説明

ペリクル付きフォトマスクの保管装置及び換気方法

【課題】ペリクルの構造を複雑にすることなく、しかも、高精度の動作機構を備える必要もなく、ペリクル内部の換気を行う。
【解決手段】ペリクル付きフォトマスク保管装置100は、ペリクルの内部空間が気圧調整穴を介して外部に連通した構成のペリクル付きフォトマスクを保管しながら、ペリクル付きフォトマスクに対して温度変化を与えることが可能な温度変化付与部100aを備える。ペリクル付きフォトマスクに温度変化を与えることによって、気圧調整穴を介してペリクル内の雰囲気を換気する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ペリクル付きフォトマスクの保管装置及び換気方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えばLSI(Large Scale Integration)などを製造する際のリソグラフィー工程においては、所定のパターン形状が形成されたフォトマスク(レチクルとも称される)のパターンを、フォトレジストが塗布された基板へ縮小投影露光装置を用いて投影することにより、該パターンをフォトレジストへ転写する。
【0003】
フォトマスクは、ガラス基板と、このガラス基板上に形成された金属遮光膜パターンと、を備えて構成されている。この金属遮光膜パターンは、ガラス基板上に形成された金属遮光膜を、所望のLSI回路のパターン形状を相似拡大したパターン形状に加工することにより形成されたものである。
【0004】
このようなフォトマスクのパターン面(金属遮光膜パターンが形成された面)に異物が付着すると、この異物の形状までフォトレジストに転写されるため、転写されるパターン形状に欠陥が生じてしまう。
【0005】
このような欠陥の発生を防止するために、フォトマスクにペリクルと呼ばれる保護部材を取り付けてパターン面へのパーティクルの付着を防止することが、一般に行われている。
【0006】
図7はペリクル付きフォトマスク20の構成を示す斜視図、図8及び図9は図7のA−A線に沿った矢視断面図である。
【0007】
図7及び図8に示すように、ペリクル付きフォトマスク20は、基板(ガラス基板)6と、この基板6上に所定のパターン形状に形成された金属遮光膜パターン10(図8)と、この金属遮光膜パターン10を覆うペリクル30と、を備えて構成されている。
【0008】
ペリクル30は、金属遮光膜パターン10が形成された領域の周囲を囲むように基板6上に配置される矩形枠状のフレーム7と、このフレーム7の一方の開口(基板6から遠い側の開口)を閉塞するように該フレーム7に設けられた透光性フィルム膜8と、を備えて構成されている。
【0009】
このようなペリクル30は、フレーム7の他方の開口側(透光性フィルム膜8が設けられていない方)の端面を、接着剤を用いて基板6に貼り付けることによって、基板6に取り付けられている。
【0010】
なお、フレーム7の側面には、ペリクル30の内部の空間とペリクル30の外部の空間とを相互に連通させる気圧調整穴9が形成されている。ペリクル30内部の空間は、気圧調整穴9のみを通じて、その外部空間と連通している。
【0011】
このようなペリクル付きフォトマスク20においては、パーティクルがパターン面に付着することをペリクル30により防止できる。
【0012】
しかしながら、露光装置の光源が短波長化されArFレーザーなど照射エネルギーがより高い照射光が用いられるようになったことなどに起因し、例えば、図9に示すように、ペリクル30の内部に異物ないしは曇り(以下、単に異物と称する)11が発生するようになった。
【0013】
この異物11は、例えば、ペリクル30の内部の金属遮光膜パターン10或いはガラス面(基板6の表面)に、硫酸アンモニウム等が析出することにより生成される。
【0014】
このような硫酸アンモニウムの析出は、例えば、ガラス面に吸着したまま残存している硫酸の残渣と、空気中のアンモニウムないしはアンモニウムイオンなどとが、ペリクル付きフォトマスク20を介したレーザー光照射が繰り返されるのに伴って反応することにより生じることが知られている。
【0015】
このような異物11がペリクル30の内部に存在すると、フォトレジストに転写されるパターン形状に欠陥が生じてしまい、製品歩留まりを低下させるという課題がある。
【0016】
異物11が発生した場合は、一旦ペリクル30を基板6から剥離して、洗浄により異物11を除去した後、再度、ペリクル30を基板6に貼り付ける必要があり、その間はペリクル付きフォトマスク20を使用できなくなる。
【0017】
このため、このような異物11の発生を防止又は遅延させるための様々な対策が採られている。
【0018】
一例としては、例えば、金属遮光膜パターン10を形成した後の基板6にペリクル30を取り付ける直前段階での最終洗浄をより確実に行うことによって、金属遮光膜パターン10或いはガラス面(基板6の表面)における残渣の残存率を低減し、異物11の発生を防止又は遅延させるという対策がある。
【0019】
