説明

ペロブスカイト型触媒及びその製造方法

【課題】比表面積と細孔容積が大きく、触媒活性に優れたペロブスカイト型触媒及びその製造方法を提供すること。
【解決手段】ペロブスカイト型複合酸化物からなるペロブスカイト型触媒1及びその製造方法である。ペロブスカイト型触媒は、混合工程と焼成工程と酸処理工程とを行って製造する。混合工程においては、AサイトとBサイトが1:1となるペロブスカイト型複合酸化物の理論組成ABO3に比べて、Aサイトが大きくなるような化学量論比でAサイト源とBサイト源とを混合して混合粉を得る。焼成工程においては混合粉を焼成して焼成粉を得る。酸処理工程においては、焼成粉をpH2以上7未満の酸で酸処理することにより上記ペロブスカイト型触媒1を得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ペロブスカイト型複合酸化物からなるペロブスカイト型触媒及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、一般式ABO3で表されるペロブスカイト型複合酸化物からなるペロブスカイト型触媒は、例えばディーゼルエンジンの排気ガスを浄化する排ガス浄化触媒や水を光エネルギーにより水素と酸素に分解する光触媒等に用いられている。このようなペロブスカイト型触媒としては、AサイトにLa等の希土類元素やSr等のアルカリ土類元素、Bサイトに各種遷移元素を含有するものが知られている(特許文献1〜3参照)。
【0003】
ペロブスカイト型複合酸化物は、Aサイトを構成する元素を含むAサイト源と、Bサイトを構成する元素を含むBサイト源とを混合し、焼成することにより得られる。
ペロブスカイト型触媒としては、より活性が高いものが望まれるため、焼成によって得られるペロブスカイト型酸化物を粉砕したり、合成条件(ゾル−ゲル法)を調整したり、酸処理を施すことにより、ペロブスカイト型酸化物の微粒化や比表面積の増大化が検討されていた(特許文献1〜3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−321923号公報
【特許文献2】特開2003−260356号公報
【特許文献2】特開平9−267040号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、ペロブスカイト型酸化物の触媒粉末を粉砕する手法においては、粉砕によりペロブスカイト構造が破壊されてむしろ触媒活性を低下させてしまうおそれがある。また、合成条件を調整する手法においては、触媒自体の比表面積は増加するものの、触媒を例えば担体に担持したときに、触媒活性点が少なくなるおそれがある。また、ペロブスカイト型酸化物を酸処理する手法においては、触媒構造が破壊され、触媒活性が低下してしまうおそれがある。
【0006】
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたものであって、比表面積と細孔容積が大きく、触媒活性に優れたペロブスカイト型触媒及びその製造方法を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の発明は、ペロブスカイト型複合酸化物からなるペロブスカイト型触媒の製造方法であって、
AサイトとBサイトが1:1となるペロブスカイト型複合酸化物の理論組成ABO3に比べて、Aサイトが大きくなるような化学量論比でAサイト源とBサイト源とを混合して混合粉を得る混合工程と、
上記混合粉を焼成して焼成粉を得る焼成工程と、
上記焼成粉をpH2以上7未満の酸で酸処理することにより上記ペロブスカイト型触媒を得る酸処理工程とを有することを特徴とするペロブスカイト型触媒の製造方法にある(請求項1)。
【0008】
第2の発明は、第1の発明の製造方法によって得られることを特徴とするペロブスカイト型触媒にある(請求項6)。
【発明の効果】
【0009】
上記ペロブスカイト型触媒は、上記混合工程と上記焼成工程と上記酸処理工程とを行うことによって得られる。
上記混合工程においては、上記理論組成ABO3に比べて、Aサイトが大きくなるような化学量論比でAサイト源とBサイト源とを混合して混合粉を得る。そのため、上記焼成工程においては、上記ペロブスカイト型複合酸化物を生成させることができると共に、過剰に混合された上記Aサイト源がペロブスカイト型複合酸化物の未反応成分となって上記ペロブスカイト型複合酸化物の結晶粒界に未反応成分の異相を生成させることができる。即ち、上記混合工程と上記焼成工程とを行うことにより、未反応成分の異相を積極的に生成させることができる。
【0010】
次いで、上記酸処理工程を行うと、未反応成分の異相が除去され、除去された部分に細孔を形成して多孔質化させることができる。その結果、比表面積及び細孔容積の大きなペロブスカイト型触媒を得ることができる。該ペロブスカイト型触媒においては、単位重量あたりの触媒活性点が増大し、優れた触媒活性を発揮することができる。
