説明

ベローズリーク検査治具

【課題】簡易な構成のベローズリーク検査治具を提供する。
【解決手段】ベローズ2の内部にエアを供給して、その漏れを検出することによりベローズのリークを検査するベローズリーク検査治具1であって、検査対象のベローズ2を収容し、そのベローズ2の下端をシールする下側ハウジング3と、収容したベローズ2の内側にエアを供給するエア供給孔13が設けられた案内管12と、下側ハウジング3の上端を閉じる上蓋9と、を有し、そのベローズ2の上端をシールするエア供給部4と、を備え、下側ハウジング3には、収容したベローズ2から漏れ出たエアを放出するためのエア抜け孔8が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ベローズに生じたピンホール等によるリークを検査するための治具に関する。
【背景技術】
【0002】
ベローズのリーク検査装置として、例えば、リーク検出用のガスを外側からベローズに吹き付けてベローズの内側でそのガスが検出されることにより、リークを検査する装置が知られている(例えば、特許文献1参照。)。その他、本発明に関連する先行技術文献として特許文献2、3が存在する。
【特許文献1】特開平10−148594号公報
【特許文献2】実開平1−91087号公報
【特許文献3】実用新案登録第2606226号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上述した装置では、リーク検出用のガスやそのガスを検出するセンサが必要であり、装置や検査手順が複雑となるおそれがある。
【0004】
そこで、本発明は簡易な構成のベローズリーク検査治具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明のベローズリーク検査治具は、ベローズ(2、21)の内部にエアを供給して、その漏れを検出することによりベローズのリークを検査するベローズリーク検査治具(1、1A)であって、検査対象のベローズを収容し、該ベローズの下端をシールする下側ハウジング(3、3A)と、収容したベローズの内側にエアを供給するエア供給孔(13)が設けられた案内管(12)と、前記下側ハウジングの上端を閉じる上蓋(9)と、を有し、該ベローズの上端をシールするエア供給手段(4)と、前記下側ハウジングと前記エア供給手段とを固定する固定手段(5)と、を備え、前記下側ハウジングには、収容したベローズから漏れ出たエアを放出するためのエア抜け孔(8)が設けられていることにより上記課題を解決する。
【0006】
本発明のベローズリーク検査治具によれば、下側ハウジングに収容した検査対象となるベローズの内側に案内管を挿入しつつ上蓋を閉じて固定手段で固定することにより、ベローズの上端及び下端がシールされる。ベローズの内側にエア供給孔からエアが供給され、ベローズにピンホールや亀裂等によるリークが発生している場合には、そのリーク発生箇所からエアが漏れ出る。漏れ出たエアはエア抜け孔から放出されるので、ベローズリーク検査治具を水が溜められた水槽等に入れることで、目視でベローズのリーク発生有無を確認することができる。従って、ベローズのリーク検査が簡易な構成の治具で行うことができる。よって、例えば、充填機の定期修理で全数交換を行っていたようなベローズにおいても容易に検査することができ、ベローズの再利用の可否を判断することができる。
【0007】
本発明のベローズリーク検査治具の一形態において、前記下側ハウジングの底部(3a)には、収容したベローズの内側に嵌まり込む大きさの凸部(3b)が設けられ、該凸部の側面を一周するようにOリング(6)が設けられていてもよい。この形態によれば、下側ハウジングの底部に設けられた凸部がベローズの下端側から内側に嵌まり込み、凸部の側面に設けられたOリングとベローズとが接触することでベローズの下端がシールされる。これにより、ベローズ下端側からのエア漏れを防ぐことができる。
【0008】
本発明のベローズリーク検査治具の一形態において、前記エア供給手段の上蓋の下面には、収容したベローズの上端の開口を取り囲むように接触するOリング(10)が設けられていてもよい。この形態によれば、下側ハウジングに対してエア供給手段の上蓋を閉じることでベローズの上端がOリングと接着し、ベローズの上端がシールされる。これにより、ベローズ上端側からのエア漏れを防ぐことができる。
【0009】
本発明のベローズリーク検査治具の一形態において、前記固定手段がクランプ(5)であってもよい。この形態によれば、下側ハウジングとエア供給手段とをクランプにより確実に固定することができる。ベローズの上端及び下端からのエア漏れを防いで、検査の信頼性が向上する。
【0010】
本発明のベローズリーク検査治具の一形態において、検査対象のベローズが樹脂製であってもよい。この形態によれば、樹脂製のベローズを検査することで再利用の可否を判断することができる。従来は検査されずに廃棄されていたような樹脂製のベローズの再利用が可能となり、コストダウンを図ることができる。
【0011】
