説明

ペプチドギャップ結合調節因子として作用する化合物及びその使用

細胞間ギャップ結合コミュニケーションを調節するための化合物、並びに機能低下したギャップ結合細胞間コミュニケーション(GJIC)1と関連した疾患の治療におけるそれらの使用が開示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、細胞内ギャップ結合コミュニケーションを調節することができる化合物、該化合物を含む医薬組成物、及びギャップ結合コミュニケーションの調節に関連した状態の予防及び/又は治療のためのそれらの医薬的使用に関する。
【背景技術】
【0002】
細胞間コミュニケーションが細胞の恒常性、増殖、及び分化に必須であるという認識が広まってきている。このような細胞間コミュニケーションは、ギャップ結合によって促進されると考えられている。これらの構造は、細胞を結合させる経路であり、「クロストーク」を可能にすると考えられている。一般には、Sperelakis,N.,(1989)Cell Interactions and Gap Junctions by N.Sperelakis,William C.Cole(Editor)を参照されたい。コネキシンは、オリゴマー化してギャップ結合と呼ばれる細胞間チャネルを形成する内在性膜タンパク質である。多数の哺乳動物系で最も豊富なギャップ結合タンパク質は、コネキシン43(「Cx43」)である。
【0003】
ギャップ結合チャネルは、細胞と細胞の直接のコミュニケーションに関与する。これらのチャネルは、細胞環境の変化に応答し、タンパク質の相互作用によって調節される動的な孔である。心臓では、ギャップ結合チャネルは、電気的刺激の通路のメカニズムにおいて重要な構造である(Lerner et al.,“Accelerated Onset and Increased Incidence of ventricular arrhythmias induced by ischemia in Cx43−deficient mice”,Circ.101(5):547−552(2000);Gutstein et al.,“Conditional gene targeting of connexin43:exploring the consequences of gap junction remodeling in the heart”,Cell Commun.Adhes.8(4−6):345−348(2001);Vaidya et al.,“Null mutation of connexin43 causes slow propagation of ventricular activation in the late stages of mouse embryonic development”,Circ.Res.88(11):1196−1202(2001))。各チャネルは、細胞外空間に亘って結合する2つの同一の6量体構造、すなわち「コネクソン」で構成される。この結果は、動的に調節される透過性の孔である。コネクソンの各サブユニットは、分子コネキシンである。この分子は、N末端(「NT」)、細胞質ループ(「CL」)、及びC末端(「CT」)ドメインが細胞質空間にある状態で膜に存在する。加えて、反対側のコネクソンへの結合に関与する4つの膜貫通ドメイン及び2つの細胞外ドメイン(細胞外ループ)が存在する。マウスゲノムには少なくとも20個、ヒトゲノムには21個の異なるコネキシンアイソタイプが存在する(Willecke et al.,“Structural and functional diversity of connexin genes in the mouse and human genome”,Biol.Chem.383(5):725−737(2002))。心臓、脳、及び他の組織で最も豊富なコネキシンアイソタイプは、43kDaのタンパク質、Cx43である。
【0004】
ギャップ結合は、イオン及び小分子の細胞間の通過を許容し、コネキシン分子と微小環境との間の様々な化学的相互作用によって調節される。したがって、ギャップ結合は、動的フィルターとして機能し、細胞間メッセージの通過を制御して機能を調節する。
【0005】
以前の研究は、Cx43チャネルの制御が、ゲート開閉粒子として機能するCTドメインと、ゲート開閉粒子の受容体として機能するコネキシン分子の別個の領域との会合によるものであることを示唆した(Duffy et al.,“pH−Dependent Intramolecular Binding and Structure Involving Cx43 Cytoplasmic Domains”,J.Biol.Chem.277(39):36706−36714(2002);Moreno et al.,“Role of the Carboxyl Terminal of Connexin43 in Transjunctional Fast Voltage Gating”,Circ.Res.90(4):450−457(2002),92(1):e30(2003)(誤植))。別の研究は、この分子内相互作用を、ギャップ結合斑の微小環境における他の分子間相互作用によって調節できることを示した(Morley et al.,“Intramolecular Interactions Mediate pH Regulation of Connexin43 Channels”,Biophys.J.70(3):1294−1302(1996))。したがって、Cx43ギャップ結合斑の明らかになりつつある実態は、タンパク質が一斉に細胞間コミュニケーションを調節する巨大分子複合体である。これらの相互作用の中心は、多種のキナーゼの基質として機能するCTドメインである。
【0006】
ギャップ結合薬理学は初期の分野である。最近になって、ヘキサペプチド、例えば、AAP10(初期にはウシ心房由来の配列)、並びに安定なその類似体であるZP123はまた、ロチガペプチドと称され、及び新規なペプチドGAP134と称され、ギャップ結合コミュニケーションを調節し、不整脈治療剤としての潜在能力を示すことが示されている(Muller et al,Actions of the antiarrhythmic peptide AAP10 on intercellular coupling,Naunyn Schmiedebergs Arch.Pharmacol.1997 356(1):76−82;Kjolbye et al.,Pharmacological modulation of gap junction function with the novel compound rotigaptide:a promising new principle for prevention of arrhythmias.Basic Clin.Pharmacol.Toxicol.,2007 101:215−30;Rossman et al.,Effects of the gap junction modifier,GAP−134,on conduction and atrial fibrillation/flutter inducibility in dogs.AHA Scientific Sessions Abstract 1837,2007;Axelsen et al.,Increasing gap junctional coupling:a tool for dissecting the role of gap junctions.J.Membr.Biol.2007;1:23−35)。
【0007】
