説明

ヘッド洗浄装置及び画像記録装置

【課題】 環境温度の変化に影響されることなく、液体吐出ヘッドの液体吐出面に対して洗浄液を安定に塗布できるようにする。
【解決手段】複数の洗浄液ノズル208から洗浄液を噴出させてヘッド150のノズル面150Aに洗浄液を付与する洗浄液塗布ユニット204と、洗浄液塗布ユニット204に供給流路216を介して接続され、洗浄液塗布ユニット204との水頭差を利用して各洗浄液ノズル208に洗浄液を供給する洗浄液タンク206と、洗浄液タンク206の周辺部の温度を測定する温度センサ224と、供給流路216の流路抵抗を調整する流路抵抗調整部218と、温度センサ224によって測定された温度に基づいて、流路抵抗調整部218を制御する洗浄処理制御部226と、を備えたヘッド洗浄装置を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はヘッド洗浄装置及び画像記録装置に係り、特に液体吐出ヘッドの液体吐出面の洗浄技術に関する。
【背景技術】
【0002】
汎用の画像記録装置として、インクジェットヘッドに設けられた多数のノズルからカラーインクを吐出して、記録媒体上に所望の画像を形成するインクジェット記録装置が好適に用いられている。インクジェットヘッドを長期間稼動すると、固化したインクや記録媒体の紙粉などの付着物がノズル面に付着してしまう。特に、ノズルの近傍やノズルの開口部に付着物が付着すると、ノズルから吐出されるインクの吐出方向の曲がりや吐出量の減少などが生じてしまうので、インクジェット記録装置はノズル面の洗浄が適宜行われるように構成されている。
【0003】
特許文献1には、インクジェットヘッドのノズル形成面に対して洗浄液噴射部から洗浄液を噴射することで、非接触で洗浄液の塗布を行う流体噴射装置が開示されている(特に図11及び図12を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−6492号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1に記載された流体噴射装置では、洗浄液タンクから洗浄液噴射部に対する洗浄液の供給はポンプを利用して行われている。
【0006】
洗浄液の供給方式としては、主にポンプ方式と水頭差方式がある。しかし、ポンプ方式は、洗浄液の供給の際に脈動が発生するため、インクジェットヘッドに対しては一様に安定した洗浄液塗布ができない。そのため、水頭差を利用した洗浄液の供給方式(水頭差方式)は、脈動もなく最も簡易的な方法として考えられる。
【0007】
ここで、従来のヘッド洗浄装置の構成例を図16に示す。図16に示したヘッド洗浄装置は、インクジェットヘッド900のノズル面(吐出面)900Aに対向する位置に洗浄液噴出面902Aを有する洗浄液噴出ユニット902と、洗浄液が収容される洗浄液タンク904と、を備えて構成される。洗浄液タンク904内の洗浄液の液面は洗浄液噴出ユニット902の洗浄液噴出面902Aよりも高く配置され、これらの間に生じる水頭差Hを利用して、洗浄液タンク904から供給流路906を通じて洗浄液噴出ユニット902に洗浄液の供給が行われる。そして、洗浄液噴出ユニット902の洗浄液噴出面902Aから洗浄液908が噴出され、インクジェットヘッド900のノズル面900Aに洗浄液が塗布され、不図示の払拭部材(ウェブ又はブレード等)によってノズル面900Aの払拭が行われる。
【0008】
しかしながら、洗浄液の粘度は温度によって変化するため、図16に示したような従来のヘッド洗浄装置では、環境温度の変化に応じて洗浄液の温度に変化が生じると、洗浄液噴出ユニット902から噴出される洗浄液の量(高さ)が変動してしまい、洗浄液の安定塗布ができないという問題がある。
【0009】
図17は、環境温度の変化に応じて発生する問題点を説明するための図である。同図では、環境温度が常温(25℃)であるときを基準温度としている。図17に示すように、常温より低温の場合には、洗浄液の粘度が高くなるので洗浄液の供給速度(流速)が低下し、洗浄液噴出ユニット902から噴出される洗浄液の高さ不足が問題となる。一方、常温より高温の場合には、洗浄液の粘度が低くなるので洗浄液の供給速度(流速)が上昇し、洗浄液噴出ユニット902から噴出される洗浄液の高さが増加し、洗浄液の使用量が増大するという問題がある。
【0010】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、環境温度の変化に影響されることなく、液体吐出ヘッドの液体吐出面に対して洗浄液を安定に塗布することを可能とするヘッド洗浄装置及び画像記録装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記目的を達成するために、請求項1に記載のヘッド洗浄装置は、複数の洗浄液ノズルから洗浄液を噴出させて液体吐出ヘッドの吐出面に洗浄液を付与する洗浄液付与手段と、前記洗浄液付与手段に供給流路を介して接続され、前記洗浄液付与手段との水頭差を利用して前記複数の洗浄液ノズルに洗浄液を供給する洗浄液供給手段と、前記洗浄液供給手段の周辺部の温度を測定する温度測定手段と、前記供給流路の流路抵抗を調整する流路抵抗調整手段と、前記温度測定手段によって測定された温度に基づいて、前記流路抵抗調整手段を制御する制御手段と、を備えたことを特徴とする。
【0012】
本発明によれば、環境温度の変化に伴う各洗浄液ノズルに供給される洗浄液の流速の変動を抑えることができ、各洗浄液ノズルから噴出される洗浄液の高さを環境温度の変化に影響されることなく一定にすることができる。これにより、液体吐出ヘッドの液体吐出面に対する洗浄液の安定塗布が可能となる。
【0013】
請求項2に記載のヘッド洗浄装置は、請求項1に記載のヘッド洗浄装置において、前記流路抵抗調整手段は、前記供給流路に並列接続された複数の並列流路と、前記複数の並列流路の中から少なくとも1つの並列流路を選択する流路選択手段と、を含んで構成され、前記制御手段は、前記温度測定手段によって測定された温度に基づいて、前記流路選択手段を制御することを特徴とする。
【0014】
請求項3に記載のヘッド洗浄装置は、請求項2に記載のヘッド洗浄装置において、前記複数の並列流路のうち、少なくとも一部の並列流路には該並列流路を開閉可能な弁手段が設けられ、前記制御手段は、前記温度測定手段によって測定された温度に基づいて、前記弁手段の開閉を制御することにより、前記複数の並列流路の中から少なくとも1つの並列流路を選択することを特徴とする。
【0015】
請求項4に記載のヘッド洗浄装置は、請求項3に記載のヘッド洗浄装置において、前記複数の並列流路は互いに異なる流路長であることを特徴とする。
【0016】
請求項5に記載のヘッド洗浄装置は、請求項3に記載のヘッド洗浄装置において、前記複数の並列流路のうち、一の並列流路に設けられる弁手段のCv値は他の並列流路に設けられる弁手段のCv値とは異なることを特徴とする。
【0017】
請求項6に記載のヘッド洗浄装置は、請求項3に記載のヘッド洗浄装置において、前記複数の並列流路には互いに流路断面積が異なる絞り部が設けられていることを特徴とする。
【0018】
請求項7に記載のヘッド洗浄装置は、請求項3に記載のヘッド洗浄装置において、前記制御手段は、前記少なくとも一部の並列流路を除く他の並列流路を常に選択すると共に、前記温度測定手段によって測定された温度に基づいて、前記弁手段の開閉を制御することにより、前記少なくとも一部の並列流路の中から並列流路を追加選択することを特徴とする。
【0019】
請求項8に記載のヘッド洗浄装置は、請求項1乃至7のいずれか1項に記載のヘッド洗浄装置において、前記洗浄液供給手段内の洗浄液を温調する洗浄液温調手段を更に備えていることを特徴とする。
【0020】
請求項9に記載のヘッド洗浄装置は、請求項1乃至8のいずれか1項に記載のヘッド洗浄装置において、前記洗浄液付与手段には、前記複数の洗浄ノズルから噴出される洗浄液の高さが均一となるように前記複数の洗浄ノズルに供給される洗浄液の流速を調整する流速調整手段が設けられていることを特徴とする。
【0021】
請求項10に記載のヘッド洗浄装置は、請求項9に記載のヘッド洗浄装置において、前記洗浄液付与手段は、前記複数の洗浄液ノズルが所定の並び方向に沿って設けられると共に前記複数の洗浄液ノズルに連通する流路を有し、前記流路には、前記洗浄液ノズルの直径未満の幅を有する絞りが設けられることを特徴とする。
【0022】
請求項11に記載のヘッド洗浄装置は、請求項10に記載のヘッド洗浄装置において、前記絞りは、前記複数の洗浄液ノズルの並び方向に沿って形成される溝を含むことを特徴とする。
【0023】
請求項12に記載のヘッド洗浄装置は、請求項9乃至11のいずれか1項に記載のヘッド洗浄装置において、前記洗浄液付与手段は、洗浄液を導入する流入口を備えるとともに、前記流入口から各洗浄液ノズルまでの流路抵抗が相対的に大きい領域の前記洗浄液ノズル配置間隔は、前記流入口から各洗浄液ノズルまでの流路抵抗が相対的に小さい領域の前記洗浄液ノズル配置間隔未満であることを特徴とする。
【0024】
請求項13に記載のヘッド洗浄装置は、請求項1乃至12のいずれかに記載のヘッド洗浄装置において、前記洗浄液付与手段には、前記液体吐出ヘッドの短手方向の長さ以上の長さにわたって前記複数の洗浄液ノズルが設けられ、前記液体吐出ヘッドと前記洗浄液付与手段とを相対的に移動させる移動手段を備えたことを特徴とする。
【0025】
