説明

ベンズイミダゾール誘導体とアミンとの塩およびその製造方法

【課題】胃酸分泌抑制剤、抗潰瘍剤等の医薬品の提供。
【解決手段】下記式(I)で示される、2−[{4−(3−メトキシプロポキシ)−3−メチルピリジン−2−イル}メチルスルフィニル]−1H−ベンズイミダゾールのアルカリ金属塩を含有する。


(ここで、A+は、イソプロピルアンモニウムイオン等を示す。)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、(1)胃酸分泌抑制剤、抗潰瘍剤等の医薬として有用な2−[{4−(3−メトキシプロポキシ)−3−メチルピリジン−2−イル}メチルスルフィニル]−1H−ベンズイミダゾールのアルカリ金属塩の製造方法、ならびに(2)その製造中間体である2−[{4−(3−メトキシプロポキシ)−3−メチルピリジン−2−イル}メチルスルフィニル]−1H−ベンズイミダゾールとアミンとの塩およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
2−[{4−(3−メトキシプロポキシ)−3−メチルピリジン−2−イル}メチルスルフィニル]−1H−ベンズイミダゾールのアルカリ金属塩は、胃酸分泌抑制作用を有するので、抗潰瘍剤等として有用であることが知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
プロトンポンプ阻害剤の1つであるオメプラゾールとアミンとの塩は知られているものの(たとえば、特許文献2、3、4参照)、2−[{4−(3−メトキシプロポキシ)−3−メチルピリジン−2−イル}メチルスルフィニル]−1H−ベンズイミダゾールとアミンとの塩は知られていない。
【0004】
また、オメプラゾールなどをはじめとする種々のプロトンポンプ阻害作用を有する化合物とアミンとの塩の結晶化工程が、不純物の除去等に有用であることは知られていない。
【0005】
さらに、2−[{4−(3−メトキシプロポキシ)−3−メチルピリジン−2−イル}メチルスルフィニル]−1H−ベンズイミダゾールとアミンとの塩から、2−[{4−(3−メトキシプロポキシ)−3−メチルピリジン−2−イル}メチルスルフィニル]−1H−ベンズイミダゾール・アルカリ金属塩を得る方法も知られていない。
【0006】
他方、不純物である、(2−[{4−(3−メトキシプロポキシ)−3−メチルピリジン−2−イル}メチルスルホニル]−1H−ベンズイミダゾール)(以下、単に「スルホン体」という。)の含量を、0.82%〜0.30%にまで低減させる、2−[{4−(3−メトキシプロポキシ)−3−メチルピリジン−2−イル}メチルスルフィニル]−1H−ベンズイミダゾール・ナトリウム塩の製造方法は知られている(たとえば、特許文献5参照)。
特許文献1:米国特許公報第5,045,552号
特許文献2:国際特許公開パンフレット WO03/74514号
特許文献3:国際特許公開パンフレット WO94/27988号
特許文献4:欧州特許公開公報第124495号
特許文献5:欧州特許公開公報第1000943号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
抗潰瘍剤として有用な、2−[{4−(3−メトキシプロポキシ)−3−メチルピリジン−2−イル}メチルスルフィニル]−1H−ベンズイミダゾールの製造の最終工程において、酸化剤としてm−クロロ過安息香酸などを用いた場合、当該化合物のスルホン体である(2−[{4−(3−メトキシプロポキシ)−3−メチルピリジン−2−イル}メチルスルホニル]−1H−ベンズイミダゾール)が不純物として含まれることがある。
【0008】
このスルホン体は分離精製が難しいため、2−[{4−(3−メトキシプロポキシ)−3−メチルピリジン−2−イル}メチルスルフィニル]−1H−ベンズイミダゾールの回収率がよく、かつ、当該化合物のスルホン体をより効率的に除去することができる、新たな精製方法が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、精力的に研究を重ねた結果、上記課題である、このスルホン体を効率よく除去する精製方法およびこの精製方法に有用な2−[{4−(3−メトキシプロポキシ)−3−メチルピリジン−2−イル}メチルスルフィニル]−1H−ベンズイミダゾールとアミンとの塩を見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
すなわち、本発明の第一の態様では、
〔1〕下記式(I)で表される塩:
【0011】
【化1】

【0012】
(ここで、A+は、イソプロピルアンモニウムイオン、sec−ブチルアンモニウムイオンまたはシクロペンチルアンモニウムイオンを示す。)、
を提供する。
【0013】
また、本発明の別の態様では、
〔2〕下記式(II)で表される塩:
【0014】
【化2】

と、
【0015】
〔3〕下記式(III)で表される塩:
【0016】
【化3】

と、
【0017】
〔4〕下記式(IV)で表される塩:
【0018】
【化4】

と、
【0019】
を提供する。
【0020】
さらに、本発明の第二の態様では、
〔5〕塩化工程を含む塩の製造方法であって、
下記式(I)で表される塩:
【0021】
【化5】

【0022】
(ここで、A+は、イソプロピルアンモニウムイオン、sec−ブチルアンモニウムイオンまたはシクロペンチルアンモニウムイオンを示す。)が生じるように、前記塩化工程を、エステル溶媒、ニトリル溶媒、エーテル溶媒、アルコール溶媒、ケトン溶媒、脂肪族炭化水素溶媒、芳香族炭化水素溶媒、水またはこれらの混合溶媒中にて実行する、製造方法と、
〔6〕塩化工程を含む塩の製造方法であって、
下記式(I)で表される塩:
【0023】
【化6】

【0024】
(ここで、A+は、イソプロピルアンモニウムイオン、sec−ブチルアンモニウムイオンまたはシクロペンチルアンモニウムイオンを示す。)が生じるように、前記塩化工程を、酢酸エチル、酢酸n-ブチル、炭酸ジエチル、アセトニトリル、t−ブチルメチルエーテル、イソプロパノール、ヘキサン、テトラハイドロフラン、トルエンまたはこれらの混合溶媒中にて実行する製造方法、
を提供する。
【0025】
さらにまた、本発明の第三の態様では、
〔7〕2−[{4−(3−メトキシプロポキシ)−3−メチルピリジン−2−イル}メチルスルフィニル]−1H−ベンズイミダゾール・アルカリ金属塩(V)の製造方法であって、
下記式(I)で表される塩:
【0026】
【化7】

【0027】
(ここで、A+は、イソプロピルアンモニウムイオン、sec−ブチルアンモニウムイオンまたはシクロペンチルアンモニウムイオンを示す。)と、
アルカリ金属含有の塩基と反応させる工程と、を含む製造方法、
を提供する。
【0028】
〔7−1〕本発明に係る(V)の製造方法の好ましい態様によれば、前記〔7〕に記載の製造方法では、アルカリ金属含有の塩基と反応後、さらに、結晶化、塩化による沈殿、または凍結乾燥を行う。
〔7−2〕また、本発明に係る(V)の製造方法の好ましい態様によれば、前記〔7〕に記載の製造方法では、2−[{4−(3−メトキシプロポキシ)−3−メチルピリジン−2−イル}メチルスルフィニル]−1H−ベンズイミダゾール・アルカリ金属塩(V)のアセトン錯体を製造し、次いで、加熱乾燥を行う。
〔7−3〕さらに、前記〔7−2〕に記載の製造方法の好ましい態様によれば、加熱乾燥後、結晶化、塩化による沈殿、または凍結乾燥をさらに行う。
〔7−4〕またさらに、前記〔7−2〕または〔7−3〕に記載の製造方法の好ましい態様によれば、加熱乾燥の温度が、30℃〜130℃である。
〔7−5〕さらにまた、前記〔7−2〕または〔7−3〕に記載の製造方法の好ましい態様によれば、加熱乾燥の温度が、100℃〜110℃である。
〔7−6〕くわえて、前記〔7−2〕または〔7−5〕のうち何れか一に記載の製造方法の好ましい態様によれば、加熱乾燥を減圧下で行う。
【0029】
またさらに、本発明の第四の態様では、
〔8〕2−[{4−(3−メトキシプロポキシ)−3−メチルピリジン−2−イル}メチルスルフィニル]−1H−ベンズイミダゾール・アルカリ金属塩(V)、および0.2%以下の量の2−[{4−(3−メトキシプロポキシ)−3−メチルピリジン−2−イル}メチルスルホニル]−1H−ベンズイミダゾール(VI)を含有する、胃酸分泌抑制剤、
〔8−1〕2−[{4−(3−メトキシプロポキシ)−3−メチルピリジン−2−イル}メチルスルホニル]−1H−ベンズイミダゾール(VI)の含量が、0.2%以下(化合物(V)および化合物(VI)の合計重量に基づく含有率を示す。)の量である、2−[{4−(3−メトキシプロポキシ)−3−メチルピリジン−2−イル}メチルスルフィニル]−1H−ベンズイミダゾール・アルカリ金属塩(V)、
〔9〕2−[{4−(3−メトキシプロポキシ)−3−メチルピリジン−2−イル}メチルスルフィニル]−1H−ベンズイミダゾール・アルカリ金属塩(V)、および0.2%以下の量の2−[{4−(3−メトキシプロポキシ)−3−メチルピリジン−2−イル}メチルスルホニル]−1H−ベンズイミダゾール(VI)を含有する、胃酸に起因する疾患の治療および/または予防剤、
〔10〕胃酸に起因する疾患が、胃潰瘍、十二指腸潰瘍、吻合部潰瘍、逆流性食道炎、Zollinger-Ellison症候群、症候性逆流性食道炎、内視鏡陰性逆流性食道炎、胃食道逆流症、咽喉頭異常、Barrett食道、NSAID潰瘍、胃炎、胃出血、消化管出血、消化性潰瘍、出血性潰瘍、ストレス潰瘍、胃過酸症、消化不良、胃不全、高齢者潰瘍、難治性潰瘍、急性胃粘膜病変、胸焼け、歯ぎしり、胃痛、胃もたれ、顎関節症または胃びらんである、前記9に記載の治療および/または予防剤、
を提供する。
【0030】
〔11〕前記〔9〕または〔10〕に記載の治療および/または予防剤の好ましい態様では、胃酸に起因する疾患が、胃潰瘍、十二指腸潰瘍、吻合部潰瘍、逆流性食道炎、Zollinger-Ellison症候群または症候性逆流性食道炎である。
〔12〕前記〔9〕〜〔11〕のうち何れか一に記載の治療および/または予防剤の好ましい態様では、胃酸に起因する疾患が、逆流性食道炎または症候性逆流性食道炎である。
〔13〕前記〔9〕〜〔11〕のうち何れか一に記載の治療および/または予防剤の好ましい態様では、胃酸に起因する疾患が、胃潰瘍または十二指腸潰瘍である。
【0031】
くわえて、本発明のさらに別の態様では、
〔14〕2−[{4−(3−メトキシプロポキシ)−3−メチルピリジン−2−イル}メチルスルフィニル]−1H−ベンズイミダゾール・アルカリ金属塩(V)、および0.2%以下の量の2−[{4−(3−メトキシプロポキシ)−3−メチルピリジン−2−イル}メチルスルホニル]−1H−ベンズイミダゾール(VI)を含有する、胃内ヘリコバクター・ピロリ菌の除菌剤または除菌補助剤、
〔15〕2−[{4−(3−メトキシプロポキシ)−3−メチルピリジン−2−イル}メチルスルフィニル]−1H−ベンズイミダゾール・アルカリ金属塩(V)、および0.2%以下の量の2−[{4−(3−メトキシプロポキシ)−3−メチルピリジン−2−イル}メチルスルホニル]−1H−ベンズイミダゾール(VI)を含有する、逆流性食道炎および/または症候性逆流性食道炎の維持療法剤、
を提供する。
【0032】
なお、「2−[{4−(3−メトキシプロポキシ)−3−メチルピリジン−2−イル}メチルスルフィニル]−1H−ベンズイミダゾール・アルカリ金属塩(V)、および0.2%以下の量の2−[{4−(3−メトキシプロポキシ)−3−メチルピリジン−2−イル}メチルスルホニル]−1H−ベンズイミダゾール(VI)」における「0.2%以下の量の2−[{4−(3−メトキシプロポキシ)−3−メチルピリジン−2−イル}メチルスルホニル]−1H−ベンズイミダゾール(VI)」とは、当該化合物(VI)が、化合物(V)および化合物(VI)の合計重量に基づき、0.2%以下の量で存在することを意味する。
上記〔8〕、〔8−1〕、〔9〕、〔14〕または〔15〕において、化合物(V)および(VI)の合計重量に基づき化合物(VI)の含量は、0.2%以下の量であるが、好適には約0.15%以下の量であり、より好適には約0.15%〜約0.01%であり、さらに好適には約0.1%〜約0.01%の量である。
【発明の効果】
【0033】
本発明によれば、2−[{4−(3−メトキシプロポキシ)−3−メチルピリジン−2−イル}メチルスルフィニル]−1H−ベンズイミダゾールとアミンとの塩を利用することにより、医薬として有用な2−[{4−(3−メトキシプロポキシ)−3−メチルピリジン−2−イル}メチルスルフィニル]−1H−ベンズイミダゾールを製造する際、不純物として含まれる当該化合物のスルホン体を効率よく除去することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
以下の実施形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明をこの実施形態にのみ限定する趣旨ではない。本発明は、その要旨を逸脱しない限り、さまざまな形態で実施することができる。
【0035】
本発明は、胃酸分泌抑制剤、抗潰瘍剤等の医薬として有用な2−[{4−(3−メトキシプロポキシ)−3−メチルピリジン−2−イル}メチルスルフィニル]−1H−ベンズイミダゾールの製造時に副生する不純物を効率的に除去するための塩およびその製造方法を提供する。
【0036】
式(VII)で表される2−[{4−(3−メトキシプロポキシ)−3−メチルピリジン−2−イル}メチルスルフィニル]−1H−ベンズイミダゾールは、下記の式(VIIa)で表される化合物、式(VIIb)で表される化合物、または化合物(VIIa)と化合物(VIIb)の任意の比率の混合物を意味し、好適には、化合物(VIIa)と化合物(VIIb)の約1:1の混合物である。
【0037】
【化8】

