説明

ペルオキシゾーム増殖剤応答性受容体(PPAR)αリガンド剤

【課題】PPARαを活性化し、高脂血症や動脈硬化性疾患等の予防、治療ができる新規なペルオキシゾーム増殖剤応答性受容体(PPAR)αリガンド剤の提供。
【解決手段】下記式(1)


〔式(1)中、Rはアルキル基でR1、R2、R3及びR4は水素、メチル基、フェニル基、又はハロゲンから選ばれ、n1は1又は2の整数を示す〕で表される2−ピロン誘導体を有効成分とするペルオキシゾーム増殖剤応答性受容体(PPAR)αのリガンド剤。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2−ピロン誘導体を有効成分として含有し、高脂血症、動脈硬化性疾患等の予防又は治療剤として有用なペルオキシゾーム増殖剤応答性受容体(PPAR)αリガンド剤に関する。
【背景技術】
【0002】
メタボリックシンドロームは、内臓脂肪型肥満に高脂血症、高血圧、高血糖等のリスクファクターを合併した病態で、合併することにより脳梗塞、心筋梗塞、大動脈瘤、狭心症等の動脈硬化性疾患を発症する危険性が高くなることから、動脈硬化性疾患のハイリスク群として問題となっている。メタボリックシンドロームの改善は、動脈硬化の発生・進行の防止が重要であり、脂肪蓄積の進行の防止と解消を目的とする食事療法や脂肪燃焼を目的とする運動療法、禁煙、飲酒量の制限等の生活習慣の改善、場合によっては薬物療法が行われる。一方、最近の研究から脂質や糖代謝に関与するペルオキシゾーム増殖剤応答性受容体(PPAR(Peroxisome Proliferator Activated Receptor)、以下、単に「PPAR」と記載することがある)がメタボリックシンドロームとの関連で注目されている。
ペルオキシゾーム増殖剤応答性受容体(PPAR)は、核内受容体スーパーファミリーの一員であるリガンド依存的転写制御因子で、PPARα、PPARβ/δ、PPARγの3種のサブタイプが知られている(非特許文献1参照)。PPARαは、肝臓、腎臓、心筋、骨格筋等に発現しており、アラキドン酸やオレイン酸等の遊離脂肪酸、ロイコトリエンB4、高脂血症予防・治療剤として使用されるクロフィブラートやベザフィブラート等のフィブラート系薬剤をリガンドとして活性化され(非特許文献2参照)、脂肪酸のβ酸化の活性化(アシルCoAシンターゼの発現上昇)やリポプロテインリパーゼの活性化により生体内脂肪の分解の亢進や糖代謝を改善する(非特許文献3参照)。PPARβ/δは、体内に普遍的に発現し、抗ガン剤や抗炎症剤としての応用についての報告(非特許文献4、5参照)があるが、詳細は未解明な点が多い。PPARγは、脂肪組織、腎臓、副腎、小腸等で発現し、脂肪組織における脂肪細胞分化を調節し、インスリン抵抗性を改善する(非特許文献6参照)。
【0003】
上記のように、PPARαを活性化することにより生体内脂肪の分解の亢進や糖代謝の改善が可能なため、従来、ペルオキシゾーム増殖剤応答性受容体(PPAR)αリガンド剤の提案がある(特許文献1、特許文献2参照)。
【0004】
【特許文献1】特開2001−55367号公報
【特許文献2】特開2006−298885号公報
【非特許文献1】Proceedings of the National Academy of Sciences, 1992, 89, 4653〜4657
【非特許文献2】Bio Clinica, 2001, 16, 65〜68
【非特許文献3】Diabetes, 2001, 50, 411〜417
【非特許文献4】JBC,272(6)、3406〜3410,1997
【非特許文献5】Cell 99, 335〜345,1999
【非特許文献6】Proceedings of the National Academy of Sciences, 2003, 100, 15924〜15929
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1に記載の発明は、置換フェニルプロピオン酸誘導体を有効成分とし、特許文献2に記載の発明はナフタレンカルボン酸誘導体を有効成分とするもので、2−ピロン誘導体を有効成分とするものではない。
【0006】
本発明は、PPARαを活性化することにより、高脂血症や動脈硬化性疾患等の予防、治療ができ、ひいてはメタボリックシンドロームの予防、治療が可能な2−ピロン誘導体を有効成分として含有する新規なペルオキシゾーム増殖剤応答性受容体(PPAR)αリガンド剤を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、下記式(1):
【0008】
【化1】