この蓄積された証拠は、関連する薬理学的標的としてギャップ結合調節の概念を支持する。しかしながら、これらの分子の更なる開発は、それらの正確な分子標的が未特定のままであるという事実によって制限され、明らかに、標的特異的な薬物設計のためのプラットフォームとしてそれらが機能する潜在能力を減少させている。
【0008】
本発明は、従前の研究後に想到され、そこでは、ペプチド及びペプチド模倣化合物は、34アミノ酸ペプチド(RXP−Eとも呼ばれる)の同定へと導くコネキシン43調節の分子メカニズムの知識に基づいて設計され、このペプチドは、Cx43のカルボキシ末端(Cx43CT)に結合し、心臓のギャップ結合閉鎖を阻害し、さらに活動電位伝搬ブロックを阻害することができる。これらの従前の研究は、Cx43機能の調節に対するペプチドに基づく薬理学の利用可能性に関する実現を可能にしたが、薬理学的開発に必要とされるコアの活性エレメントの構造は特定されないままであった。したがって、本発明者らは、分子モデリング、表面プラズモン共鳴及びパッチクランプ戦略を組み合わせて使用し、Cx43のカルボキシル末端ドメインに結合し、Cx43チャネルの閉鎖を阻害するファーマコフォア(特に環状である化合物)の固有のアンサンブルを最初に特定した。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
したがって、第1の局面では、本発明は、
式I:
シクロ[Arg1−Arg2−Pro3−Pro4−Tyr5−(Arg6m−X7] (I)
{式中、
mは、0又は1であり;
7は、Asn、又は以下の式:
【化1】

(式中、nは、0、2、又は6である)
で表されるGlx基から選択され;そして、
7は、該ペプチド又はペプチド模倣化合物を環化するようにペプチド結合を介してArg1に連結される}
で表される環状ペプチド又は環状ペプチド模倣化合物、あるいは
以下の置換パターンの1個、2個又は3個で式Iとは異なる化合物であって、それにより、式Iと異なっている場合、
Arg1、Arg2及び/又はArg6の位置にある残基は、独立して、Lys、His又はリジン模倣基によって置換され;
Pro3及び/又はPro4の位置にある残基は、独立して、アゼチジン、ヒドロキシプロリン、モルホリノ−3−カルボン酸、又はN−置換アミノ酸、例えば、サルコシン、N−シクロヘキシルグリシン若しくはN−フェニルグリシン、又は1−アミノ−シクロペンタンカルボン酸(Ac5c)又は1−アミノ−シクロヘキサンカルボン酸(Ac6c)から選択されるプロリン模倣体によって置換され;及び/又は
Tyr5の位置にある残基は、Trp、ナフチルアラニン、Phe、Met、Val、Ile又はLeuによって置換される化合物、
あるいは、そのレトロ類似体又はその医薬として許容される塩
を提供する。
【0010】
アミノ酸残基置換の好ましい組合せは、以下の記載及び添付の特許請求の範囲に設定されている。
【0011】
更なる局面では、本発明は、本発明の1以上の化合物と薬学的担体とを含む医薬組成物を提供する。好ましい態様では、該組成物は経口投与に適している。本発明の組成物に含まれる薬学的担体は、好ましくは無菌であり、発熱物質不含、及びウイルス不含である。
【0012】
更なる局面では、本発明は、細胞の集団におけるギャップ結合コミュニケーションを調節する方法を提供し、該方法は、細胞の集団と、細胞間のギャップ結合コミュニケーションを調節するのに有効量の本発明の化合物とを接触させることを含む。この方法は、インビトロ、エクスビボ又はインビボで実施されてもよい。
【0013】
別の局面では、本発明は、機能低下したギャップ結合コミュニケーションに関与する病態を有するか、又はその発症の危険性を有する患者を治療する方法を提供し、該方法は、治療的に有効量の本発明の化合物を該患者に投与することを含む。患者は、典型的にはヒトであるが、ヒト以外の動物の利用が想定されてもよい。
【0014】
機能低下したギャップ結合コミュニケーションに関わる病態の例には、循環器疾患、気道上皮炎、肺胞組織障害、聴覚障害、内皮病変、糖尿病性網膜症、糖尿病性神経障害、中枢神経系虚血、脊髄虚血、歯組織障害、骨粗鬆症、腎臓病、骨髄移植不全、外傷、勃起障害、尿失禁、神経障害性疼痛、亜慢性及び慢性炎症、癌、移植不全;乾癬及び過剰な反応性酸素種及び/又はフリーラジカル及び/又は一酸化窒素を原因とした皮膚疾患が挙げられる。
【0015】
本発明の更なる局面は、療法における使用(すなわち、治療方法における使用)のための本発明の化合物に関する。対象の療法は、概して、機能低下したギャップ結合コミュニケーションに関与する病態、例えば、上記されたうちの病態の治療(典型的にはヒト患者における)に関する。
【0016】
本発明のなお更なる局面は、機能低下したギャップ結合コミュニケーションに関与する病態、例えば、上記されたうちの病態の治療(典型的にはヒト患者における)のための薬剤の製造における本発明の化合物の使用に関する。
【0017】
ここで、本発明の態様は、例えば、限定されないが、以下の図面を参照して、より詳細に記載される。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】化合物(ペプチド)ZP2769及びZP2771についてのSRP結果である。組換えラットCx43CTは、カルボキシルメチルデキストランマトリックスに共有結合され、リガンドとして使用された。ペプチドは結合されたリガンドに提示され、反応の振幅は、リガンド無しの対象チャンバーから得られたものを差し引いた。共鳴の角度の変化が観察されなかった場合、これは、結合がないことを示すものとして採用された。共鳴の角度における変化の振幅(「反応単位」として表される)は、分析物の分子量の関数であり、したがって、比較目的では、反応単位は、試験された化合物の分子量を考慮して標準化された。共鳴の発生率の角度の変化(「共鳴単位」)は、環状ペプチド暴露の開始後の時間に対してプロットされた。種々の曲線は、次のように、対象のペプチドの異なる適用濃度に対応する。ZP2769(最下曲線から最上曲線の順番で):63μM、125μM、250μM、500μM、1mM;ZP2771(最下曲線から最上曲線の順番で):8μM、16μM、30μM、63μM、125μM、250μM、500μM、1mM;ペプチドZP2769及びZP2771は共に、Cx43CTに有意に結合することを示し、ZP2771はより効果的であるようである。
【0019】
【図2】ヒトCx43を発現するN2A細胞におけるオクタノール誘導の脱共役の時間経過を示す。細胞対は、ZP2778(0.1mM;上段曲線/軌跡)、又は内部ピペット充填溶液(対象;下段曲線/軌跡)だけのいずれかを含むパッチピペットを用いて記録された。実験は、二重細胞パッチクランプ技術を用いて行われ、1.5mMオクタノールの潅流を時間=0で開始した。パッチピペットへのZP2778の封入は、対象と比較してGjの減少を有意に妨げた(p<0.05)。
【0020】
【図3】ヒトCx43を発現するN2A細胞におけるオクタノール誘導の脱共役の時間経過を示す。細胞対は、ZP2769(0.1mM;上段曲線/軌跡)、又は内部ピペット充填溶液(対象;下段曲線/軌跡)だけのいずれかを含むパッチピペットを用いて記録された。実験は、二重細胞パッチクランプ技術を用いて行われ、1.5mMオクタノールの潅流を時間=0で開始した。パッチピペットへのZP2769の封入は、対象と比較してGjの減少における顕著な低下をもたらした。
【0021】
【図4】ヒトCx43を発現するN2A細胞におけるオクタノール誘導の脱共役の時間経過を示す。細胞対は、ZP2782(0.1mM;上段曲線/軌跡)、又は内部ピペット充填溶液(対象;下段曲線/軌跡)だけのいずれかを含むパッチピペットを用いて記録された。実験は、二重細胞パッチクランプ技術を用いて行われ、1.5mMオクタノールの潅流を時間=0で開始した。パッチピペットへのZP2782の封入は、対象と比較してGjの減少における顕著な低下をもたらした。
