説明

ベルトユニット及び画像形成装置

【課題】中間転写ベルト61のループ内に配設された1次転写ローラ62Y,M,C,Kのメンテナンス性を従来よりも向上させる。
【解決手段】図示しないY,M,C,K用の感光体のうち、少なくともK用の感光体に中間転写ベルト31を当接させるベルト走行用姿勢と、全ての感光体から中間転写ベルト61を離間させて転写ユニット60の取り出しを可能にするユニット取り出し用姿勢との他に、図示のような内部部品着脱用姿勢にもベルト張架姿勢を変化させるように、第1アシストローラ65や第2アシストローラ66を移動可能に構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ベルトループ内側に配設された複数のベルト張架部材によって支持している無端状のベルト部材を無端移動せしめるベルトユニット、及びこれを用いる画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の画像形成装置としては、特許文献1に記載のものが知られている。この画像形成装置は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)のトナー像をそれぞれ個別に形成するための4つの感光体や、ベルトユニットとしての転写ユニットなどを備えている。そして、周知の電子写真プロセスによってY,M,C,K用の感光体に形成したY,M,C,Kトナー像を、転写ユニットの中間転写ベルトの表面に重ね合わせて転写することでカラートナー像を形成する。転写ユニットは、無端状の中間転写ベルトの張架姿勢を、少なくとも、ベルト移動時姿勢と、ユニット取り出し時姿勢とで切り替えることができる。ベルト移動時姿勢は、中間転写ベルトを4つの感光体の全てに当接させながら無端移動させるときの中間転写ベルトの姿勢である。また、ユニット取り出し時姿勢は、中間転写ベルトを4つの感光体の全てから離間させて、画像形成装置の筺体内からの転写ユニットの引き出しを可能にする姿勢である。中間転写ベルトの張架姿勢をユニット取り出し時姿勢にすることで、転写ユニットを筺体内から容易に引き出してそのメンテナンスを行うことができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、この画像形成装置においては、筺体内から引き出された転写ユニットの内部部品のメンテナンス性が十分に考慮されていなかった。具体的には、転写ユニットにおいて、無端状の中間転写ベルトのループ内には、ベルトを張架するためのベルト支持ローラなどの多くの内部部品が配設されている。それらの内部部品のメンテナンスを行うためには、内部部品を中間転写ベルトのループ内から取り出す必要がある。そして、そのためには、中間転写ベルトの幅方向の両端でそれぞれ大きく口を開けているベルト開口の中に手を入れる必要がある。ところが、それらのベルト開口は、複数のベルト支持ローラを長手方向の両端部でそれぞれ支持するための側板によって覆われていることが一般的である。このような状態では、内部部品を目で確認することが非常に困難であることに加えて、中間転写ベルトのループ内に手を入れることも困難であることから、内部部品を取り出すことができない。このため、内部部品の取り出しに先立って、中間転写ベルトを転写ユニットから取り外して内部部品に容易にアクセスできるようにするという非常に手間のかかる作業を強いられていた。
【0004】
本発明は、以上の背景に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、ベルト部材のループ内に配設された内部部品のメンテナンス性を従来よりも向上させることができるベルトユニットや画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、無端状のベルト部材と、前記ベルト部材のループ内側で前記ベルト部材を支持する複数のベルト支持部材を保持する保持手段とを有し、前記保持手段が、複数の前記ベルト支持部材における少なくとも1つの移動により、前記ベルト部材を無端移動させるときのベルト張架姿勢である無端移動用姿勢と、ベルトユニットを収容する筺体内からベルトユニットを取り出すためのベルト張架姿勢であるユニット取り出し用姿勢とで、ベルト張架姿勢を変化させるように、少なくとも1つのベルト支持部材を移動可能に保持するものであるベルトユニットであって、前記保持手段が、前記無端移動用姿勢及び前記ユニット取り出し用姿勢の他に、内部部品着脱用姿勢にもベルト張架姿勢を変化させるように、少なくとも1つのベルト支持部材を移動可能に保持するものであり、且つ、前記内部部品着脱用姿勢が、前記ベルト移動用姿勢や前記ユニット取り出し用姿勢よりも、前記ベルト部材のループ内に対する内部部品の着脱性を向上させて前記内部部品の着脱を行うためのベルト張架姿勢であることを特徴とするものである。
また、請求項2の発明は、請求項1のベルトユニットであって、前記内部部品着脱用姿勢が、ループ内の内部部品の視認性と、ループ内への手の進入性とを向上させるベルト張架姿勢であることを特徴とするものである。
また、請求項3の発明は、請求項2のベルトユニットであって、前記ベルト部材のループ外側で前記ベルト部材のおもて面に当接することで前記ベルト部材にテンションを付与するテンションローラがベルトユニット本体に対して着脱可能に設けられ、且つ、前記内部部品着脱用姿勢が、前記ベルトユニット本体からの前記テンションローラの取り外しによってテンションを緩めた状態の前記ベルト部材における周方向の一部をループ内からループ外に向けて押し上げることで、前記視認性及び前記進入性を向上させるベルト張架姿勢であることを特徴とするものである。
また、請求項4の発明は、請求項3のベルトユニットであって、前記保持手段が、前記無端移動用姿勢、前記ユニット取り出し用姿勢、及び前記内部部品着脱用姿勢の他に、ベルト着脱用姿勢にもベルト張架姿勢を変化させるように、少なくとも1つのベルト支持部材を移動可能に保持するものであり、且つ、前記ベルト着脱用姿勢が、前記無端移動用姿勢、前記ユニット取り出し用姿勢、及び前記内部部品着脱用姿勢よりも、ベルトユニット本体に対する前記ベルト部材の着脱性を向上させるベルト張架姿勢であることを特徴とするものである。
また、請求項5の発明は、請求項4のベルトユニットであって、前記ベルト着脱用姿勢が、前記ベルトユニット本体からの前記テンションローラの取り外しによってテンションを緩めた状態の前記ベルト部材における周方向の複数箇所をそれぞれループ内からループ外に向けて押し上げることで、ベルトユニット本体に対する前記ベルト部材の着脱性を向上させるベルト張架姿勢であることを特徴とするものである。
また、請求項6の発明は、請求項1乃至5の何れかのベルトユニットにおいて、前記ベルトユニットを前記筺体の内外間でスライド移動可能に支持するスライド支持手段を設けたことを特徴とするものである。
また、請求項7の発明は、請求項1乃至6の何れかのベルトユニットにおいて、複数の前記ベルト支持部材のうち、少なくとも1つを、他のベルト支持部材に対して傾けることで、前記ベルト部材の寄りを修正する寄り修正手段を設けたことを特徴とするものである。
また、請求項8の発明は、記録シートに形成するための画像を作像する作像手段と、無端状のベルト部材を無端移動せしめながら、前記ベルト部材の表面に保持した前記記録シートを搬送するベルトユニットとを備える画像形成装置において、前記ベルトユニットとして、請求項1乃至7の何れかのベルトユニットを用いたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0006】
これらの発明においては、複数のベルト支持部材のうち、少なくとも1つを移動させて、ベルト張架姿勢を内部部品着脱用姿勢に変化させることで、ベルト部材のループ内に対する内部部品の着脱性を向上させる。これにより、ベルト部材をベルトユニット本体から取り外すことなく内部部品をベルト部材のループ内に着脱できるようにすることで、内部部品の着脱に先立ってベルト部材の取り外しを強いられていた従来に比べて、内部部品のメンテナンス性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】実施形態に係るプリンタを示す概略構成図。
