ヘッド・マウント・ディスプレイ並びに光学ユニット
【課題】表示パネルの高位置精度保持、表示パネルの冷却構造、ゴミ封止構造を実現した、小型且つ軽量のヘッド・マウンド・ディスプレイを提供する。
【解決手段】光学ユニットは、複数のレンズの組み合わせからなる接眼光学系を収容したレンズ・ブロック401と、複数本の固着ピンを有するパネル・ホルダー402と、固着ピンを挿通させる固着穴を有するパネル・アセンブリー403と、パネル・ホルダー402ごと表示パネル224の側面部分を覆うカバー・フレーム404と、高い熱伝動性を持つ素材で構成されるヒート・シンク405で構成される。
【解決手段】光学ユニットは、複数のレンズの組み合わせからなる接眼光学系を収容したレンズ・ブロック401と、複数本の固着ピンを有するパネル・ホルダー402と、固着ピンを挿通させる固着穴を有するパネル・アセンブリー403と、パネル・ホルダー402ごと表示パネル224の側面部分を覆うカバー・フレーム404と、高い熱伝動性を持つ素材で構成されるヒート・シンク405で構成される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書で開示する技術は、ユーザーの頭部に装着して用いられ、虚像を提供するヘッド・マウント・ディスプレイ並びに光学ユニットに係り、特に、レンズの持つ光学特性に合わせて表示パネルの位置が固定されたヘッド・マウント・ディスプレイ並びに光学ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
頭部に装着して映像を視聴する表示装置、すなわちヘッド・マウント・ディスプレイ(HMD)が広く知られている。ヘッド・マウント・ディスプレイは、左右の眼毎に光学ユニットを持ち、また、ヘッドフォンと併用し、視覚及び聴覚を制御できるように構成されている。頭部に装着した際に外界を完全に遮るように構成すれば、視聴時の仮想現実感が増す。また、ヘッド・マウント・ディスプレイは、左右の眼に違う映像を映し出すことも可能であり、左右の眼に視差のある画像を表示すれば3D画像を提示することができる。
【0003】
ヘッド・マウント・ディスプレイの左右の眼の表示部には、例えば有機EL(Electro− Luminescence)素子などからなる高解像度の表示パネルを用いることができる。また、光学系で適当な画角を設定するとともに、ヘッドフォンで多チャンネルを再現すれば、映画館で視聴するような臨場感を再現することができるであろう。
【0004】
ヘッド・マウント・ディスプレイでは、光学系の光軸が左右で高い精度で一致していないと、観察するユーザーが映像を不快に感じてしまう。左右の光軸を一致させるために、観察される映像が調整指標に対して一致するよう左右の表示部の位置を調整するのが一般的である。例えば、液晶表示素子をX、Y、ω軸周りに相当する位置調整を行なってから保持部材に装着した後、液晶表示素子を固定した保持部材を、接眼光学系を収容した光学ユニットに取り付けるようにして、液晶表示素子の光軸の調整を不要又は低減した頭部装着型の映像表示装置について提案がなされている(例えば、特許文献1を参照のこと)。
【0005】
ヘッド・マウント・ディスプレイとしての要求精度を満足するためには、レンズの持つ光学特性に合わせた表示パネルの位置固定が必要である、と本出願人は考えている。レンズに対する表示パネルの位置決め精度は、少なくとも画素サイズ(例えば、有機EL素子を用いる場合は12ミクロン)以下でなくてはならない。
【0006】
ところが、例えば突き当てや穴の嵌め合いといった、機械的な位置決めでは、上記の要求精度を満たすことは困難である。また、機械的な位置決めで上記の要求精度を満たす構造を実現するには、部品の高精度化と精度に応じた管理が必要となり、部品コスト増、組み立てコスト増を招来する。
【0007】
また、表示パネルの表面にゴミなどの異物が付着すると、レンズで拡大されてユーザーに観察されることから、画品位が低下して商品性を損なってしまう。このため、表示パネルの発光面を封止する防塵構造が必要である。
【0008】
また、ヘッド・マウント・ディスプレイの表示部には、上述した有機EL素子や、液晶ディスプレイなどの、薄型の表示素子が用いられる。この種の半導体プロセスで製造された表示パネルは、消費電力に応じた発熱を伴うことが知られている。一方、表示パネルの最大駆動温度が定められているので、ヘッド・マウント・ディスプレイに組み込まれた表示パネルを最大駆動温度内で管理しなければならない。
【0009】
上記を要言すると、ヘッド・マウント・ディスプレイは、左右の光学ユニットにおいて、表示パネルの高位置精度保持、表示パネルの冷却構造、表示パネルの発光面のゴミ封止構造という、それぞれ目的が異なる3要素の機能を備えなければならない。ところが、目的別に機能を実装していくと、ヘッド・マウント・ディスプレイ本体のサイズ、重量ともに大きくなってしまう。ユーザーの頭部に装着して利用されるヘッド・マウント・ディスプレイは、小型、軽量化が必須であることから、3要素の機能をすべて装備するのは困難になってしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2008−249869号公報、段落0030
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本明細書で開示する技術の目的は、レンズの持つ光学特性に合わせて表示パネルの位置が固定された、優れたヘッド・マウント・ディスプレイ並びに光学ユニットを提供することにある。
【0012】
また、本明細書で開示する技術の目的は、表示パネルの表面にゴミなどの異物の付着を防ぐための防塵構造がとられた、優れたヘッド・マウント・ディスプレイ並びに光学ユニットを提供することにある。
【0013】
また、本明細書で開示する技術の目的は、表示パネルを最大駆動温度内で好適に管理することができる、優れたヘッド・マウント・ディスプレイ並びに光学ユニットを提供することにある。
【0014】
また、本明細書で開示する技術の目的は、小型、軽量化を損なうことなく、表示パネルの高位置精度保持、表示パネルの冷却構造、ゴミ封止構造という、目的が異なる3要素の機能を備えた、優れたヘッド・マウント・ディスプレイ並びに光学ユニットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本願は、上記課題を参酌してなされたものであり、請求項1に記載の技術は、
左眼用及び右眼用にそれぞれ備えられた、画像を表示する表示パネルと、前記表示パネルが表示する映像を光学処理するレンズ・ブロックを含んだ光学ユニットと、
左眼用及び右眼用の映像信号を処理する映像信号処理部と、
前記映像信号処理部で処理された映像信号に基づいて、前記左眼用及び前記右眼用の表示パネルの表示駆動を制御する表示制御部と、
を具備し、
前記左右の光学ユニットはそれぞれ、前記レンズ・ブロックの光軸に対して位置調整可能に前記表示パネルを保持するとともに位置調整した後に固定する表示パネル保持部と、前記表示パネルを冷却する表示パネル冷却部と、前記表示パネルの発光面を封止する表示パネル封止部を有する、
ヘッド・マウント・ディスプレイである。
【0016】
本願の請求項2に記載の技術によれば、請求項1に記載のヘッド・マウント・ディスプレイの光学ユニットは、表示パネル保持部が、前記レンズ・ブロックの光軸に対して6軸調整可能に前記表示パネルを保持するように構成されている。
【0017】
本願の請求項3に記載の技術によれば、請求項2に記載のヘッド・マウント・ディスプレイの光学ユニットは、表示パネル保持部が、前記レンズ・ブロックの鏡筒に固定された複数の固着ピンと、前記固着ピンに対応する位置に穿設された固着穴を有するパネル外枠に前記表示パネルをあらかじめ固定したパネル・アセンブリーを有しており、前記パネル外枠の各固着穴に前記固着ピンを挿通させた状態で、前記レンズ・ブロックの光軸に対する前記表示パネルの位置を6軸で調整することが可能である。
【0018】
本願の請求項4に記載の技術によれば、請求項3に記載のヘッド・マウント・ディスプレイの光学ユニットは、前記レンズ・ブロックの光軸に対して前記表示パネルを所定の精度で位置決めした後、前記パネル外枠の各固着穴にUV樹脂を流し込んで固着ピンとの間隙を充填させ、紫外線で照射して前記UV樹脂を硬化させることで、前記表示パネルを前記レンズ・ブロックに対して位置決めした位置に固定して構成される。
【0019】
本願の請求項5に記載の技術によれば、請求項1に記載のヘッド・マウント・ディスプレイの光学ユニットは、表示パネル冷却部が、前記表示パネルの基板側に面接触するヒート・シンクを有している。
【0020】
本願の請求項6に記載の技術によれば、請求項5に記載のヘッド・マウント・ディスプレイの光学ユニットは、ヒート・シンクを前記表示パネルの基板側に面接触させたときに生じる間隙を充填する熱伝導性グリースをさらに有している。
【0021】
本願の請求項7に記載の技術によれば、請求項1に記載のヘッド・マウント・ディスプレイの光学ユニットは、表示パネル封止部が、前記表示パネル保持部により固定された前記表示パネルの側面部分を覆うカバー・フレームと、前記カバー・フレームの開口部分を塞ぐ蓋部を有している。
【0022】
本願の請求項8に記載の技術によれば、請求項7に記載のヘッド・マウント・ディスプレイの 光学ユニットにおいて、蓋部は、前記表示パネルの基板側に面接触するヒート・シンクである。
【0023】
本願の請求項9に記載の技術によれば、請求項8に記載のヘッド・マウント・ディスプレイの光学ユニットは、ヒート・シンクを前記表示パネルの基板側に面接触させたときに生じる間隙を充填する熱伝導性グリースをさらに有している。
【0024】
また、本願の請求項10に記載の技術は、
画像を表示する表示パネルと、
前記表示パネルが表示する映像を光学処理するレンズ・ブロックと、
前記レンズ・ブロックの光軸に対して位置調整可能に前記表示パネルを保持するとともに位置調整した後に固定する表示パネル保持部と、
前記表示パネルを冷却する表示パネル冷却部と、
前記表示パネルの発光面を封止する表示パネル封止部と、
を具備する、ヘッド・マウント・ディスプレイ用の光学ユニットである。
【0025】
本願の請求項11に記載の技術によれば、請求項10に記載の光学ユニットの表示パネル保持部は、前記レンズ・ブロックの光軸に対して6軸調整可能に前記表示パネルを保持するように構成されている。
【0026】
本願の請求項12に記載の技術によれば、請求項11に記載の光学ユニットの表示パネル保持部は、前記レンズ・ブロックの鏡筒に固定された複数の固着ピンと、前記固着ピンに対応する位置に穿設された固着穴を有するパネル外枠に前記表示パネルをあらかじめ固定したパネル・アセンブリーを有しており、前記パネル外枠の各固着穴に前記固着ピンを挿通させた状態で、前記レンズ・ブロックの光軸に対する前記表示パネルの位置を6軸で調整することが可能である。
【0027】