【0022】
【図5】ヒトCx43を発現するN2A細胞におけるオクタノール誘導の脱共役の時間経過を示す。細胞対は、ZP2771(0.1mM;上段曲線/軌跡)、又は内部ピペット充填溶液(対象;下段曲線/軌跡)だけのいずれかを含むパッチピペットを用いて記録された。実験は、二重細胞パッチクランプ技術を用いて行われ、1.5mMオクタノールの潅流を時間=0で開始した。パッチピペットへのZP2771の封入は、対象と比較してGjの減少を有意に妨げ(p<0.05)、オクタノール潅流の10分後、対象についてのGj=0の値と比較して、実験の最終ではGjは約0.65を維持した。
【0023】
【図6】上段グラフ:ヒトCx43を発現するN2A細胞における酸性下誘導の脱共役の時間経過を示す。細胞対は、ZP2771(0.1mM;上段曲線)、又はpH6.2に緩衝下された内部ピペット充填溶液(対象;下段曲線)だけのいずれかを含むパッチピペットを用いて記録された。実験は、二重細胞パッチクランプ技術を用いて行われた。パッチピペットへのZP2771の封入は、対象と比較してGjの減少を有意に妨げ(p=0.002)、パッチ遮断の15分(900秒)後、対象についての約0.17の値と比較して、Gjは約0.49を維持した。下段グラフ:新生児ラットの心室心筋細胞における酸性下誘導の脱共役の時間経過を示す。細胞対は、(i)ZP2771(pH6.2に緩衝化された0.1mM;最上曲線;黒四角の記号)、(ii)線状ペプチドRRPPYR(pH6.2に緩衝化された0.1mM;中段曲線;黒三角の記号)、又は(iii)pH6.2に緩衝下された内部ピペット充填溶液(最下曲線;黒丸の記号)だけのいずれかを含むパッチピペットを用いて記録された。実験は、二重細胞パッチクランプ技術を用いて行われた。パッチピペットへのZP2771の封入は、線状ペプチドRRPPYR及び対象と比較してGjの減少を有意に妨げ(p=0.006)、パッチ遮断の15分後、線状ペプチド及び対象についてのそれぞれ約0.17及び0.08の値と比較して、Gjは約0.47を維持した。これは、ちょうど電荷の正味の平衡というよりは、ZP2771の環状構造が、低pH誘導の脱共役の阻害に関して、ZP2771の機能的効果について重要であることを指示している。
【発明を実施するための形態】
【0024】
定義
本発明の化合物におけるアミノ酸残基はD−又はL−アミノ酸であってもよい。ある種の態様では、D−アミノ酸の使用は、安定性を上げるために好ましい。本発明の化合物におけるアミノ酸残基は、好ましくはα−アミノ酸であるが、ある種の態様では、1以上のアミノ酸はβ−アミノ酸(例えば、アゼチジン−3−カルボン酸)又はγ−アミノ酸であってもよい。
【0025】
明細書及び特許請求の範囲の全体を通じて、天然に存在するアミノ酸について慣例の3文字又は1文字の省略形が使用され、並びに、一般には、他のα−アミノ酸、例えば、サルコシン(Sar)、α−アミノ−イソ−酪酸(Aib)、ナフチルアラニン(Nal)[1−ナフチルアラニン(1Nal)及び2−ナフチルアラニン(2Nal)を含む]、フェニルグリシン(Phg)、2,4−ジアミノブタン酸(Dab)、2,3−ジアミノプロパン酸(Dap)、ジアミノ酢酸(Daa)及びヒドロキシプロリン(Hyp)についての3文字省略形が容認される。他に特記がなければ、Hypは、4−ヒドロキシプロリン又は3−ヒドロキシプロリンを表す。天然又は必須のアミノ酸は、タンパク質のアミノ酸構成体である。芳香族アミノ酸には、Phe、Tyr、Trp、1Nal、2Nal及びHisが挙げられる。特定のアミノ酸残基のL体又はD体が特定されていない場合には、対象の残基はL体又はD体のいずれかであってもよいことは理解されなければならない。
【0026】
本発明に照らして使用される用語「レトロ類似体」とはペプチドを意味し、該ペプチドのアミノ酸配列は、対象の化合物(本発明のペプチド又はペプチド模倣化合物)のリバースである。
【0027】
本明細書で使用するとき、用語「リジン模倣体」(Lm又はLM)とは以下の化合物の1つを指す。
【0028】
【化2】

【0029】
脂肪族環状アミン基及びアリールアミンを有するリジン模倣体の例には、Damba、4−Amp、Ampi、Ica、Pip、及び4AmFが挙げられ、これらの全ては上記に含まれる。
【0030】
3−アミノプロリン(3−Amp)及び4−アミノプロリン(4−Amp)は共に、以下のような4つの異性形体で生じる:
3−Amp:2S,3S;2S,3R;2R,3S;及び2R,3R;
4−Amp:2S,4S;2S,4R;2R,4S;及び2R,4R。
【0031】
【化3】

【0032】
本明細書で使用するとき、用語「プロリン模倣体」は、下記の化合物の1つを指す。
【0033】
【化4】

【0034】
【化5】

【0035】
用語「細胞間コミュニケーション調節因子」、「ギャップ結合ファシリテーター(facilitator)」、「ギャップ結合コミュニケーションを促進する化合物」及び「ギャップ結合オープナー(opener)」並びにそれらの変形体は全て、この作用の背後の特定のメカニズムとは無関係に、GJICを促進する、維持する、又は(例えば、阻害又は増強のいずれかによって)正常化する化合物を指す。より具体的には、用語「ギャップ結合オープナー」は、細胞外空間と細胞内空間との間のギャップ結合を通過できる分子の交換を正常化(すなわち、一般には、増加)させ、及び/又はGJICを正常化/増大することができる物質を指す場合もある。
【0036】
本明細書で使用するとき、用語「アゴニスト」とは、例えば、限定されないが、AAP、AAP10、HP5ペプチド又はその機能的類似体によって標的とされる組織、細胞又は細胞画分と相互作用し、AAP、AAP10、HP5ペプチド又はその機能的類似体によって誘発されるのと同じである、組織、細胞又は細胞画分における生理学的反応を実質的に又は少なくとも実質的に引き起こすことができる化合物(本明細書では、環状ペプチド又はペプチド模倣体)を指す。例えば、生理学的反応は、収縮、弛緩、分泌及び酵素活性化の1以上であってもよい。好ましくは、化合物は、組織、細胞又は細胞画分に結合する。例えば、化合物は、AAP、AAP10、HP5又はそれらの機能的類似体に結合する、組織、細胞又は細胞画分上の受容体に結合してもよい。
【0037】
本明細書で使用するとき、用語「アンタゴニスト」とは、例えば、限定されないが、AAP、AAP10、HP5ペプチド又はその機能的類似体などの、対象とする組織、細胞又は細胞画分を標的とする化合物で組織、細胞又は細胞画分を接触した後、組織、細胞又は細胞画分において観察される1以上の生理学的反応を阻害又は拮抗する化合物(本明細書では、環状ペプチド又はペプチド模倣体)を指す。例えば、生理学的反応は、収縮、弛緩、分泌及び酵素活性化の1以上であってもよい。好ましくは、化合物は、組織、細胞又は細胞画分に結合する。例えば、AAP、AAP10、HP5又はそれらの機能的類似体に結合する、組織、細胞又は細胞画分上の受容体に結合してもよく、あるいはAAP、AAP10、HP5又はそれらの機能的類似体の1以上が該受容体への結合を阻害してもよい。
【0038】
発明の詳細な説明
より詳細に本発明の局面を説明する前に、本発明が、本明細書に記載されている具体的な方法、プロコール又は試薬によって、いずれかの方法において限定されるように解釈されるべきではないことを明確にしたい。
【0039】
