説明

ベンゾフラン誘導体の製造方法

【課題】2,3−ジヒドロベンゾフラン環を有するベンゾフラン誘導体の製造法、とりわけ、5位にアシルアミノ基を有する2,3−ジヒドロベンゾフラン誘導体の効率的かつ簡便な、工業的生産に適した製造法を提供する。
【解決手段】7−アセチル−5−アミノ−3−フェニルベンゾフランを原料とし、アミノ基を保護し、還元、脱保護し、t−ブチルアセチルクロリドにより目的化合物を得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ベンゾフラン誘導体の製造法、特に、2,3−ジヒドロベンゾフランの5位にアシルアミノ基を有する化合物の工業的に有利な製造法に関する。
【0002】
[発明の背景]
2,3−ジヒドロベンゾフラン環を有する誘導体は種々の薬理活性が報告されており、その工業的に有利な合成法が広く求められている。2,3−ジヒドロベンゾフラン環の構築法としては、例えば、特許文献1〜4に記載された方法等が知られている。また、2,3−ジヒドロベンゾフラン環の5位に置換アミノ基が導入された化合物は有用な生理活性を有する化合物が多く、特に重要である。
従来、2,3−ジヒドロベンゾフラン環の5位に置換アミノ基を導入するためには、特許文献5に記載されているように、あらかじめ所望の位置に置換アミノ基が導入されたフェノール誘導体を原料として用いて2,3−ジヒドロベンゾフランを構築するか、5位が無置換の2,3−ジヒドロベンゾフランのニトロ化、ニトロソ化を行った後に、還元反応に付し合成する方法が知られている。
また、特許文献6には脳血管障害急性期および頭部外傷の治療に有用な、2,3−ジヒドロベンゾフラン環の5位にアシルアミノ基を有するベンゾフラン誘導体が開示されており、下記の製造法が記載されている。
【0003】
【化1】

【0004】
2,3−ジヒドロベンゾフラン環の5位にアシルアミノ基を有するベンゾフラン誘導体の有用性に鑑み、これらの工業的生産に適した、より緩和な反応条件下での好収率の製造法の提供が望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平5−194466号公報
【特許文献2】EP483772号公開公報
【特許文献3】特開平5−140142号公報
【特許文献4】WO98/08842号パンフレット
【特許文献5】WO00/34262号パンフレット
【特許文献6】WO2005/000829号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このような事情に鑑み、本発明は、2,3−ジヒドロベンゾフラン環を有するベンゾフラン誘導体の新規製造法、とりわけ、5位にアシルアミノ基を有する2,3−ジヒドロベンゾフラン誘導体(特に化合物(1a))の効率的かつ簡便な、工業的生産に適した新規な製造法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
特許文献6の方法では、ホルミル基のアルキル化工程ではジアステレオマーの分離が必要となり操作が煩雑となること、また総収率が低いこと等の問題があった。
本発明者らは、鋭意検討を行った結果、アシル基を不斉還元することにより、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち、本発明は、次の通りである。
[1] 式(3):
【0009】
【化2】

【0010】
〔式中、RはC1−6アルキル基を示し、A環は1ないし2個の同一または異なったC1−6アルキル基でさらに置換されていてもよいベンゼン環を示し、B環は1ないし5個の同一または異なったC1−6アルキル基で置換されていてもよいベンゼン環を示す。〕
で表される化合物またはその塩(以下、化合物(3)ともいう)を、式(2):
【0011】
【化3】

【0012】
〔式中、RはC1−6アルキル基を示し、Xは脱離基または水酸基を示す。〕
で表される化合物またはその塩(以下、化合物(2)ともいう)と反応させることを特徴とする、式(1):
【0013】
【化4】

【0014】
〔式中、各記号は前記と同意義を示す。〕
で表される化合物またはその塩(以下、化合物(1)ともいう)の製造方法。
[2] 化合物(3)が、式(4):
【0015】
【化5】

【0016】
〔式中、RはC1−6アルキル基を示し、RはC1−6アルコキシ−カルボニル基を示し、A環は1ないし2個の同一または異なったC1−6アルキル基でさらに置換されていてもよいベンゼン環を示し、B環は1ないし5個の同一または異なったC1−6アルキル基で置換されていてもよいベンゼン環を示す。〕
で表される化合物(以下、化合物(4)ともいう)を、脱アルコキシカルボニル化反応に付することにより製造される化合物である、上記[1]記載の製造方法。
[3] 化合物(4)が、式(5):
【0017】
【化6】

【0018】
〔式中、RはC1−6アルキル基を示し、RはC1−6アルコキシ−カルボニル基を示し、A環は1ないし2個の同一または異なったC1−6アルキル基でさらに置換されていてもよいベンゼン環を示し、B環は1ないし5個の同一または異なったC1−6アルキル基で置換されていてもよいベンゼン環を示す。〕
で表される化合物(以下、化合物(5)ともいう)を、不斉還元反応に付することにより製造される化合物である、上記[2]記載の製造方法。
[4] (3R)-7-[(1R)-1-ヒドロキシエチル]-3-(4-イソプロピルフェニル)-4,6-ジメチル-2,3-ジヒドロ-1-ベンゾフラン-5-アミンまたはその塩を式(2a):
【0019】
【化7】

【0020】
〔式中、Xは脱離基または水酸基を示す。〕
で表される化合物またはその塩(以下、化合物(2a)ともいう)と反応させることを特徴とする、N-[(3R)-7-[(1R)-1-ヒドロキシエチル]-3-(4-イソプロピルフェニル)-4,6-ジメチル-2,3-ジヒドロ-1-ベンゾフラン-5-イル]-3,3-ジメチルブタンアミドの製造方法。
[5] (3R)-7-[(1R)-1-ヒドロキシエチル]-3-(4-イソプロピルフェニル)-4,6-ジメチル-2,3-ジヒドロ-1-ベンゾフラン-5-アミンまたはその塩が、[(3R)-7-[(1R)-1-ヒドロキシエチル]-3-(4-イソプロピルフェニル)-4,6-ジメチル-2,3-ジヒドロ-1-ベンゾフラン-5-イル]カルバミド酸メチルを脱アルコキシカルボニル化反応に付することにより製造される化合物である、上記[4]記載の製造方法。
[6] [(3R)-7-[(1R)-1-ヒドロキシエチル]-3-(4-イソプロピルフェニル)-4,6-ジメチル-2,3-ジヒドロ-1-ベンゾフラン-5-イル]カルバミド酸メチルが、[(3R)-7-アセチル-3-(4-イソプロピルフェニル)-4,6-ジメチル-2,3-ジヒドロ-1-ベンゾフラン-5-イル]カルバミド酸メチルを不斉還元反応に付することにより製造される化合物である、上記[5]記載の製造方法。
[7] 2-ブロモ-1-(4-イソプロピルフェニル)エタノンを、塩基存在下、3,5-ジメチル-4-ニトロフェノールと反応させることを特徴とする、1-(4-イソプロピルフェニル)-2-(3,5-ジメチル-4-ニトロフェノキシ)エタノンの製造方法。
[8] (3R)-7-[(1R)-1-ヒドロキシエチル]-3-(4-イソプロピルフェニル)-4,6-ジメチル-2,3-ジヒドロ-1-ベンゾフラン-5-アミンまたはその塩。
[9] [(3R)-7-[(1R)-1-ヒドロキシエチル]-3-(4-イソプロピルフェニル)-4,6-ジメチル-2,3-ジヒドロ-1-ベンゾフラン-5-イル]カルバミド酸メチル。
[10] [(3R)-7-アセチル-3-(4-イソプロピルフェニル)-4,6-ジメチル-2,3-ジヒドロ-1-ベンゾフラン-5-イル]カルバミド酸メチル。
[11] [(3R)-3-(4-イソプロピルフェニル)-4,6-ジメチル-2,3-ジヒドロ-1-ベンゾフラン-5-イル]カルバミド酸メチル。
[12] (3R)-3-(4-イソプロピルフェニル)-4,6-ジメチル-2,3-ジヒドロ-1-ベンゾフラン-5-アミン (2S)-2-(6-メトキシ-2-ナフチル)プロパン酸塩。
[13] 3-(4-イソプロピルフェニル)-4,6-ジメチル-5-ニトロ-1-ベンゾフラン。
[14] 1-(4-イソプロピルフェニル)-2-(3,5-ジメチル-4-ニトロフェノキシ)エタノン。
[15] 工程1A:2-ブロモ-1-(4-イソプロピルフェニル)エタノンを、塩基存在下、3,5-ジメチル-4-ニトロフェノールと反応させて、1-(4-イソプロピルフェニル)-2-(3,5-ジメチル-4-ニトロフェノキシ)エタノンを得る工程;
工程2A:1-(4-イソプロピルフェニル)-2-(3,5-ジメチル-4-ニトロフェノキシ)エタノンを環化反応に付して、3-(4-イソプロピルフェニル)-4,6-ジメチル-5-ニトロ-1-ベンゾフランを得る工程;
工程3A:3-(4-イソプロピルフェニル)-4,6-ジメチル-5-ニトロ-1-ベンゾフランを還元して、3-(4-イソプロピルフェニル)-4,6-ジメチル-2,3-ジヒドロ-1-ベンゾフラン-5-アミンまたはその塩を得る工程;
工程3A’:3-(4-イソプロピルフェニル)-4,6-ジメチル-2,3-ジヒドロ-1-ベンゾフラン-5-アミンまたはその塩を(2S)-2-(6-メトキシ-2-ナフチル)プロパン酸を用いた分別晶析による光学分割に付して、(3R)-3-(4-イソプロピルフェニル)-4,6-ジメチル-2,3-ジヒドロ-1-ベンゾフラン-5-アミン (2S)-2-(6-メトキシ-2-ナフチル)プロパン酸塩を得る工程;
工程3A’’:(3R)-3-(4-イソプロピルフェニル)-4,6-ジメチル-2,3-ジヒドロ-1-ベンゾフラン-5-アミン (2S)-2-(6-メトキシ-2-ナフチル)プロパン酸塩を塩基で処理して、(3R)-3-(4-イソプロピルフェニル)-4,6-ジメチル-2,3-ジヒドロ-1-ベンゾフラン-5-アミンを得る工程;
工程4A:(3R)-3-(4-イソプロピルフェニル)-4,6-ジメチル-2,3-ジヒドロ-1-ベンゾフラン-5-アミンを、塩基存在下、ハロゲン化ギ酸メチルと反応させて、[(3R)-3-(4-イソプロピルフェニル)-4,6-ジメチル-2,3-ジヒドロ-1-ベンゾフラン-5-イル]カルバミド酸メチルを得る工程;
工程5A:[(3R)-3-(4-イソプロピルフェニル)-4,6-ジメチル-2,3-ジヒドロ-1-ベンゾフラン-5-イル]カルバミド酸メチルをアセチル化反応に付して、[(3R)-7-アセチル-3-(4-イソプロピルフェニル)-4,6-ジメチル-2,3-ジヒドロ-1-ベンゾフラン-5-イル]カルバミド酸メチルを得る工程;
工程6A:[(3R)-7-アセチル-3-(4-イソプロピルフェニル)-4,6-ジメチル-2,3-ジヒドロ-1-ベンゾフラン-5-イル]カルバミド酸メチルを不斉還元反応に付して、[(3R)-7-[(1R)-1-ヒドロキシエチル]-3-(4-イソプロピルフェニル)-4,6-ジメチル-2,3-ジヒドロ-1-ベンゾフラン-5-イル]カルバミド酸メチルを得る工程;
工程7A:[(3R)-7-[(1R)-1-ヒドロキシエチル]-3-(4-イソプロピルフェニル)-4,6-ジメチル-2,3-ジヒドロ-1-ベンゾフラン-5-イル]カルバミド酸メチルを脱アルコキシカルボニル化反応に付して、(3R)-7-[(1R)-1-ヒドロキシエチル]-3-(4-イソプロピルフェニル)-4,6-ジメチル-2,3-ジヒドロ-1-ベンゾフラン-5-アミンまたはその塩を得る工程;および
工程8A:(3R)-7-[(1R)-1-ヒドロキシエチル]-3-(4-イソプロピルフェニル)-4,6-ジメチル-2,3-ジヒドロ-1-ベンゾフラン-5-アミンまたはその塩を化合物(2a)と反応させて、N-[(3R)-7-[(1R)-1-ヒドロキシエチル]-3-(4-イソプロピルフェニル)-4,6-ジメチル-2,3-ジヒドロ-1-ベンゾフラン-5-イル]-3,3-ジメチルブタンアミドを得る工程;
を包含する、N-[(3R)-7-[(1R)-1-ヒドロキシエチル]-3-(4-イソプロピルフェニル)-4,6-ジメチル-2,3-ジヒドロ-1-ベンゾフラン-5-イル]-3,3-ジメチルブタンアミドの製造方法。
【発明の効果】
【0021】
本発明では、アシル基の不斉還元を行うことにより、精製・単離操作が簡便となる、さらに総収率が高くなり安価に製造できるという利点を有する。
【0022】
[発明の詳細な説明]
本明細書中、「C1−6アルキル」とは、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、1−エチルプロピル、n−ヘキシル、イソヘキシル、1,1−ジメチルブチル、2,2−ジメチルブチル、3,3−ジメチルブチル、2−エチルブチル等を示す。
本明細書中、「C1−6アルコキシ」とは、例えば、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、イソブトキシ、sec−ブトキシ、tert−ブトキシ、n−ペンチルオキシ、イソペンチルオキシ、ネオペンチルオキシ、1−エチルプロピルオキシ、n−ヘキシルオキシ、イソヘキシルオキシ、1,1−ジメチルブチルオキシ、2,2−ジメチルブチルオキシ、3,3−ジメチルブチルオキシ、2−エチルブチルオキシ等を示す。
本明細書中、「C1−6アルコキシ−カルボニル」とは、例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、n-プロポキシカルボニル、イソプロポキシカルボニル、n−ブトキシカルボニル、イソブトキシカルボニル、tert−ブトキシカルボニル等を示す。
本明細書中、「ハロゲン原子」とは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子およびヨウ素原子を示す。
本明細書中、「C6−10アリール」とは、例えば、フェニル、1−ナフチル、2−ナフチル等を示す。
本明細書中、「脱離基」とは、例えば、ハロゲン原子、ハロゲン化されていてもよいC1−6アルキルスルホニルオキシ基、置換されていてもよいC1−6アルキルアシルオキシ基、置換されていてもよいC1−6アルコキシアシルオキシ基、置換されていてもよいC6−10アリールスルホニルオキシ基、置換されていてもよいフェニルオキシ基、置換されていてもよい2−チオベンゾチアゾール基等が挙げられる。「置換されていてもよいC6−10アリールスルホニルオキシ基」、「置換されていてもよいフェニルオキシ基」および「置換されていてもよい2−チオベンゾチアゾール基」における「置換基」としては、例えば、C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、ニトロ等が挙げられる。
「ハロゲン化されていてもよいC1−6アルキルスルホニルオキシ基」の具体例としては、例えば、メタンスルホニルオキシ、エタンスルホニルオキシ、トリクロロメタンスルホニルオキシ、トリフルオロメタンスルホニルオキシ等が挙げられる。
「置換されていてもよいC6−10アリールスルホニルオキシ基」の具体例としては、例えば、ベンゼンスルホニルオキシ、m−ニトロベンゼンスルホニルオキシ、p−トルエンスルホニルオキシ等が挙げられる。
「置換されていてもよいC1−6アルキルアシルオキシ基」の具体例としては、例えば、2,2―ジメチルプロピオニルオキシ基等が挙げられる。
「置換されていてもよいC1−6アルコキシアシルオキシ基」の具体例としては、例えば、tert−ブチルジカーボネート等が挙げられる。
「置換されていてもよいフェニルオキシ基」の具体例としては、例えば、4−ニトロフェノキシ、1H−ベンゾトリアゾール−1−ヒドロキシル等が挙げられる。
「置換されていてもよい2−チオベンゾチアゾール基」の具体例としては、例えば、2−チオベンゾチアゾール基等が挙げられる。
【0023】
としては、好ましくはメチルである。
としては、好ましくはネオペンチルである。
としては、好ましくはメトキシカルボニルである。
A環としては、2個の同一または異なったC1−6アルキル基でさらに置換されたベンゼン環であり、より好ましくは2個の同一C1−6アルキル基でさらに置換されたベンゼン環であり、特に好ましくは2個のメチルでさらに置換されたベンゼン環である。
B環としては、好ましくは1個のC1−6アルキル基で置換されたベンゼン環であり、より好ましくはp位がC1−6アルキル基で置換されたベンゼン環であり、特に好ましくはp位がイソプロピルで置換されたベンゼン環である。
Xとしては、好ましくはハロゲン原子であり、より好ましくは塩素原子である。
【0024】
本発明の製造方法を以下に説明する。本発明の製造方法は、以下の合成ルートに従って行われる。
【0025】
【化8】

