説明

ベンゾフェノン誘導体を産生するための新規な方法



式Iの化合物の調製方法を提供し、X、R、R2a、R2b、R2c、R2d、R2e、R3a、R3b、R3c、R3d及びR3eは明細書中に記載されている。かかる化合物は、例えば有用な医薬(又は医薬のための中間体)でありうる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、更なる化合物、特に薬剤(例えばアルケンを含有)、例えばオスペミフェン(登録商標)(Ophena(登録商標)又はZ-2-[4-(4-クロロ-1,2-ジフェニル-ブタ-1-エニル)フェノキシ]エタノールとしても知られる)などのエストロゲン受容体モジュレーターの合成における有用な中間体でありうる、いくつかのベンゾフェノンの製造の方法に関する。
【0002】
国際特許出願WO99/42427及びWO96/07402は、いくつかの誘導体化四置換アルケンの合成を記述し、前者はE-2-[4-(4-クロロ-1,2-ジフェニル-ブタ-1-エニル)フェノキシ]エタノールの調製を記述し、ここで合成は四置換アルケン前駆体E-4-(4-ヒドロキシ-1,2-ジフェニル-ブタ-1-エニル)-フェノールから開始する。どちらの文献にも、四置換アルケン形成反応の開示はない。しかしながら、引用文献の米国特許出願US4,996,225において、2,2,3-三置換テトラヒドロフランの脱離反応による四置換アルケンの形成が記載されている。
【0003】
有機化学の一般的な分野においてマクマリー反応は知られており、各々がカルボニル部分を有する2つの化合物のカップリング反応を含み、アルケン(四置換でありうる)を形成する。該反応は塩化チタン及び還元剤の使用を必要とする還元的カップリングであり、範囲及び多用途性が限られることが知られている。
【0004】
マクマリー反応はベンゾフェノン出発物質を使用し得、その内幾つかは知られており市販されている。他の置換/誘導体化ベンゾフェノンが調製される必要があるだろう。
【0005】
欧州特許出願EP0072475は、炭酸エチレンを用いた4-ヒドロキシベンゾフェノンのアルキル化からの4-(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゾフェノンを含む、様々なベンゾフェノン化合物の合成を開示する(例えば、実施例4を参照)。かかる反応は、希釈反応条件下、溶媒としてジメチルホルムアミドの存在下での反応において、臭化テトラブチルアンモニウム(触媒として)の存在下で実施される。
【0006】
Czech特許CS19647は、1-カルボキシ-2-フェノキシエタンのベンゼン環へのフリーデル-クラフツアシル化を含む、いくつかのベンゾフェノンの合成を開示する。この文献には、ヒドロキシ部分のアルキル化の開示はなく、その後者部分は既に形成されたベンゾフェノンにペンドされる。
【0007】
米国特許出願US2,831,768及びUS2,182,786は各々、エチレンクロロヒドリン(2-クロロエタノール)を用いた4-ヒドロキシベンゾフェノンのアルキル化による4-(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゾフェノンの調製を記載し、この反応は水酸化ナトリウム水溶液又はエタノール性水酸化ナトリウム水溶液の存在下で行われる。異なるアルキル化剤を用いた対応する反応の開示はない。
【0008】
国際特許出願WO01/60775は、炭酸エチレン及び触媒、金属ハロゲン化物などを使用するアルキル化反応を記載する。しかしながら、この文献は4-ヒドロキシベンゾフェノンに関する対応する反応を開示しない。更にこれは、導入された2-ヒドロキシエトキシ側鎖がフリーヒドロキシ部位で更にアルキル化される逐次反応に関する。
【0009】
最後に、欧州特許出願EP0425974及び米国特許出願第5,118,859号は、炭酸エチレンを用いる、いくつかのヒドロキシ部分のアルキル化を開示する。
【0010】
本明細所における見かけ先行開示文献の記載又は検討が、必ずしも文献が一般的技術又は一般的知識の一部である了解としてみなされるべきではない。
【0011】
本発明の第一の態様では、
式I:

(上式中、
Xはハロ又は-OHを表し、
は、一又は複数の-OH基で置換されていてもよいC1−6アルキル又はHを表し、
各R2a、R2b、R2c、R2d、R2e、R3a、R3b、R3c、R3d及びR3eは独立してH又は- OHを表す)
の化合物の調製方法であって、
式II

