説明

ペースメーカーのリード及び同一のものの製造方法

近位部コネクター要素と遠位部電極との間に電気シグナル経路を提供する、少なくとも1つの可撓性導体要素を支持するリード本体を含む、改善されたペースメーカーリード。当該リード本体は、1又は2以上の当該可撓性導体要素を保護する絶縁構造を含み、当該絶縁構造は、熱可塑性ポリウレタンエラストマーとイソブチレンブロックコポリマーとのポリマーブレンドにより実現される。ポリマーブレンドにおけるイソブチレンブロックコポリマーのモル分率は、2%〜15%の範囲内(最も好ましくは10%のオーダー)である。当該絶縁構造のポリマーブレンドは、20MPa〜40MPaの(最も好ましくは25MPa〜35MPaの)範囲内の最大引張強さを有する。好ましい実施形態において、ポリマーブレンドの硬さは、70A〜80Aの範囲内のショア硬さによって特徴付けられ得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
1.発明の技術分野
本発明は、身体器官若しくは組織の電気刺激又は電気検出のための医療用電気リードに、及びその製造方法に広く関する。より具体的には、本発明は、電気刺激、例えばペーシングパルス(pacing pulse)、及び心臓除細動(cardioversion)/除細動(defibrillation)ショックを心臓へ送達するための、及び/又は心電図(EGM)若しくは他の生理学的データの計測のための植え込み可能な心臓リードに関する。
【背景技術】
【0002】
2.現状技術
植え込み可能な医療用電気刺激及び/又は計測リード(本明細書において「ペースメーカーリード」と呼ぶ)は、心臓ペーシング及び心臓除細動/除細動を含む、心臓の刺激及び観測の分野において周知である。これらの適用において、ペースメーカー若しくは心臓除細動器(cardioverter)/除細動器(defibrillator)植え込み可能パルス発生器(IPG)又は心臓モニターは、1又は2以上のかかるリードを通じて心臓と連結している。かかるリードの近位末端は、IPG又は心臓モニターの末端と連結するコネクター要素で形成される。かかるリードの遠位末端は、所望の処置部位の組織に固定される、遠位部刺激電極及び/又は検出電極を含む。リード本体は、近位末端と遠位末端との間を伸長する。リード本体は、絶縁外側スリーブに覆われた1又は2以上の導電体を含む。各々の導電体は、近位部のコネクター要素(及びそれらと連結しているIPG又は心臓モニター)と遠位部刺激電極/検出電極との間に電気シグナル経路を提供する。単一の遠位部刺激電極及び/又は検出電極は通常、単極リードと呼ばれる。2又は3以上の、遠位部刺激電極及び/又は検出電極を有するリードは通常、双極(又は多極)リードと呼ばれる。リードは通常、心内膜法又は心外膜法を用いて植え込みされる。心内膜法は最も一般的な方法である。心外膜法は、成人においてはさほど一般的な方法ではないが、小児においてより一般的である。
【0003】
心内膜法において、1又は2以上のリード及びIPG又は心臓モニターが挿入される、胸部切開領域(通常、鎖骨隣接部)を麻痺させるために、局所麻酔薬が通常適用される。各々のリードは、切開を通じて静脈へと挿入され、その後蛍光透視法を用いて、静脈経路を通じて心臓へと導かれる。遠位部リード電極は、所望の治療領域における心筋に取り付けられる。リードの近位部コネクター要素は、IPG又は心臓モニターに連結され、当該IPG又は心臓モニターは、胸郭上部の皮膚下に作れられたポケット中に設置される。静脈経路は、多くのねじれ及び回転を含み、リード本体は、それに圧迫をかける身体の骨構造に逆らって押し通され得る。
【0004】
心外膜法は、心臓切開手術を必要とし、ここで1又は2以上のリードの遠位部リード電極は、静脈を通じて1又は2以上のリードを挿入する代わりに、所望の治療領域における心臓組織に直接取り付けられる。リードの近位部コネクター要素は、IPG又は心臓モニターに連結され、当該IPG又は心臓モニターは、腹部皮膚下に作れられたポケット中に設置される。
【0005】
全ての適用において、心臓は1日当たり約100,000回、又は1年当たり3000万回以上鼓動し、各鼓動は、少なくともリード本体の遠位部分を圧迫する。リード導体及び絶縁体は、蓄積された機械的応力に、並びに、装置の性能及び患者の良好な状態に対して悪影響を有する、絶縁体の分解又はリード導体の破砕をもたらし得る、以下に記載されるような材料反応にさらされる。
【0006】
(心内膜法のための)静脈経路を通じた進行を容易とするために、及び(全ての適用のための)リード本体に対する応力を最小化するために、より小さい直径のコイル状ワイヤー導体及び可撓性(flexible)絶縁体材料、特にポリウレタン組成物を用いた可撓性リード本体が開発されてきた。しかし、かかるリード材料の生体安定性に関する問題が存在する。より具体的には、インビボにおいて、リード本体の弾性ポリウレタンの絶縁体の分解のための多くの機構が存在することが知られている。1つは、環境応力亀裂(environmental stress cracking)(ESC)であり、それは、エラストマーに作用することができる媒体と特定の閾値を超える応力レベルとの組み合わされた相互作用によって産生される、ポリウレタンエラストマーにおける貫入又は亀裂の生成である。別のものは、金属イオン誘導性酸化(MIO)である。当該金属イオン誘導性酸化において、ポリウレタンエラストマーが、リード本体の導体ワイヤーにおいて単体で、又は合金で使用される金属イオン、例えばコバルトイオン、クロミウムイオン、モリブデニウムイオンなどからの加速された分解を示す。
