説明

ベンゾオキサジン含有組成物

本発明は、特定のメタ置換型芳香族化合物および少なくとも1種のベンゾオキサジン化合物を含む硬化性組成物に関する。本発明は、特に、該メタ置換型芳香族化合物の、ベンゾオキサジン含有組成物用の硬化剤/触媒としての使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特定のメタ置換型芳香族化合物および少なくとも1種のベンゾオキサジン化合物を含む硬化性組成物に関する。特に、本発明は、ベンゾオキサジン含有組成物用の硬化剤/触媒としての該メタ置換型芳香族化合物の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
通常、ベンゾオキサジンは比較的高温で硬化させる。ベンゾオキサジンの重合温度を下げるために、フェノール(特開2000-178332号)、アミン(特開2000-86863号)、イミダゾール(特開2000-178332号)、およびホスフィン(特開2003-82099号)のような種々の硬化剤が報告されている。米国特許第6,225,440号には、ベンゾオキサジンの重合のための高活性硬化剤として、ルイス酸、例えばPCl、TiCl、AlClが開示されている。しかし、実際の適用においては、このような強いルイス酸は最終的な重合結果およびその実用特性に悪影響を及ぼす。例えば硬化物質の耐化学性および物理的性質の悪化が生じうる。さらに、PCl、TiCl、AlClなどのルイス酸は、湿度に極めて敏感であり、揮発性、毒性および/または腐食性の不純物の形成を引き起こしうる。
【0003】
金属-配位子錯体に基づく代替硬化剤も報告されている。国際公開第2008/0348142号には、ベンゾオキサジン含有組成物の低温硬化用の触媒/硬化剤としての、いくつかの変性アセチルアセトネート金属錯体が開示されている。
【0004】
しかし、上記硬化剤の中には、反応性が高く、ベンゾオキサジン含有組成物の部分重合を25℃以下の温度でさえ引き起こしうるものがあることを考慮すると、25℃以下の温度でより反応性が低く、しかしながら、180℃またはそれ以下の温度では上記のベンゾオキサジン含有組成物を硬化/重合させるのに十分に反応性である代替硬化剤を提供することは望ましい。
【0005】
これらの代替硬化剤により、25℃以下の温度で、より長いポットライフおよびより長いオープンタイムを示す、ベンゾオキサジン含有組成物の提供が可能となるだろう。
【0006】
加えて、上記硬化剤のいくつかは、ベンゾオキサジン含有組成物の熱安定性に、または、ベンゾオキサジン含有組成物の硬化反応生成物の熱安定性に、悪影響を及ぼしうる。結果として、特にベンゾオキサジン含有組成物の重合/硬化反応中に、望ましくない重量減少が生じうる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2000-178332号公報
【特許文献2】特開2000-86863号公報
【特許文献3】特開2000-178332号公報
【特許文献4】特開2003-82099号公報
【特許文献5】米国特許第6,225,440号明細書
【特許文献6】国際公開第2008/0348142号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
技術水準にもかかわらず、180℃以下の温度で環境に優しい方法で効果的に硬化させることができ、25℃以下の温度で長いポットライフおよび長いオープンタイムを示す、新規なベンゾオキサジン系組成物を提供することが望ましい。さらに、高い熱安定性および硬化中の最小の重量減少を示す新規なベンゾオキサジン系組成物を提供することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の発明者らは、驚くべきことに、特定のメタ置換型芳香族化合物およびベンゾオキサジン化合物を含む硬化性組成物を、環境に優しい方法で、180℃以下の温度で効果的に硬化させることができることを見出した。さらに、これらの組成物は、25℃以下の温度での長いポットライフ、長いオープンタイム、高い熱安定性および硬化中の最小の重量減少を示す。
【0010】
したがって、本発明は、
a)式(I):
【化1】

[式中、
Aは、モノイソシアネートの1個のイソシアネート基を除去することにより得られる残基であるか、または
Aは、式(II):
【化2】

〔XおよびYは、独立して、NR’、OおよびSからなる群から選択され、ここで、R’は、水素、または、脂肪族残基、ヘテロ脂肪族残基、芳香脂肪族残基、ヘテロ芳香脂肪族残基、芳香族残基およびヘテロ芳香族残基からなる群から選択される残基であり、
Dは、ジイソシアネートの2個のイソシアネート基を取り除くことにより得られる2価の残基であり、
、R、RおよびRは、独立して、水素、ニトロ、ハロゲン、カルボキシル、カルボン酸エステル基、C〜C40アルキル基、C〜C40アルコキシ基、C〜C40シクロアルキル基、C3〜40アルケニル基、C3〜40アルキニル基、C〜C40アリール基またはC〜C40アラルキル基から選択される〕
で示される少なくとも1種の繰り返し単位を含むオリゴマー残基またはポリマー残基である]で示される少なくとも1種のメタ置換型芳香族化合物、
および
b)少なくとも1種のベンゾオキサジン化合物
を含む硬化性組成物に関する。
【0011】
硬化性組成物は、プリプレグおよびトウプレグなどの強化材料の製造のための接着剤、シーラント、コーティングおよびマトリックスとして特に適当であり、および/または、射出成形または押し出し成形法において使用することができる。
【0012】
したがって、本発明の硬化性組成物を含んでなる、または本発明の硬化性組成物からなる、接着剤、シーラントまたはコーティングを提供することが、本発明の別の課題である。
【0013】
さらに、本発明は、本発明の硬化性組成物の硬化反応生成物、特に繊維の層または束を含む硬化反応生成物に関する。さらには、このような材料の製造方法を提供する。
【0014】
本発明の別の課題において、式(I)で示される少なくとも1種のメタ置換型芳香族化合物a)を、好ましくはN-アルキルベンゾオキサジン化合物および/またはN-アルケニルベンゾオキサジン化合物からなる群から選択される少なくとも1種のベンゾオキサジン化合物を含む重合性組成物用の硬化剤として使用する。
【0015】
本発明は、以下の本発明の詳細な説明を読むことにより、さらにより詳しく理解されるだろう。
【発明を実施するための形態】
【0016】
上述のように、本発明の硬化性組成物は式(I):
【化3】

