ベンズイミダゾールカルバメートおよびポリソルベートを含む懸濁液
本発明は、約450nm未満の有効平均粒径を有するベンズイミダゾールカルバメート粒子およびトゥイーン(Tween)型界面活性剤を含む、飲料水投与のための医薬組成物、この組成物を製造する方法、寄生生物を防除するための薬剤を製造するためのこの組成物の使用、および薬剤を製造するためのまたは寄生生物感染症から動物を保護するためのこの組成物の使用を目的とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、全般的にベンズイミダゾールカルバメートを含む、飲水投与の医薬組成物、前記組成物を製造する方法、動物の寄生生物を防除するための薬剤を製造するための前記組成物の使用、および寄生生物感染症から動物を保護するための前記組成物の使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ベンズイミダゾールは、元来は植物用防カビ剤として、後に家畜およびヒトの駆虫薬(例えば、虫下し)として開発された。駆虫活性を有するベンズイミダゾール類には、チアゾリルベンズイミダゾールおよびベンズイミダゾールカルバメートが含まれる。ベンズイミダゾールは、特に寄生虫型寄生生物(例えば、回虫またはサナダムシ)に対して広範囲の活性を示す。
【0003】
寄生虫に対する活性を有するよく知られたベンズイミダゾールは、例えば、チアベンダゾール、カムベンダゾール、およびパルベンダゾール、メベンダゾール、フルベンダゾール、フェンベンダゾール、オクスフェンダゾール、オキシベンダゾール、アルベンダゾール、リコベンダゾール、ルクサベンダゾール等のベンズイミダゾールカルバメートであり、以上の全てはベンズイミダゾール母核上の置換基が異なる。
【0004】
代謝的に駆虫薬用ベンズイミダゾールに変換されるフェニルグアニジンプロドラッグも開発されている。例えば、フェバンテルは、フェンベンダゾールに変換されるプロドラッグであり、ネトビミンはアルベンダゾールを生成する。
【0005】
ベンズイミダゾールカルバメートは、一般的に水への溶解性が低い。前記組成物の数種の有効な用途では、ベンズイミダゾールの水への低溶解性は、重大な障害となる。
【0006】
フェンベンダゾール(FBZ)は、家禽、ブタおよびウシ等を含む多数の種で、家畜用駆虫剤として使用されている。フェンベンダゾールは、家禽およびブタにおいて、アスカリディア属種(Ascaridia sp.)、ヘテラキス属種(Heterakis sp.)およびカピラリア属種(Capillaria sp.)等の線虫の防除に使用されている。
【0007】
ベンズイミダゾールカルバメートのような水への溶解性が低い薬剤を、集中飼育されているブタや家禽に大量投与することは、これまで、飼料上層への添加または飼料への混合のような経口投与に限られていた。しかしながら、このような薬用飼料は、飼育場または飼料工場で別に調製する必要があり、非薬用飼料との交差汚染の危険性が常に存在する。一方、飼料上層への添加は付加的な労力を必要とする。
【0008】
このため、飲料水系経由の投薬が、多数の動物に同時に投与する容易さのため、集中飼育されている動物の駆虫のために日常的に使用されるものとして好ましい。
【0009】
多数のブタや家禽の飼育場は、飲料水系経由で薬剤を投与するのに必要な装置をすでに備えている。飼育場のこのような飲料水系は、タンク、パイプ、コイル、畜舎用給水器および吸い口等の複雑な系である。平均的な畜舎は、多数のコイルを有する数百メートルのパイプおよび数百の個別のカップおよび/または吸い口を保有していよう。ブタや家禽の畜舎の飲料水系の水は、パイプやコイルを通じて層流の原理に従い、流速に影響することになる、いわゆる「剪断」力を受ける。このような複雑な配管系において水に不溶な化合物の場合には、薬剤が分離または沈殿するかなりの危険性が確実に存在する。
【0010】
飲料水系経由の投薬の効果は、一般的に組成物の品質および薬剤の味の良さに大きく依存する。このような組成物は、有効成分の最大限の可用性、飲料水系、投薬ポンプ、吸い口、カップ等における活性化合物の分離および沈殿の最小化、飲料水中の活性化合物の非常に正確な投薬および均一な分布、ならびに活性化合物の保証された安定性をもたらすべきである。
【0011】
現在までのところ、ベンズイミダゾールカルバメートのような、水への溶解性が低い動物薬の場合、家畜へのこの経路の投薬に関して、これらの要件に適合する便利な解決法は得られていない。
【0012】
国際特許出願WO95/13065では、トゥイーン(Tween)型界面活性剤および保存剤を含むフェンベンダゾール水性懸濁液組成物を検討している。この水性懸濁液では、水性懸濁液をある期間保存しておいても、フェンベンダゾールは懸濁したままであり、凝集や粒径の変化は起こらない。粒径は約1ミクロン程度である。しかしながら、このフェンベンダゾールの水性懸濁液は、上記のようなブタや家禽の大型畜舎で使用する際、給水系を経由した投与には適していない。この懸濁液は、フェンベンダゾールを60ppmの飲料水濃度に希釈した場合、一定期間の後、沈殿を示す。これらの沈殿により、給水系中のフェンベンダゾールは均一な分布にはならず、例えば、飲料用吸い口のような給水システム機器で目詰まりが起こる危険性が生じる。
【0013】
国際特許出願WO01/17504では、飲料水投与用の懸濁性乳化液組成物を検討している。しかし、これらの組成物は、飲料水系で投与するための均一分布に関する要件を満足しない。
【0014】
国際特許出願WO00/50009では、飲料水投与のため、水に不安定または水に不溶な化合物をリポソームに封入することを検討している。
【0015】
国際特許出願WO95/16447では、経口投与用として、98%を超える粒子が20ミクロン未満の平均粒子径を有する、ラフォキサニドおよびフェンベンダゾールの微粉化粒子を含む駆虫剤組成物を検討しているが、飲料水系内では検討していない。
【0016】
英国特許出願GB−2307871では、粒径減少技術を全く採用せずに、オクスフェンダゾール水性懸濁液を製剤するための工業規模のプロセスを検討している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0017】
【特許文献1】国際特許出願WO95/13065
【特許文献2】国際特許出願WO01/17504
【特許文献3】国際特許出願WO00/50009
【特許文献4】国際特許出願WO95/16447
【特許文献5】英国特許出願GB−2307871
【特許文献6】米国特許第3480642号
【特許文献7】米国特許第3657267号
【特許文献8】米国特許第3929821号
【特許文献9】米国特許第3574845号
【特許文献10】米国特許第3915986号
【特許文献11】米国特許第4639463号
【特許文献12】米国特許第3954791号
【特許文献13】米国特許第5510118号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
発明の要旨
本発明は、一般的に、飲料水系経由で都合良く投与することができる、ベンズイミダゾールカルバメートの安定で有効な水性組成物に関する。
【課題を解決するための手段】
【0019】
このため、本発明は、一部として、ベンズイミダゾールカルバメートの飲料水投与用の医薬組成物を提供する。この組成物は、約450nm未満有効平均粒径を有するベンズイミダゾールカルバメート粒子およびトゥイーン型界面活性剤を含んだ水性懸濁液を含むことを特徴とする。
【0020】
本発明は、一部として、動物用飲料水を経由して薬剤を投与することによる動物内の寄生生物を防除する薬剤を製造するための上記の組成物の使用も提供する。
【0021】
本発明は、一部として、飲料水投与用の医薬組成物を調製する方法も提供する。前記方法は
i.ベンズイミダゾールカルバメート粒子を、トゥイーン型界面活性剤を含む薬学的に許容できる担体中に分散するステップとおよび
ii.ベンズイミダゾールカルバメート粒子の粒径を、約450nm未満の有効平均粒径になるまで機械的に減少させるステップとを
含む。
【0022】
本発明は、一部として、動物を寄生生物感染症から保護する方法も提供する。この方法は、上記の組成物を、動物に、動物用飲料水経由で投与するステップを含む。この保護は、寄生生物感染症および/またはその症状の1種または複数を防止し、危険性を低減し、開始を遅延させ、拡散を低減し、これを改善し、制御しおよび/または根絶することを含む。
【0023】
出願人の発明のさらなる利点は、本明細書を読むことで、当業者にとっては明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】湿式粉砕なし(粗懸濁液)のおよび湿式粉砕後のフェンベンダゾール(FBZ)懸濁液の粒径分布を表す図である。
【図2】24時間の間、TURBISCAN(登録商標)により、測定セル中央部で測定した、湿式粉砕後のFBZ懸濁液で作製したFBZ60ppmの薬用飲料水の清澄化速度を表す図である。
【図3】(湿式粉砕していない)FBZ粗懸濁液ならびに(湿式粉砕がわずかおよび多めの)FBZ懸濁液の粒径分布を表す図である。
【図4】24時間の間、TURBISCAN(登録商標)により、測定セル中央部で測定した、(湿式粉砕していない)FBZ粗懸濁液ならびに(湿式粉砕がわずかおよび多めの)FBZ懸濁液で作製したFBZ60ppmの薬用飲料水の清澄化速度を表す図である。
【図5】SOLUBENOL(登録商標)およびFBZ懸濁液の粒径分布を表す図である。
【図6】24時間の間、TURBISCAN(登録商標)により、測定セル中央部で測定した、SOLUBENOL(登録商標)で作製したフルベンダゾール85.6ppmの薬用水およびFBZ懸濁液で作製したFBZ60ppmの薬用水の清澄化速度を表す図である。
【図7】24時間の間、TURBISCAN(登録商標)により、測定セル中央部で測定した、種々の界面活性剤を含有するFBZ懸濁液の希釈液に由来するFBZ60ppmの薬用水の物理的安定性を表す図である。
【図8】24時間の間、TURBISCAN(登録商標)により、測定セル中央部で測定した、種々の濃度のポリソルベート80(Polysorbate 80)を含有するFBZ懸濁液の希釈液に由来するFBZ60ppmの薬用水の物理的安定性を表す図である。
【図9】FBZ粗懸濁液、およびFBZ0.2g/ml懸濁液で調製した薬用水中の、3時間配送の間のFBZ濃度を表す図である。サンプルは投薬タンクからおよび25mパイプの終端で採取した。
【図10】実施例2に従って製造したフルベンダゾール懸濁液の粒径分布を表す図である。
【図11】24時間の間、TURBISCAN(登録商標)により、測定セル中央部で測定した、FluBZ0.2g/ml懸濁液で作製したFluBZ60ppmの薬用水の清澄化速度を表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
好ましい実施形態のこの詳細な説明は、他の当業者に、本出願人の発明、この原理、およびこの実際の応用を伝えることのみを意図している。これにより、他の当業者は、特定の用途の要件に最も適し得る場合の多数の形態に、本発明を適応させ、適用することができる。この詳細な説明および特定の実施例は、本発明の好ましい実施形態を示すと同時に、説明のみを目的とするように意図している。このため、本発明は、本明細書で説明される好ましい実施形態に限定されず、種々の変更が可能である。
【0026】
450nm未満の有効平均粒径を有するベンズイミダゾールカルバメート粒子およびトゥイーン型界面活性剤を含む水系懸濁液を含む、本発明による組成物は、ベンズイミダゾールカルバメート化合物が飲料水系経由で動物に効率的に投与できるように、系内で十分に安定しており、均一に分布できることが、本発明者たちにより示されている。
【0027】
この新規組成物を通じて、中央水タンクまたは別の貯蔵タンク内の水を用いて組成物を混合および希釈することにより好ましい飲料水系を経由して、ベンズイミダゾールカルバメートを目的の動物に供給できる。
【0028】
代替方法として、用量分注器または用量ポンプ系または比例投薬系を使用して、組成物を飲料水配送用の高圧または低圧リング系に連続的に注入する。
【0029】
用量ポンプ系は、測定量の濃縮液を、1から5%の典型的な希釈で、送水パイプに供給するポンプに依存する。用量ポンプ系内で、Buerkert社製のKONTI−DOS等の電子用量ポンプ系、またはDOSATRON(登録商標)水力用量ポンプ、水駆動の比例投薬機であるDOSMATIC(登録商標)等の機械用量ポンプが使用できる。様々なパイプ材料(例えば、PVC、亜鉛メッキ鋼鈑)の様々な長さの終端系または閉ループ系、およびベル型給水器や吸い口等の、目的の動物に適した給水器のような、種々の現場設備も、水供給系それ自体に関連する。
【0030】
1つの実施形態では、ベンズイミダゾールカルバメートの有効平均粒径は約450nm未満または400nm未満であり、別の実施形態では、約350nmまたは300nm未満である。別の実施形態では、ベンズイミダゾールカルバメートの有効平均粒径は約250nm未満であり、別の実施形態では200nm未満である。
【0031】
1つの実施形態では、ベンズイミダゾールカルバメートの有効平均粒径は約50nmと450nmの間であり、別の実施形態では、100nmと400nmの間であり、別の実施形態では、150と350nmの間であり、または180nmから300nmの間である。別の実施形態では、ベンズイミダゾールカルバメートの有効平均粒径は約190nmと220nmの間であり、別の実施形態では約200nmである。
【0032】
代替的に、ベンズイミダゾールカルバメートは、動物に対して非経口的な投与のために、注射可能な生成物として製剤することができる。
【0033】
本明細書で使用する場合、粒径は、レーザー散乱、沈降場流動分画、光子相関スペクトル、またはディスク遠心分離法等の当業者に周知の従来の粒径測定技術によって測定された数平均粒径を表す。
【0034】
粒径測定は、Hydro 2000G測定セルを用いるMalvern Mastersizer 2000、またはHoriba LA−910レーザー散乱粒径分布分析装置で実施できる。
【0035】
「約450nm未満の有効平均粒径」に関しては、上記の技術で測定した場合、少なくとも90%の粒子が450nm未満の重量平均粒径(D(0,90)を有することを意味する。
【0036】
トゥイーン型界面活性剤(ポリソルベート、ソルビタンエステル、ポリ(オキシ−1,2エタンジイル)誘導体、トゥイーン)は、ポリオキシエチレン鎖がソルビトールおよびソルビトールから誘導されるヘキシトロール無水物(ヘキシタンおよびヘキシド)の水酸基に付加され、次いで、ラウリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸およびオレイン酸等の通常の脂肪酸で部分的にエステル化された、六価アルコール、アルキレンオキシドおよび脂肪酸から誘導される、複合エステルおよびエステル−エーテルを含む水溶性の非イオン性界面活性剤である。
