ペリクル枠体及びペリクル
【課題】分割枠とする場合であっても接合部に枠体よりも剛性の高い部材等を用いることなく実用上問題のない剛性及び寸法安定性を維持すると共に、歩留まりを向上させることができるペリクル枠体及びペリクルを提供する。
【解決手段】ペリクル1のペリクル枠体2では、接合部22a〜22hにおける接合強度を10kgf以上としているため、分割枠体であっても、撓みや歪みを抑制できると共に、剛性を確保することができる。また、分割枠体とすることで、寸法を容易に調整することができ、寸法精度を確保することができると共に製造工程を簡易化できる。そのため、接合部を有さない枠体と同様の寸法精度を容易にでることができる。したがって、分割枠体を用いる際に、接合部22a〜22hに剛性の高い部材等を用いることなく剛性及び寸法安定性を維持できると共に、歩留まりを向上させることができる。
【解決手段】ペリクル1のペリクル枠体2では、接合部22a〜22hにおける接合強度を10kgf以上としているため、分割枠体であっても、撓みや歪みを抑制できると共に、剛性を確保することができる。また、分割枠体とすることで、寸法を容易に調整することができ、寸法精度を確保することができると共に製造工程を簡易化できる。そのため、接合部を有さない枠体と同様の寸法精度を容易にでることができる。したがって、分割枠体を用いる際に、接合部22a〜22hに剛性の高い部材等を用いることなく剛性及び寸法安定性を維持できると共に、歩留まりを向上させることができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばIC(Integrated Circuit:集積回路)、LSI(Large ScaleIntegration:大規模集積回路)、TFT型LCD(Thin Film Transistor,Liquid Crystal Display:薄膜トランジスタ液晶ディスプレイ)等の半導体装置を製造する際のリソグラフィー工程で使用されるフォトマクスやレティクルに異物が付着することを防止するために用いるペリクル枠体及びペリクルに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、半導体回路パターン等の製造においては、フォトマスクやレティクルの両面側にペリクルと称する防塵手段を配置して、フォトマスクやレティクルへの異物の付着を防止することが行われている。
【0003】
ペリクルの一般的な構造としては、金属、セラミックス、又はポリマー製のペリクル枠体の片側に、ポリマー又はガラス等の透明な薄膜を貼り付け、その反対側に、マスクに貼り付けるための貼着剤層(粘着材)を設けたものが挙げられる。例えば、ペリクルは、フォトマスクやレティクルの形状に合わせた形状を有する厚さ数ミリ程度のペリクル枠体の一方の縁面に、厚さ10μm以下のニトロセルロース又はセルロース誘導体等の透明な高分子膜から成るペリクル膜を展張して接着し、且つペリクル枠体の他方の縁面に粘着材を介してフォトマスクやレティクルの表面に貼着している。
【0004】
フォトマスクやレティクルの表面に異物が付着した場合、その異物が半導体ウエハ上に形成されたフォトレジスト上に結像して回路パターン欠陥の原因となるが、フォトマスクやレティクルの少なくともパターン面にペリクルを配置した場合、ペリクルの表面に付着した異物はフォーカス位置がずれるため、半導体ウエハ上に形成されたフォトレジスト上に結像することがなく、回路パターンに欠陥を生じさせることがない。
【0005】
また、近年では、各種のマルチメディアの普及により、高画質・高精細表示が可能な大型のカラーTFTLCDのフォトリソグラフィ工程で使用される大型のフォトマスクに適用できるペリクルが要望されている。
【0006】
例えば、特許文献1には、大型のフォトマスクに適用できるペリクルが開示されている。また、特許文献2には、ペリクル枠体の撓みや歪に対応するために、枠体と枠体より弾性係数の大きい補強材を利用した枠体も開示されている。
【0007】
また、特許文献3には、高解像度を必要とする露光において使用される200nm以下の紫外光露光に利用されるペリクル枠体であって、マスクの平坦性の精度に影響しないペリクル枠体として、弾性率が異なる2種類以上の材料を枠体の厚み方向に接合した枠体を利用することも開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2001−109135号公報
【特許文献2】特開2006−284927号公報
【特許文献3】特開2009−063740号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、ペリクル枠体は、1枚のシート状母材を打ち抜くことにより作製され、接合部のない一体型のものが多い。これは、ペリクルの平坦性を確保する観点等に基づくものである。母材の平坦性によってはペリクル枠体の作製に使用できない母材もあり、ペリクル枠体が大型化するほど、ペリクル枠体の平坦性の精度を出すことは容易ではない。そのため、製造工程にも手間がかかり、歩留まり低下やペリクル枠体作製のコスト向上の原因となっている。
【0010】
また、ペリクルの大型化に伴い、ペリクル枠体自体の自重、ペリクル膜の張力、及び温度変化に起因する応力といった各種要因により、ペリクル枠体に撓みや歪が発生する可能性がある。そのため、一般的に、剛性の高い1枚のシート状母材を打ち抜いてペリクル枠体を作製して使用している。ペリクル枠体の撓みや歪は、ペリクル膜を張り付けた後に、ペリクル膜の張力により内側に向かって生じるものであるが、フォトマスクメーカーの露光面積を確保したいという要求に対応するために、できるだけ小さくする必要がある。そこで、ペリクル枠体の断面積を大きくして(部材を太くして)ペリクル枠体の剛性を向上させる方法があるが、この方法は有効露光面積等を考慮すると好ましくない。
【0011】
上述の理由から、ペリクル枠体は、一体型ものよりも分割された枠体(以下、分割枠体という)であることが好ましいと考えられる。しかし、ペリクル枠体を分割枠体とする場合には、コスト低減といった利点がある一方、撓みや歪が発生する可能性があり、また、剛性が実用のための特性を充たさず、商品としての実用化が難しいといった現状がある。この点に関して、上記特許文献2では、剛性を確保するために、接合部にペリクル枠体よりも剛性の高い部材を用いて接着剤等を使用したり、摩擦攪拌溶接等の特殊な方法を使用している。しかしながら、異なる素材の部材を強固に接着するのは容易ではなく、また、接着剤溜りのような接合部に特殊な加工が必要であったり、露光中に接着剤からのアウトガス発生が懸念されたり、摩擦攪拌溶接等のような特殊な溶接技術が必要になる。
【0012】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、分割枠体とする場合であっても接合部に剛性の高い部材等を用いることなく剛性及び寸法安定性を維持できると共に、歩留まりを向上させることができるペリクル枠体及びペリクルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するために、本発明に係るペリクル枠体は、平面視において矩形状を有する開口部を覆うようにペリクル膜を展張支持するペリクル枠体であって、開口部の周縁は枠部材によって形成されていると共に、枠部材は少なくとも一つの接合部によって接合されており、接合部における接合強度が10kgf以上であることを特徴とする。
【0014】
このペリクル枠体では、枠部材の接合部における接合強度を10kgf以上としているため、分割枠体であっても、撓みや歪みを抑制できると共に、剛性を確保することができる。また、分割した枠部材により構成することで、寸法を容易に調整することができ、寸法精度を確保することができると共に、製造工程を簡易化できる。そのため、接合部を有さない枠体と同様の寸法精度を容易に得ることができる。したがって、分割枠体とする場合であっても接合部に剛性の高い部材等を用いることなく剛性及び寸法安定性を維持できると共に、歩留まりを向上させることができる。
【0015】
また、分割枠体とすることで、1枚のシート状母材からの切り出しよりも切削加工工数が少なくなり、加工時にかかる枠部材への残留応力が小さくなる。また、素材の異方性を考えると、同じ方向性の枠部材を使用可能とするため、ペリクル枠体全体としての異方性が小さくなる。このように残留応力や異方性が小さくなるため、ペリクル製造工程内での加熱工程中での応力歪等による開放が小さくなり、ペリクルとして寸法が安定する。このため、残留応力を開放するために事前に加熱処理等を行う必要がなくなり、工程数が減るといった製造上のメリットもでてくる。また、応力歪は経時的に開放方向に向かうため、残留応力の小さい分割枠体の方が長期的に保管しても寸法の安定性を確保できる。
【0016】
更に、複数の枠部材でペリクル枠体を形成することで、母材の平坦性の良い箇所の切り出しが可能になり、接合後のペリクル枠体の平坦性も向上することになる。また、小さな母材から大きなペリクル枠体を作製することも可能であり、コスト低減といったメリットもある。
【0017】
接合部は、枠部材の一端部に形成された凸部と、枠部材の一端部に形成された凸部と接合する凹部とから構成されている好ましい。このような構成とすることにより、接合部の接合強度を良好に10kgf以上とすることができる。
【0018】
接合部は、嵌合、接着剤及びカシメのいずれかにて接合されていることが好ましい。これらの接合方法を用いることにより、接合部の接合強度を十分に確保することができる。