なお、以上の説明では本発明の理解を容易にするために添付図面の参照符号を括弧書きにて付記したが、それにより本発明が図示の形態に限定されるものではない。
【発明の効果】
【0012】
以上、説明したように、本発明のベローズリーク検査治具においては、下側ハウジングに収容した検査対象となるベローズの内側に案内管を挿入しつつ上蓋を閉じることにより、ベローズの上端及び下端がシールされる。ベローズの内側にエア供給孔からエアが供給され、ベローズにピンホールや亀裂等によるリークが発生している場合には、そのリーク発生箇所からエアが漏れ出る。漏れ出たエアはエア抜け孔から放出されるので、ベローズリーク検査治具を水が溜められた水槽等に入れることで、目視でベローズのリーク発生有無を確認することができる。従って、ベローズのリーク検査が簡易な構成の治具で行うことができる。よって、例えば、充填機の定期修理で全数交換を行っていたようなベローズにおいても容易に検査することができ、ベローズの再利用の可否を判断することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
図1に本形態の一形態に係るベローズリーク検査治具の概略図を示し、図2にベローズリーク検査治具の組付図を示す。ベローズリーク検査治具1は、図3に示すような樹脂製のベローズ2に生じたピンホール等によるリークを検査する治具である。ベローズリーク検査治具1は、ベローズ2を収容する下側ハウジング3と、検査用のエアを供給するエア供給手段としてのエア供給部4と、下側ハウジング3及びエア供給部4とを固定する固定手段としてのクランプ5とを備えている。下側ハウジング3は、底部3aを有する円筒状の容器で、一例としてステンレス等の金属で形成されている。下側ハウジング3には、収容したベローズ2をシールするOリング6と、ベローズ2を支持するパッキン7と、エア抜け孔8とが設けられている。Oリング6は、底部3a内側に設けられてベローズ2の内側2aに嵌まり込む大きさの凸部3bの側面を一周するように設けられ、ベローズ2の下端内側2aと密着する。これにより、検査時のベローズ2下端からのエア漏れを防止する。パッキン7は、ベローズ2の上縁部下側2bと接触してベローズ2を保持する。エア抜け孔8は、ベローズ2のリーク有無を確認するために設けられた孔で、リークが生じている場合にはリーク発生箇所より漏れ出たエアがエア抜け孔8から放出される。なお、本形態では一箇所に設けられているが、これに限られず、エア抜け孔8の個数及び位置は適宜変更してよい。
【0014】
エア供給部4は、下側ハウジング3を閉じる上蓋9と、上蓋9の下面に設けられてベローズ2の上端をシールするOリング10と、検査用のエアを導入するエア導入口11と、導入されたエアを案内する案内管12と、案内管12に設けられたエア供給孔13とを備えている。エア供給部4も下側ハウジング3と同様、ステンレス等の金属で形成されている。上蓋9は、下側ハウジング3の上端に設けられた鍔部3cと重なり合う。Oリング10は、下側ハウジング3のパッキン7に支持されたベローズ2の上端の開口を取り囲むように接触してシールする。これにより、検査時のベローズ2上端からのエア漏れを防止する。エア導入口11は、エアを導入するためのエア導入管14と接続可能である。案内管12は、下端が閉じられ、側面にエア供給孔13が2個、上下方向に並んで設けられている。エア導入口11から導入されたエアは、案内管12へ導かれてエア供給孔13から放出される。これにより、下側ハウジング3に収容されたベローズ2の内側にエアが供給される。なお、エア供給孔13の個数及び位置は適宜変更してよい。クランプ5は、下側ハウジング3の鍔部3cとエア供給部4の上蓋9とを挟んで固定させる。クランプ5は、鍔部3c及び上蓋9に取付け可能な開閉部5aと、開閉部5aを閉じて締める締め部5bとを有する。開閉部5aは、ヒンジ5cにより開閉可能に構成され、鍔部3c及び上蓋9を挟むようにして取り付けられる。締め部5bは、ねじ機構で構成され、開閉部5aを閉じて固定する。
【0015】
次に、ベローズリーク検査治具1によるベローズ2のリーク検査手順について説明する。まず、下側ハウジング3に検査対象のベローズ2を収容し、収容したベローズ2の内部に案内管12を挿入しつつ、鍔部3cと上蓋9とを重ね合わせ、下側ハウジング3とエア供給部4とをクランプ5で固定する。その際、ベローズ2の下端はOリング6と密着し、ベローズ2の上端はパッキン7及びOリング10と密着することでベローズ2の内部と外部とがシールされ、エアの漏れが防止される。そして、ベローズリーク検査治具1を水が溜められた図示しない水槽へ入れ、エア導入口11へエアを導入する。図4にベローズリーク検査治具1内のエアの流れを説明する図を示す。導入されたエアは、案内管12のエア供給孔13からベローズ2の内部に供給される。エアの圧力は0.2[Mpa]に設定される。なお、エアの圧力は、検査対象となるベローズ2の材質や構成による強度に応じて適宜設定してよい。
【0016】