上記で検討したように、本発明の一局面は、上述の式Iによって表される、ギャップ結合細胞間コミュニケーション(GJIC)を調節するペプチドに関する。本発明の化合物の態様において、式Iの化合物は、1つ、2つ又は3つ全てのアミノ酸残基Arg1、Arg2及びArg6が、独立して、Lys又はHis残基で置換され、又はリジン模倣基で置換されている化合物、及び/又はTyr6残基が、Trp、Nal、Phe、Met、Val、Ile又はLeu残基で置換されている化合物である。
【0040】
更なる態様では、本発明の化合物は、Arg1がLys又はHis残基で置換されているか、又はリジン模倣基で置換されている化合物である。
【0041】
なお更なる態様では、本発明の化合物は、Arg2がLys又はHis残基で置換されているか、又はリジン模倣基で置換されている化合物である。
【0042】
別の態様では、本発明の化合物は、Arg6がLys又はHis残基で置換されているか、又はリジン模倣基で置換されている化合物である。
【0043】
なお別の態様では、本発明の化合物は、Tyr6残基がTrp、Nal、Phe、Met、Val、Ile又はLeu残基で置換されている化合物である。
【0044】
本発明の特定の態様は、シクロ(RRPPYQ)、シクロ(RRPPYRQ)、シクロ(RRPPYN)及びシクロ(RRPPWN)からなる群から選択される本発明の化合物、又はそのレトロ類似体若しくは医薬として許容される塩に関する。後述される化合物の各々は、独立して、本発明の化合物の態様を構成する。
【0045】
すでに上記した通り、本発明の式Iで表される化合物のレトロ類似体はまた、本発明の範囲内である。このようなレトロ類似体は、式II:
シクロ[X7−(Arg6m−Tyr5−Pro4−Pro3−Arg2−Arg1] (II)
(式中、Arg1、Arg2、Pro3、Pro4、Tyr5、Arg6、X7、及びmは、式I(上述)と関連して、本明細書中で定義される通りである)
で表されてもよい。上記される式Iで表される化合物の態様の全て及びいずれかのレトロ類似体は、本発明の範囲内にあることを理解すべきである。
【0046】
本発明の式I又は式IIの化合物における各アミノ酸残基は、独立して、L−アミノ酸残基又はD−アミノ酸残基である。
【0047】
すでに上記したように、上記される式I又は式IIで表される化合物の医薬として許容される塩はまた、本発明の範囲内である。
【0048】
化合物の特性
本発明の化合物は、表面プラズモン共鳴(「SPR」)を用いて、Cx43のカルボキシル末端ドメインへの結合について試験され得る。SPRは、本来はRXPE配列を特定するために使用された技術である(Shibayama et al.,“Identification of a Novel Peptide that Interferes with the Chemical Regulation of Connexin−43” ,Circ.Res.98:1365−72(2006))。任意単位である反応の振幅と比較した化合物の濃度を測定する。
【0049】
本発明の好ましい化合物は、ギャップ結合コミュニケーションの有効なモジュレーター(例えば、アゴニスト又はアンタゴニスト)として機能し、したがって、とりわけ抗不整脈薬として有用であり得る。
【0050】
医学的用途
すでに上記した通り、本発明は、ギャップ結合細胞間コミュニケーション(GJIC)を調節することができる化合物に関する。これは、以下の機能:細胞の脱共役を減少させる能力;活動電位期間の分散を正常化する能力;伝導速度を正常化する能力;ギャップ結合の細胞量を制御してコネキシンの発現を正常化する(必要に応じて、上方制御又は下方制御する)能力;ギャップ結合の分解を正常化する(阻害又は促進する)能力;コネキシンの血漿膜への細胞輸送を正常化する(増加又は減少させる)能力;コネキシンの機能的ギャップ結合への組み込みを促進する能力;既存のギャップ結合の開口を正常化する、例えば、ギャップ結合が阻害剤によって(例えば、1以上のコネキシン(例えば、Cx43など)の細胞質カルボキシ末端ドメインの過剰リン酸化を仲介又は促進するなどして)閉じられた又はゲートで閉鎖されたときの開口を誘発又は促進するか、あるいはギャップ結合が異常に開いたとき(例えば、シャルコー・マリー・ツース病)にギャップ結合を閉じる能力、の1以上を含んでもよい。
【0051】
化合物の活性を特定し、場合により定量するために有用な具体的なアッセイを以下に記述する。アッセイは非制限的であり、種々のアッセイを単に例証するために役立ち、このアッセイにおいて、本化合物は、それらのギャップ結合コミュニケーション調節能力について試験され得る。アッセイは相互に排他的でなく、すなわち、化合物は1つの特定のアッセイにおいて活性を示すが、別の特定のアッセイにおいては異なる活性を示すか又は活性を示さなくてもよい。
【0052】
不整脈
好ましい一態様では、本発明は、心血管疾患、例えば、急性虚血性心疾患(例えば、安定狭心症、不安定狭心症、急性心筋梗塞)、うっ血性心不全(例えば、収縮期心不全、弛緩期心不全、高心拍出量性心不全、低拍出量性心不全、右心不全、又は左心不全)、先天性心疾患、肺性心、心筋症、心筋炎、高血圧性心疾患、冠動脈血管再生などの際に起こる不整脈及び血栓合併症の治療に有用であり得る抗不整脈特性を有する化合物を提供する。
【0053】
特定の形態では、本発明の化合物は、徐脈型不整脈(例えば、洞結節、房室(AV)結節、ヒス束、右脚、又は左脚における疾患による)、及びリエントリーに関連した頻拍性不整脈(例えば、心房期外収縮、房室接合部性期外収縮、心室期外収縮、心房細動、心房粗動、発作性上室頻拍、洞房結節リエントリー性頻拍、房室結節リエントリー性頻拍、及び非持続性心室性頻脈)を治療及び/又は予防するために、単独で用いられるか、あるいはクラスI剤(例えば、リドカイン)、クラスII剤(例えば、メトプロロール又はプロプラノロール)、クラスIII剤(例えば、アミオダロン又はソタロール)、又はクラスIV剤(例えば、ベラパミル)などの他の抗不整脈化合物と組み合わせて用いられてもよい。
【0054】
加えて又はそれに代えて、本発明の化合物は、リエントリー不整脈;心室リエントリー(例えば、急性心筋梗塞、慢性心筋梗塞、安定狭心症、及び不安定狭心症の際などに起こる);感染性又は自律神経性の心筋症;心房細動;再分極交互脈;単形性心室頻拍;T波交互脈;徐脈型不整脈;及び一般的な心組織の収縮性の減少、及び血栓症などの1以上を治療するために用いられてもよい。
【0055】
本発明の化合物の抗不整脈作用は、CaCl2の注入後のマウスにおけるAVブロックに対する時間増加を測定するアッセイにおいて試験されてもよく、ここでは、「標準的なカルシウム誘導の不整脈アッセイ」として本明細書に言及されている。
【0056】
本発明の化合物は、付加的に、リエントリー不整脈の発症率の減少、又は観察された梗塞域の大きさの減少をもたらす場合がある。
【0057】
糖尿病
GJICは、糖尿病の治療、例えば、1型又は2型糖尿病、肥満、摂食障害及びインスリン抵抗症候群の治療に重要である。本発明の化合物は、当該技術分野において知られているアッセイによって決定される糖尿病の哺乳動物における耐血糖能を改善し得る。
【0058】
特定の態様では、本発明の化合物は、例えば、脊椎動物又は哺乳動物において、インスリン放出を刺激し、血糖値を低下させ、胃運動性を低減させ、胃内容排出を遅延させ、例えば、食欲の抑制によって食物接種を妨げ、又は血漿中脂質レベルを低下させるために用いることができる。また、化合物は、一般に、高血糖症の危険性と関連した真性糖尿病、すなわち、インスリン感受性がストレス、心筋感染、脳卒中及び感染により減少している場合、又は妊娠中のインスリン耐性の場合に使用され得る。また、化合物は、他の種類の糖尿病、例えば、糖尿病が他の内分泌疾患、例えば、末端肥大症、クッシング症候群、褐色細胞腫、グルカゴン産生腫瘍、ソマトスタチン産生腫瘍、原発性アルドステロン症に続発してもよく、又は高血糖症を引き起こすある種のホルモンの投与に続発してもよく、又はある種の薬物(抗高血圧薬、チアジド系利尿薬、エストロゲン含有調製物、向精神薬、交感神経様作用薬)の投与に続発してもよい場合に用いられ得る。さらに、化合物は、一般に、低血糖の危険性と関連した疾患及び状態、すなわち、内因性糖生産が、例えば、アルコール摂取後に減少する場合、又はインスリンに対する感受性が、下垂体機能低下症又は原発性副腎皮質機能低下症を有する患者において増加する場合、又はインスリンクリアランスが減少する場合(進行性腎不全と同様)の治療に用いられてもよい。
