説明

ベンゾジオキサン化合物の製造方法

【課題】本発明は、簡便かつ効率的にベンゾジオキサン化合物を製造する方法を提供する。
【解決手段】塩基の存在下、フェノール化合物をカーボネート化合物と反応させて、目的とするベンゾジオキサン化合物を得る。本方法によれば、工業的に、簡便かつ効率的に、目的物を高い選択率で製造することができる。得られたベンゾジオキサン化合物は、ルイス酸と反応させると、リチウム二次電池用の電解質塩の原料、リチウム二次電池用アニオンレセプターの原料等であるカテコール化合物を簡便かつ効率的に得ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ベンゾジオキサン化合物の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ベンゾジオキサン化合物は、非水電解質電池、特にリチウム二次電池における耐過充電性を向上させるための添加剤(レドックスシャトル添加剤)として知られている(特許文献1及び2)。
【0003】
このベンゾジオキサン化合物を簡便かつ効率的に製造する方法が望まれている。
【0004】
このベンゾジオキサン化合物の製造方法としては、例えば、非特許文献1には、パーフルオロベンゼンをエチレングリコール及び水酸化ナトリウムと反応させて、2−(ペンタフルオロフェノキシ)エタノールを得て、さらにN,N−ジメチルホルムアミド中で炭酸カリウムと反応させて製造する方法が報告されている。
【0005】
【化1】

【0006】
しかしながら、この方法では副生成物として、一段階目の反応で2量体を生成してしまうため、得られるベンゾジオキサン化合物の収率が良くない。
【0007】
また、前記製造方法は、上記の通り2段階の反応であり、しかも一段階目の反応後、2−(ペンタフルオロフェノキシ)エタノールと共に生成するNaFを除去するための水洗処理が必要である。さらに、当該2−(ペンタフルオロフェノキシ)エタノールは水溶性であるため、有機溶媒によって抽出する必要もある。そのため、製造工程が煩雑になるという欠点を有する。
【0008】
非特許文献2には、パーフルオロフェノールと2−ブロモエタノールとを反応させて、2−(ペンタフルオロフェノキシ)エタノールを得て、さらにN,N−ジメチルホルムアミド中で炭酸カリウムと反応させて、ベンゾジオキサン化合物を製造する方法が報告されている。
【0009】
【化2】

【0010】
しかしながら、この方法もまた2段階の反応であり、一段階目の反応後、KFを除去するための水洗処理が必要である。また、当該2−(ペンタフルオロフェノキシ)エタノールを有機溶媒によって抽出する必要もある。そのため、製造工程が煩雑になるという欠点を有する。しかも、上記した方法では、BrCHCHOHという高価なハロゲン化アルコールを使用するため、製造コストが高いという問題点もある。
【0011】
また、非特許文献2には、パーフルオロフェノールとエチレンオキシドとを反応させて、ベンゾジオキサン化合物を製造する方法も報告されている。
【0012】
【化3】

【0013】
しかしながら、エチレンオキシドは爆発性があるので、取り扱いが困難であり、工業的なスケールで使用することが難しい。しかも、この方法もまた2段階の反応であり、一段階目においてカリウムペンタフルオロフェノラートを合成してから、二段階目でエチレンオキシドと反応させるものである。上記した製造方法では、副生成物であるエチレンオキシドの重合体が生成しないように、上記カリウムペンタフルオロフェノラートとエチレンオキシドを交互に添加し続ける必要がある。そのため、製造工程が煩雑であるという欠点を有する。
【0014】
また、前記ベンゾジオキサン化合物は、当該ベンゾジオキサン化合物のエチレングリコール部分をはずすことによって、カテコール化合物に変換することができる。当該カテコール化合物は、例えば、リチウム二次電池用の電解質塩として有用なリチウムビス[テトラフルオロ−1,2−ベンゼンジオラト(2−)−O,O’]ボレート、リチウム二次電池用アニオンレセプターとして有用な2−(2,4−ジフルオロフェニル)−4−フルオロ−1,3,2−ベンゾジオキサボロール、2−(4−フルオロフェニル)−テトラフルオロ−1,3,2−ベンゾジオキサボロール、等の原料として用いられる。このカテコール化合物の製造方法として、例えば、非特許文献4には、2,2,3,3−テトラヒドロ−5,6,7,8−テトラフルオロ−1,4−ベンゾジオキサンをベンゼン中でAlClと反応させて製造する方法が報告されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】特開2003−308874号公報
【特許文献2】WO2008/140271 A1
【非特許文献】
【0016】
【非特許文献1】Journal of Fluorine Chemistry 124 183−188(2003)
【非特許文献2】J.Electrochem.Soc.,Vol.143,No.11,November 1996,3572−3575
【非特許文献3】Journal of The Electrochemical Society,151(9)A1429−A1435(2004)
【非特許文献4】J.Chem.Soc.,763(1964)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
本発明は、簡便かつ効率的にベンゾジオキサン化合物を製造する方法を提供することを目的とする。さらに、ベンゾジオキサン化合物から、簡便かつ効率的にカテコール化合物を製造する方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明者は、上記の課題を解決するため鋭意研究を行った結果、フェノール化合物を、取り扱いが容易なカーボネート化合物を用いて反応させることにより、高純度かつ高収率でベンゾジオキサン化合物を製造できることを見出した。かかる知見に基づき更に研究を重ねた結果、本発明を完成するに至った。
【0019】
即ち、本発明は以下のベンゾジオキサン化合物の製造方法を提供する。
1. 一般式(3):
【0020】
【化4】