【0019】
枠部材は、対向する一対の長辺と、対向する一対の短辺とが角部を形成するように構成されており、接合部の少なくとも一つと接合部と最も近い距離にある角部との間の距離は、接合部が設けられた辺の長さの45%以下であることが好ましい。このような構成によれば、枠体は矩形状であり、角部近傍は剛性が高いため、接合部を角部の近傍に配置することで、剛性を維持でき、ペリクル枠体の撓み等を抑えることが可能となる。また、角部近傍に接合部を設けることで、直角性もよくなり矩形の形状を保つ方向になるため、ペリクル枠体の撓み量を公差の範囲内(0%〜3%)とすることができる。
【0020】
本発明に係るペリクルは、上述のいずれかのペリクル枠体と、ペリクル枠体の開口部を覆うように展張支持されたペリクル膜とを含むことを特徴とする。上述のペリクル枠体にペリクル膜を展張することにより、分割枠体とする場合であっても接合部に剛性の高い部材等を用いることなく剛性及び寸法安定性を維持できると共に、歩留まりを向上させることができる。また、従来のペリクルと同様の剛性、寸法精度が確保されているため、ペリクルを検品のとき等に治具にて操作する際、治具からの落下を抑制することができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、分割枠体とする場合であっても接合部に枠体よりも剛性の高い部材等を用いることなく実用上問題のない剛性及び寸法安定性を維持すると共に、歩留まりを向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の一実施形態に係るペリクルを示す斜視図である。
【図2】図1に示すペリクルを上からみた図である。
【図3】ペリクル枠体の角部を拡大して示す斜視図である。
【図4】接合部を示す図である。
【図5】接合部の他の形態を示す図である。
【図6】接合部の他の形態を示す図である。
【図7】変形例に係るペリクル枠体を上から見た図である。
【図8】変形例に係るペリクル枠体を上から見た図である。
【図9】実施例に係る接合部を示す図である。
【図10】実施例に係る接合部を示す図である。
【図11】実施例に係る接合部を示す図である。
【図12】実施例に係る接合部を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には、同一符号を用いることとし、重複する説明は省略する。
【0024】
図1は、本発明の一実施形態に係るペリクルを示す斜視図であり、図2は、図1に示すペリクルを上から見た図である。各図に示すように、ペリクル1は、ペリクル枠体2と、ペリクル枠体2の上縁面2eに展張支持されたペリクル膜3とを備えている。なお、図示しないが、ペリクル1は、ペリクル枠体2の下縁面に塗布された貼着剤層と、貼着剤層に粘着され、この貼着剤層を保護する保護フィルムとを更に備えている。ペリクル1は、大型ペリクルであり、ペリクル枠体2は、大型のペリクル用枠体である。
【0025】
ペリクル枠体2は、例えばアルミニウム、アルミニウム合金(5000系、6000系、7000系等)、鉄及び鉄系合金、セラミックス(SiC、AlN、Al2O3等)、セラミックスと金属との複合材料(Al−SiC、Al−AlN、Al−Al2O3等)、炭素鋼、工具鋼、ステンレスシリーズ、マグネシウム合金、又はポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂等の樹脂等からなり、略矩形状を呈している。ペリクル1は、貼着剤層を介してマスクに貼り付くため、剛性が高くて比較的重量が小さいものが好ましく、アルミニウム、アルミニウム合金、マグネシウム合金、樹脂等の素材が好ましい。なお、ペリクル枠体2は、後述する複数の分割部材20a〜20d及び連結部材21a〜21dにて構成されており、分割部材20a〜20d及び連結部材21a〜21dは、同じ弾性係数を有する素材で形成されていることが好ましい。また、ペリクル枠体2の表面処理としては、アルマイト処理、塗装、塗料コーティング、めっき処理、低融点ガラスフリット処理、CVD処理、スパッタ法などによるPVD処理などが挙げられる。
【0026】
このペリクル枠体2は、対向する一対の長辺2a,2bと、この長辺2a,2bよりも短い対向する一対の短辺2c,2dとを有している。ペリクル枠体2において、長辺2aと長辺2bとの長さは等しく形成されており、短辺2cと短辺2dとの長さは等しく形成されている。ペリクル枠体2は、矩形状の開口部4を有している。この開口部4の開口面積は、好ましくは1000cm2以上、より好ましくは3000cm2以上、更に好ましくは5000cm2以上、35000cm2以下である。
【0027】
一対の長辺2a,2bは、幅が例えば9.0mmの柱部材からなり、その長さは、例えば800mmである。一対の短辺2c,2dは、幅が例えば7.0mmの柱部材からなり、その長さは、例えば480mmである。つまり、短辺2c,2dの平面視(上面視)における幅は、長辺2a,2bの幅よりも狭い。ペリクル枠体2の角部5の曲率は、例えば、R=2mmである。なお、角部5に曲率が存しないと仮定した際の頂点を、以下、単に「頂点」と記載する。ペリクル枠体2の側面6には、溝部7が長手方向(辺方向)に沿って設けられている。
【0028】
ペリクル枠体2の各辺2a〜2dの幅は、露光面積を確保する観点からは細ければ細いほど好ましいが、細すぎるとペリクル膜3の展張時にペリクル膜3の張力でペリクル枠体2が撓んでしまうという問題が生じるおそれがある。各辺の長さに対して剛性を考慮した幅の太さとするために、各辺2a〜2dは、3mm〜25mm程度とすることができる。
【0029】
また、ペリクル枠体2の厚みに関しても、薄ければ薄いほど軽くて扱いやすいペリクル1となるが、薄すぎるとペリクル膜3の展張時にペリクル膜3の張力でペリクル枠体2が撓んでしまうという問題が生じるおそれがある。各辺2a〜2dの長さに応じた両者のバランスから、ペリクル枠体2の厚みは、好ましくは3.5mm〜12mm程度とすることができる。
【0030】
ペリクル膜3は、例えばニトロセルロースやセルロース誘導体、フッ素系ポリマー、又はシクロオレフィン系ポリマー等の透明な高分子膜からなり、その厚さは、例えば10μm以下0.1μm以上が好ましい。このペリクル膜3は、ペリクル枠体2の開口部4を覆うように上縁面2eに展張され、ペリクル枠体2に貼着支持されている。
【0031】
ペリクル膜3をペリクル枠体2の上縁面2eに接着する接着剤は、例えば、アクリル樹脂接着剤、エポキシ樹脂接着剤、シリコーン樹脂接着剤、又は含フッ素シリコーン接着剤等のフッ素系ポリマーを用いることができる。
【0032】
また、ペリクル膜3を貼着支持する粘着材としては、スチレンエチレンブチレンスチレン、スチレンエチレンプロピレンスチレン、もしくはオレフィン系等のホットメルト粘着材、シリコーン系粘着材、アクリル系粘着材、又は発泡体を基材とした粘着テープを用いることができる。粘着材層の厚さは、ペリクル枠体2の厚さと粘着材厚さの合計が規定されたペリクル膜3とフォトマスクの距離を越えない範囲で設定するものであり、例えば、10mm以下0.01mm以上が好ましい。
【0033】
また、ペリクル膜3をフォトマスクに貼り付けた際に、貼着剤層の内側に空間が存在すると、該空間に異物が滞留する可能性がある。そのため、ペリクル枠体2の下縁面に粘着剤を塗布する際には、ペリクル1をフォトマスクに貼り付ける際の加圧で粘着剤層が潰れて広がることを考慮した上で、加圧時に開口部4に粘着剤がはみ出さない程度にペリクル枠体2の開口部4内側寄りに塗布することが好ましい。具体的には、貼着剤層内側の空間が粘着剤層の塗布幅の0.35倍以内となるように塗布することが好ましい。粘着剤層の塗布幅はペリクル枠体2の各辺2a〜2dの幅に対し0.3〜0.6倍であることが好ましく、ペリクル枠体2の各辺2a〜2dに沿って塗布することが好ましい。
【0034】
粘着材を保護する保護フィルムとしては、ポリエチレンテレフタレート樹脂、又はポリエチレン樹脂からなるフィルムを用いることができる。また、粘着材の粘着力に応じて、離型剤、例えばシリコーン系離型剤、又はフッ素系離型剤を、保護フィルムの表面に塗布しても良い。保護フィルムの厚さは、例えば、1mm以下0.01mm以上が好ましい。
【0035】
続いて、ペリクル枠体2について、図2及び図3を参照しながら詳細に説明する。図3は、角部を拡大して示す斜視図である。
【0036】
ペリクル枠体2は、開口部4の周縁を形成する複数の枠部材から構成される分割枠体であり、一対の長辺2a,2bの各々を構成する分割部材20a,20bと、一対の短辺2c,2dの各々を構成する分割部材20c.20dと、角部5を構成すると共に分割部材20a,20bと分割部材20c,20dとを連結する連結部材21a〜21dとから構成されている。すなわち、ペリクル枠体2は、分割部材20a,20bの一端部と分割部材20c.20dの一端部とが連結部材21a〜21dを介して略直角をなすように連結されることで略矩形状を呈している。ペリクル枠体2は、枠体の周方向に沿って8箇所の接合部22a〜22hを有している。
【0037】
分割部材20aと分割部材20bとは、実質的に同一で形状であり、分割部材20cと分割部材20dとは、実質的に同一形状である。また、角部5を各々形成する連結部材21a〜21dは、L字状を呈しており、いずれも実質的に同一形状である。分割部材20a,20bの長さは、例えば700mmであり、分割部材20c.20dの長さは、例えば380mmである。連結部材21a〜21dの長さは、一辺が例えば50mmである。接合部22a〜22hとこの接合部22a〜22hと最も近い距離にある角部5との間の距離は、接合部22a〜22hが設けられた長辺2a,2b又は短辺2c,2dの長さの45%以下に設定されている。
