説明

ヘッドマウントディスプレイ

【課題】使用者自身を撮影した撮影映像を取得できるヘッドマウントディスプレイを提供する
【解決手段】ヘッドマウントディスプレイ200は、他のヘッドマウントディスプレイ200が備えるカメラにおいて撮影された撮影映像(第一撮影映像)を受信する。またヘッドマウントディスプレイ200は、自身が備えるカメラにおいて撮影された撮影映像(第二撮影映像)を受信する。使用者3が装着するヘッドマウントディスプレイ200では、第一撮影映像中に使用者3自身の映像が含まれているか判断される。第一撮影映像に使用者自身の映像が含まれていると判断された場合、第一撮影映像はフラッシュメモリに記憶される。第一撮影映像に使用者3自身の映像が含まれていない場合は、第二撮影映像がフラッシュメモリに記憶される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はヘッドマウントディスプレイに関する。より詳細には、撮影手段において撮影された撮影映像を表示するヘッドマウントディスプレイに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数のカメラによって撮影された異なる方向の映像のうち、ヘッドマウントディスプレイを使用する使用者の見ている方向に対応した映像を表示することが可能なヘッドマウントディスプレイが提案されている(例えば、特許文献1参照)。使用者は、視野方向を変えた場合に、視野方向に対応した映像を視認できるので、あたかも自分がその場にいるかのように、カメラ周囲の様子を認識できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8−336128号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、例えばライフログなどに代表されるように、自身の行動を記録として残したい、即ち、使用者自身を撮影した映像を利用したいという要求が高まっている。しかしながら上述の装置では、使用者自身を含む映像を撮影することが考慮されていないので、使用者自身を撮影した撮影映像が取得できないという問題点がある。
【0005】
本発明の目的は、ヘッドマウントディスプレイを使用する使用者自身を撮影した撮影映像を取得できるヘッドマウントディスプレイを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の第一態様に係るヘッドマウントディスプレイは、映像を撮影する第一撮影手段において撮影された撮影映像である第一撮影映像を取得する第一取得手段と、前記第一取得手段において取得した前記第一撮影映像を表示手段に表示する表示制御手段とを備えたヘッドマウントディスプレイであって、前記第一取得手段において取得した前記第一撮影映像に、前記ヘッドマウントディスプレイを装着した使用者の映像が含まれているかを判断する判断手段と、前記判断手段において、前記第一撮影映像に前記使用者の映像が含まれていると判断された場合に、前記第一撮影映像を記憶手段に記憶する記憶制御手段とを備えている。
【0007】
本開示の第一態様に係るヘッドマウントディスプレイでは、使用者は、取得された第一撮影映像に自身の映像が含まれている場合に、ヘッドマウントディスプレイに第一撮影映像を記憶させることができる。使用者は、記憶された第一撮影映像を、自身の映像が含まれている撮影映像として利用できる。使用者自身の映像が第一撮影映像に含まれているかが自動的に判断されるので、表示手段に表示される第一撮影映像に基づいて使用者が判断する手間を省くことができる。
【0008】
また第一態様において、前記使用者の視野映像を撮影する第二撮影手段と、前記第二撮影手段において撮影された撮影映像である第二撮影映像を取得する第二取得手段とを備え、前記記憶制御手段は、前記判断手段において、前記第一撮影映像に前記使用者の映像が含まれていると判断された場合に、前記第二取得手段において取得した前記第二撮影映像と前記第一撮影映像とを前記記憶手段に記憶してもよい。これによってヘッドマウントディスプレイの使用者は、自身の映像が含まれている第一撮影映像と、自身の視野映像である第二撮影映像とを記憶手段に記憶させることができる。使用者は、第一撮影映像に加えて自身の視野映像(第二撮影映像)を利用できる。
【0009】
また第一態様において、前記第一撮影映像と前記第二撮影映像とのうちいずれかを選択する選択手段を備え、前記記憶制御手段は、前記選択手段において前記第一撮影映像と前記第二撮影映像とのうちいずれかが選択されている場合には、選択されている撮影映像を前記記憶手段に記憶してもよい。これによって使用者は、予め第一撮影映像と第二撮影映像とのうちいずれかを選択することで、いずれか一方の撮影映像のみを記憶手段に記憶させることができる。従って、必要な撮影映像のみ記憶手段に記憶させることができるので、必要となる記憶手段の記憶容量を抑制できる。