〔式(1)中、Rはアルキル基でR1、R2、R3及びR4は以下のとおりである。n=1の場合:(a)R1=R3=R4=HでR2=F又はR2=Cl、(b)R1=R2=R4=HでR3=F又はR1=R2=R3=HでR4=F、(c)R1=R3=HでR2=R4=F又はR2=R4=Cl、(d)R2=R3=HでR1=R4=Cl、(e)R1=R3=R4=HでR2=Me又はR2=NO2又はR2=C6H5、n=2の場合:R1=R2=R3=R4=H又はR1=R3=R4=HでR2=MeO〕で表される2−ピロン誘導体を有効成分として含有することを特徴とするペルオキシゾーム増殖剤応答性受容体(PPAR)αリガンド剤を要旨とする。
【0009】
上記のペルオキシゾーム増殖剤応答性受容体(PPAR)αリガンド剤を含有する高脂血症、動脈硬化症、糖尿病又は内蔵脂肪型肥満の予防又は治療剤を要旨とする。
【0010】
上記のペルオキシゾーム増殖剤応答性受容体(PPAR)αリガンド剤を含有し、高脂血症、動脈硬化症、糖尿病及び内臓脂肪型肥満の予防又は治療のために用いることができる飲食品を要旨とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明のペルオキシゾーム増殖剤応答性受容体(PPAR)αリガンド剤は、生体内脂肪の分解の亢進や糖代謝の改善ができるため、高脂血症、動脈硬化性疾患、糖尿病、内臓脂肪型肥満の予防又は治療剤として有用である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
式(1)中、Rはアルキル基で、低級アルキル基が好ましく、C1〜C5の直鎖状又は分枝鎖状のアルキル基がより好ましく、メチル基、エチル基又はイソプロピル基がもっとも好ましい。また、nは1又は2で、n=1の場合、(a)R1=R3=R4=HでR2=F又はR2=Cl、(b)R1=R2=R4=HでR3=F又はR1=R2=R3=HでR4=F、(c)R1=R3=HでR2=R4=F又はR2=R4=Cl、(d)R2=R3=HでR1=R4=Cl、(e)R1=R3=R4=HでR2=Me又はR2=NO2又はR2=C6H6であり、n=2の場合、R1=R3=R4=HでR2=MeO又はR1=R2=R3=R4=Hである。
【0013】
式(1)中、PPARαの活性化作用の強さの点から、n=1でR1=R3=R4=HかつR2=Cl、n=1でR1=R2=R4=HかつR3=F、n=1でR1=R2=R3=HかつR4=F、n=1でR1=R3=HかつR2=R4=F、n=1でR2=R3=HかつR1=R4=Cl、n=1でR1=R3=R4=HかつR2=Me、n=2でR1=R2=R3=R4=HかつR=C2H5が好ましく、n=1でR1=R3=R4=HかつR2=F、n=1でR1=R3=HかつR2=R4=Clの場合がより好ましい。
【0014】
式(1)で表される2−ピロン誘導体の製造は、金属アルコラートの存在下、4-アルコキシ-6-メチル-2-ピロン(4-alchoxy-6-methyl-2-pyrone)と種々のアルデヒドとの縮合反応による合成を挙げることができる。製造された2−ピロン誘導体は、反応終了後に抽出、分配、カラムクロマトグラフィー等の公知の分離、精製手段を用いて単離することができる。
【0015】
本発明のPPARαリガンド剤は、式(1)で表される2−ピロン誘導体の薬剤学的に許容される塩とすることができる。好ましい塩の例としては、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩のアルカリ金属及びアルカリ土類金属塩、あるいは酸付加塩等が挙げられる。
【0016】
本発明のPPARαリガンド剤は、式(1)で表される2−ピロン誘導体の溶媒和物とすることができる。このような溶媒和物としては、水和物、アルコール和物等が挙げられる。
【0017】
本発明のPPARαリガンド剤は、PPARαを活性化する作用を有し、高脂血症、動脈硬化性疾患、糖尿病、内臓脂肪型肥満の予防又は治療剤として提供できる。また、飲食品に添加し前記のような疾患の予防又は治療のために用いることができる飲食品として提供できる。
【0018】
医薬として用いる場合、その投与形態は特に限定されず、経口又は非経口のいずれの投与形態でもよい。また、投与形態に応じて適当な剤形とすることができ、例えば注射剤、あるいはカプセル剤、錠剤、顆粒剤、散剤、丸剤、細粒剤、トローチ錠等の経口剤、直腸投与剤、油脂性坐剤、水性坐剤等の各種製剤に調製することができる。
【0019】
各種製剤は、薬剤学的に許容され通常用いられる賦形剤、結合剤、滑沢剤、崩壊剤、界面活性剤、流動性促進剤等を添加して調製できる。賦形剤として、例えば、乳糖、果糖、ブドウ糖、コーンスターチ、ソルビット、結晶セルロース等が、結合剤として、例えば、メチルセルロース、エチルセルロース、アラビアゴム、ゼラチン、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルピロリドン等が、滑沢剤として、例えば、タルク、ステアリン酸マグネシウム、ポリエチレングリコール、硬化植物油等が、崩壊剤として、例えば、澱粉、アルギン酸ナトリウム、ゼラチン、炭酸カルシウム、クエン酸カルシウム、デキストリン、炭酸マグネシウム、合成ケイ酸マグネシウム等が、界面活性剤として、例えば、ラウリル硫酸ナトリウム、大豆レシチン、ショ糖脂肪酸エステル、ポリソルベート80、流動性促進剤として、例えば、軽質無水ケイ酸、乾燥水酸化アルミニウムゲル、合成ケイ酸アルミニウムまたはケイ酸マグネシウム、その他の添加剤としては、シロップ、ワセリン、グリセリン、エタノール、プロピレングリコール、クエン酸、塩化ナトリウム、亜硝酸ソーダ、リン酸ナトリウム等が挙げられる。
【0020】
飲食品として用いる場合、栄養ドリンク、紅茶、緑茶、清涼飲料水等の飲料、キャンデー、チューインガム、クッキー、ゼリー状等の菓子、またパン、米飯、麺類等の穀物加工物、調味料等が挙げられる。
【0021】
医薬又は飲食品中の2−ピロン誘導体の投与量は、用法、患者の年齢、性別、症状の程度等を考慮して適宜増減できるが、通常成人1日当り100mg〜1000mg好ましくは10mg〜200mgで、これを1日1回又は数回に分けて投与できる。
【実施例】
【0022】
次いで、本発明を実施例を挙げて説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0023】
〔製造例1〕化合物1((E)-6-(4-フルオロスチリル)-4-メトキシ-2H-ピラン-2-オン((E)-6-(4-fluorostyryl)-4-methoxy-2H-pyran-2-one))
【0024】
【化2】

