説明

ベルト蛇行抑制装置及びこれを備えた画像形成装置

【課題】複数の受光領域から出力される複数の出力信号に基づいて無端ベルトの幅方向位置を算出する構成における発光光量の調整動作の際にベルト幅方向位置の高精度な位置決め制御を要求しないことを課題とする。
【解決手段】無端ベルトの幅方向変位に連動してメインスリットが2つの受光領域の配列方向に沿って発光部からの光の光路を横切るように移動する構成において、当該2つの受光領域から出力される2つの出力信号Va,Vbの総和(Va+Vb)の最大値が規定最大値となるように発光光量を調整する場合、この総和が最大値を示す範囲Cから外れた範囲D及び範囲E内で出力される出力信号が一定となるようにサブスリットを設けて、範囲D,E内では出力信号が所定の目標値となるように発光光量を変更することで発光光量調整制御を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無端ベルトのベルト幅方向への変位を修正して無端ベルトの蛇行を抑制するベルト蛇行抑制装置及びこれを備えた画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、複写機やプリンタ等の画像形成装置のなかには、中間転写ベルト、感光体ベルト、用紙搬送ベルトなどの無端ベルトを用いて画像を形成する画像形成装置がある。一般に、駆動ローラを含む所定数のローラにより張架して無端ベルトを走行させる場合、走行中の無端ベルトが走行方向とは直交する方向(以下「ベルト幅方向」という。)に変位する、いわゆるベルト蛇行が発生することがある。このベルト蛇行は、例えば、その無端ベルトの外周面上に又はその無端ベルトの外周面に担持された記録材上に画像を形成する場合には、画像を歪ませる原因となる。また、例えば、各色画像を互いが重なり合うように無端ベルト上に順次形成してカラー画像を形成する場合には、各色画像間においてベルト幅方向の相対的な位置ズレが発生し、色ズレや色ムラ等が生じる原因となる。特に、このような色ズレや色ムラ等はユーザーに認知されやすいので、上記のようにカラー画像を形成する場合にはベルト蛇行を適切に抑制することが重要となる。
【0003】
無端ベルトの蛇行抑制方式として、その代表的な技術の一つに、無端ベルトを支持する1又は2以上の支持ローラ(以下「ステアリングローラ」という。)の傾きを制御してベルト蛇行を抑制する方式(以下「ステアリング方式」という。)が知られている。このステアリング方式は、無端ベルトの内周面におけるベルト幅方向端部に設けたリブやガイド等を支持ローラ端面等に引っ掛けることでベルト蛇行を抑制する方式に比べて、無端ベルトに加わる外力が小さい。よって、無端ベルトの走行安定性や耐久性などについて信頼性が高いという利点を有している。
【0004】
ステアリング方式を採用する場合、ステアリングローラの制御量(傾斜量)を決めるために、無端ベルトがどの程度ベルト幅方向へ変位したかを検出する必要がある。そして、ステアリングローラを制御して適正にベルト蛇行を抑制するためには、ベルト幅方向への変位量(以下「蛇行量」という。)を高い分解能で検出することが重要となる。しかしながら、要求される検出範囲(蛇行量の範囲)と、要求される検知分解能とを両立することは、以下に説明するように難しいという問題があった。
【0005】
無端ベルトの組み付け時や無端ベルトの交換時など、無端ベルトを作業員の手によってセットした直後においては、適正なベルト幅方向位置から±2〜3mmの位置誤差は避けられない。このような位置誤差を考慮すると、無端ベルトの幅方向への変位量の検出範囲としては、±2〜3mmの範囲が要求される。一方、検知分解能としては、カラー画像を形成する場合の色ズレや色ムラ等を十分に抑制する点からすると、色ズレや色ムラ等を十分に抑制できる範囲内に無端ベルトの蛇行量を抑えるために、0.005mm程度の分解能が要求される。すなわち、要求される検出範囲(±2〜3mm)に対して1000倍以上の検知分解能(0.005mm)が要求されるのである。もちろん、非常に高価なセンサ構成を採用すれば、このような広い検出範囲と高い検知分解能とを両立することは可能である。しかしながら、現実的には、例えば出力電圧範囲が0〜5Vというアナログ出力の低廉な光センサを用いかつ簡素な構成を実現できる安価なセンサ構成において、上記の両立を実現することが必要である。ところが、上述したような0〜5Vのアナログ出力の低廉なセンサを用いて検出範囲に対して1000倍の分解能を得ようとすると、5mV単位の電圧(センサ出力)を検出する必要が出てくる。機器内のノイズやコントローラ側のA/D変換回路(アナログ/デジタル変換回路)の性能面を考慮すると、5mV単位の電圧に対して適正な検出を安定して行うことは困難である。
【0006】
従来、複数の低廉なセンサを用いて広い検出範囲と高い検知分解能との両立を試みたベルト蛇行抑制装置が提案されている(特許文献1、特許文献2)。
特許文献1には、正規のベルト幅方向位置から±1mmの範囲での無端ベルトのベルト幅方向変位量を検知する第1検知部と、正規のベルト幅方向位置から±5mmの範囲を超えるオーバーランが生じたことを検知する第2検知部とを備えたベルト蛇行抑制装置が記載されている。このベルト蛇行抑制装置は、第1検知部により検知される蛇行量に応じて無端ベルトの幅方向変位を修正するとともに、オーバーランが生じたことを第2検知部が検知したら無端ベルトの走行を停止して異常報知を行う。第1検知部は、無端ベルトの幅方向変位に連動して所定の支軸を中心に揺動する揺動アームに対し、その揺動方向から対向するように配置された変位センサである。このベルト蛇行抑制装置によれば、第1検知部の検知範囲(正規のベルト幅方向位置から±1mmの範囲)で無端ベルトが変位する間は無端ベルトの蛇行を抑制できるとともに、第1検知部とは別途設けられた第2検知部によりオーバーランの発生が検知されるため、オーバーランによる無端ベルトの破損等の不具合も防止できる。
また、特許文献2には、無端ベルトの幅方向変位に連動して所定の支軸を中心に揺動する揺動アームに対し、支軸からの距離が互いに異なる位置で揺動アームに対してその揺動方向から対向するように2つの変位センサを配置したベルト蛇行抑制装置が記載されている。このベルト蛇行抑制装置において、支軸に近い側の第1変位センサは検知範囲が広くかつ分解能が低いものとなり、支軸から遠い側の第2変位センサは検知範囲が狭くかつ分解能が高いものとなる。このベルト蛇行抑制装置では、第2変位センサの検知範囲(正規のベルト幅方向位置から±1mmの範囲)で無端ベルトが変位する間は第2変位センサの高い検出分解能をもつ出力信号に基づいて無端ベルトの幅方向変位を修正し、第2変位センサの検知範囲を超えて無端ベルトが変位した場合には第1変位センサの低い検出分解能の出力信号に基づいて無端ベルトの幅方向変位を修正する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところが、上記特許文献1及び上記特許文献2に記載されたベルト蛇行抑制装置は、いずれも2つのセンサを用いて無端ベルトの幅方向変位を検出しているが、高い検出分解能で検出できる範囲は、単体のセンサで高い検出分解能で検出できる範囲と変わらない。広い検出範囲と高い検知分解能との両立とは、本来、高い検出分解能で広い検出範囲のベルト幅方向変位を検出することであり、この意味において上記特許文献1及び上記特許文献2に記載されたベルト蛇行抑制装置は両立が実現できていない。
【0008】
そこで、本発明者は、特願2010−131386号(以下「先願」という。)の明細書に記載したベルト蛇行抑制装置を考案した。このベルト蛇行抑制装置は、無端ベルトの幅方向への変位に連動して移動する移動部材の光路中に占める割合(遮光量)に応じた出力レベルの信号Va,Vbをそれぞれ出力する複数の光センサ(検出用受光領域)を有している。これらの光センサは、高い分解能での検出が望まれる所定の高分解能検出領域(例えば、無端ベルトがベルト幅方向中心位置近傍に位置する領域)内では、いずれも、その無端ベルトの幅方向位置に応じて出力レベルが変化するように配置されている。そして、当該高分解能検出領域内での無端ベルトの幅方向変位量に対する出力レベルの変化量の比率すなわち検出分解能が、当該複数の光センサの個別の検出分解能よりも大きくなるように、当該複数の光センサの出力信号を合成し、その合成信号をベルト変位量として検出するようにしている。よって、各光センサの検出範囲が互いに重複している範囲(高分解能検出領域)内においては、個々の光センサよりも高い検出分解能を得ることができる。これにより、個々の光センサの検出分解能が下げてでも各光センサの検出範囲を広げて、その広い検出範囲を互いに重複させて広い高分解能検出領域を得ることで、この広い高分解能検出領域と同じ広さの検出範囲をもつ単体の光センサでは得られない高い検出分解能を得ることが可能となる。
【0009】
このようなベルト蛇行抑制装置に使用可能な光センサは、一般に、光センサの周囲温度が変化したり、光センサの受光面が汚れたりすると、光センサの受光面に照射されている光量とその光センサの出力信号との関係が崩れてしまう。この関係が崩れると、実際には無端ベルトの幅方向位置が目標位置に位置しているにも拘わらず、光センサの出力信号に基づいて算出される無端ベルトの幅方向位置は目標位置からズレるという事態が生じる。この場合、無端ベルトの幅方向位置を目標位置に制御できなくなる。そのため、使用開始時(初期時)や使用開始後の所定のタイミングで、無端ベルトの幅方向位置が目標位置に位置するときのベルト幅方向位置と光センサの出力信号との関係を調整する調整動作が必要となる。この調整動作は、例えば、光センサの受光面に照射される光量が最大となる時にその光センサの出力信号が最大となるように、発光光量を調整することにより行うことができる。
【0010】
一方、上記先願の明細書で提案したベルト蛇行抑制装置の中には、光センサの数が2つである例で、高分解能検出領域の検出に用いる合成信号として、差分信号(Vb−Va)を利用したものがある。この構成においては、無端ベルトの幅方向位置が目標位置にあるときに当該差分信号(Vb−Va)がゼロとなるように調整すれば、光センサの周囲温度が変化したり、光センサの受光面が汚れたりしても、目標位置にあるときの差分信号(Vb−Va)をゼロのまま維持でき、無端ベルトの幅方向位置を目標位置に制御できる。しかしながら、差分信号(Vb−Va)を利用して無端ベルトの幅方向位置を目標位置に制御する場合でも、光センサの周囲温度が変化したり光センサの受光面が汚れたりして各光センサの受光量が落ち込んだ場合、高分解能検出領域が狭まってしまう。すなわち、差分信号(Vb−Va)を用いる場合、高分解能検出領域は、VbがゼロでかつVaが最大となる値(−Vamax)から、VaがゼロでかつVbが最大となる値(Vbmax)までの範囲であるため、各光センサの出力信号の最大値Vamax,Vbmaxが落ち込むと高分解能検出領域が狭まることになる。よって、このような差分信号(Vb−Va)を利用する場合でも、高分解能検出領域を広く維持するために、所定のタイミングで発光光量を調整する調整動作を行うことが望まれる。
【0011】
この発光光量の調整動作としては、例えば、各光センサの出力信号の合計値(Va+Vb)が最大値を示すときに、その合計値(Va+Vb)が規定値を示すように、発光光量を調整する方法が考えられる。しかしながら、この方法で発光光量を調整する場合、無端ベルトの幅方向位置が、各光センサの出力信号の合計値(Va+Vb)が最大値を示す位置、具体的には、各光センサの出力レベルVa,Vbのいずれもが無端ベルトの幅方向位置に応じて変化することになる高分解能検出領域内に位置している場合でしか、発光光量を調整することができない。この高分解能検出領域は比較的狭いため、この狭い範囲内にベルト幅方向位置を位置決めには高精度な制御が求められる。そのため、発光光量の調整動作が煩雑であるという問題があった。
【0012】
また、発光光量の調整動作の際に求められるベルト幅方向位置の位置決め制御に高い精度が要求される結果、実際のベルト幅方向位置が高分解能検出領域から外れた状態で、合計値(Va+Vb)が規定値となるように発光光量の調整が行われしまうことが起こりやすい。このような調整が行われてしまうと、実際のベルト幅方向位置が高分解能検出領域内に位置する際に、各光センサの受光量が飽和状態となる事態が生じ、無端ベルトの幅方向変位量の検知が不能となるってしまうという問題も起こり得る。