【0038】
【化9】

【0039】
【化10】

【0040】
本発明で用いる式(I)で表される塩は、
【0041】
【化11】

【0042】
化合物(VII)とイソプロピルアミン、sec−ブチルアミンおよびシクロペンチルアミンからなる群から選ばれる一のアミンとの塩であり、前記化合物(VII)と前記アミンとが任意の比率で形成する塩を意味する。好適には、前記化合物(VII)と前記アミンとが、約1:1の比で形成する塩である。
【0043】
式(I)で表される塩は、化合物(VII)と、イソプロピルアミン、sec−ブチルアミンおよびシクロペンチルアミンからなる群から選ばれる一のアミンと、塩を形成していれば、特に制限されないが、たとえば、下記式(VIII)で示される塩、
【0044】
【化12】

【0045】
(ここで、A+は、イソプロピルアンモニウムイオン、sec−ブチルアンモニウムイオンまたはシクロペンチルアンモニウムイオンを示す。)
下記式(IX)で表される塩などの様態がある。
【0046】
【化13】

【0047】
(ここで、A+は、イソプロピルアンモニウムイオン、sec−ブチルアンモニウムイオンまたはシクロペンチルアンモニウムイオンを示す。)
【0048】
本発明で用いる用語「エステル溶媒」とは、C3-7アルキルエステル化合物を意味し、具体例としては、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n-プロピル(酢酸n-プロピルエステル)、酢酸s-プロピル(酢酸s-プロピルエステル)、酢酸n-ブチル(酢酸n-ブチルエステル)、炭酸ジメチル、炭酸ジエチルなどであり、好適例としては酢酸エチル、酢酸n-ブチルなどである。
【0049】
本発明で用いる用語「ニトリル溶媒」とは、C2-6アルキルニトリルを意味し、具体例としては、アセトニトリルなどである。
【0050】
本発明で用いる用語「エーテル溶媒」とは、ジC1-6アルキルエーテルまたは環状エーテルを意味し、具体例としては、ジメチルエーテル、t−ブチルメチルエーテル、テトラハイドロフランなどであり、好適例としては、t−ブチルメチルエーテル、テトラハイドロフランなどである。
【0051】
本発明で用いる用語「アルコール溶媒」とは、C1-6アルキルアルコールを意味し、具体例としては、エタノール、イソプロパノール、n−プロパノールなどであり、好適例としては、イソプロパノールなどである。
【0052】
本発明で用いる用語「ケトン溶媒」とは、ジC1-6アルキルケトンを意味し、具体例としては、たとえば、ジメチルケトン、メチルエチルケトンなどである。
【0053】
本発明で用いる用語「脂肪族炭化水素溶媒」とは、C5-8アルカンを意味し、具体例としては、ヘキサン、ヘプタンなどであり、好適例としてはヘキサンなどである。
【0054】
本発明で用いる用語「芳香族炭化水素溶媒」とは、置換基(C1-6アルキル基、C1-6アルコキシ基、ニトリル基、ハロゲン原子など)を有してもよいベンゼンを意味し、具体例としては、トルエン、キシレン、ベンゼンなどであり、好適例としてはトルエンなどである。
【0055】
本発明で用いる用語「アルカリ金属塩」とは、アルカリ金属との塩であれば特に限定されないが、具体例としては、ナトリウム塩またはカリウム塩などであり、好適例としてはナトリウム塩である。
【0056】
本発明で用いる用語「アルカリ金属含有の塩基」とは、ナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属を含有する塩基であれば特に限定されないが、具体例としては、水酸化ナトリウム、ナトリウムエトキシド、ナトリウムメトキシド、水素化ナトリウム、水酸化カリウム、カリウムエトキシド、カリウムメトキシド、水素化カリウムもしくはこれらの溶液、またはアルカリ金属塩に変換するためのイオン交換樹脂などであり、好適例としては水酸化ナトリウム、または水酸化ナトリウム溶液であり、より好適には水酸化ナトリウム、水酸化ナトリウム水溶液、水酸化ナトリウムのメタノール溶液または水酸化ナトリウムのエタノール溶液である。
【0057】
本発明で用いる用語「2−[{4−(3−メトキシプロポキシ)−3−メチルピリジン−2−イル}メチルスルフィニル]−1H−ベンズイミダゾール・アルカリ金属塩のアセトン錯体」とは、アセトンを含有する2−[{4−(3−メトキシプロポキシ)−3−メチルピリジン−2−イル}メチルスルフィニル]−1H−ベンズイミダゾール・アルカリ金属塩の結晶であれば特に限定されないが、具体例としては、国際公開パンフレット WO04/085424号、欧州特許公開公報 第1000943号に記載の2−[{4−(3−メトキシプロポキシ)−3−メチルピリジン−2−イル}メチルスルフィニル]−1H−ベンズイミダゾール・アルカリ金属塩のアセトン錯体を意味する。
【0058】
本発明で用いる用語「胃酸に起因する疾患」とは、胃酸の分泌に起因する疾患であれば特に限定されないが、具体的としては、胃潰瘍、十二指腸潰瘍、吻合部潰瘍、逆流性食道炎、Zollinger-Ellison症候群、症候性逆流性食道炎、内視鏡陰性逆流性食道炎、胃食道逆流症、咽喉頭異常、Barrett食道、NSAID潰瘍、胃炎、胃出血、消化管出血、消化性潰瘍、出血性潰瘍、ストレス潰瘍、胃過酸症、消化不良、胃不全、高齢者潰瘍、難治性潰瘍、急性胃粘膜病変、胸焼け、歯ぎしり、胃痛、胃もたれ、顎関節症または胃びらん等を挙げることができ、好適例としては、たとえば、胃潰瘍、十二指腸潰瘍、吻合部潰瘍、逆流性食道炎、Zollinger-Ellison症候群または症候性逆流性食道炎を挙げることができ、より好適な例としては、逆流性食道炎、症候性逆流性食道炎、胃潰瘍または十二指腸潰瘍をあげることができ、さらに好適な例としては、(1)逆流性食道炎もしくは症候性逆流性食道炎、または(2)胃潰瘍もしくは十二指腸潰瘍を挙げることができる。
【0059】
また、本発明は、上記式(I)で表される塩またはその溶媒和物を含有する、ヘリコバクター・ピロリ菌の除菌剤または除菌補助剤を提供する。なお、上記「予防剤」には、疾患の発症前に投与するものの他、治癒後の維持療法剤または再発防止剤も含まれる。また、上記「除菌補助剤」とは、酸性条件下では効果を奏し難い除菌剤が効果を奏するような環境を整える薬剤をいう。
【0060】
本発明に係る胃酸分泌抑制剤、胃酸に起因する疾患の治療および/または予防剤は、2−[{4−(3−メトキシプロポキシ)−3−メチルピリジン−2−イル}メチルスルフィニル]−1H−ベンズイミダゾール・アルカリ金属塩(V)、および0.2%以下の量の2−[{4−(3−メトキシプロポキシ)−3−メチルピリジン−2−イル}メチルスルホニル]−1H−ベンズイミダゾール(VI)を含有し、必要に応じて、公知の薬学的に許容できる担体(例:賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、着色剤、矯味矯臭剤、安定化剤、乳化剤、吸収促進剤、界面活性剤、pH調整剤、防腐剤、抗酸化剤等)や、一般に医薬品製剤の原料として用いられる成分を配合して、慣用される方法により製剤化してもよい。製剤化の剤形としては、錠剤、散剤、細粒剤、顆粒剤、カプセル剤、シロップ剤、坐剤、注射剤等が挙げられる。
【0061】
また、本発明に係る胃酸分泌抑制剤と胃酸に起因する疾患の治療および/または予防剤の投与形態は、特に限定されないが、経口的または非経口的に投与することが好ましい。本発明に係る胃酸分泌抑制剤、胃酸に起因する疾患の治療および/または予防剤の投与量は、症状、年齢等により異なり、1〜500mg/日であり、好ましくは1〜200mg/日であり、更に好ましくは5〜135mg/日である。
【0062】
[一般製造方法]
製造方法A
[2−[{4−(3−メトキシプロポキシ)−3−メチルピリジン−2−イル}メチルスルフィニル]−1H−ベンズイミダゾールとアミンとの塩の製造工程]
【0063】
本発明に係る製造方法において、出発原料として使用する化合物(2−[{4−(3−メトキシプロポキシ)−3−メチルピリジン−2−イル}メチルスルフィニル]−1H−ベンズイミダゾール)(VII)は、前記特許文献1に記載された方法または当該方法の公知の改良方法(たとえば、日本特許公開公報 特開平11−71370号、特開平2000−143659号、国際特許公開パンフレット WO01/68594号、欧州特許公開公報第1,270,555号など)により製造することができる。この出発原料として使用する化合物(VII)は、スルホン体、(2−[{4−(3−メトキシプロポキシ)−3−メチルピリジン−2−イル}メチルスルホニル]−1H−ベンズイミダゾール)(VI)を含んでいても含んでいなくてもよい。
【0064】
2−[{4−(3−メトキシプロポキシ)−3−メチルピリジン−2−イル}メチルスルフィニル]−1H−ベンズイミダゾールに有機溶媒とアミン(イソプロピルアミン、sec−ブチルアミンまたはシクロペンチルアミン)を加え、溶解する(その際、加熱してもよい)。その後、30〜−40℃(好ましくは−20〜−40℃)にて撹拌する。撹拌時間は特に限定されないが、好ましくは1時間〜1日であり、より好ましくは一晩(10〜12時間)である。この冷却して撹拌する工程にて結晶が析出する。
【0065】
この結晶晶析の工程において、種結晶(少量の2−[{4−(3−メトキシプロポキシ)−3−メチルピリジン−2−イル}メチルスルフィニル]−1H−ベンズイミダゾールとアミンとの塩の結晶)を加えても、加えなくてもよい。種結晶を加える温度は特に規定されないが、好ましくは55℃以下であり、より好ましくは35〜0℃である。この結晶が析出する前または結晶が析出する過程において、ヘキサン、酢酸n−ブチルエステルまたはt−ブチルメチルエーテルなどの溶媒を適宜加えることもできる。
【0066】
混合液中に析出した結晶をろ取し、目的とする2−[{4−(3−メトキシプロポキシ)−3−メチルピリジン−2−イル}メチルスルフィニル]−1H−ベンズイミダゾールとアミンとの塩を得ることができる。
【0067】
得られた結晶は、必要に応じて、溶解した溶媒と同じ溶媒にて洗浄することができる。また、この得られた結晶は、必要に応じて、室温下または加熱下にて、常圧下または減圧下乾燥することができる。
【0068】
上記有機溶媒とは、特に制限されないが、具体例としては、エステル溶媒、ニトリル溶媒、エーテル溶媒、アルコール溶媒、ケトン溶媒、脂肪族炭化水素溶媒、芳香族炭化水素溶媒、水またはこれらの混合溶媒であり、より好ましくは、酢酸エチル、酢酸n-ブチル、炭酸ジエチル、テトラハイドロフラン、アセトニトリル、t−ブチルメチルエーテル、ヘキサン、イソプロパノール、トルエンからなる群から選ばれる1または2以上の溶媒である。有機溶媒の使用量は、化合物(VII)が加熱により溶解する量を下限とし、結晶の収量が著しく低下しない量を上限として適宜選択することができるが、好ましくは化合物(VII)の重量に対する容量比で3〜30倍量(v/w)であり、より好ましくは化合物(VII)の重量に対する容量比で5〜20倍量(v/w)である。
【0069】
アミンの使用量は、化合物(VII)の当量以上であれば特に制限されないが、好ましくは化合物(VII)のモル比で1〜10倍であり、より好ましくは化合物(VII)のモル比で約5〜10倍であり、さらに好ましくは化合物(VII)のモル比で約7倍である。
【0070】
製造方法B
[2−[{4−(3−メトキシプロポキシ)−3−メチルピリジン−2−イル}メチルスルフィニル]−1H−ベンズイミダゾールとアミンとの塩から[2−[{4−(3−メトキシプロポキシ)−3−メチルピリジン−2−イル}メチルスルフィニル]−1H−ベンズイミダゾール・アルカリ金属塩の合成]
【0071】
本工程は、有機化合物のアミン塩からアルカリ金属塩へ変換するため、一般に用いられている方法により行うことができる。具体的には、2−[{4−(3−メトキシプロポキシ)−3−メチルピリジン−2−イル}メチルスルフィニル]−1H−ベンズイミダゾールとアミンとの塩を、トルエン、メタノール、エタノール、水、アセトン、酢酸エチル、アセトニトリル、t−ブチルメチルエーテル、テトラハイドロフラン、ヘキサン、イソプロパノールからなる群から選ばれる1〜3の溶媒などに溶解させ、次いで、この混合液中へ約1当量の塩基(水酸化ナトリウム、ナトリウムエトキシド、ナトリウムメトキシド、水素化ナトリウム、水酸化カリウム、カリウムエトキシド、カリウムメトキシド、水素化カリウムまたはこれらの溶液など)を加え、撹拌する。この混合液を、溶媒留去することにより2−[{4−(3−メトキシプロポキシ)−3−メチルピリジン−2−イル}メチルスルフィニル]−1H−ベンズイミダゾール・アルカリ金属塩を得ることができる。
【0072】
このアルカリ金属塩は、この混合液もしくは濃縮残渣から結晶化、塩化による沈殿、または凍結乾燥などによっても得ることができる。このアルカリ金属塩は、[2−[{4−(3−メトキシプロポキシ)−3−メチルピリジン−2−イル}メチルスルフィニル]−1H−ベンズイミダゾールのアセトン含有結晶(アセトン錯体)の製造工程、および高温乾燥工程を各々適宜組み合わせて製造することもできる。(国際公開パンフレット WO04/085424号、欧州特許公開公報 第1000943号記載)。
【0073】
得られた2−[{4−(3−メトキシプロポキシ)−3−メチルピリジン−2−イル}メチルスルフィニル]−1H−ベンズイミダゾール・アルカリ金属塩は、さらに減圧または常圧下において30〜60℃で乾燥することもできる。この乾燥工程は、静置下もしくは振動下、さらに通風下で行うこともできる。
【0074】
製造方法C
[2−[{4−(3−メトキシプロポキシ)−3−メチルピリジン−2−イル}メチルスルフィニル]−1H−ベンズイミダゾールの製造工程]
【0075】
本発明の製造方法において、出発原料として使用する化合物(VII)は、以下に示す方法により製造することができる。
【0076】
【化14】