【0038】
ペリクル枠体2は、分割部材20aを基点とすると、開口部4の開口軸を基準とした時計回り方向に、分割部材20a、連結部材21a、分割部材20d、連結部材21b、分割部材20b、連結部材21c、分割部材20c、連結部材21dの順に接続されて形成されている。なお、図2においては、接合部22a〜22hを8箇所としているが、接合部の数としては、1箇所以上あればよく、好ましくは2〜30箇所、より好ましくは2〜20箇所、更に好ましくは3〜15箇所である。
【0039】
ここで、接合部が1箇所の場合、1枚のシート状母材からの切削時において、接合部のない一体型ほどの平坦性や寸法精度を求めなくても接合部にて調整可能になり、また、1本の分割部材を塑性変形させて枠体にすることも可能となるため、母材の節約になりコストの低減を図れる。更に、接合部を2箇所以上とする場合、平坦性の調整が容易となるため更に好ましい。このように接合部を2箇所以上とすることで、ペリクル枠体2を構成する各々のパーツの加工精度を高めることができ、1枚のシート状母材から一体型のペリクル枠体を切り出すよりも容易に平坦性の精度を出すことが可能となり寸法精度が高まることになる。
【0040】
上述の接合部22a〜22hは、図4に示すように、複雑形状(凹凸形状)を呈している。具体的には、例えば接合部22fは、連結部材21cに形成された凸部23と、分割部材20cに形成された凹部24とから構成されている。連結部材21cに形成された凸部23は、平面視において略円形状を呈しており、基端側の幅寸法d1よりも先端側の幅寸法d2が大きくなっている。これに対応して、分割部材20cに形成された凹部24は、平面視において略円形状を呈している。接合部22fは、連結部材21cに形成された凸部23と分割部材20cに形成された凹部24とか嵌合することにより接合されている。接合部22a〜22e,22g,22hについても、同様の構成を有している。
【0041】
なお、接合部22a〜22hの形状は、上記形状以外の形状であってもよい。例えば、図5(a)に示すように、連結部材21aに複数(ここでは2つ)の凸部23a,23bが形成されており、これに対応して、分割部材20aに複数の凹部24a,24bが形成されていてもよい。また、図5(b)に示すように、連結部材21a及び分割部材20aにおいて、凸部23及び凹部24がそれぞれに形成された構成であってもよい。また、図6(a)及び(b)に示すように、凸部23a〜23c及び凹部24a〜24cが平面視において略台形形状を呈していてもよい。接合部22a〜22hの好ましい形状としては、ほぞと溝とから構成され、凸部(ほぞ)23の全外周面(側面)を凹部(溝)24の内周面が覆う形状が好ましい。つまり、図9に示すような分割部材50a,50bの平坦な端面51a,51b同士を突き合わせるだけの単純形状ではなく、この単純形状と比較して相対的に接合面積が大きくなっていればよい。なお、角部5付近に接合部を設ける場合には、ペリクル枠体2の周方向に沿って端面を突き合わせる構成に限定されず、分割部材の側面に分割部材の端面を当接させる構成であってもよいし、角部5部分において傾斜する端面同士を当接させる構成でもよい。
【0042】
接合部22a〜22hの接合強度は、10kgf以上となっている。ペリクル枠体2は、ペリクル膜3を張り付けた際に内側へ撓む。このとき、接合強度が10kgf以上である場合には、応力集中が緩和されるため、接合部22a〜22hにおいて隙間やガタ等が発生しにくくなる。これにより、分割部材20a〜20d及び連結部材21a〜21dによりペリクル枠体2を構成しても寸法が安定する。また、ペリクル1は、ペリクル膜3を展張したときのペリクル枠体2の内側への撓みが少ないほうが好ましいが、接合部22a〜22hの接合強度を10kgf以上とすることで、ペリクル枠体2の内側への撓みを抑制できる。
【0043】
このペリクル1の内側への撓みは、ペリクル1の有効露光面積の確保の観点から、マスクメーカーによって所定の量に規制されている。ペリクル枠体2においては、許容されている範囲内の撓み量とする必要があるが、接合強度を10kgf以上とすることで、上述のように撓みを抑制でき、撓み量を所定の範囲内に設定することができる。更に、ペリクル1をハンドリング(移動等の操作)する際には、ペリクル枠体2の溝部7に治具を装着して上下左右にペリクル1をハンドリングするが、内側への撓みが大きいと治具から外れてペリクル1が落下するおそれがある一方、外側に大きく撓むと治具への装着時にこすれが生じて異物が発生するおそれがある。この点、ペリクル枠体2では、接合部22a〜22hにおける接合強度を10kgfとすることで、ペリクル1の落下を防止しつつ、異物の発生を抑制できる。
【0044】
また、ペリクル枠体2へのペリクル膜3の貼り付けは、ペリクル枠体2に荷重をかけて行われるが、この荷重は、装置によって10kgf〜70kgfと異なる。そのため、装置によってそれぞれ異なる荷重により接合部22a〜22hが変形しない対策が必要となる。また、ペリクル枠体2の形状が所定の寸法からずれている場合は、寸法修正を行うため接合部22a〜22hに局所的に加重がかかり、接合部22a〜22hが変形するおそれがある。これらの課題を解決するために、接合部22a〜22hの接合強度が10kgf以上であることが好ましく、より好ましくは15kgf以上であり、更に好ましくは25kgf以上である。
【0045】
上述のような接合部22a〜22hの接合強度を達成し、ペリクル1として外観上も使用可能な接合方法としては、分割部材20a〜20d及び連結部材21a〜21dを嵌合させる、或いは接着剤を用いること等が好ましい。嵌合させる場合、接合の端部に凸部を設け、他方の端部に嵌合させる凹部が設けられている形状が好ましい。更には、凸部の根元寸法(基端側寸法)が先端側の最大横寸法よりも小さい形状が長さ方向への引張にも強いためより好ましい。
【0046】
接着剤を用いる場合は、接合部の様々な形状に適しており、形状によっては剛性を更に高めることができる。接着剤の塗布面積が大きい方が接着強度が強くなる方向になるため、垂直に切断された断面の接合(単純接合)よりも接着面積が大きい方が好ましい。単純接合でなければ、前述の接合等を併用して、接合強度を10kgf以上とすることができる。また、カシメは、接合部の表面を一部潰すため打痕キズが生じるが、剛性の面やマスク粘着材、膜接着剤等が問題なく塗布可能なため使用できる。また、嵌合や接着等の方法をとることで接合部22a〜22hの平坦性やペリクル1としての外観上、全く問題のないものになる。
【0047】
上記のような接着以外の接合方法としては、レーザー溶接や焼きバメ、冷しバメ等も考えられるが、レーザー溶接は、接合強度は高いが、接合部に凹凸が生じるため極端に接合部のみ平坦性が悪くなり、また外観も好ましくない。また、焼きバメの場合、嵌合にプレス等の余計な圧力が不要なため外観上は良いが、熱伝導率の高いアルミ合金の場合は、焼きバメの効果が期待できず接合強度が低くなる可能性があるため好ましくない。冷しバメも焼きバメと同様な効果になり好ましくない。したがって、接合部の接合方法は、これらの理由から嵌合、接着剤が好ましい。
【0048】
以上説明したように、ペリクル1のペリクル枠体2では、分割部材20a〜20dと連結部材21a〜21dとの接合部22a〜22hにおける接合強度を10kgf以上としているため、分割枠体であっても、撓みや歪みを抑制できると共に、剛性を確保することができる。また、分割部材20a〜20d及び連結部材21a〜21dからなる分割枠体とすることで、寸法を容易に調整することができ、寸法精度を確保することができると共に製造工程を簡易化できる。そのため、接合部を有さない枠体と同様の寸法精度を容易にでることができる。したがって、分割枠体を用いる際に、接合部22a〜22hに剛性の高い部材等を用いることなく剛性及び寸法安定性を維持できると共に、歩留まりを向上させることができる。特に、ペリクル1が大型の場合には、本実施形態の構成が更に効果的となる。
【0049】
続いて、上記実施形態の変形例について説明する。図7は、変形例に係るペリクル枠体を上から見た図である。図7に示すように、ペリクル枠体2Aは、接合形態が上述のペリクル枠体2と異なっている。ペリクル枠体2Aは、長辺2Aa,2Abを構成する分割部材30a,30bと、短辺2Ac,2Adを構成する分割部材30c,30dとから形成されている。長辺2Aa,2Ab、つまり分割部材30a,30bの長さは等しく形成されており、短辺2Ac,2Ad、つまり分割部材30c,30dの長さは等しく形成されている。ペリクル枠体2Aは、分割部材30a,30bと分割部材30c,30dとが接合されることにより構成されており、4箇所の接合部31a〜31dを有している。接合部31a〜31dの構成は、接合部22a〜22hと同様である。なお、接合部31a〜31dは、その他の形状であってもよい。
【0050】
図8は、変形例に係るペリクル枠体を上から見た図である。図8に示すように、ペリクル枠体2Bは、接合形態が上述のペリクル枠体2と異なっている。ペリクル枠体2Bは、長辺2Ba,2Bbを構成する分割部材40a〜40dと、短辺2Bc,2Bdを構成する分割部材40e〜40hとから形成されている。長辺2Ba,2Bbを構成する分割部材40a〜40dの長さは等しく形成されており、短辺2Bc,2Bdを構成する分割部材40e〜40hの長さは等しく形成されている。ペリクル枠体2Bは、分割部材40a〜40dと分割部材40e〜40hとが接合されることにより構成されており、8箇所の接合部41a〜41hを有している。接合部41a〜41hの構成は、図5(a)に示す構成と同様となっている。なお、接合部41a〜41hは、その他の形状であってもよい。