【0013】
なお、これらの問題は、上記先願の明細書に記載されたベルト蛇行抑制装置の構成に限らず、複数の光センサから出力される複数の出力信号に基づいて無端ベルトの幅方向位置を算出する構成において、各出力信号の総和の最大値が規定値となるように発光光量を調整する場合には、同様に生じ得る問題である。
【0014】
本発明は、以上の問題に鑑みなされたものであり、その目的とするところは、複数の光センサ(検出用受光領域)から出力される複数の出力信号に基づいて無端ベルトの幅方向位置を算出する構成における発光光量の調整動作の際にベルト幅方向位置の高精度な位置決め制御が要求されないベルト蛇行抑制装置及びこれを備えた画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、複数の支持部材に張架された状態で走行する無端ベルトの幅方向位置を検出するベルト幅方向位置検出手段と、該ベルト幅方向位置検出手段の検出結果に基づいて該無端ベルトのベルト幅方向への変位を修正するベルト蛇行修正手段とを有するベルト蛇行抑制装置において、上記ベルト幅方向位置検出手段は、一列に隣接して配列されていて受光量に応じた信号レベルの出力信号をそれぞれ出力する複数の検出用受光領域を備えた受光部と、上記受光部に向けて照射される光を発光する発光部と、検出用遮光部又は検出用光透過スリットを有し、上記無端ベルトのベルト幅方向への変位に連動して該検出用遮光部又は該検出用光透過スリットが検出用受光領域配列方向に沿って上記発光部からの光の光路を横切るように移動する移動部材と、上記複数の検出用受光領域から出力される複数の出力信号から上記無端ベルトの幅方向位置を算出するベルト幅方向位置算出手段と、所定の調整タイミングで、上記複数の検出用受光領域から出力される出力信号の総和の最大値が規定最大値となるように上記発光部の発光光量を調整する発光光量調整制御を行う発光光量調整手段とを有し、上記受光部は、上記複数の検出用受光領域から出力される出力信号の総和が最大値を示す所定範囲から外れた特定範囲内に上記無端ベルトの幅方向位置が位置しているときに上記発光部からの光を受光する調整用受光領域を備えており、上記無端ベルトの幅方向位置が上記特定範囲内に位置している間、上記調整用受光領域から出力される出力信号が一定となるように構成されており、上記発光光量調整手段は、上記無端ベルトの幅方向位置が上記特定範囲内に位置しているときは、上記調整用受光領域から出力される出力信号が所定の目標値となるように上記発光部の発光光量を変更することで、上記発光光量調整制御を行うことを特徴とするものである。
また、請求項2の発明は、請求項1のベルト蛇行抑制装置において、上記無端ベルトの幅方向位置が上記所定範囲内に位置している間は、該無端ベルトのベルト幅方向への変位に応じて、上記複数の検出用受光領域のうちの少なくとも2つの検出用受光領域の受光量がいずれも変化するように構成されており、上記ベルト幅方向位置算出手段は、上記無端ベルトの幅方向位置が上記所定範囲内に位置している間における無端ベルトの幅方向位置については上記少なくとも2つの検出用受光領域から出力される出力信号に基づいて算出することを特徴とするものである。
また、請求項3の発明は、請求項1又は2のベルト蛇行抑制装置において、上記複数の検出用受光領域のうちの少なくとも1つの検出用受光領域を上記調整用受光領域として用い、上記移動部材は、上記無端ベルトの幅方向位置が上記特定範囲内に位置している間は上記少なくとも1つの検出用受光領域に照射される光量が変動しないように上記発光部からの光を透過させる調整用光透過スリットを備えていることを特徴とするものである。
また、請求項4の発明は、請求項3のベルト蛇行抑制装置において、上記無端ベルトの幅方向位置が上記所定範囲内に位置している間は、一の検出用光透過スリットを透過する光が、隣接する2つの検出用受光領域にまたがって照射されるように構成されており、上記調整用光透過スリットは、上記一の検出用光透過スリットの検出用受光領域配列方向端部位置から検出用受光領域配列方向に沿って該検出用光透過スリットから離れる方向へ延びるように、上記移動部材に形成されており、上記調整用光透過スリットは、上記無端ベルトの幅方向位置が上記所定範囲内に位置している間に上記無端ベルトがベルト幅方向へ変位するときの単位変位量あたりの透過光量が、上記一の検出用光透過スリットよりも少なくなるように構成されていることを特徴とするものである。
また、請求項5の発明は、請求項4のベルト蛇行抑制装置において、検出用受光領域配列方向に対して直交する方向における上記調整用光透過スリットの長さが、検出用受光領域配列方向に対して直交する方向における上記一の検出用光透過スリットの長さよりも短いことを特徴とするものである。
また、請求項6の発明は、請求項4又は5のベルト蛇行抑制装置において、上記調整用光透過スリットの光透過率は、上記一の検出用光透過スリットよりも小さいことを特徴とするものである。
また、請求項7の発明は、請求項1又は2のベルト蛇行抑制装置において、上記調整用受光領域は、上記複数の検出用受光領域とは別個に設けられていることを特徴とするものである。
また、請求項8の発明は、請求項7のベルト蛇行抑制装置において、上記受光部は、上記複数の検出用受光領域が一列に隣接して配列された検出用受光領域列と、複数の上記調整用受光領域が一列に隣接して配列された調整用受光領域列とを備えており、上記検出用受光領域列を構成する複数の検出用受光領域のいずれの受光量も上記無端ベルトのベルト幅方向への変位に応じて変化しない範囲で、上記調整用受光領域列を構成する複数の調整用受光領域の少なくとも1つの受光量が該無端ベルトのベルト幅方向への変位に応じて変化するように構成されていることを特徴とするものである。
また、請求項9の発明は、複数の支持部材に張架された状態で走行する無端ベルトの外周面上に形成した画像を最終的に記録材に転移させて該記録材上に画像を形成するか、又は、複数の支持部材に張架された状態で走行する無端ベルトの外周面に担持された記録材上に画像を形成する画像形成装置において、上記無端ベルトのベルト幅方向への変位を修正して該無端ベルトの蛇行を抑制するベルト蛇行抑制装置として、請求項1乃至8のいずれか1項に記載のベルト蛇行抑制装置を用いることを特徴とするものである。
【0016】
本発明においては、複数の検出用受光領域全体の受光領域配列方向長さよりも短い受光領域配列方向長さをもつ遮光部又は光透過スリットが、無端ベルトのベルト幅方向への変位に連動して、受光領域配列方向に沿って発光部からの光の光路を横切るように移動する。よって、無端ベルトの幅方向位置と遮光部又は光透過スリットの受光領域配列方向位置との間には相関関係がある。したがって、当該複数の検出用受光領域から出力される複数の出力信号に基づいて遮光部又は光透過スリットの受光領域配列方向位置を特定できるので、これらの出力信号から無端ベルトの幅方向位置を算出することができる。
ここで、本発明においては、複数の検出用受光領域から出力される出力信号の総和の最大値が規定値となるように発光部の発光光量を調整する。このとき、本発明によれば、以下のとおり、複数の検出用受光領域から出力される出力信号の総和が最大値を示す所定範囲から外れた特定範囲においても、その調整が可能である。
すなわち、本発明では、当該特定範囲内に無端ベルトの幅方向位置が位置している間、発光部からの光を受光する調整用受光領域が設けられている。そして、この間は、当該調整用受光領域から出力される出力信号が一定である。発光部は、この調整用受光領域と上記複数の検出用受光領域とを備えた受光部に向けて照射する光を発光している。よって、当該特定範囲内に無端ベルトの幅方向位置が位置している間に、複数の検出用受光領域から出力される出力信号の総和の最大値が規定値となるときの発光光量で発光部が光を照射した場合に調整用受光領域から出力される出力信号は、予め決まった値をとることになる。本発明では、無端ベルトの幅方向位置が当該特定範囲内に位置しているときには、調整用受光領域から出力される出力信号が所定の目標値となるように発光部の発光光量を変更する。よって、このときの所定の目標値を上記予め決まった値に設定し、調整用受光領域から出力される出力信号がこの目標値となるように発光部の発光光量を変更すれば、その発光部の発光光量を、複数の検出用受光領域から出力される出力信号の総和の最大値が規定値となるように調整できる。
【発明の効果】
【0017】
以上、本発明によれば、複数の光センサ(検出用受光領域)から出力される複数の出力信号に基づいて無端ベルトの幅方向位置を算出する構成における発光光量の調整動作の際にベルト幅方向位置の高精度な位置決め制御が要求されないという優れた効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】実施形態に係るプリンタの一例を示す概略構成図である。
【図2】同プリンタの中間転写ベルトを駆動するベルト駆動装置の概略構成を示す説明図である。
【図3】同ベルト駆動装置に設けられるエッジセンサの構成を示す正面図である。
【図4】同エッジセンサの構成を示す側面図である。
【図5】(a)〜(d)は、同エッジセンサにおけるアーム部材の遮光部に形成されるメインスリット及びサブスリットと発光部からの光路との関係を示す説明図である。
【図6】(a)〜(d)は、アーム部材の遮光部が光路に対してそれぞれ図5(a)〜(d)に示すように位置しているときに、その遮光部に設けられたメインスリット及びサブスリットを透過して2つの受光領域に照射される光の照射領域の概要を示す説明図である。
【図7】同ベルト駆動装置のステアリングローラの一端側(駆動端部側)に設けられた傾斜機構の一部を斜め上方から見たときの斜視図である。
【図8】同傾斜機構の一部を斜め下方から見たときの斜視図である。
【図9】同ベルト駆動装置を構成するベルト蛇行抑制装置の制御部分に関わるブロック図である。
【図10】各受光領域から出力される出力信号の波形の概要を示すグラフである。
【図11】各受光領域の出力信号の差分信号(Vb−Va)の波形の概要を示すグラフである。
【図12】中間転写ベルトの蛇行抑制のための一連の制御の流れを示すフローチャートである。
【図13】同エッジセンサの発光光量の調整動作の流れを示すフローチャートである。
【図14】メインスリット及びサブスリットの他の構成例を示す説明図である。
【図15】メインスリット及びサブスリットの更に他の構成例を示す説明図である。
【図16】変形例1におけるアーム部材の遮光部に形成されるメインスリット及びサブスリットと発光部からの光路との関係を示す説明図である。
【図17】アーム部材の遮光部が光路に対して図16に示すように位置しているときに、その遮光部に設けられたスリットを透過して2つの受光領域に照射される光の照射領域の概要を示す説明図である。
【図18】変形例2における受光部の構成を示す説明図である。
【図19】変形例2において、検出用の第1受光領域及び第2受光領域から出力される出力信号の波形の概要を示すグラフである。
【図20】本変形例2において、調整用の第3受光領域から出力される出力信号の波形の概要を示すグラフである。
【図21】変形例3における受光部の構成を示す説明図である。
【図22】変形例3において、検出用の第1受光領域及び第2受光領域から出力される出力信号の波形の概要を示すグラフである。
【図23】変形例3において、調整用の第3受光領域及び第4受光領域から出力される出力信号の波形の概要を示すグラフである。
【図24】変形例3において、検出用の出力信号の差分信号(Va−Vb)と、調整用の出力信号の差分信号(Vc1−Vc2)との波形の概要を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明を、電子写真方式によって画像を形成する画像形成装置としてのプリンタに適用した一実施形態について説明する。
まず、本実施形態に係るプリンタの基本的な構成について説明する。
図1は、実施形態に係るプリンタの一例を示す概略構成図である。
このプリンタは、2つの光書込ユニット1YM、1CKと、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)のトナー像を形成するための4つのプロセスユニット2Y,2M,2C,2Kとを備えている。また、給紙路30、転写前搬送路31、手差し給紙路32、手差しトレイ33、レジストローラ対34、搬送ベルトユニット35、定着装置40、搬送切替装置50、排紙路51、排紙ローラ対52、排紙トレイ53、第1給紙カセット101、第2給紙カセット102、再送装置等も備えている。
