説明

ベローズポンプおよびベローズポンプの運転方法

【課題】従来は、ベローズを圧縮、伸張させるために、ベローズに機械的に操作体を締結していたので、部品点数が多くなり、かつ、組立精度上も精密に組み立てる必要があったため、多大な組立工数を必要としていた。簡単な方法で、ベローズを圧縮、伸張させることにより部品点数の低減を図ると共に、組立が簡単なベローズポンプが切望されていた。
【解決手段】ベローズとシリンダとシリンダ端板とで構成される気室をベローズ天板部に設けたシールで分割して2つの気室を構成し、それぞれ気室に駆動流体の駆動源に接続される気室出入り口継手を設ける。この気室出入り継手は大気開放され得る。べローズ天板部には、これらの気室を連結する細い穴または、小さな溝を設けて、ベローズ部の変形破壊を防ぐ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ベローズポンプおよびベローズポンプの運転方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ベローズポンプは、ベローズを伸張、圧縮させて動作させ搬送液体を吸引、吐出させるポンプである。ベローズポンプは、ベローズを圧縮することで搬送液体を吐出することは、簡単にできるが、該ベローズを伸張させることで液を吸引するのは難しい。
【0003】
特許文献1には、吸入通路及び吐出通路等を形成しているポンプヘッドと、前記ポンプヘッドを両側より挟み込むよう配置された左右のシリンダケースと、前記シリンダケース同士を外周側にあって少なくとも略上下左右の角部である合計4箇所で締め付けているボルト等からなる複数の締結手段と、前記各シリンダケース内に配設されてシリンダケースに吸排気される駆動流体により伸縮する両側の概略有底円筒形ベローズと、前記各ベローズの自由端面側に突設されている軸部材と、前記各軸部材に取り付けられている連結板と、前記各連結板同士を連結している2本のロッドとを備え、前記両ベローズが前記駆動流体の吸排気及びロッド等を介し交互に伸長・収縮されることにより、移送流体を前記吸入通路から吸引し前記吐出通路から吐出する2連式ベローズポンプが記載されている。
【0004】
従来のベローズポンプは、ベローズに機械的に操作体を締結して連結した状態で操作できるように機械結合させ、片方のベローズが圧縮することを利用して反対側の機械結合させたベローズを外部から機械的に伸張させているので、この機械結合に必要な軸部材、連結板、ロッド、軸受機構、固定部材その他の多くの部品を必要とし、高額、かつ、組立精度も必要で、組み立てても拘束が多く、動きを安定させるのも困難で工数も多くかかりかつ軸受けが磨耗するなどの不具合を発生する要素が多い。
【0005】
従来のベローズポンプで別の方法として、ベローズを2個対向させて配置し、片方のベローズを圧縮空気で圧縮動作すると直接対向するベローズを押して伸張させるようなロッドを、仕切り部に穴をあけ、搬送流体が入るベローズ内部に該ロッドが挿入することで2つのベローズが連結するように配置することで対向するベローズを圧縮されたベローズで直接反対側のベローズを伸張させるように配置するベローズポンプがある。
【0006】
【特許文献1】特開2004−197689号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ベローズ内部にロッドを入れるとベローズ内部は、ポンプの搬送流体が入るところなので、このロッドの影響でポンプ搬送流体の流れの抵抗が大きくなるので搬送流体の流量が少なくなりロスが増えてしまう。この方法のポンプは、搬送流体の流量が少なくなるというポンプとしては、重大な欠点があり、特に大型のポンプには、適さない。
【0008】
従来のベローズに操作体を締結するベローズ駆動方式では、多くの部品が必要になり、複雑になる。また、搬送流体流量減少などポンプとしての重大な欠点となる。
【0009】
ベローズポンプ運転のために駆動流体である圧縮流体を供給した場合、ベローズを構成するベローズ部であるベローズ蛇腹が薄内成形され伸縮容易とされているために、圧縮流体によってベローズ蛇腹が伸縮する前に、伸縮しない状態で、ベローズ蛇腹がベローズの中心に向かう圧縮流体の圧力によって潰されて変形破壊されるという現象が発生する。