また、特許文献1には、フォトマスク(レチクル)の保管装置内に、フィルタによって化学物質(アンモニア系不純物及び硫黄系不純物)を除去した後の空気を導入することにより、ペリクルの内部での異物の発生防止を図る技術が開示されている。
【0020】
特許文献2には、ペリクルのフレームの内側、並びに、ペリクルを収容するケースの内側に、それぞれ異物の析出要因となるアンモニア等を吸着する層構造を設けたことにより、異物の発生防止を図る技術が開示されている。
【0021】
特許文献3には、搬送ハンドでフォトマスクを保持して搬送する際に、搬送ハンドに設けられたガス噴射部から、ペリクルのフレームの通気孔(気圧調整穴9に相当)に向けてガスを噴射することにより、ペリクル内の雰囲気を強制的に換気する技術が開示されている。
【0022】
特許文献4には、ペリクルのフレームに、該フレームにおける基板側とは反対側の端面からペリクルの内部に至るような屈曲した経路の通気孔を形成し、ガス供給装置の供給口を前記通気孔の外側の開口部分に臨ませて配置し、供給口から通気孔を介してペリクルの内部へとガスを供給することにより、ペリクル内の雰囲気を強制的に換気する技術が開示されている。
【特許文献1】特開2004−361556号公報
【特許文献2】特開2000−352812号公報
【特許文献3】特開2004−179515号公報
【特許文献4】特開2004−258113号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0023】
しかしながら、特許文献1の技術では、ペリクルの周囲の雰囲気は清浄な雰囲気に換気できるとしても、ペリクルの内部の雰囲気を効率よく換気することは困難である。
【0024】
また、異物の析出要因となるアンモニア等を吸着する層構造をペリクル内部に形成する技術(特許文献2)では、ペリクル自体の構造が複雑となり、ペリクルの製造コスト増大を招く。また、同様の層構造をペリクルの収容ケースに設ける技術(特許文献2)では、ペリクルの周囲の雰囲気からは異物の析出要因となるアンモニア等を吸着除去できるとしても、ペリクル内部の雰囲気からは効率よくアンモニア等を吸着除去することが困難である。
【0025】
また、特許文献3の技術では、通気孔とガスの噴射口との位置決めを高精度に行う必要があるため搬送ハンドの位置制御を高精度に行うための機構が必要となるということに加え、ガス噴射により強制的な換気を行う動作が適切になされないと、ペリクルを破損させるなどの懸念がある。
【0026】
また、特許文献4の技術では、ペリクルのフレームに複雑な形状の通気孔を形成する必要があるため、ペリクル自体の構造が複雑となり、ペリクルの製造コスト増大を招く。また、強制的な換気を行う動作が適切になされないと、ペリクルを破損させるなどの懸念もある。
【0027】
要するに、ペリクル付きフォトマスクの構造を複雑にすることなく、しかも、高精度の動作機構を備える必要もなく、ペリクル内部の換気を行うことは困難だった。
【課題を解決するための手段】
【0028】
本発明は、ペリクルの内部空間が該ペリクルに形成された穴を介して外部に連通しているペリクル付きフォトマスクを内部に保管可能であり、かつ、前記ペリクル付きフォトマスクに対して温度変化を与えることが可能な温度変化付与部、を備えることを特徴とするペリクル付きフォトマスク保管装置を提供する。
【0029】
このペリクル付きフォトマスク保管装置によれば、温度変化付与部の内部にペリクル付きフォトマスクを保管できるとともに、温度変化付与部においてペリクル付きフォトマスクに温度変化を与えることによって、ペリクルの内部の雰囲気を熱膨張或いは熱収縮させることができる。よって、ペリクルに形成された穴を介してペリクル内の雰囲気を換気することが可能である。すなわち、ペリクル付きフォトマスクの温度が高温に移行する際には、ペリクルの内部の雰囲気が熱膨張するのに伴い、該雰囲気の一部は穴を介してペリクルの外部へ排出されるので、ペリクル内の雰囲気の換気がなされる。他方、ペリクル付きフォトマスクの温度が低温に移行する際には、ペリクルの内部の雰囲気が熱収縮するのに伴い、ペリクルの外部の雰囲気が穴を介してペリクルの内部へ導入されるので、ペリクル内の雰囲気の換気がなされる。
【0030】
よって、ペリクル付きフォトマスクとしては、例えば、図7及び図8に示すような一般的な構造のものを用いれば良い。つまり、ペリクルの構造を複雑にする必要がない。しかも、例えばペリクルの穴に対しガス噴射口を位置決めする場合のような高精度の動作機構を備える必要もない。
【0031】
このような換気を行うことにより、短波長かつ高エネルギーの光源を用いてパターン転写を繰り返すことによりペリクル付きフォトマスクのペリクルの内部に生成される成長性異物の発生を抑止する効果、又は発生までの時間を遅延させる効果が得られる。そのことにより、フォトレジストに転写されるパターン形状の欠陥の発生頻度を低減し、製品の歩留まりを向上することができる。また、ペリクルの再装着の必要回数を低減できるとともに、ペリクル付きフォトマスクの耐用期間も延長することが可能となる。
【0032】
