説明

ペン針および安全シールドシステム

【課題】使用後に伸びて覆った位置でシールドをロックする安全シールドを提供する。
【解決手段】シールドシステムであって、安全シールド針カニューレを覆う第一位置から針カニューレ34の端部が挿入のために露出する第二位置へ引っ込められる。使用中、安全シールド22の引っ込みを可能とするが、使用後、ロックされた位置で針カニューレ34を覆うようにシールドが伸びる。ペン針注入器の開口端部に収容されるハブ40に載せられた両端同形の針カニューレ34を有するペン針注入器20に利用され、組み立て品は、安全シールド組み立て品を取り外すことによって安全に処分されることが可能であり、針カニューレとハブの組み立て品はキャップはまた、キャップが取り外されるのに先だって、シールドの引っ込みを防止する内側半径方向に伸びるリブ56を含み、安全シールド組み立て品がペン針注入器に組み立てられる間、キャップの不慮の突き刺しを防止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に改良されたペン針と安全シールドシステムに関するが、ペン型注射器専用に改良されたものではない。本発明の安全シールドシステムは、ペン針ディスペンサーを普通に取り囲むように偏らされたばねであるが、注射の後に針カニューレを取り囲むよう伸ばされた位置でロックされる伸縮自在のほぼ筒状のシールドを含んでいる。さらに、両端が同形の針カニューレアセンブリは注射後の処分のためにカップ形のキャップの中に安全に入れられてもよい。
【背景技術】
【0002】
皮下注入器は長年にわたって、液体の薬物や予防接種などを含む流体の選択された服用量を、患者に対して投与するために使用されてきた。しかしながら、皮下注射器を用いた多くの外用薬が、例えばインシュリンや非ヒスタミンなどを含む自分で投与する形態のものである。標準的な先行技術の皮下注入器における必要とされる操作は面倒なものであり、特に注射は公衆において自分で投与する上で不便なものである。薬物投与ペンまたはペン注入器は注射を自分で行うのを容易にするために開発されてきた。典型的なペン注入器は、ほぼ筒状の本体部分で万年筆に似ており、インシュリンや非ヒスタミンなどの流体が入った小型容器でゴム膜などの突き刺し可能な蓋を有する小型容器を収容する本体部分を含んでいる。ペン針は一般的にハブを有しており、該ハブは、ペン注入器の本体部分内部に延在し、小型容器の蓋を突き刺す第一端部と、小型容器内にある移動可能な流体を自分で注入する際に使用される第二端部とを含むこの両端部が同形の針カニューレを含む。ペン針はまた、一般的に、針カニューレを使用する前に針カニューレの第二端部を閉じるカップ形をした取り外し可能なキャップを含んでいる。ペン針の様々な改良が、このようなペン針に対する現在の装置および安全シールドシステムの代表として挙げられる特許文献1に開示されたペン針の適応可能な注入長さを含んでおり、この点においてシールドは一般的にペン針の本体部分を収容する開口端部を有するカップ型をしており、閉鎖端部は、中央部に開口部を有し、該開口部はシールドが針カニューレの第二端部を取り囲む第一位置から針カニューレが挿入のために露出される第二位置まで引っ込められたときに、針カニューレの第二端部を受けるものである。組み立て品はさらに、挿入前に通常第一部分を取り囲むようにシールドを偏らせるばねを含んでいてもよい。
【0003】
また、様々な安全シールドシステムが使いやすい皮下注入器のための先行技術によって開発され提案されている。筒状のシールドが挿入後の針カニューレを取り囲むようにばねを偏らせ、挿入後に伸びて取り囲んだ位置に固定される安全シールドを含んでいる。使いやすい皮下注入器のためのそのような安全シールドシステムは、手動操作またはばねによって偏らされていた筒状のシールドを伸ばし、挿入後の針カニューレを取り囲むが、標準の注射行程と比較すると、全ての装置が付加的動作(作動システム)を必要としているのではない。
【0004】
手動操作の安全シールドシステムは、らせんまたは複雑な溝の形のトラックを、シールドの外表面に有しているだろう。それは、シールドが針カニューレを覆うために伸びる時にシールドを誘導し、伸びた状態でシールドを固定する。しかしながら、そのような複雑なトラックシステムが常に確実であるとは限らない。