【0037】
1つの実施形態では、トゥイーン型界面活性剤は、1種または複数の、トゥイーン20、トゥイーン40、トゥイーン60、またはトゥイーン80から選択される。これらは、製薬業界では、ポリソルベート20、ポリソルベート40、ポリソルベート60およびポリソルベート80としても知られる。ポリソルベート20(ポリオキシエチレン化ソルビタンモノラウレート)はラウリン酸エステル、ポリソルベート60(ポリオキシエチレン化ソルビタンモノステアレート)はステアリン酸エステルおよびパルミチン酸エステルの混合物、ポリソルベート80(ポリオキシエチレン化ソルビタンモノオレエート)はオレイン酸エステルである。
【0038】
このようなトゥイーン型界面活性剤は、市販されておりおよび/または既知の技術で調製可能である。
【0039】
1つの実施形態では、トゥイーン型界面活性剤は、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノオレエートの化学名を有するポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート(ポリソルベート80、トゥイーン80)であり、例えば、ICI Specialty Chemicals社から入手可能である。
【0040】
トゥイーン型界面活性剤は、約0.1から約50重量%で組成物中に存在している。幾つかの実施形態では、トゥイーン型界面活性剤の濃度は約5重量%から約20重量%であり、約7.5重量%から約15重量%であり、または約10%である。
【0041】
本発明による組成物は、1種または複数のベンズイミダゾールカルバメートを含む。周知のベンズイミダゾールカルバメートは、例えば、パルベンダゾール(例えば、米国特許第3480642号参照)、メベンダゾール(例えば、米国特許第3657267号参照)、フルベンダゾール(例えば、米国特許第3657267号参照)、オクスフェンダゾール(例えば、米国特許第3929821号参照)、オキシベンダゾール(例えば、米国特許第3574845号参照)、アルベンダゾール(例えば、米国特許第3915986号参照)、リコベンダゾール(アルベンダゾールスルホキシド)(例えば、米国特許第3915986号参照)、およびルクサベンダゾール(例えば、米国特許第4639463号参照)があり、全てのベンズイミダゾールカルバメートは、フェバンテルやネトビミンのように、ベンズイミダゾール母核上の置換基が異なる。
【0042】
1つの実施形態では、ベンズイミダゾールカルバメートはフェンベンダゾール(例えば、米国特許第3954791号参照)である。別の実施形態では、ベンズイミダゾールカルバメートはフルベンダゾール(例えば、米国特許第3657267号参照)である。
【0043】
ベンズイミダゾールカルバメートは、通常5から50重量%の量で組成物中に存在する。幾つかの実施形態では、ベンズイミダゾールカルバメートは約10重量%から約40重量%、約15重量%から約30重量%、または約17.5重量%から約25重量%、または約20重量%の濃度で存在する。
【0044】
幾つかの実施形態では、この組成物は、薬学的に許容できる担体を含む。この担体は、例えば、水性担体、好ましくは(精製された)水でよい。しかし、本発明では、ベンズイミダゾールカルバメートがわずかに溶解し、分散可能な他の液媒体、例えば、塩水溶液で実行することができる。
【0045】
場合によっては、この組成物は、例えば、30%USPシメチコン乳化液、オレイン酸ナトリウム、カプリル酸ナトリウムまたはこれらの混合物等の消泡剤を含んでもよい。この消泡剤は、本発明の組成物が水で希釈される場合、泡の形成を防ぐために十分な濃度で存在する。本発明では、シメチコン乳化液は、約0.2重量%から約1重量%の濃度で存在できる。幾つかの実施形態では、シメチコン乳化液は約0.5重量%の濃度で存在する。
【0046】
場合によっては、この組成物は保存剤も含んでよい。この保存剤は、当業者に既知のものであり、例えば、ベンジルアルコール、ブチルパラベンナトリウム塩、メチルパラベンナトリウム塩、プロピルパラベンナトリウム塩およびそれらの混合物でもよい。この保存剤は、約0.01重量%から3重量%で、一般的に存在する。幾つかの実施形態では、ベンジルアルコールが、約1.5重量%から約2.5重量%、または約2.0重量%で存在する。
【0047】
本発明の1つの態様は、動物用飲料水経由で動物に薬剤を投与することにより、動物中の寄生生物を防除する薬剤を製造するための、本発明による組成物の使用である。
【0048】
本発明は、動物を寄生生物感染症から保護する方法を提供する。この方法は、本発明による組成物を、動物用飲料水経由で動物に投与するステップを含む。
【0049】
1つの実施形態では、この組成物は、動物、特に家畜動物(ウシ、家禽およびブタ)を、例えば、フェンベンダゾール等のベンズイミダゾールカルバメート化合物を用いて、飲料水系経由で治療するために使用できる。この組成物(最終生成物)は、従来知られているように、薬用飲料水を調製するために比例分配機または投薬機で使用できる。
【0050】
投薬機では、例えば、28.35g(1oz)の最終生成物を使用し、一般的に水で約1:128の比率でさらに希釈して、約10から約150ppmの、例えば、フェンベンダゾール等のベンズイミダゾールカルバメート濃度を有する薬用飲料水を得る。
【0051】
幾つかの実施形態では、例えば、フェンベンダゾール等のベンズイミダゾールカルバメートの薬用飲料水中の濃度は約40から約120ppmであり、有効用量、動物の体重、動物の水消費量および治療周期に依存する。
【0052】
1つの実施形態では、高濃度の予混合組成物は、約10ppmから約150ppmの濃度に直接希釈される。幾つかの実施形態では、高濃度の予混合組成物は、約40から120ppmのフェンベンダゾール等のベンズイミダゾールカルバメートの濃度に直接希釈され、直接飲料水投与(例えば、家禽用)に使用される。
【0053】
特定のベンズイミダゾールカルバメートであるフェンベンダゾールのための、1つの特定の実施形態では、2時間から24時間の治療周期で治療される家禽により通常消費される飲料水の体積中に、1日当り、体重1kg当りで約1mgから約5mgの範囲のフェンベンダゾールで治療される家禽の体重(BW)あたりのフェンベンダゾールの目的量を供給するために、濃度を計算する。目的の用量は、治療される寄生生物種感染症によって決定され、当技術分野で知られている。他の種への投与の場合は、濃度はそれぞれ計算される。
【0054】
薬用飲料水は、連続1日から6日間で、約2時間から約24時間の治療周期(好ましくは約8時間の治療周期であることが多い)の家禽の治療に使用される。他の種への投与の場合は、治療周期はそれぞれ計算される。
【0055】
ブタの治療では、ブタの蠕虫を防除するために有効量の、例えば、フェンベンダゾール等のベンズイミダゾールカルバメートを含む飲料水を得るように、最終生成物は希釈されて所望の濃度に達する。この有効量は、治療される寄生生物種の侵入に依存し、当技術分野で知られている。
【0056】
代替として、本発明による組成物は、例えば静脈注射、筋肉注射、皮下注射により、動物に非経口で投与されてもよい。
【0057】
本発明による別の態様は、動物を寄生生物感染症から保護する方法を提供する。この方法は、本発明による組成物を非経口経路を通じて動物に投与するステップを含む。
【0058】
代替経路を通じた非経口治療も可能である。全身的に作用するために、ベンズイミダゾール類は血流内に吸収されなければならないので、非経口投与経路はベンズイミダゾールカルバメートの血漿および組織のレベルが重要な場合には、特に有用である。このような1つの例は、例えば、多包条虫(Echinococcus multicularis)や単包条虫(E.granulosis)等の特定の条虫の幼生段階での全身的寄生生物感染症に対処するためにベンズイミダゾール類を使用することである。
【0059】
一般的に、本発明による組成物は、寄生生物感染症の治療や予防を必要とする、ブタ、ウシ、ウマ、ヤギ、ヒツジ、ネコ、イヌ、家禽および魚等の全ての種の動物に投与できる。
【0060】
本発明による別の態様では、本発明による組成物を調製する方法が提供される。
【0061】
前記方法は、ベンズイミダゾールカルバメート粒子を、薬学的に許容できる担体およびトゥイーン型界面活性剤を含む混合物に分散するステップと、ベンズイミダゾールカルバメート粒子の粒径を、約450nm未満の有効平均粒径になるまで機械的に減少させるステップとを含む。
【0062】
1つの実施形態では、ベンズイミダゾールカルバメート粒子の有効平均粒径は、約400nm未満、または約350nm未満、または約300nm未満に減少され、別の実施形態では、約250nm未満、別の実施形態では、約200nm未満に減少される。
【0063】
1つの実施形態では、ベンズイミダゾールカルバメート粒子の有効平均粒径は、約50nmと450nmの間に、別の実施形態では約100nmと400nmの間に、別の実施形態では約150と350nmの間に、または約180nmと300nmの間に減少される。別の実施形態では、ベンズイミダゾールカルバメート粒子の有効平均粒径は、約190nmと220nmの間であり、別の実施形態では約200nmである。
【0064】
ベンズイミダゾールカルバメートを約450nm未満の有効平均粒径にする、粒径減少用の機械力を提供する有効な方法としては、ボールミル法、媒体ミル法、および、例えば、MICROFLUIDIZER(登録商標)(Microfluidics Corp製)を用いる均一化が挙げられる。
【0065】
1つの実施形態では、機械力による粒径減少は、媒体ミル法で実施される。
【0066】
ボールミル法は、粉砕媒体、薬剤、安定剤および液体を用いる、低エネルギー粉砕工程である。最適の速度で回転する粉砕容器にこれらの材料を入れることにより、媒体が急激に流れて、衝撃により薬剤粒径を減少させる。使用される媒体は、粒径減少用のエネルギーが重力と摩砕媒体の質量によって与えられるので、高密度でなければならない。
【0067】
媒体ミル法は高エネルギー粉砕工程である。薬剤、安定剤および液体を貯蔵器に入れ、媒体と回転軸/攪拌羽根を含むチャンバー内で再循環する。この回転軸は、衝撃および剪断力を薬剤に加える媒体を攪拌し、これにより薬剤の粒径を減少させる。媒体ミルは、目的の結果をもたらすために、すなわち、粒径の所望の減少を付与するために必要な粉砕時間が比較的短いので好ましい。特定の実施形態では、WAB社から入手可能なDyno Mill Type KDL AまたはDyno Mill Multi Labが使用される。
【0068】
代替ミルとしては、Hosokawa Alpine社(アウクスブルグ)から入手可能なAgitated Lab Ball Mill 90 AHM、Draiswerke Incから入手可能なDCP High Performance Media Mill Megavantis ACS、またはBuhler社のDCP Superflow、またはAdvantis Perlミルである。
【0069】
粉砕では、予備混合物の見かけ粘度が、効率的な粒子の分断と媒体の目減りとの最適な釣り合いを確実にするように選択される。
【0070】
粒径減少ステップ(湿式粉砕)のための粉砕媒体(ビーズ)は、好ましくは形状が球形または粒子状の堅固な媒体から選択できる。
【0071】
1つの実施形態では、粉砕媒体は約1mm未満の平均径を有する。別の実施形態では、粉砕媒体は0.5から0.7mmの平均径を有する。別の実施形態では、粉砕媒体は0.5未満の平均径を有する。別の実施形態では、粉砕媒体は0.25から0.3mmの平均径を有する。
【0072】
粉砕媒体用の材料の選択は重要ではないと思われる。イットリウム、マグネシア、ケイ酸ジルコニウムおよびガラスで安定化された95%または93%ZrO等の酸化ジルコニウムの粉砕媒体は、医薬組成物の調製のために許容できると考えられる汚染水準を有する粒子を提供することが知られている。しかし、ステンレス鋼、チタンおよびアルミナ等の他の媒体は有用であると期待される。好ましい媒体は、3g/cm3を超える密度を有する。
【0073】
摩砕時間は、広範囲に変化することができ、一義的には、選択される特定の機械的手段および工程条件に依存する。ボールミルの場合は、5日まで、またはそれより長い工程時間が必要になる。
【0074】
一方、例えば、DYNO(登録商標)MILL KDL A、またはDYNO(登録商標)MILL Multi Lab、またはAgitated Lab Ball Mill 90 AHM、またはDCP High Performance Media Mill Megavantis ACSのような高剪断媒体ミルを使用すると、1日未満の工程時間(1分から数時間までの滞留時間)で、所望の結果が得られる。
【0075】
摩砕時間は、粒径分布仕様に従って決定される。粒径分布仕様は、使用される粉砕技術、工程の種類(バッチ工程または生成物の再循環による連続工程)、バッチの大きさ、ビーズの大きさ、ビーズの品質、ローターの回転速度および生成物の流速等の多数のパラメーターに依存する。
【0076】
粒子は、薬剤物質を大幅に劣化させない温度で粒径を減少させる必要がある。所望ならば、工程の装置は、従来の冷却装置で冷却できる。この方法は、室温の条件下で、粉砕工程のための安全で効率的な工程圧力で、簡便に実施される。例えば、環境工程圧力は、ボールミル、摩砕ミルおよび振動ミルで典型的である。1.4kg/cm2(20psi)の工程圧力は媒体ミルで典型的である。
【0077】
米国特許第5510118号に記載されている均一化による粒径減少は、MICROFLUIDIZER(登録商標)を使用して、450nmを下回る粒子にする工程として代替的に使用できる。
【0078】
粒径減少のために、ベンズイミダゾールカルバメートを、高濃度の予備混合物を形成するために、ベンズイミダゾールカルバメートが本質的に不溶である液体分散媒に添加可能である。好ましくは、粒径減少のために使用される分散媒は水性である。
【0079】
予備混合物中のベンズイミダゾールカルバメートの濃度は、約0.05から約0.6g/ml(すなわち、5から60%(w/v))まで変化することができる。幾つかの実施形態では、予備混合物中のベンズイミダゾールカルバメートの濃度は、約0.15から約0.50g/ml、または約0.2から約0.4g/mlである。
【0080】
予備混合物は、機械的手段に掛けて直接使用することにより、ベンズイミダゾールカルバメート平均粒径を約450nm未満に減少させることができる。予備混合物は、ボールミルを摩砕用に使用する場合に、直接使用されることが好ましい。
【0081】
