説明

ホウ素除去性能に優れたポリアミド逆浸透複合膜及びその製造方法

【課題】ポリアミド逆浸透複合膜及びその製造方法を提供する。
【解決手段】本発明のポリアミド逆浸透複合膜は多孔性支持体と上記多孔性支持体上に配置されたポリアミド層からなり、上記ポリアミド層にヨウ素原子が共有結合されるものである。本発明のポリアミド逆浸透複合膜は、多孔性支持体を製造し、上記多孔性支持体上にポリアミド層を形成し、上記ポリアミド層を少なくとも一つのヨウ素原子を含む化合物で処理する段階で製造される。上記少なくとも一つのヨウ素原子を含む化合物の一例は、臭化ヨウ素、塩化ヨウ素及び三塩化ヨウ素を含み、上記ヨウ素含有化合物は水溶液に添加して溶解するか、又はヨード塩(iodide salt)と酸化剤を水溶性溶媒に添加して、水溶液上で、その場で(in situ)合成して適用することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、逆浸透複合膜に関するものであり、特に、新規のポリアミド逆浸透複合膜及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
溶解された物質は、多様な種類の膜を選択的に用いることで、その溶媒から分離することができることが知られている。このような膜には、精密ろ過膜、限外ろ過膜、ナノ分離膜及び逆浸透膜が含まれる。従来、逆浸透膜の使用用途の一つは、半塩水または海水の脱塩工程に用いられており、この脱塩工程は、工業、農業、または、家庭用に相対的に適した淡水または純水の大量供給を可能にする。逆浸透膜を用いた半塩水または海水の脱塩工程は、塩水から塩及び他の溶解されたイオンまたは分子を文字通りにろ過する工程を含む。このろ過工程では、塩水の水は通過させるが、塩及びその他の溶解されたイオンまたは分子は通過させないように加圧・分離する。逆浸透工程では浸透圧が必然的に発生し、このとき、一層濃度の高い原水には一層高い浸透圧が発生するため、これを処理するために一層高い圧力が必要となる。
【0003】
逆浸透膜は、商業的に半塩水及び海水を大量に脱塩化するために、いくつかの条件を備えて用いられるべきである。その条件の一つは、高い塩排除率を備えるべきである。すなわち、商業的に適用するためには、少なくとも約97%の塩排除率を有することが好ましい。逆浸透膜の別の重要な性質は、高流量特性、すなわち、比較的低い圧力下でも、相対的に多量の水を膜を通して通過できる能力を備えるべきである。一般に、膜の透過流量は、海水に対しては800psi(約5.516MPa)の圧力で10ガロン/ft2−日(gfd)以上、半塩水に対しては220psi(約1.517MPa)の圧力で15ガロン/ft2−日(gfd)以上が要求される。用途によっては、塩排除率よりも高い透過流量が重要になったり、これと反対に塩排除率が重要になったりする。
【0004】
一般的な逆浸透膜の類型の一つは、多孔性支持体と、この多孔性支持体上に形成されたポリアミド膜と、を含む複合膜である。一般に、ポリアミド膜は、多官能性アミンと多官能性アシルハライドとを界面重合して得られる。
【0005】
参考として、Cadotteによる米国特許第4277344号(1981年7月7日登録)には、従来の逆浸透複合膜の一例が開示されている。上述した上記発明は、少なくとも二つの1級アミン置換体を含有する芳香族多官能性アミンと、少なくとも三つのアシルハライド置換体を有する芳香族のアシルハライドとの界面重合によって得られる芳香族ポリアミド複合膜に関する技術が開示されている。好ましい態様によると、多孔性ポリスルホン支持体を水に溶解されたメタフェニレンジアミン(m‐phenylendiamine)でコーティングした後、上記コーティングされた支持体から余剰のメタフェニレンジアミン溶液を除去し、上記コーティングされた支持体は、“フレオン(FREON)”TF溶媒(トリクロロトリフルオロエタン)に溶解されたトリメソイルクロライド(TMC)の有機溶液と接触される。このとき、界面重合反応の接触時間は10秒であるが、実質的に反応は1秒内に終了する。その結果、ポリスルホン/ポリアミド複合膜は、風乾される。
【0006】
Cadotteの特許に開示された膜は、優れた透過流量及び塩排除率を示しているが、一層改善した膜を提供するために、ポリアミド逆浸透複合膜の透過流量増加及び塩排除率向上に関して多様な研究が行われ、膜の透過性能の他にも、膜の耐化学性を改善するための研究も行われてきた。主に、これら研究は、界面での縮重合反応時に用いられる溶液に、多様な添加剤を添加する方法に関するものである。