【0025】
金属Mg (2.4 g、0.1 mol)をメタノール(100 ml)に加え、水浴上にて2時間還流した(マグネシウムメチラートの調製)。この中にp-フルオロベンズアルデヒド(p-fluorobenzaldehyde)(2.5 g、0.02 mol)と4-メトキシ-6-メチル-2-ピロン(4-methoxy-6-methyl-2-pyrone)(2.8 g、0.02 mol)のMeOH (30 ml)混液を加え、水浴上にて2時間加熱還流した。冷後、1N-HCl にて酸性とし、酢酸エチルで抽出した。抽出エキスは減圧下に濃縮した後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:酢酸エチル-n-ヘキサン= 1:2)にて精製し、更に再結晶法により化合物1(1.2 g)を得た。
【0026】
分子式:C14H11O3F、分子量:246、融点:143-145℃、無色針状晶 (酢酸エチル)、EIMS m/z (%): 246 (M+, 100), 218 (44), 175 (32), 147 (13). 1H-NMR (400 MHz, CDCl3): 3.83 (3H, s, OMe), 5.49 (1H, d, J= 2.2 Hz, H-3), 5.94 (1H, d, J= 2.2 Hz, H-5), 6.50 (1H, d, J= 16.7 Hz, H-7), 7.07 (1H, d, J= 16.7 Hz, H-8), 7.08 (2H, d, J= 8.5 Hz, H-3’,5’), 7.49 (2H, J= 8.5 Hz, H-2’,6’).
【0027】
〔製造例2〕化合物2((E)-6-(3-フルオロスチリル)-4-メトキシ-2H-ピラン-2-オン((E)-6-(3-fluorostyryl)-4-methoxy-2H-pyran-2-one))
【0028】
【化3】

【0029】
金属Mg (2.4 g、0.1 mol)をメタノール(100 ml)に加え、水浴上にて2時間還流した(マグネシウムメチラートの調製)。この中にm-フルオロベンズアルデヒド(m-fluorobenzaldehyde)(2.5 g、0.02 mol)と4-メトキシ-6-メチル-2-ピロン(4-methoxy-6-methyl-2-pyrone)(2.8 g、0.02 mol)のメタノール(30 ml)混液を加え、水浴上にて2時間加熱還流した。冷後、1N-HCl にて酸性とし、酢酸エチルで抽出した。抽出エキスは減圧下に濃縮した後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:酢酸エチル-n-ヘキサン= 1:1)にて精製し、更に再結晶法により化合物2(0.8g)を得た。
【0030】
分子式:C14H11O3F、分子量:246、融点:170-173℃、淡黄色不定晶 (メタノール)、EIMS m/z (%): 246 (M+, 100), 218 (36), 203 (12), 175 (35), 149 (14), 121 (6), 101 (10)、1H-NMR (400 MHz, CDCl3) : 3.85 (3H, s, OMe), 5.51 (1H, d, J= 1.9 Hz, H-3), 5.96 (1H, d, J= 1.9 Hz, H-5), 6.57 (1H, d, J= 15.9 Hz, H-7), 7.03 (1H, m, H-4’), 7.19 (1H, d, J= 2.4 Hz, H-2’), 7.23 (1H, m, H-6’), 7.45 (1H, d, J= 15.9 Hz, H-8).
【0031】
〔製造例3〕化合物3((E)-6-(2-フルオロスチリル)-4-メトキシ-2H-ピラン-2-オン((E)-6-(2-fluorostyryl)-4-methoxy-2H-pyran-2-one))
【0032】
【化4】

【0033】
金属Mg (2.4 g、0.1 mol)をメタノール(100 ml)に加え、水浴上にて2時間還流した(マグネシウムメチラートの調製)。この中にo-フルオロベンズアルデヒド(o-fluorobenzaldehyde)(2.5 g、0.02 mol)と4-メトキシ-6-メチル-2-ピロン(4-methoxy-6-methyl-2-pyrone)(2.8 g、0.02 mol)のメタノール(30 ml)混液を加え、水浴上にて2時間加熱還流した。冷後、1N-HCl にて酸性とし、酢酸エチルで抽出した。抽出エキスは減圧下に濃縮した後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:酢酸エチル-n-ヘキサン= 1:1)にて精製し、更に再結晶法により化合物3(1.0g)を得た。
【0034】
分子式:C14H11O3F、分子量:246、融点:128-130℃、淡黄色針状晶 (メタノール)、EIMS m/z (%): 246 (M+, 100), 218 (68), 198 (14), 175 (50), 147 (21), 101 (22). 1H-NMR (400 MHz, CDCl3) : 3.84 (3H, s, OMe), 5.51 (1H, d, J= 2.2 Hz, H-3), 5.98 (1H, d, J= 2.2 Hz, H-5), 6.73 (1H, d, J= 16.1 Hz, H-7), 7.09 (1H, m, H-3’), 7.15 (1H, t, J= 7.6 Hz, H-5’), 7.30 (1H, m, H-6’), 7.49 (1H, t, J= 7.6 Hz, H-4’), 7.56 (1H, d, J= 16.1 Hz, H-8).
【0035】
〔製造例4〕化合物4((E)-6-(2,4-ジフルオロスチリル)-4-メトキシ-2H-ピラン-2-オン((E)-6-(2,4-difluorostyryl)-4-methoxy-2H-pyran-2-one))
【0036】
【化5】