【0026】
(式中、X’は、脱離基または水酸基を示し、その他の記号は前記と同意義である。)
X’としては、好ましくはハロゲン原子であり、より好ましくは臭素原子である。
【0027】
工程1
X’が脱離基であるとき、化合物(9)は、化合物(10)と化合物(11)を塩基存在下で反応させることにより製造できる。
化合物(10)の使用量は、化合物(11)1モルに対し、約0.5ないし約20モル、好ましくは約0.8ないし約2モルである。
塩基としては、例えば、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム、炭酸水素ナトリウム等の塩基性塩類、ピリジン、ルチジン等の芳香族アミン類、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、シクロヘキシルジメチルアミン、4−N,N−ジメチルアミノピリジン、N,N−ジメチルアニリン、N−メチルピペリジン、N−メチルピロリジン、N−メチルモルホリン等の第3級アミン類、水素化ナトリウム、水素化カリウム等のアルカリ金属水素化物類、ナトリウムアミド、リチウムジイソプロピルアミド、リチウムヘキサメチルジシラジド、カリウムヘキサメチルジシラジド、ナトリウムヘキサメチルジシラジド等の金属アミド類、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウム−tert−ブトキシド、ナトリウム−tert−ブトキシド等の金属アルコキシド類等が挙げられる。塩基の使用量は、化合物(11)に対して、約0.5ないし約5当量、好ましくは0.8ないし約2当量である。
また、所望により、塩基とともに第4級アンモニウム塩を共存させてもよい。第4級アンモニウム塩としては、例えば、テトラブチルアンモニウムヨージド等が挙げられる。第4級アンモニウム塩の使用量は、化合物(10)1モルに対して、約0.0001ないし約100モル、好ましくは0.001ないし約2.0モルである。
本反応は反応に不活性な溶媒を用いて行うのが有利である。このような溶媒としては反応が進行する限り特に限定されないが、例えば、水;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン等のエーテル類;ベンゼン、トルエン、シクロヘキサン、ヘキサン等の炭化水素類;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド類;ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素類;アセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリル類;ジメチルスルホキシド等のスルホキシド類等の溶媒またはこれらの混合溶媒等が好ましい。
反応温度は、約−50℃ないし約200℃、好ましくは約−30℃ないし約100℃である。
反応時間は、約5分ないし約100時間、好ましくは約30分ないし約10時間である。
生成物は反応液のまま、あるいは粗生成物として次の反応に用いることもできるが、常法に従って反応混合物から単離することもでき、通常の分離手段(例、再結晶、蒸留、クロマトグラフィー等)により容易に精製することができる。
【0028】
X’が水酸基であるとき、化合物(9)は、光延反応により化合物(10)と化合物(11)を反応させることにより製造できる。
当該反応は、化合物(11)とX’が水酸基である化合物(10)とを、アゾジカルボキシレート類およびホスフィン類の存在下で反応させることにより行われる。
X’が水酸基である化合物(10)の使用量は、化合物(11)1モルに対し、約0.5ないし約2モル、好ましくは約0.8ないし約1.2モルである。
アゾジカルボキシレート類としては、例えば、ジメチルアゾジカルボキシレート、ジエチルアゾジカルボキシレート等が挙げられる。アゾジカルボキシレート類の使用量は、化合物(11)1モルに対して、約0.5ないし約50モル、好ましくは約0.8ないし約1.5モルである。
ホスフィン類としては、例えば、トリフェニルホスフィン、トリブチルホスフィン等が挙げられる。ホスフィン類の使用量は、化合物(11)1モルに対して、約0.5ないし約10モル、好ましくは約0.8ないし約1.5モルである。
本反応は反応に不活性な溶媒を用いて行うのが有利である。このような溶媒としては反応が進行する限り特に限定されないが、例えば、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン等のエーテル類、ベンゼン、トルエン、シクロヘキサン、ヘキサン等の炭化水素類、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド類、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素類、アセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリル類等の溶媒もしくはそれらの混合溶媒等が好ましい。
反応温度は、約−50℃ないし約100℃、好ましくは約−10℃ないし約80℃である。
反応時間は、約5分ないし約100時間、好ましくは約30分ないし約10時間である。
生成物は反応液のまま、あるいは粗生成物として次の反応に用いることもできるが、常法に従って反応混合物から単離することもでき、通常の分離手段(例、再結晶、蒸留、クロマトグラフィー等)により容易に精製することができる。
【0029】
化合物(10)および化合物(11)は、US 4487779 A 1984 1211、テトラヘドロン レターズ(Tetrahedron Letters)29巻、1869−1872頁(1988)、シンセシス(Synthesis)487頁(1980)、ジャーナル オブ メディシナル ケミストリー(J.Med.Chem.)、50巻、21−39頁(2007)に記載の方法またはこれらに準じた方法に従って製造できる。
【0030】
工程2
化合物(8)は、化合物(9)を環化することにより製造できる。
当該反応は、化合物(9)を酸存在下で反応することにより行われる。
酸としては、例えば、塩化アルミニウム、塩化鉄、塩化第二スズ、四塩化チタン、三フッ化ホウ素ジエチルエーテル等のルイス酸、ポリリン酸、硫酸等の鉱酸、トリフルオロ酢酸、メタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸等の有機酸等が挙げられる。酸の使用量は、化合物(9)1モルに対して、約0.01ないし約100モル、好ましくは約0.1ないし約5モルである。
本反応は、無溶媒で行うか、反応に不活性な溶媒を用いて行うのが有利である。このような溶媒としては、反応が進行する限り特に限定されないが、例えば、水;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン等のエーテル類;ベンゼン、トルエン、シクロヘキサン、ヘキサン等の炭化水素類;二硫化炭素、ニトロメタン等のニトロアルカン類;ニトロベンゼン等のニトロアリール類;ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、1,2−ジクロロエタン、1,2−ジクロロベンゼン等のハロゲン化炭素類;酢酸、トリフルオロ酢酸等の有機酸類の溶媒またはこれらの混合溶媒等が好ましい。
反応温度は、約−50℃ないし約300℃、好ましくは約80℃ないし約150℃である。
反応時間は、約5分ないし約1000時間、好ましくは約30分ないし約10時間である。
生成物は反応液のまま、あるいは粗生成物として次の反応に用いることもできるが、常法に従って反応混合物から単離することもでき、通常の分離手段(例、再結晶、蒸留、クロマトグラフィー等)により容易に精製することができる。
【0031】
工程3
化合物(7)は、化合物(8)を還元することにより製造できる。
還元反応としては、接触還元法や、有機シリル試薬(アルキルシラン試薬等)、水素化アルミニウムリチウム等の金属水素錯化合物、二塩化スズ、亜鉛、サマリウム、インジウム、鉄等の還元性金属塩や金属を用いる方法等が挙げられる。
【0032】
当該接触還元法は、金属触媒を用いて水素添加することにより行われる。
金属触媒としては、例えば、パラジウム−炭素、ロジウム−炭素、パラジウム黒、塩化パラジウム、酸化白金、白金黒、白金−パラジウム、ラネーニッケル、ラネーコバルト等が挙げられる。
金属触媒の使用量は、化合物(8)1モルに対して、約0.0001ないし約10モル、好ましくは約0.01ないし約0.10モルである。
水素源としては、例えば、水素ガス、ギ酸、ギ酸アミン塩、ホスフィン酸塩、ヒドラジン等が挙げられる。
本反応は無溶媒または反応に不活性な溶媒を用いて行うのが有利である。このような溶媒としては反応が進行する限り特に限定されないが、例えば、水;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン等のエーテル類;メタノール、エタノール、プロパノール等のアルコール類;ベンゼン、トルエン、シクロヘキサン、ヘキサン等の炭化水素類;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド類;ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素類;アセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリル類等の溶媒またはこれらの混合溶媒等が好ましい。
反応温度は、約−10ないし約200℃、好ましくは約10℃ないし約100℃である。
反応時間は、約5分ないし約100時間、好ましくは約30分ないし約10時間である。
生成物は反応液のまま、あるいは粗生成物として次反応に用いることもできるが、常法に従って反応混合物から単離することもでき、通常の分離手段(例、再結晶、蒸留、クロマトグラフィー等)により容易に精製することもできる。
【0033】
有機シリル試薬(アルキルシラン試薬)を用いる方法では、化合物(7)は、化合物(8)をアルキルシラン試薬および酸と反応させることにより製造できる。
アルキルシラン試薬としては、例えば、トリエチルシラン、フェニルジメチルシラン等が挙げられる。アルキルシラン試薬の使用量は、化合物(8)1モルに対し、約2モルないし約100モル、好ましくは、約2モルないし約4モルである。
酸としては、例えば、トリフルオロ酢酸等の有機酸が挙げられる。酸の使用量は、化合物(8)1モルに対し、約0.1モルないし1000モルである。
本反応は、無溶媒または反応に不活性な溶媒を用いて行うのが有利である。このような溶媒としては反応が進行する限り特に限定されないが、例えば、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン等のエーテル類、ベンゼン、トルエン、シクロヘキサン、ヘキサン等の炭化水素類、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン化炭素類、酢酸、トリフルオロ酢酸等の有機酸類等の溶媒もしくはそれらの混合溶媒等が好ましい。
反応温度は、約−70℃ないし約200℃、好ましくは約10℃ないし約100℃である。
反応時間は、約5分ないし約100時間、好ましくは約5分ないし約24時間である。
生成物は反応液のまま、あるいは粗生成物として次反応に用いることもできるが、常法に従って反応混合物から単離することもでき、通常の分離手段(例、再結晶、蒸留、クロマトグラフィー等)により容易に精製することもできる。
【0034】
光学活性な化合物(7)(即ち、ジヒドロベンゾフラン環の3位の立体配置がキラルである化合物)は、工程3で得られたラセミの化合物(7)を光学分割に付することにより製造できる。
光学分割は、光学活性な酸を用いて分別晶析を行う方法、光学活性なカラムクロマトグラフィーを用いる方法、酵素を用いる方法等が採用できる。
使用可能な光学活性な酸としては、化合物(7)との塩の結晶性、光学分割効率等の観点から、例えば、ブロフェン類として(2S)−2−(6−メトキシ−2−ナフチル)プロパン酸、(2R)−2−(6−メトキシ−2−ナフチル)プロパン酸等が、酒石酸類としてL−酒石酸、D−酒石酸、ジベンゾイル−L−酒石酸、ジベンゾイル−D−酒石酸、p−トルオイル−L−酒石酸、p−トルオイル−D−酒石酸、o−トルオイル−L−酒石酸、o−トルオイル−D−酒石酸、m−トルオイル−L−酒石酸、m−トルオイル−D−酒石酸等が挙げられ、中でも、(2S)−2−(6−メトキシ−2−ナフチル)プロパン酸、(2R)−2−(6−メトキシ−2−ナフチル)プロパン酸、ジベンゾイル−L−酒石酸、ジベンゾイル−D−酒石酸が好ましい。光学活性な酸の使用量は、ラセミの化合物(7)に対して、約0.5当量ないし約10当量、好ましくは約0.5当量ないし約2.0当量である。
分別晶析は、ラセミの化合物(7)の溶液に光学活性な酸を添加することにより行われる。光学活性な酸は溶液として使用してもよい。添加後は、必要により冷却してもよく、また、種晶を加えてもよい。
使用可能な溶媒としては、水;メタノール、エタノール等のアルコール類;ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン等のエーテル類;メタノール、エタノール、プロパノール、2−ヒドロキシメチルテトラヒドロフラン等のアルコール類;ベンゼン、トルエン、二硫化炭素、シクロヘキサン、ヘキサン等の炭化水素類;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド類;ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素類;アセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリル類;ジメチルスルホキシド等のスルホキシド類;またはこれらの混合溶媒等が挙げられる。
光学分割後は、塩基で処理して遊離化を行なう。
塩基としては、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム等のアルカリ金属水酸化物;水酸化カルシウム、水酸化バリウム等のアルカリ土類金属水酸化物;アンモニア等が挙げられる。塩基の使用量は、光学活性な化合物(7)に対し、約0.1当量ないし約100当量、好ましくは約0.9当量ないし約2.0当量である。
【0035】
工程4
化合物(6)は、化合物(7)をアルコキシカルボニル化反応に付することにより製造できる。
当該反応は、化合物(7)をRに対応するアルコキシカルボニル化剤と塩基存在下で反応させることにより行われる。
に対応するアルコキシカルボニル化剤としては、例えば、クロロギ酸メチル、クロロギ酸エチル等のクロロギ酸C1−6アルキル;tert−ブチルジカーボネートのような炭酸無水物等が挙げられ、中でも、クロロギ酸C1−6アルキルが好ましい。Rに対応するアルコキシカルボニル化剤の使用量は、化合物(7)1モルに対して、約0.1モルないし約10モルであり、好ましくは、約0.8モルないし約5モルである。
塩基としては、例えば、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム、炭酸水素ナトリウム等の塩基性塩類、ピリジン、ルチジン等の芳香族アミン類、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、シクロヘキシルジメチルアミン、4−N,N−ジメチルアミノピリジン、N−メチルピペリジン、N−メチルピロリジン、N−メチルモルホリン、4−N,N−ジメチルアミノピリジン等の第3級アミン類、水素化ナトリウム、水素化カリウム等のアルカリ金属水素化物類、ナトリウムアミド、リチウムジイソプロピルアミド、リチウムヘキサメチルジシラジド、ナトリウムヘキサメチルジシラジド、カリウムヘキサメチルジシラジド等の金属アミド類、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウム−tert−ブトキシド等の金属アルコキシド類等が挙げられる。塩基の使用量は、化合物(7)に対し、約0.1当量ないし約1000当量、好ましくは約0.1当量ないし約5当量である。
本反応は無溶媒または反応に不活性な溶媒を用いて行うのが有利である。このような溶媒としては反応が進行する限り特に限定されないが、例えば、水;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン等のエーテル類;ベンゼン、トルエン、シクロヘキサン、ヘキサン等の炭化水素類;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド類;ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素類;アセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリル類;ジメチルスルホキシド等のスルホキシド類、酢酸エチル、酢酸イソプロピル等のエステル類;アセトニトリル等の溶媒またはこれらの混合溶媒等が好ましい。
反応温度は、約−70℃ないし約200℃、好ましくは約−20℃ないし約50℃である。
反応時間は、約5分ないし約1000時間、好ましくは約30分ないし約10時間である。
生成物は反応液のまま、あるいは粗生成物として次反応に用いることもできるが、常法に従って反応混合物から単離することもでき、通常の分離手段(例、再結晶、蒸留、クロマトグラフィー等)により容易に精製することもできる。
【0036】
工程5
化合物(5)は、化合物(6)にRCO−基を導入することにより製造できる。
工程5は、化合物(6)をフリーデルクラフツ反応によるアシル化反応に付することにより行われる。具体的には、当該反応は、化合物(6)をRに対応するアシル化剤と酸触媒存在下で反応させることにより行われる。
に対応するアシル化剤としては、例えば、塩化アセチル、塩化プロピオニル、塩化ブチリル等が挙げられる。Rに対応するアシル化剤の使用量は、化合物(6)1モルに対して、約0.1モルないし約100モルであり、好ましくは、約0.8モルないし約3モルである。
酸触媒としては、例えば、塩化アルミニウム、塩化鉄、塩化第二スズ、四塩化チタン、四塩化ジルコニウム、三フッ化ホウ素ジエチルエーテル、塩化亜鉛等のルイス酸;ポリリン酸等が挙げられ、中でも、四塩化ジルコニウム、塩化アルミニウムが好ましい。酸触媒の使用量は、ルイス酸の場合、化合物(6)1モルに対して、約0.1モルないし約100モルであり、好ましくは、約0.8モルないし約3モルである。ポリリン酸の場合は、化合物(6)1モルに対して、約0.1モルないし10000モルである。
本反応は、無溶媒で行うか、反応に不活性な溶媒を用いて行うのが有利である。このような溶媒としては、反応が進行する限り特に限定されないが、例えば、ヘキサン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン等の炭化水素類;ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、1,2−ジクロロエタン、クロロベンゼン等のハロゲン化炭素類、二硫化炭素等の溶媒またはこれらの混合溶媒等が好ましい。
反応時間は、約5分ないし約1000時間、好ましくは約30分ないし約10時間である。
反応温度は、約−70℃ないし約200℃、好ましくは約−40℃ないし約50℃である。
生成物は反応液のまま、あるいは粗生成物として次の反応に用いることもできるが、常法に従って反応混合物から単離することもでき、通常の分離手段(例、再結晶、蒸留、クロマトグラフィー等)により容易に精製することができる。
【0037】
工程6
化合物(4)は、化合物(5)を不斉還元反応に付することにより製造できる。
不斉還元剤としては、例えば、光学活性なオキサザボロリジンとボラン錯体との組み合わせが使用可能である。
光学活性オキサザボロリジンとしては、例えば、光学活性な1,3,2−(4−メチル−5−フェニル)オキサザボロリジン、1,3,2−(2,4−ジメチル−5−フェニル)オキサザボロリジン、1,3,2−(2−エチル−4−メチル−5−フェニル)オキサザボロリジン、1,3,2−(2−プロピル−4−メチル−5−フェニル)オキサザボロリジン、1,3,2−(2−ブチル−4−メチル−5−フェニル)オキサザボロリジン、1,3,2−(4−メチル−2,5−ジフェニル)オキサザボロリジン、1,3,2−(2−(o−フルオロフェニル)−4−メチル−5−フェニル)オキサザボロリジン、1,3,2−(2−(m−フルオロフェニル)−4−メチル−5−フェニル)オキサザボロリジン、1,3,2−(2−(p−フルオロフェニル)−4−メチル−5−フェニル)オキサザボロリジン、1,3,2−(2−(2,4−ジフルオロフェニル)−4−メチル−5−フェニル)オキサザボロリジン、1,3,2−(2−(2,5−ジフルオロフェニル)−4−メチル−5−フェニル)オキサザボロリジン、1,3,2−(2−(2,6−ジフルオロフェニル)−4−メチル−5−フェニル)オキサザボロリジン、1,3,2−(2−(2−クロロフェニル)−4−メチル−5−フェニル)オキサザボロリジン、1,3,2−(2−(3−クロロフェニル)−4−メチル−5−フェニル)オキサザボロリジン、1,3,2−(2−(2,3−ジクロロフェニル)−4−メチル−5−フェニル)オキサザボロリジン、1,3,2−(2−(2,6−ジクロロフェニル)−4−メチル−5−フェニル)オキサザボロリジン、1,3,2−(2−(3,5−ジクロロフェニル)−4−メチル−5−フェニル)オキサザボロリジン、1,3,2−(2−(o−メトキシフェニル)−4−メチル−5−フェニル)オキサザボロリジン、1,3,2−(2−(m−メトキシフェニル)−4−メチル−5−フェニル)オキサザボロリジン、1,3,2−(2−(p−メトキシフェニル)−4−メチル−5−フェニル)オキサザボロリジン、1,3,2−(2−(2,5−ジメトキシフェニル)−4−メチル−5−フェニル)オキサザボロリジン、1,3,2−(2−(o−トリル)−4−メチル−5−フェニル)オキサザボロリジン、1,3,2−(2−(m−トリル)−4−メチル−5−フェニル)オキサザボロリジン、1,3,2−(2−(p−トリル)−4−メチル−5−フェニル)オキサザボロリジン、1,3,2−(2−(2,5−ジメチルフェニル)−4−メチル−5−フェニル)オキサザボロリジン、1,3,2−(4,5−ジフェニル)オキサザボロリジン、1,3,2−(2−メチル−4,5−ジフェニル)オキサザボロリジン、1,3,2−(2−メチル−4,5−ジ(2−ナフチル))オキサザボロリジン、1,3,2−(4,5−ジ(2−ナフチル))オキサザボロリジン、1,3,2−(2−メチル−4−(2−メチルプロピル)−5−フェニル)オキサザボロリジン、1,3,2−(4−(2−メチルプロピル)−5−フェニル)オキサザボロリジン、1,3,2−(2−メチル−4−(1−メチルプロピル)−5−フェニル)オキサザボロリジン、1,3,2−(4−(1−メチルプロピル)−5−フェニル)オキサザボロリジン、1,3,2−(2−メチル−4−(1−メチルエチル)−5−フェニル)オキサザボロリジン、1,3,2−(4−(1−メチルエチル)−5−フェニル)オキサザボロリジン、1,3,2−(2−メチル−4−(1,1−ジメチルエチル)−5−フェニル)オキサザボロリジン、1,3,2−(4−(1,1−ジメチルエチル)−5−フェニル)オキサザボロリジン、1,3,2−(2−メチル−4−(フェニルメチル)−5−フェニル)オキサザボロリジン、1,3,2−(4−(フェニルメチル)−5−フェニル)オキサザボロリジン、1,3,2−(2−メチル−4−(フェニル−5−(p−トリル))オキサザボロリジン、1,3,2−(4−(フェニル−5−(p−トリル))オキサザボロリジン、1,3,2−(2,4−ジメチル−5−(2,5−ジメチルフェニル))オキサザボロリジン、1,3,2−(4−メチル−5−(2,5−ジメチルフェニル))オキサザボロリジン、1,3,2−(2,4−ジメチル−5−(2,5−ジメトキシフェニル))オキサザボロリジン、1,3,2−(4−メチル−5−(2,5−ジメトキシフェニル))オキサザボロリジン、1,3,2−(2−メチル−4−フェニル)オキサザボロリジン、1,3,2−(4−フェニル)オキサザボロリジン、1,3,2−(2,4−ジフェニル)オキサザボロリジン、1,3,2−(2,4−ジメチル)オキサザボロリジン、1,3,2−(4−メチル)オキサザボロリジン、1,3,2−(4−エチル)オキサザボロリジン、1,3,2−(2−メチル−4−エチル)オキサザボロリジン、1,3,2−(4−プロピル)オキサザボロリジン、1,3,2−(2−メチル−4−プロピル)オキサザボロリジン、1,3,2−(4−イソプロピル)オキサザボロリジン、1,3,2−(2−メチル−4−イソプロピル)オキサザボロリジン、1,3,2−(2−メチル−4−(1−メチルプロピル))オキサザボロリジン、1,3,2−(4−(1−メチルプロピル))オキサザボロリジン、1,3,2−(2−メチル−4−(2−メチルプロピル))オキサザボロリジン、1,3,2−(4−(2−メチルプロピル))オキサザボロリジン、1,3,2−(2−メチル−4−(t−ブチル))オキサザボロリジン、1,3,2−(4−(t−ブチル))オキサザボロリジン、1,3,2−(2−メチル−4,5,5−トリフェニル)オキサザボロリジン、1,3,2−(4,5,5−トリフェニル)オキサザボロリジン、1,3,2−(4−ベンジル)オキサザボロリジン、1,3,2−(2−メチル−4−ベンジル)オキサザボロリジン、1,3,2−(2−メチル−4−ベンジル−5,5−ジフェニル)オキサザボロリジン、1,3,2−(4−メチル−5,5−ジフェニル)オキサザボロリジン、1,3,2−(4−イソプロピル−5,5−ジフェニル)オキサザボロリジン、1,3,2−(4−イソブチル−5,5−ジフェニル)オキサザボロリジン、1,3,2−(2,4−ジメチル−5,5−ジフェニル)オキサザボロリジン、1,3,2−(4−イソプロピル−2−メチル−5,5−ジフェニル)オキサザボロリジン、1,3,2−(4−イソブチル−2−メチル−5,5−ジフェニル)オキサザボロリジン、1,3,2−(4−ベンジル−5,5−ジフェニル)オキサザボロリジン、1,3,2−(2,5,5−トリメチル−4−(t−ブチル))オキサザボロリジン、1,3,2−(5,5−ジメチル−4−(t−ブチル))オキサザボロリジン、1,3,2−(2,4−ジメチル−5,5−ジ(o−メチルフェニル))オキサザボロリジン、1,3,2−(4−メチル−5,5−ジ(o−メチルフェニル))オキサザボロリジン、1,3,2−(2,4−ジメチル−5,5−ジベンジル)オキサザボロリジン、1,3,2−(4−メチル−5,5−ジベンジル)オキサザボロリジン、1,3,2−(2,4−ジメチル−5,5−ジ(p−メトキシフェニル)オキサザボロリジン、1,3,2−(4−メチル−5,5−ジ(p−メトキシフェニル)オキサザボロリジン、3,4−プロパノ−1,3,2−オキサザボロリジン、5,5−ジフェニル−3,4−プロパノ−1,3,2−オキサザボロリジン、2−メチル−5,5−ジフェニル−3,4−プロパノ−1,3,2−オキサザボロリジン、2−メチル−3,4−プロパノ−1,3,2−オキサザボロリジン、2−エチル−3,4−プロパノ−1,3,2−オキサザボロリジン、5,5−ジフェニル−3,4−エタノ−2−メチル−1,3,2−オキサザボロリジン、3,4−ブタノ−5,5−ジ(p−トリル)−2−メチル−1,3,2−オキサザボロリジン等が挙げられる。中でも、光学活性な5,5−ジフェニル−2−メチル−3,4−プロパノ−1,3,2−オキサザボロリジンが好ましい。光学活性なオキサザボロリジンの使用量は、化合物(5)1モルに対し、約0.001モルないし約5モル、好ましくは約0.01モルないし約1モルである。
化合物(4)における水酸基が結合する炭素原子の立体配置はR配置であるため、そのような立体配置の化合物が得られるように、使用する光学活性オキサザボロリジンの絶対配置を選択する必要がある。例えば、光学活性な5,5−ジフェニル−2−メチル−3,4−プロパノ−1,3,2−オキサザボロリジンを使用する場合、R配置である化合物(4)を得るためには、(S)体を選択する必要がある。
ボラン錯体としては、例えば、ボラン−ジメチルスルフィド錯体、ボラン−ジエチルスルフィド錯体、ボラン−ジプロピルスルフィド錯体、ボラン−ジブチルスルフィド錯体、ボラン−ジペンチルスルフィド錯体、ボラン−ジフェニルスルフィド錯体、ボラン−メチルエチルスルフィド錯体、ボラン−メチルフェニルスルフィド錯体等のボラン−スルフィド錯体;ボラン−アンモニア錯体、ボラン−メチルアミン錯体、ボラン−エチルアミン錯体、ボラン−ジメチルアミン錯体、ボラン−ジエチルアミン錯体、ボラン−トリメチルアミン錯体、ボラン−トリエチルアミン錯体、ボラン−ピリジン錯体、ボラン−ピリミジン錯体、ボラン−ピラジン錯体、ボラン−キノリン錯体、ボラン−イソキノリン錯体等のボラン−アミン錯体;ボラン−ジメチルエーテル錯体、ボラン−ジエチルエーテル錯体、ボラン−メチルエチルエーテル錯体、ボラン−ジプロピルエーテル錯体、ボラン−ジブチルエーテル錯体、ボラン−ジペンチルエーテル錯体、ボラン−テトラヒドロフラン錯体等のボラン−エーテル錯体;等が挙げられ、中でも、ボラン−スルフィド錯体が好ましく、特に、ボラン−ジメチルスルフィド錯体が好ましい。ボラン錯体の使用量は、化合物(5)1モルに対し、約0.1モルないし約1000モル、好ましくは約0.8モルないし約5モルである。