本願の請求項13に記載の技術によれば、請求項12に記載の光学ユニットは、前記レンズ・ブロックの光軸に対して前記表示パネルを所定の精度で位置決めした後、前記パネル外枠の各固着穴にUV樹脂を流し込んで固着ピンとの間隙を充填させ、紫外線で照射して前記UV樹脂を硬化させることで、前記表示パネルを前記レンズ・ブロックに対して位置決めした位置に固定して構成される。
【0028】
本願の請求項14に記載の技術によれば、請求項10に記載の光学ユニットの表示パネル冷却部は、前記表示パネルの基板側に面接触するヒート・シンクを有している。
【0029】
本願の請求項15に記載の技術によれば、請求項14に記載の光学ユニットは、ヒート・シンクを前記表示パネルの基板側に面接触させたときに生じる間隙を充填する熱伝導性グリースをさらに有している。
【0030】
本願の請求項16に記載の技術によれば、請求項10に記載の光学ユニットの表示パネル封止部は、前記表示パネル保持部により固定された前記表示パネルの側面部分を覆うカバー・フレームと、前記カバー・フレームの開口部分を塞ぐ蓋部を有している。
【0031】
本願の請求項17に記載の技術によれば、請求項16に記載の光学ユニットの蓋部は、前記表示パネルの基板側に面接触するヒート・シンクである。
【0032】
本願の請求項18に記載の技術によれば、請求項17に記載の光学ユニットは、ヒート・シンクを前記表示パネルの基板側に面接触させたときに生じる間隙を充填する熱伝導性グリースをさらに有している。
【発明の効果】
【0033】
本明細書で開示する技術によれば、レンズの持つ光学特性に合わせて表示パネルの位置が固定された、優れたヘッド・マウント・ディスプレイ並びに光学ユニットを提供することができる。
【0034】
また、本明細書で開示する技術によれば、表示パネルが画素サイズ以下に精度で位置固定された、優れたヘッド・マウント・ディスプレイ並びに光学ユニットを提供することができる。
【0035】
また、本明細書で開示する技術によれば、ヘッド・マウント・ディスプレイは、光学ユニットと冷却機構を一体型にして封止構造とすることで、表示パネルの表面にゴミなどの異物の付着を好適に防ぐことができる。
【0036】
また、本明細書で開示する技術によれば、光学ユニットと一体型となった冷却構造により表示パネルの基板表面から排熱する構造となっているので、表示パネルを最大駆動温度内で好適に管理することができる。
【0037】
また、本明細書で開示する技術によれば、光学ユニットと冷却機構を一体型にして封止構造とすることで、表示パネルの高位置精度保持、表示パネルの冷却構造、ゴミ封止構造という、目的が異なる3要素の機能をともに備えた、小型且つ軽量の優れたヘッド・マウント・ディスプレイ並びに光学ユニットを提供することができる。
【0038】
本明細書で開示する技術のさらに他の目的、特徴や利点は、後述する実施形態や添付する図面に基づくより詳細な説明によって明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】図1は、ヘッド・マウント・ディスプレイを含む画像表示システムの構成を模式的に示した図である。
【図2】図2は、ヘッド・マウント・ディスプレイ10の内部構成を模式的に示した図である。
【図3】図3は、冷却機構を一体化した光学ユニットの組立図である。
【図4】図4は、図3に示した光学ユニットの分解図である。
【図5A】図5Aは、パネル・アセンブリー403を表示パネル224の発光面(表示面)側から眺めた様子を示した図である。
【図5B】図5Bは、パネル・アセンブリー403を表示パネル224の基板側から眺めた様子を示した図である。
【図6】図6は、レンズ・ブロック401の鏡筒の各固着ピンを対応する固着穴にそれぞれ挿通させてパネル・アセンブリー403を取り付け、さらに、固着穴にUV樹脂を流し込んで固定する操作を説明するための図である。
【図7】図7は、パネル・アセンブリー403をレンズ・ブロック401に固着した様子を示した図である。
【図8A】図8Aは、カバー・フレーム404をレンズ・ブロック401に取り付ける様子を示した図である。
【図8B】図8Bは、カバー・フレーム404がレンズ・ブロック401に取り付けられた状態を示した図である。
【図9A】図9Aは、ヒート・シンク405をレンズ・ブロック401に取り付ける様子を示した図である。
【図9B】図9Bは、ヒート・シンク405がレンズ・ブロック401に取り付けられ、組み立てが完了した光学ユニットを示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
以下、図面を参照しながら本明細書で開示する技術の実施形態について詳細に説明する。
【0041】
図1には、ヘッド・マウント・ディスプレイを含む画像表示システムの構成を模式的に示している。図示のシステムは、ヘッド・マウント・ディスプレイ10本体と、視聴コンテンツのソースとなるブルーレイ・ディスク再生装置20と、ブルーレイ・ディスク再生装置20の再生コンテンツの他の出力先となるハイビジョン・ディスプレイ(例えば、HDMI対応テレビ)30と、ブルーレイ・ディスク再生装置20から出力されるAV信号の処理を行なうフロント・エンド・ボックス40で構成される。
【0042】
フロント・エンド・ボックス40は、ブルーレイ・ディスク再生装置20から出力されるAV信号をHDMI入力すると、例えば信号処理して、HDMI出力するHDMIリピーターに相当する。また、フロント・エンド・ボックス40は、ブルーレイ・ディスク再生装置20の出力先をヘッド・マウント・ディスプレイ10又はハイビジョン・ディスプレイ30のいずれかに切り替える2出力スイッチャーでもある。図示の例では、フロント・エンド・ボックス40は2出力であるが、3以上の出力を有していてもよい。但し、フロント・エンド・ボックス40は、AV信号の出力先を排他的とし、且つ、ヘッド・マウント・ディスプレイ10への出力を最優先とする。
【0043】
なお、HDMI(High−Definition Mutlimedia Interface)は、DVI(Digital Visual Interface)を基にし、物理層にTMDS(Transition Minimized Differential Signaling)を用いた、主に音声と映像の伝送を用途としたディジタル家電向けのインターフェース規格である。本システムは、例えばHDMI1.4に準拠する。
【0044】
ブルーレイ・ディスク再生装置20とフロント・エンド・ボックス40間、並びに、フロント・エンド・ボックス40とハイビジョン・ディスプレイ30間は、それぞれHDMIケーブルで接続されている。フロント・エンド・ボックス40とヘッド・マウント・ディスプレイ10間も、HDMIケーブルで接続するように構成することも可能であるが、その他の仕様のケーブルを用いてAV信号をシリアル転送するようにしてもよい。但し、フロント・エンド・ボックス40とヘッド・マウント・ディスプレイ10間を接続するケーブル1本で、AV信号と電力を供給するものとし、ヘッド・マウント・ディスプレイ10はこのケーブルを介して駆動電力も得ることができる。
【0045】
ヘッド・マウント・ディスプレイ10は、左眼用及び右眼用の独立した表示部を備えている。各表示部は、例えば有機EL素子を用いている。また、左右の各表示部は、低歪みで且つ高解像度の広視野角光学系を装備している。
【0046】
図2には、ヘッド・マウント・ディスプレイ10の内部構成を模式的に示している。図示のヘッド・マウント・ディスプレイは、UI(User Interface)操作部201と、映像信号入力部202と、中央制御部210と、表示制御部220を備えている。
【0047】
映像信号入力部202は、ブルーレイ・ディスク再生装置20から再生出力される映像信号を、フロント・エンド・ボックス40経由で入力する。
【0048】
中央制御部210内では、左右映像信号生成部211が、入力映像信号から、左眼用映像信号及び右眼用映像信号を混合した左右映像信号を生成して、ビデオ・バッファー212に書き込む。
【0049】
また、UI操作部201は、ボタンなどを介したユーザーの操作を受け容れる。中央制御部210内では、OSD(On Screen Display)制御部213が、UI操作に応じて、該当するメニュー用の画像データをビットマップ・バッファー214から読み出して、OSD画面を生成する。また、OSD表示位置制御部215は、OSD画面の表示位置を制御し、OSD描画部216はOSDバッファー217の該当する位置にOSD画面の画像データを書き込む。
【0050】
そして、画像合成部218は、ビデオ・バッファー212に書き込まれた画像データ上に、OSDバッファー217に書き込まれたOSD画面を重畳して、表示制御部220に出力する。
【0051】
表示制御部220内では、まず、左右映像信号分離部221が入力した左右映像信号を左眼用映像信号と右眼用映像信号に分離する。そして、左眼用表示駆動制御部222は、左眼用映像信号の左眼用表示パネル224への描画を制御する。また、右眼用表示駆動制御部223は、右眼用映像信号の右眼用表示パネル225への描画を制御する。左眼用表示パネル224並びに右眼用表示パネル225には、それぞれ映像を拡大するレンズ・ブロック(図2では図示しない)が装備されている。左右のレンズ・ブロックは、それぞれ複数の光学レンズの組み合わせからなり、表示パネル224、225が表示する映像を光学処理する。表示パネル224、225を所定の位置精度でレンズ・ブロックに取り付けて、左右の光学ユニットをなす。表示パネル224、225の発光面に表示された映像は、レンズ・ブロックを通過する際に拡大され、ユーザーの網膜に大きな虚像を結像する。そして、観察するユーザーの脳内では左眼用画像と右眼用画像が融像される。
【0052】
ヘッド・マウント・ディスプレイ10には、表示パネルの高位置精度保持、表示パネルの冷却構造、表示パネルの発光面のゴミ封止構造という、それぞれ目的が異なる3要素の機能をともに備えることが望まれている。ところが、目的別に機能を実装していくと、サイズ、重量ともに大きくなり、小型、軽量化を損なってしまうという問題がある(前述)。
【0053】
これに対し、本明細書で開示する技術によれば、光学ユニットと冷却機構を一体型にして封止構造とすることで、小型、軽量化を損なうことなく、表示パネルの高位置精度保持、表示パネルの冷却構造、表示パネルの発光面のゴミ封止構造という、目的が異なる3要素の機能をともに備えたヘッド・マウント・ディスプレイ10を実現することができる。
【0054】
図3には、冷却機構を一体化した光学ユニットの組立図を示している。また、図4には、図3に示した光学ユニットを構成する部品をほぼ光軸方向に沿って分離して描いた分解図を示している。各図では、左眼用の光学ユニットを示している。なお、右眼用の光学ユニットはこれとほぼ左右対称の構造なので、図示を省略する。
【0055】
図4に示すように、光学ユニットは、複数のレンズの組み合わせからなる接眼光学系を収容したレンズ・ブロック401と、パネル・ホルダー402と、表示パネル224をあらかじめパネル外枠403Aで固定したパネル・アセンブリー403と、パネル・ホルダー402ごと表示パネル224の側面部分を覆うカバー・フレーム404と、高い熱伝動性を持つ素材で構成されるヒート・シンク405で構成される。