請求項14に記載の画像記録装置は、液体を吐出する複数のノズルを有する液体吐出ヘッドと、前記液体吐出ヘッドの液体吐出面に洗浄液を付与するヘッド洗浄装置と、を具備し、前記ヘッド洗浄装置は、複数の洗浄液ノズルから洗浄液を噴出させて液体吐出ヘッドの吐出面に洗浄液を付与する洗浄液付与手段と、前記洗浄液付与手段に供給流路を介して接続され、前記洗浄液付与手段との水頭差を利用して前記複数の洗浄液ノズルに洗浄液を供給する洗浄液供給手段と、前記洗浄液供給手段の周辺部の温度を測定する温度測定手段と、前記供給流路の流路抵抗を調整する流路抵抗調整手段と、前記温度測定手段によって測定された温度に基づいて、前記流路抵抗調整手段を制御する制御手段と、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、環境温度の変化に伴う各洗浄液ノズルに供給される洗浄液の流速の変動を抑えることができ、各洗浄液ノズルから噴出される洗浄液の高さを環境温度の変化に影響されることなく一定にすることができる。これにより、液体吐出ヘッドの液体吐出面に対する洗浄液の安定塗布が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の実施形態に係るインクジェット記録装置の全体構成図
【図2】図1に示すインクジェットヘッドの構成例を示す平面透視図
【図3】インク室ユニットの立体的構成を示す断面図
【図4】図1に示すインクジェット記録装置のシステム構成を示す要部ブロック図
【図5】洗浄処理部の構成例を示した概略構成図
【図6】洗浄液塗布ユニットの洗浄液噴出面の構成例を示した平面図
【図7】洗浄液塗布ユニットの洗浄液噴出面に形成される洗浄液柱の高さ分布を示した説明図
【図8】洗浄液塗布ユニットの洗浄液噴出面の近傍を拡大して示した斜視断面図
【図9】洗浄液塗布ユニットの洗浄液噴出面の他の構成例を示した平面図
【図10】洗浄処理制御部の制御の一例を示した説明図
【図11】流路抵抗調整部の第1の構成例を示した概略構成図
【図12】流路抵抗調整部の第2の構成例を示した概略構成図
【図13】流路抵抗調整部の第3の構成例を示した概略構成図
【図14】流路抵抗調整部の第4の構成例を示した概略構成図
【図15】洗浄液タンクに洗浄液温調手段を備えた態様を示した概略構成図
【図16】従来のヘッド洗浄装置の構成例を示した概略構成図
【図17】環境温度の変化に応じて発生する問題点を説明するための図
【発明を実施するための形態】
【0028】
〔インクジェット記録装置の全体構成〕
次に、本発明が適用されるインクジェット記録装置の全体構成について説明する。
【0029】
図1は、本実施形態に係るインクジェット記録装置の全体構成を示した構成図である。同図に示すインクジェット記録装置10は、インク(水性インク)と処理液(凝集処理液)を用いて記録媒体24の記録面に画像を形成する2液凝集方式の記録装置であり、主として、給紙部12、処理液付与部14、描画部16、乾燥部18、定着部20、及び排出部22を備えて構成される。給紙部12には、枚葉紙である記録媒体24が積層されており、この記録媒体24が給紙部12から処理液付与部14に送られ、処理液付与部14で記録面に処理液が付与された後、描画部16で記録面に色インクが付与される。インクが付与された記録媒体24は、定着部20で画像が堅牢化された後、排出部22によって搬送される。
【0030】
また、インクジェット記録装置10は、各部の間に中間搬送部26、28、30を備え、この中間搬送部26、28、30によって記録媒体24の受け渡しが行われるようになっている。即ち、処理液付与部14と描画部16との間には、第1の中間搬送部26が設けられ、この第1の中間搬送部26によって処理液付与部14から描画部16への記録媒体24の受け渡しが行われる。同様に、描画部16と乾燥部18との間には、第2の中間搬送部28が設けられ、この第2の中間搬送部28によって描画部16から乾燥部18への記録媒体24の受け渡しが行われる。さらに、乾燥部18と定着部20との間には、第3の中間搬送部30が設けられ、この第3の中間搬送部30によって乾燥部18から定着部20への記録媒体24の受け渡しが行われる。
【0031】
以下、インクジェット記録装置10の各部(給紙部12、処理液付与部14、描画部16、乾燥部18、定着部20、排出部22)の構成について説明する。
【0032】
(給紙部)
給紙部12は、記録媒体24を処理液付与部14に供給する機構である。給紙部12には、給紙トレイ50が設けられ、この給紙トレイ50から記録媒体24が一枚ずつ処理液付与部14に給紙される。
【0033】
(処理液付与部)
処理液付与部14は、記録媒体24の記録面に処理液を付与する機構である。処理液は、描画部16で付与されるインク中の色材(顔料)を凝集させる色材凝集剤を含んでおり、この処理液とインクとが接触することによって、インクは色材と溶媒との分離が促進される。
【0034】
図1に示すように、処理液付与部14は、給紙胴52、処理液ドラム54、及び処理液塗布装置56を備えている。給紙胴52は、給紙部12の給紙トレイ50と処理液ドラム54の間に配置され、後述のモータドライバ176(図4参照)によってその回転が駆動制御される。給紙部12から給紙された記録媒体24は、この給紙胴52によって受け取られ、処理液ドラム54に受け渡される。なお、給紙胴52の代わりに、後述する中間搬送部を設けてもよい。
【0035】
処理液ドラム54は、記録媒体24を保持し、回転搬送させるドラムであり、後述のモータドライバ176(図4参照)によってその回転が駆動制御される。また、処理液ドラム54は、その外周面に爪形状の保持手段を備え、この保持手段によって記録媒体24の先端を保持できるようになっている。記録媒体24は、保持手段によって先端が保持された状態で、処理液ドラム54を回転させることによって回転搬送される。その際、記録媒体24の記録面が外側を向くようにして搬送されるようになっている。なお、処理液ドラム54は、その外周面に吸引孔を設けるとともに、吸引孔から吸引を行う吸引手段を接続してもよい。これにより記録媒体24を処理液ドラム54の周面に密着保持することができる。
【0036】
処理液ドラム54の外側には、その周面に対向して処理液塗布装置56が設けられる。処理液塗布装置56は、記録媒体24の記録面に処理液を塗布する装置であり、塗布される処理液が貯留された処理液容器と、この処理液容器の処理液に一部が浸漬されたアニックスローラと、アニックスローラと処理液ドラム54上の記録媒体24に圧接されて計量後の処理液を記録媒体24に転移するゴムローラとで構成される。この処理液塗布装置56によれば、処理液を計量しながら記録媒体24に塗布することができる。処理液の膜厚は、描画部16のヘッド(インクジェットヘッド)72M,72K,72C,72Yから打滴されるインクの液滴径より十分に小さいことが望ましい。
【0037】
なお、本実施形態では、記録媒体24の記録面に処理液を付与する方式として、ローラによる塗布方式を適用した構成を例示したが、これに限定されず、例えば、スプレー方式、インクジェット方式などの各種方式を適用することも可能である。
【0038】
(描画部)
描画部16は、インクジェット方式でインクを打滴することによって入力画像に対応した画像を描画する機構であり、描画ドラム70、用紙抑えローラ74、及びヘッド72M,72K,72C,72Yを備えている。ヘッド72M,72K,72C,72Yはそれぞれ、マゼンダ(M)、黒(K)、シアン(C)、イエロー(Y)の4色のインクに対応しており、描画ドラム70の回転方向に上流側から順に配置される。
【0039】
描画ドラム70は、その外周面に記録媒体24を保持し、回転搬送させるドラムであり、後述のモータドライバ176(図4参照)によってその回転が駆動制御される。また、描画ドラム70は、その外周面に爪形状の保持手段を備え、この保持手段によって記録媒体24の先端を保持できるようになっている。記録媒体24は、保持手段によって先端が保持された状態で、描画ドラム70を回転させることによって回転搬送される。その際、記録媒体24の記録面が外側を向くようにして搬送され、この記録面にヘッド72M,72C,72Y,72Kからインクが付与される。
【0040】
用紙抑えローラ74は、描画ドラム70の外周面に記録媒体24を密着させるためのガイド部材であり、描画ドラム70の外周面に対向する位置に配置されている。具体的には、中間搬送部26からの記録媒体24の受渡位置よりも記録媒体24の搬送方向(描画ドラム70の回転方向)下流側であり、且つ、ヘッド72M,72K,72C,72Yよりも記録媒体24の搬送方向上流側に配置される。
【0041】
中間搬送部26から描画ドラム70に受け渡された記録媒体24は、上述の保持手段によって先端が保持された状態で回転搬送される際、用紙抑えローラ74によって押圧され、描画ドラム70の外周面に密着されられる。このようにして、記録媒体24を描画ドラム70の外周面に密着させた後に、描画ドラム70の外周面から浮き上がりのない状態で、ヘッド72M,72K,72C,72Yの直下の印字領域に送られる。
【0042】
ヘッド72M,72K,72C,72Yはそれぞれ、記録媒体24における画像形成領域の最大幅に対応する長さを有するフルライン型のインクジェット方式の記録ヘッド(インクジェットヘッド)であり、そのインク吐出面には、画像形成領域の全幅にわたってインク吐出用のノズルが複数配列されたノズル列が形成されている。各ヘッド72M,72K,72C,72Yは、記録媒体24の搬送方向(描画ドラム70の回転方向)と直交する方向に延在するように固定設置される。
【0043】
また、描画ドラム70の外周面に保持された記録媒体24の記録面とヘッド72M,72K,72C,72Yのノズル面が略平行となるように、ヘッド72M,72K,72C,72Yは水平面に対して傾けて配置されている。
【0044】