また、本発明は、ペリクルの内部空間が該ペリクルに形成された穴を介して外部に連通した構成のペリクル付きフォトマスクを保管しながら、該ペリクル付きフォトマスクに対して温度変化を与えることによって、前記穴を介して前記ペリクル内の雰囲気を換気することを特徴とするペリクル付きフォトマスクの換気方法を提供する。
【発明の効果】
【0033】
本発明によれば、ペリクル付きフォトマスクの構造を複雑にすることなく、しかも、高精度の動作機構を備える必要もなく、ペリクル内部の換気を行うことが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
以下、本発明の実施形態について、図面を用いて説明する。なお、すべての図面において、同様の構成要素には同一の符号を付し、適宜に説明を省略する。
【0035】
図1は実施形態に係るペリクル付きフォトマスク保管装置100の斜視図、図2はペリクル付きフォトマスク20(図7)を収容するケース1の斜視図、図3はペリクル付きフォトマスク保管装置100の制御ブロック図、図4は実施形態に係るペリクル付きフォトマスクの換気方法の流れを示すフローチャート、図5はペリクル付きフォトマスク20の気圧調整穴9を通した換気動作を説明するための模式的な断面図、図6は図4を一部変更したフローチャート、図7はペリクル付きフォトマスク20の斜視図、図8は図7のA−A線に沿った矢視断面図である。
【0036】
本実施形態に係るペリクル付きフォトマスク保管装置100は、ペリクル30の内部空間が該ペリクル30に形成された穴(例えば、気圧調整穴9)を介して外部に連通しているペリクル付きフォトマスク20を保管可能であり、かつ、ペリクル付きフォトマスク20に対して温度変化を与えることが可能な温度変化付与部100aを備えている。また、本実施形態に係るペリクル付きフォトマスクの換気方法では、ペリクル30の内部空間が該ペリクル30に形成された穴(例えば、気圧調整穴9)を介して外部に連通した構成のペリクル付きフォトマスク20を保管しながら、該ペリクル付きフォトマスク20に対して温度変化を与えることによって、その穴を介してペリクル30内の雰囲気を換気する。以下、詳細に説明する。
【0037】
先ず、ペリクル付きフォトマスク保管装置100の構成を説明する。なお、ペリクル付きフォトマスク20の構造は、例えば、図7及び図8を用いて上述した構造である。
【0038】
図1に示すように、本実施形態に係るペリクル付きフォトマスク保管装置100の温度変化付与部100aは、高温に設定される高温保管室(第2保管領域)2と、低温に設定される低温保管室(第3保管領域)3と、常温保管室(第1保管領域)4と、を有している。各保管室2、3、4には、それぞれペリクル付きフォトマスク20を(例えば、後述するケース1内に納めた状態で該ケース1ごと)保管可能となっている。そして、後述するように、ペリクル付きフォトマスク20が各保管室2、3、4へ順次に移動されることにより、ペリクル付きフォトマスク20に対して温度変化を与えることが可能となっている。
【0039】
ここで、ペリクル付きフォトマスク保管装置100は、例えば、一定温度に空調されたクリーンルーム内で使用されることを想定しており、常温保管室4は、ペリクル付きフォトマスク保管装置100の外部の雰囲気と同程度の温度、すなわち、例えば、クリーンルームの設定温度と同程度の温度に設定される。本実施形態の場合、常温保管室4は、例えば、23℃程度に設定する。
【0040】
高温保管室2の温度は、例えば、常温保管室4よりも少なくとも5℃以上高温であり、かつ、例えば40℃以下(より好ましくは38℃以下:すなわちペリクル付きフォトマスク保管装置100の外部の雰囲気の温度から15℃以内の範囲)の温度に設定することが好ましい。高温保管室2の好適な温度範囲は、例えば、常温保管室4よりも5℃乃至10℃高い温度である。本実施形態の場合、具体的には、例えば、高温保管室2の温度は、30℃程度に設定する。なお、高温保管室2の温度は、図4のステップS1(後述)にて熱膨張によりペリクル付きフォトマスク20のペリクル30の内部の雰囲気を外部に排出できるような温度であれば、その他の温度であっても良い。また、高温保管室2の温度は、ペリクル付きフォトマスク20の透光性フィルム膜8(図7、図8)を変形させるなどの影響を及ぼさない程度の温度であれば、40℃を超える温度であっても良い。
【0041】
低温保管室3の温度は、例えば、常温保管室4よりも少なくとも5℃以上低温であり、かつ、例えば8℃以上(すなわちペリクル付きフォトマスク保管装置100の外部の雰囲気の温度から15℃以内の範囲)の温度に設定することが好ましい。低温保管室3の好適な温度範囲は、例えば、常温保管室4よりも5℃乃至10℃低い温度である。具体的には、例えば、低温保管室3の温度は、15℃程度に設定する。なお、低温保管室3の温度は、図4のステップS2(後述)にて熱収縮によりペリクル付きフォトマスク20のペリクル30の外部の雰囲気を該ペリクル30の内部に導入できるような温度であれば、その他の温度であっても良い。また、低温保管室3の温度は、図4のステップS3にてペリクル30内に結露が発生しないような温度であることが好ましい。