【0010】
また第一態様において、前記記憶制御手段は、前記判断手段において前記使用者の映像が前記第一撮影映像に含まれていないと判断された場合に、前記第二取得手段において取得された前記第二撮影像のみ前記記憶手段に記憶してもよい。これによって使用者は、第一撮影映像に自身の映像が含まれていない場合であっても、第二撮影映像を記憶することができる。使用者は、自身の映像が含まれていない場合であっても、視野映像(第二撮影映像)を利用できる。
【0011】
また、第一態様において、前記使用者の視野映像を撮影する第二撮影手段と、前記第二撮影手段において撮影された撮影映像である第二撮影映像を取得する第二取得手段とを備え、前記記憶制御手段は、前記第二取得手段によって前記第二撮影映像が取得されてから所定時間内に、前記第一取得手段によって前記第一撮影映像が取得された場合、前記第二撮影映像と前記第一撮影映像とを前記記憶手段に記憶してもよい。これによって、短い期間内に撮影された第一撮影映像と第二撮影映像とを記憶手段に記憶できるので、使用者は、ほぼ同時刻に撮影された第一撮影映像と第二撮影映像とを取得し利用できる。
【0012】
また第一態様において、前記使用者の映像が前記第一撮影映像に含まれているか否かが入力される第一入力手段を備え、前記判断手段は、前記第一入力手段において前記使用者の映像が前記第一撮影映像に含まれている旨が入力されている場合、前記第一撮影映像に前記使用者の映像が含まれていると判断してもよい。使用者の映像が第一撮影映像に含まれている旨が入力されている場合、特段の処理を行うことなく、第一撮影映像に使用者の映像が含まれていると判断される。使用者の映像が含まれているか否かを判断する処理が不要となるので、ヘッドマウントディスプレイの処理負荷を軽減できる。また、使用者の映像が含まれているか否かが誤って判断されてしまうことがない。
【0013】
また第一態様において、前記第二撮影手段の駆動の許否が入力される第二入力手段を備え、前記判断手段は、前記第二入力手段において前記第二撮影手段の駆動を許可する旨が入力されている場合、前記第一撮影映像に前記使用者の映像が含まれていると判断してもよい。表示手段に表示される第一撮影映像に自身の映像が含まれている場合、使用者は、さらに第二撮影手段を使用して第二撮影映像を取得しようとする可能性が高い。従って、第二撮影手段の駆動を許可する旨が入力されている場合には、無条件に第一撮影映像に使用者の映像が含まれていると判断する。これによって、使用者の映像が含まれているか否かの判断を行うために特段処理を行う必要がないので、ヘッドマウントディスプレイの処理負荷を軽減できる。
【0014】
また第一態様において、前記第二取得手段において取得された前記第二撮影映像を、他のヘッドマウントディスプレイに送信する送信手段と、他のヘッドマウントディスプレイの前記送信手段において送信された前記第二撮影映像を受信する受信手段とを備え、前記第一取得手段は、前記受信手段において受信した前記第二撮影映像を、前記第一撮影映像として取得してもよい。他のヘッドマウントディスプレイにおいて撮影が行われることで得られる第二撮影映像が、第一撮影映像として取得される。ヘッドマウントディスプレイの第二撮影手段において撮影された撮影映像を、他のヘッドマウントディスプレイが利用できる。他のヘッドマウントディスプレイの第二撮影手段を、自身の第一撮影手段として使用できるため、第一撮影手段を別途設ける必要がない。
【0015】
また第一態様において、前記判断手段において、前記使用者の映像が前記第一撮影映像に含まれていると判断された場合に、前記使用者に通知する通知手段を備えていてもよい。これによって使用者は、第一撮影映像に自身の映像が含まれているか否かを、通知手段を介して容易に認識できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】HMD200を含むシステム構成の概要を示す模式図である。
【図2】HMD200の概要を示す模式図である。
【図3】HMD200の電気的構成を示すブロック図である。
【図4】メイン処理を示すフローチャートである。
【図5】メイン処理を示すフローチャートである。
【図6】映像判断処理を示すフローチャートである。
【図7】第一の変形例における映像判断処理を示すフローチャートである。
【図8】第二の変形例における映像判断処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の一実施形態に係るヘッドマウントディスプレイ(以下「HMD」という。)200について、図面を参照して説明する。図面は、本発明が採用し得る技術的特徴を説明する為に用いる。図面に記載している装置の構成、各種処理のフローチャート等は、単なる説明例であり、本発明を限定するものではない。
【0018】