【0007】
ポリエーテルウレタンの分解機構は、Case Western Reserve University (Cleveland, Ohio)のAndersonのグループによって解明された。彼らは、ペースメーカーリードの絶縁体内部で生じている、多形核白血球(PMN)などにより産生されるスーパーオキシド(O3)か、又はポリウレタンの金属イオン接触のいずれかによって、ポリエーテルソフトセグメントのエーテルのアルファ炭素が酸化されてエステルとなることを発見した。当該エステルのその後の加水分解により、高分子が切断され、屈曲部の存在下で亀裂が生じる。エーテル基が損傷を受けやすいことが判明したため、本発明の発明者は、植え込み適用のために、より生体内安定性(biostable)であるポリカーボネートウレタンを導入した。それは、最初はフロリダ州マイアミのCorvita Corp.によって商標名Corethane(商標)として市販されており、現在は、カリフォルニア州バークレー(Berkley)のDSM PTGによってBionate(登録商標)という名称で市販されている。
【0008】
材料のチューブが、亜鈴型のマンドレルの上で伸長されて、酸化性化学物質及び加水分解性化学物質に曝露されるか、又はあらかじめ定められた時間体内に植え込まれる、「Stokes Test」を用いて、ポリカーボネートウレタンの改善された生体内安定性が、MedtronicのStakeのグループによって確認された。酸化及び加水分解に容易に影響を受ける材料は、このモデルにおいて亀裂が生じるが;驚くべきことに、ポリカーボネートウレタンは試験期間内において亀裂が生じなかった。
【0009】
ポリカーボネートウレタンは、ポリエーテル及びポリエステルウレタンと比較して優れた生体内安定性を示したが、それらはまた、表面の亀裂によって明らかな通り、最終的に生分解性を示した。当該破砕は、組織構造において多くのマクロファージを有する領域で最も顕著であった。重要なことに、Wilsonのグループ(The Hospital for Sick Children, Toronto, Ontario)はまた、これらの分解性インプラントが、特に植え込みの初期週において、過剰の多形核白血球を引き付けることを観察した。さらに、ポリカーボネートウレタンが清潔であるほど(抽出可能物が少なく、表面が洗浄されている)、炎症は激しい。さらに、マクロファージ、異物巨細胞の引き付け、及び小さい「塊の(chunk)」ポリウレタンの食作用が観察された。最終的に、植え込み後1カ月ほどでマイクロフィラメントの植え込み片における亀裂形成が慎重に行われた試験中に観察された。これらの知見の概要は、「Medical applications of poly(styrene-block-isobutylene-block-styrene) ("SIBS")」 Biomaterials (2007), doi:10.1016/j.biomaterials.2007.09.041、と標題の付けられたPinchuk 他の論文に記載されている。要約すればポリウレタンは、植え込み後数週間以内に生じる問題の兆候と共に、経時的な分解を示す。分解は大概、食細胞(「スカベンジャー細胞」)によって産生されるスーパーオキシドによる酸化が原因であり;当該部位へ移動するスカベンジャー細胞の数が多いほど、分解がひどくなる。ポリウレタンを貫通することができる酸素が多いほど、それはより多く分解し、同様に、ポリウレタンに吸収される水が多いほど、ポリマーを分解し得る、酸素及び他の物質、例えば水素イオンの輸送がより増加する。
【発明の概要】
【0010】
発明の概要
したがって、本発明の目的は、インビボにおける分解に対して改善された抵抗性を有する絶縁体を備えたペースメーカーリードを提供することである。
【0011】
本発明の別の目的は、優れた可撓性(flexibility)及び機械的特性を有するペースメーカーリードを提供することである。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1A】図1Aは、本発明が具体化された、植え込み可能なペースメーカーリード本体の透視図である。
【図1B】図1Bは、図1Aのペースメーカーリード本体の断面図である。
【図1C】図1Cは、本発明の別の実施形態の、ペースメーカーリード本体の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の実施形態において、ペースメーカーリードは、近位部コネクター要素と遠位部電極との間に電気シグナル経路を提供する、少なくとも一つの可撓性導体要素を支持するリード本体を含む。当該リード本体は、当該1又は2以上の可撓性導体要素を保護する絶縁構造を含み、当該絶縁構造は、熱可塑性ポリウレタンエラストマーとイソブチレンブロックコポリマーとのポリマーブレンドにより実現される。ポリマーブレンドにおけるイソブチレンブロックコポリマーのモル分率は、2%〜15%の範囲内(最も好ましくは10%のオーダー(on the order of 10%))である。当該絶縁構造のポリマーブレンドは、20MPa〜40MPaの(最も好ましくは25MPa〜35MPaの)範囲内の最大引張強さ(maximum tensile strength)を有する。好ましい実施形態において、ポリマーブレンドの硬さ(hardness)は、70A〜80Aの範囲内のショア(Shore)硬さによって特徴付けられ得る。
【0014】