代替として、ベンズイミダゾールカルバメートおよび界面活性剤を、肉眼で見て大きな凝集物が無くなるような均一な分散液が観測されるまで、適切な攪拌、例えばカウルス(Cowles)型ミキサーを使用して、液体媒体中に分散して、さらに希釈することができる。予備混合物は、再循環媒体ミルが摩砕に使用される場合に、このような予備粉砕分散ステップを受けることが好ましい。
【0082】
本発明によるベンズイミダゾールカルバメート組成物の1つの実施形態は、以下の3つの製造ステップ:予混合懸濁液(例えば、0.4g/ml FBZ)の調製、この予備混合物の湿式粉砕による、450nm未満の粒径に粒径減少、およびこの予混合懸濁液の薬学的に許容できる水生担体による希釈を用いて、直接飲料水に添加される医薬組成物である、最終生成物(0.2g/ml FBZ)を得ることにより、調製される。最終生成物を得るために、消泡剤を、予備混合物、または代替的に水性担体に添加できる。
【0083】
予備混合化合物は、薬学的に許容できる担体により、約5から約50重量%の最終生成物中のベンズイミダゾールカルバメート濃度に希釈される。幾つかの実施形態では、濃度は約10重量%から約30重量%、約15%から約25%、または約20重量%である。
【0084】
本発明は、飲料水投与用の医薬組成物を製造する方法を提供する。ここで、この組成物は、約450nm未満の有効平均粒径有するベンズイミダゾールカルバメート粒子、トゥイーン型界面活性剤および薬学的に許容できる担体を含み、
a.ベンズイミダゾールカルバメート粒子を、トゥイーン型界面活性剤を含む液体分散媒に分散するステップと、および
b.ベンズイミダゾールカルバメートの粒径を、450nm未満の有効平均粒径に、機械的に減少させるステップと
により、調製される。
【0085】
1つの実施形態では、機械的粒径減少は媒体ミル法によって実施される。
【0086】
1つの実施形態では、上記のステップa)およびb)によって得られる医薬組成物は、さらに薬学的に許容できる担体で希釈され、直接飲料水に添加される最終生成物を形成する。
【0087】
この方法は、
a)ベンズイミダゾールカルバメート粒子を、薬学的に許容できる担体とトゥイーン型界面活性剤を含む混合物中に分散するステップと、
b)ベンズイミダゾールカルバメートの粒径を、450nm未満の有効平均粒径に機械的に減少させ、高濃度の生成混合物を形成するステップと、
c)薬学的に許容される媒体を高濃度の生成物に添加して希釈した生成物を形成するステップと、および
d)最終生成物を飲料水に添加するステップと
を含む。
【実施例】
【0088】
以下の実施例は、例示しているに過ぎず、この開示の残りを決して制限するものではない。
【実施例1】
【0089】
本発明によるフェンベンダゾール組成物の製造
以下の3つの製造ステップを使用して、0.2g/mlフェンベンダゾール(FBZ)飲料水懸濁液を調製した。a)予混合懸濁液(0.4g/ml FBZ)の調製、b)この予備混合懸濁液の湿式粉砕、およびc)この予混合懸濁液の希釈による、最終生成物(0.2g/ml FBZ)の取得。
【0090】
【表1】
【0091】
A.予混合懸濁液の製造
必要量のシメチコン乳化液およびポリソルベート80を、一部の水中に電磁攪拌機を用いて混合した。均一な混合物を得るために、混合物をわずかに加熱した(60℃未満)。次いで、必要量のフェンベンダゾールおよび失われた容量の水を、強攪拌下(Ultra−Turrax)で添加して、白色の均一な予混合懸濁液を得た。フェンベンダゾールの添加中、生成物温度を60℃未満に維持するために、生成物が入っているビーカーを冷却浴に入れた状態にしておいた。
【0092】
【表2】
【0093】
B.湿式粉砕
初めに、DYNO(登録商標)MILL KDL Aの0.6L容器を、450mLの0.25から0.3mmガラスビーズ(供給社 VWR)、次いで、270mLのステップAで製造した予混合懸濁液で満たした。予混合懸濁液を、ポリウレタンディスクを用いて、ローター速度4200rpmで、45分間湿式粉砕した。
【0094】
湿式粉砕の間、冷却用二重ジャケットを用いる熱移動により、生成物温度を50℃以下に維持した。
【0095】
フェンベンダゾール懸濁液の粒径を、Hydro 2000G測定セルを用いたMalvern Mastersizer 2000を用いて、以下のように粉砕の前後で決定した。攪拌下(攪拌速度500rpm、ポンプ速度1000rpm)で、分散ユニット中に含まれる分散媒(水)のバックグラウンドを測定した。次いで、FBZ分散液のサンプルを、光遮蔽度(obscuration)が10から16%になるまで、添加した。分散液を、粒径分布の測定前に100%超音波で2分間攪拌した。
【0096】
C.0.2g/mlFBZ懸濁液を得るための希釈
湿式粉砕された予混合懸濁液の体積を測定し、4%のベンジルアルコールを含有する必要量の水を添加し、予混合懸濁液を希釈して、0.2g/mlフェンベンダゾール(FBZ)飲料水分散液を得た。得られた0.2g/mlフェンベンダゾール(FBZ)飲料水分散液は、飲料水系中で、薬用水を調製するために使用された。
【実施例2】
【0097】
本発明によるフルベンダゾール組成物の製造
以下の3つの製造ステップを使用して、フルベンダゾール(FluBZ)飲料水懸濁液を調製した。a)予混合懸濁液(0.4g/ml FluBZ)の調製、b)この予備混合懸濁液の湿式粉砕、およびc)この粉砕予混合懸濁液の希釈による、最終生成物(0.2g/ml FluBZ)の取得。
【0098】
【表3】
【0099】
A.予混合懸濁液の製造
必要量のシメチコン乳化液およびポリソルベート80を、一部の水中に電磁攪拌機を用いて混合した。均一な混合物を得るために、混合物をわずかに加熱した(60℃未満)。次いで、必要量のフルベンダゾールおよび失われた容量の水を、強攪拌下(Ultra−Turrax)で添加して、白色の均一な予混合懸濁液を得た。フルベンダゾールの添加中、生成物温度を60℃未満に維持するために、生成物が入っているビーカーを冷却浴に入れた状態にしておいた。
【0100】
【表4】
【0101】
B.湿式粉砕
初めに、DYNO(登録商標)MILL KDL Aの0.6L容器を、450mLの0.25から0.3mmガラスビーズ(供給社 VWR)、次いで、270mLのステップAで製造した予混合懸濁液で満たした。予混合懸濁液を、ポリウレタンディスクを用いて、ローター速度4200rpmで、45分間湿式粉砕した。
【0102】
湿式粉砕の間、冷却用二重ジャケットを用いる熱移動により、生成物温度を50℃以下に維持した。
【0103】
フルベンダゾール懸濁液の粒径を、Hydro 2000G測定セルを用いたMalvern Mastersizer 2000を用いて、以下のように粉砕の前後で決定した。攪拌下(攪拌速度500rpm、ポンプ速度1000rpm)に、分散ユニット中に含まれる分散媒(水)のバックグラウンドを測定した。次いで、FBZ分散液のサンプルを、光遮蔽度が10から16%になるまで、添加した。分散液を、粒径分布の測定前に100%超音波で2分間攪拌した。
【0104】
C.FluBZ0.2g/ml懸濁液を得るための希釈
湿式粉砕された予混合懸濁液の体積を測定し、4%のベンジルアルコールを含有する必要量の水を添加し、予混合懸濁液を希釈して、フルベンダゾール(FBZ)0.2g/ml飲料水分散液を得た。得られたフルベンダゾール(FBZ)0.2g/ml飲料水分散液を、飲料水系中で、薬用水を調製するために使用した。
【0105】
【表5】
【0106】
図10は、実施例2により製造された、フルベンダゾール懸濁液の粒径分布を図として表す。
【0107】
図11は、24時間の間の測定セル中央部における、FluBZ懸濁液で作製されたFluBZ60ppmの薬用飲料水の清澄化速度を表す。清澄化速度は、WO01/17504に記載されているように、巨視的光学走査装置TURBISCAN(登録商標)(仏国Formulaction社から供給)により測定された。
【0108】
結果。顕著な物理的不安定性(清澄化は1%よりかなり低く、沈殿は起こらない)は、実施例2によって製造したフルオロベンダゾール懸濁液で調製した薬用水の場合、24時間の間、TURBISCAN(登録商標)によって測定されなかった。
【実施例3】
【0109】
代替湿式粉砕工程−予混合懸濁液の再循環による連続工程
初めに、DYNO(登録商標)MILL KDL Aの0.6L容器を、450mLの0.25から0.3mmガラスビーズ(供給社B.Braun Biotech International)、次いで、270mLの実施例1、2のステップAで製造した予混合懸濁液で満たした。
【0110】
次いで、連続的に予混合懸濁液で粉砕機を充填するために、粉砕容器をポンプに接続した。流速は約1.3L/hに設定する。湿式粉砕の1サイクルは、予混合懸濁液全体(500mL)が粉砕機を通過し、0.1mmの隙間で粉砕媒体から分離され、新しい容器に排出されたときに達成された。6粉砕サイクルを、ポリウレタンディスクを用いて、4200rpmのローター速度で、懸濁性予備混合物に適用した。
【0111】
湿式粉砕工程の間、冷却用二重ジャケットを用いる熱移動により、生成物温度を50℃未満に維持した。
【0112】
フェンベンダゾール懸濁液の粒径を、Hydro 2000G測定セルを用いたMalvern Mastersizer 2000を用いて、以下のように粉砕の前後で決定した。攪拌下(攪拌速度500rpm、ポンプ速度1000rpm)で、分散ユニット中に含まれる分散媒(水)のバックグラウンドを測定した。次いで、FBZ分散液のサンプルを、光遮蔽度が10から16%になるまで、添加した。分散液を、粒径分布の測定前に100%超音波で2分間攪拌した。次いで、実施例1または2のステップCに記載したように、湿式粉砕された予混合懸濁液を希釈した。
【実施例4】
【0113】
代替湿式粉砕工程−予混合懸濁液の再循環による連続工程
初めに、DYNO(登録商標)MILL MULTI LABの0.6L容器を、360mLの0.25から0.3mmのイットリウム安定化酸化ジルコニウムビーズ(供給社、Muhlmeier)で満たし、次いで、実施例1または2のステップAで製造した予混合懸濁液を粉砕機に連続的に供給するために、粉砕容器をポンプに接続した。
【0114】
流速は約37L/hに設定した。これは閉ループであった。予混合懸濁液(2L)は、連続的に供給容器から送り込まれ、粉砕機を通過し、0.1mmの隙間で粉砕媒体から分離され、供給容器に排出された。予混合懸濁液を均一に維持するために、供給容器に攪拌機を装着した。DYNO(登録商標)−Acceleratorsを用いてローター速度10m/sで懸濁性予備混合物に55分間の粉砕を行った。湿式粉砕の間、冷却用二重ジャケットを用いる熱移動により、生成物温度を50℃未満に維持した。
【0115】
フェンベンダゾール懸濁液の粒径を、Hydro 2000G測定セルを用いたMalvern Mastersizer 2000を用いて、以下のように粉砕の前後で決定した。攪拌下(攪拌速度500rpm、ポンプ速度1000rpm)で、分散ユニット中に含まれる分散媒(水)のバックグラウンドを測定した。次いで、FBZ分散液のサンプルを、光遮蔽度が10から16%になるまで、添加した。分散液を、粒径分布の測定前に100%超音波で2分間攪拌した。次いで、実施例1または2のステップCに記載したように、湿式粉砕された予混合懸濁液を希釈した。
【実施例5】
【0116】
本発明による組成物とWO95/13065により製造された組成物の相対的粒径
WO95/13065による組成物を、実施例1のステップAに記載されたようにして調製した。粒径を、粉砕なしで(WO95/13065による組成物)、およびMalvern Master sizer GMAL 01による湿式粉砕の後(実施例1のステップA−Bにより調製された本発明による組成物)、Frauenhofer法により、Hydro 2000G測定セルを用いて測定した。湿式粉砕により、フェンベンダゾール粒子の粒径を、200nm未満の有効粒径に減少させた。
【0117】
【表6】
【0118】
図1は、湿式粉砕なしおよび湿式粉砕後の粒径分布を図として表す。
【0119】
図2は、24時間の間の測定セル中央部における、FBZ懸濁液で作製された60ppmFBZ薬用飲料水の清澄化速度を表す。清澄化速度は、WO01/17504に記載されているように、巨視的光学走査装置TURBISCAN(登録商標)(仏国Formulaction社から供給)により測定された。
【0120】
TURBISCAN(登録商標)装置は、多重光散乱に基づいて、分散系のいずれもの変化(例えば、清澄化、沈殿作用等)を検出する。TURBISCAN(登録商標)装置は、全てのサンプル高さでスキャンしながら平底面の円筒セルに沿って動く読み取りヘッドを含む、垂直走査巨視的分析装置である。読み取りヘッド自体は、パルス近赤外光源および2台の同期検出器からなる。透過度検出器は、生成物を透過する光を取得し、後方散乱検出器は、生成物により後方散乱された光を受光する。読み取りヘッドは、最高高さ80mmで40μm毎に、透過および後方散乱データを取得する。得られたフロファイルは、生成物の均一性、粒子濃度および平均直径を特徴付ける。結果は、サンプル高さ(mm単位)の関数として、後方散乱光または透過光の百分率で表す。次いで、同一であるかどうか、生成物の安定性または不安定性を特徴付ける生成物指紋の重ね合わせを得るために、生成物に沿った取得を、プログラム可能な回数で繰り返す。
【0121】
結果。物理的不安定性の兆候は、実施例1によって製造したフェンベンダゾール懸濁液を用いて調製した薬用水の場合、24時間の間、TURBISCAN(登録商標)によって測定されなかった(清澄化せず、沈殿せず)。
【実施例6】
【0122】
本発明による組成物とWO95/13065により製造される組成物の相対的物理安定性
「多めに湿式粉砕したFBZ懸濁液」と称される本発明による組成物を、実施例1に記載したように製造した。フェンベンダゾール懸濁液を、WO95/13065に記載されたように製造した(「FBZ粗懸濁液」と称する)。「わずかに湿式粉砕したFBZ懸濁液」と称される組成物は、実施例1に記載したものと同じ製造ステップにより、ただしより温和な湿式粉砕条件で調製した。予混合懸濁液1Lを、0.5mmガラスビーズ490mlを用いて、ポリウレタンディスクを用いて、ローター速度3200rpmで、3粉砕サイクルのみで、粉砕した。これらの湿式粉砕により、「多めに湿式粉砕したFBZ懸濁液」とFBZ粗懸濁液との中間の粒径分布を得ることができた。
【0123】
【表7】
【0124】
図3に、これらの粒径分布を図示する。
【0125】
調合液は水で希釈され、例えば、家禽治療用の薬用水のような、濃度60ppmのフェンベンダゾールを得た。得られた薬用水の物理的安定性は、実施例5に記載したように、巨視的光学走査装置TURB1SCAN(登録商標)を活用して試験した。
【0126】
TURB1SCAN(登録商標)による評価結果を図4に示す。図4は、24時間の間測定セル中央部で検出した、それぞれ3種の調合液の清澄化速度を示す。
【0127】