【0007】
例えば、参考として、Tomashkeによる米国特許第4872984号(1989年10月10日登録)には、(a)(i)少なくとも二つのアミン官能基を有するモノマーであり、芳香族ポリアミン反応物と、(ii)単官能基(monofunctional)であり、モノマー性(つまり、重合可能な)のアミン塩を含有する水溶液で微細多孔性支持体を塗布して微細多孔性支持体上で水溶液層を形成する段階と、(b)多官能性アシルハライドまたはその混合物を含有する本質的に、モノマーであり、芳香族のアミン反応性反応物、即ち、平均的に反応分子当たり少なくとも2.2個のアシルハライド基を有する上記芳香族のアミン反応性反応物の有機溶媒溶液で上記水溶液層を接触させる段階と、(c)上記段階(b)の生成物を60〜110℃の温度で、1〜10分間、オーブンで乾燥して透水性膜を形成する段階と、からなる芳香族ポリアミド複合膜が開示されている。
【0008】
界面重合時に用いられる溶液に添加剤を添加して製膜を試みた例として、Chauらの米国特許第4983291号(1991年1月8日登録)、Hiroseらの米国特許第5576057号(1996年11月19日登録)、Hiroseらの米国特許第5614099号(1997年3月25日登録)、Chauらの米国特許第4950404号(1990年8月21日登録)、Tranらの米国特許第4830885号(1989年5月16日登録)、Kooらの米国特許第6245234号(2001年6月12日登録)、Kooらの米国特許第6063278号(2000年5月16日登録)、Kooらの米国特許第6015495号(2000年1月18日登録)に多孔性支持体内部及び表面上で界面重合する方法が提示されている。
【0009】
別の例として、Ikedaらの米国特許第5178766号(1993年1月12日登録)には、逆浸透分離膜のポリアマイド層の表面に四級窒素原子を含有する化合物を共有結合させることによって、ポリアミド逆浸透分離膜の塩除去率が向上されたと言及されている。上記四級窒素原子を含有する化合物は、化合物に存在する反応性基を通じてポリアマイド層に結合され、上記反応性基はエポキシ基、アジリジン基、エピスルフィド基(episulfide)、ハロゲン化アルキル基、アミノ基、カルボキシル基、ハロゲン化カルボニル基またはヒドロキシ基である。
【0010】
上記提示された分離膜は、特定応用分野には好適ではあるものの、ホウ素(一般的にホウ酸(boric acid)形態で存在する)のような特定物質に対する十分な除去性能を有していなく、ホウ素の場合、膜分離工程で一般に使用されるpH範囲(pH7〜8)では解離されない。ホウ酸は海水に略5ppm濃度存在する。余剰の0.5ppm(mg/L)濃度でホウ酸が含まれた飲用水を繰り返し飲用すれば、健康上に問題を引き起こすと報告されている。
【0011】
Hiroseらの米国特許第6709590号(2004年3月23日登録)には、イソプロピルアルコール(isopropyl alcohol)などの非電解性有機物質と、分離工程に適用される一般的なpH範囲で解離されないホウ素物質に対する高い除去性能が報告された逆浸透複合膜が開示されている。上記逆浸透複合膜は、多孔性支持体上にポリアミド表面層を形成して製造され、上記ポリアミド表面層が少なくとも2個の反応性アミノ基を有する芳香族化合物と、少なくとも2個のアシルハライド基を有する多官能性酸ハライド化合物とを反応させて形成する。次に、上記ポリアミド表面層が臭素塩を含有する残留塩素が溶解された水溶液で処理し、上記臭素塩がポリアミド表面に取り込まれるようにする。また、上記特許は臭素塩無しの残留塩素水溶液のみで処理する場合には、除去性能向上に大きな効果が無いことを言及している。
【特許文献1】米国特許第4277344号公報(1981年7月7日登録)
【特許文献2】米国特許第4872984号公報(1989年10月10日登録)
【特許文献3】米国特許第4983291号公報(1991年1月8日登録)
【特許文献4】米国特許第5576057号公報(1996年11月19日登録)
【特許文献5】米国特許第5614099号公報(1997年3月25日登録)
【特許文献6】米国特許第4950404号公報(1990年8月21日登録)
【特許文献7】米国特許第4830885号公報(1989年5月16日登録)
【特許文献8】米国特許第6245234号公報(2001年6月12日登録)
【特許文献9】米国特許第6063278号公報(2000年5月16日登録)
