説明

ペレット燃焼装置、およびペレット燃焼装置を利用する暖房機並びにボイラー

【課題】燃焼性能の高いペレット燃焼装置を提供する。
【解決手段】燃焼室80の下部に備えられた燃焼皿5に一次空気を供給して、燃焼皿5でペレットを燃焼させるペレット燃焼装置1において、内側壁41に設けた孔47a〜47dとルーバー45とにより、燃焼室80の内側壁41から燃焼室80内に二次空気を供給して、燃焼室80内に周方向の旋回流を形成させると共に、燃焼室80の中央に位置させた燃焼皿5の開口57を囲み、燃焼室80の上部側に向かうにつれて燃焼室80の中心側に傾斜する傾斜面51aを有するガイド51を設けて、ルーバー45により旋回流とされた孔47dから供給された二次空気が、傾斜面51aにより、燃焼室80内部を周方向に旋回しながら上昇する旋回上昇流に変流されるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、木屑などを固めて形成されたペレットを燃焼させるペレット燃焼装置、およびペレット燃焼装置を利用する暖房機並びにボイラーに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、木材の切屑などを押し固めて形成されたペレットを燃焼させ、その熱を利用する装置として、たとえば特許文献1に開示されたものがある。
【特許文献1】特開昭57−19504号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
特許文献1に開示された装置では、ペレットの燃焼に直接関与する一次空気の他に、燃焼室内に旋回流を生じさせて未燃焼ガスを燃焼させる二次空気を利用して、燃焼性の向上を図っているが、二次空気のほとんどは、火炎の周囲を旋回するのみで燃焼に直接関与しておらず、さらなる燃焼性の向上が求められている。
【0004】
そこで本発明は、簡単な構造で燃焼性能の高い燃焼装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、燃焼室の下部に備えられた燃焼皿に一次空気を供給して、燃焼皿でペレットを燃焼させるペレット燃焼装置において、燃焼皿は上から見たとき燃焼室の中央に位置しており、燃焼室の周壁から燃焼室内に二次空気を供給して、燃焼室内に中心方向に向かう旋回流を形成させる旋回流形成手段を設けると共に、燃焼皿の上端開口を囲む傾斜面を、燃焼室の上部側に行くにつれて燃焼室の中心側に傾けて設け、旋回流が、傾斜面で、燃焼室内を中心方向に向けて旋回しながら上昇する旋回上昇流に変流されるようにした。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、旋回上昇流は、燃焼皿内で燃焼するペレットの火炎の根本側から火炎周りを旋回しながら上昇するので、火炎にねじれが生じて乱流化し、未燃焼ガスと二次空気との混合が促進されて燃焼性が向上する。また、旋回上昇流が、火炎を燃焼室の中央に集中させると共に、未燃焼ガスを火炎側に導くので、未燃焼ガスの燃焼が促進されて、排熱温度が上昇すると共に、燃焼効率が向上する。よって、燃焼性能の高い燃焼装置となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
次に本発明の実施の形態を詳細に説明する。
図1は、ペレット燃焼装置1の断面図である。図2の(a)は燃焼皿5の上面図であり、図2の(b)は燃焼皿5の側壁孔周りの断面図である。
ペレット燃焼装置1は、燃焼装置本体10と、燃焼装置本体10に木質系のペレットを供給するペレット供給装置2と、燃焼装置本体10に燃焼用空気を送り込むブロワー3とより構成される。
【0008】
燃焼装置本体10は、円筒形状の外側壁42と、外側壁42の上側開口部を覆う天井板43と、外側壁42の下側開口部を覆う底板44とよりなる外側ケース4を備えている。