【0042】
これら高温保管室2、低温保管室3、及び常温保管室4は、例えば、その外形を構成するとともに内部にケース1を出し入れ可能に構成された筐体2a、3a、4aと、その筐体2a、3a、4a内に配置された複数段の棚と、をそれぞれ備えて構成されている。各保管室2、3、4を構成する筐体2a、3a、4a内の棚の各段には、ペリクル付きフォトマスク20を収容したケース1をそれぞれ格納し保管することが可能とされている。なお、図1に示すように、各保管室2、3、4は、相互に独立した筐体2a、3a、4aを備えているため、各保管室2、3、4の間には、仕切り(例えば、各筐体2a、3a、4aの側壁)が設けられていることになる。
【0043】
図2に示すように、ケース1は、例えば、扁平な直方体形状の筐体であり、その前面には、ペリクル付きフォトマスク20を該ケース1内に出し入れするための開口部1aが形成されている。更に、ケース1の前面には、例えば、この開口部1aを閉塞可能な蓋1bが設けられている。この蓋1bは、例えば、その上端部に沿って設けられたヒンジ機構によってケース1の前面に対し回動可能に連結されており、図2に2点鎖線で示すように、手前上側に開くことが可能となっている。なお、このようなケース1においては、蓋1bとケース1の前面との隙間を介して、容易に、ケース1外の雰囲気がケース1内に流入したり、逆にケース1内の雰囲気がケース1外に流出したりできるようになっている。つまり、ケース1の内外で雰囲気の流通がある状態となっている。
【0044】
ペリクル付きフォトマスク保管装置100は、他に、ペリクル付きフォトマスク20を収容したケース1を各保管室2、3、4の相互間で搬送可能な搬送機構50(図3)と、各保管室2、3、4の温度を調節する第1乃至第3調温部2b、3b、4b(図3)と、各保管室2、3、4に清浄なガスを供給する清浄ガス供給部(清浄ガス供給手段)5と、搬送機構50及び第1乃至第3調温部2b、3b、4bの動作制御を行う制御部(制御手段)60(図3)と、オペレータにより操作される操作部70(図3)と、を備えている。
【0045】
このうち搬送機構50は、ケース1を各保管室2、3、4の相互間で移動させることが可能なロボット機構である。
【0046】
第1調温部2bは高温保管室2の温度を調温する加熱装置(ヒータ)及び該高温保管室2の温度を検出する温度センサなどからなり、第2調温部3bは低温保管室3の温度を調温する冷却装置及び該低温保管室3の温度を検出する温度センサなどからなり、第3調温部4bは常温保管室4の温度を調温する加熱装置及び冷却装置と、該常温保管室4の温度を検出する温度センサなどからなる。
【0047】
なお、第3調温部4bは備えないこととしてもよい。常温保管室4は、特に調温しなくても、ペリクル付きフォトマスク保管装置100の外部の雰囲気の温度に近い温度となるためである。
【0048】
清浄ガス供給部5は、例えば、後述する外部筐体80の内部を清浄な状態に保つとともにペリクル30内の雰囲気の置換に用いられる清浄な不活性ガス(例えば、N)を、供給ダクト5aを介して各保管室2、3、4の例えば上部へ供給する。なお、各保管室2、3、4の例えば下部からは、各保管室2、3、4内の雰囲気を排気ダクト5bを介してペリクル付きフォトマスク保管装置100の外部へ排気することが可能となっている。
【0049】
ペリクル付きフォトマスク保管装置100は、更に、温度変化付与部100a、搬送機構50、第1乃至第3調温部2b〜4b、清浄ガス供給部5、供給ダクト5a及び排気ダクト5bを内部に収容した外部筐体80を備えている。
【0050】
操作部70は、例えば、ペリクル付きフォトマスク保管装置100内に保管されるペリクル付きフォトマスク20の使用予定時期などの入力操作を受け付ける。なお、この使用予定時期は、例えば、個々のペリクル付きフォトマスク20毎に入力できるものとし、制御部60は個々のペリクル付きフォトマスク20の使用予定時期を記憶保持し管理するものとする。また、これら使用予定時期は、随時に操作部70への操作を行うことにより、随時に更新される。
【0051】
制御部60は、例えば、各種の演算処理並びに制御動作を行うCPU(Central Processing Unit)と、このCPUの動作用プログラムを格納したROM(Read Only Memory)と、このCPUの作業領域などとして機能するRAM(Random Access Memory)と、を備えて構成されている。
【0052】
制御部60には、操作部70に対する入力結果(使用予定時期を示すデータを含む)の他、各調温部2b〜4bの温度センサによる検出結果などが入力されるようになっている。制御部60は、操作部70に対する入力結果に応じて、搬送機構50の動作制御を行う。なお、制御部60による搬送機構50の動作制御の詳細は後述する。
【0053】
また、制御部60は、各調温部2b〜4bの温度センサによる検出結果に応じて、各調温部2b〜4bを制御し、それぞれ対応する保管室2、3、4をそれぞれの設定温度に調温させる。
【0054】