【0020】
第1給紙カセット101及び第2給紙カセット102は、それぞれ内部に記録材としての記録紙Pの束を収容している。そして、給紙ローラ101a,102aの回転駆動により、紙束における一番上の記録紙Pを給紙路30に向けて送り出す。この給紙路30には、後述する2次転写ニップの直前で記録紙を搬送するための転写前搬送路31が続いている。給紙カセット101,102から送り出された記録紙Pは、給紙路30を経て転写前搬送路31に進入する。
【0021】
プリンタ筺体における側面には、手差しトレイ33が筺体に対して開閉可能に配設されており、筺体に対して開いた状態でトレイ上面に紙束が手差しされる。手差しされた紙束における一番上の記録紙Pは、手差しトレイ33の送出ローラによって転写前搬送路31に向けて送り出される。
【0022】
2つの光書込ユニット1YM,1CKは、それぞれ、レーザダイオード、ポリゴンミラー、各種レンズなどを有しており、プリンタ外部のスキャナによって読み取られた画像情報や、パーソナルコンピュータから送られてくる画像情報に基づいて、レーザダイオードを駆動する。そして、プロセスユニット2Y,2M,2C,2Kの感光体3Y,3M,3C,3Kを光走査する。具体的には、プロセスユニット2Y,2M,2C,2Kの感光体3Y,3M,3C,3Kは、図示しない駆動手段によってそれぞれ図中反時計回り方向に回転駆動される。光書込ユニット1YMは、駆動中の感光体3Y,3Mに対して、レーザ光をそれぞれ回転軸線方向に偏向させながら照射することで、光走査処理を行う。これにより、感光体3Y,3Mには、それぞれ、Y画像情報及びM画像情報に基づいた静電潜像が形成される。また、光書込ユニット1CKは、駆動中の感光体3C,3Kに対して、レーザ光をそれぞれ回転軸線方向に偏向させながら照射することで、光走査処理を行う。これにより、感光体3C,3Kには、それぞれ、C画像情報及びK画像情報に基づいた静電潜像が形成される。
【0023】
プロセスユニット2Y,2M,2C,2Kは、それぞれ、潜像担持体としてのドラム状の感光体3Y,3M,3C,3Kを有している。また、プロセスユニット2Y,2M,2C,2Kは、それぞれ、感光体3Y,3M,3C,3Kの周囲に配設される各種機器を1つのユニットとして共通の支持体に支持しており、それらがプリンタ部本体に対して着脱可能になっている。各プロセスユニット2Y,2M,2C,2Kは、互いに使用するトナーの色が異なる点を除いて同様の構成になっている。Y用のプロセスユニット2Yを例にすると、これは、感光体3Yのほか、これの表面に形成された静電潜像をYトナー像に現像するための現像装置4Yを有している。また、回転駆動される感光体3Yの表面に対して一様帯電処理を施す帯電装置5Yや、後述するY用の1次転写ニップを通過した後の感光体3Yの表面に付着している転写残トナーをクリーニングするドラムクリーニング装置6Yなども有している。
【0024】
図示のプリンタは、4つのプロセスユニット2Y,2M,2C,2Kを、後述する中間転写ベルト61に対してその無端移動方向に沿って並べたいわゆるタンデム型の構成になっている。
【0025】
感光体3Yとしては、アルミニウム等の素管に、感光性を有する有機感光材の塗布による感光層を形成したドラム状のものを用いている。但し、無端ベルト状のものを用いてもよい。
【0026】
現像装置4Yは、図示しない磁性キャリアと非磁性のYトナーとを含有する二成分現像剤(以下、単に「現像剤」という。)を用いて潜像を現像するものである。現像装置4Yとして、二成分現像剤の代わりに、磁性キャリアを含まない一成分現像剤によって現像を行うタイプのものを使用してもよい。現像装置4Yに対しては、図示しないYトナー補給装置により、Yトナーボトル103Y内のYトナーが適宜補給される。
【0027】
ドラムクリーニング装置6Yとしては、クリーニング部材であるポリウレタンゴム製のクリーニングブレードを感光体3Yに押し当てる方式のものを用いているが、他の方式のものを用いてもよい。クリーニング性を高める目的で、本プリンタでは、回転自在なファーブラシを感光体3Yに当接させる方式のものを採用している。このファーブラシは、図示しない固形潤滑剤から潤滑剤を掻き取って微粉末にしながら感光体3Y表面に塗布する役割も兼ねている。
【0028】
感光体3Yの上方には、図示しない除電ランプが配設されており、この除電ランプもプロセスユニット2Yの一部になっている。除電ランプは、ドラムクリーニング装置6Yを通過した後の感光体3Y表面を光照射によって除電する。除電された感光体3Yの表面は、帯電装置5Yによって一様に帯電された後、上述した光書込ユニット1YMによる光走査が施される。なお、帯電装置5Yは、図示しない電源から帯電バイアスの供給を受けながら回転駆動するものである。かかる方式に代えて、感光体3Yに対して非接触で帯電処理を行うスコロトロンチャージャ方式を採用してもよい。
【0029】
以上、Y用のプロセスユニット2Yについて説明したが、M、C、K用のプロセスユニット2M,2C,2Kも、Y用のものと同様の構成になっている。
【0030】
4つのプロセスユニット2Y,2M,2C,2Kの下方には、転写ユニット60が配設されている。この転写ユニット60は、複数の支持ローラによって張架している無端ベルトである中間転写ベルト61を、感光体3Y,3M,3C,3Kに当接させながら、いずれか1つの支持ローラの回転駆動によって図中時計回り方向に走行(無端移動)させる。これにより、感光体3Y,3M,3C,3Kと中間転写ベルト61とが当接するY、M、C、K用の1次転写ニップが形成されている。
【0031】
Y、M、C、K用の1次転写ニップの近傍では、中間転写ベルトの内周面に囲まれた空間すなわちベルトループ内に配設された1次転写部材としての1次転写ローラ62Y,62M,62C,62Kによって中間転写ベルト61を感光体3Y,3M,3C,3Kに向けて押圧している。これら1次転写ローラ62Y,62M,62C,62Kには、それぞれ図示しない電源によって1次転写バイアスが印加されている。これにより、Y、M、C、K用の1次転写ニップには、感光体3Y,3M,3C,3K上のトナー像を中間転写ベルト61に向けて静電移動させる1次転写電界が形成される。
【0032】
図中時計回り方向の無端移動に伴ってY、M、C、K用の1次転写ニップを順次通過していく中間転写ベルト61の外周面には、各1次転写ニップでトナー像が順次重ね合わせて1次転写される。この重ね合わせの1次転写により、中間転写ベルト61の外周面には4色重ね合わせトナー像(以下「4色トナー像」という。)が形成される。
【0033】
中間転写ベルト61の図中下方には、2次転写部材としての2次転写ローラ72が配設されている。この2次転写ローラ72は、中間転写ベルト61における2次転写バックアップローラ68に対する掛け回し箇所にベルト外周面から当接して2次転写ニップを形成している。これにより、中間転写ベルト61の外周面と2次転写ローラ72とが当接する2次転写ニップが形成されている。
【0034】
2次転写ローラ72には図示しない電源によって2次転写バイアスが印加されている。一方、ベルトループ内の2次転写バックアップローラ68は接地されている。これにより、2次転写ニップ内に2次転写電界が形成されている。
【0035】
2次転写ニップの図中右側方には、上述のレジストローラ対34が配設されており、ローラ間に挟み込んだ記録紙Pを中間転写ベルト61上の4色トナー像に同期させ得るタイミングで2次転写ニップに送り出す。2次転写ニップ内では、中間転写ベルト61上の4色トナー像が2次転写電界やニップ圧の影響によって記録紙Pに一括2次転写され、記録紙Pの白色と相まってフルカラー画像となる。
【0036】
2次転写ニップを通過した中間転写ベルト61の外周面には、2次転写ニップで記録紙Pに転写されなかった転写残トナーが付着している。この転写残トナーは、中間転写ベルト61に当接するベルトクリーニング装置75によってクリーニングされる。
【0037】
2次転写ニップを通過した記録紙Pは、中間転写ベルト61から離間して、搬送ベルトユニット35に受け渡される。この搬送ベルトユニット35は、無端ベルト状の搬送ベルト36を駆動ローラ37と従動ローラ38とによって張架しながら、駆動ローラ37の回転駆動によって図中反時計回り方向に無端移動させる。そして、2次転写ニップから受け渡された記録紙Pを搬送ベルト外周面の張架面に保持しながら、搬送ベルト36の無端移動に伴って搬送して定着手段としての定着装置40に受け渡す。
【0038】
本プリンタにおいては、搬送切替装置50、再送路54、スイッチバック路55、スイッチバック後搬送路56等により、再送手段が構成されている。具体的には、搬送切替装置50は、定着装置40から受け取った記録紙Pのその後の搬送先を、排紙路51と再送路54とで切り替える。記録紙Pの第1面だけに画像を形成する片面モードのプリントジョブの実行時には、記録紙Pの搬送先を排紙路51に設定する。これにより、第1面だけに画像が形成された記録紙Pを、排紙路51経由で排紙ローラ対52に送って、機外の排紙トレイ53上に排紙する。また、記録紙Pの両面に対してそれぞれ画像を形成する両面モードのプリントジョブの実行時において、両面にそれぞれ画像が定着された記録紙Pを定着装置40から受け取ったときにも、記録紙Pの搬送先を排紙路51に設定する。これにより、両面に画像が形成された記録紙Pを、機外の排紙トレイ53上に排紙する。一方、両面モードのプリントジョブの実行時において、第1面だけに画像が定着された記録紙Pを定着装置40から受け取ったときには、記録紙Pの搬送先を再送路54に設定する。
【0039】
再送路54には、スイッチバック路55が繋がっており、再送路54に送られた記録紙Pはこのスイッチバック路55に進入する。そして、記録紙Pの搬送方向の全領域がスイッチバック路55に進入すると、記録紙Pの搬送方向が逆転されて、記録紙Pがスイッチバックする。スイッチバック路55には、再送路54の他に、スイッチバック後搬送路56が繋がっており、スイッチバックした記録紙Pは、このスイッチバック後搬送路56に進入する。このとき、記録紙Pの上下が反転する。そして、上下反転した記録紙Pは、スイッチバック後搬送路56と給紙路30とを経由して2次転写ニップに再送される。2次転写ニップで第2面にもトナー像が転写された記録紙Pは、定着装置40を経由して第2面にトナー像が定着された後、搬送切替装置50と排紙路51と排紙ローラ対52とを経由して、排紙トレイ53上に排紙される。
【0040】
次に、中間転写ベルト61を駆動するベルト駆動装置について説明する。
図2は、本実施形態におけるベルト駆動装置の概略構成を示す説明図である。
本実施形態におけるベルト駆動装置は、主に、ベルト蛇行修正用のステアリングローラ63を含む複数の支持ローラ63,67,68,69,71等により張架支持された無端ベルトである中間転写ベルト61と、駆動源であるステアリングモータ23からの駆動力によりステアリングローラ63を傾斜させるための動作を行う傾斜機構と、中間転写ベルト61がベルト幅方向へ変位したベルト変位量(蛇行量)を検出するベルト変位量検出手段としてのエッジセンサ24と、エッジセンサ24が検出したベルト変位量に基づいてステアリングローラ63の傾斜量を決定し、そのステアリングローラ63の傾斜量が決定した傾斜量となるようにステアリングモータ23を制御して傾斜機構の動作を制御するステアリング制御装置21とから構成され、ステアリングローラ63の傾斜量を変更することによって中間転写ベルト61の蛇行を修正するものである。本実施形態では、傾斜機構及びステアリング制御装置21によりベルト蛇行修正手段が構成されている。また、本実施形態では、支持ローラ67が駆動ローラであるが、他の支持ローラを駆動ローラとしてもよい。
【0041】
ステアリング制御装置21は、単独のマイクロコンピュータでもよいし、本プリンタに内蔵されているコントローラに実行させてもよい。ステアリング制御装置21は、エッジセンサ24によって検出されたベルト変位量に基づいてステアリングローラ63の傾斜量を調整し、中間転写ベルト61の幅方向位置が目標とする正規位置に一定するようにフィードバック制御を行うものであれば、特に制限されない。