【0021】
(式中、R、R、R及びRは、それぞれ同一又は異なって、水素原子、フッ素原子、アルキル基又は含フッ素アルキル基を示す。
式中、R、R、R及びRは、それぞれ同一又は異なって、水素原子、フッ素原子、アルキル基又は含フッ素アルキル基を示す。)
で表されるベンゾジオキサン化合物の製造方法であって、一般式(1):
【0022】
【化5】

【0023】
(式中、R、R、R及びRは前記に同じ。)
で表されるフェノール化合物を、塩基の存在下、一般式(2):
【0024】
【化6】

【0025】
(式中、R、R、R及びRは前記に同じ。)
で表されるカーボネート化合物と反応させることを特徴とする製造方法。
2. 前記R、R、R及びRは、それぞれ同一又は異なって、水素原子、フッ素原子又は炭素数1〜6の含フッ素アルキル基である、上記項1に記載の製造方法。
3. 前記R、R、R及びRは、それぞれ同一又は異なって、水素原子又はアルキル基である、上記項1又は2に記載の製造方法。
4. 極性溶媒中で反応させる、上記項1〜3のいずれかに記載の製造方法。
5. 一般式(4):
【0026】
【化7】

【0027】
(式中、R、R、R及びRは、それぞれ同一又は異なって、水素原子、フッ素原子、アルキル基又は含フッ素アルキル基を示す。)
で表されるカテコール化合物の製造方法であって、
(I) 一般式(1):
【0028】
【化8】

【0029】
(式中、R、R、R及びRは前記に同じ。)
で表されるフェノール化合物を、塩基の存在下、一般式(2):
【0030】
【化9】

【0031】
(式中、R、R、R及びRは、それぞれ同一又は異なって、水素原子、フッ素原子、アルキル基、又は含フッ素アルキル基を示す。)
で表されるカーボネート化合物と反応させて、一般式(3):
【0032】
【化10】

【0033】
(式中、R、R、R、R、R、R、R及びRは前記に同じ。)
で表されるベンゾジオキサン化合物を製造する工程、及び
(II) 当該ベンゾジオキサン化合物を、ルイス酸と反応させて、一般式(4):
【0034】
【化11】

【0035】
(式中、R、R、R及びRは前記に同じ。)
で表されるカテコール化合物を製造する工程、
を含むことを特徴とする、製造方法。
6. 前記(II)の工程において、芳香族炭化水素系溶媒で反応させる、上記項5に記載の製造方法。
【0036】
以下、本発明をさらに詳細に説明する。
【0037】
本発明に記載される、一般式(3)で示されるベンゾジオキサン化合物、及び一般式(4)で示されるカテコール化合物の製造方法を、以下に示す。
【0038】
【化12】