【0056】
レンズ・ブロック401は、表示パネル224に近接した近接レンズ401Aを有している。また、レンズ・ブロック401の鏡筒には、複数本(図示の例では、四隅に形設された4本)の固着ピンが固定されている。なお、レンズ・ブロック401内に収容される接眼光学系の構成は設計事項なので、本明細書では詳細な説明を省略する。但し、レンズ・ブロック401の光学特性は、設計値に対して公差内でばらつき(すなわち、個体差)を持つという点に留意されたい。
【0057】
パネル・ホルダー402をレンズ・ブロック401に取り付ける方法は任意である。図4に示す例では、パネル・ホルダー402は、レンズ・ブロック401に螺着されている。
【0058】
パネル・アセンブリー403は、パネル外枠403Aに表示パネル224をあらかじめ接着固定したものである。パネル外枠403Aには、レンズ・ブロック401の鏡筒に固定された各固着ピン(前述)を挿通させる固着穴が穿設されている。表示パネル224は、有機ELなどの表示素子とこれを実装した基板(FPC:Flexible Printed Circuits)からなる。ここで、表示パネル224の画素位置は、パネル外枠403Aに対して、公差内でのばらつきを持つ点に留意されたい。図5Aには、パネル・アセンブリー403を表示パネル224の発光面(表示面)側から眺めた様子を示している。また、図5Bには、パネル・アセンブリー403を表示パネル224の基板側から眺めた様子を示している。
【0059】
パネル・ホルダー402の各固着ピンを対応する固着穴にそれぞれ挿通させてパネル・アセンブリー403を取り付ける。この状態で、レンズ・ブロック401の光軸に対する表示パネル224の位置決めを例えば画素サイズ以下の精度で行なう。パネル・ホルダー402(レンズ・ブロック401の鏡筒)の各固着ピンをパネル403A外枠側の対応する固着穴にそれぞれ挿通させた状態で、パネル・ホルダー402を介して表示パネル224の位置を6軸方向に変化させることが可能である。したがって、表示パネル224の位置を6軸方向に変化させることによって、レンズ・ブロック401の光学特性が持つ公差内での個体ばらつきや、パネル外枠403Aに対する表示パネル224の画素位置の個体ばらつきに対応して、表示パネル224を高精度で位置決めすることができる。
【0060】
図6には、パネル・ホルダー402の各固着ピンを対応する固着穴にそれぞれ挿通させている様子を図解している。パネル・アセンブリー403を固定する際には、図示のように、各固着穴にUV樹脂を流し込んで、固着ピンとの間隙を充填する。
【0061】
また、図7には、パネル・アセンブリー403をレンズ・ブロック401に固着した様子を示している。図示のように表示パネル224を保持するパネル外枠403と近接レンズ401A間には空間が設けられており、後述するように、表示パネル224の位置を6軸方向に変化させて位置決めすることができる。
【0062】
そして、表示パネル224の位置が定まると、上述したように固着穴にUV樹脂を流し込んで固着ピンとの間隙を充填させ、紫外線で照射してUV樹脂を硬化させることで、レンズ・ブロック401に表示パネル224を所望する位置に固定することができる。
【0063】
カバー・フレーム404が取り付けられると、これによって、パネル・ホルダー402ごと表示パネル224の側面部分が覆われる。さらに、カバー・フレーム404の開口部分にヒート・シンク405を取り付ける。なお、カバー・フレーム404のFPC取り出し部位には、ヒート・シンク405などからFPCが受ける外部負荷を軽減するために、クッション材404Aが貼設されている。これによって、このクッション材404Aを介してFPCを抑える構造としている。
【0064】
カバー・フレーム404をレンズ・ブロック401のフランジ面に密着させるとともに、ヒート・シンク405を表示パネル224の基板側の表面に面接触させることで、表示パネル224の発光面(表示面)は封止される。
【0065】
図8Aには、カバー・フレーム404をレンズ・ブロック401に取り付ける様子を示している。また、図8Bには、カバー・フレーム404がレンズ・ブロック401に取り付けられた状態を示している。カバー・フレーム404を取り付ける方法は任意である。図示の例では、カバー・フレーム404はレンズ・ブロック401に螺着されている。同図中、カバー・フレーム404側でレンズ・ブロック401のフランジ面と密着する部分、並びに、レンズ・ブロック401のフランジ面側でカバー・フレーム404と密着する部分を、それぞれ斜線で示している。
【0066】
また、取り付けられたヒート・シンク405は、表示パネル224の基板側と面接触するので、表示パネル224を効果的に冷却することが可能になる。ヒート・シンク405と表示パネル224との間隙に熱伝導性のグリースを充填させると、冷却効果がさらに向上する。
【0067】
図9Aには、ヒート・シンク405をレンズ・ブロック401に取り付ける様子を示している。また、図9Bには、ヒート・シンク405がレンズ・ブロック401に取り付けられた(すなわち、組み立てが完了した)状態の光学ユニットを示している。ヒート・シンク405を取り付ける方法は任意である。図示の例では、ヒート・シンク405は、カバー・フレーム404を介してレンズ・ブロック401に螺着されている。同図中、カバー・フレーム404側でヒート・シンク405と密着する部分を斜線で示している。
【0068】
図8及び図9から、カバー・フレーム404とヒート・シンク405で、表示パネル224の発光面を封止していることを理解できよう。また、ヒート・シンク405は、上述したように、表示パネル224を基板側から冷却する効果があるので、冷却機構と一体化した封止構造、ということができる。なお、カバー・フレームとヒート・シンク405はいずれも表示パネル224には直接当たっていない、という点に留意されたい。
【0069】
上述したように、図3に示した光学ユニットは、表示パネルの高位置精度保持、表示パネルの冷却構造、表示パネルの発光面のゴミ封止構造という、目的が異なる3要素の機能を実現することができる。また、各目的の機能をそれぞれ個別に実現するのではなく、ヒート・シンク405を用いた冷却機構を一体型とした封止構造により、各目的の機能を同時に実現するので、ヘッド・マウント・ディスプレイ10の小型、軽量化を阻害することがない。以下では、各目的の機能を実現するためのポイントについてまとめておく。
【0070】
表示パネルの高位置精度保持
(1)表示パネル224は、あらかじめパネル外枠403に接着固定され、パネル・アセンブリー403として扱われる。
(2)表示パネル224を保持するパネル外枠403と近接レンズ401A間には空間が設けられている(図7を参照のこと)。
(3)パネル・ホルダー402の各固着ピンをパネル外枠403A側の対応する固着穴にそれぞれ挿通させて仮止めした状態で、表示パネル224の位置決めを行なう。具体的には、表示パネル224の空間的な位置と姿勢を認識できるような発光パターンをカメラで認識させ、表示パネル224の位置を6軸調整する。
(4)表示パネル224の位置調整が完了した状態を保持し、パネル外枠403Aの固着穴と、レンズ・ブロック401の鏡筒に固定された固着ピンとの間隙を、UV樹脂で充填する。
(5)パネル外枠403の位置を保持したまま、UV樹脂に紫外線を照射して、硬化されたUV樹脂によってパネル外枠403と固着ピン(言い換えれば、表示パネル224とレンズ・ブロック401)の空間位置を固定する。
(6)固着ピンは、パネル外枠403の位置を要求精度内で保持することができれば、その材質は特に問わない。例えば、樹脂材料でも構わない。
(7)パネル外枠403の固着穴にUV樹脂を充填させておいてから固着ピンを挿通させるようにしてもよい。
(8)固着ピンの断面形状は、丸でも角形状でも構わない。
(9)パネル外枠403の固着穴と、これに挿通する固着ピンは、個々の部品寸法精度と組立精度からなる位置誤差を許容するだけの空間余裕を持つ。
【0071】
表示パネルの発光面のゴミ封止構造
(1)表示パネル224の発光面を防塵する封止構造は、主にレンズ・ブロックの鏡筒、カバー・フレーム404、ヒート・シンク405の3点から構成される。
(2)レンズ・ブロック401の鏡筒とカバー・フレーム404は、互いに対向する面で、隙間なく密着する。
(3)カバー・フレーム404とヒート・シンク405は、互いに対向する面で密着する。
(4)表示パネル224のFPC取り出し部は、FPCへ外部負荷軽減のために、クッション材404Aが貼設され、このクッション材404Aを介してFPCを抑える構造としている。
(5)図8、図9に示したような組み立て作業は、クリーン・ブース内で行ない、組み立て時にゴミの侵入や表示パネル224の発光面への付着を防止する。
(6)組立完了後は、防塵構造となる。
【0072】
表示パネルの冷却構造
(1)表示パネル224を基板側の表面(発光面の裏面)から、ヒート・シンク405によって排熱できる構造となっている。
(2)カバー・フレーム404の光軸方向の高さは、ヒート・シンク405を取り付けた際に、表示パネル224の裏面とヒート・シンク405の間に空間ができる寸法とする。
(3)対向する表示パネル224の裏面とヒート・シンク405の間の間隙に、熱伝導性グリースを充填する。
(4)組み立てる際に、表示パネル224の裏面又はヒート・シンク405に、あらかじめ適量の熱伝導性グリースを塗布しておく。
(5)ヒート・シンク405を取り付ける際に、熱伝導性グリースは展延され、表示パネル224の裏面とヒート・シンク405の間の一定面積に充填された状態になる。
(6)熱伝導性グリースは、隙間からたれたり、流れたりしないような、適正な粘度とチクソ性を有するものを使用する。
(7)表示パネル224の6軸調整固定によるヒート・シンク405に対する表示パネル224の位置の寸法ばらつきを、本構造によって吸収することができる。
【0073】
なお、本明細書の開示の技術は、以下のような構成をとることも可能である。
(1)左眼用及び右眼用にそれぞれ備えられた、画像を表示する表示パネルと、前記表示パネルが表示する映像を光学処理するレンズ・ブロックを含んだ光学ユニットと、左眼用及び右眼用の映像信号を処理する映像信号処理部と、
前記映像信号処理部で処理された映像信号に基づいて、前記左眼用及び前記右眼用の表示パネルの表示駆動を制御する表示制御部を具備し、前記左右の光学ユニットはそれぞれ、前記レンズ・ブロックの光軸に対して位置調整可能に前記表示パネルを保持するとともに位置調整した後に固定する表示パネル保持部と、前記表示パネルを冷却する表示パネル冷却部と、前記表示パネルの発光面を封止する表示パネル封止部を有する、ヘッド・マウント・ディスプレイ。
(2)前記表示パネル保持部は、前記レンズ・ブロックの光軸に対して6軸調整可能に前記表示パネルを保持する、上記(1)に記載のヘッド・マウント・ディスプレイ。