結果。物理的不安定性の兆候は、実施例1によって製造したフェンベンダゾール懸濁液を用いて調製した薬用水の場合、24時間の分析の間、TURBISCAN(登録商標)によって測定されなかった。一方、WO95/13065によって製造したフェンベンダゾール粗懸濁液から調製した薬用水では、顕著な清澄化が発生した。この清澄化は、試験の開始から約6.5時間後に検出可能な沈殿層の生成に対応する。わずかに湿式粉砕した懸濁液は、中間的な安定性プロファイルを示した。この清澄性レベルは、静置して14時間後になって、初めて沈殿層が検知されたことと一致した。
【実施例7】
【0128】
本発明による組成物と市販の懸濁性乳化液製品(SOLUBENOL(登録商標)、Janssen−Cilag社、ビールス(Beerse)、ベルギー)の相対的な物理的安定性
市販の懸濁性乳化液製品SOLUBENOL(登録商標)を水で希釈して、例えば、家禽治療用の薬用水のように、85.6ppm濃度のフルベンダゾールを得た。この粒径分布を、実施例1に参照として記載された本発明の組成物(FBZ懸濁液)と共に、下表にまとめ、図5に図示する。
【0129】
【表8】
【0130】
SOLUBENOL(登録商標)を用いて調製した薬用水の物理的安定性を、実施例2と同じ分析説明書に従って、TURBISCAN(登録商標)を活用して試験した。TURBISCAN(登録商標)評価の結果を図6に示す。図6は、24時間の間測定セル中央部で検出した、SOLUBENOL(登録商標)調合液で調製した薬用水の清澄化速度を示す。
【0131】
結果。顕著な清澄化が、SOLUBENOL(登録商標)薬用水で発生した。一方、実施例1によって製造したフェンベンダゾール懸濁液を用いて調製した薬用水の場合、物理的不安定性の兆候は、24時間の分析の間、TURBISCAN(登録商標)によって測定されなかった。
【実施例8】
【0132】
各種界面活性剤を用いたフェンベンダゾール懸濁液の製造
下記の成分を用いて、実施例1に記載したようにFBZ懸濁液を製造した。
【0133】
【表9】
【0134】
薬用水の物理的安定性評価
懸濁剤を有するFBZ懸濁液を、分析の直前に水で60ppmに希釈し、様々な薬用水の物理安定性(透過および後方散乱光)を、24時間に亘り室温で、Turbiscanを用いて測定した。ポロキサマー188(Poloxamer 188)を含む予混合懸濁液を、実施例1に記載した工程との比較で、以下の偏差で製造した。ポロキサマー188は、溶融してからシメチコン乳化液と混合し、次いで、フェンベンダゾールの添加により、混合物は攪拌している間に非常に粘稠になったので、粉砕機を通過させることは不可能であった。
【0135】
粒径分布
各種懸濁液の粒径分布を、湿式粉砕の前後で測定し、下表に記した。
【0136】
【表10】
【0137】
全てのポリソルベート組成物は、湿式粉砕後に細かく狭い粒径分布を示した。
【0138】
薬用水の物理安定性評価
懸濁剤を有するFBZ懸濁液を、分析の直前に水で60ppmに希釈し、実施例3と同じ分析説明書に従って、様々な薬用水の物理安定性(透過および後方散乱光)を、24時間に亘り室温で、TURBISCAN(登録商標)を用いて測定した。TURBISCAN(登録商標)評価の結果を図7に示す。図7は、24時間の間測定セル中央部で検出した、各種懸濁剤を含有するFBZ0.2g/ml懸濁液で調製した薬用水の清澄化速度を示す。
【0139】
結果。ポロキサマー188を含有するFBZ懸濁液の希釈により生じた薬用水は物理的に不安定である。これは、0.77μm/minで成長する沈殿層の検出により確認された。一方、沈殿層は、各種ポリソルベートを含有する他の薬用水では検出できなかった。
【0140】
ポリソルベートを試験した薬用水は、24時間で10%未満の許容できる透過率変化を示す。
【実施例9】
【0141】
種々の濃度のポリソルベート80を用いて製造したフェンベンダゾール懸濁液
FBZ懸濁液を、以下の成分を用いて実施例1に記載したように製造した。
【0142】
【表11】
【0143】
粒径分布
各種のFBZ懸濁液の粒径分布を、湿式粉砕の前後で測定し、下表に記した。
【0144】
【表12】
【0145】
全てのFBZ懸濁液は、湿式粉砕後に細かく狭い粒径分布を示した。
【0146】
薬用水の物理的安定性評価
懸濁剤を有するFBZ懸濁液を、分析の直前に水で60ppmに希釈し、様々な薬用水の物理安定性(透過および後方散乱光)を、24時間に亘り室温で、Turbiscanを用いて測定した。薬用水の物理的安定性を、実施例5と同じ分析説明書に従って、TURBISCAN(登録商標)を活用して試験した。
【0147】
TURBISCAN(登録商標)評価の結果を図8に示す。図8は、24時間の間測定セル中央部で検出した、種々の濃度のポリソルベート80を含有するFBZ0.2g/ml懸濁液で調製した薬用水の清澄化速度を示す。
【0148】
結果。種々の濃度のポリソルベート80を含有する薬用水の沈殿層は検出できなかった。この良好な物理的安定性は、透過率変化のグラフで確認された。最大の変化は、許容可能な、24時間後で1%に相当する。
【実施例10】
【0149】
フェンベンダゾール20%および40%懸濁液の湿式粉砕
「FBZ0.2g/ml懸濁液」と称される本発明による組成物を、実施例3に記載したように製造した。
【0150】
フェンベンダゾール懸濁液を、WO95/13065に記載されたように製造し(「FBZ粗懸濁液」と称する)、以下のように湿式粉砕した。
【0151】
初めに、DYNO(登録商標)MILL MULTI LABの0.6L容器を、360mLの0.3mmイットリウム安定化酸化ジルコニウムビーズ(供給社、Muhlmeier)で満たし、次いで、連続的に、FBZ粗懸濁液を粉砕機に供給するために、粉砕容器をポンプに接続した。流速は約112L/hに設定した。これは閉ループであった。予混合懸濁液(2L)は、連続的に供給容器から送り込まれ、粉砕機を通過し、0.1mmの隙間で粉砕媒体から分離され、供給容器に排出された。供給容器には、予混合懸濁液を均一に維持するために、攪拌機を装着した。DYNO(登録商標)−Acceleratorsを用いてローター速度10m/sで懸濁性予備混合物に55分間の粉砕を行った。
【0152】
湿式粉砕の間、冷却用二重ジャケットを用いる熱移動により、生成物温度を50℃未満に維持した。
【0153】
フェンベンダゾール懸濁液の粒径分布は、実施例3に記載したように測定した。
【0154】
【表13】
【0155】
結果。20%w/vのFBZを含有する粉砕した「FBZ粗懸濁液」最終生成物、または40%FBZを含有する粉砕した予混合懸濁液を希釈して得た「FBZ0.2g/ml懸濁液」最終生成物は等価な粒径分布であった。
【実施例11】
【0156】
フェンベンダゾール懸濁液のパイプ試験
「FBZ0.2g/ml懸濁液」と称される、本発明による組成物を実施例2に記載されたように製造した(粉砕ステップはMuhlmeierからの0.3mmイットリウム安定化酸化ジルコニウムビーズ420mLを用いて実施した。流速1L/hで2サイクル実施した)。
【0157】
【表14】
【0158】
フェンベンダゾール懸濁液を、WO95/13065に記載されたように製造した(「FBZ粗懸濁液」と称する)。フェンベンダゾール懸濁液の粒径分布は、実施例3に記載したように測定した。
【0159】
両方の組成物で作製した薬用水の安定性と均一性は、実地条件で薬用水配送をシミュレートすることにより、3時間間隔で試験した。これらの試験は、地元の上水からの飲料水を用いて実施した。
【0160】
例えば、家禽治療用の薬用水のように、濃度60ppmのフェンベンダゾールを得るために、薬用水を必要量の組成物および飲料水で投薬タンク中で調製した。タンクを、タンクの底出口を通じて、25mの透明なパイプに接続した。流速を約3.5L/hに設定した。薬用水は、配送期間の間、投薬タンク内(水面で)および25mパイプの終端で定期的にサンプリングした。
【0161】
サンプルを、フェンベンダゾール濃度に関して分析した。薬用水は、配送期間の間には攪拌しなかった。さらに、投薬タンクおよびパイプを、沈殿が形成されているかどうか、目視で点検した。結果を図9に示した。図9は、投薬タンクおよびパイプ端からサンプリングされた、両薬用水のFBZ濃度の変動を示す。
【0162】
結果。両方の試験において、投薬タンクおよびパイプにおいて沈殿は検出されなかった。しかし、FBZ粗懸濁液薬用水を含む投薬タンクでは、試験の終わりに、薬用水はタンクの底部の方が濃度が高いように見えた。FBZ0.2g/ml懸濁液で調製した均一な安定した薬用水とは反対に、FBZ粗懸濁液で調製した薬用水の配送期間に沿ってFBZ濃度の著しい低下を示した分析結果により、この不安定性は確認された。
【実施例12】
【0163】
ブタおよび家禽での実地試験
「FBZ0.2g/ml懸濁液」と称される、本発明による組成物を、実施例1に記載したように製造した。2箇所の実地試験を実施して、実地条件で使用される場合の、薬用水中のFBZ0.2g/ml懸濁液の均一性と安定性を評価した。
【0164】
一方の試験を、投薬タンク、約60mの閉ループ水系(PVCとステンレス鋼パイプ製)を用いて、成長中のブタで実施した。他方の試験を、電子式投薬ポンプ(KONTI−DOS、Buerkert社製)と220m長さの行き止まり水供給系(亜鉛メッキ鋼およびプラスチックパイプ製)を使用して、成長中の七面鳥で実施した。
【0165】
一般的な試験手順は各試験とも同じであった。薬用水を、7.2−8.2の間の範囲のpH値および7.3と13.7°dHの間の範囲の全硬度を有する、飼育場で入手可能な飲料水を用いて調製した。水中のFBZの濃度を、5mgFBZ/kg体重の単一投薬、動物の体重および3時間(投薬タンク)および8時間(投薬ポンプ)の推定水消費に基づいて、百万分の1(ppm)単位で調製した。
【0166】
薬用水のサンプルを、投与の間、タンクの底部と上部、水供給系に沿った所定の吸い口および給水器から、各30から60分で採取した。タンクの内容物は、全投与期間を通じて攪拌しなかった。
【0167】
タンクと吸い口または給水器では、活性剤または任意種の賦形剤により形成された全ての種類の沈殿を検査した。
【0168】
追加の水サンプルを、投与を約24時間中断した後に取り出し、FBZ含有物の潜在的な残留物を評価した。全ての水サンプルで、認証されたHPLC法を用いて、FBZ含有量をこの後に分析した。
【0169】
結果。全ての分析結果(実際のFBZ濃度)は、名目(計算された)濃度と一致した。一貫したFBZ濃度は、タンク内および送水パイプに沿って、2時間または8時間を超えた投薬で達成された。タンクの底部および上部で採取されたサンプル中のFBZ濃度に違いは無かった。
【0170】
タンク内では、沈殿または粒子の浮遊物は観測されなかった。吸い口での沈殿または閉塞は発生しなかった。投与を24時間中断した後に採取した水サンプルは、どのような測定可能なFBZ残留物も示さず(約0.4ppmの検出限界未満)、新しいFBZ懸濁液は、飲料水系内でどのような残留物も形成しないことを示した。これらの実地試験からの結果を、下表にまとめる。
【0171】
【表15】
【0172】
これらの実地試験からの結論は、FBZ0.2g/ml懸濁液は、選択されたブタおよび家禽飼育場の各水供給系内の薬用水中で均一に分布することであり、規定された投与期間の間に一貫したFBZ濃度を生成したように、投与の間の正確な投薬が確保されたことである。
【0173】
この特許(特許請求の範囲を含む)の「含む」は、排他的ではなく、包括的であると解釈される。この解釈は、これらの用語が米国特許法に基づいて与えられた解釈と同じことを目的とする。本特許で引用した全ての参考文献は、参照により本特許に組み込まれる。好ましい実施形態の上記の詳細な記述は、特定の用途の要件に最も良く適応するように、他の当業者が、本発明を無数の形態で適合し、適用できるように、他の当業者に本発明、この原理およびこの実用用途を知らせることのみを目的とする。本発明は、それゆえ、上記の実施形態に限定されず、種々改良できる。
【技術分野】
【0001】
本発明は、全般的にベンズイミダゾールカルバメートを含む、飲水投与の医薬組成物、前記組成物を製造する方法、動物の寄生生物を防除するための薬剤を製造するための前記組成物の使用、および寄生生物感染症から動物を保護するための前記組成物の使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ベンズイミダゾールは、元来は植物用防カビ剤として、後に家畜およびヒトの駆虫薬(例えば、虫下し)として開発された。駆虫活性を有するベンズイミダゾール類には、チアゾリルベンズイミダゾールおよびベンズイミダゾールカルバメートが含まれる。ベンズイミダゾールは、特に寄生虫型寄生生物(例えば、回虫またはサナダムシ)に対して広範囲の活性を示す。
【0003】
寄生虫に対する活性を有するよく知られたベンズイミダゾールは、例えば、チアベンダゾール、カムベンダゾール、およびパルベンダゾール、メベンダゾール、フルベンダゾール、フェンベンダゾール、オクスフェンダゾール、オキシベンダゾール、アルベンダゾール、リコベンダゾール、ルクサベンダゾール等のベンズイミダゾールカルバメートであり、以上の全てはベンズイミダゾール母核上の置換基が異なる。
【0004】
代謝的に駆虫薬用ベンズイミダゾールに変換されるフェニルグアニジンプロドラッグも開発されている。例えば、フェバンテルは、フェンベンダゾールに変換されるプロドラッグであり、ネトビミンはアルベンダゾールを生成する。
【0005】
ベンズイミダゾールカルバメートは、一般的に水への溶解性が低い。前記組成物の数種の有効な用途では、ベンズイミダゾールの水への低溶解性は、重大な障害となる。
【0006】
フェンベンダゾール(FBZ)は、家禽、ブタおよびウシ等を含む多数の種で、家畜用駆虫剤として使用されている。フェンベンダゾールは、家禽およびブタにおいて、アスカリディア属種(Ascaridia sp.)、ヘテラキス属種(Heterakis sp.)およびカピラリア属種(Capillaria sp.)等の線虫の防除に使用されている。
【0007】
ベンズイミダゾールカルバメートのような水への溶解性が低い薬剤を、集中飼育されているブタや家禽に大量投与することは、これまで、飼料上層への添加または飼料への混合のような経口投与に限られていた。しかしながら、このような薬用飼料は、飼育場または飼料工場で別に調製する必要があり、非薬用飼料との交差汚染の危険性が常に存在する。一方、飼料上層への添加は付加的な労力を必要とする。
【0008】
このため、飲料水系経由の投薬が、多数の動物に同時に投与する容易さのため、集中飼育されている動物の駆虫のために日常的に使用されるものとして好ましい。
【0009】