【図2】同プリンタの転写ユニットを示す正面図。
【図3】第1サブフレームを比較的高い位置に移動させた状態の同転写ユニットを示す部分拡大正面図。
【図4】同状態の同転写ユニットの左半分を示す部分拡大正面図。
【図5】第2サブフレームを比較的高い位置に移動させた状態の同転写ユニットを示す部分拡大正面図。
【図6】同状態の同転写ユニットの右半分を示す部分拡大正面図。
【図7】第1サブフレームを比較的低い位置に移動させた状態の同転写ユニットを示す部分拡大正面図。
【図8】同状態の同転写ユニットの左半分を示す部分拡大正面図。
【図9】第2サブフレームを比較的低い位置に移動させた状態の同転写ユニットを示す部分拡大正面図。
【図10】同状態の同転写ユニットの右半分を示す部分拡大正面図。
【図11】中間転写ベルトに対してユニット取り出し用姿勢をとらせている状態の同転写ユニットを示す正面図。
【図12】同状態で且つベルトクリーニング装置を取り外した状態の同転写ユニットを示す正面図。
【図13】中間転写ベルトに対してテンション緩み姿勢をとらせている状態の同転写ユニットを示す正面図。
【図14】同転写ユニットの第1サブフレームを部分的に示す部分分解斜視図。
【図15】同第1サブフレームを部分的に示す部分正面図。
【図16】第1アームを図15とは異なる揺動位置で係止した状態の同第1サブフレームを部分的に示す部分正面図。
【図17】第1アームを図15や図16とは異なる揺動位置で係止した状態の同第1サブフレームを部分的に示す部分正面図。
【図18】中間転写ベルトに対して第1着脱用姿勢をとらせた状態の同転写ユニットを示す部分拡大正面図。
【図19】同状態の同転写ユニットを示す正面図。
【図20】Y用の1次転写ローラを回転自在に支持するY用の1次転写ローラホルダーの断面を、同1次転写ローラとともに示す断面図。
【図21】滑り軸受けをキャップ部との当接位置まで移動させた状態の同1次転写ローラホルダーの断面を、同1次転写ローラとともに示す断面図。
【図22】キャップ部を取り外した状態の同1次転写ローラホルダーの断面を、同1次転写ローラとともに示す断面図。
【図23】滑り軸受けをホルダー本体内から引き抜いた状態の同1次転写ローラホルダーの断面を、同1次転写ローラとともに示す断面図。
【図24】中間転写ベルトに対して第2着脱用姿勢をとらせた状態の同転写ユニットを示す部分拡大正面図。
【図25】同状態の同転写ユニットを示す正面図。
【図26】中間転写ベルトに対して第3着脱用姿勢をとらせた状態の同転写ユニットを示す部分拡大正面図。
【図27】同状態の同転写ユニットを示す正面図。
【図28】中間転写ベルトに対して第4着脱用姿勢をとらせた状態の同転写ユニットを示す部分拡大正面図。
【図29】同状態の同転写ユニットを示す正面図。
【図30】中間転写ベルトに対してベルト着脱用姿勢をとらせた状態の同転写ユニットを示す部分拡大正面図。
【図31】中間転写ベルトのループ内側に配設されたステアリングローラを示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明を適用した画像形成装置として、電子写真方式によって画像を形成するプリンタの実施形態について説明する。
まず、実施形態に係るプリンタの基本的な構成について説明する。図1は、実施形態に係るプリンタを示す概略構成図である。このプリンタは、イエロー(Y),マゼンタ(M),シアン(C),ブラック(K)のトナー像を形成するための4つの作像ユニット2Y,M,C,Kを備えている。また、給紙路30、転写前搬送路31、手差し給紙路32、手差しトレイ33、レジストローラ対34、搬送ベルトユニット35、定着装置40、搬送切替装置50、排紙路51、排紙ローラ対52、排紙トレイ53、第1給紙カセット101、第2給紙カセット102、再送装置等も備えている。また、2つの光書込ユニット1YM、1CKも備えている。なお、作像ユニット2Y,M,C,Kは、潜像担持体たるドラム状の感光体3Y,M,C,Kを有している。
【0009】
第1給紙カセット101,第2給紙カセット102は、それぞれ内部に記録紙Pの束を収容している。そして、給紙ローラ101a,102aの回転駆動により、紙束における一番上の記録紙Pを給紙路30に向けて送り出す。この給紙路30には、後述する2次転写ニップの直前で記録紙を搬送するための転写前搬送路34が続いている。給紙カセット(102,102)から送り出された記録部材としての記録紙Pは、給紙路30を経へて転写前搬送路34に進入する。
【0010】
プリンタ筺体における側面には、手差しトレイ33が筺体に対して開閉可能に配設されており、筺体に対して開いた状態でトレイ上面に紙束が手差しされる。手差しされた紙束における一番上の記録紙Pは、手差しトレイ33の送出ローラによって転写前搬送路34に向けて送り出される。
【0011】
2つの光書込ユニット1YM,1CKは、それぞれ、レーザーダイオード、ポリゴンミラー、各種レンズなどを有しており、プリンタ外部のスキャナによって読み取られた画像情報や、パーソナルコンピュータから送られてくる画像情報に基づいて、レーザーダイオードを駆動する。そして、作像ユニット2Y,M,C,Kの感光体3Y,M,C,Kを光走査する。具体的には、作像ユニット2Y,M,C,Kの感光体3Y,M,C,Kは、図示しない駆動手段によってそれぞれ図中反時計回り方向に回転駆動せしめられる。光書込ユニット1YMは、駆動中の感光体3Y,Mに対して、レーザー光をそれぞれ回転軸線方向に偏向せしめながら照射することで、光走査処理を行う。これにより、感光体3Y,Mには、Y,M画像情報に基づいた静電潜像が形成される。また、光書込ユニット1CKは、駆動中の感光体3C,Kに対して、レーザー光をそれぞれ回転軸線方向に偏向せしめながら照射することで、光走査処理を行う。これにより、感光体3C,Kには、C,K画像情報に基づいた静電潜像が形成される。
【0012】
作像ユニット2Y,M,C,Kは、それぞれ、潜像担持体たる感光体と、その周囲に配設される各種機器とを1つのユニットとして共通の支持体に支持するものであり、それらがプリンタ部本体に対して着脱可能になっている。そして、互いに使用するトナーの色が異なる点の他が同様の構成になっている。Y用の作像ユニット2Yを例にすると、これは、感光体3Yの他、これの表面に形成された静電潜像をYトナー像に現像するための現像装置4Yを有している。また、回転駆動される感光体3Yの表面に対して一様帯電処理を施す帯電装置5Yや、後述するY用の1次転写ニップを通過した後の感光体3Y表面に付着している転写残トナーをクリーニングするドラムクリーニング装置6Yなども有している。
【0013】
図示のプリンタは、4つの作像ユニット2Y,M,C,Kを、後述する中間転写ベルト61に対してその無端移動方向に沿って並べたいわゆるタンデム型の構成になっている。
【0014】
感光体3Yとしては、アルミニウム等の素管に、感光性を有する有機感光材の塗布による感光層を形成したドラム状のものを用いている。但し、無端ベルト状のものを用いても良い。
【0015】
現像装置4Yは、図示しない磁性キャリアと非磁性のYトナーとを含有する二成分現像剤(以下、単に現像剤という)を用いて潜像を現像するものである。現像装置4Yとして、二成分現像剤の代わりに、磁性キャリアを含まない一成分現像剤によって現像を行うタイプのものを使用していもよい。現像装置4Yに対しては、図示しないYトナー補給装置により、Yトナーボトル103Y内のYトナーが適宜補給される。
【0016】
ドラムクリーニング装置6Yとしては、ポリウレタンゴム製のクリーニングブレードを感光体3Yに押し当てる方式のものを用いているが、他の方式のものを用いてもよい。クリーニング性を高める目的で、本プリンタでは、回転自在なファーブラシを感光体3Yに当接させる方式のものを採用している。このファーブラシは、図示しない固形潤滑剤から潤滑剤を掻き取って微粉末にしながら感光体3Y表面に塗布する役割も兼ねている。
【0017】