【0042】
図3は、本実施形態におけるエッジセンサ24の構成を示す正面図である。
図4は、このエッジセンサ24の構成を示す側面図である。
本実施形態におけるエッジセンサ24は、中間転写ベルト61の側部に当接する接触部が、L字状のアーム部材の一端部から支軸24cの軸方向に延びる接触ピン24kである点が異なっている。中間転写ベルト61は樹脂フィルムではあるが、強度の高いポリイミドなどの材料が0.05〜0.1mm程度の厚さで形成されている。そのため、接触ピン24kを普通の樹脂材料で形成すると、中間転写ベルトの側部との摩擦によって摩耗してしまい、経時的に正常な検出が困難となるおそれがある。よって、接触ピン24kとしては、中間転写ベルトの側部との摩擦によって摩耗しにくい金属製のものが好ましい。また、中間転写ベルトの側部との摩擦による摩耗を軽減するために接触ピン24kを連れ回り回転自在に構成すると、検知誤差の原因になるため、接触ピン24kとしては回転不能に固定されたものがよい。
【0043】
L字状のアーム部材24bは、スプリング24aの付勢力(引っ張り力)により、L字状のアーム部材の一端部から延びる接触ピン24kが常に中間転写ベルト61の当該一側部に当接するように構成されている。このスプリング24aによる接触ピン24kの当接圧力は、中間転写ベルト61の側部を変形させない程度の適度な大きさに設定されている。また、アーム部材の他端は遮光部24dとなっており、図4に示すように、この遮光部24dを挟むようにして透過型の光センサが配置されている。この光センサは、発光部24hと受光部とが対向するように配置されており、その受光部は、2分割受光素子の各受光領域24e,24fで構成されている。2つの受光領域24e,24fは、図3に示すように、アーム部材が支軸24cを中心に回動したときに遮光部24dが変位する方向に沿って並んで配置されている。
【0044】
図5(a)〜(d)は、アーム部材24bの遮光部24dに形成される検出用光透過スリットとしてのメインスリット24i及び調整用光透過スリットであるサブスリット24jと、発光部24hからの光路との関係を示す説明図である。
図6(a)〜(d)は、アーム部材24bの遮光部24dが光路L0に対してそれぞれ図5(a)〜(d)に示すように位置しているときに、その遮光部24dに設けられたスリット24i,24jを透過して2つの受光領域24e,24fに照射される光の照射領域L1,L2の概要を示す説明図である。
【0045】
本実施形態の遮光部24dには、図5(a)及び(b)に示すように、1つのメインスリット24iと1つのサブスリット24jとが設けられている。中間転写ベルト61の幅方向位置が目標の正規位置に位置している場合、発光部24hから2つの受光領域24e,24fに照射される光の光路L0に対するメインスリット24i及びサブスリット24jの位置は、おおよそ図5(a)に示すようになる。すなわち、メインスリット24iは光路L0内にその全体が収まった状態になり、また、サブスリット24jはアーム部材回動方向において光路L0の全体を収めた状態になる。このとき、メインスリット24iを透過した光の照射領域L1は、その寸法はメインスリット24iとほぼ同じであり、そのアーム部材回動方向(2つの受光領域24e,24fの並び方向)の中央部が図6(a)に示すように当該2つの受光領域24e,24fの境界位置に位置する。一方、サブスリット24jを透過した光の照射領域L2は、そのアーム部材回動方向(図中上下方向)における長さが光路L0の長さであり、かつ、アーム部材回動方向に対して直交する方向(図中左右方向)おける長さがサブスリット24jの長さであり、そのアーム部材回動方向中央部が図6(a)に示すように当該2つの受光領域24e,24fの境界位置に位置する。
【0046】
続いて、図5(a)に示す状態から、中間転写ベルト61が幅方向へ変位して、これに連動してアーム部材24bが回動し、遮光部24dが図5(b)に示す位置に移動したとする。このときも、メインスリット24iは光路L0内にその全体が収まった状態であるので、メインスリット24iを透過した光の照射領域L1の寸法はメインスリット24iとほぼ同じである。ただし、メインスリット24iの照射領域L1の位置は、図6(b)に示すように、第1受光領域24e側に移動する。一方、サブスリット24jは、図5(a)に示す状態と同様、アーム部材回動方向において光路L0の全体を収めた状態となっている。そのため、サブスリット24jを透過した光の照射領域L2については、その寸法も位置も図5(a)に示す状態と同じである。
【0047】
次に、図5(b)に示す状態から更に中間転写ベルト61が幅方向へ変位して、これに連動してアーム部材24bが回動し、遮光部24dが図5(c)に示す位置に移動したとする。このとき、メインスリット24iの照射領域L1の位置は、図6(c)に示すように、更に第1受光領域24e側へ移動する。また、メインスリット24iの一部は、図5(c)に示すように、光路L0から外れた状態となり、メインスリット24iを透過した光の照射領域L1の寸法は、図6(c)に示すように、そのアーム部材回動方向(図中上下方向)における長さがメインスリット24iの長さよりも短いものとなる。一方、サブスリット24jは、図5(a)及び(b)に示す状態と同様、アーム部材回動方向において光路L0の全体を収めた状態となっている。そのため、サブスリット24jを透過した光の照射領域L2については、その寸法も位置も図5(a)及び(b)に示す状態と同じである。
【0048】
更に、図5(c)に示す状態から更に中間転写ベルト61が幅方向へ変位して、これに連動してアーム部材24bが回動し、遮光部24dが図5(d)に示す位置に移動したとする。このとき、図5(d)に示すように、メインスリット24iの全体が光路L0から外れた状態となり、メインスリット24iを透過した光は、図6(d)に示すように、2つの受光領域24e,24fのいずれにも照射されることはない。一方、サブスリット24jは、図5(a)〜(c)に示す状態と同様、アーム部材回動方向においていまだ光路L0の全体を収めた状態となっている。そのため、サブスリット24jを透過した光の照射領域L2については、その寸法も位置も図5(a)〜(c)に示す状態と同じである。
【0049】
ベルト蛇行時には、中間転写ベルト61の幅方向への動きが中間転写ベルト61の側部に当接する接触ピン24kを介してアーム部材24bの支軸24cを中心とした回動動作に置き換えられる。そして、各受光領域24e,24fを遮光部24dのメインスリット24iを透過した光が照射している間は、その光が照射されている受光領域24e,24fからの出力レベルは、アーム部材の回動動作すなわち中間転写ベルト61の幅方向変位に対応して変動する。したがって、この間であれば、各受光領域24e,24fのセンサ出力は、中間転写ベルト61のベルト変位量(蛇行量)を示すものとなる。本実施形態において、エッジセンサ24は、図2に示すように、ベルト走行方向において駆動ローラ67と2次転写バックアップローラ68との間に配置されている。
【0050】
2つの受光領域24e,24fは、いずれも、受光量に応じたアナログ電圧を出力する低廉の光センサである。このような光センサとしては、一般的なアナログ出力の透過型フォトインタラプタなどを利用することができる。
【0051】
なお、エッジセンサ24は、中間転写ベルト61の幅方向変位に連動して移動する移動部材の光路中に占める割合に応じた出力レベルの信号をそれぞれ出力する複数の光センサを有するものであって、中間転写ベルト61が所定領域内で幅方向へ変位するときにいずれの光センサも出力レベルが変化するように各光センサを配置したものであれば、どのような構成であってもよい。例えば、本実施形態では、ベルト蛇行時における中間転写ベルト61の幅方向への動きを移動部材(アーム部材24b)の回動動作に置き換えた構成であるが、ベルト蛇行時における中間転写ベルト61の幅方向への動きを移動部材の直進動作に置き換えた構成であってもよい。また、移動部材を介在させずに、中間転写ベルト61のベルト幅方向端部が直接光路を横切るように構成して、中間転写ベルト61の幅方向への変位量を検出する構成としてもよい。
【0052】
図7は、ステアリングローラ63の一端側(駆動端部側)に設けられた傾斜機構の一部を斜め上方から見たときの斜視図である。
図8は、この傾斜機構の一部を斜め下方から見たときの斜視図である。
本実施形態において、ステアリングローラ63を傾斜させるための動作を行う傾斜機構は、図2に示すとおり、片持ちのワイヤー方式を採用している。以下、具体的に説明する。
ステアリングモータ23は、その出力軸上に駆動プーリ86を備えている。この駆動プーリ86は、巻き取りプーリ87とともにタイミングベルト88を張架している。巻き取りプーリ87は、タイミングベルト88が巻き付くベルトプーリ部と、ワイヤー80の一端(以下「駆動端」という。)が固定されたワイヤープーリ部とが、同軸上に一体成型されたものである。ステアリングモータ23が回転駆動して駆動プーリ86が回転すると、タイミングベルト88を介して巻き取りプーリ87が回転し、ワイヤー80の駆動端側がワイヤープーリ部に巻き取られる。本実施形態の巻き取りプーリ87は、ベルトプーリ部の径よりもワイヤープーリ部の径の方が小さく形成されているため、巻き取りプーリ87は減速手段を構成している。
【0053】
本実施形態において、ワイヤー80の駆動端側は巻き取りプーリ87に固定されている。一方で、ワイヤー80の他端側は、動滑車83に巻き付いていて、その端部はワイヤー保持部材84に固定されている。動滑車83は、長尺なローラホルダ81の一端部に回転可能に支持されている。動滑車83が支持されているローラホルダ81の端部とは反対側の端部には、ステアリングローラ63の駆動端部が回転可能に支持されている。このローラホルダ81は、その長尺方向の途中部分が支軸82に回動可能に支持されている。ローラホルダ81は、引っ張りスプリング85により、支軸82を中心として図2中時計回り方向へ付勢する付勢力が付与されている。この引っ張りスプリング85は、ワイヤー80が巻き付いた動滑車83をワイヤー80に張力がかかる図2中上側の向きに変位させる付勢力を付与するので、ワイヤー80に常時安定して適当な張力を付与する張力付与手段として機能する。
【0054】
また、本実施形態において、ワイヤー部分80aが引っ張りバネ89により引っ張られていて、これにより、巻き取りプーリ87には図2中反時計回り方向へ回転する付勢力が与えられている。このワイヤー部分80a及び引っ張りバネ89は、ステアリングモータ23の駆動トルクを軽減するためのものである。すなわち、ステアリングモータ23を引っ張りスプリング85による付勢力に抗する向きに回転駆動させる場合、ステアリングモータ23には引っ張りスプリング85の付勢力による駆動負荷が加わるが、その回転駆動方向には引っ張りバネ89による付勢力が加わるため、その駆動付加が軽減される。
【0055】
以上の構成をもつ傾斜機構では、ステアリングモータ23が回転駆動してワイヤー80が巻き取りプーリ87に巻き取られる若しくは繰り出されることで動滑車83が変位し、これによりローラホルダ81が支軸82を中心に回動する。その結果、ステアリングローラ63の駆動端部が他端部に対して相対的に変位し、ステアリングローラ63が傾動する。本実施形態のように巻き取りプーリ87にワイヤー80を巻き取るワイヤー方式によれば、ワイヤー80の移動可能量が多く取ることができるため、ステアリングローラ63の傾動範囲すなわち制御可能な傾斜量の範囲を広くとることができる。ただし、ステアリングローラ63の傾動範囲が広すぎて、ローラホルダ81が周囲の部品に干渉する恐れがある場合には、ローラホルダ81の回動範囲を所定範囲に規制する規制手段を設けてもよい。本実施形態では、この規制手段として、図7に示すようにストッパ95が設けられている。
【0056】
また、ワイヤー80の移動可能量が多く取ることができる結果、減速手段を介在させてもステアリングローラ63の傾動範囲を十分に確保することができる。よって、減速手段を介在させてステアリングローラ63の傾斜量を高精度に制御する構成を採用することができる。そのため、本実施形態では、上述した巻き取りプーリ87におけるベルトプーリ部とワイヤープーリ部との径比、動滑車83の採用、ローラホルダ81における支軸82から各端部までの長さ比(テコの原理)により、ステアリングモータ23の回転駆動を減速してローラホルダ81に伝達する構成を採用し、ステアリングローラ63の傾斜量の分解能を高め、高精度の傾き制御を可能にしている。