[式中、Aはモノイソシアネートの1個のイソシアネート基を除去することにより得られる残基であるか、または、
Aは、式(II):
【化4】

〔XおよびYは、独立して、NR’、OおよびSからなる群から選択され、ここで、R’は水素または脂肪族残基、ヘテロ脂肪族残基、芳香脂肪族残基、ヘテロ芳香脂肪族残基、芳香族残基およびヘテロ芳香族残基からなる群から選択される残基であり、
Dは、ジイソシアネートの2個のイソシアネート基を取り除くことにより得られる2価の残基であり、R、R、RおよびRは、独立して、水素、ニトロ、ハロゲン、例えばフッ素、塩素、臭素またはヨウ素など、カルボキシル、カルボン酸エステル基、C〜C40アルキル基、C〜C40アルコキシ基、C〜C40シクロアルキル基、C3〜40アルケニル基、C3〜40アルキニル基、C〜C40アリール基またはC〜C40アラルキル基から選択される〕
で示される少なくとも1種の繰り返し単位を含むオリゴマー残基またはポリマー残基である]
で示される少なくとも1種のメタ置換型芳香族化合物を含む。
【0017】
本発明において使用する「C1〜40アルキル」という用語は、1〜40個の炭素原子を有する分枝状および非分枝状アルキル基を意味する。1〜4個の炭素原子を有するアルキル基が好ましい。例としては、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、イソペンチル、ネオペンチルまたはヘキシルが挙げられる。プロピル、ブチル、ペンチルおよびヘキシルの定義には、当該基の考えられる全ての異性体が含まれる。したがって、例えば、プロピルにはn-プロピルおよびイソプロピルが含まれ、ブチルにはイソブチル、sec-ブチルおよびtert-ブチルが含まれる等である。特記しない限り、アルキル基は、好ましくはメチル、エチル、イソプロピル、tert-ブチル、ヒドロキシ、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素から選択される1以上の基で置換されてよい。
【0018】
本発明において使用する「C1〜40アルコキシ」という用語は、1〜40個の炭素原子を有する分枝状および非分枝状アルコキシ基を意味する。1〜4個の炭素原子を有するアルコキシ基が好ましい。例としては、メトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、イソプロポキシ、n-ブトキシ、イソブトキシ、sec-ブトキシ、tert-ブトキシ、n-ペントキシ、イソペントキシ、neo-ペントキシが挙げられる。
【0019】
本発明において使用する「C3〜40シクロアルキル」という用語は、3〜40個の炭素原子を有する環状アルキル基を意味する。例としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチルまたはシクロヘキシルが挙げられる。特記しない限り、環状アルキル基は、好ましくはメチル、エチル、イソプロピル、tert-ブチル、ヒドロキシ、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素の中から選択される、1以上の基で置換されてよい。
【0020】
本発明において使用する「C3〜40アルケニル」という用語は、3〜40個の炭素原子を有する分枝状および非分枝状アルケニル基を意味する。3〜5個の炭素原子を有するアルケニル基が好ましい。例としては、プロペニル、ブテニル、ペンテニル、またはヘキセニルが挙げられる。特記しない限り、プロペニル、ブテニル、ペンテニルおよびヘキセニルの定義には、当該基の考えられる全ての異性体が含まれる。したがって、例えば、プロペニルには1-プロペニルおよび2-プロペニルが含まれ、ブテニルには1-、2-および3-ブテニル、1-メチル-1-プロペニル、1-メチル-2-プロペニルが含まれる等である。
【0021】
本発明において使用する「C3〜40アルキニル」という用語は、3〜40個の炭素原子を有する分枝状および非分枝状アルキニル基を意味する。3〜5個の炭素原子を有するアルキニル基が好ましい。例としては、プロピニル、ブチニル、ペンチニルまたはヘキシニルが挙げられる。特記しない限り、プロピニル、ブチニル、ペンチニルおよびヘキシニルの定義には、当該基の考えられる全ての異性体が含まれる。したがって、例えば、プロピニルには1-プロピニルおよび2-プロピニルが含まれ、ブチニルには1-、2-および3-ブチニル、1-メチル-1-プロピニル、1-メチル-2-プロピニルが含まれる等である。
【0022】
本発明において使用する「C〜C40アリール」という用語は、6〜40個の炭素原子を有する芳香族環系を意味する。例としては、フェニル、ナフチルおよびアントラセニルが挙げられ、好ましいアリール基はフェニルおよびナフチルである。特記しない限り、芳香族基は、好ましくはメチル、エチル、イソプロピル、tert-ブチル、ヒドロキシ、アルコキシ、例えばメトキシまたはエトキシ、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素およびニトロの中から選択される、1以上の基で置換されてよい。
【0023】
本発明において使用する「C7〜40アラルキル」という用語は、6または10個の炭素原子を有する芳香族環系で置換された、1〜30個の炭素原子を有する分枝状および非分枝状アルキル基を意味する。例としては、ベンジル、1-フェニルエチルまたは2-フェニルエチルが挙げられる。特記しない限り、芳香族基は、好ましくはメチル、エチル、イソプロピル、tert-ブチル、ヒドロキシ、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素の中から選択される、1以上の基で置換されてよい。
【0024】
本発明のメタ置換型芳香族化合物a)は、180℃またはそれ以下の温度でさえ硬化性組成物の硬化反応を開始および/または促進する硬化剤/触媒である。
【0025】
加えて、上記のメタ置換型芳香族化合物により、25℃以下の温度で長いポットライフ、長いオープンタイムおよび高い熱安定性を示すベンゾオキサジン含有組成物(硬化性組成物)の製造が可能になる。さらに、式(I)で示されるメタ置換型芳香族化合物は、本発明の硬化性組成物の硬化工程中の重量減少を減らすことができる。
【0026】
本発明において使用する「ポットライフ」という用語は、硬化性組成物が、加工に適した十分に低い粘性を維持している時間の長さを表す。
【0027】
本発明において使用する「オープンタイム」という用語は、硬化性組成物の混合と、硬化までの間の経過時間を表す。
【0028】
本発明の一態様において、残基Aは、好ましくは一般式A−NCOで示されるモノイソシアネートから選択される、モノイソシアネートのイソシアネート基を除去することにより得られる。
【0029】
本発明の目的のためのモノイソシアネートを、脂肪族、ヘテロ脂肪族、脂環式、ヘテロ脂環式、芳香脂肪族、芳香族および/またはヘテロ芳香族モノイソシアネートから選択することができる。
【0030】
限定するものではないが、モノイソシアネートの例として、エチルモノイソシアネート、プロピルモノイソシアネート、ブチルモノイソシアネート、ペンチルモノイソシアネート、ヘキシルモノイソシアネート、ヘプチルモノイソシアネート、イソホロンモノイソシアネート、フェニルモノイソシアネート、3,5-ジメチルフェニルモノイソシアネート、ナフチルモノイソシアネートおよびそれらの組合せが挙げられる。
【0031】
本発明の好ましい態様において、残基Aは芳香族モノイソシアネートの1個のイソシアネート基を除去することにより得られる。得られた芳香族のモノイソシアネートに由来する残基Aを有する式(I)で示されるメタ置換型芳香族化合物a)は、ベンゾオキサジン化合物の硬化/重合反応のための高活性な硬化剤/触媒である。
【0032】
好ましくは芳香族モノイソシアネートに由来する残基Aを有する、式(I)で示される上記のメタ置換型芳香族化合物a)を触媒/硬化剤として使用することにより、N-アルキルおよび/またはN-アルケニルベンゾオキサジン化合物でさえ、環境に優しい方法で、90℃〜160℃の温度といった180℃またはそれ以下の温度で、効率的に硬化させることができる。
【0033】
さらに、上記の触媒/硬化剤は、硬化性組成物中にN-アルキルおよび/またはN-アルケニルベンゾオキサジン化合物が存在する場合でさえも、本発明の硬化性組成物の熱安定性を改善することができる。
【0034】
本発明の特に好ましい態様において、式(I)における残基Aを式(III):
【化5】

[式中、R、R、R、RおよびRは、独立して、水素、ニトロ、ハロゲン、例えばフッ素、塩素、臭素またはヨウ素など、カルボキシル、カルボン酸エステル基、C〜C40アルキル基、C〜C40アルコキシ基、C〜C40シクロアルキル基、C3〜40アルケニル基、C3〜40アルキニル基、C〜C40アリール基またはC〜C40アラルキル基から選択される]
で示される1価の芳香族残基から選択する。
【0035】
式(I)で示されるメタ置換型芳香族化合物の電子的性質および触媒活性を、芳香族環系の置換基R、R、R、RおよびRを変化させることにより、簡単に制御することができる。
【0036】
5つの置換基R、R、R、RおよびRのうち、少なくとも4つが水素であることが好ましく、R、R、R、RおよびRが全て水素であることがより好ましい。
【0037】
1価の芳香族残基Aを次の構造:
【化6】