感光体3Yの上方には、図示しない除電ランプが配設されており、この除電ランプも作像ユニット2Yの一部になっている。除電ランプは、ドラムクリーニング装置6Yを通過した後の感光体3Y表面を光照射によって除電する。除電された感光体3Yの表面は、帯電装置5Yによって一様に帯電せしめられた後、上述した光書込ユニット1YMによる光走査が施される。なお、帯電装置5Yは、図示しない電源から帯電バイアスの供給を受けながら回転駆動するものである。かかる方式に代えて、感光体3Yに対して非接触で帯電処理を行うスコロトロンチャージャ方式を採用してもよい。
【0018】
Y用の作像ユニット2Yについて説明したが、M,C,K用の作像ユニット2M,C,Kも、Y用のものと同様の構成になっている。
【0019】
4つの作像ユニット2Y,M,C,Kの下方には、ベルトユニットとしての転写ユニット60が配設されている。この転写ユニット60は、ベルト支持部材としての複数のベルト支持ローラによって支持しながら張架しているベルト部材たる中間転写ベルト61を、感光体3Y,M,C,Kに当接させながら、何れか1つのローラの回転駆動によって図中時計回り方向に無端移動させる。これにより、感光体3Y,M,C,Kと中間転写ベルト61とが当接するY,M,C,K用の1次転写ニップが形成されている。
【0020】
Y,M,C,K用の1次転写ニップの近傍では、ベルトループ内側に配設された1次転写ローラ62Y,M,C,Kが中間転写ベルト61を感光体3Y,M,C,Kに向けて押圧している。これら1次転写ローラ62Y,M,C,Kには、それぞれ図示しない電源によって1次転写バイアスが印加されている。これにより、Y,M,C,K用の1次転写ニップには、感光体3Y,M,C,K上のトナー像を中間転写ベルト61に向けて静電移動させる1次転写電界が形成されている。
【0021】
図中時計回り方向の無端移動に伴ってY,M,C,K用の1次転写ニップを順次通過していく中間転写ベルト61のおもて面には、各1次転写ニップでトナー像が順次重ね合わせて1次転写される。この重ね合わせの1次転写により、中間転写ベルト61のおもて面には4色重ね合わせトナー像(以下、4色トナー像という)が形成される。
【0022】
中間転写ベルト61の図中下方には、2次転写ローラ72が配設されており、これは中間転写ベルト61における2次転写バックアップローラ68に対する掛け回し箇所にベルトおもて面から当接して2次転写ニップを形成している。これにより、中間転写ベルト61のおもて面と、2次転写ローラ72とが当接する2次転写ニップが形成されている。
【0023】
2次転写ローラ72には図示しない電源によって2次転写バイアスが印加されている。一方、ベルトループ内の2次転写バックアップローラ68は接地されている。これにより、2次転写ニップ内に2次転写電界が形成されている。
【0024】
2次転写ニップの図中右側方には、上述のレジストローラ対34が配設されており、ローラ間に挟み込んだ記録紙Pを中間転写ベルト61上の4色トナー像に同期させ得るタイミングで2次転写ニップに送り出す。2次転写ニップ内では、中間転写ベルト61上の4色トナー像が2次転写電界やニップ圧の影響によって記録紙に一括2次転写され、記録紙の白色と相まってフルカラー画像となる。
【0025】
2次転写ニップを通過した中間転写ベルト61のおもて面には、2次転写ニップで記録紙Pに転写されなかった転写残トナーが付着している。この転写残トナーは、中間転写ベルト61に当接するベルトクリーニング装置75によってクリーニングされる。
【0026】
2次転写ニップを通過した記録紙Pは、中間転写ベルト61から離間して、搬送ベルトユニット35に受け渡される。この搬送ベルトユニット35は、無端状の搬送ベルト36を駆動ローラ37と従動ローラ38とによって張架しながら、駆動ローラ37の回転駆動によって図中反時計回り方向に無端移動せしめる。そして、2次転写ニップから受け渡された記録紙をベルト上部張架面に保持しながら、ベルトの無端移動に伴って搬送して定着装置40に受け渡す。
【0027】
定着装置40は、定着ローラ41、定着ベルト42、弾性駆動ローラ43、加熱ローラ44等を有している。無端状の定着ベルト42は、弾性駆動ローラ43と、ハロゲンランプ等の発熱源を内包する加熱ローラ44とに掛け回された状態で、弾性駆動ローラ43の図中時計回り方向の回転駆動に伴って、図中時計回り方向に無端移動する。そして、加熱ローラ44に対する掛け回し位置で、加熱ローラ44によって加熱される。加熱ローラ44の発熱源に対する電源供給のオン、オフは、図示しない定着温度制御部によって制御される。この定着温度制御部は、定着ベルト42の表面温度を検知する図示しない温度センサによる検知結果が所定値になるように、前述の電源供給をオン、オフ制御する。
【0028】
無端移動する定着ベルト42における弾性駆動ローラ43に対する掛け回し箇所には、ハロゲンランプ等の発熱源を内包する定着ローラ41が当接して定着ニップを形成しながら、図中反時計回り方向に回転駆動している。定着ローラ41の発熱源に対する電源供給のオン、オフも、定着温度制御部によって制御される。定着温度制御部は、定着ローラ41の表面温度を検知する図示しない温度センサによる検知結果が所定値になるように、前述の電源供給をオン、オフ制御する。
【0029】
上述した2次転写ニップを通過した記録紙Pは、定着装置40内に送られて、定着ニップに挟み込まれる。そして、加圧や加熱などの作用により、トナー像の定着処理が施される。
【0030】
2次転写ニップで第1面にトナー像が転写され、且つ定着装置40でその第1面にトナー像が定着せしめられた記録紙Pは、搬送切替装置50に向けて送り出される。
【0031】
本プリンタにおいては、搬送切替装置50、再送路54、スイッチバック路55、スイッチバック後搬送路56等により、再送手段が構成されている。具体的には、搬送切替装置50は、定着装置40から受け取った記録紙Pのその後の搬送先を、排紙路51と、再送路54とで切り替える。具体的には、記録紙Pの第1面だけに対して画像を形成する片面モードのプリントジョブの実行時には、搬送先を排紙路51に設定する。これにより、第1面だけに画像が形成された記録紙Pを、排紙路51経由で排紙ローラ対52に送って、機外の排紙トレイ53上に排紙する。また、記録紙Pの両面に対してそれぞれ画像を形成する両面モードのプリントジョブの実行時において、両面にそれぞれ画像が定着された記録紙Pを定着装置40から受け取ったときにも、搬送先を排紙路51に設定する。これにより、両面に画像が形成された記録紙Pを、機外の排紙トレイ53上に排紙する。一方、両面モードのプリントジョブの実行時において、第1面だけに画像が定着された記録紙Pを定着装置40から受け取ったときには、搬送先を再送路54に設定する。
【0032】
再送路54には、スイッチバック路55が繋がっており、再送路54に送られた記録紙Pはこのスイッチバック路55に進入する。そして、記録紙Pの搬送方向の全領域がスイッチバック路55に進入すると、記録紙Pの搬送方向が逆転されて、記録紙Pがスイッチバックする。スイッチバック路55には、再送路54の他に、スイッチバック後搬送路56が繋がっており、スイッチバックした記録紙Pは、このスイッチバック後搬送路56に進入する。このとき、記録紙Pの上下が反転する。そして、上下反転した記録紙Pは、スイッチバック後搬送路56と、上述した給紙路30とを経由して、2次転写ニップに再送される。2次転写ニップで第2面にもトナー像が転写された記録紙Pは、定着装置40を経由して第2面にトナー像が定着せしめられた後、搬送切替装置50と、排紙路51と排紙ローラ対52とを経由して、排紙トレイ53上に排紙される。
【0033】
転写ユニット60は、ベルトループ内側で中間転写ベルト61を支持するベルト支持部材として、4つの1次転写ローラ24Y,M,C,K、従動ローラ63、ステアリングローラ64、第1アシストローラ65、第2アシストローラ66、駆動ローラ67、2次転写バックアップローラ68、第1クリーニングバックアップローラ69、及び第2クリーニングバックアップローラ70を有している。
【0034】
