説明

ホイールリークテスト装置

【課題】乾いた状態で、精度の高いリークテストを短時間で行う。
【解決手段】本発明のホイールリークテスト装置は、ホイールを保持するホイール保持部、1対のシール治具、加圧部、リークテスト部を備える。一対のシール治具は、それぞれがリムのタイヤが固定される面(リム面)と対向し、かつ、互いにホイールをはさむように配置できる。また、リム面に押し付けられた状態では、リムのタイヤ内の気体と接触する部分(リム気密面)のあらかじめ定めた範囲と、シール治具との間に空間が形成できる。加圧部は、1対のシール治具をリム面に押し付けた状態にすること、リム面と接触していない状態にすることができる。リークテスト部は、それぞれのシール治具とリムとの間の空間の気密性を確認する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両のホイールの気密性を確認するホイールリークテスト装置に関する。
【背景技術】
【0002】
図1にホイールの斜視図を、図2にホイールの断面図を示す。ホイール900はリム910、スポーク920などからなり、一般的には、直径が30〜50cm、厚さが10〜30cmである。リム910は、ホイールリム930、タイヤ(図示していない)が固定されるリム面911、タイヤが取り付けられたときにタイヤ内の気体と接触する部分(本明細書では「リム気密面912」と呼ぶ。)などを有している。タイヤ内の気体は、リム気密面912とタイヤによって形成される気密性の高い空間に閉じ込められる。つまり、タイヤ内の気体が漏れないようにするためには、リム気密面912の気密性を確認する必要がある。ホイールリークテストとは、リム気密面912の気密性を確認するためのテストである。
【0003】
ホイールのリークテストの方法としては、特許文献1に示された方法がある。図3は、従来のホイールリークテストの方法を説明するための図である。図3(A)はホイールの軸と垂直な方向から見た図、図3(B)は(A)と同じ方向から見た断面図である。ホイール900は、密閉板810−1と密閉板810−2の間に挟まれている。密閉板810−1、810−2はそれぞれ、ホイール900のホイールリム930と密着しており、リム910の内側が密閉された空間となっている。そして、この空間の気圧を高くし、この空間からの機体の漏れを計測することでリークテストを行っていた。具体的には、気圧を高くした状態で水中に入れ、泡が出ていないかを観測する方法が一般的である。
【0004】
なお、測定対象をホイールに限定しなければ、リークテストとして、特許文献2に記載された差圧の変化を測定する方法がある。この方法の場合、リークの有無を正確に判断できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−62570号公報
【特許文献2】特開平10−123005号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来技術では、水の中に入れる場合は密閉板810−1、810−2を取り付けたままで水槽の中に移動させなければならないこと、水槽から取り出した後に水分をふき取る必要があることなどから作業が大変である。そして、水中に入れる方法では、リーク量を定量的に評価できない。また、リム910の内側の空間の気圧の変化を直接測定したとしても、空間の容積が大きいため、漏れた気体の量を正確に測定することは難しい。具体的には、20〜100ml/minの精度までしか測定できなかった。
【0007】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、乾いた状態で、精度の高いリークテストを短時間で行う装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のホイールリークテスト装置は、ホイールを保持するホイール保持部、1対のシール治具、加圧部、リークテスト部を備える。一対のシール治具は、それぞれがリムのタイヤが固定される面(リム面)と対向し、かつ、互いにホイールをはさむように配置できる。また、リム面に押し付けられた状態では、リムのタイヤ内の気体と接触する部分(リム気密面)のあらかじめ定めた範囲と、シール治具との間に空間が形成できる。加圧部は、1対のシール治具をリム面に押し付けた状態にすること、リム面と接触していない状態にすることができる。リークテスト部は、それぞれのシール治具とリムとの間の空間の気密性を確認する。リークテスト部は、例えば、ポンプ手段と測定手段とを備えればよい。ポンプ手段は、それぞれのシール治具とリムとの間の空間の気圧を所定値まで高くする。測定手段は、第1のシール治具とリムとの間の空間の気圧と、第2のシール治具とリムとの間の空間の気圧との差圧の変化を測定できる。
【発明の効果】
【0009】
本発明のホイールリークテスト装置によれば、シール治具とリムとの間に密閉された2つの空間を形成できる。したがって、それぞれの空間の容積を小さくでき、かつ、2つの空間の差圧の変化を測定できるので、精度の高いリークテストが可能である。また、リークテストの時間を短縮でき、乾いた状態でリークテストができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】ホイールの斜視図。