(上式中、
及びR3a、R3b、R3c、R3d及びR3eは上に記載の通りである)の化合物を
式III

(上式中、
X及びR2a、R2b、R2c、R2d及びR2eは上に記載の通りである)の化合物と反応させることをを含む方法が提供され、この方法は以下、「本発明の方法」と称される。また、本発明の方法によって調製される式Iの化合物は、以下、本発明の化合物として称されうる。
【0012】
本発明の方法は、式II及びIIIの化合物の塩、溶媒和化合物又は保護誘導体を使用して実施されうる。これにより産生されうる式Iの化合物は、その(例えば、対応する)塩、溶媒和化合物又は保護誘導体の形態で生産される場合もあればそうでない場合もある。本発明の更なる実施態様では、式Iの化合物が塩ではない形態で得られる場合、所望されるなら、それは適切な(例えば薬学的に許容可能な)塩に転換されうる。
【0013】
ここに記載される方法において使用される又は産生される化合物は二重結合を有し得、従って、各それぞれの二重結合についてE(entgegen)及びZ(zusammen)幾何異性体として存在しうる。全てのこのような異性体及びその混合物は本発明の範囲に含まれる。このように、形成されうる式Iの化合物はE-異性体、Z-異性体又はかかる幾何異性体の混合として存在しうる。
【0014】
本発明の方法によって産生されうる式Iの化合物が、E又はZ幾何異性体のどちらかとして存在できることをここに述べた。しかしながら、Z-異性体が主に産生される異性体であることが好ましく、従って式Iの化合物はZ-異性体として図に描かれている。好ましくは本発明の方法は、Z:E異性体の比が1:1より大きい(例えば2:1より大きい又は約2:1、好ましくは3:1より大きい又は約3:1、より好ましくは4:1より大きい又は約4:1(例えば約4.3:1))式Iの化合物を提供する。有利には、本発明の実施態様では、比は5:1より大きく、例えば約5.5:1である。本発明の更なる実施態様では、本発明の方法は(Z:Eの)更によい選択性の達成を可能にし得、例えば式Iの化合物が結晶形態で得られる場合、結晶化/再結晶化技術(ここに記述されているもの等)が使用されうる。このような場合、式Iの産物は10:1より大きいZ:E比で得られ得、例えばZ-異性体は(E-異性体と比較して)約95%又は95%より大きい比で得られ得、例えば>98%、例えば約99%又は>99%、最も好ましくは実質的にZ-異性体(例えば約100%)のみでE-異性体を含まない(もしくはわずかな量)。
【0015】
本発明の方法では、生産されうる好ましい式Iの化合物は、
Xがハロを表し(最も好ましくはクロロ);及び/又は
がHを表すものを含む。
【0016】
本発明の方法では、生産されうる更なる好ましい式Iの化合物は、
が場合によっては置換されていてもよいC1−6アルキルを表す場合、好ましくは一つの-OH基によって置換される(例えば、アルキル基の末端位置で、例えば-CH-CH-OH部分を形成する);R2a〜R2eの内少なくとも3つ(例えば少なくとも4つ)が水素を表す(そして他(一又は複数)は-OH又はHを表す);又は最も好ましくはR2a、R2b、R2c、R2d、R2e、R3a、R3b、R3c、R3d及びR3e全てが水素を表すものを含む。
【0017】
本発明の方法は好ましくは溶媒(又は溶媒の混合)の存在下において実施される。溶媒の種類は、マクマリー反応に適した何れかのものであり得、例えば芳香族溶媒(例えばトルエン、又は同様なもの)、又は好ましくは極性非プロトン性溶媒(ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン又はジメトキシエタンなど)、又はこれらの溶媒の何れかの混合である。言及されうる他の溶媒系は、他のエーテル溶媒、ジオキサン、ジグリム、ジブチルエーテル、メチル-tert-ブチルエーテル(又はその混合)など、又は溶媒の混合、ピリジン及びテトラヒドロフラン、トルエン及びテトラヒドロフラン、及び2-メチルテトラヒドロフラン及びトルエンなどを含む。しかしながら、有利には本発明の方法はエーテル溶媒の存在下において実施され、これは驚くことに予想外の収率の増加をもたらし(特に、2-メチルテトラヒドロフランの存在下で実施された場合)、従って、結晶化により所望の式Iの化合物を単離することも可能にする(結晶化による式Iの化合物の単離は、収率が低い及び/又は結晶化溶媒が適切でない場合不可能でありうる)。
【0018】
溶媒が使用される場合、式IIの化合物(又は式IIIの化合物)のmmolにつき、全量で約0.1mL及び約10mLの溶媒が使用され、例えば約0.2mL及び8mL/mmolの間、好ましくは約0.5mL及び5mLの間(例えば、式IIの化合物(又は式IIIの化合物)のmmolにつき約3.5mL又は好ましくは約2.5mL)である。使用される溶媒の量(すなわち本発明の方法における式II及びIIIの化合物の濃度)は、本発明の方法の収率及び/又は選択性に影響しうる。例えば、反応混合物がより希釈される場合、有利には本発明の方法の収率及び/又は選択性(Z:E)が増加しうる。このように、ある実施態様では有利には、本発明の方法は、式IIの化合物のmmolにつき、10mLの溶媒まで又は約10mLの溶媒(例えば、5mLの溶媒まで又は約5mL、約3.5mLなど)の存在下で行われる。一方、明らかに、環境理由により使用する溶媒の体積を最小化することも考えられるべきである。従って、典型的には、式IIの化合物(又は式IIIの化合物)のmmolあたり約3.5mL(例えば3.7mL)の溶媒が使用される。しかしながら、溶媒の正確な量は本発明の方法に(又は本発明の本質に)あまり関係がない。本発明の方法が基本的に任意の適切な濃度で実施されうるということは、当業者に理解されるだろう。
【0019】
本発明の方法は、式II及びIIIの化合物(のカルボニル部分)間でのマクマリー反応を含む。従って、反応は、塩化チタン化合物、例えばTiCl又は好ましくはTiClの存在下において、還元剤、例えばLiAlH(又は類似なもの、例えばAl/AlCl)、又は還元金属、アルミニウム、カリウム、マグネシウム又は好ましくは亜鉛、亜鉛末/粉末など(言及されうる他のものはZn-Cuカップル、リチウム、ナトリウム、カルシウム及びMg/Hg)の存在下において(又は他の適切な還元法又は条件を用いて;好ましくは還元剤の存在下)実施される。最も好ましい組合せはTiCl及び亜鉛(例えば、亜鉛末)を含む。言及されうる他の還元方法/条件は、上記のもの(例えば、亜鉛)より環境に優しいであろう別の適切な還元金属、マグネシウム、カルシウム又はいくつかの他の第I族又は第II族金属などの存在を含む。
【0020】
典型的には、本発明の方法における式II及びIIIの化合物のモル比は約1:1である(しかし、約2:1及び1:2の間の何れかであり得、どの金属を当業者が過度に使用したいかに依存しうる)。
【0021】
好ましくは、少なくとも1モル当量の塩化チタン化合物(例えば、TiCl)が使用され、より好ましくは過度に、例えば約1.1:1(又は、より大)の塩化チタン化合物及び式II(又はIII)の化合物の比、好ましくは約1.2:1(又は、より大)、最も好ましくは約1.3:1(又は、より大)(例えば、約1.35:1)で使用される。言及されうる塩化チタンの他の好ましい量は、約1.5:1(又はより大)、例えば1.5:1及び3:1の間、約1.75:1〜2.25:1など、例えば約2:1を含む。
【0022】
還元剤の量は少なくとも還元が完全に行われるのに十分な量(モル当量において)であるべきである。前述したように、存在する還元剤は還元金属、亜鉛(例えば、亜鉛末/粉末)などでありうる。還元金属である場合、当量の数は、反応(すなわち本発明の方法)により獲得される必要がある電子の数に依存する。例えば、還元金属が亜鉛の場合、本発明の方法において用いられる式IIの化合物(又は式IIIの化合物)と比較して好ましくは少なくとも2モル当量存在し、例えば約(又は少なくとも)2当量、好ましくは約(又は少なくとも)2.5当量である。好ましくは、式IIの化合物(又は式IIIの化合物)と比較した還元金属(例えば、亜鉛の場合)の当量数は約2及び5当量(例えば約2.5及び4当量の間、少なくとも又は約3.5当量、約3.8当量など)である。しかしながら典型的には、本発明の方法における還元金属(例えば、亜鉛)の当量の数は、用いられるチタン化合物の当量と比較される。従って、好ましくはチタン化合物の当量につき少なくとも1当量の還元金属(例えば、亜鉛)であるが、好ましくはチタン化合物の当量につき少なくとも又は約1.5当量の還元金属、例えば約1.5及び2.5当量の間、約1.7及び2.3当量の間など)、特に約2当量である。