【0077】
なお、上記式(3x)で表される化合物(以下、単に「化合物(3x)」という。さらに、式(4x)および(5x)で表される化合物についても同様に表記する。)ないし化合物(5)は、いずれも公知の化合物である。
【0078】
(第1x工程)
本工程は、不活性溶剤中、化合物(3x)に、塩素化剤を反応して、得られる反応混合物を濃縮することからなる、粗製の化合物(4x)を製造する工程である。本工程で使用する不活性溶剤には、原料化合物をある程度溶解することができ、かつ、本反応を阻害しない限り、特に制限はないが、好適には、たとえば、ベンゼン、トルエン、キシレンのような芳香族炭化水素類、酢酸メチル、酢酸エチルのような有機酸エステル類、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメトキシエタンのようなエーテル類、メチレンクロリド、クロロホルム、四塩化炭素、ジクロロエタンのようなハロゲン化炭化水素類を用いることができ、特に好適には、トルエン、酢酸エチル、ジメトキシエタンまたはジクロロメタンを用いる。
【0079】
本工程で使用する塩素化剤としては、たとえば、三塩化りん、五塩化りん、オキシ塩化りん、塩化チオニル等を使用することができるが、好適には、塩化チオニルのように、溶剤とともに留去することにより除去できるものがよい。
【0080】
本工程の反応温度は、使用する、溶剤、原料化合物、塩素化剤等により異なるが、通常、−20〜50℃であり、好適には、0〜30℃である。本工程の反応時間は、使用する、溶剤、原料化合物、塩素化剤、反応温度等により異なるが、通常、30分〜6時間であり、好適には、1〜2時間である。
【0081】
反応終了後、(1)反応クエンチ、(2)反応混合物の濃縮乾固、および(3)精製等を適宜行う。反応のクエンチとして、具体的には、反応混合物中へ水や低級アルコール(特にエタノール)の適量添加が挙げられる。
【0082】
反応混合物は、反応クエンチおよび反応混合物を濃縮乾固し、その後は特に精製することなく、そのまま、第2x工程に使用することができ、好適には反応クエンチのみで、反応混合物の濃縮乾固、精製を行わずそのまま、第2x工程に使用することができる。
【0083】
(第2x工程)
本工程は、不活性溶剤中、第1工程で得られる化合物(4x)に、塩基の存在下、2−ベンゾイミダゾールチオールを反応して、化合物(5x)を製造する工程である。本工程で使用する不活性溶剤には、原料化合物をある程度溶解することができ、かつ、本反応を阻害しない限り、特に制限はないが、好適には、たとえば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、tert−ブタノールのようなアルコール類、ベンゼン、トルエン、キシレンのような芳香族炭化水素類、またはこれらの混合溶媒を用いることができる。
【0084】
本工程で使用する塩基には、溶剤にある程度溶解するものであれば、特に制限はないが、好適には、たとえば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムのようなアルカリ金属水素化物を用いることができ、特に好適には、水酸化ナトリウムを用いる。本工程の反応温度は、使用する、溶剤、原料化合物、塩基等により異なるが、通常、−20〜70℃であり、好適には、20〜70℃である。
【0085】
本工程の反応時間は、使用する、溶剤、原料化合物、塩基、反応温度等により異なるが、通常、30分〜6時間であり、好適には、1〜2時間である。
【0086】
反応終了後、化合物(5x)は、定法に従って、反応混合物から単離することができる。たとえば、反応終了後、反応混合物を減圧濃縮し、次いで、水および水と混和しない有機溶剤(たとえば、ジクロロメタン、酢酸エチル、酢酸メチル、酢酸n-ブチル、トルエン等)で抽出し、水酸化ナトリウム水溶液および水を用いて、有機層を洗浄後、濃縮することにより、化合物(5x)を製造することができる。 反応終了後、反応混合物を水にて洗浄後、濃縮や精製を行わず、次の第3x工程に使用することもできる。
【0087】
特に、以下のような有機溶剤を用いることにより、精製度の高い化合物(5x)を、結晶として製造することができる:
ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、t−ブチルメチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメトキシエタンのようなエーテル類(特に、ジイソプロピルエーテルまたはt−ブチルメチルエーテル);
アセトニトリルのようなニトリル類(特に、アセトニトリル);
ベンゼン、トルエン、キシレンのような芳香族炭化水素類(特に、トルエン);
メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノールのようなアルコール類(特に、イソプロパノール);
アセトン、メチルエチルケトンのようなケトン類(特に、アセトン);
酢酸メチル、酢酸エチル、炭酸ジメチル、炭酸ジエチルのような有機酸エステル類(特に、酢酸エチル、炭酸ジエチル);または
これらの溶剤の少なくとも2種からなる混合溶剤。
なお、結晶化の際、使用する溶剤量は、溶剤の種類により異なるが、化合物(5)1gに対して、3〜40mlである。
【0088】
(第3x工程)
本工程は、不活性溶剤中、化合物(5x)に、酸化剤を反応して、化合物(I)を製造する工程である。本工程で使用する不活性溶剤としては、原料化合物をある程度溶解することができ、かつ、本反応を阻害しない限り、特に制限はないが、好適には、たとえば、クロロホルム、ジクロロメタン、四塩化炭素、ジクロロエタンのようなハロゲン化炭化水素類、ベンゼン、トルエン、キシレンのような芳香族炭化水素類、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、tert−ブタノールのようなアルコール類、またはこれらの混合溶媒を用いることができ、特に好適には、ジクロロメタン、トルエン、メタノール、エタノールまたはこれらの混合溶媒を用いることができる。
【0089】
本工程で使用する酸化剤としては、過酸化水素、過酢酸、m−クロロ過安息香酸、過ヨウ素酸ナトリウムなどを使用することができるが、好適には、m−クロロ過安息香酸を使用する。化合物(5x)に対し、0.3〜1.1当量を使用する。
【0090】
本工程の反応温度は、使用する、溶剤、原料化合物、酸化剤等により異なるが、通常、−50〜0℃であり、好適には、−40〜−10℃である。本工程の反応時間は、使用する、溶剤、原料化合物、酸化剤、反応温度等により異なるが、通常、30分〜6時間であり、好適には、1〜2時間である。
【0091】
反応終了後、化合物(I)は、定法に従って、反応混合物から単離することができる。
たとえば、以下の操作を順次行う:
(操作1)得られる反応混合物に塩基性水溶液(たとえば、アルカリ金属水酸化物の水溶液、特に、水酸化ナトリウム水溶液)を加え、激しく撹拌または激しく振とう後静置し、有機層を分離して水層(a)を得;
(操作2)水層(a)に有機溶剤(たとえば、クロロホルム、ジクロロメタン、四塩化炭素、ジクロロエタンのようなハロゲン化炭化水素類、酢酸エチル、酢酸メチル、酢酸n-ブチルのような有機酸エステル類、トルエンのような芳香族炭化水素類、ブタノールを含むアルコール類及びこれらの混合物)を加え、激しく撹拌または激しく振とう後静置し、有機層を分離して水層(b)を得;
(操作3)水層(b)に同有機溶剤を加え、pHが8.0−11.0の状態で、激しく撹拌または激しく振とう後静置し、分離して有機層(a)と水層(c)を得(この際、適宜、緩衝水溶液(たとえば、酢酸アンモニウム水溶液、酢酸)を加えてもよい。);
(操作4)水層(c)に同有機溶剤を加え、激しく撹拌または激しく振とう後静置し、分離して有機層(b)を得、有機層(a)と合わせ、さらに水または重曹水を加え、激しく撹拌または激しく振とう後静置し、水層を除去して得られる有機層(c)を濃縮する。
特に、濃縮後、以下のような有機溶剤を用いて結晶化することにより、精製度の高い化合物(I)を、結晶として製造することができる:
ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、t−ブチルメチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメトキシエタンのようなエーテル類(特に、ジエチルエーテル);
アセトニトリルのようなニトリル類(特に、アセトニトリル);
ベンゼン、トルエン、キシレンのような芳香族炭化水素類(特に、トルエン);
メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、イソブチルアルコールのようなアルコール類(特に、イソプロパノール);
アセトン、メチルエチルケトンのようなケトン類(特に、アセトン);
酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n-ブチル、炭酸ジメチル、炭酸ジエチルのような有機酸エステル類(特に、酢酸n-ブチル);または
これらの溶剤との混合溶剤(特に、ニトリル類と有機酸エステル類との混合物)。
【0092】
上記(操作1)で得られた水層(a)、または(操作1)および(操作2)で得られた水層(b)を濃縮や精製を行わず、上記製造方法Aに使用することもできる。
【0093】
以下に、実施例および参考例を示し、本発明をより具体的に説明する。但し、これらの記載は、例示的なものであって、本発明は、如何なる場合もこれらに限定されるものではない。
【0094】
本発明で用いる用語「スルホン体(VI)」とは、式、
【0095】
【化15】