【0059】
骨粗鬆症
本発明の化合物は、骨の形成、成長又は維持に影響を与える骨粗鬆症又は他の病態の予防及び/又は治療に用いられ得る。低酸素の際のヒト骨芽細胞間の減弱GJICを正常化することができる化合物は、骨吸収に対して骨形成が障害されている骨疾患の治療に特に適している。このような方法に使用するのに適した化合物は、GJICの適切な維持の結果として細胞の活力及び成長をモニタリングする手段を提供する、骨芽細胞におけるアルカリホスファターゼ(ALP)活性の増大についてのアッセイで選択可能である。一態様では、ヒト骨芽細胞は、1×10-13〜1×10-6mol/lの異なる濃度のペプチドで刺激し、未処理対照と比較する。通常の培養条件下で、好ましくは、化合物はALP活性を増大させる。より好ましくは、化合物は、10-11〜10-8mol/lの範囲の濃度の低酸素状態の際にALP活性を刺激する。したがって、このアッセイを用いて、骨組織における不十分な血管新生、低酸素、及び虚血に関連した骨疾患の治療及び/又は予防用の化合物選択及び設計を最適化することができる。
【0060】
また、本発明の化合物は、障害のある細胞−細胞間カップリングを伴う関節疾患の予防及び/又は治療用に用いられ得る。これは、代謝的ストレス、例えば、血管新生の減少、又は骨折した軟骨組織の治癒と関連した関節炎の形成を伴う関節疾患を予防/又は治療するためのそれらの使用を含んでもよい。
【0061】
骨形成においてGJICを調節する本発明の化合物の機能は、該化合物が、その存在下での骨芽細胞のカルシウム波形成及び/又はアルカリホスファターゼ活性を測定する「標準的な骨芽細胞活性アッセイ」において骨芽細胞活性を増大させるかどうかを決定するために試験されるアッセイを用いて評価されてもよい。好ましくは、このような化合物は、波に関連した細胞数(fura−2などのカルシウム感受性蛍光色素を用いて細胞内Ca2+のレベルを測定し、蛍光を発した細胞を計数して決定する)の増加として示されるカルシウム波活性を増大させる。アルカリホスファターゼ活性を用いても、標準的な比色アッセイによって骨芽細胞活性の測定を行うことができる。
【0062】
創傷
本発明の化合物は、創傷の治療、特に創傷の治癒を早めるために用いられ得る。創傷の治癒には、多数種の細胞の相互作用が関与し、ギャップ結合によって仲介される細胞間コミュニケーションは、組織の修復及び再生に関与する細胞の成長及び発達の際の細胞の代謝の調整に重要な役割を果たすと考えられている(K.M.Abdullah,et al.(1999)Endocrine,10 35−41;M.Saitoh,et al.(1997)Carcinogenesis,18:1319−1328;J.A.Goliger,et al.(1995)Mol.Biol.Cell,6 1491−1501)。化合物は、当該技術分野で周知の担体(例えば、軟膏やクリームなど)を用いて局所投与によって創傷部位に投与するか、又は、例えば、慢性胃潰瘍病変の治療などのように内部組織の創傷の治療のために全身投与することができる。
【0063】
内皮ギャップ結合細胞間コミュニケーションが関係するさらなる機能は、外傷、血管形成、内皮の成長及び老化の後の内皮細胞の遊走、及び血管運動反応の調整である(G.J.Christ,et al.(2000)Braz.J Med Biol.Res.,33:423−429)。したがって、本発明の化合物は、代謝要求の増大と関連した状態(例えば、運動、頻拍)、及び虚血の際に伝導血管反応を促進して、及び/又は血液供給を改善するために用いられてもよい。
【0064】
また、ギャップ結合は、グリア区画の個々のメンバー間の調整された長距離シグナル伝達のために分子リンクを提供すると考えられている。同様に、星状細胞は、一方の極が血管床に接触し、他方の極がニューロン実質に近接して機能的に分極しているため、ニューロンの代謝支持として非常に適している(R.Dermietzel(1998)Brain Res.Brain Res.Rev.,26:176−183)。したがって、本発明の化合物は、グリア細胞とニューロンとの間の代謝支持の増加による脳の虚血性損傷の予防が必要な患者に投与されてもよい。このような患者には、鬱病、不安症、学習及び記憶障害、恐怖症、及び幻覚などの兆候を示しうる器質精神病の患者、並びに外傷性脳傷害の患者が含まれ得る。このような応用について、化合物は、好ましくは、中枢神経系に利用できるように選択又は製剤化される(すなわち、血管−脳の障壁を通過する輸送を促進する担体と共に提供するか、又はこのような担体とコンジュゲートして提供される)。
【0065】
本発明に係る化合物はまた、神経傷害傷後又は未熟細胞(前駆細胞)の脳組織への移植の際、例えば、神経外傷、脳虚血、又は慢性神経変性疾患、例えばパーキンソン病若しくはハンチントン病の患者における修復を促進するために用いることもできる(H.Aldskogius,et al.(1998)Prog.Neurobiol,55:1−26)。
【0066】
さらに、本発明の化合物は、細胞間ギャップ結合チャネルに対する影響によって、白内障の治療及び/又は予防(D.Mackay,et al.(1999)Am J Hum.Genet,64 1357−1364)、角膜の栄養不良の病態における角膜の血管新生の治療及び/又は予防、角膜病変の治癒の促進(S.G.Spanakis,et al.(1998)Invest Ophthalmol.Vis.Sci.,39:1320−1328)、及び/又は高血圧の予防に用いることができる。
【0067】
乾癬
更なる局面では、本発明の化合物は、乾癬の治療に有用であり得る。乾癬は、特徴的な乾癬性プラーク及び病変に至る複雑な多因子状態である。それは、無秩序な上皮細胞増殖及び分化によって特徴付けられる。上皮分化複合体−上皮分化において役割を有する最大50個の遺伝子の遺伝子座−に対する脆弱性と深く関わりがあり、機能低下した関門機能、又は回復が乾癬状態の進行に寄与するようであることを示唆している(Capon et al.,2001;Djalilian et al 2006)。
【0068】
健常な皮膚の維持の中心は、接着、接着斑及びギャップ結合細胞間コミュニケーションチャネルを含む、緻密かつ高度に整列した細胞−細胞間接着ネットワークである(Laird,2006;Prochnow and Dermietzel,2008)。これらの細胞間結合は、上皮の増殖、遊走、及び分化において極めて重要な役割を果たし、乾癬にかかるとこれらすべてが様々な程度に変更されるギャップ結合の構成タンパク質であるコネキシン(Cx)の発現は、基底層及び棘層のCx43が上側顆粒層のCx26によって通常は置換されている表皮内で空間的及び一時的に制御される(Di et al.,2001)。しかしながら、乾癬斑では、Cx26は、他の過剰増殖性の層別化された上皮と同様のパターンで表皮の至るところで大幅に増加する。乾癬で見られるコネキシンの空間的再分布に加えて、正常な表皮と比較して基底細胞及び上側棘層において、関連したE−カドヘリンの下方制御も起こる(Chung et al.,2005)。したがって、乾癬表皮細胞の過剰増殖及び変化した分化は、ギャップ結合及び接着結合の両方の広範なリモデリングに関連している。Cx43及びカドヘリンのカルボキシル末端尾部は、翻訳後修飾、特にリン酸化に供され、膜に組み込まれたタンパク質と細胞骨格との間のリンクとして使用されるZO−1とβ−カテニンを含む種々のタンパク質と相互作用する(Laird,2006;Prochnow and Dermietzel,2008)。本発明の化合物は、ストレス条件下でCx43 GJICを維持及び再生することが知られ、したがって、乾癬の治療に用いられてもよく、Cx43の下方制御及びCx26による置換を阻害する。