好ましい実施形態において、1又は2以上の可撓性導体要素は、中心軸を定義するコイル状ワイヤー導体であって、中心軸から半径方向外向きに面する外側面を有し、中心軸に向かって半径方向内向きに面する内側面を有する前記コイル状ワイヤー導体を含み、絶縁構造は、コイル状ワイヤー導体の少なくとも外側面を覆う(より好ましくは、当該コイル状ワイヤー導体を被包(encapsulate)する)。
【0015】
絶縁構造のポリマーブレンドは、酸素透過性を減少させ、したがってリード本体の可撓性及び所望の引張強さを維持しながら、環境応力亀裂及び金属イオン誘導性酸化に対する改善された抵抗性を提供する。
【0016】
好ましい実施形態において、ポリマーブレンドの熱可塑性ポリウレタンエラストマーは、ソフトセグメント(soft segment)、イソシアネート成分、及び任意の鎖延長剤成分を含む。当該ソフトセグメントは、ポリエステル、ポリエーテル、脂肪族化合物、ポリカーボネート及びそれらの混合物を含む群から選択され得る。当該ソフトセグメントは、マクロジオールであって、ジオール、トリオール、マルチオール又はそれらの組み合わせで終結される、当該マクロジオールであり得る。当該ソフトセグメントはまた、マクロアミンであって、ジアミン、トリアミン、マルチアミン又はそれらの組み合わせで終結される、当該マクロアミンであり得る。当該イソシアネート成分は、メチレンビスフェニルジイソシアネート(MDI)、水素化メチレンビスフェニルジイソシアネート(HMDI)、トルエンジイソシアネート(TDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートなどを含む群から選択されるジイソシアネートを含み得る。当該任意の鎖延長剤成分は、1,4−ブタンジオール、エチレングリコール、エチレンジアミン、1,6−ヘキサンジオール等を含む群から選択され得る。
【0017】
ポリマーブレンドのイソブチレンブロックコポリマーは、好ましくは、イソブチレン由来モノマーユニットを含む第1のポリマーブロック成分、及びイソブチレン以外のモノマー成分由来の第2のポリマーブロック成分から成る。当該第2のポリマーブロック成分は、脂肪族オレフィン、脂環式オレフィン、芳香族ビニル化合物、ジエン、ビニルエーテル、シラン、ビニルカルバゾール、β-ピネン、アセナフチレン及び類似のモノマーを含む群から選択される、少なくとも1つのカチオン重合性モノマーであり得る。好ましい実施形態において、イソブチレンブロックコポリマーの一部としての当該第2のポリマーブロック成分のモル分率は、15%〜45%の範囲内(より好ましくは25%〜35%の範囲内)であり、イソブチレンブロックコポリマーの当該第1のポリマーブロック成分のモル分率は、85%〜55%の範囲内(より好ましくは75%〜65%の範囲内)である。さらに、ポリマーブレンドのイソブチレンブロックコポリマーのショア硬さは、好ましくは70A〜90A(より好ましくは80Aのオーダー)である。
【0018】
ポリマーブレンドのイソブチレンブロックコポリマーは、好ましくは、ジブロックコポリマー構造、トリブロックコポリマー構造、及びマルチブロックコポリマー構造を含む群から選択されるブロック構造を有する。より好ましくは、ポリマーブレンドのイソブチレンブロックコポリマーは、スチレン−イソブチレン−スチレントリブロックコポリマーを含む。
【0019】
当該ポリマーブレンドは、溶融混合によって、又は溶液中での混合によって形成され得る。
【0020】
本発明の更なる目的及び利点は、詳細な説明及び図面を参照することによって、当業者にとって明らかとなり得る。
【0021】
好ましい実施形態の詳細な説明
図1A及び1Bを検討すると、可撓性ペースメーカーリード1は、同軸の絶縁構造によって覆われた、1又は2以上の可撓性導体要素13を含むリード本体11を用いて提供される。当該同軸の絶縁構造は、外側絶縁部15及び内側絶縁部17を含み、それらはいずれも熱可塑性ポリウレタンエラストマー及びイソブチレンブロックコポリマーのポリマーブレンドにより実現される。示される例示的実施形態において、可撓性導体要素13は、2つのコイル状ワイヤー導体を含む。各々のコイル状ワイヤー導体は中心軸を定義し、そしてそれは当該中心軸から半径方向外向きに面する外側面、及び中心軸に向かって半径方向内向きに面する内側面を有する。図1Bの断面図において最もよく示される通り、外側絶縁部15は、コイル状ワイヤー導体13を、リード本体の長手に沿って被包し且つ絶縁する。或いは、コイル状ワイヤー導体13は、図1Cに示される通り、外側絶縁部15と内側絶縁部17との間に被包され得る。この配置において、外側絶縁部15はコイル状ワイヤー導体の外側面を覆い、内側絶縁部17はコイル状ワイヤー導体の内側面を覆う。好ましい実施形態において、内側絶縁部17は、よく知られた植え込み中において、リード本体の操作を補助するスタイレット(stylet)を取り外し可能に受けるガイドチャンネルルーメン(guide channel lumen)19を定義する。リード本体11の近位末端は、IPG又は心臓モニターの末端と連結するコネクター要素(示されず)を含む。リード本体11の遠位末端は、所望の処置部位における心臓組織に固定される、少なくとも1つの遠位部刺激電極、及び/又は検出電極(示されず)を含む。1又は2以上の導体要素13は、近位部のコネクター要素(及びそれらと連結しているIPG又は心臓モニター)と1又は2以上の遠位部刺激電極/検出電極との間に電気シグナル経路を提供する。
【0022】