【0010】
つまり、ベローズで蛇腹が伸張しないで収縮してしまうので、搬送流体を吸い上げることができず、ベローズポンプとしての運転ができないということが起きる。
【0011】
この現象は、ポンプとしての機能がなくなる重大欠陥である。この現象は、過去にいろいろ実験を繰り返された先行メーカの技術者が開発を断念した原因の現象である。
【0012】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたもので充分な圧縮流体を供給したときに、圧縮流体によってベローズ蛇腹が変形破壊されたり、あるいは圧縮流体によってベローズ蛇腹が伸張すべきときに伸張しないで収縮してしまうという現象の発生を回避して正常な運転を可能にして、従来ベローズポンプの持つ前述の重大欠陥を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、ベローズ天板部にベローズ部が取りつけられて形成されたベローズを少なくとも2つ備え、各ベローズをそれぞれ気密に摺動可能に配設する2つのシリンダを備え、該2つのシリンダおよび2つのベローズ部が固着されるポンプ本体を備え、前記シリンダ内であって該シリンダと前記ベローズ部との間に、および前記ベローズ天板部と前記シリンダとの間にそれぞれ圧縮流体作動室が形成され、それぞれの圧縮流体作動室に圧縮流体が導入されることによって前記ベローズ部を圧縮、伸張させて、各ベローズに搬送液体を交互に流入させ、各ベローズから搬送液体を交互に吐出させるようにしたベローズポンプにおいて、
前記シリンダと前記ベローズ部との間に形成された圧縮流体作動室に連通させて、該圧縮流体作動室に導入された圧縮流体の作動圧を緩和する圧縮流体排出路が設けられ、
前記圧縮流体排出路が、前記シリンダと前記ベローズ部との間に形成された圧縮流体作動室に連通され、前記シリンダと前記ベローズとの間に形成された前記圧縮流体作動室に導入された圧縮流体が前記ベローズ天板部と前記シリンダとの間に形成された該圧縮流体作動室に導入されたとき、導入された該圧縮流体の一部を大気に流出させて流入ロスを発生させ、圧縮流体の作動圧を緩和させる大気に連通する細孔または小溝によって形成されたことを特徴とするベローズポンプを特徴とする。
【0014】
本発明は、また、前記細孔は、前記圧縮流体が前記シリンダと前記ベローズとの間に形成された圧縮流体作動室に導入されたときに、該圧縮流体の作動圧の緩和によって該圧縮流体がベローズを形成する蛇腹を潰さない大きさに形成されることを特徴とするベローズポンプを特徴とする。
【0015】
本発明は、ベローズ天板部にベローズ部が取りつけられて形成されたベローズを少なくとも2つ備え、各ベローズをそれぞれ気密に摺動可能に配設する2つのシリンダを備え、該2つのシリンダおよび2つのベローズ部が固着されるポンプ本体を備え、前記シリンダ内であって該シリンダと前記ベローズ部との間に、および前記ベローズ天板部と前記シリンダとの間にそれぞれ圧縮流体作動室が形成され、それぞれの圧縮流体作動室に圧縮流体が導入されることによって前記ベローズ部を圧縮、伸張させて、各ベローズに搬送液体を交互に流入させ、各ベローズから搬送液体を交互に吐出させるようにされ、前記シリンダと前記ベローズ部との間に形成された圧縮流体作動室に連通させて、該圧縮流体作動室に導入された圧縮流体の作動圧を緩和する圧縮流体排出路が設けられ、該圧縮流体排出路が細孔または小溝によって形成されたベローズポンプの運転方法において、
大気に連通する前記細孔または小溝が、前記シリンダと前記ベローズ部との間に形成された圧縮流体作動室に連通され、前記シリンダと前記ベローズとの間に形成された前記圧縮流体作動室に導入された圧縮流体が前記ベローズ天板部と前記シリンダとの間に形成された該圧縮流体作動室に導入されたとき、該導入された圧縮流体の一部を大気に流出させて流入ロスを発生させ、圧縮流体の作動圧を緩和させることを特徴とするベローズポンプの運転方法を提供する。
【0016】
本発明は、また、前記細孔は、前記圧縮流体が前記シリンダと前記ベローズとの間に形成された圧縮流体作動室に導入されたときに、該圧縮流体の作動圧を緩和して該圧縮流体がベローズを形成する蛇腹を潰さないことを特徴とするベローズポンプの運転方法を提供する。