多数のブタや家禽の飼育場は、飲料水系経由で薬剤を投与するのに必要な装置をすでに備えている。飼育場のこのような飲料水系は、タンク、パイプ、コイル、畜舎用給水器および吸い口等の複雑な系である。平均的な畜舎は、多数のコイルを有する数百メートルのパイプおよび数百の個別のカップおよび/または吸い口を保有していよう。ブタや家禽の畜舎の飲料水系の水は、パイプやコイルを通じて層流の原理に従い、流速に影響することになる、いわゆる「剪断」力を受ける。このような複雑な配管系において水に不溶な化合物の場合には、薬剤が分離または沈殿するかなりの危険性が確実に存在する。
【0010】
飲料水系経由の投薬の効果は、一般的に組成物の品質および薬剤の味の良さに大きく依存する。このような組成物は、有効成分の最大限の可用性、飲料水系、投薬ポンプ、吸い口、カップ等における活性化合物の分離および沈殿の最小化、飲料水中の活性化合物の非常に正確な投薬および均一な分布、ならびに活性化合物の保証された安定性をもたらすべきである。
【0011】
現在までのところ、ベンズイミダゾールカルバメートのような、水への溶解性が低い動物薬の場合、家畜へのこの経路の投薬に関して、これらの要件に適合する便利な解決法は得られていない。
【0012】
国際特許出願WO95/13065では、トゥイーン(Tween)型界面活性剤および保存剤を含むフェンベンダゾール水性懸濁液組成物を検討している。この水性懸濁液では、水性懸濁液をある期間保存しておいても、フェンベンダゾールは懸濁したままであり、凝集や粒径の変化は起こらない。粒径は約1ミクロン程度である。しかしながら、このフェンベンダゾールの水性懸濁液は、上記のようなブタや家禽の大型畜舎で使用する際、給水系を経由した投与には適していない。この懸濁液は、フェンベンダゾールを60ppmの飲料水濃度に希釈した場合、一定期間の後、沈殿を示す。これらの沈殿により、給水系中のフェンベンダゾールは均一な分布にはならず、例えば、飲料用吸い口のような給水システム機器で目詰まりが起こる危険性が生じる。
【0013】
国際特許出願WO01/17504では、飲料水投与用の懸濁性乳化液組成物を検討している。しかし、これらの組成物は、飲料水系で投与するための均一分布に関する要件を満足しない。
【0014】
国際特許出願WO00/50009では、飲料水投与のため、水に不安定または水に不溶な化合物をリポソームに封入することを検討している。
【0015】
国際特許出願WO95/16447では、経口投与用として、98%を超える粒子が20ミクロン未満の平均粒子径を有する、ラフォキサニドおよびフェンベンダゾールの微粉化粒子を含む駆虫剤組成物を検討しているが、飲料水系内では検討していない。
【0016】
英国特許出願GB−2307871では、粒径減少技術を全く採用せずに、オクスフェンダゾール水性懸濁液を製剤するための工業規模のプロセスを検討している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0017】
【特許文献1】国際特許出願WO95/13065
【特許文献2】国際特許出願WO01/17504
【特許文献3】国際特許出願WO00/50009
【特許文献4】国際特許出願WO95/16447
【特許文献5】英国特許出願GB−2307871
【特許文献6】米国特許第3480642号
【特許文献7】米国特許第3657267号
【特許文献8】米国特許第3929821号
【特許文献9】米国特許第3574845号
【特許文献10】米国特許第3915986号
【特許文献11】米国特許第4639463号
【特許文献12】米国特許第3954791号
【特許文献13】米国特許第5510118号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
発明の要旨
本発明は、一般的に、飲料水系経由で都合良く投与することができる、ベンズイミダゾールカルバメートの安定で有効な水性組成物に関する。
【課題を解決するための手段】
【0019】
このため、本発明は、一部として、ベンズイミダゾールカルバメートの飲料水投与用の医薬組成物を提供する。この組成物は、約450nm未満有効平均粒径を有するベンズイミダゾールカルバメート粒子およびトゥイーン型界面活性剤を含んだ水性懸濁液を含むことを特徴とする。
【0020】
本発明は、一部として、動物用飲料水を経由して薬剤を投与することによる動物内の寄生生物を防除する薬剤を製造するための上記の組成物の使用も提供する。
【0021】
本発明は、一部として、飲料水投与用の医薬組成物を調製する方法も提供する。前記方法は
i.ベンズイミダゾールカルバメート粒子を、トゥイーン型界面活性剤を含む薬学的に許容できる担体中に分散するステップとおよび
ii.ベンズイミダゾールカルバメート粒子の粒径を、約450nm未満の有効平均粒径になるまで機械的に減少させるステップとを
含む。
【0022】
本発明は、一部として、動物を寄生生物感染症から保護する方法も提供する。この方法は、上記の組成物を、動物に、動物用飲料水経由で投与するステップを含む。この保護は、寄生生物感染症および/またはその症状の1種または複数を防止し、危険性を低減し、開始を遅延させ、拡散を低減し、これを改善し、制御しおよび/または根絶することを含む。
【0023】
出願人の発明のさらなる利点は、本明細書を読むことで、当業者にとっては明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】湿式粉砕なし(粗懸濁液)のおよび湿式粉砕後のフェンベンダゾール(FBZ)懸濁液の粒径分布を表す図である。
【図2】24時間の間、TURBISCAN(登録商標)により、測定セル中央部で測定した、湿式粉砕後のFBZ懸濁液で作製したFBZ60ppmの薬用飲料水の清澄化速度を表す図である。
【図3】(湿式粉砕していない)FBZ粗懸濁液ならびに(湿式粉砕がわずかおよび多めの)FBZ懸濁液の粒径分布を表す図である。
【図4】24時間の間、TURBISCAN(登録商標)により、測定セル中央部で測定した、(湿式粉砕していない)FBZ粗懸濁液ならびに(湿式粉砕がわずかおよび多めの)FBZ懸濁液で作製したFBZ60ppmの薬用飲料水の清澄化速度を表す図である。
【図5】SOLUBENOL(登録商標)およびFBZ懸濁液の粒径分布を表す図である。
【図6】24時間の間、TURBISCAN(登録商標)により、測定セル中央部で測定した、SOLUBENOL(登録商標)で作製したフルベンダゾール85.6ppmの薬用水およびFBZ懸濁液で作製したFBZ60ppmの薬用水の清澄化速度を表す図である。
【図7】24時間の間、TURBISCAN(登録商標)により、測定セル中央部で測定した、種々の界面活性剤を含有するFBZ懸濁液の希釈液に由来するFBZ60ppmの薬用水の物理的安定性を表す図である。
【図8】24時間の間、TURBISCAN(登録商標)により、測定セル中央部で測定した、種々の濃度のポリソルベート80(Polysorbate 80)を含有するFBZ懸濁液の希釈液に由来するFBZ60ppmの薬用水の物理的安定性を表す図である。
【図9】FBZ粗懸濁液、およびFBZ0.2g/ml懸濁液で調製した薬用水中の、3時間配送の間のFBZ濃度を表す図である。サンプルは投薬タンクからおよび25mパイプの終端で採取した。
【図10】実施例2に従って製造したフルベンダゾール懸濁液の粒径分布を表す図である。
【図11】24時間の間、TURBISCAN(登録商標)により、測定セル中央部で測定した、FluBZ0.2g/ml懸濁液で作製したFluBZ60ppmの薬用水の清澄化速度を表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
好ましい実施形態のこの詳細な説明は、他の当業者に、本出願人の発明、この原理、およびこの実際の応用を伝えることのみを意図している。これにより、他の当業者は、特定の用途の要件に最も適し得る場合の多数の形態に、本発明を適応させ、適用することができる。この詳細な説明および特定の実施例は、本発明の好ましい実施形態を示すと同時に、説明のみを目的とするように意図している。このため、本発明は、本明細書で説明される好ましい実施形態に限定されず、種々の変更が可能である。
【0026】
450nm未満の有効平均粒径を有するベンズイミダゾールカルバメート粒子およびトゥイーン型界面活性剤を含む水系懸濁液を含む、本発明による組成物は、ベンズイミダゾールカルバメート化合物が飲料水系経由で動物に効率的に投与できるように、系内で十分に安定しており、均一に分布できることが、本発明者たちにより示されている。
【0027】
この新規組成物を通じて、中央水タンクまたは別の貯蔵タンク内の水を用いて組成物を混合および希釈することにより好ましい飲料水系を経由して、ベンズイミダゾールカルバメートを目的の動物に供給できる。
【0028】
代替方法として、用量分注器または用量ポンプ系または比例投薬系を使用して、組成物を飲料水配送用の高圧または低圧リング系に連続的に注入する。
【0029】
用量ポンプ系は、測定量の濃縮液を、1から5%の典型的な希釈で、送水パイプに供給するポンプに依存する。用量ポンプ系内で、Buerkert社製のKONTI−DOS等の電子用量ポンプ系、またはDOSATRON(登録商標)水力用量ポンプ、水駆動の比例投薬機であるDOSMATIC(登録商標)等の機械用量ポンプが使用できる。様々なパイプ材料(例えば、PVC、亜鉛メッキ鋼鈑)の様々な長さの終端系または閉ループ系、およびベル型給水器や吸い口等の、目的の動物に適した給水器のような、種々の現場設備も、水供給系それ自体に関連する。
【0030】
1つの実施形態では、ベンズイミダゾールカルバメートの有効平均粒径は約450nm未満または400nm未満であり、別の実施形態では、約350nmまたは300nm未満である。別の実施形態では、ベンズイミダゾールカルバメートの有効平均粒径は約250nm未満であり、別の実施形態では200nm未満である。
【0031】
1つの実施形態では、ベンズイミダゾールカルバメートの有効平均粒径は約50nmと450nmの間であり、別の実施形態では、100nmと400nmの間であり、別の実施形態では、150と350nmの間であり、または180nmから300nmの間である。別の実施形態では、ベンズイミダゾールカルバメートの有効平均粒径は約190nmと220nmの間であり、別の実施形態では約200nmである。
【0032】
代替的に、ベンズイミダゾールカルバメートは、動物に対して非経口的な投与のために、注射可能な生成物として製剤することができる。
【0033】
本明細書で使用する場合、粒径は、レーザー散乱、沈降場流動分画、光子相関スペクトル、またはディスク遠心分離法等の当業者に周知の従来の粒径測定技術によって測定された数平均粒径を表す。
【0034】
粒径測定は、Hydro 2000G測定セルを用いるMalvern Mastersizer 2000、またはHoriba LA−910レーザー散乱粒径分布分析装置で実施できる。
【0035】
「約450nm未満の有効平均粒径」に関しては、上記の技術で測定した場合、少なくとも90%の粒子が450nm未満の重量平均粒径(D(0,90)を有することを意味する。
【0036】
トゥイーン型界面活性剤(ポリソルベート、ソルビタンエステル、ポリ(オキシ−1,2エタンジイル)誘導体、トゥイーン)は、ポリオキシエチレン鎖がソルビトールおよびソルビトールから誘導されるヘキシトロール無水物(ヘキシタンおよびヘキシド)の水酸基に付加され、次いで、ラウリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸およびオレイン酸等の通常の脂肪酸で部分的にエステル化された、六価アルコール、アルキレンオキシドおよび脂肪酸から誘導される、複合エステルおよびエステル−エーテルを含む水溶性の非イオン性界面活性剤である。
【0037】
1つの実施形態では、トゥイーン型界面活性剤は、1種または複数の、トゥイーン20、トゥイーン40、トゥイーン60、またはトゥイーン80から選択される。これらは、製薬業界では、ポリソルベート20、ポリソルベート40、ポリソルベート60およびポリソルベート80としても知られる。ポリソルベート20(ポリオキシエチレン化ソルビタンモノラウレート)はラウリン酸エステル、ポリソルベート60(ポリオキシエチレン化ソルビタンモノステアレート)はステアリン酸エステルおよびパルミチン酸エステルの混合物、ポリソルベート80(ポリオキシエチレン化ソルビタンモノオレエート)はオレイン酸エステルである。
【0038】
このようなトゥイーン型界面活性剤は、市販されておりおよび/または既知の技術で調製可能である。
【0039】
1つの実施形態では、トゥイーン型界面活性剤は、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノオレエートの化学名を有するポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート(ポリソルベート80、トゥイーン80)であり、例えば、ICI Specialty Chemicals社から入手可能である。
【0040】
トゥイーン型界面活性剤は、約0.1から約50重量%で組成物中に存在している。幾つかの実施形態では、トゥイーン型界面活性剤の濃度は約5重量%から約20重量%であり、約7.5重量%から約15重量%であり、または約10%である。
【0041】
本発明による組成物は、1種または複数のベンズイミダゾールカルバメートを含む。周知のベンズイミダゾールカルバメートは、例えば、パルベンダゾール(例えば、米国特許第3480642号参照)、メベンダゾール(例えば、米国特許第3657267号参照)、フルベンダゾール(例えば、米国特許第3657267号参照)、オクスフェンダゾール(例えば、米国特許第3929821号参照)、オキシベンダゾール(例えば、米国特許第3574845号参照)、アルベンダゾール(例えば、米国特許第3915986号参照)、リコベンダゾール(アルベンダゾールスルホキシド)(例えば、米国特許第3915986号参照)、およびルクサベンダゾール(例えば、米国特許第4639463号参照)があり、全てのベンズイミダゾールカルバメートは、フェバンテルやネトビミンのように、ベンズイミダゾール母核上の置換基が異なる。
【0042】
1つの実施形態では、ベンズイミダゾールカルバメートはフェンベンダゾール(例えば、米国特許第3954791号参照)である。別の実施形態では、ベンズイミダゾールカルバメートはフルベンダゾール(例えば、米国特許第3657267号参照)である。
【0043】
ベンズイミダゾールカルバメートは、通常5から50重量%の量で組成物中に存在する。幾つかの実施形態では、ベンズイミダゾールカルバメートは約10重量%から約40重量%、約15重量%から約30重量%、または約17.5重量%から約25重量%、または約20重量%の濃度で存在する。
【0044】
幾つかの実施形態では、この組成物は、薬学的に許容できる担体を含む。この担体は、例えば、水性担体、好ましくは(精製された)水でよい。しかし、本発明では、ベンズイミダゾールカルバメートがわずかに溶解し、分散可能な他の液媒体、例えば、塩水溶液で実行することができる。