駆動ローラ67は、図示しない駆動手段によって図中時計回り方向に回転駆動することで、中間転写ベルト61を図中時計回り方向に無端移動せしめる。また、従動ローラ63は、無端移動する中間転写ベルト61に追従して従動回転する。また、第1クリーニングバックアップローラ69や第2クリーニングバックアップローラ70は、ベルトクリーニング装置75のクリーニングブラシやクリーニングブレードとの間に中間転写ベルト61を挟み込んで、ベルトをバックアップする。なお、ステアリングローラ64、第1アシストローラ65、第2アシストローラ66の役割については、後に詳述する。
【0035】
ベルトクリーニング装置75の上方には、テンションローラ71が配設されている。このテンションローラ71は、ベルトループ外側から中間転写ベルト61のおもて面に向けて付勢されることで、中間転写ベルト61にテンションを付与している。なお、図1においては、実施形態に係るプリンタを正面側から示している。
【0036】
図2は、転写ユニット60を示す正面図である。転写ユニット60は、中間転写ベルト61の幅方向を、複写機の前後方向に沿わせる姿勢となるように配設されている。そして、転写ユニット60に設けられた各種のローラは、回転軸線方向をベルト幅方向(=複写機前後方向)に沿わせる姿勢で配設されている。これらローラは、転写ユニット60における前側板76と、図中で前側板76の裏側に隠れている図示しない後側板との間に架け渡されている。中間転写ベルト61の幅方向の一端で開口しているベルト開口は、前側板76に覆われている。また、中間転写ベルト61幅方向の他端で開口しているベルト開口は、後側板に覆われている。なお、前側板76や後側板は、各種ローラの他、ベルトクリーニング装置75なども支持している。
【0037】
転写ユニット60のユニットフレームにおける左端、右端には、それぞれ滑車87が回動自在に取り付けられており、それら滑車87にはそれぞれ、プリンタ筺体に固定されたレール86に係合している。このレール86は、図紙面に直交する方向、即ちプリンタの前後方向に延在しており、転写ユニット60はレール86に沿ってスライド移動することができる。かかる構成において、レール86や滑車87は、ベルトユニットたる転写ユニット60をスライド移動可能に支持するスライド支持手段として機能している。
【0038】
中間転写ベルト61のループ内側に配設された複数のベルト支持ローラのうち、第1アシストローラ65、Y用の1次転写ローラ62Y、M用の1次転写ローラ62M、及びC用の1次転写ローラ62Cは、前側板76と後側板との間に配設された第1サブフレーム77に保持されている。また、K用の1次転写ローラ62K、及び第2アシストローラ66は、前側板76と後側板との間に配設された第2サブフレーム78に保持されている。第1サブフレーム77や第2サブフレーム78は、それぞれ図示しない上下動機構により、個別に上下移動せしめられるようになっている。
【0039】
同図においては、中間転写ベルト61に無端移動用姿勢としてのフルカラープリント用姿勢をとらせている状態の転写ユニット60を示している。このフルカラープリント用姿勢では、図3に示すように、第1アシストローラ65の上端、及びY用の1次転写ローラ62Yの上端を、それぞれ前側板76や後側板の上端よりも高いレベルに位置させるように、第1サブフレーム77が昇降機構によって比較的高い位置まで移動される。このとき、図4に示すように、Y用の1次転写ローラ62Yとともに第1サブフレーム77に保持されているM用の1次転写ローラ62Mの上端も、前側板76や後側板の状態よりも高いレベルに位置する。また、図示しないC用の1次転写ローラ(図2の62C)の上端も、前側板76や後側板の上端よりも高いレベルに位置する。これにより、先に図1に示したように、Y,M,C用の1次転写ローラ62Y,M,Cが、Y,M,C用の感光体3Y,M,Cとの間に中間転写ベルト61を挟み込んで、Y,M,C用の1次転写ニップを形成する。
【0040】
図4において、M用の1次転写ローラ62Mの周辺では、中間転写ベルト61がほぼ水平方向に沿って延在する姿勢で張られている。また、Y用の1次転写ローラ62Mの周辺においても、中間転写ベルト61がほぼ水平方向に沿って延在する姿勢で張られている。このため、それら2つの1次転写ニップにおいて、中間転写ベルト61はほぼ同じ挙動を示す。
【0041】
また、同図において、Y用の1次転写ローラ62Yの上端は、従動ローラ63の上端よりも高いレベルに位置している。そして、第1アシストローラ65は、Y用の1次転写ローラ62Yと従動ローラ63との間において、1次転写ローラ62Yと同じ高さレベルに位置している。この第1アシストローラ65が存在していない場合には、Y用の1次転写ローラ62Yと従動ローラ63との間において、中間転写ベルト61がY用の1次転写ローラ62Y側から従動ローラ63側に向けて徐々に下るような斜めの姿勢で張られることになる。このような斜めの姿勢では、水平方向に延在する姿勢に比べて、Y用の1次転写ローラ62Yに対するベルト巻き付き角が大きくなる。すると、Y用の1次転写ニップと、M用の1次転写ニップとで、中間転写ベルト61が異なった挙動をとるようになるので、両1次転写ニップにおける転写条件に差が生じてしまう。そこで、本プリンタにおいては、Y用の1次転写ローラ62Yと従動ローラ63との間に、第1アシストローラ65を1次転写ローラ62Yと同じ高さレベルに設けている。これにより、Y用の1次転写ニップの周辺において、中間転写ベルト61をほぼ水平方向に沿って張ることで、M用の1次転写ニップや図示しないC用の1次転写ニップと同じベルト挙動が得られるようにしている。
【0042】
また、フルカラープリント用姿勢では、図5や図6に示すように、K用の1次転写ローラ62Kの上端、及び第2アシストローラ66の上端を、それぞれ前側板76や後側板の上端よりも高いレベルに位置させるように、第2サブフレーム78が昇降機構によって比較的高い位置まで移動される。これにより、先に図1に示したように、K用の1次転写ローラ62KがK用の感光体3Kとの間に中間転写ベルト61を挟み込んでK用の1次転写ニップを形成する。なお、図6において、第2アシストローラ66は、K用の1次転写ニップにおけるベルト挙動を、Y,M,C用の1次転写ニップにおけるベルト挙動と同じにする役割を担っている。
【0043】
このように、フルカラー用プリント姿勢では、中間転写ベルト61をY,M,C,K用の4つの感光体にそれぞれ当接させて、Y,M,C,K用の1次転写ニップをそれぞれ形成した状態で、中間転写ベルト61を無端移動させる。
【0044】
転写ユニット60は、無端移動用姿勢として、上述したフルカラープリント用姿勢の他に、モノクロプリント用姿勢を中間転写ベルト61にとらせることもできる。モノクロプリント用姿勢では、図7に示すように、第1アシストローラ65の上端、及びY用の1次転写ローラ62Yの上端を、それぞれ前側板76や後側板の上端よりも低いレベルに位置させるように、第1サブフレーム77が昇降機構によって比較的低い位置まで移動される。このとき、図8に示すように、M用の1次転写ローラ62Mの上端も、前側板76や後側板の上端よりも低いレベルに位置する。また、第1サブフレーム77に保持されている図示しないC用の1次転写ローラ(図2の62C)の上端も、前側板76や後側板の上端よりも低いレベルに位置する。これにより、Y,M,C用の1次転写ローラ62Y,M,Cが、図1に示したY,M,C用の感光体3Y,M,Cから離間する。一方、第2サブフレーム78は、先に図6に示した高さレベルのままで移動されないため、中間転写ベルト61とK用の感光体とが当接している状態が維持される。このように、モノクロプリント用姿勢では、Y,M,C,K用の4つの感光体のうち、K用の感光体だけに中間転写ベルト61を当接させた状態(K用の1次転写ニップだけを形成した状態)で無端移動させなながら、モノクロ画像を形成する。
【0045】