【図2】ホイールの断面図。
【図3】従来のホイールリークテストの方法を説明するための図。
【図4】本発明のホイールリークテスト装置の機能構成例を示す図。
【図5】ホイールリークテスト装置の外観の具体例を示す図。
【図6】シール治具の構成例を示す図。
【図7】1対のシール治具とホイールとの位置関係を示す図。
【図8】シール治具とリムとの間の空間のイメージを示す図。
【図9】本発明のホイールリークテストの処理フロー例を示す図。
【図10】リークテストを行うときの構成例を示す図。
【図11】リークテストの詳細な処理フローを示す図。
【図12】ホイールを4等分した例を示す図。
【図13】ホイールを4等分した場合のリークテストの手順を示す図。
【図14】ホイールの別の分割方法の例を示す図。
【図15】ホイールを8等分した場合のリークテストの手順を説明するための図。
【図16】ホイールを12等分した場合のリークテストの手順を説明するための図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。なお、同じ機能を有する構成部には同じ番号を付し、重複説明を省略する。
【実施例1】
【0012】
図4に本発明のホイールリークテスト装置の機能構成例を示す。本発明のホイールリークテスト装置100は、ホイールを保持するホイール保持部110、1対のシール治具120−1、120−2、加圧部130−1、130−2、リークテスト部140を備える。一対のシール治具120−1、120−2は、それぞれがリム910のタイヤ(図示されていない)が固定される面(リム面911)と対向し、かつ、互いにホイール900をはさむように配置されている。また、シール治具120は、リム面911に押し付けられた状態では、リムのタイヤ内の気体と接触する部分(リム気密面912)のあらかじめ定めた範囲と、シール治具120との間に空間が形成できる。加圧部130は、シール治具120をリム面911に押し付けた状態にすること、リム面911と接触していない状態にすることができる。なお、シール治具120−1、120−2や加圧部130−1、130−2のように同じ機能を持つ構成部が複数存在する場合に、それぞれを区別する必要がない場合は、シール治具120や加圧部130のように表現する。リークテスト部140は、それぞれのシール治具120−1、120−2とリム910との間の空間の気密性を確認する。
【0013】
図5は、ホイールリークテスト装置の外観の具体例を示す図である。図5(A)はホイールリーク装置を正面から見た図であり、図5(B)はホイールリーク装置を側面から見た図である。図5(B)の二点鎖線で表わしたのは作業者である。ホイール保持部110は、作業台111のレール115−1、115−2上に配置されており、作業者の作業位置とリークテストを行う位置の間を移動できる。リークテストを行う位置は、カバー112で覆われており、操作部113が具備されている。このような構成にすれば、作業者は安全な位置でホイール900をホイールリークテスト装置100にセットできる。そして、高い気圧をかけるリークテストは、カバー112で覆われた位置で行うことができる。また、ホイール保持部110は、ホイール900の軸を中心として、ホイール900を回転できる機能を有しておけばさらによい。この機能があれば、作業者がホイール900をセットしなおさなくても、ホイール900の全円周に渡ってリークテストが実行できる。
【0014】
図6は、シール治具の構成例を示す図である。図6(A)はホイールの軸方向から見た図、図6(B)はホイールの軸と垂直な方向から見た図、図6(C)はリムと対向する面を見た図である。図7は、1対のシール治具とホイールとの位置関係を示す図である。図7(A)はホイールの軸方向から見た図、図7(B)はホイールの軸と垂直な方向から見た図であって、ホイールは断面図で示している。図8はシール治具とリムとの間の空間のイメージを示す図である。図8(A)は凸部がない場合の空間を示しており、図8(B)は凸部を有する場合の空間を示している。シール治具120は、シール治具本体121、リム対向部122、円周方向接触部1231、1232、加圧穴126を有する。リム対向部122は、ホイールリム930と接触することでホイール900の軸方向の気密性を確保するホイールリム接触部125を有する。また、リム対向部122は凸部124を有してもよい。図8に示すように、凸部124を有することでシール治具120とリム面911との間の空間127の容積を小さくできる。このように空間127の容積を小さくすれば、少しのリークでも空間127の気圧を大きく変化させることになるので、リークの有無やリークの量をより正確に計測できる。なお、リム対向部122には、例えばウレタンなどの材料を用いればよい。
【0015】