【0005】
ペン針のための安全シールドシステムは、安全シールドが使用前に最初に針カニューレの第二端部を取り囲んでおり、ペン針ディスペンサーの中の流体を自己投与するためにシールドが引っ込むことが可能であり、そして、その後、安全シールドを伸ばし使用後の針カニューレを取り囲む伸びた位置で固定することができるようなものの開発はまだされていない。シールドを引っ込んだ位置から伸びて固定された位置にする手動操作または回転的移動を除いて、シールドの操作を簡単にすることが望ましい。隠れた針アダプターといった他のペン針の付属品の問題の一つは、ユーザがペン注入器の付属品を組み立てている間に針で突き刺してしまう可能性があるということである。シールドは挿入のために引っ込められるようになっていなければならず、シールドとキャップ組み立て品はとりわけペン針ディスペンサーにねじ固定されており、ユーザや患者は通常、組み立てる際にキャップを注入器の方に向かって押し込む傾向にある。これは、針がキャップを突き刺し、さらに組み立て中のユーザも突き刺す可能性がある。ペン針に関連したほかの問題はハブと両端が同形の針カニューレの安全な処分である。針カニューレとハブの組み立て品の尖った両端を安全に覆い、処分している最中およびその後に不慮の突き刺しを防ぐことはもっとも望ましいことである。理解されているように、針カニューレの一方端はカップの形をしたキャップに覆われていてもよい。しかしながら、もう一方の端はペン注入器からハブ組み立て品を取り外したら露出される。
【0006】
本発明のペン針と安全シールドシステムは、通常は使用前に針カニューレを覆い、挿入している間、安全シールドを引っ込めるのを可能にし、自動的に伸びて使用後に伸びて覆った位置でシールドをロックする安全シールドを提供することによってそれらの問題を解決する。本発明のペン針は、シールドと針カニューレとハブ組み立て品をペン注入器として組み立てている間、シールドが引っ込むのを防ぐ。さらに、改良された本発明の安全シールドシステムは、ペン注入器から取り外した後のハブと両端が同形の針カニューレの安全な処分を可能とする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許No.5,944,700号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述したように、本発明の改良された安全シールドシステムは、特にペン注入器専用というわけではない。すなわち、本発明の安全シールドシステムは上述したタイプのペン注入器に使用されるように具体的に設計されているが、本発明の安全シールドシステムは、また、従来の皮下注射針の流体搬送システムを含むほかの装置に用いられてもよい。しかしながら、説明を簡単にするために、本発明の安全シールドシステムはペン注入器の構成要素としてこれから述べるつもりである。上述したように、一般にそのようなペン注入器は、インシュリンや非ヒスタミンなどの流体投薬用の一般的な小瓶を受け入れる筒状の本体部分を含んでいる。さらに一般的なペン針ディスペンサーは、針カニューレハブ組み立て品を含んでいる。この針カニューレハブ組み立て品において、ハブは概してペン注入器の筒状の端部をねじ係合で収容する開口端部と針カニューレを収容し固定する閉鎖端部とを有する筒状の部分を含むカップ型である。針ハブの筒状の部分はねじ止めあるいは他の方法でペン注入器の筒状の端部に取付けられていてもよい。針カニューレはハブの端部を通って伸び、小瓶の蓋を突き刺すためにペン注入器の中に伸びている第一端部と、これと反対側にあり、自己投与を含む患者に突き刺すために用いられる第2端部とを含んでいる。
【0009】
本発明の改良された安全シールドシステムは、針ハブ組み立て品の筒状のハブ部分を取り囲んで収容する筒状の本体部分と、側面に間隔をあけて突き出た複数の弾性指とを有するおおよそ筒状のクリップ部材を含んでいるのが好ましい。本発明の安全シールドシステムの好ましい実施形態において、弾性指の自由端は、ペン注入器の本体部分の方に向かったホック型の開口部である。さらに、安全シールドシステムは、一般的に、クリップ部材を取り囲む第一円筒部分と通常、針カニューレの第2端部を取り囲む第二円筒部分とを有する筒状のrecipricableなシールドを含んでいる。以下に述べるように、シールドは通常針カニューレの周りを覆うシールドの第二部分を伸ばすためにばねを偏らせている。