【0069】

更なる局面では、本発明化合物は癌の治療に用いられ得る。発癌は、増殖因子、癌遺伝子、及び腫瘍抑制遺伝子が関与する成長制御メカニズムの進行性の障害によって特徴付けられる。発癌及び腫瘍形成における一般的なテーマは、GJICの下方制御である。色素移動アッセイを用いて測定される、腫瘍細胞におけるギャップ結合の透過性は、典型的には、周囲組織におけるGJICよりも低い。さらに、ギャップ結合のゲート開閉は、GJICを減少させる腫瘍プロモータによる影響を受けることが知られている。これは、本発明の化合物が、単独又は従来の抗癌療法と組み合わせて、癌の治療薬として用いられ得ることを意味する。
【0070】
癌を治療するための本発明の化合物の適合性は、例えば、DTTなどの腫瘍プロモータによって媒介されたGJIC阻害の減少が決定されるアッセイを用いて評価されてもよい。この「標準的な腫瘍プロモータアッセイ」を用いて、化合物は、好ましくは、少なくとも50%、好ましくは70%、より好ましくは100%、又はそれを超えて、AAPについて観察される減少であるGJIC阻害における減少を示す。
【0071】
医薬組成物
本発明の化合物は、1以上の本発明の化合物を医薬として許容される担体及び/又は希釈剤と組み合わせて含む医薬組成物として製剤化されてもよい。このような組成物は、好ましくは、経口投与に適した形態である経口投与用の製剤は、当業者によく知られた方法で、例えば、一般的には「Remington’s Pharmaceutical Sciences」,17.Ed.Alfonso R.Gennaro(Ed.),Mark Publishing Company,Easton,PA,U.S.A.,1985及びより近年の版、並びに「Drugs and the Pharmaceutical Sciences」シリーズのモノグラフ、Marcel Dekkerに記載の方法により調製することができる。一例として、組成物は、錠剤、カプセル、顆粒、ペレット、トローチ、ロゼンジ等の形態であってもよい。適切な腸溶製剤は、例えば、米国特許第5,350,741号に記載されている。
【0072】
用いられる医薬担体又は希釈剤は、慣用的な固体又は液体担体であってもよい。固体担体の例としては、ラクトース、テラ・アルバ、スクロース、シクロデキストリン、タルク、ゼラチン、寒天、ペクチン、アカシア、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸又はセルロースの低級アルキルエーテルが挙げられる。液体担体の例としては、シロップ、ピーナッツ油、オリーブ油、リン脂質、脂肪酸、脂肪酸アミン、ポリオキシエチレン及び水が挙げられる。同様に、このような担体又は希釈剤は、当該技術分野において知られている任意の徐放性材料、例えば、モノステアリン酸グリセリル又はジステアリン酸グリセリルを単独又はワックスと組み合わせて含んでいてもよい。
【0073】
固体担体を経口投与用に用いる場合、調製物は、錠剤、粉末又はペレット形態でハードゼラチンカプセルに充填された形態であってもよく、又はトローチ若しくはロゼンジの形態であってもよい。固体担体の量は広範囲に及ぶが、通常、約25mg〜約1gである。液担体を用いる場合、調製物は、シロップ又は経口摂取に適した液体の形態であってもよい。
【0074】
所定の治療に用いられる化合物の実際に好適な量は、例えば、利用している特定の化合物、製剤化された特定の組成物、投与方法、並びに対象の性質及び特徴、例えば、種、性別、体重、年齢及び健康状態によって変化することを理解されたい。投与の所定のプロトコールに最適な投与処方計画は、当業者が、このようなガイドラインに従って行われる従来の投与量決定試験を用いて容易に確かめることができる。適切な投与量範囲には、1日につき体重1kgあたり約1〜約100mgが挙げられてもよい。
【0075】
本発明の化合物は、プロトン化された水溶性の形態、例えば、医薬として許容される塩、典型的には、酸付加塩、例えば、無機酸付加塩、例えば、塩酸塩、硫酸塩、又はリン酸塩として、あるいは有機酸塩、例えば、酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、酒石酸塩又はクエン酸塩として、適切に投与される。また、本発明の治療化合物の医薬として許容される塩には、金属塩、特にアルカリ金属塩、例えば、ナトリウム塩又はカリウム塩;アルカリ土類金属塩、例えば、マグネシウム塩又はカルシウム塩;アンモニウム塩、例えば、アンモニウム又はテトラメチルアンモニウム塩;あるいはアミノ酸付加塩、例えば、リジン、グリシン、又はフェニルアラニン塩が含まれてもよい。
【0076】
また、本発明の化合物は、末梢血管疾患を治療するために局所投与することもでき、またクリーム又は軟膏として製剤化することもできる。
【0077】
また、本発明の化合物は、非経口投与、例えば、静脈内、筋肉内、皮下、鼻腔内、直腸内、膣内、又は腹膜内投与のために、無菌の溶液又は懸濁液などの組成物に製剤化することもできる。
【0078】
本発明の化合物及び医薬組成物は、ギャップ結合コミュニケーションの障害(異常な低下又は増加)に付随する症状又は病状を治療するのに用いることができる。通常の臨床業務に従って、化合物又は組成物は、治療的有効量で患者に投与される。本明細書で使用するとき、「治療的有効量」は、所定の症状又は病状の兆候を減少させる量、好ましくは、症状又は病状を患っている患者の生理学的応答を正常化する量である。兆候の減少又は生理学的応答の正常化は、当該技術分野で知られた方法を用いて測定することができ、特定の症状又は病状により変化し得る。
【0079】
本発明の化合物又は組成物を用いて試験され得る状態の例には、限定されないが、
循環器疾患、気道上皮炎、肺胞組織障害、膀胱失禁、蝸牛疾患による聴覚障害、内皮病変、糖尿病性網膜症及び糖尿病性神経障害、中枢神経系虚血及び脊髄虚血、歯周病を含む歯組織障害、腎臓病、骨髄移植不全、外傷、勃起障害、尿失禁、神経障害性疼痛、亜慢性及び慢性炎症、癌、骨髄移植及び幹細胞移植の不全、細胞及び組織の移植中又は外科手術などの医療処置中に生じる状態;並びに過剰な反応性酸素種及び/又はフリーラジカル及び/又は一酸化窒素を原因とした状態が挙げられる。
【0080】
方法
環状化合物のペプチド合成
好ましい一般的なペプチド合成手法を以下に記載する。しかしながら、固相ペプチド合成方法のより詳細な説明は、例えば、WO01/62775に見出され得る。
【0081】
ペプチドは、ろ過用のポリプロピレンフィルターを備えたポリエチレン容器中で、N−α−アミノ保護基としての9−フルオレニルメチルオキシカルボニル(Fmoc)と側鎖官能性のための適切な通常の保護基を用いてバッチで合成される。全てのカップリングは少なくとも2時間継続される。全ての環状化は、WO01/62775に記載されるように行われる。アシル化は、WO01/62775に記載されるように、ニンヒドリン試験によって検査され、80℃で行われる。合成が完了後、ペプチドレジンをDMF(3×15ml、各1分)、DCM(3×15ml、各1分)、ジエチルエーテル(3×15ml、各1分)で線状し、真空中で乾燥させる。次に、ペプチドは、WO01/62775に記載されるようにレジンから開裂され、凍結乾燥される。WO01/62775に記載されるように調製用HPKCを用いて精製後、ペプチド産物を回収し、ペプチドの同定をES−MSによって確認する。