ポリマーブレンドの熱可塑性ポリウレタンエラストマーは、任意の種類のポリウレタン;例えば、ポリエステル、ポリエーテル、脂肪族化合物、ポリカーボネート及びそれらの混合物として一般的に説明される、ソフトセグメントを有する任意のポリウレタンであり得る。当該ソフトセグメントは、ジオール、トリオール又はマルチオールで終結されたマクロジオールであり得る。さらにそれらは、ジアミン、トリアミン及びマルチアミンで終結されたマクロジオール、並びにそれらの混合物、並びにそれらとジオールとの混合物であり得る。当該熱可塑性ポリウレタンエラストマーは、好ましくはイソシアネート成分を含み、それらはジイソシアネート、例えばメチレンビスフェニルジイソシアネート(MDI)、水素化メチレンビスフェニルジイソシアネート(HMDI)、トルエンジイソシアネート(TDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートなどであり得る。当該熱可塑性ポリウレタンエラストマーはまた、好ましくは鎖延長剤を含み、そしてそれは、1,4−ブタンジオール、エチレングリコール、エチレンジアミン、1,6−ヘキサンジオール等であり得る。生じるポリウレタン又はポリウレアは、ソフトセグメントとジイソシアネートとの、及び鎖延長剤との反応生成物である(又はそれは、鎖延長剤を必要としない)。かかる熱可塑性ポリウレタンエラストマーの合成は一般的に、当技術分野で周知である。
【0023】
当該ブレンドのイソブチレンブロックコポリマーは、少なくともその一部の中に、イソブチレン由来モノマーユニットを含有するブロックコポリマーであり、本発明においてそれは、(a)イソブチレン由来のポリマーブロック成分、及び(b)イソブチレン以外のモノマー成分由来のポリマーブロック成分から構成される。当該ポリマーブロック成分(a)は、イソブチレンン以外のモノマー成分を含んでもよい(又は含まなくてもよい)。当該イソブチレン以外のモノマー成分は、特に限定されないが、カチオン重合性モノマー、例えば脂肪族オレフィン、脂環式オレフィン、芳香族ビニル化合物、ジエン、ビニルエーテル、シラン、ビニルカルバゾール、β-ピネン、アセナフチレン等のモノマーであり得る。当該ポリマーブロック成分(b)は、カチオン重合性モノマー、例えば以下のものであり得る:
【0024】
− 脂肪族オレフィン(例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、2−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ブテン、ペンテン、ヘキサン、4−メチル−1−ペンテン及びオクテン)、脂環式オレフィン(例えば、シクロヘキセン、ビニルシクロヘキサン及びノルボルネン);
【0025】
− 芳香族ビニルモノマー(例えば、スチレン、o−、m−又はp−メチルスチレン、α−メチルスチレン、β−メチルスチレン、2,6−ジメチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、α−メチル−o−メチルスチレン、α−メチル−m−メチルスチレン、α−メチル−p−メチルスチレン、β−メチル−o−メチルスチレン、β−メチル−m−メチルスチレン、β−メチル−p−メチルスチレン、2,4,6−トリメチルスチレン、α−メチル−2,6−ジメチルスチレン、α−メチル−2,4−ジメチルスチレン、β−メチル−2,6−ジメチルスチレン、β−メチル−2,4−ジメチルスチレン、o−、m−、又はp−クロロスチレン、2,6−ジクロロスチレン、2,4−ジクロロスチレン、α−クロロ−o−クロロスチレン、α−クロロ−m−クロロスチレン、α−クロロ−p−クロロスチレン、β−クロロ−o−クロロスチレン、β−クロロ−m−クロロスチレン、β−クロロ−p−クロロスチレン、2,4,6−トリクロロスチレン、α−クロロ−2,6−ジクロロスチレン、α−クロロ−2,4−ジクロロスチレン、β−クロロ−2,6−ジクロロスチレン、β−クロロ−2,4−ジクロロスチレン、o−、m−、又はp−t−ブチルスチレン、o−、m−、又はp−メトキシスチレン、o−、m−、又はp−クロロメチルスチレン、o−、m−、又はp−ブロモメチルスチレン、シリル置換スチレン誘導体、インデン、及びビニルナフタレン);
【0026】
− ジエン(例えば、ブタジエン、イソプレン、ヘキサジエン、シクロペンタジエン、シクロヘキサジエン、ジシクロペンタジエン、ジビニルベンゼン、及びエチリデンノルボルネン);
【0027】
− ビニルエーテル(例えば、ビニル基を有するエーテル、及び置換ビニル、例えばプロペニル基を有するエーテル、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、(n−又はイソ)プロピルビニルエーテル、(n−、sec−、tert−、又はイソ)ブチルビニルエーテル、メチルプロペニルエーテル及びエチルプロペニルエーテルを含む);
【0028】
− シラン(例えば、ビニルトリクロロシラン、ビニルメチルジクロロシラン、ビニルジメチルクロロシラン、ビニルジメチルメトキシシラン、ビニルトリメチルシラン、ジビニルジクロロシラン、ジビニルジメトキシシラン、ジビニルジメチルシラン、1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、トリビニルメチルシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン及びγ−メタクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン);
【0029】
− ビニルカルバゾール;
− β−ピネン;
− アセナフチレン;及び
