説明

ペースト状油性化粧料組成物

【課題】本発明は、顔料の分散安定性、および使用感と仕上がりに優れたペースト状油性化粧料組成物を提供することを目的とする。
【解決手段】(A)疎水化シリカ 2〜5重量%、(B)デキストリン脂肪酸エステル 2〜5重量%、(C)水添ポリイソブテン 10〜40重量%、(D)ワセリン 8〜12重量%、及び(E)顔料を含有することにより、顔料の分散安定性(すなわち、分離・沈降のないもの)、及び使用感と仕上がり(すなわち、べたつきのなさ、つや感、塗膜の均一性)に優れたペースト状油性化粧組成物を提供する。また、疎水化シリカがジメチルジクロロシラン処理又はヘキサメチルジシラザン処理であると、特に優れた効果を創出できる。デキストリンパルミチン酸エステル又はデキストリンミリスチン酸エステルである場合には、さらに良い結果が得られる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ペースト状油性化粧料組成物に関する。特に、特定量の(A)疎水化シリカ、(B)デキストリン脂肪酸エステル、(C)水添ポリイソブテン、(D)ワセリン、(E)顔料を必須成分として含有することを特徴とするペースト状油性化粧料組成物に関するものである。本構成を採用することにより、顔料の分散安定性(すなわち、分離・沈降のないもの)、および使用感と仕上がりに優れたペースト状油性化粧料組成物を提供する。
【背景技術】
【0002】
顔料(着色顔料・パール顔料など)を含有するペースト状油性化粧料組成物は、液状としての特性と固体としての特性を併せ持つ、非常に有用な化粧料の剤型であり、スキンケア、メイクアップ、ヘアケア用途で用いられている。(特許文献1、特許文献2)しかしながら、ペースト状すなわち流動性がない状態であっても、配合する顔料を経時的に安定に保持することが非常に難しく、顔料が沈降したり、油剤の相溶性の違いにより、油剤の分離が起こり、安定なペースト状油性化粧料組成物を得ることは非常に困難であった。ここでいう、ペースト状油性化粧料組成物としては、顔料を含有するものであり、たとえば、アイクリームなどのスキンケア品、ペースト状口紅、リップクリーム、アイシャドウ、アイライナーなどのメイクアップ品、ペースト状ヘアワックス、ヘアリタッチ剤などのヘアケア品などが挙げられる。また最近では、顔料の分散安定性を向上させる方法(特許文献3)が開示されているが、使用感と仕上がりに関しては、べたついたり、つや感や塗膜の均一性が損なわれたりするという傾向があった。すなわち、優れた顔料の分散安定性を保ちつつ、優れた使用感と仕上がり(すなわち、べたつきのなさ、つや感、塗膜の均一性)を兼ね備えたペースト状油性化粧料は、未だに開発されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−238349号公報
【特許文献2】特開2002−338425号公報
【特許文献3】特開2009−203212号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、顔料の分散安定性(すなわち、分離・沈降のないもの)に優れながら、べたつきを抑え、つや感・塗膜の均一性に優れたペースト状油性化粧料組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、上記実情に鑑み、課題を解決すべく鋭意検討を行った結果、(A)疎水化シリカ 2〜5重量%、(B)デキストリン脂肪酸エステル 2〜5重量%、(C)水添ポリイソブテン 10〜40重量%、(D)ワセリン 8〜12重量%、(E)顔料を含有することにより、経時的な顔料の分散安定性(すなわち、分離・沈降のないもの)に優れたペースト状油性化粧料組成物に関して、使用感と仕上がり(すなわち、べたつきのなさ、つや感、塗膜の均一性)が向上することを見出し、本発明を完成するに至った。
【0006】
すなわち本発明は、(A)疎水化シリカ 2〜5重量%、(B)デキストリン脂肪酸エステル 2〜5重量%、(C)水添ポリイソブテン 10〜40重量%、(D)ワセリン 8〜12重量%、(E)顔料を含有することを特徴とするペースト状油性化粧料組成物を提供することに関する。
【0007】
