説明

ヘミ酒石酸および酒石酸ゾルピデム多形の製造方法

構造
【化1】


を有する化合物のヘミ酒石酸塩の多形の製造方法であって、その化合物の遊離塩基形を、アルコールおよび酒石酸誘導体を含む液体媒体に溶解し、化合物、アルコールおよび酒石酸誘導体を含む溶液を形成させること;その溶液を、化合物および酒石酸誘導体を溶解させるのに十分な温度に加熱すること;そして、その溶液を、化合物のヘミ酒石酸塩を沈殿させるのに十分な温度に冷却すること、を含む方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、医薬化合物の様々な多形の製造に、より詳しくは、本発明は、選択されたヘミ酒石酸および酒石酸ゾルピデム多形の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
睡眠薬および睡眠補助薬のベンゾジアゼピンファミリーには、とりわけ、トリアゾラム(Halcion(登録商標))、アルプラゾラム(Xanax(登録商標))およびジアゼパム(Valium(登録商標))が含まれる。ベンゾジアゼピンファミリーのメンバーは、抗不安、鎮静、睡眠、抗痙攣および筋肉弛緩特性を有すると知られている。Ambien(登録商標)、Stilnox(登録商標)および Stilnoct(登録商標)として販売されているヘミ酒石酸ゾルピデムは、イミダゾピリジンファミリーの一部である非ベンゾジアゼピン薬であるが、ヘミ酒石酸ゾルピデムは、ベンゾジアゼピン類と同様の薬理作用を有すると判明した。
【0003】
ヘミ酒石酸ゾルピデムは、いくつかの多形で存在すると知られており、中でも、A、B、C、D、E、F、GおよびH形が知られている。Teva Pharmaceutical Industries, Ltd.のWO01/80857A1参照、その開示の全体をあらゆる目的で出典明示により本明細書の一部とする。多形は、特定の薬物化合物の異なる結晶形の発生を表す。一定量の医薬は、異なる固体の結晶形で、または、無定形固体として、存在する。ある特定の固形医薬原体は、1種またはそれ以上の結晶多形および/または無定形の混合物を含み得る。医薬の特定の多形は、水性溶液、有機溶液または溶媒の混合物から加工することなどの工程の条件に依存する。得られる多形に影響を及ぼす他の要素には、温度、圧力および大気組成が含まれる。有機揮発性物質への曝露は、ある多形から他への転移を引き起こし得ることが見出された。
【0004】
多形の安定性は、環境条件および/または選択された溶媒系に依存するように見える。これは、ある化合物のある特定の結晶形は、ひと組の条件、即ち、溶媒系、温度および大気下で沈殿し得、一方異なる結晶形は、異なる溶媒系、温度および大気下で沈殿し得ることを意味する。溶媒、温度および/または大気を変えることは、ある多形から他への転移を引き起こし得る。
【0005】
粒径、形状、流動特徴、融点、水和度または溶媒和度および凝結性などの物理特性が、化学処理、材料の取扱い、補助剤との適合性、混合物中での分離、水性媒体中での溶解速度および最終投薬形の安定性などの要素に影響を与えるので、医薬多形の制御は産業において重要である。多形転移に起因する化学特性の変化は、熱、光、湿気、機械的取扱い、酸素および補助剤との相互作用などの環境要因により誘導される薬物の分解に影響を与え得る。かくして、多形転移の全体的な有害作用には、製造の非効率性(時間および費用)、品質の低下および錠剤/丸剤形態の薬物の不安定さが含まれる。
【0006】
従って、所定の薬物製剤に望ましい多形を選択的に得ることができる方法への要望が存在する。その利点には、医薬有効成分および完成投薬形の両方について、工程の簡略化および製造費用の節約が含まれる。
【0007】
