説明

ベンゾピラン化合物

【課題】不整脈治療剤の提供。
【解決手段】式(I)
【化1】


[式中、Xは、NR6を表し、Yは、結合、SO又はSO2を表し、Zは、炭素原子数1ないし4のアルキル基又はフェニル基を表し、Wは、水素原子、ヒドロキシ基、炭素原子数1ないし6のアルコキシ基、ハロゲン原子、炭素原子数1ないし4のアルキル基又は炭素原子数1ないし6のアルキルスルホニルアミノ基を表し、R1及びR2はそれぞれ独立して、炭素原子数1ないし3のアルキル基を表し、R3は、水素原子、ヒドロキシ基又はメト
キシ基を表し、mは0ないし4の整数であり、nは0ないし4の整数であり、Vは、単結合、CR78、NR9、O、S、SO又はSO2を表し、R4は、水素原子又は炭素原子数
1ないし6のアルキル基を表し、R5は、水素原子、炭素原子数1ないし6のアルキル基
、炭素原子数3ないし8のシクロアルキル基、炭素原子数3ないし8のシクロアルケニル基、炭素原子数6ないし14のアリール基又は炭素原子数2ないし9のヘテロアリール基を表す。]で表されるベンゾピラン化合物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒトを含む哺乳動物に対する不整脈の治療に用いられる、不応期延長作用を有するベンゾピラン化合物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ベンゾピラン誘導体としてはクロマカリムに代表される4−アシルアミノベンゾピラン誘導体が知られている(例えば、特許文献1参照。)。これらクロマカリムに代表される4−アシルアミノベンゾピラン誘導体は、ATP感受性K+チャンネルを開口し、高血圧
及び喘息の治療に有効であることが知られているが、不応期延長作用に基づく不整脈の治療に関しては言及されていない。
【特許文献1】特開昭58−67683号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、主要な機序として不応期延長作用を有する従来の抗不整脈薬(例えばVaughan Williamsによる抗不整脈薬分類の1群薬や、3群に属するd−ソタロール、ドフェチライドなど)は、不応期延長作用と関連のある心室筋活動電位の延長に基づくtorsades de pointes等の突然死を誘発しうる極めて危険な不整脈誘発作用が治療上の課題になっている。このためより副作用の少ない薬剤が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明者らは、ベンゾピラン化合物を鋭意調査した結果、驚くべきことに式(I)で表される化合物が、心室筋の不応期及び活動電位に影響することなく心房筋に選択的な不応期延長作用を有することを見出し、本発明を完成した。
本発明は、以下の局面:
(1)式(I)
【化1】