顔料を保持するために、油剤のゲル化剤すなわち、成分(A)および成分(B)を大量に配合すると、経時的に油分のしみ出しが起こり好ましくない。
【発明の効果】
【0008】
本発明のペースト状油性化粧料組成物は経時的な顔料の分散安定性(すなわち分離や沈降のないもの)に優れ、べたつきがなく、つや感・塗膜の均一性にも優れている。以下、本発明の構成について詳述する。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明における必須成分(A)は、疎水化シリカである。無水ケイ酸であるシリカ表面のシラノール基(水酸基)がジメチルシリコーンオイル処理、オクチルシラン処理、ジメチルジクロロシラン処理、ヘキサメチルジシラザン処理、メタクリロキシシラン処理されたものであり、化粧料組成物の安定性を考慮して、好ましくは、オクチルシラン処理、ジメチルジクロロシラン処理、ヘキサメチルジシラザン処理されたものがよい。
【0010】
また、本発明での(A)疎水化シリカは、その一部がお互いに立体構造を形成し、油性化粧料組成物においてゲル構造を形成し、安定化に役立っていると考えられるので、5〜20nmの微細な一次粒子径をもつものが好ましい。
【0011】
したがって、この疎水化の方法と粒子径を考慮すると、市販品としては、オクチルシラン処理品であるAEROSIL R805(日本アエロジル株式会社製)、ジメチルジクロロシラン処理品であるAEROSIL R972、R974、R976、R976S(日本アエロジル株式会社製)、ヘキサメチルジシラザン処理品であるAEROSIL R812、R812S(日本アエロジル株式会社製)等が好ましく利用できる。なお、本発明ではこれら(A)疎水化シリカを、1種又は2種以上を配合して使用する。
【0012】
(A)疎水化シリカの配合量は、化粧料組成物全量中、2〜5重量%であり、好ましくは2.5〜3.0重量%である。配合量が2重量%未満では、油剤成分のゲル化が十分でないため、十分な顔料の保持性が得られず、一方5重量%を超えると、疎水化シリカどうしの凝集のため、油剤の分離が起こり好ましくない。
【0013】
本発明における必須成分(B)デキストリン脂肪酸エステルは、デキストリンと高級脂肪酸とのエステルである。糖重合度が5〜50、糖単位当たりのエステル置換度が1.0〜2.5、脂肪酸の炭素数が8〜24であるものが好ましい。高級脂肪酸としては、具体的には、2−エチルヘキサン酸、ラウリン酸、パルミチン酸、ミリスチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、ベヘニン酸、ヤシ油脂肪酸等が挙げられる。これらのデキストリントと高級脂肪酸とのエステルのうち、デキストリンパルミチン酸エステル、及びデキストリンミリスチン酸エステルが経時的な顔料の分散安定性や、使用性の面から、より好ましい。また、デキストリン脂肪酸エステルの市販品としては、たとえば、レオパールKL2(パルミチン酸デキストリン)、レオパールMKL2(ミリスチン酸デキストリン)、レオパールTL2(パルミチン酸デキストリン)、レオパールTT2((パルミチン酸/2−エチルヘキサン酸)デキストリン)(以上、千葉製粉株式会社製)等が挙げられる。また、本発明ではこれら(B)デキストリン脂肪酸エステルを、1種又は2種以上を配合して使用する。
【0014】
(B)デキストリン脂肪酸エステルの配合量は、化粧料組成物全量中、2〜5重量%であり、好ましくは2.5〜3.0重量%である。配合量が2重量%未満では、油剤成分のゲル化が十分でないため、十分な顔料の保持性が得られず、一方、5重量%を超えると、塗布時ののびが重くなる場合があり、好ましくない。
【0015】
本発明における必須成分(C)水添ポリイソブテンは、イソブテンとn−ブテンの共重合体において、末端の二重結合も含め水素添加した側鎖を有する飽和タイプの長鎖状分岐炭化水素の混合物である。重合条件を変えることにより、種々の重合度のものを得ることができ、重質イソパラフィン、軽質イソパラフィンに分類される。特に限定はされないが、平均分子量500〜3000、特に1000付近のものが、入手性や粘度などの点から好ましい。例えば、市販のパールリームEX、パールリーム18、パールリーム24、パールリーム46(以上、日油株式会社製)を使用することができる。また、本発明ではこれら(C)水添ポリイソブテンを、1種又は2種以上を配合して使用する。
