、本体フレーム32と、ノズル面12を払拭するウェブ34と、ウェブ34を繰り出す繰出軸36と、ウェブ34を巻き取る巻取軸38と、ウェブ34をノズル面12に当接させる押圧ローラ40と、ウェブ34の走行をガイドする第1ガイドローラ42及び第2ガイドローラ44と、ウェブ34を走行させるウェブ駆動モータ46と、ウェブ34に超音波が印加された洗浄液を付与する洗浄液付与装置48と、本体フレーム32をヘッド10に対して進退移動させる進退駆動機構50とで構成される。
【0047】
本体フレーム32は、矩形の板状に形成された本体部32Aと、その本体部32Aの両端に設けられた板状の支持部32B、32Bとで構成される。本体部32Aは、クリーニング位置に移動したヘッド10のノズル面12と平行に配置される。支持部32B、32Bは、クリーニング位置に移動したヘッド10に向けて、本体部32Aの両端に直角に設けられる。
【0048】
ウェブ34は、吸収性を有するワイピングクロス(たとえば、極細の長繊維の織り編み物)で構成され、ヘッド10のノズル面12の幅に対応した幅を有する帯状に形成される。ウェブ34は、円筒状に形成された巻芯にロール状に巻かれる。また、ウェブ34の先端には、巻き取り用の巻芯が取り付けられる。
【0049】
繰出軸36は、丸棒状に形成され、両端部を本体フレーム32の支持部32B、32Bに支持されて、本体フレーム32に取り付けられる。この繰出軸36は、ヘッド10と平行に配置される。ロール状に巻かれたウェブ34は、その巻芯の部分を繰出軸36に装着して、繰出軸36に装着される。
【0050】
巻取軸38は、丸棒状に形成され、両端部を本体フレーム32の支持部32B、32Bに支持されて、本体フレーム32に取り付けられる。この巻取軸38は、繰出軸36の下方に配置され、ヘッド10と平行に配置される。ウェブ34を巻き取る巻芯は、この巻取軸38に装着される。
【0051】
押圧ローラ40は、ゴムローラで構成され、両端部を本体フレーム32の支持部32B、32Bに支持されて、本体フレーム32に取り付けられる。この押圧ローラ40は、繰出軸36と巻取軸38の前方(ヘッド側)に配置され、ヘッド10と平行に配置される。ウェブ34は、この押圧ローラ40によってヘッド10のノズル面12に押し当てられる。
【0052】
第1ガイドローラ42と第2ガイドローラ44は、押圧ローラ40の上下に配置され、ウェブ34が、所定の角度で押圧ローラ40に巻き掛けられるように、ウェブ34の走行をガイドする。
【0053】
ここで、押圧ローラ40の上方に配置される第1ガイドローラ42は、押圧ローラ40に巻き掛けられるウェブ34が、押圧ローラ40に向かって斜め下方に走行するようにウェブ34をガイドする。
【0054】
一方、押圧ローラ40の下方に配置される第2ガイドローラ44は、押圧ローラ40に巻き掛けられたウェブ34が、押圧ローラ40から斜め下方に向かって走行するようにウェブ34をガイドする。
【0055】
ウェブ駆動モータ46は、本体フレーム32の片側の支持部32Bにブラケットを介して取り付けられる。このウェブ駆動モータ46は、巻取軸38と同軸上に配置され、巻取軸38に連結される。このウェブ駆動モータ46を駆動することにより、巻取軸38が回転し、ウェブ34が巻取軸38に巻き取られる。そして、この巻取軸38にウェブ34が巻き取られることにより、ウェブ34が走行する。
【0056】
洗浄液付与装置48は、押圧ローラ40に巻き掛けられるウェブ34に超音波が印加された洗浄液を付与する。この洗浄液付与装置48は、主として、洗浄液供給ノズル52と、洗浄液供給タンク54と、洗浄液供給配管56と、洗浄液供給ポンプ58と、洗浄液供給バルブ60と、超音波振動子62とで構成される。
【0057】
洗浄液供給ノズル52は、ウェブ34の幅に対応して形成される。この洗浄液供給ノズル52は、第1ガイドローラ42と押圧ローラ40との間を走行するウェブ34の上方に配置され、第1ガイドローラ42と押圧ローラ40との間を走行するウェブ34に向けて噴出口から洗浄液を噴出する。噴出口は、スリット状に形成され、ウェブ34の走行方向と直交して配置される。
【0058】
洗浄液供給タンク54は、洗浄液供給ノズル52から噴出する洗浄液を貯留する。
【0059】
洗浄液供給配管56は、洗浄液供給タンク54に貯留された洗浄液が洗浄液供給ノズル52に供給されるように、洗浄液供給タンク54と洗浄液供給ノズル52を接続する。
【0060】
洗浄液供給ポンプ58は、洗浄液供給配管56の途中に設けられ、洗浄液供給タンク54に貯留された洗浄液を洗浄液供給ノズル52に送液する。
【0061】