外側ケース4の内部は、中央の燃焼皿5を支持する隔壁11により上下に区画され、上部空間には外側壁42との間に間隙をおいて天井板43から隔壁11にわたって円筒形状の内側壁41が設けられ、内側壁41に囲まれた燃焼室80を形成している。なお、内側壁41と外側壁42との間の空間は、後述する二次空気室82となっている。
【0009】
燃焼皿5は、円盤形状の火格子54を底壁とし、火格子54の外周縁から上方に行くにしたがって口径が広がる傾斜角で立ち上がる側壁52を有して、側壁52の上端外周縁で隔壁11につながっている。側壁52は上から見たときドーナツ形状を呈している。
【0010】
隔壁11には、燃焼皿5の側壁52の上端の開口57を囲み、上方向へ伸びるガイド51が設けられている。
ガイド51は、上方の燃焼室80側から見てドーナツ形状を呈しており、燃焼室80側の上面は、隔壁11の上面11aに対して傾斜する傾斜面51aとされている。
ガイド51の内周壁51bは、開口57を囲む筒状壁となっており、開口57の直径D2よりも若干大きい径D1を有している。
【0011】
傾斜面51aは、ガイド51の径方向外側に位置する内側壁41側から開口57側に向かうにつれて隔壁11からの高さが高くなっており、燃焼室80の上部側に行くにつれて、燃焼室80の中心側に傾斜している。後記する内側壁41の孔47dから傾斜面51aに向けて吹き出された二次空気の進行方向を、隔壁11に対して平行な方向から、燃焼室80の上部に向かう方向に変流させるためである。
【0012】
実施の形態では、傾斜面51aの隔壁11に対する傾斜角γは、45°とされているが、二次空気の進行方向を、燃焼室80の上部に向かう方向に変流できる角度範囲内であれば、45°以下の任意の傾斜角に設定可能である。
【0013】
ペレット燃焼装置1では、燃焼室80内でペレットを燃焼させる構成であるため、燃焼皿5、隔壁11、内側壁41、外側壁42、天井板43、ガイド51などの材質には耐熱性のある金属や耐火性のある煉瓦等耐熱材や耐火材が用いられる。
燃焼皿5、ガイド51、さらには必要に応じて隔壁11は、プレス加工した複数の部材を一体に組み合わることによって形成される。なお、切削加工等による一体物として形成しても良い。
【0014】
隔壁11により区画された外側ケース4の下部空間には、燃焼皿5を囲んで隔壁11から底板44にわたって円筒形状の区画壁55が設けられ、区画壁55の内側を一次空気室81とし、区画壁55の外側の外側壁42との間の空間を空気導入室83としている。
ペレット供給装置2は、ペレットを収容するホッパー20と、ホッパー20から外側壁42と内側壁41を貫通して燃焼室80内に伸びる供給通路21とより構成され、ホッパー20から供給通路21を通じて、燃焼皿5内にペレットが供給されるようになっている。
【0015】
一次空気室81には、ペレットが燃焼した後の灰を受ける灰受け6が底板44上に載置して設けられている。灰受け6は、燃焼皿5の火格子54と側壁孔61の直下をカバーする広さをもたせるのが好ましい。
灰受け6は区画壁55および外側壁42に設けられた図示しない開閉可能な扉から、外側ケース4の外部に取り出し可能となっている。
【0016】
ブロワー3は、外側壁42を貫通する送風管31Aによって一次空気室81に接続されている。
送風管31Aからは、燃焼装置本体10の外部において送風管31Bが分岐し、送風管31Bは空気導入室83に接続している。隔壁11には、二次空気室82と空気導入室83とを連通させる導入孔56が複数設けられている。
【0017】
燃焼皿5の側壁52は、燃焼皿5に入れられたペレットを効率よく中央に寄せ集めるため、図2の(b)に示すように、火格子54に対して傾斜角αとなっている。傾斜角αとしては45〜65°が望ましい。
火格子54は、複数の格子孔60を備え、また側壁52には、火格子54から所定高さの位置に周方向に複数の側壁孔61が設けられている。側壁孔61の高さ位置は、燃焼皿5に投入されるペレットの最小供給時の堆積高さ以下に設定され、例えば火格子54から隔壁11までの高さの下部から1/3までの範囲内が好ましい。