【0016】
(C)水添ポリイソブテンの配合量は、化粧料組成物全量中、10〜40重量%であり、好ましくは20〜30重量%である。配合量が10重量%未満では塗布した際の厚みが十分でなく、一方、40重量%を超えると塗布時ののびが重くなり、好ましくない。
【0017】
本発明における必須成分(D)ワセリンは、炭化水素類の混合物を精製して得られるペースト状のものであり、医薬品、医薬部外品、化粧品で通常用いられているものであれば特に制限されず用いることができる。市販品としては、CROLATUM V(クローダジャパン株式会社製)、ノムコートW(日清オイリオ製)等が好ましく利用できる。
【0018】
(D)ワセリンの配合量は、化粧料組成物全量中、8〜12重量%である。配合量が8重量%未満では塗膜が不均一となり、一方、12重量%を超えると塗布時にべたつき、好ましくない。
【0019】
本発明における必須成分(E)顔料は、特に限定されないが、通常の化粧料に使用されるものであれば、その形状(球状、棒状、針状、板状、不定形状、紡錘状等)や粒子径(煙霧状、微粒子、顔料級等)、粒子構造(多孔質、無孔質等)を問わず、いずれのものも使用することができ、たとえば、無機顔料、有色顔料、パール顔料、金属粉末顔料等が挙げられる。さらにこれらの顔料を複合化したものも使用することができる。具体的には、無機顔料としては、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、酸化セリウム、酸化マグネシウム、有色顔料としては、酸化鉄、水酸化鉄、チタン酸鉄の無機赤色顔料、γー酸化鉄等の無機褐色系顔料、黄酸化鉄、黄土等の無機黄色系顔料、黒酸化鉄、カーボンブラック等の無機黒色顔料、マンガンバイオレット、コバルトバイオレット等の無機紫色顔料、水酸化クロム、酸化クロム、酸化コバルト、チタン酸コバルト等の無機緑色顔料、紺青、群青等の無機青色系顔料、赤色3号、赤色104号、赤色106号、赤色201号、赤色202号、赤色204号、赤色205号、赤色220号、赤色226号、赤色227号、赤色228号、赤色230号、赤色401号、赤色505号、黄色4号、黄色5号、黄色202号、黄色203号、黄色204号、黄色401号、青色1号、青色2号、青色201号、青色404号、緑色3号、緑色201号、緑色204号、緑色205号、橙色201号、橙色203号、橙色204号、橙色206号、橙色207号等のタール系色素をレーキ化したもの、カルミン酸、ラッカイン酸、カルサミン、ブラジリン、クロシン等の天然色素をレーキ化したもの等、パール顔料としては、酸化チタン被覆雲母、オキシ塩化ビスマス、酸化チタン被覆オキシ塩化ビスマス、酸化鉄雲母チタン、紺青処理雲母チタン、カルミン処理雲母チタン、魚鱗箔、酸化チタン被覆タルク等、金属粉末顔料としては、アルミニウム、金、銀、銅、白金、ステンレス等の金属粉末が挙げられる。また、本発明ではこれら(E)顔料を、1種又は2種以上を配合して使用する。
【0020】
(E)顔料の配合量は、ペースト状油性化粧料組成物として、通常配合される量であればよい。
【0021】
本発明でいうペースト状とは、30℃においてチキソトロピックであり、その状態を維持するものをいう。すなわち、1cm×1cm×8cmの直方体容器に5gのベースを気泡なく充填して垂直に立てて1日静置後、強い衝撃を与えないように横に倒しても流れないものである。
【0022】
本発明の化粧料組成物中には、本願発明の効果を損なわない範囲で、上記の必須成分のほかに、化粧料用組成物中に一般的に配合される他の任意成分を配合することができる。
たとえば、油性成分、粉体およびそれらのシリコーン処理物やフッ素化合物処理物、界面活性剤、水や多価アルコール、低級アルコール、水溶性高分子、保湿剤等の水性成分、糖類、紫外線吸収剤、紫外線散乱剤、酸化防止剤、防腐剤、リパーゼやプロテアーゼ等の酵素類、レゾルシンやイオウ等の各種薬剤、清涼剤、キレート剤、色素、香料等を配合することができる。
【0023】