【0082】
表面プラズモン共鳴(SPR)
SPRは、リアルタイムで結合の振幅及び動態を決定する分光技術である(Salamon et al.,“Surface Plasmon Resonance Spectroscopy as a Tool for Investigating the Biochemical and Biophysical Properties of Membrane Protein Systems.II:Applications to Biological Systems”,Biochim.Biophys.Acta 1331(2):131−152(1997);Duffy et al.,“Functional Demonstration of Connexin−protein Binding Using Surface Plasmon Resonance”,Cell Adhes.Commun.8(4−6):225−229(2001);Lang et al.,“Surface Plasmon Resonance as a Method to Study the Kinetics and Amplitude of Protein−protein Binding”,in Practical Methods in Cardiovascular Research 936−947(Stefan Dhein,Friedrich Wilhelm Mohr & Mario Delmar eds.,2005))。組換えCx43CTは、カルボキシルメチルデキストランマトリックスに共有結合させる(Salamon et al.,“Surface Plasmon Resonance Spectroscopy as a Tool for Investigating the Biochemical and Biophysical Properties of Membrane Protein Systems.II:Applications to Biological Systems”,Biochim.Biophys.Acta 1331(2):131−152(1997))。特定のペプチド化合物を提示し、実施可能な場合は、解離定数(KD)を、1:1(Langmuir)結合及び解離動力学モデル(Biacoreソフトウェアパッケージ)を用いて、リガンドの結合及び解離の経時的変化から計算される。両方の相(結合及び解離)では、記録の最初の5〜8秒は、フローセル内のペプチド分布から生じるアーティファクトを回避するためにフィットに含めなかった(Lang et al.,“Surface Plasmon Resonance as a Method to Study the Kinetics and Amplitude of Protein−protein Binding”,in Practical Methods in Cardiovascular Research 936−947(Stefan Dhein,Friedrich Wilhelm Mohr & Mario Delmar eds.,2005)。本実験では、組換えラットCx43CTは、カルボキシメチル−デキストランマトリックスに共有結合され、リガンドとして用いられた。
【0083】
電気生理学的分析
Cx43を一過性にトランスフェクトされたN2a細胞においてパッチクランプ実験を行った。全ての場合において、二重全細胞電圧クランプ技術を用いて、ギャップ結合電流を記録した。細胞培養、トランスフェクション及び記録の詳細はShibayaらに報告されている(Identification of a novel peptide that interferes with the chemical regulation of connexin 43.Circ Res 2006 98:1365−72)。オクタノール潅流は、パッチ開路の5分後に開始され、10分間継続された。オクタノールの濃度は全ての実験において1.5mMであった。内部ペプチド溶液にペプチドを希釈し、最終濃度を100μMとした。全20回の実験を行い、この場合、オクタノール誘導の脱共役をペプチド無しで試験した。これらの実験を平均し、所定のペプチドを評価するそれらのシリーズと比較するために対象としてデータを用いた。また、パッチクランプ実験は、Rohrらに従って単離及び培養された、新生児Sprague−Dawleyラット(Charles River社(Mass.USA)によって提供されるラット)からの心室筋細胞を用いて行われた(本明細書の図6を参照)(Circ.Res.1991;68:114−130, and J.Cardiovasc.Electrophysiol.1995;6:551−568参照)。
【0084】
Cx43CT−化合物の相互作用の定量分析
以下のパート1に記載されたスクリーニング方法は、Cx43CTに結合しない化合物の同定を可能にする。予備的なランキング順は、標的に結合するそれらの化合物に帰属されることがある。以下のパート2は、Cx43CT−化合物相互作用を特定するために、どのようにしてより詳細な定量的パラメータを確立し得るかを記載する。
【0085】
特定の実験:
1)Cx43CT−化合物の解離定数の決定
各化合物のCx43CTに対する結合動力学をSPRによって評価する。様々な濃度の結合物を用いて、結合及び解離の速度をLangmuir 1:1動力学モデル(Biacore)にフィットさせる。このモデルは、結合の1次動力学を推定する。適切なフィッティングにより、推定KDが得られる。ある場合には、化合物とCx43CTとの相互作用が1対1モデルから逸脱し、KD値が生成されないことも起こり得。
【0086】
2)架橋剤を用いた結合の濃度依存性
このシステムにより、たとえ結合動力学がKDの決定に適していないとしても、化合物−Cx43CT結合の量的パラメータを設定することができる。架橋結合を、Cx43CTの一定濃度、及び化合物の連続希釈について調べた。結合密度の非結合密度に対する比を化合物濃度の関数としてプロットする。最大値の半分の結合に対応するペプチド濃度を見掛けEC50として定義する。
【0087】
3)核磁気共鳴(NMR)による化合物誘導Cx43CT共鳴シフトの同定
以前の研究により、空間における位置がRXP4及びRXPEによって影響を受けるCx43CTのアミノ酸が同定されている。Cx43CTの共鳴地図を候補化合物で繰返す。
【0088】
実験例
以下に記載する実施例を用いて本発明をさらに例示する。以降に記載するものは単なる例であり、本発明の範囲内に収まったまま、細部の変更が可能であることを理解されたい。
【実施例】
【0089】
実施例1−環状化合物のペプチド合成
表1の以下の化合物を合成し、以下の実施例において試験された化合物の典型的な例である。
【0090】
【表1】

【0091】
実施例2−表面プラズモン共鳴(SPR)
本発明の環状ペプチド化合物の例は、結合したリガンドに提示され、共鳴の振幅は、リガンドを含まない対照チャンバーから得られた振幅から差し引かれた。共鳴角の無変化は、結合が無いことの指標として採用された。共鳴角の変化の振幅(「共鳴単位」として表される)は、分析物の分子量の関数であり、比較目的で、共鳴単には試験された化合物の分子量を考慮して標準化された。共鳴の入射角の変化(「任意単位」で)は、環状ペプチド暴露の開始後の時間に対してプロットされた。
【0092】
【表2】

【0093】