【0057】
更に、本実施形態では、ワイヤー方式を採用しているため、ワイヤーを用いないカム方式に比べて、ステアリングローラ63から離れた位置にステアリングモータ23を配置することができる。よって、ステアリングローラ63の周囲のレイアウト自由度が高い。特に、本実施形態では、片持ちのワイヤー方式を採用しているため、上記特許文献1に記載されたもののようにループ状のワイヤーを用いる方式と比較して、ワイヤーを通すために必要なスペースが小さくて済むことに加え、その取り回しも容易である。
【0058】
図9は、ベルト駆動装置を構成するベルト蛇行抑制装置の制御部分に関わるブロック図である。
ステアリング制御装置21は、ステアリングモータ23の駆動状態を制御するもので、そのためのモータ制御信号(モータドライブ信号)をステアリングモータ23に出力する。ステアリングモータ23としては、その回転角度や回転速度を高精度に制御可能なステッピングモータやリニアモータ等が用いられる。本実施形態では、ステアリングモータ23としてステッピングモータを用いている。また、ステアリング制御装置21には、エッジセンサ24が接続されており、エッジセンサ24からのベルト位置情報が入力される。また、ステアリング制御装置21には、後述するフォトインタラプタ25が接続されており、フォトインタラプタ25からの基準傾斜姿勢情報が入力される。また、ステアリング制御装置21には、記憶手段としての記憶装置22が接続されている。この記憶装置22は、フォトインタラプタ25からの基準傾斜姿勢情報が入力された時のステアリングモータの動作量(回転角度)を基準回転角度(動作基準値)として記憶する。
【0059】
ステアリングローラ63の傾斜姿勢が基準傾斜姿勢となっているかどうかは、ステアリングローラ63の傾斜量に応じて当該ステアリングローラと一体的に変位する変位部材の位置を検出することによって確認される。詳しくは、本実施形態では、ステアリングローラ63の傾動と一体となって回動するローラホルダ81にフィラー91を固定し、これを変位部材として用いる。このフィラー91の移動経路を挟むようにして、フォトインタラプタ25の発光部と受光部が配置されている。このフォトインタラプタ25は、ステアリングローラ63の傾斜姿勢が基準傾斜姿勢である時にフィラー91が位置する箇所に配置される。これにより、ステアリングローラ63の傾斜姿勢が基準傾斜姿勢になった時にフィラー91がフォトインタラプタ25の光路を遮り、受光部の出力レベルが所定値以下となる。フォトインタラプタ25の出力レベルが所定値以下となったときに、ステアリング制御装置21に基準傾斜姿勢情報が入力される。よって、ステアリング制御装置21は、基準傾斜姿勢情報が入力されることで、ステアリングローラ63の傾斜姿勢が実際に基準傾斜姿勢となったかどうかを把握することができる。
【0060】
そして、ステアリング制御装置21は、フォトインタラプタ25からの基準傾斜姿勢情報が入力された時のステアリングモータの動作量(回転角度)を基準回転角度(動作基準値)として、記憶装置22に記憶する。この記憶装置22に記憶される基準回転角度は、所定の調整タイミングが到来するたびに更新される。本実施形態では、プリンタの電源が投入されるタイミングを調整タイミングとしているので、プリンタの電源が投入されるたびに基準回転角度が更新されることになる。したがって、傾斜機構を構成する構成部材であるワイヤー80が何らかの原因で伸びてしまっても、電源が投入されるたびに、その伸びによる制御誤差がリセットされる。
【0061】
図10は、各受光領域24e,24fから出力される出力信号Va,Vbの波形の概要を示すグラフである。
図5(d)に示す状態において、中間転写ベルト61の幅方向位置は、図10に示すグラフにおいてマイナス側に大きく変位した範囲(図10中符号Fで示す領域に対応した範囲)となっている。この範囲F内において、各受光領域24e,24fは、図6(d)に示すように、サブスリット24jを透過した光だけを受光し、メインスリット24iを透過した光は受光しない。この範囲F内では、中間転写ベルト61が幅方向へ変位しても、サブスリット24jを透過した光の照射領域L2は、そのアーム部材回動方向(図6中上下方向)における長さが常に光路L0の長さと一致し、かつ、そのアーム部材回動方向中央部が当該2つの受光領域24e,24fの境界位置に位置したままとなる。したがって、中間転写ベルト61の幅方向位置が範囲F内に位置している間、2つの受光領域24e,24fが受光する光量は常に同じであり、各受光領域24e,24fからの出力信号Va,Vbは図10に示すように一定値Vsを示す。
【0062】
中間転写ベルト61の幅方向位置が正規位置に近づくと、中間転写ベルト61の幅方向位置は、図10中符号Dで示す範囲内となる。この範囲Dは、図5(c)に示すように、遮光部24dのメインスリット24iのアーム部材回動方向先端側端部が光路L0に差し掛かってからメインスリット24iの後端側端部が光路L0に差し掛かるまでの範囲に相当する。この範囲D内において、各受光領域24e,24fは、図6(c)に示すように、サブスリット24jを透過した光を受光するとともに、メインスリット24iの一部を透過した光も受光する。この範囲D内で中間転写ベルト61が幅方向へ正規位置に向けて変位すると、メインスリット24iを透過して第1受光領域24eに照射される光の照射領域が中間転写ベルト61の変位量に応じて広くなっていく。一方、サブスリット24jを透過した光の照射領域L2は、図6(d)に示した状態(領域F)から変化がなく、サブスリット24jを透過した光についての各受光領域24e,24fの受光光量に変化はない。したがって、この領域D内における第1受光領域24eからの出力信号Vaは、図10に示すように、中間転写ベルト61の幅方向位置が正規位置に向けて変位するにつれて(ベルト変位量がゼロに向かうにつれて)、線形的に増加する。なお、第2受光領域24fは、図6(d)に示した状態(領域F)と同じく、サブスリット24jを透過した光だけを受光し、メインスリット24iを透過した光は受光しない。したがって、第2受光領域24fからの出力信号Vbは図10に示すように一定値Vsのままである。
【0063】
更に、中間転写ベルト61の幅方向位置が正規位置に近づくと、中間転写ベルト61の幅方向位置は、図10中符号Cで示す範囲内へ入り込む。この範囲Cは、遮光部24dのメインスリット24iの先端側端部が2つの受光領域24e,24fの境界位置に差し掛かってから、メインスリット24iの後端側端部が当該境界位置に差し掛かるまでの範囲に相当する。本実施形態においては、メインスリット24iの後端側端部が光路L0に差し掛かると同時に、メインスリット24iの先端側端部が2つの受光領域24e,24fの境界位置に差し掛かるように構成されている。したがって、中間転写ベルト61の幅方向位置が範囲Dと範囲Cとの境界位置にあるときに、第1受光領域24eからの出力信号Vaが最大となる。範囲C内においては、2つの受光領域24e,24fの両方が、図6(b)に示すように、サブスリット24jを透過した光を受光するとともに、メインスリット24iの一部を透過した光も受光する。この範囲C内でベルト変位量がプラスに向かう方向へ中間転写ベルト61の幅方向位置が変位すると、メインスリット24iを透過して第1受光領域24eに照射される光の照射領域が中間転写ベルト61の変位量に応じて狭くなっていくと同時に、メインスリット24iを透過して第2受光領域24fに照射される光の照射領域が中間転写ベルト61の変位量に応じて広くなっていく。一方、サブスリット24jを透過した光の各受光領域24e,24fの受光量に変化はない。したがって、この領域C内では、ベルト変位量がプラスに向かうにつれて、図10に示すように、第1受光領域24eからの出力信号Vaは線形的に減少するとともに、第2受光領域24fからの出力信号Vbは線形的に増加する。
【0064】
その後の中間転写ベルト61の幅方向位置と各出力信号Va,Vbとの関係についての説明は省略する。
【0065】
2つの受光領域24e,24fの出力信号Va,Vbが中間転写ベルト61の幅方向変位に応じて変化する検出可能範囲(領域C、D、E)では、その出力レベルから中間転写ベルト61の幅方向位置を検出することが可能である。ここで、本実施形態においては、図10に示すように、各出力信号Va,Vbが中間転写ベルト61の幅方向変位に応じて変化する範囲の一部が互いに重複するようになっている。よって、本実施形態において、この重複する範囲Cを、高い検出分解能でベルト変位量を検出することが要求される高分解能検出領域Cとして利用可能である。
【0066】
本実施形態において、中間転写ベルト61の幅方向位置が正規の位置(ベルト変位量=0)にあるときに、メインスリット24iを透過した光の照射領域L1におけるアーム部材回動方向(2つの受光領域24e,24fの並び方向)の中央部が図6(a)に示すように2つの受光領域24e,24fの境界位置に位置するように調整されている。よって、第1光センサ24eのセンサ出力Vaと第2光センサ24fのセンサ出力Vbとが同じ出力レベルをとるとき(すなわち、Vb−Va=0)に、中間転写ベルト61の幅方向位置が正規の位置(ベルト変位量=0)に位置するということになる。
【0067】
本実施形態のエッジセンサ24は、アナログ回路によって各受光領域24e,24fのセンサ出力の差(Vb−Va)をとり、その差分信号(合成信号)をA/D変換回路でデジタル信号に変換した後、そのデジタル信号をベルト位置情報としてステアリング制御装置21へ出力する。なお、各受光領域24e,24fのセンサ出力の差分信号(Vb−Va)は、マイコンなどのソフトウェア処理によって得ることもできる。
【0068】
各受光領域24e,24fのセンサ出力の差である差分信号(Vb−Va)は、図11に示すようになる。図11に示すように、この差分信号(Vb−Va)の高分解能検出領域C内における傾きは、個々の出力信号Va,Vbにおける傾きよりも大きくなる。この傾きの大きさは、当該高分解能検出領域C内における検出分解能の大きさを示すものである。よって、本実施形態のエッジセンサ24における高分解能検出領域C内の検出分解能は、個々の受光領域24e,24fからの各出力信号の検出分解能よりも高いものとなる。
【0069】
図12は、ベルト蛇行抑制のための制御の流れを示すフローチャートである。
プリントジョブが入力されると(S1)、中間転写ベルト61の駆動を開始し(S2)、プリントジョブに従った画像形成動作が行われる(S3)。この画像形成動作中、エッジセンサ24により中間転写ベルト61の幅方向への変位(蛇行)を検出し(S4)、これにより検出したベルト変位量に基づいて蛇行抑制のために必要なステアリングモータ23の制御量(目標回転角度)を演算し、その演算結果に基づいてステアリングモータ23の回転角度が目標回転角度となるようにステアリングモータ23の回転角度を制御するという蛇行抑制制御を行う。
【0070】
具体的には、本実施形態では、ステアリング制御モードを適切に切り替えるために閾値Vthが設定されている。この閾値Vthは、図10に示すように、2つの受光領域24e,24fのセンサ出力Va,Vbが交差する地点の電圧値よりも低い電圧値に設定される。そして、ステアリング制御装置21は、各受光領域24e,24fのセンサ出力Va,Vbを取得して、これらのセンサ出力Va,Vbと閾値Vthとを比較して、次のようにステアリング制御モードを切り替える。
【0071】