図1を参照し、HMD200及びHMD200を含むシステム構成の概要について説明する。使用者3〜5は、其々HMD200を装着している。HMD200は、使用者の視野方向を撮影可能なカメラ7を備えている。使用者3の視野方向は、机8上の対象物6に向けられている。従って使用者3が装着するHMD200のカメラ7は、対象物6を撮影可能な状態となっている。使用者4の視野方向は、使用者3及び対象物6に向けられている。従って使用者4が装着するHMD200のカメラ7は、使用者3及び対象物6を撮影可能な状態となっている。
【0019】
本実施の形態では、HMD200のカメラ7において撮影された映像(以下「撮影映像」という。)は、他のHMD200に対して送信される。またHMD200では、他のHMD200から受信した撮影映像を使用者に視認させることができる。ここで、使用者4が装着するHMD200から送信された撮影映像には、使用者3の映像が含まれている。従って使用者3は、使用者4が装着するHMD200から送信された撮影映像(使用者3自身の映像が含まれている)を視認できる。またHMD200は、受信した撮影映像をフラッシュメモリ49(図3参照、後述)に記憶できる。これによって使用者3は、自身の映像が含まれている撮影映像を、様々な用途(自身のWeblogへの掲載等)に使用できる。
【0020】
図2を参照し、HMD200の構成について説明する。HMD200は、所謂網膜走査型ディスプレイである。網膜走査型ディスプレイは、画像信号に応じた光束を2次元方向に走査し、走査した光を眼に導き網膜上に表示画像を形成する。なおHMD200は、網膜走査型ディスプレイに限定されない。例えばHMD200は、液晶ディスプレイ、有機EL(ElectroLuminesence)ディスプレイ等、他の画像表示装置を備えていてもよい。
【0021】
図2に示すように、HMD200は、画像信号に応じて変調されたレーザ光(以下「映像光9」という。)を走査して、使用者の少なくとも一方の眼の網膜に出射する。これによりHMD200は、使用者の網膜に画像を直接投影し、映像を視認させることができる。HMD200は、出射装置100と、プリズム150と、カメラ7とを少なくとも備えている。
【0022】
出射装置100は、使用者に視認させるための映像の信号(以下「映像信号」という。)に応じた映像光9を、プリズム150に対し出射する。プリズム150は、出射装置100に対して固定的な位置にある。プリズム150は、出射装置100から出射した映像光9を、使用者の眼に向かって反射させる。プリズム150は、図示しないビームスプリッタ部を備える。プリズム150は、外界からの外光10を透過させ、使用者の眼に導く。プリズム150は、使用者3の側方から入射した映像光9を使用者の眼に入射させる。プリズム150は、外界からの外光10を使用者の眼に入射させる。これにより使用者は、実際の視界と、出射装置100から出射した映像光9に基づく映像とを視認可能となる。カメラ7は、使用者の視野方向の映像を撮影できる。
【0023】
図3を参照し、HMD200の電気的構成について説明する。図3に示すように、HMD200は、表示部40、入力部41、通信部43、フラッシュメモリ49、制御部46、カメラ7、及び電源部47を備えている。
【0024】
表示部40は、使用者に画像を視認させる。表示部40は、映像信号処理部70、レーザ群72、及び、レーザドライバ群71を備えている。映像信号処理部70は、映像信号を制御部46から受信する。映像信号処理部70は、受信した映像信号を、使用者の網膜に直接投影するために必要な各信号に変換する。レーザ群72は、青色出力レーザ(Bレーザ)721、緑色出力レーザ(Gレーザ)722、赤色出力レーザ(Rレーザ)723を含む。レーザ群72は、青色、緑色及び赤色のレーザ光を出力する。レーザドライバ群71は、レーザ群72からレーザ光を出力させるための制御を行う。映像信号処理部70はレーザドライバ群71と電気的に接続している。レーザドライバ群71は、Bレーザ721、Gレーザ722、及びRレーザ723と其々電気的に接続している。映像信号処理部70は、所望のレーザ光を所望のタイミングで出力させることが可能である。映像信号処理部70は、制御部46と電気的に接続している。映像信号処理部70は、制御部46から映像信号を受信できる。
【0025】
表示部40は、垂直走査ミラー812、垂直走査制御回路811、水平走査ミラー792、及び水平走査制御回路791を備えている。垂直走査ミラー812は、レーザより出力されたレーザ光を垂直方向に反射させることによって走査を行う。垂直走査制御回路811は、垂直走査ミラー812の駆動制御を行う。水平走査ミラー792は、レーザより出力されたレーザ光を水平方向に反射させることによって走査を行う。水平走査制御回路791は、水平走査ミラー792の駆動制御を行う。映像信号処理部70は、垂直走査制御回路811及び水平走査制御回路791と其々電気的に接続している。垂直走査制御回路811は垂直走査ミラー812と電気的に接続している。水平走査制御回路791は水平走査ミラー792と電気的に接続している。映像信号処理部70は、所望の方向にレーザ光を反射させることができる。