【発明の効果】
【0017】
本発明は、上述のようにシリンダとベローズ蛇腹であるベローズ部との間に形成された圧縮流体作動室に連通させて、この圧縮流体作動室に導入された圧縮流体の作動圧を緩和する圧縮流体排出路を設けたこと、さらには、この圧縮流体排出路を外部の大気に連通させる細穴または小溝によって形成するようにしているので、圧縮流体を圧縮流体作動室に供給したときに、あるいは圧縮流体によってベローズ蛇腹が伸張すべきときに伸張しないで収縮してしまうという現象の発生を回避することができ、もってベローズポンプの正常運転を継続させることができる。
【0018】
また、本発明は、上述のようにベローズ天板部、シリンダあるいは他の個所に大気に連通する細孔あるいは小溝を形成する構造を採用するので、従来のベローズポンプのように機械結合に必要な部材を必要とせず、極めてシンプルな構造によって従来のベローズポンプが有していた重大な欠陥を解決することができ、このシンプル構造のために装置自体の製造コストを安価にすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
【実施例】
【0020】
図1は、本発明の実施例のベローズポンプの全体斜視図、図2は図1の正面図、図3は図1の右側面図、図4は図1の左側面図、図5は図1の縦断面図である。
【0021】
図1から図4において、本実施例のベローズポンプ100は、左右の2つのシリンダ1a,1b(総称する場合には1)、その間に一体に設けられたポンプ本体19、各シリンダの外側に密着して配設されたシリンダ端板4,5を備え、シリンダ端板4,5とシリンダ1a,1bとの間にはOリング4a,5aが配設され、左右両側のシリンダ端板4,5の4つの隅にはそれぞれ固定ボルト34a,34b,34c,34d(総称する場合は34)が貫通して設けられ、ナット35a,35b,35c,35d(総称する場合は35)によって締結される。
【0022】
シリンダ1aの最上部には気室出入り口を兼ねた継手(以下、気室入り口継手という。他の同様の構成物についても同様に継手とする。)8が設けられ、シリンダ内部と連通し、シリンダ1bの最上部には、気室出入り口継手9が設けられ、シリンダ端板4の側方上部には気室出入り口継手6が設けられ、シリンダ端板5a側方上部には気室出入り口継手7が設けられている。
【0023】
シリンダ端板4の側方中央部にはバルブ10が、そしてシリンダ端板5の側方中央部には他のバルブ11が設置してある。ポンプ本体19は円柱高さの低い形状の中央円柱状に形成され、最上部に搬送液体の吐出口17が、そして手前側側方部に搬送液体の吸入口1が設けられる。吸入口18と吐出口17とは後述するようにして連通される。
【0024】
図4において、シリンダ1aの中にはベローズ天板部2bが配設され、更にシリンダ1aの中にはベローズ天板部20に一体化されたベローズ蛇腹であるベローズ部2cが配設される。ベローズ天板部2bは板状に形成され、その端面にはOリング溝2aが形成され、このOリング溝2aにはOリング2eが配設され、気密性を確保している。
【0025】
ベローズ部2cは前述のようにベローズ蛇腹構成とされ、伸張および収縮可能とされ、1端側はベローズ天板部2bに固着され、他端側はポンプ本体19の端面に固着される。このような構成によって、すなわちベローズ天板部2bにベローズ部2cが取り付けられて一方のベローズ2が形成される。
【0026】
形成されたベローズ2は、ベローズ天板部2bの端面がシリンダ1bの内面を摺動し、その時に、Oリング溝2aとOリング2eの組み合わせによって気密が保たれる。
【0027】
このようにして気密を保つことの出来るベローズ天板部2bはシリンダ1aの内部空間を左右両側に分けて両側に室を形成する。そして、ベローズ部2cは左側に分けられた室をベローズ内外の室に区割する。従ってここでは、右側に区割され、ベローズ天板部2bとシリンダ1aとによって形成される室をベローズ天板側気室12と称する。このベローズ天板側気室12は1つの圧縮流体作動室として作用することになる。
【0028】