まず、各受光領域24e,24fのセンサ出力Va,Vbがいずれも閾値Vthを超えている場合(S5のYes)、差分信号(Vb−Va)を用いて、この差分信号(Vb−Va)がゼロとなるように(すなわちベルト変位量をゼロとするように)、ステアリングモータ23を制御し(S6)、中間転写ベルト61の蛇行を修正する。詳しくは、ステアリングローラ63が水平である状態からステアリングモータ23の出力軸を図2中の反時計回りに回転させると、巻き取りプーリ87によりワイヤー80が巻き取られ、ローラホルダ81がθ1方向に回動する。これにより、ステアリングローラ63の駆動端部がローラホルダ81によって持ち上げられ、その持ち上げ量に応じてステアリングローラ63に傾きが生じる。このとき、ステアリングローラ63に巻き付けられた中間転写ベルト61のベルト幅方向位置は、ステアリングローラ63の駆動端部とは反対側へ変位する。これに対して、ステアリングローラ63が水平である状態からステアリングモータ23の出力軸を図2中の時計回りに回転させると、巻き取りプーリ87からワイヤー80が繰り出され、ローラホルダ81がθ2方向に回動する。これにより、ステアリングローラ63の駆動端部がローラホルダ81によって押し下げられ、その押し下げ量に応じてステアリングローラ63に傾きが生じる。このとき、ステアリングローラ63に巻き付けられた中間転写ベルト61のベルト幅方向位置は、ステアリングローラ63の駆動端部側へ変位する。よって、中間転写ベルト61のベルト幅方向への変位(位置変動)を上述のエッジセンサ24によって検出し、検出したベルト変位量を基にステアリングモータ23を駆動してステアリングローラ63の傾きを適宜制御することにより、中間転写ベルト61の蛇行を修正することが可能となる。
【0072】
また、第1受光領域24eのセンサ出力Vaは閾値Vthを超えているが、第2受光領域24fのセンサ出力Vbは閾値Vthを超えていない場合(S7のYes)、中間転写ベルト61は、エッジセンサ24の高分解能検出領域Cをマイナスプラス側に超えた幅方向位置の範囲Dに位置していることになる。よって、この場合には、中間転写ベルト61がベルト変位方向プラス側へ変位するように、ステアリングモータ23を予め決められた一定の制御量で制御する制御モードに切り替える(S8)。これにより、中間転写ベルト61の幅方向位置をステアリング制御可能な位置まで戻すことができる。そして、この制御モードを実行することにより、中間転写ベルト61の幅方向位置が高分解能検出領域C内に相当する位置まで修正されれば、差分信号(Vb−Va)を用いたステアリング制御モード(S6)を実行することができ、これにより中間転写ベルト61の蛇行を修正することができる。
【0073】
また、第2受光領域24fのセンサ出力Vbは閾値Vthを超えているが、第1受光領域24eのセンサ出力Vaは閾値Vthを超えていない場合(S9のYes)、中間転写ベルト61は、エッジセンサ24の高分解能検出領域Cをプラス側に超えた幅方向位置の範囲Eに位置していることになる。よって、この場合には、中間転写ベルト61がベルト変位方向マイナス側へ変位するように、ステアリングモータ23を予め決められた一定の制御量で制御する制御モードに切り替える(S10)。これにより、中間転写ベルト61の幅方向位置をステアリング制御可能な位置まで戻すことができる。そして、この制御モードを実行することにより、中間転写ベルト61の幅方向位置が高分解能検出領域C内に相当する位置まで修正されれば、差分信号(Vb−Va)を用いたステアリング制御モード(S6)を実行することができ、これにより中間転写ベルト61の蛇行を修正することができる。
【0074】
このように、本実施形態においては、中間転写ベルト61が高分解能検出領域Cを超えて変位しても、2つの出力信号Va,Vbのいずれか一方から中間転写ベルト61の幅方向位置を低分解能で把握することができる。
【0075】
一方、各受光領域24e,24fのセンサ出力Va,Vbがいずれも閾値Vthを超えていない場合(S9のNo)、本実施形態においてこのような状況は正常時には起こり得ないので、センサ出力に異常がある旨を示す異常情報を上位コントローラに通知し、中間転写ベルト61の走行を停止させるセンサ異常処理を行う(S11)。これにより、ハーネス断線や発光部24h及び受光領域24e,24fの故障、あるいは、発光部24hや受光領域24e,24fにトナー等の汚れが付着して適正な検出が行えないなどの状況を回復させるなどのメンテナンス作業を行って、正常な検出が可能な状態に復帰させることができる。
上記S4〜S11までの制御は、画像形成動作が終了するまで繰り返される(S12)。
【0076】
本実施形態においては、エッジセンサ24を、低廉なアナログ出力の2つの光センサ(受光領域24e,24f)で構成することができる。しかも、エッジセンサ24は、各受光領域24e,24fの検出可能範囲内におけるセンサ出力の差をベルト位置情報として出力する。これにより、エッジセンサ24は、個々の受光領域24e,24fの検出分解能よりも高い検出分解能を得ることができる。すなわち、本実施形態によれば、個々の受光領域24e,24fの検出分解能が下げてでも各受光領域24e,24fの検出範囲を広げることにより、その広い検出範囲を互いに重複させてエッジセンサ全体の検出領域(高分解能検出領域)Cを広げることで、この広い高分解能検出領域Cと同じ広さの検出範囲をもつ単体の受光領域24e,24fでは得られない高い検出分解能を得ることが可能となる。
【0077】
加えて、単体の受光領域24e,24fによりベルト変位量を検出する構成の場合、その受光領域の発光部24hや受光領域24e,24fがトナー等により汚れ、検出領域全体にわたって受光量が落ちると、中間転写ベルト61の幅方向における正規位置に対応した出力レベルも低下し、正規位置と受光領域の出力レベルとの対応関係が崩れてしまう。その結果、ステアリング制御を行っても中間転写ベルト61の幅方向位置を正規位置に維持することができなくなり、ベルトの適正な蛇行抑制を実現できなくなる。これに対し、本実施形態では、2つの受光領域24e,24fのセンサ出力Va,Vbの差分信号(Vb−Va)に基づいてベルト変位量を検出するので、各受光領域24e,24fの出力レベルが汚れによって低下しても、中間転写ベルト61の幅方向における正規位置に対応した差分信号(Vb−Va)の出力レベルはゼロのまま一定である。よって、本実施形態によれば、各受光領域24e,24fが経時使用によって汚れても、正規位置と受光領域の出力レベルとの対応関係が崩れず、ベルトの適正な蛇行抑制を継続することができる。
【0078】
しかしながら、本実施形態の構成であっても、受光領域の周囲温度が変化したり受光領域の受光面が汚れたりして各受光領域24e,24fの受光量が落ち込んだ場合、高分解能検出領域Cが狭まってしまう。すなわち、本実施形態において、高分解能検出領域Cは、Vaが最大値(Vamax)を示す点からVbが最大値(Vbmax)を示す点までの範囲であるため、各受光領域の出力信号の最大値Vamax,Vbmaxが落ち込むと高分解能検出領域が狭まることになる。よって、このような差分信号(Vb−Va)を利用する場合でも、高分解能検出領域Cを広く維持するためには、所定の調整タイミングで、発光光量を調整する調整動作を行い、各受光領域24e,24fの受光量の落ち込みを回復させることが望ましい。
【0079】
図11は、本実施形態における発光光量の調整動作の流れを示すフローチャートである。
まず、電源投入時や画質調整制御(プロセスコントロール)時などの所定の調整タイミングが到来したら(S31)、まず、受光領域24e,24fの出力信号Va,Vbを取得する(S32)。このとき、中間転写ベルト61のベルト変位量はゼロに調整されているとは限らない。中間転写ベルト61のベルト変位量がゼロ近傍の範囲C内であれば、出力信号Va,Vbの総和(Va+Vb)は最大値を示すので、この総和(Va+Vb)が予め決められた規定最大値Vmaxとなるように、発光部24hの発光光量を調整すればよい。しかしながら、中間転写ベルト61のベルト変位量がゼロ近傍の範囲Cから外れている場合、出力信号Va,Vbの総和(Va+Vb)は最大値を示すものではない。そのため、出力信号Va,Vbの総和(Va+Vb)に基づいて発光光量を調整することはできない。そこで、本実施形態では、以下のような手順で発光光量を調整する。
【0080】
受光領域24e,24fの出力信号Va,Vbを取得したら(S32)、まず、これらの出力信号Va,Vbがいずれも閾値Vthを超えているか否かを判断する(S33)。これらの出力信号Va,Vbがいずれも閾値Vthを超えている場合(S33のYes)、ベルト変位量は範囲C内となっているので、出力信号Va,Vbの総和(Va+Vb)は最大値を示すものとなっている。よって、この場合には、出力信号Va,Vbの総和(Va+Vb)を算出し(S34)、その総和(Va+Vb)が規定最大値Vmaxとなるように、発光部24hの発光光量を調整する(S35)。
【0081】
一方、第1受光領域24eの出力信号Vaが第2受光領域24fの出力信号Vbよりも大きく、かつ、第2受光領域24fの出力信号Vbが閾値Vth以下である場合(S36のYes)、ベルト変位量は特定範囲としての範囲D内となっている。この範囲D内における出力信号Vbは、図10に示すように一定である。この範囲D内において、サブスリット21jを透過した光の照射領域L2のうち第2受光領域24fに照射される領域部分の面積は、照射領域L2の面積の半分で一定である。したがって、この範囲D内であれば、ベルト変位量がどのように変化しても、出力信号Vbは一定の値をとる。また、サブスリット21jを透過した光の照射領域L2のうち第2受光領域24fに照射される領域部分の面積は、発光部24hから照射される光路L0の全体の照射領域の面積に対して予め決まった固定割合をもつ。よって、ベルト変位量が範囲D内である場合には、第2受光領域24fの出力信号Vbが予め決められた所定の目標値Vbtとなるように発光光量を変更する(S37)。この所定の目標値Vbtは、出力信号Va,Vbの総和(Va+Vb)が規定最大値Vmaxとなるように発光光量が調整されているときに、ベルト変位量が範囲Dにあるときに第2受光領域24fから出力される出力信号に相当する。よって、ベルト変位量が範囲D内である場合に、第2受光領域24fの出力信号Vbが所定の目標値Vbtとなるように発光光量を変更することで、出力信号Va,Vbの総和(Va+Vb)が規定最大値Vmaxとなるような発光光量に調整することができる。
【0082】
他方、第1受光領域24eの出力信号Vaが第2受光領域24fの出力信号Vbよりも小さく、かつ、第1受光領域24eの出力信号Vaが閾値Vth以下である場合(S38のYes)、ベルト変位量は特定範囲としての範囲E内となっている。この範囲E内における出力信号Vaは、図10に示すように一定である。この範囲E内において、サブスリット21jを透過した光の照射領域L2のうち第1受光領域24eに照射される領域部分の面積は、照射領域L2の面積の半分で一定である。したがって、この範囲E内であれば、ベルト変位量がどのように変化しても、出力信号Vaは一定の値をとる。また、サブスリット21jを透過した光の照射領域L2のうち第1受光領域24eに照射される領域部分の面積は、発光部24hから照射される光路L0の全体の照射領域の面積に対して予め決まった固定割合をもつ。よって、ベルト変位量が範囲E内である場合には、第1受光領域24eの出力信号Vaが予め決められた所定の目標値Vatとなるように発光光量を変更する(S39)。この所定の目標値Vatは、出力信号Va,Vbの総和(Va+Vb)が規定最大値Vmaxとなるように発光光量が調整されているときに、ベルト変位量が範囲Dにあるときに第1受光領域24eから出力される出力信号に相当する。よって、ベルト変位量が範囲E内である場合に、第1受光領域24eの出力信号Vaが所定の目標値Vatとなるように発光光量を変更することで、出力信号Va,Vbの総和(Va+Vb)が規定最大値Vmaxとなるような発光光量に調整することができる。
【0083】
また、各受光領域24e,24fの出力信号Va,Vbが上述したS33、S36、S38のいずれの条件も充足しない場合(S38のNo)、本実施形態においてこのような状況は正常時には起こり得ないので、センサ出力に異常がある旨を示す異常情報を上位コントローラに通知し、中間転写ベルト61の走行を停止させるセンサ異常処理を行う(S40)。これにより、ハーネス断線や発光部24h及び受光領域24e,24fの故障、あるいは、発光部24hや受光領域24e,24fにトナー等の汚れが付着して適正な検出が行えないなどの状況を回復させるなどのメンテナンス作業を行って、正常な検出が可能な状態に復帰させることができる。
【0084】
ここで、発光部24hの光源としては、通常のセンサに用いられるLED光源が用いられている。特に、発光部24hとしては、受光領域24e,24f上で一定の大きさの照射領域が得られるようにすることが望まれるので、レンズ等の光学素子によって平行ビームあるいは収束光に調整された光を照射するものが良い。特に半導体レーザ光源を利用するのが良い。