本反応は、反応に不活性な溶媒を用いて行うのが有利である。このような溶媒としては、反応が進行する限り特に限定されないが、例えば、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン等のエーテル類;メタノール、エタノール、プロパノール等のアルコール類;ベンゼン、トルエン、二硫化炭素、シクロヘキサン、ヘキサン等の炭化水素類;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド類;ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、1,2−ジクロロエタン、クロロベンゼン、1,2−ジクロロベンゼン、1,3−ジクロロベンゼン、1,4−ジクロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素類;アセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリル類;ジメチルスルホキシド等のスルホキシド類;またはこれらの混合溶媒等が挙げられる。
反応温度は、約−70℃ないし200℃、好ましくは−70℃ないし50℃である。
反応時間は、約5分ないし約1000時間、好ましくは約30分ないし約48時間である。
【0038】
遊離の塩基と不斉金属錯体及び水素ガスを用いた不斉還元反応によっても、化合物(5)から化合物(4)を製造することができる。
不斉金属錯体としては、例えば特開平11−189600号に記載の不斉金属錯体が使用可能である。
不斉金属錯体の具体例としては、RuCl[(R)−binap][(R,R)−dpen]、RuCl[(R)−binap][(R)−daipen]、RuCl[(R)−tol−binap][(R,R)−dpen]、RuCl[(R)−tol−binap][(R)−daipen]、RuCl[(R)−dm−binap][(R,R)−dpen]、RuCl[(R)−dm−binap][(R)−daipen]等が挙げられる。これら不斉金属錯体として、RuCl[(R)−dm−binap][(R)−daipen]等が好ましく用いられる。ここで、binapは2,2’−ビス−(ジフェニルホスフィノ)−1,1’−ビナフチル、tol−binapは2,2’−ビス−(ジ−p−トリルホスフィノ)−1,1’−ビナフチル、dm−binapは2,2’−ビス[ビス(3,5−ジメチルフェニル)ホスフィノ]−1,1’−ビナフチル、dpenは1,2−ジフェニル−エチレンジアミン、daipenは1,1−ジ(4−アニシル)−2−イソプロピル−1,2−エチレンジアミンを表す。
化合物(5)および不斉金属錯体の使用量は、反応容器や反応の形式あるいは経済性によっても異なるが、例えば、化合物(5)が[(3R)-7-アセチル-3-(4-イソプロピルフェニル)-4,6-ジメチル-2,3-ジヒドロ-1-ベンゾフラン-5-イル]カルバミド酸メチルである場合、不斉金属錯体をモル比で1/10〜1/100000の範囲、好ましくは1/50〜1/10000の範囲で用いることができる。
塩基としては、炭酸カリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素カリウム、水酸化ナトリウム等の塩基性塩類、カリウムメトキシド、ナトリウムメトキシド、リチウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムイソプロポキシド、カリウム−tert−ブトキシド、リチウムメトキシド、カリウムナフタレニド等の金属アルコキシド類、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、N,N−ジメチルアニリン、ピペリジン、ピリジン、4−N,N−ジメチルアミノピリジン、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ−5−エン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン、トリ−n−ブチルアミン、N−メチルモルホリン等の有機アミン類、水素化ナトリウム、水素化ホウ素ナトリウム、水素化アルミニウムリチウム等の金属水素化物類、臭化メチルマグネシウム、臭化エチルマグネシウム、臭化プロピルマグネシウム、メチルリチウム、エチルリチウム、プロピルリチウム、n−ブチルリチウム、tert−ブチルリチウム等の有機金属化合物類、4級アンモニウム塩等が挙げられる。また、本発明で用いられる塩基には、アミン−ホスフィンルテニウムヒドリド錯体を発生させるものであれば、上記塩基に限定されることなく、水素等も使用可能である。これら塩基は夫々単独で用いても2種以上適宜組み合わせて用いてもよい。これら塩基は、中でも無機塩基およびアルカリ・アルカリ土類金属の塩等が好ましい。
塩基の使用量は、化合物(5)に対して約0.15ないし約10当量であり、好ましくは約0.2ないし約2当量である。
不斉水素化反応は、溶媒中で行うことが好ましい。反応に用いる溶媒は、反応原料、触媒系を可溶化するものであればよい。溶媒の具体例としては、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、ホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド類;アセトニトリル等のニトリル類;ジメチルスルホキシド等のスルホキシド類;ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素、ベンゾトリフルオリド等のハロゲン化炭化水素類;ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン等の脂肪族炭化水素類;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、tert−ブチルメチルエーテル、ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキソラン等のエーテル類;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;メタノール、エタノール、2−プロパノール、n−ブタノール、tert−ブタノール等のアルコール類;エチレングリコール、プロピレングリコール、1,2−プロパンジオール、グリセリン等の多価アルコール類等が挙げられる。これら溶媒は、夫々単独で用いても、2種以上適宜組み合わせて用いても良い。これら溶媒は、アルコール類等が好ましく、2−プロパノール等がより好ましい。
水素ガスの圧力は、水素雰囲気下であればよく、0.1MPaでも十分であるが、経済性等を考慮すると通常0.1〜20MPa、好ましくは0.2〜10MPaの範囲から適宜選択される。また、経済性を考慮して1MPa以下でも高い活性を維持することが可能である。
反応温度は、−30℃から用いる溶媒の沸点までの適切な温度で行うことができ、25℃〜40℃が好ましい。
反応時間は、1〜24時間までの適切な時間で行うことができ、好ましくは8〜20時間である。
【0039】
化合物(4)は、化合物(5)を、Aust. J. Chem., 29, 1976, 2459-2467; J. Org. Chem., 66, 25, 2001, 8682-8684等に記載の方法に従って、酵素を用いて還元することによっても製造できる。
【0040】
また、化合物(4)は、化合物(5)を、Asymmetry, 7, 4, 1996, 1077-1088; Synyh. Commun., 23, 9, 1993, 12-1-1208; Tetrahedron, 48, 33, 1992, 6769-6776; Biosci. Biotechnol. Biochem., 58, 9, 1994, 1666-1670; Tetrahedron Lett., 32, 16, 1991, 1901-1904; Biosci. Biotechnol. Biochem., 58, 9, 1994, 1666-1760; J. Chem. Soc, Perkin Trans. 1, 1987, 2753-2758等に記載の方法に従って、酵母を用いて還元することによっても製造できる。
還元反応に用いられる酵母としては、パン酵母、ブレタノミセス・ブルクセレンシス(Brettanomyces・bruxellensis)、カンジダ・アルビカンス(Candida・albicannsu)、カンジタ・ボイジニイ(Candida boidinii)、カンジダ・グロペンギエセリ(Candida・gropengiesseri)、カンジダ・グイリアモンジイ(Candida・guilliermondii)、カンジダ・ケフィア(Candida・kefyr)、カンジダ・ピニ(Candida・pini)、カンジダ・ルゴサ(Candida・rugosa)、カンジダ・ソラニ(Candida・solani)、カンジダ・トロピカリス(Candida・tropicalis)、カンジダ・ユテリス(Candida・utilis)、カンジダ・バリダ(Candida・valida)、クロストリジウム・ベイジェリンクキイ(Clostridiumu・beijerinckii)、クロストリジウム・パステウリアヌム(Clostridiumu・pasteurianum)、クリプトコッカス・ラウレンチイ(Cryptococcus laurentii)、クリプトコッカス・マセランス(Cryptococcus macerans)、デバリオマイセス・ハンセニイ(Debaryomyces hansenii)、デバリオマイセス・キロエケリ(Debaryomyces kloeckeri)、デバリオマイセス・ニコチアナエ(Debaryomyces nicotianae)、デバリオマイセス・ビニ(Debaryomyces vini)、エンドマイコプシス・フィブリガー(Endomycopsis fibuliger)、ハンセニアスポラ・グイリエルモンデイ(Hanseniaspora guilliermondii)、ハンセニアスポラ・オスモピラ(Hanseniaspora osmophila)、ハンセニアスポラ・ウバルム(Hanseniaspora uvarumu)、ハンセヌラ・カプスラタ(Hansenula capsulate)、ハンセヌラ・ホルステイ(Hansenula holstii)、ハンセヌラ・ポリモルファ(Hansenula polymorpha)、ハンセヌラ・サツルナス(Hansenula saturnus)、ハンセヌラ・シルビコラ(Hansenula silvicola)、イサツケニケア・オリエンタリス(Issatchenkia orientalis)、クロエケラ・アピクラタ(Kloeckera apiculata)、クロエケラ・コルチシス(Kloeckera cortices)、クロエケラ・ジャバニカ(Kloeckera javanica)、クロエケラ・エスピ(Kloeckera sp.)、クルイベロミセス・ラクチス(Kluyveromyces lactis)、クルイベロミセス・マルキシアヌス(Kluyveromyces marxianus)、クルイベロミセス・スファエリカ(Kluyveromyces sphaerica)、ラクトバシラス・ケフィア(Lactobacillus kefir)、ナドソニア・フルベスセンス(Nadsonia fulvescens)、オクトスポロミセス・オクトスポルス(Octosporomyces octosporus)、ピキア・アノマラ(Pichia anomala)、ピキア・カクトピラ(Pichia cactophila)、ピキア・ファリノサ(Pichia farinose)、ピキア・フェルメンタンス(Pichia fermentans)、ピキア・ホルシテイ(Pichia holstii)、ピキア・ジャデニイ(Pichia jadinii)、
ピキア・メンブランアエファシエンス(Pichia membranaefaciens)、ピキア・ピジペリ (Pichia pijperi)、ピキア・シルビコラ(Pichia silvicola)、ピキア・スブペルリクロサ(Pichia subpelliculosa)、ピキア・ウイケルハミイ(Pichia wickerhamii)、ロドトルラ・フラバ(Rhodotorula flava)、ロドトルラ・グルチニス(Rhodotorula glutinis)、ロドトルラ・ミヌタ(Rhodotorula minuta)、バー・ミヌタ(Var・minuta)、サッカロミセス・アシヂフィカンス(Saccharomyces acidificans)、サッカロミセス・バイリイ(Saccharomyces bailii)、サッカロミセス・バヤヌス(Saccharomyces bayanus)、サッカロミセス・カルリスブ菌株ヘリリベルグ(Saccharomyces carlsb.strain Herrliberg)、サッカロミセス・カルルスバーゲニシス(Saccharomyces carlsbergensis)、サッカロミセス・セレビシアエ(Saccharomyces cerevisiae)、サッカロミセス・ケバリエリ(Saccharomyces chevalieri)、サッカロミセス・エクシグウス(Saccharomyces exiguous)、サッカロミコプシス・フィブリゲラ(Saccharomycopsis fibuligera)、サッカロミセス・パラドクシアス(Saccharomycopsis paradoxus)、サッカロミセス・パストリアヌス(Saccharomyces pastorianus)、サッカロミセス・パストリアヌス(公式にサッカロミコプシス・パストリアヌス)(Saccharomyces pastorianus formerly Saccharomycopsis pastorianus)、サッカロミセス・エスピ(Saccharomyces sp.)、スキゾサッカロミセス・ポンベ(Schizosaccharomyces pombe)、スキゾサッカロミセス・オクトスポラス(Schizosaccharomyces octosporus)、スポロボロロミセス・コラルリフォミス(Sporobolomyces coralliformis)、スポロボロロミセス・サルモニコロア(Sporobolomyces salmonicolor)、トルロプシス・ピナス(Torulopsis pinus)、トリゴノピシス・バラビリス(Trigonopsis varabilis)、トレメラ・フシホミス(Tremella fuciformis)、ワルトミセス・リポファ(Waltomyces lipofer)、ジゴサッカロミセス・ファーメンタチ(Zygosaccharomyces fermertati)又はジゴサッカロミセス・ロウキシ(Zygosaccharomyces rouxii)等が挙げられる。
【0041】
工程6’
あるいは、化合物(4)は、化合物(5)を水素化アルミニウム、水素化イソブチルアルミニウム等の金属水素化物類、水素化アルミニウムリチウム、水素化ホウ素ナトリウム、シアノ水素化ホウ素ナトリウム等の金属水素錯化合物類等を用いて還元した後、光学分割を行うことによっても製造できる。
還元剤の使用量は、化合物(5)1モルに対し、約0.1モルないし約1000モル、好ましくは約0.8モルないし約10モルである。
本反応は、反応に不活性な溶媒を用いて行うのが有利である。このような溶媒としては、反応が進行する限り特に限定されないが、例えば、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン等のエーテル類;メタノール、エタノール、プロパノール、2−ヒドロキシメチルテトラヒドロフラン等のアルコール類;ベンゼン、トルエン、二硫化炭素、シクロヘキサン、ヘキサン等の炭化水素類;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド類;ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素類;アセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリル類またはこれらの混合溶媒等が挙げられる。
反応温度は、約−70℃ないし200℃、好ましくは−50℃ないし50℃である。
反応時間は、約5分ないし約1000時間、好ましくは約30分ないし約5時間である。
【0042】
次いで、還元された化合物に対して光学分割を行なう。
光学分割は、光学活性な酸を用いて分別晶析を行なう方法、光学活性なカラムクロマトグラフィーを用いる方法等が採用できる。
光学活性な酸の使用量は、化合物(5)に対して、約0.1当量ないし約100当量、好ましくは約0.8当量ないし約3当量である。
分別晶析は、還元された化合物を光学活性な酸でエステル化することにより行われる。光学活性な酸は溶液として使用してもよい。添加後は、必要により冷却してもよく、また、種晶を加えてもよい。得られたエステルは、常法に従って加水分解に付することにより化合物(4)を得る。
使用可能な溶媒としては、水;メタノール、エタノール等のアルコール類;ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン等のエーテル類;メタノール、エタノール、プロパノール、2−ヒドロキシメチルテトラヒドロフラン等のアルコール類;ベンゼン、トルエン、二硫化炭素、シクロヘキサン、ヘキサン等の炭化水素類;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド類;ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素類;アセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリル類;ジメチルスルホキシド等のスルホキシド類;またはこれらの混合溶媒等が挙げられる。
なお、化合物(5)が光学活性な化合物(即ち、ジヒドロベンゾフラン環の3位の立体配置がキラルである化合物)であるとき、還元された化合物は、ジアステレオ混合物であるので、通常のカラムクロマトグラフィーにより分離可能である。
【0043】
工程7
化合物(3)は、化合物(4)を脱アルコキシカルボニル化反応に付することにより製造できる。
当該反応は、化合物(4)を塩基で処理することにより行われる。
塩基としては、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム等のアルカリ金属水酸化物;水酸化カルシウム、水酸化バリウム等のアルカリ土類金属水酸化物等が挙げられる。塩基の使用量は、化合物(4)に対し、約0.1当量ないし約1000当量、好ましくは約0.8当量ないし約10当量である。
本反応は無溶媒または反応に不活性な溶媒を用いて行うのが有利である。このような溶媒としては反応が進行する限り特に限定されないが、例えば、水;メタノール、エタノール等のアルコール類;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン等のエーテル類;ベンゼン、トルエン、シクロヘキサン、ヘキサン等の炭化水素類;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド類;ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素類;アセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリル類;ジメチルスルホキシド等のスルホキシド類等の溶媒またはこれらの混合溶媒等が好ましい。
反応温度は、約−70℃ないし約200℃、好ましくは約−40℃ないし約50℃である。
反応時間は、約5分ないし約1000時間、好ましくは約30分ないし約10時間である。
生成物は反応液のまま、あるいは粗生成物として次反応に用いることもできるが、常法に従って反応混合物から単離することもでき、通常の分離手段(例、再結晶、蒸留、クロマトグラフィー等)により容易に精製することもできる。
あるいは、一旦塩形成により晶析させた後、当該塩を塩基で処理して遊離化することにより精製してもよい。塩形成に使用可能な酸としては、化合物(3)との塩の結晶性、光学異性体の除去効率の高さ等の観点から、例えば、ブロフェン類として(2S)−2−(6−メトキシ−2−ナフチル)プロパン酸、(2R)−2−(6−メトキシ−2−ナフチル)プロパン酸等が、酒石酸類としてL−酒石酸、D−酒石酸、ジベンゾイル−L−酒石酸、ジベンゾイル−D−酒石酸、p−トルオイル−L−酒石酸、p−トルオイル−D−酒石酸、o−トルオイル−L−酒石酸、o−トルオイル−D−酒石酸、m−トルオイル−L−酒石酸、m−トルオイル−D−酒石酸等の光学活性な酸が挙げられ、中でも、(2S)−2−(6−メトキシ−2−ナフチル)プロパン酸、(2R)−2−(6−メトキシ−2−ナフチル)プロパン酸が好ましい。光学活性な酸の使用量は、化合物(3)に対して、約0.1当量ないし約100当量、好ましくは約0.8当量ないし約3当量である。
塩基としては、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム等のアルカリ金属水酸化物;水酸化カルシウム、水酸化バリウム等のアルカリ土類金属水酸化物;アンモニア等が挙げられる。塩基の使用量は、化合物(3)に対し、約0.1当量ないし約100当量、好ましくは約0.8当量ないし約10当量である。
【0044】
工程8
化合物(1)は、化合物(3)を化合物(2)と反応させることにより製造できる。
【0045】
Xが脱離基であるとき、当該反応は、化合物(3)を化合物(2)と塩基存在下で反応させることにより行われる。
化合物(2)の使用量は、化合物(3)1モルに対し、約0.1モルないし約100モル、好ましくは約0.8モルないし約5モルである。
塩基としては、例えば、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム、炭酸水素ナトリウム等の塩基性塩類、ピリジン、ルチジン等の芳香族アミン類、トリエチルアミン、アンモニア、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、シクロヘキシルジメチルアミン、4−N,N−ジメチルアミノピリジン、N−メチルピペリジン、N−メチルピロリジン、N−メチルモルホリン等の第3級アミン類、水素化ナトリウム、水素化カリウム等のアルカリ金属水素化物類、ナトリウムアミド、リチウムジイソプロピルアミド、リチウムヘキサメチルジシラジド、ナトリウムヘキサメチルジシラジド、カリウムヘキサジメチルジシラジド等の金属アミド類、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウム−tert−ブトキシド等の金属アルコキシド類等が挙げられる。塩基の使用量は、化合物(3)に対し、約0.1当量ないし約1000当量、好ましくは約0.8当量ないし約10当量である。
本反応は無溶媒または反応に不活性な溶媒を用いて行うのが有利である。このような溶媒としては反応が進行する限り特に限定されないが、例えば、水;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン等のエーテル類;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル等のエステル類;ベンゼン、トルエン、シクロヘキサン、ヘキサン等の炭化水素類;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド類;ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素類;アセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリル類;ジメチルスルホキシド等のスルホキシド類;ピリジン、ルチジン、キノリン等の含窒素芳香族炭化水素類等の溶媒またはこれらの混合溶媒等が好ましい。
反応温度は、約−70℃ないし約200℃、好ましくは約−20℃ないし約50℃である。
反応時間は、約5分ないし約1000時間、好ましくは約30分ないし約10時間である。
【0046】
Xが水酸基であるとき、当該反応は、適当な縮合剤の存在下、化合物(3)を化合物(2)と反応させることにより行われる。
化合物(2)の使用量は、化合物(3)1モルに対し、約0.1モルないし約1000モル、好ましくは、約0.8モルないし約5モルである。
縮合剤としては、例えば、N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(WSC)塩酸塩等のN,N’−ジカルボイミド類;N,N’−カルボニルイミダゾール等のアゾライト類;N−エトキシカルボニル−2−エトキシ−1,2−ジヒドロキノリン、シアノリン酸ジエチル、オキシ塩化リン、無水酢酸等の脱水縮合剤;2−クロロメチルピリジニウムヨージド、2−フルオロ−1−クロロメチルピリジニウムヨージド等の2−ハロゲノピリジニウム塩等が挙げられる。縮合剤の使用量は、化合物(3)1モルに対し、約0.1モルないし約1000モル、好ましくは、約0.8モルないし約10モルである。
所望により、縮合剤とともに、塩基を共存させて反応させてもよい。塩基としては、例えば、酢酸カリウム、酢酸ナトリウム等の塩基性塩類、トリエチルアミン、アンモニア、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、シクロヘキシルジメチルアミン、4−N,N−ジメチルアミノピリジン、N−メチルピペリジン、N−メチルピロリジン、N−メチルモルホリン等の第3級アミン類、1−ヒドロキシ−1H−ベンゾトリアゾール(HOBt)一水和物等が挙げられる。塩基の使用量は、化合物(3)に対し、約0.1当量ないし約1000当量、好ましくは約0.8当量ないし約10当量である。
本反応は無溶媒または反応に不活性な溶媒を用いて行うのが有利である。このような溶媒としては反応が進行する限り特に限定されないが、例えば、水;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン等のエーテル類;酢酸エチル、酢酸イソプロピル等のエステル類;ベンゼン、トルエン、シクロヘキサン、ヘキサン等の炭化水素類;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド類;ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素類;アセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリル類;ジメチルスルホキシド等のスルホキシド類;ピリジン、ルチジン、キノリン等の含窒素芳香族炭化水素類等の溶媒またはこれらの混合溶媒等が好ましい。
反応温度は、約−70℃ないし約200℃、好ましくは約−40℃ないし約50℃である。
反応時間は、約5分ないし約1000時間、好ましくは約30分ないし約10時間である。
【0047】
あるいは、化合物(1)は、化合物(3)を化合物(2)の混合酸無水物と反応させることにより製造できる。
化合物(2)の使用量は、化合物(3)1モルに対し、約0.1モルないし約1000モル、好ましくは、約0.8モルないし約10モルである。
化合物(2)の混合酸無水物としては、例えば、まず、化合物(2)とクロロ炭酸アルキル(例、クロロ炭酸メチル、クロロ炭酸エチル、クロロ炭酸イソブチル)またはスルホニルクロリド(例、p−トルエンスルホニルクロリド、メタンスルホニルクロリド)を塩基の存在下に反応させることにより調製される。次いで当該混合酸無水物を化合物(3)と反応させる。
クロロ炭酸アルキルの使用量は、化合物(2)1モルに対して、約0.1モルないし約1000モル、好ましくは約0.8モルないし約10モルである。
塩基の使用量は、化合物(2)に対し、約0.1ないし約10当量、好ましくは約0.5ないし約5当量である。
本反応は無溶媒または反応に不活性な溶媒を用いて行うのが有利である。このような溶媒としては反応が進行する限り特に限定されないが、例えば、水;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン等のエーテル類;酢酸エチル、酢酸イソプロピル等のエステル類;ベンゼン、トルエン、シクロヘキサン、ヘキサン等の炭化水素類;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド類;ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、1,2−ジクロロエタン、クロロベンゼン、1,2−ジクロロベンゼン、1,3−ジクロロベンゼン、1,4−ジクロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素類;アセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリル類;ジメチルスルホキシド等のスルホキシド類;ピリジン、ルチジン、キノリン等の含窒素芳香族炭化水素類等の溶媒またはこれらの混合溶媒等が好ましい。
反応温度は、約−70℃ないし約200℃、好ましくは約−40℃ないし約100℃である。
反応時間は、約5分ないし約1000時間、好ましくは約30分ないし約10時間である。
【0048】
化合物(2)は、市販品にて入手でき、また、自体公知の方法またはこれらに準じた方法に従って製造することもできる。
【0049】
以上のようにして得られた化合物(1)は常法に従って反応混合物から単離でき、再結晶、蒸留、クロマトグラフィー等の分離手段により容易に精製することもできる。
【0050】
また、化合物(1a)は以下のルート1〜3または5の方法によっても製造できる。なお、ルート4は本発明の製造方法によるルートである。
【0051】
【化9】