【0039】
(式中、R、R、R及びRは、それぞれ同一又は異なって、水素原子、フッ素原子、アルキル基又は含フッ素アルキル基を示す。
式中、R、R、R及びRは、それぞれ同一又は異なって、水素原子、フッ素原子、アルキル基又は含フッ素アルキル基を示す。)
、R、R及びRで示されるアルキル基は、直鎖又は分岐鎖のいずれでもよいアルキル基である。好ましくは炭素数1〜6、より好ましくは炭素数1〜4のアルキル基である。具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基等が例示され、好ましくはメチル基又はエチル基である。
【0040】
、R、R及びRで示される含フッ素アルキル基は、直鎖又は分岐鎖のアルキル基の少なくとも1個の水素原子がフッ素原子に置換された基である。好ましくは炭素数1〜6、より好ましくは炭素数1〜4の含フッ素アルキル基である。具体的には、CHF−、CHF−、CF−、CFCF−、HCFCF−、CFCFCF−、(CFCH−、(CFCF−、CFCFCFCF−、(CFCFCF−、HCFCFCFCF−などが例示され、好ましくはCHF−、CHF−、CF−、CFCF−又はHCFCF−である。
【0041】
、R、R及びRは、それぞれ水素原子、フッ素原子又は炭素数1〜6の含フッ素アルキル基であることが好ましい。特に、R、R、R及びRが全てフッ素原子である場合、耐電圧性が向上し、高電圧系でのレドックスシャトル添加剤の使用用途として有益であるという観点から、最も好ましい。
【0042】
、R、R及びRで示されるアルキル基又は含フッ素アルキル基は、それぞれR、R、R及びRで示されるアルキル基又は含フッ素アルキル基において例示されたものと、同様の置換基を例示することができる。
【0043】
、R、R及びRは、それぞれ水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基であることが好ましく、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基がより好ましく、水素原子、メチル基又はエチル基からなる群から選ばれた少なくとも1種がさらに好ましい。R、R、R及びRが全て水素原子である場合、化合物の安定性が高くなるという観点から、最も好ましい。
【0044】
以下、第1工程及び第2工程について、詳細に説明する。
【0045】
第1工程
まず、第1工程(第(I)工程)について説明する。第1工程は、一般式(1)で示されるフェノール化合物(以下、フェノール化合物(1)とする)と、一般式(2)で示されるカーボネート化合物(以下、カーボネート化合物(2)とする)とを塩基の存在下で反応させて、一般式(3)で示されるベンゾジオキサン化合物(以下、ベンゾジオキサン化合物(3)とする)を得る工程である。
【0046】
第1工程では、塩基の存在下で反応させる。使用される塩基としては、無機塩基が挙げられる。
【0047】
前記無機塩基としては、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属炭酸塩;炭酸水素リチウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等のアルカリ金属炭酸水素塩;水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物;炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム等のアルカリ土類金属炭酸塩;水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム等のアルカリ土類金属水酸化物;等が挙げられる。好ましくは、アルカリ金属炭酸塩である。
【0048】
これらの塩基は、1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0049】
第1工程に使用する前記塩基の量は、基質である前記フェノール化合物(1)1モルに対して、通常0.1〜5モル程度であり、好ましくは0.3〜3モルであり、より好ましくは0.4〜1.1モルである。
【0050】
第1工程に使用する前記カーボネート化合物(2)の量は、前記フェノール化合物(1)1モルに対して、通常1〜10モル程度であり、2〜6モルが好ましく、3〜4モルがより好ましい。前記フェノール化合物(1)1モルに対して前記カーボネート化合物(2)を上記した範囲内で使用することによって、反応の転化率が十分であって、かつ高収率で目的物を得ることができる。
【0051】
第1工程では、反応溶媒として極性溶媒を使用することが好ましい。例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、N−メチルピロリドン、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、グライム、ジグライム、トリグライム、テトラグライム、メチルエチルケトン、アセトン、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、水等を例示することができ、これらの混合溶媒を用いても良い。特に、ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルホルムアミド及びN−メチルピロリドンからなる群から選ばれた少なくとも1種が好ましい。なお、これらの溶媒は、1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0052】
第1工程における反応溶液中のフェノール化合物(1)の濃度は、通常0.05〜4mol/L程度であり、好ましくは0.5〜1.5mol/L、より好ましくは1.2〜1.4mol/Lである。即ち、前記反応溶媒の量は、上記した濃度の範囲内となるように適宜設定すればよい。反応溶液中のフェノール化合物(1)の濃度を上記の範囲内とすることによって、1回の反応で得られるベンゾジオキサン化合物(3)の量が多くなる(いわゆるスケールメリットが生じる)。また、反応溶液中のフェノール化合物(1)の濃度が上記の範囲内であれば、溶媒量が従来技術に比べて少量であるため、後処理の作業性を向上させることが可能となる。
【0053】
第1工程における反応の方法は、フェノール化合物(1)とカーボネート化合物(2)が反応すれば、特に限定されない。例えば、塩基及びカーボネート(2)が溶解した反応溶媒中に対して前記フェノール化合物(1)を加える方法が例示される。前記フェノール化合物(1)を加える際、フェノール化合物(1)の純物質を加えてもよいが、前記フェノール化合物(1)と前記カーボネート化合物(2)を効率よく反応させるためには、フェノール化合物(1)を溶媒に溶解させた後、それを滴下することが好ましい。なお、フェノール化合物(1)を溶解する溶媒は、前記塩基及びカーボネート化合物(2)を溶解する反応溶媒と同一であることが好ましい。
【0054】
第1工程では、フェノール化合物(1)とカーボネート化合物(2)が反応することによって、ベンゾジオキサン化合物(3)が得られる。上記した反応では、一般式(5):
【0055】
【化13】