円周方向接触部1231、1232は、リム面911と接触することでホイール900の円周方向の気密性を確保する。ホイールリム接触部125と円周方向接触部1231、1232で囲まれた範囲が、リークテストの対象となるリム面911の範囲である。実際にタイヤを取り付けた状態では、リム気密面912の気密性が確保されていればよいので、リークテストの対象となる範囲にリム気密面912が含まれていればよい。本実施例では、円周方向接触部1231と円周方向接触部1232の間のリム面911がリークテストの対象となる範囲なので、円周方向接触部1231と円周方向接触部1232の間のリム気密面912はすべて含まれている。よって、リークテストとホイールの回転とを交互に行えば、リム気密面912全体のリークテストを行うことができる。なお、リム面911は一般的に複雑な形状なので、ゲル状の材料を用いるべきであり、例えば、ポリスチレン系の柔らかい樹脂を用いればよい。また、加圧部130の力をシール治具120に伝えるため、加圧部130は、シール治具本体121と一体化された加圧板134、加圧軸135、補助軸1361〜1364(ただし、1364は、1362または1363に隠れているため、図示されていない)を有している。
【0016】
処理フロー
図9は、ホイールリークテストの処理フロー例を示す図である。作業者が、ホイール900をホイール保持部110にセットし、ホイール保持部110を、リークテストを行う位置に移動させる(S111)。加圧部130−1、130−2がシール治具120−1、120−2をホイール900に押し付ける(S131)。この処理によって、シール治具120−1、120−2とリム面911との間に、密閉された空間127−1、127−2が形成される。次に、リークテスト部140が空間127−1と空間127−2の気密性を確認する(S141)。なお、リークテスト部140の処理の具体例は後述する。リークテストが終了すると、加圧部130−1、130−2がシール治具120−1、120−2をホイール900から離す(S132)。ホイールリークテスト装置100は、リム気密面912の全体のリークテストが終了したかを確認する(S112)。ステップS112がYesの場合には、ホイール保持部110を作業者が作業する位置に移動させ、ホイール900を取り出す(S114)。ステップS112がNoの場合には、ホイール保持部110は、リークテストが終了していないリム気密面912がシール治具120−1、120−2と対向するようにホイール900を回転させる(S113)。そしてステップS131に戻る。このような繰り返し処理によって、リークテストとホイールの回転とを交互に行うことができ、リム気密面912の全体のリークテストを行うことができる。
【0017】
リークテスト
図10に、リークテストを行うときの構成例を示す。また、図11に、リークテストの詳細な処理フローを示す。リークテスト部140は、配管141−1、141−2、ポンプ手段142、測定手段143、バルブ144−1、144−2、制御手段149を備えている。ポンプ手段142は、バルブ144−1、144−2、配管141−1、141−2、加圧穴126−1、126−2を介して、それぞれのシール治具120−1、120−2とリム910との間の空間127−1、127−2の気圧を所定値まで高くする(S141)。所定値とは、ホイール900に取り付けるタイヤの使用時の空気圧以上であって、ホイール900の特性を確認するために定めた気圧である。例えば、タイヤの使用時の空気圧が200kPaの場合、200kPa〜250kPaの範囲で定めればよい。測定手段143は、第1のシール治具120−1とリム910との間の空間127−1の気圧と、第2のシール治具120−2とリム910との間の空間127−2の気圧との差圧の変化を測定する(S142)。差圧の変化が閾値以下であれば、微細な穴は無いと判断できる。また、差圧に閾値以上の変化が生じた場合には、気圧が低下している側に穴があると判断できる。この方法は、微細な穴が開いている可能性が低い場合や、2つの空間127−1、127−2の両方に微細な穴があるときであっても同程度の穴である確率が非常に低い場合に有効な方法である。この測定方法であれば、0.1ml/minの漏れも検出できると期待される。
【0018】
また、図10に点線で示したように、リークテスト部140は、マスター空間146とバルブ145−1、145−2を備えてもよい。マスター空間146は、気密性が確保されており、あらかじめポンプ手段142によって上述の所定値程度の気圧の気体が封入されている。バルブ145−1、145−2は切替手段を構成しており、第2のシール治具120−2とリム910との間の空間127−2を、マスター空間146に切り替えることができる。図11の点線は、マスター空間146を備えた場合に追加されるリークテストの処理を示している。ステップS141とステップS142では、バルブ145−1を開け、バルブ145−2を閉じておく。ステップS142が終了し、空間127−1の気圧と空間127−2の気圧との差圧の変化が閾値以下であることが分かった後、バルブ145−1を閉じ、バルブ145−2を開けることで、第2のシール治具120−2とリム910との間の空間127−2を、マスター空間146に切り替える(S145)。そして、測定手段143は、第1のシール治具120−1とリム910との間の空間127−1の気圧と、マスター空間146の気圧との差圧の変化を測定する(S146)。差圧の変化が閾値以下であれば空間127−1の気密性が確認できたことになる。また、ステップS142で空間127−1の気圧と空間127−2の気圧との差圧の変化も閾値以下だったので、空間127−2の気密性も確認できたことになる。この方法であれば、偶然、2つの空間127−1、127−2の両方に同程度の漏れがある場合でもホイールの気密性に問題があることを発見できる。