【0010】
さらに、シールドは、クリップ部材の弾性指を収容するシールドの内側に、軸方向に伸び内方向に開口した溝型のトラックを複数含んでいる。以下に述べるようにシールドの相互移動の間、軸方向に伸びる溝型のトラックはシールドを第一位置から針カニューレの第二端部を取り囲む第二位置まで誘導する。針カニューレの第二端部は患者を突き刺すために露出されている。さらに、安全シールドシステムは、通常、シールドを針カニューレの第二端部を取り囲む第二位置へ軸に沿って伸ばすために、シールドを弾性的に偏らせるばねを含んでいる。したがって、ペン注入器を使用する際、ヘルスケアワーカーまたは患者が、挿入したい領域にシールドの端部を押しつけると、ばねの力でシールドは第二位置に引っ込む。もっとも好ましい実施形態において、シールドはカップ型で、上述した筒状の第1および第2部分と、ほとんど閉じているが、挿入時にそこを通る針カニューレの第二端部を受け入れる中央開口部を有する端部とを含んでいる。使用後、針カニューレの第二端部を取り囲むためにばねは自動的にシールドを伸ばす。
【0011】
シールドにある少なくとも一つの溝型のトラックは、シールドの開口端部近くを除く部分から区切られた開口部を含み、シールドが針カニューレの第二端部を覆う第一位置から説明したように針カニューレを露出させるように引っ込む間、弾性指の自由端が開口部に収容されるのを防ぐ手段を含む。したがって、シールドは挿入中、針カニューレの第二端部を露出させるために引っ込められるであろうが、挿入後、針カニューレの第二端部を覆うためにばねがシールドを伸ばしたとき、開口部の中で弾性指がロックするであろう。それによって、シールドは、挿入後、針カニューレの第二端部を覆う第一位置でロックされる。好ましい実施形態において、弾性指の自由端は上述したようにホック型であり、指のホック型の部分は開口部を通って収容され、シールドを閉鎖位置でしっかりとロックする。もっとも好ましい実施形態において、溝型のトラックのそれぞれはロック指のそれぞれを収容し固定する開口部を含んでいる。したがって、本発明の改良された安全シールドシステムは、挿入の際に安全シールドが引っ込むことを許容し、安全シールドが、針カニューレ挿入後、針カニューレの第二端部を覆うようにロックする。針カニューレを露出させるために安全シールドを引っ込めている間、溝型のトラック内の開口部にロック指が入るのを防ぐために、様々な手段が利用されてもよいが、好ましい実施形態は、上述した第二位置へシールド部材が引っ込んでいる間、クリップ部材の弾性指が開口部まで移動するように、クリップ部材の指を内方向に弾性的に偏らせる開口部に隣接するトラックにおいて、弾性を有する爪または指部分を含んでいる。さらに、シールドが伸びている間、弾性爪は弾性指のホック型の端部を把持し、挿入後、伸びた位置でシールドをロックするのを確実にする。
【0012】
本発明の安全シールドシステムの好ましい実施形態は、さらに、使用する前にシールドを覆って収容される取り外し可能なカップ型のキャップを含んでいる。理解されるであろうが、キャップが取り外されると、ペン注入器は上述したように使用できる準備が整っている。しかしながら、本発明の改良された安全シールドシステムのキャップはまた、針カニューレの両端に安全に止められ、配置されて使用されてもよい。上述したように、針カニューレの第二端部は、挿入された後、安全シールドが針カニューレの第二端部を取り囲む伸びた位置でロックすることによって保護される。針カニューレと安全シールド組み立て品をペン注入器から取り外し、針カニューレの第一端部をカップ型のキャップの中に入れることによって処分するときも、針カニューレと安全シールドシステムは、安全にキャップ内に収容されるであろう。カップ型のキャップは安全な処分のために組み立て品を収容し格納するように形成され改造されている。したがって、針カニューレの第一端部は、カップ型のキャップの中に、針カニューレの露出を防ぐべく置かれており、第二端部は、針カニューレの第二端部を保護するべく伸びた位置でロックされている安全シールドによって覆われている。