【特許文献10】米国特許第6015495号公報(2000年1月18日登録)
【特許文献11】米国特許第5178766号公報(1993年1月12日登録)
【特許文献12】米国特許第6709590号公報(2004年3月23日登録)。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の目的は、新規のポリアミド逆浸透複合膜を提供することにある。
【0013】
本発明の他の目的は、分離工程で一般に使用されるpH領域で解離されないホウ酸(boric acid)のような物質に対する除去性能に優れた逆浸透分離膜を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、逆浸透複合膜を用いた分離工程で一般的なpH領域で解離されないホウ酸(boric acid)のような物質の除去性能が、上記逆浸透複合膜のポリアミド層にヨウ素原子を共有結合させることによって、顕著に向上される結果を前提とする。
【0015】
従って、本発明は、ポリアミド逆浸透複合膜に関するものであり、上記ポリアミド逆浸透分離膜は、
(a)多孔性支持体、及び
(b)上記多孔性支持体上に配置されたポリアミド層、からなり、上記ポリアミド層にヨウ素原子が共有結合されるものである。
【0016】
本発明は、別の態様における、ポリアミド逆浸透分離膜に関するものであり、上記ポリアミド逆浸透分離膜は、
(a)多孔性支持体を製造する段階、
(b)上記多孔性支持体上にポリアミド層を形成する段階、及び
(c)上記ポリアミド層を少なくとも一つのヨウ素原子を含む化合物で処理し、ヨウ素原子を上記ポリアミド層に共有結合する段階;からなる製造方法で製造されたものである。
【0017】
本発明の詳細な説明と特許請求の範囲で、「ヨウ素(iodine)原子」とは、非電解されたヨウ素原子を意味する。従って、「ヨウ素原子」用語は具体的にヨードアニオン(iodine anion)を排除する。
【0018】
また、本発明は、ポリアミド逆浸透分離膜の製造方法に関するものであり、上記製造方法は、
(a)多孔性支持体を製造する段階、
(b)上記多孔性支持体上にポリアミド層を形成する段階、及び、
(c)上記ポリアミド層を少なくとも一つのヨウ素原子を含む化合物で処理し、ヨウ素原子を上記ポリアミド層に共有結合する段階、からなる。
【0019】
発明の他の目的、特性、特徴及び効果は、後述する発明の詳細な説明で明らかにされる。本発明の各実施例は、本発明の技術分野に属する者によって充分に実行できる程度に開示されており、本発明の範囲内の構造または変化を有する他の実施例も、充分に理解できる程度に開示されている。後述する発明の詳細な説明は、本発明の保護範囲を制限するものではなく、本発明の範囲は、特許請求の範囲によって規定される。
【発明の効果】
【0020】
下記で説明するように、本発明は、逆浸透複合膜を利用した分離工程でホウ酸と一般的なpH領域で解離されない物質に対して、上記逆浸透複合膜のポリアミド層にヨウ素原子を共有結合させることによって、ポリアミド逆浸透複合膜の除去性能が顕著に向上されたポリアミド逆浸透複合膜を提供した。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
上述するように、本発明は逆浸透複合膜を用いた分離工程で、ホウ酸と一般的なpH領域で解離されない物質に対して、ポリアミド逆浸透複合膜の除去性能が、上記逆浸透複合膜のポリアミド層にヨウ素原子を共有結合させることによって、顕著に向上され得るという予期しない発見に基づく。
【0022】
上記ポリアミド逆浸透複合膜のポリアミド層は、多孔性支持体と上記多孔性支持体上にポリアミドフィルムからなるポリアミド逆浸透複合膜形態であれば、ヨウ素原子を実質的に制限がなく適用することができる。
【0023】
本発明による多孔性支持体は、一般に微細孔性の支持体である。本発明に用いられる多孔性支持体は特に制限がないが、透過液が透過できるのに十分な大きさであり、その上に形成された超薄膜の架橋を妨害する程度には大きくないことが好ましい。一般に、上記支持体の孔径は1〜500nmであり、孔径が500nmを超えると、薄膜の形成後、上記超薄膜がその孔径内に陥没し、要求される平坦なシート構造を達成できなくなる。本発明に用いられる微細孔性の多孔性支持体は、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリイミド、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリエチレン、ポリプロピレン及びポリビニリデンフルオライドのような様々なハロゲン化ポリマーで製造されたものを含む。その他の多孔性支持体の材料は、参考として記載された特許文献から発見できる。