ベローズ部2cとシリンダ1とによって、形成される室をベローズ(蛇腹)側気室14と称する。このベローズ側気室14はもう一方の圧縮流体作動室として作用する。ベローズ部2cの内部にベローズ部14、ベローズ天板部2bおよびポンプ本体19によって形成された室は搬送体搬送室14Aとなる。
【0029】
ベローズ天板側気室12にはシリンダ端板4に設けた気室出入り口継手6が連通しており、この気室出入り口継手6を介して駆動源としての圧縮流体(例えば圧縮空気)が導入され、排出される。導入された圧縮流体はベローズ天板部2bの側面に作用し、ベローズ天板部2bを押圧してシリンダ1a内を摺動させる。
【0030】
ベローズ側気室14にはシリンダ1aの円筒部に設けた気室出入り口継手8が連通しており、この気室出入り口継手8を介して駆動源としての圧縮流体が導入され、排出される。導入された圧縮流体はベローズ部2cに作用し、ベローズ2を伸張させてシリンダ1a内を右方に移動させる。
【0031】
駆動源としての圧縮流体がベローズ天板側気室12およびベローズ側気室14のいずれかの室に導入され、排出されることによってベローズ1はシリンダ内を伸張、収縮する。これに伴なって搬送流体搬送室14Aの容積が増加、減少する。ベローズ天板部2bの両端部にはベローズ天板側気室12とベローズ側気室14を連通させるようにした細孔20,21が設けてある。この細孔20,21の機能については後述する。
以上のようにしてベローズ2が構成される。
他方側のベローズ3についてもベローズ2と同様に構成される。
【0032】
ベローズ天板側気室13にはシリンダ端板5に設けた気室出入り口継手7が連通しており、この気室出入り口継手7を介して駆動源としての圧縮流体(例えば圧縮空気)が導入され、排出される。導入された圧縮流体はベローズ天板部3bの側面に作用し、ベローズ天板部3bを押圧してシリンダ1b内を摺動させる。
【0033】
ベローズ側気室15にはシリンダ1bの円筒部に設けた気室出入り口継手9が連通しており、この気室出入り口継手8を介して駆動源としての圧縮流体が導入され、排出される。導入された圧縮流体はベローズ部3cに作用し、ベローズ3を伸張させてシリンダ1b内を左方に移動させる。
【0034】
駆動源としての圧縮流体がベローズ天板側気室13およびベローズ側気室15のいずれかの室に導入され、排出されることによってベローズ3はシリンダ1b内を伸張、収縮する。これに伴なって搬送流搬送室15Aの容積が増加、減少する。
【0035】
ベローズ天板部3bの両端部にはベローズ天板側気室13とベローズ側気室15を連通させるようにした細孔22,23が設けてある。この細孔22,23の機能については後述する。
以上のようにしてベローズ3が構成される。
【0036】
図6は、ポンプ本体19の右側面を示し、図7は図5の断面を示し、図7(B)は図6のB−B断面を、そして図7(C)は図6のC−C断面を示し、図8は図6のA−A断面を示す。
【0037】
図4,図7に示すように、ポンプ本体19の下方内部には、吸入口18から搬送流搬送室14A,15Aにそれぞれ吸入側出口29,33を経て連通する連通孔26A,30Aが設けられ、この連通孔26Aに吸入側逆止弁座28が配設され(図7(B))、連通孔30A吸入側逆止弁30が配設される(図7(C))。図7(B)に示すように、連通孔26Aには、逆止弁設置部材19Aが嵌入される、逆止弁設置部材19Aは吸入弁体ガイド27、この吸入弁体ガイド27にガイドされて摺動する吸入側逆止弁26および吸入側逆止弁座28を備える。
【0038】
吸入側逆止弁26は吸入側逆止弁座28に圧接することでシールされ、吸入口18からの搬送液のベローズ2側への流入が阻止される。つまり吸入側出口29からベローズ2の搬送流体搬送室14Aへの流れが止められ、ベローズ2内の搬送液やベローズ2の作用によって後述する吐出側逆止弁16からと吐出口17に向けて吐出がなされる。搬送流体搬送室14Aの圧力が減少してシールが解除されると、吸入側逆止弁26は吸入弁体ガイド27にガイドされて上方へと摺動し、搬送液が吸入側出口29から搬送流体搬送室14Aに流入することを許容する。
【0039】
図7(C)に示すように、連通孔30Aには、逆止弁設置部材19が嵌入される、逆止弁設置部材19は吸入弁体ガイド31、この吸入弁体ガイド31にガイドされて摺動する吸入側逆止弁30および吸入側逆止弁座32を備える。