【実施例】
【0051】
次に、実施例及び比較例を挙げて本実施形態をより具体的に説明するが、本実施の形態はその要旨を超えない限り、下記の実施例に限定されるものではない。
【0052】
[実施例1]
ペリクル枠体の材質(全ての分割枠体の材質)は、アルミニウム合金であり、厚みを4.0mm、長辺の幅を6.0mm、長さを430mmとした。また、短辺は、幅を6.0mm、長さを300mmとし、短辺の側面全長に渡って溝を設け、溝の深さを2mm、溝の高さを1.5mmとした。また、角部の曲率をR=2mmとした。その他の構成は、図2に示す構成にてペリクル枠体を作製した。長辺を構成する分割部材の長さは370mmであり、短辺を構成する分割部材の長さは240mmとした。接合部は、図10に示すように、分割部材80aの段差を有する端面81aと分割部材80bの段差を有する端面81bとを当接させた階段形状とした。具体的な寸法は、図12において、下面から垂直に1.3mm、長手方向に10mm、また垂直に1.3mm、長手方向に10mm、更に垂直に1.4mmとし、接着剤を使用した。接着剤は、ロックタイト638(ヘンケル製)を使用した。目視検査をした結果、外観上は問題がなかった。
【0053】
(寸法安定測定の測定方法)
測定装置は、レーザー変位計(キーエンス製LJ−G030)を用いて行った。正四角形の標準サンプルを枠体の外寸にあわせて1本ずつ作成した。それとは別に、実施例及び比較例の条件でそれぞれ1例につき5サンプル作成し、正四角形の標準サンプルと比較した。一番差がある部分が、5サンプル中1サンプルでも1.0mm以上あれば×、0.5mm以上1.0mm未満であれば△、0.5mm未満であれば○とした。
【0054】
(接合強度テスト)
次に、接合強度テストを行った。上記と同様の形状の接合部を含む100mmの棒状の枠体のサンプルを作製した。接合部は、100mmの棒状の半分の50mmの位置とした。幅方向を上面に向けて、接合部から10mmあけてチャッキングを行い(チャッキングは、接合部から10mm〜30mmの範囲)、チャッキングした反対側を接合部から10mmの箇所に力を加えて測定した。測定装置は、イマダのデジタルフォースゲージを使用した。結果を表1及び表2に示す。
【0055】
次に、このペリクル枠体に対し、粘着剤としてスチレンエチレンブチレンスチレン系のホットメルト粘着剤、厚み1.4mmをペリクル枠体の各辺に沿って塗布した。
【0056】
別途、基板上にセルロースエステルのペリクル膜をスピンコート法により成膜し、そのペリクル膜を仮枠に接着させ、その後基板から剥離させた。この仮枠は、アルミニウム製のものを使用した。その後、上記ホットメルト粘着材を塗布したペリクル枠体において、ホットメルト接着剤が塗布されていない反対側の面に、アクリル系の膜接着剤を塗布し、仮枠のペリクル膜を接着させ硬化した。そして、余剰膜を切断してペリクルを作製し、目視により外観を検査し、問題のないことを確認した。切断後、ペリクル枠体が内側に撓むため、形状が安定した後、接合部の接合面を目視により確認した。その結果を表1及び表2に示す。
【表1】
【表2】
【0057】
[実施例2]
ペリクル枠体は、長辺の幅を9.0mm、長さを800mm、短辺の幅を7.0mm、長さを480mm、角部は曲率をR=0mmとした。それ以外の溝の長さ・深さ、ペリクル枠体の厚みは実施例1と同様にした。ペリクル枠体は、図7に示すような4分割とし、長辺を構成する分割枠材の長さを790mm、短辺を構成する分割枠材の長さを480mmとした。接合部は、図5(a)に示す形状とした。各々の接合端面の最大接合距離を上記幅に対して1.5mm、各々の接合部内面の最大接合距離を2.0mm、前記接合部内面の大きさに対して0.02mmの嵌め合い時に潰れる部分(余剰部分)を設けた。そして、接着剤は使用せずに上下方向から嵌め合いを行った。目視検査を行った結果、外観上は問題がなかった。その後、ホットメルト粘着材の厚さを2.0mmにした以外は実施例1と同様にペリクルを作製し、同じように評価を行った。その結果を表1及び表2に示す。
【0058】
[実施例3]
ペリクル枠体は、長辺の幅を21.0mm、長さを2000mm、短辺の幅を19.5mm、長さを1800mm、角部は曲率をR=0mmとし、枠体の厚みを6.0mmとした。それ以外の溝の長さ・深さは実施例1と同様にした。ペリクル枠体は、図8に示すような8分割とし、長辺を構成する分割部材の長さを各々900mm、短辺を構成する分割部材の長さを各々982mmとした。接合部は、図6(b)に示す形状とした。各々の接合端面の最大接合距離を上記幅に対して2.1mm、各々の接合部内面の最大接合距離を4.2mm、クリアランスを0.015mmにして、接着剤は使用せずに上下方向から嵌め合いを行った。目視検査を行った結果、外観上は問題がなかった。その後、ホットメルト粘着材の厚さを2.0mmにした以外は実施例1と同様にペリクルを作製し、同じように評価を行った。その結果を表1及び表2に示す。
【0059】
[比較例1]
ペリクル枠体は、接合部の無い、1枚のシート状母材からの切り出したものを用意した。長辺の幅を9.0mm、長さを800mm、短辺の幅を7.0mm、長さを480mmとした。材質はアルミニウム合金、厚みを4.0mmとした。短辺の側面には、全長に渡って溝を設け、溝の深さを2mm、溝の高さを1.5mmとした。また、角部の曲率をR=2mmとした。それ以外は、実施例1と同様にペリクルを作製し、評価を同様に行った。その結果を表1及び表2に示す。但し、接合部がないので接合強度テストは行っていない。
【0060】
[比較例2]
接合部の形状を図9のような単純形状(枠体を垂直に切断した形状)にして、レーザー溶接を行った以外は実施例1と同様の構成とした。その結果を表1及び表2に示す。ペリクル膜を展張後外観にガタがあって異物が発生していた。
【0061】
[比較例3]
接合部の形状を図9のような単純結合として、2液性の常温硬化型ウレタン接着剤を用いて接合した以外は、実施例1と同様にしてペリクル枠体を作製した後、実施例1と同様にペリクルを作成し、評価を同様に行った。その結果を表1及び表2に示す。ペリクル枠体を作製後、目視検査を行ったところ、接着剤のダレが発生し、外観上も接着剤のダレによるシミ等が見受けられた。
【0062】
[参考例1]
ペリクル枠体は、図11に示すように、接合部の形状を正三角形に、接合部分を2個形成した。各々の辺を2.0mmとし、ヤキバメの方法にて接合した。それ以外は、実施例2と同様のペリクル枠体を作製した後、実施例1と同様に評価を行った。その結果を表1及び表2に示す。ペリクル枠体を作製後、目視検査を行ったところ、接合部に溶接の後の凹凸が発生し、外観としてはよくないものであった。また、ペリクル作製後の外観も、凹凸部分がキラキラ光って異物に見えて、検査性も良くないものとなった。
【0063】
[参考例2]
ペリクル枠体は、図12に示すように、接合部の形状を、分割部材70a,70bの端面71a,71bを台形状のほぞと溝とを形成した形状として、接合部分が3個形成された形状とした。各々の接合端面の最大接合距離を上記幅に対して4.2mm、各々の接合部内面の最大接合距離を2.1mmとして、焼きバメを用いて接合し、ペリクル枠体を作製した。その後は、実施例1と同様にペリクルを作製し、評価を同様に行った。その結果を表1及び表2に示す。ペリクル枠体を作製後、目視検査を行ったところ、外観は良好であったが、接合強度が弱いため、ペリクル作製後の目視検査にて、隙間やガタが見受けられ、そこに異物が挟まっていた。また、形状が矩形状ではなくなっていた。
【0064】
本発明は、上述の実施形態に限定されるものではない。例えば、上記実施形態では、各分割部材20a,20b(分割部材30a,30b、分割部材40a〜40d)、分割部材20c,20d(分割部材30a,30b、分割部材40e〜40h)の形状をある程度揃えているが、各分割部材の形状がそれぞれ相違していても差し支えない。
【符号の説明】
【0065】
1…ペリクル、2…ペリクル枠体、3…ペリクル膜、4…開口部、20a〜20d…分割部材(枠部材)、21a〜21d…連結部材(枠部材)、22a〜22h…接合部、23…凸部、24…凹部。
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばIC(Integrated Circuit:集積回路)、LSI(Large ScaleIntegration:大規模集積回路)、TFT型LCD(Thin Film Transistor,Liquid Crystal Display:薄膜トランジスタ液晶ディスプレイ)等の半導体装置を製造する際のリソグラフィー工程で使用されるフォトマクスやレティクルに異物が付着することを防止するために用いるペリクル枠体及びペリクルに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、半導体回路パターン等の製造においては、フォトマスクやレティクルの両面側にペリクルと称する防塵手段を配置して、フォトマスクやレティクルへの異物の付着を防止することが行われている。
【0003】