上記の如く構成された各ヘッド72M,72K,72C,72Yから、対応する色インクの液滴が、描画ドラム70の外周面に保持された記録媒体24の記録面に向かって吐出される。これにより、処理液付与部14で予め記録面に付与された処理液にインクが接触し、インク中に分散する色材(顔料)が凝集され、色材凝集体が形成される。これにより、記録媒体24上での色材流れなどが防止され、記録媒体24の記録面に画像が形成される。その際、描画部16の描画ドラム70は、処理液付与部14の処理液ドラム54に対して構造上分離しているので、ヘッド72M,72K,72C,72Yに処理液が付着することがなく、インクの不吐出要因を低減することができる。
【0045】
なお、本例では、CMYKの標準色(4色)の構成を例示したが、インク色や色数の組み合わせについては本実施形態に限定されず、必要に応じて淡インク、濃インク、特別色インクを追加してもよい。例えば、ライトシアン、ライトマゼンタなどのライト系インクを吐出するインクジェットヘッドを追加する構成も可能であり、各色ヘッドの配置順序も特に限定はない。
【0046】
また、図1では図示は省略したが、描画部16の描画ドラム70の軸方向に隣接する位置には洗浄処理部200(図5参照)が設けられており、ヘッド移動機構(不図示)によって各ヘッド72M,72K,72C,72Yは描画ドラム70に対向する描画位置と洗浄処理部200等が配置されるメンテナンス位置との間を移動可能に構成されている。
【0047】
(乾燥部)
乾燥部18は、色材凝集作用により分離された溶媒に含まれる水分を乾燥させる機構であり、図1に示すように、乾燥ドラム76、及び溶媒乾燥装置78を備えている。
【0048】
乾燥ドラム76は、その外周面に記録媒体24を保持して回転搬送させるドラムであり、後述のモータドライバ176(図4参照)によってその回転が駆動制御される。また、乾燥ドラム76は、その外周面に爪形状の保持手段を備え、この保持手段によって記録媒体24の先端を保持できるようになっている。記録媒体24は、保持手段によって先端が保持された状態で、乾燥ドラム76を回転させることによって回転搬送される。その際、記録媒体24の記録面が外側を向くようにして搬送され、この記録面に対して溶媒乾燥装置78による乾燥処理が行われる。なお、乾燥ドラム76は、その外周面に吸引孔を設けるとともに、吸引孔から吸引を行う吸引手段を接続してもよい。これにより記録媒体24を乾燥ドラム76の周面に密着保持することができる。
【0049】
溶媒乾燥装置78は、乾燥ドラム76の外周面に対向する位置に配置され、ハロゲンヒータ80を含んで構成される。ハロゲンヒータ80は、所定の温度の温風を一定の風量で記録媒体24に向けて吹き付けるように制御される。
【0050】
このように構成される溶媒乾燥装置78によって、乾燥ドラム76に保持された記録媒体24の記録面のインク溶媒に含まれる水分が蒸発され、乾燥処理が行われる。その際、乾燥部18の乾燥ドラム76は、描画部16の描画ドラム70に対して構造上分離しているので、ヘッド72M,72K,72C,72Yにおいて、熱乾燥によるヘッドメニスカス部の乾燥によるインクの不吐出を低減することができる。また、乾燥部18の温度設定に自由度があり、最適な乾燥温度を設定することができる。
【0051】
このように構成された乾燥ドラム76の外周面に、記録媒体24の記録面が外側を向くように(即ち、記録媒体24の記録面が凸側となるように湾曲させた状態で)保持し、回転搬送しながら乾燥することで、記録媒体24のシワや浮きの発生を防止でき、これらに起因する乾燥ムラを確実に防止することができる。
【0052】
(定着部)
定着部20は、定着ドラム84、ハロゲンヒータ86、定着ローラ88、及びインラインセンサ90で構成される。ハロゲンヒータ86、定着ローラ88、及びインラインセンサ90は、定着ドラム84の外周面に対向する位置に配置され、定着ドラム84の回転方向(図1において反時計回り方向)の上流側から順に配置される。
【0053】
定着ドラム84は、その外周面に記録媒体24を保持して回転搬送させるドラムであり、後述のモータドライバ176(図4参照)によってその回転が駆動制御される。また、定着ドラム84は、その外周面に爪形状の保持手段を備え、この保持手段によって記録媒体24の先端を保持できるようになっている。記録媒体24は、保持手段によって先端が保持された状態で定着ドラム84を回転させることによって、回転搬送される。その際、記録媒体24の記録面が外側を向くようにして搬送され、この記録面に対して、ハロゲンヒータ86による予備加熱と、定着ローラ88による定着処理と、インラインセンサ90による検査が行われる。なお、上記の定着ドラム84は、その外周面に吸引孔を設けるとともに、吸引孔から吸引を行う吸引手段を接続してもよい。これにより記録媒体24を定着ドラム84の周面に密着保持することができる。
【0054】
ハロゲンヒータ86は、所定の温度に制御される。これにより、記録媒体24の予備加熱が行われる。
【0055】
定着ローラ88は、乾燥させたインクを加熱加圧することによってインク中の自己分散性ポリマー微粒子を溶着し、インクを被膜化させるためのローラ部材であり、記録媒体24を加熱加圧するように構成される。具体的には、定着ローラ88は、定着ドラム84に対して圧接するように配置されており、定着ドラム84との間でニップローラを構成するようになっている。これにより、記録媒体24は、定着ローラ88と定着ドラム84との間に挟まれ、所定のニップ圧でニップされ、定着処理が行われる。
【0056】
また、定着ローラ88は、熱伝導性の良いアルミなどの金属パイプ内にハロゲンランプを組み込んだ加熱ローラによって構成され、所定の温度に制御される。この加熱ローラで記録媒体24を加熱することによって、インクに含まれるラテックスのTg温度(ガラス転移点温度)以上の熱エネルギーが付与され、ラテックス粒子が溶融される。これにより、記録媒体24の凹凸に押し込み定着が行なわれるとともに、画像表面の凹凸がレベリングされ、光沢性が得られる。
【0057】
なお、上記の実施形態では、定着ローラ88を1つだけ設けた構成となっているが、画像層厚みやラテックス粒子のTg特性に応じて、複数段設けた構成でもよい。また、定着ドラム84の表面を所定の温度に制御するようにしてもよい。
【0058】
一方、インラインセンサ90は、記録媒体24に定着された画像について、チェックパターンや水分量、表面温度、光沢度などを計測するための計測手段であり、CCDラインセンサなどが適用される。
【0059】
上記の如く構成された定着部20によれば、乾燥部18で形成された薄層の画像層内のラテックス粒子が定着ローラ88によって加熱加圧されて溶融されるので、記録媒体24に固定定着させることができる。また、定着部20によれば、定着ドラム84が他のドラムに対して構造上分離されているので、定着部20の温度設定を、描画部16や乾燥部18と分離して自由に設定することができる。
【0060】
(排出部)
図1に示すように、定着部20に続いて排出部22が設けられている。排出部22は、排出トレイ92を備えており、この排出トレイ92と定着部20の定着ドラム84との間に、これらに対接するように渡し胴94、搬送ベルト96、張架ローラ98が設けられている。記録媒体24は、渡し胴94により搬送ベルト96に送られ、排出トレイ92に排出される。
【0061】
(中間搬送部)
次に、第1の中間搬送部26の構造について説明する。なお、第2の中間搬送部28、第3の中間搬送部30は、第1の中間搬送部26と同様の構成であり、その説明を省略する。
【0062】
第1の中間搬送部26の中間搬送体32は、前段のドラムから記録媒体24を受け取り、回転搬送させた後、後段のドラムに受け渡すためのドラムであり、回転自在に取り付けられている。また、中間搬送体32は、モータ(図1中不図示、図4に符号188にて図示)によって回転するようになっており、後述のモータドライバ176(図4参照)によってその回転が駆動制御される。中間搬送体32は、その外周面に爪形状の保持手段を備え、この保持手段によって記録媒体24の先端を保持できるようになっている。記録媒体24は、保持手段によって先端が保持された状態で中間搬送体32を回転させることによって、記録媒体24を回転搬送される。その際、記録媒体24の記録面が内側、非記録面が外側を向くように回転搬送される。
【0063】
第1の中間搬送部26によって搬送された記録媒体24は、後段のドラム(即ち、描画ドラム70)に受け渡される。その際、中間搬送部26の保持手段と描画部16の保持手段を同期させることによって、記録媒体24の受け渡しが行われる。受け渡された記録媒体24は、描画ドラム70によって保持されて回転搬送される。
【0064】
〔インクジェットヘッドの構造〕
次に、各ヘッド(インクジェットヘッド)の構造について説明する。なお、各色に対応するヘッド72M,72K,72C,72Yの構造は共通しているので、以下、これらを代表して符号150によってヘッドを示すものとする。
【0065】
図2(a)はヘッド150の構造例を示す平面透視図であり、図2(b)はその一部の拡大図であり、図2(c)はヘッド150の他の構造例を示す平面透視図である。また、図3はインク室ユニットの立体的構成を示す断面図(図2(a)、(b)中の3−3線に沿う断面図)である。
【0066】
記録媒体24上に形成されるドットピッチを高密度化するためには、ヘッド150におけるノズルピッチを高密度化する必要がある。本例のヘッド150は、図2(a)、(b)に示すように、インク吐出口であるノズル151と、各ノズル151に対応する圧力室152等からなる複数のインク室ユニット(記録素子単位としての液滴吐出素子)153を千鳥でマトリクス状に(2次元的に)配置させた構造を有し、これにより、ヘッド長手方向(記録媒体24の搬送方向と直交する方向;主走査方向)に沿って並ぶように投影される実質的なノズル間隔(投影ノズルピッチ)の高密度化を達成している。