【0052】
ルート1
このルートは、特許文献6に記載の製造方法によるルートである。
【0053】
ルート2
化合物(11a)は、工程8と同様の方法により化合物(7a)を3,3−ジメチルブタンアミド化した後、工程5と同様の方法によりアセチル化を行なうことにより製造できる。
化合物(1a)は、工程6と同様の方法により化合物(11a)を不斉還元あるいは酵素または酵母を用いた反応により製造できる。
【0054】
ルート3
化合物(1a)は、工程6’と同様の方法により化合物(11a)を還元して化合物(1’a)を得た後、ジアステレオマーを分離することにより製造できる。
【0055】
ルート5
化合物(3a)は、工程6’と同様の方法により化合物(5a)を還元して化合物(4’a)を得た後、工程7と同様の方法により脱アルコキシカルボニル化を行って化合物(3’a)を得、次いでジアステレオマーを分離することにより製造できる。
【実施例】
【0056】
以下に、実施例を挙げて、本発明を更に具体的に説明するが、これによって本発明が限定されるものではない。
【0057】
参考例1 2-ブロモ-1-(4-イソプロピルフェニル)エタノン(化合物(10a))の合成例
【0058】
【化10】

【0059】
窒素雰囲気下、塩化アルミニウム(33.0 g)のクロロベンゼン(150 mL)懸濁液に、-10℃でブロモアセチルブロミド(50.0 g, 0.248 mol)とイソプロピルベンゼン(32.8 g)の混合液を加え、同温度で2時間攪拌した。反応液を15℃でトルエン(250 mL)と4M塩酸(250 mL)の混液に加えた。分液後、2M塩酸(250 mL)、7%重曹水(250 mL)、5%食塩水(250 mL)の順で洗浄した。有機層を減圧濃縮すると表題化合物の溶液(105.6 g)が得られた。
【0060】
実施例1 1-(4-イソプロピルフェニル)-2-(3,5-ジメチル-4-ニトロフェノキシ)エタノン(化合物(9a))の合成例
【0061】
【化11】

