説明

ベッド

【課題】うつ伏せ状態で体に負担なく長時間横たわることができるベッドを提供すること。
【解決手段】ベッド1が、頭部側表面中央に、少なくとも利用者Uの鼻を収容する大きさの凹部が設けられたマット部3と、マット部3が載置される床面本体10aが設けられたフレーム部と、を備え、フレーム部が、フレーム部本体10と、フレーム部本体10から頭部側の隅部が分離してなる一対のフレーム隅部11,12と、一対のフレーム隅部11,12の床面隅部11a,12aを床面本体10a位置よりも低位方向に移動して所望の位置に停止させ、かつ床面本体10a位置まで復帰させるジャッキ部(駆動部)13と、を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ベッドに関する。
【背景技術】
【0002】
入院が必要な眼科手術として、例えば、網膜剥離といった疾病を治癒させる手術がある。この網膜剥離の手術後のしばらくの間、患者はベッドの上でうつ伏せ状態になって頭を固定しておく必要がある。
【0003】
ただし、通常の入院用ベッドは仰向け状態を想定して作られているため、そのままうつ伏せになった場合には呼吸しづらくなる等の不都合が生じやすく、術後の患者がうつ伏せ状態で長時間横たわることは難しい。そこで、うつ伏せ状態を維持しやすくするための様々な眼科用枕が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。しかし、眼科用枕を使用した場合、顔面がベッドマットの上面よりも上側になるので枕が高いと背中が反った状態となり、長時間うつ伏せ状態を続けると頸椎まわりの負担が大きくなってしまう。
【0004】
一方、例えば、人の顔の大きさよりやや小さい楕円形状に形成された凹部がマット上面に設けられて、鼻や顔を凹部に挿入した状態でうつ伏せになることができるベッドが提案されている(例えば、特許文献2参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実用新案登録第3065962号公報
【特許文献2】実用新案登録第3105561号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献2に記載のベッドは、主にマッサージ等の施術の際に用いられるものなので、肩幅が十分でなく、眼科手術後、長時間うつ伏せ状態を維持するには不向きである。
【0007】
本発明は上記事情に鑑みて成されたものであり、うつ伏せ状態で体に負担なく長時間横たわることができるベッドを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記課題を解決するため、以下の手段を採用する。
本発明に係るベッドは、頭部側表面中央に、少なくとも利用者の鼻を収容する大きさの凹部が設けられたマット部と、該マット部が載置される床面が設けられたフレーム部と、を備え、該フレーム部が、フレーム部本体と、該フレーム部本体から頭部側の隅部が分離してなる一対のフレーム隅部と、前記一対のフレーム隅部を前記フレーム部本体の前記床面位置よりも低位方向に移動して所望の位置に停止させ、かつ前記床面位置まで復帰させる駆動部と、を備えていることを特徴とする。
【0009】
この発明は、凹部に鼻を埋めて両腕を頭部側に伸ばした状態でうつ伏せになったときに、腕が載置される部位となる一対のフレーム隅部の床面位置が駆動部によりフレーム部本体の床面位置よりも低位方向に移動するものである。そのため、両腕の位置が顔面位置よりも下側になるので、楽な姿勢でうつ伏せ状態を維持することができる。また、駆動部によりフレーム部本体の床面位置に対してフレーム隅部の床面位置の高さを自由に設定でき、利用者の腕の長さや寝心地に応じて楽な姿勢をとれるように調節することができる。
【0010】
また、本発明は、前記ベッドであって、前記マット部が、マット部本体と、該マット部本体から頭部側の隅部が分離してなり、前記一対のフレーム隅部にそれぞれ載置される一対のマット隅部と、を備えていることを特徴とする。
【0011】
この発明は、フレーム部の一部だけでなくマット部の一部もともに移動させるもので、腕の位置をより好適な位置に調節することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、うつ伏せ状態で体に負担なく長時間横たわることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の一実施形態に係るベッドを示す平面図である。
【図2】本発明の一実施形態に係るベッドにうつ伏せ時の(a)初期状態、(b)腕を下げた状態、を示す側面図である。
【図3】本発明の一実施形態に係るベッドにうつ伏せ時の(a)初期状態、(b)腕を下げた状態、を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明に係る一実施形態について、図1から図3を参照して説明する。
本実施形態に係るベッド1は、頭部側表面中央に、少なくとも利用者Uの鼻を収容することができる程度の大きさの凹部2が設けられたマット部3と、このマット部3が載置されるフレーム部5と、を備えている。
【0015】
マット部3は、マット部本体6と、マット部本体6から頭部側の隅部が分離してなる一対のマット隅部7,8と、を備えている。なお、凹部2を塞ぐ不図示の蓋部を設けてもよい。また、マット部3は、種々のマットレスやボックスボトムを含んでもよい。
【0016】
一対のマット隅部7,8は、利用者Uがマット部3上にうつ伏せ状態になり、さらに両腕を上げた状態となったとき、肩から先の部分が載置される領域にそれぞれ配されている。
【0017】
フレーム部5は、フレーム部本体10と、一対のフレーム隅部11,12と、ジャッキ部(駆動部)13と、脚部15と、ジャッキ部13を支える支持部材16と、を備えている。
【0018】