【0067】
記録媒体24の搬送方向(副走査方向)と略直交する方向(主走査方向)に記録媒体24の全幅に対応する長さにわたり1列以上のノズル列を構成する形態は本例に限定されない。例えば、図2(a)の構成に代えて、図2(c)に示すように、複数のノズル151が2次元に配列された短尺のヘッドブロック150’を千鳥状に配列して繋ぎ合わせることで長尺化することにより、全体として記録媒体24の全幅に対応する長さのノズル列を有するラインヘッドを構成してもよい。また、図示は省略するが、短尺のヘッドを一列に並べてラインヘッドを構成してもよい。
【0068】
各ノズル151に対応して設けられている圧力室152は、その平面形状が概略正方形となっており、対角線上の両隅部の一方にノズル151が設けられ、他方に供給口154が設けられている。なお、圧力室152の形状は、本例に限定されず、平面形状が四角形(菱形、長方形など)、五角形、六角形その他の多角形、円形、楕円形など、多様な形態があり得る。
【0069】
各圧力室152は供給口154を介して共通流路155と連通されている。共通流路155はインク供給源たるインクタンク(不図示)と連通しており、インクタンクから供給されるインクは共通流路155を介して各圧力室152に供給される。
【0070】
圧力室152の一部の面(図3において天面)を構成し、且つ、共通電極と兼用される振動板156には、個別電極157を備えた圧電素子158が接合されている。個別電極157に駆動電圧を印加することによって圧電素子158が変形して圧力室152の容積が変化し、これに伴う圧力変化によりノズル151からインクが吐出される。インク吐出後、圧電素子158が元の状態に戻る際、共通流路155から供給口154を通って新しいインクが圧力室152に再充填される。
【0071】
本例では、ヘッド150に設けられたノズル151から吐出させるインクの吐出力発生手段として圧電素子158を適用したが、圧力室152内にヒータを備え、ヒータの加熱による膜沸騰の圧力を利用してインクを吐出させるサーマル方式を適用することも可能である。
【0072】
かかる構造を有するインク室ユニット153を図2(b)に示す如く、主走査方向に沿う行方向及び主走査方向に対して直交しない一定の角度θを有する斜めの列方向に沿って一定の配列パターンで格子状に多数配列させることにより、本例の高密度ノズルヘッドが実現されている。
【0073】
即ち、主走査方向に対してある角度θの方向に沿ってインク室ユニット153を一定のピッチdで複数配列する構造により、主走査方向に並ぶように投影されたノズルのピッチPはd× cosθとなり、主走査方向については、各ノズル151が一定のピッチPで直線状に配列されたものと等価的に取り扱うことができる。このような構成により、主走査方向に並ぶように投影されるノズル列が1インチ当たり2400個(2400ノズル/インチ)におよぶ高密度のノズル構成を実現することが可能になる。
【0074】
なお、本発明の実施に際してノズルの配置構造は図示の例に限定されず、副走査方向に1列のノズル列を有する配置構造など、様々なノズル配置構造を適用できる。
【0075】
また、本発明の適用範囲はライン型ヘッドによる印字方式に限定されず、記録媒体24の幅方向(主走査方向)の長さに満たない短尺のヘッドを記録媒体24の幅方向に走査させて当該幅方向の印字を行い、1回の幅方向の印字が終わると記録媒体24の幅方向と直交する方向(副走査方向)に所定量だけ移動させて、次の印字領域の記録媒体24の幅方向の印字を行い、この動作を繰り返して記録媒体24の印字領域の全面にわたって印字を行うシリアル方式を適用してもよい。
【0076】
〔制御系の説明〕
図4は、インクジェット記録装置10のシステム構成を示す要部ブロック図である。インクジェット記録装置10は、通信インターフェース170、システムコントローラ172、メモリ174、モータドライバ176、ヒータドライバ178、プリント制御部180、画像バッファメモリ182、ヘッドドライバ184等を備えている。
【0077】
通信インターフェース170は、ホストコンピュータ186から送られてくる画像データを受信するインターフェース部である。通信インターフェース170にはUSB(Universal Serial Bus)、IEEE1394、イーサネット(登録商標)、無線ネットワークなどのシリアルインターフェースやセントロニクスなどのパラレルインターフェースを適用することができる。この部分には、通信を高速化するためのバッファメモリ(不図示)を搭載してもよい。ホストコンピュータ186から送出された画像データは通信インターフェース170を介してインクジェット記録装置10に取り込まれ、一旦メモリ174に記憶される。
【0078】
メモリ174は、通信インターフェース170を介して入力された画像を一旦格納する記憶手段であり、システムコントローラ172を通じてデータの読み書きが行われる。メモリ174は、半導体素子からなるメモリに限らず、ハードディスクなど磁気媒体を用いてもよい。
【0079】
システムコントローラ172は、中央演算処理装置(CPU)及びその周辺回路等から構成され、所定のプログラムに従ってインクジェット記録装置10の全体を制御する制御装置として機能するとともに、各種演算を行う演算装置として機能する。即ち、システムコントローラ172は、通信インターフェース170、メモリ174、モータドライバ176、ヒータドライバ178、メンテナンス制御部179、処理液付与制御部196、乾燥制御部197、定着制御部198等の各部を制御し、ホストコンピュータ186との間の通信制御、メモリ174の読み書き制御等を行うとともに、上記の各部を制御する制御信号を生成する。
【0080】
メモリ174には、システムコントローラ172のCPUが実行するプログラム及び制御に必要な各種データなどが格納されている。なお、メモリ174は、書換不能な記憶手段であってもよいし、EEPROMのような書換可能な記憶手段であってもよい。メモリ174は、画像データの一時記憶領域として利用されるとともに、プログラムの展開領域及びCPUの演算作業領域としても利用される。
【0081】
プログラム格納部190には各種制御プログラムが格納されており、システムコントローラ172の指令に応じて、制御プログラムが読み出され、実行される。プログラム格納部190はROMやEEPROMなどの半導体メモリを用いてもよいし、磁気ディスクなどを用いてもよい。外部インターフェースを備え、メモリカードやPCカードを用いてもよい。もちろん、これらの記録媒体のうち、複数の記録媒体を備えてもよい。なお、プログラム格納部190は動作パラメータ等の記録手段(不図示)と兼用してもよい。
【0082】
センサ185は、装置内の各部に設けられる各種センサ類であり、図1に示したインラインセンサ90の他、温度センサ、位置検出センサ、圧力センサ等が含まれている。センサ185の出力信号はシステムコントローラ172に送られ、システムコントローラ172は該出力信号に基づいて装置各部に対して制御信号を送り、装置各部の制御が行われている。
【0083】
モータドライバ176は、システムコントローラ172からの指示にしたがってモータ188を駆動するドライバである。図4には、装置内の各部に配置されるモータを代表して符号188で図示されている。例えば、図4に示すモータ188には、図1に示す給紙胴52、処理液ドラム54、描画ドラム70、乾燥ドラム76、定着ドラム84、渡し胴94などの回転を駆動するモータ、第1〜第3中間搬送部26、28、30の中間搬送体32の回転を駆動するモータなどが含まれている。
【0084】
ヒータドライバ178は、システムコントローラ172からの指示にしたがって、ヒータ189を駆動するドライバである。図4には、装置内の各部に配置されるヒータを代表して符号189で図示されている。例えば、図4に示すヒータ189には、図1に示す乾燥部18に設けられる溶媒乾燥装置78のハロゲンヒータ80などが含まれている。さらに、図1に示す乾燥ドラム76、定着ドラム84の表面を加熱するヒータも含まれている。
【0085】
メンテナンス制御部179は、システムコントローラ172からの指示にしたがって、メンテナンス部199の各部の動作を制御する。図4に示したメンテナンス部199には、後述の洗浄処理部200(図5参照)が含まれる。また、洗浄処理部200の各部の動作を制御する洗浄処理制御部224(図5参照)は、システムコントローラ172及びメンテナンス制御部179に相当する制御ブロックである。
【0086】
また、処理液付与制御部196、乾燥制御部197、及び定着制御部198は、システムコントローラ172からの指示にしたがって、それぞれ、処理液塗布装置56、溶媒乾燥装置78、及び定着ローラ88の各部の動作を制御する。
【0087】
プリント制御部180は、システムコントローラ172の制御に従い、メモリ174内の画像データから印字制御用の信号を生成するための各種加工、補正などの処理を行う信号処理機能を有し、生成した印字データ(ドットデータ)をヘッドドライバ184に供給する制御部である。プリント制御部180において所要の信号処理が施され、該画像データに基づいて、ヘッドドライバ184を介してヘッド150の吐出液滴量(打滴量)や吐出タイミングの制御が行われる。これにより、所望のドットサイズやドット配置が実現される。
【0088】
また、プリント制御部180には画像バッファメモリ182が備えられており、プリント制御部180における画像データ処理時に画像データやパラメータなどのデータが画像バッファメモリ182に一時的に格納される。また、プリント制御部180とシステムコントローラ172とを統合して1つのプロセッサで構成する態様も可能である。
【0089】