(3)前記表示パネル保持部は、前記レンズ・ブロックの鏡筒に固定された複数の固着ピンと、前記固着ピンに対応する位置に穿設された固着穴を有するパネル外枠に前記表示パネルをあらかじめ固定したパネル・アセンブリーを有し、前記パネル外枠の各固着穴に前記固着ピンを挿通させた状態で、前記レンズ・ブロックの光軸に対する前記表示パネルの位置を6軸調整可能である、上記(2)に記載のヘッド・マウント・ディスプレイ。
(4)前記レンズ・ブロックの光軸に対して前記表示パネルを所定の精度で位置決めした後、前記パネル外枠の各固着穴にUV樹脂を流し込んで固着ピンとの間隙を充填させ、紫外線で照射して前記UV樹脂を硬化させることで、前記表示パネルを前記レンズ・ブロックに対して位置決めした位置に固定する、上記(3)に記載のヘッド・マウント・ディスプレイ。
(5)前記表示パネル冷却部は、前記表示パネルの基板側に面接触するヒート・シンクを有する、上記(1)又は(3)のいずれかに記載のヘッド・マウント・ディスプレイ。
(6)前記ヒート・シンクを前記表示パネルの基板側に面接触させたときに生じる間隙を充填する熱伝導性グリースをさらに有する、上記(5)に記載のヘッド・マウント・ディスプレイ。
(7)前記表示パネル封止部は、前記表示パネル保持部により固定された前記表示パネルの側面部分を覆うカバー・フレームと、前記カバー・フレームの開口部分を塞ぐ蓋部を有する、上記(1)又は(3)のいずれかに記載のヘッド・マウント・ディスプレイ。
(8)前記蓋部は、前記表示パネルの基板側に面接触するヒート・シンクである、上記(7)に記載のヘッド・マウント・ディスプレイ。
(9)前記ヒート・シンクを前記表示パネルの基板側に面接触させたときに生じる間隙を充填する熱伝導性グリースをさらに有する、上記(8)に記載のヘッド・マウント・ディスプレイ。
(10)画像を表示する表示パネルと、前記表示パネルが表示する映像を光学処理するレンズ・ブロックと、前記レンズ・ブロックの光軸に対して位置調整可能に前記表示パネルを保持するとともに位置調整した後に固定する表示パネル保持部と、前記表示パネルを冷却する表示パネル冷却部と、前記表示パネルの発光面を封止する表示パネル封止部とを具備する、ヘッド・マウント・ディスプレイ用の光学ユニット。
(11)前記表示パネル保持部は、前記レンズ・ブロックの光軸に対して6軸調整可能に前記表示パネルを保持する、上記(10)に記載の光学ユニット。
(12)前記表示パネル保持部は、前記レンズ・ブロックの鏡筒に固定された複数の固着ピンと、前記固着ピンに対応する位置に穿設された固着穴を有するパネル外枠に前記表示パネルをあらかじめ固定したパネル・アセンブリーを有し、前記パネル外枠の各固着穴に前記固着ピンを挿通させた状態で、前記レンズ・ブロックの光軸に対する前記表示パネルの位置を6軸調整可能である、上記(11)に記載の光学ユニット。
(13)前記レンズ・ブロックの光軸に対して前記表示パネルを所定の精度で位置決めした後、前記パネル外枠の各固着穴にUV樹脂を流し込んで固着ピンとの間隙を充填させ、紫外線で照射して前記UV樹脂を硬化させることで、前記表示パネルを前記レンズ・ブロックに対して位置決めした位置に固定する、上記(12)に記載の光学ユニット。
(14)前記表示パネル冷却部は、前記表示パネルの基板側に面接触するヒート・シンクを有する、上記(10)又は(12)のいずれかに記載の光学ユニット。
(15)前記ヒート・シンクを前記表示パネルの基板側に面接触させたときに生じる間隙を充填する熱伝導性グリースをさらに有する、上記(14)に記載の光学ユニット。
(16)前記表示パネル封止部は、前記表示パネル保持部により固定された前記表示パネルの側面部分を覆うカバー・フレームと、前記カバー・フレームの開口部分を塞ぐ蓋部を有する、上記(10)又は(12)のいずれかに記載の光学ユニット。
(17)前記蓋部は、前記表示パネルの基板側に面接触するヒート・シンクである、上記(16)に記載の光学ユニット。
(18)前記ヒート・シンクを前記表示パネルの基板側に面接触させたときに生じる間隙を充填する熱伝導性グリースをさらに有する、上記(17)に記載の光学ユニット。
【産業上の利用可能性】
【0074】
以上、特定の実施形態を参照しながら、本明細書で開示する技術について詳細に説明してきた。しかしながら、本明細書で開示する技術の要旨を逸脱しない範囲で当業者が該実施形態の修正や代用を成し得ることは自明である。
【0075】
本明細書では、本明細書で開示する技術をヘッド・マウント・ディスプレイに適用した実施形態を中心に説明してきたが、本明細書で開示する技術の要旨は特定のヘッド・マウント・ディスプレイの構成に限定されるものではない。表示パネルと光学系を一体化させるさまざまなタイプの表示装置に対して、本明細書で開示する技術を同様に適用することができる。
【0076】
要するに、例示という形態で本技術を開示してきたのであり、本明細書の記載内容を限定的に解釈するべきではない。本技術の要旨を判断するためには、特許請求の範囲を参酌すべきである。
【符号の説明】
【0077】
10…ヘッド・マウント・ディスプレイ
20…ブルーレイ・ディスク再生装置
30…ハイビジョン・ディスプレイ
40…フロント・エンド・ボックス
201…UI操作部、202…映像信号入力部
210…中央制御部、211…左右映像信号生成部
212…ビデオ・バッファー、213…OSD制御部
214…ビットマップ・バッファー、215…OSD表示位置制御部
216…OSD描画部、217…OSDバッファー
218…画像合成部
220…表示制御部、221…左右映像信号分離部
222…左眼用表示駆動制御部、223…右眼用表示駆動制御部
224…左眼用表示パネル、225…右眼用表示パネル
401…レンズ・ブロック、402…パネル・ホルダー
403…パネル・アセンブリー、404…カバー・フレーム
405…ヒート・シンク
【技術分野】
【0001】
本明細書で開示する技術は、ユーザーの頭部に装着して用いられ、虚像を提供するヘッド・マウント・ディスプレイ並びに光学ユニットに係り、特に、レンズの持つ光学特性に合わせて表示パネルの位置が固定されたヘッド・マウント・ディスプレイ並びに光学ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
頭部に装着して映像を視聴する表示装置、すなわちヘッド・マウント・ディスプレイ(HMD)が広く知られている。ヘッド・マウント・ディスプレイは、左右の眼毎に光学ユニットを持ち、また、ヘッドフォンと併用し、視覚及び聴覚を制御できるように構成されている。頭部に装着した際に外界を完全に遮るように構成すれば、視聴時の仮想現実感が増す。また、ヘッド・マウント・ディスプレイは、左右の眼に違う映像を映し出すことも可能であり、左右の眼に視差のある画像を表示すれば3D画像を提示することができる。
【0003】
ヘッド・マウント・ディスプレイの左右の眼の表示部には、例えば有機EL(Electro− Luminescence)素子などからなる高解像度の表示パネルを用いることができる。また、光学系で適当な画角を設定するとともに、ヘッドフォンで多チャンネルを再現すれば、映画館で視聴するような臨場感を再現することができるであろう。
【0004】
ヘッド・マウント・ディスプレイでは、光学系の光軸が左右で高い精度で一致していないと、観察するユーザーが映像を不快に感じてしまう。左右の光軸を一致させるために、観察される映像が調整指標に対して一致するよう左右の表示部の位置を調整するのが一般的である。例えば、液晶表示素子をX、Y、ω軸周りに相当する位置調整を行なってから保持部材に装着した後、液晶表示素子を固定した保持部材を、接眼光学系を収容した光学ユニットに取り付けるようにして、液晶表示素子の光軸の調整を不要又は低減した頭部装着型の映像表示装置について提案がなされている(例えば、特許文献1を参照のこと)。
【0005】
ヘッド・マウント・ディスプレイとしての要求精度を満足するためには、レンズの持つ光学特性に合わせた表示パネルの位置固定が必要である、と本出願人は考えている。レンズに対する表示パネルの位置決め精度は、少なくとも画素サイズ(例えば、有機EL素子を用いる場合は12ミクロン)以下でなくてはならない。
【0006】
ところが、例えば突き当てや穴の嵌め合いといった、機械的な位置決めでは、上記の要求精度を満たすことは困難である。また、機械的な位置決めで上記の要求精度を満たす構造を実現するには、部品の高精度化と精度に応じた管理が必要となり、部品コスト増、組み立てコスト増を招来する。
【0007】
また、表示パネルの表面にゴミなどの異物が付着すると、レンズで拡大されてユーザーに観察されることから、画品位が低下して商品性を損なってしまう。このため、表示パネルの発光面を封止する防塵構造が必要である。
【0008】
また、ヘッド・マウント・ディスプレイの表示部には、上述した有機EL素子や、液晶ディスプレイなどの、薄型の表示素子が用いられる。この種の半導体プロセスで製造された表示パネルは、消費電力に応じた発熱を伴うことが知られている。一方、表示パネルの最大駆動温度が定められているので、ヘッド・マウント・ディスプレイに組み込まれた表示パネルを最大駆動温度内で管理しなければならない。
【0009】
上記を要言すると、ヘッド・マウント・ディスプレイは、左右の光学ユニットにおいて、表示パネルの高位置精度保持、表示パネルの冷却構造、表示パネルの発光面のゴミ封止構造という、それぞれ目的が異なる3要素の機能を備えなければならない。ところが、目的別に機能を実装していくと、ヘッド・マウント・ディスプレイ本体のサイズ、重量ともに大きくなってしまう。ユーザーの頭部に装着して利用されるヘッド・マウント・ディスプレイは、小型、軽量化が必須であることから、3要素の機能をすべて装備するのは困難になってしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2008−249869号公報、段落0030
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本明細書で開示する技術の目的は、レンズの持つ光学特性に合わせて表示パネルの位置が固定された、優れたヘッド・マウント・ディスプレイ並びに光学ユニットを提供することにある。
【0012】
また、本明細書で開示する技術の目的は、表示パネルの表面にゴミなどの異物の付着を防ぐための防塵構造がとられた、優れたヘッド・マウント・ディスプレイ並びに光学ユニットを提供することにある。
【0013】
また、本明細書で開示する技術の目的は、表示パネルを最大駆動温度内で好適に管理することができる、優れたヘッド・マウント・ディスプレイ並びに光学ユニットを提供することにある。
【0014】
また、本明細書で開示する技術の目的は、小型、軽量化を損なうことなく、表示パネルの高位置精度保持、表示パネルの冷却構造、ゴミ封止構造という、目的が異なる3要素の機能を備えた、優れたヘッド・マウント・ディスプレイ並びに光学ユニットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本願は、上記課題を参酌してなされたものであり、請求項1に記載の技術は、