洗浄液供給バルブ60は、洗浄液供給配管56の途中に設けられ、洗浄液供給配管56の管路を開閉する。
【0062】
超音波振動子62は、図5に示すように、洗浄液供給ノズル52の内部に設置され、洗浄液供給ノズル52の噴出口52Aから噴出する洗浄液に超音波を印加(励振)する。超音波振動子62は、たとえば、400kHz以上の超音波を洗浄液に印加する。これにより、微細な汚れを効率よく剥離、溶解することができる。また、ノズル面12が撥液処理等されている場合であっても、その撥液膜を破壊することなく、汚れを除去することができる。
【0063】
以上のように構成される洗浄液付与装置48は、洗浄液供給バルブ60を開け、洗浄液供給ポンプ58を駆動することにより、洗浄液供給ノズル52から洗浄液が噴出される。また、超音波振動子62を駆動することにより、洗浄液供給ノズル52から噴出される洗浄液に超音波が印加される。
【0064】
洗浄液供給ノズル52から噴出された洗浄液は、第1ガイドローラ42と押圧ローラ40との間を走行するウェブ34に付与される。この第1ガイドローラ42と押圧ローラ40との間を走行するウェブ34は、押圧ローラ40に向かって斜め下方に走行するため、ウェブ34に付与された洗浄液は、押圧ローラ40に向かって流れる。これにより、払拭時に効率よく洗浄液をノズル面12に付与することができる。
【0065】
進退駆動機構50は、本体フレーム32をクリーニング位置に位置したヘッド10のノズル面12に向けて進退移動させる。この進退駆動機構50は、たとえば、シリンダで構成され、インクジェット記録装置のフレーム(図示せず)に固定される。本体フレーム32は、この進退駆動機構50に駆動されて、当接位置と離間位置との間を移動する。本体フレーム32が当接位置に移動することにより、押圧ローラ40が、ヘッドクリーニング位置したヘッド10のノズル面12に当接する。また、本体フレーム32が離間位置に移動することにより、押圧ローラ40がヘッドクリーニング位置に位置したヘッド10のノズル面12から離間(退避)する。
【0066】
ヘッドクリーニング装置30Aを含めてインクジェット記録装置の全体の動作は、図示しない制御装置によって制御される。制御装置は、たとえば、マイクロコンピュータで構成され、所定の制御プログラムを実行して、画像の記録処理、ヘッド10のクリーニング処理等を実施する。
【0067】
[作用]
次に、本実施の形態のヘッドクリーニング装置30Aによるヘッド10のクリーニング動作について説明する。
【0068】
ヘッド10のクリーニングは、オペレータによるクリーニングの実行指令に応じて、あるいは、前回のクリーニングからの経過時間、印刷枚数等に応じて自動で実行される。
【0069】
まず、ヘッド10がクリーニング位置に移動する。図6(a)は、ヘッド10がクリーニング位置に移動したときの状態(初期状態)を示している。
【0070】
初期状態において、ヘッドクリーニング装置30Aの本体フレーム32は離間位置に位置している。ヘッド10は、このヘッドクリーニング装置30Aに備えられた押圧ローラ40の上方に位置する(初期位置)。
【0071】
ヘッド10がクリーニング位置に移動すると、次に、ヘッドクリーニング装置30Aの本体フレーム32が当接位置に移動する。
【0072】
本体フレーム32が当接位置に移動すると、ウェブ駆動モータ46が駆動され、ウェブ34が走行を開始する。また、洗浄液供給バルブ60が開けられるとともに、洗浄液供給ポンプ58が駆動され、洗浄液供給ノズル52から洗浄液が噴出される。更に、超音波振動子62が駆動され、洗浄液供給ノズル52から噴出される洗浄液に超音波が印加される。これにより、走行するウェブ34に超音波が印加された洗浄液が付与される。ここで、洗浄液は、ウェブ34に浸透する程度の付与量で付与される。また、超音波は、400kHz以上の超音波が印加される。
【0073】
次に、ヘッド10が下方に移動する。ヘッド10が下方に移動すると、図6(b)、(c)に示すように、ヘッド10のノズル面12に押圧ローラ40が当接する。押圧ローラ40には、ウェブ34が巻き掛けられているため、ヘッド10のノズル面12は、このウェブ34に接触しながら下方に移動する。これにより、ヘッド10のノズル面12がウェブ34で払拭される。
【0074】
上記のように、ウェブ34には、洗浄液供給ノズル52から噴出される洗浄液が付与されている。洗浄液には、超音波振動子62によって超音波が印加されている。この超音波は、ウェブ34に浸透した洗浄液を通じてノズル面12に伝播する。これにより、ノズル面12に付着した汚れ(特に微細な汚れ)を剥離、溶解することができ、ノズル面12の汚れを効果的に除去することができる(洗浄液を構成する流体分子の振動加速度により洗浄性が向上する。)。