{式中、
Xは、NR6(式中、R6は、水素原子又は炭素原子数1ないし4のアルキル基を表す。)を表し;
Yは、結合、SO又はSO2を表し;
Zは、炭素原子数1ないし4のアルキル基(該炭素原子数1ないし4のアルキル基は、1ないし5個のハロゲン原子又はフェニル基(該フェニル基は、炭素原子数1ないし4のアルキル基により任意に置換されていてもよい。)により任意に置換されていてもよい。)又はフェニル基(該フェニル基は、炭素原子数1ないし4のアルキル基により任意に置換されていてもよい。)を表し;
Wは、水素原子、ヒドロキシ基、炭素原子数1ないし6のアルコキシ基(該炭素原子数1ないし6のアルコキシ基は、ハロゲン原子により任意に置換されていてもよい。)、ハロゲン原子、炭素原子数1ないし4のアルキル基又は炭素原子数1ないし6のアルキルスルホニルアミノ基を表し;
1及びR2は互いに独立して、炭素原子数1ないし3のアルキル基(該炭素原子数1ないし3のアルキル基は、ヒドロキシ基、メトキシ基、ハロゲン原子又はトリフルオロメトキシ基により任意に置換されていてもよい。)を表し;
3は、水素原子、ヒドロキシ基又はメトキシ基を表し、
mは、0ないし4の整数であり、
nは、0ないし4の整数であり、
Vは、単結合;CR78[式中、R7は、
−炭素原子数1ないし6のアルキル基(該炭素原子数1ないし6のアルキル基は、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、炭素原子数1ないし6のアルコキシ基(該炭素原子数1ないし6のアルコキシ基は、ハロゲン原子で任意に置換されていてもよい。)、炭素原子数6ないし14のアリール基又は炭素原子数2ないし9のヘテロアリール基(該炭素原子数6ないし14のアリール基又は炭素原子数2ないし9のヘテロアリール基は各々、何れも1ないし3個のR10(該R10は、ハロゲン原子;ヒドロキシ基;炭素原子数1ないし6のアルキル基(該炭素原子数1ないし6のアルキル基は、ハロゲン原子、ヒドロキシ基又は炭素原子数1ないし6のアルコキシ基(該炭素原子数1ないし6のアルコキシ基は、ハロゲン原子で任意に置換されていてもよい。)により任意に置換されていてもよい。);炭素原子数1ないし6のアルコキシ基(該炭素原子数1ないし6のアルコキシ基は、ハロゲン原子で任意に置換されていてもよい。);ニトロ基;シアノ基;ホルミル基;ホルムアミド基;スルホニルアミノ基;スルホニル基;アミノ基;炭素原子数1ないし6のアルキルアミノ基;ジ炭素原子数1ないし6のアルキルアミノ基;炭素原子数1ないし6のアルキルカルボニルアミノ基;炭素原子数1ないし6のアルキルスルホニルアミノ基;アミノカルボニル基;炭素原子数1ないし6のアルキルアミノカルボニル基;ジ炭素原子数1ないし6のアルキルアミノカルボニル基;炭素原子数1ないし6のアルキルカルボニル基;炭素原子数1ないし6のアルコキシカルボニル基;アミノスルホニル基;炭素原子数1ないし6のアルキルスルホニル基;カルボキシル基又は炭素原子数6ないし14のアリールカルボニル基を表す。)により任意に置換されていてもよく、複数のR10が存在する場合、R10は互いに同一でも異なっていてもよい。)により任意に置換されていてもよい。)、炭素原子数6ないし14のアリール基又は炭素原子数2ないし9のヘテロアリール基(該炭素原子数6ないし14のアリール基又は炭素原子数2ないし9のヘテロアリール基は各々、何れも1ないし3個のR10(ここで、R10は、上記と同じ意味を有する。)により任意に置換されていてもよい。);
−ヒドロキシ基又は
−炭素原子数1ないし6のアルコキシ基(該炭素原子数1ないし6のアルコキシ基はハロゲン原子で任意に置換されていてもよい。)を表し、及びR8は、
−水素原子、
−炭素原子数1ないし6のアルキル基(該炭素原子数1ないし6のアルキル基は、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、炭素原子数1ないし6のアルコキシ基(該炭素原子数1ないし6のアルコキシ基は、ハロゲン原子により任意に置換されていてもよい。)により任意に置換されていてもよい。)、
−炭素原子数6ないし14のアリール基又は炭素原子数2ないし9のヘテロアリール基(該炭素原子数6ないし14のアリール基又は炭素原子数2ないし9のヘテロアリール基は、何れも1ないし3個のR11(ここで、R11は、ハロゲン原子;ヒドロキシ基;炭素原子数1ないし6のアルキル基(該炭素原子数1ないし6のアルキル基は、ハロゲン原子、ヒドロキシ基又は炭素原子数1ないし6のアルコキシ基(該炭素原子数1ないし6のアルコキシ基は、ハロゲン原子で任意に置換されていてもよい。)により任意に置換されていてもよい。);炭素原子数1ないし6のアルコキシ基(該炭素原子数1ないし6のアルコキシ基は、ハロゲン原子により任意に置換されていてもよい。);ニトロ基;シアノ基;ホルミル基;ホルムアミド基;スルホニルアミノ基;スルホニル基;アミノ基;炭素原子数1ないし6のアルキルアミノ基;ジ炭素原子数1ないし6のアルキルアミノ基;炭素原子数1ないし6のアルキルカルボニルアミノ基;炭素原子数1ないし6のアルキルスルホニ
ルアミノ基;アミノカルボニル基;炭素原子数1ないし6のアルキルアミノカルボニル基;ジ炭素原子数1ないし6のアルキルアミノカルボニル基;炭素原子数1ないし6のアルキルカルボニル基;炭素原子数1ないし6のアルコキシカルボニル基;アミノスルホニル基;炭素原子数1ないし6のアルキルスルホニル基;カルボキシル基又は炭素原子数6ないし14のアリールカルボニル基を表す。)により任意に置換されていてもよく、及び複数のR11が存在する場合、R11は互いに同一でも異なっていてもよい。)、
−ヒドロキシ基又は
−炭素原子数1ないし6のアルコキシ基(該炭素原子数1ないし6のアルコキシ基はハロゲン原子により任意に置換されていてもよい。)を表すか又はR7及びR8が一緒になって、O又はSを表してもよい。]を表すか、或いは
Vは、NR9(式中、R9は、水素原子又は炭素原子数1ないし6のアルキル基(該炭素原子数1ないし6のアルキル基は、ハロゲン原子、炭素原子数1ないし6のアルコキシ基(該炭素原子数1ないし6のアルコキシ基は、ハロゲン原子により任意に置換されていてもよい。)、ヒドロキシ基、炭素原子数6ないし14のアリール基又は炭素原子数2ないし9のヘテロアリール基(該炭素原子数6ないし14のアリール基又は炭素原子数2ないし9のヘテロアリール基は各々、1ないし3個のR11(R11は、前記と同じ意味を表す。)により任意に置換されていてもよい。)により任意に置換されていてもよい。)を表す。)、又はO、S、SO又はSO2を表し;
4は、水素原子又は炭素原子数1ないし6のアルキル基(該炭素原子数1ないし6の
アルキル基は、ハロゲン原子、炭素原子数1ないし6のアルコキシ基(該炭素原子数1ないし6のアルコキシ基は、ハロゲン原子により任意に置換されていてもよい。)、ヒドロキシ基により任意に置換されていてもよい。)を表し;及び
5は、
−水素原子、
−炭素原子数1ないし6のアルキル基(該炭素原子数1ないし6のアルキル基は、ハロゲン原子、炭素原子数1ないし6のアルコキシ基(該炭素原子数1ないし6のアルコキシ基は、ハロゲン原子により任意に置換されていてもよい。)、アミノ基、カルボキシル基又はヒドロキシ基により任意に置換されていてもよい。)、
−炭素原子数3ないし8のシクロアルキル基又は炭素原子数3ないし8のシクロアルケニル基[該炭素原子数3ないし8のシクロアルキル基又は炭素原子数3ないし8のシクロアルケニル基は、ハロゲン原子、炭素原子数1ないし6のアルキル基(該炭素原子数1ないし6のアルキル基は、ハロゲン原子、炭素原子数1ないし6のアルコキシ基(該炭素原子数1ないし6のアルコキシ基は、ハロゲン原子により任意に置換されていてもよい。)、アミノ基、カルボキシル基又はヒドロキシ基により任意に置換されていてもよい。)、炭素原子数1ないし6のアルコキシ基(該炭素原子数1ないし6のアルコキシ基は、ハロゲン原子により任意に置換されていてもよい。)、アミノ基、カルボキシル基又はヒドロキシ基により任意に置換されていてもよい。]、又は
−炭素原子数6ないし14のアリール基又は炭素原子数2ないし9のヘテロアリール基[該炭素原子数6ないし14のアリール基又は炭素原子数2ないし9のヘテロアリール基は各々、1ないし3個のR12(R12は、ハロゲン原子;ヒドロキシ基;炭素原子数1ないし6のアルキル基(該炭素原子数1ないし6のアルキル基は、ハロゲン原子、ヒドロキシ基又は炭素原子数1ないし6のアルコキシ基(該炭素原子数1ないし6のアルコキシ基は、ハロゲン原子により任意に置換されていてもよい。)により任意に置換されていてもよい。);炭素原子数1ないし6のアルコキシ基(該炭素原子数1ないし6のアルコキシ基は、ハロゲン原子により任意に置換されていてもよい。);ニトロ基;シアノ基;ホルミル基;ホルムアミド基;スルホニルアミノ基;スルホニル基;アミノ基;炭素原子数1ないし6のアルキルアミノ基;ジ炭素原子数1ないし6のアルキルアミノ基;炭素原子数1ないし6のアルキルカルボニルアミノ基;炭素原子数1ないし6のアルキルスルホニルアミノ基;アミノカルボニル基;炭素原子数1ないし6のアルキルアミノカルボニル基;ジ炭素原子数1ないし6のアルキルアミノカルボニル基;炭素原子数1ないし6のアルキルカ
ルボニル基;炭素原子数1ないし6のアルコキシカルボニル基;アミノスルホニル基;炭素原子数1ないし6のアルキルスルホニル基;カルボキシル基;炭素原子数6ないし14のアリールカルボニル基、ウレイド基、炭素原子数1ないし6のアルキルウレイレン基、炭素原子数6ないし14のアリール(炭素原子数1ないし6のアルキル)アミノ基、炭素原子数1ないし6のアルコキシカルボニルアミノ基、炭素原子数6ないし14のアリールオキシ基又は炭素原子数6ないし14のアリールカルボニルアミノ基を表す。)により任意に置換されていてもよく、複数のR12が存在する場合、R12は各々同一であっても異なっていてもよい。]を表す。}
で表されるベンゾピラン化合物;
(2)R1及びR2が共にメチル基であり、R3がヒドロキシ基であり、及びVが単結合で
ある、(1)に記載のベンゾピラン化合物;
(3)R1及びR2が共にメチル基であり、R3がヒドロキシ基であり、及びVがCR78
である、(1)に記載のベンゾピラン化合物;
(4)R1及びR2が共にメチル基であり、R3がヒドロキシ基であり、及びVがNR9である、(1)に記載のベンゾピラン化合物;
(5)R5が炭素原子数1ないし6のアルキル基、炭素原子数3ないし8のシクロアルキ
ル基又は炭素原子数6ないし14のアリール基である、(2)に記載のベンゾピラン化合物;
(6)R5が炭素原子数1ないし6のアルキル基、炭素原子数3ないし8のシクロアルキ
ル基又は炭素原子数6ないし14のアリール基である、(3)に記載のベンゾピラン化合物;
(7)R5が炭素原子数1ないし6のアルキル基、炭素原子数3ないし8のシクロアルキ
ル基又は炭素原子数6ないし14のアリール基である、(4)に記載のベンゾピラン化合物;
(8)Wが水素原子、ヒドロキシ基、メトキシ基、塩素原子、臭素原子、メチル基、エチル基又はメチルスルホニルアミノ基である、(5)に記載のベンゾピラン化合物;
(9)Wが水素原子、ヒドロキシ基、メトキシ基、塩素原子、臭素原子、メチル基、エチル基又はメチルスルホニルアミノ基である、(6)に記載のベンゾピラン化合物;
(10)R5が炭素原子数1ないし6のアルキル基又は炭素原子数6ないし14のアリー
ル基であり、R6が水素原子又はメチル基であり、YがSO2であり、Zが炭素原子数1ないし4のアルキル基である、(8)に記載のベンゾピラン化合物;
(11)R5が炭素原子数1ないし6のアルキル基又は炭素原子数6ないし14のアリー
ル基であり、R6が水素原子又はメチル基であり、Yが結合であり、及びZが炭素原子数
1ないし4のアルキル基である、(8)に記載のベンゾピラン化合物;
(12)N−[(3R*,4S*)−3−ヒドロキシ−6−メトキシ−2,2−ジメチル−
4−[(2−フェニルエチル)アミノ]−3,4−ジヒドロ−2H−1−ベンゾピラン−7−イル]メタンスルホンアミドであるベンゾピラン化合物;
(13)N−[(3R*,4S*)−3,6−ジヒドロキシ−2,2−ジメチル−4−[(
2−フェニルエチル)アミノ]−3,4−ジヒドロ−2H−1−ベンゾピラン−7−イル]メタンスルホンアミドであるベンゾピラン化合物;
(14)N−[(3R*,4S*)−3−ヒドロキシ−6−メトキシ−2,2−ジメチル−
4−[(2−フェニルエチル)アミノ]−3,4−ジヒドロ−2H−1−ベンゾピラン−7−イル]−N−メチルメタンスルホンアミドであるベンゾピラン化合物;
(15)N−[(3R*,4S*)−4−[(2−シクロへキシルエチル)アミノ]−3−
ヒドロキシ−6−メトキシ−2,2−ジメチル−3,4−ジヒドロ−2H−1−ベンゾピラン−7−イル]メタンスルホンアミドであるベンゾピラン化合物;
(16)N−[(3R*,4S*)−3−ヒドロキシ−6−メトキシ−2,2−ジメチル−
4−(ペンチルアミノ)−3,4−ジヒドロ−2H−1−ベンゾピラン−7−イル]メタ
ンスルホンアミドであるベンゾピラン化合物;
(17)N−[(3R*,4S*)−3−ヒドロキシ−2,2,8−トリメチル−4−[(
2−フェニルエチル)アミノ]−3,4−ジヒドロ−2H−1−ベンゾピラン−7−イル]メタンスルホンアミドであるベンゾピラン化合物;
(18)N−[(3R*,4S*)−3−ヒドロキシ−2,2−ジメチル−4−[(2−フ
ェニルエチル)アミノ]−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾピラン‐7−イル]メタンス
ルホンアミドマレイン酸塩であるベンゾピラン化合物;
(19)N−[(3R*,4S*)−3−ヒドロキシ−2,2−ジメチル−4−[(2−フ
ェニルエチル)アミノ]−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾピラン−7−イル]エタンス
ルホンアミド塩酸塩であるベンゾピラン化合物;
(20)1,1,1−トリフルオロ−N−[(3R*,4S*)−3−ヒドロキシ−2,2
−ジメチル−4−[(2−フェニルエチル)アミノ]−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾピラン−7−イル]メタンスルホンアミドマレイン酸塩であるベンゾピラン化合物;
(21)N−[(3R*,4S*)−3−ヒドロキシ−2,2−ジメチル−4−[(2−フ
ェニルエチル)アミノ]−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾピラン−7−イル]−N−メ
チルメタンスルホンアミド塩酸塩であるベンゾピラン化合物;
(22)N−[(3R*,4S*)−6−ブロモ−3−ヒドロキシ−2,2−ジメチル−4
−[(2−フェニルエチル)アミノ]−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾピラン−7−イル]メタンスルホンアミドであるベンゾピラン化合物;
(23)(3R*,4S*)−2,2−ジメチル−7−ジメチルアミノ−4−[(2−フェニルエチル)アミノ]−3−クロマノール塩酸塩であるベンゾピラン化合物;
(24)(3R*,4S*)−2,2−ジメチル−7−メチルアミノ−4−[(2−フェニルエチル)アミノ]−3−クロマノール塩酸塩であるベンゾピラン化合物;
(25)(3R*,4S*)−4−[[2−(4−フルオロフェニル)エチル]アミノ]−2,2−ジメチル−7−ジメチルアミノ−3−クロマノール塩酸塩であるベンゾピラン化合物;
(26)(3R*,4S*)−6−メトキシ−2,2−ジメチル−7−ジメチルアミノ−4−[(2−フェニルエチル)アミノ]−3−クロマノールであるベンゾピラン化合物;
(27)(3R*,4S*)−6−メトキシ−2,2−ジメチル−7−メチルアミノ−4−[(2−フェニルエチル)アミノ]−3−クロマノール塩酸塩であるベンゾピラン化合物;
(28)N−[(3R*,4S*)−3−ヒドロキシ−2,2−ジメチル−4−[(2−フ
ェニルエチル)アミノ]−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾピラン−7−イル]‐4−メ
チルベンゼンスルホンアミドであるベンゾピラン化合物;
(29)N−[(3R*,4S*)−3−ヒドロキシ−2,2−ジメチル−6−[(メチル
スルホニル)アミノ]−4−[(2−フェニルエチル)アミノ]−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾピラン−7−イル]−メタンスルホンアミドであるベンゾピラン化合物;
(30)(3R*,4S*)−2,2−ジメチル−7−メチルエチルアミノ−4−[(2−フェニルエチル)アミノ]−3−クロマノール塩酸塩であるベンゾピラン化合物;
(31)N−[(3R*,4S*)−3−ヒドロキシ−2,2−ジメチル−4−[(2−フ
ェニルエチル)アミノ]−3,4−ジヒドロ−2H−クロメン−7−イル]−N−イソプ
ロピルメタンスルホンアミド塩酸塩であるベンゾピラン化合物;
(32)(1)ないし(31)のうち、何れか1つに記載のベンゾピラン化合物又はその医薬的に許容され得る塩を有効成分として含有することを特徴とする医薬品;
(33)(1)ないし(31)のうち、何れか1つに記載のベンゾピラン化合物又はその医薬的に許容され得る塩を有効成分として含有することを特徴とする不整脈治療薬;
に関するものである。
【発明の効果】
【0005】
本発明化合物は、強い不応期延長作用を有し、不整脈治療薬として用いることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
本発明に係る化合物(I)の各置換基を以下具体的に説明する。
なお、本明細書中、「n」はノルマルを、「i」はイソを、「s」はセカンダリーを、「t」はターシャリーを、「c」はシクロを、「o」はオルトを、「m」はメタを、「p」はパラを、「Me」はメチルを、「Et」はエチルを、「Pr」はプロピルを、「Ms」はメタンスルホニルを、「Ts」はパラトリルスルホニルを、「Ph」はフェニルを、「Ac」はアセチルを意味する。
【0007】
炭素原子数1ないし3のアルキル基の例は、メチル、エチル、n−プロピル及びi−プロピル等である。
炭素原子数1ないし4のアルキル基の例は、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、s−ブチル及びt−ブチル等である。
炭素原子数1ないし6のアルキル基の例は、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、s−ブチル、t−ブチル、1−ペンチル、2−ペンチル、3−ペンチル、i−ペンチル、ネオペンチル、2,2−ジメチルプロピル、1−ヘキシル、2−ヘキシル、3−ヘキシル、1−メチル−n−ペンチル、1,1,2−トリメチル−n−プロピル、1,2,2−トリメチル−n−プロピル及び3,3−ジメチル−n−ブチル等である。
好ましくは、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル及びn−ブチルが挙げられる。
【0008】
ハロゲン原子の例は、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子である。好ましくは、フッ素原子及び塩素原子が挙げられる。
【0009】
炭素原子数1ないし6のアルコキシ基の例は、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、i−プロポキシ、n−ブトキシ、i−ブトキシ、s−ブトキシ、t−ブトキシ、1−ペンチルオキシ、2−ペンチルオキシ、3−ペンチルオキシ、i−ペンチルオキシ、ネオペンチルオキシ、2,2−ジメチルプロポキシ、1−ヘキシルオキシ、2−ヘキシルオキシ、3−ヘキシルオキシ、1−メチル−n−ペンチルオキシ、1,1,2−トリメチル−n−プロポキシ、1,2,2−トリメチル−n−プロポキシ及び3,3−ジメチル−n−ブトキシ等である。
好ましくは、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ及びi−プロポキシが挙げられる。
【0010】
炭素原子数6ないし14のアリール基の例は、フェニル、o−ビフェニリル、m−ビフェニリル、p−ビフェニリル、α−ナフチル、β−ナフチル、1−アントリル、2−アントリル、9−アントリル、1−フェナントリル、2−フェナントリル、3−フェナントリル、4−フェナントリル、9−フェナントリル等である。
好ましくは、フェニルが挙げられる。
【0011】
炭素原子数2ないし9のヘテロアリール基は、酸素原子、窒素原子及び硫黄原子からなる群より選択される1ないし3個のヘテロ原子単独又はその組み合わせを含むことができる5ないし7員環を有する炭素原子数2ないし6の単環式複素環基及び構成原子数が8ないし10個の炭素原子数5ないし9の縮合二環式複素環基を含む。
【0012】
5ないし7員環を有する炭素原子数2ないし6の単環式複素環基の例は、2−チエニル基、3−チエニル基、2−フリル基、3−フリル基、2−ピラニル基、3−ピラニル基、4−ピラニル基、1−ピロリル基、2−ピロリル基、3−ピロリル基、1−イミダゾリル基、2−イミダゾリル基、4−イミダゾリル基、1−ピラゾリル基、3−ピラゾリル基、4−ピラゾリル基、2−チアゾリル基、4−チアゾリル基、5−チアゾリル基、3−イソチアゾリル基、4−イソチアゾリル基、5−イソチアゾリル基、2−オキサゾリル基、4
−オキサゾリル基、5−オキサゾリル基、3−イソオキサゾリル基、4−イソオキサゾリル基、5−イソオキサゾリル基、2−ピリジル基、3−ピリジル基、4−ピリジル基、2−ピラジニル基、2−ピリミジニル基、4−ピリミジニル基、5−ピリミジニル基、3−ピリダジニル基、4−ピリダジニル基、2−1,3,4−オキサジアゾリル基、2−1,3,4−チアジアゾリル基、3−1,2,4−オキサジアゾリル基、5−1,2,4−オキサジアゾリル基、3−1,2,4−チアジアゾリル基、5−1,2,4−チアジアゾリル基、3−1,2,5−オキサジアゾリル基、3−1,2,5−チアジアゾリル基等である。
【0013】
構成原子数が8ないし10個の炭素原子数5ないし9の縮合二環式複素環基の例は、2−ベンゾフラニル基、3−ベンゾフラニル基、4−ベンゾフラニル基、5−ベンゾフラニル基、6−ベンゾフラニル基、7−ベンゾフラニル基、1−イソベンゾフラニル基、4−イソベンゾフラニル基、5−イソベンゾフラニル基、2−ベンゾチエニル基、3−ベンゾチエニル基、4−ベンゾチエニル基、5−ベンゾチエニル基、6−ベンゾチエニル基、7−ベンゾチエニル基、1−イソベンゾチエニル基、4−イソベンゾチエニル基、5−イソベンゾチエニル基、2−クロメニル基、3−クロメニル基、4−クロメニル基、5−クロメニル基、6−クロメニル基、7−クロメニル基、8−クロメニル基、1−インドリジニル基、2−インドリジニル基、3−インドリジニル基、5−インドリジニル基、6−インドリジニル基、7−インドリジニル基、8−インドリジニル基、1−イソインドリル基、2−イソインドリル基、4−イソインドリル基、5−イソインドリル基、1−インドリル基、2−インドリル基、3−インドリル基、4−インドリル基、5−インドリル基、6−インドリル基、7−インドリル基、1−インダゾリル基、2−インダゾリル基、3−インダゾリル基、4−インダゾリル基、5−インダゾリル基、6−インダゾリル基、7−インダゾリル基、1−プリニル基、2−プリニル基、3−プリニル基、6−プリニル基、7−プリニル基、8−プリニル基、2−キノリル基、3−キノリル基、4−キノリル基、5−キノリル基、6−キノリル基、7−キノリル基、8−キノリル基、1−イソキノリル基、3−イソキノリル基、4−イソキノリル基、5−イソキノリル基、6−イソキノリル基、7−イソキノリル基、8−イソキノリル基、1−フタラジニル基、5−フタラジニル基、6−フタラジニル基、1−2,7−ナフチリジニル基、3−2,7−ナフチリジニル基、4−2,7−ナフチリジニル基、1−2,6−ナフチリジニル基、3−2,6−ナフチリジニル基、4−2,6−ナフチリジニル基、2−1,8−ナフチリジニル基、3−1,8−ナフチリジニル基、4−1,8−ナフチリジニル基、2−1,7−ナフチリジニル基、3−1,7−ナフチリジニル基、4−1,7−ナフチリジニル基、5−1,7−ナフチリジニル基、6−1,7−ナフチリジニル基、8−1,7−ナフチリジニル基、2−1,6−ナフチリジニル基、3−1,6−ナフチリジニル基、4−1,6−ナフチリジニル基、5−1,6−ナフチリジニル基、7−1,6−ナフチリジニル基、8−1,6−ナフチリジニル基、2−1,5−ナフチリジニル基、3−1,5−ナフチリジニル基、4−1,5−ナフチリジニル基、6−1,5−ナフチリジニル基、7−1,5−ナフチリジニル基、8−1,5−ナフチリジニル基、2−キノキサリニル基、5−キノキサリニル基、6−キノキサリニル基、2−キナゾリニル基、4−キナゾリニル基、5−キナゾリニル基、6−キナゾリニル基、7−キナゾリニル基、8−キナゾリニル基、3−シンノリニル基、4−シンノリニル基、5−シンノリニル基、6−シンノリニル基、7−シンノリニル基、8−シンノリニル基、2−プテリジニル基、4−プテリジニル基、6−プテリジニル基、7−プテリジニル基等である。
好ましくは、2−ピリジル基、3−ピリジル基及び4−ピリジル基が挙げられる。
【0014】
炭素原子数1ないし6のアルキルアミノ基の例は、メチルアミノ、エチルアミノ、n−プロピルアミノ、i−プロピルアミノ、c−プロピルアミノ、n−ブチルアミノ、i−ブチルアミノ、s−ブチルアミノ、t−ブチルアミノ、c−ブチルアミノ、1−ペンチルアミノ、2−ペンチルアミノ、3−ペンチルアミノ、i−ペンチルアミノ、ネオペンチルア
ミノ、t−ペンチルアミノ、c−ペンチルアミノ、1−ヘキシルアミノ、2−ヘキシルアミノ、3−ヘキシルアミノ、c−ヘキシルアミノ、1−メチル−n−ペンチルアミノ、1,1,2−トリメチル−n−プロピルアミノ、1,2,2−トリメチル−n−プロピルアミノ、3,3−ジメチル−n−ブチルアミノ等である。
好ましくは、メチルアミノ、エチルアミノ、n−プロピルアミノ、i−プロピルアミノ及びn−ブチルアミノが挙げられる。
【0015】
ジ炭素原子数1ないし6のアルキルアミノ基の例は、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ジ−n−プロピルアミノ、ジ−i−プロピルアミノ、ジ−c−プロピルアミノ、ジ−n−ブチルアミノ、ジ−i−ブチルアミノ、ジ−s−ブチルアミノ、ジ−t−ブチルアミノ、ジ−c−ブチルアミノ、ジ−1−ペンチルアミノ、ジ−2−ペンチルアミノ、ジ−3−ペンチルアミノ、ジ−i−ペンチルアミノ、ジ−ネオペンチルアミノ、ジ−t−ペンチルアミノ、ジ−c−ペンチルアミノ、ジ−1−ヘキシルアミノ、ジ−2−ヘキシルアミノ、ジ−3−ヘキシルアミノ、ジ−c−ヘキシルアミノ、ジ−(1−メチル−n−ペンチル)アミノ、ジ−(1,1,2−トリメチル−n−プロピル)アミノ、ジ−(1,2,2−トリメチル−n−プロピル)アミノ、ジ−(3,3−ジメチル−n−ブチル)アミノ、メチル(エチル)アミノ、メチル(n−プロピル)アミノ、メチル(i−プロピル)アミノ、メチル(c−プロピル)アミノ、メチル(n−ブチル)アミノ、メチル(i−ブチル)アミノ、メチル(s−ブチル)アミノ、メチル(t−ブチル)アミノ、メチル(c−ブチル)アミノ、エチル(n−プロピル)アミノ、エチル(i−プロピル)アミノ、エチル(c−プロピル)アミノ、エチル(n−ブチル)アミノ、エチル(i−ブチル)アミノ、エチル(s−ブチル)アミノ、エチル(t−ブチル)アミノ、エチル(c−ブチル)アミノ、n−プロピル(i−プロピル)アミノ、n−プロピル(c−プロピル)アミノ、n−プロピル(n−ブチル)アミノ、n−プロピル(i−ブチル)アミノ、n−プロピル(s−ブチル)アミノ、n−プロピル(t−ブチル)アミノ、n−プロピル(c−ブチル)アミノ、i−プロピル(c−プロピル)アミノ、i−プロピル(n−ブチル)アミノ、i−プロピル(i−ブチル)アミノ、i−プロピル(s−ブチル)アミノ、i−プロピル(t−ブチル)アミノ、i−プロピル(c−ブチル)アミノ、c−プロピル(n−ブチル)アミノ、c−プロピル(i−ブチル)アミノ、c−プロピル(s−ブチル)アミノ、c−プロピル(t−ブチル)アミノ、c−プロピル(c−ブチル)アミノ、n−ブチル(i−ブチル)アミノ、n−ブチル(s−ブチル)アミノ、n−ブチル(t−ブチル)アミノ、n−ブチル(c−ブチル)アミノ、i−ブチル(s−ブチル)アミノ、i−ブチル(t−ブチル)アミノ、i−ブチル(c−ブチル)アミノ、s−ブチル(t−ブチル)アミノ、s−ブチル(c−ブチル)アミノ及びt−ブチル(c−ブチル)アミノ等が挙げられる。
好ましくは、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ジ−n−プロピルアミノ、ジ−i−プロピルアミノ及びジ−n−ブチルアミノが挙げられる。
【0016】
炭素原子数1ないし6のアルキルカルボニルアミノ基の例は、メチルカルボニルアミノ、エチルカルボニルアミノ、n−プロピルカルボニルアミノ、i−プロピルカルボニルアミノ、n−ブチルカルボニルアミノ、i−ブチルカルボニルアミノ、s−ブチルカルボニルアミノ、t−ブチルカルボニルアミノ、1−ペンチルカルボニルアミノ、2−ペンチルカルボニルアミノ、3−ペンチルカルボニルアミノ、i−ペンチルカルボニルアミノ、ネオペンチルカルボニルアミノ、t−ペンチルカルボニルアミノ、1−ヘキシルカルボニルアミノ、2−ヘキシルカルボニルアミノ、3−ヘキシルカルボニルアミノ等である。
好ましくは、メチルカルボニルアミノ、エチルカルボニルアミノ、n−プロピルカルボニルアミノ、i−プロピルカルボニルアミノ及びn−ブチルカルボニルアミノが挙げられる。
【0017】
炭素原子数1ないし6のアルキルスルホニルアミノ基の例は、メチルスルホニルアミノ、エチルスルホニルアミノ、n−プロピルスルホニルアミノ、i−プロピルスルホニルア
ミノ、n−ブチルスルホニルアミノ、i−ブチルスルホニルアミノ、s−ブチルスルホニルアミノ、t−ブチルスルホニルアミノ、1−ペンチルスルホニルアミノ、2−ペンチルスルホニルアミノ、3−ペンチルスルホニルアミノ、i−ペンチルスルホニルアミノ、ネオペンチルスルホニルアミノ、t−ペンチルスルホニルアミノ、1−ヘキシルスルホニルアミノ、2−ヘキシルスルホニルアミノ、3−ヘキシルスルホニルアミノ等である。
好ましくは、メチルスルホニルアミノ、エチルスルホニルアミノ、n−プロピルスルホニルアミノ、i−プロピルスルホニルアミノ及びn−ブチルスルホニルアミノが挙げられる。
【0018】
炭素原子数1ないし6のアルキルアミノカルボニル基は、メチルアミノカルボニル、エチルアミノカルボニル、n−プロピルアミノカルボニル、i−プロピルアミノカルボニル、n−ブチルアミノカルボニル、i−ブチルアミノカルボニル、s−ブチルアミノカルボニル、t−ブチルアミノカルボニル、1−ペンチルアミノカルボニル、2−ペンチルアミノカルボニル、3−ペンチルアミノカルボニル、i−ペンチルアミノカルボニル、ネオペンチルアミノカルボニル、t−ペンチルアミノカルボニル、1−ヘキシルアミノカルボニル、2−ヘキシルアミノカルボニル、3−ヘキシルアミノカルボニル等である。
好ましくは、メチルアミノカルボニル、エチルアミノカルボニル、n−プロピルアミノカルボニル、i−プロピルアミノカルボニル及びn−ブチルアミノカルボニルが挙げられる。
【0019】
ジ炭素原子数1ないし6のアルキルアミノカルボニル基の例は、ジメチルアミノカルボニル、ジエチルアミノカルボニル、ジ−n−プロピルアミノカルボニル、ジ−i−プロピルアミノカルボニル、ジ−c−プロピルアミノカルボニル、ジ−n−ブチルアミノカルボニル、ジ−i−ブチルアミノカルボニル、ジ−s−ブチルアミノカルボニル、ジ−t−ブチルアミノカルボニル、ジ−c−ブチルアミノカルボニル、ジ−1−ペンチルアミノカルボニル、ジ−2−ペンチルアミノカルボニル、ジ−3−ペンチルアミノカルボニル、ジ−i−ペンチルアミノカルボニル、ジ−ネオペンチルアミノカルボニル、ジ−t−ペンチルアミノカルボニル、ジ−c−ペンチルアミノカルボニル、ジ−1−ヘキシルアミノカルボニル、ジ−2−ヘキシルアミノカルボニル、ジ−3−ヘキシルアミノカルボニル等である。
好ましくは、ジメチルアミノカルボニル、ジエチルアミノカルボニル、ジ−n−プロピルアミノカルボニル、ジ−i−プロピルアミノカルボニル、ジ−c−プロピルアミノカルボニル及びジ−n−ブチルアミノカルボニルが挙げられる。
【0020】
炭素原子数1ないし6のアルキルカルボニル基の例は、メチルカルボニル、エチルカルボニル、n−プロピルカルボニル、i−プロピルカルボニル、n−ブチルカルボニル、i−ブチルカルボニル、s−ブチルカルボニル、t−ブチルカルボニル、1−ペンチルカルボニル、2−ペンチルカルボニル、3−ペンチルカルボニル、i−ペンチルカルボニル、ネオペンチルカルボニル、t−ペンチルカルボニル、1−ヘキシルカルボニル、2−ヘキシルカルボニル、3−ヘキシルカルボニル等である。
好ましくは、メチルカルボニル、エチルカルボニル、n−プロピルカルボニル、i−プロピルカルボニル及びn−ブチルカルボニルが挙げられる。
【0021】
炭素原子数1ないし6のアルコキシカルボニル基の例は、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、n−プロポキシカルボニル、i−プロポキシカルボニル、n−ブトキシカルボニル、i−ブトキシカルボニル、s−ブトキシカルボニル、t−ブトキシカルボニル、1−ペンチルオキシカルボニル、2−ペンチルオキシカルボニル、3−ペンチルオキシカルボニル、i−ペンチルオキシカルボニル、ネオペンチルオキシカルボニル、t−ペンチルオキシカルボニル、1−ヘキシルオキシカルボニル、2−ヘキシルオキシカルボニル、3−ヘキシルオキシカルボニル等である。
好ましくは、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、n−プロポキシカルボニル、i−プロポキシカルボニル、n−ブトキシカルボニル、i−ブトキシカルボニル、s−ブトキシカルボニル及びt−ブトキシカルボニルが挙げられる。
【0022】
炭素原子数1ないし6のアルキルスルホニル基の例は、メタンスルホニル、エタンスルホニル等である。
【0023】
炭素原子数6ないし14のアリールカルボニル基の例は、ベンゾイル、p−メチルベンゾイル、p−t−ブチルベンゾイル、p−メトキシベンゾイル、p−クロルベンゾイル、p−ニトロベンゾイル、p−シアノベンゾイル、o−ビフェニリルカルボニル、m−ビフェニリルカルボニル、p−ビフェニリルカルボニル、α−ナフチルカルボニル、β−ナフチルカルボニル、1−アントリルカルボニル、2−アントリルカルボニル、9−アントリルカルボニル、1−フェナントリルカルボニル、2−フェナントリルカルボニル、3−フェナントリルカルボニル、4−フェナントリルカルボニル、9−フェナントリルカルボニル等である。
好ましくは、ベンゾイル、p−ニトロベンゾイル及びp−シアノベンゾイルが挙げられる。
【0024】
炭素原子数1ないし6のアルキルウレイレン基の例は、メチルウレイレン、エチルウレイレン、n−プロピルウレイレン、i−プロピルウレイレン、n−ブチルウレイレン、i−ブチルウレイレン、s−ブチルウレイレン、t−ブチルウレイレン、1−ペンチルウレイレン、2−ペンチルウレイレン、3−ペンチルウレイレン、i−ペンチルウレイレン、ネオペンチルウレイレン、2,2−ジメチルプロピルウレイレン、1−ヘキシルウレイレン、2−ヘキシルウレイレン、3−ヘキシルウレイレン、1−メチル−n−ペンチルウレイレン、1,1,2−トリメチル−n−プロピルウレイレン、1,2,2−トリメチル−n−プロピルウレイレン、3,3−ジメチル−n−ブチルウレイレン等である。
【0025】
炭素原子数6ないし14のアリール炭素原子数1ないし6のアルキル基の例は、ベンジル、1−フェネチル、2−フェネチル、1−フェニルプロピル、2−フェニルプロピル、3−フェニルプロピル、4−フェニルブチル、5−フェニルペンチル、6−フェニルへキシル、1−ナフチルメチル、2−ナフチルメチル等である。
好ましくは、ベンジル、2−フェネチル及び3−フェニルプロピルが挙げられる。
【0026】
炭素原子数1ないし6のアルコキシカルボニルアミノ基の例は、メトキシカルボニルアミノ、エトキシカルボニルアミノ、n−プロポキシカルボニルアミノ、i−プロポキシカルボニルアミノ、n−ブトキシカルボニルアミノ、i−ブトキシカルボニルアミノ、s−ブトキシカルボニルアミノ、t−ブトキシカルボニルアミノ、1−ペンチルオキシカルボニルアミノ、2−ペンチルオキシカルボニルアミノ、3−ペンチルオキシカルボニルアミノ、i−ペンチルオキシカルボニルアミノ、ネオペンチルオキシカルボニルアミノ、t−ペンチルオキシカルボニルアミノ、1−ヘキシルオキシカルボニルアミノ、2−ヘキシルオキシカルボニルアミノ、3−ヘキシルオキシカルボニルアミノ等である。
【0027】
炭素原子数6ないし14のアリールオキシ基の例は、フェノキシ、p−メチルフェノキシ、p−t−ブチルフェノキシ、p−メトキシフェノキシ、p−クロルフェノキシ、p−ニトロフェノキシ、p−シアノフェノキシ、o−ビフェニリルオキシ、m−ビフェニリルオキシ、p−ビフェニリルオキシ、α−ナフトキシ、β−ナフトキシ、1−アントリルオキシ、2−アントリルオキシ、9−アントリルオキシ、1−フェナントリルオキシ、2−フェナントリルオキシ、3−フェナントリルオキシ、4−フェナントリルオキシ、9−フェナントリルオキシ等である。
【0028】
炭素原子数6ないし14のアリールカルボニルアミノ基の例は、ベンゾイルアミノ、p−メチルベンゾイルアミノ、p−t−ブチルベンゾイルアミノ、p−メトキシベンゾイルアミノ、p−クロルベンゾイルアミノ、p−ニトロベンゾイルアミノ、p−シアノベンゾイルアミノ、o−ビフェニリルカルボニルアミノ、m−ビフェニリルカルボニルアミノ、p−ビフェニリルカルボニルアミノ、α−ナフチルカルボニルアミノ、β−ナフチルカルボニルアミノ、1−アントリルカルボニルアミノ、2−アントリルカルボニルアミノ、9−アントリルカルボニルアミノ、1−フェナントリルカルボニルアミノ、2−フェナントリルカルボニルアミノ、3−フェナントリルカルボニルアミノ、4−フェナントリルカルボニルアミノ、9−フェナントリルカルボニルアミノ等である。
【0029】
炭素原子数3ないし8のシクロアルキル基の例は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル等である。
好ましくは、シクロプロピル、シクロブチル及びシクロヘキシルが挙げられる。
【0030】
炭素原子数3ないし8のシクロアルケニル基の例は、1−c−ペンテニル、2−c−ペンテニル、3−c−ペンテニル、1−メチル−2−c−ペンテニル、1−メチル−3−c−ペンテニル、2−メチル−1−c−ペンテニル、2−メチル−2−c−ペンテニル、2−メチル−3−c−ペンテニル、2−メチル−4−c−ペンテニル、2−メチル−5−c−ペンテニル、2−メチレン−c−ペンチル、3−メチル−1−c−ペンテニル、3−メチル−2−c−ペンテニル、3−メチル−3−c−ペンテニル、3−メチル−4−c−ペンテニル、3−メチル−5−c−ペンテニル、3−メチレン−c−ペンチル、1−c−ヘキセニル、2−c−ヘキセニル、3−c−ヘキセニル、1−c−ヘプチニル、2−c−ヘプチニル、3−c−ヘプチニル、4−c−ヘプチニル、1−c−オクチニル、2−c−オクチニル、3−c−オクチニル、4−c−オクチニル等である。
好ましくは1−c−ペンテニル、2−c−ペンテニル、3−c−ペンテニル、1−c−ヘキセニル、2−c−ヘキセニル及び3−c−ヘキセニルが挙げられる。
【0031】
本発明に用いられる化合物の置換基の具体例は以下のとおりである。
1及びR2の好ましい具体例としては、メチルが挙げられる。
3の好ましい具体例としては、ヒドロキシ基が挙げられる。
4の好ましい具体例としては、水素原子が挙げられる。
−X−Y−Zの好ましい具体例としては、−NHSO2Me、−NMeSO2Me、−NHSO2Et、−NHSO2CF3、−NHTs、−NMe2及び−NHMeが挙げられ、より好ましくは、−NHSO2Me及び−NMeSO2Meが挙げられる。
Wの好ましい具体例としては、水素原子、メチル、エチル、i−プロピル、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヒドロキシ基、メトキシ及びNHSO2Meが挙げられる。Wが
ベンゾピラン環の5位にある場合は、水素原子が好ましい。Wが6位にある場合は、水素原子、メチル、エチル、i−プロピル、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヒドロキシ基、メトキシ及びNHSO2Meが好ましい。さらに、Wが8位にある場合は、水素原子及
びメチルが好ましい。
Wのより好ましい具体例としては、6位が水素原子、臭素原子、ヒドロキシ基、メトキシ及びNHSO2Meであるものが挙げられ、及び8位が水素原子及びメチルであるもの
が挙げられ、及びさらに、6位が水素原子、ヒドロキシ基及びメトキシであるものが挙げられる。
【0032】
N−(CH2m−V−(CH2n−R5の好ましい具体例としては、以下に示すものが
挙げられる。
【化2】