から選択することが好ましい。
【0038】
本発明の別の態様において、残基Aは式(II):
【化7】

[XおよびYは、独立して、NR’、OおよびSからなる群から選択され、ここで、R’は、水素、または、脂肪族残基、ヘテロ脂肪族残基、芳香脂肪族残基、ヘテロ芳香脂肪族残基、芳香族残基およびヘテロ芳香族残基からなる群から選択される残基であり、Dは、ジイソシアネートの2個のイソシアネート基を取り除くことにより得られる2価の残基であり、R、R、RおよびRは、独立して、水素、C〜C40アルキル基、C〜C40シクロアルキル基、C3〜40アルケニル基、C3〜40アルキニル基、C〜C40アリール基またはC〜C40アラルキル基から選択される]
で示される少なくとも1種の繰り返し単位を含むオリゴマー残基またはポリマー残基である。
【0039】
本発明において使用する「オリゴマー残基」という用語は、式(II)で示される繰り返し単位を1〜10個含む残基Aを表す。
【0040】
本発明において使用する「ポリマー残基」という用語は、式(II)で示される繰り返し単位を少なくとも11個含む残基Aを表す。
【0041】
オリゴマー残基Aまたはポリマー残基Aは、直鎖状または分枝状であってよく、上記の残基Aの重量平均分子量は、好ましくは200g/mol〜2000000g/molの範囲であり、より好ましくは500g/mol〜1000000g/molの範囲であり、特に好ましくは1000g/mol〜100000g/molの範囲であり、きわめて好ましくは2000g/mol〜10000g/molの範囲である。
【0042】
好ましい態様において、式(II)で示される繰り返し単位は、少なくとも20重量%、好ましくは少なくとも30重量%、より好ましくは少なくとも50重量%、特に好ましくは少なくとも70重量%、きわめて好ましくは少なくとも90重量%のオリゴマー残基Aまたはポリマー残基Aからなる。
【0043】
オリゴマー残基Aまたはポリマー残基Aを、式(IV):
【化8】

[式中、nは1〜10000の整数であり、Bはイソシアネート基または式(V):
【化9】

で示される1価の残基であり、X、Y、D、R、R、RおよびRは上記で定義したものである]
で示される1価のオリゴマー残基またはポリマー残基から選択することができる。
【0044】
整数nは、好ましくは2〜5000、より好ましくは10〜2500、特に好ましくは100〜1000の範囲である。
【0045】
式(II)における2価の残基Dは、好ましくは一般式OCN-D-NCOで示されるジイソシアネートから選択される、ジイソシアネートの2個のイソシアネート基を除去することにより得られる。
【0046】
本発明の目的のためのジイソシアネートを、好ましくは約160g/mol〜500g/molの分子量を有する、脂肪族、ヘテロ脂肪族、脂環式、ヘテロ脂環式、芳香脂肪族、芳香族および/またはヘテロ芳香族ジイソシアネートから選択しうる。
【0047】
有用なジイソシアネートとしては、エチレンジイソシアネート、トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ヘプタメチレンジイソシアネート、オクタメチレンジイソシアネート、デカメチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、テトラデカメチレンジイソシアネート、ヘキサデカメチレンジイソシアネート、オクタデカメチレンジイソシアネート、エイコサメチレンジイソシアネート、シクロヘキサメチレンジイソシアネート、シクロペンタレンジイソシアネート、またはシクロヘプタレンジイソシアネート、またはビス-シクロヘキサレン、シクロヘキシルメチレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、フェニルジイソシアネート、トルエンジイソシアネート(例えば2,4-ジイソシアナトトルエンおよび2,6-ジイソシアナトトルエン)、4,4’-メチレンジフェニルジイソシアネート、4,4’-ジフェニレンメタンジイソシアネート、ジアニシジンジイソシアネート、1,5-ナフタレンジイソシアネート、1,8-ナフタレンジイソシアネート(1,8-NDI)、4,4’-ジフェニルエーテルジイソシアネート、p-フェニレンジイソシアネート、4,4’-ジシクロ-ヘキシルメタンジイソシアネート、1,3-ビス-(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、シクロへキシレンジイソシアネート、テトラクロロフェニレンジイソシアネート、2,6-ジエチル-p-フェニレンジイソシアネート、3,5-ジエチル-4,4’-ジイソシアナトジフェニル-メタン、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、エチレンジイソシアネート、シクロへキシレンジイソシアネート、ノナメチレンジイソシアネート、オクタデカメチレンジイソシアネート、2-クロロプロパンジイソシアネート、2,2’-ジエチルエーテルジイソシアネート、3-(ジメチルアミン)ペンタンジイソシアネート、テトラクロロフェニレンジイソシアネート-1,4、3-ヘプタンジイソシアネート、トランスビニレンジイソシアネート、1,6-ジイソシアナトヘキサン、3,5,5-トリメチル-1-イソシアノ-3-イソシアナトメチルシクロヘキサン(イソホレンジイソシアネート)、N,N',N'''-トリ-(6-イソシアナトヘキシル)-ビウレット、2,2,4-トリメチル-1,6-ジイソシアナトヘキサン、m-テトラメチルキシレンジイソシアネート1-メチル-2,4-ジイソシアナトシクロヘキサン、4,4'-ジイソシアナトジシクロヘキシルメタン、三量体イソホレンジイソシアネート、三量体ヘキサンジイソシアネートおよびメチル2,6-ジイソシアナトヘキサノエートおよびそれらの組合せが挙げられる。
【0048】
本発明の好ましい態様において、式(II)における残基Dは、2,4-トルエンジイソシアネート、2,4’-メチレンジフェニルジイソシアネート、4,4’-メチレンジフェニルジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、m-テトラメチルキシレンジイソシアネート、またはイソホロンジイソシアネートから2個のイソシアネート基を除去することにより得られる。
【0049】
本発明の別の態様において、式(I)で示される少なくとも1種のメタ置換型芳香族化合物a)は、少なくとも1つのウレタン基を含む。式(I)、(II)、(IV)および(V)における全てのXおよびYがOであることがより好ましい。
【0050】
式(I)、(II)、(IV)および/または(V)で示されるメタ置換型芳香族化合物の電子的性質および触媒活性を、芳香族環系の置換基R、R、R、およびRを変化させることにより簡単に制御することができる。4つの置換基R、R、R、およびRの少なくとも3つが水素であることが好ましく、R、R、R、およびRの全てが水素であることがより好ましい。
【0051】
式(I)で示される適当なメタ置換型芳香族化合物a)の具体例としては、以下:
【化10】

[n=1〜10000である]
が挙げられる。
【0052】
式(I)で示される少なくとも1種のメタ置換型芳香族化合物a)または式(I)で示される異なるメタ置換型芳香族化合物a)の混合物を、本発明の硬化性組成物の総量に基づいて0.1〜20重量%の範囲の量、例えば0.2〜10重量%、望ましくは0.3〜5重量%の量、より望ましくは0.5〜1.5重量%の量で含有させることができる。
【0053】
本発明の少なくとも1種のメタ置換型芳香族化合物a)は、いずれの方法によっても製造することができる。好ましい1つの方法は、式(VI):
【化11】

で示される少なくとも1種の芳香族化合物と、次の式:
【化12】

で示される少なくとも1種のモノイソシアネートとを、および/または、次の式:
【化13】

[式中、X、Y、R、R、R、R、AおよびDは上記で定義したものである]
で示される少なくとも1種のジイソシアネートとを反応させる工程を含む。
【0054】
式(VI)で示される芳香族化合物の例として、式(VIa):
【化14】

[式中、R、R、RおよびRは上記で定義したものである]
で示される化合物が挙げられる。式(VIa)における4つの置換基R、R、RおよびRの少なくとも3つが水素であることがより好ましい。
【0055】
本発明のメタ置換型芳香族化合物の特に好ましい製造方法において、レゾルシノールを、次の式:
【化15】