【0023】
存在しうる試薬/出発物質、及び何れかの溶媒は、任意の順で反応容器に加えられうる。例えば、還元剤(例えば、亜鉛末)が、使用されうる何れかの溶媒(例えば、2-メチルテトラヒドロフラン)(又はその一部)と共に最初に反応容器に加えられうる。次いで、還元剤及び溶媒の混合が室温以下に冷却される場合又はそうでない場合(すなわち混合物が同じ温度で維持される)があり得、例えば約10℃以下、例えば約0℃以下、好ましくは約−5℃まで冷却される。次いで塩化チタン化合物(例えば、TiCl)が反応混合物に添加され、この添加は発熱性であるため好ましくはゆっくり行われる。この添加は塩化チタン化合物の量及び反応の全体規模に依存するだろう。しかしながら、約10mmolの塩化チタン化合物が使用される場合、添加は少なくとも5分間、好ましくは少なくとも10分間、より好ましくは約20分間にわたりうる。何れの場合でも、塩化チタン化合物の添加は、好ましくは全体の反応温度を約25℃以下、例えば約10℃以下(好ましくは約0℃以下)に保つような割合で為される。塩化チタン化合物の添加後、反応混合物(すなわち、溶媒、還元剤及び塩化チタン化合物の混合)は次いで適切な温度に(例えば、30℃以上、例えば50℃以上、好ましくは80℃以上に、最も好ましくは約80〜82℃で、又は還流で)、例えば少なくとも1時間、例えば約2時間加熱されうる。この反応混合物に、次いで式II及びIIIの化合物が加えられうる(すなわち、上記の上昇温度範囲で、最も好ましくは還流で)。次いでこの「完全」反応混合物は、上記の上昇温度(例えば、還流)で更なる時間、例えば少なくとも1時間、例えば約2時間加熱されうる。当業者は、反応の長さを決定(及び/又は調節)できるだろう。
【0024】
試薬/出発物質/溶媒が任意の順で加えられうることを上で述べた。本発明の一実施態様では、式II及びIIIの化合物、還元剤(例えば、還元金属、亜鉛など)及び溶媒(例えば、2-メチルテトラヒドロフラン)が反応容器に最初に入れられうる。好ましくは、この最初の混合物(スラリーでありうる)は脱気され、容器は不活性ガス(例えば、窒素)で充填される。本発明の方法は、不活性雰囲気下で実施される場合、より効果的に進行する(従って、より良い収率、より純粋な産物をもたらすなど)。反応混合物はここに記載するように室温以下まで冷却され得、例えばチタン化合物(例えば、TiCl又は好ましくはTiCl)の添加の前に15℃以下に冷却されうる。上述のように、チタン化合物は好ましくは、反応温度が約20℃以下に保たれるように反応混合物に加えられ、従って化合物は一定期間にわたってゆっくり加えられうる。反応混合物(式II及びIIIの化合物、還元剤、チタン化合物及び溶媒)は次いで室温以上、例えば約40℃以上、例えば約50℃以上まで加熱され得、反応混合物はその温度に一定時間(例えば約5及び25分の間、約15分など)維持されうる。その後、反応混合物に存在しうる溶媒(例えば、2-メチルテトラヒドロフラン)は、そこから蒸留され得(好ましくは溶媒の10%以上、例えば25%以上、約50%以上など、例えば溶媒の約55%が蒸留される)、例えば反応混合物を加熱することにより(例えば約70℃で)、減圧下で(例えば、約650mbarで)、一定期間(例えば約1時間にわたって)行われ、所望の量の溶媒が除去されるのに必要な時間に依存する。次いで還元剤(例えば、還元金属、亜鉛など)が除去され(例えば、濾過によって)、溶媒(例えば、2-メチルテトラヒドロフラン、最高で残留の100%まで)が蒸留によって更に除去されうる。有利には、本発明の方法において使用される溶媒はこのようにリサイクルされうる(例えば50%以上、約75%などがリサイクルされ得、更には実質的に全ての溶媒がリサイクルされうる)。明らかにこれは、例えば環境及び費用の点から有利な利点を有する。
【0025】
有利には、本発明の方法において用いられうる溶媒(例えば、2-メチルテトラヒドロフラン)の蒸留の前(例えば、反応混合物が室温以上に加熱され、一定時間維持される時点)に、反応が完了される必要はない。例えば、この時点で、反応混合物は中間体産物、一又は複数のアルコール又はジオールなどから成りうる。しかしながら、本発明の方法の反応は、(例えば上述されるように)何れかの溶媒が反応混合物(例えば上記のもの)から蒸留されるのと同時に、完了(又はより高い収量)に進行しうる。本発明の方法の反応は溶媒(例えば、2-メチルテトラヒドロフラン)の除去(例えば蒸留;リサイクル)と組み合わせられるため、これは有利であり、方法の効果を増加する。
【0026】
式II及びIIIの化合物が反応混合物に(すなわち、還元剤を有する反応容器に)加えられ得、式II及びIIIの化合物はそれら自身、本発明の方法で使用されうる溶媒の一部に事前に溶解され得ていることを上記した。しかしながら、式II及びIIIの化合物はバッチでありうる(すなわち、任意の割合/順で行われ、ここで「バッチ」は式IIの化合物のみ、式IIIの化合物のみ、又は式II及びIIIの化合物の混合であり得、各バッチの化合物/化合物(一又は複数)は本発明の方法で用いられる溶媒に溶解又は事前に溶解され得ている)。従って、添加は以下のようでありうる:式IIの化合物(又は式IIIの化合物)の10%の添加、その後、式II(又はIII)の化合物の残り90%及び式IIIの化合物(又はII、適宜)(の100%)を有する混合物の添加。上記の例は、本発明の方法の試薬のありうるバッチ又は「シフト」添加の単なる説明である。更に、添加は還元剤を有する反応容器への式II及びIIIの化合物の添加でなくてもよく、添加の順は、式II及びIIIの化合物(この化合物は本発明の方法で用いられる溶媒、例えば2-メチルテトラヒドロフランに事前に溶解され得ている)に、還元剤(例えば、TiCl及び亜鉛の組合せ;場合によっては本発明の方法で用いられうる溶媒、例えば2-メチルテトラヒドロフランの存在下において)が加えられるような順でありうる。本発明の方法で使用される全試薬の添加後、上述したように、「完全」反応混合物は次いで還流で(又は上記した上昇温度範囲で)、更なる時間、例えば少なくとも1時間、例えば約2時間(しかしながら、時間の実際の長さは当業者によって決定されうる)加熱されうる。
【0027】
「完全」反応混合物が上記の上昇温度範囲で(例えば、還流で)加熱された後、それは約室温まで冷却され得、その後、反応をクエンチするために水溶性酸(例えば水溶性ヒドロハライド、aq.HClなど)が加えられうる。水溶性酸は、熱産生を最小化するために少しずつ加えられ得、例えば1MのHClの一部が加えられ得、次いで6MのHClの一部が更に加えられうる。次いで所望の化合物は、適切な有機溶媒、例えば芳香族溶媒、トルエンなどを用いて抽出され得、もしくは、例えばクエンチされた後に反応混合物が二相性である場合(この場合、層が分離されうる)、更なる溶媒は抽出工程において加えられる必要がない。
【0028】
例えば、本発明の方法で用いられた溶媒(例えば、2-メチルテトラヒドロフラン)が反応混合物から蒸留された後、上述のように反応がクエンチされる前に溶媒(例えば、芳香族有機溶媒、トルエンなど)が加えられ得、好ましくは反応混合物は約20℃以下に維持されている(従って、クエンチング剤、例えば水溶性HCLは少しずつ加えられる)。(有機層中の)所望の産物は次いで、(例えば上昇温度で、例えば約30℃で)水層から分離(又は「カット」)され得、次いで有機層は洗浄されうる(例えば、2ポーションの水で洗浄され、これはその後、上昇温度で、例えば約55℃でカットされ捨てられる)。次いで残留溶媒を残すために、減圧下(例えば約37℃〜60℃、約150〜約50mmbarの間で)、例えば蒸留によって、有機層(本発明の方法で使用される溶媒、例えばトルエン及び残留2-メチルテトラヒドロフラン及び水を含みうる)は濃縮されうる。残留溶媒に、結晶化を促進する溶媒系が加えられる(例えば、下文に記載するようなメタノール及び水)。このような方法は有利には所望の式Iの化合物の収率、純度、及び/又は選択性を増加しうる。