【0085】
なお、本実施形態においては、検出用光透過スリットとしてのメインスリット24iとは独立した調整用光透過スリットとしてのサブスリット24jを設け、これらのスリット24i,24jを、図5(a)〜(d)に示すようにアーム部材回動方向に対して横並びに配置した例であるが、この例に限られない。例えば、図14に示すようにメインスリットとサブスリットとが交差するように配置した例や、図15に示すようにメインスリットとは独立した2つのサブスリットでメインスリットを挟み込むように横並びで配置した例などが挙げられる。これらの例でも、各受光領域24e,24fから出力される出力信号Va,Vbとして、図10に示すものと同様の結果が得られる。
【0086】
〔変形例1〕
次に、上記実施形態におけるエッジセンサ24の一変形例(以下、本変形例を「変形例1」という。)について説明する。
なお、本変形例1については、上記実施形態と同様の部分については説明を省略する。
【0087】
図16は、本変形例1におけるアーム部材の遮光部124dに形成される検出用光透過スリットとしてのメインスリット124i及び調整用光透過スリットであるサブスリット124jと、発光部24hからの光路L0との関係を示す説明図である。
図17は、アーム部材の遮光部124dが光路L0に対して図16に示すように位置しているときに、その遮光部124dに設けられたスリット124i,124jを透過して2つの受光領域24e,24fに照射される光の照射領域L1,L2の概要を示す説明図である。
【0088】
本変形例1におけるメインスリット124iは上記実施形態と同様のものであるが、サブスリット124jは上記実施形態のものとは異なっている。すなわち、本変形例1のサブスリット124jは、図16に示すように、メインスリット124iのアーム部材回動方向両端から同じ幅で延びるスリット部分に低透過率材料からなるフィルタが嵌め込まれたものである。これにより、サブスリット124jを透過する光の照射領域L2の単位面積当たりの光量は、メインスリット124iを透過する光の照射領域L1の単位面積当たりの光量よりも少なくなる。このような構成とした場合も、各受光領域24e,24fから出力される出力信号Va,Vbは、図10に示すグラフと同様のものが得られる。したがって、上記実施形態と同様に、ベルト変位量が範囲Cにあるときだけでなく、範囲Dや範囲Eにあるときでも、出力信号Va,Vbの総和(Va+Vb)が規定最大値Vmaxとなるような発光光量に調整することができる。
【0089】
〔変形例2〕
次に、上記実施形態におけるエッジセンサ24の他の変形例(以下、本変形例を「変形例2」という。)について説明する。
なお、本変形例2については、上記実施形態と同様の部分については説明を省略する。
【0090】
図18は、本変形例2における受光部の構成を示す説明図である。
上記実施形態においては、所定範囲である範囲Cから外れた特定範囲である範囲D及び範囲E内に中間転写ベルトの幅方向位置が位置している間にサブスリット24jを透過した光を受光して一定値の出力信号を出力する調整用受光領域が、ベルト変位量を検出するために用いる検出用受光領域と同じ受光領域24e,24fであった。本変形例2は、調整用受光領域として、検出用受光領域である受光領域24e,24fとは別個に設けられた調整専用の第3受光領域24lを用いるものである。
【0091】
図19は、本変形例2において、第1受光領域24e及び第2受光領域24fから出力される出力信号Va,Vbの波形の概要を示すグラフである。
図20は、本変形例2において、第3受光領域24lから出力される出力信号Vcの波形の概要を示すグラフである。
本変形例2の遮光部24dに設けられるメインスリット及びサブスリットの構成は、上記実施形態のものと同様である。したがって、ベルト変位量が範囲C〜Eにあるときには、サブスリット24jを透過して第3受光領域24lに照射される光の照射領域L2の面積は常に一定である。よって、ベルト変位量が範囲C〜Eにあるときに第3受光領域24lから出力される出力信号Vcは、図20に示すように一定である。
【0092】
また、本変形例2においては、図20に示すように、ベルト変位量が範囲C〜Eにあるときの出力信号Vcが、出力信号Va,Vbの総和(Va+Vb)が最大値を示す範囲Cにおける出力信号Va,Vbの総和(Va+Vb)と一致するように、構成されている。その結果、本変形例2においては、範囲C〜Eにわたって、第3受光領域24lの出力信号Vcが出力信号Va,Vbの総和(Va+Vb)について予め決められた規定最大値Vmaxとなるように、発光部24hの発光光量を調整すればよい。
【0093】
上記実施形態においては、範囲Cでは、出力信号Va,Vbの総和(Va+Vb)が規定最大値Vmaxとなるように発光光量を調整し、範囲D及び範囲Eでは、出力信号Va又は出力信号Vbのいずれかが所定の目標値Vat,Vbtとなるように発光光量を調整するため、2通りの調整動作が存在していた。これに対し、本変形例2においては、第3受光領域24lの出力信号Vcが規定最大値Vmaxとなるように発光光量を調整するという単一の調整動作で、範囲C〜Eにわたって発光光量の調整を実現できる。
【0094】
〔変形例3〕
次に、上記実施形態におけるエッジセンサ24の更に他の変形例(以下、本変形例を「変形例3」という。)について説明する。
なお、本変形例3については、上記実施形態と同様の部分については説明を省略する。
【0095】
図21は、本変形例3における受光部の構成を示す説明図である。
上記実施形態においては、所定範囲である範囲Cから外れた特定範囲である範囲D及び範囲E内に中間転写ベルトの幅方向位置が位置している間にサブスリット24jを透過した光を受光して一定値の出力信号を出力する調整用受光領域が、ベルト変位量を検出するために用いる検出用受光領域と同じ受光領域24e,24fであった。本変形例3は、調整用受光領域として、検出用受光領域である受光領域24e,24fとは別個に設けられた2つの受光領域24m,24nを用いるものである。なお、このような受光部は、4分割受光素子で構成することができる。
【0096】
図22は、本変形例3において、第1受光領域24e及び第2受光領域24fから出力される出力信号Va,Vbの波形の概要を示すグラフである。
図23は、本変形例3において、第3受光領域24m及び第4受光領域24nから出力される出力信号Vc1,Vc2の波形の概要を示すグラフである。
図24は、本変形例3において、出力信号Va,Vbの差分信号(Va−Vb)と、出力信号Vc1,Vc2の差分信号(Vc1−Vc2)との波形の概要を示すグラフである。
【0097】
本変形例3の遮光部24dに設けられるメインスリットの構成は、上記実施形態のものと同様であるが、サブスリットの構成は、そのアーム部材回動方向長さが短く形成されている。その結果、第3受光領域24m及び第4受光領域24nから出力される出力信号Vc1,Vc2は、図23に示すような波形となる。本変形例3では、ベルト変位量が範囲Cにあるときには、サブスリット24jを透過して第3受光領域24m又は第4受光領域24nに照射される光の照射領域L2の面積は常に一定である。また、ベルト変位量が範囲Dにあるときには、サブスリット24jを透過して第3受光領域24mに照射される光の照射領域L2の面積は常に一定である。ベルト変位量が範囲Eにあるときには、サブスリット24jを透過して第4受光領域24nに照射される光の照射領域L2の面積は常に一定である。そして、本変形例3においては、これらの出力信号Vc1,Vc2の一定値が、出力信号Va,Vbの総和(Va+Vb)が最大値を示す範囲Cにおける出力信号Va,Vbの総和(Va+Vb)と一致するように、構成されている。その結果、本変形例3においては、範囲C〜Eにわたって、これらの出力信号Vc1,Vc2のいずれかが単一の制御値(規定最大値Vmax)となるように、発光部24hの発光光量を調整すればよい。したがって、本変形例3も、上記変形例2と同様、上記実施形態と比較して発光光量の調整動作を簡素化することができる。
【0098】
また、本変形例3においては、図24に示すように、出力信号Vc1,Vc2の差分信号(Vc1−Vc2)を見ると、範囲Dよりも更に正規位置(ベルト変化量=0)から離れた範囲Fにおいて、その差分信号(Vc1−Vc2)がベルト変位量に応じて変化している。また、範囲Eよりも更に正規位置(ベルト変化量=0)から離れた範囲Gにおいても、その差分信号(Vc1−Vc2)がベルト変位量に応じて変化している。しかも、範囲Fにおける差分信号(Vc1−Vc2)と、範囲Gにおける差分信号(Vc1−Vc2)とでは、その値の正負が逆になっている。したがって、本変形例3によれば、第3受光領域24m及び第4受光領域24nからの出力信号の差分信号(Vc1−Vc2)を用いることで、範囲F及び範囲Gにおいても中間転写ベルト61の幅方向位置を検出することが可能である。
【0099】
特に、これらの範囲F及び範囲Gが中間転写ベルトの幅方向位置のオーバーラン範囲に相当する場合には、中間転写ベルトの幅方向位置が範囲F及び範囲Gに位置することが検出された際に、オーバーランが生じた旨を示す異常情報を上位コントローラに通知し、中間転写ベルト61の走行を停止させるオーバーラン異常処理を行うようにしてもよい。これにより、オーバーランを解消するためのメンテナンス作業を行って、正常な状態に復帰させることができる。
【0100】
以上、上記実施形態及び変形例1〜3に係るプリンタは、複数の支持ローラ63,67,68,69,71等により張架支持された無端ベルトである中間転写ベルト61の外周面上に形成した画像を最終的に記録材としての記録紙Pに転移させてその記録紙P上に画像を形成するものである。このプリンタは、中間転写ベルト61の幅方向位置を検出するベルト幅方向位置検出手段としてのエッジセンサ24と、エッジセンサ24の検出結果に基づいて中間転写ベルト61のベルト幅方向への変位を修正するベルト蛇行修正手段としてのステアリング制御装置21とを有するベルト蛇行抑制装置を備えている。エッジセンサ24は、一列に隣接して配列されていて受光量に応じた信号レベルの出力信号Va,Vbをそれぞれ出力する2つの検出用受光領域24e,24fを備えた受光部と、この受光部に向けて照射される光を発光する発光部24hと、遮光部24d又は光透過スリット24i,24jを備えていて、中間転写ベルト61のベルト幅方向端部又は該無端ベルトのベルト幅方向への変位に連動して、当該遮光部又は当該光透過スリットが受光領域配列方向(アーム部材回動方向)に沿って発光部からの光の光路L0を横切るように移動する移動部材としてのアーム部材24bと、当該複数の受光領域24e,24fから出力される複数の出力信号Va,Vbから中間転写ベルト61の幅方向位置を算出するベルト幅方向位置算出手段としてのステアリング制御装置21と、所定の調整タイミングで、当該複数の受光領域24e,24fから出力される出力信号Va,Vbの総和(Va+Vb)の最大値が規定最大値Vmaxとなるように、発光部の発光光量を調整する発光光量調整制御を行う発光光量調整手段としての図示しない制御部とを有する。そして、受光部は、複数の受光領域24e,24fから出力される出力信号Va,Vbの総和(Va+Vb)が最大値を示す所定範囲である範囲Cから外れた特定範囲である範囲D及び範囲E内に中間転写ベルト61の幅方向位置が位置しているときに発光部24hからの光を受光する調整用受光領域24e,24f,24l,24m,24nを備えており、中間転写ベルト61の幅方向位置が範囲D及び範囲E内に位置している間、調整用受光領域24e,24f,24l,24m,24nから出力される出力信号Va,Vb,Vc,Vc1,Vc2が一定となるように構成されており、中間転写ベルト61の幅方向位置が範囲D及び範囲E内に位置しているときは、調整用受光領域24e,24f,24l,24m,24nから出力される出力信号Va,Vb,Vc,Vc1,Vc2が所定の目標値Vat,Vbt,Vmaxとなるように発光部24hの発光光量を変更することで、上記発光光量調整制御を行う。このような構成により、中間転写ベルト61の幅方向位置が範囲Cに位置しているときだけでなく、その範囲Cから外れた範囲D及び範囲Eに位置しているときでも、複数の受光領域24e,24fから出力される出力信号Va,Vbの総和(Va+Vb)の最大値が規定最大値Vmaxとなるように発光光量を調整する発光光量調整制御を実行することができる。
