説明

ヘパリン結合増殖因子(HBGF)ポリペプチド

【課題】実質的に純粋なヘパリン結合増殖因子ポリペプチド(HBGF)、HBGFをコードする核酸、およびHBGFと結合する抗体を提供する。
【解決手段】マイトジェン活性を有するものとして同定されたヘパリン結合ポリペプチド(HBGFポリペプチド)、およびそのポリペプチドをコードする核酸。HBGFに結合する抗体。HBGFをコードする核酸配列と特異的にハイブリダイズに十分な長さを有する核酸分子を含んでなる核酸プローブ。創傷治癒、組織形成、硬化性もしくは細胞増殖性障害、動脈硬化または繊維症疾患に影響を及ぼすためのHBGF、HBGFをコードする核酸分子、もしくはHBGFをコードする核酸分子に対するアンチセンス配列を使用する方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般的には増殖因子の分野に関し、より特定して述べればヘパリン結合増殖因子(HBGF)に関する。
【背景技術】
【0002】
増殖因子は発生途上の組織中における標的細胞の増殖、分化、および器官形成を刺激するポリペプチドの一群である。増殖因子の作用は、細胞内のシグナル伝達事象を刺激する、特異的な受容体への結合に依存する。増殖因子の例としては血小板由来増殖因子(PDGF)、インスリン様増殖因子(IGF-I, IGF-II)、トランスフォーミング増殖因子β(TGF-β)、トランスフォーミング増殖因子α(TGF-α)、上皮増殖因子(EGF)、酸性および塩基性線維芽細胞増殖因子(aFGF, bFGF)、ならびに結合組織増殖因子(CTGF)を挙げることができ、それらは細胞の増殖を刺激することが知られている。
【0003】
PDGFは陽イオン性で熱安定なタンパク質で循環血液中の血小板のアルファ顆粒に存在し、線維芽細胞および平滑筋細胞などの結合組織細胞に対するマイトジェンおよび走化性剤として知られている。この分子の活性から、PDGFは創傷の正常な治癒過程に関与し、動脈硬化症および線維症状態などの状態に病理学的に関与する主要な因子と考えられている。PDGFはαおよび/またはβ鎖の組み合わせからなる二量体分子である。それらの鎖はヘテロ二量体もしくはホモ二量体を形成し、現在までに単離された組み合わせは全て生物学的活性を有している。
【0004】
組織の再生および修復における各種の増殖因子の役割に関する研究から、PDGF様タンパク質が発見された。これらのタンパク質はPDGFと同様な免疫学的および生物学的活性を有し、PDGFに特異的な抗体によってブロックされうる。
【0005】
ポリペプチド増殖因子およびサイトカインは、母体の子宮と成長過程の胚もしくは胎児との間の増殖シグナル伝達の経路を形成しうる子宮タンパク質の重要な一群として明らかに成りつつある。種々の生物種での研究ではEGF、ヘパリン結合EGF様増殖因子(HB-EGF)、IGF-I、IGF-II、aFGF、bFGF、プレイトロフィン(PTN)、白血病阻止因子、コロニー刺激因子-1(CSF-1)、およびTGF-αが、子宮の増殖-調節分子のうちでこれらの過程に関与するものであることが示唆されている。
【0006】
CTGFはMr 38,000のシステインに富む単量体ペプチドで、結合組織の細胞に対してマイトジェンおよび走化性活性を有する増殖因子である。CTGFは細胞から分泌され、特異的な細胞表面受容体との相互作用によって活性を示す。CTGFはPDGFのαもしくはβ鎖遺伝子とは無関係の遺伝子産物である。CTGFは増殖調節因子ファミリーのメンバーで、そのファミリーにはマウスCTGF(fisp-12およびβIG-M2としても知られている)およびヒトCTGF、Cyr61(マウス)、Cef10(ニワトリ)、ならびにNov(ニワトリ)が含まれる。配列の比較に基づくとこのファミリーのメンバーは全て、(1)結合に重要なインスリン様増殖因子ドメイン、(2)複合体形成に重要なフォン・ヴィルブランド因子ドメイン、(3)おそらくマトリクス分子の結合に重要なトロンボスポンジンタイプIリピート、(4)受容体結合に重要であると仮定されているマトリクスタンパク質中に見出されるC末端モジュール、からなるモジュラー構造を持っていることが示唆される。
【0007】
ヒトCTGF(hCTGF)cDNAの配列は、位置130に開始部位があり、位置1177にTGA終止部位を有する、349個のアミノ酸からなるペプチドをコードする1047個のヌクレオチドからなるオープンリーディングフレームを含んでいる。CTGF cDNAとPDGFのαもしくはβ鎖のどちらかのcDNAとの間には40%の配列相同性しかない。
【0008】
hCTGFのオープンリーディングフレームは39個のシステイン残基を含有するポリペプチドをコードしており、このことは多数の分子内ジスルフィド結合を有するタンパク質であることを示している。そのペプチドはアミノ末端に分泌性タンパク質であることを示す疎水性シグナル配列を有し、アミノ酸配列のアスパラギン残基28および残基225に、2つのN-結合グリコシル化部位がある。CTGFポリペプチドとCEF-10 mRNA転写物によってコードされるポリペプチドとの間には全体として45%の配列相同性があり、その相同性は推定上の選択的スプライシング領域を除去した場合には52%に達する。
【0009】
CTGFはあるとしてもごくわずかのペプチド配列の相同性しかないがその抗原性はPDGFと関連している。抗PDGF抗体は非還元型のPDGFもしくはCTGFに対して高い親和性を有するが、これらのペプチドの還元型(生物活性を欠く)に対しての親和性は10分の1である。このことはPDGFアイソマーとCTGF分子の間には共通の三次構造を有する領域があり、その結果共通の抗原性を有するエピトープがあることを示唆している。
【0010】
CTGFの合成と分泌はTGF-β、BMP-2およびおそらくはTGF-βスーパーファミリーのタンパク質のその他のメンバーによって選択的に誘導される。軟寒天培地中ではTGF-βは正常な線維芽細胞の増殖を刺激することができるが、CTGF単独ではこの線維芽細胞中で増殖刺激性を誘導することはできない。しかし、CTGFの合成とその作用がTGF-βが足場非依存性の線維芽細胞の増殖を刺激するのに必須のものであることが示されている。
【0011】
おそらくCTGFは創傷治癒における増殖因子として機能するのであろう。病理学的には、CTGFは全身性硬化症、癌、線維症症状および動脈硬化などの結合組織細胞の過剰増殖がみられるような状態に関与すると考えられている。
【0012】
CTGFポリペプチドの主な生物活性はそのマイトジェン性、もしくは標的細胞の増殖を刺激する能力である。in vivoでのこのマイトジェン活性の最終的な結果は標的組織の増殖である。また、CTGFは走化性活性をも有しており、それは特定の分子との相互作用の結果として化学的に誘発された細胞の動きである。
【発明の概要】
【0013】
本発明は子宮分泌液中のヘパリン結合増殖因子(HBGF)の発見、精製、および特徴の検討に基づいている。これらの増殖因子ポリペプチドはヘパリンと結合し、完全長のCTGFが示す機能的特徴の多くを示す。
【0014】
第1の態様においては、本発明はマイトジェン活性を有するものとして同定されたヘパリン結合ポリペプチド(HBGFポリペプチド)、およびそのポリペプチドをコードする核酸を提供する。
【0015】
本発明の別の態様においては、HBGFに結合する抗体を提供する。
【0016】
本発明の別の態様においては、HBGFをコードする核酸配列と特異的にハイブリダイズのに十分な長さを有する核酸分子を含んでなる核酸プローブも提供する。
【0017】
本発明の別の態様では、創傷治癒、組織形成、硬化性もしくは細胞増殖性障害、動脈硬化または繊維症疾患に影響を及ぼすためのHBGF、HBGFをコードする核酸分子、もしくはHBGFをコードする核酸分子に対するアンチセンス配列を使用する方法を提供する。
【0018】
下記の図面は本発明の実施形態を説明するものであって、請求項によって包含される本発明の範囲を限定することを意図したものではない。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】図1aは子宮の内腔洗浄物のヘパリンアフィニティークロマトグラフィー画分をDNA合成刺激についてアッセイした結果を示している。図1bはDNA合成のアッセイで陽性を示したサンプル(図1aから)をさらにヘパリンアフィニティークロマトグラフィーに供した結果を示しており、その図では主たる成分のピーク(P1およびP2と表示)はHBGF-0.8ポリペプチドを示す。
【図2】HBGF-0.8ポリペプチドのゲルろ過クロマトグラフィープロフィールを示す。
【図3】HBGF-0.8ポリペプチドの逆相HPLCおよびSDS-PAGE結果を示す。
【図4】未精製子宮内腔洗浄物のウエスタンブロット分析を示す。
【図5】HBGF-0.8ポリペプチドのマイトジェン活性の影響を示す。
【図6】HBGF-0.8ポリペプチドとCTGF一次翻訳産物との間の関連を示す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の方法、装置、組成物、および製剤を記載するに先立ち、本明細書中に記載したような方法、装置、組成物、および製剤はもちろん変更を加えることが出来るものであり、本発明が本明細書中に記載した特定の方法、装置、組成物、および製剤に限定されないことは理解されよう。本明細書中で用いられている用語は特定の実施形態を記載する目的のみで用いられているものであり、本発明の添付の特許請求の範囲のみにより制限されるべき本発明の範囲を制限することを意図していない。
【0021】
本明細書および添付の特許請求の範囲に用いられている場合、単数形の"a", "an", および"the"は、それが用いられる文脈において特に示されない限りはそれらの複数形の指示物をも含むことは特記すべきである。例えば、"an organism"とは1またはそれ以上の異なる生物体を含み、"an amino acid"とは1またはそれ以上のそこで言及しているようなアミノ酸を意味し、"a method"とは当業者であれば既知の、等価の工程および方法をも含むものであること、などである。