【0011】
このように、本発明においては、比表面積と細孔容積が大きく、触媒活性に優れたペロブスカイト型触媒及びその製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】実施例1における、各ペロブスカイト型触媒のX線回折パターンを示す説明図。
【図2】実施例2における、ペロブスカイト型触媒の全体形状を示す説明図(a)、ペロブスカイト型触媒の表面における拡大断面形状を示す説明図(b)。
【発明を実施するための形態】
【0013】
次に、本発明の好ましい実施形態について説明する。
上記ペロブスカイト型触媒は、上述のごとく上記混合工程と上記焼成工程と上記酸処理工程とを行うことにより得ることができる。
上記混合工程においては、上記Aサイト源と上記Bサイト源とを、上記ペロブスカイト型複合酸化物の理論組成ABO3に比べてAサイトが大きくなるような化学量論比で混合する。即ち、上記ペロブスカイト型複合酸化物のBサイトに対するAサイトの比A/Bが1よりも大きくなるような化学量論比で上記Aサイト源と上記Bサイト源とを混合する。
【0014】
上記Aサイト源と上記Bサイト源とを、上記ペロブスカイト型複合酸化物の理論組成の化学量論比、即ちBサイトに対するAサイトの比A/B=1で混合した場合、又はA/B<1となる化学量論比で混合した場合には、酸処理工程を行っても十分に多孔質化されなくなるおそれがある。また、上記酸処理工程においてペロブスカイト型構造が破壊され、上記ペロブスカイト型触媒の触媒活性が低下してしまうおそれがある。
【0015】
上記混合工程においては、上記ペロブスカイト型複合酸化物のBサイトに対するAサイトの比A/Bが1.5〜10となるように上記Aサイト源と上記Bサイト源との混合を行うことが好ましい(請求項2)。
A/Bが1.5未満の場合には、上記ペロブスカイト型触媒を十分に多孔質化させることが困難になるおそれがある。一方、A/Bが10を超える場合には、上記焼成工程後に未反応成分の異相の生成量が多くなりすぎて、上記酸処理工程において除去される異相が多くなり、かえって多孔質部分が減少してしまうおそれがある。上記ペロブスカイト型複合酸化物のBサイトに対するAサイトの比A/Bは、より好ましくは1.8以上がよく、さらにより好ましくは2.5以上がよい。
【0016】
上記ペロブスカイト型酸化物としては、例えばAサイトにLa等の希土類元素及びアルカリ土類元素を含有し、Bサイトに元素の周期表の第4周期の遷移元素を含有するものがある。
好ましくは、上記ペロブスカイト型複合酸化物は上記Aサイトに少なくともLaとアルカリ土類金属元素とを含有し、上記BサイトにCo、Fe、及びMnから選ばれる少なくとも1種を含有し、上記Aサイト源としては少なくともLa源及びアルカリ土類金属元素源を用い、上記Bサイト源としては少なくともCo源、Fe源、及びMn源から選ばれる少なくとも1種を用いることがよい(請求項3)。
この場合には、上記ペロブスカイト型触媒は、排ガスの浄化に好適なものになる。上記ペロブスカイト型触媒は、排ガス中に含まれるCO、NOx、パティキュレートマター(PM)等の浄化に用いることができる。
【0017】
また、上記ペロブスカイト型触媒は、例えばハニカム構造の多孔質の基材に担持して用いることができる。
上記ペロブスカイト型触媒を例えば排ガス浄化触媒として用いる場合には、上記基材としては、例えば外周壁と、該外周壁の内側に多角形格子状に設けられた多孔質隔壁と、該多孔質隔壁により仕切られた複数のセルとを有する多孔質基材を用いることができる。この場合には、該多孔質基材の上記多孔質隔壁などに上記ペロブスカイト型触媒を担持して用いることができ、上記多孔質隔壁によって区画された上記セルは排ガス流路を形成することができる。
【0018】
また、上記混合工程において、上記Aサイト源及び上記Bサイト源としては水溶性のものを採用し、上記Aサイト源と上記Bサイト源との混合は水性媒体中で行い、混合後に蒸発乾固させることにより上記混合粉を得ることが好ましい(請求項4)。
この場合には、上記混合工程において、上記Aサイト源と上記Bサイト源を偏りなく混合することができ、均一性の高い上記混合粉を得ることができる。そのため、上記焼成工程を行ったときに、Aサイト源とBサイト源の反応性が高くなり、上記ペロブスカイト型酸化物の収率を向上させることができる。
【0019】
水溶性の上記Aサイト源及び上記Bサイト源としては、例えば金属塩を採用することができる。具体的には、上記ペロブスカイト型複合酸化物のAサイト及びBサイトにおける各金属元素の硝酸塩、硫酸塩、及び塩化物塩等の無機酸塩、又は酢酸塩等を用いることができる。
【0020】