ヘッドドライバ184は、プリント制御部180から与えられる画像データに基づいてヘッド150の圧電素子158に印加される駆動信号を生成するとともに、該駆動信号を圧電素子158に印加して圧電素子158を駆動する駆動回路を含んで構成される。なお、図4に示すヘッドドライバ184には、ヘッド150の駆動条件を一定に保つためのフィードバック制御系を含んでいてもよい。
【0090】
〔洗浄処理部の説明〕
次に、本発明の特徴的部分である洗浄処理部200の構成について説明する。
【0091】
図5は、洗浄処理部200の構成例を示した概略構成図である。なお、同図では、左右方向がヘッド150の長手方向(主走査方向)に、紙面表裏方向がヘッド150の短手方向(幅方向、副走査方向、紙搬送方向)にそれぞれ対応する。
【0092】
図5に示した洗浄処理部200は、主として、洗浄液の液柱(洗浄液のコート層)202を発生させる洗浄液塗布ユニット204と、洗浄液塗布ユニット204に供給するための洗浄液が収容される洗浄液タンク206と、を備えて構成される。
【0093】
洗浄液タンク206は洗浄液塗布ユニット204よりも高い位置に配置され、これらの間に生じる水頭差Hを利用して洗浄液タンク206から洗浄液塗布ユニット204に対する洗浄液の供給が行われる。
【0094】
洗浄液塗布ユニット204は、ヘッド150のノズル面150Aに洗浄液を付与する洗浄液付与手段であり、ヘッド150のノズル面150Aに対向した位置で離間配置される洗浄液噴出面204Aに洗浄液柱202を発生させて、その先端部をヘッド150のノズル面150Aに接触させることによって該ノズル面150Aに洗浄液を塗布する。
【0095】
洗浄液は、ノズル面150Aに付着した固化インクを溶解しうる物性を有する液体であって、洗浄効果のより高い専用の液体が使用される。例えば、DEGmBE(ジエチレングリコールモノブチルエーテル)などの溶剤が含まれている洗浄液が好適に用いられる。
【0096】
なお、図1に示したように複数のヘッド72M,72K,72C,72Yを備える構成の場合には、各ヘッド72M,72K,72C,72Yにそれぞれ対応する複数の洗浄液塗布ユニット204が設けられていてもよいし、それよりも少ない数の洗浄液塗布ユニット204が設けられていてもよい。前者の場合には、各ヘッド72M,72K,72C,72Yに対する洗浄液の塗布をそれぞれ対応する洗浄液塗布ユニット204で並列的に行うことができ、洗浄液の塗布時間の短縮化を図ることができる。一方、後者の場合には、ヘッド数よりも少ない1又は複数の洗浄液塗布ユニット204を順次移動させながら、各ヘッド72M,72K,72C,72Yに対する洗浄液の塗布を逐次行うため、前者に比べて洗浄液の塗布時間は長くなる反面、省スペース化を図ることができ、装置の小型化やコストダウンを実現することができる。
【0097】
また、図示は省略したが、洗浄液塗布ユニット204の鉛直方向下側には、ヘッド150又は洗浄液塗布ユニット204から落下した洗浄液を回収する回収トレイが設けられている。
【0098】
図6は、洗浄液塗布ユニット204の洗浄液噴出面204Aの構成例を示した平面図である。同図に示すように、洗浄液塗布ユニット204の洗浄液噴出面204Aには、ヘッド150の短手方向(副走査方向)の長さに対応する長さにわたって複数の洗浄液ノズル208が配置間隔Pで等間隔に配置されている。各洗浄液ノズル208は、洗浄液タンク206から供給された洗浄液を噴出する洗浄液の噴出口(開口部)を含んで構成される。
【0099】
洗浄液塗布ユニット204の長手方向の長さDは、ヘッド150(図5参照)の短手方向の長さに対応しており、複数の洗浄液ノズル208が配設される長さは、ヘッド150の短手方向の長さと同一又はヘッド150の短手方向の長さを超える長さとなっている。
【0100】
洗浄液塗布ユニット204の短手方向の長さWは、洗浄液ノズル208の配置パターンに応じて決められる。図6には、洗浄液ノズル208が洗浄液塗布ユニット204の長手方向(ヘッド150の短手方向)と略平行方向に沿って配置される態様を例示したが、洗浄液ノズル208の配置方向は、洗浄液塗布ユニット204の長手方向に対して所定の角度をなす斜め方向でもよい。また、洗浄液ノズル208は2列以上にわたって配置されていてもよい。
【0101】
洗浄液ノズル208の配置間隔Pは、隣接する洗浄液ノズル208から噴出した洗浄液が接触して一体化するように決められている。即ち、各洗浄液ノズル208から広がりながら噴出する洗浄液は隣接する洗浄液ノズル208から噴出した洗浄液と一体化し、ヘッド150の短手方向の長さに対応する長さを有する洗浄液ノズル208内部の洗浄液とつながった状態の洗浄液柱202が形成される。洗浄液柱202の先端部がノズル面150Aに接触すると、ノズル面150Aの表面自由エネルギーが作用して洗浄液柱202の先端部の一部が分離してノズル面150Aに付着する。
【0102】
洗浄液塗布ユニット204における各部の寸法例を示すと、洗浄液ノズル208の直径は1mm、洗浄液ノズル208の配置間隔Pは2mm、洗浄液塗布ユニット204の幅Wは4mmである。例えば、16個の洗浄液ノズル(直径φ1mm)を2mmピッチで等間隔に配置すると、洗浄液塗布ユニット204の長手方向の長さDは略50mmとなる。
【0103】
ヘッド150のノズル面150Aと洗浄液塗布ユニット204の洗浄液噴出面204Aとのクリアランスは、少なくとも洗浄液噴出面204Aに発生する洗浄液柱202の先端部がノズル面150Aに接触するように(即ち、洗浄液柱202の最大高さ未満となるように)構成され、その先端部が接触する量(高さ)はノズル面150Aに対する洗浄液の塗布量に応じて決められる。例えば、1〜2mm程度のクリアランスが設定される。
【0104】
図7は、洗浄液塗布ユニット204の洗浄液噴出面204Aに形成される洗浄液柱202の高さ分布を示した説明図である。なお、同図では、水平方向が洗浄液塗布ユニット204の長手方向(ヘッド150の短手方向、副走査方向)に、紙面表裏方向が洗浄液塗布ユニット204の短手方向(ヘッド150の長手方向、主走査方向)にそれぞれ対応する。
【0105】
図6に示したように複数の洗浄液ノズル208が均一なピッチで配置されたノズル配置構造の場合、図7(a)に示すように、洗浄液の流入口210から各洗浄液ノズル208(図6参照)までの流路長(即ち、流路抵抗)の違いによる圧力差から洗浄液柱202の形状に分布が生じる。
【0106】
図7(a)には、洗浄液塗布ユニット204の長手方向における略中央部に流入口210が設けられた構成が示されている。この場合には、洗浄液塗布ユニット204の長手方向(洗浄液ノズル208の配列方向)に関して中央部の洗浄液ノズル208Aよりも端部の洗浄液ノズル208Bは流入口210からの流路長が長くなり(即ち、流路抵抗が大きくなり)、洗浄液柱202の端部の高さhは中央部202Aの高さhよりも小さくなってしまう(h>h)。
【0107】
そこで本実施形態では、図7(a)に示したような流路抵抗の違いによる洗浄液柱202の高さ分布の不均一を解消すべく、洗浄液塗布ユニット204には各洗浄液ノズル208と連通する流路に絞りが設けられている。これにより、図7(b)に示すように、洗浄液塗布ユニット204の長手方向(洗浄液ノズル208の配列方向)にわたって均等な高さhを有する洗浄液柱202が形成される。
【0108】
図8は、洗浄液塗布ユニット204の洗浄液噴出面204Aの近傍を拡大して示した斜視断面図である。同図に示すように、洗浄液塗布ユニット204には、洗浄液噴出面204Aの凹部に略円錐形状を有する洗浄液ノズル208の開口部208Cが形成され、各洗浄液ノズル208の直下にはスリット形状を有する共通の絞り212が設けられている。
【0109】
絞り212は、各洗浄液ノズル208の開口部208Cと対向する位置に洗浄液ノズル208の配列方向に沿って延在するように形成され、洗浄液ノズル208の直径未満の幅を有する細長い溝によって構成されており、各洗浄液ノズル208と流路214は絞り212を介して連通した構造となっている。
【0110】
このように各洗浄液ノズル208と流路214との間に絞り212を設けることによって、絞り212において圧力損失が生じて各洗浄液ノズル208の圧力差が打ち消され、各洗浄液ノズル208には均一の圧力が付与される。これにより、洗浄液柱202の高さ分布の不均一は解消され、ヘッド150のノズル面150Aに対する洗浄液の安定塗布を実現することができる。
【0111】
洗浄液柱202の高さ分布の不均一を解消する他の方法として、複数の洗浄液ノズル208からなるノズル配列における端部の洗浄液ノズル208の配置間隔を中央部の洗浄液ノズル208の配置間隔よりも小さくする態様が考えられる。
【0112】
図9は、洗浄液塗布ユニット204の洗浄液噴出面204Aの他の構成例を示した平面図であり、上述のように洗浄液ノズル208の配置間隔を異ならせた態様を示している。
【0113】
図9に示した洗浄液塗布ユニット204では、洗浄液塗布ユニット204の長手方向((洗浄液ノズル208の配列方向)に関して、両端部の洗浄液ノズル208の配置間隔はPn1、中央部の洗浄液ノズル208の配置間隔はPn2(但し、Pn1<Pn2)となっている。
【0114】
両端部の洗浄液ノズル208の配置間隔Pn1に対する中央部の洗浄液ノズル208の配置間隔Pn2の比(Pn2/Pn1)は、各洗浄液ノズル208に対する流路抵抗が均一となるように決められる。
【0115】
図9に示した態様によれば、洗浄液塗布ユニット204の長手方向(洗浄液ノズル208の配列方向)にわたって洗浄液柱202の高さ分布を均一にすることができる。これによって、ヘッド150のノズル面150Aに対して洗浄液柱202の先端部が接触する量(大きさ)が均一化され、該ノズル面150Aに対する洗浄液の安定塗布が可能となる。