【0029】
有機及び水相は室温でカット/分離されうるため、ワークアップ手順に用いる上昇温度は必須ではない。しかしながら、それはクリティカルではないが、より速い相分離を達成するために上昇温度(上記した温度など)が使用されることが好ましく、これによりワークアップ手順の効率が増加する。大規模な方法が使用される場合にこれは特に重要である。
【0030】
本発明の方法の性質及び用いられる試薬を考慮すると、本発明の方法は好ましくは不活性雰囲気の存在下で、例えば窒素雰囲気下実施される。
【0031】
式Iの化合物の結晶化が特定の溶媒において成されうることを上述した。従って、本発明の更なる態様では、溶媒系における化合物の結晶化又は沈殿を含む、上で定義されるような式Iの化合物の単離/精製の工程が提供され、以下それは本発明の方法としても称される。
【0032】
溶媒系は、場合によっては水と混合されているアルコール(例えば、メタノール)を含みうる。式Iの化合物は最初に溶媒系中に溶解され(また場合によっては、溶解を達成するため及び/又は透明溶液を得るために場合によっては加熱され)、次いで結晶化を得るために室温まで(又は室温以下、例えば25℃以下、20℃以下など、好ましくは15℃以下、より好ましくは10℃以下、例えば約8℃)冷却されうる。溶媒系は好ましくはアルコール及び水の混合を含む。溶媒系は、アセトン及び水、酢酸エチル及びヘプタン及び/又はトルエン及びヘプタンの混合も含む。溶媒系(好ましくは2つ以上(例えば2つ)の異なる溶媒の混合)の溶媒の内一つが比較的極性な溶媒、水、アルコール(例えば、メタノール又はイソプロパノール)、ジメチルホルムアミド、酢酸及び/又はプロピオン酸などから成ることが好ましい。例えば、溶媒系は、このような混合物(例えば、アルコール及び水の混合物)を少なくとも10%、例えば少なくとも25%、また好ましくは少なくとも50%含む。より好ましくは、溶媒系はこのような混合物を少なくとも75%、特に少なくとも90%、例えば少なくとも95%を含み、また最も好ましくは溶媒系はアルコール及び水の混合から専ら成る(すなわち、約100%又は近くであり;溶媒系は場合によっては5%未満(好ましくは2%未満、例えば1%未満)の他の溶媒及び/又は不純物を含んでなる)。
【0033】
アルコール(例えば、メタノール)及び水の混合が溶媒系として使用される場合、好ましくはアルコールが主な溶媒として存在し、すなわちアルコール:水の(体積による)比が1:1より大きい、例えば2:1より大きい、例えば約3:1以上(例えば、4:1)、最も好ましくは約5:1以上(例えば、約5.2:1)である。溶媒(例えば、メタノール及び水の混合、又は2-メチルテトラヒドロフラン)の体積は当業者によって決定され得、結晶化される物質の量による。しかしながら、定量的反応(式II及びIIIの化合物間)が仮定される場合、結晶化溶媒の体積は最も好ましくは式Iの化合物(定量的反応によって産生されると仮定)のmmolにつき約2mLであるが、何れかの適切な溶媒体積が適正であり、例えば0.5mL/mmol及び10mL/mmolの間(例えば1mL/mmol及び5mL/mmolの間)である。所望の式Iの化合物の純度を増加するために、結晶化/沈殿方法における(式Iの化合物のモルあたりの)溶媒の体積は比較的高くなりうる。
【0034】
ここに記載される発明の結晶化/沈殿方法は、式Iの化合物が反応混合物中に他の産物(例えば未反応出発物質又は他の非所望副産物)と共に存在しうるがこの精製/単離方法が進行しうるという更なる有利性を持つ。例えば、式Iの化合物は、結晶化/沈殿化される混合物の95%未満(例えば90%未満、80%未満など;又は50%未満、例えば、約40%以下、残りは副産物)で存在しうるが、このように形成された単離/精製産物はそれらの非所望産物を含まないだろう(また形成された産物中において、より大きいパーセンテージ、例えば95%より大きい、例えば99%より大きい、例えば100%又は約100%で存在するだろう)。
【0035】
更に、本発明の結晶化/沈殿方法はまた、本発明の方法によって産生される式Iの化合物のZ:E選択性を増加しうる。このように、結晶化/沈殿方法は式Iの産物を未反応出発物質又は他の非所望産物から単離するだけでなく、Z:E比を改善しうる。上述したように、比は1:1より大きく、例えば約4:1以上である。本発明の結晶化/沈殿方法はこの比を約10:1以上、例えば約20:1以上(例えば、50:1)、特に約90:1以上(例えば、99:1)に増加し得、例えば特に得られた産物は実質的に全て(例えば、100%又は約100%)Z-異性体から成る。明らかなように、本発明の方法が結晶化可能産物を提供するという事実は、産物のZ-異性体が入手可能であり単離可能であることから有利である。
【0036】
本発明の結晶化/単離方法において、本発明の方法によって調製される化合物が溶存される溶媒系(例えば、メタノール、水及び残留トルエンを含む)は、例えば約50℃まで加熱され、次いで約48℃まで冷却され、場合によっては(好ましくは)シードされる。混合物は次いで一定時間にわたって(例えばゆっくり、例えば1時間以上にわたって、約5時間にわたってなど)室温以下に(例えば約15℃に)冷却され得、その後この温度は更なる一定時間(例えば2時間より長く、6時間より長くなど、例えば約12時間以上)維持され得、これは溶液から結晶化/沈殿化される産物の量に依存する(すなわち時間は増減し、時間がより長い場合収率は増加しうる)。産物はその後、例えば濾過によって、分離/単離されうる。このような方法は所望の式Iの化合物の収率、純度及び/又は選択性を有利に増加しうる。例えば、増加純度及び/又は良選択性(すなわち上述のような好ましいZ:E選択性)における式Iの化合物が得られうる。更に、再結晶化(例えば、ここに記載される結晶化溶媒系中において実施される)も純度/選択性などを更に増加しうる。
【0037】
本発明の結晶化/再結晶化方法は、高い純度を達成可能にし、例えば、90%より大きい、例えば95%より大きい、98%より大きいなど(例えば99%より大きい、99.5%より大きい又は99.9%より大きいなど)のHPLC純度である。
【0038】
結晶化温度及び結晶化時間は、溶液中の化合物の濃度及び使用される溶媒系に依存する。
【0039】
結晶形態は純化及び/又は扱いがより容易であるため、化合物の特定の結晶形態の形成は(例えば非晶形態と比較して)有利でありうる。結晶形態はより良い固体安定性及び有効期間も有しうる(例えば、物理化学的特徴、例えば化学的組成物、密度及び溶解度に実質的な変化なく、長時間貯蔵される)。
【0040】
化合物が安定した結晶形態で得られたら非結晶形態に伴う幾つかの上記不利益/問題が解消されうることを当業者は理解するだろう。結晶形態の取得は常には達成可能でなく、容易に達成可能でないことが注意されるべきである。実際、ある化合物又はその塩の結晶化特性がどのようであるかを(例えば化合物の分子構造から)予測することは典型的には不可能であり、これは典型的には経験的決定される。
【0041】
本発明の更なる実施態様では、ここに記載される発明の方法の組合せが提供される。例えば、式Iの化合物の調製(上述のように、式II及びIIIの化合物の反応から成り、以下、方法(i)と称される)の後、上述のような結晶化(又は沈殿)(以下、方法(ii)と称される)がなされる方法が提供される。好ましくは方法(ii)は方法(i)の直後に実施され、例えば、式Iの化合物を結晶化方法の溶媒系と混合/接触させた後、(例えば溶媒の抽出及び除去/蒸発による)式Iの化合物の分離が為される。あるいは、本発明の更なる好ましい実施態様では、方法(ii)は方法(i)の直後、同じ反応容器内で実施されてもよい。
【0042】
式II及びIIIの化合物は公知であり得、又は当業者に知られている標準的な工程又は転換を使用して公知の化合物から容易に得られ/合成されうる。しかしながら、本発明の更なる実施態様では、前述した通りだがRがHを表す式IIの調製方法であって、