【0062】
窒素雰囲気下、塩化アルミニウム(33.0 g)のクロロベンゼン(150 mL)懸濁液に、−10℃でブロモアセチルブロミド(50.0 g, 0.248 mol)とイソプロピルベンゼン(32.8 g)の混合液を加え、同温度で2時間攪拌した。反応液を15℃でトルエン(250 mL)と4M塩酸(250 mL)の混液に加えた。分液後、有機層を2M塩酸(250 mL)、7%重曹水(250 mL)、5%食塩水(250 mL)の順で洗浄した。有機層を減圧濃縮すると2-ブロモ-1-(4-イソプロピルフェニル)エタノンの溶液(106.0 g)が得られた。
アセトニトリル(53 mL)に、室温で3,5-ジメチル-4-ニトロフェノール(12.4 g)、炭酸カリウム(12.3 g)及び水(1.5 mL)を加えた。さらに、先に得られた2-ブロモ-1-(4-イソプロピルフェニル)エタノンの溶液(30.5 g)を加え、45℃で3.5時間攪拌した。反応液に酢酸エチル(45 mL)と水(75 mL)を加え、35〜45℃で加温した。分液後、有機層を1M水酸化ナトリウム水溶液(75 mL)、1M塩酸(75 mL)、5%食塩水(75 mL)の順で洗浄した。有機層の1/3量を抜き取り、減圧濃縮し、乾固した。酢酸エチル(5 mL)を加え、50℃に加温後室温まで徐冷した。ヘプタン(20 mL)を滴下後、氷溶下1時間攪拌した。結晶を吸引ろ取し、減圧乾燥すると表題化合物[淡黄色結晶, 6.9 g, 収率85.3% (2工程)]が得られた。
mp 121℃; 1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ 1.30 (d, J = 6.9 Hz, 6H), 2.30 (s, 6H), 2.96-3.05 (m, 1H), 5.30 (s, 2H), 6.65 (s, 2H), 7.38 (d, J = 8.2 Hz, 2H), 7.94 (dd, J = 1.7, 6.7 Hz, 2H). Anal Calcd for C19H21NO4 C:69.71, H:6.47, N:4.28; Found C:69.58, H:6.47, N:4.18.
【0063】
実施例2 3-(4-イソプロピルフェニル)-4,6-ジメチル-5-ニトロ-1-ベンゾフラン(化合物(8a))の合成例
【0064】
【化12】

【0065】
窒素雰囲気下、塩化アルミニウム(66.1 g)のクロロベンゼン(300 mL)懸濁液に、−10℃でブロモアセチルブロミド(100.0 g, 0.495 mol)とイソプロピルベンゼン(65.5 g)の混合液を加え、同温度で1.5時間攪拌した。反応液を15℃でトルエン(500 mL)と4M塩酸(500 mL)の混液に加えた。分液後、有機層を2M塩酸(500 mL)、7%重曹水(500 mL)、5%食塩水(500 mL)の順で洗浄した。有機層を減圧濃縮すると、2-ブロモ-1-(4-イソプロピルフェニル)エタノンの溶液(220.6 g)が得られた。
アセトニトリル(200 mL)に、室温で3,5-ジメチル-4-ニトロフェノール(41.5 g)、炭酸カリウム(41.1 g)及び水(5 mL)を加えた。さらに、先に得られた2-ブロモ-1-(4-イソプロピルフェニル)エタノンの溶液(110.3 g)を加え、45℃で3.5時間攪拌した。同温度で反応液にトルエン(250 mL)と水(250 mL)を加えた。分液後、有機層を1M水酸化ナトリウム水溶液(250 mL)、1M塩酸(250 mL)、5%食塩水(250 mL)の順で洗浄した。有機層を減圧濃縮すると1-(4-イソプロピルフェニル)-2-(3,5-ジメチル-4-ニトロフェノキシ)エタノンの溶液(339.2 g)が得られた。
得られた1-(4-イソプロピルフェニル)-2-(3,5-ジメチル-4-ニトロフェノキシ)エタノンの溶液にトルエン(100 mL)とメタンスルホン酸(80.4 mL)を加え、100℃で4時間攪拌した。室温に冷却後、反応液に水(400 mL)を加えた。分液後、有機層を7%重曹水(400 mL)で洗浄した。有機層を濃縮後、室温でエタノール(150 mL)に溶解し、活性炭を加え30分攪拌した。活性炭をろ去後、ろ液を減圧濃縮した。濃縮液にエタノール(200 mL)と水(10 mL)を加え、室温で1時間、氷溶下0.5時間攪拌した。結晶を吸引ろ取し、減圧乾燥すると表題化合物[淡黄色結晶, 54.8 g, 収率71.4% (3工程)]が得られた。
1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ 1.30 (d, J = 6.9 Hz, 6H), 2.18 (d, J = 5.6 Hz, 3H), 2.43 (d, J = 5.4 Hz, 3H), 2.93-3.02 (m, 1H), 7.28-7.34 (m, 5H), 7.56 (s, 1H); Anal Calcd for C19H19NO3 C:73.77, H:6.19, N:4.53; Found C:73.80, H: 6.20, N:4.46.
【0066】
実施例3 1-(4-イソプロピルフェニル)-2-(3,5-ジメチル-4-ニトロフェノキシ)エタノン(化合物(9a))の合成例
【0067】
【化13】

【0068】
アセトニトリル(80 mL)に、室温で3,5-ジメチル-4-ニトロフェノール(16.6 g)、炭酸カリウム(16.4 g)及び水(2 mL)を加えた。さらに、参考例1で得られた2-ブロモ-1-(4-イソプロピルフェニル)エタノンの溶液 (42.2 g)を加え、45℃で3.5時間攪拌した。同温度で反応液にトルエン(100 mL)と水(100 mL)を加えた。分液後、有機層を1M水酸化ナトリウム水溶液(100 mL)、1M塩酸(100 mL)、5%食塩水(100 mL)の順で洗浄した。有機層を減圧濃縮すると表題化合物の溶液(147.9 g)が得られた。
【0069】
実施例4 3-(4-イソプロピルフェニル)-4,6-ジメチル-5-ニトロ-1-ベンゾフラン(化合物(8a))の合成例
【0070】
【化14】

【0071】
実施例3で得られた1-(4-イソプロピルフェニル)-2-(3,5-ジメチル-4-ニトロフェノキシ)エタノンの溶液 (147.9 g)にトルエン(40 mL)とメタンスルホン酸(32.1 mL)を加え、100℃で4時間攪拌した。室温に冷却後、水(100 mL)を加えた。分液後、有機層を7%重曹水(160 mL)、5%食塩水(160 mL)の順で洗浄した。有機層を減圧濃縮後、室温でエタノール(60 mL)に溶解し、活性炭を加え20分攪拌した。活性炭をろ去すると、表題化合物の溶液(86.2 g)が得られた。
【0072】
実施例5 3-(4-イソプロピルフェニル)-4,6-ジメチル-2,3-ジヒドロ-1-ベンゾフラン-5-アミン(化合物(7’a))の合成例
【0073】
【化15】

【0074】
窒素雰囲気下、実施例4で得られた3-(4-イソプロピルフェニル)-4,6-ジメチル-5-ニトロ-1-ベンゾフランの溶液(86.2 g)にエタノール(200 mL)と10%パラジウム炭素粉末(6.0 g)を加えた。水素置換後、60℃で10時間攪拌した。室温に冷却後、パラジウム炭素粉末をろ去し、ろ液を減圧濃縮した。濃縮液に室温で酢酸エチル(70 mL)、水(2 mL)を加え、さらに4M塩化水素-酢酸エチル溶液(37 mL)を滴下した。室温で2時間攪拌後、結晶を吸引ろ取し、減圧乾燥すると粗結晶(塩酸塩)(27.9 g)が得られた。メタノール(225 mL)と水(33 mL)の混合液に、粗結晶(25.0 g)を加えた。50℃に加温後、25%アンモニア水(15 mL)、水(15 mL)の順に滴下し、種晶を加えた。さらに同温度で水(163 mL)を滴下後、室温まで冷却し、2時間攪拌した。結晶を吸引ろ取し、減圧乾燥すると表題化合物[淡赤色結晶, 20.2 g, 収率 81.1% (4工程)]が得られた。
1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ 1.23 (d, J = 6.9 Hz, 6H), 1.87 (s, 3H), 2.20 (s, 3H), 2.83-2.90 (m, 1H), 3.27 (brs, 2H), 4.36 (dd, J = 4.5, 8.5 Hz, 1H), 4.51 (dd, J = 4.5, 8.9 Hz, 1H), 4.77 (dd like, J = 8.8 Hz, 1H), 6.57 (s, 1H), 7.06 (d, J = 8.1 Hz, 2H), 7.13 (d, J = 8.1Hz, 2H).
【0075】
実施例6 (3R)-3-(4-イソプロピルフェニル)-4,6-ジメチル-2,3-ジヒドロ-1-ベンゾフラン-5-アミン (2S)-2-(6-メトキシ-2-ナフチル)プロパン酸塩(化合物(7’’a))の合成例
【0076】
【化16】

【0077】
アセトニトリル(83 mL)と水(25 mL)の混合液に(2S)-2-(6-メトキシ-2-ナフチル)プロパン酸(4.9 g)を加えた。40℃に加温後、3-(4-イソプロピルフェニル)-4,6-ジメチル-2,3-ジヒドロ-1-ベンゾフラン-5-アミン(6.0g)のアセトニトリル溶液(42 mL)を滴下し、20℃まで冷却後、種晶を加えた。氷冷下、1.5時間攪拌した。結晶を吸引ろ取し、減圧乾燥すると表題化合物(白色結晶, 4.7 g, 収率42.8%, 97.6%de)が得られた。
Anal Calcd for C33H37NO4C:77.47, H:7.29, N: 2.74; Found C:77.50, H:7.20, N:2.73.
【0078】
実施例7 [(3R)-3-(4-イソプロピルフェニル)-4,6-ジメチル-2,3-ジヒドロ-1-ベンゾフラン-5-イル]カルバミド酸メチル(化合物(6a))の合成例
【0079】
【化17】

【0080】
(3R)-3-(4-イソプロピルフェニル)-4,6-ジメチル-2,3-ジヒドロ-1-ベンゾフラン-5-アミン (2S)-2-(6-メトキシ-2-ナフチル)プロパン酸塩(6.0 g, 11.73 mmol)をトルエン(30 mL)、メタノール(12 mL)そして水(30mL)混合液に溶解した。25%アンモニア水(1.84 g, 26.97 mmol)を添加し、撹拌後分液した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過、酢酸エチルで洗浄した。次いで減圧濃縮すると (3R)-3-(4-イソプロピルフェニル)-4,6-ジメチル-2,3-ジヒドロ-1-ベンゾフラン-5-アミンが得られた。
得られた(3R)-3-(4-イソプロピルフェニル)-4,6-ジメチル-2,3-ジヒドロ-1-ベンゾフラン-5-アミンの半量をアセトニトリル(15 mL)に溶解後、ピリジン(695 mg)を加えた。室温にて、クロロギ酸メチル(609 mg, 6.45 mmol)を滴下した。20分間撹拌後、反応液を減圧濃縮した。濃縮残渣に酢酸エチル(30 mL)、1M塩酸(15 mL)を加え抽出した。有機層に水(15 mL)及び食塩を加えて洗浄後、有機層を濃縮した。次いで、濃縮残渣をシリカゲルカラム精製(ヘキサン/酢酸エチル=3/1)すると表題化合物(1.97 g, 98.9%)が得られた。
1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ 1.22 (d, J = 6.9 Hz, 6H), 1.88 (s, 3H), 2.23 (s, 3H), 2.80-2.91 (m, 1H), 3.73 (brs, 3H), 4.38-4.53 (m, 2H), 4.80-4.87 (m, 1H), 5.83 (brs, 1H), 6.63 (s, 1H), 7.04 (d, J = 8.1 Hz, 2H), 7.13 (d, J = 8.1 Hz, 2H); m/z 339 [M+].
【0081】
実施例8 [(3R)-7-アセチル-3-(4-イソプロピルフェニル)-4,6-ジメチル-2,3-ジヒドロ-1-ベンゾフラン-5-イル]カルバミド酸メチル(化合物(5a))の合成例
【0082】
【化18】