Teva Pharmaceutical Industries, Ltd., WO01/80857A1は、水、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、酢酸エチルなどと溶媒和させることにより、ゾルピデム多形を変換する方法を開示した。開示された方法の結果は、しばしば、特に製造規模で、再現不可能である。その開示では、多形Eは、水または溶媒接触から単離された他の多形から変換された。その方法で必要とされる余分な化学処理段階および溶媒回収段階の必要性は、製造費用を増加させ得る。さらに、いくつかの多形は、それらの物理特性のために、処理が特に困難である。
【発明の開示】
【0008】
発明の要旨
本発明の様々な態様の中で、ヘミ酒石酸ゾルピデムの選択された多形の製造方法の提供に注目し得る。特に、最初に特定の多形を製造し、次いでその多形を所望の多形に処理するか、または、所望の多形を多形の混合物から単離することを必要とせず、ゾルピデム遊離塩基とL−(+)−酒石酸との反応から直接的に所望の多形を製造することを可能にする方法が提供される。
【0009】
従って、簡潔に述べると、本発明は、構造:
【化1】

を有する化合物のヘミ酒石酸塩の所望の多形の製造方法を対象とし、その方法は、その化合物の遊離塩基形を、アルコールおよび酒石酸誘導体を含む液体媒体に溶解し、化合物、アルコールおよび酒石酸誘導体を含む溶液を形成させること;その溶液を、化合物および酒石酸誘導体を溶解させるのに十分な温度に加熱すること;そして、その溶液を、化合物のヘミ酒石酸塩が沈殿させるのに十分な温度に冷却すること、の各段階を含む。
【0010】
本発明の他の目的および態様は、部分的に指摘され、部分的に以後で明白であるであろう。
【0011】
好ましい実施態様の詳細な説明
本発明は、ヘミ酒石酸ゾルピデムの多形の新規製造方法を提供する。ゾルピデム(N,N,6−トリメチル−2−(4−メチルフェニル)−イミダゾ[1,2−a]ピリジン−3−アセトアミド)は、一般構造(1):
【化2】

を有する。
【0012】
ヘミ酒石酸ゾルピデムは、典型的には、L−(+)−酒石酸((2R,3R)2,3−ジヒドロキシブタンジカルボン酸)の塩として製造される。ヘミ酒石酸塩におけるゾルピデムのL−酒石酸塩に対するモル比は、約2:1である。常套の合成は、ヘミ酒石酸ゾルピデムの既知多形の混合物をもたらす。従って、好ましい多形の単離は、余分な化学処理段階を必要とし、それは、販売可能な製品の全体的製造費用を加算し得る。本発明の方法によると、ヘミ酒石酸ゾルピデムの混合物から特定の多形を単離することに関わる余分な段階を伴わず、選択された多形を遊離塩基から直接製造でき、従って、低い費用および高い処理量の両方の観点で、ヘミ酒石酸ゾルピデムの製剤の製造に効率をもたらす。
【0013】
本発明の方法は、ゾルピデム遊離塩基およびL−(+)−酒石酸誘導体をアルコール溶媒系に溶解し、溶液を加熱し、溶液を冷却し、ヘミ酒石酸ゾルピデム多形を単離することによる、ヘミ酒石酸ゾルピデムの選択された多形の製造に関する。
【0014】
ゾルピデム遊離塩基を、アルコール溶媒系に溶解させることができる。ヘミ酒石酸ゾルピデム多形の製造に適するアルコールには、メタノール、エタノール、イソプロパノールおよびn−プロパノールが含まれる。好ましくは、ゾルピデム遊離塩基は、選択されたアルコールに実質的に可溶である。
【0015】