【0056】
(式中、R、R、R及びRは、それぞれ同一又は異なって、水素原子、フッ素原子、アルキル基又は含フッ素アルキル基を示す。
式中、R、R、R及びRは、それぞれ同一又は異なって、水素原子、フッ素原子、アルキル基又は含フッ素アルキル基を示す。)
で示される化合物またはその塩(前記その塩とは、一般式(5)で示される化合物と上述した塩基との間に生成される塩を示す)を生成した後に前記ベンジオキサン化合物(3)が得られていると考えられる。そのため、必要に応じて、前記一般式(5)で示される化合物またはその塩を、途中で単離することもできる。
【0057】
なお、一般式(5)で示される化合物またはその塩における前記R、R、R及びRは、それぞれ水素原子、フッ素原子又は炭素数1〜6の含フッ素アルキル基であることが好ましく、前記R、R、R及びRが全てフッ素原子であることがより好ましい。一般式(5)で示される化合物またはその塩における前記R、R、R及びRは、それぞれ水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基であることが好ましく、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基がより好ましく、水素原子、メチル基又はエチル基からなる群から選ばれた少なくとも1種がさらに好ましく、前記R、R、R及びRが全て水素原子であることが最も好ましい。
【0058】
第1工程では、通常、反応温度を130〜175℃程度とすることによって、フェノール化合物(1)とカーボネート化合物(2)が反応し、目的物であるベンゾジオキサン化合物(3)が得られる。前記カーボネート化合物(2)を重合させることなく高収率で前記ベンジオキサン化合物(3)を得る、という観点から、100〜130℃程度で前記一般式(5)で示される化合物またはその塩を十分に生成させた後、130〜175℃程度で閉環反応して前記ベンゾジオキサン化合物(3)を得る、という段階的な温度設定を有する工程が好ましい。
【0059】
第1工程の反応時間は、特に限定がなく、適宜反応溶液を一部サンプリングし、フェノール化合物(1)及び一般式(5)で示される化合物またはその塩が消失したことを確認してから反応は終了する。
【0060】
以下、第1工程におけるベンゾジオキサン化合物(3)の製造の望ましい態様の一例につき、詳細を述べる。炭酸カリウム等の塩基、エチレンカーボネート等のカーボネート化合物(2)、及びジメチルスルホキシド等の極性溶媒を混合し、原料のフェノール化合物(1)を加える。さらに、100〜130℃の温度にて撹拌し、前記一般式(5)で示される化合物またはその塩を十分に生成させた後、130〜175℃の温度で撹拌し、閉環反応を進行させる。フェノール化合物(1)及び一般式(5)で示される化合物またはその塩の消失を確認して、反応を完結させる。
【0061】
生成したベンゾジオキサン化合物(3)は、通常の分離操作またはエーテル等の有機溶媒による抽出により単離することができる。また、必要に応じて単離した前記ベンゾジオキサン化合物(3)を蒸留、昇華等により更に精製することも可能である。
【0062】
本発明の方法では、簡便かつ効率的に前記ベンゾジオキサン化合物(3)を製造することができる。しかも、本発明の方法は収率よく前記ベンゾジオキサン化合物(3)を製造することができる。
【0063】
第2工程
次に、第2工程(第(II)工程)について説明する。第2工程は、ベンゾジオキサン化合物(3)をルイス酸と反応させて、一般式(4)で示されるカテコール化合物(以下、カテコール化合物(4)とする)を得る工程である。
【0064】
第2工程に用いられるルイス酸としては、例えば、BF、BF・OEt、BBr、ZnCl、FeCl、AlCl,CoCl、NiCl、CuCl、TiCl、ZrCl、GeCl,NbCl等の金属ハロゲン化物およびそれらの水和物が挙げられる。好ましくは、AlCl及びBBrからなる群から選ばれた少なくとも1種である。これらのルイス酸は、1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0065】
第2工程に使用する前記ルイス酸の量は、前記ベンゾジオキサン化合物(3)1モルに対して、通常2〜10モル程度であり、3〜7モルが好ましく、4〜6モルがより好ましい。前記ルイス酸の量を上記の範囲内とすることによって、反応の転化率が十分であって、かつ高収率で目的物を得ることができる。
【0066】
第2工程では、反応溶媒としてベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン等の芳香族炭化水素系溶媒を使用することができる。好ましくは、トルエン及びベンゼンからなる群から選ばれた少なくとも1種であり、より好ましくはトルエンである。なお、これらの溶媒は、1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0067】
反応溶液中のベンゾジオキサン化合物(3)の濃度は、通常0.1〜2mol/L程度、好ましくは0.3〜1.2mol/L、より好ましくは0.4〜0.5mol/Lである。即ち、前記反応溶媒の量は、上記した濃度の範囲内となるように適宜設定すればよい。反応溶液中のベンゾジオキサン化合物(3)の濃度を上記の範囲内とすることによって、1回の反応で得られるカテコール化合物(4)の量が多くなる(いわゆるスケールメリットが生じる)。また、反応溶液中のベンゾジオキサン化合物(3)の濃度を上記の範囲内であれば、溶媒量が従来技術に比べて少量であるため、後処理の作業性を向上させることが可能となる。
【0068】
前記ルイス酸がAlClであって、溶媒がトルエンである場合、溶媒中に対するAlClの溶解性に優れ、かつ十分に反応温度を上げることができるため、ルイス酸及び溶媒のいずれも使用量を低減しつつ、効率的に前記カテコール化合物(4)を製造することができる。そのため、前記AlCl及びトルエンは、それぞれ第2工程におけるルイス酸及び溶媒として特に好ましい態様である。
【0069】
第2工程の反応温度は、通常、60〜120℃程度、好ましくは80〜120℃、さらに好ましくは100〜120℃で実施することができる。
【0070】
第2工程の反応時間は、特に限定がなく、適宜反応溶液を一部サンプリングし、ベンゾジオキサン化合物(3)が消失したことを確認してから反応は終了する。
【0071】
本発明の方法で製造されたカテコール化合物(4)は、公知の方法を適用して精製される。例えば、反応液を塩酸等でクエンチした後にエーテル等の溶媒により抽出し、溶媒を留去することにより粗有機物を得る。得られた粗有機物はカラムクロマトグラフィーや蒸留、昇華等の精製を行うことで高純度のカテコール化合物(4)とすることができる。
【発明の効果】
【0072】
本発明によれば、ベンゾジオキサン化合物を、従来の方法よりも簡便にかつ効率的に、しかも高純度かつ高収率で製造することができる。このため、本発明は、工業的な規模でベンゾジオキサン化合物を製造するための優れた方法である。また、本発明によれば、得られたベンゾジオキサン化合物からカテコール化合物を簡便かつ効率的に得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0073】
以下、実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明する。但し、本発明は実施例に限定されない。
【実施例】
【0074】
[実施例1]第1工程
100mLのガラス製4口フラスコに外部撹拌翼、ジムロートおよび滴下ロートを取り付けた。室温下、4口フラスコに炭酸カリウム(和光純薬株式会社 試薬特級)1.88g(13.58ミリモル、0.5当量)、エチレンカーボネート(キシダ化学株式会社 特級)9.57g(108.66ミリモル、4.0当量)およびジメチルスルホキシド(和光純薬株式会社 試薬特級)14mLを入れ、600rpmで撹拌した。次に、滴下ロートから下記式で示されるパーフルオロフェノール:
【0075】
【化14】