【0096】
で表わされる、2−[{4−(3−メトキシプロポキシ)−3−メチルピリジン−2−イル}メチルスルホニル]−1H−ベンズイミダゾールを意味する。
【0097】
下記において使用する略号の意味は、以下の通りである:
mcpba:メタクロロ過安息香酸、
TLC:薄層クロマトグラフィー、
HPLC:高速液体クロマトグラフィー。
【実施例】
【0098】
2−クロロメチル−4−(3−メトキシプロポキシ)−3−メチルピリジンの合成
(参考例1)
2−ヒドロキシメチル−4−(3−メトキシプロポキシ)−3−メチルピリジン5.0g(23.7mmol)をトルエン40mlに溶解し、これに25℃を超えないように塩化チオニル4.23g(35.6mmol)を滴下した。室温で撹拌後、TLCにより原料の消失を確認後、減圧濃縮することにより2−クロロメチル−4−(3−メトキシプロポキシ)−3−メチルピリジン6.13gを得た(収率:97.3%)。
【0099】
(参考例2)
2−ヒドロキシメチル−4−(3−メトキシプロポキシ)−3−メチルピリジン5.0g(23.7mmol)を酢酸エチル40mlに溶解し、これに25℃を超えないように塩化チオニル4.23g(35.6mmol)を滴下した。室温で撹拌後、TLCにより原料の消失を確認後、減圧濃縮することにより2−クロロメチル−4−(3−メトキシプロポキシ)−3−メチルピリジン6.14gを得た(収率:97.4%)。
【0100】
(参考例3)
2−ヒドロキシメチル−4−(3−メトキシプロポキシ)−3−メチルピリジン5.0g(23.7mmol)をジメトキシエタン40mlに溶解し、これに25℃を超えないように塩化チオニル4.23g(35.6mmol)を滴下した。室温で撹拌後、TLCにより原料の消失を確認後、減圧濃縮することにより2−クロロメチル−4−(3−メトキシプロポキシ)−3−メチルピリジン6.25gを得た(収率:99.2%)。
【0101】
(参考例4)
2−ヒドロキシメチル−4−(3−メトキシプロポキシ)−3−メチルピリジン5.0g(23.7mmol)をジクロロメタン40mlに溶解し、これに25℃を超えないように塩化チオニル4.23g(35.6mmol)を滴下した。室温で撹拌後、TLCにより原料の消失を確認後、減圧濃縮することにより2−クロロメチル−4−(3−メトキシプロポキシ)−3−メチルピリジン6.23gを得た(収率:99.0%)。
【0102】
2−[{4−(3−メトキシプロポキシ)−3−メチルピリジン−2−イル}メチルチオ]−1H−ベンズイミダゾールの合成
(参考例5−1)
2−クロロメチル−4−(3−メトキシプロポキシ)−3−メチルピリジン53.2g(200mmol)、変性エタノール320ml、2−ベンズイミダゾ−ルチオール30.2g(201mmol)、水酸化ナトリウム26.8g(670mmol)を加え、50℃で約2時間反応した。TLCにより原料の消失を確認後、減圧濃縮し、酢酸エチル430mlおよび水340mlを加え、撹拌静置後、水層を分離した。有機層を10%水酸化ナトリウム水溶液110ml、水110ml×2で洗浄後、減圧濃縮し、粗2−[{4−(3−メトキシプロポキシ)−3−メチルピリジン−2−イル}メチルチオ]−1H−ベンズイミダゾール69.0gを得た(HPLC純度98.7%、収率101%)。
粗2−[{4−(3−メトキシプロポキシ)−3−メチルピリジン−2−イル}メチルチオ]−1H−ベンズイミダゾール5.00gを酢酸エチル25mlで結晶化後、濾過することにより2−[{4−(3−メトキシプロポキシ)−3−メチルピリジン−2−イル}メチルチオ]−1H−ベンズイミダゾール4.80gを得た(HPLC純度99.2%、収率96.0%)。
【0103】
(参考例5−2)
参考例5−1で得られた粗2−[{4−(3−メトキシプロポキシ)−3−メチルピリジン−2−イル}メチルチオ]−1H−ベンズイミダゾール5.00gをtert−ブチル(メチル)エーテル30mlで結晶化後、濾過することにより2−[{4−(3−メトキシプロポキシ)−3−メチルピリジン−2−イル}メチルチオ]−1H−ベンズイミダゾール4.50gを得た(HPLC純度99.2%、収率90.0%)。
【0104】
(参考例5−3)
参考例5−1で得られた粗2−[{4−(3−メトキシプロポキシ)−3−メチルピリジン−2−イル}メチルチオ]−1H−ベンズイミダゾール5.00gをジイソプロピルエーテル200mlで結晶化後、濾過することにより2−[{4−(3−メトキシプロポキシ)−3−メチルピリジン−2−イル}メチルチオ]−1H−ベンズイミダゾール4.94gを得た(HPLC純度99.1%、収率98.8%)。
【0105】
(参考例5−4)
参考例5−1で得られた粗2−[{4−(3−メトキシプロポキシ)−3−メチルピリジン−2−イル}メチルチオ]−1H−ベンズイミダゾール5.00gをトルエン30mlで結晶化後、濾過することにより2−[{4−(3−メトキシプロポキシ)−3−メチルピリジン−2−イル}メチルチオ]−1H−ベンズイミダゾール4.56gを得た(HPLC純度99.1%、収率91.2%)。
【0106】
(参考例5−5)
参考例5−1で得られた粗2−[{4−(3−メトキシプロポキシ)−3−メチルピリジン−2−イル}メチルチオ]−1H−ベンズイミダゾール5.00gをアセトニトリル40mlで結晶化後、濾過することにより2−[{4−(3−メトキシプロポキシ)−3−メチルピリジン−2−イル}メチルチオ]−1H−ベンズイミダゾール4.64gを得た(HPLC純度99.1%、収率92.8%)。
【0107】
(参考例5−6)
参考例5−1で得られた粗2−[{4−(3−メトキシプロポキシ)−3−メチルピリジン−2−イル}メチルチオ]−1H−ベンズイミダゾール5.00gをイソプロピルアルコール20mlで結晶化後、濾過することにより2−[{4−(3−メトキシプロポキシ)−3−メチルピリジン−2−イル}メチルチオ]−1H−ベンズイミダゾール4.55gを得た(HPLC純度99.1%、収率91.0%)。
【0108】
(参考例5−7)
参考例5−1で得られた粗2−[{4−(3−メトキシプロポキシ)−3−メチルピリジン−2−イル}メチルチオ]−1H−ベンズイミダゾール5.00gをアセトン20mlで結晶化後、濾過することにより2−[{4−(3−メトキシプロポキシ)−3−メチルピリジン−2−イル}メチルチオ]−1H−ベンズイミダゾール4.80gを得た(HPLC純度99.2%、収率96.0%)。
【0109】
(参考例5−8)
参考例5−1で得られた粗2−[{4−(3−メトキシプロポキシ)−3−メチルピリジン−2−イル}メチルチオ]−1H−ベンズイミダゾール5.00gを炭酸ジエチル90mlで結晶化後、濾過することにより2−[{4−(3−メトキシプロポキシ)−3−メチルピリジン−2−イル}メチルチオ]−1H−ベンズイミダゾール4.85gを得た(HPLC純度99.2%、収率97.0%)。
【0110】
2−[{4−(3−メトキシプロポキシ)−3−メチルピリジン−2−イル}メチルチオ]−1H−ベンズイミダゾール化工程
(参考例6−1)
2−クロロメチル−4−(3−メトキシプロポキシ)−3−メチルピリジン26.6g(100mmol)、変性エタノール160ml、2−ベンズイミダゾ−ルチオール15.0g(100mmol)、水酸化ナトリウム13.4g(335mmol)を加え、50℃で約2時間反応した。TLCにより原料の消失を確認後、減圧濃縮し、トルエン300mlおよび水168mlを加え、撹拌静置後、水層を分離した。有機層を10%水酸化ナトリウム水溶液50ml、水50ml×2で洗浄後、減圧濃縮し、粗2−[{4−(3−メトキシプロポキシ)−3−メチルピリジン−2−イル}メチルチオ]−1H−ベンズイミダゾール34.8gを得た(HPLC純度98.7%、収率101%)。
【0111】
(参考例6−2)
参考例6−1で得られた粗2−[{4−(3−メトキシプロポキシ)−3−メチルピリジン−2−イル}メチルチオ]−1H−ベンズイミダゾール3.00gを酢酸エチル12mlで結晶化後、濾過することにより2−[{4−(3−メトキシプロポキシ)−3−メチルピリジン−2−イル}メチルチオ]−1H−ベンズイミダゾール2.91gを得た(HPLC純度99.3%、収率97.0%)。
【0112】
(参考例6−3)
参考例6−1で得られた粗2−[{4−(3−メトキシプロポキシ)−3−メチルピリジン−2−イル}メチルチオ]−1H−ベンズイミダゾール3.00gをtert−ブチル(メチル)エーテル12mlで結晶化後、濾過することにより2−[{4−(3−メトキシプロポキシ)−3−メチルピリジン−2−イル}メチルチオ]−1H−ベンズイミダゾール2.79gを得た(HPLC純度99.2%、収率93.0%)。
【0113】
(参考例6−4)
参考例6−1で得られた粗2−[{4−(3−メトキシプロポキシ)−3−メチルピリジン−2−イル}メチルチオ]−1H−ベンズイミダゾール3.00gをトルエン15mlで結晶化後、濾過することにより2−[{4−(3−メトキシプロポキシ)−3−メチルピリジン−2−イル}メチルチオ]−1H−ベンズイミダゾール2.84gを得た(HPLC純度99.1%、収率94.5%)。
【0114】
(参考例6−5)
参考例6−1で得られた粗2−[{4−(3−メトキシプロポキシ)−3−メチルピリジン−2−イル}メチルチオ]−1H−ベンズイミダゾール3.00gをアセトニトリル21mlで結晶化後、濾過することにより2−[{4−(3−メトキシプロポキシ)−3−メチルピリジン−2−イル}メチルチオ]−1H−ベンズイミダゾール2.81gを得た(HPLC純度99.1%、収率93.5%)。
【0115】
(参考例6−6)
参考例6−1で得られた粗2−[{4−(3−メトキシプロポキシ)−3−メチルピリジン−2−イル}メチルチオ]−1H−ベンズイミダゾール3.00gをジイソプロピルアルコール9mlで結晶化後、濾過することにより2−[{4−(3−メトキシプロポキシ)−3−メチルピリジン−2−イル}メチルチオ]−1H−ベンズイミダゾール2.78gを得た(HPLC純度99.4%、収率92.5%)。
【0116】
(参考例6−7)
参考例6−1で得られた粗2−[{4−(3−メトキシプロポキシ)−3−メチルピリジン−2−イル}メチルチオ]−1H−ベンズイミダゾール3.00gをアセトン9mlで結晶化後、濾過することにより2−[{4−(3−メトキシプロポキシ)−3−メチルピリジン−2−イル}メチルチオ]−1H−ベンズイミダゾール2.91gを得た(HPLC純度99.3%、収率97.0%)。
【0117】
(参考例6−8)
参考例6−1で得られた粗2−[{4−(3−メトキシプロポキシ)−3−メチルピリジン−2−イル}メチルチオ]−1H−ベンズイミダゾール3.00gを炭酸ジエチル45mlで結晶化後、濾過することにより2−[{4−(3−メトキシプロポキシ)−3−メチルピリジン−2−イル}メチルチオ]−1H−ベンズイミダゾール2.93gを得た(HPLC純度99.3%、収率97.5%)。
【0118】
なお、参考例5−1〜参考例6−8におけるHPLC純度は、以下の条件にて求めた。
HPLC条件
カラム:Inertsil ODS−2(GLサイエンス社製)
移動相:アセトニトリル:水:酢酸アンモニウム=500:500:1
流速:0.7ml/min
カラム温度:35℃
検出器:258nm
【0119】
2−[{4−(3−メトキシプロポキシ)−3−メチルピリジン−2−イル}メチルスルフィニル]−1H−ベンズイミダゾールの合成
(参考例7)
2−[{4−(3−メトキシプロポキシ)−3−メチルピリジン−2−イル}メチルチオ]−1H−ベンズイミダゾール25.0g(72.8mmol)をジクロロメタンに溶解後冷却して、mcpba(70.2%純度)5.37g(21.8mmol)を内温が−15℃を超えないように少しずつ加えた。投入後10%水酸化ナトリウム水溶液70.8mlを加え、撹拌静置し水層を分離した。分離した水層をジクロロメタン48mlで2回洗浄した。そこへ2N−酢酸アンモニウム水溶液を投入後ジクロロメタン48mlで2回抽出した。ジクロロメタン層を水48mlで2回洗浄後、減圧濃縮し、ジクロロメタン14mlおよびアセトニトリル92mlで結晶化し、濾過し2−[{4−(3−メトキシプロポキシ)−3−メチルピリジン−2−イル}メチルスルフィニル]−1H−ベンズイミダゾール6.26gを得た(HPLC純度99.7%、収率23.9%)。
【0120】
(参考例8)
2−[{4−(3−メトキシプロポキシ)−3−メチルピリジン−2−イル}メチルチオ]−1H−ベンズイミダゾール25.0g(72.8mmol)をジクロロメタンに溶解後冷却して、mcpba(70.2%純度)5.37g(21.8mmol)を内温が−15℃を超えないように少しずつ加えた。投入後10%水酸化ナトリウム水溶液70.8mlを加え、撹拌静置し水層を分離した。分離した水層をジクロロメタン48mlで2回洗浄した。そこへ2N−酢酸アンモニウム水溶液を投入後、ジクロロメタン48mlで2回抽出した。ジクロロメタン層を水48mlで2回洗浄後、減圧濃縮し、酢酸エチル66mlで結晶化し、濾過し2−[{4−(3−メトキシプロポキシ)−3−メチルピリジン−2−イル}メチルスルフィニル]−1H−ベンズイミダゾール6.15gを得た(HPLC純度99.8%、収率23.5%)。