触媒の存在下、R3a〜R3eが上に定義された通りである(好ましくは全てH)式IVの化合物を炭酸エチレンと反応させることを含み、該反応が、炭酸エチレン1gあたり1g未満の溶媒の存在下で実施されることを特徴とする(又は式IVの化合物のgにつき1g未満の溶媒)方法を提供し、この方法も以下、本発明の方法として称される。
【0043】
あるいは、式IIの化合物はまた、上述のような式IVの化合物と式Vの化合物

との他の標準的な反応によって調製され得、
ここで、Xはクロロ、ブロモ、ヨード又はスルホン酸基などの適切な脱離基を表し、Rは上記で定義したもの又はその保護誘導体(Rが水素を表す場合、例えばOH保護誘導体)であり、標準的なアルキル化反応条件下でなされ、例えばアルカリ金属ベースの塩基(例えばNaCO、KCO、KPO、t-BuONa、t-BuOK、又は好ましくはCHONa)などの塩基、又は塩基の混合、及び適切な溶媒(ジクロロメタン、テトラヒドロフラン、トルエン、ジメチルホルムアミド又は同様なもの又はその混合)の存在下、室温又は上昇温度などの標準的な条件で実行される(適切な反応条件は国際特許出願WO01/60775にも記述されている)。
【0044】
(式IIの化合物を得るための)本発明の方法は、(炭酸エチレン及び式IVの)出発化合物の塩、溶媒和化合物又は保護誘導体を用いて実施されうる。これにより産生される式IIの化合物は、その(対応する)塩又は溶媒和化合物、又はその保護誘導体の形態で産生される場合もあればそうでない場合もある。
【0045】
有利には、式IIの化合物を得るための本発明のこの方法では、産物は非常に高い収率で、例えば80%より高い、例えば90%より高い、又はおよそ定量的収率で生産されうる。更に、所望した産物は結晶化によって単離/精製されうる。
【0046】
(式IIの化合物の調製のための)本発明の方法は所定の量の溶媒(又は溶媒の非存在下で)実施されうると述べた。溶媒が用いられる場合、好ましくは溶媒は芳香族溶媒である(例えばベンゼン又は好ましくはトルエン又はキシレン又はキシレンの混合、すなわちオルト-、メタ-及び/又はパラ-キシレン、最も好ましくは溶媒はトルエン)。本発明のこの方法は、比較的少ない体積/質量の溶媒の存在下(又は無溶媒)、すなわち高濃度で実施される。好ましくは、5gの式IVの化合物につき1g未満の溶媒(より好ましくは10gにつき約1g以下、特に20gにつき約1g以下、より好ましくは25gにつき1g以下)で実施される。最も好ましくは、反応のプロセスは溶媒のグラムにつき約25gの式IVの化合物の存在下で実施される。あるいは、比較的高い濃度の本発明のこのプロセスは、溶媒のmlあたりの式IVの化合物のmoleで表されうる。従って、式IVの化合物のmoleにつき100ml未満の溶媒、例えば50ml/mole未満、好ましくは25ml/mole未満、より好ましくは15ml/mole未満で実施されうる。最も好ましくは、本発明の方法は式IVの化合物のmoleにつき約10ml以下(例えば約9ml)で実施される。
【0047】
(式IIの化合物の調製のための)本発明の方法において、所定の量の溶媒が用いられうることが述べられている。溶媒が用いられる場合好ましくは、反応容器の表面上における炭酸エチレンの析出を避けるために(例えば、表面が冷たい場合にこれは生じうる)、炭酸エチレンは(上記した量において)溶媒に溶解されうる。溶媒の量は重要であり得、例えば、過剰であるべきではなく(そうでなければ、反応容器はある反応温度に達するために加圧される必要がありうる)、比較的少量のみの溶媒が必要とされ得、例えば炭酸エチレンとの組合せにおいて、溶媒の量は5gの炭酸エチレンにつき1g未満でありうる(より好ましくは10gにつき約1g未満、特に15gにつき約1g未満)。好ましい溶媒は上記されており、最も好ましいものはトルエンである。
【0048】
(式IIの化合物の調製のための)本発明の方法は、触媒の存在下において実施され、これは任意の適切な触媒であり得、例えば炭酸塩(炭酸カリウムなど)又は同様なもの、又は好ましくは金属ハロゲン化物、第四級アンモニウムハロゲン化物又は第四級ホスホニウムハロゲン化物又はその混合である。このような触媒は、ハロゲン化カリウム又はナトリウム(ハロゲン化物は塩化物、臭化物又はヨウ化物でありうる)、テトラエチルアンモニウムハロゲン化物(ハロゲン化物は塩化物、臭化物又はヨウ化物でありうる)、テトラブチルアンモニウムハロゲン化物(ハロゲン化物は塩化物、臭化物又はヨウ化物でありうる)、メチルトリオクチルアンモニウムクロリド及びテトラエチルホスホニウムブロミド(ハロゲン化物は塩化物、臭化物又はヨウ化物でありうる)を含む。他の触媒は第1属又は第2属(好ましくは第1属、すなわちアルカリ金属)ハロゲン化物(例えばヨウ化物、臭化物及び/又は塩化物、特にハロゲン化リチウム)を含む。最も好ましい触媒は、金属(例えばナトリウム)ハロゲン化物を含み、特にヨウ化ナトリウムである。触媒の量は本発明の方法に直接の関係はない。しかしながら好ましくは0.001:1〜0.1:1(例えば0.01:1〜0.1:1)の間の触媒:式IVの化合物のモル比が用いられ(例えば約0.06:1、最も好ましくは約0.03:1の比)、当業者はより多い又はより少ない触媒が使用されうることを理解するだろう。
【0049】
触媒がハロゲン化物である場合、触媒のハロゲン化物アニオンは最初に炭酸エチレンの開環を生じ、そして(式IVの化合物の)ヒドロキシ基のプロトンの脱離と共に炭酸モノ-(2-クロロエチル)エステル中間体を形成しうる。式IVの化合物の脱プロトン化ヒドロキシアニオンは次いで、何れかのかかる中間体形態と反応し、この炭酸中間体は(例えば同時発生的に)アルキル化(例えば、求核置換反応においてハロゲン化物を脱離)及び脱炭酸を生じ、これにより所望の式IIの化合物を形成する(また二酸化炭素を形成しハロゲン化物アニオンを再生する)。
【0050】
本発明の方法で用いられる試薬/反応物は、任意の段階及び任意の順で加えられ得、そして反応混合物は適切な温度、例えば反応混合物を融解させる反応温度まで加熱されうる。例えば、式IVの化合物、炭酸エチレン及び(好ましくは80℃以上、例えば100℃以上で沸騰する)溶媒の混合は、室温以上、例えば60℃以上、80℃以上など、(例えば約88℃;又は混合物を融解させる何れかの温度)、約200℃まで(使用される溶媒に依存するが、より好ましくは約170℃まで、例えば約100℃まで)に加熱されうる。次いで触媒がこの反応混合物に加えられうる(しかしながら、反応の間任意の段階で加えられ得、更には開始から存在してもよい)。加熱は、例えば、反応温度が100℃以上、例えば150℃以上(例えば約150℃及び200℃の間、例えば約170℃)になるまで続けられうる。反応混合物は、最大収率を得るために、当業者によって決定されうる時間、反応させられうる。
【0051】
(式IIの化合物を調製するための)反応のプロセス後、混合物は(例えば約170℃でありうる操作温度以下に)、例えば150℃以下、例えば125℃以下、好ましくは約110℃に冷却される。
【0052】
本発明の方法(例えば式IIの)の産物は、任意の適切な方法を使用して、例えば剥離(融解冷却)によって、結晶化によって(例えばトルエン又は同様なもの、すなわち別の適切な溶媒から)及び/又はテレスコーピングによって(式Iの化合物を調製するプロセスなど、その後の工程において用いられうる溶媒の添加による希釈の後に;従って、2-メチルテトラヒドロフランが用いられうる)単離及び/又は精製されうる。
【0053】
(式IIの化合物を調製するための)本発明の方法は、(最大収率のために)式IVの化合物のモル当量と比較して好ましくは少なくとも1当量の炭酸エチレンの存在下において実施されうる。しかしながら、最大で2(例えば最大で約1.5、例えば最大で約1.2)当量の炭酸エチレンが用いられうる。より多い量も用いられうるが、更なる不必要な非反応出発物質により所望されない。
【0054】
本発明の更なる実施態様では、ここに記載される本発明の方法の組合せが提供される。例えば、式IIの化合物の調製の方法(上記で定義したような、式IVの化合物及び炭酸エチレンの反応を含み、以下、方法(iii)と称する)、その後、式Iの化合物の調製の方法(式II及びIIIの化合物の反応を含み、以下、方法(i)と称する)、その後場合によっては上述のしたような結晶化(又は沈殿)(以下、方法(ii)と称する)がなされる方法が提供される。すなわち、ここに記載される何れかの方法が連結されて(すなわち順番に)有利に用いられうる。
【0055】
さらに、本発明の更なる実施態様では、ここに記載される本発明の方法によって産生されうる式Iの化合物(Rは水素を表す)が更に修飾され得、例えば、Rが一又は複数の-OH基によって置換されていてもよいC1−6アルキルを表す式Iの化合物が産生される。例えば、かかる化合物は、ここに記載されるような反応条件下、