【0024】
本発明による多孔性支持体の膜厚は制限されないが、一般に、25〜125μmの範囲、好ましくは40〜75μmの範囲である。
【0025】
一般に、本発明のポリアミド層は多官能性アミン反応物と多官能性アミン反応性反応物間の界面反応生成物である。本発明で使用される多官能性アミン反応物は、好ましくは、少なくとも2個のアミン官能基、より好ましくは、2〜3個のアミン官能基を有する必須的なアミンモノマーである。上記アミン官能基は、典型的な1級アミンまたは2級アミン官能基であり、好ましくは1級アミン官能基である。本発明で使用される特定多官能性アミン基は、特に制限されないが、単一ポリアミン(polyamine)又はその混合形態である。ポリアミンの好ましい一例としては、メタ−フェニレンジアミン及びパラ−フェニレンジアミン及びその置換誘導体などの芳香族第1級ジアミンであり、上記置換体は、即ち、メトキシ基またはエトキシ基などのアルキル基、メトキシ基またはエトキシ基などのアルコキシ基、ヒドロキシアルキル基、ヒドロキシ基またはハロゲン原子を含む。好ましいポリアミンのさらに別の一例としては、1,3−プロパンジアミン及びN−アルキルまたはアリール置換基を有していてもよいその類似体などのアルカンジアミン、シクロヘキサンジアミンなどのシクロ脂肪族1級ジアミン、ピペラジン及びそのアルキル誘導体などのシクロ脂肪族2級ジアミン、N,N’−ジメチル−1,3−フェニレンジアミン、N,N’−ジフェニルエチレンジアミン、ベンジジン、キシレンジアミン、及びその誘導体などの芳香族2級ジアミンが含まれる。その他適したポリアミンは、本発明の明細書に参考として記載された特許文献で発見できる。本発明の好ましいポリアミンは、芳香族1級ジアミン、より好ましくは、m−フェニレンジアミンである。
【0026】
一般に、本発明における多官能性アミン反応物は水溶液上に0.1〜20重量%、好ましくは0.5〜8重量%含量で上記水溶液に存在する。上記水溶液のpHは7〜13の範囲であり、上記pHは0.001〜5重量%の塩基性酸受容体(acid acceptor)を添加することによって調節できる。また、上記塩基性酸受容体(acid acceptor)の一例としては、ヒドロキシド、カルボキシレート、カボネート、ボレート、アルカリ金属リン酸塩、及びトリアルキルアミンが含まれる。
【0027】
さらに、上述した多官能性アミン反応物(及び、必要に応じて上述した塩基性酸受容体)、水溶性溶液は、本発明の明細書に参考として含まれた特許文献に開示された形態の添加剤をさらに含むことができ、上記添加剤の一例としては、極性溶媒、アミン塩及び多官能性3級アミン(強酸の有無によって)が含まれ得る。
【0028】
本発明における多官能性アミン反応性反応物は、多官能性アシルハライド、多官能性スルホニルハライド及び多官能性イソシアネートよりなる群から選択される一つ以上選択される。好ましくは、上記多官能性アミン反応性反応物は、実質的にモノマーであり、芳香族の多官能性アシルハライドである。その例として、トリメソイルクロリド(TMC)、イソフタロイルクロリド(IPC)、テレフタロイルクロリド(TPC)及びその混合物などのジ−またはトリカルボン酸ハライドを有する。その他の多官能性アミン反応性反応物の一例は、本発明の明細書に参考として記載された特許文献に開示されている。
【0029】
上記多官能性アミン反応性反応物は、一般に、有機溶媒溶液に存在し、上記有機溶媒溶液で溶媒は水と混合されない有機溶媒を含む。上記多官能性アミン反応性反応物は、一般に、0.005〜5重量%、好ましくは0.01〜0.5重量%含量で有機溶媒溶液に存在する。上述した有機溶媒の一例は、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、炭素数8〜12のアルカン及びフレオン類のようなハロゲン化炭化水素類を含む。上記有機溶媒の他の一例は、本発明の明細書に参考として記載された特許文献に開示されている。好ましい有機溶媒は、炭素数8〜12のアルカン及びその混合物であり、ISOPAR(Exxon Corp.)は、上記炭素数8〜12を有するアルカンの混合物である。
【0030】
