説明

ヘッドレストサポート装置

【課題】ヘッドレストサポート装置を熱可塑性合成樹脂材を基礎に形成させ、全体の軽量化を図る。
【解決手段】車両用シートのシートバックの上方部に設けられて着座者の頭部を支持するヘッドレストを保持するとともに、その上下方向の高さ調整を行なうことのできるようにしたヘッドレストサポート装置を、ヘッドレスト8に設けられた2本のヘッドレストステイ81、81が嵌り込むとともに当該2本のヘッドレストステイ81、81を所定の位置に保持する役目を果たす2本のステイガイド1、1と、これらステイガイド1、1を形成するそれぞれの筒状部11、11の一部のところであって、その軸線方向の一部に形成される短冊状のステイ押圧部15、15と、これらステイ押圧部15、15を含む筒状部のところに設けられるものであって、当該ステイ押圧部15、15を内面側へ押圧するように作動する保持クリップ2、2と、からなるようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用シートに設けられるヘッドレストの、その上下方向高さを適当な位置に調整するとともに、その位置に固定することのできるようにしたヘッドレストサポート装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のこの種のヘッドレストサポート装置としては、例えば特開2006−198226号公報記載のもののようなヘッドレストサポートに関するものが挙げられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−198226号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記従来のもの(先行技術に関するもの)は、その製造方法として、筒状の金型内へ所定のプラスチック材を注入することによって行われるインジェクション成形手段が採られるようになっている。そして、その型出しに際しては、上記インジェクション成形手段にて形成された本部材を筒状の金型から、その軸線方向へ強引に引抜くことによって行なわれるようになっているものである。その結果、バネ反力を生じさせるために設けられた湾曲部等にダレが生じ、全体的に十分なバネ反力を形成させることが難しいと言う問題点がある。このような問題点を解決するために、上記湾曲部を有しない形状からなるヘッドレストサポート装置を提供しようとするのが、本発明の目的(課題)である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明においては次のような手段を講ずることとした。すなわち、請求項1記載の発明である第一の発明においては、車両用シートのシートバック上方部に設けられるものであって着座者の頭部を支持するヘッドレストを保持するとともに、その上下方向の高さ調整を行なうことのできるようにしたヘッドレストサポート装置に関して、ヘッドレストを保持するヘッドレストステイ保持機構を、上記ヘッドレストに設けられたヘッドレストステイが嵌り込むとともに当該ヘッドレストステイを所定の位置に保持する役目を果たすステイガイドと、当該ステイガイドを形成する筒状部の一部のところに、その軸線方向に短冊状に形成されるステイ押圧部と、当該ステイ押圧部を含む筒状部のところに設けられるものであって、上記ステイ押圧部を内面側へ押圧するように作動する保持クリップと、からなるようにした構成を採ることとした。
【0006】
次に、請求項2記載の発明である第二の発明においては、請求項1記載のヘッドレストサポート装置に関して、上記ステイガイドを形成する筒状部の外周部並びに当該筒状部の一部を形成する上記ステイ押圧部のところであってその長手方向略中央部のところに、上記保持クリップが係合するように形成された凹溝を設けるようにした構成を採ることとした。
【0007】
次に、請求項3記載の発明である第三の発明においては、請求項1または請求項2記載のヘッドレストサポート装置に関して、上記ステイガイドを所定の熱可塑性合成樹脂材にて形成させるとともに、上記保持クリップを鉄系金属材を用いてC字状の形態を有するようにした構成を採ることとした。
【発明の効果】
【0008】
請求項1記載の発明である第一の発明について説明する。本発明によれば、上記構成を採ることにより、筒状体からなるステイガイドの一部にて形成されるものであってステイガイドと同軸状に形成される本ステイ押圧部は、全体がヘッドレストステイに沿った状態で存在するようになり、ヘッドレストステイをその長手方向に長い範囲で押え付けることができるようになる。そして、このようなステイ押圧部の長手方向中央部のところには本ステイ押圧部を内側へ押圧するように作動する保持クリップが設けられるようになっている。従って、この保持クリップの作用によって、上記ステイ押圧部はヘッドレストステイ側へ常時押付けられるようになり、これによって、本ヘッドレストサポート装置周りへの振動入力時に、上記ヘッドレストステイ及びステイガイド周りに生ずるおそれのある異音等を効果的に抑制することができるようになる。
【0009】