【0019】
リム気密面の分割
これまでの説明では、1回のリークテストの対象となるリム面911の範囲について具体例を示していなかった。次に、効率よくリム気密面912全体のリークテストを行う方法を示す。図12は、ホイール900を4等分した例を示している。このように4等分することで、リム気密面912をホイールの円周方向に4等分できる。本明細書では、リム気密面912を4等分した1つずつを、分割試験面913−1〜4と呼ぶことにする。そして、1つのシール治具120あたりの1回のリークテストの対象となるリム面911の範囲に、1つの分割試験面913を含むことができるように円周方向接触部1231と1232の間隔を決める。例えば、図12の場合であれば、1つの分割試験面913はホイール900の90度分なので、円周方向接触部1231と1232の間隔をホイール900の92〜5度分に設定すればよい。なお、円周方向接触部1231と1232の間隔を、1つの分割試験面の幅よりもどの程度広くするかは、円周方向接触部1231、1232の太さやホイール保持部110の回転の精度などから適宜決めればよい。
【0020】
図13は、図12のように4等分した場合のリークテストの手順を示す図である。図13(A)は分割試験面913−1と913−3をリークテストの対象となる範囲に含めた場合の様子を示す図、図13(B)は分割試験面913−2と913−4をリークテストの対象となる範囲に含めた場合の様子を示す図である。図13では理解を助けるために、分割試験面913−1と913−3に対応するリム910の内側に網掛けを付している。図13(A)の状態で、ステップS131からS132の処理を行い、図13(B)の状態になるように、ステップS113でホイール900を回転させ、再度ステップS131からS132の処理を行うことで、効率よくリム気密面912全体のリークテストを行うことができる。このように2回のリークテストでリム気密面912全体のリークテストを行うことができれば、1分未満で1つのホイールのリークテストを行うことができる。
【0021】
なお、ホイール900が大きい場合やシール治具120とリム面911との間の空間127に封入する気体の気圧が高い場合には、さらに細かく分割した方が良い場合もある。図14は、別の分割方法の例を示す図である。図14(A)はホイール900を8等分した場合を、図14(B)はホイール900を12等分した場合を示している。図15は、図14(A)のように8等分した場合のリークテストの手順を説明するための図である。この図でも、理解を助けるために、奇数番目の分割試験面913に対応するリム910の内側に網掛けを付している。8等分した場合には、ホイールリークテスト装置は、2組のシール治具120−1〜4を90度間隔で配置し、4つの加圧部を備えればよい。また、リークテスト部は2つ備えてもよいし、1つのリークテスト部をバルブなどで切り替えて使用してもよい。図15は、2組のシール治具120−1〜4を90度間隔で配置した例を示しており、図15(A)の状態で奇数番目の分割試験面913のリークテストを行う。そして、ホイール保持部110がホイール900を45度回転させ、図15(B)の状態で偶数番目の分割試験面913のリークテストを行う。
【0022】
図16は、図14(B)のように12等分した場合のリークテストの手順を示す図である。この図でも、理解を助けるために、奇数番目の分割試験面913に対応するリム910の内側に網掛けを付している。12等分した場合には、ホイールリークテスト装置は、3組のシール治具120−1〜6を60度間隔で配置し、6つの加圧部を備えればよい。また、リークテスト部は3つ備えてもよいし、1つのリークテスト部をバルブなどで切り替えて使用してもよい。図16は、3組のシール治具120−1〜6を60度間隔で配置した例を示しており、図16(A)の状態で奇数番目の分割試験面913のリークテストを行う。そして、ホイール保持部110がホイール900を30度回転させ、図16(B)の状態で偶数番目の分割試験面913のリークテストを行う。
【0023】
図12〜16を用いて説明したように、リム気密面を前記ホイールの円周方向に2×N等分(ただし、Nは2以上の整数)したときの1つの範囲(分割試験面)を、1つのシール治具120あたりの1回のリークテストの対象となるリム面911の範囲とすればよい。そして、1回のリークテストが終了するとホイール保持部110がホイール900を円周方向に180/N度回転させる処理を行えば、効率的にリム気密面912全体のリークテストを行うことができる。さらに、Nが2の倍数の場合には、ホイールリークテスト装置がN/2対のシール治具と加圧部とリークテスト部を備え、各対のシール治具を360/N度おきに配置すればよい。そして、N個の分割試験面のリークテストが終了すると、ホイール保持部110がホイールを円周方向に180/N度回転させ、残りのN個の分割試験面の試験を行えばよい。なお、リークテスト部140をN/2個備えてもよいし、1つのリークテスト部140を切り替えて各分割試験面のリークテストを行ってもよい。