また、転写ユニット60は、上述したフルカラープリント用姿勢やモノクロプリント用姿勢の他に、ユニット取り出し用姿勢を中間転写ベルト61にとらせることもできる。ユニット取り出し用姿勢では、モノクロプリント用姿勢と同様に、第1サブフレーム77が昇降機構によって比較的低い位置まで移動される。また、図9や図10に示すように、第2サブフレーム78が図示しない昇降機構によって比較的低い高さレベルまで下げられる。これにより、第2サブフレーム78に保持されているK用の1次転写ローラ62Kの上端や、第2アシストローラ66の上端のレベルが、前側板76や後側板の上端よりも下げられる。そして、図11に示すように、中間転写ベルト61における上部張架面のレベルが、前側板61や後側板の上端よりも下げられて、中間転写ベルト61がY,M,C,K用の全ての感光体から離間する。
【0046】
プリンタ筐体の図示しない前側板には、開閉可能な開閉扉が設けられている。作業者は、この開閉扉を開けることで、プリンタ筐体内に収容されている転写ユニット60の前側を、筐体外部に向けて露出させることができる。そして、図11に示したユニット取り出し用姿勢の状態で、転写ユニット60を手前側に引っ張ることで、転写ユニット60をレール86に沿って手前側に引き出して筐体の外に出す。作業者は、この状態で転写ユニット60に対して種々のメンテナンスを行う。
【0047】
以上の構成の転写ユニット60においては、前側板76、後側板、第1サブフレーム77、及び第2サブフレーム78や、後述する第1アーム79及び第2アーム80などの組合せが、ベルト支持部材としての各種のベルト支持ローラを保持する保持手段として機能している。
【0048】
次に、実施形態に係るプリンタの特徴的な構成について説明する。
同図において、中間転写ベルト61は、図紙面に直交する方向の手前側にあるベルト開口が前側板76によって覆われ、且つ、同方向の奥側にあるベルト開口が後側板に覆われた状態になっている。このため、作業者は、中間転写ベルト61のループ内側にアクセスすることが困難である。但し、中間転写ベルト61のループ外側にある部品に対しては、比較的容易にアクセスすることができる。例えば、ベルトクリーニング装置75やテンションローラ71は何れもベルトループ外側で前側板76や後側板に支持されている。ベルトクリーニング装置75の図中左側面や、テンションローラ71の図中左側を覆うものは何も設けられていないので、作業者をそれらに対して容易にアクセスすることが可能である。
【0049】
作業者は、プリンタ筐体内から引き出した転写ユニット60のループ内に配設された部品のメンテナンスを行う場合には、まず、図12に示すように、転写ユニット60の前側板76及び後側板からベルトクリーニング装置75を取り外す。次に、図13に示すように、転写ユニット60前側板76及び後側板からテンションローラ71を取り外す。すると、中間転写ベルト61のテンションが大きく緩んで、それまでテンションローラ71によってベルトループ内側に向けて押し込められていたベルト下部張架箇所が、図示のように下方に向けて大きく垂れ下がる。これにより、ベルト開口の一部が前側板76や後側板に覆われなくなって外部に露出するようになる。以下、このような中間転写ベルト61の張架姿勢を、テンション緩み姿勢という。作業者は、テンション緩み姿勢によって露出したベルト開口箇所を通じて、ベルトループ内に配設された各種部品のうち、2次転写バックアップローラ68、第1クリーニングバックアップローラ69、第2クリーニングバックアップローラ70、及び従動ローラ63の4つのアクセスすることが可能になる。但し、この状態でも、Y,M,C,K用の1次転写ローラ62Y,M,C,K、第1アシストローラ65、第2アシストローラ66などにアクセスすることは非常に困難である。それらローラにアクセスするためには、第1サブフレーム77や第2サブフレーム78の下方からフレーム内に入れた手をフレーム上方まで通す必要があるが、それらサブフレームの下部には図14に示すような梁77aが設けられているため、下方からフレーム内に手を入れることができないからである。
【0050】
そこで、作業者は、中間転写ベルト61の張架姿勢を、内部部品着脱用姿勢に変化させて、1次転写ローラ(62Y,M,C,K)やアシストローラ(65、66)へのアクセス性を向上させる。例えば、第1アシストローラ65やY用の1次転写ローラ62Yのメンテナンスを行う場合には、作業者は、ベルト張架姿勢をテンション緩み姿勢から内部部品着脱用姿勢たる後述の第1着脱用姿勢に変化させる。
【0051】
図15は、転写ユニット60の第1サブフレーム77を部分的に示す部分正面図である。同図において、第1アシストローラ65は、第1アーム79によって回転自在に支持されている。この第1アーム79において、第1アシストローラ65を回転自在に支持している方とは反対側の端部には、揺動軸79aが貫通せしめられており、この揺動軸79aは第1サブフレーム77に固定されている。これにより、第1アーム79は、揺動軸79aを中心にして揺動するように、第1サブフレーム77によって支持されている。中間転写ベルト61が、上述テンション緩み姿勢をとっているときには、図示のように、第1アシストローラ65の重さにより、第1アシストローラ65の軸部材が第1サブフレーム77の上端部に設けられた切り欠き部に引っ掛かる位置で、第1アーム79の揺動が係止される。この状態で、作業者は、前側板76よりも手前側に突出している第1アシストローラ65軸部材を掴んで持ち上げながら、第1アーム79を図16や図17に示すように回転させることができる。これにより、第1アシストローラ65が、各色の1次転写ローラ(62Y,M,C,K)から独立して、ベルトループ内からループ外に向けて移動する。第1アーム79には、複数の位置決め穴79bが設けられている。これらの位置決め穴79bは、図示しない位置決め用治具に係合するためのものである。作業者は、図示しない位置決め用治具を位置決め穴79bに係合せしめながら、第1サブフレーム77に固定することで、第1アーム79の揺動軸79aを中心にした回転を所望の位置で係止することができる。
【0052】
作業者は、ベルト張架姿勢を上述したテンション緩み姿勢から内部部品着脱用姿勢たる第1着脱用姿勢に変化させるときには、揺動軸79aを中心にした第1アーム79の回転を図16に示した位置で係止する。第1アシストローラ65をY用の1次転写ローラ62Yの真上まで移動させる位置である。すると、図18や図19に示すように、第1アシストローラ65の近くに位置しているベルト箇所が第1アシストローラ65によって前側板76や後側板の上端よりも高いレベルまで持ち上げられる。これにより、Y用の1次転写ローラ62Yの近傍で、ベルト開口が前側板76や後側板に隠れない位置まで押し上げられて、Y用の1次転写ローラ62Yに対して容易にアクセスすることが可能になる。作業者は、前側板76や後側板に隠れない位置まで移動したベルト開口箇所を通じて、第1アシストローラ65やY用の1次転写ローラ62Yを容易に視認したり、容易に把持したりすることができるようになる。このように、中間転写ベルト61を第1着脱用姿勢にすると、第1アシストローラ65やY用の1次転写ローラ62Yに対する着脱性を向上させることが可能になるので、それらローラを容易にメンテナンスすることができる。
【0053】
図20は、Y用の1次転写ローラ62Yを回転自在に支持するY用の1次転写ローラホルダー90Yの断面を、Y用の1次転写ローラ62Yとともに示す断面図である。Y用の1次転写ローラ62Yは、図示の1次転写ローラホルダー90Yを介して、第1サブフレーム(77)に支持されている。同図において、1次転写ローラホルダー90Yは、ホルダー本体91Yと、キャップ部92Yと、滑り軸受け93Yと、付勢コイルバネ94Yとを具備している。ホルダー本体91Yには、鉛直方向の上端から下方に向けて延在する切り欠きが設けられている。Y用の1次転写ローラ62Yの軸部材を回転自在に受ける滑り軸受け94Yは、その切り欠き内で鉛直方向にスライド移動可能に保持されている。ホルダー本体91Yの上端部には、キャップ部92Yが着脱可能に係合している。これにより、ホルダー本体91Yの切り欠きが塞がれている。切り欠き内でスライド移動可能に保持されている滑り軸受け94Yは、切り欠きの底壁に固定された付勢コイルバネ94Yによってキャップ部92Yに向けて付勢されている。これにより、滑り軸受け94Yに回転自在に支持されているY用の1次転写ローラ62Yが、図示しないY用の感光体に向けて付勢される。図示しない第1フレーム(77)を図4に示した比較的高いレベルに移動させて中間転写ベルト61に対してフルカラープリント用姿勢をとらせているときには、図20に示したように、付勢コイルバネ94Yによってキャップ部92Yに向けて付勢されている滑り軸受け94Yがキャップ部92Yに当接する前に、滑り軸受け94Yに支持されている1次転写ローラ62Yが図示しない中間転写ベルトを介して図示しないY用の感光体に当接する。このため、キャップ部92Yとの当接位置よりも低い高さレベルに、滑り軸受け93Yが位置する。