【0076】
(ZHEJIANG YONGTAI TECHNOLOGY CO,LTD.)5.00g(27.17ミリモル、1.0当量)―ジメチルスルホキシド6mL溶液を滴下した。このとき、ジメチルスルホキシドに対するパーフルオロフェノールの濃度は、1.36モル/L(=27.17ミリモル/(14mL+6mL))であった。滴下後、発熱と二酸化炭素の発生を確認した。反応溶液を100℃に加熱して2時間撹拌した。二酸化炭素の発生が確認できなくなってから、さらに反応溶液を175℃に加熱した。前記加熱途中、120℃付近から再度二酸化炭素の発生を確認した。反応溶液を一部サンプリングし、1モル/Lの濃度の塩酸でクエンチしてジイソプロピルエーテル(キシダ化学株式会社 特級)で抽出し、この抽出溶液をガスクロマトグラフィ(島津製作所製 GC−17A、カラム:DB624(J&Wサイエンティフィック社製))および19F NMR(BRUKER製 AC−300)を用いて分析した。パーフルオロフェノールの消失を確認した後、反応溶液を室温に戻して50mLの水でクエンチし、30mLのジイソプロピルエーテルを加えた。この2相系溶液を30分間撹拌した後に分液し、水層を再度ジイソプロピルエーテルで抽出した(30mL×2回)。抽出溶液をすべて混合して硫酸マグネシウム(和光純薬株式会社 化学用)で乾燥し、エバポレーター(減圧下、30℃の湯浴で抽出溶液を加熱した)を用いて濃縮した。濃縮後の残留物を単蒸留により精製を行うことで、目的物であって下記式で示されるパーフルオロベンゾジオキサン:
【0077】
【化15】