【0013】
本発明の安全シールドシステムは、確実な操作と針カニューレの保護とを果たしている。好ましい実施形態において、ほぼ筒状の安全シールドは上述したように軸方向に伸びる溝型トラックに誘導されて軸方向に移動し、それによってシールドの回転方向の移動や複雑なトラックシステムは排除される。もっとも好ましい実施形態において、クリップ部材の筒状の本体部分は、間隔をあけて配置され、軸方向に伸び半径方向に突き出た複数のリブを含んでいる。このリブはシールドの筒状の部分における軸方向に伸びたグルーブに収容され、上述したように、シールドが引っ込んだり伸びたりする際に、シールドの軸方向の移動を確実にする。もっとも好ましい実施形態において、クリップ部材の弾性指は、クリップ部材の筒状の部分や上述したホック型の自由端と接続する上で不可欠なU字型部分を含んでいる。この形状は、指のホック型端部に対して付加的な弾性をもたらす。さらに、指のU字型部分は好ましくはシールドのほとんど閉鎖した端部に向かって開口し、ばねは指のU字型部分に収容される第一端部と、シールドの動きを確実にするためにシールドのほぼ閉鎖した端部に隣接して偏らされた第二端部とを含んでいる。
【0014】
本発明のペン針と安全シールドシステムはまた、ペン注入器上で安全シールドシステムを組み立てる際、シールドの引っ込みを防止する。上述したように、従来のペン針の問題の一つに、ユーザが突き刺しのために針を露出させることによって、ペンディスペンサー上でキャップとシールド組み立て品をねじ係合で組み立てている間、キャップを突き刺す可能性があるというものである。改良された安全シールドシステムのキャップは、シールドの筒状の部分で、クリップ部材上の軸方向に突き出たリブと対峙するように軸方向に伸びるグローブに収容される半径方向内側に突き出た複数のリブを含んでいる。シールドの筒状の部分におけるグルーブは、シールドの側壁を通ってほぼ閉鎖した端部近傍からリブまで伸びているのが好ましい。キャップの内側のリブはキャップとシールド組み立て品がペン注入器にねじ係合で組み立てられている間、シールドの引っ込みを防止し、それによって、組み立て中の不慮の突き刺しを防止する。
【0015】
そして、本発明のペン針および安全シールドシステムは、突き刺し中にシールドが引っ込むような安全シールドの通常の動作を可能とし、突き刺し後は、自動的にシールドを伸ばし、ロックして、針カニューレの第二端部の不慮の接触を防止する。さらに、上述したように、針カニューレ組み立て品は、針カニューレの第一端部がカップ型のカバー内に位置し、第二端部が安全シールドによって保護された状態で処分されるよう、カップ型のキャップまたはカバーの中に安全に保持されてもよい。本発明のペン針と安全シールドシステムの他の利点や価値ある特徴は以下の好ましい実施形態および上述の特許請求の範囲あるいは図の説明で説明することから十分理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明のペン針と安全シールドシステムの好ましい実施形態におけるキャップを取り外した状態の側面図である。
【図2】本発明のペン針と安全シールドシステムの部分断面図である。
【図3】安全シールド組み立て品の部分断面立面図である。
【図4】安全シールドの側面断面図である。
【図5】図1の5−5線による部分側面断面図である。
【図6】ペン針と安全シールド組み立て品が挿入されているときの図5と同様の部分側面断面図である。
【図7】挿入後の図6と同様の部分側面断面図である。
【図8】ペン注入器から取り外し、安全な収納のために組み立てた後の安全シールドシステムの側面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
上述したように、本発明の改良安全シールドシステムは特に、ペン注入器専用に改良されたものではなく、図1および2にもっともよく示されているベクトンディッキンソン&カンパニー製品のペン針といったものである。しかしながら、理解されるであろうが、本発明の安全シールドシステムはまた、この一般型の他のペン注入器や、上述した一般的な皮下注入器に使用されてもよい。