【0022】
別に定義しない限りは、本明細書中に用いた技術的および科学的用語は全て、本発明が属している当分野の当業者が通常理解するのと同じ意味を有している。本明細書中に記載した方法および材料と類似もしくは同等のいかなるものも本発明の実施もしくは試験において用いることができるが、好ましい方法および材料についてこれから記載する。上記の刊行物はその開示が本出願の出願日以前であるが故に提示したにすぎない。本明細書中におけるいかなる記載も、本発明が、先発明の基底によりかかる開示に先行する権利がないことを認めたものと解すべきではない。
【0023】
本発明はヘパリン結合増殖因子(HBGFポリペプチドもしくはHBGF)を提供し、それは線維芽細胞および平滑筋細胞に対しin vitroでマイトジェン作用を有する。HBGFは熱及び酸に不安定で、HBGF-0.8-P1、およびHBGF-0.8-P2の2種類の形で存在し、そのそれぞれのヘパリン結合特性は異なり、それぞれがSDS-PAGEで還元条件下で調べたとき約10kDaのMrを有する。HBGFは構造的にも機能的にもCTGFと関連している。HBGF-0.8-P1およびHBGF-0.8-P2の双方ともヘパリンアフィニティーカラムからの溶出には0.8M NaClの存在を必要とする。配列を調べることにより、HBGF-0.8-P1のN末端配列がブタの結合組織増殖因子(CTGF)の一次翻訳産物から予測される349残基のうちの247-262アミノ酸残基に対応しており、HBGF-0.8-P2のN末端配列はCTGFの248-259アミノ酸残基に対応することが明らかとなった。従って、HBGFはCTGFの翻訳産物の、2種の微小不均一性(microheterogenous)で高度にN末端を切断された形に対応し、それらの両者とも生物学的に活性である。HBGF-0.8-P2は、HBGF-0.8-P1のN末端でGlu残基が付加されていることを除いてはHBGF-0.8-P1と同一である。
【0024】
本発明のHBGFはCTGFの高度N末端切断型形態であるが、直接的に2種のタンパク質のN末端を生ぜしめるイントロン/エクソンの境界がない。HBGFはCTGFの提案されているモジュラー成分と整列せず、本発明のタンパク質はCTGFの硫酸化グリココンジュゲート結合モチーフ(トロンボスポンジンタイプIリピートと称され、マトリクス分子の結合に重要であると仮定されている)を全く含まない。マトリクスタンパク質中に認められるCTGFのC末端モジュールは受容体結合に関連しているものと仮定されており、それはHBGFでも完全な形で存在する。CTGFのアミノ酸残基206と214との間の硫酸化グリココンジュゲートに対する結合モチーフとして提案されている部分はHBGFでは欠如しているが、HBGFはヘパリンを結合し、このヘパリン相互作用は機能的に顕著である。本発明の2つのタンパク質HBGF-0.8-P1およびHBGF-0.8-P2はN末端のGlu 1個のみが異なっているにすぎないがヘパリンとの結合性は異なっているので、それらのN末端はヘパリンとの結合に関与している可能性がある。
【0025】
本発明のHBGFはヒトおよびマウスの培養線維芽細胞の両者から分泌される。HBGFの産生は特定の生物種もしくは生物系に限定されるものではない。好ましくは、本発明のHBGFは間葉由来細胞(例えば線維芽細胞、軟骨細胞、破骨細胞、骨芽細胞、および大グリア細胞)に対してマイトジェン性および走化性を示すものであるが、その他の細胞タイプ(例えば筋細胞、結合組織細胞、上皮細胞、および分泌細胞など)もHBGFに対して反応性を有する。HBGFはヒトの組織の正常な発生、発達および修復に非常に重要な役割を果たす。HBGFは子宮洗浄物に存在し、おそらく子宮内膜の発達と再造形に付加的な役割を有しており、妊娠中にはおそらく胚の外膜もしくは胎盤膜の増殖および発達に影響を及ぼし得る。
【0026】
HBGF由来の治療用薬剤は、ある種の臨床状態(例えば創傷治癒)において結合組織が関わる正常もしくは減じられた(impaired)増殖過程の促進に有用なものとなりうる。HBGFが病的状態に関与する際には、これらのタンパク質を用いた治療法を開発して制御されていない組織増殖を制御もしくはモジュレートするために用いることができる。
【0027】
本明細書中で用いられている"実質的に純粋"とは、天然状態ではHBGFとともに存在しているその他のタンパク質、脂質、炭水化物、もしくはその他の物質を実質的に含まないHBGFを意味する。実質的に純粋なHBGFポリペプチドは非還元ポリアクリルアミドゲル上で単一の主要なバンドを生じる。また、HBGFの純度はアミノ末端アミノ酸配列分析によって求めることができる。本明細書中で定義したHBGFはHBGFの生物活性(例えば、当分野では一般的なおよび本明細書中で説明するような標準的なアッセイで求められる線維芽細胞中での生物学的反応の誘発など)が保持されている限りはそのポリペプチドの機能的断片をも含む。HBGFの生物活性を有する、より小さなポリペプチドも本発明に含まれる。さらに例えばHBGFポリペプチドcDNAの部位指向性突然変異誘発によって産生されるより有効性の高いHBGFが含まれる。"組換え"HBGFとは組換えDNA技法によって産生されたHBGFポリペプチドを意味する。すなわち、所望のHBGFポリペプチドをコードする外来性のDNA構築物によって形質転換された細胞が産生するものである。"合成"HBGFは化学合成によって調製されたものである。DNA"コーディング配列"もしくは特定のHBGFポリペプチドをコードする"ヌクレオチド配列"は、適切な制御配列の制御下におかれた場合に転写されHBGFポリペプチドに翻訳されるDNA配列である。
【0028】
本発明はHBGFポリペプチドをコードする核酸を提供する。これらの核酸にはHBGFをコードするDNA、cDNA、およびRNA配列を含む。HBGFポリペプチドの全体もしくは一部をコードする核酸は全て、それらがHBGFの生物活性を有するポリペプチドをコードするものである限りは、本明細書中に含まれるものと理解される。そのような核酸としては天然に存在する、および意図的に操作を加えた核酸の双方を含む。例えば、HBGFポリペプチドを部位指向性突然変異誘発に供することができる。
【0029】
本発明の核酸は遺伝暗号のため縮重している配列を含む。天然のアミノ酸はわずか20種であり、その大部分が2以上のコドンによって特定されている。それ故、HBGFポリペプチドのアミノ酸配列が機能的に変化していない限りは、縮重ヌクレオチド配列は全て本発明に含まれる。HBGFポリペプチドの断片、誘導体もしくは類似体とは、(i)HBGFポリペプチドの1つ以上のアミノ酸残基が保存されたもしくは保存されていないアミノ酸残基(好ましくは保存されたアミノ酸残基)で置換されたものであって、そのような置換されたアミノ酸残基は遺伝暗号によってコードされていたものであってもそうでなくてもよく、もしくは好ましい変異体のうちで保存的アミノ酸置換によって基準となるものから変化させたもの(そのような置換はポリペプチド中のある特定のアミノ酸を類似の特性を有する別のアミノ酸で置換したものである。典型的には保存的置換は、1対1の、脂肪族アミノ酸のAla、Val、Leu、Ileの間で;水酸基を有する残基のSerとThrの間で、酸性の残基のAspとGluの間で、アミドを有する残基のAsnとGlnの間で、塩基性の残基のLysとArgの間で、芳香族残基のPheとTyrの間での置き換えである);(ii) HBGFポリペプチドの1以上のアミノ酸残基が置換基を含むものであるようなもの;(iii)HBGFポリペプチドが別の化合物、例えばHBGFポリペプチドの半減期を延長させる化合物(例えばポリエチレングリコールなど)と融合したもの;または(iv)HBGFポリペプチドに付加的アミノ酸が融合されたようなものであって、例えばリーダーもしくは分泌配列、またはHBGFポリペプチドもしくはプロタンパク質配列の精製のために用いられる配列が融合されたものである。そのような断片、誘導体、および類似体は本明細書中に示す教示によって当業者であれば本発明の範囲内にあるとみなしうるものである。本発明のHBGFおよびそれらをコードする核酸は単離された形態で提供されることが好ましく、均一となるまで精製されたものであることが好ましい。
【0030】
本発明のHBGFポリペプチドをコードするDNA配列は数種類の方法で得ることができる。例えば、DNAはよく知られたハイブリダイゼーション法によって単離することができる。これらとしては:1)ゲノムもしくはcDNAライブラリーへプローブをハイブリダイズさせて共通のヌクレオチド配列を検出すること(例えばCurrent Protocols in Molecular Biology, Ausubel F.M.ら編, Green Publishing Company Assoc. and John Wiley Interscience, New York, 現行版を参照されたい)、および2)発現ライブラリーを抗体でスクリーニングし、共通の構造的特徴を検出することなどがあるがそれらに限定されない。HBGFをコードする核酸(少なくとも12個の連続したヌクレオチドからなる)がプローブとして特に有用であることは当業者に理解されるものである。
【0031】