【0121】
(参考例9)
2−[{4−(3−メトキシプロポキシ)−3−メチルピリジン−2−イル}メチルチオ]−1H−ベンズイミダゾール25.0g(72.8mmol)をジクロロメタンに溶解後冷却して、mcpba(70.2%純度)7.16g(29.1mmol)を内温が−15℃を超えないように少しずつ加えた。投入後10%水酸化ナトリウム水溶液70.8mlを加え、撹拌静置し水層を分離した。分離した水層をジクロロメタン48mlで2回洗浄した。そこへ2N−酢酸アンモニウム水溶液を投入後、ジクロロメタン48mlで2回抽出した。ジクロロメタン層を水48mlで2回洗浄後、減圧濃縮し、ジクロロメタン18mlおよびアセトン120mlで結晶化し、濾過し2−[{4−(3−メトキシプロポキシ)−3−メチルピリジン−2−イル}メチルスルフィニル]−1H−ベンズイミダゾール8.56gを得た(HPLC純度99.7%、収率32.7%)。
【0122】
(参考例10)
2−[{4−(3−メトキシプロポキシ)−3−メチルピリジン−2−イル}メチルチオ]−1H−ベンズイミダゾール25.0g(72.8mmol)をジクロロメタンに溶解後冷却して、mcpba(70.2%純度)7.16g(29.1mmol)を内温が−15℃を超えないように少しずつ加えた。投入後10%水酸化ナトリウム水溶液70.8mlを加え、撹拌静置し、水層を分離した。分離した水層をジクロロメタン48mlで2回洗浄した。そこへ2N−酢酸アンモニウム水溶液を投入後ジクロロメタン48mlで2回抽出した。ジクロロメタン層を水48mlで2回洗浄後、減圧濃縮し、イソプロピルアルコール88mlで結晶化し、濾過し2−[{4−(3−メトキシプロポキシ)−3−メチルピリジン−2−イル}メチルスルフィニル]−1H−ベンズイミダゾール8.29gを得た(HPLC純度99.7%、収率31.7%)。
【0123】
(参考例11)
2−[{4−(3−メトキシプロポキシ)−3−メチルピリジン−2−イル}メチルチオ]−1H−ベンズイミダゾール25.0g(72.8mmol)をジクロロメタンに溶解後冷却して、mcpba(70.2%純度)7.16g(29.1mmol)を内温が−15℃を超えないように少しずつ加えた。投入後10%水酸化ナトリウム水溶液70.8mlを加え、撹拌静置し水層を分離した。分離した水層をジクロロメタン48mlで2回洗浄した。そこへ2N−酢酸アンモニウム水溶液を投入後ジクロロメタン48mlで2回抽出した。ジクロロメタン層を水48mlで2回洗浄後、減圧濃縮し、アセトニトリル132mlで結晶化し、濾過し2−[{4−(3−メトキシプロポキシ)−3−メチルピリジン−2−イル}メチルスルフィニル]−1H−ベンズイミダゾール8.25gを得た(HPLC純度99.7%、収率31.5%)。
【0124】
(参考例12)
2−[{4−(3−メトキシプロポキシ)−3−メチルピリジン−2−イル}メチルチオ]−1H−ベンズイミダゾール25.0g(72.8mmol)をジクロロメタンに溶解後冷却して、mcpba(70.2%純度)8.95g(36.4mmol)を内温が−15℃を超えないように少しずつ加えた。投入後10%水酸化ナトリウム水溶液70.8mlを加え、撹拌静置し水層を分離した。分離した水層をジクロロメタン48mlで2回洗浄した。そこへ2N−酢酸アンモニウム水溶液を投入後ジクロロメタン48mlで2回抽出した。ジクロロメタン層を水48mlで2回洗浄後、減圧濃縮しアセトン165mlで結晶化し、濾過し2−[{4−(3−メトキシプロポキシ)−3−メチルピリジン−2−イル}メチルスルフィニル]−1H−ベンズイミダゾール10.8gを得た(HPLC純度99.6%、収率41.4%)。
【0125】
(参考例13)
2−[{4−(3−メトキシプロポキシ)−3−メチルピリジン−2−イル}メチルチオ]−1H−ベンズイミダゾール25.0g(72.8mmol)をジクロロメタンに溶解後冷却して、mcpba(70.2%純度)8.95g(36.4mmol)を内温が−15℃を超えないように少しずつ加えた。投入後10%水酸化ナトリウム水溶液70.8mlを加え、撹拌静置し水層を分離した。分離した水層はジクロロメタン48mlで2回洗浄した。そこへ2N−酢酸アンモニウム水溶液を投入後ジクロロメタン48mlで2回抽出した。ジクロロメタン層を水48mlで2回洗浄後、減圧濃縮しトルエン110mlで結晶化、濾過し2−[{4−(3−メトキシプロポキシ)−3−メチルピリジン−2−イル}メチルスルフィニル]−1H−ベンズイミダゾール10.6gを得た(HPLC純度99.6%、収率40.4%)。
【0126】
(参考例14)
2−[{4−(3−メトキシプロポキシ)−3−メチルピリジン−2−イル}メチルチオ]−1H−ベンズイミダゾール25.0g(72.8mmol)をジクロロメタンに溶解後冷却して、mcpba(70.2%純度)8.95g(36.4mmol)を内温が−15℃を超えないように少しずつ加えた。投入後10%水酸化ナトリウム水溶液70.8mlを加え、撹拌静置し水層を分離した。分離した水層はジクロロメタン48mlで2回洗浄した。そこへ2N−酢酸アンモニウム水溶液を投入後ジクロロメタン48mlで2回抽出した。ジクロロメタン層を水48mlで2回洗浄後、減圧濃縮しジクロロメタン28mlおよび酢酸エチル184mlで結晶化し、濾過し2−[{4−(3−メトキシプロポキシ)−3−メチルピリジン−2−イル}メチルスルフィニル]−1H−ベンズイミダゾール10.9gを得た(HPLC純度99.7%、収率41.7%)。
【0127】
(参考例15)
2−[{4−(3−メトキシプロポキシ)−3−メチルピリジン−2−イル}メチルチオ]−1H−ベンズイミダゾール25.0g(72.8mmol)をジクロロメタンに溶解後冷却して、mcpba(70.2%純度)10.7g(43.7mmol)を内温が−15℃を超えないように少しずつ加えた。投入後10%水酸化ナトリウム水溶液70.8mlを加え、撹拌静置し水層を分離した。分離した水層はジクロロメタン48mlで2回洗浄した。そこへ2N−酢酸アンモニウム水溶液を投入後ジクロロメタン48mlで2回抽出した。ジクロロメタン層を水48mlで2回洗浄後、減圧濃縮し、アセトン198mlで結晶化し、濾過し2−[{4−(3−メトキシプロポキシ)−3−メチルピリジン−2−イル}メチルスルフィニル]−1H−ベンズイミダゾール12.6gを得た(HPLC純度99.3%、収率48.3%)。
【0128】
(参考例16)
2−[{4−(3−メトキシプロポキシ)−3−メチルピリジン−2−イル}メチルチオ]−1H−ベンズイミダゾール25.0g(72.8mmol)をジクロロメタンに溶解後冷却して、mcpba(70.2%純度)10.7g(43.7mmol)を内温が−15℃を超えないように少しずつ加えた。投入後10%水酸化ナトリウム水溶液70.8mlを加え、撹拌静置し水層を分離した。分離した水層はジクロロメタン48mlで2回洗浄した。そこへ2N−酢酸アンモニウム水溶液を投入後ジクロロメタン48mlで2回抽出した。ジクロロメタン層を水48mlで2回洗浄後、減圧濃縮しジクロロメタン27mlおよびエーテル220mlで結晶化し、濾過し2−[{4−(3−メトキシプロポキシ)−3−メチルピリジン−2−イル}メチルスルフィニル]−1H−ベンズイミダゾール14.5gを得た(HPLC純度99.1%、収率55.4%)。
【0129】
(参考例17)
2−ヒドロキシメチル−4−(3−メトキシプロポキシ)−3−メチルピリジン12.02g(56.9mmol)およびトルエン96.0mlの混合溶液に25℃(内温)を超えないように塩化チオニル8.11g(68.2mmol)を滴下し、室温で約90分攪拌した。この混合溶液にエタノール24.0mlを加え、2−クロロメチル−4−(3−メトキシプロポキシ)−3−メチルピリジン溶液を得た。
この2−クロロメチル−4−(3−メトキシプロポキシ)−3−メチルピリジン溶液に、室温下で2−ベンズイミダゾールチオール8.71g(58.0mmol)を加え、次いで温度(内温)を65℃に徐々に上げながら、25%水酸化ナトリウム水溶液40.6gを少しずつ加えた。反応混合物を65℃(内温)で約1時間半撹拌した。反応混合物中に、65℃にて水60.0mlを加え、次いで25%水酸化ナトリウム水溶液を0.2g加え、攪拌した。この反応混合物を静置し、水層を分離した。有機層を水20.0mlで2回洗浄し、有機層にトルエン79.6ml、メタノール21.5mlを加え、2−[[4−(3−メトキシプロポキシ)−3−メチルピリジン−2−イル]メチルチオ]−1H−ベンズイミダゾール溶液を得た。
この2−[[4−(3−メトキシプロポキシ)−3−メチルピリジン−2−イル]メチルチオ]−1H−ベンズイミダゾール溶液を−30℃(外温)に冷却し、mcpba(70.2%純度)14.39g(58.5mmol)、メタノール12.4mlおよびトルエン10.5mlの溶液を内温が−25℃を越えないように約1時間かけて加え、さらに1時間半攪拌した。反応混合物へ25%水酸化ナトリウム水溶液22.73g、水17.6mlを加え、攪拌した。この反応混合物を静置し、有機層を分離し、2−[{4−(3−メトキシプロポキシ)−3−メチルピリジン−2−イル}メチルスルフィニル]−1H−ベンズイミダゾールを含むアルカリ水溶液を得た。
【0130】
なお、参考例7〜参考例16におけるHPLC純度は、以下の条件にて求めた。
HPLC条件
カラム:Nucleosil5c18(ケムコ社製)
移動相:メタノール:リン酸緩衝液(pH7)=3:2
流速:1.0ml/min
検出器:290nm
【0131】
実施例1−1から3−1における出発原料として使用する化合物(VII)は、前記特許文献1に記載された方法または当該方法の公知の改良方法(たとえば、日本特許公開公報 特開平11−71370号、特開平2000−143659号、国際特許公開パンフレット WO01/68594号、欧州特許公開 EP1,2705,55号など)により製造することができる、スルホン体(VI)を1.61%含んでいるもの、1.44%含んでいるもの、0.57%含んでいるもの、0.56%含んでいるものまたは0.45%含んでいるものを用いた。
【0132】
実施例1−1
2−[{4−(3−メトキシプロポキシ)−3−メチルピリジン−2−イル}メチルスルフィニル]−1H−ベンズイミダゾールとイソプロピルアミンとの塩の合成
2−[{4−(3−メトキシプロポキシ)−3−メチルピリジン−2−イル}メチルスルフィニル]−1H−ベンズイミダゾール(3.00g、8.35mmol、スルホン体(VI)1.44%含有)にアセトニトリル(30ml)を加え、55℃(外温)で溶解し、溶解後イソプロピルアミン(4.97ml、58.4mmol)を加えた。この混合液を30℃(外温)で冷却し、その後ヘキサン(15ml)および微量の種結晶(2−[{4−(3−メトキシプロポキシ)−3−メチルピリジン−2−イル}メチルスルフィニル]−1H−ベンズイミダゾールとイソプロピルアミンとの塩の結晶)を加え、約2時間攪拌した。次いでこの混合液を−25℃(外温)で冷却し、一晩攪拌した。混合液中に析出した結晶をろ取し、−30℃で冷却したアセトニトリル(10ml)で洗浄し、室温下減圧乾燥して、標記化合物の白色結晶、3.30g(7.88mmol、収率94.5%、スルホン体(VI)0.02%含有)を得た。
1H-NMR(400MHz, CDCl3) δ: 1.08 (d, J=6.3Hz, 6H), 2.08 (tt, J=6.1, 6.1Hz, 2H), 2.20 (s, 3H), 2.84 (brs 3H), 3.11 (sept, J=6.3Hz, 1H), 3.36 (s, 3H), 3.55 (t, J=6.1Hz, 2H), 4.11 (t, J=6.1Hz, 2H), 4.65 (d, J=13.7Hz, 1H), 4.83 (d, J=13.7Hz, 1H), 6.75 (d, J=5.9Hz, 1H), 7.33 (dd, J=3.2, 6.1Hz, 2H), 7.66 (dd, J=3.2, 6.1Hz, 2H), 8.31 (d, J=5.9Hz, 1H).
【0133】
なお、スルホン体(VI)の含量は以下の条件のHPLC(高速液体クロマトグラフィー)分析より測定した。
[HPLC分析条件]
Column; YMC-Pack Pro C18 AS-303 250mm×4.6mmI.D.
Mobile phase; MeOH/H2O/AcONH4=550mL/450mL/2g
Flow rate; 1.0 mL/min,
Detect.; UV 290nm, Column temp.;35℃
【0134】
実施例1−2