好ましくは、上記水性媒体中には、クエン酸、リンゴ酸、乳酸、シュウ酸、及びコハク酸等から選ばれる少なくとも1種の有機酸を加えることが好ましい。この場合には、上記水性媒体中において有機酸が上記Aサイト源及び上記Bサイト源の各金属イオンと錯体を形成させることができる。そのためこの場合には、上記混合工程における蒸発乾固後に、上記Aサイト源と上記Bサイト源の各金属元素がより一層偏り無く均一に混合した上記混合粉を得ることができる。その結果、上記ペロブスカイト型化合物の収率をより一層向上させることができる。
【0021】
次に、上記焼成工程においては、上記混合粉を焼成して、ペロブスカイト型複合酸化物を含む焼成粉を得る。
上記焼成工程においては、所望のペロブスカイト型複合酸化物が生成する焼成温度で上記混合粉を焼成することができる。例えば温度700〜1000℃で焼成を行うことができる。
【0022】
また、上記混合工程と上記焼成工程との間には、上記混合粉を仮焼する仮焼工程を行うことが好ましい。該仮焼工程においては、上記混合粉を例えば300〜500℃で加熱することができる。上記仮焼工程を行うことにより、上記混合粉中に含まれる酸や有機物等を上記焼成工程の前に除去しておくことができる。
【0023】
次に、上記酸処理工程においては、上記焼成工程において得られる上記焼成粉をpH2以上7未満の酸で酸処理することにより多孔質の上記ペロブスカイト型触媒を得る。
上記酸処理工程における酸のpHが2未満の場合には、上記焼成粉の粒子全体が表面から溶解し、多孔質化せずに粒径が小さくなるおそれがある。そのため、触媒活性を十分に向上させることができなくなるおそれがある。上記酸処理工程における酸のpHはより好ましくは2.3以上がよく、さらにより好ましくは2.5以上がよい。
また、上記酸のpHが7に近づくにつれて多孔質化に要する時間が長くなり、多孔質化が十分に起こり難くなるという観点から、上記酸処理工程における酸のpHはより好ましくは6以下がよく、さらにより好ましくは5以下がよい。
【0024】
上記酸処理工程は、例えば温度30〜100℃で行うことができる。
温度100℃超える場合には、酸が蒸発し、多孔質化が起こり難くなるおそれがある。一方、30℃未満の場合には、多孔質化に要する時間が長くなるおそれがある。より好ましくは、50〜80℃で行うことがよい。
【0025】
上記酸処理工程においては、上記焼成粉をクエン酸、リンゴ酸、酢酸、及びシュウ酸から選ばれる少なくとも1種の水溶液中に浸漬することが好ましい(請求項5)。
この場合には、上記焼成粉を多孔質化させやすくなり、比表面積が高くかつ細孔容積が大きな上記ペロブスカイト型触媒を得やすくなる。
【実施例】
【0026】
(実施例1)
本例においては、混合工程と焼成工程と酸処理工程とを行ってペロブスカイト型複合酸化物からなるペロブスカイト型触媒を製造する例である。特に、本例においては、特定の化学量論比にて配合を行って得られる混合粉を焼成し、酸処理することによる有意性を検討する。
【0027】
本発明の実施例のペロブスカイト型触媒の作製にあたっては、上記混合工程において、AサイトとBサイトが1:1となるペロブスカイト型複合酸化物の理論組成ABO3に比べて、Aサイトが大きくなるような化学量論比でAサイト源とBサイト源とを混合して混合粉を得る。また、上記焼成工程においては、上記混合粉を焼成して焼成粉を得る。また、上記酸処理工程においては、上記焼成粉をpH2以上7未満の酸で酸処理することにより多孔質の上記ペロブスカイト型触媒を得る。
【0028】
具体的には、まず、Aサイト源として、La(NO3)3・6H2O及びSr(NO3)2を準備し、Bサイト源としてCo(NO3)2・6H2Oを準備した。そして、これらのAサイト源及びBサイト源を、後述の焼成後にLa0.8Sr1CoO3が生成する化学量論比にて300mlの蒸留水に添加した。具体的には、La(NO3)3・6H2Oを92.35g、Sr(NO3)2を57.56g、Co(NO3)2・6H2Oを77.92g添加した。さらに、蒸留水中にはクエン酸1水和物を112.51g添加し、ホットプレートスターラーで温度150℃に加熱しながら撹拌し、Aサイト源、Bサイト源、クエン酸を蒸留水中に溶解させた。次いで、混合液を温度250℃で3〜5時間加熱し、蒸発乾固させて混合粉を得た(混合工程)。
【0029】
次に、混合粉を温度400℃で2時間仮焼し、次いで温度800℃で5時間焼成した(焼成工程)。次いで、焼成粉を高速振動ミルにより粉砕し、粉砕後の焼成粉を試料P1とする。
この焼成粉(試料P1)10gを濃度1.0mol/K、pH2.5の酢酸水溶液(500ml)中に添加し、ホットプレートスターラーで温度70℃に加熱しながら1時間撹拌することにより酸処理を行った(酸処理工程)。
酸処理後に濾過し、濾紙上で乾燥させ、焼成温度以下の温度(700℃)で5時間熱処理することにより、濾紙を燃焼させた。これにより、ペロブスカイト型触媒を得た。これを試料E1とする。
【0030】
次に、上記試料E1とは混合工程におけるAサイト源とBサイト源との配合割合を変更し、その他は、上記試料E1と同様にしてペロブスカイト型触媒(試料E2)を作製した。