左眼用及び右眼用にそれぞれ備えられた、画像を表示する表示パネルと、前記表示パネルが表示する映像を光学処理するレンズ・ブロックを含んだ光学ユニットと、
左眼用及び右眼用の映像信号を処理する映像信号処理部と、
前記映像信号処理部で処理された映像信号に基づいて、前記左眼用及び前記右眼用の表示パネルの表示駆動を制御する表示制御部と、
を具備し、
前記左右の光学ユニットはそれぞれ、前記レンズ・ブロックの光軸に対して位置調整可能に前記表示パネルを保持するとともに位置調整した後に固定する表示パネル保持部と、前記表示パネルを冷却する表示パネル冷却部と、前記表示パネルの発光面を封止する表示パネル封止部を有する、
ヘッド・マウント・ディスプレイである。
【0016】
本願の請求項2に記載の技術によれば、請求項1に記載のヘッド・マウント・ディスプレイの光学ユニットは、表示パネル保持部が、前記レンズ・ブロックの光軸に対して6軸調整可能に前記表示パネルを保持するように構成されている。
【0017】
本願の請求項3に記載の技術によれば、請求項2に記載のヘッド・マウント・ディスプレイの光学ユニットは、表示パネル保持部が、前記レンズ・ブロックの鏡筒に固定された複数の固着ピンと、前記固着ピンに対応する位置に穿設された固着穴を有するパネル外枠に前記表示パネルをあらかじめ固定したパネル・アセンブリーを有しており、前記パネル外枠の各固着穴に前記固着ピンを挿通させた状態で、前記レンズ・ブロックの光軸に対する前記表示パネルの位置を6軸で調整することが可能である。
【0018】
本願の請求項4に記載の技術によれば、請求項3に記載のヘッド・マウント・ディスプレイの光学ユニットは、前記レンズ・ブロックの光軸に対して前記表示パネルを所定の精度で位置決めした後、前記パネル外枠の各固着穴にUV樹脂を流し込んで固着ピンとの間隙を充填させ、紫外線で照射して前記UV樹脂を硬化させることで、前記表示パネルを前記レンズ・ブロックに対して位置決めした位置に固定して構成される。
【0019】
本願の請求項5に記載の技術によれば、請求項1に記載のヘッド・マウント・ディスプレイの光学ユニットは、表示パネル冷却部が、前記表示パネルの基板側に面接触するヒート・シンクを有している。
【0020】
本願の請求項6に記載の技術によれば、請求項5に記載のヘッド・マウント・ディスプレイの光学ユニットは、ヒート・シンクを前記表示パネルの基板側に面接触させたときに生じる間隙を充填する熱伝導性グリースをさらに有している。
【0021】
本願の請求項7に記載の技術によれば、請求項1に記載のヘッド・マウント・ディスプレイの光学ユニットは、表示パネル封止部が、前記表示パネル保持部により固定された前記表示パネルの側面部分を覆うカバー・フレームと、前記カバー・フレームの開口部分を塞ぐ蓋部を有している。
【0022】
本願の請求項8に記載の技術によれば、請求項7に記載のヘッド・マウント・ディスプレイの 光学ユニットにおいて、蓋部は、前記表示パネルの基板側に面接触するヒート・シンクである。
【0023】
本願の請求項9に記載の技術によれば、請求項8に記載のヘッド・マウント・ディスプレイの光学ユニットは、ヒート・シンクを前記表示パネルの基板側に面接触させたときに生じる間隙を充填する熱伝導性グリースをさらに有している。
【0024】
また、本願の請求項10に記載の技術は、
画像を表示する表示パネルと、
前記表示パネルが表示する映像を光学処理するレンズ・ブロックと、
前記レンズ・ブロックの光軸に対して位置調整可能に前記表示パネルを保持するとともに位置調整した後に固定する表示パネル保持部と、
前記表示パネルを冷却する表示パネル冷却部と、
前記表示パネルの発光面を封止する表示パネル封止部と、
を具備する、ヘッド・マウント・ディスプレイ用の光学ユニットである。
【0025】
本願の請求項11に記載の技術によれば、請求項10に記載の光学ユニットの表示パネル保持部は、前記レンズ・ブロックの光軸に対して6軸調整可能に前記表示パネルを保持するように構成されている。
【0026】
本願の請求項12に記載の技術によれば、請求項11に記載の光学ユニットの表示パネル保持部は、前記レンズ・ブロックの鏡筒に固定された複数の固着ピンと、前記固着ピンに対応する位置に穿設された固着穴を有するパネル外枠に前記表示パネルをあらかじめ固定したパネル・アセンブリーを有しており、前記パネル外枠の各固着穴に前記固着ピンを挿通させた状態で、前記レンズ・ブロックの光軸に対する前記表示パネルの位置を6軸で調整することが可能である。
【0027】
本願の請求項13に記載の技術によれば、請求項12に記載の光学ユニットは、前記レンズ・ブロックの光軸に対して前記表示パネルを所定の精度で位置決めした後、前記パネル外枠の各固着穴にUV樹脂を流し込んで固着ピンとの間隙を充填させ、紫外線で照射して前記UV樹脂を硬化させることで、前記表示パネルを前記レンズ・ブロックに対して位置決めした位置に固定して構成される。
【0028】
本願の請求項14に記載の技術によれば、請求項10に記載の光学ユニットの表示パネル冷却部は、前記表示パネルの基板側に面接触するヒート・シンクを有している。
【0029】
本願の請求項15に記載の技術によれば、請求項14に記載の光学ユニットは、ヒート・シンクを前記表示パネルの基板側に面接触させたときに生じる間隙を充填する熱伝導性グリースをさらに有している。
【0030】
本願の請求項16に記載の技術によれば、請求項10に記載の光学ユニットの表示パネル封止部は、前記表示パネル保持部により固定された前記表示パネルの側面部分を覆うカバー・フレームと、前記カバー・フレームの開口部分を塞ぐ蓋部を有している。
【0031】
本願の請求項17に記載の技術によれば、請求項16に記載の光学ユニットの蓋部は、前記表示パネルの基板側に面接触するヒート・シンクである。
【0032】
本願の請求項18に記載の技術によれば、請求項17に記載の光学ユニットは、ヒート・シンクを前記表示パネルの基板側に面接触させたときに生じる間隙を充填する熱伝導性グリースをさらに有している。
【発明の効果】
【0033】
本明細書で開示する技術によれば、レンズの持つ光学特性に合わせて表示パネルの位置が固定された、優れたヘッド・マウント・ディスプレイ並びに光学ユニットを提供することができる。
【0034】
また、本明細書で開示する技術によれば、表示パネルが画素サイズ以下に精度で位置固定された、優れたヘッド・マウント・ディスプレイ並びに光学ユニットを提供することができる。
【0035】
また、本明細書で開示する技術によれば、ヘッド・マウント・ディスプレイは、光学ユニットと冷却機構を一体型にして封止構造とすることで、表示パネルの表面にゴミなどの異物の付着を好適に防ぐことができる。
【0036】
また、本明細書で開示する技術によれば、光学ユニットと一体型となった冷却構造により表示パネルの基板表面から排熱する構造となっているので、表示パネルを最大駆動温度内で好適に管理することができる。
【0037】
また、本明細書で開示する技術によれば、光学ユニットと冷却機構を一体型にして封止構造とすることで、表示パネルの高位置精度保持、表示パネルの冷却構造、ゴミ封止構造という、目的が異なる3要素の機能をともに備えた、小型且つ軽量の優れたヘッド・マウント・ディスプレイ並びに光学ユニットを提供することができる。
【0038】
本明細書で開示する技術のさらに他の目的、特徴や利点は、後述する実施形態や添付する図面に基づくより詳細な説明によって明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】図1は、ヘッド・マウント・ディスプレイを含む画像表示システムの構成を模式的に示した図である。
【図2】図2は、ヘッド・マウント・ディスプレイ10の内部構成を模式的に示した図である。
【図3】図3は、冷却機構を一体化した光学ユニットの組立図である。
【図4】図4は、図3に示した光学ユニットの分解図である。
【図5A】図5Aは、パネル・アセンブリー403を表示パネル224の発光面(表示面)側から眺めた様子を示した図である。
【図5B】図5Bは、パネル・アセンブリー403を表示パネル224の基板側から眺めた様子を示した図である。
【図6】図6は、レンズ・ブロック401の鏡筒の各固着ピンを対応する固着穴にそれぞれ挿通させてパネル・アセンブリー403を取り付け、さらに、固着穴にUV樹脂を流し込んで固定する操作を説明するための図である。
【図7】図7は、パネル・アセンブリー403をレンズ・ブロック401に固着した様子を示した図である。
【図8A】図8Aは、カバー・フレーム404をレンズ・ブロック401に取り付ける様子を示した図である。
【図8B】図8Bは、カバー・フレーム404がレンズ・ブロック401に取り付けられた状態を示した図である。
【図9A】図9Aは、ヒート・シンク405をレンズ・ブロック401に取り付ける様子を示した図である。
【図9B】図9Bは、ヒート・シンク405がレンズ・ブロック401に取り付けられ、組み立てが完了した光学ユニットを示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
以下、図面を参照しながら本明細書で開示する技術の実施形態について詳細に説明する。
【0041】
図1には、ヘッド・マウント・ディスプレイを含む画像表示システムの構成を模式的に示している。図示のシステムは、ヘッド・マウント・ディスプレイ10本体と、視聴コンテンツのソースとなるブルーレイ・ディスク再生装置20と、ブルーレイ・ディスク再生装置20の再生コンテンツの他の出力先となるハイビジョン・ディスプレイ(例えば、HDMI対応テレビ)30と、ブルーレイ・ディスク再生装置20から出力されるAV信号の処理を行なうフロント・エンド・ボックス40で構成される。
【0042】
フロント・エンド・ボックス40は、ブルーレイ・ディスク再生装置20から出力されるAV信号をHDMI入力すると、例えば信号処理して、HDMI出力するHDMIリピーターに相当する。また、フロント・エンド・ボックス40は、ブルーレイ・ディスク再生装置20の出力先をヘッド・マウント・ディスプレイ10又はハイビジョン・ディスプレイ30のいずれかに切り替える2出力スイッチャーでもある。図示の例では、フロント・エンド・ボックス40は2出力であるが、3以上の出力を有していてもよい。但し、フロント・エンド・ボックス40は、AV信号の出力先を排他的とし、且つ、ヘッド・マウント・ディスプレイ10への出力を最優先とする。
【0043】
なお、HDMI(High−Definition Mutlimedia Interface)は、DVI(Digital Visual Interface)を基にし、物理層にTMDS(Transition Minimized Differential Signaling)を用いた、主に音声と映像の伝送を用途としたディジタル家電向けのインターフェース規格である。本システムは、例えばHDMI1.4に準拠する。