本明細書中で用いられている「選択的ハイブリダイゼーション」とは、中程度もしくは高度にストリンジェントな生理学的条件下(J. Sambrookら, Molecular Cloning, A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory(現行版)を参照されたい。これは参照によってその全体が本明細書中に組み込まれる。)でハイブリダイゼーションが起こるほど近接しているヌクレオチド配列間の同一性の程度に基づいて関連のないHBGFを関連のあるHBGFと識別するようなハイブリダイゼーションを意味する。ある100bpsの配列の断片が95bpsの長さであれば、もとの100bpsの配列とは95%の同一性を有するということが理解されよう。例えばBLASTNで整列させた場合のように第1の配列と別の配列とを互いに適切に整列させた場合に少なくとも70%、好ましくは少なくとも80%または90%の同一性が第1配列の塩基と別の配列の塩基との間にあった場合には、本明細書中では第1のDNA(RNA)配列は別のDNA(RNA)配列と少なくとも70%および好ましくは少なくとも80%同一であるという言い方をする。
【0032】
本明細書中で用いられている"同一性"という用語は、基準となるポリヌクレオチド配列の塩基と同じ塩基がどのくらいのパーセンテージ含まれているポリヌクレオチド配列であるかを示す。例えば、基準のポリヌクレオチドと少なくとも90%の同一性を有するポリヌクレオチドは、基準となるポリヌクレオチドを構成する塩基と90%は同一であるポリヌクレオチド塩基を有しており(すなわち当分野で一般に行われている標準的な整列および相同性調整法(例えばNetBlastもしくはGRAIL)を用いて配列をお互いに適切に整列させた場合)、そのポリヌクレオチド配列を構成している塩基の10%は異なるものである可能性がある。
【0033】
核酸のハイブリダイゼーションに基づくスクリーニング手法により、適当なプローブが入手できれば、いかなる生物体からでもいかなる遺伝子配列をも単離することが可能である。例えば、オリゴヌクレオチドプローブは、対象とするタンパク質をコードする配列の一部に対応するものであるが、それは化学的に合成することができる。このためにはアミノ酸配列の短いオリゴペプチドの長さのもの(stretch)が既知でなければならない。そのタンパク質をコードするDNA配列は遺伝子コードから推定しうるが、コードの縮重を考慮に入れなければならない。配列が縮重されたものである場合には混合付加反応を行うことができる。これには変性二重鎖DNAの不均一な混合物が含まれる。このようなスクリーニングには、ハイブリダイゼーションを一重鎖DNAもしくは変性二重鎖DNAについて行うことが好ましい。ハイブリダイゼーション法は、対象とするポリペプチドに関係するmRNA配列が極度に低い量しか存在しないような供給源に由来するcDNAクローンの検出には特に有用である。言い換えれば、非特異的結合を避けるようにした選択的ハイブリダイゼーション条件を用いることによって、例えば、標的DNAをそれと完全に相補的な単一プローブと混合してハイブリダイズさせることにより、オートラジオグラフィーで特異的なcDNAクローンを可視化することができるようになる(Wallaceら, Nucleic Acid Research, 9:879, 1981)。また、そのような選択的ハイブリダイゼーションプローブを分析によって検出可能な試薬で標識して該プローブの同定を容易にすることも可能であり、それが好ましい。有用な試薬としては、放射活性、蛍光染料、もしくは検出可能な産物の形成を触媒することのできる酵素が挙げられるがそれらに限定されない。選択的ハイブリダイゼーションプローブはその他の供給源からのDNAの相補的コピーを単離するため、もしくは関連配列についてそのような供給源をスクリーニングするために有用である。
【0034】
ラムダgt11などのcDNA発現ライブラリーを、HBGFポリペプチドに特異的な抗体もしくはHBGFポリペプチドと交差反応するCTGFに対する抗体、もしくはHBGFポリペプチドと交差反応するPDGFに対する抗体を用いて、少なくとも1個のエピトープを有するHBGFを間接的にスクリーニングすることができる。そのような抗体はポリクローナルもしくはモノクローナル由来のどちらでもよく、HBGFポリペプチドcDNAの存在を示す発現産物の検出に用いることができる。
【0035】
HBGFポリペプチドをコードするDNA配列はin vitroで適当な宿主細胞中にDNAを移送することによって発現させることができる。「宿主細胞」は、本発明のベクターで、それは例えばクローニングベクターもしくは発現ベクターであるが、遺伝子工学的に処理された(形質導入、形質転換、もしくはトランスフェクトされた)細胞である。ベクターは例えばプラスミド、ウイルス粒子、ファージその他の形態にすることができる。処理された宿主細胞は、プロモーターの活性化、形質転換体の選択、もしくは本発明の遺伝子の増幅に適切なものとなるように修飾された従来の栄養培地中で培養することができる。温度、pHなどの培養条件は、従来その宿主細胞を用いて発現のために選択されたものであり、当業者には自明のものであろう。また、この用語は当該宿主細胞の後代のものをも含むものである。複製の過程で変異が起こる可能性があるので、全ての後代の細胞が親の細胞と同じものとはいえないことは理解されるところである。しかし、そのような後代の細胞は「宿主細胞」という用語が用いられる際には含まれる。構築物の宿主細胞中への導入は、リン酸カルシウムによるトランスフェクション、DEAE-デキストラン介在トランスフェクション、エレクトロポレーション、もしくは当分野で用いられるその他のいかなる方法によっても行うことができる(Davis, L.ら, Basic Methods in Molecular Biology(現行版))。
【0036】
本発明の核酸は遺伝子組換え技法によるHBGFの産生に用いることができる。例えば、ポリヌクレオチドをHBGFポリペプチド発現用の各種の発現ベクターのいずれかに含むことができる。そのようなベクターとしては染色体性、非染色体性、および合成DNA配列があり、例えば、SV40誘導体;細菌のプラスミド;ファージDNA;バキュロウイルス;酵母のプラスミド;ファージDNA、ワクシニア、アデノウイルス、鶏痘(fowl pox)ウイルスおよび仮性狂犬病などのウイルスDNAとプラスミドとの組み合わせから由来するベクターがあげられる。しかし、その他のベクターも、それが宿主中で複製可能で生存できるものであるならば用いることができる。
【0037】
適切なDNA配列は種々の方法でベクター中に挿入することができる。通常はDNA配列は適切な制限エンドヌクレアーゼ切断部位に、当分野では既知の方法で挿入される。そのような方法およびその他の方法は当業者にとっては本発明の範囲内にあるものと見なされる。HBGFをコードするDNA配列は原核細胞か真核細胞のどちらかでin vivoで発現させることができる。真核細胞性のコーディング配列を有するDNA配列を原核細胞中で発現させる方法は当分野ではよく知られている。宿主としては微生物、酵母、および哺乳類の細胞が挙げられる。
【0038】
宿主中で発現および複製を行いうる、生物学的に機能を有するウイルス性およびプラスミドDNAベクターは当分野では既知である。そのようなベクターは本発明のDNA配列を取り込むために用いられる。一般的には、挿入された真核細胞性遺伝子配列の効率的な転写を容易にするようなプロモーター配列を含んでいる発現ベクターが宿主との関連で用いられる。発現ベクターは典型的には複製開始点、プロモーター、およびターミネーターを、形質転換細胞の表現型での選択を可能とするような特異的な遺伝子とともに含んでいる。
【0039】
当分野では既知の細菌、酵母、および哺乳類の発現系等の発現ベクターに加え、バキュロウイルスベクターも用いることができる。この無脊椎動物のウイルス発現ベクターを外来遺伝子の発現に用いることの利点の1つは、そのベクターが組換えタンパク質を高レベルで発現でき、そのタンパク質の抗原性および機能がそのタンパク質の天然のものと同様であることである。バキュロウイルスベクターおよびそのベクターと組み合わせて用いられる適切な昆虫宿主細胞は当業者には既知である。本発明のポリペプチドを発現させた宿主細胞の単離と精製は、例えば調製用クロマトグラフィーによる分離、およびモノクローナルもしくはポリクローナル抗体の使用などのような免疫学的分離法などの従来法で行うことができる。
【0040】
本発明はHBGFポリペプチドもしくはその断片と特異的に反応する抗体を提供する。このポリペプチドはPDGFもしくはCTGFに対する抗体と交差反応することがあるが、HBGFに対する抗体の全てがPDGFとも反応するわけではなく、またCTGFに対する抗体の全てがHBGFに対して反応するわけではない。異なるエピトープ特異性を有するプールされたモノクローナル抗体から本質的になる抗体、および単一成分の(distinct)モノクローナル抗体調製品が提供される。モノクローナル抗体はそのタンパク質の断片を含有する抗原から当分野ではよく知られた方法によって作成される(Kohlerら, Nature 256:495, 1975; Current Protocols in Molecular Biology, Ausubelら編, 1989)。当業者には一般的である方法を用いて製した本発明のHBGFに対するポリクローナル抗体も含まれる(HarlowとLane, 1988, Antibodies, A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory, New York, 現行版を参照されたい)。HBGFに特異的なモノクローナル抗体は、例えばHBGFポリペプチドに反応するがPDGFとは反応しないようなハイブリドーマ培養上清をスクリーニングすることによって選択することができる。本発明にしたがって作成されたHBGFに対する抗体は、ポリペプチドの動物への直接注射もしくはそのポリペプチドの動物、好ましくはヒト以外の動物への投与によって得られる。そのようにして得られた抗体はポリペプチド自体と結合する。このようなやり方で、そのポリペプチドの断片のみをコードする配列でも、もとのポリペプチドと結合する抗体を作成するために用いることができる。そのような抗体はそのポリペプチドを発現している細胞からのポリペプチドの単離に用いることができる。