即ち、試料E2の作製にあたっては、まず、Aサイト源(La(NO3)3・6H2O、Sr(NO3)2)及びBサイト源(Co(NO3)2・6H2O)を、焼成後にLa1.6Sr1CoO3が生成する化学量論比、具体的にはLa(NO3)3・6H2Oを184.70g、Sr(NO3)2を57.56g、Co(NO3)2・6H2Oを77.92g蒸留水中に添加した点を除いては、上記試料E1と同様にして混合工程を行い、混合粉を得た。次いで、上記試料E1と同様にして、焼成工程を行うと共に焼成粉を粉砕した。このようにして得られた焼成粉を試料P2とする。さらに、上記試料E1と同様にして酸処理工程を行い、ペロブスカイト型触媒(試料E2)を得た。
【0031】
また、試料E1及び試料E2の比較用として、AサイトとBサイトが1:1となる理論組成のペロブスカイト型複合酸化物からなるペロブスカイト型触媒(試料C)を作製した。試料Cは、酸処理工程を行わずに作製したペロブスカイト型触媒である。
即ち、試料Cの作製にあたっては、まず、Aサイト源(La(NO3)3・6H2O、Sr(NO3)2)及びBサイト源(Co(NO3)2・6H2O)を、焼成後にLa0.8Sr0.2CoO3が生成する化学量論比、具体的にはLa(NO3)3・6H2Oを92.35g、Sr(NO3)2を11.51g、Co(NO3)2・6H2Oを77.92g蒸留水中に添加した点を除いては、上記試料E1と同様にして混合工程を行い、混合粉を得た。次いで、上記試料E1と同様にして焼成工程を行うと共に焼成粉を粉砕した。このようにしてペロブスカイト型触媒(試料C)を得た。
【0032】
次に、上記のようにして得られた試料P1、試料P2、試料E1、試料E2、及び試料Cについて、X線回折分析(XRD)を実施した。
XRDは、(株)リガクの粉末X線回折装置「RINT 2500/PC」を用いて、管球:CuKα線、管電圧:40kV、管電流:20mA、発散スリット:1/2°、散乱スリット:1/2°、受光スリット:0.15mm、走査モード:連続、スキャンスピード:2.000°/min、サンプリング幅0.020°、走査範囲:10.000−80.000°という条件で行った。その結果を図1に示す。
【0033】
図1に示すごとく、試料P1、試料P2、試料E1、試料E2、及び試料Cにおいては、AサイトにLa及びSrを含有し、BサイトにCoを含有するペロブスカイト型複合酸化物(LaxSryCoZ3)由来のピークが観察された。試料Cにおいては、ペロブスカイト型複合酸化物(LaxSryCoZ3)由来のピークが大部分を占め、未反応の異相に由来するピークは観察されないが、試料P1及び試料P2においては、ペロブスカイト型酸化物(LaxSryCoZ3)以外にも異相として各種金属酸化物、金属複合酸化物に由来の大きなピークが観察された。これは、混合工程において、ペロブスカイト型複合酸化物の理論組成ABO3に比べて、Bサイトに対してAサイトが大きくなるような化学量論比でAサイト源とBサイト源とを混合したことに起因するものである。そして、試料P1を酸処理して得られる試料E1及び試料P2を酸処理して得られる試料E2においては、未反応分の異相に由来するピーク強度が減少し、ペロブスカイト型酸化物(LaxSryCoZ3)由来のピーク強度が増大していた。これは、酸処理により、未反応分の異相が溶解したためであると考えられる。
【0034】
したがって、本例によれば、混合工程において、AサイトとBサイトが1:1となるペロブスカイト型複合酸化物の理論組成ABO3に比べて、Aサイトが大きくなるような化学量論比でAサイト源とBサイト源とを混合し焼成することにより、未反応分の異相を積極的に生成させ、さらに異相を含む焼成粉を酸処理することにより、焼成粉中の異相を溶解させることができることがわかる。これにより、多孔質のペロブスカイト型触媒を得ることができる。
【0035】
(実施例2)
次に、本例においては、混合工程におけるBサイト元素の種類、Aサイト/Bサイト比率、酸処理工程における酸の種類及びpH、酸処理の温度、酸処理の時間などを変更して39種類のペロブスカイト型触媒(試料X1〜試料X39)を作製する例である(後述の表1及び表2参照)。
【0036】
まず、代表例として、試料X1の作製について説明する。
試料X1の作製にあっては、まず、実施例1と同様に、Aサイト源として、La(NO3)3・6H2O及びSr(NO3)2を準備し、Bサイト源としてCo(NO3)2・6H2Oを準備した。そして、これらのAサイト源及びBサイト源を、後述の焼成後にLa0.8Sr0.2CoO3が生成する化学量論比、即ち、Aサイト/Bサイト比率が1となる化学量論比にて蒸留水に添加した。さらに、実施例1と同様に蒸留水中にクエン酸1水和物を添加し、ホットプレートスターラーで温度150℃に加熱しながら撹拌し、Aサイト源、Bサイト源、クエン酸を蒸留水中に溶解させた。次いで、混合液を温度250℃で3〜5時間加熱し、蒸発乾固させて混合粉を得た。
【0037】