【0026】
入力部41は、各種操作や設定情報の入力を行う。入力部41は、操作ボタン群50、及び入力制御回路51を備えている。操作ボタン群50は、各種機能キーなどを備えている。入力制御回路51は、制御部46と電気的に接続している。操作ボタン群50は、入力制御回路51と電気的に接続している。入力制御回路51は、操作ボタン群50のキーが操作されたことを検出し、制御部46に通知する。従って、制御部46は、操作ボタン群50のキーに入力された情報を認識できる。
【0027】
通信部43は、撮影映像の送受信を行う。通信部43は、通信モジュール57と、通信制御回路58とを備えている。通信モジュール57は、無線電波を使用し、画像信号等の送受信を行う。通信制御回路58は、通信モジュール57を制御する。制御部46は通信制御回路58と電気的に接続している。通信モジュール57は通信制御回路58と電気的に接続している。制御部46は、通信部43を介して撮影映像の送受信を行うことができる。なお、通信モジュール57の通信方式としては特に限定されず、従来周知の無線通信方式が使用可能である。例えば、Bluetooth(登録商標)、UWB(Ultra Wide Band)規格、無線LAN(IEEE802.11b,11g,11nなど)規格、WirelessUSB規格などに準拠した無線通信方式が使用可能である。また、赤外線を利用したIrDA(Infrared Data Association)規格に準拠した無線通信方式も使用可能である。
【0028】
カメラ7は、使用者の視野方向の映像を撮影する。カメラ7は、制御部46と電気的に接続している。制御部46は、カメラ7にて撮影された撮影映像を取得できる。
【0029】
電源部47は、電池59及び充電制御回路60を備えている。電池59は、HMD200を駆動する電源となる。電池59は充電式である。充電制御回路60は、電池59の電力をHMD200に供給する。充電制御回路60は、充電用アダプタ(図示せず)から供給される電力を電池59へ供給して電池59の充電を行う。
【0030】
フラッシュメモリ49には、HMD200に対する各種設定情報が記憶される。またフラッシュメモリ49には、HMD200を使用する使用者の映像を特定するための情報(以下「使用者特定情報」という。)が記憶される。使用者特定情報は、使用者の映像から抽出された色、幾何学的形状、濃淡パターン等を含んでいる。使用者特定情報は、撮影映像中に使用者の映像が含まれているかを判断する場合に使用される(詳細は後述する)。フラッシュメモリ49は、制御部46と電気的に接続している。制御部46は、各記憶領域に記憶された情報を参照することができる。
【0031】
制御部46は、HMD200全体を制御する。制御部46は、例えば、所望の映像を表示部40に表示させる。また制御部46は、例えば、入力部41を介して入力された各種設定情報を、フラッシュメモリ49に記憶させる。制御部46は、CPU61、ROM62、及びRAM48を少なくとも備えている。ROM62は、各種プログラムを格納する。RAM48は、各種データを一時的に記憶する。制御部46では、ROM62に格納された各種プログラムをCPU61が読み出すことにより、各処理が実行される。RAM48は、CPU61が各処理を実行する場合に必要な各種フラグやタイマの記憶領域を提供する。
【0032】
図4〜図6を参照し、HMD200のCPU61において実行されるメイン処理について説明する。メイン処理は、HMD200の電源が投入された場合において、CPU61において起動され実行される。なお以下、「使用者」は、メイン処理が実行されるHMD200を装着した使用者を指すものとする。
【0033】
HMD200には、各種設定情報が入力部41を介して予め入力されているものとする。入力部41を介して入力された各種設定情報は、フラッシュメモリ49に記憶される。予め入力される設定情報は、撮影許否情報、第一記憶可否情報、及び第二記憶可否情報である。撮影許否情報は、カメラ7による撮影の許否を示す設定情報である。第一記憶可否情報は、他のHMD200から送信された撮影映像(以下「第一撮影映像」という。)を受信した場合に、第一撮影映像をフラッシュメモリ49に記憶するか否かを示す設定情報である。第二記憶可否情報は、カメラ7において撮影された撮影映像(以下「第二撮影映像」という。)をフラッシュメモリ49に記憶するか否かを示す設定情報である。
【0034】
なお上述では、カメラ7による撮影の許否を示す設定情報として撮影許否情報が入力部41を介して入力されていた。しかしながら本発明はこの構成に限定されない。使用者は、カメラ7の電源をON/OFFすることで、カメラ7による撮影の許否を設定してもよい。
【0035】