【0041】
モノクローナル抗体の調製には連続細胞系培養によって産生される抗体を提供するようないかなる技法も用いることができる。例としては、ハイブリドーマ法(Kohlerら, Nature 256:495,1975)、トリオーマ法、ヒトB細胞ハイブリドーマ法(Kozborら, 1983, Immunology Today 4:72)、およびヒトモノクローナル抗体産生のためのEBV-ハイブリドーマ法がある(Coleら, 1985, Monoclonal Antibodies and Cancer Therapy, Alan R. Liss, Inc., pp.77-96)。
【0042】
単鎖抗体の産生のためのものとして記載されている技法(米国特許第4,946,778号)を本発明の免疫原性ペプチド産物に対する単鎖抗体を産生させるために適用することができる。さらに本発明の境界内に含まれるものとしては、HBGFポリペプチドもしくはその断片に対する「ヒト」および「ヒト化」抗体の双方を診断用および治療に応用するための産生および使用法がある。ヒト化抗体は、親の抗体(すなわち典型的にはマウス起源の)と同じ結合特異性を有するが、ヒトの特徴がより強く現れている抗体もしくは抗体断片である。ヒト化抗体は鎖のシャフリングもしくはファージディスプレイ法で得られる。例えば、HBGFに特異的な非ヒト抗体の重鎖もしくは軽鎖可変ドメインを含むポリペプチドをヒトの相補的(重または軽)鎖の可変ドメインのレパートリーと組み合わせる。対象の抗原に特異的なハイブリッドのペアを選択する。次いで選択されたペアからのヒト鎖を、ヒト相補的可変ドメイン(重もしくは軽)のレパートリーと組み合わせ、ヒト化抗体ポリペプチド二量体を抗原に対する結合特異性で選択する。そのような技法は米国特許第5,565,332号に記載されており、また、市販もされている(Scotgene, スコットランドもしくはOxford Molecular, Palo Alto, 米国カリフォルニア州)。さらに、トランスジェニックマウスでの「ヒト」抗体(すなわち、ヒト定常領域配列を有するde nove抗体)の産生のための技法として記載されている技法(米国特許第5,545,806号および米国特許第5,569,825号)は、「ヒト」HBGF抗体もしくは抗体断片の産生に適用することができ、またそれは企業との契約で行うこともできる(GenPharm International Inc., Mountain View, 米国カリフォルニア州)。
【0043】
本発明のポリペプチドに対して作成された抗体は他の生物体およびサンプルからの類似のHBGFポリペプチドのスクリーニング用に用いることができる。そのようなスクリーニング技法は当分野では既知である。
【0044】
本発明は、対象、例えばヒトにおいて、精製HBGFポリペプチド、PDGF、PDGF関連分子もしくはそれらを組み合わせたものを含有する組成物の治療的有効量を創傷に適用することによって創傷治癒を促進させる方法を提供する。本発明のHBGFポリペプチドは、皮膚創傷の治癒が損なわれている場合、もしくは正常な治癒メカニズムの増大が必要とされる場合には、治療上の価値がある。HBGFポリペプチド、もしくはその機能的断片は、PDGFおよびその他の創傷治癒に関連することが知られている増殖因子よりも安定で、プロテアーゼによる分解をより受けにくい。さらに、おそらくHBGFポリペプチドはCTGFより高い特異的生物活性を有している。
【0045】
HBGFポリペプチドは線維芽細胞から由来するが、その細胞は創傷部位に存在する。従って、HBGFポリペプチドの産生を刺激する薬剤を創傷治癒促進に用いられる組成中に添加することができる。その薬剤はインスリン様増殖因子(IGF-I)、血小板由来増殖因子(PGF)、上皮増殖因子(EGF)、トランスフォーミング増殖因子β(TGF-β)、塩基性線維芽細胞増殖因子(bFGF)などの増殖因子のファミリーのメンバーであることが好ましい。その薬剤がトランスフォーミング増殖因子β(TGF-β)もしくはその他のTGF-βスーパーファミリーのメンバーであることがより好ましい。さらにHBGFの生物学的効果は、約1μg/mlから約100μg/mlの濃度範囲のヘパリンの添加によって変調させることができる。本発明のHBGF組成物は、部分的には結合組織の増殖を促進することによって創傷治癒を補助する。HBGF組成物は、製薬上許容される担体物質のいかなるもの、例えば不活性ゲルもしくは液体中に、本発明の精製HBGFポリペプチドを組み合わせることによって調製される。HBGF組成物中にはヘパリンもしくはTGF-βなどの増殖因子などの他の変調用組成物を含有させることができる。
【0046】
「細胞増殖性障害」という用語は異常な細胞数によって特徴づけられる状態を意味する。その状態としては肥大性(細胞の連続的な増幅がある組織内でのある細胞集団の増殖過剰を起こす)、および萎縮性(ある組織内での細胞の欠如もしくは欠乏)の細胞増殖または体内のあるエリア中への細胞の過剰な流入もしくは移動が挙げられる。その細胞の集団は、必ずしも形質転換されたもの、腫瘍原性のものもしくは悪性の細胞であるとは限らず、正常な細胞も含まれる。例えば、HBGFは動脈壁の血管内膜の増殖性病変を誘発して動脈硬化をもたらす病理学的状態に関与している可能性がある。その状態への危険因子の低減、例えば血圧を下げたり、もしくは高いコレステロールレベルを下げることを試みるかわりに、本発明のHBGFポリペプチド阻害剤もしくはアンタゴニストの投与は動脈硬化に関係するin vivoでのHBGF活性を妨害する上で有用である。また、HBGFポリペプチドアンタゴニストは、強皮症、関節炎、および肝硬変を含む各種の線維症状態などの結合組織の過剰増殖に関係するその他の疾患の治療に有用である。
【0047】
HBGFによって変調を来すこれらの疾病、障害、もしくは軽度の障害としては、外傷、もしくは関節炎、骨粗鬆症およびその他の骨格障害、ならびに火傷などの状態に引き続く組織修復がある。これらの問題点は線維芽細胞、幹細胞、軟骨細胞、骨芽細胞、もしくは創傷部位の線維芽細胞の増殖応答が低いためのものであるので、これらの細胞の増殖を刺激もしくは誘発する生物学的に活性のある薬剤の添加は有益である。本明細書中で用いられている「誘発する」もしくは「誘発」という用語は、本明細書中で述べているような組織の形成、修復過程、もしくは発達に必要な細胞性機作もしくはプロセスの活性化、刺激、増強、開始および/または維持を意味する。
【0048】
本発明はさらに女性の生殖路(reproductive tract)機能を変調する方法を提供する。増殖因子は、子宮内膜細胞成分の周期的有糸分裂および分化、子宮内膜の脱落時におけるマクロファージの漸増、子宮内膜-トロホブラスト相互作用、初期の妊娠維持、および子宮内膜機能再生に役割を果たしていることが示されている。本明細書中で用いられている「変調する」という用語は、現在の状態もしくは生物学的状況に変化を与えることを意味する。本明細書中で定義した、状態の変調には現在の状態に影響を及ぼす決定因子の増加もしくは減少の双方を包含する。例えば、HBGFの投与は増殖の促進が望ましい状態において子宮機能を増大させるために用いうる。例えば胎盤膜の増殖および発達もしくは子宮内膜の増殖を促進するためにHBGFで子宮を治療することができる。さらに、子宮内膜-トロホブラスト相互作用を容易にすることによって妊娠の促進および維持のためにHBGFでの治療を行うことができる。また別に、正常な生物学的状態に比較するとHBGFのレベルが過剰であるような子宮内膜増殖過剰状態を変調させるためにHBGFアンタゴニストが投与される。
【0049】
また、本発明は、細胞増殖性障害によって特徴づけられる状態を、HBGFに反応性の薬剤の治療的有効量を用いて治療する方法をも開示する。「治療」という用語は反応性薬剤の投与を受ける対象における状態の有害な影響を低減させることを意味する。その状態が細胞の過剰増殖によって起こるものである場合には、HBGFアンタゴニストは細胞上のHBGF特異的受容体へ結合しうる増殖因子の量を低減させるので治療上有効である。そのようなアンタゴニストはHBGF特異的抗体もしくはその機能的断片(例えばFab、F(ab))である。その治療にはその状態の部位へのHBGFポリペプチドのアンタゴニストの接触もしくは送達が必要である。細胞増殖性障害が細胞の増殖量の減少によって起こるものである場合は、増殖を刺激するHBGF反応性薬剤をその状態の部位と接触させるかもしくはそこへ送達する。例えば、TGF-β(もしくはTGF-βスーパーファミリーの別のメンバー)はそのような反応性薬剤になりうる。当業者にはその他の生物学的薬剤は既知のものであろう。
【0050】
細胞増殖性障害がHBGFの発現に関係する場合には、HBGFのmRNAへの転写もしくはHBGFmRNAのタンパク質への翻訳を直接的に妨害する治療的アプローチが可能である。例えば、HBGFmRNAと結合するもしくはそれを開裂させるアンチセンス核酸もしくはリボザイムもまた本発明の範囲内に含まれる。アンチセンスRNAもしくはDNA分子は標的遺伝子のRNAメッセージと特異的に結合し、その遺伝子のタンパク質産物の発現を妨害する。アンチセンスはmRNAと結合してその細胞では翻訳されない二本鎖分子を形成する。約15-25個のヌクレオチドのアンチセンスオリゴヌクレオチドは容易に合成でき、アンチセンスRNA分子とほぼ同様の阻害効力を有するので好ましい。さらに、化学的反応基、例えば鉄をリンクさせたエチレンジアミン四酢酸(EDTA-Fc)をアンチセンスオリゴヌクレオチドに結合させ、RNAの開裂をハイブリダイゼーションの部位で行わせることができる。遺伝子のin vivoでの翻訳を阻害するこれらおよびその他のアンチセンス法は当分野ではよく知られている(例えば De Mesmaekerら, 1995 Backbone modifications in oligonucleotides and peptide nucleic acid systems, Curr. Opin. Struct. Biol. 5:343-355; Gewirtz, A.M.ら, 1996b, Facilitating delivery of antisense oligodeoxynucleotides:Helping antisense deliver on its promise; Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 93:3161-3163; Stein, C.A., A discussion of G-tetrads 1996, Exploiting the potential of antisense: beyond phosphorothioate oligodeoxynucleotides, Chem. and Biol. 3:319-323)。