【0045】
場合によっては、この組成物は、例えば、30%USPシメチコン乳化液、オレイン酸ナトリウム、カプリル酸ナトリウムまたはこれらの混合物等の消泡剤を含んでもよい。この消泡剤は、本発明の組成物が水で希釈される場合、泡の形成を防ぐために十分な濃度で存在する。本発明では、シメチコン乳化液は、約0.2重量%から約1重量%の濃度で存在できる。幾つかの実施形態では、シメチコン乳化液は約0.5重量%の濃度で存在する。
【0046】
場合によっては、この組成物は保存剤も含んでよい。この保存剤は、当業者に既知のものであり、例えば、ベンジルアルコール、ブチルパラベンナトリウム塩、メチルパラベンナトリウム塩、プロピルパラベンナトリウム塩およびそれらの混合物でもよい。この保存剤は、約0.01重量%から3重量%で、一般的に存在する。幾つかの実施形態では、ベンジルアルコールが、約1.5重量%から約2.5重量%、または約2.0重量%で存在する。
【0047】
本発明の1つの態様は、動物用飲料水経由で動物に薬剤を投与することにより、動物中の寄生生物を防除する薬剤を製造するための、本発明による組成物の使用である。
【0048】
本発明は、動物を寄生生物感染症から保護する方法を提供する。この方法は、本発明による組成物を、動物用飲料水経由で動物に投与するステップを含む。
【0049】
1つの実施形態では、この組成物は、動物、特に家畜動物(ウシ、家禽およびブタ)を、例えば、フェンベンダゾール等のベンズイミダゾールカルバメート化合物を用いて、飲料水系経由で治療するために使用できる。この組成物(最終生成物)は、従来知られているように、薬用飲料水を調製するために比例分配機または投薬機で使用できる。
【0050】
投薬機では、例えば、28.35g(1oz)の最終生成物を使用し、一般的に水で約1:128の比率でさらに希釈して、約10から約150ppmの、例えば、フェンベンダゾール等のベンズイミダゾールカルバメート濃度を有する薬用飲料水を得る。
【0051】
幾つかの実施形態では、例えば、フェンベンダゾール等のベンズイミダゾールカルバメートの薬用飲料水中の濃度は約40から約120ppmであり、有効用量、動物の体重、動物の水消費量および治療周期に依存する。
【0052】
1つの実施形態では、高濃度の予混合組成物は、約10ppmから約150ppmの濃度に直接希釈される。幾つかの実施形態では、高濃度の予混合組成物は、約40から120ppmのフェンベンダゾール等のベンズイミダゾールカルバメートの濃度に直接希釈され、直接飲料水投与(例えば、家禽用)に使用される。
【0053】
特定のベンズイミダゾールカルバメートであるフェンベンダゾールのための、1つの特定の実施形態では、2時間から24時間の治療周期で治療される家禽により通常消費される飲料水の体積中に、1日当り、体重1kg当りで約1mgから約5mgの範囲のフェンベンダゾールで治療される家禽の体重(BW)あたりのフェンベンダゾールの目的量を供給するために、濃度を計算する。目的の用量は、治療される寄生生物種感染症によって決定され、当技術分野で知られている。他の種への投与の場合は、濃度はそれぞれ計算される。
【0054】
薬用飲料水は、連続1日から6日間で、約2時間から約24時間の治療周期(好ましくは約8時間の治療周期であることが多い)の家禽の治療に使用される。他の種への投与の場合は、治療周期はそれぞれ計算される。
【0055】
ブタの治療では、ブタの蠕虫を防除するために有効量の、例えば、フェンベンダゾール等のベンズイミダゾールカルバメートを含む飲料水を得るように、最終生成物は希釈されて所望の濃度に達する。この有効量は、治療される寄生生物種の侵入に依存し、当技術分野で知られている。
【0056】
代替として、本発明による組成物は、例えば静脈注射、筋肉注射、皮下注射により、動物に非経口で投与されてもよい。
【0057】
本発明による別の態様は、動物を寄生生物感染症から保護する方法を提供する。この方法は、本発明による組成物を非経口経路を通じて動物に投与するステップを含む。
【0058】
代替経路を通じた非経口治療も可能である。全身的に作用するために、ベンズイミダゾール類は血流内に吸収されなければならないので、非経口投与経路はベンズイミダゾールカルバメートの血漿および組織のレベルが重要な場合には、特に有用である。このような1つの例は、例えば、多包条虫(Echinococcus multicularis)や単包条虫(E.granulosis)等の特定の条虫の幼生段階での全身的寄生生物感染症に対処するためにベンズイミダゾール類を使用することである。
【0059】
一般的に、本発明による組成物は、寄生生物感染症の治療や予防を必要とする、ブタ、ウシ、ウマ、ヤギ、ヒツジ、ネコ、イヌ、家禽および魚等の全ての種の動物に投与できる。
【0060】
本発明による別の態様では、本発明による組成物を調製する方法が提供される。
【0061】
前記方法は、ベンズイミダゾールカルバメート粒子を、薬学的に許容できる担体およびトゥイーン型界面活性剤を含む混合物に分散するステップと、ベンズイミダゾールカルバメート粒子の粒径を、約450nm未満の有効平均粒径になるまで機械的に減少させるステップとを含む。
【0062】
1つの実施形態では、ベンズイミダゾールカルバメート粒子の有効平均粒径は、約400nm未満、または約350nm未満、または約300nm未満に減少され、別の実施形態では、約250nm未満、別の実施形態では、約200nm未満に減少される。
【0063】
1つの実施形態では、ベンズイミダゾールカルバメート粒子の有効平均粒径は、約50nmと450nmの間に、別の実施形態では約100nmと400nmの間に、別の実施形態では約150と350nmの間に、または約180nmと300nmの間に減少される。別の実施形態では、ベンズイミダゾールカルバメート粒子の有効平均粒径は、約190nmと220nmの間であり、別の実施形態では約200nmである。
【0064】
ベンズイミダゾールカルバメートを約450nm未満の有効平均粒径にする、粒径減少用の機械力を提供する有効な方法としては、ボールミル法、媒体ミル法、および、例えば、MICROFLUIDIZER(登録商標)(Microfluidics Corp製)を用いる均一化が挙げられる。
【0065】
1つの実施形態では、機械力による粒径減少は、媒体ミル法で実施される。
【0066】
ボールミル法は、粉砕媒体、薬剤、安定剤および液体を用いる、低エネルギー粉砕工程である。最適の速度で回転する粉砕容器にこれらの材料を入れることにより、媒体が急激に流れて、衝撃により薬剤粒径を減少させる。使用される媒体は、粒径減少用のエネルギーが重力と摩砕媒体の質量によって与えられるので、高密度でなければならない。
【0067】
媒体ミル法は高エネルギー粉砕工程である。薬剤、安定剤および液体を貯蔵器に入れ、媒体と回転軸/攪拌羽根を含むチャンバー内で再循環する。この回転軸は、衝撃および剪断力を薬剤に加える媒体を攪拌し、これにより薬剤の粒径を減少させる。媒体ミルは、目的の結果をもたらすために、すなわち、粒径の所望の減少を付与するために必要な粉砕時間が比較的短いので好ましい。特定の実施形態では、WAB社から入手可能なDyno Mill Type KDL AまたはDyno Mill Multi Labが使用される。
【0068】
代替ミルとしては、Hosokawa Alpine社(アウクスブルグ)から入手可能なAgitated Lab Ball Mill 90 AHM、Draiswerke Incから入手可能なDCP High Performance Media Mill Megavantis ACS、またはBuhler社のDCP Superflow、またはAdvantis Perlミルである。
【0069】
粉砕では、予備混合物の見かけ粘度が、効率的な粒子の分断と媒体の目減りとの最適な釣り合いを確実にするように選択される。
【0070】
粒径減少ステップ(湿式粉砕)のための粉砕媒体(ビーズ)は、好ましくは形状が球形または粒子状の堅固な媒体から選択できる。
【0071】
1つの実施形態では、粉砕媒体は約1mm未満の平均径を有する。別の実施形態では、粉砕媒体は0.5から0.7mmの平均径を有する。別の実施形態では、粉砕媒体は0.5未満の平均径を有する。別の実施形態では、粉砕媒体は0.25から0.3mmの平均径を有する。
【0072】
粉砕媒体用の材料の選択は重要ではないと思われる。イットリウム、マグネシア、ケイ酸ジルコニウムおよびガラスで安定化された95%または93%ZrO等の酸化ジルコニウムの粉砕媒体は、医薬組成物の調製のために許容できると考えられる汚染水準を有する粒子を提供することが知られている。しかし、ステンレス鋼、チタンおよびアルミナ等の他の媒体は有用であると期待される。好ましい媒体は、3g/cm3を超える密度を有する。
【0073】
摩砕時間は、広範囲に変化することができ、一義的には、選択される特定の機械的手段および工程条件に依存する。ボールミルの場合は、5日まで、またはそれより長い工程時間が必要になる。
【0074】
一方、例えば、DYNO(登録商標)MILL KDL A、またはDYNO(登録商標)MILL Multi Lab、またはAgitated Lab Ball Mill 90 AHM、またはDCP High Performance Media Mill Megavantis ACSのような高剪断媒体ミルを使用すると、1日未満の工程時間(1分から数時間までの滞留時間)で、所望の結果が得られる。
【0075】
摩砕時間は、粒径分布仕様に従って決定される。粒径分布仕様は、使用される粉砕技術、工程の種類(バッチ工程または生成物の再循環による連続工程)、バッチの大きさ、ビーズの大きさ、ビーズの品質、ローターの回転速度および生成物の流速等の多数のパラメーターに依存する。
【0076】
粒子は、薬剤物質を大幅に劣化させない温度で粒径を減少させる必要がある。所望ならば、工程の装置は、従来の冷却装置で冷却できる。この方法は、室温の条件下で、粉砕工程のための安全で効率的な工程圧力で、簡便に実施される。例えば、環境工程圧力は、ボールミル、摩砕ミルおよび振動ミルで典型的である。1.4kg/cm2(20psi)の工程圧力は媒体ミルで典型的である。
【0077】
米国特許第5510118号に記載されている均一化による粒径減少は、MICROFLUIDIZER(登録商標)を使用して、450nmを下回る粒子にする工程として代替的に使用できる。
【0078】
粒径減少のために、ベンズイミダゾールカルバメートを、高濃度の予備混合物を形成するために、ベンズイミダゾールカルバメートが本質的に不溶である液体分散媒に添加可能である。好ましくは、粒径減少のために使用される分散媒は水性である。
【0079】
予備混合物中のベンズイミダゾールカルバメートの濃度は、約0.05から約0.6g/ml(すなわち、5から60%(w/v))まで変化することができる。幾つかの実施形態では、予備混合物中のベンズイミダゾールカルバメートの濃度は、約0.15から約0.50g/ml、または約0.2から約0.4g/mlである。
【0080】
予備混合物は、機械的手段に掛けて直接使用することにより、ベンズイミダゾールカルバメート平均粒径を約450nm未満に減少させることができる。予備混合物は、ボールミルを摩砕用に使用する場合に、直接使用されることが好ましい。
【0081】
代替として、ベンズイミダゾールカルバメートおよび界面活性剤を、肉眼で見て大きな凝集物が無くなるような均一な分散液が観測されるまで、適切な攪拌、例えばカウルス(Cowles)型ミキサーを使用して、液体媒体中に分散して、さらに希釈することができる。予備混合物は、再循環媒体ミルが摩砕に使用される場合に、このような予備粉砕分散ステップを受けることが好ましい。
【0082】
本発明によるベンズイミダゾールカルバメート組成物の1つの実施形態は、以下の3つの製造ステップ:予混合懸濁液(例えば、0.4g/ml FBZ)の調製、この予備混合物の湿式粉砕による、450nm未満の粒径に粒径減少、およびこの予混合懸濁液の薬学的に許容できる水生担体による希釈を用いて、直接飲料水に添加される医薬組成物である、最終生成物(0.2g/ml FBZ)を得ることにより、調製される。最終生成物を得るために、消泡剤を、予備混合物、または代替的に水性担体に添加できる。
【0083】
予備混合化合物は、薬学的に許容できる担体により、約5から約50重量%の最終生成物中のベンズイミダゾールカルバメート濃度に希釈される。幾つかの実施形態では、濃度は約10重量%から約30重量%、約15%から約25%、または約20重量%である。
【0084】
本発明は、飲料水投与用の医薬組成物を製造する方法を提供する。ここで、この組成物は、約450nm未満の有効平均粒径有するベンズイミダゾールカルバメート粒子、トゥイーン型界面活性剤および薬学的に許容できる担体を含み、
a.ベンズイミダゾールカルバメート粒子を、トゥイーン型界面活性剤を含む液体分散媒に分散するステップと、および
b.ベンズイミダゾールカルバメートの粒径を、450nm未満の有効平均粒径に、機械的に減少させるステップと
により、調製される。
【0085】
1つの実施形態では、機械的粒径減少は媒体ミル法によって実施される。
【0086】
1つの実施形態では、上記のステップa)およびb)によって得られる医薬組成物は、さらに薬学的に許容できる担体で希釈され、直接飲料水に添加される最終生成物を形成する。
【0087】
この方法は、
a)ベンズイミダゾールカルバメート粒子を、薬学的に許容できる担体とトゥイーン型界面活性剤を含む混合物中に分散するステップと、
b)ベンズイミダゾールカルバメートの粒径を、450nm未満の有効平均粒径に機械的に減少させ、高濃度の生成混合物を形成するステップと、
c)薬学的に許容される媒体を高濃度の生成物に添加して希釈した生成物を形成するステップと、および
d)最終生成物を飲料水に添加するステップと
を含む。
【実施例】
【0088】
以下の実施例は、例示しているに過ぎず、この開示の残りを決して制限するものではない。
【実施例1】
【0089】
本発明によるフェンベンダゾール組成物の製造
以下の3つの製造ステップを使用して、0.2g/mlフェンベンダゾール(FBZ)飲料水懸濁液を調製した。a)予混合懸濁液(0.4g/ml FBZ)の調製、b)この予備混合懸濁液の湿式粉砕、およびc)この予混合懸濁液の希釈による、最終生成物(0.2g/ml FBZ)の取得。
【0090】
【表1】
【0091】
A.予混合懸濁液の製造
必要量のシメチコン乳化液およびポリソルベート80を、一部の水中に電磁攪拌機を用いて混合した。均一な混合物を得るために、混合物をわずかに加熱した(60℃未満)。次いで、必要量のフェンベンダゾールおよび失われた容量の水を、強攪拌下(Ultra−Turrax)で添加して、白色の均一な予混合懸濁液を得た。フェンベンダゾールの添加中、生成物温度を60℃未満に維持するために、生成物が入っているビーカーを冷却浴に入れた状態にしておいた。
【0092】
【表2】