次に、実施例1と同様に混合粉を温度400℃で2時間仮焼し、次いで温度800℃で5時間焼成し、得られた焼成粉を粉砕した。この焼成粉を濃度1.0mol/K、pH2.5の酢酸水溶液(500ml)中に添加し、ホットプレートスターラーで温度70℃に加熱しながら5時間撹拌することにより酸処理を行った。
次いで、実施例1と同様に、酸処理後に濾過し、濾紙上で乾燥させ、焼成温度以下の温度(700℃)で5時間熱処理することにより、濾紙を燃焼させた。これにより、ペロブスカイト型触媒を得た。これを試料X1とする。
【0038】
また、試料X2においては、Aサイト/Bサイト比率が1.8となる化学量論比(La0.8SrCoO3)にてAサイト源とBサイト源を蒸留水に添加した点を除いては上記試料X1と同様にしてペロブスカイト型触媒(試料X2)を作製した。
試料X3においては、Aサイト/Bサイト比率が2.6となる化学量論比(La1.6SrCoO3)にてAサイト源とBサイト源を蒸留水に添加した点を除いては上記試料X1と同様にしてペロブスカイト型触媒(試料X3)を作製した。
試料X4においては、Aサイト/Bサイト比率が10となる化学量論比(La9SrCoO3)にてAサイト源とBサイト源を蒸留水に添加した点を除いては上記試料X1と同様にしてペロブスカイト型触媒(試料X4)を作製した。
試料X5においては、Aサイト/Bサイト比率が15となる化学量論比(La14SrCoO3)にてAサイト源とBサイト源を蒸留水に添加した点を除いては上記試料X1と同様にしてペロブスカイト型触媒(試料X5)を作製した。
【0039】
また、試料X6においては、Bサイト源にMn(NO3)2・6H2Oを用いた点を除いては上記試料X1と同様にしてペロブスカイト型触媒(試料X6)を作製した。
また、試料X7においては、Bサイト源にMn(NO3)2・6H2Oを用い、Aサイト/Bサイト比率が1.8となる化学量論比(La0.8SrMnO3)にてAサイト源とBサイト源を蒸留水に添加した点を除いては上記試料X1と同様にしてペロブスカイト型触媒(試料X7)を作製した。
試料X8においては、Bサイト源にMn(NO3)2・6H2Oを用い、Aサイト/Bサイト比率が2.6となる化学量論比(La1.6SrMnO3)にてAサイト源とBサイト源を蒸留水に添加した点を除いては上記試料X1と同様にしてペロブスカイト型触媒(試料X8)を作製した。
試料X9においては、Bサイト源にMn(NO3)2・6H2Oを用い、Aサイト/Bサイト比率が10となる化学量論比(La9SrMnO3)にてAサイト源とBサイト源を蒸留水に添加した点を除いては上記試料X1と同様にしてペロブスカイト型触媒(試料X9)を作製した。
試料X10においては、Bサイト源にMn(NO3)2・6H2Oを用い、Aサイト/Bサイト比率が15となる化学量論比(La14SrMnO3)にてAサイト源とBサイト源を蒸留水に添加した点を除いては上記試料X1と同様にしてペロブスカイト型触媒(試料X10)を作製した。
【0040】
また、試料X11においては、Bサイト源にFe(NO3)2・6H2Oを用いた点を除いては上記試料X1と同様にしてペロブスカイト型触媒(試料X11)を作製した。
また、試料X12においては、Bサイト源にFe(NO3)2・6H2Oを用い、Aサイト/Bサイト比率が1.8となる化学量論比(La0.8SrFeO3)にてAサイト源とBサイト源を蒸留水に添加した点を除いては上記試料X1と同様にしてペロブスカイト型触媒(試料X12)を作製した。
試料X13においては、Bサイト源にFe(NO3)2・6H2Oを用い、Aサイト/Bサイト比率が2.6となる化学量論比(La1.6SrFeO3)にてAサイト源とBサイト源を蒸留水に添加した点を除いては上記試料X1と同様にしてペロブスカイト型触媒(試料X13)を作製した。
試料X14においては、Bサイト源にFe(NO3)2・6H2Oを用い、Aサイト/Bサイト比率が10となる化学量論比(La9SrFeO3)にてAサイト源とBサイト源を蒸留水に添加した点を除いては上記試料X1と同様にしてペロブスカイト型触媒(試料X14)を作製した。
試料X15においては、Bサイト源にFe(NO3)2・6H2Oを用い、Aサイト/Bサイト比率が15となる化学量論比(La14SrFeO3)にてAサイト源とBサイト源を蒸留水に添加した点を除いては上記試料X1と同様にしてペロブスカイト型触媒(試料X15)を作製した。
【0041】
また、試料X16においては、Aサイト/Bサイト比率が2.6となる化学量論比(La1.6SrCoO3)にてAサイト源とBサイト源を蒸留水に添加し、濃度0.1mol/L、pH4の酢酸を用いて温度70℃での酸処理を10時間行った点を除いては上記試料X1と同様にしてペロブスカイト型触媒(試料X16)を作製した。
試料X17においては、Bサイト源にMn(NO3)2・6H2Oを用い、Aサイト/Bサイト比率が2.6となる化学量論比(La1.6SrMnO3)にてAサイト源とBサイト源を蒸留水に添加し、濃度0.1mol/L、pH4の酢酸を用いて温度70℃での酸処理を10時間行った点を除いては上記試料X1と同様にしてペロブスカイト型触媒(試料X17)を作製した。