で示される少なくとも1種のモノイソシアネートと、および/または次の式:
【化16】

[式中、AおよびDは上記で定義したものである]
で示される少なくとも1種のジイソシアネートと反応させる。
【0056】
本発明のメタ置換型芳香族化合物a)の同様の製造方法は、米国特許出願公開第2007/0205393号に記載されており、ここで上記化合物は、ゴム化合物製剤および繊維、フィラメント、織物またはコードを処理するための織物浸漬用製剤において使用される。
【0057】
本発明の硬化性組成物のさらなる成分はベンゾオキサジン化合物である。
【0058】
ベンゾオキサジン化合物は、少なくとも1個のベンゾオキサジン部分を含むいずれの硬化性モノマー、オリゴマーまたはポリマーでもあり得る。4個以下のベンゾオキサジン部分を含有するモノマーを、単一化合物または2以上の異なるベンゾオキサジンの混合物の状態で、ベンゾオキサジン化合物として用いることが好ましい。
【0059】
以下において、1〜4個のベンゾオキサジン部分を含有する、異なる適当なベンゾオキサジン化合物の幅広い範囲を示す。
【0060】
1つの可能なベンゾオキサジン化合物は、次の構造(B-I):
【化17】

[式中、oは1〜4であり、Zは直接結合(oが2の場合)、アルキル(oが1の場合)、アルキレン(oが2〜4の場合)、カルボニル(oが2の場合)、酸素(oが2の場合)、チオール(oが1の場合)、硫黄(oが2の場合)、スルホキシド(oが2の場合)、およびスルホン(oが2の場合)からなる群から選択され、Rは、それぞれ独立して、水素、アルキル、アルケニルまたはアリールから選択され、Rは、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、アルキルおよびアルケニルから選択されるか、または、Rはベンゾオキサジン構造からナフトオキサジン残基を作る2価の残基である]
に含まれてよい。
【0061】
より具体的には、構造(B-I)のうち、ベンゾオキサジン化合物は、次の構造(B-II):
【化18】

[式中、Zは直接結合、CH、C(CH)、C=O、O、S、S=OおよびO=S=Oから選択され、RおよびRは、同一または異なり、水素、アルキル、例えばメチル、エチル、プロピルおよびブチル、アルケニル、例えばアリル、およびアリールから選択され、Rは、同一または異なり、上記で定義したものである]
に含まれてよい。
【0062】
構造(B-II)で示されるベンゾオキサジン化合物の例としては、以下:
【化19】

[式中、R、RおよびRは、上記で定義したものである]
が挙げられる。
【0063】
あるいは、ベンゾオキサジン化合物は、次の構造(B-VII):
【化20】

[式中、pは2であり、Wはビフェニル、ジフェニルメタン、ジフェニルイソプロパン、ジフェニルスルフィド、ジフェニルスルホキシド、ジフェニルスルホン、およびジフェニルケトンから選択され、Rは水素、ハロゲン、アルキルおよびアルケニルから選択される]
に含まれてよい。
【0064】
構造(B-I)または(B-VII)に含まれないが、さらなるベンゾオキサジン化合物は次の構造:
【化21】

【化22】

[式中、R、RおよびRは上記で定義したものであり、Rは、R、RまたはRについて定義したものである]
に含まれる。
【0065】
上記に一般的に記載したベンゾオキサジンの具体例としては、以下が挙げられる。
【化23】

【化24】

【化25】

【0066】
本発明において、多官能性ベンゾオキサジンおよび単官能性ベンゾオキサジンを組み合わせて、または1以上の多官能性ベンゾオキサジンを組み合わせてまたは1以上の単官能性ベンゾオキサジンを組合せて使用することができる。
【0067】
単官能性ベンゾオキサジン化合物の例は、次の構造(B-XIX):
【化26】

[式中、Rは、置換可能な位置の1つ、いくつかまたは全てにおいて置換されているまたは置換されていない、アルキル、例えばメチル、エチル、プロピルおよびブチル、アルケニルまたはアリールであり、Rは水素、ハロゲン、アルキルおよびアルケニルから選択されるか、または、Rはベンゾオキサジン構造からナフトオキサジン残基を作る2価の残基である]
に含まれてよい。
【0068】
例えば、単官能性ベンゾオキサジン化合物は一般構造(B-XX):
【化27】

[式中、この場合、Rは、それぞれが任意に置換されたまたは1以上のO、N、S、C=O、COO、およびNHC=Oで遮られたアルキル、アルケニル、およびアリールから選択され、mは0〜4であり、RII、RIII、RIV、RおよびRVIは、独立して、水素、アルキル、アルケニル(それぞれ任意に置換されたまたは1以上のO、N、S、C=O、COOH、およびNHC=Oで遮られている)、およびアリールから選択される]
に含まれてよい。
【0069】
このような単官能性ベンゾオキサジン化合物の具体例は、
【化28】

[式中、Rは上記で定義したものである]
、または
【化29】

である。
【0070】
本発明の好ましい態様において、少なくとも1種のベンゾオキサジン化合物b)は、N-アルキルおよび/またはN-アルケニルベンゾオキサジン化合物からなる群から選択される。
【0071】
本発明において使用する「N-アルキルベンゾオキサジン化合物」という用語は、ベンゾオキサジン窒素原子に直接結合するアルキル残基を有するいずれのベンゾオキサジン化合物をも意味する。
【0072】
本発明において使用する「N-アルケニルベンゾオキサジン化合物」という用語は、ベンゾオキサジン窒素原子に直接結合するアルケニル残基を有するいずれのベンゾオキサジン化合物をも意味する。
【0073】
本発明のN-アルキルまたはN-アルケニルベンゾオキサジン化合物の1つの基は、次の構造:
【化30】