ペリクルの一般的な構造としては、金属、セラミックス、又はポリマー製のペリクル枠体の片側に、ポリマー又はガラス等の透明な薄膜を貼り付け、その反対側に、マスクに貼り付けるための貼着剤層(粘着材)を設けたものが挙げられる。例えば、ペリクルは、フォトマスクやレティクルの形状に合わせた形状を有する厚さ数ミリ程度のペリクル枠体の一方の縁面に、厚さ10μm以下のニトロセルロース又はセルロース誘導体等の透明な高分子膜から成るペリクル膜を展張して接着し、且つペリクル枠体の他方の縁面に粘着材を介してフォトマスクやレティクルの表面に貼着している。
【0004】
フォトマスクやレティクルの表面に異物が付着した場合、その異物が半導体ウエハ上に形成されたフォトレジスト上に結像して回路パターン欠陥の原因となるが、フォトマスクやレティクルの少なくともパターン面にペリクルを配置した場合、ペリクルの表面に付着した異物はフォーカス位置がずれるため、半導体ウエハ上に形成されたフォトレジスト上に結像することがなく、回路パターンに欠陥を生じさせることがない。
【0005】
また、近年では、各種のマルチメディアの普及により、高画質・高精細表示が可能な大型のカラーTFTLCDのフォトリソグラフィ工程で使用される大型のフォトマスクに適用できるペリクルが要望されている。
【0006】
例えば、特許文献1には、大型のフォトマスクに適用できるペリクルが開示されている。また、特許文献2には、ペリクル枠体の撓みや歪に対応するために、枠体と枠体より弾性係数の大きい補強材を利用した枠体も開示されている。
【0007】
また、特許文献3には、高解像度を必要とする露光において使用される200nm以下の紫外光露光に利用されるペリクル枠体であって、マスクの平坦性の精度に影響しないペリクル枠体として、弾性率が異なる2種類以上の材料を枠体の厚み方向に接合した枠体を利用することも開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2001−109135号公報
【特許文献2】特開2006−284927号公報
【特許文献3】特開2009−063740号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、ペリクル枠体は、1枚のシート状母材を打ち抜くことにより作製され、接合部のない一体型のものが多い。これは、ペリクルの平坦性を確保する観点等に基づくものである。母材の平坦性によってはペリクル枠体の作製に使用できない母材もあり、ペリクル枠体が大型化するほど、ペリクル枠体の平坦性の精度を出すことは容易ではない。そのため、製造工程にも手間がかかり、歩留まり低下やペリクル枠体作製のコスト向上の原因となっている。
【0010】
また、ペリクルの大型化に伴い、ペリクル枠体自体の自重、ペリクル膜の張力、及び温度変化に起因する応力といった各種要因により、ペリクル枠体に撓みや歪が発生する可能性がある。そのため、一般的に、剛性の高い1枚のシート状母材を打ち抜いてペリクル枠体を作製して使用している。ペリクル枠体の撓みや歪は、ペリクル膜を張り付けた後に、ペリクル膜の張力により内側に向かって生じるものであるが、フォトマスクメーカーの露光面積を確保したいという要求に対応するために、できるだけ小さくする必要がある。そこで、ペリクル枠体の断面積を大きくして(部材を太くして)ペリクル枠体の剛性を向上させる方法があるが、この方法は有効露光面積等を考慮すると好ましくない。
【0011】
上述の理由から、ペリクル枠体は、一体型ものよりも分割された枠体(以下、分割枠体という)であることが好ましいと考えられる。しかし、ペリクル枠体を分割枠体とする場合には、コスト低減といった利点がある一方、撓みや歪が発生する可能性があり、また、剛性が実用のための特性を充たさず、商品としての実用化が難しいといった現状がある。この点に関して、上記特許文献2では、剛性を確保するために、接合部にペリクル枠体よりも剛性の高い部材を用いて接着剤等を使用したり、摩擦攪拌溶接等の特殊な方法を使用している。しかしながら、異なる素材の部材を強固に接着するのは容易ではなく、また、接着剤溜りのような接合部に特殊な加工が必要であったり、露光中に接着剤からのアウトガス発生が懸念されたり、摩擦攪拌溶接等のような特殊な溶接技術が必要になる。
【0012】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、分割枠体とする場合であっても接合部に剛性の高い部材等を用いることなく剛性及び寸法安定性を維持できると共に、歩留まりを向上させることができるペリクル枠体及びペリクルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するために、本発明に係るペリクル枠体は、平面視において矩形状を有する開口部を覆うようにペリクル膜を展張支持するペリクル枠体であって、開口部の周縁は枠部材によって形成されていると共に、枠部材は少なくとも一つの接合部によって接合されており、接合部における接合強度が10kgf以上であることを特徴とする。
【0014】
このペリクル枠体では、枠部材の接合部における接合強度を10kgf以上としているため、分割枠体であっても、撓みや歪みを抑制できると共に、剛性を確保することができる。また、分割した枠部材により構成することで、寸法を容易に調整することができ、寸法精度を確保することができると共に、製造工程を簡易化できる。そのため、接合部を有さない枠体と同様の寸法精度を容易に得ることができる。したがって、分割枠体とする場合であっても接合部に剛性の高い部材等を用いることなく剛性及び寸法安定性を維持できると共に、歩留まりを向上させることができる。
【0015】
また、分割枠体とすることで、1枚のシート状母材からの切り出しよりも切削加工工数が少なくなり、加工時にかかる枠部材への残留応力が小さくなる。また、素材の異方性を考えると、同じ方向性の枠部材を使用可能とするため、ペリクル枠体全体としての異方性が小さくなる。このように残留応力や異方性が小さくなるため、ペリクル製造工程内での加熱工程中での応力歪等による開放が小さくなり、ペリクルとして寸法が安定する。このため、残留応力を開放するために事前に加熱処理等を行う必要がなくなり、工程数が減るといった製造上のメリットもでてくる。また、応力歪は経時的に開放方向に向かうため、残留応力の小さい分割枠体の方が長期的に保管しても寸法の安定性を確保できる。
【0016】
更に、複数の枠部材でペリクル枠体を形成することで、母材の平坦性の良い箇所の切り出しが可能になり、接合後のペリクル枠体の平坦性も向上することになる。また、小さな母材から大きなペリクル枠体を作製することも可能であり、コスト低減といったメリットもある。
【0017】
接合部は、枠部材の一端部に形成された凸部と、枠部材の一端部に形成された凸部と接合する凹部とから構成されている好ましい。このような構成とすることにより、接合部の接合強度を良好に10kgf以上とすることができる。
【0018】
接合部は、嵌合、接着剤及びカシメのいずれかにて接合されていることが好ましい。これらの接合方法を用いることにより、接合部の接合強度を十分に確保することができる。
【0019】
枠部材は、対向する一対の長辺と、対向する一対の短辺とが角部を形成するように構成されており、接合部の少なくとも一つと接合部と最も近い距離にある角部との間の距離は、接合部が設けられた辺の長さの45%以下であることが好ましい。このような構成によれば、枠体は矩形状であり、角部近傍は剛性が高いため、接合部を角部の近傍に配置することで、剛性を維持でき、ペリクル枠体の撓み等を抑えることが可能となる。また、角部近傍に接合部を設けることで、直角性もよくなり矩形の形状を保つ方向になるため、ペリクル枠体の撓み量を公差の範囲内(0%〜3%)とすることができる。
【0020】
本発明に係るペリクルは、上述のいずれかのペリクル枠体と、ペリクル枠体の開口部を覆うように展張支持されたペリクル膜とを含むことを特徴とする。上述のペリクル枠体にペリクル膜を展張することにより、分割枠体とする場合であっても接合部に剛性の高い部材等を用いることなく剛性及び寸法安定性を維持できると共に、歩留まりを向上させることができる。また、従来のペリクルと同様の剛性、寸法精度が確保されているため、ペリクルを検品のとき等に治具にて操作する際、治具からの落下を抑制することができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、分割枠体とする場合であっても接合部に枠体よりも剛性の高い部材等を用いることなく実用上問題のない剛性及び寸法安定性を維持すると共に、歩留まりを向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の一実施形態に係るペリクルを示す斜視図である。
【図2】図1に示すペリクルを上からみた図である。
【図3】ペリクル枠体の角部を拡大して示す斜視図である。
【図4】接合部を示す図である。
【図5】接合部の他の形態を示す図である。
【図6】接合部の他の形態を示す図である。
【図7】変形例に係るペリクル枠体を上から見た図である。
【図8】変形例に係るペリクル枠体を上から見た図である。
【図9】実施例に係る接合部を示す図である。
【図10】実施例に係る接合部を示す図である。
【図11】実施例に係る接合部を示す図である。
【図12】実施例に係る接合部を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には、同一符号を用いることとし、重複する説明は省略する。
【0024】