【0033】
【化3】

【0034】
【化4】

【0035】
【化5】

N−(CH2m−V−(CH2n−R5のより好ましい具体例としては、以下に示すも
のが挙げられる。
【化6】

【0036】
以下に、本発明に用いることができる化合物の好ましい具体例を以下の表1ないし59に示すが、本発明はこれらに制限されるものではない。
表1
【表1】

【0037】
表2
【表2】

【0038】
表3
【表3】

【0039】
表4
【表4】

【0040】
表5
【表5】

【0041】
表6
【表6】

【0042】
表7
【表7】

【0043】
表8
【表8】

【0044】
表9
【表9】

【0045】
表10
【表10】

【0046】
表11
【表11】

【0047】
表12
【表12】

【0048】
表13
【表13】

【0049】
表14
【表14】

【0050】
表15
【表15】

【0051】
表16
【表16】

【0052】
表17
【表17】

【0053】
表18
【表18】

【0054】
表19
【表19】

【0055】
表20
【表20】

【0056】
表21
【表21】

【0057】
表22
【表22】

【0058】
表23
【表23】

【0059】
表24
【表24】

【0060】
表25
【表25】

【0061】
表26
【表26】

【0062】
表27
【表27】

【0063】
表28
【表28】

【0064】
表29
【表29】

【0065】
表30
【表30】

【0066】
表31
【表31】

【0067】
表32
【表32】

【0068】
表33
【表33】

【0069】
表34
【表34】

【0070】
表35
【表35】

【0071】
表36
【表36】

【0072】
表37
【表37】

【0073】
表38
【表38】

【0074】
表39
【表39】

【0075】
表40
【表40】

【0076】
表41
【表41】

【0077】
表42
【表42】

【0078】
表43
【表43】

【0079】
表44
【表44】

【0080】
表45
【表45】

【0081】
表46
【表46】

【0082】
表47
【表47】

【0083】
表48
【表48】

【0084】
表49
【表49】

【0085】
表50
【表50】

【0086】
表51
【表51】

【0087】
表52
【表52】

【0088】
表53
【表53】

【0089】
表54
【表54】

【0090】
表55
【表55】

【0091】
表56
【表56】

【0092】
表57
【表57】

【0093】
表58
【表58】

【0094】
表59
【表59】

【0095】
本発明に従う化合物は、3位及び4位に不斉炭素を有しており、該不斉炭素に基づく光学異性体が存在し、ラセミ体と同様に光学活性体もまた本発明の用途に使用され得る。さらに、3位と4位の立体配置に基づくシス又はトランス異性体が包含され得るが、トランス異性体が好ましい。
さらに、前記化合物が塩を形成し得る場合は、その医薬的に許容し得る塩もまた有効成分として用いられ得る。
医薬的に許容し得る塩の例は、塩酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩、メタンスルホン酸塩、酢酸塩、安息香酸塩、酒石酸塩、リン酸塩、乳酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、リンゴ酸塩、グルコン酸塩、サリチル酸塩等である。
好ましくは、塩酸塩、メタンスルホン酸塩及びマレイン酸塩が挙げられる。
【0096】
本発明に従う化合物の製造方法を説明する。
式(I)で表される化合物は、下記の反応スキームによって示されるように、式(2)で表される化合物を出発物質として使用することにより得られ得る。
式(2)で表される化合物は、既知の方法(J.M.Evansら、J.Med.Chem.1984,27,1127;J.Med.Chem.1986,29,2194;J.T.NorthらJ.Org.Chem.1995,60,3397;並びに特開昭56−57785号公報、特開昭56−57786号公報、特開昭58−188880号公報、特開平2−141号公報、特開平10−87650号公報及び特開平11−209366号公報等に記載の方法)に従い合成され得る。
式中、YがSO又はSO2である式(I)で表される化合物は、以下に示す方法に従い
得られ得る。
【化7】

(式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、m、n、V、W及びZは、前記の意味を有し、rは1又は2であり、X1は、塩素原子、臭素原子、メタンスルホニルオキシ、p−トル
エンスルホニルオキシ又はトリフルオロメタンスルホニルオキシ等のような脱離基を表し、及びX2は、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、メタンスルホニルオキシ、p−トルエ
ンスルホニルオキシ又はトリフルオロメタンスルホニルオキシ等のような脱離基を表す。)
即ち、塩基の存在下、式(2)で表される化合物をZ−S(O)r−X1と反応させることにより、式中のR6が水素原子である化合物(I−1)が得られ得る。
さらに、塩基の存在下、化合物(I−1)をR6−X2と反応させることにより、式中のR6が炭素原子数1ないし4のアルキル基を表す化合物(I−2)が得られ得る。
但し、式中のR4が水素原子を表す場合、式(2)で表される化合物をZ−S(O)r−X1と反応させる前に、R4の位置にt−ブトキシカルボニル等のような保護基を導入し、Z−S(O)r−X1又はR6−X2の導入後に脱保護することにより、化合物(I−1)又は(I−2)を得ることができる。
t−ブトキシカルボニル等のような保護基の導入及び脱保護は例えば、いずれの公知の方法で行うことができる。
【0097】
式(2)で表される化合物とZ−S(O)r−X1との反応において使用される溶媒として、下記のものが挙げられる。
ジメチルスルホキシドにより例示されるスルホキシド系溶媒;ジメチルホルムアミド又はジメチルアセトアミドにより例示されるアミド系溶媒;ジエチルエーテル、ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン又はシクロペンチルメチルエーテルにより例示されるエーテル系溶媒;ジクロロメタン、クロロホルム及びジクロロエタンにより例示されるハロゲン系溶媒;アセトニトリル及びプロピオニトリルにより例示されるニトリル系溶媒;アセトン、メチルエチルケトン及びメチルイソブチルケトンにより例示されるケトン系溶媒;ベンゼン及びトルエンにより例示される芳香族炭化水素系溶媒;ヘキサン及びヘプタンにより例示される炭化水素系溶媒;及び酢酸エチルにより例示されるエステル系溶媒が挙げられる。さらに、反応は無溶媒の条件で行なわれ得る。好ましくは、エーテル系溶媒が挙げられる。
反応温度は、一般的に−80℃ないし反応溶媒の還流温度であり、好ましくは、−10℃ないし80℃である。
反応原料のモル比は、Z−S(O)r−X1/化合物(2)として0.5ないし20.0の範囲であり、好ましくは1.0ないし10.0の範囲である。
塩基は、トリエチルアミン及びエチルジイソプロピルアミンにより例示されるトリアルキルアミン;ピリジン、2,6−ルチジン、2,6−ジ−t−ブチルピリジン、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルピリジン及びプロトンポンプにより例示されるピリジン系アミン;水酸化ナトリウム、水酸化カリウム及び炭酸カリウムにより例示される無機塩基を含む。好ましくは、トリエチルアミン、エチルジイソプロピルアミン及びピリジンが挙げられる。
【0098】
式(I−1)で表される化合物とR6−X2との反応に使用される溶媒として下記のものが挙げられる。
ジメチルスルホキシドにより例示されるスルホキシド系溶媒;ジメチルホルムアミド及びジメチルアセトアミドにより例示されるアミド系溶媒;ジエチルエーテル、ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン及びシクロペンチルメチルエーテルにより例示されるエーテル系溶媒;ジクロロメタン、クロロホルム及びジクロロエタンにより例示されるハロゲン系溶媒;アセトニトリル及びプロピオニトリルにより例示されるニトリル系溶媒;アセトン、メチルエチルケトン及びメチルイソブチルケトンにより例示されるケトン系溶媒;ベンゼン及びトルエンにより例示される芳香族炭化水素系溶媒;ヘキサン及びヘプタンにより例示される炭化水素系溶媒;及び酢酸エチルによにより例示されるエステル系溶媒が挙げられる。さらに、反応は無溶媒の条件で行なわれ得る。好ましくはケトン系溶媒及びエーテル系溶媒が挙げられる。
反応温度は、一般的に−80℃ないし反応溶媒の還流温度であり、好ましくは、20℃ないし反応溶媒の還流温度である。
反応原料のモル比は、R6−X2/化合物(I−1)として0.5ないし20.0の範囲であり、好ましくは1.0ないし10.0の範囲である。
塩基は、トリエチルアミン及びエチルジイソプロピルアミンにより例示されるトリアルキルアミン;ピリジン、2,6−ルチジン、2,6−ジ−t−ブチルピリジン、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルピリジン及びプロトンポンプにより例示されるピリジン系アミン;水酸化ナトリウム、水酸化カリウム及び炭酸カリウムにより例示される無機塩基を
含む。好ましくは、炭酸カリウムにより例示される無機塩基が挙げられる。
【0099】
式中のYが単結合であり、Zが炭素原子数1ないし4のアルキル基(該炭素原子数1ないし4のアルキル基は、1ないし5個のハロゲン原子又はフェニル基(該フェニル基は、炭素原子数1ないし4のアルキル基により任意に置換されていてもよい。)により任意に置換されていてもよい。)である式(I)で表される化合物は、以下に示す方法により製造され得る。
【化8】

[式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、m、n、V、W及びX2は、前記の意味を有し
、Z1は、炭素原子数1ないし4のアルキル基(該炭素原子数1ないし4のアルキル基は
、1ないし5個のハロゲン原子又はフェニル基(該フェニル基は、炭素原子数1ないし4のアルキル基により任意に置換されていてもよい。)により任意に置換されていてもよい。)を表し、及びP1は、ホルミル、t−ブトキシカルボニル及びベンジロキシカルボニ
ル等のような保護基を表す。]
即ち、式中のR6が水素原子である化合物(I−3)は、式(2)で表される化合物に
保護基(P1)を導入して(3)とし、塩基の存在下、Z1−X2を反応させることにより
化合物(4)とし、そしてその後脱保護をすることにより、得られ得る。
さらに、塩基の存在下、化合物(I−3)をR6−X2と反応させることにより、式中のR6が炭素原子数1ないし4である化合物(I−2)が得られ得る。
但し、式中のR4が水素原子の場合、式(2)で表される化合物に保護基(P1)を導入する際、2当量以上の試薬を使用し、4位及び7位の二つの窒素原子に保護基(P1)を
導入するか又は保護基(P1)を導入する前にR4の位置にt−ブトキシカルボニル等の保護基を導入し、Z1−X2を反応させた後、同時又は逐次脱保護することにより、(I−3)が得られ得る。
式中のR4が水素原子である化合物(I−4)は、化合物(I−3)をR6−X2と反応
させる前に、R4の位置にt−ブトキシカルボニル等のような保護基を導入し、R6−X2
を反応させた後に脱保護することにより得られ得る。
t−ブトキシカルボニル等のような保護基の導入及び脱保護は、いずれの公知の方法に従い行われ得る。。
保護基(P1)の導入は、例えばホルミルの場合は、ギ酸−酢酸酸無水物又はギ酸フェ
ニルを、例えばt−ブトキシカルボニルの場合は、二炭酸ジ−t−ブチルを、ベンジロキシカルボニルの場合は、クロロギ酸ベンジルをいずれの公知の方法に従い処理することにより達成される。
塩基の存在下、化合物(3)及びZ1−X2から(4)を製造する反応条件は、式(I−1)で表される化合物とR6−X2との反応条件と同様である。
脱保護は、酸又は塩基、或いは加水素分解等のいずれの公知の方法により処理することにより達成される。
塩基の存在下、化合物(I−3)とR6−X2から化合物(I−4)を製造する反応条件は、式(I−1)で表される化合物とR6−X2との反応条件と同様である。
【0100】
式中のYが単結合であり、及びZがフェニル基(該フェニル基は、炭素原子数1ないし4のアルキル基により任意に置換されていてもよい。)である式(I)で表される化合物は、以下に示す方法により製造することができる。
【化9】

(式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、m、n、V、P1、W及びX2は、前記の意味を有し、Z2は、フェニル基(該フェニル基は、炭素原子数1ないし4のアルキル基により
任意に置換されていてもよい。)を表し、X3は、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨ
ウ素原子等のような脱離基を表す。)
即ち、式中のR6が炭素原子数1ないし4のアルキル基である化合物(I−5)は、式
(2)で表される化合物に保護基(P1)を導入して化合物(3)を得た後、塩基の存在
下、化合物(3)をZ2−X3と反応させることにより化合物(5)とし、続いて、脱保護をすることにより、得られ得る。
さらに、式中のR6が炭素原子数1ないし4のアルキル基である化合物(I−6)は、
塩基の存在下、化合物(I−5)をR6−X2と反応させることにより、得られ得る。
但し、式中のR4が水素原子の場合は、式(2)で表される化合物に保護基(P1)を導入する際、2当量以上の試薬を使用し、4位及び7位の二つの窒素原子に保護基(P1
を導入するか又は保護基(P1)を導入する前に、R4の位置にt−ブトキシカルボニル等の保護基を導入し、Z2−X3と反応させた後、同時又は逐次脱保護することにより、(I
−5)が得られ得る。
式中のR4が水素原子である化合物(I−6)は、化合物(I−5)をR6−X2と反応
させる前に、R4の位置にt−ブトキシカルボニル等の保護基を導入し、R6−X2と反応
させた後に脱保護することにより得られ得る。
【0101】
t−ブトキシカルボニル等のような保護基の導入及び脱保護は、いずれの公知の方法に従い行われる。
保護基(P1)の導入は、例えば、ホルミルの場合は、ギ酸−酢酸酸無水物又はギ酸フ
ェニルを、例えばt−ブトキシカルボニルの場合は、二炭酸ジ−t−ブチルを、ベンジロキシカルボニルの場合は、クロロギ酸ベンジルを、いずれの公知の方法に従い処理することにより達成される。
式(3)で表される化合物とZ2−X3との反応に用いる溶媒としては下記のものが挙げられる。
ジメチルスルホキシドにより例示されるスルホキシド系溶媒;ジメチルホルムアミド又はジメチルアセトアミドにより例示されるアミド系溶媒;ジエチルエーテル、ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン又はシクロペンチルメチルエーテルにより例示されるエーテル系溶媒;ジクロロメタン、クロロホルム及びジクロロエタンにより例示されるハロゲン系溶媒;アセトニトリル及びプロピオニトリルにより例示されるニトリル系溶媒;アセトン、メチルエチルケトン及びメチルイソブチルケトンにより例示されるケトン系溶媒;ベンゼン及びトルエンにより例示される芳香族炭化水素系溶媒;ヘキサン及びヘプタンにより例示される炭化水素系溶媒;及び酢酸エチルにより例示されるエステル系溶媒が挙げられる。さらに、反応は無溶媒の条件で行われ得る。好ましくは、炭化水素系溶媒、スルホキシド系溶媒及びアミド系溶媒が挙げられる。
反応温度は、一般的に−80℃ないし反応溶媒の還流温度であり、好ましくは、50℃ないし120℃である。
反応原料のモル比は、Z2−X3/化合物(3)として0.5ないし20.0の範囲であり、好ましくは1.0ないし10.0の範囲である。
塩基は、トリエチルアミン及びエチルジイソプロピルアミンにより例示されるトリアルキルアミン;ピリジン、2,6−ルチジン、2,6−ジ−t−ブチルピリジン、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルピリジン及びプロトンポンプにより例示されるピリジン系アミン;カリウム−t−ブトキシド、ナトリウム−t−ブトキシド、ナトリウムエトキシド及びカリウムエトキシドにより例示される金属アルコキシド;水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素カリウム及び炭酸水素ナトリウムにより例示される無機塩基を含む。好ましくは、金属アルコキシド及び無機塩基が挙げられる。
金属触媒が反応系に添加され得る。金属触媒は、ヨウ化銅、塩化銅及び酸化銅のような銅触媒;及び塩化パラジウム、臭化パラジウム、ヨウ化パラジウム、ジクロロビス(アセトニトリル)パラジウム、ジクロロビス(ベンゾニトリル)パラジウム、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、ジクロロビス(ジフェニルホスフィノエタン)パラジウム、ジクロロビス(ジフェニルホスフィノプロパン)パラジウム、ジクロロビス(ジフェニルホスフィノブタン)パラジウム、酢酸パラジウム、テトラキストリフェニルホスフィンパラジウム、パラジウムベンジリデンアセトン等に例示されるパラジウム触媒等を含む。
金属触媒が使用される場合はいずれの配位子が添加され得る。配位子は、トリフェニルホスフィン、トリブチルホスフィン、ジフェニルホスフィノエタン、ジフェニルホスフィノプロパン及びジフェニルホスフィノブタンに例示されるホスフィン系配位子を含む。
脱保護は、酸又は塩基、或いは加水素分解等のような公知の方法に従い処理することにより達成される。
塩基の存在下、化合物(I−5)及びR6−X2から(I−6)を製造する反応条件は、式(I−1)で表される化合物とR6−X2との反応条件と同様である。
【0102】
式(I)で表される化合物のうち光学活性体の合成は、ラセミ体を光学分割する方法(特開平3−141286号公報、米国特許5097037号及び欧州特許409165号)を利用することにより達成される。
さらに、式(2)で表される化合物の光学活性体の合成は、不斉合成による方法(特表平5−507645号公報、特開平5−301878号公報、特開平7−285983号公報、欧州特許535377号公開公報及び米国特許5420314号)を利用することにより達成される。
【0103】
前述したように、本発明者らは、式(I)で表される化合物が強い不応期延長作用を有していることを見い出した。不応期延長作用は抗不整脈作用の奏功機序の1つであり、臨床の不整脈に対する有効性を外挿しうる重要な指標である。不応期延長作用を主要な機序とする従来の抗不整脈薬(例えばVaughan Williamsによる抗不整脈薬分類の第3群に属するd−ソタロールなど)は、不応期延長作用と関連のある心室筋活動電位の延長に基づくtorsades de pointes等の突然死を誘発しうる極めて危険な不整脈誘発作用が重大な課題とされており、心房筋が主体の不整脈(上室性頻拍症、心房粗動、心房細動など)に対する治療の問題になっている。
この課題を解決するために本発明者らは、心室筋よりも心房筋に選択的な不応期延長作用を有する化合物の探索研究を実施し、式(I)で表される化合物に、心室筋の不応期及び活動電位に影響することなく心房筋に選択的な不応期延長作用があることを見出した。本発明者らの発見の既存技術との違いは、これらの化合物群に対して心房筋に選択的な不応期延長作用を付与し得たところにあり、このことは,摘出した心室筋の活動電位持続時間に影響しないこと,および麻酔動物の心電図QTに影響を及ぼさないことによっても示されている。以上のことから、本化合物は心室筋における不整脈誘発作用を持ち合わせず,既存技術に比べて心房筋が主体の不整脈においてより安全な使用に貢献できる可能性を提供しうるものである。この技術は、心房性不整脈に係わる、例えば発作性、慢性、手術前、手術中あるいは手術後の抗心房細動剤、抗心房粗動剤、抗心房性頻脈剤としての治療あるいは予防的な利用、心房性不整脈に基づく塞栓症への進展予防、心房性不整脈あるいは頻脈を原因とする心室性不整脈あるいは頻脈への移行の予防、心室性不整脈あるいは頻脈に移行しうる心房性不整脈あるいは頻脈予防作用に基づく生命予後悪化の予防の目的として有用である。
【0104】
本発明は、これらの治療に式(I)で表される化合物の有効な量を含む医薬組成物又は獣医薬組成物を提供する。
本発明に従う化合物の投与形態は、注射剤(皮下、静脈内、筋肉内、腹腔内注射)、軟膏剤、坐剤、エアゾール剤等による非経口投与又は錠剤、カプセル剤、顆粒剤、丸剤、シロップ剤、液剤、乳剤、懸濁液剤等による経口投与を挙げることができる。
本発明に係る化合物を含有する上記の医薬的又は獣医薬的組成物は、全組成物の質量に対して、本発明に係る化合物をおよそ0.01ないし99.5%、好ましくは、およそ0.1ないし30%を含有する。
本発明に従う化合物に又は該化合物を含有する組成物の他に、他の医薬的に又は獣医薬的に活性な化合物を含ませることができる。
さらに、これらの組成物は、本発明に従う化合物の複数を含ませることができる。
本発明に従う化合物の臨床的投与量は、年令、体重、患者の感受性、症状の程度等により異なるが、通常効果的な投与量は、成人一日0.003ないし1.5g、好ましくは、0.01ないし0.6g程度である。しかし必要により上記の範囲外の量を用いることもできる。
本発明に従う化合物は、製薬の慣用手段によって投与用に製剤化される。
即ち、経口投与用の錠剤、カプセル剤、顆粒剤、丸剤は、賦形剤、例えば白糖、乳糖、ブドウ糖、澱粉及びマンニット;結合剤、例えばヒドロキシプロピルセルロース、シロッ
プ、アラビアゴム、ゼラチン、ソルビット、トラガント、メチルセルロース及びポリビニルピロリドン;崩壊剤、例えば澱粉、カルボキシメチルセルロース又はそのカルシウム塩、微結晶セルロース及びポリエチレングリコール;滑沢剤、例えばタルク、ステアリン酸マグネシウム又はカルシウム、及びシリカ;潤滑剤、例えばラウリル酸ナトリウム及びグリセロール等を使用することにより調製される。
注射剤、液剤、乳剤、懸濁剤、シロップ剤及びエアゾール剤は、活性成分の溶剤、例えば水、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール及びポリエチレングリコール;界面活性剤、例えばソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、水素添加ヒマシ油のポリオキシエチレンエーテル及びレシチン;懸濁剤、例えばカルボキシメチルナトリウム塩、メチルセルロース等のセルロース誘導体、トラガント、アラビアゴム等の天然ゴム類;保存剤、例えばパラオキシ安息香酸のエステル、塩化ベンザルコニウム、ソルビン酸塩等を使用することにより調製される。
経皮吸収型製剤である軟膏には、例えば白色ワセリン、流動パラフィン、高級アルコール、マクロゴール軟膏、親水軟膏、水性ゲル基剤等が用いられる。
坐剤は、例えばカカオ脂、ポリエチレングリコール、ラノリン、脂肪酸トリグリセライド、ココナット油、ポリソルベート等を使用することにより調製される。
【実施例】
【0105】
以下、本発明を実施例にて詳述するが、本発明は、これらの実施例に何ら限定されるものではない。
【0106】
〔合成例〕
尚、Ph,Phサレンマンガン錯体(XY)及びCyc,Phサレンマンガン錯体(XX)は以下の構造式で示される光学活性化合物を表し、特開平7−285983号公報記載の方法と同様に合成したものを用いた。
【化10】