【0093】
B.湿式粉砕
初めに、DYNO(登録商標)MILL KDL Aの0.6L容器を、450mLの0.25から0.3mmガラスビーズ(供給社 VWR)、次いで、270mLのステップAで製造した予混合懸濁液で満たした。予混合懸濁液を、ポリウレタンディスクを用いて、ローター速度4200rpmで、45分間湿式粉砕した。
【0094】
湿式粉砕の間、冷却用二重ジャケットを用いる熱移動により、生成物温度を50℃以下に維持した。
【0095】
フェンベンダゾール懸濁液の粒径を、Hydro 2000G測定セルを用いたMalvern Mastersizer 2000を用いて、以下のように粉砕の前後で決定した。攪拌下(攪拌速度500rpm、ポンプ速度1000rpm)で、分散ユニット中に含まれる分散媒(水)のバックグラウンドを測定した。次いで、FBZ分散液のサンプルを、光遮蔽度(obscuration)が10から16%になるまで、添加した。分散液を、粒径分布の測定前に100%超音波で2分間攪拌した。
【0096】
C.0.2g/mlFBZ懸濁液を得るための希釈
湿式粉砕された予混合懸濁液の体積を測定し、4%のベンジルアルコールを含有する必要量の水を添加し、予混合懸濁液を希釈して、0.2g/mlフェンベンダゾール(FBZ)飲料水分散液を得た。得られた0.2g/mlフェンベンダゾール(FBZ)飲料水分散液は、飲料水系中で、薬用水を調製するために使用された。
【実施例2】
【0097】
本発明によるフルベンダゾール組成物の製造
以下の3つの製造ステップを使用して、フルベンダゾール(FluBZ)飲料水懸濁液を調製した。a)予混合懸濁液(0.4g/ml FluBZ)の調製、b)この予備混合懸濁液の湿式粉砕、およびc)この粉砕予混合懸濁液の希釈による、最終生成物(0.2g/ml FluBZ)の取得。
【0098】
【表3】
【0099】
A.予混合懸濁液の製造
必要量のシメチコン乳化液およびポリソルベート80を、一部の水中に電磁攪拌機を用いて混合した。均一な混合物を得るために、混合物をわずかに加熱した(60℃未満)。次いで、必要量のフルベンダゾールおよび失われた容量の水を、強攪拌下(Ultra−Turrax)で添加して、白色の均一な予混合懸濁液を得た。フルベンダゾールの添加中、生成物温度を60℃未満に維持するために、生成物が入っているビーカーを冷却浴に入れた状態にしておいた。
【0100】
【表4】
【0101】
B.湿式粉砕
初めに、DYNO(登録商標)MILL KDL Aの0.6L容器を、450mLの0.25から0.3mmガラスビーズ(供給社 VWR)、次いで、270mLのステップAで製造した予混合懸濁液で満たした。予混合懸濁液を、ポリウレタンディスクを用いて、ローター速度4200rpmで、45分間湿式粉砕した。
【0102】
湿式粉砕の間、冷却用二重ジャケットを用いる熱移動により、生成物温度を50℃以下に維持した。
【0103】
フルベンダゾール懸濁液の粒径を、Hydro 2000G測定セルを用いたMalvern Mastersizer 2000を用いて、以下のように粉砕の前後で決定した。攪拌下(攪拌速度500rpm、ポンプ速度1000rpm)に、分散ユニット中に含まれる分散媒(水)のバックグラウンドを測定した。次いで、FBZ分散液のサンプルを、光遮蔽度が10から16%になるまで、添加した。分散液を、粒径分布の測定前に100%超音波で2分間攪拌した。
【0104】
C.FluBZ0.2g/ml懸濁液を得るための希釈
湿式粉砕された予混合懸濁液の体積を測定し、4%のベンジルアルコールを含有する必要量の水を添加し、予混合懸濁液を希釈して、フルベンダゾール(FBZ)0.2g/ml飲料水分散液を得た。得られたフルベンダゾール(FBZ)0.2g/ml飲料水分散液を、飲料水系中で、薬用水を調製するために使用した。
【0105】
【表5】
【0106】
図10は、実施例2により製造された、フルベンダゾール懸濁液の粒径分布を図として表す。
【0107】
図11は、24時間の間の測定セル中央部における、FluBZ懸濁液で作製されたFluBZ60ppmの薬用飲料水の清澄化速度を表す。清澄化速度は、WO01/17504に記載されているように、巨視的光学走査装置TURBISCAN(登録商標)(仏国Formulaction社から供給)により測定された。
【0108】
結果。顕著な物理的不安定性(清澄化は1%よりかなり低く、沈殿は起こらない)は、実施例2によって製造したフルオロベンダゾール懸濁液で調製した薬用水の場合、24時間の間、TURBISCAN(登録商標)によって測定されなかった。
【実施例3】
【0109】
代替湿式粉砕工程−予混合懸濁液の再循環による連続工程
初めに、DYNO(登録商標)MILL KDL Aの0.6L容器を、450mLの0.25から0.3mmガラスビーズ(供給社B.Braun Biotech International)、次いで、270mLの実施例1、2のステップAで製造した予混合懸濁液で満たした。
【0110】
次いで、連続的に予混合懸濁液で粉砕機を充填するために、粉砕容器をポンプに接続した。流速は約1.3L/hに設定する。湿式粉砕の1サイクルは、予混合懸濁液全体(500mL)が粉砕機を通過し、0.1mmの隙間で粉砕媒体から分離され、新しい容器に排出されたときに達成された。6粉砕サイクルを、ポリウレタンディスクを用いて、4200rpmのローター速度で、懸濁性予備混合物に適用した。
【0111】
湿式粉砕工程の間、冷却用二重ジャケットを用いる熱移動により、生成物温度を50℃未満に維持した。
【0112】
フェンベンダゾール懸濁液の粒径を、Hydro 2000G測定セルを用いたMalvern Mastersizer 2000を用いて、以下のように粉砕の前後で決定した。攪拌下(攪拌速度500rpm、ポンプ速度1000rpm)で、分散ユニット中に含まれる分散媒(水)のバックグラウンドを測定した。次いで、FBZ分散液のサンプルを、光遮蔽度が10から16%になるまで、添加した。分散液を、粒径分布の測定前に100%超音波で2分間攪拌した。次いで、実施例1または2のステップCに記載したように、湿式粉砕された予混合懸濁液を希釈した。
【実施例4】
【0113】
代替湿式粉砕工程−予混合懸濁液の再循環による連続工程
初めに、DYNO(登録商標)MILL MULTI LABの0.6L容器を、360mLの0.25から0.3mmのイットリウム安定化酸化ジルコニウムビーズ(供給社、Muhlmeier)で満たし、次いで、実施例1または2のステップAで製造した予混合懸濁液を粉砕機に連続的に供給するために、粉砕容器をポンプに接続した。
【0114】
流速は約37L/hに設定した。これは閉ループであった。予混合懸濁液(2L)は、連続的に供給容器から送り込まれ、粉砕機を通過し、0.1mmの隙間で粉砕媒体から分離され、供給容器に排出された。予混合懸濁液を均一に維持するために、供給容器に攪拌機を装着した。DYNO(登録商標)−Acceleratorsを用いてローター速度10m/sで懸濁性予備混合物に55分間の粉砕を行った。湿式粉砕の間、冷却用二重ジャケットを用いる熱移動により、生成物温度を50℃未満に維持した。
【0115】
フェンベンダゾール懸濁液の粒径を、Hydro 2000G測定セルを用いたMalvern Mastersizer 2000を用いて、以下のように粉砕の前後で決定した。攪拌下(攪拌速度500rpm、ポンプ速度1000rpm)で、分散ユニット中に含まれる分散媒(水)のバックグラウンドを測定した。次いで、FBZ分散液のサンプルを、光遮蔽度が10から16%になるまで、添加した。分散液を、粒径分布の測定前に100%超音波で2分間攪拌した。次いで、実施例1または2のステップCに記載したように、湿式粉砕された予混合懸濁液を希釈した。
【実施例5】
【0116】
本発明による組成物とWO95/13065により製造された組成物の相対的粒径
WO95/13065による組成物を、実施例1のステップAに記載されたようにして調製した。粒径を、粉砕なしで(WO95/13065による組成物)、およびMalvern Master sizer GMAL 01による湿式粉砕の後(実施例1のステップA−Bにより調製された本発明による組成物)、Frauenhofer法により、Hydro 2000G測定セルを用いて測定した。湿式粉砕により、フェンベンダゾール粒子の粒径を、200nm未満の有効粒径に減少させた。
【0117】
【表6】
【0118】
図1は、湿式粉砕なしおよび湿式粉砕後の粒径分布を図として表す。
【0119】
図2は、24時間の間の測定セル中央部における、FBZ懸濁液で作製された60ppmFBZ薬用飲料水の清澄化速度を表す。清澄化速度は、WO01/17504に記載されているように、巨視的光学走査装置TURBISCAN(登録商標)(仏国Formulaction社から供給)により測定された。
【0120】
TURBISCAN(登録商標)装置は、多重光散乱に基づいて、分散系のいずれもの変化(例えば、清澄化、沈殿作用等)を検出する。TURBISCAN(登録商標)装置は、全てのサンプル高さでスキャンしながら平底面の円筒セルに沿って動く読み取りヘッドを含む、垂直走査巨視的分析装置である。読み取りヘッド自体は、パルス近赤外光源および2台の同期検出器からなる。透過度検出器は、生成物を透過する光を取得し、後方散乱検出器は、生成物により後方散乱された光を受光する。読み取りヘッドは、最高高さ80mmで40μm毎に、透過および後方散乱データを取得する。得られたフロファイルは、生成物の均一性、粒子濃度および平均直径を特徴付ける。結果は、サンプル高さ(mm単位)の関数として、後方散乱光または透過光の百分率で表す。次いで、同一であるかどうか、生成物の安定性または不安定性を特徴付ける生成物指紋の重ね合わせを得るために、生成物に沿った取得を、プログラム可能な回数で繰り返す。
【0121】
結果。物理的不安定性の兆候は、実施例1によって製造したフェンベンダゾール懸濁液を用いて調製した薬用水の場合、24時間の間、TURBISCAN(登録商標)によって測定されなかった(清澄化せず、沈殿せず)。
【実施例6】
【0122】
本発明による組成物とWO95/13065により製造される組成物の相対的物理安定性
「多めに湿式粉砕したFBZ懸濁液」と称される本発明による組成物を、実施例1に記載したように製造した。フェンベンダゾール懸濁液を、WO95/13065に記載されたように製造した(「FBZ粗懸濁液」と称する)。「わずかに湿式粉砕したFBZ懸濁液」と称される組成物は、実施例1に記載したものと同じ製造ステップにより、ただしより温和な湿式粉砕条件で調製した。予混合懸濁液1Lを、0.5mmガラスビーズ490mlを用いて、ポリウレタンディスクを用いて、ローター速度3200rpmで、3粉砕サイクルのみで、粉砕した。これらの湿式粉砕により、「多めに湿式粉砕したFBZ懸濁液」とFBZ粗懸濁液との中間の粒径分布を得ることができた。
【0123】
【表7】
【0124】
図3に、これらの粒径分布を図示する。
【0125】
調合液は水で希釈され、例えば、家禽治療用の薬用水のような、濃度60ppmのフェンベンダゾールを得た。得られた薬用水の物理的安定性は、実施例5に記載したように、巨視的光学走査装置TURB1SCAN(登録商標)を活用して試験した。
【0126】
TURB1SCAN(登録商標)による評価結果を図4に示す。図4は、24時間の間測定セル中央部で検出した、それぞれ3種の調合液の清澄化速度を示す。
【0127】
結果。物理的不安定性の兆候は、実施例1によって製造したフェンベンダゾール懸濁液を用いて調製した薬用水の場合、24時間の分析の間、TURBISCAN(登録商標)によって測定されなかった。一方、WO95/13065によって製造したフェンベンダゾール粗懸濁液から調製した薬用水では、顕著な清澄化が発生した。この清澄化は、試験の開始から約6.5時間後に検出可能な沈殿層の生成に対応する。わずかに湿式粉砕した懸濁液は、中間的な安定性プロファイルを示した。この清澄性レベルは、静置して14時間後になって、初めて沈殿層が検知されたことと一致した。
【実施例7】
【0128】
本発明による組成物と市販の懸濁性乳化液製品(SOLUBENOL(登録商標)、Janssen−Cilag社、ビールス(Beerse)、ベルギー)の相対的な物理的安定性
市販の懸濁性乳化液製品SOLUBENOL(登録商標)を水で希釈して、例えば、家禽治療用の薬用水のように、85.6ppm濃度のフルベンダゾールを得た。この粒径分布を、実施例1に参照として記載された本発明の組成物(FBZ懸濁液)と共に、下表にまとめ、図5に図示する。
【0129】
【表8】
【0130】
SOLUBENOL(登録商標)を用いて調製した薬用水の物理的安定性を、実施例2と同じ分析説明書に従って、TURBISCAN(登録商標)を活用して試験した。TURBISCAN(登録商標)評価の結果を図6に示す。図6は、24時間の間測定セル中央部で検出した、SOLUBENOL(登録商標)調合液で調製した薬用水の清澄化速度を示す。
【0131】
結果。顕著な清澄化が、SOLUBENOL(登録商標)薬用水で発生した。一方、実施例1によって製造したフェンベンダゾール懸濁液を用いて調製した薬用水の場合、物理的不安定性の兆候は、24時間の分析の間、TURBISCAN(登録商標)によって測定されなかった。
【実施例8】
【0132】
各種界面活性剤を用いたフェンベンダゾール懸濁液の製造
下記の成分を用いて、実施例1に記載したようにFBZ懸濁液を製造した。
【0133】
【表9】
【0134】
薬用水の物理的安定性評価
懸濁剤を有するFBZ懸濁液を、分析の直前に水で60ppmに希釈し、様々な薬用水の物理安定性(透過および後方散乱光)を、24時間に亘り室温で、Turbiscanを用いて測定した。ポロキサマー188(Poloxamer 188)を含む予混合懸濁液を、実施例1に記載した工程との比較で、以下の偏差で製造した。ポロキサマー188は、溶融してからシメチコン乳化液と混合し、次いで、フェンベンダゾールの添加により、混合物は攪拌している間に非常に粘稠になったので、粉砕機を通過させることは不可能であった。
【0135】
粒径分布
各種懸濁液の粒径分布を、湿式粉砕の前後で測定し、下表に記した。
【0136】
【表10】
【0137】
全てのポリソルベート組成物は、湿式粉砕後に細かく狭い粒径分布を示した。
【0138】
薬用水の物理安定性評価
懸濁剤を有するFBZ懸濁液を、分析の直前に水で60ppmに希釈し、実施例3と同じ分析説明書に従って、様々な薬用水の物理安定性(透過および後方散乱光)を、24時間に亘り室温で、TURBISCAN(登録商標)を用いて測定した。TURBISCAN(登録商標)評価の結果を図7に示す。図7は、24時間の間測定セル中央部で検出した、各種懸濁剤を含有するFBZ0.2g/ml懸濁液で調製した薬用水の清澄化速度を示す。
【0139】
結果。ポロキサマー188を含有するFBZ懸濁液の希釈により生じた薬用水は物理的に不安定である。これは、0.77μm/minで成長する沈殿層の検出により確認された。一方、沈殿層は、各種ポリソルベートを含有する他の薬用水では検出できなかった。