【0018】
以下に述べるように、安全シールド22は、図2に示される針カニューレ34の第二端部38を通常覆い、安全シールドアセンブリ23は図1に示されるカップ型のキャップ(蓋)24によって覆われている。ペン針20の開示された実施形態は、開口端部26を含んでおり、この開口端部26はユーザがアセンブリを以下に説明するペン注入器にねじ締めする上で、ペン針20を把持する助けとなる外側のリブ28を含んでいてもよい。図2に示されるように、ペン注入器20は、筒状の端部31にゴム膜(不図示)といった突き刺し可能な蓋を有するファントム画法で示された小瓶30を収容する。さらに、ペン注入器20は針カニューレとハブ組み立て品32を含んでいる。このハブ組み立て品32はこれを貫いて伸びる針カニューレ34を含んでおり、この針カニューレ34は、ペン注入器の中で小瓶30や他の容器の蓋を突き刺すように伸びている第一端部36と、これと反対側で、上述した自己投与を含む注射に使われる第二端部38とを備えている。ハブ40は、好ましくはペン注入器20の筒状の端部44をねじ係合によって収容する筒状の縁部42を含んでいる。当業者であれば理解されるであろうが、針カニューレ34はルーメンすなわち、小瓶30の中の流体をセルフ注射やヘルスケアワーカーによる注射におけるユーザへ運ぶための細い通路を有しており、ハブ40の筒状の縁部42は、ペン注入器の外側にねじが切られた縁部44をハブのねじ部分で受けるようにハブの内側にねじ溝を有していてもよい。この一般的なタイプの針カニューレとハブの組み立て品は当業者によく知られており、それゆえに、針カニューレとハブの組み立て品、またはペン注入器のさらなる説明は必要ない。
【0019】
本発明の安全シールドシステムは、図2に示されるように針ハブ部材40の筒状の縁部42を取り囲んで収容される筒状の本体部分50を有する概ね筒状のクリップ部材48と、複数の横方向に突き出た弾性を持つホック型指52とを含んでいる。クリップ部材は、ポリプロピレンといった弾性のある重合体の物質で形成されていてもよく、指は以下に述べるように内側に曲がり、そして外側に跳ね返って曲がることができるようになっている。選択的に、クリップ部材48は金属打ちぬきによって形成されてもよい。図2に示されるように、例えば、指52が内側に曲がり外方向にばねとなるようにしてさらに跳ね返らせるように、U字型部分54に支持されている。さらに、このクリップ部材は円周方向に配置され半径方向に延びる複数のリブ56を含んでいる。このリブはシールド22が回転移動するのを防ぎ、シールドを以下に説明するような軸方向の移動に誘導するものである。
【0020】
安全シールド22は概して開口端部58を有する筒状であり、好ましくは軸方向に開口部62を有するほぼ閉鎖した端部60を含んでおり、この開口部62は以下に述べる針カニューレ34の第二端部38を収容する。さらに、シールド22は、ホックの形をした指52を受けるシールドの筒状部分における内側表面の円周方向に配置され、長手方向すなわち軸方向に伸びる溝型のトラック(track)64と、円周方向に配置され、軸方向に伸び、クリップにある半径方向のリブ56を受けるスロットすなわち溝66とをそれぞれ複数含んでいる。理解されるであろうが、安全シールド22の縦軸は針カニューレ34と一致している。好ましい実施形態において、軸方向の溝型のトラック64はそれぞれ、半径方向に開口部68を含んでおり、この半径方向における開口部68はシールドの開口端部58とほぼ隣接するが、そこから間隔を開けて配置されている。軸方向の溝型トラック64のそれぞれはまた、図4にもっともよく示されているように、開口端部58を閉じるようにして開口部68近傍にあり、内側に向かって突起し弾性のある部分を含んだタング(tang)すなわち指部分70を含んでいる。弾性タングすなわち指部分70は弾性的にホック型指52の方で内方向に偏っており、図2および以下に述べるように挿入前のシールド22が伸びた状態でシールドを取り外し可能に保持する突起(ledge)を含んでいるのが好ましい。
【0021】