メイン処理が起動されると、撮影許否情報が参照される。カメラ7における撮影が禁止されている場合(S11:NO)、カメラ7による撮影を行うことなくS19の処理に進む。カメラ7における撮影が許可されている場合(S11:YES)、カメラ7により撮影された第二撮影映像が取得される(S15)。取得された第二撮影映像は、通信部43を介して他のHMD200に対して送信される(S17)。次いで、他のHMD200から送信された第一撮影映像が受信される(S19)。表示部40を介し、第一撮影映像と第二撮影映像とが表示される(S20)。使用者は、第一撮影映像と第二撮影映像とを視認可能な状態となる。
【0036】
第一撮影映像中に、使用者自身の映像が含まれているかを判断する処理(映像判断処理)が実行される(S21)。図6を参照し、映像判断処理について説明する。フラッシュメモリ49に記憶されている使用者特定情報が取得される(S61)。第一撮影映像の色、幾何学的な形状、濃淡パターン等が、パラメータとして第一撮影映像から抽出される。抽出されたパラメータと、S61において取得された使用者特定情報とのマッチング処理が行われる(S63)。使用者特定情報と良好にマッチングする部分が、抽出されたパラメータ内に存在する場合、第一撮影映像中に使用者の映像が含まれていると特定される。一方、使用者特定情報と良好にマッチングする部分が、抽出されたパラメータ内に存在しない場合、第一撮影映像中に使用者の映像は含まれていないと特定される(S65)。そして映像判断処理を終了し、メイン処理(図4参照)に戻る。
【0037】
なお、上述したマッチング処理は一例であり、他の方法によって、第一撮影映像中に使用者の映像が含まれているかが判断されてもよい。例えば、HMD200には二次元バーコード等の固有認識情報が付されているものとする。HMD200は、第一撮影映像中に固有識別情報が含まれており、この固有識別情報が、自身に付されている固有識別情報と一致する場合に、第一撮影映像中に使用者の映像が含まれていると判断してもよい。
【0038】
図4に示すように、映像判断処理(S21)による判断結果が参照される(S23)。第一撮影映像中に使用者の映像が含まれていないと判断された場合(S23:NO)、第二記憶可否情報が参照され、第二撮影映像をフラッシュメモリ49に記憶するか否かが判断される(S25)。第二撮影映像をフラッシュメモリ49に記憶する旨の設定情報が記憶されている場合(S25:YES)、第二撮影映像はフラッシュメモリ49に記憶される(S27)。これによって使用者は、自身の映像が第一撮影映像に含まれていない場合であっても、第二撮影映像を利用することができる状態になる。そしてS29の処理に進む。第二撮影映像をフラッシュメモリ49に記憶しない旨の設定情報が記憶されているか、何ら設定情報が記憶されていない場合(S25:NO)、そのままS29の処理に進む。
【0039】
S29の処理では、入力部41を介してHMD200の使用を終了する指示が入力されているかが判断される(S29)、入力部41を介して何ら終了指示が入力されていない場合(S29:NO)S11の処理に戻る。入力部41を介してHMD200の使用を終了する指示が入力されている場合(S29:YES)、メイン処理は終了される。
【0040】
S23の処理において、第一撮影映像中に使用者の映像が含まれていると判断された場合(S23:YES)、図5に示すように、使用者に対して、第一撮影映像に使用者自身の映像が含まれていることを通知するために、通知情報が表示される(S41)。使用者は、第一撮影映像に自身の映像が含まれているか否かを容易に認識できる。なお通知の方法はこの方法に限定されず、例えばスピーカ(図示外)から通知音を鳴らすことによって、第一撮影映像に使用者自身の映像が含まれていることを通知してもよい。
【0041】
第一記憶可否情報及び第二記憶可否情報の両方に、映像情報をフラッシュメモリ49に記憶しない旨の設定情報が記憶されているか判断される(S43)。両方の記憶可否情報に、映像情報をフラッシュメモリ49に記憶しない旨の設定情報が記憶されている場合(S43:NO)、そのままS57の処理に進む。いずれかの記憶可否情報に何らかの設定情報が記憶されているか、又は何ら設定情報が記憶されていない場合(S43:YES)、次いで、両方の記憶可否情報に、設定情報が何ら記憶されていない状態であるかが判断される(S44)。設定情報が何ら記憶されていない場合(S44:YES)、第一撮影映像がフラッシュメモリ49に記憶され(S49)、第二撮影映像がフラッシュメモリ49に記憶される(S51)。そしてS57の処理に進む。
【0042】
第一記憶可否情報及び第二記憶可否情報のうちいずれか一方に、映像情報をフラッシュメモリ49に記憶する旨の設定情報が記憶されている場合(S44:NO)、第一記憶可否情報に第一撮影映像を記憶する旨の設定情報が記憶されているか判断される(S45)。第一撮影映像を記憶する旨の設定情報が記憶されている場合(S45:YES)、第一撮影映像がフラッシュメモリ49に記憶される(S53)。そしてS47の処理に進む。第一撮影映像を記憶する旨の設定情報が記憶されていない場合(S45:NO)、そのままS47の処理に進む。