【0140】
ポリソルベートを試験した薬用水は、24時間で10%未満の許容できる透過率変化を示す。
【実施例9】
【0141】
種々の濃度のポリソルベート80を用いて製造したフェンベンダゾール懸濁液
FBZ懸濁液を、以下の成分を用いて実施例1に記載したように製造した。
【0142】
【表11】
【0143】
粒径分布
各種のFBZ懸濁液の粒径分布を、湿式粉砕の前後で測定し、下表に記した。
【0144】
【表12】
【0145】
全てのFBZ懸濁液は、湿式粉砕後に細かく狭い粒径分布を示した。
【0146】
薬用水の物理的安定性評価
懸濁剤を有するFBZ懸濁液を、分析の直前に水で60ppmに希釈し、様々な薬用水の物理安定性(透過および後方散乱光)を、24時間に亘り室温で、Turbiscanを用いて測定した。薬用水の物理的安定性を、実施例5と同じ分析説明書に従って、TURBISCAN(登録商標)を活用して試験した。
【0147】
TURBISCAN(登録商標)評価の結果を図8に示す。図8は、24時間の間測定セル中央部で検出した、種々の濃度のポリソルベート80を含有するFBZ0.2g/ml懸濁液で調製した薬用水の清澄化速度を示す。
【0148】
結果。種々の濃度のポリソルベート80を含有する薬用水の沈殿層は検出できなかった。この良好な物理的安定性は、透過率変化のグラフで確認された。最大の変化は、許容可能な、24時間後で1%に相当する。
【実施例10】
【0149】
フェンベンダゾール20%および40%懸濁液の湿式粉砕
「FBZ0.2g/ml懸濁液」と称される本発明による組成物を、実施例3に記載したように製造した。
【0150】
フェンベンダゾール懸濁液を、WO95/13065に記載されたように製造し(「FBZ粗懸濁液」と称する)、以下のように湿式粉砕した。
【0151】
初めに、DYNO(登録商標)MILL MULTI LABの0.6L容器を、360mLの0.3mmイットリウム安定化酸化ジルコニウムビーズ(供給社、Muhlmeier)で満たし、次いで、連続的に、FBZ粗懸濁液を粉砕機に供給するために、粉砕容器をポンプに接続した。流速は約112L/hに設定した。これは閉ループであった。予混合懸濁液(2L)は、連続的に供給容器から送り込まれ、粉砕機を通過し、0.1mmの隙間で粉砕媒体から分離され、供給容器に排出された。供給容器には、予混合懸濁液を均一に維持するために、攪拌機を装着した。DYNO(登録商標)−Acceleratorsを用いてローター速度10m/sで懸濁性予備混合物に55分間の粉砕を行った。
【0152】
湿式粉砕の間、冷却用二重ジャケットを用いる熱移動により、生成物温度を50℃未満に維持した。
【0153】
フェンベンダゾール懸濁液の粒径分布は、実施例3に記載したように測定した。
【0154】
【表13】
【0155】
結果。20%w/vのFBZを含有する粉砕した「FBZ粗懸濁液」最終生成物、または40%FBZを含有する粉砕した予混合懸濁液を希釈して得た「FBZ0.2g/ml懸濁液」最終生成物は等価な粒径分布であった。
【実施例11】
【0156】
フェンベンダゾール懸濁液のパイプ試験
「FBZ0.2g/ml懸濁液」と称される、本発明による組成物を実施例2に記載されたように製造した(粉砕ステップはMuhlmeierからの0.3mmイットリウム安定化酸化ジルコニウムビーズ420mLを用いて実施した。流速1L/hで2サイクル実施した)。
【0157】
【表14】
【0158】
フェンベンダゾール懸濁液を、WO95/13065に記載されたように製造した(「FBZ粗懸濁液」と称する)。フェンベンダゾール懸濁液の粒径分布は、実施例3に記載したように測定した。
【0159】
両方の組成物で作製した薬用水の安定性と均一性は、実地条件で薬用水配送をシミュレートすることにより、3時間間隔で試験した。これらの試験は、地元の上水からの飲料水を用いて実施した。
【0160】
例えば、家禽治療用の薬用水のように、濃度60ppmのフェンベンダゾールを得るために、薬用水を必要量の組成物および飲料水で投薬タンク中で調製した。タンクを、タンクの底出口を通じて、25mの透明なパイプに接続した。流速を約3.5L/hに設定した。薬用水は、配送期間の間、投薬タンク内(水面で)および25mパイプの終端で定期的にサンプリングした。
【0161】
サンプルを、フェンベンダゾール濃度に関して分析した。薬用水は、配送期間の間には攪拌しなかった。さらに、投薬タンクおよびパイプを、沈殿が形成されているかどうか、目視で点検した。結果を図9に示した。図9は、投薬タンクおよびパイプ端からサンプリングされた、両薬用水のFBZ濃度の変動を示す。
【0162】
結果。両方の試験において、投薬タンクおよびパイプにおいて沈殿は検出されなかった。しかし、FBZ粗懸濁液薬用水を含む投薬タンクでは、試験の終わりに、薬用水はタンクの底部の方が濃度が高いように見えた。FBZ0.2g/ml懸濁液で調製した均一な安定した薬用水とは反対に、FBZ粗懸濁液で調製した薬用水の配送期間に沿ってFBZ濃度の著しい低下を示した分析結果により、この不安定性は確認された。
【実施例12】
【0163】
ブタおよび家禽での実地試験
「FBZ0.2g/ml懸濁液」と称される、本発明による組成物を、実施例1に記載したように製造した。2箇所の実地試験を実施して、実地条件で使用される場合の、薬用水中のFBZ0.2g/ml懸濁液の均一性と安定性を評価した。
【0164】
一方の試験を、投薬タンク、約60mの閉ループ水系(PVCとステンレス鋼パイプ製)を用いて、成長中のブタで実施した。他方の試験を、電子式投薬ポンプ(KONTI−DOS、Buerkert社製)と220m長さの行き止まり水供給系(亜鉛メッキ鋼およびプラスチックパイプ製)を使用して、成長中の七面鳥で実施した。
【0165】
一般的な試験手順は各試験とも同じであった。薬用水を、7.2−8.2の間の範囲のpH値および7.3と13.7°dHの間の範囲の全硬度を有する、飼育場で入手可能な飲料水を用いて調製した。水中のFBZの濃度を、5mgFBZ/kg体重の単一投薬、動物の体重および3時間(投薬タンク)および8時間(投薬ポンプ)の推定水消費に基づいて、百万分の1(ppm)単位で調製した。
【0166】
薬用水のサンプルを、投与の間、タンクの底部と上部、水供給系に沿った所定の吸い口および給水器から、各30から60分で採取した。タンクの内容物は、全投与期間を通じて攪拌しなかった。
【0167】
タンクと吸い口または給水器では、活性剤または任意種の賦形剤により形成された全ての種類の沈殿を検査した。
【0168】
追加の水サンプルを、投与を約24時間中断した後に取り出し、FBZ含有物の潜在的な残留物を評価した。全ての水サンプルで、認証されたHPLC法を用いて、FBZ含有量をこの後に分析した。
【0169】
結果。全ての分析結果(実際のFBZ濃度)は、名目(計算された)濃度と一致した。一貫したFBZ濃度は、タンク内および送水パイプに沿って、2時間または8時間を超えた投薬で達成された。タンクの底部および上部で採取されたサンプル中のFBZ濃度に違いは無かった。
【0170】
タンク内では、沈殿または粒子の浮遊物は観測されなかった。吸い口での沈殿または閉塞は発生しなかった。投与を24時間中断した後に採取した水サンプルは、どのような測定可能なFBZ残留物も示さず(約0.4ppmの検出限界未満)、新しいFBZ懸濁液は、飲料水系内でどのような残留物も形成しないことを示した。これらの実地試験からの結果を、下表にまとめる。
【0171】
【表15】
【0172】
これらの実地試験からの結論は、FBZ0.2g/ml懸濁液は、選択されたブタおよび家禽飼育場の各水供給系内の薬用水中で均一に分布することであり、規定された投与期間の間に一貫したFBZ濃度を生成したように、投与の間の正確な投薬が確保されたことである。
【0173】
この特許(特許請求の範囲を含む)の「含む」は、排他的ではなく、包括的であると解釈される。この解釈は、これらの用語が米国特許法に基づいて与えられた解釈と同じことを目的とする。本特許で引用した全ての参考文献は、参照により本特許に組み込まれる。好ましい実施形態の上記の詳細な記述は、特定の用途の要件に最も良く適応するように、他の当業者が、本発明を無数の形態で適合し、適用できるように、他の当業者に本発明、この原理およびこの実用用途を知らせることのみを目的とする。本発明は、それゆえ、上記の実施形態に限定されず、種々改良できる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水性懸濁液を含み、この水性懸濁液は、約450nm未満の有効平均粒径を有するベンズイミダゾールカルバメート粒子およびトゥイーン(Tween)型界面活性剤を含むことを特徴とする、ベンズイミダゾールカルバメートの飲料水投与のための医薬組成物。
【請求項2】
ベンズイミダゾールカルバメート粒子の有効平均粒径が約300nm未満である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
トゥイーン型界面活性剤がポリソルベート80を含む、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項4】
トゥイーン型界面活性剤が約0.1から約50重量%の量で存在する、請求項1から3のいずれかに記載の組成物。
【請求項5】
ベンズイミダゾールカルバメートがフェンベンダゾールを含む、請求項1から4のいずれかに記載の組成物。
【請求項6】
フェンベンダゾールが約5から約50重量%の量で存在する、請求項1から5に記載の組成物。
【請求項7】
動物用飲料水を通じて動物に薬剤を投与することにより動物における寄生生物を防除する薬剤を製造するための、請求項1から6に記載の組成物の使用。
【請求項8】
ベンズイミダゾールカルバメート粒子を、薬学的に許容できる担体およびトゥイーン型界面活性剤を含む混合物中に分散すること、および
ベンズイミダゾールカルバメート粒子の粒径を、約450nm未満の有効平均粒径に機械的に減少させること
を含む、飲料水投与用の医薬組成物を調製する方法。
【請求項9】
ベンズイミダゾールカルバメート粒子を、薬学的に許容できる担体およびトゥイーン型界面活性剤を含む混合物中に分散すること、
ベンズイミダゾールカルバメート粒子の粒径を、約450nm未満の有効平均粒径に機械的に減少させ、高濃度の生成混合物を形成すること、
薬学的に許容できる担体を上記高濃度の生成物に添加し、希釈された生成物を形成すること、および
最終生成物を飲料水に添加すること
をさらに含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
機械的な粒径減少が媒体粉砕により実施される、請求項8または9の方法。
【請求項11】
動物用飲料水を通じて、請求項1から6のいずれかに記載の組成物を動物に投与すること含む、動物を寄生生物から保護する方法。
【請求項12】
非経口的な経路を通じて、請求項1から6のいずれかに記載の組成物を動物に投与すること含む、動物を寄生生物から保護する方法。
【請求項1】
水性懸濁液を含み、この水性懸濁液は、約450nm未満の有効平均粒径を有するベンズイミダゾールカルバメート粒子およびトゥイーン(Tween)型界面活性剤を含むことを特徴とする、ベンズイミダゾールカルバメートの飲料水投与のための医薬組成物。
【請求項2】
ベンズイミダゾールカルバメート粒子の有効平均粒径が約300nm未満である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
トゥイーン型界面活性剤がポリソルベート80を含む、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項4】
トゥイーン型界面活性剤が約0.1から約50重量%の量で存在する、請求項1から3のいずれかに記載の組成物。
【請求項5】
ベンズイミダゾールカルバメートがフェンベンダゾールを含む、請求項1から4のいずれかに記載の組成物。
【請求項6】
フェンベンダゾールが約5から約50重量%の量で存在する、請求項1から5に記載の組成物。
【請求項7】
動物用飲料水を通じて動物に薬剤を投与することにより動物における寄生生物を防除する薬剤を製造するための、請求項1から6に記載の組成物の使用。
【請求項8】
ベンズイミダゾールカルバメート粒子を、薬学的に許容できる担体およびトゥイーン型界面活性剤を含む混合物中に分散すること、および
ベンズイミダゾールカルバメート粒子の粒径を、約450nm未満の有効平均粒径に機械的に減少させること
を含む、飲料水投与用の医薬組成物を調製する方法。
【請求項9】
ベンズイミダゾールカルバメート粒子を、薬学的に許容できる担体およびトゥイーン型界面活性剤を含む混合物中に分散すること、
ベンズイミダゾールカルバメート粒子の粒径を、約450nm未満の有効平均粒径に機械的に減少させ、高濃度の生成混合物を形成すること、
薬学的に許容できる担体を上記高濃度の生成物に添加し、希釈された生成物を形成すること、および
最終生成物を飲料水に添加すること
をさらに含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
機械的な粒径減少が媒体粉砕により実施される、請求項8または9の方法。
【請求項11】
動物用飲料水を通じて、請求項1から6のいずれかに記載の組成物を動物に投与すること含む、動物を寄生生物から保護する方法。
【請求項12】
非経口的な経路を通じて、請求項1から6のいずれかに記載の組成物を動物に投与すること含む、動物を寄生生物から保護する方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公表番号】特表2009−539933(P2009−539933A)
【公表日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−514788(P2009−514788)
【出願日】平成19年6月13日(2007.6.13)
【国際出願番号】PCT/EP2007/055794
【国際公開番号】WO2007/144362
【国際公開日】平成19年12月21日(2007.12.21)
【出願人】(506196247)インターベツト・インターナシヨナル・ベー・ベー (85)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年6月13日(2007.6.13)
【国際出願番号】PCT/EP2007/055794
【国際公開番号】WO2007/144362
【国際公開日】平成19年12月21日(2007.12.21)
【出願人】(506196247)インターベツト・インターナシヨナル・ベー・ベー (85)
【Fターム(参考)】
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