【0018】
側壁孔61の孔の向きは、図2の(a)に示すように、側壁52の半径線Rに対して傾斜角βとなるように設けられるとともに、図2の(b)に示すように、断面において側壁52の面に対して直角となるように設定されているが、少なくとも側壁孔61からの吹き出しが上向きになっていればよい。また、傾斜角βとしては45°が好ましいが、少なくとも吹き出しが燃焼皿5の側壁52にそって旋回流となるように吹き出るようであればよい。
これにより、ブロワー3から一次空気室81に供給された一次空気は、格子孔60から上方へ向けて吹き出して燃焼皿5内のペレットを上昇させるとともに、側壁孔61からも燃焼皿5内に吹き出して、図2の(a)の例では反時計方向に旋回する旋回流を発生させる。なお、旋回する方向については、一次空気も強制旋回させるように供給される場合、一次空気と二次空気との旋回方向が同じであればよく、図2の(a)の例に限られず、時計方向でもよい。
図1、図2における実線矢印は一次空気の流れを示している。
【0019】
つぎに、図1に示すように、内側に燃焼室80を形成し外側に二次空気室82を形成する内側壁41には、上下方向に孔47a、47b、47c、47dを並べた空気孔組47が、周方向の対向する位置に設けられている。空気孔組47の各孔の向きは燃焼室80の中心に向かっており、上下方向には内側壁41の面に対して直角となっているが、少なくとも下向きでなければよい。
【0020】
孔47a〜47dは、内側壁41の上下方向で、等間隔で設けられている。孔47dは、ガイド51の隔壁11からの突出高さhの半分の高さ位置(1/2h)に設けられており、ガイド51の傾斜面51aに対向している。孔47dから燃焼室80内に吹き出された二次空気が、傾斜面51aの高さ方向の略中間部に吹き付けられるようにするためである。
なお、孔47a〜47cは、燃焼室80内において、ガイド51よりも上方に位置しており、孔47a〜47cから燃焼室80内に吹き出された二次空気が、火炎の高さに合わせて供給されるようになっている。孔47a〜47cから吹き出された二次空気で、後記する旋回流を形成し、孔47dから吹き出された二次空気で、後記する旋回上昇流を形成するようにするためである。
【0021】
図3は、燃焼室80内に形成される旋回流を説明する図であって、(a)は、図1における要部拡大図、(b)は、(a)におけるX−X矢視図である。なお、図3の(a)、(b)では共に、一次空気の流れの図示を省略しており、さらに(b)では、燃焼室80の下部に位置する燃焼皿5および隔壁11の図示を省略している。
図4は、燃焼室80内に形成される旋回上昇流を説明する図であって、(a)は、図1における要部拡大図、(b)は、(a)におけるY−Y矢視図である。なお、(a)、(b)では共に、一次空気の流れの図示を省略している。
【0022】
内側壁41の内側には、空気孔組47の孔列にそって、ルーバー45が設けられている。図3の(b)に示すように、ルーバー45は、燃焼室80を上側から見て、空気孔組47にかぶさるように孔の向きに対して傾斜角δとなっている。ルーバー45の傾斜方向は燃焼皿5における側壁孔61の向きと同方向であり、傾斜角δとしては45°が望ましい。空気孔組47の孔数はペレット燃焼装置1の設計発熱量に合わせて設定される。
実施の形態では、ルーバー45は、空気孔組47毎に設けられているが、空気孔組47を構成する孔47a〜47d毎に設けていても良い。さらに、旋回流を形成する二次空気を吹き出す孔47a〜47c用のルーバーと、旋回上昇流を形成する二次空気を吹き出す孔47d用のルーバーとを別々に設けるようにしても良い。
【0023】
図1に示すように、送風管31Bから空気導入室83を経て、隔壁11の導入孔56から二次空気室82に供給された二次空気は、空気孔組47から燃焼室80内に吹き出される。空気孔組47から吹き出された二次空気は、ルーバー45によってその傾斜にそった方向に変流される。