【0040】
吸入側逆止弁30は吸入側逆止弁座32に圧接することでシールされ、吸入口18からの搬送液のベローズ3側への流入が阻止される。つまり吸入側出口33からベローズ3の搬送液搬送室15Aへの流れが止められ、ベローズ3内の搬送液をベローズ3の作用によって後述する吐出側逆止弁16から吐出口17に向けて吐出がなされる。搬送液搬送室15Aの圧力が減少してシールが解除されると、吸入側逆止弁30は吸入弁体ガイド31にガイドされて上方へと摺動し、搬送液が吸入側出口33から搬送液搬送室15Aに流入することを許容する。
【0041】
このような動作がベローズ2および3の交互の伸張、収縮作用に同調して交互に繰り返えされ、どちらかの搬送液搬送室14A,15Aの搬送液が吐出口へ間断なく吐出側逆止弁16を介して圧送される。吐出側逆止弁16は次のように構成される。
以上のようにしてベローズ2が構成される。
【0042】
図4,図8に示すように、ポンプ本体19の上方内部には、搬送液搬送室14A,15Aに連通する連通孔16Aが設けられ、この連通孔16Aに吐出側逆止弁16が配設され、この吐出側逆止弁16の吐出側は吐出口17に連通される。この吐出側逆止弁16は交互に搬送液搬送室14A,15Aの搬送液を吐出口17に導出させる。
【0043】
図9は、ベローズポンプ駆動流体切換操作回路を示す。図9において、ベローズポンプ駆動流体切換操作回路は、駆動源に接続された駆動流体供給路45に接続されたメインバルブ44を備え、メインバルブ44は内部に切換回路を備えて、この切換によって駆動流体供給路45は気室出入り口継手6と気室出入り口継手9,あるいは気室出入り口継手7と気室出入り口継手8のいずれかに継続される。図示の例にあっては駆動流体供給路45は気室出入り継手およびに接続されていることを示す。駆動流体としては、この例では圧縮液体が使用される。図示の例にあっては、気室出入り口継手7および8は大気に開放されていることを示す。従って、この場合にはベローズ天板側気室13は気室出入り口継手7を介して大気開放される。
【0044】
メインバルブ44の回路切換えは、バルブ10およびバルブ11からの操作信号によってなされる。
【0045】
図5において、シリンダ端板4,5の中央付近に段穴4b,5bを設け、ピン38,39をスプリング40,41と共に装着する。これらのピン38,39に対応してバルブ10,11を板にネジ固定して、ネジでこれらの板をシリンダ端板4,5に固定配置する。これらのピン38,39は、ベローズ2,3の伸張、収縮の動きをバブル10,11のメインバブル44の切換え動作のための信号としてメインバルブ44に伝える。この信号は、メインバルブ44の切換え動作に必要な押し込み動作を行うために使用される。すなわち、ベローズ2,3が伸張すると、ピン38,39は、ベローズ2,3に組み込まれたステンレス製の板42,43で押し上げられ、バルブ10,11の切替部を押してエアーの切替えを行う。切替えられたエアーが信号となってメインバルブ44の切換えを行うことになる。
【0046】
ポンプとして働く気室出入り口継手6及び9に同時に圧縮気体を入れると、ベローズ2は、気室12に入った圧縮空気によって収縮し、そのベローズ2の収縮で吐出側の逆止弁が動いて、吐出口17を通して搬送流体が吐出する。そのときベローズ側気室15に圧縮空気が同時に入るのでベローズ3は伸張する。
次に30の吸入側逆止弁が、32の吸入逆止弁座との圧接状態を解除して浮き上がることで18の吸入口から搬送流体をベローズ3内部に引き込む、このとき吐出側逆止弁16は、閉じているので吐出口17へは、ベローズ2からの搬送流体の流れしかない。ベローズ3の伸張によってベローズ天板部3bに接合された板43により、ピン39が押されて、バルブ11が切り替わる。
【0047】
次に、ベローズ2、ベローズ3を圧縮、伸張させた圧縮流体は、メインバルブ44の切換えによって、それぞれ気室出入り口継手6及び9から圧縮空気が大気圧に開放されて出ていくのでピン39は、スプリング41によって戻されてバルブ11も元の位置に復帰すると同時に、図9のメインバルブ44が切り替わったので、気室出入り口継手7、8に圧縮気体が供給され、ベローズ3が収縮し逆止弁16が開き吐出口17から搬送流体が吐出し、吸入口18の30の吸入側逆止弁は閉じている。