図1は、本発明の一実施形態に係るペリクルを示す斜視図であり、図2は、図1に示すペリクルを上から見た図である。各図に示すように、ペリクル1は、ペリクル枠体2と、ペリクル枠体2の上縁面2eに展張支持されたペリクル膜3とを備えている。なお、図示しないが、ペリクル1は、ペリクル枠体2の下縁面に塗布された貼着剤層と、貼着剤層に粘着され、この貼着剤層を保護する保護フィルムとを更に備えている。ペリクル1は、大型ペリクルであり、ペリクル枠体2は、大型のペリクル用枠体である。
【0025】
ペリクル枠体2は、例えばアルミニウム、アルミニウム合金(5000系、6000系、7000系等)、鉄及び鉄系合金、セラミックス(SiC、AlN、Al2O3等)、セラミックスと金属との複合材料(Al−SiC、Al−AlN、Al−Al2O3等)、炭素鋼、工具鋼、ステンレスシリーズ、マグネシウム合金、又はポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂等の樹脂等からなり、略矩形状を呈している。ペリクル1は、貼着剤層を介してマスクに貼り付くため、剛性が高くて比較的重量が小さいものが好ましく、アルミニウム、アルミニウム合金、マグネシウム合金、樹脂等の素材が好ましい。なお、ペリクル枠体2は、後述する複数の分割部材20a〜20d及び連結部材21a〜21dにて構成されており、分割部材20a〜20d及び連結部材21a〜21dは、同じ弾性係数を有する素材で形成されていることが好ましい。また、ペリクル枠体2の表面処理としては、アルマイト処理、塗装、塗料コーティング、めっき処理、低融点ガラスフリット処理、CVD処理、スパッタ法などによるPVD処理などが挙げられる。
【0026】
このペリクル枠体2は、対向する一対の長辺2a,2bと、この長辺2a,2bよりも短い対向する一対の短辺2c,2dとを有している。ペリクル枠体2において、長辺2aと長辺2bとの長さは等しく形成されており、短辺2cと短辺2dとの長さは等しく形成されている。ペリクル枠体2は、矩形状の開口部4を有している。この開口部4の開口面積は、好ましくは1000cm2以上、より好ましくは3000cm2以上、更に好ましくは5000cm2以上、35000cm2以下である。
【0027】
一対の長辺2a,2bは、幅が例えば9.0mmの柱部材からなり、その長さは、例えば800mmである。一対の短辺2c,2dは、幅が例えば7.0mmの柱部材からなり、その長さは、例えば480mmである。つまり、短辺2c,2dの平面視(上面視)における幅は、長辺2a,2bの幅よりも狭い。ペリクル枠体2の角部5の曲率は、例えば、R=2mmである。なお、角部5に曲率が存しないと仮定した際の頂点を、以下、単に「頂点」と記載する。ペリクル枠体2の側面6には、溝部7が長手方向(辺方向)に沿って設けられている。
【0028】
ペリクル枠体2の各辺2a〜2dの幅は、露光面積を確保する観点からは細ければ細いほど好ましいが、細すぎるとペリクル膜3の展張時にペリクル膜3の張力でペリクル枠体2が撓んでしまうという問題が生じるおそれがある。各辺の長さに対して剛性を考慮した幅の太さとするために、各辺2a〜2dは、3mm〜25mm程度とすることができる。
【0029】
また、ペリクル枠体2の厚みに関しても、薄ければ薄いほど軽くて扱いやすいペリクル1となるが、薄すぎるとペリクル膜3の展張時にペリクル膜3の張力でペリクル枠体2が撓んでしまうという問題が生じるおそれがある。各辺2a〜2dの長さに応じた両者のバランスから、ペリクル枠体2の厚みは、好ましくは3.5mm〜12mm程度とすることができる。
【0030】
ペリクル膜3は、例えばニトロセルロースやセルロース誘導体、フッ素系ポリマー、又はシクロオレフィン系ポリマー等の透明な高分子膜からなり、その厚さは、例えば10μm以下0.1μm以上が好ましい。このペリクル膜3は、ペリクル枠体2の開口部4を覆うように上縁面2eに展張され、ペリクル枠体2に貼着支持されている。
【0031】
ペリクル膜3をペリクル枠体2の上縁面2eに接着する接着剤は、例えば、アクリル樹脂接着剤、エポキシ樹脂接着剤、シリコーン樹脂接着剤、又は含フッ素シリコーン接着剤等のフッ素系ポリマーを用いることができる。
【0032】
また、ペリクル膜3を貼着支持する粘着材としては、スチレンエチレンブチレンスチレン、スチレンエチレンプロピレンスチレン、もしくはオレフィン系等のホットメルト粘着材、シリコーン系粘着材、アクリル系粘着材、又は発泡体を基材とした粘着テープを用いることができる。粘着材層の厚さは、ペリクル枠体2の厚さと粘着材厚さの合計が規定されたペリクル膜3とフォトマスクの距離を越えない範囲で設定するものであり、例えば、10mm以下0.01mm以上が好ましい。
【0033】
また、ペリクル膜3をフォトマスクに貼り付けた際に、貼着剤層の内側に空間が存在すると、該空間に異物が滞留する可能性がある。そのため、ペリクル枠体2の下縁面に粘着剤を塗布する際には、ペリクル1をフォトマスクに貼り付ける際の加圧で粘着剤層が潰れて広がることを考慮した上で、加圧時に開口部4に粘着剤がはみ出さない程度にペリクル枠体2の開口部4内側寄りに塗布することが好ましい。具体的には、貼着剤層内側の空間が粘着剤層の塗布幅の0.35倍以内となるように塗布することが好ましい。粘着剤層の塗布幅はペリクル枠体2の各辺2a〜2dの幅に対し0.3〜0.6倍であることが好ましく、ペリクル枠体2の各辺2a〜2dに沿って塗布することが好ましい。
【0034】
粘着材を保護する保護フィルムとしては、ポリエチレンテレフタレート樹脂、又はポリエチレン樹脂からなるフィルムを用いることができる。また、粘着材の粘着力に応じて、離型剤、例えばシリコーン系離型剤、又はフッ素系離型剤を、保護フィルムの表面に塗布しても良い。保護フィルムの厚さは、例えば、1mm以下0.01mm以上が好ましい。
【0035】
続いて、ペリクル枠体2について、図2及び図3を参照しながら詳細に説明する。図3は、角部を拡大して示す斜視図である。
【0036】
ペリクル枠体2は、開口部4の周縁を形成する複数の枠部材から構成される分割枠体であり、一対の長辺2a,2bの各々を構成する分割部材20a,20bと、一対の短辺2c,2dの各々を構成する分割部材20c.20dと、角部5を構成すると共に分割部材20a,20bと分割部材20c,20dとを連結する連結部材21a〜21dとから構成されている。すなわち、ペリクル枠体2は、分割部材20a,20bの一端部と分割部材20c.20dの一端部とが連結部材21a〜21dを介して略直角をなすように連結されることで略矩形状を呈している。ペリクル枠体2は、枠体の周方向に沿って8箇所の接合部22a〜22hを有している。
【0037】
分割部材20aと分割部材20bとは、実質的に同一で形状であり、分割部材20cと分割部材20dとは、実質的に同一形状である。また、角部5を各々形成する連結部材21a〜21dは、L字状を呈しており、いずれも実質的に同一形状である。分割部材20a,20bの長さは、例えば700mmであり、分割部材20c.20dの長さは、例えば380mmである。連結部材21a〜21dの長さは、一辺が例えば50mmである。接合部22a〜22hとこの接合部22a〜22hと最も近い距離にある角部5との間の距離は、接合部22a〜22hが設けられた長辺2a,2b又は短辺2c,2dの長さの45%以下に設定されている。
【0038】
ペリクル枠体2は、分割部材20aを基点とすると、開口部4の開口軸を基準とした時計回り方向に、分割部材20a、連結部材21a、分割部材20d、連結部材21b、分割部材20b、連結部材21c、分割部材20c、連結部材21dの順に接続されて形成されている。なお、図2においては、接合部22a〜22hを8箇所としているが、接合部の数としては、1箇所以上あればよく、好ましくは2〜30箇所、より好ましくは2〜20箇所、更に好ましくは3〜15箇所である。
【0039】
ここで、接合部が1箇所の場合、1枚のシート状母材からの切削時において、接合部のない一体型ほどの平坦性や寸法精度を求めなくても接合部にて調整可能になり、また、1本の分割部材を塑性変形させて枠体にすることも可能となるため、母材の節約になりコストの低減を図れる。更に、接合部を2箇所以上とする場合、平坦性の調整が容易となるため更に好ましい。このように接合部を2箇所以上とすることで、ペリクル枠体2を構成する各々のパーツの加工精度を高めることができ、1枚のシート状母材から一体型のペリクル枠体を切り出すよりも容易に平坦性の精度を出すことが可能となり寸法精度が高まることになる。
【0040】
上述の接合部22a〜22hは、図4に示すように、複雑形状(凹凸形状)を呈している。具体的には、例えば接合部22fは、連結部材21cに形成された凸部23と、分割部材20cに形成された凹部24とから構成されている。連結部材21cに形成された凸部23は、平面視において略円形状を呈しており、基端側の幅寸法d1よりも先端側の幅寸法d2が大きくなっている。これに対応して、分割部材20cに形成された凹部24は、平面視において略円形状を呈している。接合部22fは、連結部材21cに形成された凸部23と分割部材20cに形成された凹部24とか嵌合することにより接合されている。接合部22a〜22e,22g,22hについても、同様の構成を有している。
【0041】