【0107】
合成例1
N−{(3R*,4S*)−3−ヒドロキシ−6−メトキシ−2,2−ジメチル−4−[(2−フェニルエチル)アミノ]−3,4−ジヒドロ−2H−1−ベンゾピラン−7−イル}メタンスルホンアミド
【化11】

【0108】
4−(1,1−ジメチル−2−プロペニルオキシ)アニソール
【化12】

4−メトキシフェノール(15.0g,121mmol)のアセトニトリル(75mL)溶液に氷冷下、1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデセン(23.9g,157mmol)を加え0℃で30分攪拌した(溶液1)。2−メチル−3−ブテン−2−オール(11.7g,139mmol)のアセトニトリル(75mL)溶液に氷冷下、1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデセン(23.9 g,157mmol)を加え
0℃で30分攪拌し、その後、無水トリフルオロ酢酸(25.4g,121mmol)を加え、0℃で30分攪拌した(溶液2)。溶液1に塩化第一銅(36mg,0.36mmol)を加え、続いて溶液2を15分かけて滴下した。滴下終了後室温に昇温し、終夜攪拌した。反応終了後、反応液に塩化アンモニウム水溶液を加え、溶媒を減圧留去した。残渣に1mol/L塩酸水溶液を加えて、酢酸エチルで抽出、有機相を1mol/L塩酸水溶液で1回、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で2回、飽和食塩水で1回洗浄した。有機相を無水硫酸マグネシウムで乾燥し、溶媒を留去して、そのまま次の反応に用いた。
【0109】
6−メトキシ−2,2−ジメチル−2H−1−ベンゾピラン
【化13】

4−(1,1−ジメチル−2−プロペニルオキシ)アニソールの1,2−ジクロロベンゼン(50 mL)溶液を190℃で2時間攪拌した。反応終了後、溶媒を減圧留去し、
残渣をカラムクロマトグラフィー(へキサン/クロロホルム=3/1)で精製し、目的物を赤色油状物として得た(2工程、収率:61%)。
1H−NMR(CDCl3)δ:1.41(s, 6H),3.75(s,3H),5.64(d,J=9.9Hz,1H),6.28(d,J=9.9Hz,1H),6.55(d,J=2.7Hz,1H),6.64−6.73(m,2H)
LC/MS(ESI+):191[M++1]
【0110】
6−メトキシ−2,2−ジメチル−7−ニトロ−2H−1−ベンゾピラン
【化14】

6−メトキシ−2,2−ジメチル−2H−1−ベンゾピラン(3.1g,16.4mmol)を含む酢酸(6.2mL)及び無水酢酸(6.2mL)の混合溶液を氷冷し、硝酸(1.37mL,18.0mmol)を滴下した後、0℃で1時間攪拌した。反応終了後、反応液に1mol/L水酸化ナトリウム水溶液を加え、酢酸エチル(150mL)で抽出した。有機相を1mol/L水酸化ナトリウム水溶液で2回、飽和食塩水で1回洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、溶媒を減圧留去した。残渣をカラムクロマトグラフィー(へキサン/酢酸エチル=6/1)で精製し、目的物を黄色結晶として得た(収率79
%)。
1H−NMR (CDCl3)δ: 1.44(s, 6H),3.91(s, 3H),5
.85(d,J=9.6Hz,1H),6.33(d,J=9.6Hz,1H),6.69(s,1H),7.34(s,1H)
LC/MS(ESI+):236[M++1]
【0111】
(3R*,4R*)−3,4−エポキシ−6−メトキシ−2,2−ジメチル−7−ニトロ
−3,4−ジヒドロ−2H−1−ベンゾピラン
【化15】

6−メトキシ−2,2−ジメチル−7−ニトロ−2H−1−ベンゾピラン(10.0g, 42.5mmol)のアセトニトリル溶液(300mL)に、室温でN−メチルイミ
ダゾール(0.678mL,8.50mmol)、(R,R,S,S)−Ph,Phサレ
ンマンガン錯体(XY)(880mg,0.850mmol)、ヨードソベンゼン(18.7mg,85.0mmol)を加え、2時間攪拌した。反応終了後、反応液にチオ硫酸ナトリウム水溶液を加え、セライト濾過し、酢酸エチルで抽出、有機層を水、塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を留去後、カラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=4/1)で精製し、目的物を黄色結晶として得た。(収率75%,光学純度99.7%ee)
1H−NMR(CDCl3)δ:1.26(s,3H),1.58(s,3H),3.5
3(d,J=4.3 Hz,1H),3.90(d,J=4.3 Hz,1H),3.95(s,3H),7.08(s,1H),7.33(s,1H)
MS(EI): 251[M+
HPLC:18.6min(エナンチオマー24.1min)
HPLC条件:chiralcel OJ−RH, MeCN/MeOH/0.01MN
aClaq.=1/3/5,1.0ml/min,40℃,256nm
【0112】
(3R*,4S*)−6−メトキシ−2,2−ジメチル−7−ニトロ−4−[(2−フェニルエチル)アミノ]−3,4−ジヒドロ−2H−1−ベンゾピラン−3−オール
【化16】

(3R*,4S*)−3,4−エポキシ−6−メトキシ−2,2−ジメチル−7−ニトロ−3,4−ジヒドロ−2H−1−ベンゾピラン(2.50 g,9.95mmol)の1
,4−ジオキサン(5.0mL)溶液に、室温で過塩素酸リチウム(1.06g,9.95mmol)と4−(フェニルエチル)アミン(1.50mL,11.9mmol)を加え、80℃で1時間撹拌した。反応終了後、反応液に飽和塩化アンモニウム水溶液を加え、酢酸エチルで抽出し、有機相を飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を留去後、残査をカラムクロマトグラフィー(へキサン/酢酸エチル=6/4)で精製し、目的物を橙色アモルファス状物として得た(定量的)。
1H−NMR(CDCl3)δ: 1.15(s,3H),1.47(s,3H),2.7
3−2.95(m,4H),3.60(d,J=10.0Hz,1H),3.68(d,
J=10.0 Hz,1H),3.73(s,3H),6.78(s,1H),7.21−7.35(m,6H)
MS(EI):372[M+
【0113】
t−ブチル(2−フェニルエチル)(3R*,4S*)−3−ヒドロキシ−6−メトキシ−2,2−ジメチル−7−ニトロ−3,4−ジヒドロ−2H−1−ベンゾピラン−4−イルカルバメート
【化17】

(3R*,4S*)−6−メトキシ−2,2−ジメチル−7−ニトロ−4−[(2−フェニルエチル)アミノ]−3,4−ジヒドロ−2H−1−ベンゾピラン−3−オール(407mg,1.09mmol)と炭酸ジ−t−ブチル(477mg,2.19mmol)のテトラヒドロフラン(6.0mL) 溶液に、0℃でトリエチルアミン(305mL,2
.19mmol)を加え、室温で終夜撹拌した。反応終了後、反応液に飽和炭酸ナトリウム水溶液を加え、酢酸エチルで抽出し、有機相を1mol/L塩酸水溶液、飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を留去後、残査をカラムクロマトグラフィー(へキサン/酢酸エチル=4/1)で精製し、目的物を黄色アモルファス状物として得た(収率88%)。
MS(EI):473[M++1]
【0114】
t−ブチル(2−フェニルエチル)(3R*,4S*)−7−アミノ−3−ヒドロキシ−6−メトキシ−2,2−ジメチル−3,4−ジヒドロ−2H−1−ベンゾピラン−4−イルカルバメート
【化18】

t−ブチル(2−フェニルエチル)(3R*,4S*)−3−ヒドロキシ−6−メトキシ−2,2−ジメチル−7−ニトロ−3、4−ジヒドロ−2H−1−ベンゾピラン−4−イルカルバメート(1.32 g,2.80mmol)と5%パラジウム−炭素(132m
g)のメタノール (26mL) 溶液を、水素雰囲気下室温で終夜攪拌した。反応終了後、反応液をセライトろ過し、溶媒を留去後、残査をカラムクロマトグラフィー(へキサン/酢酸エチル=4/1)で精製し、目的物を無色固形物として得た(収率94%)。
LC/MS(ESI+):443[M++1]
【0115】
t−ブチル(2−フェニルエチル)(3R*,4S*)−3−ヒドロキシ−6−メトキシ−2,2−ジメチル−7−[(メチルスルホニル)アミノ]−3,4−ジヒドロ−2H−1−ベンゾピラン−4−イルカルバメート
【化19】

t−ブチル(2−フェニルエチル)(3R*,4S*)−7−アミノ−3−ヒドロキシ−6−メトキシ−2,2−ジメチル−3,4−ジヒドロ−2H−1−ベンゾピラン−4−イルカルバメート(1.16mg,2.62mmol)のピリジン (11.6mL) 溶液に、0℃でメタンスルホニルクロリド(0.223mL,2.88mmol)を加え、室温に昇温して終夜撹拌した。反応終了後、反応液に1mol/L塩酸水溶液(約30mL)を加えpHを5ないし9に調整後、酢酸エチルで抽出し、有機相を飽和食塩水で洗浄、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を留去後、残査をカラムクロマトグラフィー(へキサン/酢酸エチル=3/1)で精製し、目的物を無色油状物として得た(収率77%)。MS(EI):520[M+
【0116】
N−[(3R*,4S*)−3−ヒドロキシ−6−メトキシ−2,2−ジメチル−4−[(
2−フェニルエチル)アミノ]−3,4−ジヒドロ−2H−1−ベンゾピラン−7−イル]メタンスルホンアミド
【化20】

t−ブチル(2−フェニルエチル)(3R*,4S*)−3−ヒドロキシ−6−メトキシ−2,2−ジメチル−7−[(メチルスルホニル)アミノ]−3,4−ジヒドロ−2H−1−ベンゾピラン−4−イルカルバメート(300mg,0.577mmol)のジクロロメタン(3.0mL)溶液を0℃に冷却し、トリフルオロ酢酸(3.0mL)を加え、0℃で1時間攪拌した。反応終了後溶媒を留去し、残渣をカラムクロマトグラフィー(へキサン/酢酸エチル=2/1)で精製し、目的物を灰色アモルファス状物として得た(収率99%)。
1H−NMR(CDCl3)δ: 1.12(s,3H),1.49(s,3H),2.93−3.16(m,4H),3.03(s,3H),3.81(s,3H),3.95(d,J=9.2Hz,1H),4.55(d,J=9.2Hz,1H),7.02−7.32(m,7H)
MS(EI):420[M+
【0117】
合成例2
N−[(3R*,4S*)−3,6−ジヒドロキシ−2,2−ジメチル−4−[(2−フェ
ニルエチル)アミノ]−3,4−ジヒドロ−2H−1−ベンゾピラン−7−イル]メタン
スルホンアミド
【化21】

t−ブチル(2−フェニルエチル)(3R*,4S*)−7−[(メチルスルホニル)ア
ミノ]−3−ヒドロキシ−6−メトキシ−2,2−ジメチル−3,4−ジヒドロ−2H−
1−ベンゾピラン−4−イルカルバメート(300mg,0.58mmol)のジクロロメタン(3.0mL)溶液に、氷冷下で1mol/L三臭化ホウ素−ジクロロメタン溶液(2.88mL,2.88mmol)を加え、0℃で1時間撹拌した。反応終了後、メタノールを加え30分攪拌後、溶媒を留去した。残渣を酢酸エチルで洗浄し、固形物を50℃で2時間減圧乾燥し、目的物の臭化水素酸塩を黄色固形物として得た(収率56%)。
1H−NMR(DMSO−d6)δ: 1.08 (s,3H),1.39(s,3H),
2.99−3.11(m,4H),3.00(s,3H),3.89(dd,J=6.6,8.8Hz,1H),4.30(d,J=8.8Hz,1H),6.12(d,J=6.6Hz,1H),6.73(s,1H),7.10(s,1H),7.23−7.36(m,5H),8.82(s,1H),8.88(brs,1H),9.35(brs,1H), 9.54(s,1H)
LC/MS(ESI+):407[M++1],(ESI-):405[M+−1]
【0118】
合成例3
N−[(3R*,4S*)−3−ヒドロキシ−6−メトキシ−2,2−ジメチル−4−[(
2−フェニルエチル)アミノ]−3,4−ジヒドロ−2H−1−ベンゾピラン−7−イル]−N−メチル−メタンスルホンアミド
【化22】

【0119】
t−ブチル(2−フェニルエチル)(3R*,4S*)−3−ヒドロキシ−6−メトキシ−2,2−ジメチル−7−(N−メチル−N−メチルスルホニルアミノ)−3,4−ジヒドロ−2H−1−ベンゾピラン−4−イルカルバメート
【化23】

t−ブチル(2−フェニルエチル)(3R*,4S*)−3−ヒドロキシ−6−メトキシ
−2,2−ジメチル−7−(N−メチルスルホニルアミノ)−3,4−ジヒドロ−2H−1−ベンゾピラン−4−イルカルバメート(227mg,0.423 mmol)と炭酸
カリウム(76 mg,0.550mmol)のアセトン(2.3mL)溶液に、室温で
ヨウ化メチル(0.040mL,0.635mmol)を加え終夜攪拌した。反応終了後溶媒を留去し、残渣に水を加え酢酸エチルで抽出し、有機相を飽和食塩水で洗浄、無水硫酸マグネシウムで乾燥、溶媒を留去した。残渣をカラムクロマトグラフィー(へキサン/酢酸エチル=3/1)で精製し、目的物を無色アモルファス状物として得た(収率93
%)。
LC/MS(ESI+):535[M++1],557[M++Na]
【0120】
N−[(3R*,4S*)−3−ヒドロキシ−6−メトキシ−2,2−ジメチル−4−[(
2−フェニルエチル)アミノ]−3,4−ジヒドロ−2H−1−ベンゾピラン−7−イル]−N−メチル−メタンスルホンアミド
【化24】

t−ブチル(2−フェニルエチル)(3R*,4S*)−3−ヒドロキシ−6−メトキシ−2,2−ジメチル−7−(N−メチル−N−メチルスルホニルアミノ)−3,4−ジヒドロ−2H−1−ベンゾピラン−4−イルカルバメート(201mg,0.389mmol)に、室温で4mol/L塩化水素−1,4−ジオキサン溶液(2.01mL,8.04mmol) を加え、100℃で30分撹拌した。反応終了後、溶媒を留去し、得られ
た固形物を2−プロパノールで洗浄し、目的物の塩酸塩を淡青色固形物として得た。(収率84%)。
1H−NMR(DMSO−d6)δ: 1.09(s,3H),1.41(s,3H),3.00(s,3H),3.02−3.19(m,4H),3.10(s,3H),3.85(s,3H),4.00(dd,J=5.8,9.3Hz,1H),4.40(d,J=9.3Hz,1H),6.28(d,J=5.8Hz,1H),6.79(s,1H),7.23−7.36(m,5H),7.68(s,1H),9.48(brs,1H),9.81(brs,1H)
LC/MS(ESI+):435[M++1]
【0121】
合成例4
N−[(3R*,4S*)−4−[(2−シクロへキシルエチル)アミノ]−3−ヒドロキ
シ−6−メトキシ−2,2−ジメチル−3,4−ジヒドロ−2H−1−ベンゾピラン−7−イル]メタンスルホンアミド
【化25】

【0122】
(3R*,4S*)−4−アミノ−6−メトキシ−2,2−ジメチル−7−ニトロ−3,4−ジヒドロ−2H−1−ベンゾピラン−3−オール
【化26】

(3R*,4R*)−3,4−エポキシ−6−メトキシ−2,2−ジメチル−7−ニトロ−3,4−ジヒドロ−2H−1−ベンゾピラン(2.64 g,10.5mmol)のエ
タノール(26mL)溶液に、室温でアンモニア水(26mL)を加え、封管中100℃で2時間攪拌した。反応終了後溶媒を留去し、飽和炭酸ナトリウム水溶液を加え酢酸エチルで抽出し、有機相を飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、目的物を赤色アモルファス状物として得た(収率84%)。
1H−NMR(DMSO−d6)δ: 1.20(s,3H),1.50(s,3H),1.60(brs,3H),3.38(d,J=9.6Hz,1H),3.67(d,J=9.6Hz,1H),3.93(s,3H),7.20(s,1H),7.31(s,1H)
【0123】
t−ブチル{(3R*,4S*)−3−ヒドロキシ−6−メトキシ−2,2−ジメチル−7
−ニトロ−3,4−ジヒドロ−2H−1−ベンゾピラン−4−イル}カルバメート
【化27】