【0051】
本発明の範囲内に含まれる別の治療的アプローチとしては、本発明のHBGFを含む試薬もしくは組成物の、線維性、硬化性、もしくは細胞増殖性障害、動脈硬化の患者に対する従来の投与法(例えば局所注射、吸入、もしくは全身投与などだがそれらに限定されない)による直接投与である。上述のとおり、HBGFの投与は創傷治癒を促進し、組織の修復もしくは再生、または子宮内膜の増殖と発達を誘発することができる。また、試薬、製剤、もしくは組成物も、HBGFをコードする遺伝子を送達、ターゲティング、および発現する方法として本明細書に記載の方法もしくは当分野で既知のいずれかの方法によって、特異的細胞もしくは受容体を標的とすることができる。線維性障害、硬化性障害、細胞増殖性障害、動脈硬化または創傷治癒を変調させる試薬、製剤、もしくは組成物の実際の投与量は、生物体の大きさおよび健康状態を含む多数の因子によって左右される。しかし当業者であれば下記の教材で述べられている方法および技法を臨床投与量決定のため(Spilker B., Guide to Clinical Studies and Developing Protocols, Raven Press Books, Ltd., New York, 1984, pp.7-13, 54-60; Spilker B., Guide to Clinical Trials, Raven Press, Ltd., New York, 1991, pp.93-101; Craig C.,とR.Stitzel編, Modern Pharmacology, 第2版, Little, Brown and Co., Boston, 1986, pp.127-33; T. Speight編, Avery's Drug Treatment: Principles and Practice of Clinical Pharmacology and Therapeutics, 第3版, WilliamsとWilkins, Baltimore, 1987, pp.50-56; R.Tallarida, R.Raffa,およびP. McGonigle, Principles in General Pharmacology, Springer-Verlag, New York, 1988, pp.18-20)、または使用に適切な投与量を決定するために用いることができるが、通常は最終濃度でおおよそ0.5μg/mlおよび500μg/mlの間の範囲を製薬上許容しうるいずれかの担体中に含有させて成人1日あたりの投与量とする。
【0052】
また本発明は対象中のHBGFの異常なレベルでの存在を検出する方法も提供し、それは異常なHBGFレベルに関係する状態または病理の存在を決定するために診断的にも用いることができる。そのような状態としては、細胞増殖障害、強皮症、関節炎、肝硬変、および子宮線維症を含む各種の線維症状態が含まれるがそれらに限定されない。例えばHBGFを含有していることが考えられるサンプルを対象から得て、HBGFポリペプチドのレベルを測定し、正常組織サンプル中のHBGFポリペプチドのレベルと比較する。HBGFのレベルは、例えば抗HBGFポリペプチド抗体を用いたイムノアッセイで測定することができる。そのようなアッセイ法のその他の変法としてはラジオイムノアッセイ(RIA)、ELISAおよび免疫蛍光法がある。また別に、同じ目的でHBGFポリペプチドmRNAの検出および定量に核酸プローブを用いることができる。
【実施例】
【0053】
下記の実施例は当業者に対して本発明のHBGFの作成法および使用法の完全な開示および説明を提供するために示したものであり、発明者が本発明として考えている範囲をこれらの実施例が制限することを意図しておらず、またそのようにみなされるべきでもない。本明細書中に用いた数値(例えば量、時間、温度など)に関してその正確性を確保する努力は行ってきたが、いくらかの実験誤差および偏差は斟酌されるべきである。特に記さない限りは、部は重量部、分子量は重量平均分子量、温度は摂氏温度、および圧力は大気圧もしくはそれに近いものである。
【0054】
(実施例1)
HBGFポリペプチドの特徴付け及び精製
月齢が約8ヶ月以下の屠殺場のブタからランダムに子宮を集めた。各々の子宮角を冷(4℃)リン酸緩衝生理食塩水(PBS)でフラッシュし、子宮管腔(luminal)成分を集めた。120頭までの動物から得られたULFの4リットルプールに対して増殖因子の精製を行った。子宮管腔フラッシュ液(ULF)を13,500×gで30分間、4℃で遠心分離することによって清澄化し、その上清をガラスウールに通過させた。
【0055】
清澄化したULF上清の4リットルサンプルを、予めPBS、0.2M NaClで平衡化したBioRex70カチオン交換カラム(5×6cm;Bio-Rad)に4℃でのせた。サンプルをのせた後、カラムを500mlのPBS、0.2M NaClで洗浄し、PBS中0.2-2M NaClの勾配500mlを用いて結合したタンパク質を溶離した。流速は全体を通して3.5ml/分であり、カラムをNaCl勾配で処理している間に10mlの画分を集めた。Balb/c 3T3線維芽細胞に対するマイトジェン活性を示す画分をさらに用いるために選択した。続くクロマトグラフィー工程は全て室温で行った。
【0056】
ULFのイオン交換クロマトグラフは、0.3-0.6M NaClによってBioRex70カラムから溶離されたBalb/c 3T3細胞に対するカチオン性増殖因子活性の存在を示した。ヘパリンアフィニティークロマトグラフィーでは、EconoPacヘパリンカラムからの溶離に0.8M NaClを要するさらなる未同定のHBGFポリペプチドの存在が明らかになった。カラムから回収された生物活性の量の観点からは、溶離に0.8M NaClを要する画分が3T3細胞に対する主要カチオン性ヘパリン結合増殖因子であるように思われた。ヘパリンアフィニティーカラムからのHBGFポリペプチドの溶出位置はPDGF、HB-EGF、PTN、aFGF、bFGF、及びアンフィレグリンとは明らかに異なっていた。HBGFマイトジェン活性を熱(100℃で2分間もしくは56℃で30分間)又は酸(pH2.0で2分間)に晒すことにより破壊した。
【0057】
HBGFが約10,000ダルトンの見かけの相対分子量を有していることを示すのにゲル濾過クロマトグラフィーを用いた。これらの研究のため、30頭の動物に由来するULFのEconoPacヘパリンアフィニティーFPLCからの0.8M NaCl溶離液を含む画分0.5mlを、0.5ml/分で、SWガードカラム(4cm×8mm、10μm;TosoHaas)を備えるTSK G2000 SW FPLCカラム(30cm×8mm、粒径10μm、M、500-100,000分画範囲;TosoHaas)にかけた。タンパク質は0.3M NaClを含むPBSで溶離した。200μlの画分を集め、3T3細胞におけるDNA合成を刺激するそれらの能力について試験した。カラムの較正は、EGF(6,000MW)、ラクトアルブミン(14,200MW)、トリプシン阻害剤(20,100MW)、及び卵白アルブミン(45,000MW)を用いて行った。画分を、上述の通りに、40μl/mlで3T3細胞におけるDNA合成を刺激するそれらの能力について試験した。
【0058】
HBGF活性を含む画分(カチオン交換クロマトグラフィー及びヘパリンアフィニティークロマトグラフィーの後に集められた画分16-19)をプールして希釈し、TSKヘパリン5PWカラムを用いるヘパリンアフィニティーFPLCの第2サイクルに処した。この第2ヘパリンアフィニティー精製工程を行うため、EconoPacヘパリン精製工程からの0.8M NaCl溶出液を含む生物学的に活性なHBGF画分をプールし、20mMトリス-HCl(pH7.4)で3倍に希釈して、0.2μmフィルターを通過させることにより清澄化した。このサンプルを2ml/分でTSKヘパリン5PWカラム(0.8×7.5cm;TosoHaas、Philadelphia、PA)にかけ、それを、バッファからCHAPSを除き、かつ0.5mlの画分を集めたことを除いて、上述の通りに洗浄及び溶出した。0.8M NaClによって溶離され、かつ3T3細胞のマイトジェン活性を示すタンパク質を含む画分を、画分31-34(ピーク1)並びに画分35及び36(ピーク2)からなる2つのプールに分割した。HBGFポリペプチドを再度0.8M NaClで溶離したが(画分31-36)、異なるヘパリン結合特性を有するマイトジェン活性の2つのピークとして分離された。これらの活性ピークを、画分31-34についてはHGBF-0.8-P1、画分35及び36についてはHGBF-0.8-P2と命名した。
【0059】