ペリクル付きフォトマスク保管装置100は、以上のように構成されている。なお、このようなペリクル付きフォトマスク保管装置100は、既存のペリクル付きフォトマスク保管装置に対し、温度変化付与部100a、搬送機構50、制御部60、清浄ガス供給部5などを追加で設けることにより構成することができる。
【0055】
次に、上記のような構成のペリクル付きフォトマスク保管装置100を用いたペリクル付きフォトマスクの換気方法を説明する。なお、以下では簡単のため、1つのケース1を各保管室2、3、4へ順次に搬送することにより1つのペリクル付きフォトマスク20の換気を行う動作を説明するが、複数のケース1をそれぞれの内部のペリクル付きフォトマスク20の使用予定に応じて適宜に搬送することによって、複数のペリクル付きフォトマスク20の換気動作を並列的に行うようにしても良いのは勿論である。
【0056】
例えば、ペリクル付きフォトマスク20を収容したケース1が新たに常温保管室4内に入れられ、そのペリクル付きフォトマスク20に対する換気動作を指示する操作が操作部70に対してなされたとする。すると、制御部60は、搬送機構50を制御し、該ケース1を高温保管室2へ搬送させる(図4のステップS1)。
【0057】
ステップS1では、ケース1内のペリクル付きフォトマスク20は加熱される。このため、ペリクル30内の雰囲気が熱膨張するので、図5(a)に示すように、ペリクル30内の雰囲気が気圧調整穴9を通してペリクル30の外部に排出される。
【0058】
また、制御部60は、ケース1が高温保管室2内に搬送されてからの経過時間を監視する。この経過時間が所定の滞在時間に達したら、制御部60は、ケース1内のペリクル付きフォトマスク20を所定時間内に使用する予定の有無を判断する(ステップS2)。すなわち、操作部70に対し入力された使用予定時期と現在時刻とを比較し、その差が所定時間内であるか否かを判定する。
【0059】
そして、所定時間内に使用予定があると判断した場合、すなわち、操作部70に対し入力された使用予定時期と現在時刻との差が所定時間内であった場合(ステップS2のYes)、制御部60は、搬送機構50を制御してケース1を高温保管室2から常温保管室4へ搬送させ、使用前のペリクル付きフォトマスク20の温度を安定化させる(図4のステップS5)。
【0060】
ここでのステップS5では、ケース1内のペリクル付きフォトマスク20は冷却される。このため、ペリクル30内の雰囲気が熱収縮するので、ペリクル30の外部の清浄な雰囲気が気圧調整穴9を通してペリクル30の内部に導入される。
【0061】
なお、上記の滞在時間は、例えば、30分間〜1時間の間の任意の時間とすることができる。また、上記の所定時間は、例えば、上記滞在時間以上の長さの任意の時間とすることができる。
【0062】
また、所定時間内には使用予定がないと判断した場合(ステップS2のNo)、制御部60は、搬送機構50を制御してペリクル付きフォトマスク20を低温保管室3へ搬送させる(ステップS3)。
【0063】
ステップS3では、ケース1内のペリクル付きフォトマスク20は冷却される。このため、ペリクル30内の雰囲気が熱収縮するので、図5(b)に示すように、ペリクル30の外部の清浄な雰囲気が気圧調整穴9を通して、ペリクル30の内部に導入される。
【0064】
また、制御部60は、ケース1が低温保管室3内に搬送されてからの経過時間を監視する。この経過時間が上記所定の滞在時間に達したら、制御部60は、ケース1内のペリクル付きフォトマスク20を上記所定時間内に使用する予定の有無を判断する(ステップS4)。
【0065】
そして、所定時間内に使用予定があると判断した場合(ステップS4のYes)、制御部60は、搬送機構50を制御してケース1を低温保管室3から常温保管室4へ搬送させ、使用前のペリクル付きフォトマスク20の温度を安定化させる(図4のステップS5)。
【0066】
ここでのステップS5では、ケース1内のペリクル付きフォトマスク20の温度は上昇する。このため、ペリクル30内の雰囲気が熱膨張するので、図5(c)に示すように、ペリクル30内の雰囲気が気圧調整穴9を通してペリクル30の外部に排出される。
【0067】
また、所定時間内には使用予定がないと判断した場合(ステップS4のNo)、制御部60は、搬送機構50によってケース1を再び高温保管室2へ搬送させる(ステップS1)。
【0068】
以後は、上記と同様に、所定時間内にペリクル付きフォトマスク20を使用する予定がない限りは、該ペリクル付きフォトマスク20を高温保管室2と低温保管室3とに交互に搬送し、ペリクル30内の換気を継続的に行う。これにより、徐々に、ペリクル30内の雰囲気を清浄ガス供給部5から供給される清浄な不活性ガスへと置換する。
【0069】
こうして、温度安定等の無駄な待ち時間なく、ペリクル付きフォトマスク20の換気動作を実行できる。
【0070】
なお、図4の動作は、図6の動作に置き換えることも可能である。すなわち、図6の場合、図4におけるステップS2の動作を省略し、図4におけるステップS1に引き続きステップS3の動作を行う。この場合、例えば、上記所定時間の長さを、図4の動作の場合の2倍の長さ(上記滞在時間の2倍以上の長さの任意の時間)に設定すれば良い。