なお、接合部22a〜22hの形状は、上記形状以外の形状であってもよい。例えば、図5(a)に示すように、連結部材21aに複数(ここでは2つ)の凸部23a,23bが形成されており、これに対応して、分割部材20aに複数の凹部24a,24bが形成されていてもよい。また、図5(b)に示すように、連結部材21a及び分割部材20aにおいて、凸部23及び凹部24がそれぞれに形成された構成であってもよい。また、図6(a)及び(b)に示すように、凸部23a〜23c及び凹部24a〜24cが平面視において略台形形状を呈していてもよい。接合部22a〜22hの好ましい形状としては、ほぞと溝とから構成され、凸部(ほぞ)23の全外周面(側面)を凹部(溝)24の内周面が覆う形状が好ましい。つまり、図9に示すような分割部材50a,50bの平坦な端面51a,51b同士を突き合わせるだけの単純形状ではなく、この単純形状と比較して相対的に接合面積が大きくなっていればよい。なお、角部5付近に接合部を設ける場合には、ペリクル枠体2の周方向に沿って端面を突き合わせる構成に限定されず、分割部材の側面に分割部材の端面を当接させる構成であってもよいし、角部5部分において傾斜する端面同士を当接させる構成でもよい。
【0042】
接合部22a〜22hの接合強度は、10kgf以上となっている。ペリクル枠体2は、ペリクル膜3を張り付けた際に内側へ撓む。このとき、接合強度が10kgf以上である場合には、応力集中が緩和されるため、接合部22a〜22hにおいて隙間やガタ等が発生しにくくなる。これにより、分割部材20a〜20d及び連結部材21a〜21dによりペリクル枠体2を構成しても寸法が安定する。また、ペリクル1は、ペリクル膜3を展張したときのペリクル枠体2の内側への撓みが少ないほうが好ましいが、接合部22a〜22hの接合強度を10kgf以上とすることで、ペリクル枠体2の内側への撓みを抑制できる。
【0043】
このペリクル1の内側への撓みは、ペリクル1の有効露光面積の確保の観点から、マスクメーカーによって所定の量に規制されている。ペリクル枠体2においては、許容されている範囲内の撓み量とする必要があるが、接合強度を10kgf以上とすることで、上述のように撓みを抑制でき、撓み量を所定の範囲内に設定することができる。更に、ペリクル1をハンドリング(移動等の操作)する際には、ペリクル枠体2の溝部7に治具を装着して上下左右にペリクル1をハンドリングするが、内側への撓みが大きいと治具から外れてペリクル1が落下するおそれがある一方、外側に大きく撓むと治具への装着時にこすれが生じて異物が発生するおそれがある。この点、ペリクル枠体2では、接合部22a〜22hにおける接合強度を10kgfとすることで、ペリクル1の落下を防止しつつ、異物の発生を抑制できる。
【0044】
また、ペリクル枠体2へのペリクル膜3の貼り付けは、ペリクル枠体2に荷重をかけて行われるが、この荷重は、装置によって10kgf〜70kgfと異なる。そのため、装置によってそれぞれ異なる荷重により接合部22a〜22hが変形しない対策が必要となる。また、ペリクル枠体2の形状が所定の寸法からずれている場合は、寸法修正を行うため接合部22a〜22hに局所的に加重がかかり、接合部22a〜22hが変形するおそれがある。これらの課題を解決するために、接合部22a〜22hの接合強度が10kgf以上であることが好ましく、より好ましくは15kgf以上であり、更に好ましくは25kgf以上である。
【0045】
上述のような接合部22a〜22hの接合強度を達成し、ペリクル1として外観上も使用可能な接合方法としては、分割部材20a〜20d及び連結部材21a〜21dを嵌合させる、或いは接着剤を用いること等が好ましい。嵌合させる場合、接合の端部に凸部を設け、他方の端部に嵌合させる凹部が設けられている形状が好ましい。更には、凸部の根元寸法(基端側寸法)が先端側の最大横寸法よりも小さい形状が長さ方向への引張にも強いためより好ましい。
【0046】
接着剤を用いる場合は、接合部の様々な形状に適しており、形状によっては剛性を更に高めることができる。接着剤の塗布面積が大きい方が接着強度が強くなる方向になるため、垂直に切断された断面の接合(単純接合)よりも接着面積が大きい方が好ましい。単純接合でなければ、前述の接合等を併用して、接合強度を10kgf以上とすることができる。また、カシメは、接合部の表面を一部潰すため打痕キズが生じるが、剛性の面やマスク粘着材、膜接着剤等が問題なく塗布可能なため使用できる。また、嵌合や接着等の方法をとることで接合部22a〜22hの平坦性やペリクル1としての外観上、全く問題のないものになる。
【0047】
上記のような接着以外の接合方法としては、レーザー溶接や焼きバメ、冷しバメ等も考えられるが、レーザー溶接は、接合強度は高いが、接合部に凹凸が生じるため極端に接合部のみ平坦性が悪くなり、また外観も好ましくない。また、焼きバメの場合、嵌合にプレス等の余計な圧力が不要なため外観上は良いが、熱伝導率の高いアルミ合金の場合は、焼きバメの効果が期待できず接合強度が低くなる可能性があるため好ましくない。冷しバメも焼きバメと同様な効果になり好ましくない。したがって、接合部の接合方法は、これらの理由から嵌合、接着剤が好ましい。
【0048】
以上説明したように、ペリクル1のペリクル枠体2では、分割部材20a〜20dと連結部材21a〜21dとの接合部22a〜22hにおける接合強度を10kgf以上としているため、分割枠体であっても、撓みや歪みを抑制できると共に、剛性を確保することができる。また、分割部材20a〜20d及び連結部材21a〜21dからなる分割枠体とすることで、寸法を容易に調整することができ、寸法精度を確保することができると共に製造工程を簡易化できる。そのため、接合部を有さない枠体と同様の寸法精度を容易にでることができる。したがって、分割枠体を用いる際に、接合部22a〜22hに剛性の高い部材等を用いることなく剛性及び寸法安定性を維持できると共に、歩留まりを向上させることができる。特に、ペリクル1が大型の場合には、本実施形態の構成が更に効果的となる。
【0049】
続いて、上記実施形態の変形例について説明する。図7は、変形例に係るペリクル枠体を上から見た図である。図7に示すように、ペリクル枠体2Aは、接合形態が上述のペリクル枠体2と異なっている。ペリクル枠体2Aは、長辺2Aa,2Abを構成する分割部材30a,30bと、短辺2Ac,2Adを構成する分割部材30c,30dとから形成されている。長辺2Aa,2Ab、つまり分割部材30a,30bの長さは等しく形成されており、短辺2Ac,2Ad、つまり分割部材30c,30dの長さは等しく形成されている。ペリクル枠体2Aは、分割部材30a,30bと分割部材30c,30dとが接合されることにより構成されており、4箇所の接合部31a〜31dを有している。接合部31a〜31dの構成は、接合部22a〜22hと同様である。なお、接合部31a〜31dは、その他の形状であってもよい。
【0050】
図8は、変形例に係るペリクル枠体を上から見た図である。図8に示すように、ペリクル枠体2Bは、接合形態が上述のペリクル枠体2と異なっている。ペリクル枠体2Bは、長辺2Ba,2Bbを構成する分割部材40a〜40dと、短辺2Bc,2Bdを構成する分割部材40e〜40hとから形成されている。長辺2Ba,2Bbを構成する分割部材40a〜40dの長さは等しく形成されており、短辺2Bc,2Bdを構成する分割部材40e〜40hの長さは等しく形成されている。ペリクル枠体2Bは、分割部材40a〜40dと分割部材40e〜40hとが接合されることにより構成されており、8箇所の接合部41a〜41hを有している。接合部41a〜41hの構成は、図5(a)に示す構成と同様となっている。なお、接合部41a〜41hは、その他の形状であってもよい。
【実施例】
【0051】
次に、実施例及び比較例を挙げて本実施形態をより具体的に説明するが、本実施の形態はその要旨を超えない限り、下記の実施例に限定されるものではない。
【0052】
[実施例1]
ペリクル枠体の材質(全ての分割枠体の材質)は、アルミニウム合金であり、厚みを4.0mm、長辺の幅を6.0mm、長さを430mmとした。また、短辺は、幅を6.0mm、長さを300mmとし、短辺の側面全長に渡って溝を設け、溝の深さを2mm、溝の高さを1.5mmとした。また、角部の曲率をR=2mmとした。その他の構成は、図2に示す構成にてペリクル枠体を作製した。長辺を構成する分割部材の長さは370mmであり、短辺を構成する分割部材の長さは240mmとした。接合部は、図10に示すように、分割部材80aの段差を有する端面81aと分割部材80bの段差を有する端面81bとを当接させた階段形状とした。具体的な寸法は、図12において、下面から垂直に1.3mm、長手方向に10mm、また垂直に1.3mm、長手方向に10mm、更に垂直に1.4mmとし、接着剤を使用した。接着剤は、ロックタイト638(ヘンケル製)を使用した。目視検査をした結果、外観上は問題がなかった。
【0053】
(寸法安定測定の測定方法)
測定装置は、レーザー変位計(キーエンス製LJ−G030)を用いて行った。正四角形の標準サンプルを枠体の外寸にあわせて1本ずつ作成した。それとは別に、実施例及び比較例の条件でそれぞれ1例につき5サンプル作成し、正四角形の標準サンプルと比較した。一番差がある部分が、5サンプル中1サンプルでも1.0mm以上あれば×、0.5mm以上1.0mm未満であれば△、0.5mm未満であれば○とした。
【0054】
(接合強度テスト)
次に、接合強度テストを行った。上記と同様の形状の接合部を含む100mmの棒状の枠体のサンプルを作製した。接合部は、100mmの棒状の半分の50mmの位置とした。幅方向を上面に向けて、接合部から10mmあけてチャッキングを行い(チャッキングは、接合部から10mm〜30mmの範囲)、チャッキングした反対側を接合部から10mmの箇所に力を加えて測定した。測定装置は、イマダのデジタルフォースゲージを使用した。結果を表1及び表2に示す。