【0044】
ブルーレイ・ディスク再生装置20とフロント・エンド・ボックス40間、並びに、フロント・エンド・ボックス40とハイビジョン・ディスプレイ30間は、それぞれHDMIケーブルで接続されている。フロント・エンド・ボックス40とヘッド・マウント・ディスプレイ10間も、HDMIケーブルで接続するように構成することも可能であるが、その他の仕様のケーブルを用いてAV信号をシリアル転送するようにしてもよい。但し、フロント・エンド・ボックス40とヘッド・マウント・ディスプレイ10間を接続するケーブル1本で、AV信号と電力を供給するものとし、ヘッド・マウント・ディスプレイ10はこのケーブルを介して駆動電力も得ることができる。
【0045】
ヘッド・マウント・ディスプレイ10は、左眼用及び右眼用の独立した表示部を備えている。各表示部は、例えば有機EL素子を用いている。また、左右の各表示部は、低歪みで且つ高解像度の広視野角光学系を装備している。
【0046】
図2には、ヘッド・マウント・ディスプレイ10の内部構成を模式的に示している。図示のヘッド・マウント・ディスプレイは、UI(User Interface)操作部201と、映像信号入力部202と、中央制御部210と、表示制御部220を備えている。
【0047】
映像信号入力部202は、ブルーレイ・ディスク再生装置20から再生出力される映像信号を、フロント・エンド・ボックス40経由で入力する。
【0048】
中央制御部210内では、左右映像信号生成部211が、入力映像信号から、左眼用映像信号及び右眼用映像信号を混合した左右映像信号を生成して、ビデオ・バッファー212に書き込む。
【0049】
また、UI操作部201は、ボタンなどを介したユーザーの操作を受け容れる。中央制御部210内では、OSD(On Screen Display)制御部213が、UI操作に応じて、該当するメニュー用の画像データをビットマップ・バッファー214から読み出して、OSD画面を生成する。また、OSD表示位置制御部215は、OSD画面の表示位置を制御し、OSD描画部216はOSDバッファー217の該当する位置にOSD画面の画像データを書き込む。
【0050】
そして、画像合成部218は、ビデオ・バッファー212に書き込まれた画像データ上に、OSDバッファー217に書き込まれたOSD画面を重畳して、表示制御部220に出力する。
【0051】
表示制御部220内では、まず、左右映像信号分離部221が入力した左右映像信号を左眼用映像信号と右眼用映像信号に分離する。そして、左眼用表示駆動制御部222は、左眼用映像信号の左眼用表示パネル224への描画を制御する。また、右眼用表示駆動制御部223は、右眼用映像信号の右眼用表示パネル225への描画を制御する。左眼用表示パネル224並びに右眼用表示パネル225には、それぞれ映像を拡大するレンズ・ブロック(図2では図示しない)が装備されている。左右のレンズ・ブロックは、それぞれ複数の光学レンズの組み合わせからなり、表示パネル224、225が表示する映像を光学処理する。表示パネル224、225を所定の位置精度でレンズ・ブロックに取り付けて、左右の光学ユニットをなす。表示パネル224、225の発光面に表示された映像は、レンズ・ブロックを通過する際に拡大され、ユーザーの網膜に大きな虚像を結像する。そして、観察するユーザーの脳内では左眼用画像と右眼用画像が融像される。
【0052】
ヘッド・マウント・ディスプレイ10には、表示パネルの高位置精度保持、表示パネルの冷却構造、表示パネルの発光面のゴミ封止構造という、それぞれ目的が異なる3要素の機能をともに備えることが望まれている。ところが、目的別に機能を実装していくと、サイズ、重量ともに大きくなり、小型、軽量化を損なってしまうという問題がある(前述)。
【0053】
これに対し、本明細書で開示する技術によれば、光学ユニットと冷却機構を一体型にして封止構造とすることで、小型、軽量化を損なうことなく、表示パネルの高位置精度保持、表示パネルの冷却構造、表示パネルの発光面のゴミ封止構造という、目的が異なる3要素の機能をともに備えたヘッド・マウント・ディスプレイ10を実現することができる。
【0054】
図3には、冷却機構を一体化した光学ユニットの組立図を示している。また、図4には、図3に示した光学ユニットを構成する部品をほぼ光軸方向に沿って分離して描いた分解図を示している。各図では、左眼用の光学ユニットを示している。なお、右眼用の光学ユニットはこれとほぼ左右対称の構造なので、図示を省略する。
【0055】
図4に示すように、光学ユニットは、複数のレンズの組み合わせからなる接眼光学系を収容したレンズ・ブロック401と、パネル・ホルダー402と、表示パネル224をあらかじめパネル外枠403Aで固定したパネル・アセンブリー403と、パネル・ホルダー402ごと表示パネル224の側面部分を覆うカバー・フレーム404と、高い熱伝動性を持つ素材で構成されるヒート・シンク405で構成される。
【0056】
レンズ・ブロック401は、表示パネル224に近接した近接レンズ401Aを有している。また、レンズ・ブロック401の鏡筒には、複数本(図示の例では、四隅に形設された4本)の固着ピンが固定されている。なお、レンズ・ブロック401内に収容される接眼光学系の構成は設計事項なので、本明細書では詳細な説明を省略する。但し、レンズ・ブロック401の光学特性は、設計値に対して公差内でばらつき(すなわち、個体差)を持つという点に留意されたい。
【0057】
パネル・ホルダー402をレンズ・ブロック401に取り付ける方法は任意である。図4に示す例では、パネル・ホルダー402は、レンズ・ブロック401に螺着されている。
【0058】
パネル・アセンブリー403は、パネル外枠403Aに表示パネル224をあらかじめ接着固定したものである。パネル外枠403Aには、レンズ・ブロック401の鏡筒に固定された各固着ピン(前述)を挿通させる固着穴が穿設されている。表示パネル224は、有機ELなどの表示素子とこれを実装した基板(FPC:Flexible Printed Circuits)からなる。ここで、表示パネル224の画素位置は、パネル外枠403Aに対して、公差内でのばらつきを持つ点に留意されたい。図5Aには、パネル・アセンブリー403を表示パネル224の発光面(表示面)側から眺めた様子を示している。また、図5Bには、パネル・アセンブリー403を表示パネル224の基板側から眺めた様子を示している。
【0059】
パネル・ホルダー402の各固着ピンを対応する固着穴にそれぞれ挿通させてパネル・アセンブリー403を取り付ける。この状態で、レンズ・ブロック401の光軸に対する表示パネル224の位置決めを例えば画素サイズ以下の精度で行なう。パネル・ホルダー402(レンズ・ブロック401の鏡筒)の各固着ピンをパネル403A外枠側の対応する固着穴にそれぞれ挿通させた状態で、パネル・ホルダー402を介して表示パネル224の位置を6軸方向に変化させることが可能である。したがって、表示パネル224の位置を6軸方向に変化させることによって、レンズ・ブロック401の光学特性が持つ公差内での個体ばらつきや、パネル外枠403Aに対する表示パネル224の画素位置の個体ばらつきに対応して、表示パネル224を高精度で位置決めすることができる。
【0060】
図6には、パネル・ホルダー402の各固着ピンを対応する固着穴にそれぞれ挿通させている様子を図解している。パネル・アセンブリー403を固定する際には、図示のように、各固着穴にUV樹脂を流し込んで、固着ピンとの間隙を充填する。
【0061】
また、図7には、パネル・アセンブリー403をレンズ・ブロック401に固着した様子を示している。図示のように表示パネル224を保持するパネル外枠403と近接レンズ401A間には空間が設けられており、後述するように、表示パネル224の位置を6軸方向に変化させて位置決めすることができる。
【0062】
そして、表示パネル224の位置が定まると、上述したように固着穴にUV樹脂を流し込んで固着ピンとの間隙を充填させ、紫外線で照射してUV樹脂を硬化させることで、レンズ・ブロック401に表示パネル224を所望する位置に固定することができる。
【0063】
カバー・フレーム404が取り付けられると、これによって、パネル・ホルダー402ごと表示パネル224の側面部分が覆われる。さらに、カバー・フレーム404の開口部分にヒート・シンク405を取り付ける。なお、カバー・フレーム404のFPC取り出し部位には、ヒート・シンク405などからFPCが受ける外部負荷を軽減するために、クッション材404Aが貼設されている。これによって、このクッション材404Aを介してFPCを抑える構造としている。
【0064】
カバー・フレーム404をレンズ・ブロック401のフランジ面に密着させるとともに、ヒート・シンク405を表示パネル224の基板側の表面に面接触させることで、表示パネル224の発光面(表示面)は封止される。
【0065】
図8Aには、カバー・フレーム404をレンズ・ブロック401に取り付ける様子を示している。また、図8Bには、カバー・フレーム404がレンズ・ブロック401に取り付けられた状態を示している。カバー・フレーム404を取り付ける方法は任意である。図示の例では、カバー・フレーム404はレンズ・ブロック401に螺着されている。同図中、カバー・フレーム404側でレンズ・ブロック401のフランジ面と密着する部分、並びに、レンズ・ブロック401のフランジ面側でカバー・フレーム404と密着する部分を、それぞれ斜線で示している。
【0066】
また、取り付けられたヒート・シンク405は、表示パネル224の基板側と面接触するので、表示パネル224を効果的に冷却することが可能になる。ヒート・シンク405と表示パネル224との間隙に熱伝導性のグリースを充填させると、冷却効果がさらに向上する。
【0067】
図9Aには、ヒート・シンク405をレンズ・ブロック401に取り付ける様子を示している。また、図9Bには、ヒート・シンク405がレンズ・ブロック401に取り付けられた(すなわち、組み立てが完了した)状態の光学ユニットを示している。ヒート・シンク405を取り付ける方法は任意である。図示の例では、ヒート・シンク405は、カバー・フレーム404を介してレンズ・ブロック401に螺着されている。同図中、カバー・フレーム404側でヒート・シンク405と密着する部分を斜線で示している。
【0068】
図8及び図9から、カバー・フレーム404とヒート・シンク405で、表示パネル224の発光面を封止していることを理解できよう。また、ヒート・シンク405は、上述したように、表示パネル224を基板側から冷却する効果があるので、冷却機構と一体化した封止構造、ということができる。なお、カバー・フレームとヒート・シンク405はいずれも表示パネル224には直接当たっていない、という点に留意されたい。
【0069】