【0037】
金属Mg (2.4 g、0.1 mol)をメタノール(100 ml)に加え、水浴上にて2時間還流した(マグネシウムメチラートの調製)。この中に2,4-ジフルオロベンズアルデヒド(2,4-difluorobenzaldehyde)(2.8 g、0.02 mol)と4-メトキシ-6-メチル-2-ピロン(4-methoxy-6-methyl-2-pyrone)(2.8 g、0.02 mol)のメタノール(30 ml)混液を加え、水浴上にて2時間加熱還流した。冷後、1N-HCl にて酸性とし、酢酸エチルで抽出した。抽出エキスは減圧下に濃縮した後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:酢酸エチル-n-ヘキサン= 1:1)にて精製し、更に再結晶法により化合物4(1.3g)を得た。
【0038】
分子式:C14H10O3F2、分子量:264、融点:169-170℃、淡黄色粉末晶:(酢酸エチル-n-ヘキサン)、EIMS m/z (%): 264 (M+, 100), 236 (73), 193 (32), 165 (10), 139 (6), 125 (10), 119 (15). 1H-NMR (400 MHz, CDCl3): 3.83 (3H, s, OMe), 5.51 (1H, d, J= 2.4 Hz, H-3), 5.96 (1H, d, J= 2.4 Hz, H-5), 6.66 (1H, d, J= 16.2 Hz, H-7), 6.88 (2H, m, H-3’,5’), 7.47 (1H, m, H-6’), 7.50 (1H, d, J= 16.2 Hz, H-8).
【0039】
〔製造例5〕化合物5((E)-6-(4-クロロスチリル)-4-メトキシ-2H-ピラン-2-オン((E)-6-(4-chlorostyryl)-4-methoxy-2H-pyran-2-one))
【0040】
【化6】

【0041】
金属Mg (2.4 g、0.1 mol)をメタノール(100 ml)に加え、水浴上にて2時間還流した(マグネシウムメチラートの調製)。この中にp-クロロベンズアルデヒド(p-chlorobenzaldehyde)(2.8 g、0.02 mol)と4-メトキシ-6-メチル-2-ピロン(4-methoxy-6-methyl-2-pyrone)(2.8 g、0.02 mol)のメタノール (30 ml)混液を加え、水浴上にて2時間加熱還流した。冷後、1N-HCl にて酸性とし、酢酸エチルで抽出した。抽出エキスは減圧下に濃縮した後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:酢酸エチル-n-ヘキサン= 1:1)にて精製し、更に再結晶法により化合物5(0.8g)を得た。
【0042】
分子式:C14H11O3Cl、分子量:262.5、融点:146-149℃、淡黄色針状晶 (酢酸エチル-n-ヘキサン)、EIMS m/z (%): 262 (M+, 100), 234 (53), 191 (34), 149 (13), 128 (12), 101 (12), 1H-NMR (400 MHz, CDCl3): 3.82 (3H, s, OMe), 5.50 (1H, d, J= 1.9 Hz, H-3), 5.94 (1H, d, J= 1.9 Hz, H-5), 6.63 (1H, d, J= 15.9 Hz, H-7), 7.34 (2H, d, J= 8.7 Hz, H-3’,5’), 7.40 (1H, d, J= 15.9 Hz, H-8), 7.42 (2H, J= 8.5 Hz, H-2’,6’).
【0043】
〔製造例6〕化合物6((E)-6-(2,4-ジクロロスチリル)-4-メトキシ-2H-ピラン-2-オン((E)-6-(2,4-dichlorostyryl)-4-methoxy-2H-pyran-2-one))
【0044】
【化7】

【0045】
金属Mg (2.4 g、0.1 mol)をメタノール(100 ml)に加え、水浴上にて2時間還流した(マグネシウムメチラートの調製)。この中に2,4-ジクロロベンズアルデヒド(2,4-dichlorobenzaldehyde)(3.5 g、0.02 mol)と4-メトキシ-6-メチル-2-ピロン(4-methoxy-6-methyl-2-pyrone)(2.8 g、0.02 mol)のメタノール(30 ml)混液を加え、水浴上にて2時間加熱還流した。冷後、1N-HCl にて酸性とし、酢酸エチルで抽出した。抽出エキスは減圧下に濃縮した後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:酢酸エチル-n-ヘキサン= 1:1)にて精製し、更に再結晶法により化合物6(1.0g)を得た。
【0046】
分子式:C14H10O3Cl2、分子量:297、融点136-137℃、淡黄色針状晶 (酢酸エチル-n-ヘキサン)、EIMS m/z (%): 296 (M+-1, 100), 261 (63), 225 (21), 199 (10), 162 (17), 135 (17), 125 (16), 99 (13). 1H-NMR (400 MHz, CDCl3): 3.84 (3H, s, OMe), 5.53 (1H, d, J= 2.4 Hz, H-3), 6.00 (1H, d, J= 2.4 Hz, H-5), 6.56 (1H, d, J= 16.2 Hz, H-7), 7.26 (1H, d, J= 2.2 Hz, H-3’), 7.42 (1H, dd, J= 8.8, 2.2 Hz, H-5’), 7.53 (1H, d, J= 8.8 Hz, H-6’), 7.76 (1H, J= 16.2 Hz, H-8).
【0047】
〔製造例7〕化合物7((E)-6-(2,5-ジクロロスチリル)-4-メトキシ-2H-ピラン-2-オン((E)-6-(2,5-dichlorostyryl)-4-methoxy-2H-pyran-2-one))
【0048】
【化8】