本発明の教示に従って、上記複合膜のポリアミド層は、上記ポリアミド層にヨウ素原子を共有結合させて改質される。上記改質方法は、少なくとも一つのヨウ素原子を含む化合物でポリアミド層に処理することによって、效果的に遂行することができる。上記少なくとも一つのヨウ素原子を含む化合物の一例は、特に、制限されないが、ヨウ素分子(I2)、臭化ヨウ素(IBr、iodine monobromide)、塩化ヨウ素(ICl、iodine monochloride)、三塩化ヨウ素(ICl3、iodine trichloride)及びヨウ素分子及びヨード塩(iodide salt)の錯体(例えば、KI3)を含む。好ましくは、上記ポリアミド膜を少なくとも一つのヨウ素原子を含む化合物で処理する方式は、上記化合物を溶解して水溶液を製造し、その後、上記ポリアミド膜を水溶液と接触させるものである。
【0031】
上記記述された少なくとも一つのヨウ素原子を含む化合物は、一般に、ポリアミド膜を接触させる水溶液上に0.1〜500ppm(ppmはmg/Lである)、好ましくは0.5〜100ppm含量で存在する。
【0032】
上記明示された少なくとも一つのヨウ素原子(例えば、ヨウ素分子(I2)、臭化ヨウ素(IBr)、塩化ヨウ素(ICl)、三塩化ヨウ素(ICl3))を含む化合物の多くは、商業的に購入するか、または実験室で容易に製造できる。従って、上記化合物を含む水溶液は、以前に製造された化合物を水に溶解させることによって、簡単に製造できる。しかし、三塩化ヨウ素のような化合物は、水に簡単に溶解されるが、ヨウ素分子、塩化ヨウ素及び臭化ヨウ素は、水に僅かに溶解されるだけである。結果的に、このような化合物の水溶液(5ppm)を作るためには、数時間を必要とすることがある。上記化合物の水での溶解を向上するために、上記化合物を水溶性有機溶媒に溶解させ、その後、上記溶液を水と混合して上記化合物が含まれた水溶液を製造できる。このような方法は、20分以内に上記化合物が含まれた水溶液を製造できる。好ましい水溶性有機溶媒の一例は、上記目的として使用できるものであれば、特に限定されないが、エタノール、イソプロピルアルコールなどのアルコールや、メトキシエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、テトラヒドロフランなどのエーテルや、ジメチルスルホキシド、テトラメチレンスルホキシドなどのスルホキシドや、ジメチルスルホン、エチルスルホン、テトラメチレンスルホンなどのスルホンや、N,N−ジメチルアセタミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルアセタミド、N−メチルプロピオンアミド、N−メチルピロリジノンなどのアミドや、エチルアセテート、メチルプロピオネートなどのエステルや、及びアセトニトリル、プロピオニトリルなどのニトリル、を使用することができる。例えば、0.3gの臭化ヨウ素を5gのメトキシエチルエーテルに溶かした後、上記溶液を30Lの水に注ぎ、5ppmの臭化ヨウ素水溶液を製造することができる。
【0033】
また、上記製造方法のように、以前に製造された化合物を水(水溶性有機溶媒使用有無によって)に溶解させる代わりに、上記化合物を水溶液に酸化剤とヨード塩(iodide salt)を添加して水溶液上でその場で(in situ)合成することができる。好ましい酸化剤の一例は限定されないが、塩素分子、次亜塩素酸ナトリウム(sodium hypochlorite)、亜塩素酸ナトリウム(sodium chlorite)、塩素酸ナトリウム(sodium chlorate)、過塩素酸ナトリウム(sodium perchlorate)、臭素分子、臭素酸ナトリウム(sodium bromate)、ヨウ素酸カリウム(potassium iodate)、過ヨウ素酸カリウム(potassium periodate)、過硫酸ナトリウム(sodium persulfate)、過マンガン酸ナトリウム(sodium permanganate)、クロム酸ナトリウム(sodium chromate)、過炭酸ナトリウム(sodium percarbonate)、過ホウ酸ナトリウム(sodium perborate)、過酸化水素及び過酢酸(peracetic acid)、過酸化安息香酸(perbenzoic acid)のようなそれらの誘導体を含む。好ましいヨード塩(iodide salt)の一例は限定されないが、ヨウ化ナトリウム、ヨウ化カリウム、ヨウ化リチウム、ヨウ化水素、ヨウ化アンモニウム、ヨウ化セシウム、ヨウ化マグネシウム、ヨウ化カリウムなどで水に溶解され得るヨード化合物(iodide compounds)を含む。