2−[{4−(3−メトキシプロポキシ)−3−メチルピリジン−2−イル}メチルスルフィニル]−1H−ベンズイミダゾールとイソプロピルアミンとの塩の合成
2−[{4−(3−メトキシプロポキシ)−3−メチルピリジン−2−イル}メチルスルフィニル]−1H−ベンズイミダゾール(3.00g、8.35mmol、スルホン体(VI)0.56%含有)に酢酸エチル(45ml)を加え、55℃(外温)で溶解し、溶解後イソプロピルアミン(4.97ml、58.4mmol)を加えた。この混合液を徐冷し、室温にて約7時間攪拌した。混合液中に析出した結晶をろ取し、酢酸エチル(20ml)で洗浄し、室温下減圧乾燥して標記化合物の白色結晶、2.63g(6.28mmol、収率75.3%、スルホン体(VI)0.17%含有)を得た。
得られた塩は、NMRデータより実施例1−1と同じであることを確認し、スルホン体の含量については、実施例1−1と同じ条件にて確認した。
【0135】
実施例1−3
2−[{4−(3−メトキシプロポキシ)−3−メチルピリジン−2−イル}メチルスルフィニル]−1H−ベンズイミダゾールとイソプロピルアミンとの塩の合成
原料として2−[{4−(3−メトキシプロポキシ)−3−メチルピリジン−2−イル}メチルスルフィニル]−1H−ベンズイミダゾール(3.00g、8.35mmol、スルホン体(VI)0.57%含有)を用い、溶媒を酢酸エチル(45ml)の代わりにテトラヒドロフラン(15ml)を用い、結晶の洗浄において酢酸エチル(20ml)の代わりにテトラヒドロフラン(10ml)を用いた。
その他は、実施例1−2の方法と同様に行い、標記化合物の白色結晶、2.64g(6.31mmol、収率75.6%、スルホン体(VI)0.02%未満含有)を得た。
得られた塩は、NMRデータより実施例1−1と同じであることを確認し、スルホン体の含量については、実施例1−1と同じ条件にて確認した。
【0136】
実施例1−4
2−[{4−(3−メトキシプロポキシ)−3−メチルピリジン−2−イル}メチルスルフィニル]−1H−ベンズイミダゾールとイソプロピルアミンとの塩の合成
原料として2−[{4−(3−メトキシプロポキシ)−3−メチルピリジン−2−イル}メチルスルフィニル]−1H−ベンズイミダゾール(3.00g、8.35mmol、スルホン体(VI)1.44%含有)を用い、溶媒を酢酸エチル(45ml)の代わりにアセトニトリル(30ml)を用い、アミン添加後の一晩撹拌を0℃(外温)で行った。
その他は、実施例1−2の方法と同様に行い、標記化合物の白色結晶、2.90g(6.93mmol、収率83.0%、スルホン体(VI)0.02%未満含有)を得た。
得られた塩は、NMRデータより実施例1−1と同じであることを確認し、スルホン体の含量については、実施例1−1と同じ条件にて確認した。
【0137】
実施例1−5
2−[{4−(3−メトキシプロポキシ)−3−メチルピリジン−2−イル}メチルスルフィニル]−1H−ベンズイミダゾールとイソプロピルアミンとの塩の合成
原料として2−[{4−(3−メトキシプロポキシ)−3−メチルピリジン−2−イル}メチルスルフィニル]−1H−ベンズイミダゾール(3.00g、8.35mmol、スルホン体(VI)1.44%含有)を用い、ヘキサン(15ml)の代わりにt−ブチルメチルエーテル(9ml)を用い、アミン添加後の一晩撹拌を0℃(外温)で行った。
その他は、実施例1−1の方法と同様に行い、標記化合物の白色結晶、2.89g(6.91mmol、収率82.7%、スルホン体(VI)0.02%未満含有)を得た。
得られた塩は、NMRデータより実施例1−1と同じであることを確認し、スルホン体(VI)の含量については、実施例1−1と同じ条件にて確認した。
【0138】
実施例1−6
2−[{4−(3−メトキシプロポキシ)−3−メチルピリジン−2−イル}メチルスルフィニル]−1H−ベンズイミダゾールとイソプロピルアミンとの塩の合成
原料として2−[{4−(3−メトキシプロポキシ)−3−メチルピリジン−2−イル}メチルスルフィニル]−1H−ベンズイミダゾール(3.00g、8.35mmol、スルホン体(VI)1.44%含有)を用い、アミン添加後の一晩撹拌を0℃(外温)で行い、その他は、実施例1−1の方法と同様に行い、標記化合物の白色結晶を3.17g(7.57mmol、収率90.6%、スルホン体(VI)0.02%未満含有)得た。
【0139】
実施例1−7
2−[{4−(3−メトキシプロポキシ)−3−メチルピリジン−2−イル}メチルスルフィニル]−1H−ベンズイミダゾールとイソプロピルアミンとの塩の合成
原料として2−[{4−(3−メトキシプロポキシ)−3−メチルピリジン−2−イル}メチルスルフィニル]−1H−ベンズイミダゾール(3.01g、8.37mmol、スルホン体(VI)1.44%含有)を用い、イソプロピルアミンの使用量を(4.97ml、58.4mmol)から(2.13ml、25.0mmol)へ変更した。
また、ヘキサンの使用量を15mlから9mlへ変更した。アミン添加後の一晩撹拌を0℃(外温)で行い、その他は、実施例1−1の方法と同様に行い、標記化合物の白色結晶、3.16g(7.55mmol、収率90.2%、スルホン体(VI)0.03%含有)を得た。
得られた塩は、NMRデータより実施例1−1と同じであることを確認し、スルホン体の含量については、実施例1−1と同じ条件にて確認した。
【0140】
実施例1−8
2−[{4−(3−メトキシプロポキシ)−3−メチルピリジン−2−イル}メチルスルフィニル]−1H−ベンズイミダゾールとイソプロピルアミンとの塩の合成
2−[{4−(3−メトキシプロポキシ)−3−メチルピリジン−2−イル}メチルスルフィニル]−1H−ベンズイミダゾール(3.00g、8.35mmol、スルホン体(VI)1.44%含有)をアセトニトリル28.1mlおよびイソプロピルアミン5.0mlに30℃で溶解し、溶解後、酢酸n-ブチルエステル23.0mlおよび微量の種結晶(2−[{4−(3−メトキシプロポキシ)−3−メチルピリジン−2−イル}メチルスルフィニル]−1H−ベンズイミダゾールとイソプロピルアミンとの塩の結晶)を加え、1時間攪拌後−25℃まで冷却し、一晩攪拌した。析出した結晶をろ取し、−25℃(外温)で冷却したアセトニトリル5mlで洗浄し、室温で減圧乾燥して、標記化合物の白色結晶3.46g(収率93.7%、スルホン体(VI)0.02%未満含有)を得た。スルホン体の含量については、実施例1−1と同じ条件にて確認した。
1H-NMR(400 MHz, CDCl3) δ: 1.08 (d, J=6.3Hz, 6H), 2.07 (tt, J=6.1, 6.1Hz, 2H), 2.18 (s, 3H), 3.11 (sept, J=6.3Hz, 1H), 3.35 (s, 3H), 3.54 (t, J=6.1Hz, 2H), 4.09 ( t, J=6.1Hz, 2H), 4.66 (d, J=13.7Hz, 1H), 4.82 (d, J=13.7Hz, 1H), 6.73 (d, J=5.6Hz, 1H), 7.30-7.34 (m, 2H), 7.62-7.67 (m, 2H), 8.30 (d, J=5.6Hz, 1H).
【0141】
実施例2−1
2−[{4−(3−メトキシプロポキシ)−3−メチルピリジン−2−イル}メチルスルフィニル]−1H−ベンズイミダゾールとシクロペンチルアミンとの塩の合成
2−[{4−(3−メトキシプロポキシ)−3−メチルピリジン−2−イル}メチルスルフィニル]−1H−ベンズイミダゾール(3.00g、8.35mmol、スルホン体(VI)0.57%含有)にトルエン(60ml)を加え、55℃で溶解し、溶解後シクロペンチルアミン(5.76ml、58.4mmol)を加えた。この混合液を−10℃(外温)で冷却し、一晩攪拌した。
混合液中に析出した結晶をろ取し、−30℃で冷却したトルエン(10ml)で洗浄し、室温下減圧乾燥して、標記化合物の白色結晶、2.97g(6.68mmol、収率80.0%、スルホン体(VI)0.06%含有)を得た。スルホン体の含量については、実施例1−1と同じ条件にて確認した。
1H-NMR(400MHz, CDCl3) δ: 1.23-1.33 (m, 2H), 1.51-1.58 (m, 2H), 1.66-1.75 (m, 2H), 1.80-1.87 (m, 2H), 2.06 (tt, J=6.1, 6.1Hz, 2H), 2.17 (s, 3H), 3.30-3.38 (m, 1H), 3.35 (s, 3H), 3.49 (brs 3H), 3.53 (t, J=6.1Hz, 2H), 4.08 (t, J=6.1Hz, 2H), 4.70 (d, J=13.7Hz, 1H), 4.81 (d, J=13.7Hz, 1H), 6.72 (d, J=5.6Hz, 1H), 7.31 (dd, J=3.2, 6.1Hz, 2H), 7.63 (dd, J=3.2, 6.1Hz, 2H), 8.29 (d, J=5.6Hz, 1H).
【0142】
実施例2−2
2−[{4−(3−メトキシプロポキシ)−3−メチルピリジン−2−イル}メチルスルフィニル]−1H−ベンズイミダゾールとシクロペンチルアミンとの塩の合成
原料として2−[{4−(3−メトキシプロポキシ)−3−メチルピリジン−2−イル}メチルスルフィニル]−1H−ベンズイミダゾール(3.01g、8.37mmol、スルホン体(VI)0.57%含有)を用い、溶媒をトルエン(60ml)の代わりに酢酸エチル(45ml)を用い、アミン添加後の一晩撹拌を−40℃(外温)で行った。
その他は、実施例2−1の方法と同様に行い、標記化合物の白色結晶、3.21g(7.22mmol、収率86.4%、スルホン体(VI)0.26%含有)を得た。
得られた塩は、NMRデータより実施例2−1と同じであることを確認し、スルホン体の含量については、実施例1−1と同じ条件にて確認した。
【0143】
実施例2−3
2−[{4−(3−メトキシプロポキシ)−3−メチルピリジン−2−イル}メチルスルフィニル]−1H−ベンズイミダゾールとシクロペンチルアミンとの塩の合成
原料として2−[{4−(3−メトキシプロポキシ)−3−メチルピリジン−2−イル}メチルスルフィニル]−1H−ベンズイミダゾール(3.00g、8.35mmol、スルホン体(VI)0.57%含有)を用い、溶媒をトルエン(60ml)の代わりにイソプロパノール(21ml)を用い、アミン添加後の一晩撹拌を−40℃(外温)で行った。
その他は、実施例2−1の方法と同様に行い、標記化合物の白色結晶、3.30g(7.42mmol、収率88.9%、スルホン体(VI)0.26%含有)を得た。
得られた塩は、NMRデータより実施例2−1と同じであることを確認し、スルホン体の含量については、実施例1−1と同じ条件にて確認した。
【0144】
実施例2−4
2−[{4−(3−メトキシプロポキシ)−3−メチルピリジン−2−イル}メチルスルフィニル]−1H−ベンズイミダゾールとシクロペンチルアミンとの塩の合成
原料として2−[{4−(3−メトキシプロポキシ)−3−メチルピリジン−2−イル}メチルスルフィニル]−1H−ベンズイミダゾール(3.00g、8.35mmol、スルホン体(VI)0.45%含有)をアセトニトリル28.1mlおよびシクロペンチルアミン5.7mlに溶解し、酢酸n-ブチルエステル23.0mlを加えて10℃に冷却後、微量の種結晶(2−[{4−(3−メトキシプロポキシ)−3−メチルピリジン−2−イル}メチルスルフィニル]−1H−ベンズイミダゾールとシクロペンチルアミンとの塩の結晶)を加え、1時間攪拌後−25℃まで冷却し、一晩攪拌した。析出した結晶をろ取し、−25℃(外温)で冷却したアセトニトリル5mlで洗浄し、室温で減圧乾燥して、標記化合物の白色結晶3.35g(収率90.3%、スルホン体(VI)0.06%含有)を得た。
得られた塩は、NMRデータより実施例2−1と同じであることを確認し、スルホン体の含量については、実施例1−1と同じ条件にて確認した。
【0145】
実施例3−1
2−[{4−(3−メトキシプロポキシ)−3−メチルピリジン−2−イル}メチルスルフィニル]−1H−ベンズイミダゾールとsec−ブチルアミンとの塩の合成
2−[{4−(3−メトキシプロポキシ)−3−メチルピリジン−2−イル}メチルスルフィニル]−1H−ベンズイミダゾール(3.00g、8.35mmol、スルホン体(VI)0.57%含有)に酢酸エチル(45ml)を加え、55℃で溶解し、溶解後sec−ブチルアミン(5.90ml、58.4mmol)を加えた。この混合液を−40℃(外温)で冷却し、一晩攪拌した。
混合液中に析出した結晶をろ取し、−30℃で冷却した酢酸エチル(10ml)で洗浄し、室温下減圧乾燥して、標記化合物の白色結晶、3.14g(7.26mmol、収率86.9%、スルホン体(VI)0.02%未満含有)を得た。スルホン体の含量については、実施例1−1と同じ条件にて確認した。