L−(+)−酒石酸誘導体を添加し、選択されたヘミ酒石酸ゾルピデム多形を形成させる。その誘導体を、ゾルピデム遊離塩基を含むアルコール溶液に直接溶解させることができる。あるいは、L−(+)−酒石酸誘導体を含む別のアルコール溶液を調製できる。次いで、ゾルピデム遊離塩基を含むアルコール溶液に、L−(+)−酒石酸誘導体溶液を添加できる。好ましいL−(+)−酒石酸塩の供給源には、L−(+)−酒石酸;L−(+)−酒石酸カリウム一塩基塩、L−(+)−酒石酸ナトリウム一塩基塩およびL−(+)−酒石酸アンモニウム一塩基塩などのL−(+)−酒石酸の一塩基塩;および、L−(+)−酒石酸カリウム二塩基塩、L−(+)−酒石酸ナトリウム二塩基塩およびL−(+)−酒石酸アンモニウム二塩基塩などのL−(+)−酒石酸の二塩基塩が含まれる。好ましくは、ゾルピデム遊離塩基のL−(+)−酒石酸誘導体に対するモル比が、約2.5:1ないし約2:1、より好ましくは約2:1であるように、L−(+)−酒石酸誘導体を添加する。
【0016】
ゾルピデム遊離塩基およびL−(+)−酒石酸誘導体を含むアルコール溶液に水を添加できる。好ましくは、アルコールの水に対する体積比が、約10:1ないし約1:1、より好ましくは約5:1ないし約1:1、さらにより好ましくは約2:1であるように水を添加する。ゾルピデムおよび酒石酸固体の濃度は、本発明の効率に厳密に決定的ではない。酒石酸の水中の溶解度は、約4%である;従って、好ましくは、溶液の体積は、その固体を溶解するのに十分である。しかしながら、大きい溶液体積は、収率を低下させ得る;従って、溶液体積は、満足な収率を達成するように限定される。従って、ゾルピデム遊離塩基の濃度は、好ましくは約0.30Mないし約0.35Mであり得る。
【0017】
溶液を加熱して固体を溶解させ、ゾルピデム遊離塩基とL−(+)−酒石酸誘導体との反応を誘導する。この反応は、ゾルピデム塩基のプロトン化および後続の1個のL−(+)−酒石酸塩分子につき2個のプロトン化ゾルピデム分子の分子結合をもたらし、ヘミ酒石酸ゾルピデムを形成させる。加熱は、好ましくは、約25℃ないし約85℃、より好ましくは約50℃ないし約70℃の温度へのものである。加熱は、かき混ぜ、例えば撹拌を伴い得る。かき混ぜは、機械的撹拌により達成できる。加熱は、水の添加の前、後または同時に行い得る。例えば、アルコールおよび水を溶媒として含む溶液中に、ゾルピデム遊離塩基およびL−(+)−酒石酸を溶解でき、次いでそれを加熱する。あるいは、ゾルピデム遊離塩基およびL−(+)−酒石酸をアルコールに溶解でき、それを水の添加前に加熱する。
【0018】
加熱に続き、回転蒸発、蒸留、共沸または噴霧乾燥できる。例えば、蒸気の温度を監視することにより示される終点に達するまで、溶液を蒸留または共沸できる。アルコール次第で、水およびアルコールの溶媒の組合せは共沸混合物を形成できる。例えば、水:エタノールおよび水:プロパノールの系は共沸混合物を形成し得るが、水:メタノール系はしないことが知られている。メタノール:水の溶媒系に関して、メタノールは蒸留により実質的に除去できる。実質的なメタノールの除去は、約94℃の蒸気温度により示され得る。溶媒系がエタノール:水またはプロパノール:水を含む場合、その系は、好ましくは、蒸気温度が約90℃ないし約100℃になるまで共沸される。
【0019】
加熱後、場合により冷却しながら、好ましくは外界温度ないし約0℃に溶液を冷まさせる。好ましくは、溶液を外界温度に冷却する。冷却は、選択されたヘミ酒石酸ゾルピデムの多形を沈殿させる。冷却した溶液を外界温度またはそれ以下で温浸させ得、その間に結晶は形成し続け、収量を高める。
【0020】
選択された多形の冷却および沈殿の後、濾過、遠心分離、蒸留乾固、デカンタまたは噴霧乾燥により固体を単離し得る。好ましくは、固体をオーブンで乾燥させ、実質的に全ての残留溶媒を除去する。約25℃ないし約55℃、より好ましくは約35℃ないし約45℃の温度で乾燥を行うことができる。乾燥は、外界圧力下で行うことができるが、より好ましくは、乾燥は真空オーブン中、約5mbないし約60mb、より好ましくは約25mbないし約30mbの圧力で行う。
【0021】