このとき同時にベローズ2が伸張する。このことで搬送流体は、ベローズ2内部の吸入側逆止弁26が浮き上がって28の吸入側逆止弁座との圧接シール状態が無くなるので、ベローズ2の内部に搬送流体は18の吸入口から勢い良く流入する。
【0048】
今度は、ベローズ天板部2bに接合された板42により、ピン38が押されて、バルブ10が切り替わる。そうすると、メインバルブ44が再度切り替わり、気室出入り口継手6、9に圧縮気体が供給される。こうして、ベローズの圧縮、伸張動作が繰り返され、搬送流体が圧送される。
【0049】
ベローズ側気室14または15に圧縮気体が供給された場合、ベローズ蛇腹であるベローズ部2c,3cは、薄肉成形されており、伸縮することが容易にできるようになっていることから、圧縮空気が入ると蛇腹が伸びるよりも、ベローズ蛇腹が圧縮空気圧力で伸張しない状態で、ベローズ蛇腹がベローズの中心に向かう圧縮空気の圧力で、潰されて変形破壊されてしまう現象がおきる。
つまりベローズが伸張しないで収縮してしまうので、搬送流体を吸い上げることができなくポンプとして働かない現象が生じる。
【0050】
この欠陥は、ベローズ天板側気室12とベローズ側気室14とを連通する細孔20、21、または/およびベローズ天板側気室13とベローズ側気室15とを連通する細孔22、23とが設けることで圧縮流体のロスを若干起こさせることでベローズの蛇腹が潰されて変形することを防ぐことで克服される。つまり連通する細孔20,21,22,23は、ベローズ天板側気室12,13が大気圧に開放されているので圧縮流体のロスが発生する。この圧縮流体のロスは導入された圧縮流体の圧力を緩和することになるのでベローズを潰してしまう圧縮変形をおこさせない機能を持っている。
【0051】
ここでは、ベローズ天板側気室12とベローズ側気室14とを連通する細孔20、21、または/およびベローズ天板側気室13とベローズ側気室15とを連通する細孔22、23を設けてベローズ部の変形破壊を避けた。他の方法として、ベローズ部の蛇腹のあるベローズ側気室14と15のあるシリンダ1a、1bの円筒部に同様の細孔を形成して大気と連通することでも同じ効果がある。または、ポンプ本体19に細孔を設けて大気に連通するようにしてもよい。
または、その他の方法としては、シールを完全にするのではなく、緩くシールして圧縮空気が漏れるようにすることでも良い。
【0052】
すなわち、シリンダ1a,1bとベローズ部2c,3cとの間に形成されたベローズ(蛇腹)側気室14,15である圧縮流体作動室に連通させて、この圧縮流体作動室に導入された圧縮流体の作動圧を緩和する圧縮流体排出路を設けることによって上述した欠陥を克服する。
【0053】
この圧縮流体排出路は、シリンダ1a,1bベローズ部2c,3cとの間に形成された圧縮流体作動室14,15と、ベローズ天板部2b,3bシリンダ1a,1bとの間に形成された圧縮流体作動室12、13とを連通させる細孔または小溝によって形成することができる。また、この圧縮流体排出路はシリンダ1a,1bとベローズ部2c,3cとの間に形成された圧縮流体作動室14,15を外部の大気に連通させる連通手段によって形成することができる。
【0054】
連通手段は、外部の大気に連通させる細孔がシリンダ1a,1bもしくはポンプ本体19に形成されることによって形成され得る。
【0055】
このように、ベローズの作動のために充分に投入された圧縮気体が投入当初のロスによってベローズ部2cまたはベローズ部3cを変形破壊することなく、ベローズ2またはベローズ3を伸張させる。つまりロスさせることによって、圧縮気体の力がベローズのベローズ部である蛇腹にかかるが潰すまでの力にならないように細穴の大きさ、連通する面積の大きさを選択することにより、ベローズの変形破壊を防ぎつつ、ベローズを伸張させることができる。細孔を余りに大きくすれば、ベローズを作動させることが困難になる。
【0056】
この連通細孔の大きさについては、通常バランスを考慮して数個設けるのが良いが、小型のベローズであれば1個の孔でも良い。また、実施例では細孔としたが、小溝でも同じ効果を持たせることができる。またはシールを完全に行うのではなく。シールに若干の隙間を持たせることでも同じような動作が可能である。開放面積については、ポンプの大きさや圧縮空気の圧力によって変化するので、シミュレーションや実験によって決定する。