【0116】
なお、図9では、洗浄液ノズル208の配置間隔を2段階に異ならせる態様を一例として示したが、洗浄液ノズル208の配置間隔をさらに多段階に異ならせるようにしてもよい。洗浄液ノズル208の配置間隔をさらに多段階に異ならせる態様によれば、洗浄液柱202の高さ分布をより均一化することができ、ヘッド150のノズル面150Aに対する洗浄液塗布の更なる安定化を図ることができる。
【0117】
本実施形態では、図5に示すように、洗浄液タンク206内に貯留される洗浄液の液面が洗浄液塗布ユニット204の洗浄液噴出面204Aよりも高い位置に配置されており、これらの間に生じる水頭差Hを利用して、洗浄液タンク206から供給流路216を通じて洗浄液塗布ユニット204の各洗浄液ノズル208に洗浄液が供給される。
【0118】
このようにして各洗浄液ノズル208に対して洗浄液の供給が行われると、各洗浄液ノズル208から洗浄液が噴出され、洗浄液噴出面204Aに洗浄液柱202が発生する。そして、洗浄液噴出面204Aに発生した洗浄液柱202の先端部をヘッド150のノズル面150Aに接触させながら、ヘッド150と洗浄液塗布ユニット204をヘッド150の長手方向(主走査方向)に沿って相対的に1回だけ移動させることにより、ヘッド150のノズル面150Aの全面にわたって洗浄液を塗布することができる。
【0119】
ところで、本実施形態のように水頭差Hを利用した洗浄液の供給方式では、洗浄処理部200周辺(特に洗浄液タンク206周辺)の環境温度の変化に応じて洗浄液の温度が変化すると、洗浄液の粘度にも変化が生じるため、洗浄液タンク206から洗浄液塗布ユニット204の各洗浄液ノズル208に供給される洗浄液の流速に変化が生じ、各洗浄液ノズル208から噴出される洗浄液の高さ(即ち、洗浄液柱202の高さ)が増減してしまい、洗浄液塗布が不安定となったり、洗浄液使用量の増加を招いたりする要因となる。
【0120】
そこで本実施形態では、これらの問題を解消すべく、洗浄処理部200周辺の環境温度(好ましくは洗浄液タンク206内の洗浄液の温度)に応じて洗浄液タンク206から洗浄液塗布ユニット204までの流路抵抗を変えることで、環境温度の変化に伴う各洗浄液ノズル208に供給される洗浄液の流速の変動をキャンセルし、洗浄液塗布ユニット204の洗浄液噴出面204Aに発生する洗浄液柱202の高さを安定して維持することができるようにする。以下、これを実現するための具体的な構成について説明する。
【0121】
図5に示した洗浄処理部200は、上述した構成に加えて更に、流路抵抗調整部218、及び温度センサ220を備えて構成される。また、洗浄処理部200の各部を制御する洗浄処理制御部224が設けられている。
【0122】
流路抵抗調整部218は、洗浄液タンク206から洗浄液塗布ユニット204までの流路抵抗を調整する手段であり、洗浄液タンク206と洗浄液塗布ユニット204との間を接続する供給流路216に設けられている。なお、流路抵抗調整部218は、洗浄処理制御部224によって制御される。
【0123】
温度センサ220は、洗浄処理部200周辺の環境温度(好ましくは洗浄液タンク206内の洗浄液の温度)を測定する温度測定手段である。温度センサ220によって測定された温度は洗浄処理制御部224に通知される。
【0124】
洗浄処理制御部224は、温度センサ220で測定された温度に基づいて、洗浄液タンク206と洗浄液塗布ユニット204との間を接続する供給流路216が所定の流路抵抗となるように流路抵抗調整部218を制御する。
【0125】
具体的には、常温(25℃)時における供給流路216の流路抵抗を基準抵抗としたとき、常温よりも温度が高い高温環境の場合には、供給流路216の流路抵抗を基準抵抗よりも大きくすることで、各洗浄液ノズル208に供給される洗浄液の流速を下げて、洗浄液柱202の高さを抑える。一方、常温よりも温度が低い低温環境の場合には、供給流路216の流路抵抗を基準抵抗よりも小さくすることで、各洗浄液ノズル208に供給される洗浄液の流速を上げて、洗浄液柱202の高さを押し上げる。
【0126】
図10は、洗浄処理制御部224の制御の一例を示した説明図である。同図に示した例では、温度センサ220によって測定された温度が常温(25℃)であるときを基準温度としており、このときの洗浄液柱202の高さが1.5mmである場合を示している。
【0127】
このような場合において、例えば、温度センサ220によって測定された温度が常温よりも高温(40℃)になると、洗浄液の粘度は低下するため、洗浄液柱202の高さは常温時の1.5mmから1.7mmに増加する。このようなときには、洗浄処理制御部224は、供給流路216の流路抵抗が基準抵抗よりも大きくなるように流路抵抗調整部218を制御して、各洗浄液ノズル208に供給される洗浄液の流速を下げて、洗浄液柱202の高さを常温時と同じ1.5mmにする。
【0128】
一方、温度センサ220によって測定された結果が常温より低温(5℃)になると、洗浄液の粘度は上昇するため、洗浄液柱202の高さは常温時の1.5mmから1.0mmに減少する。このようなときには、洗浄処理制御部224は、供給流路216の流路抵抗が基準抵抗よりも小さくなるように流路抵抗調整部218を制御して、各洗浄液ノズル208に供給される洗浄液の流速を上げて、洗浄液柱202の高さを常温時と同じ1.5mmにする。
【0129】
なお、温度センサ220によって測定された温度が常温である場合には、洗浄処理制御部224は流路抵抗調整部218を制御せずに、そのままの状態が維持される。
【0130】
次に、流路抵抗調整部218の構成例(第1〜第4の構成例)について説明する。
【0131】
(第1の構成例)
図11は、流路抵抗調整部218の第1の構成例を示した概略構成図である。
【0132】
図11に示すように、第1の構成例としての流路抵抗調整部218には、互いに流路長の異なる高温用流路230H、常温用流路230M、及び低温用流路230Lが供給流路216に並列接続されており、各流路230H、230M、230Lにはそれぞれ高温用電磁弁232H、常温用電磁弁232M、及び低温用電磁弁232Lが配設されている。
【0133】
各流路230H、230M、230Lはそれぞれ専用の流路で構成されていてもよいし、一部の流路が共用された構成となっていてもよい。図11では、高温用流路230Hと常温用流路230Mの一部流路が共用された構成が一例として示されている。
【0134】
各流路230H、230M、230Lの一端が接続される第1接続点B1及び第2接続点B2の間の流路長は長い方から順に、高温用流路230H、常温用流路230M、低温用流路230Lとなっている。
【0135】
高温用流路230Hは、第1接続点B1から第2接続点B2までの流路長が最も長く構成され、他の流路230M、230Lを経由する場合に比べて供給流路216の流路抵抗が大きく、高温環境時に使用される流路である。
【0136】
低温用流路230Lは、第1接続点B1から第2接続点B2までの流路長が最も短く構成され、他の流路230H、230Mを経由する場合に比べて供給流路216の流路抵抗が小さく、低温環境時に使用される流路である。
【0137】
常温用流路230Mは、第1接続点B1から第2接続点B2までの流路長が流路230Hよりも短く、且つ、流路230Lよりも長く(好ましくは流路230Hと流路230Lの流路長の中間値となるように)構成され、供給流路216の流路抵抗は高温用流路230Hを経由する場合に比べて小さく、且つ、低温用流路230Lを経由する場合に比べて大きく(好ましくは各流路230H、230Lを経由した場合の流路抵抗の中間値に設定され)、常温環境時に使用される流路である。
【0138】
各電磁弁232H、232M、232Lは、それぞれ対応する流路(対応流路)を開閉可能な弁手段(流路開閉手段)であり、開状態で対応流路を経由して洗浄液タンク206から洗浄液塗布ユニット204に洗浄液が流れ、閉状態で対応流路を経由した洗浄液の流れが遮断されるようになっている。なお、各電磁弁232H、232M、232Lの開閉は、図5に示した洗浄処理制御部224によって制御される。
【0139】
洗浄処理制御部224は、温度センサ220で測定された温度に基づいて、流路抵抗調整部218の各電磁弁232H、232M、232Lの開閉を制御する。
【0140】
具体的には、温度センサ220で測定された温度が常温である場合(常温環境時)には、各電磁弁232H、232M、232Lのうち、常温用電磁弁232Mのみを開状態にして、洗浄液タンク206から常温用流路230Mを経由して洗浄液塗布ユニット204に洗浄液が供給されるようにする。
【0141】
一方、温度センサ220で測定された温度が常温よりも温度が高い場合(高温環境時)には、各電磁弁232H、232M、232Lのうち、高温用電磁弁232Hのみを開状態にして、洗浄液タンク206から高温用流路230Hを経由して洗浄液塗布ユニット204に洗浄液が供給されるようにする。これにより、供給流路216の流路抵抗は常温時の基準抵抗よりも大きくなり、各洗浄液ノズル208に供給される洗浄液の流速は下がり、洗浄液柱202の高さを抑えることができる。
【0142】
他方、温度センサ220で測定された温度が常温よりも温度が低い場合(低温環境時)には、各電磁弁232H、232M、232Lのうち、低温用電磁弁232Lのみを開状態にして、洗浄液タンク206から低温用流路230Lを経由して洗浄液塗布ユニット204に洗浄液が供給されるようにする。これにより、供給流路216の流路抵抗は常温時の基準抵抗よりも小さくなり、各洗浄液ノズル208に供給される洗浄液の流速は上がり、洗浄液柱202の高さを押し上げることができる。
【0143】