【0078】
3.51g(16.85ミリモル、単離収率62%)を得た。前記パーフルオロベンゾジオキサンについては、19F NMRとH NMR(BRUKER製 AC−300)を用いて同定した。以下に物性値を記す。
19F NMR(254MHz, CDCl3, トリフルオロメチルベンゼン基準, ppm): δ -169.86〜-169.74(m, 2F), -165.18〜-165.03(m, 2F)
1H NMR(270MHz, CDCl3, TMS基準, ppm): δ 4.34(s, 4H)
GC: 19.135min.
[実施例2]第1工程
3Lのガラス製4口フラスコに外部撹拌翼、ジムロートおよび滴下ロートを取り付けた。室温下、4口フラスコに炭酸カリウム(和光純薬株式会社 試薬特級)136.66g(0.951モル、0.5当量)、エチレンカーボネート(キシダ化学株式会社 特級)669.96g(7.608モル、4.0当量)およびジメチルスルホキシド(和光純薬株式会社 試薬特級)1.0Lを入れ、600rpmで撹拌した。次に、滴下ロートからパーフルオロフェノール(ZHEJIANG YONGTAI TECHNOLOGY CO,LTD.)350g(1.902モル、1.0当量)―ジメチルスルホキシド0.4L溶液を滴下した。このとき、ジメチルスルホキシドに対するパーフルオロフェノールの濃度は、1.36モル/L(=1.902モル/(1.0L+0.4L))であった。滴下後、発熱と二酸化炭素の発生を確認した。反応溶液を100℃に加熱して2時間撹拌した。二酸化炭素の発生が確認できなくなってから、さらに反応溶液を175℃に加熱した。前記加熱途中、120℃付近から再度二酸化炭素の発生を確認した。反応溶液を一部サンプリングし、1モル/Lの濃度の塩酸でクエンチしてジイソプロピルエーテル(キシダ化学株式会社 特級)で抽出し、この抽出溶液をガスクロマトグラフィ(島津製作所製 GC−17A、カラム:DB624(J&Wサイエンティフィック社製))および19F NMR(BRUKER製 AC−300)を用いて分析した。パーフルオロフェノールの消失を確認した後、反応溶液を室温に戻して4Lの水でクエンチし、2Lのジイソプロピルエーテルを加えた。この2相系溶液を30分間撹拌した後に分液し、水層を再度ジイソプロピルエーテルで抽出した(2L×2回)。抽出溶液をすべて混合して硫酸マグネシウム(和光純薬株式会社 化学用)で乾燥し、エバポレーター(減圧下、30℃の湯浴で抽出溶液を加熱した)を用いて濃縮した。濃縮後の残留物を単蒸留により精製を行うことで、目的物であるパーフルオロベンゾジオキサン257.29g(1.236モル、単離収率65%)を得た。
【0079】
[実施例3]第1工程
パーフルオロフェノールの量を187.09g(1.016モル、1.0当量)とし、炭酸カリウムの量を70.21g(0.508モル、0.5当量)とし、エチレンカーボネートの量を384.89g(4.371モル、4.3当量)とし、ジメチルスルホキシドに対するパーフルオロフェノールの濃度が1.36モル/Lとなるようにジメチルスルホキシドを使用する以外は、実施例2と同様にして、目的物であるパーフルオロベンゾジオキサン137.43g(0.660モル、単離収率65%)を得た。
【0080】
[実施例4]第1工程
パーフルオロフェノール5.00gに代えて、2,3,6−トリフルオロフェノール1.97g(13.33ミリモル、1.0当量)とし、炭酸カリウムの量を0.92g(6.66ミリモル、0.5当量)とし、エチレンカーボネートの量を4.69g(53.31ミリモル、4.0当量)とし、ジメチルスルホキシドに対する2,3,6−トリフルオロフェノールの濃度が1.36モル/Lとなるようにジメチルスルホキシドを使用する以外は、実施例1と同様にして、目的物であって下記式で示されるベンゾジオキサン誘導体:
【0081】
【化16】

【0082】
1.354g(7.86ミリモル、単離収率59%)を得た。
【0083】
[実施例5]第1工程
エチレンカーボネート9.57gに代えて、下記式に示される4,5−ジメチル−1,3−ジオキソラン−2−オン:
【0084】
【化17】

【0085】
12.62g(108.66ミリモル、4.0当量)とし、ジメチルスルホキシドに対するパーフルオロフェノールの濃度が1.36モル/Lとなるようにジメチルスルホキシドを使用する以外は、実施例1と同様にして、目的物であって下記式で示されるベンゾジオキサン誘導体:
【0086】
【化18】