(3R*,4S*)−4−アミノ−6−メトキシ−2,2−ジメチル−7−ニトロ−3,4−ジヒドロ−2H−1−ベンゾピラン−3−オール(2.62g,9.77mmol)と炭酸ジ−t−ブチル(4.26g,19.5mmol)のテトラヒドロフラン(52m
L) 溶液に、0℃でトリエチルアミン(2.72mL,19.5mmol)を加え、室
温で終夜撹拌した。反応終了後、反応液に飽和炭酸ナトリウム水溶液を加え酢酸エチルで抽出し、有機相を1mol/L塩酸水溶液と飽和食塩水で洗浄、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を留去後、残査をカラムクロマトグラフィー(へキサン/酢酸エチル=2/1)で精製し、目的物を黄色固形物として得た(収率92%)。
1H−NMR(CDCl3)δ: 1.24(s,3H),1.48(s,3H),1.52(s,9H),1.61(s,1H),3.47−3.51(m,1H),3.62−3.67(m,1H),3.90(s,3H),4.72(m,1H),4.87−4.94(m,1H),6.98(s,1H),7.32(s,1H)
【0124】
t−ブチル{(3R*,4S*)−7−アミノ−3−ヒドロキシ−6−メトキシ−2,2−
ジメチル−3,4−ジヒドロ−2H−1−ベンゾピラン−4−イル}カルバメート
【化28】

t−ブチル(3R*,4S*)−3−ヒドロキシ−6−メトキシ−2,2−ジメチル−7
−ニトロ−3,4−ジヒドロ−2H−1−ベンゾピラン−4−イルカルバメート(3.31g,8.96mmol)と5%パラジウム−炭素(330mg)のエタノール(66mL)溶液を、水素雰囲気下室温で終夜攪拌した。反応終了後、反応液をセライトろ過し、溶媒を留去後、残査をカラムクロマトグラフィー(クロロホルム/メタノール=30/1)で精製し、目的物を無色アモルファス状物として得た(収率33%)。
1H−NMR(CDCl3)δ: 1.20(s,3H),1.43(s,3H),1.51(s,9H),3.59(d,J=8.8Hz,1H),3.80(s,3H),3.97(s,1H),4.62(dd,J=7.4,8.8Hz,1H),4.84(d,J=7.4Hz,1H),6.17(s,1H),6.59(s,1H)
LC/MS (ESI+):339[M++1],361[M++Na]
【0125】
t−ブチル(3R*,4S*)−3−ヒドロキシ−6−メトキシ−2,2−ジメチル−7−
[(メチルスルホニル)アミノ]−3,4−ジヒドロ−2H−1−ベンゾピラン−4−イルカルバメート
【化29】

t−ブチル{(3R*,4S*)−7−アミノ−3−ヒドロキシ−6−メトキシ−2,2
−ジメチル−3,4−ジヒドロ−2H−1−ベンゾピラン−4−イル}カルバメート(980mg,2.90mmol)のピリジン(9.8mL)溶液に、室温でメタンスルホニルクロリド(0.25mL,3.19mmol)を加え、室温で終夜撹拌した。反応終了後、反応液に1mol/L塩酸水溶液(約30mL)を加えpHを5ないし9に調整後、酢酸エチルで抽出し、有機相を飽和食塩水で洗浄、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を留去後、固化した残査をメタノールとジイソプロピルエーテルの混合溶媒で洗浄し、目的物を桃色固形物として得た(収率79%)。
1H−NMR(CDCl3)δ: 1.22 (s,3H),1.45(s,3H),1.
51(s,9H),3.00(s,3H),3.61(dd,J=3.0,8.9Hz,1H),3.67(s,1H),3.84(s,3H),4.69(dd,J=8.0,8.9Hz,1H),4.81(d,J=8.0Hz,1H),6.74(s,1H),6.83(s,1H),7.01(s,1H)
LC/MS(ESI+): 438[M++Na],(ESI-):415[M+−1]
【0126】
N−{(3R*,4S*)−(4−アミノ−3−ヒドロキシ−6−メトキシ−2,2−ジメチル−3,4−ジヒドロ−2H−1−ベンゾピラン−7−イル)}メタンスルホンアミド
塩酸塩
【化30】

t−ブチル{(3R*,4S*)−3−ヒドロキシ−6−メトキシ−2,2−ジメチル−
7−[(メチルスルホニル)アミノ]−3,4−ジヒドロ−2H−1−ベンゾピラン−4−イル}カルバメート(419mg,1.00mmol)に、室温で4mol/L塩化水素−1,4−ジオキサン溶液(2.52mL,10.0mmol) を加え、100℃で
30分撹拌した。反応終了後、溶媒を留去し、得られた固形物をジイソプロピルエーテルで洗浄し、目的物の塩酸塩を無色固形物として得た(収率99%)。
LC/MS (ESI+): 339[M++Na],(ESI-): 315[M+−1]
【0127】
N−[(3R*,4S*)−4−[(2−シクロへキシルエチル)アミノ]−3−ヒドロキ
シ−6−メトキシ−2,2−ジメチル−3,4−ジヒドロ−2H−1−ベンゾピラン−7−イル]メタンスルホンアミド
【化31】

N−(4−アミノ−3−ヒドロキシ−6−メトキシ−2,2−ジメチル−3,4−ジヒドロ−2H−1−ベンゾピラン−7−イル)メタンスルホンアミド塩酸塩(118mg,0.34mmol)とシクロへキシルアセトアルデヒド(63mg,0.50mmol)及びトリエチルアミン(0.034mL,0.34mmol)のメタノール(2.4mL)溶液に、室温でシアノ水素化ホウ素ナトリウム(42mg,0.67mmol)を加え、室温で2時間攪拌した。反応終了後、水を加え酢酸エチルで抽出し、有機相を飽和食塩水で洗浄、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。残渣をカラムクロマトグラフィー(へキサン/酢酸エチル=1/2)で精製し、目的物をオイル状物として得た。これに1,4−ジオキサン(0.40 mL)溶液として、さらに4mol/L塩化水素−1,4−ジオキサ
ン溶液(0.40mL,2.0mmol)を加え、0℃で30分攪拌した。さらにジイソプロピルエーテル(5 mL)を加え30分攪拌し結晶をろ取することにより、目的物の
塩酸塩を無色固形物として得た(収率34%)。
1H−NMR(CDCl3)δ: 0.87−1.69(m,13H),1.24 (s,
3H),1.47(s,3H),2.49−2.57(m,1H),2.63−2.72(m, 1H),3.00(s,3H),3.60(d,J=9.6Hz,1H),3.
67(d, J=9.6Hz,1H),3.83(s,3H),6.84(s,1H),
7.00(s, 1H)
LC/MS(ESI+):427[M++1],(ESI-):425[M+−1]
【0128】
合成例5
N−[(3R*,4S*)−3−ヒドロキシ−6−メトキシ−2,2−ジメチル−4−(ペ
ンチルアミノ)−3,4−ジヒドロ−2H−1−ベンゾピラン−7−イル]メタンスルホ
ンアミド
【化32】

上記の方法と同様に合成することにより、目的物の塩酸塩を無色固形物として得た。(収率32%)。
1H−NMR(CDCl3)δ: 0.90(t,J=6.8Hz,3H),1.23−1
.52(m,6H),1.18(s,3H),1.48(s,3H),2.47−2.55 (m, 1H),2.61−2.70(m,1H),3.00(s,3H),3.59(d,J=9.8Hz,1H),3.66(d,J=9.8Hz,1H),3.83(s
,3H),6.85(s,1H),6.99(s,1H)
LC/MS(ESI+):387[M++1],(ESI-):385[M+−1]
【0129】
合成例6
N−[(3R*,4S*)−3−ヒドロキシ−2,2,8−トリメチル−4−[(2−フェ
ニルエチル)アミノ]−3,4−ジヒドロ−2H−1−ベンゾピラン−7−イル]メタン
スルホンアミド
【化33】

【0130】
2,2,8−トリメチル−7−ニトロ−2H−1−ベンゾピラン
【化34】

合成例1に記載されたのと同様の方法に従い合成した(2工程、収率70%)。
1H−NMR(CDCl3)δ: 1.46(s,6H),2.36(s,3H),5.78(d,J=9.6Hz,1H),6.34(d,J=9.6Hz,1H),6.91(d, J=8.3Hz,1H),7.39(d,J=8.3Hz,1H)
MS(EI):219[M+
【0131】
(3R*,4R*)−3,4−エポキシ−2,2,8−トリメチル−7−ニトロ−3,4
−ジヒドロ−2H−1−ベンゾピラン
【化35】

2,2,8−トリメチル−7−ニトロ−2H−1−ベンゾピラン(3.32g,15.1mmol)の酢酸エチル溶液(50mL)に、室温でN−メチルイミダゾール(0.482mL,6.05mmol)、(R,R,S,S)−Ph,Phサレンマンガン錯体(XY)(142 mg,0.151mmol)を加え、室温で次亜塩素酸ナトリウム水溶
液(34.1mL,1.776mol/kg,60.5mmol)を滴下し、室温で1時間攪拌した。反応終了後、反応液にチオ硫酸ナトリウム水溶液を加え、セライト濾過し、酢酸エチルで抽出、有機相を水、塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を留去後、カラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=7/1)により精製し、目的物を淡黄色結晶として得た(収率78%、光学純度99%ee)。
1H−NMR(CDCl3)δ: 1.25(s,3H),1.64(s,3H),2.32(s,3H),3.55(d,J=4.2Hz,1H),3.94(d,J=4.2Hz,1H),7.31(d,J=8.3Hz,1H),7.44(d,J=8.3Hz,
1H)
HPLC:18.7min(エナンチオマー21.8min)
HPLC条件:chiralcel OJ−RH,MeCN/MeOH/0.01M NaClaq.=1/3/3,1.0ml/min,40℃,256nm
【0132】
(3R*,4S*)−2,2,8−トリメチル−7−ニトロ−4−[(2−フェニルエチ
ル)アミノ]−3,4−ジヒドロ−2H−1−ベンゾピラン−3−オール
【化36】

(3R*,4R*)−3,4−エポキシ−2,2,8−トリメチル−7−ニトロ−3,4−ジヒドロ−2H−1−ベンゾピラン(600mg,2.55mmol)の1,4−ジオキサン(1.2mL)溶液に、室温で過塩素酸リチウム(271mg,2.55mmol) と4−(フェニルエチル)アミン(0.384mL,3.06mmol)を加え、8
0℃で1時間撹拌した。反応終了後、反応液に飽和塩化アンモニウムを加え酢酸エチルで抽出し、有機相を飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を留去後、残査をカラムクロマトグラフィー(へキサン/酢酸エチル=4/1)にて精製し、目的物を橙色油状物として得た(収率99%)。
1H−NMR(CDCl3)δ: 1.16(s,3H),1.52(s,3H),2.31(s,3H),2.72−2.91(m,4H),3.54(d,J=10.0Hz,1H),3.67(d,J=10.0Hz,1H),6.91(d,J=8.5Hz,1H),7.19(m,6H)
MS(EI):356[M+
【0133】
t−ブチル(2−フェニルエチル)(3R*,4S*)−3−ヒドロキシ−2,2,8−トリメチル−7−ニトロ−3,4−ジヒドロ−2H−1−ベンゾピラン−4−イルカルバメート
【化37】

(3R*,4S*)−2,2,8−トリメチル−7−ニトロ−4−[(2−フェニルエチル)アミノ]−3,4−ジヒドロ−2H−1−ベンゾピラン−3−オール(896mg,2.51mmol)と炭酸ジ−t−ブチル(1.10g,5.03mmol)のテトラヒ
ドロフラン(9.0mL)溶液に、0℃でトリエチルアミン(700mL,5.03mmol)を加え、室温で終夜撹拌した。反応終了後、反応液に飽和炭酸ナトリウム水溶液を加え酢酸エチルで抽出し、有機相を1mol/L塩酸水溶液と飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を留去後、残査をカラムクロマトグラフィー(へキサン/酢酸エチル=4/1)により精製し、目的物を無色アモルファス状物として得た(収率86%)。
MS(EI):456[M+
【0134】
t−ブチル(2−フェニルエチル)(3R*,4S*)−7−アミノ−3−ヒドロキシ−2,2,8−トリメチル−3,4−ジヒドロ−2H−1−ベンゾピラン−4−イルカルバメート
【化38】

t−ブチル(2−フェニルエチル)(3R*,4S*)−3−ヒドロキシ−2,2,8−トリメチル−7−ニトロ−3,4−ジヒドロ−2H−1−ベンゾピラン−4−イルカルバメート(980mg,2.15mmol)と5%パラジウム−炭素(98mg)のエタノール(19.6mL) 溶液を、水素雰囲気下室温で終夜攪拌した。反応終了後、反応液
をセライトろ過し、溶媒を留去後、残査をカラムクロマトグラフィー(へキサン/酢酸エチル=3/1)により精製し、目的物を無色固形物として得た(収率87%)。
LC/MS(ESI+):427[M++1]
【0135】
t−ブチル(2−フェニルエチル)(3R*,4S*)−3−ヒドロキシ−2,2,8−トリメチル−7−[(メチルスルホニル)アミノ]−3,4−ジヒドロ−2H−1−ベンゾピラン−4−イルカルバメート
【化39】

t−ブチル(2−フェニルエチル)(3R*,4S*)−7−アミノ−3−ヒドロキシ−2,2,8−トリメチル−3,4−ジヒドロ−2H−1−ベンゾピラン−4−イルカルバメート(440mg,1.03mmol)のピリジン(4.4mL)溶液に、室温でメタンスルホニルクロリド(0.31mL,3.52mmol)を加え、室温で3時間撹拌した。反応終了後、反応液に1mol/L塩酸水溶液(約30mL)を加えpHを5ないし9に調整後、酢酸エチルで抽出し、有機相を飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を留去後、残査をカラムクロマトグラフィー(へキサン/酢酸エチル=3/1)により精製し、目的物を無色油状物として得た(収率75%)。
LC/MS(ESI+):527[M++Na],(ESI-):503[M+−1]
【0136】
N−[3−ヒドロキシ−2,2,8−トリメチル−4−[(2−フェニルエチル)アミノ
]−3,4−ジヒドロ−2H−1−ベンゾピラン−7−イル]メタンスルホンアミド
【化40】

t−ブチル(2−フェニルエチル)(3R*,4S*)−3−ヒドロキシ−2,2,8−トリメチル−7−[(メチルスルホニル)アミノ]−3,4−ジヒドロ−2H−1−ベンゾピラン−4−イルカルバメート(390mg,0.77mmol)の1,4−ジオキサン(3.9mL)溶液に、室温で4mol/L塩化水素−1,4−ジオキサン溶液(1.94 mL,7.8mmol)を加え、100℃で30分撹拌した。反応終了後、溶媒を
留去し、得られた固形物を酢酸エチル/へキサン=1/3溶液で洗浄し、目的物の塩酸塩を無色固形物として得た(収率92%)。
1H−NMR(DMSO−d6)δ: 1.08(s,3H),1.45(s,3H),2.10(s,3H),2.98(s,3H),3.02−3.36(m,4H),4.01(dd,J=6.1,8.2Hz,1H),4.40(d,J=8.2Hz,1H),6.31(d,J=6.1Hz,1H),6.97(d,J=8.5Hz,1H),7.22−7.34(m,5H),7.66(d,J=8.5Hz,1H),9.20(s,1H), 9.35(brs,1H),9.80(brs,1H)
LC/MS(ESI+):405[M++1],(ESI-):403[M+−1]
【0137】
合成例7
N−[(3R*,4S*)−3−ヒドロキシ−2,2−ジメチル−4−[(2−フェニルエ
チル)アミノ]−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾピラン−7−イル]メタンスルホンア
ミドマレイン酸塩
t−ブチル(2−フェニルエチル)(3R*,4S*)−3−ヒドロキシ−2,2−ジメチル−7−アミノ−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾピラン−4−イルカルバメート
【化41】

(3R*,4S*)−2,2−ジメチル−7−ニトロ−4−[(2−フェニルエチル)アミノ]−ベンゾピラン−3−オールマレイン酸塩(5.20 g,11.3mmol)の
酢酸エチル懸濁液を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で中和した。有機相を飽和食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥した。減圧濃縮後、得られた(3R*,4S*)−2,2−ジメチル−7−ニトロ−4−[(2−フェニルエチル)アミノ]− ベンゾピラン−3−
オールをテトラヒドロフラン(50 mL)を用いて希釈した。t−ブトキシカルボニル
無水物(2.96g,27.1mmol)を加え、室温で1日攪拌し、反応液を減圧濃縮した。得られた残渣に酢酸エチルを加え、水及び飽和食塩水で洗浄後、有機相を硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=10:1)により精製し、t−ブチル(2−フェニルエチル)(3R*, 4S*)−3−ヒドロキシ−2,2−ジメチル−7−ニトロ−3,4−ジヒド
ロ−2H−ベンゾピラン−4−イルカルバメート(収率91%)を得た。
MS(ESI+)m/z;443[M++1]
MS(ESI-)m/z;441[M+−1]
【0138】
t−ブチル(2−フェニルエチル)(3R*,4S*)−7−アミノ−3−ヒドロキシ−2,2−ジメチル−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾピラン−4−イルカルバメート
【化42】

t−ブチル(2−フェニルエチル)(3R*,4S*)−3−ヒドロキシ−2,2−ジメチル−7−ニトロ−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾピラン−4−イルカルバメート(4.55g,10.3mmol)のエタノール(91mL)溶液にパラジウム/カーボン(230mg)を加え、常圧で水素を添加し、室温で1日攪拌した。反応液をセライトろ過し、濾液を減圧濃縮した。得られた残渣をカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=5:1)により精製し、t−ブチル(2−フェニルエチル)(3R*,4S*)−7−アミノ−3−ヒドロキシ−2,2−ジメチル−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾピラン−4−イルカルバメート(収率93%)を得た。
MS(ESI+)m/z;413[M++1]
MS(ESI-)m/z;457[M++45]
【0139】
t−ブチル(2−フェニルエチル)(3R*,4S*)−3−ヒドロキシ−2,2−ジメチル−7−[(メタンスルホニル)アミノ]−3,4−ジヒドロ−2H−1−ベンゾピラン−4−イルカルバメート
【化43】

t−ブチル(2−フェニルエチル)(3R*,4S*)−7−アミノ−3−ヒドロキシ−2,2−ジメチル−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾピラン−4−イルカルバメート(321mg,0.779mmol)のテトラヒドロフラン(3.2mL)溶液にトリエチルアミン(239μL,1.71mmol)を加え、0℃でメシルクロリド(60.3μL,0.779mmol)を滴下した。室温で2時間攪拌後、0℃でメシルクロリド(60.3 μL,0.779mmol)をさらに添加した。室温で攪拌後、飽和炭酸水素ナト
リウム水溶液で中和した。反応液に酢酸エチルを加え、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液及び飽和食塩水で洗浄後、有機相を硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=3:1)により精製し、t−ブチル(2−フェニルエチル)(3R*,4S*)−3−ヒドロキシ−2,2−ジメチル−7−[(メタンスルホニル)アミノ]−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾピラン−4−イルカルバメート(収率65%)を得た。
MS(ESI+)m/z;491[M++1]
MS(ESI-)m/z;489[M+−1]
【0140】
N−[(3R*,4S*)−3−ヒドロキシ−2,2−ジメチル−4−[(2−フェニルエ
チル)アミノ]−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾピラン−7−イル]メタンスルホンア
ミド
【化44】

t−ブチル(2−フェニルエチル)[(3R*,4S*)−3−ヒドロキシ−2,2−ジ
メチル−7−[(メタンスルホニル)アミノ]−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾピラン−4−イル]カルバメート (1.2g,2.4mmol)を含む4mol/L塩酸−ジオキサン溶液(24 mL)を室温で1時間攪拌した。反応液に酢酸エチルを加え、1mo
l/L水酸化ナトリウム水溶液及び飽和食塩水で洗浄した。有機相を硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧濃縮し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=1:1)で精製し、N−[(3R*,4S*)−3−ヒドロキシ−2,2−ジ
メチル−4−[(2−フェニルエチル)アミノ]−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾピラン−7−イル]メタンスルホンアミド(収率58%)を得た。
【0141】
N−[(3R*,4S*)−3−ヒドロキシ−2,2−ジメチル−4−[(2−フェニルエ
チル)アミノ]−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾピラン−7−イル]メタンスルホンア
ミドマレイン酸塩
【化45】

N−[(3R*,4S*)−3−ヒドロキシ−2,2−ジメチル−4−[(2−フェニル
エチル)アミノ]−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾピラン−7−イル]メタンスルホン
アミド(66.8mg,0.171mmol)のエタノール溶液にマレイン酸(22mg,0.19mmol)のエタノール溶液を滴下した。減圧濃縮後、生じた固形物を酢酸エチルに懸濁させた。懸濁液を攪拌し及び固形物を濾取した。該固形物を酢酸エチルで洗浄後、乾燥し、N−[(3R*,4S*)−3−ヒドロキシ−2,2−ジメチル−4−[(2
−フェニルエチル)アミノ]−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾピラン−7−イル]メタ
ンスルホンアミドマレイン酸塩(収率85%)を得た。
白色固体:
1H−NMR(DMSO−d6)δ:1.10 (s,3H),1.42(s,3H),2.80−3.50(m,7H),3.90(m,1H),4.31(m,1H),6.04 (s, 2H),6.16(m,1H),6.65(m,1H),6.85(m,1H),7.15−7.40(m,5H),7.50(m,1H),9.93(br,1H)
MS(ESI+)m/z;391[M++1]
MS(ESI-)m/z;389[M+−1]
【0142】
合成例8
N−[(3R*,4S*)−3−ヒドロキシ−2,2−ジメチル−4−[(2−フェニル
エチル)アミノ]−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾピラン−7−イル]エタンスルホン
アミド塩酸塩
t−ブチル(2−フェニルエチル)(3R*,4S*)−7−アミノ−3−ヒドロキシ−2,2−ジメチル−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾピラン−4−イルカルバメート
【化46】