本発明の安全シールドシステムは、クリップ部材48とシールドのほぼ閉鎖した端部60との間に、図2に示す針カニューレ34の第二端部を覆っている位置から伸びる位置に向かってシールドを弾性力で押し進めるために偏らされたコイルばね74を含んでいる。開示された実施形態において、シールドの内側面は、円周方向に配置され半径方向に突き出ており、シールド上のコイルばね74を中心に集める複数のリブ76を具えている。最終的に、カップ型のキャップ24は安全シールド組み立て品23と針カニューレと以下で述べるハブ組み立て品32と閉じた端部80とを受ける開口端部78を含んでいる。もっとも好ましい実施形態において、キャップの内側面は、複数の半径方向に突き出たリブ56を具えており、このリブ56は閉塞端部80近傍から、以下に述べるペン注入器20を組み立てている間安全シールドが引っ込むのを防止する半径方向のリブ56の端部まで伸びている。キャップの外側面はまた、ペン注入器20に安全シールド組み立て品23を組み立てる際にキャップを把持する補助となるようなリブ28を具えている。キャップの閉塞端80はまた、シールドにキャップの中心を置くようにしてシールドの開口部62に受けられる内側に突き出たくぼみ86を具えている。安全シールド組み立て品の好ましい実施形態の他の詳細は、組み立て品および、本発明のペン針と安全シールドシステムの開示された実施形態の操作の説明で以下に述べる。
【0022】
第一に、ペン針と安全シールドシステムの開示された実施形態の操作は、ここに記述されるであろう。本発明の安全シールド組み立て品の重要な利点の一つは、安全シールド組み立て品23と針カニューレとハブ組み立て品32は、使用のための組み立てができて、患者またはエンドユーザに事前に組み立てられたり、供給されてもよいというものである。患者またはエンドユーザによる第一ステップは、ペン注入器の筒状の端部44に針ハブ組み立て品32の筒状の縁部42をねじ込んで、この組み立て品をペン注入器に取りつけることである。図2から分かるように、クリップ部材48の縁56と揃えられたキャップ24の内側にある半径方向のリブ84は、シールドの開口部62を通って針カニューレ34の第二端部を押し進め、キャップを突き刺したり、そして針がエンドユーザに対して露出するといった、安全シールド組み立て品23の不慮の押し下げあるいは引っ込みを防止する。これは、患者またはヘルスケアワーカーが組み立てている最中に針が予期せずに露出するといった従来のペン針注入器より改良された重要点である。小瓶30はペン注入器20の中にあらかじめ装着され、開口端部26はキャップの端によって閉じられてもよい。そのようなねじ締めによる組み立ての結果、第一端部が小瓶30の開口端部31に設けられたゴム膜などの蓋を突き刺し、針ハブの筒状の縁部42がペン注射器の縁部44の上にねじ締めされる。選択的に、小瓶30は組み立てられる前にペン注入器の中に挿入されていてもよい。
【0023】
そして、キャップ24は、図1から図5に示されるように組み立て品から取り外される。本発明のペン針と安全シールド組み立て品は使用準備が完了する。
【0024】
上述したように、本発明の安全シールド組み立て品23はとりわけ、しかしこれに限定するのではないが、流体または液体薬、ワクチンやインシュリン、非ヒスタミンなどの薬の自己投与で普通に使用されるペン針注入器に適している。使用中、患者は端に、安全シールドの閉鎖端部60を単に下に向けて、図6に示されるように体の一部に挿入するだけである。図2から図5に示されるように、ホック型指52は、シールドの内側に突き出た突起または指部分70によって取り外し可能に保持されていて、シールドの不慮の引っ込みを防ぎ、挿入中のシールドの移動を阻む役割を果たすものであり、本発明の有利な特徴とみなされている。さらに、指52は内側に弾性的に偏っていて、シールドのほぼ閉じた端部が皮膚に押しつけられると、シールドが引っ込み、このシールドが引っ込んでいる間、指52が開口部68側に動いて、溝型のトラック64の中に移動し、シールドの開口部62を通って受けられている針カニューレの第二端部38が露出し、結果的に、患者に挿入されることになる。針カニューレとハブ組み立て品32に対するシールドの回転は、シールドの軸方向の移動を安定させている軸方向のスロットすなわち溝66に誘導されているリブ56によって防止されている。