【0071】
以上のような実施形態によれば、ペリクル付きフォトマスク保管装置100は、ペリクル30の内部空間が該ペリクル30に形成された気圧調整穴9を介して外部に連通しているペリクル付きフォトマスク20を保管可能であり、かつ、ペリクル付きフォトマスク20に対して温度変化を与えることが可能な温度変化付与部100aを備えるので、温度変化付与部100aの内部にペリクル付きフォトマスク20を保管できるとともに、温度変化付与部100aにおいてペリクル付きフォトマスク20に温度変化を与えることによって、ペリクル30の内部の雰囲気を熱膨張或いは熱収縮させることができる。よって、ペリクルに形成された気圧調整穴9を介してペリクル30内の雰囲気を換気することが可能である。すなわち、ペリクル付きフォトマスク20の温度が高温に移行する際には、ペリクル30の内部の雰囲気が熱膨張するのに伴い、該雰囲気の一部は気圧調整穴9を介してペリクル30の外部へ排出されることにより、ペリクル30内の雰囲気の換気がなされる。他方、ペリクル付きフォトマスク20の温度が低温に移行する際には、ペリクル30の内部の雰囲気が熱収縮するのに伴い、ペリクル30の外部の雰囲気が気圧調整穴9を介してペリクルの内部へ導入されることにより、ペリクル30内の雰囲気の換気がなされる。
【0072】
よって、ペリクル付きフォトマスク20としては、例えば、図7及び図8に示すような一般的な構造のものを用いれば良い。つまり、ペリクル付きフォトマスク20の構造を複雑にする必要がない。しかも、例えばペリクル30の気圧調整穴9に対しガス噴射口を位置決めする場合のような高精度の動作機構を備える必要もない。
【0073】
このような換気を行うことにより、短波長かつ高エネルギーの光源を用いてパターン転写を繰り返すことによりペリクル付きフォトマスク20のペリクル30の内部に生成される成長性異物の発生を抑止する効果、又は発生までの時間を遅延させる効果が得られる。そのことにより、ペリクル30の再装着の必要回数を低減できるとともに、ペリクル付きフォトマスク20の耐用期間も延長することが可能となる。
【0074】
また、ペリクル付きフォトマスク保管装置100は、ペリクル付きフォトマスク20をそれぞれ保管可能であり、かつ、相互に異なる温度に設定される各保管室2、3、4を有しているので、ペリクル付きフォトマスク20が各保管室2、3、4間を移動されることにより、ペリクル付きフォトマスク20に対して温度変化を与えることができる。
【0075】
また、常温保管室4は、ペリクル付きフォトマスク保管装置100の外部の雰囲気の温度に設定されるので、ペリクル付きフォトマスク20の使用に際して該ペリクル付きフォトマスク20を常温保管室4に配置することにより、該ペリクル付きフォトマスク20の温度の安定化を図ることができる。
【0076】
さらに、ペリクル付きフォトマスク保管装置100は、常温保管室4よりも高温の高温保管室2と、常温保管室4よりも低温の低温保管室3と、を備えるので、ペリクル30内の雰囲気を大きく熱膨張及び熱収縮させることができるため、該雰囲気を好適に換気することができる。
【0077】
また、ペリクル付きフォトマスク20を各保管室2、3、4の相互間で搬送可能な搬送機構50を備えるので、ペリクル付きフォトマスク20を各保管室2、3、4に配置させる動作を自動化することができる(手作業で行う必要がない)。
【0078】
また、搬送機構50の動作制御を行う制御部60を備え、制御部60は、ペリクル付きフォトマスク20を各保管室2、3、4へ順次に搬送させる制御を行うので、ペリクル付きフォトマスク20に対し自動的に好適な温度サイクルを付与することができる。
【0079】
また、制御部60は、ペリクル付きフォトマスク20を所定時間内に使用する予定の有無を判断し、所定時間内に使用する予定がない場合にはペリクル付きフォトマスク20を高温保管室2と低温保管室3とに交互に搬送させ、所定時間内に使用する予定がある場合にはペリクル付きフォトマスク20を常温保管室4に搬送させるので、ペリクル付きフォトマスク20を所定時間内に使用する予定がない限りは、ペリクル付きフォトマスク20に対し、温度変化量が大きい温度サイクルを付与して好適に換気を行うことができる一方で、所定時間内に使用する予定がある場合にはペリクル付きフォトマスク20を常温保管室4に配置することにより、該ペリクル付きフォトマスク20の温度の安定化を図ることができる。よって、ペリクル付きフォトマスク20の使用に際し、温度安定のための無駄な待ち時間が発生しないようにできる。
【0080】
また、制御部60は、ペリクル付きフォトマスク20を所定時間内に使用する予定がない場合には、ペリクル付きフォトマスク20を各保管室2、3のうちの一の保管室内に所定の滞在時間の間滞在させた後、他の保管室(各保管室2、3、4のうちの何れか他の1つの保管室)へ搬送させるので、各保管室2、3で温度が安定化するまで十分に換気動作を行った後、他の保管室へ搬送させるようにできる。
【0081】