[式中、oは1〜4であり、Zは、直接結合(oが2の場合)、アルキル(oが1の場合)、アルキレン(oが2〜4の場合)、カルボニル(oが2の場合)、酸素(oが2の場合)、チオール(oが1の場合)、硫黄(oが2の場合)、スルホキシド(oが2の場合)、およびスルホン(oが2の場合)からなる群から選択され、Rは、それぞれ独立して、アルキル基またはアルケニルから選択され、Rは、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、アルキルおよびアルケニルから選択されるか、またはRは、ベンゾオキサジン構造からナフトオキサジン残基を作る2価の残基である]
に含まれてよい。
【0074】
好ましいN-アルキルベンゾオキサジン化合物および/または好ましいN-アルケニルベンゾオキサジン化合物は、式(B-II)〜(B-VI)および(B-VIII)〜(B-X)[式中、残基R、Rおよび、存在する場合、Rは、アルキル基またはアルケニル基、例えばメチル、エチル、プロピル、ビニルまたはアリルから選択される]で示されるベンゾオキサジン化合物に含まれる。
【0075】
本発明の好ましい態様において、硬化性組成物は異なるベンゾオキサジン化合物を含み、例えば異なるN-アルキルベンゾオキサジン化合物の混合物および/または少なくとも1種のN-アルキルベンゾオキサジン化合物および少なくとも1種のN-アルケニルベンゾオキサジン化合物の混合物を含む。
【0076】
式(I)で示される少なくとも1種のメタ置換型芳香族化合物a)は、上記の化合物の硬化反応を極めて効果的な方法で触媒することができるため、本発明の硬化性組成物においてN-アルキルおよび/またはN-アルケニルベンゾオキサジン化合物を使用することが好ましい。さらに、上記の触媒/硬化剤は、N-アルキルおよび/またはN-アルケニルベンゾオキサジン化合物を含む本発明の硬化性組成物の熱安定性を改善することができる。
【0077】
ベンゾオキサジン化合物は、現在、Huntsman Advanced Materials、Georgia-Pacific Resins, Inc.および四国化成工業株式会社(千葉、日本)を含む、複数の販売元から市販されており、これらのうち、四国化成工業株式会社より、ビスフェノールA-アニリン、ビスフェノールA-メチルアミン、ビスフェノールF-アニリンベンゾオキサジン樹脂が販売されている。
【0078】
しかしながら、所望であれば、市販されているものの代わりに、ベンゾオキサジン化合物を、通常、好ましくはモノフェノールおよび/またはジフェノールから選択されるフェノール性化合物、例えばビフェニル-4,4'-ジオール(「4,4'-ビフェノール」としても知られる)、ビスフェノールA、ビスフェノールP、ビスフェノールM、ビスフェノールF、ビスフェノールS、ビスフェノールAP、ビスフェノールE、4,4'-オキシジフェノール、4,4'-チオジフェノール、ビス(4-ヒドロキシフェニル)メタノン、ビフェニル-2,2'-ジオール、4,4'-(シクロヘキサン-1,1-ジイル)ジフェノールまたは4,4'-(3,3,5-トリメチルシクロヘキサン-1,1-ジイル)ジフェノール(ビスフェノールTMC)と、アルデヒドおよびアルキル、アルケニルおよび/またはアリールアミンとを反応させることにより調製してよい。米国特許第5,543,516号(ここに参照することにより組み込む)には、ベンゾオキサジンの調製方法が記載されており、ここで、反応時間は、反応物濃度、反応性および温度に応じて、数分〜数時間まで変化させてよい。通常、米国特許第4,607,091号(Schreiber)、第5,021,484号(Schreiber)、第5,200,452号(Schreiber)および第5,443,911(Schreiber)号を参照。
【0079】
前述したベンゾオキサジンは、いずれも、部分的に開環したベンゾオキサジン構造を含有してよい。
【0080】
しかしながら、本発明の目的においては、これらの構造もベンゾオキサジン部分、特に開環したベンゾオキサジン部分であると考える。
【0081】
ベンゾオキサジン化合物が、本発明の硬化性組成物中の唯一の硬化性成分であることが好ましい。しかしながら、所望であれば、他の硬化性成分または樹脂を含有することができる。
【0082】
少なくとも1種のベンゾオキサジン化合物b)または異なるベンゾオキサジン化合物b)の混合物は、本発明の硬化性組成物の全量に基づいて20〜99.9重量%、例えば40〜98重量%の範囲の量、望ましくは50〜95重量%の量、より望ましくは60〜90重量%の量で含まれうる。
【0083】
特に好ましい態様において、硬化性組成物は、少なくとも1種のベンゾオキサジン化合物b)または異なるベンゾオキサジン化合物b)の混合物を、本発明の硬化性組成物の全量に基づいて60〜80重量%、例えば60〜70重量%の量で含有する。
【0084】
本発明の硬化性組成物は、少なくとも1種のベンゾオキサジン化合物b)および式(I)で示される少なくとも1種のメタ置換型芳香族化合物a)を、ベンゾオキサジン部分:式(I)で示されるメタ置換型芳香族化合物a)のモル比が、50:50〜99.9:0.1の範囲、好ましくは70:30〜99.5:0.5の範囲になるような量で含んでよい。
【0085】
式(I)で示されるメタ置換型芳香族化合物a)の量がより高いと、上記のメタ置換型芳香族化合物a)間でのおよび/または上記のメタ置換型芳香族化合物a)から放された物質間での自己反応が引き起こされ得、一方、メタ置換型芳香族化合物a)の量がより少ないと、本発明の硬化性組成物の硬化反応の促進をもたらさない場合がある。
【0086】
本発明の硬化性組成物は、ベンゾオキサジン化合物以外の他の樹脂化合物、例えばエポキシ樹脂成分をさらに含んでよい。
【0087】
本発明において使用する「エポキシ樹脂」という用語は、開環することにより重合することができるオキシラン型の少なくとも2個の官能基を有するいずれの有機化合物をも意味する。用語「エポキシ樹脂」は、好ましくは、室温(23℃)またはより高温で液体である従来のエポキシ樹脂のいずれもを意味する。これらエポキシ樹脂は、一方で単量体または重合体であってよく、他方で、脂肪族、脂環式、複素環または芳香族であってよい。
【0088】
本発明において使用するエポキシ樹脂は、多官能性エポキシ含有化合物、例えばC〜C28アルキル-、ポリ-フェノールグリシジルエーテル;ピロカテコール、レゾルシノール、ヒドロキノン、4,4'-ジヒドロキシジフェニルメタン(またはビスフェノールF、例えば日本化薬(日本)から市販されているRE-303-SまたはRE-404-S)、4,4'-ジヒドロキシ-3,3'-ジメチルジフェニルメタン、4,4'-ジヒドロキシジフェニルジメチルメタン(またはビスフェノールA)、4,4'-ジヒドロキシジフェニルメチルメタン、4,4'-ジヒドロキシジフェニルシクロヘキサン、4,4'-ジヒドロキシ-3,3'-ジメチルジフェニルプロパン、4,4'-ジヒドロキシジフェニルスルホン、およびトリス(4-ヒドロキシフェニル)メタンのポリグリシジルエーテル;遷移金属錯体のポリグリシジルエーテル;上記のジフェノールの塩素化生成物および臭素化生成物;ノボラックのポリグリシジルエーテル;芳香族のヒドロカルボン酸と、ジハロアルカンまたはジハロゲンジアルキルエーテルとの塩をエステル化することにより得られるジフェノールのエーテルをエステル化することにより得られるジフェノールのポリグリシジルエーテル;フェノールおよび少なくとも2個のハロゲン原子を含有する長鎖ハロゲンパラフィンの縮合により得られるポリフェノールのポリグリシジルエーテル;フェノールノボラックエポキシ;クレゾールノボラックエポキシ;およびそれらの組合せを含んでよい。
【0089】
市販されているエポキシ樹脂の中で、本発明において使用するのに適しているものは、フェノール性化合物のポリグリシジル誘導体、例えばEPON 825、EPON 826、EPON 828、EPON 1001、EPON 1007およびEPON 1009の商品名で入手できるもの、脂環式のエポキシ含有化合物、例えばHuntsman製のAraldite CY179またはHexion製の商品名EPI-REZ 3510、EPI-REZ 3515、EPI-REZ 3520、EPI-REZ 3522、EPI-REZ 3540またはEPI-REZ 3546の水性散体、Dow Chemical Co.製のDER 331、DER 332、DER 383、DER 354、およびDER 542、Huntsman,Inc.製の、GY285、および日本化薬(日本)製のBREN-Sである。他の適当なエポキシ含有化合物は、ポリオールなどから、および、フェノール-ホルムアルデヒドノボラックのポリグリシジル誘導体から調製したポリエポキシドなどを含み、フェノール-ホルムアルデヒドノボラックのポリグリシジル誘導体から調製したポリエポキシドは、Dow Chemical Company社よりDEN 431、DEN 438、およびDEN 439の商品名で市販され、Huntsman社から水性分散体ARALDITE PZ 323の商品名で市販されている。
【0090】
クレゾール類似体、例えば、Huntsman,Inc.製のECN 1273、ECN 1280、ECN 1285、およびECN 1299または水性分散体 ARALDITE ECN 1400も市販されており、例えば、SU-8およびEPI-REZ 5003は、Hexionより市販されているビスフェノールA型エポキシノボラックである。
【0091】
ここで、異なるエポキシ樹脂を組み合わせて用いることも、もちろん望ましい。
【0092】
存在する場合、エポキシ樹脂成分は、本発明の硬化性組成物中において、硬化性組成物の全量に基づいて0.1〜60重量%、より好ましくは5〜50重量%、特に好ましくは10〜30重量%、きわめて好ましくは15〜20重量%の範囲の量で使用することができる。
【0093】
本発明における使用に適当な添加剤は、反応性希釈剤、例えばスチレンオキシド(スチレンのエポキシド)、ブチルグリシジルエーテル、2,2,4-トリメチルペンチルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、クレシルグリシジルエーテルまたは合成、高分枝状、主に第3級、脂肪族モノカルボン酸のグリシジルエステル、およびオキサゾリン基含有化合物、強化剤、可塑剤、増量剤、マイクロスフェア、フィラー、例えばシリカナノ粒子および補強剤、例えばコールタール、ビチューメン、織物繊維、ガラス繊維、アスベスト繊維、ホウ素繊維、炭素繊維、鉱物ケイ酸塩、マイカ、粉末石英、水和アルミニウム酸化物、ベントナイト、珪灰石、カオリン、シリカ、エアロゲルまたは金属粉末、例えばアルミニウム粉末または鉄粉、ならびに顔料および染料、例えば、カーボンブラック、酸化物顔料および二酸化チタン、難燃剤、チキソトロピー剤、流れ制御剤、例えば、シリコーン、ワックスおよびステアレート(それらは一部、離型剤としても用いることができる);接着促進剤;酸化防止剤および光安定剤が挙げられ、それらの多くの粒径と分布は、本発明の重合性組成物の物理的性質と性能を変化させるために制御されうる。