これにより、例えば図3の(b)に示すように、孔47bから吹き出された二次空気の流れ方向は、ルーバー45により図中符号B1で示す方向に変流され、図3の(a)に示すように、燃焼室80内において破線矢印Bで示すような反時計回りの旋回流を形成する。孔47a、47cから吹き出された二次空気についても、同様である。
【0024】
一方、図4の(b)に示すように、孔47dから吹き出された二次空気の流れ方向は、ルーバー45により、燃焼室80内を反時計周りに旋回する旋回流を形成する方向C1に変流される
ここで、実施の形態では、符号C1で示す流れ方向は、燃焼室80を上方から見て、ガイド51の内周壁51bが描く円の接線Lに沿う方向、またはこの接線Lに沿う方向よりも燃焼皿5の中心O側に向かう方向となるように設定されているので、符号C1で示す方向に変流された二次空気は、ガイド51の傾斜面51aに吹き付けられる。
【0025】
ここで、傾斜面51aは、燃焼室80の中心に向かうにつれて、隔壁11からの突出高さが高くなるように傾斜している。そのため、ルーバー45により変流された二次空気の流れ方向C1は、傾斜面51aによりさらに変流されて、燃焼室80内で中心方向に向かって反時計周りに方向に旋回しながら上昇する旋回上昇流Cとされる。
ここで、空気は面に沿って流れる性質があるため、傾斜面51aから離れた二次空気の一部は、内周壁51bに沿って流れ、燃焼皿5の火炎の根元に旋回しながら流れ込むことになる。
したがって、孔47dから吹き出されて旋回する二次空気は、火炎の根本側から火炎周りを旋回しながら、燃焼室80の上部側に向けて上昇する。
【0026】
図1に示すように、燃焼室80の内部において、天井板43には、熱取出孔46と対向する位置に金属製のバッフル7が吊下部材71によって取り付けられている。
バッフル7はプレス加工等によって円錐形状に形成され、円錐形状の先端側が燃焼皿5側を向くように配置されている。
【0027】
つぎに、以上の構成になるペレット燃焼装置1の動作について説明する。
図5は、ペレットを燃焼させた際の模式図である。
【0028】
図5に示すように、ペレット供給装置2から燃焼室に供給されたペレット100は、燃焼皿5上で燃焼する。
燃焼皿5内には、火格子の格子孔60および側壁の側壁孔61から一次空気が吹き出されるので、ペレット100が持ち上げられ、かつ吹き出された一次空気による旋回流Aにより旋回させる力が作用して、攪拌状態が生成される。この際、側壁孔61からの一次空気の吹き出し方向も水平方向ではなく上向きに傾斜しているので、ペレット持ち上げに貢献する。
【0029】
これにより、燃焼皿5内のペレット100には燃焼に必要な一次空気が偏りなく万遍に供給される。
燃焼するペレット100の火炎は、燃焼皿5の上端開口縁近傍に設けられたガイド51の内周壁51bにより燃焼室80の内側壁41へ拡がって延びることが阻止され、燃焼室80の中央へガイドされる。
【0030】
また、孔47dから吹き出された二次空気が、ガイド51の傾斜面51aにより、火炎の根本側から上方に立ち上がる一次空気の旋回と同方向の旋回上昇流Cを形成し、さらにその一部が内周壁51bに沿って燃焼皿5内に流れ込んで、火炎の根本から上方に立ち上がる旋回上昇流Cとなるので、これら旋回上昇流Cにより火炎にねじれが生じて、火炎が乱流化し、未燃焼ガスと二次空気との混合が促進されるので、燃焼性が向上する。
さらに、燃焼室80には、二次空気が、内側壁41の孔47a〜47cから一次空気の旋回と同方向の旋回流Bとして吹き出されるので、2つの旋回流による相乗効果で火炎が燃焼室中央に集中し、未燃焼ガスも火炎部に集中して燃焼効率が向上する。
【0031】
また、図1に示した天井の熱取出孔46に設けられたバッフル7により、燃焼ガスは直ちに外部へ排出されることなく、燃焼ガスの一部が再び火炎部に戻されるから、これらが相俟って未燃焼ガスが完全燃焼する。