【0055】
次に、このペリクル枠体に対し、粘着剤としてスチレンエチレンブチレンスチレン系のホットメルト粘着剤、厚み1.4mmをペリクル枠体の各辺に沿って塗布した。
【0056】
別途、基板上にセルロースエステルのペリクル膜をスピンコート法により成膜し、そのペリクル膜を仮枠に接着させ、その後基板から剥離させた。この仮枠は、アルミニウム製のものを使用した。その後、上記ホットメルト粘着材を塗布したペリクル枠体において、ホットメルト接着剤が塗布されていない反対側の面に、アクリル系の膜接着剤を塗布し、仮枠のペリクル膜を接着させ硬化した。そして、余剰膜を切断してペリクルを作製し、目視により外観を検査し、問題のないことを確認した。切断後、ペリクル枠体が内側に撓むため、形状が安定した後、接合部の接合面を目視により確認した。その結果を表1及び表2に示す。
【表1】
【表2】
【0057】
[実施例2]
ペリクル枠体は、長辺の幅を9.0mm、長さを800mm、短辺の幅を7.0mm、長さを480mm、角部は曲率をR=0mmとした。それ以外の溝の長さ・深さ、ペリクル枠体の厚みは実施例1と同様にした。ペリクル枠体は、図7に示すような4分割とし、長辺を構成する分割枠材の長さを790mm、短辺を構成する分割枠材の長さを480mmとした。接合部は、図5(a)に示す形状とした。各々の接合端面の最大接合距離を上記幅に対して1.5mm、各々の接合部内面の最大接合距離を2.0mm、前記接合部内面の大きさに対して0.02mmの嵌め合い時に潰れる部分(余剰部分)を設けた。そして、接着剤は使用せずに上下方向から嵌め合いを行った。目視検査を行った結果、外観上は問題がなかった。その後、ホットメルト粘着材の厚さを2.0mmにした以外は実施例1と同様にペリクルを作製し、同じように評価を行った。その結果を表1及び表2に示す。
【0058】
[実施例3]
ペリクル枠体は、長辺の幅を21.0mm、長さを2000mm、短辺の幅を19.5mm、長さを1800mm、角部は曲率をR=0mmとし、枠体の厚みを6.0mmとした。それ以外の溝の長さ・深さは実施例1と同様にした。ペリクル枠体は、図8に示すような8分割とし、長辺を構成する分割部材の長さを各々900mm、短辺を構成する分割部材の長さを各々982mmとした。接合部は、図6(b)に示す形状とした。各々の接合端面の最大接合距離を上記幅に対して2.1mm、各々の接合部内面の最大接合距離を4.2mm、クリアランスを0.015mmにして、接着剤は使用せずに上下方向から嵌め合いを行った。目視検査を行った結果、外観上は問題がなかった。その後、ホットメルト粘着材の厚さを2.0mmにした以外は実施例1と同様にペリクルを作製し、同じように評価を行った。その結果を表1及び表2に示す。
【0059】
[比較例1]
ペリクル枠体は、接合部の無い、1枚のシート状母材からの切り出したものを用意した。長辺の幅を9.0mm、長さを800mm、短辺の幅を7.0mm、長さを480mmとした。材質はアルミニウム合金、厚みを4.0mmとした。短辺の側面には、全長に渡って溝を設け、溝の深さを2mm、溝の高さを1.5mmとした。また、角部の曲率をR=2mmとした。それ以外は、実施例1と同様にペリクルを作製し、評価を同様に行った。その結果を表1及び表2に示す。但し、接合部がないので接合強度テストは行っていない。
【0060】
[比較例2]
接合部の形状を図9のような単純形状(枠体を垂直に切断した形状)にして、レーザー溶接を行った以外は実施例1と同様の構成とした。その結果を表1及び表2に示す。ペリクル膜を展張後外観にガタがあって異物が発生していた。
【0061】
[比較例3]
接合部の形状を図9のような単純結合として、2液性の常温硬化型ウレタン接着剤を用いて接合した以外は、実施例1と同様にしてペリクル枠体を作製した後、実施例1と同様にペリクルを作成し、評価を同様に行った。その結果を表1及び表2に示す。ペリクル枠体を作製後、目視検査を行ったところ、接着剤のダレが発生し、外観上も接着剤のダレによるシミ等が見受けられた。
【0062】
[参考例1]
ペリクル枠体は、図11に示すように、接合部の形状を正三角形に、接合部分を2個形成した。各々の辺を2.0mmとし、ヤキバメの方法にて接合した。それ以外は、実施例2と同様のペリクル枠体を作製した後、実施例1と同様に評価を行った。その結果を表1及び表2に示す。ペリクル枠体を作製後、目視検査を行ったところ、接合部に溶接の後の凹凸が発生し、外観としてはよくないものであった。また、ペリクル作製後の外観も、凹凸部分がキラキラ光って異物に見えて、検査性も良くないものとなった。
【0063】
[参考例2]
ペリクル枠体は、図12に示すように、接合部の形状を、分割部材70a,70bの端面71a,71bを台形状のほぞと溝とを形成した形状として、接合部分が3個形成された形状とした。各々の接合端面の最大接合距離を上記幅に対して4.2mm、各々の接合部内面の最大接合距離を2.1mmとして、焼きバメを用いて接合し、ペリクル枠体を作製した。その後は、実施例1と同様にペリクルを作製し、評価を同様に行った。その結果を表1及び表2に示す。ペリクル枠体を作製後、目視検査を行ったところ、外観は良好であったが、接合強度が弱いため、ペリクル作製後の目視検査にて、隙間やガタが見受けられ、そこに異物が挟まっていた。また、形状が矩形状ではなくなっていた。
【0064】
本発明は、上述の実施形態に限定されるものではない。例えば、上記実施形態では、各分割部材20a,20b(分割部材30a,30b、分割部材40a〜40d)、分割部材20c,20d(分割部材30a,30b、分割部材40e〜40h)の形状をある程度揃えているが、各分割部材の形状がそれぞれ相違していても差し支えない。
【符号の説明】
【0065】
1…ペリクル、2…ペリクル枠体、3…ペリクル膜、4…開口部、20a〜20d…分割部材(枠部材)、21a〜21d…連結部材(枠部材)、22a〜22h…接合部、23…凸部、24…凹部。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
平面視において矩形状を有する開口部を覆うようにペリクル膜を展張支持するペリクル枠体であって、
前記開口部の周縁は枠部材によって形成されていると共に、前記枠部材は少なくとも一つの接合部によって接合されており、
前記接合部における接合強度が10kgf以上であることを特徴とするペリクル枠体。
【請求項2】
前記接合部は、枠部材の一端部に形成された凸部と、当該枠部材の一端部に形成された前記凸部と接合する凹部とから構成されている請求項1記載のペリクル枠体。
【請求項3】
前記接合部は、嵌合、接着剤及びカシメのいずれかにて接合されている請求項1又は2記載のペリクル枠体。
【請求項4】
前記枠部材は、対向する一対の長辺と、対向する一対の短辺とが角部を形成するように構成されており、
前記接合部の少なくとも一つと当該接合部と最も近い距離にある角部との間の距離は、当該接合部が設けられた辺の長さの45%以下である請求項1〜3のいずれか1項に記載のペリクル枠体。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載のペリクル枠体と、当該ペリクル枠体の開口部を覆うように展張支持されたペリクル膜とを含むことを特徴とするペリクル。
【請求項1】
平面視において矩形状を有する開口部を覆うようにペリクル膜を展張支持するペリクル枠体であって、
前記開口部の周縁は枠部材によって形成されていると共に、前記枠部材は少なくとも一つの接合部によって接合されており、
前記接合部における接合強度が10kgf以上であることを特徴とするペリクル枠体。
【請求項2】
前記接合部は、枠部材の一端部に形成された凸部と、当該枠部材の一端部に形成された前記凸部と接合する凹部とから構成されている請求項1記載のペリクル枠体。
【請求項3】
前記接合部は、嵌合、接着剤及びカシメのいずれかにて接合されている請求項1又は2記載のペリクル枠体。
【請求項4】
前記枠部材は、対向する一対の長辺と、対向する一対の短辺とが角部を形成するように構成されており、
前記接合部の少なくとも一つと当該接合部と最も近い距離にある角部との間の距離は、当該接合部が設けられた辺の長さの45%以下である請求項1〜3のいずれか1項に記載のペリクル枠体。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載のペリクル枠体と、当該ペリクル枠体の開口部を覆うように展張支持されたペリクル膜とを含むことを特徴とするペリクル。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2012−53305(P2012−53305A)
【公開日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−196230(P2010−196230)
【出願日】平成22年9月1日(2010.9.1)
【出願人】(309002329)旭化成イーマテリアルズ株式会社 (771)
【出願人】(595152162)株式会社村元工作所 (11)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年9月1日(2010.9.1)
【出願人】(309002329)旭化成イーマテリアルズ株式会社 (771)
【出願人】(595152162)株式会社村元工作所 (11)
【Fターム(参考)】
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