【0049】
金属Mg (2.4 g、0.1 mol)をメタノール(100 ml)に加え、水浴上にて2時間還流した(マグネシウムメチラートの調製)。この中に2,5-ジクロロベンズアルデヒド(2,5-dichlorobenzaldehyde)(3.5 g、0.02 mol)と4-メトキシ-6-メチル-2-ピロン(4-methoxy-6-methyl-2-pyrone)(2.8 g、0.02 mol)のMeOH (30 ml)混液を加え、水浴上にて2時間加熱還流した。冷後、1N-HCl にて酸性とし、酢酸エチルで抽出した。抽出エキスは減圧下に濃縮した後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:酢酸エチル-n-ヘキサン= 1:1)にて精製し、更に再結晶法により化合物7(0.9g)を得た。
【0050】
分子式:C14H10O3Cl2、分子量:297、融点:157-159℃、淡黄色柱状晶 (酢酸エチル-n-ヘキサン)、EIMS m/z (%): 296 (M+-1, 88), 261 (100), 225 (16), 162 (16), 135 (13), 125 (17), 99 (18). 1H-NMR (400 MHz, CDCl3): 3.86 (3H, s, OMe), 5.60 (1H, s, H-3), 5.83 (1H, s, H-5), 7.16 (1H, d, J= 16.2 Hz, H-7), 7.21 (1H, dd, J= 8.8, 2.4 Hz, H-4’), 7.32 (1H, d, J= 8.8 Hz, H-3’), 7.68 (1H, d, J= 2.4 Hz, H-6’), 7.79 (1H, d, J= 16.0 Hz, H-8).
【0051】
〔製造例8〕化合物8((E)-6-(4-メチルスチリル)-4-メトキシ-2H-ピラン-2-オン((E)-6-(4-methylstyryl)-4-methoxy-2H-pyran-2-one))
【0052】
【化9】

【0053】
金属Mg (2.4 g、0.1 mol)をメタノール(100 ml)に加え、水浴上にて2時間還流した(マグネシウムメチラートの調製)。この中に4-メチルベンズアルデヒド(4-methylbenzaldehyde) (2.4g、0.02 mol)と4-メトキシ-6-メチル-2-ピロン(4-methoxy-6-methyl-2-pyrone) (2.8 g、0.02 mol)のメタノール(30 ml)混液を加え、水浴上にて2時間加熱還流した。冷後、1N-HCl にて酸性とし、酢酸エチルで抽出した。抽出エキスは減圧下に濃縮した後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:酢酸エチル-n-ヘキサン= 1:1)にて精製し、更に再結晶法により化合物8(1.1g)を得た。
【0054】
分子式:C15H14O3 、分子量:242、融点:171-172℃、淡黄色針状晶 (メタノール)、EIMS m/z (%): 242 (M+, 100), 214 (32), 199 (10), 171 (32), 128 (10), 115 (15), 91 (8). 1H-NMR (400 MHz, CDCl3):2.37 (3H, s, Me), 3.83 (3H, s, OMe), 5.48 (1H, d, J= 2.4 Hz, H-3), 5.92 (1H, d, J= 2.4 Hz, H-5), 6.53 (1H, d, J= 16.2 Hz, H-7), 7.18 (2, d, J= 8.0 Hz, H-3’,5’), 6.63 (1H, d, J= 16.2 Hz, H-7), 7.34 (2H, d, J= 8.7 Hz, H-3’,5’), 7.40 (2H, d, J= 8.0 Hz, H-2’,6’), 7.48 (1H, J= 16.2 Hz, H-8).
【0055】
〔製造例9〕化合物9((E)-6-(4-ニトロスチリル)-4-メトキシ-2H-ピラン-2-オン((E)-6-(4-nitrostyryl)-4-methoxy-2H-pyran-2-one))
【0056】
【化10】

【0057】
金属Mg (2.4 g、0.1 mol)をメタノール (100 ml)に加え、水浴上にて2時間還流した(マグネシウムメチラートの調製)。この中にp-ニトロベンズアルデヒド(p-nitrobenzaldehyde)(3.0g、0.02 mol)と4-メトキシ-6-メチル-2-ピロン(4-methoxy-6-methyl-2-pyrone)(2.8 g、0.02 mol)のMeOH (30 ml)混液を加え、水浴上にて2時間加熱還流した。冷後、1N-HCl にて酸性とし、酢酸エチルで抽出した。抽出エキスは減圧下に濃縮した後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:酢酸エチル-n-ヘキサン= 1:1)にて精製し、更に再結晶法により化合物9(0.7g)を得た。
【0058】
分子式:C14H11NO5、分子量:273、融点:211-212℃、黄色粉末晶(酢酸エチル-n-ヘキサン)、EIMS m/z (%): 273 (M+, 100), 245 (68), 202 (14), 128 (13), 83 (13). 1H-NMR (400 MHz, CDCl3) : 3.86 (3H, s, OMe), 5.56 (1H, d, J= 2.1 Hz, H-3), 6.05 (1H, d, J= 2.1 Hz, H-5), 6.71 (1H, d, J= 16.0 Hz, H-7), 7.53 (1H, J= 16.0 Hz, H-8), 7.64 (2H, d, J= 8.7 Hz, H-3’,5’), 8.24 (2H, J= 8.7 Hz, H-2’,6’).
【0059】
〔製造例10〕化合物10((E)-6-(4-フェニルスチリル)-4-メトキシ-2H-ピラン-2-オン((E)-6-(4-phenylstyryl)-4-methoxy-2H-pyran-2-one))
【0060】
【化11】