HBGF-0.8-P1及び-P2を10%アセトニトリル、0.1%トリフルオロ酢酸に合わせて調整し、個別にC8逆相HPLCにかけた。逆相HPLCは、Hitachi HPLCシステム(Hitachi Instruments Inc.、Danbury CT)で、10%(v/v)アセトニトリル及び0.1%(v/v)トリフルオロ酢酸を含む水で平衡化したC8カラム(0.46×25cm、粒径5μm;Rainin Instrument Co.、Woburn、MA)を用いて行った。TSKヘパリン精製工程からのピーク1及び2を含むプールした画分を、10%アセトニトリル、0.1%トリフルオロ酢酸を含むように個別に調整し、0.2μmフィルターを通過させることにより清澄化した。結合したタンパク質の溶離の条件は、サンプル注入後0から10分が10%アセトニトリル、10分から146分が10-90%であった。流速は全体を通して1ml/分であり、そのクロマトグラム(A214)を記載される通りに記録した(Bray及びBrigstock, (1994) Amer. Lab. 26, 38)。溶出液を0.5mlの画分として50μlの125mM NaOHを含有するシリコン処理チューブに集め、トリフルオロ酢酸を直ちに中和した。選択された画分の80μlアリコートをSpeedVac濃縮器(Savant Instruments、Farmingdale、NY)において乾燥するまで蒸発させ、25μlの10mMトリス-HCl(pH7.4)で戻した。この濃縮物のうちの10μlをそれらの3T3細胞DNA合成の刺激について検定し、10μlを分析用SDS-PAGEに用いた。第2工程C8 HPLC精製については、第1 HPLC工程からの2つの活性画分をプールし(合計容積1ml)、水、0.1%トリフルオロ酢酸で5倍希釈して、本明細書中に記載されるものと同じクロマトグラフィー溶出条件に処した。HGBF-0.8-P1及び-P2の溶出位置を、蒸発させてPBSで戻した後の、カラム溶出液を含む画分のアリコートの生物検定により決定したところ、このHPLC工程の過程でpH=2に長期間(約30ないし40分)晒されていたにもかかわらず、検出及びさらなる特徴付けを可能にするのに十分な活性が精製HGBFサンプル中に存在することが示された。
【0060】
HPLCに続いて、HBGF-0.8-P1又は-P2のいずれかを含む画分の銀染色SDS-PAGE分析を、記載される通りに(Kim, G.Y.ら, (1995) Biol.Reprod. 52, 561-571)、還元条件下で、18%ポリアクリルアミドミニゲルを用いて行った。続いて、タンパク質の銀染色を記載される通りに行った(Wray, W.ら, (1981) Anal Biochem. 118, 197-203)。SDS-PAGEは、(i)HPLC精製増殖因子、(ii)8μlの非分画ULF、又は(iii)10mMトリス-HCl、0.5M NaCl(pH7.4)の存在下でヘパリン−セファロースの20μlベッドを通過させ、続いてSDS-PAGEサンプルバッファでそのヘパリンビーズを抽出した後のULF 100μl、に対して行った。次に、ゲルを記載される通りに調製した(Kim, G.Y.ら, (1995) Biol.Reprod. 52, 561-571)。続く分析により、Balb/c 3T3マイトジェン活性と共に精製される単一の10kDaタンパク質の存在が明らかになった。マイトジェン活性のレベルはこの10kDaタンパク質のレベルと直接的に相関し、これは銀染色によって示されるように完全に純粋であった。18の個別のHPLC精製から得られた結果により、この10kDaタンパク質(1種類もしくは複数種類)とHBGF-0.8-P1及び-P2のマイトジェン活性との直接の因果関係が確認された。
【0061】
個々の精製工程の分析により、342mgの粗ULFタンパク質から0.5-1.1μgのHBGF-0.8-P1又は-P2が各々精製され、出発物質1リットル中の66,666単位と比較してHBGF-0.8-P1又はP2について10-22活性単位が第1 HPLC工程の後に回収されることが示された(表1)。HBGFペプチド-0.8活性の見かけ上の低い回収率が(i)粗製及び部分精製サンプル(2、8、9、12、25-27)の3T3細胞マイトジェン活性全体に対するIGF、EGF、PDGF、bFGF、HB-EGF、及びPTNの主要な寄与並びに(ii)HPLC分離工程(1つもしくは複数)の間のHBGFペプチド-0.8マイトジェン活性の酸不安定性によるものであることに注意すべきである。より大きい比活性を有する精製増殖因子を回収しようとする代わりの方策が試みられたが、最終生成物の純度を損なうことなく、イオン対形成のための逆相HPLC又はトリフルオロ酢酸のいずれかの使用を回避することは不可能であった。それらの生物学的活性の観点からはHBGF-0.8-P1及び-P2の回収率が幾らか損なわれたものの、はっきりとSDS-ポリアクリルアミドゲルの単一の均質10kDaバンドに起因するものだとするのに十分な活性をそれらが保持し、かつ十分な量の各々のタンパク質が数リットルのULFから単離されたことから、これらのタンパク質の構造的な特徴付けは容易に達成された(表1)。
【0062】
【表1】

【0063】
(実施例2)
HBGFポリペプチドの配列決定
HPLC精製増殖因子を含む画分をプールして乾燥させ、分離用SDS−PAGEにかけた。ゲル中のタンパク質を、300mAで90分間、10mM CAPSバッファ(pH11)を用いて二フッ化ポリビニリデン膜に転写した。そのブロットを50%メタノール中の0.1%クーマシーR250で2分間染色することにより目的のタンパク質の位置を決定し、次いで50%メタノール、10%酢酸で脱染した。各々の10kDaタンパク質バンドの半分を切り出し、モデル470A気相シーケンサー(Applied BioSystems、Foster City、CA)でのN末端アミノ酸配列決定に処した。フェニルチオヒダントイン誘導体をC18逆相HPLCによって同定した。HBGF−0.8−P1については16残基の配列(第10残基は未決定)が得られ、HBGF−0.8−P2については12残基の配列(第9残基は未決定)が得られた(表2)。これらのデータは、HBGF−0.8−P1及び−P2が、HBGF−0.8−P1のN末端に付加したGlu残基の存在を除いて、N末端同一であることを示した。GenBankTMを検索したところ、これらの配列が、hCTGF及びマウスfisp−12(別名βIG−M2)、CTGFのマウス相同体の推定内部配列と完全に整列することが明らかとなった(Bradham, D.M.ら, (1991) J.Cell Biol. 114, 1285-1294;Ryseck, R-P.ら, (1991) Cell Growth Differ. 2, 225-233;Brunner, A.ら, (1991) DNA Cell Biol. 10, 293-300)。HBGF−0.8−P1のサイクル10及びHBGF−0.8−P2のサイクル9に存在する指定のない残基は、hCTGFのCys256及びfisp−12のCys255に対応する(表2)。
【0064】
【表2】

【0065】
これらのHBGF−0.8−P1及び−P2の部分配列が実際にブタCTGF(pCTGF)分子中に存在することを検証するため、32P標識hCTGFプローブを用いるブタ子宮内膜cDNAライブラリのハイブリダイゼーション・スクリーニングによって完全長pCTGF cDNAを単離した。これらの研究のため、全ブタ子宮内膜RNAを、文献の記載に従って取得した(Kim, G.Y.ら, (Biol.Reprod. 52, 561-571 (1995))。poly(A) Tract mRNA単離システム(Promega、Madison、WI)を用いてポリ(A)RNAを単離し、その5μgを、モロニー・マウス白血病ウイルス逆転写酵素及びXhoI部位を含むオリゴ(dT)リンカー・プライマーを用いる第1鎖cDNA合成に供した。第2鎖合成は、そのmRNA−cDNA複合体をRNアーゼで処理することによって開始した。二本鎖cDNAをクレノウ断片を用いて平滑末端化し、それをEcoRIアダプターにライゲートした後、T4ポリヌクレオチドキナーゼでリン酸化した。Sephacryl S−400カラムで精製したXhoI消化cDNA 100ngを1μgのUni−ZAP XRベクター・アームのXhoI−EcoRI多重クローニング部位にライゲートし、その産物をGigapack IIパッケージング抽出物(Stratagene、La Jolla、CA)を用いてパッケージングした。この一次ライブラリーをXL1−Blue MRF'細胞において1.4×1010プラーク形成単位/mlの力価まで増幅させた。
【0066】
予想されるhCTGF一次翻訳産物の3’末端に相当する検証済みの32P標識CTGFプローブを、ヒト包皮線維芽細胞由来のRNAの逆転写酵素ポリメラーゼ連鎖反応により、フォワード及びリバースプライマー、それぞれ、5’−GCCGTCTAGAGCGGCCGCATGGAAGAGAACATTAAGAAGGG−3’(配列番号3)及び3’−CCTCTGTACCGTACTTAAGCGCCGGCGACC−5’(配列番号4)を用いて得た。そのプローブを用いて106プラークをスクリーニングしたところ、そのうちの2つが再現性のあるハイブリダイゼーションを示し、それらをRapid Excision Kit(Stratagene)を用いて単離した。pBSK−pBSK−pCTGF1及びpBSK−p−pCTGF2と命名された2つの〜5.0キロ塩基対pBluescript SKブタCTGFクローンが得られ、これらを初期配列決定反応に用いた。次に、pBSK−pCTGF1を、手動及び自動ジデオキシ・ターミネータ配列決定(Sanger, F.ら, Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A. 74, 5463-5467 (1977))の組み合わせによって完全に配列決定した。DNAの両鎖から配列データを得た。HBGF−0.8−P1及び−P2の配列は表2に記載されている。