【0043】
S47の処理では、第二記憶可否情報に第二撮影映像を記憶する旨の設定情報が記憶されているかが判断される(S47)。第二撮影映像を記憶する旨の設定情報が記憶されている場合(S47:YES)、第二撮影映像がフラッシュメモリ49に記憶される(S55)。そしてS57の処理に進む。第二撮影映像を記憶する旨の設定情報が記憶されていない場合(S47:NO)、そのままS57の処理に進む。
【0044】
S57の処理では、入力部41を介してHMD200の使用を終了する指示が入力されているかが判断される(S57)、入力部41を介して何ら終了指示が入力されていない場合(S57:NO)S11(図4参照)の処理に戻る。入力部41を介してHMD200の使用を終了する指示が入力されている場合(S57:YES)、メイン処理は終了される。
【0045】
以上説明したように、HMD200は、取得された第一撮影映像に使用者の映像が含まれている場合に、第一撮影映像をフラッシュメモリ49に記憶させることができる。使用者は、記憶された第一撮影映像を、自身の映像が含まれている撮影映像として利用できる。使用者自身の映像が第一撮影映像に含まれているかが自動的に判断される。このため使用者は、自身の映像が第一撮影映像に含まれているか否かを判断する手間を省くことができる。
【0046】
またHMD200は、自身の映像が含まれている第一撮影映像と、自身の視野映像である第二撮影映像とをフラッシュメモリ49に記憶させることができる。使用者は、第一撮影映像に加えて第二撮影映像も利用できる。
【0047】
なお使用者は、入力部41を介して設定を行うことで、フラッシュメモリ49に記憶する撮影映像を選択することができる。従って必要な撮影映像のみフラッシュメモリ49に記憶させることができるので、必要となるフラッシュメモリ49の記憶容量を抑制できる。
【0048】
なお、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、種々の変更が可能である。上述の実施の形態では、第一撮影映像から抽出されたパラメータと使用者特定情報とのマッチング処理を行うことで、第一撮影映像に使用者の映像が含まれているかが判断されていた。しかしながら本発明はこの方法に限定されない。以下、本発明の変形例について説明する。
<第一の変形例>
【0049】
本発明の第一の変形例について説明する。第一の変形例では、使用者が第一撮影映像を視認し、自身の映像が第一撮影映像に含まれているかを直接判断する。HMD200は、入力部41を介して使用者によって入力された情報に基づいて、第一撮影映像に使用者の映像が含まれているかを判断する。図7を参照し、第一の変形例における映像判断処理について説明する。メイン処理は上述の実施の形態と同様であるので、説明を省略又は簡略する。
【0050】
映像判断処理が起動されると、第一撮影映像に使用者の映像が含まれている旨の情報が入力部41を介して入力されたか判断される(S71)。使用者は、第一撮影映像を視認し、自身の映像が第一撮影映像に含まれている場合に、入力部41を介して自身の映像が含まれている旨を入力する。自身の映像が含まれている旨が入力された場合(S71:YES)、第一撮影映像に使用者の映像が含まれていると特定される(S73)。そして映像判断処理を終了し、メイン処理(図4参照)に戻る。自身の映像が含まれている旨が入力されていない場合(S71:NO)、第一撮影映像に使用者の映像は含まれていないとされ、そのまま映像判断処理を終了し、メイン処理(図4参照)に戻る。
【0051】
メイン処理では、図4及び図5に示すように、使用者の映像が第一撮影映像に含まれていない場合には(S23:NO、図4)、第二記憶可否情報に基づき第二撮影映像を記憶する処理が実行される(S25、S27、図4)。使用者の映像が第一撮影映像に含まれている場合(S23:YES、図4)、第一記憶可否情報及び第二記憶可否情報に基づき、第一撮影映像及び第二撮影映像を記憶する処理が実行される(S43〜S55、図5参照)。
【0052】
以上のように、第一の変形例では、使用者の入力情報に基づいて、第一撮影映像に使用者の映像が含まれているかが判断される。これによって、HMD200は、特段の処理を行うことなく、第一撮影映像に使用者の映像が含まれているか判断できる。使用者の映像が含まれているか否かを判断する処理が不要となるので、HMD200は処理負荷を軽減できる。また、使用者の映像が含まれているか否かが誤って判断されてしまうことを防止できる。
<第二の変形例>
【0053】