また、保管領域としての各保管室2、3、4の間に仕切りが設けられているので、より具体的には、例えば、各保管室2、3、4は、それぞれ筐体2a、3a、4aを備えて構成されているので、各保管室2、3、4をそれぞれ好適に設定温度に維持させることができる。
【0082】
また、各保管室2、3、4へ清浄なガスを供給する清浄ガス供給部5を備えるので、各保管室2、3、4内の雰囲気を清浄に保つことができるとともに、ペリクル30内を清浄なガスで置換することができる。
【0083】
また、ペリクル付きフォトマスク保管装置100は、既存のペリクル付きフォトマスク保管装置に対し、温度変化付与部100a、搬送機構50、制御部60、清浄ガス供給部5などを追加で設けることにより、容易に構成することができる。
【0084】
上記の実施形態では、温度変化付与部100aが第1、第2及び第3保管領域としての各保管室2、3、4を備える構成を例示したが、この例に限らず、1つの保管領域で(ペリクル付きフォトマスク20を移動させることなく)ペリクル付きフォトマスク20を加熱又は冷却が可能なように、或いは加熱及び冷却が可能なように、該1つの保管領域を加熱或いは冷却する手段を設けても良い。
【0085】
また、上記の実施形態では、温度変化付与部100aが第1、第2及び第3保管領域としての各保管室2、3、4を備える構成を例示したが、相互に異なる温度に設定される第1及び第2保管領域としての2つの保管室を備える構成としても良い。この場合に、例えば、一方の保管室がペリクル付きフォトマスク保管装置100の外部の雰囲気の温度に設定されるものとすると、他方の保管室は、当該一方の保管室よりも高温に設定されても良いし、或いは、低温に設定されても良い。
【0086】
また、保管領域(例えば、保管室)の数は、4つ以上であっても良いし、各保管領域のうちの何れか複数の保管室は、互いに同一の設定温度に設定されても良い。
【0087】
また、上記の実施形態では、ペリクル付きフォトマスク保管装置100が搬送機構50を備える例を説明したが、搬送機構50を備えない構成とし、例えば手作業でペリクル付きフォトマスク20を各保管室2、3、4へ順次に移動させるようにしても良い。
【0088】
また、上記の実施形態では、各保管室2、3、4が、それぞれ筐体2a、3a、4aを備えて構成されている例を説明したが、単に、各保管室2、3、4の間に仕切りを設けただけの構成であっても良い。更には、各保管領域を相互に異なる温度に設定可能であれば、各保管領域の間に仕切りさえも設けない構成としても良い。
【図面の簡単な説明】
【0089】
【図1】実施形態に係るペリクル付きフォトマスク保管装置の斜視図である。
【図2】ペリクル付きフォトマスクを収容するケースの斜視図である。
【図3】ペリクル付きフォトマスク保管装置の制御ブロック図である。
【図4】実施形態に係るペリクル付きフォトマスクの換気方法の好適な一例を示すフローチャートである。
【図5】ペリクル付きフォトマスクの気圧調整穴を通した換気動作を説明するための模式的な断面図である。
【図6】実施形態に係るペリクル付きフォトマスクの換気方法の他の一例を示すフローチャートである。
【図7】ペリクル付きフォトマスクの斜視図である。
【図8】図7のA−A線に沿った矢視断面図である。
【図9】図7のA−A線に沿った矢視断面図であり、特に、ペリクルの内部に異物が発生した状態を模式的に示す。
【符号の説明】
【0090】
1 ケース
1a 開口部
1b 蓋
2 高温保管室(第2保管領域)
2a 筐体
2b 第1調温部
3 低温保管室(第3保管領域)
3a 筐体
3b 第2調温部
4 常温保管室(第1保管領域)
4a 筐体
4b 第3調温部
5 清浄ガス供給部(清浄ガス供給手段)
5a 供給ダクト
5b 排気ダクト
6 基板
7 フレーム
8 透光性フィルム膜
9 気圧調整穴(穴)
10 金属遮光膜パターン
11 異物
20 ペリクル付きフォトマスク
30 ペリクル
50 搬送機構
60 制御部(制御手段)
70 操作部
80 外部筐体
100 ペリクル付きフォトマスク保管装置
100a 温度変化付与部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ペリクルの内部空間が該ペリクルに形成された穴を介して外部に連通しているペリクル付きフォトマスクを内部に保管可能であり、かつ、前記ペリクル付きフォトマスクに対して温度変化を与えることが可能な温度変化付与部、を備えることを特徴とするペリクル付きフォトマスク保管装置。
【請求項2】
前記温度変化付与部は、それぞれ前記ペリクル付きフォトマスクをそれぞれ保管可能であり、かつ、相互に異なる温度に設定される第1及び第2保管領域を有し、前記ペリクル付きフォトマスクが各保管領域へ順次に移動されることにより、前記ペリクル付きフォトマスクに対して温度変化を与えることを特徴とする請求項1に記載のペリクル付きフォトマスク保管装置。
【請求項3】
前記ペリクル付きフォトマスクをそれぞれ保管可能であり、かつ、相互に異なる温度に設定される第1、第2及び第3保管領域を有し、前記ペリクル付きフォトマスクが各保管領域へ順次に移動されることにより、前記ペリクル付きフォトマスクに対して温度変化を与えることを特徴とする請求項1に記載のペリクル付きフォトマスク保管装置。