1H-NMR(400MHz, CDCl3) δ: 0.91 (d, J=7.4Hz, 3H), 1.06 (d, J=6.3Hz, 3H), 1.31-1.39 (m, 2H), 2.07 (tt, J=6.1, 6.1Hz, 2H), 2.19 (s, 3H), 2.80 (brs 3H), 2.77-2.84 (m, 1H), 3.36 (s, 3H), 3.55 (t, J=6.1Hz, 2H), 4.10 (t, J=6.1Hz, 2H), 4.66 (d, J=13.7Hz, 1H), 4.82 (d, J=13.7Hz, 1H), 6.74 (d, J=5.6Hz, 1H), 7.33 (dd, J=3.2, 6.1Hz, 2H), 7.66 (dd, J=3.2, 6.1Hz, 2H), 8.31 (d, J=5.6Hz, 1H).
【0146】
実施例3−2
2−[{4−(3−メトキシプロポキシ)−3−メチルピリジン−2−イル}メチルスルフィニル]−1H−ベンズイミダゾールとsec−ブチルアミンとの塩の合成
2−[{4−(3−メトキシプロポキシ)−3−メチルピリジン−2−イル}メチルスルフィニル]−1H−ベンズイミダゾール(3.00g、8.35mmol、スルホン体(VI)0.45%含有)をアセトニトリル51.0ml、sec−ブチルアミン5.93mlに溶解し、溶解後、15℃に冷却後、微量の種結晶(2−[{4−(3−メトキシプロポキシ)−3−メチルピリジン−2−イル}メチルスルフィニル]−1H−ベンズイミダゾールとsec−ブチルアミンとの塩の結晶)を加え、1時間攪拌後−25℃まで冷却し、一晩攪拌した。析出した結晶をろ取し、−25℃(外温)で冷却したアセトニトリル5mlで洗浄し、室温で減圧乾燥して、標記化合物の白色結晶3.15g(収率87.1%、スルホン体(VI)0.02%未満含有)を得た。
得られた塩は、NMRデータより実施例3−1と同じであることを確認し、スルホン体の含量については、実施例1−1と同じ条件にて確認した。
【0147】
実施例3−3
2−[{4−(3−メトキシプロポキシ)−3−メチルピリジン−2−イル}メチルスルフィニル]−1H−ベンズイミダゾールとsec−ブチルアミンとの塩の合成
2−[{4−(3−メトキシプロポキシ)−3−メチルピリジン−2−イル}メチルスルフィニル]−1H−ベンズイミダゾール(3.00g、8.35mmol、スルホン体(VI)1.61%含有)をアセトニトリル28.1mlおよびsec−ブチルアミン5.9mlに溶解し、溶解後、炭酸ジエチル23.0mlを加え、15℃に冷却した後、微量の種結晶(2−[{4−(3−メトキシプロポキシ)−3−メチルピリジン−2−イル}メチルスルフィニル]−1H−ベンズイミダゾールとsec−ブチルアミンとの塩の結晶)を加え、1時間攪拌後−25℃まで冷却し、一晩攪拌した。析出した結晶をろ取し、−25℃(外温)で冷却したアセトニトリル5mlで洗浄し、室温で減圧乾燥して、標記化合物の白色結晶3.23g(収率89.4%、スルホン体(VI)0.02%未満含有)を得た。
得られた塩は、NMRデータより実施例3−1と同じであることを確認し、スルホン体の含量については、実施例1−1と同じ条件にて確認した。
【0148】
下記実施例1X−1、2X−1、3X−1における出発原料である、2−[{4−(3−メトキシプロポキシ)−3−メチルピリジン−2−イル}メチルスルフィニル]−1H−ベンズイミダゾールを含むアルカリ溶液は、前記参考例7〜17、または特開平11−71370号(実施例1)と同様の方法で得られる、化合物(VII)の水酸化ナトリウム水溶液(反応後の水酸化ナトリウム水溶液による抽出液)を用いた。
【0149】
実施例1X−1
2−[{4−(3−メトキシプロポキシ)−3−メチルピリジン−2−イル}メチルスルフィニル]−1H−ベンズイミダゾールとイソプロピルアミンとの塩の合成
2−[{4−(3−メトキシプロポキシ)−3−メチルピリジン−2−イル}メチルスルフィニル]−1H−ベンズイミダゾール 7.37gを含むアルカリ溶液41.77g(スルホン体(VI)1.75%含有)に水64.4ml、トルエン69.4mlおよび1−ブタノール3.7mlを加え、攪拌し、次いで酢酸1.74gを加え、pHを9.0に調整した。この混合溶液をトルエン層と水層とを分離し、水層はトルエン54.0mlで再度抽出し、先に抽出したトルエン層と合わせた。このトルエン層を水15.4mlで洗浄し、次いでイソプロピルアミン5.7mlを加えて減圧濃縮した。得られた残渣にアセトニトリル58.0ml、イソプロピルアミン1.9mlを加えて再度減圧濃縮した。濃縮残渣にアセトニトリル62.3mlおよびイソプロピルアミン10.2mlを加えて30℃にて攪拌後、酢酸n-ブチルエステル54.6mlおよび微量の種結晶(2−[{4−(3−メトキシプロポキシ)−3−メチルピリジン−2−イル}メチルスルフィニル]−1H−ベンズイミダゾールとイソプロピルアミンとの塩)を加え、その後−25℃(外温)まで冷却し、一晩撹拌した。析出物を濾取し、−25℃(外温)で冷却したアセトニトリル15mlで洗浄後、室温で約6時間減圧乾燥し、標記化合物の白色結晶7.94g(収率92.5%、スルホン体(VI)0.02%未満含有)を得た。スルホン体の含量については、実施例1−1と同じ条件にて確認した。
1H-NMR(400MHz, CDCl3) δ: 1.07 (d, J=6.1Hz, 6H), 2.08 (tt, J=6.1, 6.1Hz, 2H), 2.20 (s, 3H), 3.11 (sept, J=6.1Hz, 1H), 3.36 (s, 3H), 3.55 (t, J=6.1Hz, 2H), 4.11 (t, J=6.1Hz, 2H), 4.63 (d, J=13.7Hz, 1H), 4.83 (d, J=13.7Hz, 1H), 6.75 (d, J=5.6Hz, 1H), 7.34 (dd, J=3.2, 6.2Hz, 2H), 7.67 (dd, J=3.2, 6.2Hz, 2H), 8.32 (d, J=5.6Hz, 1H).
【0150】
実施例1X−2
2−[{4−(3−メトキシプロポキシ)−3−メチルピリジン−2−イル}メチルスルフィニル]−1H−ベンズイミダゾール・ナトリウム塩のアセトン錯体の合成
2−[{4−(3−メトキシプロポキシ)−3−メチルピリジン−2−イル}メチルスルフィニル]−1H−ベンズイミダゾールとイソプロピルアミンとの塩2.51g(6.0mmol、スルホン体(VI)0.02%未満含有)にエタノール26.1ml、酢酸エチル26.1mlを加え、室温で溶解した。この溶液に5mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液1.11mlを加え、減圧濃縮した。得られた残渣に酢酸エチル50.4ml、アセトン2.5mlを加えて再度減圧濃縮した。得られた乾固物に酢酸エチル18.0ml、アセトン12.0mlを加えて溶解した。この混合溶液中へ微量の種結晶(2−[{4−(3−メトキシプロポキシ)−3−メチルピリジン−2−イル}メチルスルフィニル]−1H−ベンズイミダゾール・ナトリウム塩のアセトン錯体)を加え室温で一晩攪拌した。析出物を濾取し、アセトン7mlで洗浄後、室温で減圧乾燥し、標記化合物の白色結晶2.35g(5.3mmol、収率89.2%)を得た。
【0151】
実施例1X−3
2−[{4−(3−メトキシプロポキシ)−3−メチルピリジン−2−イル}メチルスルフィニル]−1H−ベンズイミダゾール・ナトリウム塩の合成
2−[{4−(3−メトキシプロポキシ)−3−メチルピリジン−2−イル}メチルスルフィニル]−1H−ベンズイミダゾール・ナトリウム塩のアセトン錯体2.35gを用い、WO2004−085424号 実施例6と同様の方法を行い、2−[{4−(3−メトキシプロポキシ)−3−メチルピリジン−2−イル}メチルスルフィニル]−1H−ベンズイミダゾール・ナトリウム塩2.07g(スルホン体(VI)0.02%未満含有)を得た。スルホン体の含量については、実施例1−1と同じ条件にて確認した。
1H-NMR(400MHz, DMSO-d6) δ: 1.97 (tt, J=6.1, 6.1Hz, 2H), 2.17 (s, 3H), 3.24 (s, 3H), 3.48 (t, J=6.1Hz, 2H), 4.09 (t, J=6.1Hz, 2H), 4.39 (d, J=12.9Hz, 1H), 4.74 (d, J=12.9Hz, 1H), 6.85 (dd, J=3.2, 6.1Hz, 2H), 6.92 (d, J=5.6Hz, 1H), 7.43 (dd, J=3.2, 6.1Hz, 2H), 8.27 (d, J=5.6Hz, 1H).
【0152】
実施例1X−4
2−[{4−(3−メトキシプロポキシ)−3−メチルピリジン−2−イル}メチルスルフィニル]−1H−ベンズイミダゾール・ナトリウム塩の合成
2−[{4−(3−メトキシプロポキシ)−3−メチルピリジン−2−イル}メチルスルフィニル]−1H−ベンズイミダゾールとイソプロピルアミンとの塩2.00g(4.8mmol、スルホン体(VI)0.02%未満含有)、水5.0ml、5mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液0.89mlを加え、攪拌溶解した後、水1.0mlで洗いこみ、凍結乾燥を行った。その後、50℃にて約21時間減圧乾燥し、標記化合物の白色固体1.79g(4.7mmol、収率98.0%、スルホン体(VI)0.02%未満含有)を得た。スルホン体の含量については、実施例1−1と同じ条件にて確認した。
1H-NMR(400MHz, DMSO-d6) δ: 1.97 (tt, J=6.1, 6.1 Hz, 2H), 2.17 (s, 3H), 3.24 (s, 3H), 3.48 (t, J=6.1Hz, 2H), 4.08 (t, J=6.1Hz, 2H), 4.39 (d, J=12.7Hz, 1H), 4.77 (d, J=12.7Hz, 1H), 6.86 (dd, J=3.2, 6.1Hz, 2H), 6.91 (d, J=5.6Hz, 1H), 7.44 (dd, J=3.2, 6.1Hz, 2H), 8.26 (d, J=5.6Hz, 1H).
【0153】
実施例2X−1
2−[{4−(3−メトキシプロポキシ)−3−メチルピリジン−2−イル}メチルスルフィニル]−1H−ベンズイミダゾールとシクロペンチルアミンとの塩の合成
2−[{4−(3−メトキシプロポキシ)−3−メチルピリジン−2−イル}メチルスルフィニル]−1H−ベンズイミダゾール 7.38gを含むアルカリ溶液41.66g(スルホン体(VI)1.66%含有)に水64.4ml、トルエン69.4mlおよび1−ブタノール3.7mlを加え、攪拌し、次いで酢酸1.98gおよび5mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液0.36gを加え、pHを9.0に調整した。この混合溶液をトルエン層と水層とを分離し、水層はトルエン54.0mlで再度抽出し、先に抽出したトルエン層と合わせた。このトルエン層を水25.9mlで洗浄し、次いでシクロペンチルアミン5.9mlを加えて減圧濃縮した。得られた残渣にアセトニトリル58.0ml、シクロペンチルアミン2.0mlを加えて再度減圧濃縮した。濃縮残渣にアセトニトリル62.3mlおよびシクロペンチルアミン11.8ml、酢酸n-ブチルエステル54.6mlを加えて、2℃で攪拌した。微量の種結晶(2−[{4−(3−メトキシプロポキシ)−3−メチルピリジン−2−イル}メチルスルフィニル]−1H−ベンズイミダゾールとシクロペンチルアミンとの塩)を加え、結晶析出確認後、30℃(外温)で60分攪拌し、−25℃(外温)まで冷却した。析出物を濾取し、−25℃(外温)で冷却したアセトニトリル10mlで洗浄後、室温で約3時間減圧乾燥し、標記化合物の白色結晶8.23g(収率90.2%、スルホン体(VI)0.10%含有)を得た。スルホン体の含量については、実施例1−1と同じ条件にて確認した。
1H-NMR (400MHz, CDCl3) δ: 1.24-1.32 (m, 2H), 1.53-1.59 (m, 2H), 1.67-1.73 (m, 2H), 1.79-1.87 (m, 2H), 2.07 (tt, J=6.1, 6.1 Hz, 2H), 2.18 (s, 3H), 3.20 (brs, 3H), 3.30-3.38 (m, 1H), 3.35 (s, 3H), 3.54 (t, J=6.1 Hz, 2H), 4.09 (t, J=6.1 Hz, 2H), 4.66 (d, J=13.7 Hz, 1H), 4.82 (d, J=13.7 Hz, 1H), 6.73 (d, J=5.6 Hz, 1H), 7.32 (dd, J=3.2, 6.1 Hz, 2H), 7.64 (dd, J=3.2, 6.1 Hz, 2H), 8.30 (d, J=5.6 Hz, 1H).
【0154】
実施例2X−2
