説明

ペン入力デバイスを用いたテキストと手書きデータの入力プログラム

【課題】テキストと手書きの混在するデータの入力を可能にする入力プログラムを提供する。
【解決手段】テキストと手書きの混在するデータを入力できるプログラムを開発することによって、パーソナルコンピュータなどに転送されたデータがすべて手書きの場合よりも容易に処理でき、また、入力時において日本語文などの入力効率を大幅に向上させることを可能にするものである。これにより、時間や自分の置かれている状況及び地理的条件に縛られずいつでもどこでもペン入力デバイスにて日本語文などの情報をすばやく、後で処理しやすい形態で入力することができ、かつ、情報の発生場所にてより新鮮な情報を入力保存するとともに、その処理・利用は迅速かつ多くの人間が共有することを可能とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オンライン及びオフラインで用いられるペン入力デバイスに有効であり、特にオフラインの場合は、時間や自分の置かれている状況及び地理的条件に束縛されることなく、いつでもどこでも、テキストと手書きが混在するデータの入力を可能にする入力プログラムに関するものである。テキストと手書きが混在するデータの代表的なものとして、ひらがな・カタカナ・英数字(テキスト)と漢字(手書き)が混在する日本語文がある。
【背景技術】
【0002】
従来、このようなペン入力デバイスを用いる場合は、手書きデータのみを蓄積して利用することが多いが、手書きデータのみでは、パーソナルコンピュータなどに転送して利用する際、やはり紙に手書きされた文字列を扱うのと同等の手間が必要になり、また、また、結局すべての文字をペン入力デバイスに手書きするのであるから、例えば日本語文入力を効率良く入力するという効果は期待できなかった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
テキストと手書きの混在するデータを入力できることによって、パーソナルコンピュータなどに転送されたデータがすべて手書きの場合よりも容易に処理でき、また、入力時において日本語文などの入力効率を大幅に向上させることを可能にするものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、ペン入力デバイスが接続されるコンピュータ(ペン入力デバイス付きと一体になった、いわゆるタブレットコンピュータを含む)において、テキスト変換エリアと手書き入力エリアを区別し、テキスト変換エリアでポイントされた位置情報を予め設定された変換情報に従って該当するテキストデータに変換する機能と、手書き入力エリアにて記述された情報を座標点の集まりである手書きデータとして蓄積するとともに、外部ファイルへ出力・保存する際は、手書きのデータは画像データに変換し、テキストデータと手書き画像データの混在するデータ・ファイル(例えばHTMLファイル)とする。このデータファイルを後の処理の対象とすることで、手書きデータのみの場合より、容易に処理でき、かつ、入力時において日本語文などの入力効率を大幅に向上させる機能をもつプログラムを開発する。
【発明の効果】
【0005】
本発明では、時間や自分の置かれている状況及び地理的条件に縛られずいつでもどこでもペン入力デバイスにて日本語文などの情報をすばやく、後で処理しやすい形態で入力することができる。かつ文章は、手書きとテキストで表現されるため、入力者以外の人間にも理解されやすくなる。これにより、情報の発生場所にてより新鮮な情報を入力保存するとともに、その処理・利用は迅速かつ多くの人間が共有することを可能とする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
ペン入力デバイスが認識する範囲内に、テキスト変換エリアと手書き入力エリアを設定する。具体的には、テキスト変換エリアと手書き入力エリアを印刷した用紙(電子の紙を含む)を用いる。利用者は、この用紙上に印刷されたテキスト変換エリアを宣言するために、最初にキャリブレーションを行う。キャリブレーションは、テキスト変換エリアの四隅をポイントし、デバイスがその座標値を記録することで行われる。それ以外のエリアは手書き入力エリアとして認識する。このテキストエリアは、複数の下位エリアに分割され、それぞれの下位エリアには、テキストデータ及び制御文字が印刷されているとともに、その下位エリアの座標値範囲とテキストデータ及び制御文字の対応は、外部から設定可能な対応表ファイルとして本発明のプログラムで管理されているものとする。データ入力操作は、電子ペンでテキスト変換エリアの各下位エリアをポイントする操作と手書き入力エリアに文字や図形を描く操作とを、任意の順序で連続させたものである。