本発明の第二の変形例について説明する。第二の変形例では、HMD200のカメラ7による撮影が許可されている場合に、第一撮影映像に使用者の映像が含まれていると判断される。表示される第一撮影映像に自身の映像が含まれている場合、使用者は、さらにカメラ7を使用して第二撮影映像を取得しようとする可能性が高いためである。図8を参照し、第二の変形例における映像判断処理について説明する。メイン処理は上述の実施の形態と同様であるので、説明を省略又は簡略する。
【0054】
映像判断処理が起動されると、撮影許否情報が参照される。カメラ7における撮影が許可されている場合(S81:YES)、第一撮影映像に使用者の映像が含まれていると特定される(S83)。そして映像判断処理を終了し、メイン処理(図4参照)に戻る。カメラ7における撮影が禁止されている場合(S81:NO)、第一撮影映像に使用者の映像は含まれていないとされ、そのまま映像判断処理を終了し、メイン処理(図4参照)に戻る。
【0055】
以上のように、第二の変形例では、カメラ7の撮影が許可されている場合には、無条件に第一撮影映像に使用者の映像が含まれていると判断する。これによって、使用者の映像が含まれているか否かの判断を行うための処理が不要となるので、HMD200の処理負荷を軽減できる。
【0056】
なお、図1に示すカメラ7のうち、他のHMD200に設けられているカメラ7が本発明の「第一撮影手段」に相当し、自身が備えるHMD200が本発明の「第二撮影手段」に相当する。図3の入力部41が本発明の「第一入力手段」「第二入力手段」に相当する。図4のS19の処理を行うCPU61が本発明の「第一取得手段」「受信手段」に相当し、S15の処理を行うCPU61が本発明の「第二取得手段」に相当し、S17の処理を行うCPU61が本発明の「送信手段」に相当し、S20の処理を行うCPU61が本発明の「表示制御手段」に相当し、S21の処理を行うCPU61が本発明の「判断手段」に相当する。図5のS49,S51,S53,S55の処理を行うCPU61が本発明の「記憶制御手段」に相当し、S43,S45,S47の処理を行うCPU61が本発明の「選択手段」に相当する。
【0057】
なお、本発明は上記実施の形態及び変形例に限定されるものではなく、種々の変更が可能である。上述では、第一撮影映像及び第二撮影映像はフラッシュメモリ49に記憶されていた。しかしながら本発明はこの構成に限定されない。例えば、サーバと通信を行うことによって、サーバの記憶手段(HDDなど)に第一撮影映像及び第二撮影映像を記憶してもよい。
【0058】
上述では、他のHMD200において撮影された撮影映像を受信し、第一撮影映像としていた。これによってHMD200では、他のHMD200において撮影された撮影映像を受信し利用することができるので、別途カメラを設置する必要がなかった。しかしながら本発明はこの構成に限定されない。例えば、据え置き型のカメラを設置し、このカメラにおいて撮影された撮影映像を受信し、第一撮影映像としてもよい。据え置き型のカメラをHMD200の使用者に向けて設置することで、確実に使用者自身の映像が含まれる撮影映像を撮影することが可能となる。
【0059】
上述の実施の形態では、第一撮影映像中に使用者の映像が含まれている場合、第一記憶可否情報及び第二記憶可否情報に基づき、第一撮影映像及び第二撮影映像をフラッシュメモリ49に記憶していた。しかしながら本発明はこの方法に限定されない。例えば、カメラ7によって撮影された第二撮影映像が取得されてから所定時間以内に、他のHMD200から第一撮影映像を受信した場合には、第一記憶可否情報及び第二記憶可否情報に関わらず、第一撮影映像と第二撮影映像とをフラッシュメモリ49に記憶してもよい。これによって、短い期間内に撮影された第一撮影映像と第二撮影映像とを記憶手段に記憶できるので、使用者は、ほぼ同時刻に撮影された第一撮影映像と第二撮影映像とを取得し使用できる。
【0060】
また、使用者がカメラ7による撮影を許可している場合、他のHMD200から取得される第一撮影映像は、使用者が撮影を意図している映像である可能性が高い。ここで上述の構成とすることで、HMD200は、使用者が撮影を意図した映像(第一撮影映像)を適切に記憶できる。これに対し、使用者がカメラ7による撮影を許可していない場合、他のHMD200から取得される第一撮影映像は、使用者が撮影を意図していない映像である可能性が高い。この場合、第一記憶可否情報及び第二記憶可否情報に基づいて記憶の可否が判断されるので、HMD200は、使用者が撮影を意図しない映像(第一撮影映像)の記憶の可否を制御できる。
【0061】
なお上述の構成を実現させるために、例えば、第二撮像映像が取得されてから所定時間内に、第一撮像映像が取得された場合、第一撮影映像と第二撮影映像とをフラッシュメモリ49に記憶する旨の設定情報を、第一記憶可否情報及び第二記憶可否情報に記憶してもよい。
【0062】