【0054】
第1サブフレーム77を先に図8に示した比較的低い高さレベルに移動させると、Y用の1次転写ローラ62Yが中間転写ベルト61を介して図示しないY用の感光体に当接しなくなる。すると、図21に示すように、付勢コイルバネ64Yによって付勢されている滑り軸受け93Yがキャップ部92Yに当接する位置まで移動する。中間転写ベルトに対して上述したユニット取り出し用姿勢をとらせて転写ユニット(60)をプリンタ筺体内から引き出した状態では、同図に示すように、滑り軸受け93Yがキャップ部92Yとの当接位置まで移動している。
【0055】
プリンタ筺体から引き出した転写ユニット(60)の中間転写ベルト(61)に対し、先に図19に示した第1着脱用姿勢をとらせると、図21に示したY用の1次転写ローラホルダー90Yに容易にアクセスすることができるようになる。作業者は、この状態で、図22に示すように、ホルダー本体91Yからキャップ部92Yと取り外して、ホルダー本体91Y内の滑り軸受け93Yを外部に露出させる。そして、図23に示すように、滑り軸受け93Yをホルダー本体91Y内から引き抜く。これにより、滑り軸受け93Yからの1次転写ローラ62Yの取り外しを可能にして、1次転写ローラ62Yのメンテナンスを行ったり、1次転写ローラ62Yを交換したりする。なお、Y用の1次転写ローラ62Yについて詳しく説明したが、他色用の1次転写ローラ(62M,C,K)も、Y用と同様の構成の1次転写ローラホルダーによって回転自在に支持されている。
【0056】
また、作業者は、第1アシストローラ65やM用の1次転写ローラ62Mのメンテナンスを行う場合には、ベルト張架姿勢をテンション緩み姿勢から内部部品着脱用姿勢たる後述の第2着脱用姿勢に変化させる。
【0057】
図24は、中間転写ベルト61の張架姿勢を第2着脱用姿勢に変化させた状態の転写ユニット60における左側端部を示す部分正面図である。また、図25は、同状態の転写ユニット60を示す正面図である。作業者は、中間転写ベルト61に対してテンション緩み姿勢をとらせている状態において、前側板76よりも手前側に突出している第1アシストローラ65軸部材を掴んで持ち上げながら、第1アーム79を図中矢印のように時計回り方向に所定の角度だけ回転させる。そして、第1アシストローラ65をM用の1次転写ローラ62Mの真上まで移動させた状態で、第1アーム79を図示しない治具によって図示の位置に係止する。すると、第1アシストローラ65の近くに位置しているベルト箇所が、M用の1次転写ローラ62Mの真上において第1アシストローラ65によって前側板76や後側板の上端よりも高いレベルまで持ち上げられる。これにより、M用の1次転写ローラ62Mの近傍において、ベルト開口を前側板76や後側板に隠れない位置まで移動させることで、1次転写ローラ62Mに対して容易にアクセスすることが可能になる。作業者は、前側板76や後側板に隠れない位置まで移動したベルト開口箇所を通じて、第1アシストローラ65やM用の1次転写ローラ62Mを容易に視認したり、容易に把持したりすることができるようになる。このように、中間転写ベルト61を第2着脱用姿勢にすると、第1アシストローラ65やM用の1次転写ローラ62Mに対する着脱性を向上させることが可能になるので、それらローラを容易にメンテナンスすることができる。
【0058】
また、作業者は、第2アシストローラ66やK用の1次転写ローラ62Kのメンテナンスを行う場合には、ベルト張架姿勢をテンション緩み姿勢から内部部品着脱用姿勢たる後述の第3着脱用姿勢に変化させる。
【0059】
図26は、中間転写ベルト61の張架姿勢を第3着脱用姿勢に変化させた状態の転写ユニット60における右側端部を示す部分正面図である。また、図27は、同状態の転写ユニット60を示す正面図である。これらの図において、第2アシストローラ66は、第2アーム80によって支持されている。この第2アーム80において、第2アシストローラ66を回転自在に支持している方とは反対側の端部には、揺動軸80aが貫通せしめられており、この揺動軸80aは第2サブフレーム78に固定されている。これにより、第2アーム80は、揺動軸80aを中心にして揺動するように、第2サブフレーム78によって支持されている。中間転写ベルト61がテンション緩み姿勢をとっているときには、第2アシストローラ66の重さにより、第2アシストローラ66の軸部材が第2サブフレーム78の上端部に設けられた切り欠き部に引っ掛かる位置で、第2アーム80の揺動が係止される。この状態で、作業者は、前側板76よりも手前側に突出している第2アシストローラ66軸部材を掴んで持ち上げながら、第2アーム80を図中矢印のように反時計回り方向に所定の角度だけ回転させる。そして、第2アシストローラ66をK用の1次転写ローラ62Kの真上まで移動させた状態で、第2アーム80を図示しない治具によって図示の位置に係止する。すると、第2アシストローラ66の近くに位置しているベルト箇所が第2アシストローラ66によって前側板76や後側板の上端よりも高いレベルまで持ち上げられる。これにより、K用の1次転写ローラ62Kの近傍で、ベルト開口を前側板76や後側板に隠れない位置まで移動させることで、1次転写ローラ62Kに対して容易にアクセスすることが可能になる。作業者は、前側板76や後側板に隠れない位置まで移動したベルト開口箇所を通じて、第2アシストローラ66やK用の1次転写ローラ62Kを容易に視認したり、容易に把持したりすることができるようになる。このように、中間転写ベルト61を第3着脱用姿勢にすると、第2アシストローラ66やK用の1次転写ローラ62Kに対する着脱性を向上させることが可能になるので、それらローラを容易にメンテナンスすることができる。
【0060】
また、作業者は、第2アシストローラ66やC用の1次転写ローラ62Cのメンテナンスを行う場合には、ベルト張架姿勢をテンション緩み姿勢から後述の第4着脱用姿勢に変化させる。
【0061】
図28は、中間転写ベルト61の張架姿勢を第4着脱用姿勢に変化させた状態の転写ユニット60における右側端部を示す部分正面図である。また、図29は、同状態の転写ユニット60を示す正面図である。作業者は、中間転写ベルト61に対してテンション緩み姿勢をとらせている状態において、前側板76よりも手前側に突出している第2アシストローラ66軸部材を掴んで持ち上げながら、第2アーム80を図中矢印のように反時計回り方向に所定の角度だけ回転させる。そして、第2アシストローラ66をC用の1次転写ローラ62Cの真上まで移動させた状態で、第2アーム80を図示しない治具によって図示の位置に係止する。すると、第2アシストローラ66の近くに位置しているベルト箇所が、C用の1次転写ローラ62Cの真上において第2アシストローラ66によって前側板76や後側板の上端よりも高いレベルまで持ち上げられる。これにより、第2アシストローラ66やC用の1次転写ローラ62Cに対して容易にアクセスすることが可能なベルト開口箇所が、それらローラの近くであって且つ前側板76や後側板よりも上方の位置に形成される。作業者は、このベルト開口箇所を通じて、第2アシストローラ66やC用の1次転写ローラ62Cを容易に視認したり、容易に把持したりすることができるようになる。このように、中間転写ベルト61を第4着脱用姿勢にすると、第2アシストローラ66やC用の1次転写ローラ62Cに対する着脱性を向上させることが可能になるので、それらローラを容易にメンテナンスすることができる。
【0062】