− 類似のモノマー。
【0030】
これらは単独で使用され得るか、又はそれらの2若しくは3以上が組み合わされて使用され得る。バランスのとれた物理学的特性及び重合特性の観点から、成分として芳香族ビニルモノマーの使用が特に好ましい。
【0031】
当該ブレンドのイソブチレンブロックコポリマーのブロック構造は、特に限定されるものではなく、したがって直鎖、分岐鎖、星型又は他の構造を有する、ジブロックコポリマー、トリブロックコポリマー、マルチブロックコポリマーなどであり得る。
【0032】
バランスのとれた物理学的特性及び重合特性から、好ましいブロックコポリマーとして特に、例えば、構成成分として芳香族ビニルモノマー由来のポリマーブロック/構成成分としてイソブチレン由来のポリマーブロック/構成成分として芳香族ビニルモノマー由来のポリマーブロック、から成るトリブロックコポリマー;構成成分として芳香族ビニルモノマー由来のポリマーブロック/構成成分としてイソブチレン由来のポリマーブロック、から成るジブロックコポリマー;及び、少なくとも3つの腕を有する星型ブロックコポリマーであって、各々の腕が構成成分として芳香族ビニルモノマー由来のポリマーブロック、及び構成成分としてイソブチレン由来のポリマーブロックから成る、前記星型ブロックコポリマーが言及され得る。所望の物理学的特性及び成形性/加工性が獲得されるように、これらは単独で、又は2若しくは3種類以上を組み合わせて使用され得る。特に、上記のトリブロックコポリマー及びジブロックコポリマーが好ましく、スチレン−イソブチレン−スチレントリブロックコポリマー(SIBS)若しくはスチレン−イソブチレンジブロックコポリマーがより好ましく、ここでスチレンは芳香族ビニルモノマーとして使用される。
【0033】
ポリマーブレンドのイソブチレンブロックコポリマーの一部としての、ポリマーブロック成分(a)及びポリマーブロック成分(b)の総体的濃度は、所望の可撓性及び物理学的特性を提供するために変化され得る。好ましい実施形態において、イソブチレンブロックコポリマーの一部としての、ポリマーブロック成分(b)のモル分率は、好ましくは15〜45%(より好ましくは25〜35%)であり、イソブチレンブロックコポリマーの一部としての、ポリマーブロック成分(a)のモル分率は、好ましくは85〜55%(より好ましくは75〜65%)である。さらに、ポリマーブレンドのイソブチレンブロックコポリマーのショア硬さは、好ましくは70A〜90A(より好ましくは80Aのオーダー)である。
【0034】
当該ブレンドのイソブチレンブロックコポリマーの分子量は、特に限定されないが、流動性、加工性及び物理学的特性の観点から、重量平均分子量は特に、好ましくは30,000〜500,000、より好ましくは50,000〜200,000、さらにより好ましくは50,000〜150,000である。当該イソブチレンブロックコポリマーの重量平均分子量が30,000未満であるとき、粘着性傾向(ネバネバな感触(feel of tack))があり、所望の機械特性は十分に発現されない。一方で、それが500,000超であるとき、流動性及び加工性の観点から欠点が生じ得る。
【0035】
当該ブレンドのイソブチレンブロックコポリマーの製造方法は、特に限定されないが、当該コポリマーは例えば、以下の一般式:
【0036】
【化1】

【0037】
で表される化合物の存在下、イソブチレン由来のモノマー成分を、イソブチレン以外のモノマー由来のモノマー成分と重合させることによって得られうる。
【0038】
上記式において、Xはハロゲン原子、及び1〜6個(好ましくは1〜3個)の炭素原子を含むアルコキシ又はアシルオキシ基から選択される置換基であり、R1及びR2は、各々独立して水素原子、又は1〜6個(好ましくは1〜3個)の炭素原子を含む1価の炭化水素基である。R1及びR2は、同一であるか又は異なり得る。R3は、1〜6価の芳香族若しくは脂環式炭化水素基であるか、又は1〜4価の脂肪族炭化水素基であり、R3基が芳香族若しくは脂環式炭化水素基であるとき、nは1〜6の自然数を表し、R3が脂肪族基であるとき、nは1〜4の自然数を表す。
【0039】
式(1)で表わされる化合物は開始剤として働き、ルイス酸などの存在下で恐らくカルボカチオンを形成し、そしてそれがカチオン重合のための開始部位として働く。特に、式(1)のR3基が1〜3価の芳香族炭化水素基である化合物が好ましい。
【0040】
イソブチレンブロックコポリマーの重合中、ルイス酸触媒がさらに共存され得る。かかるルイス酸触媒は、カチオン重合で使用され得る任意のものであり得、金属ハライド(例えばTiCl4、TiBr4、BCI3、BF3、BF3・OEt2、SnCl4、SbCl5、SbF5、WCl6、TaCl5、VCl5、FeCl3、ZnBr2、AlCl3及びAlBr3)、有機金属ハライド(例えばEt2AlCl及びEtAlCl2)を含む。追加の量のルイス酸は特に限定されないが、特に使用されるモノマーの重合特性及び/又は重合濃度に従って選択され得る。一般的にルイス酸は、一般式(1)で表わされる化合物1molに対して、0.1〜100mol当量、好ましくは1〜50mol当量で使用され得る。
【0041】
イソブチレンブロックコポリマーの重合時において、電子供与性成分が所望の通りに使用され得る。この電子供与性成分が、カチオン重合時におけるカルボカチオン生成の安定化に効果的であると考えられ、かかる電子供与体が添加されるとき、狭い分子量分布を有する構造的に制御されたポリマーが形成される。使用される電子供与性成分は、特に限定されないが、特に例えばピリジン、アミン、アミド、スルホキシド、エステル、及び金属原子に結合した1又は2以上の酸素原子を含有する金属化合物を含む。