【0067】
クローン化したブタCTGF cDNAは1.51キロ塩基対であり、1,047塩基対のオープンリーディングフレームを有するものと決定された。pCTGFの一次翻訳産物は349個のアミノ酸を含み、HBGFペプチド−0.8配列の残基247〜262を含むものと予想される(表2)。アミノ酸のレベルでは、pCTGFはfisp−12及びhCTGFと約〜92%同一である。その推定26残基シグナルペプチドを開裂した後には、pCTGFは323個のアミノ酸を含み、かつhCTGF及びfisp−12において完全に保存される38個のCys残基を含むものと予想される。
【0068】
(実施例3)
HBGF抗体の産生
HBGFは末端切断型CTGFの微小不均一形態を表すので、CTGFに対するHBGFの関係を調べた。出発物質における10kDaタンパク質の存在を、非分画ULFサンプルのウェスタンブロッティングにより、HPLC精製HBGFポリペプチドと反応するCTGF抗体を用いて確認した。
【0069】
抗体を産生するため、配列EENIKKGKKCIRTP(残基247−260)(配列番号5)を含む四分岐多抗原性CTGF−(247−260)ペプチドをSynergy 432Aペプチド合成装置(Applied BioSystems)で産生し、C18カラム(0.46×36cm;Rainin Instruments)を用いる逆相HPLCにより、そのカラムを90分の5−95%アセトニトリル水溶液勾配、0.1%トリフルオロ酢酸で展開して精製した。精製されたポリペプチドを含む画分をプールし、乾燥するまでエバポレートして、滅菌水中に再構成した。採血して免疫前血清を採取した2羽のニュージーランド・ホワイト・ラビット(ウサギA及びB)にフロイント完全アジュバント中のポリペプチド1mgを皮下投与し、3週間後にフロイント不完全アジュバント中のポリペプチド250μgを筋肉内注射した。抗血清を採取するため、7日後に動物から採血した。これらの抗血清の反応性をウェスタンブロッティング及び免疫沈降により確認した。ウサギAからの免疫前血清及び抗血清を次の実験において用いた。
【0070】
(実施例4)
10kDa HBGFポリペプチドの生成
ウェスタンブロッティングを文献に記載されている通りに行った(Harlow及びLane, 1988, Antibodies, A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory, New York, 現行版)。簡単に述べると、SDS−PAGEは、文献に記載されているように(Kim, G.Y.ら, Biol. Reprod. 52, 561-571 (1995))、還元条件下で18%ポリアクリルアミドミニゲルを用いて行った。タンパク質の銀染色は文献に記載されている通りに行った(Wray, W.ら, Anal. Biochem. 118, 197-203 (1981))。ウェスタンブロッティングは、(i)HPLC精製増殖因子、(ii)8μlの非分画ULF、又は(iii)10mMトリス−HCl、0.5M NaCl(pH7.4)の存在下でヘパリン−セファロースの20μl床を通過させ、続いてSDS−PAGEサンプルバッファでそのヘパリンビーズを抽出処理した後のULF 100μlに対して行った。ゲルを文献に記載されている通りにブロット及びブロックし(Kim, G.Y.ら, Biol. Reprod. 52, 561-571 (1995))、ウサギ免疫前血清の1:1,000希釈液又はウサギ抗pCTGF−(247−260)ペプチド抗血清(ウサギA)の1:1,00希釈液と共にインキュベートした。免疫反応性バンドを、アルカリホスファターゼ結合ヤギ抗ウサギIgG、次いでニトロブルーテトラゾリウム/リン酸5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリル色素生成基質を用いて可視化した。
【0071】
10kDaタンパク質に加えて、CTGFのさらに2種類の質量形態(16及び20kDa)もULF中に存在していたが、38kDa CTGFの有力な証拠は得られたなかった。このウェスタンブロットからは、さらに、HPLC精製HBGFが単一の免疫反応性10kDaタンパク質を含むことが立証された。希釈していない子宮液の所定の容量(すなわち、0.7−2.3μl)に由来するHBGFの染色強度とマイトジェニックな量の精製HGBFの染色強度とを比較することで、マイトジェニックな濃度のHBGFがin vivoで子宮液中に存在することが示された。まとめると、ULFが検出可能な濃度の38kDa CTGFは含まないものの、マイトジェン性であるものと思われる量でHBGFを含むことを示すデータは、HBGFがin vivoで自然に生じるものであって、精製の間に38kDa CTGFが分解する結果ではないことを示す。
【0072】
(実施例5)
HBGFポリペプチドのヘパリン結合特性
HBGFポリペプチド0.8−P1のN末端のさらなる酸性Glu残基の存在は、HBGF−0.8−P2と比較した場合のこの分子の低いヘパリン親和性に相関しており、これはHBGFペプチド−0.8のN末端がヘパリン結合ドメインの一部であり得ることを示唆している。CTGF分子のN末端領域に加えて他の部分のヘパリン結合特性を試験するため、hCTGFの全C末端103残基にまたがる18のポリペプチドの[3H]ヘパリンと結合する能力を調べた。
【0073】
CTGFの全103C末端残基にまたがる18種の合成ペプチドを合成し、Chiron Mimotopes(Clayton、Victoria、オーストラリア)から開裂したPepSetTMとして得た。全てのポリペプチドは、遊離N−末端アミンを用いて合成したCTGF−(247−255)及びCTGF−(247−260)、並びに酸C末端を用いて合成したCTGF−(326−349)及びCTGF−(339−349)を除いて、アセチル化N末端及びアミド化C末端を用いて合成した(表3)。
【0074】
全てのポリペプチドはCys残基を1個含むか、又は全く含んでいなかった;CTGF(285−292)のCys292及びCTGF−(318−328)のCys325は、それぞれのポリペプチド内のCys287又はCys323への鎖内ジスルフィド架橋を防止するためにSerで置換した。ヘパリン結合特性を、Bairdらの方法(Baird, A.ら, Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 85, 2324-2328 (1988))を適応させて決定した。簡単に述べると、各々のペプチド37.5nmolをドット・ブロット装置を用いてニトロセルロースに2回吸収させた。このブロットを10mMトリス−HCl、0.15M NaCl、0.1%ウシ血清アルブミン(pH7.4)で30分間ブロックした後、10μCi/ml[3H]ヘパリン(NEN Life Science Products)を含むこの溶液中で、室温で3時間インキュベートした。該ブロットを10mMトリス−HCl、0.15M NaClで4回洗浄し、[3H]をカウントするために個々のドットをシンチレーション液と混合した。
【0075】
これらの合成ポリペプチドで得られた結果が表3にまとめられている。最高レベルのヘパリン結合は残基247−260、274−286、及び305−328を含むポリペプチドについて得られた。これらのポリペプチドのうちで、3T3細胞DNA合成アッセイにおいてHBGFポリペプチドアゴニスト又はアンタゴニスト活性を有するものはなかったことに注意するべきである。
【0076】
【表3】

【0077】
従来の研究では、ヘパリンがbFGF、HB−EGF、及びアンフィレグリンなどの幾つかのHBGFポリペプチドの受容体結合及び生物学的活性を調節することが示されている(Besner, G.E.ら, Growth Factors 7, 289-296 (1992);Higashiyama, S.ら, J. Cell Biol., 122, 933-940 (1993);Rapraeger, A.C.ら, Science 252, 1705-1708 (1991);Olwin, B.B.ら, J. Cell Biol. 118, 631-639 (1992);Cook, P.ら, J. Cell Physio. 163, 418-429 (1995);Yayon, A.ら, Cell 64, 841-848 (1991);Aviezer, D.ら, Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 91, 12173-12177 (1994))。HBGFペプチド−0.8がヘパリンに対する強い親和性を示したため、HBGFペプチド−0.8のマイトジェン活性に対するこのグリコサミノグリカンの効果を調べた。高刺激用量のHBGFペプチド−0.8の活性は、1−3μg/mlのヘパリンで有意に高められたが、30−100μg/mlのヘパリンで阻害された。同じヘパリン投与量は、3T3細胞における基礎(basal)又は仔ウシ血清刺激DNA合成に対しては効果がなかった。
【0078】
(実施例6)
HBGFマイトジェン性アッセイ
IGF−1、EGF、bFGF、及びPDGF−ABに対するHBGFの相対マイトジェニック能を評価するため、3T3細胞でのDNA合成アッセイを行った(表4)。Bio−Rexカラムからの0.3−0.6M NaCl溶出液を含む生物学的に活性の画分をプールし、0.1%CHAPSを含む20mMトリス−HCl(pH7.4)で3倍希釈し、0.45μmメンブランフィルターを通過させ、シリコン処理ポリプロピレン容器に入れ、蠕動ポンプを用いてEconoPacヘパリンカラム(0.7×3.6cm;Bio-Rad)に2ml/分でかけた。次に、そのヘパリンカラムを50mlの20mMトリス−HClバッファ、0.2M NaCl、0.1%CHAPSで洗浄し、高速タンパク質液体クロマトグラフィー(FPLC)システム(Pharmacia Biotech Inc.)を用い、20mMトリス−HCl、0.1%CHAPS(pH 7.4)中の0.1−2.0M NaClの勾配40mlを用いて、1ml/分で展開した。NaCl勾配溶出の間に画分(1ml)をシリコン処理チューブに集め、3T3細胞マイトジェン活性について試験した。