【0025】
挿入の後、針38は患者から引き抜かれ、シールド22は、針カニューレの第二端部38が露出しないように、コイルばね74によってただちに伸ばされる。そして、このシールドは軸方向に針が引き抜かれるとともに伸びるのは、ホック形の指が軸方向の溝型トラック64に移動して半径方向のリブ56がスロットすなわち溝66を通って移動するからである。しかしながら、シールドが針の第二端部38を覆って一杯まで伸びると、ホック型の指52は開口部68を通って受け入れられ、ホック形の部分は内側に突き出た突起70に受け入れられ、図7に示される伸びた位置でシールドを固定する。すなわち、シールド22は、針カニューレの第二端部38を露出させて挿入された後は引っ込めることができない。
【0026】
この安全シールド組み立て品23はハブ部材40の筒状の縁部分42を引き抜くことによって、ペン注入器20のねじが切られた筒状の部分44から取り外され、そして、直接、尖った容器の中に固定的に配置されるか、あるいは、この組み立て品を反対にして、図8に示されるようにカップ形のキャップ24の中に組み立て品を挿入して配置される。針カニューレの鋭利な第一端部36は安全にカップ形キャップ24内に受け入れられ、針カニューレの第二端部38は安全シールド22によって保護される。この安全シールド22は組み立て品全部を安全に処分するために成される伸びた位置で固定されている。もっとも好ましい実施形態において、キャップ24の内側のリブ84は、安全シールド組み立て品23と衝突して合致するようにし、キャップから組み立て品が不慮に外れるのを防ぎ、処分した後に針カニューレ34の両端による不慮の突き刺しを防止する。この開示された実施形態において、一個または複数のリブ84がソケット92に受け入れられているボール型の端部90に含まれており、図8に示されるようにキャップ24内に組み立て品を固定する。
【0027】
したがって、本発明の改良された安全シールド組み立て品は、従来技術、とくにペン注入器に対して重要な利点をいくつか提供している。第一に、安全シールド組み立て品23とキャップ24は、不注意からペン注入器上で安全シールド組み立て品23が引っ込むことなく、またキャップ24を突き刺すことなく、針が患者側に露出することなく、ペン注入器に簡単に取りつけられることが可能である。この安全面での特徴は、ハブ部材40上にある半径方向のリブ56が、組み立て中にシールドが引っ込むのを防止するためにキャップ24の内側のリブ84と係合することによってもたらされる。キャップを取り外すと、ペン注入器は、安全シールド22のほぼ閉鎖した端部60を挿入させたい領域に当てて下に下げることによって、針カニューレ34の第2端部38を露出させることなしに、患者によって簡単に自己投与に使用されることが可能である。挿入後、安全シールド22は、ばねによって、針カニューレ34の第2端部38を覆うように自動的に伸び、溝形のトラック66を通って開口部68の中に伸びる弾性指52によって伸びた位置で固定される。ホック形の指がまた、弾性部分を有するタング70を超えて固定する。使用後、安全シールド組み立て品23と針カニューレとハブ組み立て品32は、ハブ部材40の筒状のリム部分42がペン注入器の筒状のリム部分44から抜き取られることによって、ペン注入器20から簡単に取り外され、組み立て品を反対にして針カニューレの第一端部36をキャップ24の中に入れられ、針カニューレの両端が安全に覆われ、針の予期しない接触を防止するような、アセンブリの安全な処分を提供する。
【0028】