【0083】
500 mL四頸フラスコにクロロベンゼン(100 mL)、(3R)-3-(4-イソプロピルフェニル)-4,6-ジメチル-2,3-ジヒドロ-1-ベンゾフラン-5-アミン (2S)-2-(6-メトキシ-2-ナフチル)プロパン酸塩(5.00 g, 9.77 mmol)を加え、室温で15 分間攪拌した。1M水酸化ナトリウム水溶液(14.7 mL)とヘプタン(25 mL)を順に添加し、室温で攪拌した。静置後、水層を除去し、有機層に1M水酸化ナトリウム水溶液(14.7 mL)を加え攪拌した。静置後、水層を除去した。有機層にアセトニトリル(20 mL)と飽和重曹水(20 mL)を添加後、室温にてクロロ炭酸メチル(1.06 g)を滴下した。滴下終了後、滴下ロートをアセトニトリル(10 mL)で洗浄した。室温にて1時間反応後、水層を除去した。有機層を10%食塩水(30 mL)で更に洗浄した。有機層を内容量(約18.7 g)まで減圧濃縮した。クロロベンゼン(20 mL)を添加し、更に内容量(約18.7 g)まで減圧濃縮すると[(3R)-3-(4-イソプロピルフェニル)-4,6-ジメチル-2,3-ジヒドロ-1-ベンゾフラン-5-イル]カルバミド酸メチルのクロロベンゼン溶液 (21.71 g,定量収量 3.04 g, 収率 91.6%)が得られた。
200 mL四頸フラスコに先に合成した[(3R)-3-(4-イソプロピルフェニル)-4,6-ジメチル-2,3-ジヒドロ-1-ベンゾフラン-5-イル]カルバミド酸メチル(13.27 g, 39.09 mmol)のクロロベンゼン溶液(約68 mL)を加え、窒素気流下にて10 ℃以下に冷却した後、四塩化ジルコニウム(19.13 g)を添加した。次いで内温10 ℃以下にて塩化アセチル(6.44 g)を滴下した。滴下ロートをクロロベンゼン(15 mL)で洗浄し、その洗浄液も加えた。同温度にて約4時間反応した。これを反応液Aとした。
別の容器に20%クエン酸(65 mL)を加え、氷冷した。これに先の反応液Aを内温15 ℃以下にて滴下した。分液後、有機層を20%クエン酸(27 mL)で2回洗浄した。有機層を5%重曹水(27 mL), 5%食塩水(27 mL)で順に洗浄した。有機層を減圧濃縮後、トルエンを加えて再度減圧濃縮すると、濃縮物(15.57 g)が得られた。次いで濃縮物の一部(900 mg)をカラムクロマト精製(酢酸エチル/ヘキサン)すると表題化合物 (859 mg,収率99.8%)が得られた。
1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ 1.22 (d, J = 6.92 Hz, 24/4H), 1.90 (s, 12/4H), 2.25 (s, 12/4H), 2.59 (s, 12/4H), 2.84-2.89 (m, 4/4H), 3.67 (brs, 3/4H), 3.73 (brs, 9/4H), 4.46-4.45 (m, 8/4H), 4.90 (t like, J = 8.20 Hz, 4/4H), 5.67 (brs, 1/4H), 5.86 (brs, 3/4H), 7.03 (d, J = 8.08 Hz, 8/4H), 7.15 (d, J = 8.08 Hz, 8/4H).
【0084】
実施例9 [(3R)-7-[(1R)-1-ヒドロキシエチル]-3-(4-イソプロピルフェニル)-4,6-ジメチル-2,3-ジヒドロ-1-ベンゾフラン-5-イル]カルバミド酸メチル(化合物(4a))と[(3R)-7-[(1S)-1-ヒドロキシエチル]-3-(4-イソプロピルフェニル)-4,6-ジメチル-2,3-ジヒドロ-1-ベンゾフラン-5-イル]カルバミド酸メチル(化合物(4a’))の合成例
【0085】
【化19】

【0086】
[(3R)-7-アセチル-3-(4-イソプロピルフェニル)-4,6-ジメチル-2,3-ジヒドロ-1-ベンゾフラン-5-イル]カルバミド酸メチル(300 mg, 0.79 mmol)をTHFに溶解した。水素化ホウ素ナトリウム(12 mg)を添加後、室温にてメタノール(1 mL)を滴下した。その後、水素化ホウ素ナトリウムを追加した。反応終了後、1M塩酸(10 mL)を滴下し、酢酸エチルで抽出した。有機層を5%重曹水(5 mL)で洗浄し、減圧濃縮した。濃縮残渣をシリカゲルカラム精製(ヘキサン/酢酸エチル=2/1)すると[(3R)-7-[(1R)-1-ヒドロキシエチル]-3-(4-イソプロピルフェニル)-4,6-ジメチル-2,3-ジヒドロ-1-ベンゾフラン-5-イル]カルバミド酸メチル (33 mg,収率10.9%)と[(3R)-7-[(1S)-1-ヒドロキシエチル]-3-(4-イソプロピルフェニル)-4,6-ジメチル-2,3-ジヒドロ-1-ベンゾフラン-5-イル]カルバミド酸メチル (49 mg,収率16.2%)が得られた。
【0087】
[(3R)-7-[(1R)-1-ヒドロキシエチル]-3-(4-イソプロピルフェニル)-4,6-ジメチル-2,3-ジヒドロ-1-ベンゾフラン-5-イル]カルバミド酸メチル(化合物(4a))の化合物データ
1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ 1.20-1.28 (m, 6H), 1.52 (d, J = 6.54 Hz, 3H), 1.86 (s, 3H), 2.20 (s, 3H), 2.81-2.89 (m, 1H), 3.49 (brd, J = 10.41 Hz, 1H), 3.66-3.73 (brs like, 3H), 4.45-4.53 (brs, 2H), 4.85-4.91 (m, 1H), 5.03-5.16 (m, 1H), 5.72-5.88 (brs, 1H), 7.02 (d, J = 8.07 Hz, 2H), 7.13 (d, J = 8.07 Hz, 2H).
【0088】
[(3R)-7-[(1S)-1-ヒドロキシエチル]-3-(4-イソプロピルフェニル)-4,6-ジメチル-2,3-ジヒドロ-1-ベンゾフラン-5-イル]カルバミド酸メチル(化合物(4a’))の化合物データ
1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ 1.21-1.25 (m, 6H), 1.50-1.56 (brm, 3H), 1.87 (s, 3H), 2.18-2.20 (brs, 3H), 2.82-2.91 (m, 1H), 3.49 (brd, J = 9.89 Hz, 1H), 3.64-3.73 (brs like, 3H), 4.47-4.49 (brd, 2H), 4.84-4.92 (m, 1H), 5.01-5.09 (m, 1H), 5.80-5.88 (brs, 1H), 7.03 (d, J = 8.00 Hz, 2H), 7.14 (d, J = 8.00 Hz, 2H).
【0089】
実施例10 [(3R)-7-[1-ヒドロキシエチル]-3-(4-イソプロピルフェニル)-4,6-ジメチル-2,3-ジヒドロ-1-ベンゾフラン-5-イル]カルバミド酸メチル(化合物(4’a))の合成例
【0090】
【化20】

【0091】
[(3R)-7-アセチル-3-(4-イソプロピルフェニル)-4,6-ジメチル-2,3-ジヒドロ-1-ベンゾフラン-5-イル]カルバミド酸メチル(1.00 g, 2.62 mmol)をTHFに溶解した。水素化ホウ素ナトリウム(99 mg, 2.62 mmol)を添加した。45〜50℃にてメタノール(1 mL)を滴下した。滴下終了後、同温にて10分間撹拌した。室温に冷却後、1M塩酸(10 mL)中に反応液を滴下した。混合液を酢酸エチル(20 mL)で抽出した。有機層を5%重曹水(5 mL)で洗浄し、減圧濃縮した。濃縮残渣をシリカゲルカラム精製(ヘキサン/酢酸エチル=1/1)すると表題化合物(1.00 g,収率99.0%)が得られた。
1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ 1.20-1.44 (m, 6H), 1.51-1.56 (m, 3H), 1.86-1.88 (d like, 3H), 2.20-2.21 (m, 3H), 2.81-2.91 (m, 1H), 3.47-3.49 (brm, 1H), 3.66-3.74 (s like, 3H), 4.49-4.51 (brs, 2H), 4.89 (brt, J = 9.73 Hz, 1H), 5.01-5.11 (m, 1H), 5.66-5.85 (brs, 1H), 7.01-7.03 (m, 2H), 7.11-7.16 (m, 2H).
【0092】
実施例11 [(3R)-7-[(1R)-1-ヒドロキシエチル]-3-(4-イソプロピルフェニル)-4,6-ジメチル-2,3-ジヒドロ-1-ベンゾフラン-5-イル]カルバミド酸メチル(化合物(4a))の合成例
【0093】
【化21】

【0094】
50 mL四頸フラスコにトルエン(40 mL)と(S)-5,5-ジフェニル-2-メチル-3,4-プロパノ-1,3,2-オキサザボロリジン(542 mg)を加え、窒素気流下、室温にてボラン-ジメチルスルフィド錯体-トルエン溶液(1.9 mol/L, 45 mL)を滴下した。窒素気流下、[(3R)-7-アセチル-3-(4-イソプロピルフェニル)-4,6-ジメチル-2,3-ジヒドロ-1-ベンゾフラン-5-イル]カルバミド酸メチル(定量重量14.08 g, 36.91 mmol)のトルエン溶液(58.7 g)を室温にて約2.5時間かけて滴下した。滴下ロートをトルエン(28 mL)で洗浄し、その洗液を先とほぼ同じ速度で滴下した。洗浄液の滴下終了後、同温度にて一夜放置した。窒素気流下、室温以下で反応液にアセトン(20 mL)と2M塩酸(180 mL)を順次滴下し、室温で2時間攪拌した。水層を除去し、有機層を更に2M塩酸(60 mL)、5%重曹水(60 mL×2)と5%食塩水(60 mL×2)で順次洗浄した。有機層を減圧濃縮した後、DMSO (40 mL)を加え、再度濃縮すると表題化合物のDMSO溶液 (57.97 g)が得られた。
1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ 1.22 (d, J = 6.90 Hz, 24/4H), 1.52 (d, J = 6.52 Hz, 12/4H), 1.86 (s, 12/4H), 2.20 (s, 12/4H), 2.79-2.91 (m, 4/4H), 3.49 (brd, J = 10.39 Hz, 4/4H, OH), 3.66 (brs, 3/4H), 3.73 (brs, 9/4H), 4.40-4.54 (m, 8/4H), 4.85-4.89 (m, 4/4H), 5.01-5.11 (m, 4/4H), 5.72 (brs, 1/4H), 5.88 (brs, 3/4H), 7.02 (d, J = 8.05 Hz, 8/4H), 7.13 (d, J = 8.05 Hz, 8/4H) (DMSO,トルエンのピークを除く).
【0095】
実施例12 (3R)-7-[(1R)-1-ヒドロキシエチル]-3-(4-イソプロピルフェニル)-4,6-ジメチル-2,3-ジヒドロ-1-ベンゾフラン-5-アミン(化合物(3a)) (2S)-2-(6-メトキシ-2-ナフチル)プロパン酸塩の合成例
【0096】
【化22】

【0097】
窒素気流下、実施例11で得られた[(3R)-7-[(1R)-1-ヒドロキシエチル]-3-(4-イソプロピルフェニル)-4,6-ジメチル-2,3-ジヒドロ-1-ベンゾフラン-5-イル]カルバミド酸メチルのDMSO溶液(57.97 g)に4M水酸化カリウム水溶液(40 mL)を添加し、65 ℃で約2.5時間反応した。氷冷し、反応液に10%食塩水(40 mL)、2M塩酸(60 mL)、酢酸エチル(200 mL)、2M塩酸(20 mL)を順に滴下した。分液後、有機層を10%食塩水(40 mL)で洗浄した。分液後、有機層を減圧濃縮した。濃縮物にアセトニトリル(60 mL)を添加後、再濃縮する操作を2回実施すると、(3R)-7-[(1R)-1-ヒドロキシエチル]-3-(4-イソプロピルフェニル)-4,6-ジメチル-2,3-ジヒドロ-1-ベンゾフラン-5-アミン [定量収量11.24 g, 収率93.6% (2工程), 67.6% de]のアセトニトリル溶液(27.41 g)が得られた。
500 mLフラスコにアセトニトリル(113 mL), 水(35 mL), (2S)-2-(6-メトキシ-2-ナフチル)プロパン酸(8.50 g)を加え、室温にて攪拌した。先に得られた(3R)-7-[(1R)-1-ヒドロキシエチル]-3-(4-イソプロピルフェニル)-4,6-ジメチル-2,3-ジヒドロ-1-ベンゾフラン-5-アミンのアセトニトリル溶液(27.41 g)の約30w/w%相当量を添加すると完全に溶解した。室温にて表題化合物の種晶を加え1時間攪拌後、残りの約70 w/w%量を室温にて2 時間以上かけて滴下した。次いで滴下ロートをアセトニトリル(49.3 mL)で洗浄し、その洗液も滴下した。室温にて水(146 mL)を1時間以上かけて滴下した。室温で更に2時間攪拌した。結晶を吸引ろ取し、冷50%アセトニトリル水溶液で洗浄した。50 ℃にて減圧乾燥すると表題化合物の粗体(16.37 g)が得られた。
100 mLフラスコにアセトニトリル(30 mL)と2M水酸化ナトリウム水溶液(4.95 mL)を加え、次いで先に得られた表題化合物の粗体(5.00 g)を加え、滴下ロートをアセトニトリル(10 mL)で洗浄した。これに2M塩酸(4.95 mL)を室温で30分間以上かけて滴下し、これを滴下後1時間攪拌した。次いで約1時間かけて水(30 mL)を室温で滴下し、そのまま2時間攪拌した。析出した結晶を吸引ろ取し、冷50%含水アセトニトリル水溶液(10 mL)で洗浄した。50 ℃にて減圧乾燥すると表題化合物(3.17 g, 99.1% de)が得られた。
【0098】
実施例13 (3R)-7-[(1R)-1-ヒドロキシエチル]-3-(4-イソプロピルフェニル)-4,6-ジメチル-2,3-ジヒドロ-1-ベンゾフラン-5-アミン(化合物(3a)) (2S)-2-(6-メトキシ-2-ナフチル)プロパン酸塩の合成例
100 mLフラスコに粗(3R)-7-[(1R)-1-ヒドロキシエチル]-3-(4-イソプロピルフェニル)-4,6-ジメチル-2,3-ジヒドロ-1-ベンゾフラン-5-アミン (2S)-2-(6-メトキシ-2-ナフチル)プロパン酸塩(1.05 g)とアセトニトリル(6.3 mL)を加え、2M水酸化ナトリウム水溶液(1.00 mL)、2M塩酸(1.00 mL)を順に滴下した。反応液を室温で1時間攪拌した。更に水(43 mL)を滴下後、反応液を室温で1時間攪拌した。結晶を吸引ろ取し、冷50%含水アセトニトリル水溶液(2 mL)で洗浄した。50 ℃にて減圧乾燥すると表題化合物(837 mg, 収率79.7%, 98.3% de)が得られた。
1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ 1.22 (d, J = 6.92 Hz, 6H), 1.51 (d, J = 6.63 Hz, 3H), 1.58 (d, J = 7.15 Hz, 3H), 2.11 (s, 3H), 1.83 (s, 3H), 2.82-2.90 (m, 1H), 3.85 (q, J = 7.15 Hz, 1H), 3.90 (s, 3H), 4.36-4.32 (m, 1H), 4.48-4.51 (m, 1H), 4.7〜4.81 (m, 1H), 5.08-5.15 (q, 1H), 5.36 (brs, 4H), 7.02 (d, J = 8.22 Hz, 2H), 7.10-7.14 (brm, 4H), 7.40 (dd, J = 8.48, 2.78 Hz, 1H), 7.67-7.70 (brm, 3H); 13C NMR (75 MHz, CDCl3) δ 12.92, 13.88, 18.19 (2C), 23.90 (2C), 33.59, 45.23, 47.57, 55.20, 67.22, 79.46, 105.54, 118.72, 118.80, 118.89, 123.99, 126.01, 126.19, 126.67 (2C), 127.10, 127.33 (2C), 127.46, 128.85, 129.22, 133.69, 135.22, 136.49, 140.41, 147.27, 150.03, 157.58, 179.35.
【0099】
実施例14 N-[(3R)-7-[(1R)-1-ヒドロキシエチル]-3-(4-イソプロピルフェニル)-4,6-ジメチル-2,3-ジヒドロ-1-ベンゾフラン-5-イル]-3,3-ジメチルブタンアミド(化合物(1a))の合成例
【0100】
【化23】