【0075】
また、ウェブ34は、走行している。このため、ノズル面12は常にクリーンなウェブ34で払拭される。これにより、常に一定のクリーニング性能を確保することができる。
【0076】
ヘッド10は、ノズル面12の上端部が押圧ローラ40を通過するまで下降する。ヘッド10は、ノズル面12の上端部が押圧ローラ40を通過すると、ヘッド10の下降が停止する。そして、このヘッド10の停止と同時にウェブ34の走行が停止されるとともに、洗浄液の付与及び超音波の印加が停止される。
【0077】
この後、図6(d)に示すように、ヘッドクリーニング装置30Aは、本体フレーム32が離間位置に移動する。
【0078】
本体フレーム32が離間位置に移動すると、ヘッド10は、上昇して初期位置に復帰する。そして、横方向に移動して、画像記録位置に復帰する。
【0079】
以上一連の工程でヘッド10のクリーニング動作が完了する。
【0080】
このように、本実施の形態のヘッドクリーニング装置30Aは、超音波を印加した洗浄液をウェブ34に付与しながら、ヘッド10のノズル面12をウェブ34で払拭する。これにより、ヘッド10のノズル面12に付着した汚れ(特に微細な汚れ)を効率よく除去することができる。また、ウェブ34を走行させることにより、常にクリーンなウェブ34でノズル面12を払拭でき、安定したクリーニング性能を維持することができる。
【0081】
なお、上記の例では、ノズル面12を1回だけ払拭しているが、複数回払拭するようにしてもよい。この場合、ヘッド10を複数回上下動(往復動)させて、ノズル面12を複数回払拭する。
【0082】
また、払拭に際して、ヘッド10は、ノズル内の圧力を正圧にすることが好ましい。これにより、洗浄液がノズル内に引き込まれるのを防止することができる。
【0083】
〔第2の実施の形態〕
[構成]
図7は、ヘッドクリーニング装置の第2の実施の形態の側面断面図である。図8は、ヘッドクリーニング装置の第2の実施の形態の正面図である。
【0084】
同図に示すように、本実施の形態のヘッドクリーニング装置30Bは、ウェブ34から滴下する洗浄液を回収する回収皿70を備えている。
【0085】
なお、回収皿70を備えている点以外は、上記第1の実施の形態のヘッドクリーニング装置30Aと同じなので、ここでは、回収皿70についてのみ説明する。
【0086】
回収皿70は、本体フレーム32の下方部に設置され、ウェブ34から滴下する洗浄液を回収する。したがって、ウェブ34から滴下する洗浄液をすべて回収可能な大きさで形成される。たとえば、上部が開口した矩形の皿状に形成され、本体フレーム32及びクリーニング位置に位置したヘッド10の下部を囲うように設置される。
【0087】
回収皿70は、図示しない洗浄液回収配管を介して図示しない廃液タンクに接続される。したがって、回収皿70で回収された洗浄液は、廃液タンクに回収される。
【0088】
[作用]
次に、本実施の形態のヘッドクリーニング装置30Bによるヘッド10のクリーニング動作について説明する。
【0089】
本実施の形態のヘッドクリーニング装置30Bでは、ウェブ34に飽和量以上の洗浄液を付与して、ノズル面12をクリーニングする。このようにウェブ34に飽和量以上の洗浄液を付与して、ノズル面12をクリーニングすることにより、押圧ローラ40に巻き掛けられるウェブ34の上に洗浄液の膜を形成でき、ノズル面12に接触する洗浄液の量、接触時間を増やすことができる。これにより、超音波による洗浄効果を向上させることができる。
【0090】
上記第1の実施の形態と同様に、まず、ヘッド10がクリーニング位置に移動する。
【0091】
ヘッド10がクリーニング位置に移動すると、次に、本体フレーム32が当接位置に移動する。
【0092】
本体フレーム32が当接位置に移動すると、ウェブ駆動モータ46が駆動され、ウェブ34が走行を開始する。また、洗浄液供給バルブ60が開けられるとともに、洗浄液供給ポンプ58が駆動され、洗浄液供給ノズル52から洗浄液が噴出される。更に、超音波振動子62が駆動され、洗浄液供給ノズル52から噴出される洗浄液に超音波が印加される。これにより、走行するウェブ34に超音波が印加された洗浄液が付与される。
【0093】
ここで、上記のように、ウェブ34には、飽和量以上の洗浄液(ウェブ34の吸収能力を超える量の洗浄液)が付与される。これにより、ウェブ34の表面に洗浄液の膜が形成される。このとき、本実施の形態のヘッドクリーニング装置30Bでは、押圧ローラ40に向かって下方向に走行するウェブ34に洗浄液が付与されるため、付与した洗浄液を効率よく押圧ローラ40に導くことができる。