油性成分としては、化粧料に一般に使用される、動物油、植物油、合成油等の固形油、半固形油、液体油、揮発性油等、起源や性状を問わず、炭化水素類、油脂類、ロウ類、エステル油類、硬化油類、脂肪酸類、高級アルコール類、シリコーン油類、フッ素系油類、ラノリン誘導体類、油性ゲル化剤類等が挙げられる。具体的には、流動パラフィン、スクワラン、ポリエチレンワックス、エチレン・プロピレンコポリマー、パラフィンワックス、モンタンワックス、フィッシャートロプシュワックス、ポリイソブチレン、セレシンワックス、オゾケライトワックス等の炭化水素類、モクロウ、オリーブ油、ヒマシ油、ミンク油、マカデミアンナッツ油等の油脂類、ミツロウ、ゲイロウ、カルナウバワックス、キャンデリラワックス等のロウ類、ステアリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、ベヘニン酸、イソステアリン酸、オレイン酸等の脂肪酸類、ステアリルアルコール、セチルアルコール、ラウリルアルコール、オレイルアルコール、イソステアリルアルコール、ベヘニルアルコール等の高級アルコール類、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、トリメチルシロキシケイ酸、高重合度メチルフェニルポリシロキサン、架橋型メチルポリシロキサン、ポリオキシ変性オルガノポリシロキサン、架橋型ポリエーテル変性メチルポリシロキサン、メタクリル変性ポリシロキサン、ステアリル変性メチルポリシロキサン、オレイル変性メチルポリシロキサン、ベヘニル変性メチルポリシロキサン、ポリビニルピロリドン変性メチルポリシロキサン、高重合度ジメチルポリシロキサン、ポリオキシアルキレン・アルキルメチルポリシロキサン・メチルポリシロキサン共重合体、アルコキシ変性ポリシロキサン、架橋型オルガノポリシロキサン、フッ素変性ポリシロキサン等のシリコーン類、パーフルオロデカン、パーフルオロオクタン、パーフルオロポリエーテル等のフッ素系油剤類、ラノリン、酢酸ラノリン、ラノリン脂肪酸イソプロピル、ラノリンアルコール等のラノリン誘導体、蔗糖脂肪酸エステル、デンプン脂肪酸エステル、イソステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸カリウム等の油性ゲル化剤類等が挙げられ、これらを1種又は2種以上用いることができる。
【0024】
粉体成分としては、必須成分(E)顔料以外で、化粧料に一般に使用される粉体であれば、球状、板状、針状等の形状、煙霧状、微粒子、顔料級等の粒子径、多孔質、無孔質等の粒子構造等により特に限定されず、無機粉体類、光輝性粉体類、有機粉体類、色素粉体類、金属粉体類、複合粉体類等が挙げられる。無機粉体としては、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、タルク、マイカ、カオリン、セリサイト(絹雲母)、合成セリサイト、白雲母、合成雲母、金雲母、紅雲母、黒雲母、リチア雲母、炭化珪素、珪ソウ土、ケイ酸、無水ケイ酸、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、メタケイ酸アルミニウムマグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸バリウム、ケイ酸ストロンチウム、タングステン酸金属塩、ヒドロキシアパタイト、バーミキュライト、ハイジライト、ベントナイト、モンモリロナイト、スメクタイト、ヘクトライト、ゼオライト、セラミックスパウダー、第二リン酸カルシウム、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、酸化アンチモン、水酸化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化ボロン等の白色体質粉体、ポリエチレンテレフタレート・アルミニウム・エポキシ積層末、ポリエチレンテレフタレート・ポリオレフィン積層フィルム末、ポリエチレンテレフタレート・ポリメチルメタクリレート積層フィルム末等の光輝性粉体、ポリアミド系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリアクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、フッ素系樹脂、セルロース系樹脂、ポリスチレン系樹脂、スチレン−アクリル共重合樹脂等のコポリマー樹脂、ポリプロピレン系樹脂、シリコーン樹脂、ウレタン樹脂等の有機高分子樹脂粉体、ステアリン酸亜鉛、N−アシルリジン等の有機低分子性粉体、シルク粉末、セルロース粉末等の天然有機粉体等が挙げられ、これら粉体はその1種又は2種以上を用いることができ、更に複合化したものを用いても良い。