【0061】
金属Mg (2.4 g、0.1 mol)をメタノール (100 ml)に加え、水浴上にて2時間還流した(マグネシウムメチラートの調製)。この中に4-フェニルベンズアルデヒド(4-phenylbenzaldehyde)(3.6g、0.02 mol)と4-メトキシ-6-メチル-2-ピロン(4-methoxy-6-methyl-2-pyrone)(2.8 g、0.02 mol)のMeOH (30 ml)混液を加え、水浴上にて2時間加熱還流した。冷後、1N-HCl にて酸性とし、酢酸エチルで抽出した。抽出エキスは減圧下に濃縮した後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:酢酸エチル-n-ヘキサン= 1:3)にて精製し、更に再結晶法により化合物10(0.8g)を得た。
【0062】
分子式:C20H16O3、分子量:304、融点195-197℃、淡黄色鱗片晶 (酢酸エチル-n-ヘキサン)、EIMS m/z (%): 304 (M+, 100), 276 (38), 233 (42), 205 (17), 178 (27), 152 (15). 1H-NMR (400 MHz, CDCl3): 3.84 (3H, s, OMe), 5.51 (1H, d, J= 2.2 Hz, H-3), 5.96 (1H, d, J= 2.2 Hz, H-5), 6.62 (1H, d, J= 16.0 Hz, H-7), 7.37 (1H, m, H-4”), 7.45 (2H, m, H-3”,5”), 7.55 (1H, d, J= 16.0 Hz, H-8), 7.59-7.63 (6H, m, H-2’,3’,5’,6’,2”,6”).
【0063】
〔製造例11〕化合物11(6-{(1E,3E)-4-フェニルブタ-1,3-ジエニル}-4-メトキシ-2H-ピラン-2-オン(6-{(1E,3E)-4-phenylbuta-1,3-dienyl}-4-methoxy-2H-pyran-2-one))
【0064】
【化12】

【0065】
金属Mg (2.4 g、0.1 mol)をメタノール (100 ml)に加え、水浴上にて2時間還流した(マグネシウムメチラートの調製)。この中にシンナムアルデヒド(cinnamaldehyde) (2.6g、0.02 mol)と4-メトキシ-6-メチル-2-ピロン(4-methoxy-6-methyl-2-pyrone)(2.8 g、0.02 mol)のメタノール(30 ml)混液を加え、水浴上にて2時間加熱還流した。冷後、1N-HCl にて酸性とし、酢酸エチルで抽出した。抽出エキスは減圧下に濃縮した後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:酢酸エチル-n-ヘキサン= 1:1)にて精製し、更に再結晶法により化合物11(1.3g)を得た。
【0066】
分子式:C16H14O3、分子量:254、融点180-182℃、黄色粉末晶 (酢酸エチル-n-ヘキサン)、EIMS m/z (%): 254 (M+, 100), 226 (14), 183 (14), 165 (21), 155 (14), 128 (29), 125 (26). 1H-NMR (400 MHz, CDCl3): 3.82 (3H, s, OMe), 5.47 (1H, d, J= 2.4 Hz, H-3), 5.87 (1H, d, J= 2.4 Hz, H-5), 6.15 (1H, d, J= 15.2 Hz, H-7), 6.85 (2H, m, H-8,9), 7.26-7.37 (4H, m, H-3’,4’,5’,10), 7.45 (2H, J= 7.6 Hz, H-2’,6’).
【0067】
〔製造例12〕化合物12(6-{(1E,3E)-4-(4-メトキシフェニル)ブタ-1,3-ジエニル}-4-メトキシ-2H-ピラン-2-オン(6-{(1E,3E)-4-(4-methoxyphenyl)buta-1,3-dienyl}-4-methoxy-2H-pyran-2-one))
【0068】
【化13】

【0069】
金属Mg (2.4 g、0.1 mol)をメタノール (100 ml)に加え、水浴上にて2時間還流した(マグネシウムメチラートの調製)。この中に4-メトキシシンナムアルデヒド(4-methoxycinnamaldehyde)(3.2g、0.02 mol)と4-メトキシ-6-メチル-2-ピロン(4-methoxy-6-methyl-2-pyrone)(2.8 g、0.02 mol)のMeOH (30 ml)混液を加え、水浴上にて2時間加熱還流した。冷後、1N-HCl にて酸性とし、酢酸エチルで抽出した。抽出エキスは減圧下に濃縮した後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:酢酸エチル-n-ヘキサン= 1:1)にて精製し、更に再結晶法により化合物12(1.1g)を得た。
【0070】
分子式:C17H16O4、、分子量:284、融点199-200℃、黄色粉末晶 (エタノール)、EIMS m/z (%): 284 (M+, 100), 125 (18), 115 (21). 1H-NMR (400 MHz, CDCl3): 3.80, 3.83 (3H, each s, OMe x 2), 5.45 (1H, d, J= 2.2 Hz, H-3), 5.83 (1H, d, J= 2.0 Hz, H-5), 6.09 (1H, d, J= 16.0 Hz, H-7), 6.74 (2H, m, H-9, 10), 6.88 (2H, d, J= 9.0 Hz, H-3’,5’), 7.27 (1H, ddd, J= 16.0, 10.0, 2.0 Hz, H-8), 7.39 (2H, J= 9.0 Hz, H-2’,6’).
【0071】
〔製造例13〕化合物13((E)-6-(4-フルオロスチリル)-4-エトキシ-2H-ピラン-2-オン((E)-6-(4-fluorostyryl)-4-ethoxy-2H-pyran-2-one))
【0072】
【化14】