転写ユニット60においては、中間転写ベルト61の交換が必要になったり、中間転写ベルト61の取り外しが必要になる何らかのメンテナンスが必要になったりすることもある。このような場合には、先に図13に示したようにテンション緩み姿勢をとらせた中間転写ベルト61を、転写ユニット60の側板やフレームから図中手前側に引き抜く必要がある。しかしながら、図示のように、中間転写ベルト61の周方向における全領域のうち、時計回り方向において従動ローラ63から駆動ローラ67に至るまでの領域は、各1次転写ローラ間の架け渡し領域で自重によって垂れ下がって、前側板76の上端よりも低い高さレベルであって且つ前側板の下端よりも高いレベルに位置している。このままの状態で中間転写ベルト61を図中手前側に引き抜こうとすると、中間転写ベルト61における前記領域を前側板76に引っ掛けてしまう。このため、中間転写ベルト61を引き抜く際には、従動ローラ63から駆動ローラ67に至るまでのベルト領域を手で持ち上げて、前側板76に引っ掛からないようにしなければならない。しかしながら、同ベルト領域を持ち上げながら中間転写ベルト61全体を前側板76から引き抜くという作業を行うことは非常に困難である。特に、大量プリントに対応させた業務用の大型プリント機では、中間転写ベルト61の周長が1[m]を超えるものも珍しくなく、前述の作業を一人だけで行うのはほぼ不可能である。
【0063】
そこで、本プリンタにおいては、これまで説明してきたベルト張架姿勢の他に、ベルト着脱用姿勢にもベルト張架姿勢を変化させることができるように、前側板76等からなる保持手段が、ベルト支持部材としての第1アシストローラ65や第2アシストローラ66を移動可能に保持するようになっている。
【0064】
作業者は、中間転写ベルト61に対してベルト着脱用姿勢をとらせるときには、図30に示すように、第1サブフレーム77に揺動可能に支持されている第1アーム79を少しだけ時計回り方向に回転させて、第1アシストローラ65をY用の1次転写ローラ62Yの図中左斜め上まで移動させる。この状態で、第1アーム79を図示しない治具によって図示の位置に係止する。また、第2サブフレーム78に揺動可能に支持されている第2アーム80を少しだけ反時計回り方向に回転させて、第2アシストローラ66をK用の1次転写ローラ62Kの図中右斜め上まで移動させる。この状態で、第2アーム80を図示しない治具によって図示の位置に係止する。以上のようにして、中間転写ベルト61に対して図示のようなベルト着脱姿勢をとらせる。
【0065】
かかるベルト着脱姿勢では、図中時計回り方向において、従動ローラ63から駆動ローラ67に至るまでのベルト領域の殆どが、図示のように、前側板76よりも上方に位置して前側板76に引っ掛からなくなる。ベルト全周において、前側板76に引っ掛かってしまう領域は、図中A1の符号で示される従動ローラ63近傍領域や、図中A2の符号で示される駆動ローラ67近傍領域だけである。作業者は、このようなベルト着脱姿勢をとっている中間転写ベルト61を、次のようにして容易に前側板76から引き抜くことができる。即ち、まず、中間転写ベルト61の全域のうち、図中A1の符号で示される従動ローラ63近傍領域を手で掴んで前側板76に引っ掛からない位置まで移動させながら、手前側に引っ張る。そして、中間転写ベルト61における図中左半分の領域の手前側端部を、前側板76よりも手前側に移動させる。次に、中間転写ベルト61の全域のうち、図中A2の符号で示される駆動ローラ67近傍領域を手で掴んで前側板76に引っ掛からない位置まで移動させながら、手前側に引っ張る。そして、中間転写ベルト61における図中右半分の領域の手前側端部を、前側板76よりも手前側に移動させる。これにより、中間転写ベルト61の手前側端部の全周を、前側板76よりも手前側に移動させる。その後、中間転写ベルト61の図中左右方向の中央付近を掴みながら引っ張れば、前側板76から容易に引き抜くことが可能である。
【0066】
転写ユニット60においては、各種のベルト支持ローラの平行度のずれ、偏心、長手方向両端部での径偏差などにより、無端移動させている中間転写ベルト61を、どうしても幅方向の一方に片寄らせてしまうベルト寄りと呼ばれる現象を引き起こし易くなる。かかるベルト寄りの発生を回避するために、ベルト幅方向の両端部にそれぞれ寄り防止リブを設けた中間転写ベルトが従来から知られている。ベルトが片寄り走行しようとすると、幅方向の端部に設けられた寄り防止リブがベルト支持ローラのローラ部の端面に突き当たることで、ベルトの片寄りを回避するのである。このような寄り防止リブを設けた中間転写ベルトは、寄り防止リブとローラ部端面との突き当たりによって大きな負荷が付与されることで、寄り防止リブを設けてない中間転写ベルトに比べて寿命が短くなるという欠点があった。
【0067】
一方、ベルトが片寄り走行しようとしたときに、ベルトループ内側に配設したステアリングローラを傾動させて反対側への片寄りの力を付与することで、ベルトの片寄り走行を回避するようにした画像形成装置も知られている。かかる構成では、中間転写ベルトに寄り防止リブを設けることなく、ベルトの片寄り走行の発生を回避することができる。実施形態に係るプリンタにおいても、ステアリングローラの傾動によって中間転写ベルト61のベルト寄りを修正するようになっている。
【0068】
図31は、中間転写ベルトのループ内側に配設されたステアリングローラ64を示す斜視図である。同図において、ステアリングローラ64のローラ部における回転軸線方向の両端からそれぞれ突出している軸部材は、ステアリングアーム81によってそれぞれ回転自在に支持されている。このステアリングアーム81には、図示しない駆動機構によって回動駆動される回動軸82が取り付けられている。回動軸82が回動せしめられることで、ステアリングアーム81によって支持されているステアリングローラ64が傾動することで、ベルト寄りを修正する。
【0069】
かかる構成においては、中間転写ベルト61として、寄り防止リブを設けていないものを用いることが可能であるため、寄り防止リブを設けた中間転写ベルト61を設ける場合に比べて、中間転写ベルト61の交換周期が長くなる。そして、中間転写ベルト61を交換しないで、ベルトループ内の内部部品だけを交換するというメンテナンス要求の頻度がより高くなる。よって、中間転写ベルト61を取り外さずに内部部品のメンテナンスを容易に行うことができるという本願発明の効果を、特に有効に発揮することができる。しかも、1次転写ローラ62Y,M,C,Kとしては、所望の電気抵抗を発揮させるために、ローラ部を導電性樹脂材料で構成したものを用いるのが一般的であり、かかる1次転写ローラは経時的な劣化による電気抵抗変化が現れてくるため、比較的寿命の短い部品である。このため、内部部品の中では、最も寿命の短い部品となる。かかる1次転写ローラの交換性を向上させるために、本プリンタにおいては、1次転写ローラに隣設されているアシストローラ(65、66)の移動により、中間転写ベルト61に第1着脱用姿勢〜第4着脱用姿勢をとらせるようにすることで、姿勢変化のために専用の部品を設けることなく、寿命の最も短い1次転写ローラの交換作業性を向上させることができる。
【0070】
以上、実施形態に係るプリンタにおいては、中間転写ベルト61のループ外側で中間転写ベルト61のおもて面に当接することで中間転写ベルト61にテンションを付与するテンションローラ71を転写ユニット60の本体たる前側板76や後側板に対して着脱可能に設けている。そして、内部部品着脱用姿勢たる第1着脱用姿勢、第2着脱用姿勢、第3着脱用姿勢及び第4着脱用姿勢として、テンションローラ71の取り外しによってテンションを緩めた状態の中間転写ベルト61における周方向の一部をループ内からループ外に向けて押し上げることで、内部部品であるY,M,C,K用の1次転写ローラ62Y,M,C,Kの視認性と、ループ内への手の進入性とを向上させるベルト張架姿勢を採用している。かかる構成では、ベルト周方向の一部を押し上げるという簡単な構成により、中間転写ベルト61に対して第1着脱姿勢、第2着脱姿勢、第3着脱用姿勢及び第4着脱姿勢をとらせることができる。
【0071】