また第二記憶可否情報は、第二撮像映像を取得した時点から、第一撮像映像を取得した時点までの経過時間に応じて変更されても良い。例えば、経過時間が短い場合、第二撮影映像をフラッシュメモリ49に記憶する旨の設定情報を第二記憶可否情報に記憶してもよい。一方、経過時間が長い場合、第二撮影映像をフラッシュメモリ49に記憶しない旨の設定情報を第二記憶可否情報に記憶してもよい。
【符号の説明】
【0063】
3,4,5 使用者
7 カメラ
41 入力部
43 通信部
46 制御部
49 フラッシュメモリ
61 CPU
200 HMD

【特許請求の範囲】
【請求項1】
映像を撮影する第一撮影手段において撮影された撮影映像である第一撮影映像を取得する第一取得手段と、
前記第一取得手段において取得した前記第一撮影映像を表示手段に表示する表示制御手段と
を備えたヘッドマウントディスプレイであって、
前記第一取得手段において取得した前記第一撮影映像に、前記ヘッドマウントディスプレイを装着した使用者の映像が含まれているかを判断する判断手段と、
前記判断手段において、前記第一撮影映像に前記使用者の映像が含まれていると判断された場合に、前記第一撮影映像を記憶手段に記憶する記憶制御手段と
を備えたことを特徴とするヘッドマウントディスプレイ。
【請求項2】
前記使用者の視野映像を撮影する第二撮影手段と、
前記第二撮影手段において撮影された撮影映像である第二撮影映像を取得する第二取得手段と
を備え、
前記記憶制御手段は、
前記判断手段において、前記第一撮影映像に前記使用者の映像が含まれていると判断された場合に、前記第二取得手段において取得した前記第二撮影映像と前記第一撮影映像とを前記記憶手段に記憶することを特徴とする請求項1に記載のヘッドマウントディスプレイ。
【請求項3】
前記第一撮影映像と前記第二撮影映像とのうちいずれかを選択する選択手段を備え、
前記記憶制御手段は、
前記選択手段において前記第一撮影映像と前記第二撮影映像とのうちいずれかが選択されている場合には、選択されている撮影映像を前記記憶手段に記憶することを特徴とする請求項2に記載のヘッドマウントディスプレイ。
【請求項4】
前記記憶制御手段は、
前記判断手段において前記使用者の映像が前記第一撮影映像に含まれていないと判断された場合に、前記第二取得手段において取得された前記第二撮影像のみ前記記憶手段に記憶することを特徴とする請求項2に記載のヘッドマウントディスプレイ。
【請求項5】
前記使用者の視野映像を撮影する第二撮影手段と、
前記第二撮影手段において撮影された撮影映像である第二撮影映像を取得する第二取得手段と
を備え、
前記記憶制御手段は、
前記第二取得手段によって前記第二撮影映像が取得されてから所定時間内に、前記第一取得手段によって前記第一撮影映像が取得された場合、前記第二撮影映像と前記第一撮影映像とを前記記憶手段に記憶することを特徴とする請求項1に記載のヘッドマウントディスプレイ。
【請求項6】
前記使用者の映像が前記第一撮影映像に含まれているか否かが入力される第一入力手段を備え、
前記判断手段は、
前記第一入力手段において前記使用者の映像が前記第一撮影映像に含まれている旨が入力されている場合、前記第一撮影映像に前記使用者の映像が含まれていると判断することを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載のヘッドマウントディスプレイ。
【請求項7】
前記第二撮影手段の駆動の許否が入力される第二入力手段を備え、
前記判断手段は、
前記第二入力手段において前記第二撮影手段の駆動を許可する旨が入力されている場合、前記第一撮影映像に前記使用者の映像が含まれていると判断することを特徴とする請求項2から5のいずれかに記載のヘッドマウントディスプレイ。
【請求項8】
前記第二取得手段において取得された前記第二撮影映像を、他のヘッドマウントディスプレイに送信する送信手段と、
他のヘッドマウントディスプレイの前記送信手段において送信された前記第二撮影映像を受信する受信手段と
を備え、
前記第一取得手段は、
前記受信手段において受信した前記第二撮影映像を、前記第一撮影映像として取得することを特徴とする請求項2から5,7のいずれかに記載のヘッドマウントディスプレイ。
【請求項9】
前記判断手段において、前記使用者の映像が前記第一撮影映像に含まれていると判断された場合に、前記使用者に通知する通知手段を備えたことを特徴とする請求項1から8のいずれかに記載のヘッドマウントディスプレイ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−124898(P2011−124898A)
【公開日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−282422(P2009−282422)
【出願日】平成21年12月14日(2009.12.14)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】