【請求項4】
前記第1保管領域は、当該ペリクル付きフォトマスク保管装置の外部の雰囲気の温度に設定されることを特徴とする請求項2又は3に記載のペリクル付きフォトマスク保管装置。
【請求項5】
前記第1保管領域は、当該ペリクル付きフォトマスク保管装置の外部の雰囲気の温度に、前記第2保管領域は前記第1保管領域よりも高温に、前記第3保管領域は前記第1保管領域よりも低温に、それぞれ設定されることを特徴とする請求項3に記載のペリクル付きフォトマスク保管装置。
【請求項6】
前記ペリクル付きフォトマスクを各保管領域の相互間で搬送可能な搬送機構を備えることを特徴とする請求項2乃至5のいずれか一項に記載のペリクル付きフォトマスク保管装置。
【請求項7】
前記搬送機構の動作制御を行う制御手段を備え、
前記制御手段は、前記ペリクル付きフォトマスクを各保管領域へ順次に搬送させる制御を行うことを特徴とする請求項6に記載のペリクル付きフォトマスク保管装置。
【請求項8】
前記第1保管領域は当該ペリクル付きフォトマスク保管装置の外部の雰囲気の温度に設定され、
前記ペリクル付きフォトマスクを各保管領域の相互間で搬送可能な搬送機構と、前記搬送機構の動作制御を行う制御手段と、を備え、
前記制御手段は、
前記ペリクル付きフォトマスクを所定時間内に使用する予定の有無を判断し、
前記所定時間内に使用する予定がない場合には、前記ペリクル付きフォトマスクを前記第2保管領域と前記第3保管領域とに交互に搬送させ、
前記所定時間内に使用する予定がある場合には、前記ペリクル付きフォトマスクを前記第1保管領域に搬送させることを特徴とする請求項3に記載のペリクル付きフォトマスク保管装置。
【請求項9】
前記第2保管領域は前記第1保管領域よりも高温に、前記第3保管領域は前記第1保管領域よりも低温に、それぞれ設定されることを特徴とする請求項8に記載のペリクル付きフォトマスク保管装置。
【請求項10】
前記制御手段は、前記ペリクル付きフォトマスクを各保管領域のうちの一の保管領域内に所定の滞在時間の間滞在させた後、他の保管領域へ搬送させることを特徴とする請求項7乃至9のいずれか一項に記載のペリクル付きフォトマスク保管装置。
【請求項11】
前記制御手段は、
前記ペリクル付きフォトマスクを前記所定時間内に使用する予定がない場合には、前記ペリクル付きフォトマスクを前記第2保管領域及び前記第3保管領域のうちの一の保管領域内に所定の滞在時間の間滞在させた後、他の保管領域へ搬送させることを特徴とする請求項8又は9に記載のペリクル付きフォトマスク保管装置。
【請求項12】
各保管領域の間に仕切りが設けられていることを特徴とする請求項2乃至11のいずれか一項に記載のペリクル付きフォトマスク保管装置。
【請求項13】
各保管領域は、個別の筐体内の領域であることを特徴とする請求項12に記載のペリクル付きフォトマスク保管装置。
【請求項14】
各保管領域へ清浄なガスを供給する清浄ガス供給手段を備えることを特徴とする請求項2乃至13のいずれか一項に記載のペリクル付きフォトマスク保管装置。
【請求項15】
ペリクルの内部空間が該ペリクルに形成された穴を介して外部に連通しているペリクル付きフォトマスクを保管しながら、該ペリクル付きフォトマスクに対して温度変化を与えることによって、前記穴を介して前記ペリクル内の雰囲気を換気することを特徴とするペリクル付きフォトマスクの換気方法。
【請求項16】
前記ペリクル付きフォトマスクをそれぞれ保管可能であり、かつ、相互に異なる温度に設定されている第1、第2及び第3保管領域に対し、順次に前記ペリクル付きフォトマスクを搬送することによって、前記ペリクル付きフォトマスクに温度変化を与えることを特徴とする請求項15に記載のペリクル付きフォトマスクの換気方法。
【請求項17】
前記第1保管領域は常温に設定され、
前記ペリクル付きフォトマスクを搬送する搬送機構の動作を、前記ペリクル付きフォトマスクを所定時間内に使用する予定の有無を判断することが可能な制御手段の制御下で行うようにし、
前記制御手段は、
前記ペリクル付きフォトマスクを前記所定時間内に使用する予定がないと判断した場合には、前記ペリクル付きフォトマスクを前記第2保管領域と前記第3保管領域とに交互に搬送させ、
前記所定時間内に使用する予定があると判断した場合には、前記ペリクル付きフォトマスクを前記第1保管領域に搬送させることを特徴とする請求項16に記載のペリクル付きフォトマスクの換気方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−153551(P2010−153551A)
【公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−329511(P2008−329511)
【出願日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【出願人】(302062931)ルネサスエレクトロニクス株式会社 (8,021)
【Fターム(参考)】