【0073】
金属Mg (2.4 g、0.1 mol)をメタノール(100 ml)に加え、水浴上にて2時間還流した(マグネシウムメチラートの調製)。この中にp-フルオロベンズアルデヒド(p-fluorobenzaldehyde)(2.5 g、0.02 mol)と4-エトキシ-6-メチル-2-ピロン(4-ethoxy-6-methyl-2-pyrone)(3.1 g、0.02 mol)のMeOH (30 ml)混液を加え、水浴上にて2時間加熱還流した。冷後、1N-HCl にて酸性とし、酢酸エチルで抽出した。抽出エキスは減圧下に濃縮した後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:酢酸エチル-n-ヘキサン= 1:1)にて精製し、更に再結晶法により化合物13(0.4 g)を得た。
【0074】
分子式:C15H13O3F、分子量:260、融点:131-133℃、淡黄色針状晶(酢酸エチル-n-ヘキサン)、EIMS m/z (%): 260 (M+, 19), 246 (100), 218 (42), 175 (30), 149 (25), 121 (11), 101 (12), 69 (9).
【0075】
〔製造例14〕化合物14((E)-6-(4-フルオロスチリル)-4-イソプロポキシ-2H-ピラン-2-オン((E)-6-(4-fluorostyryl)-4-isopropoxy-2H-pyran-2-one))
【0076】
【化15】

【0077】
金属Mg (2.4 g、0.1 mol)をメタノール(100 ml)に加え、水浴上にて2時間還流した(マグネシウムメチラートの調製)。この中にp-フルオロベンズアルデヒド(p-fluorobenzaldehyde)(2.5 g、0.02 mol)と4-イソプロポキシ-6-メチル-2-ピロン(4-isopropoxy-6-methyl-2-pyrone)(3.4g、0.02 mol)のMeOH (30 ml)混液を加え、水浴上にて2時間加熱還流した。冷後、1N-HCl にて酸性とし、酢酸エチルで抽出した。抽出エキスは減圧下に濃縮した後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:酢酸エチル-n-ヘキサン= 1:1)にて精製し、更に再結晶法により化合物14(0.6g)を得た。
【0078】
分子式:C16H15O3F、分子量:274、融点:168-170℃、淡黄色粉末晶 (酢酸エチル-n-ヘキサン)、EIMS m/z (%): 274 (M+, 100), 232(13), 215 (7), 204 (32), 189 (18), 163 (20), 149 (26), 121 (11), 101 (11), 69 (9). 1H-NMR (400 MHz, CDCl3): 1.36, 1.38 (3H, each s, Me x 2), 4.55 (1H, m, CH), 5.46 (1H, d, J= 2.0 Hz, H-3), 5.89 (1H, d, J= 2.0 Hz, H-5), 6.48 (1H, d, J= 16.4 Hz, H-7), 7.02(2H, J= 8.8 Hz, H-3’,5’), 7.46 (1H, d, J= 16.4 Hz, H-8), 7.48 (2H, J= 8.8 Hz, H-2’,6’).
【0079】
〔製造例15〕化合物15((6-{(1E,3E)-4-フェニルブタ-1,3-ジエニル}-4-エトキシ-2H-ピラン-2-オン((6-{(1E,3E)-4-phenylbuta-1,3-dienyl}-4-ethoxy-2H-pyran-2-one))
【0080】
【化16】