【0087】
2.863g(12.23ミリモル、単離収率45%)を得た。
【0088】
[実施例6]第1工程
パーフルオロフェノールの量を10.0g(54.33ミリモル、1.0当量)とし、炭酸カリウムの量を3.75g(27.17ミリモル、0.5当量)とし、エチレンカーボネートの量を9.57g(108.66ミリモル、2.0当量)とし、ジメチルスルホキシドに対するパーフルオロフェノールの濃度が0.073モル/Lとなるようにジメチルスルホキシドを使用する以外は、実施例1と同様にして、目的物であるパーフルオロベンゾジオキサン4.975g(23.91ミリモル、単離収率44%)を得た。
【0089】
実施例1〜6において使用されたフェノール化合物、塩基及びカーボネート化合物の当量数、溶媒中におけるフェノール化合物の濃度、並びに収率を以下の表に示す。
【0090】
【表1】

【0091】
[実施例7]第2工程
100mLのガラス製4口フラスコに外部撹拌翼およびジムロートを取り付けた。室温下、4口フラスコに塩化アルミニウム(和光純薬株式会社 和光特級)12.81g(96.12ミリモル、4.0当量)、パーフルオロベンゾジオキサン5.00g(24.03ミリモル、1.0当量)およびトルエン(和光純薬株式会社 試薬特級)48mL(トルエンに対するパーフルオロベンゾジオキサンの濃度は0.5モル/L)を入れ、600rpmで撹拌した。反応溶液を加熱して、加熱還流下で2時間撹拌した。反応溶液を一部サンプリングし、1モル/Lの濃度の塩酸でクエンチしてジイソプロピルエーテル(キシダ化学株式会社 特級)で抽出し、この抽出溶液をガスクロマトグラフィおよび19F NMRを用いて分析した。パーフルオロベンゾジオキサンの消失を確認した後、反応溶液を室温に戻して、17.5wt%の塩酸60mLに添加し、1時間撹拌した。この2相系溶液を分液し、トルエン層を熱水(70〜80℃)で抽出した(40mL×2回)。上記塩酸と抽出した熱水を混合して、ジイソプロピルエーテルで再度抽出した(40mL×3回)。抽出したジイソプロピルエーテル溶液を硫酸マグネシウムで乾燥し、エバポレーター(減圧下、30℃の湯浴で抽出溶液を加熱した)を用いて濃縮した。濃縮後の残留物を単蒸留あるいは昇華により精製を行うことで、目的物であって下記式で示されるパーフルオロカテコール:
【0092】
【化19】

【0093】
2.54g(13.94ミリモル、単離収率58%)を得た。
パーフルオロカテコールは19F NMRと1H NMRを用いて同定した。以下に物性値を記す。
19F NMR(254MHz, CDCl3, トリフルオロメチルベンゼン基準, ppm): δ -169.91〜-169.66(m, 2F), -165.65〜-165.31(m, 2F)
1H NMR(270MHz, CDCl3, TMS, ppm): δ 5.33(s, 2H)
[実施例8]第2工程
3Lのガラス製4口フラスコに外部撹拌翼およびジムロートを取り付けた。室温下、4口フラスコに塩化アルミニウム(和光純薬株式会社 和光特級)384.43g(2.884モル、4.0当量)、パーフルオロベンゾジオキサン150.00g(0.721モル、1.0当量)およびトルエン(和光純薬株式会社 試薬特級)1.442L(トルエンに対するパーフルオロベンゾジオキサンの濃度は0.5モル/L)を入れ、600rpmで撹拌した。反応溶液を加熱して、加熱還流下で2時間撹拌した。反応溶液を一部サンプリングし、1モル/Lの濃度の塩酸でクエンチしてジイソプロピルエーテル(キシダ化学株式会社 特級)で抽出し、この抽出溶液をガスクロマトグラフィおよび19F NMRを用いて分析した。パーフルオロベンゾジオキサンの消失を確認した後、反応溶液を室温に戻して、17.5wt%の塩酸1.7Lに添加し、1時間撹拌した。この2相系溶液を分液し、トルエン層を熱水(70〜80℃)で抽出した(1L×2回)。上記塩酸と抽出した熱水を混合して、ジイソプロピルエーテルで再度抽出した(1L×3回)。抽出したジイソプロピルエーテル溶液を硫酸マグネシウムで乾燥し、エバポレーター(減圧下、30℃の湯浴で抽出溶液を加熱した)を用いて濃縮した。濃縮後の残留物を単蒸留あるいは昇華により精製を行うことで、目的物であるパーフルオロカテコール80.08g(0.44モル、単離収率61%)を得た。
【0094】
[実施例9]第2工程
塩化アルミニウムの量を19.22g(144.18ミリモル、6.0当量)とする以外は、実施例7と同様にして、目的物であるパーフルオロカテコール2.625g(14.42ミリモル、単離収率60%)を得た。
【0095】
[実施例10]第2工程
パーフルオロベンゾジオキサン5.00gに代えて、実施例4で得られたベンゾジオキサン誘導体:
【0096】
【化20】