【0094】
存在する場合、少なくとも1種の添加剤または異なる添加剤の混合物を、硬化性組成物の全量に基づいて、0.1〜30重量%の範囲の量、より好ましくは2〜20重量%の量、最も好ましくは5〜15重量%の量で、本発明の硬化性組成物において使用することができる。
【0095】
本発明の1つの態様において、硬化性組成物の粘性を下げるために溶媒を使用することができる。好ましい溶媒は、エーテル、例えばジエチルエーテルおよびテトラヒドロフラン、ケトン、例えばアセトンおよびエチルメチルケトン、エステル、例えば酢酸エチルおよび酢酸ブチル、塩素化炭化水素、例えばクロロホルムおよびジクロロメタン、芳香族、例えばベンゼンおよびクロロベンゼン、アミド、例えばジメチルホルムアミドおよびメチルピロリドン、アルコール、例えばメタノールおよびイソプロパノールである。エステル型溶媒およびケトン型溶媒を使用することがより好ましい。
【0096】
本発明のさらなる態様において、硬化性組成物は、組成物の全量に基づいて:
a)0.1〜20重量%、より一般には0.2〜10重量%、好適には0.3〜5重量%、例えば0.5〜1.5重量%の少なくとも1種の本発明のメタ置換型芳香族化合物a);
b)20〜99.9重量%、より一般には40〜98重量%、好適には50〜95重量%、例えば60〜90重量%の少なくとも1種のベンゾオキサジン化合物b);
c)0〜60重量%、より一般には5〜50重量%、好適には10〜30重量%、例えば15〜25重量%の少なくとも1種のエポキシ樹脂;および
d)0〜30重量%、より一般には2〜20重量%、好適には5〜15重量%、例えば6〜12重量%の1種以上の添加剤
を含む。
【0097】
本発明の一態様において、硬化性組成物を、20℃〜180℃、好ましくは50℃〜170℃、より好ましくは120℃〜160℃の温度で、および/または、1〜100atm、好ましくは1〜5atm、より好ましくは大気圧より低い圧力で硬化させる。
【0098】
特定の用途に対して追加の硬化剤を使用することが望ましい場合、本発明の硬化性組成物を、その有利な特性を失うことなく追加の硬化剤で補完することもできる。
【0099】
これに関し、ルイス酸、および他の既知の硬化剤、例えば金属ハロゲン化物;有機金属誘導体;アルミニウムフタロシアニンクロリドなどの金属ポルフィリン化合物;無水物、メチルトシラート、メチルトリフラート、およびトリフリン酸;およびオキシハライドを本発明の硬化性組成物に添加することができる。
【0100】
しかしながら、上記の硬化剤が揮発性、毒性および腐食性の不純物の形成を引き起こしうることを考慮すると、硬化性組成物が上記の追加の硬化剤を含まないことが好ましい。
【0101】
上記のように、本発明の硬化性組成物は、例えばプリプレグおよびトウプレグなどの強化材料を製造するためのコーティング、接着剤、シーラントおよびマトリックスとして特に適当であり、および/または、射出成形または押し出し成形に用いることができる。
【0102】
これに関し、本発明の硬化性組成物を含む接着剤、シーラントまたはコーティングを提供することが、本発明の別の課題である。
【0103】
本発明は、本発明の硬化性組成物の硬化反応生成物、特に本発明の硬化性組成物を含浸させた繊維の束または層を含有する硬化反応生成物、および、このような材料の製造方法も提供する。
【0104】
これに関し、本発明は、プリプレグまたはトウプレグの製造方法に関する。このような方法の1つは、(a)繊維の層または束を供給する工程、(b)本発明の硬化性組成物を供給する工程、(c)該硬化性組成物および繊維の層または束を接合させて、プリプレグまたはトウプレグ組立て部品を形成する工程、および(d)プリプレグまたはトウプレグ組立て部品から過剰の重合性組成物を任意に除去し、得られたプリプレグまたはトウプレグ組立て部品を、繊維の層または束に硬化性組成物を含浸させてプリプレグまたはトウプレグ組立て部品を硬化反応生成物として形成するのに十分な高温および/または加圧条件にさらす工程を含む。
【0105】
プリプレグまたはトウプレグの別のこのような製造方法は、(a)繊維の層または束を供給する工程を供給する工程、(b)本発明の硬化性組成物を液状で供給する工程、(c)繊維の層または束を該硬化性組成物中に通過させ、繊維の層または束に該硬化性組成物を含浸させる工程、および(d)過剰の硬化性組成物をプリプレグまたはトウプレグ組立て部品から除去し、得られたプリプレグまたはトウプレグ組立て部品を、繊維の層または束に硬化性組成物を含浸させてプリプレグまたはトウプレグ組立て部品を硬化反応生成物として形成するのに十分な高温および/または加圧条件にさらす工程を含む。
【0106】
通常、繊維の層または束を、一方向性繊維、織り繊維、短繊維、不織繊維または長繊維、不連続繊維から構成してよい。
【0107】
選択した繊維は、炭素、ガラス、アラミド、ホウ素、ポリアルキレン、石英、ポリベンズイミダゾール、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンスルフィド、ポリp−フェニレンベンゾビスオアキサゾール、炭化ケイ素、フェノールホルムアルデヒド、フタレートおよびナフテノエートから選択されうる。
【0108】
炭素は、ポリアクリロニトリル、ピッチおよびアクリルから選択してよく、ガラスは、Sガラス、S2ガラス、Eガラス、Rガラス、Aガラス、ARガラス、Cガラス、Dガラス、ECRガラス、ガラス繊維、ステープルガラス、Tガラスおよび酸化ジルコニウムガラスから選択してよい。
【0109】
本発明の硬化性組成物(および本発明の硬化性組成物から製造したプリプレグおよびトウプレグ)は、航空宇宙用途および工業用最終用途のための複合部品の製造および組立て、複合部品および金属部品の結合、サンドイッチ構造のためのコアおよびコアフィルおよび複合表面加工において特に有用である。
【0110】
本発明の硬化性組成物は、エレクトロニクス産業用コーティング、シーラントまたは接着剤としても有用である。本発明の硬化性組成物を適用するのに適当な基材は、金属(例えば鋼鉄、アルミニウム、チタン、マグネシウム、真ちゅう、ステンレス鋼、HDG-鋼鉄およびEG-鋼鉄のような亜鉛めっき鋼、ガラスおよび石英などのケイ酸塩、金属酸化物、コンクリート、木材、電子チップ材料(例えば半導体チップ材料)、またはポリイミドフィルムおよびポリカーボネートなどのポリマーである。
【0111】
本発明は、180℃以下の温度で、好ましくは160℃以下の温度で、より好ましくは50℃〜150℃の温度で重合性組成物の重合速度を高める方法にも関し、この方法は、
a)少なくとも1種の本発明のメタ置換型芳香族化合物a)を重合性組成物に添加する工程、
b)重合性組成物を重合させるのに適当な条件に該重合性組成物をさらす工程
を含み、
ここで、該重合性組成物は、好ましくはN-アルキルおよびN-アルケニルベンゾオキサジン化合物からなる群から選択される少なくとも1種のベンゾオキサジン化合物を含む。
【0112】
「重合性組成物」という用語は、式(B-I)〜(B-XXII)で示されるベンゾオキサジン化合物などの少なくとも1種のベンゾオキサジン化合物を含む組成物を意味する。ベンゾオキサジン化合物を、N-アルキルおよび/またはN-アルケニルベンゾオキサジン化合物、例えば式(VII)で示されるN-アルキルおよび/またはN-アルケニルベンゾオキサジン化合物から選択することが好ましい。
【0113】
本発明において使用する用語「重合速度」は、重合開始後の最初の4時間に得られる単位時間あたりの重合率における変化量の平均値(%/時)を意味する。重合速度は、当業者により既知の技術(例えばGC分析、NMR分光法またはIR分光法)を用いて容易に測定することができる。
【0114】
本発明の好ましい態様において、重合速度を20℃〜180℃、好ましくは50℃〜170℃、より好ましくは120℃〜150℃の温度で、および/または、1〜100atm、好ましくは1〜5atm、より好ましくは大気圧より低い圧力で測定する。
【0115】
本発明の特に好ましい態様において、重合性組成物は、重合性組成物の全量に基づいて約5〜約100重量%、好ましくは約20〜約99重量%、より好ましくは約40〜約95重量%、特に好ましくは約50〜約90重量%、きわめて好ましくは約60〜約80重量%の量で、少なくとも1種のベンゾオキサジン化合物を含む。
【0116】
本発明の重合性組成物は、例えばエポキシ樹脂などの他の硬化性成分、および/または添加剤、例えば反応性希釈剤、強化剤、可塑剤、増量剤、マイクロスフェア、フィラー、顔料、染料、難燃剤、チキソトロピー剤、流れ制御剤、接着促進剤、酸化防止剤および/または光安定剤および/またはそれらの混合物または組合せをさらに含みうる。
【0117】
存在する場合、エポキシ樹脂成分を、重合性組成物の全量に基づいて1〜60重量%の範囲の量、より好ましくは5〜50重量%の量、特に好ましくは10〜30重量%の量、きわめて好ましくは15〜20重量%の量で、本発明の重合性組成物において使用することができる。
【0118】
存在する場合、少なくとも1種の添加剤または異なる添加剤の混合物を、重合性組成物の全量に基づいて0.1〜30重量%の範囲の量、より好ましくは2〜20重量%の量、最も好ましくは5〜15重量%の量で、本発明の重合性組成物において使用することができる。
【0119】
本発明の重合性組成物を、40℃〜180℃、好ましくは50℃〜150℃、より好ましくは120℃〜140℃の温度で、および/または、1〜100atm、好ましくは1〜5atm、より好ましくは大気圧より低い圧力で硬化させることが好ましい。
【0120】
本発明の最後の課題は、少なくとも1種の本発明のメタ置換型芳香族化合物の、好ましくはN-アルキルおよび/またはN-アルケニルベンゾオキサジン化合物からなる群から選択される少なくとも1種のベンゾオキサジン化合物を含む重合性組成物のための硬化剤/触媒としての使用である。
【0121】
本発明を、以下の実施例によりさらに説明する。
【実施例】
【0122】
実施例において、次のベンゾオキサジン化合物を使用した。
【化31】