【0094】
なお、超音波は、上記第1の実施の形態と同様に、400kHz以上の超音波が印加される。
【0095】
次に、ヘッド10が下方に移動する。ヘッド10が下方に移動すると、ヘッド10のノズル面12に押圧ローラ40が当接する。押圧ローラ40には、ウェブ34が巻き掛けられているため、ヘッド10のノズル面12は、このウェブ34に接触しながら下方に移動する。これにより、ヘッド10のノズル面12がウェブ34で払拭される。
【0096】
上記のように、ウェブ34には、洗浄液供給ノズル52から噴出される洗浄液が付与されている。洗浄液には、超音波振動子62によって超音波が印加されている。この超音波は、ウェブ34に浸透した洗浄液を通じてノズル面12に伝播する。これにより、ノズル面12に付着した汚れを剥離、溶解することができ、ノズル面12の汚れを効果的に除去することができる。特に、本実施の形態では、ウェブ34に飽和量以上の洗浄液を付与し、ウェブ34の表面に洗浄液の膜を形成して、ノズル面12を払拭するため、超音波による洗浄効果を高めて払拭することができる。すなわち、押圧ローラ40に巻き掛けられるウェブ34の表面に洗浄液の膜を形成することにより、ノズル面12に接触する洗浄液の量、接触時間を増やすことができ、超音波による洗浄効果を高めることができる。
【0097】
また、ウェブ34は、走行している。このため、ノズル面12は常にクリーンなウェブ34で払拭される。これにより、常に一定のクリーニング性能を確保することができる。
【0098】
なお、ウェブ34に飽和量以上の洗浄液を付与することにより、ウェブ34から洗浄液が滴下するが、滴下した洗浄液は、回収皿70で回収される。これにより、周囲への汚染を防止できる。
【0099】
ヘッド10は、ノズル面12の上端部が押圧ローラ40を通過するまで下降する。ヘッド10は、ノズル面12の上端部が押圧ローラ40を通過すると、ヘッド10の下降が停止する。そして、このヘッド10の停止と同時にウェブ34の走行が停止されるとともに、洗浄液の付与及び超音波の印加が停止される。
【0100】
この後、本体フレーム32が離間位置に移動する。本体フレーム32が離間位置に移動すると、ヘッド10は、上昇して初期位置に復帰する。そして、横方向に移動して、画像記録位置に復帰する。
【0101】
以上一連の工程でヘッド10のクリーニング動作が完了する。
【0102】
このように、本実施の形態のヘッドクリーニング装置は、超音波を印加した洗浄液をウェブ34に付与しながら、ヘッド10のノズル面12をウェブ34で払拭する。この際、ウェブ34に飽和量以上の洗浄液を付与する。これにより、ノズル面12に接触する洗浄液の量、接触時間を増やすことができ、ヘッド10のノズル面12に付着した汚れ(特に微細な汚れ)を効率よく除去することができる。この場合、洗浄液がウェブ34から滴下することがあるが、ウェブ34から滴下した洗浄液は、回収皿70で回収されるため、周囲を汚染することがない。
【0103】
なお、洗浄液の付与量は、ウェブ34の飽和量以上とするが、付与しすぎると、ウェブ34からの滴下量が多くなるので、ウェブ34の上に膜を形成可能な量であって、必要最小限の付与量で付与することが好ましい。
【0104】
また、ノズル面12への洗浄液の接触量、接触時間を増やすため、ノズル面12と、そのノズル面12に当接される押圧ローラ40との間に液溜まりを形成しながら、払拭することが好ましい。液溜まりは、たとえば、次のようにして形成する。
【0105】
すなわち、初期位置からヘッド10が下方に移動させて、ヘッド10のノズル面12に押圧ローラ40を当接させる際、図9(a)に示すように、ノズル面12の下端部が押圧ローラ40に当接すると同時にヘッド10の下降を停止する。この状態でウェブ34に洗浄液を付与することにより、ノズル面12に当接した押圧ローラ40とノズル面12との間に洗浄液が溜まり(押圧ローラ40とノズル面12との間に形成される谷部に洗浄液が溜まる)、液溜まりが形成される。この状態でヘッド10を下降させることにより、図9(b)に示すように、形成された液溜まりを維持して、ノズル面12を払拭することができる。
【0106】
このように、ノズル面12と押圧ローラ40との間に液溜まりを形成しながら、払拭することにより、洗浄液の接触時間、接触量を更に増やすことができ、更に超音波による洗浄効果を高めることができる。
【0107】