【0097】
1.20g(6.97ミリモル、1.0当量)とし、塩化アルミニウムの量を3.72g(27.89ミリモル、4.0当量)とし、トルエンの量を14mLとする以外は、実施例7と同様にして、目的物であって下記式で示されるカテコール化合物:
【0098】
【化21】

【0099】
0.794g(5.44ミリモル、単離収率78%)を得た。
【0100】
[実施例11]第2工程
パーフルオロベンゾジオキサン5.00gに代えて、実施例5で得られたベンゾジオキサン誘導体:
【0101】
【化22】

【0102】
2.50g(10.59ミリモル、1.0当量)とし、塩化アルミニウムの量を5.65g(42.34ミリモル、4.0当量)とし、トルエンの量を21mLとする以外は、実施例7と同様にして、目的物であって下記式で示されるパーフルオロカテコール:
【0103】
【化23】

【0104】
1.253g(6.88ミリモル、単離収率65%)を得た。
【0105】
[実施例12]第2工程
塩化アルミニウム12.81gに代えて、三臭化ホウ素24.08g(96.12ミリモル、4.0当量)とする以外は、実施例7と同様にして、目的物であるパーフルオロカテコール3.106g(17.06ミリモル、単離収率71%)を得た。
【0106】
[実施例13]第2工程
パーフルオロベンゾジオキサンの量を5.35g(25.71ミリモル、1.0当量)とし、塩化アルミニウムの量を6.86g(51.42ミリモル、2.0当量)とし、トルエンの量を51mLとする以外は、実施例7と同様にして、パーフルオロカテコール1.685g(9.26ミリモル、単離収率36%)を得た。
【0107】
[実施例14]第2工程
塩化アルミニウムの量を9.61g(72.09ミリモル、3.0当量)とする以外は、実施例7と同様にして、パーフルオロカテコール1.794g(9.852ミリモル、単離収率41%)を得た。
【0108】
実施例7〜14において使用されたベンゾジオキサン化合物の化学式、及びルイス酸の当量数、溶媒中におけるベンゾジオキサン化合物の濃度、並びに収率を以下の表に示す。
【0109】
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(3):
【化1】

(式中、R、R、R及びRは、それぞれ同一又は異なって、水素原子、フッ素原子、アルキル基又は含フッ素アルキル基を示す。
式中、R、R、R及びRは、それぞれ同一又は異なって、水素原子、フッ素原子、アルキル基又は含フッ素アルキル基を示す。)
で表されるベンゾジオキサン化合物の製造方法であって、一般式(1):
【化2】

(式中、R、R、R及びRは前記に同じ。)
で表されるフェノール化合物を、塩基の存在下、一般式(2):
【化3】

(式中、R、R、R及びRは前記に同じ。)
で表されるカーボネート化合物と反応させることを特徴とする製造方法。
【請求項2】
前記R、R、R及びRは、それぞれ同一又は異なって、水素原子、フッ素原子又は炭素数1〜6の含フッ素アルキル基である、請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
前記R、R、R及びRは、それぞれ同一又は異なって、水素原子又はアルキル基である、請求項1又は2に記載の製造方法。
【請求項4】
極性溶媒中で反応させる、請求項1〜3のいずれかに記載の製造方法。
【請求項5】
一般式(4):
【化4】

(式中、R、R、R及びRは、それぞれ同一又は異なって、水素原子、フッ素原子、アルキル基又は含フッ素アルキル基を示す。)
で表されるカテコール化合物の製造方法であって、
(I) 一般式(1):
【化5】

(式中、R、R、R及びRは前記に同じ。)
で表されるフェノール化合物を、塩基の存在下、一般式(2):
【化6】

(式中、R、R、R及びRは、それぞれ同一又は異なって、水素原子、フッ素原子、アルキル基、又は含フッ素アルキル基を示す。)
で表されるカーボネート化合物と反応させて、一般式(3):
【化7】

(式中、R、R、R、R、R、R、R及びRは前記に同じ。)
で表されるベンゾジオキサン化合物を製造する工程、及び
(II) 当該ベンゾジオキサン化合物を、ルイス酸と反応させて、一般式(4):
【化8】

(式中、R、R、R及びRは前記に同じ。)
で表されるカテコール化合物を製造する工程、
を含むことを特徴とする、製造方法。
【請求項6】
前記(II)の工程において、芳香族炭化水素系溶媒で反応させる、請求項5に記載の製造方法。

【公開番号】特開2011−207824(P2011−207824A)
【公開日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−77714(P2010−77714)
【出願日】平成22年3月30日(2010.3.30)
【出願人】(000002853)ダイキン工業株式会社 (7,604)
【Fターム(参考)】