この連通を行うことでベローズの伸張と収縮動作が自在になるので、ベローズポンプを作成するのに従来のベローズポンプと違い、ポンプ機能を作る部品も少なくなり、ほぼ半分以下の部品で動作ができるようになる。
【0057】
また、ポンプの動作を安定させるのに必要な精度を要求する部分については、従来のポンプが多重拘束設計なので構造が複雑で性能を出すのが困難であったが、本実施例のベローズポンプは、精度出しが簡単であるのでポンプ組立が容易であり、ポンプの寿命や信頼性などのポンプの重要な課題も容易に達成でき従来のポンプと比較して非常に有利である。
【0058】
以上のように、本実施例では、ベローズ天板部2b,3bに蛇腹構成であるベローズ部2c,3cが取りつけられて形成されたベローズ2,3を少なくとも2つ備え、各ベローズ2,3がそれぞれシリンダ1a,1b内に気密に摺動可能に配設されて、前記シリンダ内であって該シリンダ1a,1bと前記ベローズ部2c,3cとの間に、および前記ベローズ天板部2b,3bと前記シリンダ1a,1bの間にそれぞれ圧縮流体作動室(ベローズ(蛇腹)側気室14,15およびベローズ天板側気室12,13)が形成され、それぞれの圧縮流体作動室に圧縮流体が導入されることによって前記ベローズ部2c,3cを圧縮,伸張させて、各ベローズに搬送液を交互に流入させ、各ベローズから搬送液を交互に吐出させるようにしたベローズポンプ100が用いられる。
【0059】
このように構成されたベローズポンプにおいて、前記シリンダ1a,1bと前記ベローズ部2c,3cとの間に形成された圧縮流体作動室に圧縮流体を導入させる時に、圧縮流体排出路からー部の圧縮流体を流出させて該圧縮流体作動室に導入された圧縮流体の作動圧を緩和するベローズポンプの運転方法が形成される。
また、この運転方法において、前記シリンダ1a,1bと前記ベローズ部2c,3cとの間に形成された圧縮流体作動室から前記ベローズ天板部2b,3bと前記シリンダ1a,1bとの間に形成された圧縮流体作動室に一部の圧縮流体を流出させるようにした運転方法が形成される。
【0060】
また、上述の運転方法において、前記シリンダ1a,1bと前記ベローズ部2c,3cとの間に形成された圧縮流体作動室から直接外部の大気に一部の圧縮流体を流出させるようにした運転方法が形成される。
また、上述の運転方法において、前記シリンダ1a,1bもしくはポンプ本体19に設けた例えば細孔20,21,22,23から一部の圧縮流体を直接大気中に流出させるようにした運転方法が形成される。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】本発明の実施例のベローズポンプの全体斜視図。
【図2】図1のベローズポンプの正面図。
【図3】図1のベローズポンプ右側面図。
【図4】図1のベローズポンプ左側面図。
【図5】図1のベローズポンプ断面図。
【図6】図1のポンプ本体右側面図。
【図7】図6のB−B線断面図(図7B)、C−C線断面図(図7C)。
【図8】図6のA−A線断面図。
【図9】本実施例に用いるベローズポンプ駆動用気体回路図。
【符号の説明】
【0062】
1a、1b:シリンダ
2:ベローズ
3:ベローズ
2a、3a:Oリング用溝
2b、3b:ベローズ天板部
2c、3c:ベローズ部(蛇腹部)
4:シリンダ端板
5:シリンダ端板
4b、5b:段穴
6:気室出入り口継手
7:気室出入り口継手
8:気室出入り口継手
9:気室出入り口継手
10:バルブ
11:バルブ
12:ベローズ天板側気室
13:ベローズ天板側気室
14:ベローズ(蛇腹)側気室
14A:搬送流体搬送室(ベローズ2側)
15:ベローズ(蛇腹)側気室
15A:搬送液搬送室(ベローズ3側)
16:吐出側逆止弁
16A:連通孔
17:吐出口
18:吸入口
19:ポンプ本体
19A:逆止弁設置部材
20、21、22、23:細孔
26:吸入側逆止弁(ベローズ2側)
26A:連通孔
27:吸入弁体ガイド(ベローズ2側)
28:吸入側逆止弁座(ベローズ2側)
29:吸入側出口(ベローズ2側)
30:吸入側逆止弁(ベローズ3側)