なお、このように液溜まりを形成して払拭する場合は、たとえば、押圧ローラ40の両端部に拡径したフランジ部を形成することが好ましい。これにより、押圧ローラ40の両端部から洗浄液が漏れるのを抑止できる。
【0108】
また、上記の例では、ノズル面12を1回だけ払拭しているが、複数回払拭するようにしてもよい。この場合、ヘッド10を複数回上下動(往復動)させて、ノズル面12を複数回払拭する。また、この場合、各回で洗浄液の付与量を変えて払拭することが好ましい。特に、複数回のうち少なくとも1回は飽和量以上の洗浄液をウェブ34に付与して払拭し、少なくとも最後の1回はウェブに浸透する程度の付与量の洗浄液を付与して払拭することが好ましい。これにより、拭き残しを生じさせることなく、効果的に汚れを払拭することができる。すなわち、少なくとも1回は飽和量以上の付与量で洗浄液を付与して払拭することにより、超音波による洗浄効果を高めて払拭することができ、また、少なくとも最後は、ウェブ34に浸透する程度の付与量で洗浄液を付与して払拭することにより、拭き残しが生じるのを効果的に防止することができる。
【0109】
また、複数回払拭する場合において、ヘッド10を下方向に移動させるときは、ウェブ34に飽和量以上の洗浄液を付与して払拭し、上方向に移動させるときは、ウェブ34に浸透する程度の付与量で洗浄液を付与して払拭することが好ましい。これにより、拭き残しを生じさせることなく、効果的に汚れを払拭することができる。
【0110】
図10は、ノズル面12を複数回払拭する場合の処理の手順を示すフローチャートである。
【0111】
初期状態において、図11(a)に示すように、本体フレーム32は離間位置に位置している。また、ヘッド10は、押圧ローラ40の上方に位置する。
【0112】
まず、本体フレーム32が離間位置から当接位置に移動する(ステップS10)。
【0113】
次に、ウェブ駆動モータ46が駆動され、ウェブ34が走行を開始する(ステップS11)。次に、洗浄液供給バルブ60が開けられるとともに、洗浄液供給ポンプ58が駆動され、洗浄液供給ノズル52から洗浄液が噴出される。これにより、ウェブ34に洗浄液が付与される(ステップS12)。このとき、洗浄液は、飽和量以上の付与量でウェブ34に付与される。次に、超音波振動子62が駆動され、洗浄液供給ノズル52から噴出される洗浄液に超音波が印加される(ステップS13)。これにより、走行するウェブ34に超音波が印加された洗浄液が付与される。
【0114】
次に、ヘッド10が下方に移動する(ステップS14)。ヘッド10が下方に移動すると、図11(b)、(c)に示すように、ヘッド10のノズル面12に押圧ローラ40が当接する。押圧ローラ40には、ウェブ34が巻き掛けられているため、ヘッド10のノズル面12は、このウェブ34に接触しながら下方に移動する。これにより、ヘッド10のノズル面12がウェブ34で払拭される。
【0115】
ここで、ウェブ34には、飽和量以上の洗浄液が付与されているため、超音波による洗浄効果を高めて払拭することができる。
【0116】
ヘッド10は、ノズル面12の上端部が押圧ローラ40を通過するまで下降する。制御装置は、ノズル面12の上端部が押圧ローラ40を通過したか否かを判定する(ステップS15)。
【0117】
ノズル面12の上端部が押圧ローラ40を通過すると、ヘッド10の下降が停止する(ステップS16)。そして、洗浄液の付与量が切り替えられ、ウェブ34に浸透する程度の付与量で洗浄液が付与される(ステップS17)。
【0118】
この後、ヘッド10が上方に移動する(ステップS18)。ヘッド10が上方に移動すると、図11(d)、(e)に示すように、ヘッド10のノズル面12に押圧ローラ40が当接する。押圧ローラ40には、ウェブ34が巻き掛けられているため、ヘッド10のノズル面12は、このウェブ34に接触しながら上方に移動する。これにより、ヘッド10のノズル面12がウェブ34で払拭される。
【0119】
ここで、ウェブ34には、浸透する程度の付与量で洗浄液が付与されているため、拭き残しを生じることなくノズル面12を払拭することができる。
【0120】
ヘッド10は、ノズル面12の下端部が押圧ローラ40を通過するまで上昇する。制御装置は、ノズル面12の下端部が押圧ローラ40を通過したか否かを判定する(ステップS19)。
【0121】
ノズル面12の上端部が押圧ローラ40を通過すると、ヘッド10は、初期位置で上昇が停止する(ステップS20)。
【0122】
ヘッド10の移動が停止すると、洗浄液の供給が停止されるとともに(ステップS21)、超音波の印加が停止される(ステップS22)。更に、ウェブ34の走行が停止される(ステップS23)。