上述したように、図3に示した光学ユニットは、表示パネルの高位置精度保持、表示パネルの冷却構造、表示パネルの発光面のゴミ封止構造という、目的が異なる3要素の機能を実現することができる。また、各目的の機能をそれぞれ個別に実現するのではなく、ヒート・シンク405を用いた冷却機構を一体型とした封止構造により、各目的の機能を同時に実現するので、ヘッド・マウント・ディスプレイ10の小型、軽量化を阻害することがない。以下では、各目的の機能を実現するためのポイントについてまとめておく。
【0070】
表示パネルの高位置精度保持
(1)表示パネル224は、あらかじめパネル外枠403に接着固定され、パネル・アセンブリー403として扱われる。
(2)表示パネル224を保持するパネル外枠403と近接レンズ401A間には空間が設けられている(図7を参照のこと)。
(3)パネル・ホルダー402の各固着ピンをパネル外枠403A側の対応する固着穴にそれぞれ挿通させて仮止めした状態で、表示パネル224の位置決めを行なう。具体的には、表示パネル224の空間的な位置と姿勢を認識できるような発光パターンをカメラで認識させ、表示パネル224の位置を6軸調整する。
(4)表示パネル224の位置調整が完了した状態を保持し、パネル外枠403Aの固着穴と、レンズ・ブロック401の鏡筒に固定された固着ピンとの間隙を、UV樹脂で充填する。
(5)パネル外枠403の位置を保持したまま、UV樹脂に紫外線を照射して、硬化されたUV樹脂によってパネル外枠403と固着ピン(言い換えれば、表示パネル224とレンズ・ブロック401)の空間位置を固定する。
(6)固着ピンは、パネル外枠403の位置を要求精度内で保持することができれば、その材質は特に問わない。例えば、樹脂材料でも構わない。
(7)パネル外枠403の固着穴にUV樹脂を充填させておいてから固着ピンを挿通させるようにしてもよい。
(8)固着ピンの断面形状は、丸でも角形状でも構わない。
(9)パネル外枠403の固着穴と、これに挿通する固着ピンは、個々の部品寸法精度と組立精度からなる位置誤差を許容するだけの空間余裕を持つ。
【0071】
表示パネルの発光面のゴミ封止構造
(1)表示パネル224の発光面を防塵する封止構造は、主にレンズ・ブロックの鏡筒、カバー・フレーム404、ヒート・シンク405の3点から構成される。
(2)レンズ・ブロック401の鏡筒とカバー・フレーム404は、互いに対向する面で、隙間なく密着する。
(3)カバー・フレーム404とヒート・シンク405は、互いに対向する面で密着する。
(4)表示パネル224のFPC取り出し部は、FPCへ外部負荷軽減のために、クッション材404Aが貼設され、このクッション材404Aを介してFPCを抑える構造としている。
(5)図8、図9に示したような組み立て作業は、クリーン・ブース内で行ない、組み立て時にゴミの侵入や表示パネル224の発光面への付着を防止する。
(6)組立完了後は、防塵構造となる。
【0072】
表示パネルの冷却構造
(1)表示パネル224を基板側の表面(発光面の裏面)から、ヒート・シンク405によって排熱できる構造となっている。
(2)カバー・フレーム404の光軸方向の高さは、ヒート・シンク405を取り付けた際に、表示パネル224の裏面とヒート・シンク405の間に空間ができる寸法とする。
(3)対向する表示パネル224の裏面とヒート・シンク405の間の間隙に、熱伝導性グリースを充填する。
(4)組み立てる際に、表示パネル224の裏面又はヒート・シンク405に、あらかじめ適量の熱伝導性グリースを塗布しておく。
(5)ヒート・シンク405を取り付ける際に、熱伝導性グリースは展延され、表示パネル224の裏面とヒート・シンク405の間の一定面積に充填された状態になる。
(6)熱伝導性グリースは、隙間からたれたり、流れたりしないような、適正な粘度とチクソ性を有するものを使用する。
(7)表示パネル224の6軸調整固定によるヒート・シンク405に対する表示パネル224の位置の寸法ばらつきを、本構造によって吸収することができる。
【0073】
なお、本明細書の開示の技術は、以下のような構成をとることも可能である。
(1)左眼用及び右眼用にそれぞれ備えられた、画像を表示する表示パネルと、前記表示パネルが表示する映像を光学処理するレンズ・ブロックを含んだ光学ユニットと、左眼用及び右眼用の映像信号を処理する映像信号処理部と、
前記映像信号処理部で処理された映像信号に基づいて、前記左眼用及び前記右眼用の表示パネルの表示駆動を制御する表示制御部を具備し、前記左右の光学ユニットはそれぞれ、前記レンズ・ブロックの光軸に対して位置調整可能に前記表示パネルを保持するとともに位置調整した後に固定する表示パネル保持部と、前記表示パネルを冷却する表示パネル冷却部と、前記表示パネルの発光面を封止する表示パネル封止部を有する、ヘッド・マウント・ディスプレイ。
(2)前記表示パネル保持部は、前記レンズ・ブロックの光軸に対して6軸調整可能に前記表示パネルを保持する、上記(1)に記載のヘッド・マウント・ディスプレイ。
(3)前記表示パネル保持部は、前記レンズ・ブロックの鏡筒に固定された複数の固着ピンと、前記固着ピンに対応する位置に穿設された固着穴を有するパネル外枠に前記表示パネルをあらかじめ固定したパネル・アセンブリーを有し、前記パネル外枠の各固着穴に前記固着ピンを挿通させた状態で、前記レンズ・ブロックの光軸に対する前記表示パネルの位置を6軸調整可能である、上記(2)に記載のヘッド・マウント・ディスプレイ。
(4)前記レンズ・ブロックの光軸に対して前記表示パネルを所定の精度で位置決めした後、前記パネル外枠の各固着穴にUV樹脂を流し込んで固着ピンとの間隙を充填させ、紫外線で照射して前記UV樹脂を硬化させることで、前記表示パネルを前記レンズ・ブロックに対して位置決めした位置に固定する、上記(3)に記載のヘッド・マウント・ディスプレイ。
(5)前記表示パネル冷却部は、前記表示パネルの基板側に面接触するヒート・シンクを有する、上記(1)又は(3)のいずれかに記載のヘッド・マウント・ディスプレイ。
(6)前記ヒート・シンクを前記表示パネルの基板側に面接触させたときに生じる間隙を充填する熱伝導性グリースをさらに有する、上記(5)に記載のヘッド・マウント・ディスプレイ。
(7)前記表示パネル封止部は、前記表示パネル保持部により固定された前記表示パネルの側面部分を覆うカバー・フレームと、前記カバー・フレームの開口部分を塞ぐ蓋部を有する、上記(1)又は(3)のいずれかに記載のヘッド・マウント・ディスプレイ。
(8)前記蓋部は、前記表示パネルの基板側に面接触するヒート・シンクである、上記(7)に記載のヘッド・マウント・ディスプレイ。
(9)前記ヒート・シンクを前記表示パネルの基板側に面接触させたときに生じる間隙を充填する熱伝導性グリースをさらに有する、上記(8)に記載のヘッド・マウント・ディスプレイ。
(10)画像を表示する表示パネルと、前記表示パネルが表示する映像を光学処理するレンズ・ブロックと、前記レンズ・ブロックの光軸に対して位置調整可能に前記表示パネルを保持するとともに位置調整した後に固定する表示パネル保持部と、前記表示パネルを冷却する表示パネル冷却部と、前記表示パネルの発光面を封止する表示パネル封止部とを具備する、ヘッド・マウント・ディスプレイ用の光学ユニット。
(11)前記表示パネル保持部は、前記レンズ・ブロックの光軸に対して6軸調整可能に前記表示パネルを保持する、上記(10)に記載の光学ユニット。
(12)前記表示パネル保持部は、前記レンズ・ブロックの鏡筒に固定された複数の固着ピンと、前記固着ピンに対応する位置に穿設された固着穴を有するパネル外枠に前記表示パネルをあらかじめ固定したパネル・アセンブリーを有し、前記パネル外枠の各固着穴に前記固着ピンを挿通させた状態で、前記レンズ・ブロックの光軸に対する前記表示パネルの位置を6軸調整可能である、上記(11)に記載の光学ユニット。
(13)前記レンズ・ブロックの光軸に対して前記表示パネルを所定の精度で位置決めした後、前記パネル外枠の各固着穴にUV樹脂を流し込んで固着ピンとの間隙を充填させ、紫外線で照射して前記UV樹脂を硬化させることで、前記表示パネルを前記レンズ・ブロックに対して位置決めした位置に固定する、上記(12)に記載の光学ユニット。
(14)前記表示パネル冷却部は、前記表示パネルの基板側に面接触するヒート・シンクを有する、上記(10)又は(12)のいずれかに記載の光学ユニット。
(15)前記ヒート・シンクを前記表示パネルの基板側に面接触させたときに生じる間隙を充填する熱伝導性グリースをさらに有する、上記(14)に記載の光学ユニット。
(16)前記表示パネル封止部は、前記表示パネル保持部により固定された前記表示パネルの側面部分を覆うカバー・フレームと、前記カバー・フレームの開口部分を塞ぐ蓋部を有する、上記(10)又は(12)のいずれかに記載の光学ユニット。
(17)前記蓋部は、前記表示パネルの基板側に面接触するヒート・シンクである、上記(16)に記載の光学ユニット。
(18)前記ヒート・シンクを前記表示パネルの基板側に面接触させたときに生じる間隙を充填する熱伝導性グリースをさらに有する、上記(17)に記載の光学ユニット。
【産業上の利用可能性】
【0074】
以上、特定の実施形態を参照しながら、本明細書で開示する技術について詳細に説明してきた。しかしながら、本明細書で開示する技術の要旨を逸脱しない範囲で当業者が該実施形態の修正や代用を成し得ることは自明である。
【0075】
本明細書では、本明細書で開示する技術をヘッド・マウント・ディスプレイに適用した実施形態を中心に説明してきたが、本明細書で開示する技術の要旨は特定のヘッド・マウント・ディスプレイの構成に限定されるものではない。表示パネルと光学系を一体化させるさまざまなタイプの表示装置に対して、本明細書で開示する技術を同様に適用することができる。
【0076】
要するに、例示という形態で本技術を開示してきたのであり、本明細書の記載内容を限定的に解釈するべきではない。本技術の要旨を判断するためには、特許請求の範囲を参酌すべきである。
【符号の説明】
【0077】
10…ヘッド・マウント・ディスプレイ
20…ブルーレイ・ディスク再生装置
30…ハイビジョン・ディスプレイ
40…フロント・エンド・ボックス
201…UI操作部、202…映像信号入力部
210…中央制御部、211…左右映像信号生成部
212…ビデオ・バッファー、213…OSD制御部
214…ビットマップ・バッファー、215…OSD表示位置制御部
216…OSD描画部、217…OSDバッファー
218…画像合成部
220…表示制御部、221…左右映像信号分離部
222…左眼用表示駆動制御部、223…右眼用表示駆動制御部
224…左眼用表示パネル、225…右眼用表示パネル
401…レンズ・ブロック、402…パネル・ホルダー
403…パネル・アセンブリー、404…カバー・フレーム
405…ヒート・シンク
【特許請求の範囲】
【請求項1】
左眼用及び右眼用にそれぞれ備えられた、画像を表示する表示パネルと、前記表示パネルが表示する映像を光学処理するレンズ・ブロックを含んだ光学ユニットと、
左眼用及び右眼用の映像信号を処理する映像信号処理部と、
前記映像信号処理部で処理された映像信号に基づいて、前記左眼用及び前記右眼用の表示パネルの表示駆動を制御する表示制御部と、