【0101】
また、上記実施形態及び変形例1〜3において、中間転写ベルト61の幅方向位置(ベルト変位量)が範囲C内に位置している間は、中間転写ベルト61のベルト幅方向への変位に応じて2つの受光領域24e,24fの受光量がいずれも変化するように構成されており、中間転写ベルト61の幅方向位置が範囲C内に位置している間における中間転写ベルト61の幅方向位置については上記2つの受光領域24e,24fから出力される出力信号に基づいて算出する。これにより、範囲C内での中間転写ベルト61の幅方向変位量に対する個々の出力信号の変化量の比率すなわち個々の出力信号の検出分解能よりも、検出分解能が大きくなるように当該2つの出力信号を合成し、その合成信号をベルト変位量として検出することが可能となる。よって、上記範囲C(高分解能検出領域)内においては、個々の出力信号よりも高い検出分解能を得ることができる。
【0102】
また、上記実施形態及び変形例1においては、2つの受光領域24e,24fを調整用受光領域として用い、中間転写ベルト61の幅方向位置が特定範囲である範囲D及び範囲E内に位置している間は当該2つの受光領域24e,24fに照射される光量が変動しないように発光部24hからの光を透過させる調整用光透過スリット24j,124jをアーム部材の遮光部24d,124dに備えている。これにより、検出用の受光領域24e,24fとは別個に調整用受光領域を設ける必要がなく、構成の簡素化を実現できる。
【0103】
また、上記実施形態及び変形例1においては、中間転写ベルト61の幅方向位置が範囲C内に位置している間は、メインスリット24i,124iを透過する光が、隣接する2つの受光領域24e,24fにまたがって照射されるように構成されており、サブスリット24j,124jは、受光領域配列方向(アーム部材回動方向)におけるメインスリット24i,124iの端部位置から受光領域配列方向に沿ってメインスリット24i,124iから離れる方向へ延びるように、アーム部材の遮光部24d,124dに形成されており、サブスリット24j,124jは、中間転写ベルト61の幅方向位置が範囲C内に位置している間に中間転写ベルト61がベルト幅方向へ変位するときの単位変位量あたりの透過光量(単位透過光量)がメインスリット24i,124iよりも少なくなるように構成されている。これにより、2つの受光領域24e,24fを調整用受光領域として用いる場合でも、上記範囲C(高分解能検出領域)内において個々の出力信号よりも高い検出分解能を得ることが可能となる。例えば、仮に、サブスリット24j,124jの単位透過光量がメインスリット24i,124iと同じであると、単にメインスリット24i,124iの受光領域配列方向長さがサブスリット24j,124j分だけ延びた構成と同じになる。この場合、中間転写ベルト61の幅方向位置が範囲C内に位置している間に、隣接する2つの受光領域24e,24fにメインスリット24i,124iを透過する光がまたがって照射されるような構成においては、範囲C内において受光領域24e,24fの出力信号が一定となり、その範囲C内において高い検出分解能を得ることができなくなる。
【0104】
特に、上記実施形態においては、受光領域配列方向に対して直交する方向におけるサブスリット24jの長さが、受光領域配列方向に対して直交する方向におけるメインスリット24iの長さよりも短くすることで、サブスリット24jの単位透過光量がメインスリット24iよりも少なくなるように構成している。これにより、サブスリット24jの形状を変更するだけで、サブスリット24jの単位透過光量を調整できるので、その調整作業が容易である。
【0105】
一方、上記変形例1においては、サブスリット124jの光透過率がメインスリット124iよりも小さくなるように構成することで、サブスリット24jの単位透過光量がメインスリット24iよりも少なくなるように構成している。これにより、受光領域配列方向に対して直交する方向におけるサブスリット24jの長さを、受光領域配列方向に対して直交する方向におけるメインスリット24iの長さと一致するように形成した場合でも、サブスリット24jの単位透過光量をメインスリット24iよりも少なくすることができる。
【0106】
また、上記変形例2及び3においては、調整用受光領域24l,24m,24nが、2つの検出用受光領域24e,24fとは別個に設けられているので、ベルト幅方向の検出を考慮せずに、発光光量の調整に特化した構成を採用することができ、発光光量の調整が容易かつ高精度に行うことが可能となる。
【0107】
特に、上記変形例3においては、2つの検出用受光領域24e,24fが一列に隣接して配列された検出用受光領域列と、2つの調整用受光領域24m,24nが一列に隣接して配列された調整用受光領域列とを設け、2つの検出用受光領域24e,24fのいずれの受光量も中間転写ベルト61のベルト幅方向への変位に応じて変化しない範囲F及び範囲Gで、2つの調整用受光領域24m,24nの少なくとも1つの受光量が中間転写ベルト61のベルト幅方向への変位に応じて変化するように構成されている。これにより、範囲F及び範囲Gにおいても中間転写ベルト61の幅方向位置を検出することが可能である。
【0108】
上述した説明では、ステアリング制御装置21が行う蛇行抑制制御に用いる信号として、2つのセンサ出力の差分信号(Vb−Va)を用いる場合であったが、2つのセンサ出力の差(Va−Vb)と和(Va+Vb)の比率である(Va−Vb)/(Va+Vb)を用いてもよい。
【符号の説明】
【0109】
21 ステアリング制御装置
24 エッジセンサ
24a スプリング
24b アーム部材
24c 支軸
24d,124d 遮光部
24e,24f 検出用受光領域
24h 発光部
24i,124i メインスリット
24j,124j サブスリット
24k 接触ピン
24l,24m,24n 調整用受光領域
25 フォトインタラプタ
61 中間転写ベルト
63 ステアリングローラ
【先行技術文献】
【特許文献】
【0110】
【特許文献1】特開2008−275800号公報
【特許文献2】特開2005−338522号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の支持部材に張架された状態で走行する無端ベルトの幅方向位置を検出するベルト幅方向位置検出手段と、該ベルト幅方向位置検出手段の検出結果に基づいて該無端ベルトのベルト幅方向への変位を修正するベルト蛇行修正手段とを有するベルト蛇行抑制装置において、
上記ベルト幅方向位置検出手段は、
一列に隣接して配列されていて受光量に応じた信号レベルの出力信号をそれぞれ出力する複数の検出用受光領域を備えた受光部と、
上記受光部に向けて照射される光を発光する発光部と、
検出用遮光部又は検出用光透過スリットを有し、上記無端ベルトのベルト幅方向への変位に連動して該検出用遮光部又は該検出用光透過スリットが検出用受光領域配列方向に沿って上記発光部からの光の光路を横切るように移動する移動部材と、
上記複数の検出用受光領域から出力される複数の出力信号から上記無端ベルトの幅方向位置を算出するベルト幅方向位置算出手段と、
所定の調整タイミングで、上記複数の検出用受光領域から出力される出力信号の総和の最大値が規定最大値となるように上記発光部の発光光量を調整する発光光量調整制御を行う発光光量調整手段とを有し、
上記受光部は、上記複数の検出用受光領域から出力される出力信号の総和が最大値を示す所定範囲から外れた特定範囲内に上記無端ベルトの幅方向位置が位置しているときに上記発光部からの光を受光する調整用受光領域を備えており、
上記無端ベルトの幅方向位置が上記特定範囲内に位置している間、上記調整用受光領域から出力される出力信号が一定となるように構成されており、
上記発光光量調整手段は、上記無端ベルトの幅方向位置が上記特定範囲内に位置しているときは、上記調整用受光領域から出力される出力信号が所定の目標値となるように上記発光部の発光光量を変更することで、上記発光光量調整制御を行うことを特徴とするベルト蛇行抑制装置。
【請求項2】
請求項1のベルト蛇行抑制装置において、
上記無端ベルトの幅方向位置が上記所定範囲内に位置している間は、該無端ベルトのベルト幅方向への変位に応じて、上記複数の検出用受光領域のうちの少なくとも2つの検出用受光領域の受光量がいずれも変化するように構成されており、
上記ベルト幅方向位置算出手段は、上記無端ベルトの幅方向位置が上記所定範囲内に位置している間における無端ベルトの幅方向位置については上記少なくとも2つの検出用受光領域から出力される出力信号に基づいて算出することを特徴とするベルト蛇行抑制装置。
【請求項3】
請求項1又は2のベルト蛇行抑制装置において、
上記複数の検出用受光領域のうちの少なくとも1つの検出用受光領域を上記調整用受光領域として用い、
上記移動部材は、上記無端ベルトの幅方向位置が上記特定範囲内に位置している間は上記少なくとも1つの検出用受光領域に照射される光量が変動しないように上記発光部からの光を透過させる調整用光透過スリットを備えていることを特徴とするベルト蛇行抑制装置。
【請求項4】
請求項3のベルト蛇行抑制装置において、
上記無端ベルトの幅方向位置が上記所定範囲内に位置している間は、一の検出用光透過スリットを透過する光が、隣接する2つの検出用受光領域にまたがって照射されるように構成されており、
上記調整用光透過スリットは、上記一の検出用光透過スリットの検出用受光領域配列方向端部位置から検出用受光領域配列方向に沿って該検出用光透過スリットから離れる方向へ延びるように、上記移動部材に形成されており、
上記調整用光透過スリットは、上記無端ベルトの幅方向位置が上記所定範囲内に位置している間に上記無端ベルトがベルト幅方向へ変位するときの単位変位量あたりの透過光量が、上記一の検出用光透過スリットよりも少なくなるように構成されていることを特徴とするベルト蛇行抑制装置。
【請求項5】
請求項4のベルト蛇行抑制装置において、
検出用受光領域配列方向に対して直交する方向における上記調整用光透過スリットの長さが、検出用受光領域配列方向に対して直交する方向における上記一の検出用光透過スリットの長さよりも短いことを特徴とするベルト蛇行抑制装置。
【請求項6】
請求項4又は5のベルト蛇行抑制装置において、
上記調整用光透過スリットの光透過率は、上記一の検出用光透過スリットよりも小さいことを特徴とするベルト蛇行抑制装置。
【請求項7】
請求項1又は2のベルト蛇行抑制装置において、
上記調整用受光領域は、上記複数の検出用受光領域とは別個に設けられていることを特徴とするベルト蛇行抑制装置。
【請求項8】
請求項7のベルト蛇行抑制装置において、
上記受光部は、上記複数の検出用受光領域が一列に隣接して配列された検出用受光領域列と、複数の上記調整用受光領域が一列に隣接して配列された調整用受光領域列とを備えており、
上記検出用受光領域列を構成する複数の検出用受光領域のいずれの受光量も上記無端ベルトのベルト幅方向への変位に応じて変化しない範囲で、上記調整用受光領域列を構成する複数の調整用受光領域の少なくとも1つの受光量が該無端ベルトのベルト幅方向への変位に応じて変化するように構成されていることを特徴とするベルト蛇行抑制装置。
【請求項9】
複数の支持部材に張架された状態で走行する無端ベルトの外周面上に形成した画像を最終的に記録材に転移させて該記録材上に画像を形成するか、又は、複数の支持部材に張架された状態で走行する無端ベルトの外周面に担持された記録材上に画像を形成する画像形成装置において、
上記無端ベルトのベルト幅方向への変位を修正して該無端ベルトの蛇行を抑制するベルト蛇行抑制装置として、請求項1乃至8のいずれか1項に記載のベルト蛇行抑制装置を用いることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【公開番号】特開2012−234063(P2012−234063A)
【公開日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−102926(P2011−102926)
【出願日】平成23年5月2日(2011.5.2)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】