(第2の構成例)
図12は、流路抵抗調整部218の第2の構成例を示した概略構成図である。なお、図12中、図11と共通又は類似の部材には同一の符号を付して説明を省略する。
【0144】
図12に示すように、第2の構成例としての流路抵抗調整部218には、高温用流路234H、常温用流路234M、及び低温用流路234Lが供給流路216に並列接続されており、各流路234H、234M、234Lにはそれぞれ互いにCv値の異なる高温用電磁弁236H、常温用電磁弁236M、及び低温用電磁弁236Lが配設されている。
【0145】
各流路234H、234M、234Lは同一の流路長で構成されていてもよいし、これらの一部又は全部の流路の流路長が互いに異なっていてもよい。後者の場合には、各流路234H、234M、234Lの流路長の差を考慮して、後述の各電磁弁236H、236M、236LのCv値、或いは各流路234H、234M、234Lの太さ(流路断面積)が設定されることが好ましい。
【0146】
各電磁弁236H、236M、236Lは、それぞれ対応する流路を開閉可能な流路開閉手段である。本例では、上述のように各電磁弁236H、236M、236LのCv値は互いに異なっており、Cv値が小さい方から順に、高温用電磁弁236H、常温用電磁弁236M、低温用電磁弁236Lとなっている。電磁弁のCv値は弁の容量を表す数値であり、Cv値が大きくなるに従って流量は大きくなる(即ち、流路抵抗は小さくなる)関係にある。なお、各電磁弁236H、236M、236Lの開閉は、図5に示した洗浄処理制御部224によって制御される。洗浄処理制御部224による制御方法については、第1の構成例と同様であるので、重複を避けるため説明を省略する。
【0147】
(第3の構成例)
図13は、流路抵抗調整部218の第3の構成例を示した概略構成図である。なお、図13中、図11と共通又は類似の部材には同一の符号を付して説明を省略する。
【0148】
図13に示すように、第3の構成例としての流路抵抗調整部218には、高温用流路240H、常温用流路240M、及び低温用流路240Lが供給流路216に並列接続されており、各流路240H、240M、240Lにはそれぞれ高温用電磁弁242H、常温用電磁弁242M、及び低温用電磁弁242Lが配設されている。
【0149】
各流路240H、240M、240Lは同一の流路長で構成されていてもよいし、これらの一部又は全部の流路の流路長が互いに異なっていてもよい。後者の場合には、各流路240H、240M、240Lの流路長の差を考慮して、後述の各絞り244H、244M、244Lの大きさ(流路断面積)が設定されていることが好ましい。
【0150】
また、各電磁弁242H、242M、242LのCv値は同一でもよいし、これらの一部又は全部の電磁弁のCv値が異なっていてもよい。後者の場合には、各電磁弁242H、242M、242LのCv値の差を考慮して、後述の各絞り244H、244M、244Lの大きさ(流路断面積)が設定されていることが好ましい。
【0151】
各流路240H、240M、240Lには、それぞれ流路断面積の異なる高温用絞り244H、常温用絞り244M、及び低温用絞り244Lが設けられている。各絞り244H、244M、244Lの流路断面積は小さい方から順に、高温用絞り244H、常温用絞り244M、及び低温用絞り244Lとなっている。
【0152】
各電磁弁242H、242M、242Lは、それぞれ対応する流路を開閉可能な流路開閉手段である。なお、各電磁弁242H、242M、242Lの開閉は、図5に示した洗浄処理制御部224によって制御される。洗浄処理制御部224による制御方法については、第1の構成例と同様であるので、重複を避けるため説明を省略する。
【0153】
(第4の構成例)
図14は、流路抵抗調整部218の第4の構成例を示した概略構成図である。なお、図14中、図11と共通又は類似の部材には同一の符号を付して説明を省略する。
【0154】
図14に示すように、第4の構成例としての流路抵抗調整部218には、高温用流路250H、常温用流路250M、及び低温用流路250Lが供給流路216に並列接続されており、高温用流路250Hを除く他の流路250M、250Lにはそれぞれ常温用電磁弁252M、及び低温用電磁弁252Lが配設されている。即ち、高温用流路250Hには電磁弁が配設されておらず、温度センサ220で測定された温度に関係なく、高温用流路250Hが常に選択され、少なくとも高温用流路250Hを経由して洗浄液タンク206から洗浄液塗布ユニット204に洗浄液が常に供給されるようになっている。
【0155】
各流路250H、250M、250Lは同一の流路長で構成されていてもよいし、これらの一部又は全部の流路の流路長が互いに異なっていてもよい。後者の場合には、各流路250H、250M、250Lの流路長の差を考慮して、各流路250H、250M、250Lの太さ(流路断面積)が設定されることが好ましい。
【0156】
また、各電磁弁252M、252LのCv値は同一でもよいし、異なっていてもよい。後者の場合には、各電磁弁252M、252LのCv値の差を考慮して、各流路250H、250M、250Lの流路長又は太さが設定されることが好ましい。
【0157】
各電磁弁252M、252Lは、それぞれ対応する流路を開閉可能な流路開閉手段である。なお、各電磁弁242M、242Lの開閉は、図5に示した洗浄処理制御部224によって制御される。
【0158】
洗浄処理制御部224は、温度センサ220で測定された温度に基づいて、流路抵抗調整部218の各電磁弁252M、252Lの開閉を制御する。
【0159】
具体的には、温度センサ220で測定された温度が常温よりも温度が高い場合(高温環境時)には、各電磁弁252M、252Lをいずれも閉状態にして、洗浄液タンク206から高温用流路250Hのみを経由して洗浄液塗布ユニット204に洗浄液が供給されるようにする。
【0160】
また、温度センサ220で測定された温度が常温である場合(常温環境時)には、各電磁弁252M、252Lのうち常温用電磁弁252Mのみを開状態にして、高温用流路250Hと共に常温用流路250Mを経由して洗浄液タンク206から洗浄液塗布ユニット204に洗浄液が供給されるようにし、洗浄液の供給量を高温環境に比べて増加させる。
【0161】
また、温度センサ220で測定された温度が常温よりも温度が低い場合(低温環境時)には、常温用電磁弁252M及び低温用電磁弁252Lを開状態にして、高温用流路250Hと共に常温用流路250M及び低温用流路250Lを経由して洗浄液タンク206から洗浄液塗布ユニット204に洗浄液が供給されるようにし、洗浄液の供給量を常温環境に比べて増加させる。
【0162】
このように第4の構成例では、供給流路216に並列接続された複数の流路250H、250M、250Lのうち、常温用流路250M及び低温用流路250Lにそれぞれ配設された各電磁弁252M、252Lの開閉を組み合わせて制御することにより、洗浄液タンク206から洗浄液塗布ユニット204に対する洗浄液の供給量を高温環境、常温環境、低温環境の順に増加させる。換言すれば、各流路250H、250M、250Lは供給流路216に並列接続されているので、供給流路216の流路抵抗は高温環境、常温環境、低温環境の順に小さくなる。従って、上述した第1〜第3の構成例と同様に、環境温度に応じて供給流路216の流路抵抗を変化させることができ、環境温度の変化に伴う各洗浄液ノズル208に供給される洗浄液の流速の変動を抑えることができ、洗浄液塗布ユニット204の洗浄液噴出面204Aに発生する洗浄液柱202の高さを環境温度の変化に影響されることなく一定にすることができる。
【0163】
以上説明したように本実施形態によれば、洗浄液タンク206から洗浄液塗布ユニット204の各洗浄液ノズル208に対する洗浄液の供給が、ポンプのように脈動を発生させる手段ではなく、洗浄液タンク206と洗浄液塗布ユニット204との間に生じる水頭差Hを利用して行われるので、脈動がなく安定した洗浄液の供給を行うことができる。
【0164】
特に本実施形態では、洗浄処理部200周辺の環境温度(好ましくは洗浄液タンク206内の洗浄液の温度)に応じて供給流路216の流路抵抗を変化させることにより、環境温度の変化に伴う各洗浄液ノズル208に供給される洗浄液の流速の変動を抑えることができ、洗浄液塗布ユニット204の洗浄液噴出面204Aに発生する洗浄液柱202の高さを環境温度の変化に影響されることなく一定にすることができる。これによって、ヘッド150のノズル面150Aに対する洗浄液の安定塗布が可能となる。
【0165】
また、本実施形態では、洗浄液塗布ユニット204には各洗浄液ノズル208に供給される洗浄液の流速を調整する流速調整手段(例えば図8の絞り212や図9のノズル配置構造等)が設けられるので、洗浄液ノズル208の配列方向にわたって洗浄液柱202の高さ分布を均一にすることができる。これにより、ヘッド150のノズル面150Aに対する洗浄液の塗布をムラなく均一に塗布することが可能となる。
【0166】
なお、本実施形態では、環境温度の温度領域を3段階(低温環境、常温環境、及び高温環境)に分けているが、本発明はこれに限らず、環境領域をさらに多段階に分けて、各温度領域毎に供給流路216の流路抵抗を変化させるようにしてもよい。
【0167】
また、本実施形態では、供給流路216に並列接続された複数の流路(並列流路)の中から少なくとも一部の流路を選択するようにした構成例を一例として示したが、本発明はこれに限らず、例えば、流路の開度(流路断面積)を段階的に可変可能な流量制御弁を供給流路216に設けて、環境温度に応じて流量制御弁を制御することによって供給流路216の流路抵抗を変化させるようにしてもよい。また、弾性膜を利用して供給流路216の流路断面積を可変させて流路抵抗を変化させるようにしてもよい。これらの態様によれば、供給流路216の流路抵抗を高精度に制御することが可能となる。