燃焼皿5内でペレットが燃焼した後の灰は、格子孔60および側壁孔61を通して灰受け6に溜まる。
【0032】
本実施の形態においては、内側壁41が発明における燃焼室の周壁に該当し、開口57が発明における上端開口に該当し、孔47a〜47dが発明における空気孔に該当する。また、孔47a〜47dとルーバー45とで、発明における旋回流形成手段を構成している。
【0033】
本実施の形態は以上のように構成され、燃焼室80の下部に備えられた燃焼皿5に一次空気を供給して、燃焼皿5でペレットを燃焼させるペレット燃焼装置1において、燃焼皿5を燃焼室80の中央に位置させ、内側壁41に設けた孔47dとルーバー45とにより、燃焼室80の内側壁41から燃焼室80内に二次空気を供給して、燃焼室80内に燃焼室の中心方向に向かう旋回流を形成させると共に、燃焼室80の上部側に行くにつれて燃焼室80の中心側に傾く傾斜面51aを、燃焼皿5の開口57を囲むように設けて、旋回流が、傾斜面51aにより、燃焼室80内部を燃焼室の中心方向に向けて旋回しながら上昇する旋回上昇流に変流されるようにした。
これにより、燃焼室80内に形成される旋回上昇流は、燃焼皿5内で燃焼するペレットの火炎の根本側から火炎周りを旋回しながら上昇するので、火炎にねじれが生じて乱流化し、未燃焼ガスと二次空気との混合が促進されて燃焼性が向上する。また、旋回上昇流が、火炎の高さ方向の全体をカバーして、火炎を燃焼室80の中央に集中させると共に、未燃焼ガスを火炎側に導くので、未燃焼ガスの燃焼を促進されて、排熱温度が上昇すると共に、燃焼効率が向上する。
【0034】
さらに、燃焼皿5の開口57を囲む傾斜面51aの燃焼皿5側の内縁を、開口を囲む同一の径の内周壁51bの上端に接続し、傾斜面51aに達した旋回流の一部が、内周壁51bに沿って燃焼皿5の中心方向に旋回しながら流入するようにした。
これにより、旋回流の一部が、内周壁51bに沿って流れて、燃焼皿5の火炎の根元に旋回しながら流れ込んだのち、火炎の根本から火炎周りを旋回しながら上昇する旋回上昇流を形成するので、未燃焼ガスと二次空気との混合が更に促進されて燃焼性が向上する。
【0035】
ここで、傾斜面51aおよび内周壁51bは、燃焼皿5の開口57を囲んで上方に延びるガイド51に設けられており、ガイド51の内周壁51bは、燃焼皿5の開口57を囲む筒状壁となっている構成としたので、ペレットの火炎が横方向に広がって燃焼室80の内側壁41をなめることを防止し、火炎を中央に集中させて熱損失を低減することができる。
【0036】
燃焼室80の内側壁41には、上下方向に複数の孔47a〜47dが設けられており、燃焼室80の下部側に設けられた孔47dのみを、ガイド51の傾斜面51aに対向する位置に設けて、孔47dから吹き出された二次空気により形成された旋回流のみが、傾斜面51aで旋回上昇流に変流されるようにした。
これにより、孔47a〜47cからの二次空気により形成される旋回流と、孔47dからの二次空気により形成される旋回上昇流の両方が、燃焼室80内に形成される。よって、旋回流と旋回上昇流の相乗効果により、火炎が燃焼室の中央に集中するので、未燃焼ガスの燃焼が促進されると共に、排熱温度が上昇して燃焼効率が向上する。
【0037】
さらに、燃焼室80の内側壁41の上下方向に複数組設けられた孔47a〜47dから吹き出された二次空気を、内側壁41に対して傾斜させたルーバー45によって、ルーバー45の傾斜に沿った方向に変流させて、燃焼室80内を周方向に沿って流れる旋回流とするので、燃焼室80内の未燃焼ガスを燃焼するペレットの火炎部に集中させて再燃焼させることができるとともに、燃焼温度を上昇させて熱交換効率を向上させることができる。
【0038】