【0042】
イソブチレンブロックコポリマーを製造するための重合反応は、有機溶媒中で行われ得る。カチオン重合を本質的に妨害しないことを条件として、当該有機溶媒は特に限定されない。当該有機溶媒の具体例として、特にハロゲン化炭化水素、例えばメチルクロリド、ジクロロメタン、クロロホルム、エチルクロリド、ジクロロエタン、n−プロピルクロリド、n−ブチルクロリド及びクロロベンゼン;ベンゼン及びアルキルベンゼン、例えばトルエン、キシレン、エチルベンゼン、プロピルベンゼン及びブチルベンゼン;直鎖脂肪族炭化水素、例えばエタン、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン及びデカン;分岐鎖脂肪族炭化水素、例えば2−メチルプロパン、2−メチルブタン、2,3,3−トリメチルペンタン、及び2,2,5−トリメチルヘキサン;脂環式炭化水素、例えばシクロヘキサン、メチルシクロヘキサン及びエチルシクロヘキサン;並びに水素化による精製によって石油画分から生じるパラフィンオイルが言及され得る。
【0043】
イソブチレンブロックコポリマーを製造するための重合反応は、−100℃〜0℃(最も好ましくは−80℃〜−30℃)の制御された温度範囲内で行われる。
【0044】
当該ブレンドのイソブチレンブロックコポリマーと熱可塑性ポリウレタンエラストマーのこれらの相対濃度は、当該ブレンドの引張強さ及び疎水性度を制御するように調節され得る。当該ポリマーブレンドの一部としてのイソブチレンブロックコポリマーのモル分率は、1%〜50%の範囲であり得る。好ましい実施形態において、当該ポリマーブレンドのイソブチレンブロックコポリマーのモル分率は、2%〜15%の範囲内(より好ましくは10%のオーダー)であり、当該ブレンドの熱可塑性ポリウレタンエラストマーのモル分率は、98%〜85%の範囲内(より好ましくは90%のオーダー)である。好ましい実施形態において、当該ポリマーブレンドは、20MPa〜40MPaの(より好ましくは25MPa〜35MPaの)範囲内の最大引張強さを有する。当該ポリマーブレンドの最大引張強さは、応力−歪み曲線における最大応力であり、そしてそれは当該ポリマーブレンド試料を、引張試験機(例えばInstron Corp. of Norwood, MAにより市販されている引張試験機)で引張試験を行うことによって測定され得る。好ましい実施形態において、当該ポリマーブレンドの硬さは、70A〜80Aの範囲内のショア硬さによって特徴付けられ得る。ショア硬さは、ショア・デュロメータ(例えば、Instron Corp. of Norwood, MAにより市販されているショア・デュロメータ)によって測定され得る。当該ショア・デュロメータは通常、既知の高さから試験片へと落とされるダイヤモンドチップ付ハンマーを含む。硬度数は、ハンマーが跳ね返る高さに依存する;当該物質が硬ければ硬いほど、より高く跳ね返る。好ましい実施形態において、当該ブレンドのイソブチレンブロックコポリマー及び熱可塑性ポリウレタンエラストマーの弾性特性は、滑らかな応力−歪み曲線を提供するように、類似する。さらに、溶融処理によって混合されるとき、当該ブレンドのイソブチレンブロックコポリマー及び熱可塑性ポリウレタンエラストマーの融点は、一方のポリマー溶融する前に他方のポリマーが燃焼するのを避けるために、同一の範囲内である。
【0045】
さらに、幾つかのポリウレタンは、他のものよりも、イソブチレンブロックコポリマーとの優れた相溶性を示す。例えば、ジイソシアネートとしてMDIを使用し、マクログリコールとしてポリテトラメチレングリコールを使用し、鎖延長剤として1,4−ブタンジオールを使用するポリエーテルウレタンが、20molパーセントのスチレンのSIBSと混合されたとき、きれいで透明なポリマーが提供される。他方では、MDI、ポリ(テトラメチレンカルバメート)グリコール及び1,4−ブタンジオールを含むポリカーボネートウレタンをSIBSと混合することで、白色不透明のポリマーが提供される。したがって、透明性が必要とされる特定の適用のために、当該芳香族ポリエーテルウレタンが好ましい。相溶化剤、例えばポリウレタン基でキャッピングされたポリイソブチレンはまた、SIBSがポリウレタンに対してより相溶化可能となるのを補助するために、当該ブレンドに添加され得る。
【0046】
他のポリマー化合物及び/又は添加剤が、当該ブレンドポリマーに含まれ得る。当該添加剤は、滑剤、抗酸化剤、UV安定剤、融解処理補助剤(melt processing aids)、押し出し処理補助剤(extrusion processing aids)、ブロッキング剤(blocking agent)、顔料、放射線不透過性物質(radioopaque)、賦形剤などを含み得る。当該滑剤は、脂肪酸タイプの滑剤、パラフィンタイプの滑剤又はそれらの組み合わせであり得る。当該脂肪酸タイプの滑剤は、脂肪酸金属塩タイプの滑剤、脂肪酸アミドタイプの滑剤、脂肪酸エステルタイプの滑剤、脂肪族アルコールタイプの滑剤、脂肪酸−多価アルコールの部分エステル、及び/又はそれらの組み合わせを含み得る。当該パラフィンタイプの滑剤は、パラフィンワックス、流動パラフィン、ポリエチレンワックス、酸化ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、及び/又はそれらの組み合わせを含み得る。
【0047】