上記で概説した方法に従い、選択されたヘミ酒石酸ゾルピデムの多形を、ゾルピデム遊離塩基から直接製造できる。有利なことに、本発明による多形の製造は、当分野で知られている方法により製造される多形の混合物から所望の多形を単離することを回避する。
【0022】
以下の実施例は、本発明の方法をさらに例示説明する。
【実施例】
【0023】
実施例1. 多形Eの選択的製造
ゾルピデム遊離塩基(5g)をメタノール(36mL)に溶解し、第1の溶液を得た。L−(+)−酒石酸(1.2g)をメタノール(12mL)に溶解し、第2の溶液を得た。第1および第2の溶液をフラスコ中で合わせ、供給溶液を得、それを65℃で30分間撹拌した。水(50mL)を供給溶液に添加した。この供給溶液を、供給溶液から蒸留液50mLが蒸発するまで蒸留した。この蒸留により、30%より少ないメタノールが残留している供給溶液を残した。固体生成物が供給溶液から沈殿するまで、残っている供給溶液を、撹拌しながら、外界温度に冷却した。次いで、溶液を、圧力100mbおよび温度40℃で乾固するまで回転蒸発させ、乾燥粉末を残した。水100mLの添加により、乾燥粉末をフラスコから取り出した。フラスコをこそげ取り、できるだけ多くの粉末を取り出した。ヘミ酒石酸ゾルピデム懸濁液を減圧漏斗で濾過し、粉末を濾紙上に集めた。粉末を真空オーブン中、3日間40℃で乾燥させた。乾燥固体を乳鉢および乳棒で粉砕した。粉末状固体は、3.48gの重量であった(収率56%)。
【0024】
pXRD分析用に粉末を調製した。pXRDパターンは、生成物が支配的に多形Eを含むことを示した。濾液を次のバッチに再利用し、水の使用およびヘミ酒石酸ゾルピデムの損失を最小化した。
【0025】
実施例2. 多形Eの選択的製造
ゾルピデム遊離塩基(5g)をメタノール(36mL)に溶解し、第1の溶液を得た。L−(+)−酒石酸(1.2g)をメタノール(12mL)に溶解し、第2の溶液を得た。第1および第2の溶液を合わせ、供給溶液を得、それを65℃で30分間撹拌した。この供給溶液を温度75℃で、蒸留液15mLが供給溶液から蒸発するまで蒸留した。次いで、水(25mL)を供給溶液に添加し、蒸気温度が94℃に達するまでそれをさらに蒸留した。この時点で、回収される蒸留液の最終体積が45mLになるまで、約30mLをさらに蒸留した。残っている供給溶液を、固体生成物が供給溶液から沈殿するまで、撹拌しながら外界温度に冷却した。ヘミ酒石酸ゾルピデム懸濁液を吸引漏斗で濾過し、粉末を濾紙中に回収した。濾液を後の使用のために保存した。粉末を真空オーブン中、50℃で終夜乾燥させた。乾燥固体を乳鉢および乳棒で粉砕した。
【0026】
pXRD分析用に白色粉末を調製した。pXRDパターンは、生成物が支配的に多形Eを含むことを示した。第2の製造のために濾液を再利用した。即ち、上記の製造のように水25mLを供給溶液に添加するのではなく、第1の製造からの濾液を、ゾルピデムおよびL−酒石酸を含むメタノール溶液に添加した。
【0027】
第1の白色粉末のバッチは、重量5.00gであり、多形Eの収率81%に相当する。第2の白色粉末のバッチ(第1の製造の濾液を使用して蒸留した第2のゾルピデム遊離塩基の5.0gバッチから回収)は、重量6.63gであった。従って、第1および第2の両方の製造からの総収率は、約94%であった。
【0028】
実施例3.多形Hの選択的製造
ゾルピデム塩基(1g)およびL−(+)−酒石酸(0.24g)をエタノール(10mL)に溶解した。全固体が溶解するまで、溶液を60℃で撹拌した。溶液を外界温度に放冷し、それは、固体の沈殿および結晶化を引き起こした。懸濁液を濾過し、固体を真空下で4時間乾燥させ、粉末1.0gを得た(収率81%)。単離された粉末をpXRD分析用に調製し、それは、固体が多形Hを含むことを示した。
【0029】
実施例4.多形Dの選択的製造
ゾルピデム塩基(1g)およびL−(+)−酒石酸(0.24g)をイソプロパノール(10mL)に溶解した。溶液を70℃に加熱し、全固体が溶解するまで撹拌した。溶液を外界温度に放冷し、それは、固体の沈殿および結晶化を引き起こした。懸濁液を濾過し、固体を真空下で4時間乾燥させ、白色粉末0.71gを得た(収率57%)。単離された粉末をpXRD分析用に調製し、それは、固体が多形Dを含むことを示した。
【0030】
実施例5.多形Dの選択的製造
ゾルピデム塩基(1g)およびL−(+)−酒石酸(0.24g)をイソプロパノール:水溶媒(重量で90:10、総体積40mL)に溶解した。溶液を沸騰するまで加熱し、全固体が溶解するまで撹拌した。溶液を外界温度に放冷し、それは、固体の沈殿および結晶化を引き起こした。懸濁液を濾過し、固体を真空下で4時間乾燥させ、白色粉末0.71gを得た(収率57%)。単離された粉末をpXRD分析用に調製し、それは、固体が多形Dを含むことを示した。
【0031】
実施例6.多形Dの選択的製造
ゾルピデム塩基(1g)およびL−(+)−酒石酸(0.24g)をメタノール(10mL)に溶解した。溶液を50℃に加熱し、全固体が溶解するまで撹拌した。水(1mL)を添加した。溶液を外界温度に放冷し、それは、固体の沈殿および結晶化を引き起こした。懸濁液を濾過し、固体を真空下、60℃で4時間乾燥させ、白色粉末0.32gを得た(収率26%)。単離された粉末をpXRD分析用に調製し、それは、固体が多形Dを含むことを示した。
【0032】
実施例7.ゾルピデム酒石酸塩およびゾルピデム遊離塩基の多形Cの製造
実施例3の水和したヘミ酒石酸ゾルピデム(0.7g、多形H)を、メタノール(9mL)に溶解した。溶液を50℃に加熱し、全固体が溶解するまで撹拌した。水(2.5mL)を添加した。溶液を外界温度に放冷し、それは、固体の沈殿および結晶化を引き起こした。懸濁液を濾過し、固体を真空下、60℃で4時間乾燥し、白色粉末を得た。pXRD分析は、それがゾルピデム酒石酸塩およびゾルピデム遊離塩基の1:1(酸:塩基)塩の多形Cであることを示した。純度をHPLCによりアッセイした。そのアッセイは、新規ゾルピデム酒石酸塩の純度が89.9%ないし92.4%であることを示した。
【0033】
実施例8.ゾルピデム酒石酸塩およびゾルピデム遊離塩基の多形Cの製造
実施例4のヘミ酒石酸ゾルピデム多形D(0.71g)をメタノール(7mL)に溶解した。溶液を50℃に加熱し、全固体が溶解するまで撹拌した。水(3mL)を添加した。溶液を外界温度に放冷し、それは、固体の沈殿および結晶化を引き起こした。懸濁液を濾過し、固体を真空下60℃で終夜乾燥し、白色粉末を得た。pXRD分析は、それがゾルピデム酒石酸塩およびゾルピデム遊離塩基の1:1(酸:塩基)塩の多形Cであることを示した。
【0034】
上記に照らして、本発明のいくつかの目的が達成され、他の有利な結果が得られたことが理解されよう。
【0035】
本発明の要素または好ましい実施態様を紹介するとき、冠詞「ある(a)」「ある(an)」「その(the)」および「該(said)」は、1つまたはそれ以上の要素があることを意味する。用語「含む」「包含する」および「有する」は、包含的であることを意図し、列挙された要素の他にさらなる要素が存在し得ることを意味する。
【0036】
本発明の範囲から逸脱せずに、上記に様々な変更を行い得るので、上記の説明に含まれ、添付の図面に示される全ての事項は、限定的意味ではなく、包含的に解釈される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
構造:
【化1】

を有する化合物のヘミ酒石酸塩の所望の多形の製造方法であって、
その化合物の遊離塩基形を、アルコールおよび酒石酸誘導体を含む液体媒体に溶解し、化合物、アルコールおよび酒石酸誘導体を含む溶液を形成させること;
その溶液を、化合物および酒石酸誘導体を溶解させるのに十分な温度に加熱すること;および、
その溶液を、化合物のヘミ酒石酸塩を沈殿させるのに十分な温度に冷却すること、
を含む方法。
【請求項2】
酒石酸塩誘導体が、L−(+)−酒石酸、L−(+)−酒石酸の一塩基塩、L−(+)−酒石酸の二塩基塩およびこれらの組合せからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
アルコールが、メタノール、エタノール、イソプロパノールおよびn−プロパノールからなる群から選択される、請求項1または請求項2に記載の方法。
【請求項4】
化合物および酒石酸塩誘導体が、化合物の酒石酸塩誘導体に対するモル比が、約2.5:1ないし約2:1である濃度で溶液中に存在する、請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
化合物が溶液中に約0.30Mないし約0.35Mの濃度で存在する、請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
液体媒体が水をさらに含む、請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
溶液を約25℃ないし約85℃の温度に加熱する、請求項1ないし請求項6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
溶液を約0℃ないし約25℃の温度に冷却する、請求項1ないし請求項7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
一定量の液体媒体を蒸留する段階をさらに含む、請求項1ないし請求項8のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
蒸留物の蒸気が約90℃ないし約100℃の温度に達するまで蒸留を行う、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
一定量の液体媒体を回転蒸発させる段階をさらに含む、請求項1ないし請求項8のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
一定量の液体媒体を共沸させる段階をさらに含む、請求項1ないし請求項8のいずれかに記載の方法。
【請求項13】
溶液をかき混ぜる段階をさらに含む、請求項1ないし請求項12のいずれかに記載の方法。
【請求項14】
アルコールがメタノールである、請求項1ないし請求項11および請求項13のいずれかに記載の方法。
【請求項15】
アルコールがエタノールである、請求項1ないし請求項13のいずれかに記載の方法。
【請求項16】
アルコールがイソプロパノールである、請求項1ないし請求項13のいずれかに記載の方法。
【請求項17】
アルコールがn−プロパノールである、請求項1ないし請求項13のいずれかに記載の方法。
【請求項18】
沈殿した化合物のヘミ酒石酸塩を、濾過、遠心分離、デカンタ、蒸留乾固および噴霧乾燥により単離することをさらに含む、請求項1ないし請求項17のいずれかに記載の方法。

【公表番号】特表2009−510163(P2009−510163A)
【公表日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−534555(P2008−534555)
【出願日】平成18年9月19日(2006.9.19)
【国際出願番号】PCT/US2006/036648
【国際公開番号】WO2007/040995
【国際公開日】平成19年4月12日(2007.4.12)
【出願人】(595181003)マリンクロッド・インコーポレイテッド (203)
【氏名又は名称原語表記】Mallinckrodt INC.
【Fターム(参考)】