試料X18においては、Bサイト源にFe(NO3)2・6H2Oを用い、Aサイト/Bサイト比率が2.6となる化学量論比(La1.6SrFeO3)にてAサイト源とBサイト源を蒸留水に添加し、濃度0.1mol/L、pH4の酢酸を用いて温度70℃での酸処理を10時間行った点を除いては上記試料X1と同様にしてペロブスカイト型触媒(試料X18)を作製した。
【0042】
また、試料X19においては、Aサイト/Bサイト比率が2.6となる化学量論比(La1.6SrCoO3)にてAサイト源とBサイト源を蒸留水に添加し、濃度0.0005mol/L、pH6.5の酢酸を用いて温度70℃での酸処理を200時間行った点を除いては上記試料X1と同様にしてペロブスカイト型触媒(試料X19)を作製した。
試料X20においては、Bサイト源にMn(NO3)2・6H2Oを用い、Aサイト/Bサイト比率が2.6となる化学量論比(La1.6SrMnO3)にてAサイト源とBサイト源を蒸留水に添加し、濃度0.0005mol/L、pH6.5の酢酸を用いて温度70℃での酸処理を200時間行った点を除いては上記試料X1と同様にしてペロブスカイト型触媒(試料X20)を作製した。
試料X21においては、Bサイト源にFe(NO3)2・6H2Oを用い、Aサイト/Bサイト比率が2.6となる化学量論比(La1.6SrFeO3)にてAサイト源とBサイト源を蒸留水に添加し、濃度0.0005mol/L、pH6.5の酢酸を用いて温度70℃での酸処理を200時間行った点を除いては上記試料X1と同様にしてペロブスカイト型触媒(試料X21)を作製した。
【0043】
また、試料X22においては、Aサイト/Bサイト比率が1.5となる化学量論比(La0.5SrCoO3)にてAサイト源とBサイト源を蒸留水に添加した点を除いては上記試料X1と同様にしてペロブスカイト型触媒(試料X22)を作製した。
試料X23においては、Bサイト源にMn(NO3)2・6H2Oを用い、Aサイト/Bサイト比率が1.5となる化学量論比(La0.5SrMnO3)にてAサイト源とBサイト源を蒸留水に添加した点を除いては上記試料X1と同様にしてペロブスカイト型触媒(試料X23)を作製した。
試料X24においては、Bサイト源にFe(NO3)2・6H2Oを用い、Aサイト/Bサイト比率が1.5となる化学量論比(La0.5SrFeO3)にてAサイト源とBサイト源を蒸留水に添加した点を除いては上記試料X1と同様にしてペロブスカイト型触媒(試料X24)を作製した。
【0044】
また、試料X25においては、Aサイト/Bサイト比率が2.6となる化学量論比(La1.6SrCoO3)にてAサイト源とBサイト源を蒸留水に添加し、濃度1.0mol/L、pH1の塩酸を用いて温度70℃での酸処理を5時間行った点を除いては上記試料X1と同様にしてペロブスカイト型触媒(試料X25)を作製した。
試料X26においては、Bサイト源にMn(NO3)2・6H2Oを用い、Aサイト/Bサイト比率が2.6となる化学量論比(La1.6SrMnO3)にてAサイト源とBサイト源を蒸留水に添加し、濃度1.0mol/L、pH1の塩酸を用いて温度70℃での酸処理を5時間行った点を除いては上記試料X1と同様にしてペロブスカイト型触媒(試料X26)を作製した。
試料X27においては、Bサイト源にFe(NO3)2・6H2Oを用い、Aサイト/Bサイト比率が2.6となる化学量論比(La1.6SrFeO3)にてAサイト源とBサイト源を蒸留水に添加し、濃度1.0mol/L、pH1の塩酸を用いて温度70℃での酸処理を5時間行った点を除いては上記試料X1と同様にしてペロブスカイト型触媒(試料X27)を作製した。
【0045】
また、試料X28においては、Aサイト/Bサイト比率が2.6となる化学量論比(La1.6SrCoO3)にてAサイト源とBサイト源を蒸留水に添加し、濃度1.0mol/L、pH2.5の酢酸を用いて温度70℃での酸処理を10時間行った点を除いては上記試料X1と同様にしてペロブスカイト型触媒(試料X28)を作製した。
試料X29においては、Bサイト源にMn(NO3)2・6H2Oを用い、Aサイト/Bサイト比率が2.6となる化学量論比(La1.6SrMnO3)にてAサイト源とBサイト源を蒸留水に添加し、濃度1.0mol/L、pH2.5の酢酸を用いて温度70℃での酸処理を10時間行った点を除いては上記試料X1と同様にしてペロブスカイト型触媒(試料X29)を作製した。
試料X30においては、Bサイト源にFe(NO3)2・6H2Oを用い、Aサイト/Bサイト比率が2.6となる化学量論比(La1.6SrFeO3)にてAサイト源とBサイト源を蒸留水に添加し、濃度1.0mol/L、pH2.5の酢酸を用いて温度70℃での酸処理を10時間行った点を除いては上記試料X1と同様にしてペロブスカイト型触媒(試料X30)を作製した。
【0046】