【0025】
界面活性剤としては、化粧料一般に用いられている界面活性剤であればいずれのものも使用でき、非イオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤等が挙げられる。例えば、グリセリン脂肪酸エステル及びそのアルキレングリコール付加物、ポリグリセリン脂肪酸エステル及びそのアルキレングリコール付加物、ソルビタン脂肪酸エステル及びそのアルキレングリコール付加物、蔗糖脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシアルキレンアルキル共変性オルガノポリシロキサン、ポリエーテル変性オルガノポリシロキサン、レシチン等が挙げられる。
【0026】
酸化防止剤としては、例えばα−トコフェロール、アスコルビン酸塩等が挙げられる。
【0027】
防腐剤としては、例えばパラオキシ安息香酸エステル、フェノキシエタノール等が挙げられる。
【0028】
紫外線吸収剤としては、例えばベンゾフェノン系、PABA系、ケイ皮酸系、サリチル酸系、4−tert−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタン、オキシベンゾン等が挙げられる。
【0029】
本発明のペースト状油性化粧料組成物の製造方法は特に限定されるものではないが、例えば、高温で、エステル油を含む油相にデキストリン脂肪酸エステルを溶解し、その後、顔料・疎水化シリカを均一に分散することにより得ることができる。
【0030】
本発明のペースト状油性化粧料組成物としては、スキンケア、メイクアップ、ヘアケア用途の化粧料が挙げられる。たとえば、アイクリームなどのスキンケア品、ペースト状口紅、アイクリーム、リップクリーム、アイシャドウ、アイライナーなどのメイクアップ品、ペースト状ヘアワックス、ヘアリタッチ剤などのヘアケア品などが挙げられる。その中でも、好ましくは口唇用であり、リップトリートメント、リップクリーム、リップ下地、ペースト状口紅、リキッドルージュ、グロス、特に好ましくは、ペースト状口紅、リキッドルージュ、グロスである。
【0031】
本願発明の、ペースト状油性化粧料組成物は、経時的な顔料の分散安定性(すなわち分離や沈降のないもの)に優れ、べたつきがなく、つや感・塗膜の均一性にも優れている。
【0032】
以下に実施例を挙げて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【実施例1】
【0033】
ペースト状口紅
表1に記載される本発明の処方例と、表2に示す比較例をそれぞれ調製し、べたつき、仕上がり(つや感、塗膜の均一性)について評価した。結果も併せて表1、2に記載した。
なお、顔料保持性および分離安定性に関しては、特許文献3のとおり、優れた効果が認められた。
【0034】
【表1】

【0035】
(製造方法)
A:成分8、9を均一に分散後、加熱溶解した成分1〜7に加熱混合する。
B:成分10〜15を均一に分散する。
C:AとBを均一に混合し、リクイド状口紅を得た。
【0036】
[べたつき評価方法]
各試料1gを、ガラス板にドクターブレードを用いて200μmの厚さで展開した。そのガラス板をレオメーター(FUDOH REHOMETER RT−3002D、レオテック製)のテーブルに試料面を上にして置き、アダプター(直径10mm)の先端を試料面と平行に接触させた。テーブル下降速度毎分5mm、測定温度20℃の測定値を、べたつきの指標とした。各試料の測定値を下記の評価基準を基に評価した。すなわち試料のべたつきが大きければ、測定値は大きくなる。なお、専門パネル20名による使用テストを行い、べたつきの官能評価と当該測定値には相関関係があることを確認している。
[評価基準]
◎:測定値が0g以上、150g未満
○:測定値が150g以上、300g未満
△:測定値が300g以上、450g未満
×:測定値が450g以上
【0037】
[仕上がり評価方法]