また、燃焼室80の下部中央に位置させた燃焼皿5が、火格子54と、火格子54の外周縁から傾斜して立ち上がり上方に行くにしたがって口径を広げる側壁52とからなり、火格子54には複数の格子孔60が設けられ、側壁52には燃焼皿5を上から見たときに火格子54の中心に向かう直線R(図2参照)に対して傾斜させた側壁孔61が複数設けられ、燃焼皿5の下側に形成された一次空気室81から格子孔60および側壁孔61を通して燃焼皿5内に一次空気を供給して、燃焼皿5内に、燃焼室80内に形成される旋回流の旋回方向と同方向の旋回流を生成させる構成とした。
これにより、空気が行き渡りにくいペレットと燃焼皿5との接触部分にも空気を供給することができ、ペレットの燃焼効率を向上させることができる。
さらに、側壁孔61により燃焼皿5内に旋回流を生成するように構成したので、ペレットの燃焼時に着火位置が中央位置からずれていたとしても、延焼過程におけるペレットの崩落により、燃焼皿5の中央に火炎を集中させ、高温化を維持することができる。
また、燃焼が進んでくるとペレットは灰となるが、同じく側壁孔61による旋回流と格子孔60からの吹き上げが燃焼皿5内の灰を浮かせて攪拌させるので、タール分などを含む灰が格子孔60や側壁孔61などに付着し固化して各孔を塞いでしまうことを防止することができる。
とくに、火格子54は円盤状であって、側壁52は火格子54と同心の円錐面をなし、これに合わせてガイド51の内周壁51bも火格子54と同心の円筒形状をなしている構成としたので、一次空気による滑らかな旋回流が得られる。
【0039】
図6の(a)は、旋回流形成手段の変形例を説明する図であり、(b)は、(a)におけるZ−Z矢視図である。
変形例にかかる旋回流形成手段は、燃焼室80の内側壁41に設けられた空気孔組47’(47a’〜47d’)から構成され、空気孔組47’を構成する孔47a’〜47d’の各々は、燃焼室80の中心Oを通る半径線R2に対して、傾斜角δ’(例えば45°)を持つように設けられている。ルーバー45(図1参照)を設けずに、燃焼室80内に旋回流を直接形成するためである。
【0040】
空気孔組47’を構成する孔47a’〜47d’のうち、孔47d’のみが、ガイド51の傾斜面51aに対向して設けられており、孔47’から燃焼室80内に吹き出させた二次空気のみが、傾斜面51aで変流されて、燃焼室80内に旋回上昇流を形成し、他の孔47a’〜47c’から吹き出させた二次空気は、燃焼室80内に旋回流を形成するようになっている。
このようにすることによっても、燃焼室80内に旋回上昇流と旋回流とが形成されるので、燃焼性と燃焼効率の向上などの前記実施の形態の場合と同様の効果が奏されることになる。
また、内側壁41に設けていたルーバーを省略できるので、部品点数を減少させて、ペレット燃焼装置の作製コストの低減に寄与することができる。
【0041】
なお、実施の形態における傾斜角α、β、γ、δ、δ’についてはとくに好ましい角度値を例示したが、本発明は例示の値に限定されず、状況に応じて任意の角度を選択することができる。
【0042】
図7は、ガイドの変形例を説明する図である。
図7の(a)に示す変形例に係るガイド58では、図1に示したガイド51の内周壁51bと異なり、内周壁58bが上方に行くにしたがって口径を広げるように傾斜して設けられている。そして、この内周壁51bの上端は、燃焼皿5の開口57を囲む傾斜面58aと接続している。
かかる構成のガイド58を採用すると、孔47dから吹き出させた二次空気の流れ方向C1が、傾斜面58aで変流させられて、燃焼室80内を中心に向かって旋回しながら上昇する旋回上昇流Cとされる。さらに、傾斜面58aから離れた二次空気の一部が、内周壁58bに沿って流れ、燃焼皿5の火炎の根元に旋回しながら流れ込むことになる。
ここで、変形例に係るガイド58の内周壁58bは、図1に示したガイド51の隔壁11に対して垂直な内周壁51bと異なり、隔壁11に対して傾斜しているので、ガイド51の場合よりも、傾斜面58aから離れた二次空気が燃焼皿5の火炎の根元に流れ込みやすくなる。