31:吸入弁体ガイド(ベローズ3側)
32:吸入側逆止弁座(ベロー3側)
33:吸入側出口(ベローズ3側)
42:板
43:板
44:メインバルブ
45:駆動流体供給路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベローズ天板部にベローズ部が取りつけられて形成されたベローズを少なくとも2つ備え、各ベローズをそれぞれ気密に摺動可能に配設する2つのシリンダを備え、該2つのシリンダおよび2つのベローズ部が固着されるポンプ本体を備え、前記シリンダ内であって該シリンダと前記ベローズ部との間に、および前記ベローズ天板部と前記シリンダとの間にそれぞれ圧縮流体作動室が形成され、それぞれの圧縮流体作動室に圧縮流体が導入されることによって前記ベローズ部を圧縮、伸張させて、各ベローズに搬送液体を交互に流入させ、各ベローズから搬送液体を交互に吐出させるようにしたベローズポンプにおいて、
前記シリンダと前記ベローズ部との間に形成された圧縮流体作動室に連通させて、該圧縮流体作動室に導入された圧縮流体の作動圧を緩和する圧縮流体排出路が設けられ、
前記圧縮流体排出路が、前記シリンダと前記ベローズ部との間に形成された圧縮流体作動室に連通され、前記シリンダと前記ベローズとの間に形成された前記圧縮流体作動室に導入された圧縮流体が前記ベローズ天板部と前記シリンダとの間に形成された該圧縮流体作動室に導入されたとき、導入された該圧縮流体の一部を大気に流出させて流入ロスを発生させ、圧縮流体の作動圧を緩和させる大気に連通する細孔または小溝によって形成されたことを特徴とするベローズポンプ。
【請求項2】
請求項1において、前記細孔は、前記圧縮流体が前記シリンダと前記ベローズとの間に形成された圧縮流体作動室に導入されたときに、該圧縮流体の作動圧の緩和によって該圧縮流体がベローズを形成する蛇腹を潰さない大きさに形成されることを特徴とするベローズポンプ。
【請求項3】
ベローズ天板部にベローズ部が取りつけられて形成されたベローズを少なくとも2つ備え、各ベローズをそれぞれ気密に摺動可能に配設する2つのシリンダを備え、該2つのシリンダおよび2つのベローズ部が固着されるポンプ本体を備え、前記シリンダ内であって該シリンダと前記ベローズ部との間に、および前記ベローズ天板部と前記シリンダとの間にそれぞれ圧縮流体作動室が形成され、それぞれの圧縮流体作動室に圧縮流体が導入されることによって前記ベローズ部を圧縮、伸張させて、各ベローズに搬送液体を交互に流入させ、各ベローズから搬送液体を交互に吐出させるようにされ、前記シリンダと前記ベローズ部との間に形成された圧縮流体作動室に連通させて、該圧縮流体作動室に導入された圧縮流体の作動圧を緩和する圧縮流体排出路が設けられ、該圧縮流体排出路が細孔または小溝によって形成されたベローズポンプの運転方法において、
大気に連通する前記細孔または小溝が、前記シリンダと前記ベローズ部との間に形成された圧縮流体作動室に連通され、前記シリンダと前記ベローズとの間に形成された前記圧縮流体作動室に導入された圧縮流体が前記ベローズ天板部と前記シリンダとの間に形成された該圧縮流体作動室に導入されたとき、該導入された圧縮流体の一部を大気に流出させて流入ロスを発生させ、圧縮流体の作動圧を緩和させることを特徴とするベローズポンプの運転方法。
【請求項4】
請求項3において、前記細孔は、前記圧縮流体が前記シリンダと前記ベローズとの間に形成された圧縮流体作動室に導入されたときに、該圧縮流体の作動圧を緩和して該圧縮流体がベローズを形成する蛇腹を潰さないことを特徴とするベローズポンプの運転方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−77976(P2010−77976A)
【公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−6389(P2010−6389)
【出願日】平成22年1月15日(2010.1.15)
【分割の表示】特願2008−265316(P2008−265316)の分割
【原出願日】平成20年10月14日(2008.10.14)
【出願人】(304041976)シグマテクノロジー有限会社 (10)
【Fターム(参考)】