フレーム部本体10には、マット部本体6が載置される床面本体(床面)10aが設けられている。フレーム部本体10は脚部15によって支持されている。
【0019】
一対のフレーム隅部11,12は、フレーム部本体10から頭部側の隅部がフレーム部本体10に対して移動できるように分離されて形成され、一対のマット隅部7,8がそれぞれ載置される床面隅部(床面)11a,12aが設けられている。
【0020】
ジャッキ部13はパンタグラフ式のジャッキ構造とされ、一対のフレーム隅部11,12の床面隅部11a,12aを床面本体10a位置よりも低位方向に移動して所望の位置に停止させ、かつ床面本体10a位置まで復帰させるように、一対のフレーム隅部11,12の下側に配された支持部材16上、かつ、フレーム隅部11の下側及びフレーム隅部12の下側にそれぞれ一つずつ配されている。2つのジャッキ部13は操作部分が連結されており、一の操作によって両方のジャッキ部13が同時に上下移動できるようになっている。そして、ジャッキ部13は、一対のフレーム隅部11,12を上方向に移動させたとき、フレーム部本体10の床面本体10aと一対のフレーム隅部11,12の床面隅部11a,12aとが同じ位置になるまでジャッキアップできるよう、支持部材16とともにその位置が調節されている。
【0021】
次に、本実施形態に係るベッド1の作用効果について説明する。
まず、フレーム部本体10の床面本体10aと一対のフレーム隅部11,12の床面隅部11a,12aとが同じ位置になるようにジャッキ部13をジャッキアップさせる。その状態で、利用者Uは鼻がマット部本体6の凹部2内に収容されるようにうつ伏せ状態となり、両腕をそれぞれ一対のマット隅部7,8上に載置する。
【0022】
続いて、不図示の介助者がジャッキ部13を操作して、一対のフレーム隅部11,12を下方に移動させる。このとき、一対のマット隅部7,8も下方に移動する。これにより、腕が載置される部位となる一対のフレーム隅部11,12の床面隅部11a,12aの高さが、フレーム部本体10の床面本体10aの高さよりも低位方向に移動するので、利用者Uの両腕の高さが顔面位置よりも下方に移動する。そして、利用者が楽な位置でジャッキ部13の駆動を停止することにより、両腕が利用者Uにとって好適な位置で固定支持される。
【0023】
このベッド1によれば、利用者Uの両腕の位置を顔面位置よりも下側にすることができ、利用者Uは楽な姿勢でうつ伏せ状態を維持することができる。また、ジャッキ部13によりフレーム部本体10の床面本体10aに対する一対のフレーム隅部11,12の床面隅部11a,12aの相対高さを自由に設定できるので、利用者Uの腕の長さや寝心地に応じて楽な姿勢をとれるように調節することができる。この際、2つのジャッキ部13が連結されているので、一の操作で素早く所望の位置まで同じ高さで一対のフレーム隅部11,12を移動することができる。
【0024】
さらに、一対のフレーム隅部11,12だけでなく一対のマット隅部7,8をともに移動することにより、両腕の位置をより好適な位置に調節することができる。
【0025】
なお、本発明の技術範囲は上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、上記実施形態では、マット部3がマット部本体6と一対のマット隅部7,8とに分離されているとしているが、両者が一体となったマット部であっても構わない。この場合でも、一対のフレーム隅部11,12の上下移動にともない、これに載置されたマット部部分も上下移動させることができ、同様の作用効果を奏することができる。
【0026】
また、駆動部をパンタグラフ式のジャッキ部13としているが、これに限定されるものでなく、公知の他の形式のジャッキや油圧駆動等のものでもよい。また、フレーム部本体10に対して一対のフレーム隅部11,12を相対移動させることができるものであれば他の方式のものでも構わない。
【0027】
さらに、一対のフレーム隅部11,12の移動方向は上下移動に限らず、重力方向に対して前方側斜め下方向に移動させるようにしてもよい。
【0028】
また、上記実施形態では眼科用のベッドとしているが、これに限らず、うつ伏せ状態を楽に維持させるための用途として利用してもよい。
【符号の説明】
【0029】
1 ベッド
2 凹部
3 マット部
5 フレーム部
6 マット部本体
7,8 一対のマット隅部
10 フレーム部本体
10a 床面本体(床面)
11,12 一対のフレーム部隅部
11a,12a 床面隅部(床面)
13 ジャッキ部(駆動部)


【特許請求の範囲】
【請求項1】
頭部側表面中央に、少なくとも利用者の鼻を収容する大きさの凹部が設けられたマット部と、
該マット部が載置される床面が設けられたフレーム部と、を備え、
該フレーム部が、フレーム部本体と、
該フレーム部本体から頭部側の隅部が分離してなる一対のフレーム隅部と、
前記一対のフレーム隅部を前記フレーム部本体の前記床面位置よりも低位方向に移動して所望の位置に停止させ、かつ前記床面位置まで復帰させる駆動部と、
を備えていることを特徴とするベッド。
【請求項2】
前記マット部が、マット部本体と、
該マット部本体から頭部側の隅部が分離してなり、前記一対のフレーム隅部にそれぞれ載置される一対のマット隅部と、
を備えていることを特徴とする請求項1に記載のベッド。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−39264(P2013−39264A)
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−178766(P2011−178766)
【出願日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【出願人】(393030718)イー・ディー・エル株式会社 (6)
【出願人】(509166216)
【Fターム(参考)】