これにより時系列順に得られる座標点のデータから、テキスト変換エリアがポイントされた場合には、そのうちどの下位エリアがポイントされたかを判別し、対応表ファイルを参照して対応するテキストデータ及び制御文字を保存し、手書き入力エリアがポイントされた場合には、点列として記憶された手書きデータを画像形式に変換して保存する。入力操作の区切り、例えばあるページを書き終えるなどのタイミングで、保存されているテキストデータと画像データを、それらが混在するデータ・ファイルとして外部出力するものである。なお、テキスト変換エリアでのポイント操作においては、ただポイントする、右上へはねる、左下へはねる、といったジェスチャとよばれる操作を認識する。これにより1つの下位エリアに複数のテキストを設定可能とする。これは具体的には、普通にポイントした場合は「あ」(大文字)に、右上へはねたジェスチャの場合は「ぁ」(小文字)、左下へはねたジェスチャの場合には「!」(記号)に変換できるようにすることを指す。外部出力されたファイルは、テキストデータと手書き画像データが時系列に連続して保存された、いわゆるHTML形式などのファイルとして出力する。この外部出力ファイルを表示することで人がその内容を理解できるようにする。また、本発明プログラムでは、手書きデータは、画像データに変換する以前の点列データとしても保存されているため、ただ画像として表示・印刷できるばかりでなく、オンライン文字認識も可能である。
【実施例】
【0007】
図1は、ペン入力デバイスの認識エリアに配置された用紙に、テキスト変換エリアと手書き入力エリアを印刷したものであり、テキスト変換エリア中の各下位エリアをポイントすることで該当するテキストデータ及び制御文字に変換でき、手書き入力エリアに入力した文字や図形はそのまま画像データに変換して扱うものである。このように用紙に印刷することで、例えばペン入力デバイスであるタブレットの上にセットするだけで、すぐ入力が可能になる。また、テキスト変換エリアの部分をペン入力デバイス(例えばタブレット)そのものに印刷したり、また印刷したものをペン入力デバイスに貼って利用することも可能とする。
【産業上の利用可能性】
【0008】
テキスト化されたデータは、仮名漢字変換ルーチンを用いることで、平仮名入力された文字列を漢字変換することも可能である。かつ手書きの部分が文字であると認識した場合は、文字認識ソフトと連携し、手書きデータ部分をさらにテキストデータ化することも可能で、これらの技術と組み合わせることで、日本語文などの入力・編集・校正作業を軽減することができ、文書作成を必要とする多くの分野に応用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】ペン入力デバイスの認識エリアに入力用紙をセットした実施方法を示した説明図(実施例)。
【符号の説明】
【0010】
1 ペン入力デバイス認識エリア
2 入力用紙
3 テキスト変換エリア
4 手書き入力エリア
5 パーソナルコンピュータ
6 本発明プログラム
7 表示されたHTMLファイルなどの外部出力ファイル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子ペンによるペン先の位置座標を取得し点列データとして蓄積可能なペン入力デバイス(パーソナルコンピュータなどに接続して使用するオンライン接続型のデバイス及び、単独で動作し内臓したメモリに点列データを保存するオフライン接続型のデバイスの両方を指す)を用い、デバイスの認識エリアを、点列データをテキストデータに変換するためのテキスト変換エリアと、点列データを手書き文字列や図形として入力するための手書き入力エリアに区別することで、電子ペンにて入力された点列データの座標点からテキスト変換エリアであるか手書き入力エリアであるかを判別し、座標値がテキスト変換エリアに含まれる点列データの場合は、予め設定された座標情報とテキストの対応表より該当するテキストデータに変換し、座標値が手書き入力エリアに含まれる点列データの場合は、座標点の集まりである手書きのデータとして蓄積し、ファイル出力の際には画像データに変換することで、テキストデータと手書き画像データの混在するデータファイルとして出力・保存するプログラム。

【図1】
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【公開番号】特開2006−302160(P2006−302160A)
【公開日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−125918(P2005−125918)
【出願日】平成17年4月25日(2005.4.25)
【出願人】(300075061)ポトス株式会社 (1)
【Fターム(参考)】