また、請求項2記載の発明である第二の発明によれば、上記保持クリップは、その平面形態が略3/4円状の円弧状形態からなるものであり、このような円弧状形態からなる本保持クリップはステイガイド等に設けられた凹溝内に嵌り込むように設置されるようになっている。従って、上記短冊状のステイ押圧部は、上記保持クリップによる締付力によって、より強力に上記ステイ表面へと押付けられることとなる。従来のものにおいては永年の仕様等により接触部にクリープによる変形が生じ、ステイガイドとヘッドレストステイとの間にガタ等が生ずると言う問題点がある。これに対して本発明のものにおいては、上記保持クリップのバネ力によってステイ押圧部はヘッドレストステイ側へ常時押付けられるようになり、ヘッドレストの上下作動は常に円滑に行なわれるようになる。また、ヘッドレストステイを保持するステイガイド周りからの異音の発生等が抑止されるようになる。
【0010】
また、請求項3記載の発明である第三の発明によれば、上記ステイ押圧部を含むステイガイドをPP(ポリプロピレン)等を含む所定の熱可塑性合成樹脂材にて形成させるとともに、上記ステイ押圧部のところに設けられる保持クリップをピアノ線(SWP−B)等の鉄系金属材からなるようにしたので、緊迫力を強力に発揮させることができるようになる。その結果、本ヘッドレストステイ装置への振動入力時において、ヘッドレストステイ周りからの異音の発生等を効果的に抑制することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の全体構成を示す展開斜視図である。
【図2】本発明の主要部を成すステイガイドと、そこに嵌り込む保持クリップとの関係(結合状態)を示す縦断面図である。
【図3】ステイガイドに設けられた凹溝内にC字状の平面形態からなる保持クリップが装着された状態を示す立体斜視図である。
【図4】C字状の形態からなる保持クリップのステイガイド凹溝内への装着状態を示す横断面図である。
【図5】シートフレームに設けられたホルダ内にヘッドレストステイが保持クリップを介して保持されている状態を示す横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明を実施するための形態について、図1ないし図5を基に説明する。本実施の形態にかかるものは、車両用シートのシートバックの上方部に設けられるものであって着座者の頭部を支持するヘッドレストを保持するとともに、その上下方向の高さ調整を行なうことのできるようにしたヘッドレストサポート装置に関するものである。その具体的構成について図1を基に説明する。すなわち、このものは、ヘッドレスト8に設けられた2本のヘッドレストステイ81、81が嵌り込むとともに当該2本のヘッドレストステイ81、81を所定の位置に保持する役目を果たす2本のステイガイド1、1と、これらステイガイド1、1を形成するそれぞれの筒状部11、11の一部のところであって、その軸線方向の一部に形成される短冊状のステイ押圧部15、15と、これらステイ押圧部15、15を含む筒状部のところに設けられるものであって、上記ステイ押圧部15、15を内面側へ押圧するように作動する保持クリップ2、2と、からなることを基本とするものである。なお、上記保持クリップ2、2は、例えば図4に示す如く、その平面視形態がC字状の形態からなるものである。従って、本実施の形態においては、上記保持クリップをCクリップ2、2と称することとする。
【0013】
このような基本構成からなるものにおいて、筒状の形態からなるステイガイド1の具体的構成について説明する。このものは、例えば図1、図2、図3に示す如く、ポリプロピレン樹脂(PP)等の熱可塑性合成樹脂材からなるものであり、このような合成樹脂材を基礎に筒状の形態からなるように成形加工されたものである。そして、このような筒状体からなるステイガイド1の外周面上の一部には、軸線方向に短冊状に形成されたステイ押圧部15が設けられるようになっている(図3参照)。なお、この短冊状のステイ押圧部15は、その長手方向の両端末部のところが、周りの筒状部11のところに一体的に結合されるようになっている。そして、このような短冊状のステイ押圧部15の長手方向略中央部のところ並びに当該ステイ押圧部15を保持するように形成された円筒状のステイガイド1の外周部のところには凹溝12、152が設けられるようになっている。そして更に、このような凹溝12、152のところには、例えば図4及び図5に示す如く、3/4円状の形態からなる保持クリップ、すなわち、Cクリップ2が嵌り込むようになっている。
【0014】
このCクリップ2は、その平面視がオーム(Ω)の形態からなるものであり、素材としては、ピアノ線(SWP−B)等の線材が採用され、このような線材が曲げ成形加工されることによって所定の形態に形成されるようになっているものである。具体的には、図4に示す如く、3/4円状の円弧長さを有するように形成された円環部22と、当該円環部22の両端末部のところに上記円環部22に連続してハ字状に開くように形成されたガイド部21、21と、からなることを基本とするものである。
【0015】