【0043】
このように、変形例に係るガイド58では、内周壁58bが上方に行くにしたがって口径を広げるように傾斜して設けられている構成としたので、燃焼皿5の火炎の根元に、旋回しながら燃焼皿5の中心側に向かう二次空気を十分に供給することができ、火炎の根本から立ち上がる旋回上昇流がより大きな流れとなる。よって、未燃焼ガスと二次空気との混合が更に促進されて燃焼性が向上する。
【0044】
さらに、図7(b)に示す変形例では、ガイド51の代わりにリング状のガイド51Aが、燃焼皿5の開口57を所定間隔で囲むように設けられており、このガイド51Aの外周面に、燃焼室80側の上面が傾斜面59aとされたリング状の傾斜部材59が外挿して固定されている。
傾斜部材59の傾斜面59aは、燃焼室80の上側に向かうにつれて、燃焼室80の中心側に傾斜している。
このようにすることによっても、孔47dから吹き出させた二次空気の流れ方向C1を、傾斜面59aで変流させて、燃焼室80内を旋回しながら上昇する旋回上昇流Cを形成することができるので、前記実施の形態の場合と同様の効果が奏されることになる。
【0045】
また、傾斜面59aの隔壁11に対する傾斜角γが異なる傾斜部材59を複数用意しておくことで、傾斜部材59を交換するだけで、燃焼室80内の容積などに応じた最適な角度で、燃焼室80内を上昇する旋回上昇流を形成することができる。
また、ペレットの火炎の広がりを防ぐことのみを目的として、傾斜面のないリング状のガイドのみが設けられたペレット燃焼装置であっても、傾斜部材59をリング状のガイドに外挿して取り付けるだけで、燃焼室内に旋回上昇流を形成させて、燃焼効率を向上させることができるようになる。
【0046】
また、実施の形態のように、燃焼皿の火格子は円盤状とし、側壁は円錐面、ガイドも円筒形状とするのが一次空気の滑らかな旋回流を得るのに最も好ましいが、製作の都合などによっては、火格子、側壁およびガイドのいずれかあるいはすべてを多角形状としてもよく、この場合にも相当程度の旋回流を得ることができる。
【0047】
また、バッフル7については、吊下部材71の長さを可変とするなどにより、バッフル7と天井板43の隙間を調節できるようにすれば、熱取出孔46を通って外部へ排出される燃焼ガスの流れを制御することができ、ペレットの燃焼特性などが異なる場合であっても最適な燃焼状態を得ることができる。
【0048】
なお、本発明にかかるペレット燃焼装置は、ペレット燃焼装置を利用する種々の装置に適用可能であり、例えば、燃焼室80内の上部に図示しないボイラー装置の熱交換器を設置したり、熱取出孔46を図示しないボイラー装置の熱交換器に接続したりし、燃焼熱で水などの熱媒を加熱するようにしたボイラーに適用できる。また、燃焼装置本体10の外形を必要に応じて長方形や小判形とし、燃焼室80内の上部に図示しない室内空気との熱交換器を設け、熱交換された空気で室内を暖房するようにした暖房機などに好適に適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】ペレット燃焼装置を示す縦断面図である。
【図2】燃焼皿を示す図である。
【図3】燃焼室内に形成される旋回流を説明する図である。
【図4】燃焼室内に形成される旋回上昇流を説明する図である。
【図5】ペレットの燃焼状態を示す図である。
【図6】旋回流形成手段の変形例を説明する図である。
【図7】傾斜面の変形例を説明する図である。
【符号の説明】
【0050】
1 ペレット燃焼装置
2 ペレット供給装置
3 ブロワー
4 外側ケース
5 燃焼皿
7 バッフル
10 燃焼装置本体
11 隔壁
20 ホッパー
21 供給通路
31A、31B 送風管
41 内側壁(周壁)
42 外側壁
43 天井板
44 底板
45 ルーバー
46 熱取出孔
47、47’ 空気孔組
47a〜47d、47a’〜47d’ 孔(空気孔)
51、51A、58 ガイド