SPRは、リアルタイムでリガンド−分析物結合の評価を可能にし、本発明の環状ペプチド化合物の2つを特徴付けるために用いられた。Cx43CTをセンサーチップのマトリックスに共有結合した。表2は、共鳴の入射角の変化が記録されたことを示し、したがって、Cx43Tへの環状ペプチド化合物の直接結合を示す。図1では、共鳴の入射角の変化(「任意単位」で)は、環状ペプチド暴露の開始後の時間に対してプロットされる。種々の濃度について、指示されるように適用した。ZP2769及びZP2771は、Cx43CTに有意に結合することを明らかに示すが、ZP2769はより効果が少ないようである。
【0094】
実施例3−電気生理学的分析
結合コンダクタンス(Gj)はCx43を発現するN2a細胞対において測定された。研究中に、特定のペプチドを含む内部溶液でパッチピペットを満たし、オクタノール誘導脱共役の時間経過及び程度は、ペプチド無しで観察されたものと比較された。図2〜5は、環状ペプチドZP2769、ZP2771、ZP2778、ZP2782について、及び対照として溶解培地(内部ペプチド溶液)について、オクタノール潅流れの開始後の種々の時間で記録された結合細胞の結合コンダクタンス及びパーセントの平均測定を示す。データは、環状ペプチドの存在下で、オクタノール誘導脱共役の進行が有意に遅延し、10分のオクタノール暴露の終了時に記録された平均Gjの最小値がペプチド無しで得られたものと有意に異なる(p<<0.05)ことを示す。さらに、ペプチドZP2769(図3)及びZP2771(図5)について、全ての細胞は、オクタノール潅流の開始後の10分で結合したままであった。ZP2778(図2)について、細胞の60%が結合したままであり、ZP2782については20%が結合したままであった(図4)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I:
シクロ[Arg1−Arg2−Pro3−Pro4−Tyr5−(Arg6m−X7] (I)
{式中、
mは、0又は1であり;
7は、Asn、又は以下の式:
【化1】

(式中、nは、0、2、又は6である)
で表されるGlx基から選択され;そして、
7は、該ペプチド又はペプチド模倣化合物を環化するようにペプチド結合を介してArg1に連結される}
で表される環状ペプチド又は環状ペプチド模倣化合物、あるいは
以下の位置の1個、2個又は3個で式Iとは異なる化合物であって、それにより、式Iと異なっている場合、
Arg1、Arg2及び/又はArg6の位置にある残基は、独立して、Lys、His又はリジン模倣基によって置換され;
Pro3及び/又はPro4の位置にある残基は、独立して、アゼチジン、ヒドロキシプロリン、モルホリノ−3−カルボン酸、又はN−置換アミノ酸、例えば、サルコシン、N−シクロヘキシルグリシン若しくはN−フェニルグリシン、又は1−アミノ−シクロペンタンカルボン酸(Ac5c)又は1−アミノ−シクロヘキサンカルボン酸(Ac6c)から選択されるプロリン模倣体によって置換され;
Tyr5の位置にある残基は、Trp、ナフチルアラニン、Phe、Met、Val、Ile又はLeuによって置換される化合物、
あるいは、そのレトロ類似体又はその医薬として許容される塩。
【請求項2】
前記化合物が1、2又は3個の変化を含み、この場合、Arg1、Arg2及び/又はArg6の位置にある残基は独立にLys、His又はリジン模倣基によって置換され、及び/又はTyr5の位置にある残基は、Trp、ナフチルアラニン、Phe、Met、Val、Ile又はLeuによって置換される、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
位置Argで変化を含み、この場合、該残基はLys、His又はリジン模倣基に置換される、請求項1又は請求項2に記載の化合物。
【請求項4】
位置Argで変化を含み、この場合、該残基はLys、His又はリジン模倣基に置換される、請求項1〜3のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項5】
位置Argで変化を含み、この場合、該残基はLys、His又はリジン模倣基に置換される、請求項1〜4のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項6】
位置Tyrで変化を含み、この場合、該残基はTrp、ナフチルアラニン、Phe、Met、Val、Lle又はLeuに置換される、請求項1〜5のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項7】
シクロ(RRPPYQ)、シクロ(RRPPYRQ)、シクロ(RRPPYN)、シクロ(RRPPWN)、又はそのレトロ類似体である請求項1〜6のいずれか1項に記載の化合物、又はその医薬として許容される塩。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1項に記載の1以上の化合物及び薬学的担体を含む医薬組成物。
【請求項9】
前記組成物が経口投与可能である、請求項8に記載の医薬組成物。
【請求項10】
有効量の請求項1〜7のいずれか1項に記載のペプチドを細胞の集団に投与し、それにより、細胞間のギャップ結合コミュニケーションを調節することを含む、細胞の集団におけるギャップ結合コミュニケーションを調節する方法。
【請求項11】
治療方法に使用するための、請求項1〜7のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項12】
治療法が、循環器疾患、気道上皮炎、肺胞組織障害、聴覚障害、内皮病変、糖尿病性網膜症、糖尿病性神経障害、中枢神経系虚血、脊髄虚血、歯組織障害、骨粗鬆症、腎臓病、骨髄移植不全、外傷、勃起障害、尿失禁、神経障害性疼痛、亜慢性及び慢性炎症、癌、移植不全;乾癬及び過剰な反応性酸素種及び/又はフリーラジカル及び/又は一酸化窒素を原因とした皮膚疾患から成る群から選択される、請求項11に記載の化合物。
【請求項13】
機能低下したギャップ結合コミュニケーションに関わる病態を治療するための薬剤の製造における、請求項1〜7のいずれか1項に記載の化合物の使用。
【請求項14】
患者がヒトである、請求項13に記載の使用。
【請求項15】
病態が、循環器疾患、気道上皮炎、肺胞組織障害、聴覚障害、内皮病変、糖尿病性網膜症、糖尿病性神経障害、中枢神経系虚血、脊髄虚血、歯組織障害、骨粗鬆症、腎臓病、骨髄移植不全、外傷、勃起障害、尿失禁、神経障害性疼痛、亜慢性及び慢性炎症、癌、移植不全;乾癬及び過剰な反応性酸素種及び/又はフリーラジカル及び/又は一酸化窒素を原因とした皮膚疾患から成る群から選択される、請求項13又は14に記載の使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2012−529444(P2012−529444A)
【公表日】平成24年11月22日(2012.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−514348(P2012−514348)
【出願日】平成22年6月11日(2010.6.11)
【国際出願番号】PCT/DK2010/000092
【国際公開番号】WO2010/142293
【国際公開日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【出願人】(502453045)ジーランド ファーマ アクティーゼルスカブ (13)
【出願人】(508095256)ザ リサーチ ファウンデーション オブ ステイト ユニバーシティ オブ ニューヨーク (11)
【出願人】(511298912)ザ リージェンツ オブ ザ ユニバーシティ オブ ミシガン (1)
【Fターム(参考)】