また、試料X31においては、Aサイト/Bサイト比率が2.6となる化学量論比(La1.6SrCoO3)にてAサイト源とBサイト源を蒸留水に添加し、濃度1.0mol/L、pH2.5の酢酸を用いて温度70℃での酸処理を30時間行った点を除いては上記試料X1と同様にしてペロブスカイト型触媒(試料X31)を作製した。
試料X32においては、Bサイト源にMn(NO3)2・6H2Oを用い、Aサイト/Bサイト比率が2.6となる化学量論比(La1.6SrMnO3)にてAサイト源とBサイト源を蒸留水に添加し、濃度1.0mol/L、pH2.5の酢酸を用いて温度70℃での酸処理を30時間行った点を除いては上記試料X1と同様にしてペロブスカイト型触媒(試料X32)を作製した。
試料X33においては、Bサイト源にFe(NO3)2・6H2Oを用い、Aサイト/Bサイト比率が2.6となる化学量論比(La1.6SrFeO3)にてAサイト源とBサイト源を蒸留水に添加し、濃度1.0mol/L、pH2.5の酢酸を用いて温度70℃での酸処理を30時間行った点を除いては上記試料X1と同様にしてペロブスカイト型触媒(試料X33)を作製した。
【0047】
また、試料X34においては、Aサイト/Bサイト比率が2.6となる化学量論比(La1.6SrCoO3)にてAサイト源とBサイト源を蒸留水に添加し、焼成後に酸処理を行わなかった点を除いては、上記試料X1と同様にしてペロブスカイト型触媒(試料X34)作製した。
試料X35においては、Bサイト源にMn(NO3)2・6H2Oを用い、Aサイト/Bサイト比率が2.6となる化学量論比(La1.6SrMnO3)にてAサイト源とBサイト源を蒸留水に添加し、焼成後に酸処理を行わなかった点を除いては、上記試料X1と同様にしてペロブスカイト型触媒(試料X35)作製した。
試料X36においては、Bサイト源にFe(NO3)2・6H2Oを用い、Aサイト/Bサイト比率が2.6となる化学量論比(La1.6SrFeO3)にてAサイト源とBサイト源を蒸留水に添加し、焼成後に酸処理を行わなかった点を除いては、上記試料X1と同様にしてペロブスカイト型触媒(試料X36)作製した。
【0048】
また、試料X37においては、Aサイト/Bサイト比率が2.6となる化学量論比(La1.6SrCoO3)にてAサイト源とBサイト源を蒸留水に添加し、濃度1.0mol/L、pH2.5の酢酸を用いて温度70℃での酸処理を100時間行った点を除いては上記試料X1と同様にしてペロブスカイト型触媒(試料X37)を作製した。
試料X38においては、Bサイト源にMn(NO3)2・6H2Oを用い、Aサイト/Bサイト比率が2.6となる化学量論比(La1.6SrMnO3)にてAサイト源とBサイト源を蒸留水に添加し、濃度1.0mol/L、pH2.5の酢酸を用いて温度70℃での酸処理を100時間行った点を除いては上記試料X1と同様にしてペロブスカイト型触媒(試料X38)を作製した。
試料X39においては、Bサイト源にFe(NO3)2・6H2Oを用い、Aサイト/Bサイト比率が2.6となる化学量論比(La1.6SrFeO3)にてAサイト源とBサイト源を蒸留水に添加し、濃度1.0mol/L、pH2.5の酢酸を用いて温度70℃での酸処理を100時間行った点を除いては上記試料X1と同様にしてペロブスカイト型触媒(試料X39)を作製した。
【0049】
このようにして作製した39種類のペロブスカイト型触媒(試料X1〜試料X39)について、比表面積(m2/g)及び細孔容積(cc/g)を測定した。比表面積及び細孔容積は、ユアサアイオニクス(株)製のAutosorb-1 MPを用いて行った。その結果を表1及び表2に示す。
【0050】
また、試料X2、試料X3、試料X7、試料X8、試料X12、試料X13については、一酸化炭素(CO)に対する浄化性能を調べた。浄化性能の評価は、(株)堀場製作所製のMEXA−1500D及びSIGU−1000を用いて行った。
具体的には、まず、各試料をコージェライト製のモノリス担体(ハニカム構造の多孔質の基材)に担持し、装置内蔵炉25〜600℃の温度条件下において、入口側から、COガスを流し、出口側から出てくるガス量、ガス成分を装置内臓ガス分析計にて分析した。そして、COガスを50%浄化する温度(浄化温度)を測定した。
その結果を後述の表1及び表2に示す。
【0051】
【表1】

【0052】
【表2】

【0053】
表1及び表2より知られるごとく、AサイトとBサイトが1:1となるペロブスカイト型複合酸化物の理論組成ABO3に比べて、Bサイトに対してAサイトが大きくなるような化学量論比でAサイト源とBサイト源とを混合し、焼成後にpH2以上7未満の酸で酸処理を行って得られた試料X2〜X5、試料X7〜X10、試料X12〜X24、試料X28〜X33、及び試料X37〜X39は、比表面積が高く、かつ細孔容積が大きくなっていた。これらの試料は、酸処理を行わずに作製した試料X34〜X36と比較することにより、比表面積及び細孔容積が増大していることが明確にわかる。