イソブチレンブロックコポリマーと熱可塑性ポリウレタンエラストマーとのブレンド化は、当該ポリマーを融液中で共に混合することにより、又は当該ポリマーを溶液中で混合することにより行われ得る。融液混合は、加熱混合機、例えば単軸押出機、2軸押出機、バンバリーミキサー(Brandbury mixer)、ブラベンダーミキサー(Brabender mixer)又は高せん断ミキサーで行われ得る。混合可能な程度に十分に柔かくなるまで、両方のポリマーが共に加熱され、それは好ましくは150℃〜200℃で達成される。溶液中での混合は、好適な溶媒中で行われ得る。例えば、大部分のイソブチレンブロックコポリマー及びポリウレタンエラストマーは、テトラヒドロフラン(THF)に可溶である。したがって、例示的な目的のみであるが、ポリエーテルウレタンの15%THF溶液は、15%のSIBS溶液と混合されて、ブレンドされたポリマーが提供され得る。当該溶媒がその後除去(flash off)されるか、又は当該ポリマーは、大量のイソプロピルアルコールを添加することによって溶液から沈殿され得る。そのように形成されたブレンドは、ペレット化され、本明細書において説明されたリード本体の外側絶縁部15及び内側絶縁部17としての使用のために加工され得る。
【0048】
重要なことに、当該リード本体の外側絶縁部15及び内側絶縁部17のポリマーブレンドは、当該ブレンドのイソブチレンブロックコポリマーの酸素透過特性のために、ポリウレタン単体と比較して酸素透過性が低い。材料の酸素透過性の測定は、「Barrer」と呼ばれる非SI単位でなされる。角膜への酸素供給が角膜の生存のために、及び着用者の快適性のために必須であるために、この単位は規定されている(そしてそれはコンタクトレンズ業界において重要である)。大部分のポリマーは、約25〜35のBarrer数を有する。ポリウレタンは、25〜30の範囲内のBarrer数を有する。本発明の当該ポリマーブレンドは、15〜25のBarrer数を有する。当該リード本体の外側絶縁部15及び内側絶縁部17のポリマーブレンドの両方の一部としての当該ポリマーブレンドの減少された酸素透過特性はしたがって、リード本体内側からの(すなわち内側チャンネルからの)及びリード本体外側からの、金属導体への、当該絶縁構造を通じた酸素流を制限し、したがって当該リード本体の絶縁構造(部位15、17)の可撓性及び所望の引張強さを維持しながら、MIO及びESCに対する改善された抵抗性を提供する。
【0049】
内側絶縁部17は、当該内側絶縁部17について巻きつけられた1又は2以上の可撓性導体要素13を有するコアに対して、浸漬被覆、噴霧又は共押出することによって形成され得る。外側絶縁部15は、生じた構造に対して浸漬被覆、噴霧又は共押出することによって形成され得る。当該コアがその後取り除かれ、示されたリード本体が提供される。この構造を製造するための例示的加工の詳細は、McMikle他の米国特許第4,484,586号明細書に記載されており、それはそれ全体として本明細書に参照により組み込まれる。
【0050】
改善されたペースメーカーリード本体の幾つかの実施形態及び同一物を構築する方法が説明且つ図示された。本発明の特定の実施形態が説明されたが、本発明がそれに限定されることを意図したものではなく、本発明が当該技術分野において許容される程度に及び明細書が同様に読まれる程度に広い範囲を有することが意図される。したがって、特定の構成要素が当該ブレンドのイソブチレンブロックコポリマーのために開示された一方で、構成要素由来の他のイソブチレンが同様に使用されると認識され得る。例えば、代替的実施形態において、分子量1,000ダルトン超のポリイソブチレンが、当該ブレンドのイソブチレンブロックコポリマーの代替として使用され得る。さらに、当該ペースメーカーリード本体の特定の構造が開示されている一方で、本発明のポリマーブレンドが他の構造で使用されることが理解され得る。例えば、限定するものではないが、内側絶縁部が、省略され得、及び/又は固体コアとして形成され得、及び/又は異なるポリマー材料から形成され得ることが意図される。さらに他の実施形態において、複数の可撓性導体が、絶縁構造の間に、互いに相隔たって放射状に同軸上に配置された多軸型の構造が提供され得る。かかる構造の例は、米国特許第7,555,349号明細書の図2に記載されており、そしてそれは全体として参照により本明細書に組み込まれる。別の実施形態において、複数の可撓性導体が、同軸上に相隔たって配置され、且つ1又は2以上の絶縁構造を覆うことによってそれらが保護されている構造が提供され得る。かかる構造の例は、米国特許第5,545,203号、及び第5,584,873号明細書に開示されており、そしてそれらは全体として参照により本明細書に組み込まれる。したがって、本発明の精神及び特許請求された範囲から逸脱することなく、さらに他の修飾がなされて、当該発明がなされ得ることは当業者に認識され得る。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
近位部コネクター要素と遠位部電極との間に電気シグナル経路を提供する、少なくとも1つの可撓性導体要素を支持するリード本体であって、前記少なくとも1つの可撓性導体要素を保護する絶縁構造を含み、前記絶縁構造は、熱可塑性ポリウレタンエラストマーとイソブチレンブロックコポリマーとのポリマーブレンドにより実現され、ここで前記ポリマーブレンドの一部としての前記イソブチレンブロックコポリマーのモル分率は、15%〜25%の範囲内であり、前記ポリマーブレンドは、20MPa〜40MPaの範囲内の最大引張強さを有する、前記リード本体