【0123】
この後、図11(f)に示すように、本体フレーム32が離間位置に移動する。
【0124】
以上一連の工程でヘッド10のクリーニング動作が完了する。
【0125】
このように、ヘッド10を複数回払拭する場合において、ヘッド10を下方向に移動させるときは、ウェブ34に飽和量以上の洗浄液を付与して払拭し、上方向に移動させるときは、ウェブ34に浸透する程度の付与量で洗浄液を付与して払拭することにより、拭き残しを生じさせることなく、効果的に汚れを払拭することができる。
【0126】
なお、上記の例では、ヘッド10を1回往復動させて、ノズル面12を払拭する例で説明したが、ヘッド10を複数回往復動させて、ノズル面12を払拭することもできる。また、ヘッド10を複数回往復動させる場合は、最後の1回(上昇時)のみウェブ34に浸透する程度の付与量で洗浄液を付与して払拭することもできる。
【0127】
〔第3の実施の形態〕
図12は、ヘッドクリーニング装置の第3の実施の形態の側面断面図である。
【0128】
同図に示すように、本実施の形態のヘッドクリーニング装置30Cは、水平に設置されたヘッド10をクリーニング対象としている。
【0129】
ヘッド10は、下方に向けて水平にノズル面12が配置される。このノズル面12に対してヘッドクリーニング装置30Cは、下方から押圧ローラ40を当接させて、ノズル面12を払拭する。
【0130】
この場合、洗浄液供給ノズル52は、押圧ローラ40とノズル面12との当接部に向けて洗浄液を噴出するように設置される。これにより、超音波による洗浄効果を与えつつ、ウェブ34でノズル面12を払拭することができる。
【0131】
〔その他の実施の形態〕
上記実施の形態では、ヘッド側を移動させて、ノズル面を払拭する構成としているが、ヘッドクリーニング装置側を移動させて、ノズル面を払拭する構成とすることもできる。また、ヘッドとヘッドクリーニング装置の双方を移動させて、ノズル面を払拭する構成とすることもできる。
【0132】
また、上記実施の形態では、ヘッドを幅方向(ノズル列の方向)と直交する方向に移動させて、ノズル面を払拭する構成としているが、ヘッドを幅方向に移動させて払拭する構成とすることもできる。
【0133】
また、上記一連の実施の形態では、ラインヘッドをクリーニングする場合を例に説明したが、いわゆるシャトルヘッドをクリーニングする場合にも本発明を適用することができる。
【0134】
また、上記実施の形態のインクジェット記録装置は、ロール紙に画像を記録するインクジェット記録装置に本発明を適用した場合を例に説明したが、本発明は、枚葉紙に画像を記録するインクジェット記録装置にも同様に適用することができる。
【0135】
また、上記実施の形態では、超音波振動子を洗浄液供給ノズルに設置した場合を例に説明したが、超音波振動子の設置位置は、これに限定されるものではない。たとえば、洗浄液供給配管の管路中に設置することもできる。
【符号の説明】
【0136】
10…ヘッド(インクジェットヘッド)、12…ノズル面、14…ノズル、16…ヘッドマウント、20…ガイドローラ、30A、30B、30C…ヘッドクリーニング装置、32…本体フレーム、32A…本体部、32B…支持部、34…ウェブ、36…繰出軸、38…巻取軸、40…押圧ローラ、42…第1ガイドローラ、44…第2ガイドローラ、46…ウェブ駆動モータ、48…洗浄液付与装置、50…進退駆動機構、52…洗浄液供給ノズル、52A…噴出口、54…洗浄液供給タンク、56…洗浄液供給配管、58…洗浄液供給ポンプ、60…洗浄液供給バルブ、62…超音波振動子、70…回収皿、M…メディア
【特許請求の範囲】
【請求項1】
インクジェットヘッドのノズル面をクリーニングするヘッドクリーニング装置において、
前記ノズル面に押圧当接される押圧ローラと、
前記押圧ローラに巻き掛けられるウェブと、
前記ウェブを繰り出す繰出軸と、
前記ウェブを巻き取る巻取軸と、
前記繰出軸から繰り出されて前記巻取軸に巻き取られる前記ウェブが、前記押圧ローラに巻き掛けられるようにガイドするガイド部材と、
前記ウェブを走行させるウェブ駆動手段と、
前記押圧ローラに巻き掛けられる前記ウェブに洗浄液を付与する洗浄液付与手段と、
前記洗浄液に超音波を印加する超音波発生手段と、
を備えたことを特徴とするヘッドクリーニング装置。
【請求項2】
前記インクジェットヘッドは、前記ノズル面がほぼ垂直に配置され、
前記押圧ローラは、水平かつ前記ノズル面と平行に配置され、
前記ガイド部材は、前記ウェブが前記押圧ローラに向かって斜め下方に走行するように、又は、前記押圧ローラから斜め上方に向かって走行するようにガイドし、