【0079】
カラム画分を、文献に記載されているように(Kim, G.Y.ら, Biol. Reprod. 52, 561-571 (1995))、96ウェル培養プレートにおいて200μlのダルベッコ改変イーグル培地、10%仔ウシ血清中で増殖させた集密休止Balb/c 3T3細胞のDNAへの[3H]チミジンの取り込みによって測定される、DNA合成を刺激するそれらの能力について試験した。ULFから精製した増殖因子に対する用量−応答曲線を、各々の用量を3回アッセイし、データを平均±S.D.として算出することにより確立した。増殖因子の活性に対する1−100μg/mlブタヘパリン(Sigma)の効果の統計的有意性をスチューデントt検定によって決定した。
【0080】
HBGFペプチドによる[3H]チミジンの取り込みは、IGF又はEGFのようなより弱いマイトジェンよりもむしろ仔ウシ血清又は精製PDGFもしくはbFGFに匹敵するものであった。さらに、HBGFの3T3マイトジェン活性及び生物学的活性が10ng/ml IGF−I、10ng/ml PDGF、3ng/ml EGF、又は0.3ng/ml bFGFによって相乗的に増強されることが見出された。
【0081】
標的細胞特異性を、Balb/c 3T3細胞、ウシ毛細血管内皮細胞(BCEC)、及び血管平滑筋細胞を用いて研究した。3T3細胞は上述の通りに用いた。BCECはDr. J. Folkman(Children's Hospital、Boston、MA)から入手し、ゼラチン化培養フラスコ内の3ng/ml bFGF及び10%熱不活性化仔ウシ血清を含むダルベッコ改変イーグル培地において維持した。平滑筋細胞は2−3cm長のブタ胸部大動脈から確立された手順(Weich, H.A.ら, Growth Factors 2, 313-320 (1990))を用いて単離し、10%ダルベッコ改変イーグル培地、10%ウシ胎児血清において維持した。BCEC及び平滑筋細胞DNA合成アッセイは、本質的には文献に記載されている通りに(Besner, G.E., Higashiyama, S., 及びKagsbrun, M. Cell Regul. 1, 811-819 (1990))、48又は96ウェルプレートにおいて行った。BCEC DNA合成アッセイは100μg/mlブタヘパリンの存在下においても行った。HGBFは平滑筋細胞に対してマイトジェン性であることが見出され、EGFの最大量を超えるレベルの刺激をもたらしたが、bFGFよりは下回った。HBGFは、単独で又は100μgのヘパリンの存在下で試験した場合には、内皮細胞に対するマイトジェン活性を欠いていた(表4を参照)。
【0082】
【表4】

【0083】
現時点で好ましい態様を参照して本発明を説明したが、本発明の精神から逸脱することなく様々な改変をなし得るものと理解されるべきである。したがって、本発明は以下の特許請求の範囲によってのみ限定される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
実質的に純粋なポリペプチドであって、
a)結合組織増殖因子(CTGF)タンパク質のカルボキシ末端アミノ酸に対応するアミノ酸配列を有し、
b)ヘパリンに結合し、かつ約0.8Mの塩でヘパリンから溶出され、かつ
c)還元SDS-PAGEにより約10kDaの分子量を有する、
ことを特徴とするポリペプチド。
【請求項2】
ポリペプチドがCTGFのN末端から247個目のアミノ酸残基から始まるアミノ酸配列を有する、請求項1記載のポリペプチド。
【請求項3】
ポリペプチドがCTGFのN末端から248個目のアミノ酸残基から始まるアミノ酸配列を有する、請求項1記載のポリペプチド。
【請求項4】
請求項1、2、または3のいずれか1項に記載のアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードする、単離されたポリヌクレオチド配列。
【請求項5】
請求項4記載のポリヌクレオチドを含有する組換え発現ベクター。
【請求項6】
請求項5記載の発現ベクターを含有する宿主細胞。
【請求項7】
原核細胞である、請求項6記載の宿主細胞。
【請求項8】
真核細胞である、請求項6記載の宿主細胞。
【請求項9】
請求項1記載のポリペプチドと結合し、かつそのポリペプチドの免疫反応性断片と結合する抗体。
【請求項10】
ポリクローナルである、請求項9記載の抗体。
【請求項11】
モノクローナルである、請求項9記載の抗体。
【請求項12】
動脈硬化、または線維症性、硬化性、もしくは細胞増殖性障害を治療する方法であって、
a)結合組織増殖因子(CTGF)タンパク質のカルボキシ末端アミノ酸に由来するアミノ酸配列を有し、
b)ヘパリンに結合し、かつ約0.8Mの塩でヘパリンから溶出され、かつ
c)還元SDS-PAGEにより約10kDaの分子量を有する、
ことを特徴とするポリペプチドのアンタゴニストの治療的有効量を細胞と接触させることを含んでなる方法。
【請求項13】
創傷治癒促進をそのような治療を必要とする対象に行う方法であって、
a)結合組織増殖因子(CTGF)タンパク質のカルボキシ末端アミノ酸に由来するアミノ酸配列を有し、
b)ヘパリンに結合し、かつ約0.8Mの塩でヘパリンから溶出され、かつ
c)還元SDS-PAGEにより約10kDaの分子量を有する、
ことを特徴とするポリペプチドを含有する組成物の治療的有効量を細胞と接触させることを含んでなる方法。
【請求項14】
細胞が上皮細胞、筋細胞、結合組織細胞および内皮細胞からなる群から選択されたものである、請求項12または13記載の方法。
【請求項15】
結合組織細胞が大グリア細胞、線維芽細胞、破骨細胞、骨芽細胞、および軟骨細胞からなる群から選択されたものである、請求項14記載の方法。
【請求項16】
筋細胞が平滑筋細胞である、請求項14記載の方法。
【請求項17】
筋細胞が心筋細胞である、請求項14記載の方法。
【請求項18】
内皮細胞が毛細血管内皮細胞である、請求項14記載の方法。
【請求項19】
上皮細胞が分泌上皮細胞である、請求項14記載の方法。
【請求項20】
インスリン様増殖因子(IGF-I)、血小板由来増殖因子(PDGF)、上皮増殖因子(EGF)、トランスフォーミング増殖因子β(TGF-β)、および塩基性線維芽細胞増殖因子(bFGF)からなる群から選択された増殖因子を細胞と接触させることをさらに含んでなる、請求項12または13記載の方法。
【請求項21】
ヘパリンを細胞と接触させることをさらに含んでなる、請求項20記載の方法。
【請求項22】
ヘパリンの濃度が約1μg/mlから100μg/mlである、請求項21記載の方法。
【請求項23】
請求項1記載のポリペプチドの活性に影響を及ぼす化合物を同定するための方法であって、
a)化合物を、請求項1記載のポリペプチドもしくはそのポリペプチドの生物学的に活性な断片、または請求項1記載のポリペプチドを発現している組換え細胞と共に、それらの成分が相互作用するために十分な条件下でインキュベートし、
b)請求項1記載のポリペプチドの活性もしくは発現に対するその化合物の影響を求める、
ことを含んでなる方法。
【請求項24】
影響が請求項1記載のポリペプチドの活性もしくは発現の阻害である、請求項23記載の方法。
【請求項25】
影響が請求項1記載のポリペプチドの活性もしくは発現の刺激である、請求項23記載の方法。
【請求項26】
HBGFに関連することを特徴とする状態を有することが疑われる対象においてHBGF状態を診断するための方法であって、対象からHBGFを含有している可能性のあるサンプルを得て、該サンプル中のHBGFのレベルを測定し、該サンプル中のHBGFレベルを正常な標準サンプルと比較すること、を含んでなる方法。
【請求項27】
状態が、動脈硬化、線維症、硬化症もしくは細胞増殖性障害からなる群から選択されたものである、請求項26記載の方法。
【請求項28】
HBGFに関連する状態を治療する方法であって、その状態を有している対象に対して製薬上許容される担体中のHBGF反応性試薬の治療的有効量を投与することを含んでなる方法。
【請求項29】
状態が細胞増殖の過剰によって特徴づけられる細胞増殖性障害である、請求項28記載の方法。
【請求項30】
細胞増殖の過剰が結合組織細胞の過剰によるものである、請求項29記載の方法。
【請求項31】
HBGF反応性試薬がHBGFのアンタゴニストである、請求項28記載の方法。
【請求項32】
アンタゴニストがHBGFポリペプチドと特異的に結合する抗体である、請求項31記載の方法。
【請求項33】
状態が細胞増殖障害であって、かつ細胞増殖の欠陥によって特徴づけられる、請求項28記載の方法。
【請求項34】
製薬上許容される担体中の治療的有効量のHBGFからなる医薬組成物。
【請求項35】
子宮内膜もしくは胎盤膜の増殖を変調させる方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−254370(P2009−254370A)
【公開日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−144424(P2009−144424)
【出願日】平成21年6月17日(2009.6.17)
【分割の表示】特願2000−506996(P2000−506996)の分割
【原出願日】平成10年8月6日(1998.8.6)
【出願人】(500058811)チルドレンズ ホスピタル リサーチ ファウンデーション (1)
【Fターム(参考)】