【0101】
酢酸イソプロピル(100 mL)と水(20 mL)の混合液に(3R)-7-[(1R)-1-ヒドロキシエチル]-3-(4-イソプロピルフェニル)-4,6-ジメチル-2,3-ジヒドロ-1-ベンゾフラン-5-アミン (2S)-2-(6-メトキシ-2-ナフチル)プロパン酸塩(10.0 g, 18.0 mmol)を加えた。さらに1M水酸化ナトリウム水溶液(27 mL)、酢酸イソプロピル(50 mL)を添加した。分液後、0.5M水酸化ナトリウム水溶液(20 mL)で洗浄した。有機層に5%重曹水(50 mL)を添加後、氷冷下tert-ブチルアセチルクロリド(2.54 g)を滴下し、同温度で1.5時間撹拌した。室温下分液後、5%重曹水(50 mL)、水(50 mL)の順で洗浄した。有機層を減圧濃縮後、濃縮液に55℃でヘプタン(20 mL)を滴下した。さらに室温下ヘプタン(100 mL)を滴下後、1.5時間撹拌した。結晶を吸引ろ取し、減圧乾燥すると粗結晶(7.0 g)が得られた。粗結晶(6.5 g)のイソプロピルアルコール溶液(29 mL)に室温下で水(18 mL)を滴下した。種晶を加えて2時間攪拌した。さらに水(27 mL)を滴下し、2.5時間撹拌した。結晶を吸引ろ取し、減圧乾燥すると表題化合物(6.3 g, 収率89.1%)が得られた。
mp 188℃; 1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ 1.11 (s, 9H), 1.21 (d, J = 6.92 Hz, 6H), 1.51 (d, J = 6.62Hz, 3H), 1.84 (s, 3H), 2.17 (s, 3H), 2.24 (d, J = 0.91 Hz, 2H), 2.81-2.90 (m, 1H), 3.50 (brs, J = 10.43 Hz, 1H, OH), 4.44-4.52 (m, 2H), 4.84-4.92 (m, 1H), 5.01-5.09 (m, 1H), 6.55 (brs, 1H, NH), 7.02 (d, J = 8.14 Hz, 2H), 7.12 (d, J = 8.14 Hz, 2H).
【0102】
実施例15 (3R)-7-[(1R)-1-ヒドロキシエチル]-3-(4-イソプロピルフェニル)-4,6-ジメチル-2,3-ジヒドロ-1-ベンゾフラン-5-アミン(化合物(3a)) (2S)-2-(6-メトキシ-2-ナフチル)プロパン酸塩の合成例
【0103】
【化24】

【0104】
(3R)-3-(4-イソプロピルフェニル)-4,6-ジメチル-2,3-ジヒドロ-1-ベンゾフラン-5-アミン (2S)-2-(6-メトキシ-2-ナフチル)プロパン酸塩(16.0 g, 31.3 mmol)のクロロベンゼン(80 mL)懸濁液に、1M水酸化ナトリウム水溶液(48 mL)、ヘプタン(80 mL)を添加した。分液後、有機層を1M水酸化ナトリウム水溶液(48 mL)で洗浄した。有機層にアセトニトリル(48 mL)、3.6%重曹水(100 mL)を添加後、クロロ炭酸メチル(2.8 mL)を滴下し、1.5時間攪拌した。分液後、有機層を10%食塩水(48 mL)で洗浄した。有機層を減圧濃縮すると [(3R)-3-(4-イソプロピルフェニル)-4,6-ジメチル-2,3-ジヒドロ-1-ベンゾフラン-5-イル]カルバミド酸メチルの溶液が得られた。
窒素雰囲気下、クロロベンゼン(64 mL)に先に得られた[(3R)-3-(4-イソプロピルフェニル)-4,6-ジメチル-2,3-ジヒドロ-1-ベンゾフラン-5-イル]カルバミド酸メチルの溶液を加えた。氷冷下、四塩化ジルコニウム(15.3 g)を添加し、さらに塩化アセチル(5.2 g)を滴下した。同温度で3時間攪拌後、四塩化ジルコニウム(2.2 g)、塩化アセチル(0.74 g)を添加し、1時間攪拌した。さらに四塩化ジルコニウム(1.5 g)、塩化アセチル(0.49 g)を添加し、1時間攪拌した。氷冷下で酢酸エチル(16 mL)を滴下後、反応液を20%クエン酸(96 mL)に10℃で滴下し、トルエン(80 mL)を添加した。室温で分液後、有機層を20%クエン酸(40 mL)、5%重曹水(48 mL)、10%食塩水(32 mL)の順で洗浄した。有機層を濃縮すると[(3R)-7-アセチル-3-(4-イソプロピルフェニル)-4,6-ジメチル-2,3-ジヒドロ-1-ベンゾフラン-5-イル]カルバミド酸メチルの溶液が得られた。
窒素雰囲気下、(S)-5,5-ジフェニル-2-メチル-3,4-プロパノ-1,3,2-オキサザボロリジン(0.42 g)のトルエン溶液(35 mL)に2Mボラン-ジメチルスルフィド錯体-トルエン溶液(33 mL)を加え、室温で30分間攪拌した。同温度で先に得られた[(3R)-7-アセチル-3-(4-イソプロピルフェニル)-4,6-ジメチル-2,3-ジヒドロ-1-ベンゾフラン-5-イル]カルバミド酸メチルの溶液を滴下後、滴下ロートをトルエン(23 mL)で洗浄し、1時間攪拌した。20℃でアセトン(16 mL)、2M塩酸(151 mL)を滴下した。室温で分液後、有機層を2M塩酸(46 mL)、5%重曹水(46 mL)、10%食塩水(46 mL)の順で洗浄した。有機層を減圧濃縮すると[(3R)-7-[(1R)-1-ヒドロキシエチル]-3-(4-イソプロピルフェニル)-4,6-ジメチル-2,3-ジヒドロ-1-ベンゾフラン-5-イル]カルバミド酸メチルの溶液が得られた。
先に得られた[(3R)-7-[(1R)-1-ヒドロキシエチル]-3-(4-イソプロピルフェニル)-4,6-ジメチル-2,3-ジヒドロ-1-ベンゾフラン-5-イル]カルバミド酸メチルの溶液にジメチルスルホキシド(31 mL)、4M水酸化カリウム水溶液(30 mL)を加え、55℃で5時間攪拌した。氷冷下2M塩酸(48 mL)を添加し、室温で酢酸エチル(115 mL)、10%食塩水(35 mL)を添加後、さらに2M塩酸(12 mL)を添加した。分液後、有機層を10%食塩水(46 mL)で洗浄した。有機層を減圧濃縮すると(3R)-7-[(1R)-1-ヒドロキシエチル]-3-(4-イソプロピルフェニル)-4,6-ジメチル-2,3-ジヒドロ-1-ベンゾフラン-5-アミンの溶液が得られた。
アセトニトリル(92 mL)と水(29 mL)の混合液に(2S)-2-(6-メトキシ-2-ナフチル)プロパン酸(7.0 g)を加えた。室温で、先に得られた(3R)-7-[(1R)-1-ヒドロキシエチル]-3-(4-イソプロピルフェニル)-4,6-ジメチル-2,3-ジヒドロ-1-ベンゾフラン-5-アミンの溶液の30%量を滴下後、種晶を加え、2時間攪拌した。先に得られた(3R)-7-[(1R)-1-ヒドロキシエチル]-3-(4-イソプロピルフェニル)-4,6-ジメチル-2,3-ジヒドロ-1-ベンゾフラン-5-アミンの溶液の70%量を滴下後、アセトニトリル(40 mL)、水(119 mL)の順に滴下し、3時間攪拌した。結晶を吸引ろ取し、減圧乾燥すると粗結晶(13.7 g)が得られた。アセトニトリル(54 mL)と2M水酸化ナトリウム水溶液(13 mL)の混合物に、粗結晶(13.5 g)を加え、アセトニトリル(27 mL)、アセトニトリル/水(1/1)混液(27 mL)を添加した。続いて2M塩酸(13 mL)、水(54 mL)の順に滴下し、2時間攪拌した。結晶を吸引ろ取し、減圧乾燥すると表題化合物[11.8 g,収率68.8% (5工程), 98.8% de]が得られた。
【0105】
参考例2 [(3S)-7-アセチル-3-(4-イソプロピルフェニル)-4,6-ジメチル-2,3-ジヒドロ-1-ベンゾフラン-5-イル]カルバミド酸メチル(化合物(5b))の合成例
【0106】
【化25】

【0107】
5Lフラスコにクロロベンゼン (1000 mL)、(3S)-3-(4-イソプロピルフェニル)-4,6-ジメチル-2,3-ジヒドロ-1-ベンゾフラン-5-アミン (2R)-2-(6-メトキシ-2-ナフチル)プロパン酸塩(200.0 g)を加え、室温で15 分間攪拌した。1M水酸化ナトリウム水溶液(586 mL)とヘプタン(1000 mL)を順に添加し、室温で攪拌した。静置後、水層を除去した。有機層に1M水酸化ナトリウム水溶液(586 mL)を加え、攪拌後、水層を除去した。有機層にアセトニトリル(400 mL)と4%重曹水(1200 mL)を加え、室温でクロロ炭酸メチル(42.5 g)を滴下した。滴下終了後、滴下ロートをアセトニトリル(200 mL)で洗浄した。滴下終了後、室温にて1時間反応した。水層を除去後、有機層を10%食塩水(600 mL)で更に洗浄した。有機層を内容量(約660 g)まで減圧濃縮した。クロロベンゼン(800 mL)を添加し、内容量(約630 g)まで減圧濃縮した。もう一度、クロロベンゼン(800 mL)を添加し、内容量(約630 g)まで減圧濃縮した。濃縮液にクロロベンゼンを加えると、[(3S)-3-(4-イソプロピルフェニル)-4,6-ジメチル-2,3-ジヒドロ-1-ベンゾフラン-5-イル]カルバミド酸メチルのクロロベンゼン溶液(1240 g)が得られた。
窒素気流下、氷冷し、先に得られた[(3S)-3-(4-イソプロピルフェニル)-4,6-ジメチル-2,3-ジヒドロ-1-ベンゾフラン-5-イル]カルバミド酸メチルのクロロベンゼン溶液に四塩化ジルコニウム(191.3 g)を加え、次いで内温10 ℃以下で塩化アセチル(64.4 g)を滴下した。滴下ロートをクロロベンゼン(15 mL)で洗浄した。氷冷下にて約4時間反応した。反応液を氷冷した20%クエン酸(1000 mL)に滴下した。分液後、有機層を20%クエン酸(600 mL)で2回洗浄した。さらに有機層を5%重曹水(600 mL)と10%食塩水(400 mL)で順に洗浄した。有機層を減圧濃縮した後、トルエンを加え、再濃縮すると表題化合物のトルエン溶液(208.06 g,定量収量147.85 g,収率99.2%)が得られた。
【0108】
参考例3 (3S)-7-[(1S)-1-ヒドロキシエチル]-3-(4-イソプロピルフェニル)-4,6-ジメチル-2,3-ジヒドロ-1-ベンゾフラン-5-アミン(化合物(3b)) (2R)-2-(6-メトキシ-2-ナフチル)プロパン酸塩の合成例
【0109】
【化26】

【0110】
参考例2で得られた[(3S)-7-アセチル-3-(4-イソプロピルフェニル)-4,6-ジメチル-2,3-ジヒドロ-1-ベンゾフラン-5-イル]カルバミド酸メチルのトルエン溶液(208.06 g)をトルエンで希釈し、600 mL相当の溶液とした。別の5 Lフラスコにトルエン(444 mL)と(R)-5,5-ジフェニル-2-メチル-3,4-プロパノ-1,3,2-オキサザボロリジン(5.37 g)を加え、窒素気流下、室温にてボラン-ジメチルスルフィド錯体-トルエン溶液(1.9 mol/L, 449 mL)を滴下した。窒素気流下、先に調製した[(3S)-7-アセチル-3-(4-イソプロピルフェニル)-4,6-ジメチル-2,3-ジヒドロ-1-ベンゾフラン-5-イル]カルバミド酸メチルのトルエン溶液(約600 mL)を室温にて約3.5時間かけて滴下した。滴下ロートをトルエンで洗浄し、先とほぼ同じ速度で滴下した。洗浄液の滴下終了後、同温度にて一夜放置した。窒素気流下、室温以下で反応液にアセトン(200 mL)と2M塩酸(1478 mL)を滴下し、これを室温で2時間攪拌した。静置後、水層を除去した。有機層を更に2M 塩酸(592 mL)で2回洗浄した。有機層を更に5%重曹水(590 mL×2)と5%食塩水(590 mL×2)で洗浄した。有機層を減圧濃縮後、DMSO(296 mL)を加え、再度減圧濃縮すると[(3S)-7-[(1S)-1-ヒドロキシエチル]-3-(4-イソプロピルフェニル)-4,6-ジメチル-2,3-ジヒドロ-1-ベンゾフラン-5-イル]カルバミド酸メチルのDMSO溶液(1625 g, 定量収量126.47 g)が得られた。この溶液をDMSO(103 mL)で洗い込みながら5 L フラスコに移した。4M水酸化カリウム水溶液(388 mL)を加え、65℃で1.5時間反応した。冷却し、2M塩酸(775 mL)を滴下しながら酢酸エチル(1480 mL)を注入した。そして10%食塩水(444 mL)を加え、分液した。有機層を分取し、更に10%食塩水(591 mL)で洗浄した。有機層を減圧濃縮した。これにアセトニトリル(591 mL)を添加し、再度減圧濃縮すると(3S)-7-[(1S)-1-ヒドロキシエチル]-3-(4-イソプロピルフェニル)-4,6-ジメチル-2,3-ジヒドロ-1-ベンゾフラン-5-アミンのアセトニトリル溶液(242.7 g,定量収量116.3 g, 60.08% de)が得られた。
別の5 L フラスコにアセトニトリル(1182 mL), 水(370 mL)と(2R)-2-(6-メトキシ-2-ナフチル)プロパン酸(89.24 g)を加え、室温で攪拌した。先に得られた(3S)-7-[(1S)-1-ヒドロキシエチル]-3-(4-イソプロピルフェニル)-4,6-ジメチル-2,3-ジヒドロ-1-ベンゾフラン-5-アミンのアセトニトリル溶液(242.7 g)の約30w/w%相当量を加えた。室温で表題化合物の種晶を加え1 時間攪拌した後、残りの約70 w/w%量を室温にて2時間かけて滴下した。次いで滴下ロートをアセトニトリル(518 mL)で洗浄した。室温で水 (1530 mL)を1時間以上かけて滴下し、室温で更に1.5時間攪拌した。結晶を吸引ろ取し、冷50%アセトニトリル水溶液(300 mL)で洗浄した。50 ℃にて減圧乾燥すると表題化合物の粗体(134 g, 収率79.8%, 94.34% de)が得られた。
2 Lフラスコにアセトニトリル(535 mL)と2M水酸化ナトリウム水溶液(133 mL)を加え、さらに先に得られた表題化合物の粗体(133.9 g)を加え、滴下ロートをアセトニトリル(134 mL)で洗浄した。これに2M塩酸(133 mL)を室温で1時間かけて滴下し、さらに1時間攪拌した。次いで約1時間かけて水(672 mL)を室温で滴下し、さらにそのまま2時間攪拌した。結晶を吸引ろ取し、冷50%含水アセトニトリル水溶液(266 mL)で洗浄した。50 ℃にて減圧乾燥すると表題化合物(112 g, 98.9% de, 収率52.0%)が得られた。
【0111】
参考例4 N-[(3S)-7-[(1S)-1-ヒドロキシエチル]-3-(4-イソプロピルフェニル)-4,6-ジメチル-2,3-ジヒドロ-1-ベンゾフラン-5-イル]-3,3-ジメチルブタンアミド(化合物(1b))の合成例
【0112】
【化27】