また、実施形態に係るプリンタにおいては、前側板76、後側板、第1サブフレーム77、第2サブフレーム78、第1アーム79、第2アーム80などから構成される保持手段が、無端移動用姿勢たるフルカラー用プリント姿勢、無端移動用姿勢たるモノクロ用プリント姿勢、ユニット取り出し用姿勢、及び内部部品着脱用姿勢(第1着脱用姿勢〜第4着脱用姿勢)の他に、ベルト着脱用姿勢にもベルト張架姿勢を変化させるように、ベルト支持部材たる第1アシストローラ65や第2アシストローラ66を移動可能に保持するようになっている。そして、ベルト着脱用姿勢が、フルカラー用プリント姿勢、モノクロ用プリント姿勢、内部部品着脱用姿勢(第1着脱用姿勢〜第4着脱用姿勢)よりも、前側板76等からなるベルトユニット本体に対する中間転写ベルト61の着脱性を向上させるベルト張架姿勢になっている。かかる構成では、中間転写ベルト61を前側板81に引っ掛け難くすることで、着脱時の引っ掛かりによる中間転写ベルト61の傷付きの発生を抑えることができる。
【0072】
また、実施形態に係るプリンタにおいては、ベルト着脱用姿勢が、前側板76や後側板からのテンションローラ71の取り外しによってテンションを緩めた状態の中間転写ベルト61における周方向の複数箇所をそれぞれループ内からループ外に向けて押し上げることで、前側板76等からなるベルトユニット本体に対する中間転写ベルト61の着脱性を向上させるベルト張架姿勢でになっている。かかる構成では、ベルト着脱用姿勢において、中間転写ベルト61の周方向における複数箇所を押し上げることで、一箇所だけを押し上げる場合に比べて、ベルトを前側板81の面方向の外縁よりも外側に位置させるためのテンションの緩みをベルト周方向に均等に行き渡らせて、ベルトの着脱性を向上させることができる。
【0073】
また、実施形態に係るプリンタにおいては、転写ユニット60をプリンタ筺体の内外間でスライド移動可能に支持するレール86や滑車87等からなるスライド支持手段を設けているので、一人でも、転写ユニット60を容易にプリンタ筐体の外に引き出して転写ユニット60のメンテナンス準備を行うことができる。
【0074】
また、実施形態に係るプリンタにおいては、複数のベルト支持ローラのうち、ステアリングローラ64を、他のベルト支持ローラに対して傾けることで、中間転写ベルト61の寄りを修正するステアリングアーム81、回動軸82等からなる寄り修正手段を設けている。かかる構成では、既に説明したように、ループ内部部品を容易にメンテナンスすることができるという効果を、特に有効に発揮することができる。
【符号の説明】
【0075】
2Y,M,C,K:作像ユニット(作像手段)
60:転写ユニット(ベルトユニット)
61:中間転写ベルト:(ベルト部材)
62Y,M,C,K:1次転写ローラ(ベルト支持部材)
63:従動ローラ(ベルト支持部材)
64:ステアリングローラ(ベルト支持部材)
65:第1アシストローラ(ベルト支持部材)
66:第2アシストローラ(ベルト支持部材)
67:駆動ローラ(ベルト支持部材)
68:2次転写バックアップローラ(ベルト支持部材)
69:第1クリーニングバックアップローラ(ベルト支持部材)
70:第2クリーニングバックアップローラ(ベルト支持部材)
71:テンションローラ
76:前側板(保持手段の一部)
77:第1サブフレーム(保持手段の一部)
78:第2サブフレーム(保持手段の一部)
79:第1アーム(保持手段の一部)
80:第2アーム(保持手段の一部)
81:ステアリングアーム(寄り修正手段の一部)
82:回動軸(寄り修正手段の一部)
86:レール(スライド支持手段の一部)
87:滑車(スライド支持手段の一部)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0076】
【特許文献1】特開2003−216001号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無端状のベルト部材と、前記ベルト部材のループ内側で前記ベルト部材を支持する複数のベルト支持部材を保持する保持手段とを有し、前記保持手段が、複数の前記ベルト支持部材における少なくとも1つの移動により、前記ベルト部材を無端移動させるときのベルト張架姿勢である無端移動用姿勢と、ベルトユニットを収容する筺体内からベルトユニットを取り出すためのベルト張架姿勢であるユニット取り出し用姿勢とで、ベルト張架姿勢を変化させるように、少なくとも1つのベルト支持部材を移動可能に保持するものであるベルトユニットであって、
前記保持手段が、前記無端移動用姿勢及び前記ユニット取り出し用姿勢の他に、内部部品着脱用姿勢にもベルト張架姿勢を変化させるように、少なくとも1つのベルト支持部材を移動可能に保持するものであり、
且つ、前記内部部品着脱用姿勢が、前記ベルト移動用姿勢や前記ユニット取り出し用姿勢よりも、前記ベルト部材のループ内に対する内部部品の着脱性を向上させて前記内部部品の着脱を行うためのベルト張架姿勢であることを特徴とするベルトユニット。
【請求項2】
請求項1のベルトユニットであって、
前記内部部品着脱用姿勢が、ループ内の内部部品の視認性と、ループ内への手の進入性とを向上させるベルト張架姿勢であることを特徴とするベルトユニット。
【請求項3】
請求項2のベルトユニットであって、
前記ベルト部材のループ外側で前記ベルト部材のおもて面に当接することで前記ベルト部材にテンションを付与するテンションローラがベルトユニット本体に対して着脱可能に設けられ、
且つ、前記内部部品着脱用姿勢が、前記ベルトユニット本体からの前記テンションローラの取り外しによってテンションを緩めた状態の前記ベルト部材における周方向の一部をループ内からループ外に向けて押し上げることで、前記視認性及び前記進入性を向上させるベルト張架姿勢であることを特徴とするベルトユニット。
【請求項4】
請求項3のベルトユニットであって、
前記保持手段が、前記無端移動用姿勢、前記ユニット取り出し用姿勢、及び前記内部部品着脱用姿勢の他に、ベルト着脱用姿勢にもベルト張架姿勢を変化させるように、少なくとも1つのベルト支持部材を移動可能に保持するものであり、
且つ、前記ベルト着脱用姿勢が、前記無端移動用姿勢、前記ユニット取り出し用姿勢、及び前記内部部品着脱用姿勢よりも、ベルトユニット本体に対する前記ベルト部材の着脱性を向上させるベルト張架姿勢であることを特徴とするベルトユニット。
【請求項5】
請求項4のベルトユニットであって、
前記ベルト着脱用姿勢が、前記ベルトユニット本体からの前記テンションローラの取り外しによってテンションを緩めた状態の前記ベルト部材における周方向の複数箇所をそれぞれループ内からループ外に向けて押し上げることで、ベルトユニット本体に対する前記ベルト部材の着脱性を向上させるベルト張架姿勢であることを特徴とするベルトユニット。
【請求項6】
請求項1乃至5の何れかのベルトユニットにおいて、
前記ベルトユニットを前記筺体の内外間でスライド移動可能に支持するスライド支持手段を設けたことを特徴とするベルトユニット。
【請求項7】
請求項1乃至6の何れかのベルトユニットにおいて、
複数の前記ベルト支持部材のうち、少なくとも1つを、他のベルト支持部材に対して傾けることで、前記ベルト部材の寄りを修正する寄り修正手段を設けたことを特徴とするベルトユニット。
【請求項8】
記録シートに形成するための画像を作像する作像手段と、無端状のベルト部材を無端移動せしめながら、前記ベルト部材の表面に保持した前記記録シートを搬送するベルトユニットとを備える画像形成装置において、
前記ベルトユニットとして、請求項1乃至7の何れかのベルトユニットを用いたことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【公開番号】特開2012−123233(P2012−123233A)
【公開日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−274444(P2010−274444)
【出願日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】