を含む、可撓性ペースメーカーリード。
【請求項2】
前記少なくとも1つの可撓性導体要素が、中心軸を定義するコイル状ワイヤー導体であって、前記中心軸から半径方向外向きに面する外側面を有し、且つ前記中心軸に向かって半径方向内向きに面する内側面を有する、前記コイル状ワイヤー導体を含み;そして前記絶縁構造が、前記コイル状ワイヤー導体の少なくとも前記外側面を覆う、請求項1に記載の可撓性ペースメーカーリード。
【請求項3】
前記絶縁構造が、前記コイル状ワイヤー導体を被包する、請求項2に記載の可撓性ペースメーカーリード。
【請求項4】
前記絶縁構造が、外側絶縁部及び内側絶縁部を含む同軸絶縁構造を含んで成る、請求項3に記載の可撓性ペースメーカーリード。
【請求項5】
前記少なくとも1つの可撓性導体要素が前記内側絶縁部を覆って形成され、前記外側絶縁部が前記少なくとも1つの可撓性導体及び前記内側絶縁部の両方を覆って形成される、請求項4に記載の可撓性ペースメーカーリード。
【請求項6】
前記内側絶縁部が、スタイレットを受けるガイド・ルーメンを定義する、請求項4に記載の可撓性ペースメーカーリード。
【請求項7】
前記ポリマーブレンドの前記熱可塑性ポリウレタンエラストマーが、ソフトセグメント、イソシアネート成分、及び任意の鎖延長剤成分を含む、請求項1に記載の可撓性ペースメーカーリード。
【請求項8】
前記ソフトセグメントが、ポリエステル、ポリエーテル、脂肪族化合物、ポリカーボネート及びそれらの混合物を含む群から選択される、請求項7に記載の可撓性ペースメーカーリード。
【請求項9】
前記ソフトセグメントが、マクロジオールであって、ジオール、トリオール、マルチオール又はそれらの組み合わせで終結される、前記マクロジオールを含む、請求項7に記載の可撓性ペースメーカーリード。
【請求項10】
前記ソフトセグメントが、マクロアミンであって、ジアミン、トリアミン、マルチアミン又はそれらの組み合わせで終結される、前記マクロアミンである、請求項7に記載の可撓性ペースメーカーリード。
【請求項11】
前記イソシアネート成分が、メチレンビスフェニルジイソシアネート(MDI)、水素化メチレンビスフェニルジイソシアネート(HMDI)、トルエンジイソシアネート(TDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートなどを含む群から選択されるジイソシアネートを含む、請求項7に記載の可撓性ペースメーカーリード。
【請求項12】
前記任意の鎖延長剤成分が、1,4−ブタンジオール、エチレングリコール、エチレンジアミン、1,6−ヘキサンジオール等を含む群から選択される、請求項7に記載の可撓性ペースメーカーリード。
【請求項13】
前記ポリマーブレンドの前記イソブチレンブロックコポリマーが、イソブチレン由来モノマーユニットを含む第1のポリマーブロック成分、及びイソブチレン以外のモノマー成分由来の第2のポリマーブロック成分から成る、請求項1に記載の可撓性ペースメーカーリード。
【請求項14】
前記第2のポリマーブロック成分が、脂肪族オレフィン、脂環式オレフィン、芳香族ビニル化合物、ジエン、ビニルエーテル、シラン、ビニルカルバゾール、β-ピネン、アセナフチレン及び類似のモノマーを含む群から選択される、少なくとも1つのカチオン重合性モノマーを含む、請求項13に記載の可撓性ペースメーカーリード。
【請求項15】
前記ポリマーブレンドの前記イソブチレンブロックコポリマーが、ジブロックコポリマー構造、トリブロックコポリマー構造及びマルチブロックコポリマー構造を含む群から選択されるブロック構造を有する、請求項13に記載の可撓性ペースメーカーリード。
【請求項16】
前記ブロック構造が、直鎖、分岐鎖、星型又は他の構造を有する、請求項15に記載の可撓性ペースメーカーリード。
【請求項17】
前記ポリマーブレンドの前記イソブチレンブロックコポリマーが、スチレン−イソブチレン−スチレントリブロックコポリマーを含む、請求項13に記載の可撓性ペースメーカーリード。
【請求項18】
前記イソブチレンブロックコポリマーの一部としての前記第1のポリマーブロック成分のモル分率が、15%〜45%の範囲内である、請求項13に記載の可撓性ペースメーカーリード。
【請求項19】
前記ポリマーブレンドが、溶融混合によって、又は溶液中での混合によって形成される、請求項1に記載の可撓性ペースメーカーリード。
【請求項20】
前記ポリマーブレンドの一部としての前記イソブチレンブロックコポリマーのモル分率が、10%のオーダーである、請求項1に記載の可撓性ペースメーカーリード。
【請求項21】
前記ポリマーブレンドが、70A〜80Aのショア硬さを有する、請求項1に記載の可撓性ペースメーカーリード。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【公表番号】特表2012−520744(P2012−520744A)
【公表日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−500948(P2012−500948)
【出願日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【国際出願番号】PCT/US2010/027750
【国際公開番号】WO2010/107967
【国際公開日】平成22年9月23日(2010.9.23)
【出願人】(507246176)イノビア,リミティド ライアビリティー カンパニー (4)
【出願人】(000000941)株式会社カネカ (3,932)
【Fターム(参考)】