該化合物は、合成例7の合成法に従い合成した。
【0143】
t−ブチル(2−フェニルエチル)(3R*,4S*)−7−[(エチルスルホニル)アミノ]−3−ヒドロキシ−2,2−ジメチル−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾピラン−4−イルカルバメート
【化47】

t−ブチル(2−フェニルエチル)(3R*,4S*)−7−アミノ−3−ヒドロキシ−2,2−ジメチル−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾピラン−4−イルカルバメート(190mg,0.459mmol)のピリジン(2mL)溶液に、0℃でエチルスルホニルクロリド(48μL,0.46mmol)を滴下し、室温で14時間攪拌した。反応液に酢酸エチルを加え、1mol/L塩酸水溶液および飽和食塩水で洗浄後、有機相を硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=3:1)により精製し、t−ブチル(2−フェニルエチル)(3R*,4S*)−7−[(エチルスルホニル)アミノ]−3−ヒドロキシ−2,2−ジメチル−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾピラン−4−イルカルバメートを定量的に得た。
MS(ESI-)m/z;503[M+−1]
【0144】
N−[(3R*,4S*)−3−ヒドロキシ−2,2−ジメチル−4−[(2−フェニル
エチル)アミノ]−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾピラン−7−イル]エタンスルホン
アミド塩酸塩
【化48】

t−ブチル(2−フェニルエチル)(3R*,4S*)−7−[(エチルスルホニル)アミノ]−3−ヒドロキシ−2,2−ジメチル−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾピラン−4−イルカルバメート(239mg,0.473mmol)を4mol/L塩酸−ジオキサン溶液(4mL)に懸濁させ、室温で1.5時間攪拌し、その後固形物を濾取した。該固形物を酢酸エチルで洗浄し、N−[(3R*,4S*)−3−ヒドロキシ−2,2−ジメ
チル−4−[(2−フェニルエチル)アミノ]−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾピラン−7−イル]エタンスルホンアミド塩酸塩(収率66%)を得た。
白色固体:
1H−NMR(DMSO−d6)δ: 1.11 (s,3H),1.91(t,J=7.
4 Hz,3H),2.90−3.40(m,6H),3.13(q,J=7.4 Hz,2H), 3.97(m,1H),4.36(m,1H),6.32(m,1H),6.
68(m,1H),6.86(m,1H),7.20−7.40(m,5H),7.75(m,1H), 10.03(s,1H)
MS(ESI+)m/z;405[M++1]
MS(ESI-)m/z;403[M+−1]
【0145】
合成例9
N−[(3R*,4S*)−3−ヒドロキシ−2,2−ジメチル−4−[(2−フェニルエ
チル)アミノ]−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾピラン−7−イル]−4−メチルベン
ゼンスルホンアミド
t−ブチル(2−フェニルエチル)(3R*,4S*)−3−ヒドロキシ−2,2−ジメチル−7−[(4−メチルフェニル)スルホニルアミノ]−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾピラン−4−イルカルバメート
【化49】

該化合物は、合成例7の合成法に従い合成した。
MS(ESI+)m/z;567[M++1]
MS(ESI-)m/z;565[M+−1]
【0146】
N−[(3R*,4S*)−3−ヒドロキシ−2,2−ジメチル−4−[(2−フェニルエ
チル)アミノ]−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾピラン−7−イル]−4−メチルベン
ゼンスルホンアミド
【化50】

該化合物は、合成例8の合成法に従い合成した。
白色固体:
1H−NMR(CDCl3)δ: 1.10(s,3H),1.42(s,3H),2.37(s,3H),2.65−3.00(m,4H),3.35−3.60(m,2H),6.47(d,J=1.9Hz,1H),6.59(dd,J=1.9Hz,8.3Hz, 1H),6.84(d,J=8.3Hz,1H),7.10−7.35(m,7H)
,7.68(m,2H)
(本NMRデータは、上記得られた塩酸塩の遊離形態を使用することにより得た。)
【0147】
合成例10
1,1,1−トリフルオロ−N−[(3R*,4S*)−3−ヒドロキシ−2,2−ジメチ
ル−4−[(2−フェニルエチル)アミノ]−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾピラン−7−イル]メタンスルホンアミドマレイン酸塩
t−ブチル(2−フェニルエチル)(3R*,4S*)−7−アミノ−3−ヒドロキシ−2,2−ジメチル−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾピラン−4−イルカルバメート
【化51】

該化合物は、合成例7の合成法に従い合成した。
【0148】
t−ブチル(2−フェニルエチル)(3R*,4S*)−3−ヒドロキシ−2,2−ジメチル−7−[(トリフルオロメチル)スルホニルアミノ]−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾピラン−4−イルカルバメート
【化52】

t−ブチル(2−フェニルエチル)(3R*,4S*)−7−アミノ−3−ヒドロキシ−2,2−ジメチル−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾピラン−4−イルカルバメート(1.04g,2.52mmol)のジクロロメタン(20mL)溶液にトリエチルアミン(
879μL,6.30mmol)を加え、−78℃でトリフルオロメタンスルホニルクロリド(424μL,2.52mmol)を滴下した。1時間攪拌後、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液でクエンチし、室温まで昇温攪拌した。反応液に酢酸エチルを加え、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液および飽和食塩水で洗浄し、有機相を硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=2:1)により精製し、t−ブチル(2−フェニルエチル)(3R*,4S*)−3−ヒドロキシ−2,2−ジメチル−7−[(トリフルオロメチル)スルホニルアミノ]−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾピラン−4−イルカルバメート(収率33%)を得た。
MS(ESI-)m/z;543[M+−1]
【0149】
1,1,1−トリフルオロ−N−[(3R*,4S*)−3−ヒドロキシ−2,2−ジメチ
ル−4−[(2−フェニルエチル)アミノ]−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾピラン−7−イル]メタンスルホンアミド
【化53】

t−ブチル(2−フェニルエチル)(3R*,4S*)−3−ヒドロキシ−2,2−ジメチル−7−[(トリフルオロメチル)スルホニルアミノ]−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾピラン−4−イルカルバメート(459mg,0.844mmol)の4mol/L塩酸−ジオキサン(9mL)溶液を室温で攪拌した。反応液に酢酸エチルを加え、1mol/L水酸化ナトリウム水溶液および飽和食塩水で洗浄した。有機相を硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧濃縮し、無色シロップとして1,1,1−トリフルオロ−N−[(3R*,4S*)−3−ヒドロキシ−2,2−ジメチル−4−[(2−フェニルエチル)アミノ]−
3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾピラン−7−イル]メタンスルホンアミド(収率91%
)を得た。
【0150】
1,1,1−トリフルオロ−N−[(3R*,4S*)−3−ヒドロキシ−2,2−ジメチ
ル−4−[(2−フェニルエチル)アミノ]−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾピラン−7−イル]メタンスルホンアミドマレイン酸塩
【化54】

1,1,1−トリフルオロ−N−[(3R*, 4S*)−3−ヒドロキシ−2,2−ジメチル−4−[(2−フェニルエチル)アミノ]−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾピラン−7−イル]メタンスルホンアミド(343mg,0.773mmol)のエタノール(
6mL)溶液に、室温でマレイン酸(100mg,0.862mmol)のエタノール(1mL)溶液を滴下し、そして反応液を減圧濃縮した。得られた固形物を酢酸エチルに懸濁させ、室温で攪拌後、濾取し、1,1,1−トリフルオロ−N−[(3R*,4S*)−
3−ヒドロキシ−2,2−ジメチル−4−[(2−フェニルエチル)アミノ]−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾピラン−7−イル]メタンスルホンアミドマレイン酸塩(収率6
5%)を得た。
白色固体:
1H−NMR(DMSO−d6)δ: 1.08(s,3H),1.40(s,3H),2.85−3.40(m,4H),3.89(dd,J=4.0Hz,6.0Hz,1H),4.30(d,J=6.0Hz,1H),6.11(d,J=4.0Hz,1H),6.16(s,2H),6.55(m,1H),6.70(m,1H),7.15−7.40(m,6H)
MS(ESI+)m/z;445[M++1]
MS(ESI-)m/z;443[M+−1]
【0151】
合成例11
N−[(3R*,4S*)−3−ヒドロキシ−2,2−ジメチル−6−[(メチルスルホニ
ル)アミノ]−4−[(2−フェニルエチル)アミノ]−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾピラン−7−イル]メタンスルホンアミド
(3R*,4S*)−6,7−ジアミノ−2,2−ジメチル−4−[(2−フェニルエチル)アミノ]−ベンゾピラン−3−オール
【化55】

1気圧の水素気流下、(3R*,4S*)−6−アミノ−2,2−ジメチル−7−ニトロ−4−[(2−フェニルエチル)アミノ]− ベンゾピラン−3−オール(10.0g,
28.0mmol)および5%パラジウムカーボン(AERtype,1g)を含むエタノール溶液(200mL)を室温で6時間攪拌した。反応液をセライトろ過し、得られた濾液を減圧濃縮し、(3R*,4S*)−6,7−ジアミノ−2,2−ジメチル−4−[(2−フェニルエチル)アミノ]− ベンゾピラン−3−オール(収率98%)を得た。
【0152】
N−[(3R*,4S*)−3−ヒドロキシ−2,2−ジメチル−6−[(メチルスルホニ
ル)アミノ]−4−[(2−フェニルエチル)アミノ]−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾピラン−7−イル]メタンスルホンアミド
【化56】

t−ブチル(2−フェニルエチル)(3R*,4S*)−7−アミノ−3−ヒドロキシ−2,2−ジメチル−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾピラン−4−イルカルバメート (
186mg,0.569mmol)のピリジン(2mL)溶液に、0℃でメシルクロリド(88.2μL,1.14mmmol)を滴下し、室温で14時間攪拌した。反応液に酢
酸エチルを加え、1mol/L塩酸水溶液で洗浄した。水相を酢酸エチルで抽出し、有機相を合わせ、飽和食塩水で洗浄後、硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧濃縮した。得られた残渣を逆相カラムクロマトグラフィー(アセトニトリル:水=1:1)で精製し、N−[
(3R*,4S*)−3−ヒドロキシ−2,2−ジメチル−6−[(メチルスルホニル)アミノ]−4−[(2−フェニルエチル)アミノ]−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾピラン−7−イル]メタンスルホンアミド(収率15%)を得た。
1H−NMR(DMSO−d6)δ: 1.14(s,3H),1.42(s,3H),2.90−3.30(m,10H),3.96(dd,J=6.0Hz,9.0Hz,1H),4.38(d,J=9.0Hz,1H),6.34(d,J=6.0Hz,1H),6.93(s,1H),7.20−7.35(m,5H),7.84(s,1H),9.07(m,2H)
MS(ESI-)m/z;482[M+−1]
【0153】
合成例12
N−[(3R*,4S*)−3−ヒドロキシ−2,2−ジメチル−4−[(2−フェニルエ
チル)アミノ]−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾピラン−7−イル]−N−メチルメタ
ンスルホンアミド塩酸塩
t−ブチル(2−フェニルエチル)(3R*,4S*)−3−ヒドロキシ−2,2−ジメチル−7−[(メタンスルホニル)アミノ]−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾピラン−4−イルカルバメート
【化57】

該化合物は、合成例7の合成法に従い合成した。
【0154】
t−ブチル(2−フェニルエチル)(3R*,4S*)−3−ヒドロキシ−2,2−ジメチル−7−[N−メチル−N−(メチルスルホニル)アミノ]−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾピラン−4−イルカルバメート
【化58】

t−ブチル(2−フェニルエチル)(3R*,4S*)−3−ヒドロキシ−2,2−ジメチル−7−(メタンスルホニル)アミノ−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾピラン−4−イルカルバメート(500mg,1.02mmol)のアセトン(5.4mL)溶液に炭酸カリウム(過剰量)を懸濁させ、室温でヨウ化メチル(152μL,2.04mmol)を滴下し、室温で数日間攪拌した。反応液に酢酸エチルを加え、水及び飽和食塩水で洗浄し、有機相を硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=3:1)により精製し、t−ブチル(
2−フェニルエチル)(3R*,4S*)−3−ヒドロキシ−2,2−ジメチル−7−[N−メチル−N−(メチルスルホニル)アミノ]−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾピラン−4−イルカルバメート(収率81%)を得た。
MS(ESI+)m/z;505[M++1]
【0155】
N−[(3R*,4S*)−3−ヒドロキシ−2,2−ジメチル−4−[(2−フェニルエ
チル)アミノ]−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾピラン−7−イル]−N−メチルメタ
ンスルホンアミド塩酸塩
【化59】

t−ブチル(2−フェニルエチル)(3R*,4S*)−3−ヒドロキシ−2,2−ジメチル−7−[N−メチル−N−(メチルスルホニル)アミノ]−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾピラン−4−イルカルバメート(418mg,0.828mmol)を含む4mol/L塩酸−ジオキサン溶液を室温で1.5時間攪拌した。固形物を濾取し、酢酸エチルで洗浄し、N−[(3R*,4S*)−3−ヒドロキシ−2,2−ジメチル−4−[(2
−フェニルエチル)アミノ]−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾピラン−7−イル]−N
−メチルメタンスルホンアミド塩酸塩(収率75%)を得た。
白色固体:
1H−NMR(DMSO−d6)δ: 1.12(s,3H),1.43(s,3H),2.92−3.19(m,4H),2.94(s,3H),3.21(s,3H),4.00(m,1H),4.41(m,1H),6.30(m,1H),6.92(m,1H),7.07(m,1H),7.2−7.4(m,5H),7.75(m,1H)
MS(ESI+)m/z;405[M++1]
【0156】
合成例13
N−[(3R*,4S*)−6−ブロモ−3−ヒドロキシ−2,2−ジメチル−4−[(2
−フェニルエチル)アミノ]−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾピラン−7−イル]メタ
ンスルホンアミド
(3R*,4S*)−6−ブロモ−2,2−ジメチル−7−ニトロ−4−[(2−フェニルエチル)アミノ]−ベンゾピラン−3−オールマレイン酸塩
【化60】

(3R*,4S*)−6−アミノ−2,2−ジメチル−7−ニトロ−4−[(2−フェニルエチル)アミノ]−ベンゾピラン−3−オールの酢酸−臭化水素酸(1:1,60mL)溶液に、−20℃で亜硝酸ナトリウム水溶液(965mg,14.0mmol/水7mL)を45分間で滴下し、そのままの温度で5分間攪拌した。反応溶液を−20℃に冷却
した臭化銅I(3.01g,21.0mmol)の臭化水素酸(30mL)溶液に添加し、そのままの温度で2時間攪拌後、室温に昇温し、発泡が見られなくなるまでさらに攪拌した。反応液に酢酸エチルを加え、水、アンモニア水および飽和食塩水で洗浄し、有機相を硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=3:1)により精製し、(3R*,4S*)−6−ブロモ−2,2−ジメチル−7−ニトロ−4−[(2−フェニルエチル)アミノ]− ベン
ゾピラン−3−オール(収率85%)を得た。
【0157】
(3R*,4S*)−6−ブロモ−2,2−ジメチル−7−ニトロ−4−[(2−フェニルエチル)アミノ]− ベンゾピラン−3−オールマレイン酸塩
【化61】

(3R*,4S*)−6−ブロモ−2,2−ジメチル−7−ニトロ−4−[(2−フェニルエチル)アミノ]− ベンゾピラン−3−オール(5.0g,12mmol)のエタノ
ール(50mL)溶液に室温でマレイン酸(1.5g,13mmol)のエタノール溶液を滴下した。固形物を濾取し、エタノールで洗浄後、乾燥し、(3R*,4S*)−6−ブロモ−2,2−ジメチル−7−ニトロ−4−[(2−フェニルエチル)アミノ]− ベン
ゾピラン−3−オールマレイン酸塩(収率73%)を得た。
MS(ESI+)m/z;421[M++1]
【0158】
(3R*,4S*)−7−アミノ−6−ブロモ−2,2−ジメチル−4−[(2−フェニ
ルエチル)アミノ]− ベンゾピラン−3−オール
【化62】

(3R*,4S*)−6−ブロモ−2,2−ジメチル−7−ニトロ−4−[(2−フェニルエチル)アミノ]− ベンゾピラン−3−オールマレイン酸塩を酢酸エチルに懸濁させ
、1mol/L水酸化ナトリウム水溶液で中和後、1mol/L水酸化ナトリウム水溶液および飽和食塩水で洗浄した。得られた有機相を硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧濃縮した。得られた(3R*,4S*)−6−ブロモ−2,2−ジメチル−7−ニトロ−4−[(2−フェニルエチル)アミノ]− ベンゾピラン−3−オール(2.46g,5.84m
mol)のエタノール(25mL)溶液に、水(5mL)および鉄紛(1.08 g,1
9.3mmol)を添加し、室温で濃塩酸(246μL)を滴下した。70℃で3時間攪拌後、室温まで放冷した。反応液に酢酸エチルを加え、1mol/L水酸化ナトリウムおよび飽和食塩水で洗浄した(途中、セライトろ過によりエマルジョンを除去)。有機相を硫酸マグネシウムで乾燥し、そしてその後減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=5:1ないし4:1)により精製し、(
3R*,4S*)−7−アミノ−6−ブロモ−2,2−ジメチル−4−[(2−フェニルエチル)アミノ]− ベンゾピラン−3−オール(収率65%)を得た。
MS(ESI+)m/z;391[M++1]
【0159】
N−[(3R*,4S*)−6−ブロモ−3−ヒドロキシ−2,2−ジメチル−4−[(2
−フェニルエチル)アミノ]−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾピラン−7−イル]メタ
ンスルホンアミド
【化63】

(3R*,4S*)−7−アミノ−6−ブロモ−2,2−ジメチル−4−[(2−フェニルエチル)アミノ]−ベンゾピラン−3−オール(1.48g,3.78mmol)のピリジン(15mL)溶液に、0℃でメシルクロリド(29μL,3.78mmol)を滴下し、室温で数分間攪拌後、1mol/L塩酸水溶液でクエンチした。反応液に酢酸エチルを加え、1mol/L塩酸水溶液及び飽和食塩水で洗浄し、有機相を硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=1:1)により精製し、N−[(3R*,4S*)−6−ブロモ−3−ヒ
ドロキシ−2,2−ジメチル−4−[(2−フェニルエチル)アミノ]−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾピラン−7−イル]メタンスルホンアミド(収率7%)を白色結晶(粗
結晶)として得た。得られたN−[(3R*,4S*)−6−ブロモ−3−ヒドロキシ−2
,2−ジメチル−4−[(2−フェニルエチル)アミノ]−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾピラン−7−イル]メタンスルホンアミドの粗結晶を酢酸エチルで再結晶し、白色結
晶としてN−[(3R*,4S*)−6−ブロモ−3−ヒドロキシ−2,2−ジメチル−4
−[(2−フェニルエチル)アミノ]−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾピラン−7−イル]メタンスルホンアミド(粗結晶からの収率89%)を得た。
白色結晶:
1H−NMR(CDCl3)δ: 1.24(s,3H),1.46(s,3H),2.65−3.00(m,4H),3.13(s,3H),3.91(d,J=8.4Hz,1H),4.04(br,2H),4.75(d,J=8.4Hz,1H),6.21(s,1H),7.06(s,1H),7.15−7.40(m,5H)
MS(ESI+)m/z;469[M++1]
【0160】
合成例14
(3R*,4S*)−2,2−ジメチル−7−ジメチルアミノ−4−[(2−フェニルエチル)アミノ]−3−クロマノール塩酸塩
【化64】

t−ブチル(2−フェニルエチル)(3R*,4S*)−3−ヒドロキシ−2,2−ジメチル−7−ジメチルアミノ−3,4−ジヒドロ−2H−クロメン−4−イルカルバメート(79.5mg,0.175mmol)を4mol/L塩酸−ジオキサン(1.6mL)に溶解させ、室温にて攪拌した。生じた固形物を濾取し、酢酸エチルにて洗浄後、乾燥し、(3R*,4S*)−2,2−ジメチル−7−ジメチルアミノ−4−[(2−フェニルエチル)アミノ]−3−クロマノール塩酸塩を定量的に得た。
白色固体:
塩酸塩を抽出し、その遊離形態をスペクトル測定に使用した。
1H−NMR(CDCl3)δ:1.17(s,3H),1.47(s,3H),2.7
9−3.00(m,10H),3.47(d,J=9.9Hz,1H),3.59(d,J=9.9Hz,1H),6.13(d,J=2.7Hz,1H),6.29(dd,J=2.7Hz,8.4Hz,1H),6.87(d,J=8.4Hz,1H),7.20−7.31(m,5H)
MS(ESI+)m/z;341[M+1]+
【0161】
t−ブチル(2−フェニルエチル)(3R*,4S*)−3−ヒドロキシ−2,2−ジメチル−7−ジメチルアミノ−3,4−ジヒドロ−2H−クロメン−4−イルカルバメート(化合物A)
t−ブチル(2−フェニルエチル)(3R*,4S*)−3−ヒドロキシ−2,2−ジメチル−7−メチルアミノ−3,4−ジヒドロ−2H−クロメン−4−イルカルバメート(化合物B)
【化65】

t−ブチル(2−フェニルエチル)(3R*,4S*)−7−アミノ−3−ヒドロキシ−2,2−ジメチル−3,4−ジヒドロ−2H−クロメン−4−イルカルバメート(240mg,0.581mmol)のN,N−ジメチルホルムアミド(2.4mL)溶液に炭酸カリウム(402mg,2.91mmol)を懸濁させ、ヨウ化メチル(109μL,1.74mmol)を滴下した。室温にて攪拌後、反応液を酢酸エチルに希釈し、水および飽和食塩水にて洗浄した。有機相を硫酸マグネシウムにて乾燥後、減圧濃縮し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=3:1)にて精製し、化合物A(収率31%)および化合物B(収率15%)を得た。
化合物A:MS(ESI+)m/z;441[M+1]+
化合物B:MS(ESI+)m/z;427[M+1]+
【0162】
合成例15
(3R*,4S*)−2,2−ジメチル−7−メチルアミノ−4−[(2−フェニルエチル)アミノ]−3−クロマノール塩酸塩
【化66】