【0024】
本発明のホイールリークテスト装置は、このような構成なので、シール治具とリムとの間に密閉された2つの空間を形成できる。したがって、それぞれの空間の容積を小さくでき、かつ、2つの空間の差圧の変化を測定できるので、精度の高いリークテストが可能である。また、リークテストの時間を短縮でき、乾いた状態でリークテストを行うことができる。さらに、本発明には次のような効果もある。図3を用いて説明した従来技術では、リム910の内側の圧力が高くなっているので実際の使用時とは気圧の関係が逆になっている。したがって、従来技術では、リークの特性に方向性がある場合には正確に漏れを計測できない。一方、本発明のホイールリークテスト装置の場合、実際の使用時(タイヤ内に空気を圧入した状態の時)に気圧が高くなる部分の気圧を高くしている。したがって、リークの特性に方向性がある場合でも正確に漏れを計測できる。
【符号の説明】
【0025】
100 ホイールリークテスト装置 110 ホイール保持部
111 作業台 112 カバー
113 操作部 115 レール
120 シール治具 121 シール治具本体
122 リム対向部 1231、1232 円周方向接触部
124 凸部 125 ホイールリム接触部
126 加圧穴 127 空間
130 加圧部 134 加圧板
135 加圧軸 1361〜1364 補助軸
140 リークテスト部 141 配管
142 ポンプ手段 143 測定手段
144、145 バルブ 146 マスター空間
149 制御手段 810 密閉板
900 ホイール 910 リム
911 リム面 912 リム気密面
913 分割試験面 920 スポーク
930 ホイールリム


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ホイールのリムの気密性を確認するためのホイールリークテスト装置であって、
前記ホイールを保持するホイール保持部と、
それぞれが前記リムのタイヤが固定される面(以下、「リム面」という)と対向し、かつ、前記ホイールをはさむように配置できる1対のシール治具と、
前記1対のシール治具を前記リム面に押し付けた状態にすることと、前記リム面と接触していない状態にすることが可能な加圧部と、
それぞれのシール治具と前記リムとの間の空間の気密性を確認するリークテスト部と
を備え、
前記シール治具は、
前記リム面に押し付けられた状態では、前記リムのタイヤ内の気体と接触する部分(以下、「リム気密面」という)のあらかじめ定めた範囲と、当該シール治具との間に空間が形成できる
ことを特徴とするホイールリークテスト装置。
【請求項2】
請求項1記載のホイールリークテスト装置であって、
前記リークテスト部は、
それぞれのシール治具と前記リムとの間の空間の気圧を所定値まで高くするポンプ手段と、
第1のシール治具と前記リムとの間の空間の気圧と、第2のシール治具と前記リムとの間の空間の気圧との差圧の変化を測定できる測定手段と
を備えることを特徴とするホイールリークテスト装置。
【請求項3】
請求項2記載のホイールリークテスト装置であって、
前記リークテスト部は、
気圧が前記所定値程度であり、かつ、気密性が確保されたマスター空間と、
前記第2のシール治具と前記リムとの間の空間を、前記マスター空間に切り替える切替手段
も備えており、
前記測定手段は、第1のシール治具と前記リムとの間の空間の気圧と、前記マスター空間の気圧との差圧の変化も測定できる
ことを特徴とするホイールリークテスト装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載のホイールリークテスト装置であって、
前記シール治具は、前記リムと対向する面に凸部を有する
ことを特徴とするホイールリークテスト装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載のホイールリークテスト装置であって、
前記ホイール保持部は、前記ホイールを円周方向に回転させることができ、
前記リム気密面のあらかじめ定めた範囲とは、
前記リム気密面を前記ホイールの円周方向に2×N等分(ただし、Nは2以上の整数)したときの1つの範囲(以下、「分割試験面」という)であり、
各シール治具と共に空間を形成する分割試験面のリークテストが終了すると、前記ホイール保持部が前記ホイールを円周方向に180/N度回転させ、試験が終了した分割試験面の隣の分割試験面のリークテストを行う
ことを特徴とするホイールリークテスト装置。
【請求項6】
請求項5記載のホイールリークテスト装置であって、
Nは2の倍数であり、
N/2対のシール治具と加圧部を備え、
各対のシール治具は、360/N度おきに配置され、
N個の分割試験面のリークテストが終了すると、前記ホイール保持部が前記ホイールを円周方向に180/N度回転させ、残りのN個の分割試験面の試験を行う
ことを特徴とするホイールリークテスト装置。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate