ヘリコバクター・ピロリに関連する疾患を治療する際の、生姜の根茎から抽出された有効産物の使用
【課題】生姜の根茎から調製されるヘリコバクター・ピロリに関する疾患の治療に使用される有効産物を提供することを目的とする。
【解決手段】 本発明は、有機溶剤抽出物を、逆相クロマトグラフィーカラムにかけることで得られる水性の溶出液は、前記ヘリコバクター・ピロリに関する疾患を治療する際に非常に弱い効能を示し、比較的弱い極性を有する溶離剤の溶出液である。
【解決手段】 本発明は、有機溶剤抽出物を、逆相クロマトグラフィーカラムにかけることで得られる水性の溶出液は、前記ヘリコバクター・ピロリに関する疾患を治療する際に非常に弱い効能を示し、比較的弱い極性を有する溶離剤の溶出液である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、胃炎、胃潰瘍または十二指腸潰瘍のようなヘリコバクター・ピロリに関連する疾患を治療する際に使用される、生姜の根茎から抽出された有効産物の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
中国の生薬またはスパイス、すなわち生姜(Zingiber officinale)、クローブ(Eugeniacaryophyllata)、にんにく(Alliumsativum)は、薬や食物の味付けに用いられてきた。粗生姜は、制吐薬や去痰薬、咳止め、消化促進剤として用いられる。セミドライの古い粗生姜はまた、胃痛、胸痛、腰痛、咳、普通感冒に用いられ、また、「水浮腫("stagnate of water".)」と呼ばれる浮腫の形態の治療用いられる。
【0003】
ジンゲロン(Zingerone)は、生姜の辛味の特徴の主な原因となる主成分であり;ジンジャオール(gingerol)およびショーガオール(shogaol)は、生姜中の他の辛味成分である。ジンジャオールは、強心作用を有し、マウスにおける摘出された門脈(isolated portal veins)の収縮を抑制し、マウスおよびラットの血管のエイコサノイド−誘起収縮を緩和する。ジンジャオールおよびショーガオールはいずれも突然変異原性があって、生姜(ginger)およびジンゲロンは、抗変異原活性を示すことが分かってきた。
【0004】
ショーガオールは、カラゲニン浮腫および血小板凝集において阻害活性を有する(特許文献1;発明の背景)。特許文献2は、胃潰瘍用治療組成物およびそれを調整する工程について開示し、Aegle marmetosおよびWithania somnifraの植物部位から得られる抽出物および8つの植物からなる群から選択される少なくとも1つの部材の植物部位から得られる抽出物を含み、それの一つが生姜である。前記組成物の抽出物は、好ましくは、水性の抽出物である。
【0005】
特許文献3は、病気予防に有用な抗ヘリコバクターピロリの有効産物ならびに胃炎ならびに胃および十二指腸潰瘍治療を開示し、カッコウ、センブリ、オウゴン、シソシ、ウイキョウ、カンキョウ、ビャクジュツ、サンショウ、コロンボ、ショウキョウ、モッコウ、クジン、アセンヤク、アロエ及びシャクヤクからなる群から選択される一以上の本草薬の使用を含む病気予防に有用な抗ヘリコバクターピロリ有効産物ならびに胃炎ならびに胃および十二指腸潰瘍治療を開示している。
【0006】
ジンジャオールを含む生姜の根抽出物は、H.pyloriCagA+strainsの成長を抑制することが記載されている(非特許文献1)。
【特許文献1】米国特許第5,804,603号明細書
【特許文献2】米国特許第6,855,347号明細書
【特許文献3】特開2004−115536号公報
【非特許文献1】Anticancer Research 23(5A):3699−3702,2003
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
生姜の根茎から調製されるヘリコバクター・ピロリに関する疾患の治療に使用される有効産物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
粗有機溶剤抽出物を、逆相クロマトグラフィーカラムにかけることで得られる水性の溶出液は、前記疾患を治療する際に非常に弱い効能を示し、比較的弱い極性を有する溶離剤の溶出液は向上した効能を有する。驚くべきことに、溶出液に6−ジンジャオールおよび6−ショーガオールのいずれもがなくなるような弱い極性を有する溶離剤による溶出液は、非常に強い効能を示すことを見出した。この知見は、6−ジンジャオールおよび6−ショーガオールは、辛味成分であり、比較的不安定であるため、有効なものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明において調製される有効産物は、生姜の根茎由来の水性の粗抽出物または有機溶剤粗抽出物と比較して顕著に有意な効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明を好適ないくつかの実施形態について詳細に説明する。
【0011】
本発明の好ましい実施形態は、これに制限されるものでないが、以下を含む。
【0012】
1. 生姜の根茎由来の、治療上有効な量の有効産物を含むヘリコバクター・ピロリが関連する疾患の治療用薬剤組成物であって、
前記有効産物が、下記段階を含む工程:
a)6−ジンジャオールおよび6−ショーガオールを含む、生姜の根茎由来の粗抽出物を調製する;
b)粗抽出物を、逆相クロマトグラフィーカラムまたは順相クロマトグラフィーカラムに導入し、第1溶離剤、第2溶離剤の順でカラムから溶出し、この際、i)逆相クロマトグラフィーカラムを使用するときは、前記第1溶離剤は、水よりも弱い極性を有し、および、前記第2溶離剤は、第1溶離剤よりも弱い極性を有し、または、ii)順相クロマトグラフィーカラムを用いるときは、前記第2溶離剤は、酢酸エチルおよびメタノールの混合物(1:1の質量比)よりも弱い極性を有し、および、前記第1溶離剤は、第2溶離剤よりも弱い極性を有し、第1溶離剤の溶出により第1溶出液および第2溶離剤の溶出により第2溶出液を得;さらに、
c)エバポレーションにより、第1溶出液から第1溶離剤を除去し、第1濃縮溶出液を得、有効産物として使用し、または、エバポレーションにより、第2溶出液から第2溶離剤を除去し、第2濃縮溶出液を得、有効産物として使用し;
前記段階a)は、段階i)〜iv)、または、段階I)、段階I’)もしくは段階I”)を含み、
前記段階i)〜iv)は;
i)新鮮な生姜の根茎をすりおろし、その結果生じた混合物をろ過し、ろ液および残渣を得;
ii)第1有機溶剤により、前記ろ液を抽出し、前記抽出溶液を回収し、前記抽出溶液から第1有機溶剤を蒸発させ、第1濃縮抽出溶液を得;
iii)第2有機溶剤により残渣を抽出し、前記抽出溶液を回収し、前記抽出溶液から第2有機溶剤を蒸発させ、第2濃縮抽出溶液を得;さらに、
iv)前記第1濃縮抽出溶液および前記第2濃縮抽出溶液を混ぜ、粗抽出物溶液を得;
前記段階I)は:
I)前記第2有機溶剤と同じ有機溶剤で、乾燥した生姜の根茎を抽出し、前記抽出溶液を回収し、前記抽出溶液から前記有機溶剤を蒸発させ、粗抽出物を得;
前記段階I’)は:
I’)乾燥した生姜の根茎を水蒸気蒸留し、エバポレーションにより生じる蒸留液を濃縮して、粗抽出物を得;
前記段階I”)は:
I”)超臨界CO2にて生姜の根茎の乾燥粉末を抽出し、前記抽出溶液を回収し、前記抽出溶液からCO2をエバポレーションして、粗抽出物を得る、
により調製される、薬剤組成物。
【0013】
2.前記疾患は胃潰瘍である、上記1に係る薬剤組成物。
【0014】
3.前記粗抽出物は、段階i)〜iv)を含む方法により調製される、上記1または2に係る薬剤組成物。
【0015】
4.前記第1有機溶剤が、エチルエーテルで、前記第2有機溶剤が、アセトン、メタノール、エタノール、メタノールおよび水の混合物、エタノールおよび水の混合物またはこれらの組み合わせである、上記3に係る薬剤組成物。
【0016】
5.前記第2有機溶剤が、アセトンである、上記4に係る薬剤組成物。
【0017】
6.前記粗抽出物が、段階I)を含む方法により調製される、上記1または2に係る薬剤組成物。
【0018】
7.前記有機溶剤が、アセトン、メタノール、エタノール、メタノールおよび水の混合物、エタノールおよび水の混合物またはこれらの組み合わせである上記6に係る薬剤組成物。
【0019】
8.前記有機溶剤が、アセトン、エタノールまたはエタノールおよび水の混合物である、上記7に係る薬剤組成物。
【0020】
9.前記逆相クロマトグラフィーカラムを用いるときに、第1溶離剤が、エタノール40質量%を含むエタノールおよび水の混合物よりも弱い極性を有する、上記1に係る薬剤組成物。
【0021】
10.前記第1溶離剤が、メタノール、メタノールおよび水の混合物、エタノール、エタノールおよび水の混合物、アセトンおよび水の混合物またはこれらの組み合わせである、上記9に係る薬剤組成物。
【0022】
11.前記第1溶離剤が、エタノールおよび水の混合物である、上記10に係る薬剤組成物。
【0023】
12.前記逆相クロマトグラフィーカラムが、第1溶離剤の前に水またはエタノール20質量%を含むエタノールおよび水の混合物で溶出される、上記11に係る薬剤組成物。
【0024】
13.前記有効産物は、前記第1濃縮溶出液であり、前記第1濃縮溶出液が、6−ジンジャオールおよび6−ショーガオールを含む、上記9に係る薬剤組成物。
【0025】
14.逆相クロマトグラフィーカラムを用いるときに、前記有効産物は、前記第2濃縮溶出液であり、第1溶離剤が、エタノール40質量%を含むエタノールおよび水の混合物よりも弱い極性を有する、上記1、10、11または12に係る薬剤組成物。
【0026】
15.前記第2溶離剤は、アセトン、アセトンおよび水の混合物、アセトンおよびメタノールの混合物、アセトンおよびエタノールの混合物、アセトンおよび炭素数4〜6のアルカンの混合物、炭素数4〜6のアルカン、メタノールおよび炭素数4〜6のアルカンの混合物、エタノールおよび炭素数4〜6のアルカンの混合物、またはこれらの組み合わせである、上記14に係る薬剤組成物。
【0027】
16.前記第2溶離剤が、アセトンである、上記15に係る薬剤組成物。
【0028】
17.前記第2濃縮溶出液に、ジンジャオールまたは6−ショーガオールが存在しない、上記14に係る薬剤組成物。なお、「ジンジャオールまたは6−ショーガオールが存在しない」とは、「全く存在しない」との概念のみならず、「実質的にジンジャオールまたは6−ショーガオールが存在しない」との概念をも含む。具体的には、下記実施例で規定されているHPLC分析の検出限界を超える値を意味する。
【0029】
18.前記第2濃縮溶出液に、6−ジンジャオールおよび6−ショーガオールいずれも存在しない、上記14に係る薬剤組成物。なお、「6−ジンジャオールおよび6−ショーガオールいずれも存在しない」とは、上記と同様、「全く存在しない」との概念のみならず、「実質的にジンジャオールまたは6−ショーガオールが存在しない」との概念をも含む。具体的には、下記実施例で規定されているHPLC分析の検出限界を超える値を意味する。
【0030】
19.前記順相クロマトグラフィーカラムを用いるときに、前記有効産物が、前記第1濃縮溶出液であり、前記第1溶離剤が、n−ヘキサンおよび酢酸エチルの混合物(質量比6:4)よりも極性が弱い、上記1に係る薬剤組成物。
【0031】
20.前記第1溶離剤が、n−ヘキサンおよび酢酸エチルの混合物(質量比9:1)と近い極性を有する、上記19に係る薬剤組成物。
【0032】
21.第1溶離剤が、n−ヘキサンおよび酢酸エチルの混合物(質量比9:1)である、上記19に係る薬剤組成物。
【0033】
22.前記第1濃縮溶出液に、6−ジンジャオールまたは6−ショーガオールが存在しない、上記19に係る薬剤組成物。
【0034】
23.前記第1濃縮溶出液に、6−ジンジャオールおよび6−ショーガオールのいずれも存在しない、上記19に係る薬剤組成物。
【0035】
24.前記順相クロマトグラフィーカラムを用いるときに、前記有効産物が、前記第2濃縮溶出液であり、前記第2溶離剤が、n−ヘキサンおよび酢酸エチルの混合物(質量比6:4)の極性と近いまたは同じ、そして、前記第2濃縮溶出液が、6−ジンジャオールおよび6−ショーガオールを含む、上記1に係る薬剤組成物。
【0036】
25.前記第2溶離剤は、n−ヘキサンおよび酢酸エチルの混合物(質量比6:4)である、上記24に係る薬剤組成物。
【0037】
26.前記薬剤組成物は、さらに、希釈剤、賦形剤または担体を含んでもよい。
【0038】
上記発明は、生姜の根茎由来の、治療上有効な量の有効産物を含むヘリコバクター・ピロリが関連する疾患の治療用薬剤組成物の製造方法としても、好ましい。
【0039】
本願出願人は、イギリス特許第2366565号において、消炎、抗血小板凝集および抗真菌活性に有効な生姜由来の抽出物を調製する方法であって、下記段階を含むものを開示する:
有機溶剤もしくは超臨界CO2または蒸気による蒸留によって抽出された生姜の根茎由来の粗液を調製し;
前記粗液を、逆相クロマトグラフィーカラムに導入し、水、第1溶離剤、第1溶離剤よりも低い極性を有するがクロロホルムよりも高い極性を有する第2溶離剤により、カラムで溶出し、第1溶離剤の溶離により第1溶出液と、第2溶離剤の溶離により第2溶出液と、を得;
エバポレーションにて、第1溶出液および第2溶出液から、それぞれ、第1溶離剤および第2溶離剤を除去し、有効な抽出物として、第1濃縮溶出液および第2濃縮溶出液を得る。
【0040】
本発明をさらに実施例を以って詳しく説明するが、これに制限されるものではない。なお、パーセントおよび他の量は、特に記載がなければ、すべて質量とする。また、全量は100%とする。
【実施例】
【0041】
[実施例1]
スライスし陰干した生姜の根茎を粉砕し、篩の目開きメッシュNo.10の篩に通した。その結果生じた粉末 1質量部を、95%エタノール 8質量部と混合し、その結果生じた混合物を、1時間、還流下で沸騰させ、ろ過し、ろ液Aと残渣を得た。前記残渣を95%エタノールと混ぜ(質量比1:8)、その結果生じた混合物を、1時間還流下で沸騰させ、ろ過し、ろ液Bを得た。
【0042】
ろ液Aおよびろ液Bを合わせ、70℃のウォーターバスで濃縮し、「RotavaporR−220,BUCHI,Switzerland」にて真空にして濃縮した。その結果生じた濃縮物を、前記濃縮物の乾燥質量の20倍の量のHP−20樹脂(Mitsubishi,Japan)Diaion(登録商標)を充填した逆相クロマトグラフィーカラム(7.1cm×90cm)に導入し、「水 5ベッドボリューム、40%エタノール 4ベッドボリュームおよびアセトン 4ベッドボリューム」をこの順で抽出した。
【0043】
40%エタノールで溶出した溶出液およびアセトンで溶出した溶出液を、それぞれ回収した。
【0044】
40%エタノールで溶出した溶出液を、「Rotavapor R−220,BUCHI,Switzerland」にて真空濃縮し、次いで、80℃ウォーターバスで1時間再度濃縮し、1時間真空濃縮(40mbar)し、サンプル1を得た。
【0045】
アセトンで溶出した溶出液を、「Rotavapor R−220,BUCHI,Switzerland」にて真空濃縮し、80℃ウォーターバスで再度濃縮し、1時間真空濃縮(40mbar)し、サンプル2を得た。
【0046】
[実施例2]
40%エタノール溶離剤を70%エタノールに置き換えた以外は、実施例1の手順と同様に行った。
【0047】
サンプル3は、70%エタノールで溶出することにより得、サンプル4は、アセトンで溶出することにより得た。
【0048】
[実施例3]
40%エタノールの溶離剤を95%エタノールに置き換えた以外は、実施例1の手順と同様に行い、サンプル5を得た。
【0049】
[実施例4]
スライスし陰干した生姜の根茎を粉砕し、篩の目開きメッシュNo.10に通した。その結果生じた粉末 1質量部を、95%エタノール 8質量部と混合し、その結果生じた混合物を、1時間還流下で沸騰させ、ろ過し、ろ液Aと残渣を得た。
【0050】
前記残渣を、95%エタノールに混合し(質量比1:8)、その結果生じた混合物を、1時間還流下で沸騰させ、ろ過し、ろ液Bを得た。
【0051】
ろ液Aおよびろ液Bを合わせ、70℃ウォーターバスにて濃縮し、「Rotavapor R−220,BUCHI,Switzerland」にて真空濃縮し、当初の1/5の質量になるようにした。
【0052】
その結果生じた濃縮物の4倍の質量の水を、当初の質量に戻るように加え、その結果生じた液体を、逆相クロマトグラフィーカラム(7.1cm×90cm)にかけ、前記濃縮物の乾燥質量の20倍に相当するDiaion(登録商標)を充填した逆相クロマトグラフィーカラム(7.1cm×90cm)HP−20樹脂(Mitsubishi,Japan)に導入し、「20% エタノール 1ベッドボリュームおよび70%エタノール 4ベッドボリューム」の順で溶離した。
【0053】
70%エタノールで溶出した溶出液を回収し、「RotavaporR−220,BUCHI,Switzerland」にて真空濃縮し、80℃ウォーターバスで再度濃縮し、1時間真空濃縮(40mbar)し、サンプル6を得た。
【0054】
[実施例5]
70%エタノール溶離剤を95%エタノールに置き換えた以外は、実施例4の手順と同様の方法を行い、サンプル7を得た。
【0055】
[実施例6]
スライスし陰干した生姜の根茎を粉砕し、篩の目開きメッシュNo.10に通した。その結果生じた粉末 1質量部を、95%エタノール 8質量部と混合させ、その結果生じた混合物を、ホモゲナイザー 2000rpm(TypeX50/10,Ystral,Germany)で、1時間で攪拌し、ろ過し、ろ液Aおよび残渣を得た。
【0056】
前記残渣を、95%エタノールと混合し(質量比1:8)、その結果生じた混合物を、1時間、ホモゲナイザー 2000rpmで攪拌し、ろ過し、ろ液Bを得た。
【0057】
ろ液Aおよびろ液Bを合わせ、70℃ウォーターバスにて濃縮し、「Rotavapor R−220,BUCHI,Switzerland」にて真空濃縮し、当初の質量の1/5にした。その結果生じた濃縮物の質量の4倍の水を、当初の質量に戻るように加えた。
【0058】
その結果生じた液体を、前記濃縮物の乾燥質量の20倍の量のDiaion(登録商標)HP−20(Mitsubishi,Japan)樹脂を充填した逆相クロマトグラフィーカラム(7.1cm×90cm)に導入し、「20%エタノール 1ベッドボリュームおよび70%エタノール 4ベッドボリューム」の順で溶離した。
【0059】
70%エタノールで溶出した溶出液を回収し、「Rotavapor R−220,BUCHI,Switzerland」にて真空濃縮し、80℃ウォーターバスで濃縮し、1時間真空濃縮(40mbar)し、サンプル8を得た。
【0060】
[実施例7]
70%エタノールの溶離剤を95%エタノールに置き換えた以外は、実施例6の手順の同様の方法でサンプル9を得た。
【0061】
[実施例8]
スライスし陰干した生姜の根茎を粉砕し、篩の目開きメッシュNo.10の篩に通した。その結果生じた粉末 1質量部を、アセトン 8質量部と混合し、その結果生じた混合物を、1時間還流下で沸騰させ、ろ過し、ろ液Aおよび残渣を得た。
【0062】
前記残渣を、アセトンに混合し(質量比 1:8)、その結果生じた混合物を、1時間還流下で、沸騰させ、ろ過し、ろ液Bを得た。
【0063】
ろ液Aおよびろ液Bを合わせ、70℃ウォーターバスで濃縮し、「Rotavapor R−220,BUCHI,Switzerland」にて真空濃縮した。
【0064】
その結果生じた濃縮物を、前記濃縮物の乾燥質量の20倍の量のDiaion(登録商標)HP−20樹脂(Mitsubishi,Japan)が充填した逆相クロマトグラフィーカラム(7.1cmx90cm)に導入し、「水 5ベッドボリューム、40%エタノール 4ベッドボリュームおよびアセトン 2ベッドボリューム」の順で溶離した。
【0065】
アセトンで溶出した溶出液を回収し、「Rotavapor R−220,BUCHI,Switzerland」にて真空乾燥し、80℃ウォーターバスで再度濃縮し、1時間真空濃縮(40mbar)し、サンプル10を得た。
【0066】
[実施例9]
40%エタノールの溶離剤を70%エタノールに置き換えた以外は、実施例8の手順と同様に行いサンプル11を得た。70%エタノールで溶出した溶出液を回収し、「Rotavapor R−220,BUCHI,Switzerland」にて真空濃縮し、80℃ウォーターバスで再度濃縮し、1時間真空濃縮(40mbar)し、サンプル11を得た。
【0067】
[実施例10]
粉末および残渣を、アセトンの代わりに酢酸エチルで沸騰させた(還流させた)以外は、実施例8の手順と同様に行い、サンプル12を得た。
【0068】
[実施例11]
粉末および残渣を、アセトンの代わりに酢酸エチルで沸騰させた(還流させた)以外は、実施例9の手順と同様の方法を行い、サンプル13を得た。
【0069】
[実施例12]
スライスし陰干した生姜の根茎を粉砕し、篩の目開きメッシュNo.10の篩に通した。その結果生じた粉末 1質量部を、95%エタノール 8質量部と混合し、その結果生じた混合物を、1時間還流下で沸騰し、ろ過し、ろ液Aおよび残渣を得た。前記残渣を、95%エタノールに混合し(質量比1:8)、ろ液Bを得た。
【0070】
ろ液Aおよびろ液Bを合わせ、70℃ウォーターバスで濃縮し、「Rotavapor R−220,BUCHI,Switzerland」にて真空濃縮した。
【0071】
その結果生じた濃縮物を、前記濃縮物の質量の20倍のシリカゲル60(Merck,Germany)を充填した順相クロマトグラフィーカラムに導入し、「n−ヘキサン:酢酸エチルの混合溶離剤(9:1) 4ベッドボリューム、n−ヘキサン:酢酸エチルの混合溶離剤(6:4) 3ベッドボリュームおよび酢酸エチル:メタノールの混合溶離剤(1:1) 2ベッドボリューム」をこの順で溶離した。
【0072】
n−ヘキサン:酢酸エチル(9:1)の溶離による溶出液を回収し、「Rotavapor R−220,BUCHI,Switzerland」にて真空濃縮し、80℃ウォーターバスにて再度濃縮し、1時間真空濃縮(40mbar)し、サンプル14を得た。
【0073】
サンプル14を得るのと同様の手順により、n−ヘキサン:酢酸エチル(6:4)、酢酸エチル:メタノール(1:1)により、サンプル15およびサンプル16を得た。
【0074】
[実施例13]
95%エタノールをアセトンに置き換えた以外は、実施例12の手順と同様に行った。
【0075】
サンプル17、サンプル18およびサンプル19は、「n−ヘキサン:酢酸エチル=9:1、n−ヘキサン:酢酸エチル=6:4,および酢酸エチル:メタノール=1:1」でそれぞれ溶離して得た。
【0076】
[実施例14]
スライスし陰干した生姜の根茎を粉砕し、篩の目開きメッシュNo.10に通した。その結果生じた粉末 1質量部を、95%エタノール 8質量部と混合し、その結果生じた混合物を、1時間還流下で沸騰し、ろ過し、ろ液Aおよび残渣を得た。
【0077】
前記残渣を、95%エタノールと混合し(質量比1:8)、その結果生じた混合物を、還流下で沸騰し、ろ過し、ろ液Bを得た。
【0078】
ろ液Aおよびろ液Bを合わせ、薄膜バキュームエバポレーター(CEP−L,OkawaraMfg.Co.,Japan)にて濃縮し、当初の質量の1/5にした。
【0079】
その結果生じた濃縮物を、前記濃縮物の乾燥質量の20倍の量のDiaion(登録商標)HP−20樹脂(Mitsubishi,Japan)を充填した逆相クロマトグラフィーカラム(34.5cm×100cm)に導入し、「95%エタノール 2ベッドボリュームおよびアセトン 2ベッドボリューム」を順に、溶離した。
【0080】
アセトンで溶出した溶出液を回収し、「Rotavapor R−220,BUCHI,Switzerland」にて真空濃縮し、80℃ウォーターバスで再度濃縮し、1時間真空濃縮(40mbar)し、サンプル20を得た。
【0081】
HPLC分析サンプル調製:
サンプルを秤量し、サンプルボトルに入れ、10mg/mlの濃度のサンプル溶液になるようにメタノールで希釈した。
【0082】
0.45μmろ紙で、サンプル溶液をろ過し、HPLCでろ液を分析した。
【0083】
【表1】
【0084】
上記に調製されたサンプル1〜サンプル20のHPLC分析の結果を、図1〜図20に示す。
【0085】
サンプル中の6−ジンジャオールおよび6−ショーガオール成分(mg/g)をHPLC分析で算出し、サンプル調製の使用した抽出条件および溶離条件とともに表1にリストアップした。
【0086】
【表2−1】
【0087】
【表2−2】
【0088】
サンプル1〜13および20は、逆相クロマトグラフィーカラムを用いて調製した。
【0089】
図1〜4に示すHPLC分析の特徴と比較して、40%エタノールで溶出した溶出液は、6−ジンジャオールよりも強い極性を有する化合物を含み(サンプル1)、70%エタノールで溶出した溶出液は、6−ジンジャオールおよび6−ショーガオールよりも強い極性を有する化合物を含み(サンプル3)、アセトンで溶出した溶出液は、比較的弱い極性を有する残りの化合物であることが分かる(サンプル2およびサンプル4)。
【0090】
図6および図7を見ると、溶離剤として70%エタノールを使用したものと比較して、95%エタノールを使用したものは、より右側にピークが見られることが分かる。同様の傾向が、抽出条件は異なるものの、図6および7のように図8および9で観察できる。
【0091】
図10および12に示す特徴は、抽出条件は異なるが、溶離条件が同じである点、図2に示すそれと似ている。
【0092】
図11および13に示す特徴は、抽出条件は異なるが、溶離条件が同じである点、図3に示すそれと似ている。
【0093】
サンプル20は、弱い極性を有する化合物を多く含み、図20に示すように6−ジンジャオールおよび6−ショーガオールを観察することができず、それは、95%エタノール溶離剤が、逆相クロマトグラフィーカラムから、6−ジンジャオールおよび6−ショーガオールを含む比較的強い極性を有するものを溶出したことを示唆する。
【0094】
サンプル13〜15は、HPLC分析において、抽出条件が異なるが、順相クロマトグラフィーカラムの溶離条件が同じである点、サンプル16〜19と似ている(図13〜19)。
【0095】
n−ヘキサン:酢酸エチル=9:1溶離剤を使用すると、図14(図16)で示すように、サンプル14(サンプル16)の成分の殆どが無極性化合物であり、n−ヘキサン:酢酸エチル=6:4溶離剤を使用すると、サンプル15(サンプル17)は、かなりの量の6−ジンジャオールおよび6−ショーガオールを含む。
【0096】
1.抗菌試験
ヘリコバクター・ピロリにおけるサンプルの最小(発育)阻止濃度(MIC)は、寒天希釈法[Malanosk G.J. et al. Effect of pH variation on the susceptibility of Helicobacter pylori to three marcolide antimicrobial agents and temafloxacin. Eur. J. Clin. Microbial Infect Dis. 12: pp. 131-133, 1993.]により測定した。
【0097】
前記検体を溶解し、DMSOに連続的に希釈し、所望の濃度にした。
【0098】
それぞれの濃度試験のために、7%のウサギの脱線維素血液が培地されたColumbiaagarbase(Oxoid,England)0.99ml含む48−wellplateに、アリコート0.01mlを加える。
【0099】
ヘリコバクター・ピロリ(ATCC43504)接種材料は、5×105CFU/mlの密度のブレインハートインフュージョン培養液に懸濁させることで、調製する。
【0100】
DMSOの最終的な最大濃度は、1%であり、最初の検体濃度は、300μg/mlである。
【0101】
前記プレートを、微好気的条件(混合ガスN2 85%,CO2 10%およびO2 5%)35℃72時間培養し、視診し、コロニー増殖の抑制を、「陽性(+)」とスコア−し、コロニー増殖の影響がない場合、「陰性(−)」とした。
【0102】
担体−対照およびゲンタマイシンを、それぞれブランクおよび陽性対照として使用した。
【0103】
各濃度は、2回評価した。
【0104】
結果を表2に示す。
【0105】
【表3】
【0106】
2.ヘリコバクター・ピロリ誘起胃潰瘍
ヘリコバクター・ピロリ−誘起胃潰瘍におけるサンプルの影響は、先に示されている[[Marchetti, M., Arico, B., Burroni, D., Figura, N., Rappuoli, R. and Ghiara, P. Development of a mouse model of Helicobacter pylori infection that mimics human disease. Science 267: 1655-1658, 1995.]により評価する。
【0107】
質量24±2gのマウスで分けられた5つのオスのCD−1(Crl.)の群は、「3.2×109コロニー形成ユニット/0.4ml/mouse」の懸濁における臨床分離されたヘリコバクター・ピロリの胃内接種の前に18時間絶食させた。
【0108】
ヘリコバクター・ピロリ接種の1時間後、7日連続で1日2回(10:00amおよび4:00pm)試験サンプルおよび担体(2%CMC,10ml/kg)が、それぞれ試験動物に経口投与された。
【0109】
オメプラゾール(Omeprazole)(1mg/kg)と、クラリスロマイシン(clarithromycin)(10mg/kg)と、が組み合わされ、陽性の制御因子のために使用され、一日一回7日連続で同じスケジュールの下、試験動物に経口投与した。
【0110】
感染8日後、すべての動物を夜通し絶食させ、殺し、大弯に沿って胃を解剖した。
【0111】
胃潰瘍性は、出血および潰瘍性病巣の重篤性の程度により4つのレベルにスコアした。
【0112】
0=通常の外見
1=緩やかな赤い点
2=適度な赤い点および/または出血点
3=著しい出血点
ヘリコバクター・ピロリ-誘起胃潰瘍における抑制性の割合は、下記の通り、算出することができる。
【0113】
(担体群スコア-試験群スコア)/(担体群スコア)×100%
結果を表3に示す。
【0114】
【表4】
【0115】
上記実施例により調製されたサンプル中ヘリコバクター・ピロリに誘起された胃潰瘍治療において、サンプル1のみ6−ジンジャオールより効果が弱かった。
【0116】
サンプル20が、一番効果があり100mg/kg、30mg/kg、10mg/kgおよび3mg/kgの投与においてヘリコバクター・ピロリ-誘起胃潰瘍の抑制性が、それぞれ83%,75%,67%および50%であった。
【図面の簡単な説明】
【0117】
【図1】サンプル1のHPLC分析の結果を示したものである。
【図2】サンプル2のHPLC分析の結果を示したものである。
【図3】サンプル3のHPLC分析の結果を示したものである。
【図4】サンプル4のHPLC分析の結果を示したものである。
【図5】サンプル5のHPLC分析の結果を示したものである。
【図6】サンプル6のHPLC分析の結果を示したものである。
【図7】サンプル7のHPLC分析の結果を示したものである。
【図8】サンプル8のHPLC分析の結果を示したものである。
【図9】サンプル9のHPLC分析の結果を示したものである。
【図10】サンプル10のHPLC分析の結果を示したものである。
【図11】サンプル11のHPLC分析の結果を示したものである。
【図12】サンプル12のHPLC分析の結果を示したものである。
【図13】サンプル13のHPLC分析の結果を示したものである。
【図14】サンプル14のHPLC分析の結果を示したものである。
【図15】サンプル15のHPLC分析の結果を示したものである。
【図16】サンプル16のHPLC分析の結果を示したものである。
【図17】サンプル17のHPLC分析の結果を示したものである。
【図18】サンプル18のHPLC分析の結果を示したものである。
【図19】サンプル19のHPLC分析の結果を示したものである。
【図20】サンプル20のHPLC分析の結果を示したものである。
【技術分野】
【0001】
本発明は、胃炎、胃潰瘍または十二指腸潰瘍のようなヘリコバクター・ピロリに関連する疾患を治療する際に使用される、生姜の根茎から抽出された有効産物の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
中国の生薬またはスパイス、すなわち生姜(Zingiber officinale)、クローブ(Eugeniacaryophyllata)、にんにく(Alliumsativum)は、薬や食物の味付けに用いられてきた。粗生姜は、制吐薬や去痰薬、咳止め、消化促進剤として用いられる。セミドライの古い粗生姜はまた、胃痛、胸痛、腰痛、咳、普通感冒に用いられ、また、「水浮腫("stagnate of water".)」と呼ばれる浮腫の形態の治療用いられる。
【0003】
ジンゲロン(Zingerone)は、生姜の辛味の特徴の主な原因となる主成分であり;ジンジャオール(gingerol)およびショーガオール(shogaol)は、生姜中の他の辛味成分である。ジンジャオールは、強心作用を有し、マウスにおける摘出された門脈(isolated portal veins)の収縮を抑制し、マウスおよびラットの血管のエイコサノイド−誘起収縮を緩和する。ジンジャオールおよびショーガオールはいずれも突然変異原性があって、生姜(ginger)およびジンゲロンは、抗変異原活性を示すことが分かってきた。
【0004】
ショーガオールは、カラゲニン浮腫および血小板凝集において阻害活性を有する(特許文献1;発明の背景)。特許文献2は、胃潰瘍用治療組成物およびそれを調整する工程について開示し、Aegle marmetosおよびWithania somnifraの植物部位から得られる抽出物および8つの植物からなる群から選択される少なくとも1つの部材の植物部位から得られる抽出物を含み、それの一つが生姜である。前記組成物の抽出物は、好ましくは、水性の抽出物である。
【0005】
特許文献3は、病気予防に有用な抗ヘリコバクターピロリの有効産物ならびに胃炎ならびに胃および十二指腸潰瘍治療を開示し、カッコウ、センブリ、オウゴン、シソシ、ウイキョウ、カンキョウ、ビャクジュツ、サンショウ、コロンボ、ショウキョウ、モッコウ、クジン、アセンヤク、アロエ及びシャクヤクからなる群から選択される一以上の本草薬の使用を含む病気予防に有用な抗ヘリコバクターピロリ有効産物ならびに胃炎ならびに胃および十二指腸潰瘍治療を開示している。
【0006】
ジンジャオールを含む生姜の根抽出物は、H.pyloriCagA+strainsの成長を抑制することが記載されている(非特許文献1)。
【特許文献1】米国特許第5,804,603号明細書
【特許文献2】米国特許第6,855,347号明細書
【特許文献3】特開2004−115536号公報
【非特許文献1】Anticancer Research 23(5A):3699−3702,2003
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
生姜の根茎から調製されるヘリコバクター・ピロリに関する疾患の治療に使用される有効産物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
粗有機溶剤抽出物を、逆相クロマトグラフィーカラムにかけることで得られる水性の溶出液は、前記疾患を治療する際に非常に弱い効能を示し、比較的弱い極性を有する溶離剤の溶出液は向上した効能を有する。驚くべきことに、溶出液に6−ジンジャオールおよび6−ショーガオールのいずれもがなくなるような弱い極性を有する溶離剤による溶出液は、非常に強い効能を示すことを見出した。この知見は、6−ジンジャオールおよび6−ショーガオールは、辛味成分であり、比較的不安定であるため、有効なものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明において調製される有効産物は、生姜の根茎由来の水性の粗抽出物または有機溶剤粗抽出物と比較して顕著に有意な効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明を好適ないくつかの実施形態について詳細に説明する。
【0011】
本発明の好ましい実施形態は、これに制限されるものでないが、以下を含む。
【0012】
1. 生姜の根茎由来の、治療上有効な量の有効産物を含むヘリコバクター・ピロリが関連する疾患の治療用薬剤組成物であって、
前記有効産物が、下記段階を含む工程:
a)6−ジンジャオールおよび6−ショーガオールを含む、生姜の根茎由来の粗抽出物を調製する;
b)粗抽出物を、逆相クロマトグラフィーカラムまたは順相クロマトグラフィーカラムに導入し、第1溶離剤、第2溶離剤の順でカラムから溶出し、この際、i)逆相クロマトグラフィーカラムを使用するときは、前記第1溶離剤は、水よりも弱い極性を有し、および、前記第2溶離剤は、第1溶離剤よりも弱い極性を有し、または、ii)順相クロマトグラフィーカラムを用いるときは、前記第2溶離剤は、酢酸エチルおよびメタノールの混合物(1:1の質量比)よりも弱い極性を有し、および、前記第1溶離剤は、第2溶離剤よりも弱い極性を有し、第1溶離剤の溶出により第1溶出液および第2溶離剤の溶出により第2溶出液を得;さらに、
c)エバポレーションにより、第1溶出液から第1溶離剤を除去し、第1濃縮溶出液を得、有効産物として使用し、または、エバポレーションにより、第2溶出液から第2溶離剤を除去し、第2濃縮溶出液を得、有効産物として使用し;
前記段階a)は、段階i)〜iv)、または、段階I)、段階I’)もしくは段階I”)を含み、
前記段階i)〜iv)は;
i)新鮮な生姜の根茎をすりおろし、その結果生じた混合物をろ過し、ろ液および残渣を得;
ii)第1有機溶剤により、前記ろ液を抽出し、前記抽出溶液を回収し、前記抽出溶液から第1有機溶剤を蒸発させ、第1濃縮抽出溶液を得;
iii)第2有機溶剤により残渣を抽出し、前記抽出溶液を回収し、前記抽出溶液から第2有機溶剤を蒸発させ、第2濃縮抽出溶液を得;さらに、
iv)前記第1濃縮抽出溶液および前記第2濃縮抽出溶液を混ぜ、粗抽出物溶液を得;
前記段階I)は:
I)前記第2有機溶剤と同じ有機溶剤で、乾燥した生姜の根茎を抽出し、前記抽出溶液を回収し、前記抽出溶液から前記有機溶剤を蒸発させ、粗抽出物を得;
前記段階I’)は:
I’)乾燥した生姜の根茎を水蒸気蒸留し、エバポレーションにより生じる蒸留液を濃縮して、粗抽出物を得;
前記段階I”)は:
I”)超臨界CO2にて生姜の根茎の乾燥粉末を抽出し、前記抽出溶液を回収し、前記抽出溶液からCO2をエバポレーションして、粗抽出物を得る、
により調製される、薬剤組成物。
【0013】
2.前記疾患は胃潰瘍である、上記1に係る薬剤組成物。
【0014】
3.前記粗抽出物は、段階i)〜iv)を含む方法により調製される、上記1または2に係る薬剤組成物。
【0015】
4.前記第1有機溶剤が、エチルエーテルで、前記第2有機溶剤が、アセトン、メタノール、エタノール、メタノールおよび水の混合物、エタノールおよび水の混合物またはこれらの組み合わせである、上記3に係る薬剤組成物。
【0016】
5.前記第2有機溶剤が、アセトンである、上記4に係る薬剤組成物。
【0017】
6.前記粗抽出物が、段階I)を含む方法により調製される、上記1または2に係る薬剤組成物。
【0018】
7.前記有機溶剤が、アセトン、メタノール、エタノール、メタノールおよび水の混合物、エタノールおよび水の混合物またはこれらの組み合わせである上記6に係る薬剤組成物。
【0019】
8.前記有機溶剤が、アセトン、エタノールまたはエタノールおよび水の混合物である、上記7に係る薬剤組成物。
【0020】
9.前記逆相クロマトグラフィーカラムを用いるときに、第1溶離剤が、エタノール40質量%を含むエタノールおよび水の混合物よりも弱い極性を有する、上記1に係る薬剤組成物。
【0021】
10.前記第1溶離剤が、メタノール、メタノールおよび水の混合物、エタノール、エタノールおよび水の混合物、アセトンおよび水の混合物またはこれらの組み合わせである、上記9に係る薬剤組成物。
【0022】
11.前記第1溶離剤が、エタノールおよび水の混合物である、上記10に係る薬剤組成物。
【0023】
12.前記逆相クロマトグラフィーカラムが、第1溶離剤の前に水またはエタノール20質量%を含むエタノールおよび水の混合物で溶出される、上記11に係る薬剤組成物。
【0024】
13.前記有効産物は、前記第1濃縮溶出液であり、前記第1濃縮溶出液が、6−ジンジャオールおよび6−ショーガオールを含む、上記9に係る薬剤組成物。
【0025】
14.逆相クロマトグラフィーカラムを用いるときに、前記有効産物は、前記第2濃縮溶出液であり、第1溶離剤が、エタノール40質量%を含むエタノールおよび水の混合物よりも弱い極性を有する、上記1、10、11または12に係る薬剤組成物。
【0026】
15.前記第2溶離剤は、アセトン、アセトンおよび水の混合物、アセトンおよびメタノールの混合物、アセトンおよびエタノールの混合物、アセトンおよび炭素数4〜6のアルカンの混合物、炭素数4〜6のアルカン、メタノールおよび炭素数4〜6のアルカンの混合物、エタノールおよび炭素数4〜6のアルカンの混合物、またはこれらの組み合わせである、上記14に係る薬剤組成物。
【0027】
16.前記第2溶離剤が、アセトンである、上記15に係る薬剤組成物。
【0028】
17.前記第2濃縮溶出液に、ジンジャオールまたは6−ショーガオールが存在しない、上記14に係る薬剤組成物。なお、「ジンジャオールまたは6−ショーガオールが存在しない」とは、「全く存在しない」との概念のみならず、「実質的にジンジャオールまたは6−ショーガオールが存在しない」との概念をも含む。具体的には、下記実施例で規定されているHPLC分析の検出限界を超える値を意味する。
【0029】
18.前記第2濃縮溶出液に、6−ジンジャオールおよび6−ショーガオールいずれも存在しない、上記14に係る薬剤組成物。なお、「6−ジンジャオールおよび6−ショーガオールいずれも存在しない」とは、上記と同様、「全く存在しない」との概念のみならず、「実質的にジンジャオールまたは6−ショーガオールが存在しない」との概念をも含む。具体的には、下記実施例で規定されているHPLC分析の検出限界を超える値を意味する。
【0030】
19.前記順相クロマトグラフィーカラムを用いるときに、前記有効産物が、前記第1濃縮溶出液であり、前記第1溶離剤が、n−ヘキサンおよび酢酸エチルの混合物(質量比6:4)よりも極性が弱い、上記1に係る薬剤組成物。
【0031】
20.前記第1溶離剤が、n−ヘキサンおよび酢酸エチルの混合物(質量比9:1)と近い極性を有する、上記19に係る薬剤組成物。
【0032】
21.第1溶離剤が、n−ヘキサンおよび酢酸エチルの混合物(質量比9:1)である、上記19に係る薬剤組成物。
【0033】
22.前記第1濃縮溶出液に、6−ジンジャオールまたは6−ショーガオールが存在しない、上記19に係る薬剤組成物。
【0034】
23.前記第1濃縮溶出液に、6−ジンジャオールおよび6−ショーガオールのいずれも存在しない、上記19に係る薬剤組成物。
【0035】
24.前記順相クロマトグラフィーカラムを用いるときに、前記有効産物が、前記第2濃縮溶出液であり、前記第2溶離剤が、n−ヘキサンおよび酢酸エチルの混合物(質量比6:4)の極性と近いまたは同じ、そして、前記第2濃縮溶出液が、6−ジンジャオールおよび6−ショーガオールを含む、上記1に係る薬剤組成物。
【0036】
25.前記第2溶離剤は、n−ヘキサンおよび酢酸エチルの混合物(質量比6:4)である、上記24に係る薬剤組成物。
【0037】
26.前記薬剤組成物は、さらに、希釈剤、賦形剤または担体を含んでもよい。
【0038】
上記発明は、生姜の根茎由来の、治療上有効な量の有効産物を含むヘリコバクター・ピロリが関連する疾患の治療用薬剤組成物の製造方法としても、好ましい。
【0039】
本願出願人は、イギリス特許第2366565号において、消炎、抗血小板凝集および抗真菌活性に有効な生姜由来の抽出物を調製する方法であって、下記段階を含むものを開示する:
有機溶剤もしくは超臨界CO2または蒸気による蒸留によって抽出された生姜の根茎由来の粗液を調製し;
前記粗液を、逆相クロマトグラフィーカラムに導入し、水、第1溶離剤、第1溶離剤よりも低い極性を有するがクロロホルムよりも高い極性を有する第2溶離剤により、カラムで溶出し、第1溶離剤の溶離により第1溶出液と、第2溶離剤の溶離により第2溶出液と、を得;
エバポレーションにて、第1溶出液および第2溶出液から、それぞれ、第1溶離剤および第2溶離剤を除去し、有効な抽出物として、第1濃縮溶出液および第2濃縮溶出液を得る。
【0040】
本発明をさらに実施例を以って詳しく説明するが、これに制限されるものではない。なお、パーセントおよび他の量は、特に記載がなければ、すべて質量とする。また、全量は100%とする。
【実施例】
【0041】
[実施例1]
スライスし陰干した生姜の根茎を粉砕し、篩の目開きメッシュNo.10の篩に通した。その結果生じた粉末 1質量部を、95%エタノール 8質量部と混合し、その結果生じた混合物を、1時間、還流下で沸騰させ、ろ過し、ろ液Aと残渣を得た。前記残渣を95%エタノールと混ぜ(質量比1:8)、その結果生じた混合物を、1時間還流下で沸騰させ、ろ過し、ろ液Bを得た。
【0042】
ろ液Aおよびろ液Bを合わせ、70℃のウォーターバスで濃縮し、「RotavaporR−220,BUCHI,Switzerland」にて真空にして濃縮した。その結果生じた濃縮物を、前記濃縮物の乾燥質量の20倍の量のHP−20樹脂(Mitsubishi,Japan)Diaion(登録商標)を充填した逆相クロマトグラフィーカラム(7.1cm×90cm)に導入し、「水 5ベッドボリューム、40%エタノール 4ベッドボリュームおよびアセトン 4ベッドボリューム」をこの順で抽出した。
【0043】
40%エタノールで溶出した溶出液およびアセトンで溶出した溶出液を、それぞれ回収した。
【0044】
40%エタノールで溶出した溶出液を、「Rotavapor R−220,BUCHI,Switzerland」にて真空濃縮し、次いで、80℃ウォーターバスで1時間再度濃縮し、1時間真空濃縮(40mbar)し、サンプル1を得た。
【0045】
アセトンで溶出した溶出液を、「Rotavapor R−220,BUCHI,Switzerland」にて真空濃縮し、80℃ウォーターバスで再度濃縮し、1時間真空濃縮(40mbar)し、サンプル2を得た。
【0046】
[実施例2]
40%エタノール溶離剤を70%エタノールに置き換えた以外は、実施例1の手順と同様に行った。
【0047】
サンプル3は、70%エタノールで溶出することにより得、サンプル4は、アセトンで溶出することにより得た。
【0048】
[実施例3]
40%エタノールの溶離剤を95%エタノールに置き換えた以外は、実施例1の手順と同様に行い、サンプル5を得た。
【0049】
[実施例4]
スライスし陰干した生姜の根茎を粉砕し、篩の目開きメッシュNo.10に通した。その結果生じた粉末 1質量部を、95%エタノール 8質量部と混合し、その結果生じた混合物を、1時間還流下で沸騰させ、ろ過し、ろ液Aと残渣を得た。
【0050】
前記残渣を、95%エタノールに混合し(質量比1:8)、その結果生じた混合物を、1時間還流下で沸騰させ、ろ過し、ろ液Bを得た。
【0051】
ろ液Aおよびろ液Bを合わせ、70℃ウォーターバスにて濃縮し、「Rotavapor R−220,BUCHI,Switzerland」にて真空濃縮し、当初の1/5の質量になるようにした。
【0052】
その結果生じた濃縮物の4倍の質量の水を、当初の質量に戻るように加え、その結果生じた液体を、逆相クロマトグラフィーカラム(7.1cm×90cm)にかけ、前記濃縮物の乾燥質量の20倍に相当するDiaion(登録商標)を充填した逆相クロマトグラフィーカラム(7.1cm×90cm)HP−20樹脂(Mitsubishi,Japan)に導入し、「20% エタノール 1ベッドボリュームおよび70%エタノール 4ベッドボリューム」の順で溶離した。
【0053】
70%エタノールで溶出した溶出液を回収し、「RotavaporR−220,BUCHI,Switzerland」にて真空濃縮し、80℃ウォーターバスで再度濃縮し、1時間真空濃縮(40mbar)し、サンプル6を得た。
【0054】
[実施例5]
70%エタノール溶離剤を95%エタノールに置き換えた以外は、実施例4の手順と同様の方法を行い、サンプル7を得た。
【0055】
[実施例6]
スライスし陰干した生姜の根茎を粉砕し、篩の目開きメッシュNo.10に通した。その結果生じた粉末 1質量部を、95%エタノール 8質量部と混合させ、その結果生じた混合物を、ホモゲナイザー 2000rpm(TypeX50/10,Ystral,Germany)で、1時間で攪拌し、ろ過し、ろ液Aおよび残渣を得た。
【0056】
前記残渣を、95%エタノールと混合し(質量比1:8)、その結果生じた混合物を、1時間、ホモゲナイザー 2000rpmで攪拌し、ろ過し、ろ液Bを得た。
【0057】
ろ液Aおよびろ液Bを合わせ、70℃ウォーターバスにて濃縮し、「Rotavapor R−220,BUCHI,Switzerland」にて真空濃縮し、当初の質量の1/5にした。その結果生じた濃縮物の質量の4倍の水を、当初の質量に戻るように加えた。
【0058】
その結果生じた液体を、前記濃縮物の乾燥質量の20倍の量のDiaion(登録商標)HP−20(Mitsubishi,Japan)樹脂を充填した逆相クロマトグラフィーカラム(7.1cm×90cm)に導入し、「20%エタノール 1ベッドボリュームおよび70%エタノール 4ベッドボリューム」の順で溶離した。
【0059】
70%エタノールで溶出した溶出液を回収し、「Rotavapor R−220,BUCHI,Switzerland」にて真空濃縮し、80℃ウォーターバスで濃縮し、1時間真空濃縮(40mbar)し、サンプル8を得た。
【0060】
[実施例7]
70%エタノールの溶離剤を95%エタノールに置き換えた以外は、実施例6の手順の同様の方法でサンプル9を得た。
【0061】
[実施例8]
スライスし陰干した生姜の根茎を粉砕し、篩の目開きメッシュNo.10の篩に通した。その結果生じた粉末 1質量部を、アセトン 8質量部と混合し、その結果生じた混合物を、1時間還流下で沸騰させ、ろ過し、ろ液Aおよび残渣を得た。
【0062】
前記残渣を、アセトンに混合し(質量比 1:8)、その結果生じた混合物を、1時間還流下で、沸騰させ、ろ過し、ろ液Bを得た。
【0063】
ろ液Aおよびろ液Bを合わせ、70℃ウォーターバスで濃縮し、「Rotavapor R−220,BUCHI,Switzerland」にて真空濃縮した。
【0064】
その結果生じた濃縮物を、前記濃縮物の乾燥質量の20倍の量のDiaion(登録商標)HP−20樹脂(Mitsubishi,Japan)が充填した逆相クロマトグラフィーカラム(7.1cmx90cm)に導入し、「水 5ベッドボリューム、40%エタノール 4ベッドボリュームおよびアセトン 2ベッドボリューム」の順で溶離した。
【0065】
アセトンで溶出した溶出液を回収し、「Rotavapor R−220,BUCHI,Switzerland」にて真空乾燥し、80℃ウォーターバスで再度濃縮し、1時間真空濃縮(40mbar)し、サンプル10を得た。
【0066】
[実施例9]
40%エタノールの溶離剤を70%エタノールに置き換えた以外は、実施例8の手順と同様に行いサンプル11を得た。70%エタノールで溶出した溶出液を回収し、「Rotavapor R−220,BUCHI,Switzerland」にて真空濃縮し、80℃ウォーターバスで再度濃縮し、1時間真空濃縮(40mbar)し、サンプル11を得た。
【0067】
[実施例10]
粉末および残渣を、アセトンの代わりに酢酸エチルで沸騰させた(還流させた)以外は、実施例8の手順と同様に行い、サンプル12を得た。
【0068】
[実施例11]
粉末および残渣を、アセトンの代わりに酢酸エチルで沸騰させた(還流させた)以外は、実施例9の手順と同様の方法を行い、サンプル13を得た。
【0069】
[実施例12]
スライスし陰干した生姜の根茎を粉砕し、篩の目開きメッシュNo.10の篩に通した。その結果生じた粉末 1質量部を、95%エタノール 8質量部と混合し、その結果生じた混合物を、1時間還流下で沸騰し、ろ過し、ろ液Aおよび残渣を得た。前記残渣を、95%エタノールに混合し(質量比1:8)、ろ液Bを得た。
【0070】
ろ液Aおよびろ液Bを合わせ、70℃ウォーターバスで濃縮し、「Rotavapor R−220,BUCHI,Switzerland」にて真空濃縮した。
【0071】
その結果生じた濃縮物を、前記濃縮物の質量の20倍のシリカゲル60(Merck,Germany)を充填した順相クロマトグラフィーカラムに導入し、「n−ヘキサン:酢酸エチルの混合溶離剤(9:1) 4ベッドボリューム、n−ヘキサン:酢酸エチルの混合溶離剤(6:4) 3ベッドボリュームおよび酢酸エチル:メタノールの混合溶離剤(1:1) 2ベッドボリューム」をこの順で溶離した。
【0072】
n−ヘキサン:酢酸エチル(9:1)の溶離による溶出液を回収し、「Rotavapor R−220,BUCHI,Switzerland」にて真空濃縮し、80℃ウォーターバスにて再度濃縮し、1時間真空濃縮(40mbar)し、サンプル14を得た。
【0073】
サンプル14を得るのと同様の手順により、n−ヘキサン:酢酸エチル(6:4)、酢酸エチル:メタノール(1:1)により、サンプル15およびサンプル16を得た。
【0074】
[実施例13]
95%エタノールをアセトンに置き換えた以外は、実施例12の手順と同様に行った。
【0075】
サンプル17、サンプル18およびサンプル19は、「n−ヘキサン:酢酸エチル=9:1、n−ヘキサン:酢酸エチル=6:4,および酢酸エチル:メタノール=1:1」でそれぞれ溶離して得た。
【0076】
[実施例14]
スライスし陰干した生姜の根茎を粉砕し、篩の目開きメッシュNo.10に通した。その結果生じた粉末 1質量部を、95%エタノール 8質量部と混合し、その結果生じた混合物を、1時間還流下で沸騰し、ろ過し、ろ液Aおよび残渣を得た。
【0077】
前記残渣を、95%エタノールと混合し(質量比1:8)、その結果生じた混合物を、還流下で沸騰し、ろ過し、ろ液Bを得た。
【0078】
ろ液Aおよびろ液Bを合わせ、薄膜バキュームエバポレーター(CEP−L,OkawaraMfg.Co.,Japan)にて濃縮し、当初の質量の1/5にした。
【0079】
その結果生じた濃縮物を、前記濃縮物の乾燥質量の20倍の量のDiaion(登録商標)HP−20樹脂(Mitsubishi,Japan)を充填した逆相クロマトグラフィーカラム(34.5cm×100cm)に導入し、「95%エタノール 2ベッドボリュームおよびアセトン 2ベッドボリューム」を順に、溶離した。
【0080】
アセトンで溶出した溶出液を回収し、「Rotavapor R−220,BUCHI,Switzerland」にて真空濃縮し、80℃ウォーターバスで再度濃縮し、1時間真空濃縮(40mbar)し、サンプル20を得た。
【0081】
HPLC分析サンプル調製:
サンプルを秤量し、サンプルボトルに入れ、10mg/mlの濃度のサンプル溶液になるようにメタノールで希釈した。
【0082】
0.45μmろ紙で、サンプル溶液をろ過し、HPLCでろ液を分析した。
【0083】
【表1】
【0084】
上記に調製されたサンプル1〜サンプル20のHPLC分析の結果を、図1〜図20に示す。
【0085】
サンプル中の6−ジンジャオールおよび6−ショーガオール成分(mg/g)をHPLC分析で算出し、サンプル調製の使用した抽出条件および溶離条件とともに表1にリストアップした。
【0086】
【表2−1】
【0087】
【表2−2】
【0088】
サンプル1〜13および20は、逆相クロマトグラフィーカラムを用いて調製した。
【0089】
図1〜4に示すHPLC分析の特徴と比較して、40%エタノールで溶出した溶出液は、6−ジンジャオールよりも強い極性を有する化合物を含み(サンプル1)、70%エタノールで溶出した溶出液は、6−ジンジャオールおよび6−ショーガオールよりも強い極性を有する化合物を含み(サンプル3)、アセトンで溶出した溶出液は、比較的弱い極性を有する残りの化合物であることが分かる(サンプル2およびサンプル4)。
【0090】
図6および図7を見ると、溶離剤として70%エタノールを使用したものと比較して、95%エタノールを使用したものは、より右側にピークが見られることが分かる。同様の傾向が、抽出条件は異なるものの、図6および7のように図8および9で観察できる。
【0091】
図10および12に示す特徴は、抽出条件は異なるが、溶離条件が同じである点、図2に示すそれと似ている。
【0092】
図11および13に示す特徴は、抽出条件は異なるが、溶離条件が同じである点、図3に示すそれと似ている。
【0093】
サンプル20は、弱い極性を有する化合物を多く含み、図20に示すように6−ジンジャオールおよび6−ショーガオールを観察することができず、それは、95%エタノール溶離剤が、逆相クロマトグラフィーカラムから、6−ジンジャオールおよび6−ショーガオールを含む比較的強い極性を有するものを溶出したことを示唆する。
【0094】
サンプル13〜15は、HPLC分析において、抽出条件が異なるが、順相クロマトグラフィーカラムの溶離条件が同じである点、サンプル16〜19と似ている(図13〜19)。
【0095】
n−ヘキサン:酢酸エチル=9:1溶離剤を使用すると、図14(図16)で示すように、サンプル14(サンプル16)の成分の殆どが無極性化合物であり、n−ヘキサン:酢酸エチル=6:4溶離剤を使用すると、サンプル15(サンプル17)は、かなりの量の6−ジンジャオールおよび6−ショーガオールを含む。
【0096】
1.抗菌試験
ヘリコバクター・ピロリにおけるサンプルの最小(発育)阻止濃度(MIC)は、寒天希釈法[Malanosk G.J. et al. Effect of pH variation on the susceptibility of Helicobacter pylori to three marcolide antimicrobial agents and temafloxacin. Eur. J. Clin. Microbial Infect Dis. 12: pp. 131-133, 1993.]により測定した。
【0097】
前記検体を溶解し、DMSOに連続的に希釈し、所望の濃度にした。
【0098】
それぞれの濃度試験のために、7%のウサギの脱線維素血液が培地されたColumbiaagarbase(Oxoid,England)0.99ml含む48−wellplateに、アリコート0.01mlを加える。
【0099】
ヘリコバクター・ピロリ(ATCC43504)接種材料は、5×105CFU/mlの密度のブレインハートインフュージョン培養液に懸濁させることで、調製する。
【0100】
DMSOの最終的な最大濃度は、1%であり、最初の検体濃度は、300μg/mlである。
【0101】
前記プレートを、微好気的条件(混合ガスN2 85%,CO2 10%およびO2 5%)35℃72時間培養し、視診し、コロニー増殖の抑制を、「陽性(+)」とスコア−し、コロニー増殖の影響がない場合、「陰性(−)」とした。
【0102】
担体−対照およびゲンタマイシンを、それぞれブランクおよび陽性対照として使用した。
【0103】
各濃度は、2回評価した。
【0104】
結果を表2に示す。
【0105】
【表3】
【0106】
2.ヘリコバクター・ピロリ誘起胃潰瘍
ヘリコバクター・ピロリ−誘起胃潰瘍におけるサンプルの影響は、先に示されている[[Marchetti, M., Arico, B., Burroni, D., Figura, N., Rappuoli, R. and Ghiara, P. Development of a mouse model of Helicobacter pylori infection that mimics human disease. Science 267: 1655-1658, 1995.]により評価する。
【0107】
質量24±2gのマウスで分けられた5つのオスのCD−1(Crl.)の群は、「3.2×109コロニー形成ユニット/0.4ml/mouse」の懸濁における臨床分離されたヘリコバクター・ピロリの胃内接種の前に18時間絶食させた。
【0108】
ヘリコバクター・ピロリ接種の1時間後、7日連続で1日2回(10:00amおよび4:00pm)試験サンプルおよび担体(2%CMC,10ml/kg)が、それぞれ試験動物に経口投与された。
【0109】
オメプラゾール(Omeprazole)(1mg/kg)と、クラリスロマイシン(clarithromycin)(10mg/kg)と、が組み合わされ、陽性の制御因子のために使用され、一日一回7日連続で同じスケジュールの下、試験動物に経口投与した。
【0110】
感染8日後、すべての動物を夜通し絶食させ、殺し、大弯に沿って胃を解剖した。
【0111】
胃潰瘍性は、出血および潰瘍性病巣の重篤性の程度により4つのレベルにスコアした。
【0112】
0=通常の外見
1=緩やかな赤い点
2=適度な赤い点および/または出血点
3=著しい出血点
ヘリコバクター・ピロリ-誘起胃潰瘍における抑制性の割合は、下記の通り、算出することができる。
【0113】
(担体群スコア-試験群スコア)/(担体群スコア)×100%
結果を表3に示す。
【0114】
【表4】
【0115】
上記実施例により調製されたサンプル中ヘリコバクター・ピロリに誘起された胃潰瘍治療において、サンプル1のみ6−ジンジャオールより効果が弱かった。
【0116】
サンプル20が、一番効果があり100mg/kg、30mg/kg、10mg/kgおよび3mg/kgの投与においてヘリコバクター・ピロリ-誘起胃潰瘍の抑制性が、それぞれ83%,75%,67%および50%であった。
【図面の簡単な説明】
【0117】
【図1】サンプル1のHPLC分析の結果を示したものである。
【図2】サンプル2のHPLC分析の結果を示したものである。
【図3】サンプル3のHPLC分析の結果を示したものである。
【図4】サンプル4のHPLC分析の結果を示したものである。
【図5】サンプル5のHPLC分析の結果を示したものである。
【図6】サンプル6のHPLC分析の結果を示したものである。
【図7】サンプル7のHPLC分析の結果を示したものである。
【図8】サンプル8のHPLC分析の結果を示したものである。
【図9】サンプル9のHPLC分析の結果を示したものである。
【図10】サンプル10のHPLC分析の結果を示したものである。
【図11】サンプル11のHPLC分析の結果を示したものである。
【図12】サンプル12のHPLC分析の結果を示したものである。
【図13】サンプル13のHPLC分析の結果を示したものである。
【図14】サンプル14のHPLC分析の結果を示したものである。
【図15】サンプル15のHPLC分析の結果を示したものである。
【図16】サンプル16のHPLC分析の結果を示したものである。
【図17】サンプル17のHPLC分析の結果を示したものである。
【図18】サンプル18のHPLC分析の結果を示したものである。
【図19】サンプル19のHPLC分析の結果を示したものである。
【図20】サンプル20のHPLC分析の結果を示したものである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
生姜(Zingiber officinale)の根茎由来の、治療上有効な量の有効産物を含むヘリコバクター・ピロリが関連する疾患の治療用薬剤組成物であって、
前記有効産物が、下記段階を含む工程:
a)6−ジンジャオールおよび6−ショーガオールを含む、生姜の根茎由来の粗抽出物を調製する;
b)粗抽出物を、逆相クロマトグラフィーカラムまたは順相クロマトグラフィーカラムに導入し、第1溶離剤、第2溶離剤の順でカラムから溶出し、この際、i)逆相クロマトグラフィーカラムを使用するときは、前記第1溶離剤は、水よりも弱い極性を有し、および、前記第2溶離剤は、第1溶離剤よりも弱い極性を有し、または、ii)順相クロマトグラフィーカラムを用いるときは、前記第2溶離剤は、酢酸エチルおよびメタノールの混合物(1:1の質量比)よりも弱い極性を有し、および、前記第1溶離剤は、第2溶離剤よりも弱い極性を有し、第1溶離剤の溶出により第1溶出液および第2溶離剤の溶出により第2溶出液を得;さらに、
c)エバポレーションにより、第1溶出液から第1溶離剤を除去し、第1濃縮溶出液を得、有効産物として使用し、または、エバポレーションにより、第2溶出液から第2溶離剤を除去し、第2濃縮溶出液を得、有効産物として使用し;
前記段階a)は、段階i)〜iv)、または、段階I)、段階I’)もしくは段階I”)を含み、
前記段階i)〜iv)は;
i)生姜の根茎をすりおろし、その結果生じた混合物をろ過し、ろ液および残渣を得;
ii)第1有機溶剤により、前記ろ液を抽出し、前記抽出溶液を回収し、前記抽出溶液から第1有機溶剤を蒸発させ、第1濃縮抽出溶液を得;
iii)第2有機溶剤により残渣を抽出し、抽出溶液を回収し、前記抽出溶液から第2有機溶剤を蒸発させ、第2濃縮抽出溶液を得;さらに、
iv)前記第1濃縮抽出溶液および前記第2濃縮抽出溶液を混ぜ、粗抽出物溶液を得;
前記段階I)は:
I)前記第2有機溶剤と同じ有機溶剤で、乾燥した生姜の根茎を抽出し、抽出溶液を回収し、前記抽出溶液から前記有機溶剤を蒸発させ、粗抽出物を得;
前記段階I’)は:
I’)乾燥した生姜の根茎を水蒸気蒸留し、エバポレーションにより生じる蒸留液を濃縮して、粗抽出物を得;
前記段階I”)は:
I”)超臨界CO2にて生姜の根茎の乾燥粉末を抽出し、抽出溶液を回収し、前記抽出溶液からCO2をエバポレーションして、粗抽出物を得る、
により調製される、薬剤組成物。
【請求項2】
前記疾患は胃潰瘍である、請求項1に記載の薬剤組成物。
【請求項3】
前記粗抽出物は、段階i)〜iv)を含む方法により調製される、請求項1または2に記載の薬剤組成物。
【請求項4】
前記第1有機溶剤が、エチルエーテルで、前記第2有機溶剤が、アセトン、メタノール、エタノール、メタノールおよび水の混合物、エタノールおよび水の混合物またはこれらの組み合わせである、請求項3に記載の薬剤組成物。
【請求項5】
前記第2有機溶剤が、アセトンである、請求項4に記載の薬剤組成物。
【請求項6】
前記粗抽出物が、段階I)を含む方法により調製される、請求項1または2に記載の薬剤組成物。
【請求項7】
前記有機溶剤が、アセトン、メタノール、エタノール、メタノールおよび水の混合物、エタノールおよび水の混合物またはこれらの組み合わせである請求項6に記載の薬剤組成物。
【請求項8】
前記有機溶剤が、アセトン、エタノールまたはエタノールおよび水の混合物である、請求項7に記載の薬剤組成物。
【請求項9】
前記逆相クロマトグラフィーカラムを用いるときに、第1溶離剤が、エタノール40質量%を含むエタノールおよび水の混合物よりも弱い極性を有する、請求項1に記載の薬剤組成物。
【請求項10】
前記第1溶離剤が、メタノール、メタノールおよび水の混合物、エタノール、エタノールおよび水の混合物、アセトンおよび水の混合物またはこれらの組み合わせである、請求項9に記載の薬剤組成物。
【請求項11】
前記第1溶離剤が、エタノールおよび水の混合物である、請求項10に記載の薬剤組成物。
【請求項12】
前記逆相クロマトグラフィーカラムが、第1溶離剤の前に水またはエタノール20質量%を含むエタノールおよび水の混合物で溶出される、請求項11に記載の薬剤組成物。
【請求項13】
前記有効産物は、前記第1濃縮溶出液であり、前記第1濃縮溶出液が、6−ジンジャオールおよび6−ショーガオールを含む、請求項9に記載の薬剤組成物。
【請求項14】
逆相クロマトグラフィーカラムを用いるときに、前記有効産物は、前記第2濃縮溶出液であり、第1溶離剤が、エタノール40質量%を含むエタノールおよび水の混合物よりも弱い極性を有する、請求項1、10、11または12に記載の薬剤組成物。
【請求項15】
前記第2溶離剤は、アセトン、アセトンおよび水の混合物、アセトンおよびメタノールの混合物、アセトンおよびエタノールの混合物、アセトンおよび炭素数4〜6のアルカンの混合物、炭素数4〜6のアルカン、メタノールおよび炭素数4〜6のアルカンの混合物、エタノールおよび炭素数4〜6のアルカンの混合物、またはこれらの組み合わせである、請求項14に記載の薬剤組成物。
【請求項16】
前記第2溶離剤が、アセトンである、請求項15に記載の薬剤組成物。
【請求項17】
前記第2濃縮溶出液に、ジンジャオールまたは6−ショーガオールが存在しない、請求項14に記載の薬剤組成物。
【請求項18】
前記第2濃縮溶出液に、6−ジンジャオールおよび6−ショーガオールいずれも存在しない、請求項14に記載の薬剤組成物。
【請求項19】
順相クロマトグラフィーカラムを用いるときに、前記有効産物が、前記第1濃縮溶出液であり、前記第1溶離剤が、n−ヘキサンおよび酢酸エチルの混合物(質量比6:4)よりも極性が弱い、請求項1に記載の薬剤組成物。
【請求項20】
前記第1溶離剤が、n−ヘキサンおよび酢酸エチルの混合物(質量比9:1)である、請求項19に記載の薬剤組成物。
【請求項21】
前記第1濃縮溶出液に、6−ジンジャオールまたは6−ショーガオールが存在しない、請求項19に記載の薬剤組成物。
【請求項22】
前記第1濃縮溶出液に、6−ジンジャオールおよび6−ショーガオールのいずれも存在しない、請求項19に記載の薬剤組成物。
【請求項23】
前記順相クロマトグラフィーカラムを用いるときに、前記有効産物が、前記第2濃縮溶出液であり、前記第2溶離剤が、n−ヘキサンおよび酢酸エチルの混合物(質量比6:4)であり、前記第2濃縮溶出液が、6−ジンジャオールおよび6−ショーガオールを含む、請求項1に記載の薬剤組成物。
【請求項24】
前記第2溶離剤は、n−ヘキサンおよび酢酸エチルの混合物(質量比6:4)である、請求項23に記載の薬剤組成物。
【請求項25】
希釈剤、賦形剤または担体をさらに含む、請求項1に記載の薬剤組成物。
【請求項1】
生姜(Zingiber officinale)の根茎由来の、治療上有効な量の有効産物を含むヘリコバクター・ピロリが関連する疾患の治療用薬剤組成物であって、
前記有効産物が、下記段階を含む工程:
a)6−ジンジャオールおよび6−ショーガオールを含む、生姜の根茎由来の粗抽出物を調製する;
b)粗抽出物を、逆相クロマトグラフィーカラムまたは順相クロマトグラフィーカラムに導入し、第1溶離剤、第2溶離剤の順でカラムから溶出し、この際、i)逆相クロマトグラフィーカラムを使用するときは、前記第1溶離剤は、水よりも弱い極性を有し、および、前記第2溶離剤は、第1溶離剤よりも弱い極性を有し、または、ii)順相クロマトグラフィーカラムを用いるときは、前記第2溶離剤は、酢酸エチルおよびメタノールの混合物(1:1の質量比)よりも弱い極性を有し、および、前記第1溶離剤は、第2溶離剤よりも弱い極性を有し、第1溶離剤の溶出により第1溶出液および第2溶離剤の溶出により第2溶出液を得;さらに、
c)エバポレーションにより、第1溶出液から第1溶離剤を除去し、第1濃縮溶出液を得、有効産物として使用し、または、エバポレーションにより、第2溶出液から第2溶離剤を除去し、第2濃縮溶出液を得、有効産物として使用し;
前記段階a)は、段階i)〜iv)、または、段階I)、段階I’)もしくは段階I”)を含み、
前記段階i)〜iv)は;
i)生姜の根茎をすりおろし、その結果生じた混合物をろ過し、ろ液および残渣を得;
ii)第1有機溶剤により、前記ろ液を抽出し、前記抽出溶液を回収し、前記抽出溶液から第1有機溶剤を蒸発させ、第1濃縮抽出溶液を得;
iii)第2有機溶剤により残渣を抽出し、抽出溶液を回収し、前記抽出溶液から第2有機溶剤を蒸発させ、第2濃縮抽出溶液を得;さらに、
iv)前記第1濃縮抽出溶液および前記第2濃縮抽出溶液を混ぜ、粗抽出物溶液を得;
前記段階I)は:
I)前記第2有機溶剤と同じ有機溶剤で、乾燥した生姜の根茎を抽出し、抽出溶液を回収し、前記抽出溶液から前記有機溶剤を蒸発させ、粗抽出物を得;
前記段階I’)は:
I’)乾燥した生姜の根茎を水蒸気蒸留し、エバポレーションにより生じる蒸留液を濃縮して、粗抽出物を得;
前記段階I”)は:
I”)超臨界CO2にて生姜の根茎の乾燥粉末を抽出し、抽出溶液を回収し、前記抽出溶液からCO2をエバポレーションして、粗抽出物を得る、
により調製される、薬剤組成物。
【請求項2】
前記疾患は胃潰瘍である、請求項1に記載の薬剤組成物。
【請求項3】
前記粗抽出物は、段階i)〜iv)を含む方法により調製される、請求項1または2に記載の薬剤組成物。
【請求項4】
前記第1有機溶剤が、エチルエーテルで、前記第2有機溶剤が、アセトン、メタノール、エタノール、メタノールおよび水の混合物、エタノールおよび水の混合物またはこれらの組み合わせである、請求項3に記載の薬剤組成物。
【請求項5】
前記第2有機溶剤が、アセトンである、請求項4に記載の薬剤組成物。
【請求項6】
前記粗抽出物が、段階I)を含む方法により調製される、請求項1または2に記載の薬剤組成物。
【請求項7】
前記有機溶剤が、アセトン、メタノール、エタノール、メタノールおよび水の混合物、エタノールおよび水の混合物またはこれらの組み合わせである請求項6に記載の薬剤組成物。
【請求項8】
前記有機溶剤が、アセトン、エタノールまたはエタノールおよび水の混合物である、請求項7に記載の薬剤組成物。
【請求項9】
前記逆相クロマトグラフィーカラムを用いるときに、第1溶離剤が、エタノール40質量%を含むエタノールおよび水の混合物よりも弱い極性を有する、請求項1に記載の薬剤組成物。
【請求項10】
前記第1溶離剤が、メタノール、メタノールおよび水の混合物、エタノール、エタノールおよび水の混合物、アセトンおよび水の混合物またはこれらの組み合わせである、請求項9に記載の薬剤組成物。
【請求項11】
前記第1溶離剤が、エタノールおよび水の混合物である、請求項10に記載の薬剤組成物。
【請求項12】
前記逆相クロマトグラフィーカラムが、第1溶離剤の前に水またはエタノール20質量%を含むエタノールおよび水の混合物で溶出される、請求項11に記載の薬剤組成物。
【請求項13】
前記有効産物は、前記第1濃縮溶出液であり、前記第1濃縮溶出液が、6−ジンジャオールおよび6−ショーガオールを含む、請求項9に記載の薬剤組成物。
【請求項14】
逆相クロマトグラフィーカラムを用いるときに、前記有効産物は、前記第2濃縮溶出液であり、第1溶離剤が、エタノール40質量%を含むエタノールおよび水の混合物よりも弱い極性を有する、請求項1、10、11または12に記載の薬剤組成物。
【請求項15】
前記第2溶離剤は、アセトン、アセトンおよび水の混合物、アセトンおよびメタノールの混合物、アセトンおよびエタノールの混合物、アセトンおよび炭素数4〜6のアルカンの混合物、炭素数4〜6のアルカン、メタノールおよび炭素数4〜6のアルカンの混合物、エタノールおよび炭素数4〜6のアルカンの混合物、またはこれらの組み合わせである、請求項14に記載の薬剤組成物。
【請求項16】
前記第2溶離剤が、アセトンである、請求項15に記載の薬剤組成物。
【請求項17】
前記第2濃縮溶出液に、ジンジャオールまたは6−ショーガオールが存在しない、請求項14に記載の薬剤組成物。
【請求項18】
前記第2濃縮溶出液に、6−ジンジャオールおよび6−ショーガオールいずれも存在しない、請求項14に記載の薬剤組成物。
【請求項19】
順相クロマトグラフィーカラムを用いるときに、前記有効産物が、前記第1濃縮溶出液であり、前記第1溶離剤が、n−ヘキサンおよび酢酸エチルの混合物(質量比6:4)よりも極性が弱い、請求項1に記載の薬剤組成物。
【請求項20】
前記第1溶離剤が、n−ヘキサンおよび酢酸エチルの混合物(質量比9:1)である、請求項19に記載の薬剤組成物。
【請求項21】
前記第1濃縮溶出液に、6−ジンジャオールまたは6−ショーガオールが存在しない、請求項19に記載の薬剤組成物。
【請求項22】
前記第1濃縮溶出液に、6−ジンジャオールおよび6−ショーガオールのいずれも存在しない、請求項19に記載の薬剤組成物。
【請求項23】
前記順相クロマトグラフィーカラムを用いるときに、前記有効産物が、前記第2濃縮溶出液であり、前記第2溶離剤が、n−ヘキサンおよび酢酸エチルの混合物(質量比6:4)であり、前記第2濃縮溶出液が、6−ジンジャオールおよび6−ショーガオールを含む、請求項1に記載の薬剤組成物。
【請求項24】
前記第2溶離剤は、n−ヘキサンおよび酢酸エチルの混合物(質量比6:4)である、請求項23に記載の薬剤組成物。
【請求項25】
希釈剤、賦形剤または担体をさらに含む、請求項1に記載の薬剤組成物。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【公開番号】特開2009−96789(P2009−96789A)
【公開日】平成21年5月7日(2009.5.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−301916(P2007−301916)
【出願日】平成19年11月21日(2007.11.21)
【出願人】(500390032)財団法人醫藥工業技術發展中心 (3)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年5月7日(2009.5.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年11月21日(2007.11.21)
【出願人】(500390032)財団法人醫藥工業技術發展中心 (3)
【Fターム(参考)】
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