t−ブチル(2−フェニルエチル)(3R*,4S*)−3−ヒドロキシ−2,2−ジメチル−7−メチルアミノ−3,4−ジヒドロ−2H−クロメン−4−イルカルバメート(41.5mg,0.0973mmol)を4mol/L塩酸−ジオキサン(1.5mL)に溶解させ、メタノールを数滴加え、室温にて攪拌した。生じた固形物を濾取し、酢酸エチルにて洗浄後、乾燥し、(3R*,4S*)−2,2−ジメチル−7−メチルアミノ−4−[(2−フェニルエチル)アミノ]−3−クロマノール塩酸塩を定量的に得た。
白色固体:
塩酸塩を抽出し、そしてその遊離形態をスペクトル測定に使用した。
1H−NMR(CDCl3)δ:1.17(s,3H),1.46(s,3H),2.7
7−3.01(m,7H),3.46(d,J=9.8Hz,1H),3.55(d,J=9.8Hz,1H),6.03(d,J=2.1Hz,1H),6.16(dd,J=2.1Hz,8.1Hz,1H),6.79(d,J=8.1Hz,1H),7.20−7.33(m,5H)
MS(ESI+)m/z;327[M+1]+
【0163】
t−ブチル(2−フェニルエチル)(3R*,4S*)−3−ヒドロキシ−2,2−ジメチル−7−メチルアミノ−3,4−ジヒドロ−2H−クロメン−4−イルカルバメート
【化67】

t−ブチル(2−フェニルエチル)(3R*,4S*)−7−アミノ−3−ヒドロキシ−2,2−ジメチル−3,4−ジヒドロ−2H−クロメン−4−イルカルバメート(215mg,0.521mmol)のN,N−ジメチルホルムアミド(2mL)溶液に炭酸カリウム(360mg,2.61mmol)を懸濁させ、ヨウ化メチル(32μL,0.52mmol)を滴下した。室温にて攪拌後、反応液を酢酸エチルに希釈し、水および飽和食塩水にて洗浄した。有機相を硫酸マグネシウムにて乾燥後、減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=3:1)にて精製し、t−ブチル(2−フェニルエチル)(3R*,4S*)−3−ヒドロキシ−2,2−ジメチル−7−メチルアミノ−3,4−ジヒドロ−2H−クロメン−4−イルカルバメート(収率19%)を得た。
【0164】
合成例16
(3R*,4S*)−4−[[2−(4−フルオロフェニル)エチル]アミノ]−2,2
−ジメチル−7−ジメチルアミノ−3−クロマノール塩酸塩
【化68】

t−ブチル(3R*,4S*)−3−ヒドロキシ−2,2−ジメチル−7−ジメチルアミノ−3,4−ジヒドロ−2H−クロメン−4−イル[2−(4−フルオロフェニル)エチル]カルバメート(72.2mg,0.157mmol)を4mol/L塩酸−ジオキサン(2mL)に溶解させ、50℃にて攪拌した。生じた固形物を濾取し、酢酸エチルにて洗浄後、乾燥し、(3R*,4S*)−4−[[2−(4−フルオロフェニル)エチル]ア
ミノ]−2,2−ジメチル−7−ジメチルアミノ−3−クロマノール塩酸塩(収率97%
)を得た。
白色固体:
塩酸塩を抽出し、そしてその遊離形態をスペクトル測定に使用した。
1H−NMR(CDCl3)δ:1.19(s,3H),1.48(s,3H),2.73−2.97(m,10H),3.47(d,J=9.9Hz,1H),3.58(d,J=9.9Hz,1H),6.14(d,J=2.4Hz,1H),6.30(dd,J=2.4Hz,8.7Hz,1H),6.87(d,J=8.7Hz,1H),6.97−7.03(m,2H),7.15−7.20(m,2H)
MS(ESI+)m/z;359[M+1]+
【0165】
t−ブチル(3R*,4S*)−3−ヒドロキシ−2,2−ジメチル−7−ジメチルアミノ−3,4−ジヒドロ−2H−クロメン−4−イル[2−(4−フルオロフェニル)エチル]カルバメート
【化69】

t−ブチル(3R*,4S*)−7−アミノ−3−ヒドロキシ−2,2−ジメチル−3,4−ジヒドロ−2H−クロメン−4−イル[2−(4−フルオロフェニル)エチル]カルバメート(177mg,0.412mmol)のN,N−ジメチルホルムアミド(2mL)溶液に炭酸カリウム(285mg,2.06mmol)を懸濁させ、ヨウ化メチル(64μL,1.0mmol)を滴下した。40℃にて攪拌後、反応液を酢酸エチルに希釈し、水および飽和食塩水にて洗浄した。有機相を硫酸マグネシウムにて乾燥後、減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=5:1)にて精製し、t−ブチル(3R*,4S*)−3−ヒドロキシ−2,2−ジメチル−7−ジメチルアミノ−3,4−ジヒドロ−2H−クロメン−4−イル[2−(4−フルオロフェニル)エチル]カルバメート(収率38%)を得た。
無色無定形晶
【0166】
t−ブチル(3R*,4S*)−7−アミノ−3−ヒドロキシ−2,2−ジメチル−3,4−ジヒドロ−2H−クロメン−4−イル[2−(4−フルオロフェニル)エチル]カルバメート
【化70】

t−ブチル(3R*,4S*)−7−アミノ−3−ヒドロキシ−2,2−ジメチル−3,4−ジヒドロ−2H−クロメン−4−イル[2−(4−フルオロフェニル)エチル]カルバメート(3.35g,7.28mmol)のメタノール(30mL)溶液にパラジウム/カーボン(480mg)を懸濁させ、常圧にて水素を添加し、室温にて12時間攪拌した。反応液をセライトろ過し、濾液を減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=4:1)にて精製し、t−ブチル(3R*
4S*)−7−アミノ−3−ヒドロキシ−2,2−ジメチル−3,4−ジヒドロ−2H−
クロメン−4−イル[2−(4−フルオロフェニル)エチル]カルバメート(収率57%)を得た。
無色無定形晶
【0167】
t−ブチル(3R*,4S*)−7−アミノ−3−ヒドロキシ−2,2−ジメチル−3,4−ジヒドロ−2H−クロメン−4−イル[2−(4−フルオロフェニル)エチル]カルバメート
【化71】

(3R*,4S*)−4−[[2−(4−フルオロフェニル)エチル]アミノ]−2,2−ジメチル−7−ニトロ−3−クロマノール(3.25 g,9.02mmol)のテトラ
ヒドロフラン(30mL)溶液にt−ブトキシカルボニル無水物(2.96g,27.1mmol)およびトリエチルアミン(2.5mL,18mmol)を加え、室温にて攪拌し、反応液を減圧濃縮した。得られた残渣を酢酸エチルにより希釈し、飽和塩化アンモニウム水溶液および飽和食塩水にて洗浄した。その後、有機相を硫酸マグネシウムにて乾燥し、減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=4:1)にて精製し、t−ブチル(3R*,4S*)−7−アミノ−3−ヒドロキシ−2,2−ジメチル−3,4−ジヒドロ−2H−クロメン−4−イル[2−(4−フルオロフェニル)エチル]カルバメート(収率81%)を得た。
無定形晶
【0168】
(3R*,4S*)−4−[[2−(4−フルオロフェニル)エチル]アミノ]−2,2−ジメチル−7−ニトロ−3−クロマノール
【化72】

(3S*,4S*)−3,4−エポキシ−2,2−ジメチル−7−ニトロ−3−クロマノール(2.07g,9.37mmol)のジオキサン(4mL)溶液に過塩素酸リチウム(997mg,9.37mmol)および4−フルオロフェネチルアミン(1.47mL, 11.3 mmol)を加え、窒素雰囲気下、70℃にて3.5時間攪拌した。反応液を酢酸エチルにより希釈し、飽和重曹水および飽和食塩水にて洗浄した。その後、有機相を硫酸マグネシウムにて乾燥し、減圧濃縮した。得られた残渣をエタノールに希釈し、マレイン酸(1.20g,10.3mmol)のエタノール溶液を滴下した。生じた固形物を濾取し、そして酢酸エチルで洗浄した。得られた固形物を酢酸エチルに懸濁し、1mol/L水酸化ナトリウム水溶液にて中和し、そして飽和食塩水にて洗浄した。有機相を硫酸マグネシウムにて乾燥後、減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=4:1)にて精製し、(3R*,4S*)−4−[[2
−(4−フルオロフェニル)エチル]アミノ]−2,2−ジメチル−7−ニトロ−3−ク
ロマノール(収率81%)を得た。
無定形晶
MS(ESI+)m/z;361[M+1]+
【0169】
(3R*,4R*)−3,4−エポキシ−2,2−ジメチル−7−ニトロ−3−クロマノール
【化73】

2,2−ジメチル−7−ニトロ−ベンゾピラン(11.1g,53.9mmol)の酢酸エチル(165mL)溶液にCyc,Phサレンマンガン錯体(XX)(405mg,0.431mmol)およびN−メチルイミダゾール(858μL,10.8mmol)を加え、そして20℃にて次亜塩素酸ナトリウム水溶液(101g,162mmol)を15分で滴下した。室温にて3時間攪拌後、水冷下にて飽和チオ硫酸ナトリウム水溶液を滴下した。得られた反応液をセライトろ過し、有機相を飽和チオ硫酸ナトリウム水溶液および飽和食塩水にて洗浄し、そしてその後、硫酸マグネシウムにて乾燥し、そして減圧濃縮した。得られた固形物をエタノールにて再結晶し、(3S*,4S*)−3,4−エポキシ−2,2−ジメチル−7−ニトロ−3−クロマノール(収率66%)を得た。
黄白色針状結晶
1H−NMR(CDCl3)δ:1.29(s,3H),1.62(s,3H),3.5
7(d,J=3.5Hz,1H),3.97(d,J=3.5Hz,1H),7.50(d,J=6.3Hz,1H),7.67(d,J=1.8Hz,1H),7.80(dd,J=1.8Hz,6.3Hz,1H)
100%ee(CHIRALCEL OJ,ヘキサン/イソプロパノール=6:4,1mL/min,40℃,254nm)
【0170】
2,2−ジメチル−7−ニトロ−ベンゾピラン
【化74】

6−アミノ−2,2−ジメチル−7−ニトロ−ベンゾピラン(19.5g,88.7mmol)のメタノール−濃塩酸(1:1v/v,280mL)および次亜リン酸水溶液(100mL)の混合溶液に−3℃にて亜硝酸ナトリウム(12.2g,178mmol)水溶液(44mL)を30分で滴下し、室温にて発泡が無くなるまで攪拌した。反応液を酢酸エチルにより希釈し、水および飽和食塩水にて洗浄した。有機相を硫酸マグネシウムにて乾燥し、減圧濃縮した。得られた固形物をメタノールにて再結晶して2,2−ジメチル−7−ニトロ−ベンゾピラン(収率61%)を得た。
燈色結晶
1H−NMR(CDCl3)δ:1.47(s,6H),5.83(d,J=7.5Hz
,1H),6.38(d,J=7.5Hz,1H),7.08(d,J=6.3Hz,1H), 7.61(d,J=1.5Hz,1H),7.71(dd,J=1.5Hz,6
.3Hz,1H)
【0171】
合成例17
(3R*,4S*)−6−メトキシ−2,2−ジメチル−7−ジメチルアミノ−4−[(
2−フェニルエチル)アミノ]−3−クロマノール
【化75】

t−ブチル(2−フェニルエチル)(3R*,4S*)−3−ヒドロキシ−6−メトキシ−2,2−ジメチル−7−ジメチルアミノ−3,4−ジヒドロ−2H−クロメン−4−イルカルバメート(133mg,0.283mmol)を4mol/L塩酸−ジオキサン(2mL)に溶解させ、メタノールを数滴加え、室温にて攪拌した。反応液を酢酸エチルにより希釈し、1mol/L水酸化ナトリウム水溶液および飽和食塩水にて洗浄し、その後有機相を硫酸マグネシウムにて乾燥し、そして減圧濃縮して(3R*,4S*)−6−メトキシ−2,2−ジメチル−7−ジメチルアミノ−4−[(2−フェニルエチル)アミノ]−3−クロマノール(収率79%)を得た。
透明油状
1H−NMR(CDCl3)δ:1.17(s,3H),1.46(s,3H),2.7
3(s,6H),2.79−2.99(m,4H),3.54(d,J=9.8Hz,1H),3.61(d,J=9.8Hz,1H),3.70(s,3H),6.37(s,1H),6.49(s,1H),7.19−7.32(m,5H)
MS(ESI+)m/z;371[M+1]+
【0172】
t−ブチル(2−フェニルエチル)(3R*,4S*)−3−ヒドロキシ−6−メトキシ−2,2−ジメチル−7−ジメチルアミノ−3,4−ジヒドロ−2H−クロメン−4−イル
カルバメート(化合物C)
t−ブチル(2−フェニルエチル)(3R*,4S*)−3−ヒドロキシ−6−メトキシ−2,2−ジメチル−7−メチルアミノ−3,4−ジヒドロ−2H−クロメン−4−イルカルバメート(化合物D)
【化76】

t−ブチル(2−フェニルエチル)(3R*,4S*)−7−アミノ−3−ヒドロキシ−6−メトキシ−2,2−ジメチル−3,4−ジヒドロ−2H−クロメン−4−イルカルバメート(1.05g,2.37mmol)のN,N−ジメチルホルムアミド(10mL)溶液に炭酸カリウム(1.64mg,11.8mmol)を懸濁させ、ヨウ化メチル(368μL,5.92mmol)を滴下した。得られた混合物を室温にて1時間攪拌後、反応液を酢酸エチルにより希釈し、水および飽和食塩水にて洗浄した。有機相を硫酸マグネシウムにて乾燥後、減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=4:1)にて精製し、化合物C(収率12%)、及び化合物D(収率10%)を得た。
化合物C:無色無定形晶
化合物D:無色無定形晶
【0173】
合成例18
(3R*,4S*)−6−メトキシ−2,2−ジメチル−7−メチルアミノ−4−[(2−フェニルエチル)アミノ]−3−クロマノール塩酸塩
【化77】

t−ブチル(2−フェニルエチル)(3R*,4S*)−3−ヒドロキシ−6−メトキシ−2,2−ジメチル−7−メチルアミノ−3,4−ジヒドロ−2H−クロメン−4−イルカルバメート(108mg,0.237mmol)を4mol/L塩酸−ジオキサン(2mL)に溶解させ、室温にて攪拌した。生じた固形物を濾取し、酢酸エチルにて洗浄後、乾燥し、(3R*,4S*)−6−メトキシ−2,2−ジメチル−7−メチルアミノ−4−[(2−フェニルエチル)アミノ]−3−クロマノール塩酸塩を定量的に得た。
白色固体:
1H−NMR(DMSO−d6)δ:1.07(s,3H),1.38(s,3H),2.69(s,3H),3.01−3.08(m,2H),3.16−3.23(m,2H
), 3.80(s,3H),3.92(d,J=8.8 Hz,1H),4.82(d,J=8.8 Hz,1H),6.20(br,1H),7.22−7.34(m,5H)
,7.53(br,1H)
【0174】
合成例19
(3R*,4S*)−2,2−ジメチル−7−メチルエチルアミノ−4−[(2−フェニルエチル)アミノ]−3−クロマノール塩酸塩
【化78】

t−ブチル(2−フェニルエチル)(3R*,4S*)−3−ヒドロキシ−2,2−ジメチル−7−メチルエチルアミノ−3,4−ジヒドロ−2H−クロメン−4−イルカルバメート(69mg,0.15mmol)を4mol/L塩酸−ジオキサン(1mL)に溶解させ、室温にて攪拌した。生じた固形物を濾取し、酢酸エチルにて洗浄後、乾燥し、(3R*,4S*)−2,2−ジメチル−7−メチルエチルアミノ−4−[(2−フェニルエチル)アミノ]−3−クロマノール塩酸塩を定量的に得た。
白色固体:
塩酸塩を抽出し、そしてその遊離形態をスペクトル測定に使用した。
1H−NMR(CDCl3)δ:1.11−1.13(m,9H),1.41(s,3H),2.75−2.91(m,4H),3.38−3.52(m,3H),5.95(d,J=2.2Hz,1H),6.06(d,J=2.2Hz,8.3Hz,1H),6.72(d,J=8.3Hz,1H),7.15−7.26(m,5H)
MS(ESI+)m/z;355[M+1]+
【0175】
t−ブチル(2−フェニルエチル)(3R*,4S*)−3−ヒドロキシ−2,2−ジメチル−7−メチルエチルアミノ−3,4−ジヒドロ−2H−クロメン−4−イルカルバメート
【化79】

t−ブチル(2−フェニルエチル)(3R*,4S*) −7−アミノ−3−ヒドロキシ
−2,2−ジメチル−3,4−ジヒドロ−2H−クロメン−4−イルカルバメート(176mg,0.427mmol)のN,N−ジメチルホルムアミド(2mL)溶液に炭酸カリウム(295mg,2.13mmol)を懸濁させ、ヨウ化イソプロピル(56μL,0.56mmol)を滴下した。室温にて攪拌後、反応液を酢酸エチルにより希釈し、そして水および飽和食塩水にて洗浄した。有機相を硫酸マグネシウムにて乾燥し、減圧濃縮し、そして得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=5:1)にて精製し、t−ブチル(2−フェニルエチル)(3R*,4S*)−3−ヒド
ロキシ−2,2−ジメチル−7−メチルエチルアミノ−3,4−ジヒドロ−2H−クロメン−4−イルカルバメート(収率36%)を得た。
MS(ESI+)m/z;455[M+1]+
【0176】
合成例20
N−[(3R*,4S*)−3−ヒドロキシ−2,2−ジメチル−4−[(2−フェニルエ
チル)アミノ]−3,4−ジヒドロ−2H−クロメン−7−イル]−N−イソプロピルメ
タンスルホンアミド塩酸塩
【化80】

t−ブチル(2−フェニルエチル)(3R*,4S*)−3−ヒドロキシ−2,2−ジメチル−7−[(メタンスルホニル)アミノ]−3,4−ジヒドロ−2H−クロメン−4−イルカルバメート(512mg,1.04mmol)のN,N−ジメチルホルムアミド(5mL)溶液に炭酸カリウム(過剰量)を懸濁させ、室温にてヨウ化イソプロピル(208μL,2.09mmol)を加えて、室温にて攪拌した。反応液を酢酸エチルおよび水により希釈し、その後水及び飽和食塩水にて洗浄し、その後有機相を硫酸マグネシウムにて乾燥後、減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=3:1)にて精製し、無定形晶(収率94%)を得た。
得られた無定形晶(523mg,0.982mmol)を4N塩酸−ジオキサン溶液に溶解させ、室温にて攪拌した。反応液を減圧濃縮し、そして得られた固形物を濾取した。固形物を酢酸エチルで洗浄し、N−[(3R*,4S*)−3−ヒドロキシ−2,2−ジメ
チル−4−[(2−フェニルエチル)アミノ]−3,4−ジヒドロ−2H−クロメン−7−イル]−N−イソプロピルメタンスルホンアミド塩酸塩(収率31%)を得た。
白色固体:
1H−NMR(CDCl3):1.14(s,3H),1.17(s,3H),1.19
(s,3H),1.48(s,3H),2.75−3.10(m,7H),3.49(d,J=9.9Hz,1H),3.64(d,J=9.9Hz,1H),6.67(d,J=1.8Hz,1H),6.76(dd,J=1.8Hz,8.3Hz,1H),7.05(d,J=8.3Hz,1H),7.1−7.4(m,5H)(遊離形態としてのデータ)
MS(EI+)m/z;433[M+1]+
【0177】
[製剤例]
製剤例1
錠剤
本発明に従う化合物 10g
乳 糖 260g
微結晶セルロース 600g
コーンスターチ 350g
ヒドロキシプロピルセルロース 100g
CMC−Ca 150g
ステアリン酸マグネシウム 30g
全 量 1,500g
上記成分を慣用の方法により混合し、そしてその後1錠当り1mgの有効成分を各々含有する糖衣錠10,000錠を製造した。
【0178】
製剤例2
カプセル剤:
本発明に従う化合物 10g
乳 糖 440g
微結晶セルロース 1,000g
ステアリン酸マグネシウム 50g
全 量 1,500g
上記成分を慣用の方法により混合し、そしてその後ゼラチンカプセルに充填し、1カプセル当り1mgの有効成分を含有するカプセル剤10,000カプセルを製造した。
【0179】
製剤例3
軟カプセル剤:
本発明に従う化合物 10g
PEG400 479g
飽和脂肪酸トリグリセライド 1,500g
ハッカ油 1g
ポリソルベート80 10g
全 量 2,000g
慣用の方法により上記成分を混合し、そしてその後、3号軟ゼラチンカプセルに充填し、1カプセル当り1mgの有効成分を含有する軟カプセル剤10,000カプセルを製造した。
【0180】
製剤例4
軟膏:
本発明に従う化合物 1.0g
流動パラフィン 10.0g
セタノール 20.0g
白色ワセリン 68.4g
エチルパラベン 0.1g
l−メントール 0.5g
全 量 100.0g
上記成分を慣用の方法により混合し、1%軟膏を得た。
【0181】
製剤例5
坐剤:
本発明に従う化合物 1g
ウィッテップゾール(Witepsol)H15* 478g
ウィッテップゾールW35* 520g
ボリソルベート80 1g
全 量 1,000g
*トリグリセライド系化合物の商標名)
上記成分を慣用の方法により溶融混合し、坐剤容器に注ぎ冷却固化して1坐剤当り1mgの有効成分を含有する坐剤(1g)1,000個を製造した。
【0182】
製剤例6
注射剤
本発明に従う化合物 1mg
注射用蒸留水 5mL
用時、溶解して用いた。
【0183】
〔薬理試験例〕
有効不応期に及ぼす影響
試験方法
ビーグルイヌをペントバルビタールナトリウムにて麻酔し、人工呼吸管理下に正中開胸し心膜切開にて心臓を露出した。心電図測定(ECG)は、右房自由壁、右心耳、右室自由壁の表面に双極電極を留置して行った。迷走神経刺激は、電気刺激装置を用いて、頸部両側迷走神経内に刺入留置したニクロム線を介して行った。迷走神経への電気刺激の条件は、心電図のRR間隔が刺激開始前より約100msec延長するように設定した。
心房および心室有効不応期は、両側迷走神経刺激下、300msecの基本刺激周期で、プログラム電気刺激装置を用いてS1−S2期外刺激法により測定した。心臓への電気刺激は、閾値の2倍の電流を用い、基本刺激周期で10回の連続したS1刺激を与えた後、期外刺激S2を加えた。有効不応期測定のため、S1−S2間隔は2msecずつ短縮していき、期外刺激S2の反応が消失した点を有効不応期とした。
評価は、薬物投与前に心房および心室有効不応期の測定を行い、その後各化合物は0.3mg/kgの用量で静脈内投与し、その5分後より心房および心室有効不応期の測定を行った。
結果は、心房および心室有効不応期の延長時間として、[薬物投与後の有効不応期]−[薬物投与前の有効不応期](msec)で表した。
【0184】
結果
本発明の化合物は、心房に選択的な有効不応期延長作用を示した。
【表60】