【0123】
〔実施例1.1〕
【化32】

#Box−1(2.50g、15.3mmol)およびメタ置換型芳香族化合物A−I(53.9mg、0.155mmol)を、ジエチルエーテル中、22℃で混合し、均一の製剤を得た。減圧下、60℃、6時間でジエチルエーテルを除去した。得られた混合物を5つに分け、それぞれを試験管に入れた。
【0124】
脱気後、アルゴン導入口を試験管に取り付け、所定時間の間、それぞれの試験管を油浴中で150℃で加熱した。時々(0.5、1、2時間)、これらの試験管を1つずつ油浴から取り出し、それぞれの混合物をH-NMRで解析し、ベンゾオキサジン化合物の変換を測定した。得られた時間−変換の関係を表1に示す。
【0125】
〔実施例1.2〕
【化33】

A−Iの代わりにメタ置換型芳香族化合物A−II(56.1mg、0.155mmol)を用いることを除いては実施例1.1の方法に従い、#Box−1の変換を測定した。得られた時間−変換の関係を表1に示す。
【0126】
〔実施例1.3〕
【化34】

A−Iの代わりにメタ置換型芳香族化合物A−III(67.0mg、0.155mmol)を用いることを除いては実施例1.1の方法に従い、#Box−1の変換を測定した。得られた時間−変換の関係を表1に示す。
【0127】
〔実施例1.4〕
【化35】

A−Iの代わりにメタ置換型芳香族化合物A−IV(47.8mg、0.155mmol)を用いることを除いては実施例1.1の方法に従い、#Box−1の変換を測定した。得られた時間−変換の関係を表1に示す。
【0128】
〔比較例1.5〕
いずれの触媒/硬化剤をも使用することなく実施例1.1の方法に従い#Box−1の変換を測定した。
【0129】
〔比較例1.6〕
【化36】

A−Iの代わりに式(C-I)で示される1,3−プロピレングリコールウレタン(48.7mg、0.155mmol)を用いることを除いては実施例1.1の方法に従い、#Box−1の変換を測定した。得られた時間−変換の関係を表1に示す。
【0130】
【表1】

【0131】
この結果は、少なくとも1種の本発明のメタ置換型芳香族化合物を触媒/硬化剤として使用することにより、N-アルキルベンゾオキサジン化合物のようなベンゾオキサジン化合物の重合速度を顕著に増大させることができることを明らかに示す。式(C-I)で示される1,3−プロピレングリコールウレタンのような比較例の脂肪族ウレタン化合物の触媒活性は、上記のメタ置換型芳香族化合物の触媒活性よりも顕著に低い。
【0132】
〔実施例2.1〕
メタ置換型芳香族化合物A−I(54.3mg、0.156mmol;5mol%の#Box−2)およびベンゾオキサジン化合物#Box−2(1.00g、2.95mmol)を、アセトン中、22℃で混合して、均一の製剤を得た。アセトンを減圧下、60℃で、6時間で除去した。
【0133】
得られた混合物の2つのサンプル(15.0mg)を、熱重量分析計(Seiko Instruments Inc. EXTAR 6200 TG)を用いて、さらに分析した。
【0134】
1つのサンプルを、熱重量分析計において180℃で3時間、窒素雰囲気下で加熱した。他方のサンプルを、熱重量分析計において200℃で3時間、窒素雰囲気下で加熱した。両方のサンプルについて、硬化反応の間の重量減少を測定した。結果を表2に示す。
【0135】
〔実施例2.2〕
【化37】

(nは1〜10の範囲である)異なる化合物の混合物。
【0136】
A−Iの代わりに式A−Vで示される高分子メタ置換型芳香族化合物を用いることを除いては実施例2.1の方法に従い、硬化反応の間(3時間、180℃および200℃)の重量減少を測定した。結果を表2に示す。
【0137】
〔比較例2.3〕
いずれの触媒/硬化剤をも使用することなく、実施例2.1の方法に従い#Box−2の硬化反応の間の重量減少を測定した。結果を表2に示す。
【0138】
【表2】