51a、58a 傾斜面
51b、58b 内周壁
52 側壁
54 火格子
55 区画壁
56 導入孔
57 開口
59 傾斜部材
59a 傾斜面
60 格子孔
61 側壁孔
71 吊下部材
80 燃焼室
81 一次空気室
82 二次空気室
83 空気導入室
100 ペレット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃焼室の下部に備えられた燃焼皿に一次空気を供給して、前記燃焼皿でペレットを燃焼させるペレット燃焼装置において、
前記燃焼皿は上から見たとき前記燃焼室の中央に位置しており、
前記燃焼室の周壁から前記燃焼室内に二次空気を供給して、前記燃焼室内に中心方向に向かう旋回流を形成させる旋回流形成手段を設けると共に、
前記燃焼皿の上端開口を囲む傾斜面を、前記燃焼室の上部側に行くにつれて前記燃焼室の中心側に傾けて設け、
前記旋回流が、前記傾斜面で、前記燃焼室内を中心方向に向けて旋回しながら上昇する旋回上昇流に変流されるようにしたことを特徴とするペレット燃焼装置。
【請求項2】
前記傾斜面の燃焼皿側の内縁を、前記上端開口を囲む内周壁の上端に接続し、前記傾斜面に達した旋回流の一部が、前記周壁に沿って前記燃焼皿の中心方向に旋回しながら流入するようにしたことを特徴とする請求項1に記載のペレット燃焼装置。
【請求項3】
前記内周壁は、同一径、または上方に行くにしたがって口径を広げるように形成されていることを特徴とする請求項2に記載のペレット燃焼装置。
【請求項4】
前記傾斜面は、前記燃焼皿の上端開口を囲んで上方に延びるガイドに設けられていることを特徴とする請求項1から請求項3の何れか一項に記載のペレット燃焼装置。
【請求項5】
前記旋回流形成手段は、前記燃焼室の周壁の上下方向で複数設けられており、
前記燃焼室の下部側に設けられた旋回流形成手段を、前記傾斜面に対向する位置に設けたことを特徴とする請求項1から請求項4の何れか一項に記載のペレット燃焼装置。
【請求項6】
前記旋回流形成手段は、
前記燃焼室の周壁の周方向で複数設けられた空気孔と、
前記燃焼室の周壁に設けられ、前記空気孔を通って前記燃焼室内に吹き出される二次空気の向きを旋回方向に変流するルーバーと、を有することを特徴とする請求項1から請求項5の何れか一項に記載のペレット燃焼装置。
【請求項7】
前記旋回流形成手段は、
前記燃焼室の周壁の周方向で複数設けられた空気孔であり、
前記空気孔は、前記燃焼室の中心に向かう直線に対して所定角傾いて形成されていることを特徴とする請求項1から請求項6の何れか一項に記載のペレット燃焼装置。
【請求項8】
前記燃焼皿は、火格子と、該火格子の外周縁から第1の傾斜角で立ち上がり上方に行くにしたがって口径を広げるように形成された側壁とからなり、
前記火格子には複数の格子孔が設けられ、前記燃焼皿の側壁には前記燃焼皿を上から見たときに前記火格子の中心に向かう直線に対して第2の傾斜角方向に向いた側壁孔が複数設けられ、
前記格子孔および側壁孔を通して前記燃焼皿内に一次空気を供給して、前記燃焼皿内に、前記旋回流の旋回方向と同方向の旋回流を生成するように構成したことを特徴とする請求項1から請求項7の何れか一項に記載のペレット燃焼装置。
【請求項9】
請求項1から請求項8の何れか一項に記載のペレット燃焼装置を利用する暖房機。
【請求項10】
請求項1から請求項8の何れか一項に記載のペレット燃焼装置を利用するボイラー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−139167(P2010−139167A)
【公開日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−316149(P2008−316149)
【出願日】平成20年12月11日(2008.12.11)
【出願人】(000219233)東プレ株式会社 (91)
【Fターム(参考)】