前記洗浄液付与手段は、前記ウェブが前記押圧ローラに向かって斜め下方に走行する部位、又は、前記ウェブが前記押圧ローラから斜め上方に向かって走行する部位に、前記ウェブの上方から前記洗浄液を付与することを特徴とする請求項1に記載のヘッドクリーニング装置。
【請求項3】
前記洗浄液付与手段は、前記ウェブの表面に前記洗浄液の膜が形成されるように、前記ウェブに飽和量以上の前記洗浄液を付与することを特徴とする請求項2に記載のヘッドクリーニング装置。
【請求項4】
前記ウェブから滴下する前記洗浄液を回収する回収皿を更に備えたことを特徴とする請求項3に記載のヘッドクリーニング装置。
【請求項5】
前記洗浄液付与手段は、ノズルから前記洗浄液を付与し、
前記超音波発生手段は、前記ノズル内に設置されて、前記ノズル内の前記洗浄液に前記超音波を印加することを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載のヘッドクリーニング装置。
【請求項6】
請求項3に記載のヘッドクリーニング装置を用いたインクジェットヘッドのクリーニング方法であって、
前記超音波が印加された前記洗浄液を前記ウェブに付与しながら、前記ウェブを走行させて、前記押圧ローラを前記ノズル面に当接させ、前記押圧ローラと前記ノズル面とを相対的に上下方向に移動させて、前記ノズル面を前記ウェブで払拭するヘッドクリーニング方法において、
前記ノズル面と前記押圧ローラとの間に前記洗浄液の液溜まりを形成した状態で前記押圧ローラと前記ノズル面とを相対的に上下方向に移動させて、前記ノズル面を前記ウェブで払拭することを特徴とするヘッドクリーニング方法。
【請求項7】
請求項2に記載のヘッドクリーニング装置を用いたインクジェットヘッドのクリーニング方法であって、
前記超音波が印加された前記洗浄液を前記ウェブに付与しながら、前記ウェブを走行させて、前記押圧ローラを前記ノズル面に当接させ、前記押圧ローラと前記ノズル面とを相対的に上下方向に移動させて、前記ノズル面を前記ウェブで払拭するヘッドクリーニング方法において、
前記押圧ローラと前記ノズル面とを相対的に上下方向に複数回移動させて、前記ノズル面を前記ウェブで払拭し、少なくとも1回は前記ウェブに飽和量以上の前記洗浄液を付与して前記ノズル面を払拭し、少なくとも最後の1回は前記ウェブに浸透する程度の付与量で前記洗浄液を付与して前記ノズル面を払拭することを特徴とするヘッドクリーニング方法。
【請求項8】
請求項2に記載のヘッドクリーニング装置を用いたインクジェットヘッドのクリーニング方法であって、
前記超音波が印加された前記洗浄液を前記ウェブに付与しながら、前記ウェブを走行させて、前記押圧ローラを前記ノズル面に当接させ、前記押圧ローラと前記ノズル面とを相対的に上下方向の往復移動をさせて、前記ノズル面を前記ウェブで払拭するヘッドクリーニング方法において、
前記押圧ローラが前記ノズル面に対して相対的に下方向に移動する場合は、前記ウェブに飽和量以上の前記洗浄液を付与して前記ノズル面を払拭し、前記押圧ローラが前記ノズル面に対して相対的に上方向に移動する場合は、前記ウェブに浸透する程度の付与量で前記洗浄液を付与して前記ノズル面を払拭することを特徴とするヘッドクリーニング方法。
【請求項9】
前記インクジェットヘッドのノズル内の圧力を正圧にして、前記ノズル面を払拭することを特徴とする請求項6から8のいずれか1項に記載のヘッドクリーニング方法。
【請求項10】
前記洗浄液には、400kHz以上の前記超音波が印加されることを特徴とする請求項6から9のいずれか1項に記載のヘッドクリーニング方法。
【請求項11】
請求項1から5のいずれか1項に記載のヘッドクリーニング装置を備えたことを特徴とするインクジェット記録装置。
【請求項1】
インクジェットヘッドのノズル面をクリーニングするヘッドクリーニング装置において、
前記ノズル面に押圧当接される押圧ローラと、
前記押圧ローラに巻き掛けられるウェブと、
前記ウェブを繰り出す繰出軸と、
前記ウェブを巻き取る巻取軸と、
前記繰出軸から繰り出されて前記巻取軸に巻き取られる前記ウェブが、前記押圧ローラに巻き掛けられるようにガイドするガイド部材と、
前記ウェブを走行させるウェブ駆動手段と、
前記押圧ローラに巻き掛けられる前記ウェブに洗浄液を付与する洗浄液付与手段と、
前記洗浄液に超音波を印加する超音波発生手段と、
を備えたことを特徴とするヘッドクリーニング装置。
【請求項2】
前記インクジェットヘッドは、前記ノズル面がほぼ垂直に配置され、
前記押圧ローラは、水平かつ前記ノズル面と平行に配置され、