【0168】
一方、上述した第1〜第4の構成例(図11〜図14)によれば、供給流路216に並列接続された複数の流路の中から1又は複数の流路を選択することによって供給流路216の流路抵抗を容易に制御することができ、構成も簡易となり、コスト的な面からも好ましい態様である。
【0169】
また、本実施形態の好ましい態様として、洗浄液タンク206内の洗浄液の温度を調整する手段(洗浄液温調手段)を備えた態様もある。
【0170】
図15は、洗浄液タンク206に洗浄液温調手段を備えた態様を示した概略構成図である。なお、図15中、図5と共通又は類似する部材には同一の符号を付して説明を省略する。図15に示した洗浄処理部200には、洗浄液タンク206内の洗浄液の温度を調整する洗浄液温調手段260が設けられている。洗浄液温調手段260は、洗浄液タンク206内に取り付けられる投げ込み式等のヒータ262と、洗浄液タンク206内の温度を測定する温度センサ264と、温調コントローラ266と、を含んで構成される。
【0171】
温調コントローラ266は、温度センサ264によって測定された洗浄液タンク206内の温度に基づいて、洗浄液タンク206内の洗浄液の温度が一定に保たれるようにヒータ262の温度制御を行う。
【0172】
洗浄液タンク206の外周部(側面及び底面)には断熱材268が好ましく配置される。外気との熱交換を防止することにより、洗浄液タンク206内の洗浄液の温度変化を少なくすることができる。また、供給流路216には断熱チューブが好ましく適用され、供給流路216を流れる洗浄液の温度変化を少なくする効果がある。
【0173】
供給流路216に設けられる流路抵抗調整部218の具体的な構成については、上述した第1〜第4の構成例(図11〜図14)が好ましく適用される。
【0174】
図15に示した態様によれば、洗浄液温調手段260によって洗浄液タンク206内の洗浄液の温度が一定に保たれるように制御が行われるので、各洗浄液ノズル208に供給される洗浄液の流速の変動をより確実に抑えることが可能となり、ヘッド150のノズル面150Aに対する洗浄液塗布を更に安定化することができる。
【0175】
なお、本実施形態では、インクジェット記録装置10に付随して洗浄処理部200が設けられる態様を例示したが、洗浄処理部200をインクジェット記録装置10と分離させて、インクジェットヘッドのヘッド洗浄装置として構成することも可能である。
【0176】
また、画像形成装置の一例として記録媒体にカラーインクを吐出してカラー画像を記録するインクジェット記録装置を例示したが、マスクパターンの形成やプリント配線基板の配線描画など基板に樹脂液等により所定のパターン形状を形成する画像形成装置にも適用可能である。
【0177】
以上、本発明に係るヘッド洗浄装置及び画像記録装置を詳細に説明したが、本発明は、以上の例には限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、各種の改良や変形を行ってもよいのはもちろんである。
【符号の説明】
【0178】
10…インクジェット記録装置、72,72M,72K,72C,72Y…インクジェットヘッド(ヘッド)、150…ヘッド、150A…ノズル面、200…洗浄処理部、202…洗浄液柱、204…洗浄液塗布ユニット、206…洗浄液タンク、208…洗浄液ノズル、210…流入口、212…絞り、214…流路、216…供給流路、218…流路抵抗調整部、220…温度センサ、224…洗浄処理制御部、230H、230M、230L…流路、232H、232M、232L…電磁バルブ、234H、234M、234L…流路、236H、236M、236L…電磁バルブ、236H、236M、236L…電磁バルブ、240H、240M、240L…流路、242H、242M、242L…電磁バルブ、244H、244M、244L…絞り、250H、250M、250L…流路、252M、252L…電磁バルブ、260…洗浄液温調手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の洗浄液ノズルから洗浄液を噴出させて液体吐出ヘッドの吐出面に洗浄液を付与する洗浄液付与手段と、
前記洗浄液付与手段に供給流路を介して接続され、前記洗浄液付与手段との水頭差を利用して前記複数の洗浄液ノズルに洗浄液を供給する洗浄液供給手段と、
前記洗浄液供給手段の周辺部の温度を測定する温度測定手段と、
前記供給流路の流路抵抗を調整する流路抵抗調整手段と、
前記温度測定手段によって測定された温度に基づいて、前記流路抵抗調整手段を制御する制御手段と、
を備えたことを特徴とするヘッド洗浄装置。
【請求項2】
請求項1に記載のヘッド洗浄装置において、
前記流路抵抗調整手段は、前記供給流路に並列接続された複数の並列流路と、前記複数の並列流路の中から少なくとも1つの並列流路を選択する流路選択手段と、を含んで構成され、
前記制御手段は、前記温度測定手段によって測定された温度に基づいて、前記流路選択手段を制御することを特徴とするヘッド洗浄装置。
【請求項3】
請求項2に記載のヘッド洗浄装置において、
前記複数の並列流路のうち、少なくとも一部の並列流路には該並列流路を開閉可能な弁手段が設けられ、
前記制御手段は、前記温度測定手段によって測定された温度に基づいて、前記弁手段の開閉を制御することにより、前記複数の並列流路の中から少なくとも1つの並列流路を選択することを特徴とするヘッド洗浄装置。
【請求項4】
請求項3に記載のヘッド洗浄装置において、
前記複数の並列流路は互いに異なる流路長であることを特徴とするヘッド洗浄装置。
【請求項5】
請求項3に記載のヘッド洗浄装置において、
前記複数の並列流路のうち、一の並列流路に設けられる弁手段のCv値は他の並列流路に設けられる弁手段のCv値とは異なることを特徴とするヘッド洗浄装置。
【請求項6】
請求項3に記載のヘッド洗浄装置において、
前記複数の並列流路には互いに流路断面積が異なる絞り部が設けられていることを特徴とするヘッド洗浄装置。
【請求項7】
請求項3に記載のヘッド洗浄装置において、
前記制御手段は、前記少なくとも一部の並列流路を除く他の並列流路を常に選択すると共に、前記温度測定手段によって測定された温度に基づいて、前記弁手段の開閉を制御することにより、前記少なくとも一部の並列流路の中から並列流路を追加選択することを特徴とするヘッド洗浄装置。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれか1項に記載のヘッド洗浄装置において、
前記洗浄液供給手段内の洗浄液を温調する洗浄液温調手段を更に備えていることを特徴とするヘッド洗浄装置。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれか1項に記載のヘッド洗浄装置において、
前記洗浄液付与手段には、前記複数の洗浄ノズルから噴出される洗浄液の高さが均一となるように前記複数の洗浄ノズルに供給される洗浄液の流速を調整する流速調整手段が設けられていることを特徴とするヘッド洗浄装置。
【請求項10】
請求項9に記載のヘッド洗浄装置において、
前記洗浄液付与手段は、前記複数の洗浄液ノズルが所定の並び方向に沿って設けられると共に前記複数の洗浄液ノズルに連通する流路を有し、
前記流路には、前記洗浄液ノズルの直径未満の幅を有する絞りが設けられることを特徴とするヘッド洗浄装置。
【請求項11】
請求項10に記載のヘッド洗浄装置において、
前記絞りは、前記複数の洗浄液ノズルの並び方向に沿って形成される溝を含むことを特徴とするヘッド洗浄装置。
【請求項12】
請求項9乃至11のいずれか1項に記載のヘッド洗浄装置において、
前記洗浄液付与手段は、洗浄液を導入する流入口を備えるとともに、前記流入口から各洗浄液ノズルまでの流路抵抗が相対的に大きい領域の前記洗浄液ノズル配置間隔は、前記流入口から各洗浄液ノズルまでの流路抵抗が相対的に小さい領域の前記洗浄液ノズル配置間隔未満であることを特徴とするヘッド洗浄装置。
【請求項13】
請求項1乃至12のいずれかに記載のヘッド洗浄装置において、
前記洗浄液付与手段には、前記液体吐出ヘッドの短手方向の長さ以上の長さにわたって前記複数の洗浄液ノズルが設けられ、
前記液体吐出ヘッドと前記洗浄液付与手段とを相対的に移動させる移動手段を備えたことを特徴とするヘッド洗浄装置。
【請求項14】
液体を吐出する複数のノズルを有する液体吐出ヘッドと、
前記液体吐出ヘッドの液体吐出面に洗浄液を付与するヘッド洗浄装置と、
を具備し、
前記ヘッド洗浄装置は、
複数の洗浄液ノズルから洗浄液を噴出させて液体吐出ヘッドの吐出面に洗浄液を付与する洗浄液付与手段と、
前記洗浄液付与手段に供給流路を介して接続され、前記洗浄液付与手段との水頭差を利用して前記複数の洗浄液ノズルに洗浄液を供給する洗浄液供給手段と、
前記洗浄液供給手段の周辺部の温度を測定する温度測定手段と、
前記供給流路の流路抵抗を調整する流路抵抗調整手段と、
前記温度測定手段によって測定された温度に基づいて、前記流路抵抗調整手段を制御する制御手段と、
を備えたことを特徴とする画像記録装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2011−73339(P2011−73339A)
【公開日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−228225(P2009−228225)
【出願日】平成21年9月30日(2009.9.30)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】