ベローズ2にピンホールや亀裂等が生じることにより、リークが発生している場合には、リーク発生箇所からエアが漏れ出る。漏れ出たエアは、エア抜け孔8から放出される。一方、リークが発生していない場合は、ベローズ2内部からエアが漏れることがないのでエア抜け孔8からエアが放出されることはない。作業者は、エア抜け孔8から放出されるエアの有無を観察することにより、ベローズ2にリークが発生しているか否かを判別することができる。
【0017】
本発明は、上述した形態に限定されることなく、種々の形態にて実施することができる。本形態では、両端が開放されたベローズ2に対するベローズリーク検査治具1について説明したが、これに限られず、ベローズの形状に応じて構成を適宜変更してよい。例えば、図5に示すように形状が異なるベローズ21に対しても本発明のベローズリーク検査治具を適用できる。ベローズ21は、一端側21aが閉じられた円錐形状で、他端側21bはベローズ2の上端側の構成と同様である。図6に本発明の変形例に係るベローズリーク検査治具1Aの概略図を示す。ベローズリーク検査治具1Aは、下側ハウジング3A以外の構成はベローズリーク検査治具1と同様の構成なので同様の参照符号を付して説明を省略する。下側ハウジング3Aは、ベローズ21の一端側21aが嵌まり込むように円錐形状に凹んだ底部22を有する。なお、下側ハウジング3Aのその他の構成は下側ハウジング3と同様の構成であるので、同様の参照符号を付して説明を省略する。
【0018】
ベローズリーク検査治具1Aによるベローズ21のリーク検査手順についてもベローズリーク検査治具1と同様である。下側ハウジング3Aにベローズ21を収容して下側ハウジング3Aとエア供給部4とをクランプ5で固定する。下側ハウジング3Aの底部22がベローズ21の一端側21aを支持することでベローズ21の一端側21aが固定され、一方、他端側21bもパッキン7及びOリング10によりシールされつつ固定される。ベローズリーク検査治具1Aを水が溜められた図示しない水槽へ入れ、エア導入口11へエアを導入して、ベローズ21のリークの有無が検査される。
【0019】
また、本形態では、樹脂製のベローズ2を検査対象の例として説明したが、これに限られず、金属製のベローズに対して適用してもよい。ベローズリーク検査治具1についても、金属製のもので説明したが、これに限られず、樹脂製であってもよい。下側ハウジング3及びエア供給部4の固定には、クランプ5に限られず、例えば、下側ハウジング3及びエア供給部4にねじ機構等を設けて固定してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本形態の一形態に係るベローズリーク検査治具の概略図。
【図2】ベローズリーク検査治具の組付図。
【図3】ベローズの概略図。
【図4】ベローズリーク検査治具内のエアの流れを説明する図。
【図5】ベローズの他の例の概略図。
【図6】本形態の変形例に係るベローズリーク検査治具の概略図。
【符号の説明】
【0021】
1、1A ベローズリーク検査治具
2、21 ベローズ
3、3A 下側ハウジング
4 エア供給部(エア供給手段)
5 クランプ(固定手段)
8 エア抜け孔
9 上蓋
12 案内管
13 エア供給孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベローズの内部にエアを供給して、その漏れを検出することによりベローズのリークを検査するベローズリーク検査治具であって、
検査対象のベローズを収容し、該ベローズの下端をシールする下側ハウジングと、
収容したベローズの内側にエアを供給するエア供給孔が設けられた案内管と、前記下側ハウジングの上端を閉じる上蓋と、を有し、該ベローズの上端をシールするエア供給手段と、
前記下側ハウジングと前記エア供給手段とを固定する固定手段と、
を備え、
前記下側ハウジングには、収容したベローズから漏れ出たエアを放出するためのエア抜け孔が設けられていることを特徴とするベローズリーク検査治具。
【請求項2】
前記下側ハウジングの底部には、収容したベローズの内側に嵌まり込む大きさの凸部が設けられ、該凸部の側面を一周するようにOリングが設けられていることを特徴とする請求項1に記載のベローズリーク検査治具。
【請求項3】
前記エア供給手段の上蓋の下面には、収容したベローズの上端の開口を取り囲むように接触するOリングが設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載のベローズリーク検査治具。
【請求項4】
前記固定手段がクランプであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のベローズリーク検査治具。
【請求項5】
検査対象のベローズが樹脂製であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記しのべローズリーク検査治具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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