式VIの化合物の存在下において、アルキル化によって調製され得、
ここで、XはXについて上記で定義されたものなど適切な脱離基を表し(例えば、ハロ)、R1aは場合によっては一又は複数の-OHによって置換されていてもよいC1−6アルキルを表す。さらに、Rが末端が-OH基で置換されたC1−6アルキル(例えば、-CH-CH-OH)を表す化合物が調製される場合、RがHを表す式Iの化合物が、
式VII、

(上式中、
はXについて上記で定義されたものなどの適切な脱離基を表し(例えば、ハロ)、
1bはC1−5アルキルを表し、
1cは置換されていてもよいC1−6アルキルを表す)
の化合物と、ここに記載されるような標準的なアルキル化反応条件下で反応され、次に、適切な還元反応条件(例えば、エステル部分の-CH-OH部分への還元を促進するもの、LiAlH、LiBH、又は他の適切な還元剤の存在など)で反応されうる。このような反応条件は、米国特許出願US2008/0214860に記載され、その内容は出典明記によりその全体を本明細書中に援用する(特に、RがHを表す対応する式Iの化合物から、Rが-CH-CH-OHを表す式Iの反応の調製を促進するために用いられる反応条件)。
【0056】
有利には、またここに記載されるように、ここで用いられる方法は連続的に結合され得、例えば、次の順番が言及されうる:式IIの化合物の調製の方法(任意)、その後、RがHを表す式Iの化合物の調製の方法(ここに記載される式IIの化合物の調製方法を用いてもよい)、その後、Rが場合によっては一又は複数の-OHで置換されていてもよいC1−6アルキル(例えば-CHCH-OH)を表しているものへの式Iの化合物の変換。
【0057】
ここに記載される中間体化合物、及びその誘導体(例えば保護誘導体)は市販のものであり得、文献に記載されており、又は適切な試薬及び反応条件を使用し、容易に調達できる出発物質から既知の方法に従い一般的な合成手順によって得られてもよい。
【0058】
式Iの化合物又はかかる化合物に対する何れかの関連中間体化合物(又はその塩、溶媒又は誘導体)における置換、例えばR及びXに定義される置換は、当業者によく知られている方法によって、上記の工程の前、後又は間に一又は複数回修飾されうる。このような方法の例は置換、酸化、アルキル化、アシル化、加水分解、エステル化、エーテル化、ハロゲン化、ニトロ化、ジアゾ化又はこのような方法の組合せを含む。
【0059】
特定の官能基が保護されうることがここに記載されている。また、上記の方法において、中間体化合物の他の官能基が保護基によって保護されうる又は保護される必要がありうることが当業者に理解されるだろう。
【0060】
何れの場合でも、保護されることが所望される官能基はヒドロキシを含む(しかしここに記載される工程におけるあるヒドロキシは無保護、すなわちフリー-OH、誘導体
であると特に記載されている、)。ヒドロキシの適切な保護基は、トリアルキルシリル及びジアリールアルキル-シリル基(例えば、tert-ブチルジメチルシリル、tert-ブチルジフェニルシリル又はトリメチルシリル)、テトラヒドロピラニル及びアルキルカルボニル基(例えば、メチル-及びエチルカルボニル基)を含む。しかしながら、ヒドロキシの最も好ましい保護基は、任意に置換されたベンジル等のアルキルアリール基を含む。
【0061】
官能基の保護及び脱保護は、上記の反応工程の何れかの前又は後に行われうる。
【0062】
保護基は、当業者によく知られている方法及び以下に記載する方法により除去されうる。
【0063】
保護基の使用は、“Protective Groups in Organic Chemistry”, edited by J.W.F. McOmie, Plenum Press (1973),及び“Protective Groups in Organic Synthesis”, 3rd edition, T.W. Greene & P.G.M. Wutz, Wiley-Interscience (1999)に記載されている。
【0064】
本発明の方法により得られる式Iの化合物は、標準的な技術、例えばクロマトグラフィー、結晶化、溶媒の蒸発及び/又は濾過によって分離及び/又は単離されうる。
【0065】
本発明の方法にそのように形成された式Iの精製化合物は、上記のもの以外の特定の物質も含みうることが理解されるだろう。
【0066】
この産物は、何れかの適切な分離/精製技術又は技術の組合せを使用して更に精製され得、更なる結晶化、蒸留、相分離、吸着、例えばモレキュラーシーブ及び/又は活性炭を使用、及びスクラビングを含む。
【0067】
ここに記載される方法は、バッチ処理として又は連続処理として操作されうる。例えば、それらは「フローモード」で行われ、任意の適切な方法で加熱され、例えば油、蒸気、電気、又は好ましくはマイクロ波で加熱され(従って方法はマイクロ波支援連続フロー有機合成機器を使用して実施されうる)、任意の規模で実施されうる。有利には、マイクロ波支援連続フロー有機合成機器に適応した特定の装置使用すると、反応は、マイクロ波照射を使用して任意の規模で(比較的大きな規模でさえ)実施されうる。
【0068】
一般に、ここに記載される方法は、先行技術に開示される方法と比較して少ない試薬を利用する及び/又は少ない反応工程(例えば、異なる/別個の反応工程)を必要とする方法で式Iの化合物が産生されうるという利点を有しうる。
【0069】
本発明の方法はまた、所望の(例えば、式I及び/又は式IIの)化合物が、先行技術に開示される方法と比較して、高い収率で、高い選択性で(例えば高い幾何選択性)、少ない時間で、簡便な(すなわち、操作し易い)形態で、簡便な(すなわち、操作し易い)前駆体から、低予算で、及び/又は(試薬及び溶媒を含む)材料の少ない使用及び/又は消耗で生産されるという利点を持ちうる。
【0070】
以下の実施例はここに記載される本発明の方法の実施例を単に説明するものである。
【0071】
使用される全ての器具、試薬及び溶媒は、標準的な実験器具、例えばガラス製品、加熱装置及びHPLC装置である。
【0072】
実施例1A
(A)4-(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゾフェノンの合成
(i)炭酸エチレン(14.26g)、キシレン(1.19g)及び4-ヒドロキシベンゾフェノン(30.41g)の混合物を88°Cに加熱した。ヨウ化ナトリウム(1615mg)を加えた。混合物の温度が169°Cに達するまで加熱を続けた。融解物を110°Cまで冷却し、メタノール(12.76g)、水酸化ナトリウム(50%水溶液;4.01g)、トルエン(42.51g)及び水(28.88g)を加えた。下の層を分離(「カット」)し、捨てた。トルエン(18.1g)を加え、溶媒を111°Cの沸点まで加熱して蒸発させた。4-(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゾフェノンを17°Cでの結晶化及び濾過によって単離し、34.1g(92%)のベージュ結晶を得た。
【0073】