【0113】
100 mLナス型フラスコに(3S)-7-[(1S)-1-ヒドロキシエチル]-3-(4-イソプロピルフェニル)-4,6-ジメチル-2,3-ジヒドロ-1-ベンゾフラン-5-アミン (2R)-2-(6-メトキシ-2-ナフチル)プロパン酸塩(1.00 g, 98.6% de)、トルエン(10 mL)と水(5 mL)加えた。これに25%アンモニア水(0.3 mL)を加え、分液した。有機層を水(5 mL)と25%アンモニア水(0.3 mL)の混合液で洗浄した。更に有機層を水(6 mL)で2回洗浄した。
有機層に5%重曹水(5 mL)水溶液を加えた。激しく攪拌しながらtert-ブチルアセチルクロリド(266 mg)を内温10〜20 ℃で滴下し、そのまま1.5時間攪拌した。有機層を分取後、1%アンモニア水(10 mL), 1M塩酸(10 mL)と水(15 mL×3)で順次洗浄した。有機層を減圧下にて濃縮乾固した。濃縮物に酢酸エチル(1.5 mL)/ヘキサン(10 mL)を加え攪拌した。結晶を吸引ろ取し、ヘキサン(1.5 mL)で洗浄した。室温にて12時間, 減圧乾燥すると表題化合物(682 mg,収率89.5%, 97.74% de)が得られた。
1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ 1.11 (s, 9H), 1.21 (d, J = 6.92 Hz, 6H), 1.51 (d, J = 6.62Hz, 3H), 1.84 (s, 3H), 2.17 (s, 3H), 2.24 (d, J = 0.91 Hz, 2H), 2.81-2.90 (m, 1H), 3.50 (brs, J = 10.43 Hz, 1H, OH), 4.44-4.52 (m, 2H), 4.84-4.92 (m, 1H), 5.01-5.09 (m, 1H), 6.55 (brs, 1H, NH), 7.02 (d, J = 8.14 Hz, 2H), 7.12 (d, J = 8.14 Hz, 2H); EA Calcd for C27H37NO3, C:76.56, H:8.80, N:3.31, O:11.33; Found C:76.49, H:8.76, N:3.30.
【0114】
参考例5 [(3R)-7-[(1S)-1-ヒドロキシエチル]-3-(4-イソプロピルフェニル)-4,6-ジメチル-2,3-ジヒドロ-1-ベンゾフラン-5-イル]カルバミド酸メチル(化合物(4a’))の合成例
【0115】
【化28】

【0116】
[(3R)-7-アセチル-3-(4-イソプロピルフェニル)-4,6-ジメチル-2,3-ジヒドロ-1-ベンゾフラン-5-イル]カルバミド酸メチル(3.50 g)をテトラヒドロフラン (17.5 mL)に溶解した。アルゴン雰囲気下にて(-)-DIPCl (5.89 g)を添加し、室温で1.5時間反応した。酢酸エチル(50 mL), 水(50 mL)を加え、分液した。有機層を水(50 mL)で洗浄した。有機層を減圧濃縮した。カラムクロマト精製(酢酸エチル/ヘキサン)すると表題化合物の粗体(3.33 g)が得られた。これにDMSO(7 mL), 4M水酸化カリウム水溶液(7 mL)を加え、外温60 ℃で2 時間反応した。氷冷し、2M塩酸(14 mL)で中和した。酢酸エチル(80 mL), 水(50 mL)を添加し、分液した。有機層を水(50 mL×2)で洗浄した。有機層を減圧下にて濃縮乾固すると表題化合物(2.80 g, 57.7% de, 収率79.5%)が得られた。
【0117】
参考例6 (3S)-7-[(1S)-1-ヒドロキシエチル]-3-(4-イソプロピルフェニル)-4,6-ジメチル-2,3-ジヒドロ-1-ベンゾフラン-5-アミン(化合物(3b))の合成例
【0118】
【化29】

【0119】
(3S)-7-[(1S)-1-ヒドロキシエチル]-3-(4-イソプロピルフェニル)-4,6-ジメチル-2,3-ジヒドロ-1-ベンゾフラン-5-アミン (2R)-2-(6-メトキシ-2-ナフチル)プロパン酸塩(2.00 g, 3.60 mmol)、酢酸エチル(25 mL)、1M水酸化ナトリウム水溶液(10 mL)を混合し、分液した。水層を除去後、有機層を1M水酸化ナトリウム水溶液(10 mL)で2回洗浄した。有機層を更に水(10 mL)で3回洗浄した。有機層を、ヘキサンを加えながら減圧濃縮した。50℃にて減圧乾燥すると表題化合物(1.14 g, 収率97.4%)が得られた。
1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ 1.21 (d, J = 6.92 Hz, 6H), 1.51 (d, J = 6.62 Hz, 3H), 1.82 (s, 3H), 2.11 (s, 3H), 2.80-2.90 (m, 1H), 3.28 (brs, 2H), 3.73 (brd, J = 8.68 Hz, 1H), 4.37 (dd, J = 8.51, 4.76 Hz, 1H), 4.49 (dd, J = 8.51, 4.76 Hz, 1H), 4.79 (t like, J = 8.51, 8.51 Hz, 1H), 5.08-5.13 (brs, 1H), 7.02 (d, J = 8.12 Hz, 2H), 7.11 (d, J = 8.12 Hz, 2H); 13C NMR (75 MHz, CDCl3) δ 12.19, 13.85, 23.86, 23.88, 23.98, 33.57, 47.60, 67.13, 79.38, 118.22, 118.35, 124.16, 126.62 (2C), 127.31 (2C), 127.39, 136.98, 140.47, 147.21, 149.75; IR (ATR) ν 3368, 2960, 2926, 2871, 1621, 1508, 1446, 1416, 1364, 1319, 1290, 1243, 1200, 1135, 1077, 1057, 1013, 990, 941, 903, 877, 830, 704, 637, 589, 568, 543, 493, 464, 442, 420, 406 cm-1; EA Calcd for C21H27NO2 C:77.50, H:8.36, N:4.30, O:9.83; Found C:77.48, H:8.45, N:4.23; [α]D20 −24.18 (c 0.2068, MeCN).
【産業上の利用可能性】
【0120】
本発明の製造法によれば、触媒、酵素または酵母を用いることにより、医薬として有用な高純度の5位にアシルアミノ基を有する光学活性なベンゾフラン誘導体を高収率で製造することができ、工業的に高品質な医薬品原料を提供することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(3):
【化1】


〔式中、RはC1−6アルキル基を示し、A環は1ないし2個の同一または異なったC1−6アルキル基でさらに置換されていてもよいベンゼン環を示し、B環は1ないし5個の同一または異なったC1−6アルキル基で置換されていてもよいベンゼン環を示す。〕
で表される化合物またはその塩を、式(2):
【化2】


〔式中、RはC1−6アルキル基を示し、Xは脱離基または水酸基を示す。〕
で表される化合物またはその塩と反応させることを特徴とする、式(1):
【化3】


〔式中、各記号は前記と同意義を示す。〕
で表される化合物またはその塩の製造方法。
【請求項2】
式(3)で表される化合物またはその塩が、式(4):
【化4】


〔式中、RはC1−6アルキル基を示し、RはC1−6アルコキシ−カルボニル基を示し、A環は1ないし2個の同一または異なったC1−6アルキル基でさらに置換されていてもよいベンゼン環を示し、B環は1ないし5個の同一または異なったC1−6アルキル基で置換されていてもよいベンゼン環を示す。〕
で表される化合物を、脱アルコキシカルボニル化反応に付することにより製造される化合物である、請求項1記載の製造方法。
【請求項3】
式(4)で表される化合物が、式(5):
【化5】


〔式中、RはC1−6アルキル基を示し、RはC1−6アルコキシ−カルボニル基を示し、A環は1ないし2個の同一または異なったC1−6アルキル基でさらに置換されていてもよいベンゼン環を示し、B環は1ないし5個の同一または異なったC1−6アルキル基で置換されていてもよいベンゼン環を示す。〕
で表される化合物を、不斉還元反応に付することにより製造される化合物である、請求項2記載の製造方法。
【請求項4】
(3R)-7-[(1R)-1-ヒドロキシエチル]-3-(4-イソプロピルフェニル)-4,6-ジメチル-2,3-ジヒドロ-1-ベンゾフラン-5-アミンまたはその塩を式(2a):
【化6】


〔式中、Xは脱離基または水酸基を示す。〕
で表される化合物またはその塩と反応させることを特徴とする、N-[(3R)-7-[(1R)-1-ヒドロキシエチル]-3-(4-イソプロピルフェニル)-4,6-ジメチル-2,3-ジヒドロ-1-ベンゾフラン-5-イル]-3,3-ジメチルブタンアミドの製造方法。
【請求項5】
(3R)-7-[(1R)-1-ヒドロキシエチル]-3-(4-イソプロピルフェニル)-4,6-ジメチル-2,3-ジヒドロ-1-ベンゾフラン-5-アミンまたはその塩が、[(3R)-7-[(1R)-1-ヒドロキシエチル]-3-(4-イソプロピルフェニル)-4,6-ジメチル-2,3-ジヒドロ-1-ベンゾフラン-5-イル]カルバミド酸メチルを脱アルコキシカルボニル化反応に付することにより製造される化合物である、請求項4記載の製造方法。
【請求項6】
[(3R)-7-[(1R)-1-ヒドロキシエチル]-3-(4-イソプロピルフェニル)-4,6-ジメチル-2,3-ジヒドロ-1-ベンゾフラン-5-イル]カルバミド酸メチルが、[(3R)-7-アセチル-3-(4-イソプロピルフェニル)-4,6-ジメチル-2,3-ジヒドロ-1-ベンゾフラン-5-イル]カルバミド酸メチルを不斉還元反応に付することにより製造される化合物である、請求項5記載の製造方法。
【請求項7】
2-ブロモ-1-(4-イソプロピルフェニル)エタノンを、塩基存在下、3,5-ジメチル-4-ニトロフェノールと反応させることを特徴とする、1-(4-イソプロピルフェニル)-2-(3,5-ジメチル-4-ニトロフェノキシ)エタノンの製造方法。
【請求項8】
(3R)-7-[(1R)-1-ヒドロキシエチル]-3-(4-イソプロピルフェニル)-4,6-ジメチル-2,3-ジヒドロ-1-ベンゾフラン-5-アミンまたはその塩。
【請求項9】
[(3R)-7-[(1R)-1-ヒドロキシエチル]-3-(4-イソプロピルフェニル)-4,6-ジメチル-2,3-ジヒドロ-1-ベンゾフラン-5-イル]カルバミド酸メチル。
【請求項10】
[(3R)-7-アセチル-3-(4-イソプロピルフェニル)-4,6-ジメチル-2,3-ジヒドロ-1-ベンゾフラン-5-イル]カルバミド酸メチル。
【請求項11】
[(3R)-3-(4-イソプロピルフェニル)-4,6-ジメチル-2,3-ジヒドロ-1-ベンゾフラン-5-イル]カルバミド酸メチル。
【請求項12】
(3R)-3-(4-イソプロピルフェニル)-4,6-ジメチル-2,3-ジヒドロ-1-ベンゾフラン-5-アミン (2S)-2-(6-メトキシ-2-ナフチル)プロパン酸塩。
【請求項13】
3-(4-イソプロピルフェニル)-4,6-ジメチル-5-ニトロ-1-ベンゾフラン。
【請求項14】
1-(4-イソプロピルフェニル)-2-(3,5-ジメチル-4-ニトロフェノキシ)エタノン。
【請求項15】
工程1A:2-ブロモ-1-(4-イソプロピルフェニル)エタノンを、塩基存在下、3,5-ジメチル-4-ニトロフェノールと反応させて、1-(4-イソプロピルフェニル)-2-(3,5-ジメチル-4-ニトロフェノキシ)エタノンを得る工程;
工程2A:1-(4-イソプロピルフェニル)-2-(3,5-ジメチル-4-ニトロフェノキシ)エタノンを環化反応に付して、3-(4-イソプロピルフェニル)-4,6-ジメチル-5-ニトロ-1-ベンゾフランを得る工程;
工程3A:3-(4-イソプロピルフェニル)-4,6-ジメチル-5-ニトロ-1-ベンゾフランを還元して、3-(4-イソプロピルフェニル)-4,6-ジメチル-2,3-ジヒドロ-1-ベンゾフラン-5-アミンまたはその塩を得る工程;
工程3A’:3-(4-イソプロピルフェニル)-4,6-ジメチル-2,3-ジヒドロ-1-ベンゾフラン-5-アミンまたはその塩を(2S)-2-(6-メトキシ-2-ナフチル)プロパン酸を用いた分別晶析による光学分割に付して、(3R)-3-(4-イソプロピルフェニル)-4,6-ジメチル-2,3-ジヒドロ-1-ベンゾフラン-5-アミン (2S)-2-(6-メトキシ-2-ナフチル)プロパン酸塩を得る工程;
工程3A’’:(3R)-3-(4-イソプロピルフェニル)-4,6-ジメチル-2,3-ジヒドロ-1-ベンゾフラン-5-アミン (2S)-2-(6-メトキシ-2-ナフチル)プロパン酸塩を塩基で処理して、(3R)-3-(4-イソプロピルフェニル)-4,6-ジメチル-2,3-ジヒドロ-1-ベンゾフラン-5-アミンを得る工程;
工程4A:(3R)-3-(4-イソプロピルフェニル)-4,6-ジメチル-2,3-ジヒドロ-1-ベンゾフラン-5-アミンを、塩基存在下、ハロゲン化ギ酸メチルと反応させて、[(3R)-3-(4-イソプロピルフェニル)-4,6-ジメチル-2,3-ジヒドロ-1-ベンゾフラン-5-イル]カルバミド酸メチルを得る工程;
工程5A:[(3R)-3-(4-イソプロピルフェニル)-4,6-ジメチル-2,3-ジヒドロ-1-ベンゾフラン-5-イル]カルバミド酸メチルをアセチル化反応に付して、[(3R)-7-アセチル-3-(4-イソプロピルフェニル)-4,6-ジメチル-2,3-ジヒドロ-1-ベンゾフラン-5-イル]カルバミド酸メチルを得る工程;
工程6A:[(3R)-7-アセチル-3-(4-イソプロピルフェニル)-4,6-ジメチル-2,3-ジヒドロ-1-ベンゾフラン-5-イル]カルバミド酸メチルを不斉還元反応に付して、[(3R)-7-[(1R)-1-ヒドロキシエチル]-3-(4-イソプロピルフェニル)-4,6-ジメチル-2,3-ジヒドロ-1-ベンゾフラン-5-イル]カルバミド酸メチルを得る工程;
工程7A:[(3R)-7-[(1R)-1-ヒドロキシエチル]-3-(4-イソプロピルフェニル)-4,6-ジメチル-2,3-ジヒドロ-1-ベンゾフラン-5-イル]カルバミド酸メチルを脱アルコキシカルボニル化反応に付して、(3R)-7-[(1R)-1-ヒドロキシエチル]-3-(4-イソプロピルフェニル)-4,6-ジメチル-2,3-ジヒドロ-1-ベンゾフラン-5-アミンまたはその塩を得る工程;および
工程8A:(3R)-7-[(1R)-1-ヒドロキシエチル]-3-(4-イソプロピルフェニル)-4,6-ジメチル-2,3-ジヒドロ-1-ベンゾフラン-5-アミンまたはその塩を式(2a):
【化7】


〔式中、Xは脱離基または水酸基を示す。〕
で表される化合物またはその塩と反応させて、N-[(3R)-7-[(1R)-1-ヒドロキシエチル]-3-(4-イソプロピルフェニル)-4,6-ジメチル-2,3-ジヒドロ-1-ベンゾフラン-5-イル]-3,3-ジメチルブタンアミドを得る工程;
を包含する、N-[(3R)-7-[(1R)-1-ヒドロキシエチル]-3-(4-イソプロピルフェニル)-4,6-ジメチル-2,3-ジヒドロ-1-ベンゾフラン-5-イル]-3,3-ジメチルブタンアミドの製造方法。

【公開番号】特開2011−98930(P2011−98930A)
【公開日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−255552(P2009−255552)
【出願日】平成21年11月6日(2009.11.6)
【出願人】(000002934)武田薬品工業株式会社 (396)
【Fターム(参考)】