上述したように、針カニューレとハブ組み立て品32はエンドユーザに受け取られる前は安全シールド組み立て品23に組み込まれており、ホック形指52は内側に突き出たタング70の端72によって、クリップ部材48上でシールド22が組み立てられている間、取り外し可能に保持されている。キャップ24は、キャップの半径方向で内側に突き出たリブ84が、図1にもっともよく示されているように、シールドのスロット66の中に入れられ、図2にもっともよく示されるように、端部87が半径方向のリブ部分56の端と係合することによってシールド上に組み込まれる。開示された実施形態における半径方向のリブは、該リブをスロット66の中へ誘導する斜面端部(chamfered end)57を含んでおり、半径方向のリブは波型の部分55によって筒状の本体部分に接続されている。さらに、コイルばね74は、図2に示すように、波型の部分55と反対に半径方向のリブと筒状の本体部分との間に入れられている。したがって、半径方向のリブは、組み立てている間、内側に弾性的に曲げられている。上述したように、クリップ部材48は、ポリプロピレンなどの弾性のある重合体の物質で形成されているか、または金属の打ちぬきで形成されていてもよい。安全シールド組み立て品23とそのキャップ24のすべての構成要素は、射出成形できる重合体の物質を含む殺菌物質で形成されているのが好ましい。したがって、キャップ24、シールド22、クリップ部材48における好ましい物質は弾性のあるポリプロピレンである。
【0029】
本発明のペン針と安全シールドシステムの好ましい実施形態を述べる上で、理解されているように、様々な変形が、添付の請求の範囲内で開示された実施形態から作成可能である。例えば、挿入後、伸びた位置でシールド22を固定するロック手段は、他のものも利用することができる。さらに、ロック手段は、ペン注入器20から安全シールド組み立て品が取り外された後、キャップの中に安全シールド組み立て品23をロックするためにキャップの中に装備されてもよい。互いにかみ合うリブを含んで、図8に示されるように、安全キャップ内に組み立て品を保管する。さらに、本発明の安全シールドの改良された特徴は一般的なペン針やシールド組み立て品に利用されてもよく、例えば、安全シールドが組み立てられている間シールドの縮みや引っ込みを防止するキャップの内側の面にある半径方向のリブ84および、上述したペン注入器上のキャップを含んでいる。本発明の好ましい実施形態として述べ、上記本発明の特許請求の範囲を記載する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
おおよそ筒状の端部を有する本体から、流体を移動させるために流体を通すルーメンを具える針カニューレにおける安全シールドシステムであって、間隔をあけて横方向に突き出た複数の弾性指を有するおおよそ筒状のクリップ部材と、おおよそ筒状の往復動作するシールドであって、前記クリップ部材を取り囲む第一部分と、前記針カニューレを通常取り囲む第二部分と、軸方向に配され内側に伸びて開口する前記シールドの内側面に形成され前記クリップ部材の横方向に突き出た複数の弾性指を収容し、前記シールドを軸方向に針カニューレを取り囲む第一位置から針カニューレを露出させる第二位置へ誘導する複数の溝型トラックとを含むシールドと、前記シールドを第二位置に伸ばして前記針カニューレを取り囲むために軸方向にシールドを偏らせるばねとを具える安全シールドシステムにおいて、
前記シールドが最初前記第二位置に引っ込められ、そして前記ばねによって前記第一位置まで伸ばされ、該第一位置でロックされたとき、前記溝型のトラックの少なくとも一つは前記弾性指の少なくとも一つを収容するための開口部を含むことを特徴とする安全シールドシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−130732(P2012−130732A)
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−40419(P2012−40419)
【出願日】平成24年2月27日(2012.2.27)
【分割の表示】特願2002−515348(P2002−515348)の分割
【原出願日】平成13年7月25日(2001.7.25)
【出願人】(595117091)ベクトン・ディキンソン・アンド・カンパニー (539)
【氏名又は名称原語表記】BECTON, DICKINSON AND COMPANY
【住所又は居所原語表記】1 BECTON DRIVE, FRANKLIN LAKES, NEW JERSEY 07417−1880, UNITED STATES OF AMERICA
【Fターム(参考)】