【0054】
試料X2〜X5、試料X7〜X10、試料X12〜X24、試料X28〜X33、及び試料X37〜X39において比表面積及び細孔容積が増大した理由は、酸処理により未反応分の異相が溶解除去され、図2の(a)及び(b)に示すごとく、ペロブスカイト型触媒1の粒子に細孔2が形成され、ペロブスカイト型触媒1が多孔質化したためである。
また、このようにして得られたペロブスカイト型化合物は、表1における試料X2、試料X3、試料X7、試料X8、試料X12、及び試料X13のように、COに対して十分に優れた浄化性能を示すことができる。
【0055】
一方、試料X1、試料X6、試料X11のように、AサイトとBサイトが1:1となるペロブスカイト型複合酸化物の理論組成でAサイト源とBサイト源とを混合した場合には、比表面積及び細孔容積を高くすることができなかった。これは、焼成後の焼成粉に未反応分の異相がほとんどないため、酸処理を行っても異相がほとんど溶解除去されなかったためであると考えられる。
【0056】
また、試料X25〜X27のように、pHが1の塩酸を用いて酸処理を行った場合には、酸処理を行っていない場合(試料X34〜試料X36)に比べても、比表面積及び細孔容積が小さくなっていた。これは、酸処理により、焼成後の焼成粉の粒子全体が表面から溶解し、多孔質化せずに粒径だけが小さくなったためであると考えられる。
【0057】
このように、本例によれば、AサイトとBサイトが1:1となるペロブスカイト型複合酸化物の理論組成ABO3に比べて、Bサイトに対してAサイトが大きくなるような化学量論比でAサイト源とBサイト源とを混合し、焼成後にpH2以上7未満の酸で酸処理を行うことにより、比表面積と細孔容積が大きく、触媒活性に優れたペロブスカイト型触媒を製造できることがわかる。
【符号の説明】
【0058】
1 ペロブスカイト型触媒
2 細孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ペロブスカイト型複合酸化物からなるペロブスカイト型触媒の製造方法であって、
AサイトとBサイトが1:1となるペロブスカイト型複合酸化物の理論組成ABO3に比べて、Aサイトが大きくなるような化学量論比でAサイト源とBサイト源とを混合して混合粉を得る混合工程と、
上記混合粉を焼成して焼成粉を得る焼成工程と、
上記焼成粉をpH2以上7未満の酸で酸処理することにより上記ペロブスカイト型触媒を得る酸処理工程とを有することを特徴とするペロブスカイト型触媒の製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載の製造方法における上記混合工程においては、上記ペロブスカイト型複合酸化物のBサイトに対するAサイトの比A/Bが1.5〜10となるように上記Aサイト源と上記Bサイト源との混合を行うことを特徴とするペロブスカイト型触媒の製造方法。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の製造方法において、上記ペロブスカイト型複合酸化物は上記Aサイトに少なくともLaとアルカリ土類金属元素とを含有し、上記BサイトにCo、Fe、及びMnから選ばれる少なくとも1種を含有し、上記Aサイト源としては少なくともLa源及びアルカリ土類金属元素源を用い、上記Bサイト源としては少なくともCo源、Fe源、及びMn源から選ばれる少なくとも1種を用いることを特徴とするペロブスカイト型触媒の製造方法。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の製造方法において、上記混合工程において、上記Aサイト源及び上記Bサイト源としては水溶性のものを採用し、上記Aサイト源と上記Bサイト源との混合は水性媒体中で行い、混合後に蒸発乾固させることにより上記混合粉を得ることを特徴とするペロブスカイト型触媒の製造方法。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項において、上記酸処理工程においては、上記焼成粉をクエン酸、リンゴ酸、酢酸、及びシュウ酸から選ばれる少なくとも1種の水溶液中に浸漬することを特徴とするペロブスカイト型触媒の製造方法。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一項に記載の製造方法によって得られることを特徴とするペロブスカイト型触媒。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−110800(P2012−110800A)
【公開日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−259670(P2010−259670)
【出願日】平成22年11月22日(2010.11.22)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】