各試料について、専門パネル20名による使用テストを行い、各パネルが各試料ごとに以下の1〜5点の5段階の評価基準により評点を付した。また、各試料ごとに全パネルの評点の平均点を算出し、以下の4段階の判定基準により判定した。
[評価基準]
内容 評点(点)
非常に良好 : 5
良好 : 4
普通 : 3
やや不良 : 2
不良 : 1
[判定基準]
各パネルの評点の平均点
4.5以上 : ◎
3.5以上〜4.5未満 : ○
2.0以上〜3.5未満 : △
2.0未満 : ×
【0038】
【表2】

【0039】
(製造方法)
A:成分13、14を均一に分散後、加熱溶解した成分1〜12に加熱混合する。
B:成分15〜20を均一に分散する。
C:AとBを均一に混合し、リクイド状口紅を得た。
【0040】
表1、表2から明らかなように、特定量の疎水化シリカ及び脂肪酸デキストリンを含むペースト状口紅では、優れた安定性(顔料保持安定性および分離安定性)を有し、かつ優れた使用感と仕上がり(べたつきのなさ、つや感、および塗膜の均一性)が認めれた。しかし、疎水化シリカ及び脂肪酸デキストリンを含まないもの、及びその配合量が特定の範囲外のペースト状口紅では、優れた使用感と仕上がりが認められなかった。
【実施例2】
【0041】
ペースト状油性ファンデーション
(配合成分) (重量%)
(A相)
(1)水添ポリイソブテン(*1) 40.0
(2)流動パラフィン 残量
(3)パルミチン酸デキストリンエステル(*2) 1.5
(B相)
(4)タルク 5.0
(5)カオリン 5.0
(6)酸化チタン 4.0
(7)ベンガラ 1.0
(8)黄酸化鉄 4.0
(9)黒酸化鉄 0.2
(10)疎水化シリカ(*3) 2.0
(11)リンゴ酸ジイソステアリル(*4) 10.0
(12)香料 適量
*1:パールリーム18(日油株式会社製)
*2:レオパールKL2(千葉製粉株式会社製)
*3:アエロジルR976(日本アエロジル株式会社製)
*4:コスモール222(日清オイリオ製)
【0042】
(製造方法)A相を90〜100℃で溶解させ、ここに均一に分散したB相を加えてさらに分散した後、脱気を行い、ペースト状油性ファンデーションを得た。
【0043】
実施例2で得たペースト状油性ファンデーションは50℃、60日後において顔料の沈降や油分のしみ出しもなく、顔料保持安定性および分離安定性について優れた効果が認められた。かつ、使用感と仕上がり(べたつきのなさ、つや感、および塗膜の均一性)に優れたものであった。
【産業上の利用可能性】
【0044】
本発明は、顔料の分散安定性(すなわち、分離・沈降のないもの)に優れながら、べたつきを抑え、つや感・塗膜の均一性に優れたペースト状油性化粧料組成物を提供することを目的とする。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)疎水化シリカ 2〜5重量%、(B)デキストリン脂肪酸エステル 2〜5重量%、(C)水添ポリイソブテン 10〜40重量%、(D)ワセリン 8〜12重量%、及び(E)顔料を含有することを特徴とするペースト状油性化粧料組成物。
【請求項2】
(A)の疎水化シリカが2.5〜3.0重量%、(B)のデキストリン脂肪酸エステルが2.5〜3.0重量%、及び(C)の水添ポリイソブテンが20〜30重量%であることを特徴とする請求項1に記載のペースト状油性化粧料組成物。
【請求項3】
疎水化シリカがジメチルジクロロシラン処理シリカ又はヘキサメチルジシラザン処理シリカであることを特徴とする請求項1又は2に記載のペースト状油性化粧料組成物。
【請求項4】
デキストリン脂肪酸エステルがデキストリンパルミチン酸エステル又はデキストリンミリスチン酸エステルであることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載のペースト状油性化粧料組成物。


【公開番号】特開2011−195545(P2011−195545A)
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−66651(P2010−66651)
【出願日】平成22年3月23日(2010.3.23)
【出願人】(592262543)日本メナード化粧品株式会社 (223)
【Fターム(参考)】