【0185】
本発明の効果
本発明に従う化合物は、心房に選択的な有効不応期延長作用を示すため、抗心房細動薬および上室性不整脈治療薬として用いることができ、医薬品として有用である。さらに、本発明に従う化合物は、心室への影響が小さいために、上記不整脈病態の安全な治療に貢献し得る。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)
【化1】

{式中、
Xは、NR6(式中、R6は、水素原子又は炭素原子数1ないし4のアルキル基を表す。)を表し;
Yは、結合、SO又はSO2を表し;
Zは、炭素原子数1ないし4のアルキル基(該炭素原子数1ないし4のアルキル基は、1ないし5個のハロゲン原子又はフェニル基(該フェニル基は、炭素原子数1ないし4のアルキル基により任意に置換されていてもよい。)により任意に置換されていてもよい。)又はフェニル基(該フェニル基は、炭素原子数1ないし4のアルキル基により任意に置換されていてもよい。)を表し;
Wは、水素原子、ヒドロキシ基、炭素原子数1ないし6のアルコキシ基(該炭素原子数1ないし6のアルコキシ基は、ハロゲン原子により任意に置換されていてもよい。)、ハロゲン原子、炭素原子数1ないし4のアルキル基又は炭素原子数1ないし6のアルキルスルホニルアミノ基を表し;
1及びR2は互いに独立して、炭素原子数1ないし3のアルキル基(該炭素原子数1ないし3のアルキル基は、ヒドロキシ基、メトキシ基、ハロゲン原子又はトリフルオロメトキシ基により任意に置換されていてもよい。)を表し;
3は、水素原子、ヒドロキシ基又はメトキシ基を表し、
mは、0ないし4の整数であり、
nは、0ないし4の整数であり、
Vは、単結合;CR78[式中、R7は、
−炭素原子数1ないし6のアルキル基(該炭素原子数1ないし6のアルキル基は、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、炭素原子数1ないし6のアルコキシ基(該炭素原子数1ないし6のアルコキシ基は、ハロゲン原子で任意に置換されていてもよい。)、炭素原子数6ないし14のアリール基又は炭素原子数2ないし9のヘテロアリール基(該炭素原子数6ないし14のアリール基又は炭素原子数2ないし9のヘテロアリール基は各々、何れも1ないし3個のR10(該R10は、ハロゲン原子;ヒドロキシ基;炭素原子数1ないし6のアルキル基(該炭素原子数1ないし6のアルキル基は、ハロゲン原子、ヒドロキシ基又は炭素原子数1ないし6のアルコキシ基(該炭素原子数1ないし6のアルコキシ基は、ハロゲン原子で任意に置換されていてもよい。)により任意に置換されていてもよい。);炭素原子数1ないし6のアルコキシ基(該炭素原子数1ないし6のアルコキシ基は、ハロゲン原子で任意に置換されていてもよい。);ニトロ基;シアノ基;ホルミル基;ホルムアミド基;スルホニルアミノ基;スルホニル基;アミノ基;炭素原子数1ないし6のアルキルアミノ基;ジ炭素原子数1ないし6のアルキルアミノ基;炭素原子数1ないし6のアルキルカルボニルアミノ基;炭素原子数1ないし6のアルキルスルホニルアミノ基;アミノカルボニル基;炭素原子数1ないし6のアルキルアミノカルボニル基;ジ炭素原子数1ないし6のアルキルアミノカルボニル基;炭素原子数1ないし6のアルキルカルボニル基;炭素原子数1ないし6のアルコキシカルボニル基;アミノスルホニル基;炭素原子数1ないし6のアルキルスルホニル基;カルボキシル基又は炭素原子数6ないし14のアリールカルボニル基を表す。)により任意に置換されていてもよく、複数のR10が存在する場合、R10は互いに同一でも異なっていてもよい。)により任意に置換されていてもよい。)、炭素
原子数6ないし14のアリール基又は炭素原子数2ないし9のヘテロアリール基(該炭素原子数6ないし14のアリール基又は炭素原子数2ないし9のヘテロアリール基は各々、何れも1ないし3個のR10(ここで、R10は、上記と同じ意味を有する。)により任意に置換されていてもよい。);
−ヒドロキシ基又は
−炭素原子数1ないし6のアルコキシ基(該炭素原子数1ないし6のアルコキシ基はハロゲン原子で任意に置換されていてもよい。)を表し、及びR8は、
−水素原子、
−炭素原子数1ないし6のアルキル基(該炭素原子数1ないし6のアルキル基は、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、炭素原子数1ないし6のアルコキシ基(該炭素原子数1ないし6のアルコキシ基は、ハロゲン原子により任意に置換されていてもよい。)により任意に置換されていてもよい。)、
−炭素原子数6ないし14のアリール基又は炭素原子数2ないし9のヘテロアリール基(該炭素原子数6ないし14のアリール基又は炭素原子数2ないし9のヘテロアリール基は、何れも1ないし3個のR11(ここで、R11は、ハロゲン原子;ヒドロキシ基;炭素原子数1ないし6のアルキル基(該炭素原子数1ないし6のアルキル基は、ハロゲン原子、ヒドロキシ基又は炭素原子数1ないし6のアルコキシ基(該炭素原子数1ないし6のアルコキシ基は、ハロゲン原子で任意に置換されていてもよい。)により任意に置換されていてもよい。);炭素原子数1ないし6のアルコキシ基(該炭素原子数1ないし6のアルコキシ基は、ハロゲン原子により任意に置換されていてもよい。);ニトロ基;シアノ基;ホルミル基;ホルムアミド基;スルホニルアミノ基;スルホニル基;アミノ基;炭素原子数1ないし6のアルキルアミノ基;ジ炭素原子数1ないし6のアルキルアミノ基;炭素原子数1ないし6のアルキルカルボニルアミノ基;炭素原子数1ないし6のアルキルスルホニルアミノ基;アミノカルボニル基;炭素原子数1ないし6のアルキルアミノカルボニル基;ジ炭素原子数1ないし6のアルキルアミノカルボニル基;炭素原子数1ないし6のアルキルカルボニル基;炭素原子数1ないし6のアルコキシカルボニル基;アミノスルホニル基;炭素原子数1ないし6のアルキルスルホニル基;カルボキシル基又は炭素原子数6ないし14のアリールカルボニル基を表す。)により任意に置換されていてもよく、及び複数のR11が存在する場合、R11は互いに同一でも異なっていてもよい。)、
−ヒドロキシ基又は
−炭素原子数1ないし6のアルコキシ基(該炭素原子数1ないし6のアルコキシ基はハロゲン原子により任意に置換されていてもよい。)を表すか又はR7及びR8が一緒になって、O又はSを表してもよい。]を表すか、或いは
Vは、NR9(式中、R9は、水素原子又は炭素原子数1ないし6のアルキル基(該炭素原子数1ないし6のアルキル基は、ハロゲン原子、炭素原子数1ないし6のアルコキシ基(該炭素原子数1ないし6のアルコキシ基は、ハロゲン原子により任意に置換されていてもよい。)、ヒドロキシ基、炭素原子数6ないし14のアリール基又は炭素原子数2ないし9のヘテロアリール基(該炭素原子数6ないし14のアリール基又は炭素原子数2ないし9のヘテロアリール基は各々、1ないし3個のR11(R11は、前記と同じ意味を表す。)により任意に置換されていてもよい。)により任意に置換されていてもよい。)を表す。)、又はO、S、SO又はSO2を表し;
4は、水素原子又は炭素原子数1ないし6のアルキル基(該炭素原子数1ないし6の
アルキル基は、ハロゲン原子、炭素原子数1ないし6のアルコキシ基(該炭素原子数1ないし6のアルコキシ基は、ハロゲン原子により任意に置換されていてもよい。)、ヒドロキシ基により任意に置換されていてもよい。)を表し;及び
5は、
−水素原子、
−炭素原子数1ないし6のアルキル基(該炭素原子数1ないし6のアルキル基は、ハロゲン原子、炭素原子数1ないし6のアルコキシ基(該炭素原子数1ないし6のアルコキシ基は、ハロゲン原子により任意に置換されていてもよい。)、アミノ基、カルボキシル基又
はヒドロキシ基により任意に置換されていてもよい。)、
−炭素原子数3ないし8のシクロアルキル基又は炭素原子数3ないし8のシクロアルケニル基[該炭素原子数3ないし8のシクロアルキル基又は炭素原子数3ないし8のシクロアルケニル基は、ハロゲン原子、炭素原子数1ないし6のアルキル基(該炭素原子数1ないし6のアルキル基は、ハロゲン原子、炭素原子数1ないし6のアルコキシ基(該炭素原子数1ないし6のアルコキシ基は、ハロゲン原子により任意に置換されていてもよい。)、アミノ基、カルボキシル基又はヒドロキシ基により任意に置換されていてもよい。)、炭素原子数1ないし6のアルコキシ基(該炭素原子数1ないし6のアルコキシ基は、ハロゲン原子により任意に置換されていてもよい。)、アミノ基、カルボキシル基又はヒドロキシ基により任意に置換されていてもよい。]、又は
−炭素原子数6ないし14のアリール基又は炭素原子数2ないし9のヘテロアリール基[該炭素原子数6ないし14のアリール基又は炭素原子数2ないし9のヘテロアリール基は各々、1ないし3個のR12(R12は、ハロゲン原子;ヒドロキシ基;炭素原子数1ないし6のアルキル基(該炭素原子数1ないし6のアルキル基は、ハロゲン原子、ヒドロキシ基又は炭素原子数1ないし6のアルコキシ基(該炭素原子数1ないし6のアルコキシ基は、ハロゲン原子により任意に置換されていてもよい。)により任意に置換されていてもよい。);炭素原子数1ないし6のアルコキシ基(該炭素原子数1ないし6のアルコキシ基は、ハロゲン原子により任意に置換されていてもよい。);ニトロ基;シアノ基;ホルミル基;ホルムアミド基;スルホニルアミノ基;スルホニル基;アミノ基;炭素原子数1ないし6のアルキルアミノ基;ジ炭素原子数1ないし6のアルキルアミノ基;炭素原子数1ないし6のアルキルカルボニルアミノ基;炭素原子数1ないし6のアルキルスルホニルアミノ基;アミノカルボニル基;炭素原子数1ないし6のアルキルアミノカルボニル基;ジ炭素原子数1ないし6のアルキルアミノカルボニル基;炭素原子数1ないし6のアルキルカルボニル基;炭素原子数1ないし6のアルコキシカルボニル基;アミノスルホニル基;炭素原子数1ないし6のアルキルスルホニル基;カルボキシル基;炭素原子数6ないし14のアリールカルボニル基、ウレイド基、炭素原子数1ないし6のアルキルウレイレン基、炭素原子数6ないし14のアリール(炭素原子数1ないし6のアルキル)アミノ基、炭素原子数1ないし6のアルコキシカルボニルアミノ基、炭素原子数6ないし14のアリールオキシ基又は炭素原子数6ないし14のアリールカルボニルアミノ基を表す。)により任意に置換されていてもよく、複数のR12が存在する場合、R12は各々同一であっても異なっていてもよい。]を表す。}
で表されるベンゾピラン化合物。
【請求項2】
1及びR2が共にメチル基であり、R3がヒドロキシ基であり、及びVが単結合である、
請求項1に記載のベンゾピラン化合物。
【請求項3】
1及びR2が共にメチル基であり、R3がヒドロキシ基であり、及びVがCR78である
、請求項1に記載のベンゾピラン化合物。
【請求項4】
1及びR2が共にメチル基であり、R3がヒドロキシ基であり、及びVがNR9である、請求項1に記載のベンゾピラン化合物。
【請求項5】
5が炭素原子数1ないし6のアルキル基、炭素原子数3ないし8のシクロアルキル基又
は炭素原子数6ないし14のアリール基である、請求項2に記載のベンゾピラン化合物。
【請求項6】
5が炭素原子数1ないし6のアルキル基、炭素原子数3ないし8のシクロアルキル基又
は炭素原子数6ないし14のアリール基である、請求項3に記載のベンゾピラン化合物。
【請求項7】
5が炭素原子数1ないし6のアルキル基、炭素原子数3ないし8のシクロアルキル基又
は炭素原子数6ないし14のアリール基である、請求項4に記載のベンゾピラン化合物。
【請求項8】
Wが水素原子、ヒドロキシ基、メトキシ基、塩素原子、臭素原子、メチル基、エチル基又はメチルスルホニルアミノ基である、請求項5に記載のベンゾピラン化合物。
【請求項9】
Wが水素原子、ヒドロキシ基、メトキシ基、塩素原子、臭素原子、メチル基、エチル基又はメチルスルホニルアミノ基である、請求項6に記載のベンゾピラン化合物。
【請求項10】
5が炭素原子数1ないし6のアルキル基又は炭素原子数6ないし14のアリール基であ
り、R6が水素原子又はメチル基であり、YがSO2であり、Zが炭素原子数1ないし4のアルキル基である、請求項8に記載のベンゾピラン化合物。
【請求項11】
5が炭素原子数1ないし6のアルキル基又は炭素原子数6ないし14のアリール基であ
り、R6が水素原子又はメチル基であり、Yが結合であり、及びZが炭素原子数1ないし
4のアルキル基である、請求項8に記載のベンゾピラン化合物。
【請求項12】
N−[(3R*,4S*)−3−ヒドロキシ−6−メトキシ−2,2−ジメチル−4−[(
2−フェニルエチル)アミノ]−3,4−ジヒドロ−2H−1−ベンゾピラン−7−イル]メタンスルホンアミドであるベンゾピラン化合物。
【請求項13】
N−[(3R*,4S*)−3,6−ジヒドロキシ−2,2−ジメチル−4−[(2−フェ
ニルエチル)アミノ]−3,4−ジヒドロ−2H−1−ベンゾピラン−7−イル]メタン
スルホンアミドであるベンゾピラン化合物。
【請求項14】
N−[(3R*,4S*)−3−ヒドロキシ−6−メトキシ−2,2−ジメチル−4−[(
2−フェニルエチル)アミノ]−3,4−ジヒドロ−2H−1−ベンゾピラン−7−イル]−N−メチルメタンスルホンアミドであるベンゾピラン化合物。
【請求項15】
N−[(3R*,4S*)−4−[(2−シクロへキシルエチル)アミノ]−3−ヒドロキ
シ−6−メトキシ−2,2−ジメチル−3,4−ジヒドロ−2H−1−ベンゾピラン−7−イル]メタンスルホンアミドであるベンゾピラン化合物。
【請求項16】
N−[(3R*,4S*)−3−ヒドロキシ−6−メトキシ−2,2−ジメチル−4−(ペ
ンチルアミノ)−3,4−ジヒドロ−2H−1−ベンゾピラン−7−イル]メタンスルホ
ンアミドであるベンゾピラン化合物。
【請求項17】
N−[(3R*,4S*)−3−ヒドロキシ−2,2,8−トリメチル−4−[(2−フェ
ニルエチル)アミノ]−3,4−ジヒドロ−2H−1−ベンゾピラン−7−イル]メタン
スルホンアミドであるベンゾピラン化合物。
【請求項18】
N−[(3R*,4S*)−3−ヒドロキシ−2,2−ジメチル−4−[(2−フェニルエ
チル)アミノ]−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾピラン‐7−イル]メタンスルホンア
ミドマレイン酸塩であるベンゾピラン化合物。
【請求項19】
N−[(3R*,4S*)−3−ヒドロキシ−2,2−ジメチル−4−[(2−フェニルエ
チル)アミノ]−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾピラン−7−イル]エタンスルホンア
ミド塩酸塩であるベンゾピラン化合物。
【請求項20】
1,1,1−トリフルオロ−N−[(3R*,4S*)−3−ヒドロキシ−2,2−ジメチ
ル−4−[(2−フェニルエチル)アミノ]−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾピラン−7−イル]メタンスルホンアミドマレイン酸塩であるベンゾピラン化合物。
【請求項21】
N−[(3R*,4S*)−3−ヒドロキシ−2,2−ジメチル−4−[(2−フェニルエ
チル)アミノ]−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾピラン−7−イル]−N−メチルメタ
ンスルホンアミド塩酸塩であるベンゾピラン化合物。
【請求項22】
N−[(3R*,4S*)−6−ブロモ−3−ヒドロキシ−2,2−ジメチル−4−[(2
−フェニルエチル)アミノ]−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾピラン−7−イル]メタ
ンスルホンアミドであるベンゾピラン化合物。
【請求項23】
(3R*,4S*)−2,2−ジメチル−7−ジメチルアミノ−4−[(2−フェニルエチル)アミノ]−3−クロマノール塩酸塩であるベンゾピラン化合物。
【請求項24】
(3R*,4S*)−2,2−ジメチル−7−メチルアミノ−4−[(2−フェニルエチル)アミノ]−3−クロマノール塩酸塩であるベンゾピラン化合物。
【請求項25】
(3R*,4S*)−4−[[2−(4−フルオロフェニル)エチル]アミノ]−2,2−ジメチル−7−ジメチルアミノ−3−クロマノール塩酸塩であるベンゾピラン化合物。
【請求項26】
(3R*,4S*)−6−メトキシ−2,2−ジメチル−7−ジメチルアミノ−4−[(2−フェニルエチル)アミノ]−3−クロマノールであるベンゾピラン化合物。
【請求項27】
(3R*,4S*)−6−メトキシ−2,2−ジメチル−7−メチルアミノ−4−[(2−フェニルエチル)アミノ]−3−クロマノール塩酸塩であるベンゾピラン化合物。
【請求項28】
N−[(3R*,4S*)−3−ヒドロキシ−2,2−ジメチル−4−[(2−フェニルエ
チル)アミノ]−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾピラン−7−イル]‐4−メチルベン
ゼンスルホンアミドであるベンゾピラン化合物。
【請求項29】
N−[(3R*,4S*)−3−ヒドロキシ−2,2−ジメチル−6−[(メチルスルホニ
ル)アミノ]−4−[(2−フェニルエチル)アミノ]−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾピラン−7−イル]−メタンスルホンアミドであるベンゾピラン化合物。
【請求項30】
(3R*,4S*)−2,2−ジメチル−7−メチルエチルアミノ−4−[(2−フェニルエチル)アミノ]−3−クロマノール塩酸塩であるベンゾピラン化合物。
【請求項31】
N−[(3R*,4S*)−3−ヒドロキシ−2,2−ジメチル−4−[(2−フェニルエ
チル)アミノ]−3,4−ジヒドロ−2H−クロメン−7−イル]−N−イソプロピルメ
タンスルホンアミド塩酸塩であるベンゾピラン化合物。
【請求項32】
請求項1ないし31のうち、何れか1項に記載のベンゾピラン化合物又はその医薬的に許容され得る塩を有効成分として含有することを特徴とする医薬品。
【請求項33】
請求項1ないし31のうち、何れか1項に記載のベンゾピラン化合物又はその医薬的に許容され得る塩を有効成分として含有することを特徴とする不整脈治療薬。

【公表番号】特表2007−523885(P2007−523885A)
【公表日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−526885(P2006−526885)
【出願日】平成17年2月25日(2005.2.25)
【国際出願番号】PCT/JP2005/003690
【国際公開番号】WO2005/080368
【国際公開日】平成17年9月1日(2005.9.1)
【出願人】(000003986)日産化学工業株式会社 (510)
【Fターム(参考)】