(ii)炭酸エチレン(124.6g;1.07当量)、ヨウ化ナトリウム(6.3g;0.03当量)、4-ヒドロキシベンゾフェノン(262g;1当量)及びトルエン(8.1g)の混合物を加熱した。99°Cで透明溶液を得た。反応混合物を還流冷却器で176°Cまで1時間にわたって加熱し、この間ガス放出が生じた。176°Cで更に1/2時間後、反応混合物を122°Cに冷却し、トルエン(350g)及び水(24g)を加えた。下の相をカットし捨てた。更に水(14g)を加え、下の相を再びカットし捨てた。水及びトルエン(全体で95g)を共沸除去し、111°Cの沸点に達した。更にトルエン(114g)を加え、産物を8°Cで濾過によって単離した。乾燥後、全体で302gの4-(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゾフェノン(94%)を白色結晶として得た(99.8%クロマトグラフィー純度)。
【0074】
(B)オスペミフェン(登録商標)の合成
反応の間、窒素雰囲気を適用した。亜鉛末(1.29g;19.76mmol;2.66当量)及び2-メチル-THF(14mL)をフラスコに入れ、−5°C以下まで冷却した。温度を0℃以下に保ちながら、TiCl(1.1mL;10.03mmol;1.35当量)を亜鉛スラリーにゆっくり加えた(20分にわたる;添加が発熱性であるため)。反応混合物を還流(82°C)まで加熱し、2時間還流させた。2-メチル-THF(5mL)中の両ケトン(1.80gの4-(2ヒドロキシエトキシ)ベンゾフェノン(上記(A)を参照);7.43mmol;1当量;1.25gの3-クロロプロピオフェノン;7.43mmol;1当量)の調製溶液を、還流で黒色反応混合物に加えた。温度は85°Cに上昇した。反応混合物を2時間還流させた。反応混合物を次いで室温まで冷却した。4.6mLの1MのHCl及び4.2mLの6MのHCIを加え、混合物を10分間攪拌した。次いで13mLのトルエンを加え、反応混合物を15分間攪拌した。層を分離した。トルエン層を4mLの水で洗浄し、MgSOで乾燥させた。トルエン溶液からの定量HPLCは38%の収率及びオスペミフェンのZ/E異性体の比4.3/1を示す。トルエン溶液を8.5mLの濃縮NaHCO、6mLの水で洗浄し、MgSOで乾燥させた。3.05gの粗産物をロータリーエバポレーターでの濃縮後得た(バス34°C)。メタノール(13mL)及び水(2.5mL)中における結晶化により油を得た。透明溶液になるまでこの溶液を加熱し、次いで室温までゆっくり冷却させ(結晶が表れる)、次いで+8°Cで一晩静置させた。結晶を濾過し、60%MeOH/水ですすぎ、乾燥させた。0.787gの淡黄色固形物を得た;HPLCによる92.8%の純度(面積%)、及び26%の収率(純物質として算出)。
【0075】
(C)フィスペミフェンの合成
(i)フィスペミフェン(登録商標)を適切なベンゾフェノンとの3-クロロプロピオフェノンのマクマリー反応から直接調製した。
(ii)フィスペミフェン(登録商標)はまた、ここに記載の通りであるがR1bが-CH-を表す式VIIの化合物の存在下における反応と、次の、そのように形成された中間体の還元により、オスペミフェン(登録商標)(上記(B)によって産生される)の反応によって調製される。
【0076】
実施例1B
オスペミフェンの別の合成
ヒドロキシエトキシベンゾフェノン(67.66g、279.3mmol、1当量)、3-クロロプロピオフェノン(47.24g、279.3mmol、1当量)、亜鉛粉末(69.45g、1062mmol、3.8当量)及び2-メチルテトラヒドロフラン(895g、1041ml)を反応器に入れた。スラリーを脱気し、容器を窒素ガスで充填した。スラリーを<15°Cまで冷却し、次いで温度を20°C以下に保ちながら四塩化チタン(101.5g、535.1mmol、1.92当量)をゆっくりドーズした。スラリーを50°Cに加熱し、その温度を15分間維持した。スラリーを70°Cに加熱し、圧力を下げ、2-メチルテトラヒドロフラン(403g)を70°C、650mbarで1時間にわたり蒸留した。亜鉛を濾過し、フィルターを2-メチルテトラヒドロフラン(64g)ですすいだ。圧力を200mbarに下げ、2-メチルテトラヒドロフラン(344g)を43−53°C、200−160mbarの圧力で蒸留した(リサイクルされた純2-メチルテトラヒドロフランの全量は76%)。トルエン(151g)を入れた。温度を20°C以下に保ち塩酸(aq)(116g、37%)及び水(281g)の混合物を加えた。下の水相をカットし(30°Cで)、捨てた。水(128g)を加えた。下の水相をカットし(55°Cで)、捨てた。水(131g)を再度加え、下の水相をカットし(55°Cで)、捨てた。圧力を下げ、2-メチルテトラヒドロフラン+トルエン+水を、約残留量が130mlになるまで、150−50bar、37−60°Cで蒸留した。結晶化/沈殿方法の前は、オスペミフェンのZ:E異性体比は約5.5:1だった。次いでメタノール(125g)を入れ、溶液を濾過した。濾過物に、全重量572gとなるまでメタノールを加えた(内容物は121gの原物質+トルエン及び451gのメタノールと推定)。水(148g)を濾過物に加え、溶液を50°Cに加熱した。次いで溶液を48°Cまで冷却し、シードした。混合物を5時間にわたって15°Cまでゆっくり冷却し、この温度を一晩維持した。産物を濾過によって単離し、濾過ケーキをメタノール(aq)(74%、141g)ですすいだ。乾燥後、収量は50.4gであった(47.6%)。HPLCにより純度>99%(標準)。原物質は98.81%Z-異性体、0.61%E-異性体(従って162:1のZ:E比)及び0.58%の他の産物を含有した。再結晶化後得られた産物(96%の収率;従って有利には収率は著しくは低下されない)は99.9%Z-異性体,0.05%E-異性体(従って1991:1のZ:E比)及び0.05%の他の産物であった。従って、極度に純粋で選択的な式Iの化合物のZ-異性体が本発明のこの方法によって得られる。
【0077】
実施例2
オスペミフェン(登録商標)又は本発明の他の適切な化合物(例えば、フィスペミフェン(登録商標))は、標準的な手順を使用して薬学的に許容可能な製剤に製剤化されうる。
【0078】
例えば、オスペミフェン(登録商標)(又は本発明の他の適切な化合物、例えばフィスペミフェン(登録商標))、又はその塩を含んでなる薬学的製剤を調製する方法が提供され、この方法は上記で定義したような方法を方法工程として含むことを特徴とする。当業者は、このような薬学的製剤が何を含むか/何から成るか分かるだろう(例えば、活性薬剤(すなわちオスペミフェン(登録商標)、又は本発明の他の適切な化合物、例えばフィスペミフェン(登録商標)、又はその塩)及び薬学的に許容可能な賦形剤、アジュバント、希釈剤及び/又は担体の混合)。
【0079】
オスペミフェン(登録商標)(又は本発明の他の適切な化合物、例えばフィスペミフェン(登録商標);又はその塩)を含んでなる薬学的製剤の調製方法であって、オスペミフェン(登録商標)(又は本発明の他の適切な化合物、例えばフィスペミフェン(登録商標))、又はその薬学的に許容可能な塩(上述される方法によって形成されうる)を、薬学的に許容可能な賦形剤(一又は複数)、アジュバント(一又は複数)、希釈剤(一又は複数)及び/又は担体(一又は複数)と会合させることを含む方法を更に提供する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I:

(上式中、
Xはハロ又は-OHを表し、
は、一又は複数の-OH基で置換されていてもよいC1−6アルキル又はHを表し、
各R2a、R2b、R2c、R2d、R2e、R3a、R3b、R3c、R3d及びR3eは独立してH又は- OHを表す)
の化合物の調製方法であって、
式II

(上式中、
及びR3a、R3b、R3c、R3d及びR3eは上に記載の通りである)の化合物を
式III

(上式中、
X及びR2a、R2b、R2c、R2d及びR2eは上に記載の通りである)の化合物と反応させることをを含む方法。
【請求項2】
Xがクロロを表す請求項1に記載の方法。
【請求項3】
がHを表し、及び/又はR2a、R2b、R2c、R2d、R2e、R3a、R3b、R3c、R3d及びR3e全てがHを表す請求項1又は請求項2に記載の方法。
【請求項4】
式Iの化合物が4:1より大きいか又は約4:1の幾何異性体Z:E比を有する請求項1−3の何れか一項に記載の方法。
【請求項5】
溶媒の非存在下において、又は2-メチルテトラヒドロフランの存在下において実施される請求項1−4の何れか一項に記載の方法。
【請求項6】
塩化チタン化合物及び還元剤の存在下で実施される請求項1−5の何れか一項に記載の方法。
【請求項7】
塩化チタン化合物及び還元剤がTiCl及び亜鉛(例えば、亜鉛末)である請求項6に記載の方法。
【請求項8】
本発明の方法における式II及びIIIの化合物のモル比が約1:1であり、及び/又は塩化チタン化合物の(式II又はIIIの化合物に対する)モル当量が約1.3:1である請求項1−7の何れか一項に記載の方法。
【請求項9】
請求項1−8の何れかに記載の式Iの化合物の単離/精製方法であって、例えば溶媒系における化合物の結晶化又は沈殿を含み請求項1−8の何れか一項に記載の方法により得られる式Iの化合物の結晶化又は沈殿を含む方法。
【請求項10】
溶媒系が、水と混合されていてもよいアルコール(例えば、メタノール)を含む請求項9に記載の方法。
【請求項11】
式Iの化合物が、10:1より大きいZ:E比及び/又は95%より高いHPLC純度で得られる請求項9又は請求項10に記載の方法。
【請求項12】
請求項1−11の何れか一項に記載される式Iの化合物(RはHを表す)の調製方法であって、

触媒の存在下、R3a〜R3eが請求項1又は3に定義された通りである式IVの化合物を炭酸エチレンと反応させることを含み、該反応が、炭酸エチレン1gあたり1g未満の溶媒の存在下で実施されることを特徴とする(請求項1に定義されるがRはHを表す)式IIの化合物の調製を最初に有する方法。
【請求項13】
トルエン又はキシレンの存在下で実施される(例えば、炭酸エチレン5gあたり1g未満の量で溶媒が存在する)請求項12に記載の方法。
【請求項14】
触媒が炭酸塩、金属ハロゲン化物、第四級アンモニウムハロゲン化物又は第四級ホスホニウムハロゲン化物、又はその混合物である請求項12又は請求項13に記載の方法。
【請求項15】
触媒がヨウ化カリウム又はナトリウムである請求項14に記載の方法。
【請求項16】
請求項1〜3の何れか一項に記載の式Iの化合物の調製方法であって、
(i)請求項12〜15の何れか一項に記載の式IIの化合物の調製方法、
(ii)式IIの化合物が上記方法工程(i)から得られる請求項1〜8の何れか一項に記載の式Iの化合物の調製方法、及び場合によっては
(iii)請求項9、請求項10又は請求項11に記載の方法に従う上記工程(ii)によって得られる式Iの化合物の単離
を含む方法。
【請求項17】
が末端が-OH基で置換されたC1−6アルキル(例えば、-CH-CH-OH)を表す請求項1に記載の式Iの化合物の調製方法であって、
(請求項1−11の何れか一項に記載の)RがHを表す式Iの化合物の調製と、次に
は適切な脱離基を表し、R1bはC1−5アルキル(例えば-CH-)を表し、R1cは置換されていてもよいC1−6アルキルを表す式VIIの化合物

との反応と、次に
(エステル部分の-CH-OH部分への)還元
を含む方法。
【請求項18】
請求項1−13又は17(例えば、1−10、16又は17)の何れか一項に記載の方法を方法工程として含むことを特徴とする、式Iの化合物又はその塩を含んでなる薬学的製剤の調製方法。
【請求項19】
請求項1−13又は17(例えば請求項1−10、16又は16)の何れか一項に記載される式Iの化合物又はその塩の調製方法の後に、そのように形成された式Iの化合物(又はその塩)を、薬学的に許容可能な賦形剤(一又は複数)、アジュバント(一又は複数)、希釈剤(一又は複数)又は担体(一又は複数)と会合させる方法を含む、式Iの化合物又はその塩を含んでなる薬学的製剤の調製方法。
【請求項20】
実施例を参照して明細書に実質的に記載された方法又は化合物。

【公表番号】特表2013−517320(P2013−517320A)
【公表日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−549409(P2012−549409)
【出願日】平成23年1月19日(2011.1.19)
【国際出願番号】PCT/GB2011/000058
【国際公開番号】WO2011/089385
【国際公開日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【出願人】(512187882)カンブレックス カルルスクーガ アクチボラゲット (1)
【Fターム(参考)】