【0139】
この結果は、本発明のメタ置換型芳香族化合物がベンゾオキサジン系硬化性組成物の硬化反応の間の重量減少を最小化することを明らかに示す。
【0140】
〔実施例3−貯蔵安定性〕
〔実施例3.1および3.2〕
#Box−1(1.63g、10.0mmol)およびメタ置換型芳香族化合物A−I(34.8mg、0.10mmol、または174mg、0.50mmol)を、22℃で混合して均一の製剤を得た。得られた製剤を3つに分け、それぞれを試験管にいれた。脱気後、アルゴン導入口を試験管に取り付け、所定時間の間、それぞれの試験管を22℃で保管した。時々(0、72、144時間)、それぞれの製剤をH-NMRで解析し、ベンゾオキサジン化合物#Box−1の変換を測定した。得られた時間−変換の関係を表3に示す。
【0141】
〔比較例3.3および3.4〕
A−Iの代わりにレゾルシノール(11.0mg、0.100mmol、または55.1mg、0.500mmol)を用いることを除いては実施例3.1の方法に従い、#Box−1の変換を測定した。得られた時間−変換の関係を表3に示す。
【0142】
〔比較例3.5〕
触媒/硬化剤を全く用いないことを除いては実施例3.1の方法に従い、#Box−1の変換を測定した。得られた時間−変換の関係を表3に示す。
【0143】
【表3】

【0144】
レゾルシノールはベンゾオキサジン含有組成物の部分重合を22℃で引き起こしたのに対し、本発明のメタ置換型芳香族化合物は22℃で反応性がより低く、著しい硬化反応は開始されなかった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)式(I):
【化1】

[式中、
Aは、モノイソシアネートの1個のイソシアネート基を除去することにより得られる残基であるか、または
Aは、式(II):
【化2】

〔XおよびYは、独立して、NR’、OおよびSからなる群から選択され、ここで、R’は、水素、または、脂肪族残基、ヘテロ脂肪族残基、芳香脂肪族残基、ヘテロ芳香脂肪族残基、芳香族残基およびヘテロ芳香族残基からなる群から選択される残基であり、
Dは、ジイソシアネートの2個のイソシアネート基を取り除くことにより得られる2価の残基であり、
、R、RおよびRは、独立して、水素、ニトロ、ハロゲン、カルボキシル、カルボン酸エステル基、C〜C40アルキル基、C〜C40アルコキシ基、C〜C40シクロアルキル基、C3〜40アルケニル基、C3〜40アルキニル基、C〜C40アリール基またはC〜C40アラルキル基から選択される〕
で示される少なくとも1種の繰り返し単位を含むオリゴマー残基またはポリマー残基である]
で示される少なくとも1種のメタ置換型芳香族化合物、
および
b)少なくとも1種のベンゾオキサジン化合物
を含む硬化性組成物。
【請求項2】
残基Aは、芳香族モノイソシアネートの1個のイソシアネート基を除去することにより得られる、請求項1に記載の硬化性組成物。
【請求項3】
残基Aは、式(III):
【化3】

[式中、R、R、R、RおよびRは、独立して、水素、ニトロ、ハロゲン、カルボキシル、カルボン酸エステル基、C〜C40アルキル基、C〜C40アルコキシ基、C〜C40シクロアルキル基、C3〜40アルケニル基、C3〜40アルキニル基、C〜C40アリール基またはC〜C40アラルキル基から選択される]
で示される1価の残基から選択される、請求項1または2に記載の硬化性組成物。
【請求項4】
、R、R、RおよびRは水素である、請求項3に記載の硬化性組成物。
【請求項5】
残基Aは、式(IV):
【化4】

[式中、nは1〜10000の整数であり、Bはイソシアネート基または式(V):
【化5】

で示される1価の残基であり、
X、Y、D、R、R、RおよびRは請求項1で定義したものである]
で示される1価のオリゴマー残基またはポリマー残基から選択される、請求項1に記載の硬化性組成物。
【請求項6】
式(I)、(II)、(IV)および(V)中のXおよびYはOである、請求項1または5に記載の硬化性組成物。
【請求項7】
ベンゾオキサジン化合物は、N-アルキルおよび/またはN-アルケニルベンゾオキサジン化合物からなる群から選択される、請求項1〜6のいずれかに記載の硬化性組成物。
【請求項8】
少なくとも1種のベンゾオキサジン化合物は、式(VII):
【化6】

[式中、oは1〜4であり、Zは直接結合(oが2の場合)、アルキル(oが1の場合)、アルキレン(oが2〜4の場合)、カルボニル(oが2の場合)、酸素(oが2の場合)、チオール(oが1の場合)、硫黄(oが2の場合)、スルホキシド(oが2の場合)、およびスルホン(oが2の場合)からなる群から選択され、Rは、それぞれ独立して、アルキル基またはアルケニル基から選択され、Rは、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、アルキルおよびアルケニルから選択されるか、または、Rは、ベンゾオキサジン構造からナフトオキサジン残基を作る2価の残基である]
で示されるN-アルキルまたはN-アルケニルベンゾオキサジン化合物から選択される、請求項7に記載の硬化性組成物。
【請求項9】
ベンゾオキサジン部分:請求項1〜6のいずれかに記載のメタ置換型芳香族化合物a)のモル比が50:50〜99.9:0.1の範囲である、請求項1〜8のいずれかに記載の硬化性組成物。
【請求項10】
a)請求項1〜6のいずれかに記載の少なくとも1種のメタ置換型芳香族化合物a)0.1〜20重量%、
b)少なくとも1種のベンゾオキサジン化合物b)20〜99.9重量%、
c)少なくとも1種のエポキシ樹脂0〜60重量%、および
d)少なくとも1種の添加剤0〜30%
を含む請求項1〜9のいずれかに記載の硬化性組成物。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれかに記載の硬化性組成物の硬化反応生成物。
【請求項12】
硬化前に請求項1〜10のいずれかに記載の硬化性組成物を含浸させた繊維の層または束を含む、請求項11に記載の硬化反応生成物。
【請求項13】
a)繊維の層または束を供給する工程、
b)請求項1〜10のいずれかに記載の硬化性組成物を供給する工程、
c)該組成物および該繊維の層または束を接合させて、組立て部品を形成する工程、
d)任意に過剰の硬化性組成物を組立て部品から除去する工程
を含み、得られた組立て部品を、繊維の層または束に硬化性組成物を含浸させて硬化反応生成物を形成するのに十分な高温および/または加圧条件にさらす、請求項12に記載の硬化反応生成物の製造方法。
【請求項14】
請求項1〜10のいずれかに記載の硬化性組成物を含む接着剤、シーラントまたはコーティング組成物。
【請求項15】
180℃以下の温度で重合性組成物の重合速度を高める方法であって、
a)請求項1〜6のいずれかに記載の少なくとも1種のメタ置換型芳香族化合物a)を重合性組成物へ添加する工程、
b)該重合性組成物を重合性組成物を重合させるのに適当な条件にさらす工程
を含み、該重合性組成物は好ましくはN-アルキルおよびN-アルケニルベンゾオキサジン化合物からなる群から選択される少なくとも1種のベンゾオキサジン化合物を含む、方法。
【請求項16】
好ましくはN-アルキルおよび/またはN-アルケニルベンゾオキサジン化合物からなる群から選択される少なくとも1種のベンゾオキサジン化合物を含む重合性組成物のための硬化剤としての、請求項1〜6のいずれかに記載の少なくとも1種のメタ置換型芳香族化合物a)の使用。

【公表番号】特表2013−508517(P2013−508517A)
【公表日】平成25年3月7日(2013.3.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−535634(P2012−535634)
【出願日】平成21年10月27日(2009.10.27)
【国際出願番号】PCT/EP2009/064150
【国際公開番号】WO2011/050834
【国際公開日】平成23年5月5日(2011.5.5)
【出願人】(391008825)ヘンケル・アクチェンゲゼルシャフト・ウント・コムパニー・コマンディットゲゼルシャフト・アウフ・アクチェン (309)
【氏名又は名称原語表記】Henkel AG & Co. KGaA
【住所又は居所原語表記】Henkelstrasse 67,D−40589 Duesseldorf,Germany
【Fターム(参考)】