2−[{4−(3−メトキシプロポキシ)−3−メチルピリジン−2−イル}メチルスルフィニル]−1H−ベンズイミダゾール・ナトリウム塩のアセトン錯体の合成
2−[{4−(3−メトキシプロポキシ)−3−メチルピリジン−2−イル}メチルスルフィニル]−1H−ベンズイミダゾールとシクロペンチルアミンとの塩2.51g(5.6mmol、スルホン体(VI)0.10%含有)にエタノール25.1ml、酢酸エチル25.1mlを加え、室温で溶解した。この溶液に5mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液1.11mlを加え、減圧濃縮した。得られた残渣に酢酸エチル50.2ml、アセトン2.5mlを加えて再度減圧濃縮した。得られた乾固物に酢酸エチル18.0ml、アセトン12.0mlを加えて溶解した。この混合溶液中へ微量の種結晶(2−[{4−(3−メトキシプロポキシ)−3−メチルピリジン−2−イル}メチルスルフィニル]−1H−ベンズイミダゾール・ナトリウム塩のアセトン錯体)を加え室温で一晩攪拌した。析出物を濾取し、アセトン7mlで洗浄後、室温で減圧乾燥し、標記化合物の白色結晶2.32g(5.3mmol、収率93.7%)を得た。
【0155】
実施例2X−3
2−[{4−(3−メトキシプロポキシ)−3−メチルピリジン−2−イル}メチルスルフィニル]−1H−ベンズイミダゾール・ナトリウム塩の合成
2−[{4−(3−メトキシプロポキシ)−3−メチルピリジン−2−イル}メチルスルフィニル]−1H−ベンズイミダゾール・ナトリウム塩のアセトン錯体2.32gを用い、WO2004−085424号 実施例6と同様の方法を行い、2−[{4−(3−メトキシプロポキシ)−3−メチルピリジン−2−イル}メチルスルフィニル]−1H−ベンズイミダゾール・ナトリウム塩2.04g(スルホン体(VI)0.08%含有)を得た。
得られた塩は、NMRデータより実施例1X−3と同じであることを確認し、スルホン体の含量については、実施例1−1と同じ条件にて確認した。
【0156】
実施例2X−4
2−[{4−(3−メトキシプロポキシ)−3−メチルピリジン−2−イル}メチルスルフィニル]−1H−ベンズイミダゾール・ナトリウム塩の合成
2−[{4−(3−メトキシプロポキシ)−3−メチルピリジン−2−イル}メチルスルフィニル]−1H−ベンズイミダゾールとシクロペンチルアミンとの塩2.00g(4.5mmol、スルホン体(VI)0.10%含有)、水5.0ml、5mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液を加え、攪拌溶解した後、水1.0mlで洗いこみ、凍結乾燥を行った。その後、50℃にて約21時間減圧乾燥し、標記化合物の白色固体1.81g(4.7mmol、収率105.2%、スルホン体(VI)0.11%含有)を得た。
得られた塩は、NMRデータより実施例1X−4と同じであることを確認し、スルホン体の含量については、実施例1−1と同じ条件にて確認した。
【0157】
実施例3X−1
2−[{4−(3−メトキシプロポキシ)−3−メチルピリジン−2−イル}メチルスルフィニル]−1H−ベンズイミダゾールとsec-ブチルアミンとの塩の合成
2−[{4−(3−メトキシプロポキシ)−3−メチルピリジン−2−イル}メチルスルフィニル]−1H−ベンズイミダゾール 7.38gを含むアルカリ溶液41.66g(スルホン体(VI)1.66%含有)に水64.4ml、トルエン69.4mlおよび1−ブタノール3.7mlを加え、攪拌し、次いで酢酸1.90gを加え、pHを9.0に調整した。この混合溶液をトルエン層と水層とを分離し、水層はトルエン54.0mlで再度抽出し、先に抽出したトルエン層と合わせた。このトルエン層を水25.9mlで洗浄し、次いでsec-ブチルアミン6.0mlを加えて減圧濃縮した。得られた残渣にアセトニトリル58.0ml、sec-ブチルアミン2.0mlを加えて再度減圧濃縮した。濃縮残渣にアセトニトリル62.3mlおよびsec-ブチルアミン12.3ml、酢酸n-ブチルエステル54.6mlを加えて、12℃で攪拌した。微量の種結晶(2−[{4−(3−メトキシプロポキシ)−3−メチルピリジン−2−イル}メチルスルフィニル]−1H−ベンズイミダゾールとsec-ブチルアミンとの塩)を加え、−15℃(外温)まで冷却し、結晶析出確認後、20℃(外温)で20分攪拌し、−25℃(外温)まで冷却した。析出物を濾取し、−25℃(外温)で冷却したアセトニトリル10mlで洗浄後、室温で約3.5時間減圧乾燥し、標記化合物の白色結晶8.10g(収率91.3%、スルホン体(VI)0.02%未満含有)を得た。スルホン体の含量については、実施例1−1と同じ条件にて確認した。
1H-NMR (400MHz, CDCl3) δ: 0.91 (t, J=7.4 Hz, 3H), 1.06 (d, J=6.3 Hz, 3H), 1.31-1.39 (m, 2H), 2.07 (tt, J=6.1, 6.1 Hz, 2H), 2.18 (s, 3H), 2.76-2.84 (m, 1H), 3.13 (brs, 3H), 3.35 (s, 3H), 3.54 (t, J=6.1 Hz, 2H), 4.09 (t, J=6.1 Hz, 2H), 4.66 (d, J=13.7 Hz, 1H), 4.82 (d, J=13.7 Hz, 1H), 6.73 (d, J=5.6 Hz, 1H), 7.32 (dd, J=3.2, 6.1 Hz, 2H), 7.64 (dd, J=3.2, 6.1 Hz, 2H), 8.30 (d, J=5.6 Hz, 1H).
【0158】
実施例3X−2
2−[{4−(3−メトキシプロポキシ)−3−メチルピリジン−2−イル}メチルスルフィニル]−1H−ベンズイミダゾール・ナトリウム塩のアセトン錯体の合成
2−[{4−(3−メトキシプロポキシ)−3−メチルピリジン−2−イル}メチルスルフィニル]−1H−ベンズイミダゾールとsec-ブチルアミンとの塩2.61g(6.0mmol、スルホン体(VI)0.02%未満含有)にエタノール26.1ml、酢酸エチル26.1mlを加え、室温で溶解した。この溶液に5mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液1.14mlを加え、減圧濃縮した。得られた残渣に酢酸エチル52.2ml、アセトン2.6mlを加えて再度減圧濃縮した。得られた乾固物に酢酸エチル18.0ml、アセトン12.0mlを加えて溶解した。この混合溶液中へ微量の種結晶(2−[{4−(3−メトキシプロポキシ)−3−メチルピリジン−2−イル}メチルスルフィニル]−1H−ベンズイミダゾール・ナトリウム塩のアセトン錯体)を加え室温で一晩攪拌した。析出物を濾取し、アセトン6mlで洗浄後、室温で減圧乾燥し、標記化合物の白色結晶2.36g(5.4mmol、収率88.9%)を得た。
【0159】
実施例3X−3
2−[{4−(3−メトキシプロポキシ)−3−メチルピリジン−2−イル}メチルスルフィニル]−1H−ベンズイミダゾール・ナトリウム塩の合成
2−[{4−(3−メトキシプロポキシ)−3−メチルピリジン−2−イル}メチルスルフィニル]−1H−ベンズイミダゾール・ナトリウム塩のアセトン錯体2.36gを用い、WO2004−085424号 実施例6と同様の方法を行い、2−[{4−(3−メトキシプロポキシ)−3−メチルピリジン−2−イル}メチルスルフィニル]−1H−ベンズイミダゾール・ナトリウム塩2.08g(スルホン体(VI)0.02%未満含有)を得た。
得られた塩は、NMRデータより実施例1X−3と同じであることを確認し、スルホン体の含量については、実施例1−1と同じ条件にて確認した。
【0160】
実施例3X−4
2−[{4−(3−メトキシプロポキシ)−3−メチルピリジン−2−イル}メチルスルフィニル]−1H−ベンズイミダゾール・ナトリウム塩の合成
2−[{4−(3−メトキシプロポキシ)−3−メチルピリジン−2−イル}メチルスルフィニル]−1H−ベンズイミダゾールとsec-ブチルアミンとの塩2.00g(4.6mmol、スルホン体(VI)0.02%未満含有)、水5.0ml、5mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液0.87mlを加え、攪拌溶解した後、水1.0mlで洗いこみ、凍結乾燥を行った。その後、50℃にて約21時間減圧乾燥し、標記化合物の白色固体1.75g(4.6mmol、収率99.3%、スルホン体(VI)0.02%未満含有)を得た。
得られた塩は、NMRデータより実施例1X−4と同じであることを確認し、スルホン体の含量については、実施例1−1と同じ条件にて確認した。
【0161】
粉末X線回折パターンの測定
各実施例で得られた塩の粉末X線回折測定は、日本薬局方の一般試験法に記載された粉末X線回折測定法に従い、以下の測定条件で行った。
(装置)
理学X線DTAシステム:RINT−2000(株式会社リガク製)
(操作方法)
試料についてメノウ乳鉢で粉砕後ガラス板にサンプリングし、以下の条件で測定を行った。
使用X線:CuKα線
管電圧:40kV
管電流:20mA
発散スリット:1deg
受光スリット:0.15mm
散乱スリット:1deg
走査速度:2゜/分
走査ステップ:0.02゜
測定範囲(2θ):5〜40゜
【0162】
図1は、実施例1X−1で得られた塩の粉末X線回折パターンを示し、図2は、実施例2X−1で得られた塩の粉末X線回折パターンを示し、図3は、実施例3X−1で得られた塩の粉末X線回折パターンを示す。図1〜図3に示す粉末X線回折パターンの結果から明らかなように、図1〜図3ではX線回折ピークが存在することから、各実施例における2−[{4−(3−メトキシプロポキシ)−3−メチルピリジン−2−イル}メチルスルフィニル]−1H−ベンズイミダゾールと、イソプロピルアミン、シクロペンチルアミンまたはsec-ブチルアミンとの塩は、非晶質状態ではなく、結晶状態の塩として合成されたことが分かる。
【産業上の利用可能性】
【0163】
本発明によれば、2−[{4−(3−メトキシプロポキシ)−3−メチルピリジン−2−イル}メチルスルフィニル]−1H−ベンズイミダゾールとアミンとの塩を利用することにより、医薬として有用な2−[{4−(3−メトキシプロポキシ)−3−メチルピリジン−2−イル}メチルスルフィニル]−1H−ベンズイミダゾールを製造する際、不純物として含まれる当該化合物のスルホン体を効率よく除去することができる。
【図面の簡単な説明】
【0164】
【図1】図1は、本発明の実施例1X−1で得られた塩の粉末X線回折パターンを示す。
【図2】図2は、本発明の実施例2X−1で得られた塩の粉末X線回折パターンを示す。
【図3】図3は、本発明の実施例3X−1で得られた塩の粉末X線回折パターンを示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
2−[{4−(3−メトキシプロポキシ)−3−メチルピリジン−2−イル}メチルスルフィニル]−1H−ベンズイミダゾール・アルカリ金属塩(V)、および0.2%以下の量の2−[{4−(3−メトキシプロポキシ)−3−メチルピリジン−2−イル}メチルスルホニル]−1H−ベンズイミダゾール(VI)を含有する、胃酸分泌抑制剤。
【請求項2】
2−[{4−(3−メトキシプロポキシ)−3−メチルピリジン−2−イル}メチルスルフィニル]−1H−ベンズイミダゾール・アルカリ金属塩(V)、および0.2%以下の量の2−[{4−(3−メトキシプロポキシ)−3−メチルピリジン−2−イル}メチルスルホニル]−1H−ベンズイミダゾール(VI)を含有する、胃酸に起因する疾患の治療および/または予防剤。
【請求項3】
胃酸に起因する疾患が、胃潰瘍、十二指腸潰瘍、吻合部潰瘍、逆流性食道炎、Zollinger-Ellison症候群、症候性逆流性食道炎、内視鏡陰性逆流性食道炎、胃食道逆流症、咽喉頭異常、Barrett食道、NSAID潰瘍、胃炎、胃出血、消化管出血、消化性潰瘍、出血性潰瘍、ストレス潰瘍、胃過酸症、消化不良、胃不全、高齢者潰瘍、難治性潰瘍、急性胃粘膜病変、胸焼け、歯ぎしり、胃痛、胃もたれ、顎関節症または胃びらんである、請求項2に記載の治療および/または予防剤。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−106769(P2007−106769A)
【公開日】平成19年4月26日(2007.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−321144(P2006−321144)
【出願日】平成18年11月29日(2006.11.29)
【分割の表示】特願2006−531584(P2006−531584)の分割
【原出願日】平成17年8月5日(2005.8.5)
【出願人】(506137147)エーザイ・アール・アンド・ディー・マネジメント株式会社 (215)
【Fターム(参考)】