前記ガイド部材は、前記ウェブが前記押圧ローラに向かって斜め下方に走行するように、又は、前記押圧ローラから斜め上方に向かって走行するようにガイドし、
前記洗浄液付与手段は、前記ウェブが前記押圧ローラに向かって斜め下方に走行する部位、又は、前記ウェブが前記押圧ローラから斜め上方に向かって走行する部位に、前記ウェブの上方から前記洗浄液を付与することを特徴とする請求項1に記載のヘッドクリーニング装置。
【請求項3】
前記洗浄液付与手段は、前記ウェブの表面に前記洗浄液の膜が形成されるように、前記ウェブに飽和量以上の前記洗浄液を付与することを特徴とする請求項2に記載のヘッドクリーニング装置。
【請求項4】
前記ウェブから滴下する前記洗浄液を回収する回収皿を更に備えたことを特徴とする請求項3に記載のヘッドクリーニング装置。
【請求項5】
前記洗浄液付与手段は、ノズルから前記洗浄液を付与し、
前記超音波発生手段は、前記ノズル内に設置されて、前記ノズル内の前記洗浄液に前記超音波を印加することを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載のヘッドクリーニング装置。
【請求項6】
請求項3に記載のヘッドクリーニング装置を用いたインクジェットヘッドのクリーニング方法であって、
前記超音波が印加された前記洗浄液を前記ウェブに付与しながら、前記ウェブを走行させて、前記押圧ローラを前記ノズル面に当接させ、前記押圧ローラと前記ノズル面とを相対的に上下方向に移動させて、前記ノズル面を前記ウェブで払拭するヘッドクリーニング方法において、
前記ノズル面と前記押圧ローラとの間に前記洗浄液の液溜まりを形成した状態で前記押圧ローラと前記ノズル面とを相対的に上下方向に移動させて、前記ノズル面を前記ウェブで払拭することを特徴とするヘッドクリーニング方法。
【請求項7】
請求項2に記載のヘッドクリーニング装置を用いたインクジェットヘッドのクリーニング方法であって、
前記超音波が印加された前記洗浄液を前記ウェブに付与しながら、前記ウェブを走行させて、前記押圧ローラを前記ノズル面に当接させ、前記押圧ローラと前記ノズル面とを相対的に上下方向に移動させて、前記ノズル面を前記ウェブで払拭するヘッドクリーニング方法において、
前記押圧ローラと前記ノズル面とを相対的に上下方向に複数回移動させて、前記ノズル面を前記ウェブで払拭し、少なくとも1回は前記ウェブに飽和量以上の前記洗浄液を付与して前記ノズル面を払拭し、少なくとも最後の1回は前記ウェブに浸透する程度の付与量で前記洗浄液を付与して前記ノズル面を払拭することを特徴とするヘッドクリーニング方法。
【請求項8】
請求項2に記載のヘッドクリーニング装置を用いたインクジェットヘッドのクリーニング方法であって、
前記超音波が印加された前記洗浄液を前記ウェブに付与しながら、前記ウェブを走行させて、前記押圧ローラを前記ノズル面に当接させ、前記押圧ローラと前記ノズル面とを相対的に上下方向の往復移動をさせて、前記ノズル面を前記ウェブで払拭するヘッドクリーニング方法において、
前記押圧ローラが前記ノズル面に対して相対的に下方向に移動する場合は、前記ウェブに飽和量以上の前記洗浄液を付与して前記ノズル面を払拭し、前記押圧ローラが前記ノズル面に対して相対的に上方向に移動する場合は、前記ウェブに浸透する程度の付与量で前記洗浄液を付与して前記ノズル面を払拭することを特徴とするヘッドクリーニング方法。
【請求項9】
前記インクジェットヘッドのノズル内の圧力を正圧にして、前記ノズル面を払拭することを特徴とする請求項6から8のいずれか1項に記載のヘッドクリーニング方法。
【請求項10】
前記洗浄液には、400kHz以上の前記超音波が印加されることを特徴とする請求項6から9のいずれか1項に記載のヘッドクリーニング方法。
【請求項11】
請求項1から5のいずれか1項に記載のヘッドクリーニング装置を備えたことを特徴とするインクジェット記録装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2012−171279(P2012−171279A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−37122(P2011−37122)
【出願日】平成23年2月23日(2011.2.23)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年2月23日(2011.2.23)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]