を具備し、
前記左右の光学ユニットはそれぞれ、前記レンズ・ブロックの光軸に対して位置調整可能に前記表示パネルを保持するとともに位置調整した後に固定する表示パネル保持部と、前記表示パネルを冷却する表示パネル冷却部と、前記表示パネルの発光面を封止する表示パネル封止部を有する、
ヘッド・マウント・ディスプレイ。
【請求項2】
前記表示パネル保持部は、前記レンズ・ブロックの光軸に対して6軸調整可能に前記表示パネルを保持する、
請求項1に記載のヘッド・マウント・ディスプレイ。
【請求項3】
前記表示パネル保持部は、前記レンズ・ブロックの鏡筒に固定された複数の固着ピンと、前記固着ピンに対応する位置に穿設された固着穴を有するパネル外枠に前記表示パネルをあらかじめ固定したパネル・アセンブリーを有し、前記パネル外枠の各固着穴に前記固着ピンを挿通させた状態で、前記レンズ・ブロックの光軸に対する前記表示パネルの位置を6軸調整可能である、
請求項2に記載のヘッド・マウント・ディスプレイ。
【請求項4】
前記レンズ・ブロックの光軸に対して前記表示パネルを所定の精度で位置決めした後、前記パネル外枠の各固着穴にUV樹脂を流し込んで固着ピンとの間隙を充填させ、紫外線で照射して前記UV樹脂を硬化させることで、前記表示パネルを前記レンズ・ブロックに対して位置決めした位置に固定する、
請求項3に記載のヘッド・マウント・ディスプレイ。
【請求項5】
前記表示パネル冷却部は、前記表示パネルの基板側に面接触するヒート・シンクを有する、
請求項1に記載のヘッド・マウント・ディスプレイ。
【請求項6】
前記ヒート・シンクを前記表示パネルの基板側に面接触させたときに生じる間隙を充填する熱伝導性グリースをさらに有する、
請求項5に記載のヘッド・マウント・ディスプレイ。
【請求項7】
前記表示パネル封止部は、前記表示パネル保持部により固定された前記表示パネルの側面部分を覆うカバー・フレームと、前記カバー・フレームの開口部分を塞ぐ蓋部を有する、
請求項1に記載のヘッド・マウント・ディスプレイ。
【請求項8】
前記蓋部は、前記表示パネルの基板側に面接触するヒート・シンクである、
請求項7に記載のヘッド・マウント・ディスプレイ。
【請求項9】
前記ヒート・シンクを前記表示パネルの基板側に面接触させたときに生じる間隙を充填する熱伝導性グリースをさらに有する、
請求項8に記載のヘッド・マウント・ディスプレイ。
【請求項10】
画像を表示する表示パネルと、
前記表示パネルが表示する映像を光学処理するレンズ・ブロックと、
前記レンズ・ブロックの光軸に対して位置調整可能に前記表示パネルを保持するとともに位置調整した後に固定する表示パネル保持部と、
前記表示パネルを冷却する表示パネル冷却部と、
前記表示パネルの発光面を封止する表示パネル封止部と、
を具備する、ヘッド・マウント・ディスプレイ用の光学ユニット。
【請求項11】
前記表示パネル保持部は、前記レンズ・ブロックの光軸に対して6軸調整可能に前記表示パネルを保持する、
請求項10に記載の光学ユニット。
【請求項12】
前記表示パネル保持部は、前記レンズ・ブロックの鏡筒に固定された複数の固着ピンと、前記固着ピンに対応する位置に穿設された固着穴を有するパネル外枠に前記表示パネルをあらかじめ固定したパネル・アセンブリーを有し、前記パネル外枠の各固着穴に前記固着ピンを挿通させた状態で、前記レンズ・ブロックの光軸に対する前記表示パネルの位置を6軸調整可能である、
請求項11に記載の光学ユニット。
【請求項13】
前記レンズ・ブロックの光軸に対して前記表示パネルを所定の精度で位置決めした後、前記パネル外枠の各固着穴にUV樹脂を流し込んで固着ピンとの間隙を充填させ、紫外線で照射して前記UV樹脂を硬化させることで、前記表示パネルを前記レンズ・ブロックに対して位置決めした位置に固定する、
請求項12に記載の光学ユニット。
【請求項14】
前記表示パネル冷却部は、前記表示パネルの基板側に面接触するヒート・シンクを有する、
請求項10に記載の光学ユニット。
【請求項15】
前記ヒート・シンクを前記表示パネルの基板側に面接触させたときに生じる間隙を充填する熱伝導性グリースをさらに有する、
請求項14に記載の光学ユニット。
【請求項16】
前記表示パネル封止部は、前記表示パネル保持部により固定された前記表示パネルの側面部分を覆うカバー・フレームと、前記カバー・フレームの開口部分を塞ぐ蓋部を有する、
請求項10に記載の光学ユニット。
【請求項17】
前記蓋部は、前記表示パネルの基板側に面接触するヒート・シンクである、
請求項16に記載の光学ユニット。
【請求項18】
前記ヒート・シンクを前記表示パネルの基板側に面接触させたときに生じる間隙を充填する熱伝導性グリースをさらに有する、
請求項17に記載の光学ユニット。
【請求項1】
左眼用及び右眼用にそれぞれ備えられた、画像を表示する表示パネルと、前記表示パネルが表示する映像を光学処理するレンズ・ブロックを含んだ光学ユニットと、
左眼用及び右眼用の映像信号を処理する映像信号処理部と、
前記映像信号処理部で処理された映像信号に基づいて、前記左眼用及び前記右眼用の表示パネルの表示駆動を制御する表示制御部と、
を具備し、
前記左右の光学ユニットはそれぞれ、前記レンズ・ブロックの光軸に対して位置調整可能に前記表示パネルを保持するとともに位置調整した後に固定する表示パネル保持部と、前記表示パネルを冷却する表示パネル冷却部と、前記表示パネルの発光面を封止する表示パネル封止部を有する、
ヘッド・マウント・ディスプレイ。
【請求項2】
前記表示パネル保持部は、前記レンズ・ブロックの光軸に対して6軸調整可能に前記表示パネルを保持する、
請求項1に記載のヘッド・マウント・ディスプレイ。
【請求項3】
前記表示パネル保持部は、前記レンズ・ブロックの鏡筒に固定された複数の固着ピンと、前記固着ピンに対応する位置に穿設された固着穴を有するパネル外枠に前記表示パネルをあらかじめ固定したパネル・アセンブリーを有し、前記パネル外枠の各固着穴に前記固着ピンを挿通させた状態で、前記レンズ・ブロックの光軸に対する前記表示パネルの位置を6軸調整可能である、
請求項2に記載のヘッド・マウント・ディスプレイ。
【請求項4】
前記レンズ・ブロックの光軸に対して前記表示パネルを所定の精度で位置決めした後、前記パネル外枠の各固着穴にUV樹脂を流し込んで固着ピンとの間隙を充填させ、紫外線で照射して前記UV樹脂を硬化させることで、前記表示パネルを前記レンズ・ブロックに対して位置決めした位置に固定する、
請求項3に記載のヘッド・マウント・ディスプレイ。
【請求項5】
前記表示パネル冷却部は、前記表示パネルの基板側に面接触するヒート・シンクを有する、
請求項1に記載のヘッド・マウント・ディスプレイ。
【請求項6】
前記ヒート・シンクを前記表示パネルの基板側に面接触させたときに生じる間隙を充填する熱伝導性グリースをさらに有する、
請求項5に記載のヘッド・マウント・ディスプレイ。
【請求項7】
前記表示パネル封止部は、前記表示パネル保持部により固定された前記表示パネルの側面部分を覆うカバー・フレームと、前記カバー・フレームの開口部分を塞ぐ蓋部を有する、
請求項1に記載のヘッド・マウント・ディスプレイ。
【請求項8】
前記蓋部は、前記表示パネルの基板側に面接触するヒート・シンクである、
請求項7に記載のヘッド・マウント・ディスプレイ。
【請求項9】
前記ヒート・シンクを前記表示パネルの基板側に面接触させたときに生じる間隙を充填する熱伝導性グリースをさらに有する、
請求項8に記載のヘッド・マウント・ディスプレイ。
【請求項10】
画像を表示する表示パネルと、
前記表示パネルが表示する映像を光学処理するレンズ・ブロックと、
前記レンズ・ブロックの光軸に対して位置調整可能に前記表示パネルを保持するとともに位置調整した後に固定する表示パネル保持部と、
前記表示パネルを冷却する表示パネル冷却部と、
前記表示パネルの発光面を封止する表示パネル封止部と、
を具備する、ヘッド・マウント・ディスプレイ用の光学ユニット。
【請求項11】
前記表示パネル保持部は、前記レンズ・ブロックの光軸に対して6軸調整可能に前記表示パネルを保持する、
請求項10に記載の光学ユニット。
【請求項12】
前記表示パネル保持部は、前記レンズ・ブロックの鏡筒に固定された複数の固着ピンと、前記固着ピンに対応する位置に穿設された固着穴を有するパネル外枠に前記表示パネルをあらかじめ固定したパネル・アセンブリーを有し、前記パネル外枠の各固着穴に前記固着ピンを挿通させた状態で、前記レンズ・ブロックの光軸に対する前記表示パネルの位置を6軸調整可能である、
請求項11に記載の光学ユニット。
【請求項13】
前記レンズ・ブロックの光軸に対して前記表示パネルを所定の精度で位置決めした後、前記パネル外枠の各固着穴にUV樹脂を流し込んで固着ピンとの間隙を充填させ、紫外線で照射して前記UV樹脂を硬化させることで、前記表示パネルを前記レンズ・ブロックに対して位置決めした位置に固定する、
請求項12に記載の光学ユニット。
【請求項14】
前記表示パネル冷却部は、前記表示パネルの基板側に面接触するヒート・シンクを有する、
請求項10に記載の光学ユニット。
【請求項15】
前記ヒート・シンクを前記表示パネルの基板側に面接触させたときに生じる間隙を充填する熱伝導性グリースをさらに有する、
請求項14に記載の光学ユニット。
【請求項16】
前記表示パネル封止部は、前記表示パネル保持部により固定された前記表示パネルの側面部分を覆うカバー・フレームと、前記カバー・フレームの開口部分を塞ぐ蓋部を有する、
請求項10に記載の光学ユニット。
【請求項17】
前記蓋部は、前記表示パネルの基板側に面接触するヒート・シンクである、
請求項16に記載の光学ユニット。
【請求項18】
前記ヒート・シンクを前記表示パネルの基板側に面接触させたときに生じる間隙を充填する熱伝導性グリースをさらに有する、
請求項17に記載の光学ユニット。
【図2】
【図3】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図6】
【図7】
【図8A】
【図8B】
【図9A】
【図9B】
【図1】
【図3】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図6】
【図7】
【図8A】
【図8B】
【図9A】
【図9B】
【図1】
【公開番号】特開2013−48394(P2013−48394A)
【公開日】平成25年3月7日(2013.3.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−186622(P2011−186622)
【出願日】平成23年8月29日(2011.8.29)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年3月7日(2013.3.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年8月29日(2011.8.29)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]