【0081】
金属Mg (2.4 g、0.1 mol)をメタノール (100 ml)に加え、水浴上にて2時間還流した(マグネシウムメチラートの調製)。この中にシンナムアルデヒド(cinnamaldehyde) (2.6g、0.02 mol)と4-エトキシ-6-メチル-2-ピロン(4-ethoxy-6-methyl-2-pyrone)(3.1g、0.02 mol)のメタノール(30 ml)混液を加え、水浴上にて2時間加熱還流した。冷後、1N-HCl にて酸性とし、酢酸エチルで抽出した。抽出エキスは減圧下に濃縮した後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:酢酸エチル-n-ヘキサン= 1:1)にて精製し、更に再結晶法により化合物15(0.5g)を得た。
【0082】
分子式:C17H16O3、分子量:268、融点:173-175℃、黄色針状晶 (酢酸エチル-n-ヘキサン)、EIMS m/z (%): 268 (M+, 23), 254 (100), 226 (10), 183 (10), 165 (14), 155 (10), 128 (22), 69 (11).
【0083】
〔実施例〕PPARαリガンド活性の測定
宿主細胞としてアフリカアカゲザルの腎細胞に由来するCOS-1細胞(理化学研究所細胞開発銀行)を用いた。COS-1細胞を10% FBS(ウシ胎仔血清)を含むダルベッコ変法MEM培地(Invitrogen社)を用いて、5% CO2存在下37℃において5日に一度、継体培養を行うことにより維持した。PPARα発現プラスミドは、酵母由来転写因子Gal4遺伝子とPPARαリガンド結合部位遺伝子を結合したキメラタンパク質が挿入されたPPARα-Gal4融合タンパク質発現プラスミドpPPARα-Gal4(東京大学より分譲、Mature Cell Biol.,5, 224-230,2003)を、レポータープラスミドはGal4タンパク質結合配列の下流にレポーター遺伝子であるルシフェラーゼ構造遺伝子を連結したプラスミドpGal4-Luc(東京大学より分譲、Mature Cell Biol.,5, 224-230,2003)を用い、内部標準として分泌性アルカリフォスファターゼ遺伝子をコードする形質転換効率補正用プラスミドpSEAP-control(Clontec社)を用いた。60mmシャーレにCOS-1細胞を6 x 105 cells播種し、翌日0.25μg pPPARα-Gal4, 1μg pGal4-Luc及び1μg pSEAP-controlを共感染させた。16時間後、トリプシン処理を行うことにより細胞を回収し、96 穴プレートに0.6 x104cells/穴 (125μl/穴)づつ細胞を播種した。2時間培養後、試験溶液の化合物1〜化合物15をそれぞれ添加し、さらに24時間培養を行った。培養液25μlを別の96 穴プレートに回収し、分泌性アルカリフォスファターゼ(SEAP)活性を測定した。また各穴に100μlづつルシフェラーゼ活性測定溶液(60mM Tricine pH7.8、 16mM basic MgCO、 0.4mM EDTA、 1% トリトン(Triton) X-100、 0.5mM ルシフェリン(luciferin)、1.5mM ATP、0.5mM CoA、0.1mMβ-メルカプトエタノール(mercaptoethanol))を添加し、一定時間暗室にてインキュベートした後、96 穴 プレートリーダー(HIDEX社CHAMELEON)にて発光強度を測定した。活性評価に際しては、ルシフェラーゼ活性を分泌性アルカリフォスファターゼ(SEAP)活性にて補正した。またPPARαリガンド活性評価のコントロールとしてWy14643を用いた。化合物1〜15及びWy14643は、ジメチルスルフォキシドに溶解し、最終濃度40μmol/L(40μM)、4μmol/L(4μM)、0.4μmol/L(0.4μM)で試験を行った(Wy14643は、40μmol/Lのみ)。結果は、図1〜図3に示した。
【0084】
図1〜図3より、化合物1、化合物6、化合物13及び化合物14はコントロールのWy14643に比べかなり強いPPARαの活性化作用を示した。また、化合物2〜化合物5、化合物7、化合物8及び化合物15は前者の化合物群より弱いもののWy14643と同等又はそれ以上のPPARαの活性化作用を示した。これらの結果から、本発明の2−ピロン誘導体は優れたPPARαの活性化作用を有し、PPARαリガンド剤として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0085】
【図1】実施例における化合物1、化合物12〜15のPPARαリガンド活性を示すグラフである。
【図2】実施例における化合物2、化合物4〜8のPPARαリガンド活性を示すグラフである。
【図3】実施例における化合物3、化合物9〜11のPPARαリガンド活性を示すグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(1):
【化1】

〔式(1)中、Rはアルキル基でR1、R2、R3及びR4は以下のとおりである。n=1の場合:(a)R1=R3=R4=HでR2=F又はR2=Cl、(b)R1=R2=R4=HでR3=F又はR1=R2=R3=HでR4=F、(c)R1=R3=HでR2=R4=F又はR2=R4=Cl、(d)R2=R3=HでR1=R4=Cl、(e)R1=R3=R4=HでR2=Me又はR2=NO2又はR2=C6H5、n=2の場合:R1=R2=R3=R4=H又はR1=R3=R4=HでR2=MeO〕で表される2−ピロン誘導体を有効成分として含有することを特徴とするペルオキシゾーム増殖剤応答性受容体(PPAR)αリガンド剤。
【請求項2】
請求項1に記載のペルオキシゾーム増殖剤応答性受容体(PPAR)αリガンド剤を含有することを特徴とする高脂血症の予防又は治療剤。
【請求項3】
請求項1に記載のペルオキシゾーム増殖剤応答性受容体(PPAR)αリガンド剤を含有することを特徴とする動脈硬化症の予防又は治療剤。
【請求項4】
請求項1に記載のペルオキシゾーム増殖剤応答性受容体(PPAR)αリガンド剤を含有することを特徴とする糖尿病の予防又は治療剤。
【請求項5】
請求項1に記載のペルオキシゾーム増殖剤応答性受容体(PPAR)αリガンド剤を含有することを特徴とする内臓脂肪型肥満の予防又は治療剤。
【請求項6】
ペルオキシゾーム増殖剤応答性受容体(PPAR)αリガンド剤を含有し、高脂血症、動脈硬化症、糖尿病及び内臓脂肪型肥満の予防又は治療のために用いることができることを特徴とする飲食品。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2009−23975(P2009−23975A)
【公開日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−190819(P2007−190819)
【出願日】平成19年7月23日(2007.7.23)
【出願人】(805000018)財団法人名古屋産業科学研究所 (55)
【Fターム(参考)】