このような構成からなるものにおいて、本Cクリップ2は、その円環部22のところが、ステイガイド1に設けられた凹溝12内に、更にはステイ押圧部15に設けられた凹溝152内に嵌り込んで、上記ステイ押圧部15を内側へ、すなわち、ステイ押圧部15をヘッドレストステイ81の表面側へ押し付けるように作動するようになっている。これによって、ヘッドレストステイ81、81は所定の位置に保持されるとともに、当該ヘッドレストステイ81、81を保持するステイガイド1、1周りからの異音の発生等を防止することができるようになる。
【0016】
このような構成からなるCクリップ2の装着に当っては、まず、Cクリップ2の開口端部に形成されたハ字状に開いた状態のガイド部21、21のところを、ステイ押圧部15に設けられた凹溝152内へ、更には、上記ステイガイド1に設けられた凹溝12内へ嵌り込ませて仮係合させる。このような状態において、上記Cクリップ2の円環部22のところを上記ステイガイド1に設けられた凹溝12内へ、更にはステイ押圧部15に設けられた凹溝152内へ嵌り込ませるように押込む。そして、このとき、上記両ガイド部21、21の付け根部215、215のところを、図4に示す如く、ステイガイド1に設けられた筒状部11の一部に形成された保持部115、115のところに当接させるようにする。これによって、Cクリップ2は、ステイガイド1の外周面上に確実に取付けられるようになり、ステイ押圧部15は、その外側から内周面側へ向って確実に押し付けられるようになる。また、これによって、Cクリップ2の円周方向位置決めが確実に行われるようになる。
【0017】
その結果、本ステイ押圧部15によるヘッドレストステイ81外周面側への押付力が確実に保持されることとなる。これによって、ヘッドレスト8の高さ(位置)調整が円滑に行なわれるようになる。また、本実施の形態のものにおいては、このような構成を採ることにより、本ヘッドレスト装置への振動入力に対して、上記ヘッドレストステイ81、81周りからの異音(ガタ付き音)の発生等が効果的に抑止されることとなる。
【0018】
そして、このような構成からなるステイガイド1、1は、図1に示す如く、シートフレーム5の上方部に設けられた中空状のホルダ3のところに装着されるようになっている。なお、この中空状のホルダ3は、例えば図5に示す如く、その横断面形状が4角形の形態を有しているとともに、このような4角形状のホルダ3は、上下に2分割されて設けられるようになっている。すなわち、ホルダ3は、例えば図1に示す如く、上側のホルダ31と下側のホルダ32とからなり、これによってホルダ3の軽量化が図られるようになっている。また、このように上下2個所にてステイガイド1を保持することによって、ステイガイド1の保持が確実に行なわれることとなる。
【符号の説明】
【0019】
1 ステイガイド
11 筒状部
115 保持部
12 凹溝
15 ステイ押圧部
152 凹溝
2 保持クリップ(Cクリップ)
21 ガイド部
215 付け根部
22 円環部
3 ホルダ
31 上側のホルダ
32 下側のホルダ
5 シートフレーム
8 ヘッドレスト
81 ヘッドレストステイ























【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両用シートのシートバック上方部に設けられるものであって着座者の頭部を支持するヘッドレストを保持するとともに、その上下方向の高さ調整を行なうことのできるようにしたヘッドレストサポート装置において、ヘッドレストを保持するヘッドレストステイ保持機構を、上記ヘッドレストに設けられたヘッドレストステイが嵌り込むとともに、当該ヘッドレストステイを所定の位置に保持する役目を果たすステイガイドと、当該ステイガイドを形成する筒状部の一部のところであって、その軸線方向に形成される短冊状のステイ押圧部と、当該ステイ押圧部を含む筒状部のところに設けられるものであって、上記ステイ押圧部を内面側へ押圧するように作動する保持クリップと、からなるようにしたことを特徴とするヘッドレストサポート装置。
【請求項2】
請求項1記載のヘッドレストサポート装置において、上記ステイガイドを形成する筒状部の外周部並びに当該筒状部の一部を形成する上記ステイ押圧部のところであってその長手方向略中央部のところに、上記保持クリップが係合するように形成された凹溝を設けるようにしたことを特徴とするヘッドレストサポート装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2記載のヘッドレストサポート装置において、上記ステイガイドを所定の熱可塑性合成樹脂材にて形成させるとともに、上記保持クリップを鉄系金属材を用いてC字状の形態を有するようにしたことを特徴とするヘッドレストサポート装置。









【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−254648(P2012−254648A)
【公開日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−231240(P2009−231240)
【出願日】平成21年10月5日(2009.10.5)
【出願人】(000175630)三協株式会社 (7)
【Fターム(参考)】