【0034】
例えば、ヨウ素分子はヨウ化ナトリウムまたはヨウ化カリウムなどのヨード塩(iodide salt)を、塩素分子、次亜塩素酸ナトリウム(sodium hypochlorite)、亜塩素酸ナトリウム(sodium chlorite)、塩素酸ナトリウム(sodium chlorate)、過塩素酸ナトリウム(sodium perchlorate)、臭素分子、臭素酸ナトリウム(sodium bromate)、ヨウ素酸カリウム(potassium iodate)、過ヨウ素酸カリウム(potassium periodate)、過硫酸ナトリウム(sodium persulfate)、過マンガン酸ナトリウム(sodium permanganate)、クロム酸ナトリウム(sodium chromate)、過炭酸ナトリウム(sodium percarbonate)、過ホウ酸ナトリウム(sodium perborate)、過酸化水素及び過酢酸(peracetic acid)、過酸化安息香酸(perbenzoic acid)のようなそれらの誘導体などの酸化剤と共に水で、反応させて製造できる。臭化ヨウ素のような臭化ヨウ素系は、ヨウ素分子と臭素分子を適切な割合で反応させることによって、その場で(in situ)得ることができる。塩化ヨウ素(iodine monochloride)及び三塩化ヨウ素(iodine trichloride)のようなヨウ素クロリド系(iodine chlorides)はヨウ素分子と塩素分子を適切な割合で反応させることによって、その場で(in situ)得ることができる。
【0035】
本発明の教示に従って、ホウ酸と一般的なpH領域で解離されない物質に対して、高い除去性能を有するポリアミド逆浸透複合膜は、以下のように製造できる。まず、上記記述された多孔性支持体は、上記記述された水溶液を、手動コーティングまたは連続操作(continuous operation)を利用してコーティングし、上記多孔性支持体の表面から余剰の溶液をローリング、スポンジ、エアーナイフまたはその他の適当な方法で除去した後、上記コーティングされた支持体材料は上記記述された有機溶媒溶液で含浸またはスプレーのような方法によって5秒〜10分、好ましくは20秒〜4分間接触させる。このような方法で生成された生成物を50℃以下、好ましくは常温で、約1分間、風乾した後、0.2重量%の炭酸ナトリウムなどの塩基性水溶液に常温〜95℃の液温で1〜30分間水洗した後、蒸留水で水洗した。
【0036】
上記ポリアミド膜を少なくとも一つのヨウ素原子を含む化合物が含まれた水溶液で約pH2〜11、好ましくは約pH3〜10の範囲で、常温〜95℃で約1分〜10時間、含浸またはスプレーして上記膜の表面に接触させる。あるいは、上記膜は上記ヨウ素原子を含有する化合物と気相で接触することもでき、上記化合物が約常温〜95℃の範囲で気化できる。あるいは、上記ポリアミド膜は、上記化合物が溶解された水溶液を、pH2〜11、好ましくは約pH3〜10の範囲で約50〜800psi(約0.345MPa〜約5.516MPa)圧力及び約20〜40℃で、約1分〜1時間、交差流方式で通過させる加圧システムで処理することができる。
【0037】
上記方法で処理されたポリアミド逆浸透複合膜のヨウ素原子の存在はESCA(Electron Spectroscopy of Chemical Analysis)分析により確認することができる。上記方法で処理されたポリアミド逆浸透複合膜のESCA分析で、ヨウ素原子含量が0.05%以上のとき、処理されないポリアミド逆浸透複合膜と比較して、高いホウ素除去性能を示した。
【0038】
下記の実施例は、本発明を一層具体的に説明するものであり、本発明の保護範囲を制限するものではない。
【0039】
<実施例1>
不織布上にキャスティングされた140μm厚さの多孔性ポリスルホン支持体を3重量%のメタフェニレンジアミン(MPD)及び0.05重量%の2−エチル−1,3−ヘキサンジオールを含有する水溶液に40秒間浸し、支持体から余剰の上記水溶液を除去した後、上記支持体を、溶媒としてイソパー溶媒(Isopar solvent、Exxon Corp.)を用いた0.1重量%のトリメソイルクロリド(TMC)と0.14重量%のイソフタロイルクロリド(IPC)が含まれた溶液に1分間浸漬する。その後、余剰の有機溶液を除去し、1分間風乾した後、0.2%の炭酸ナトリウム水溶液で30分間、常温で水洗した。その後、再び蒸留水で充分に水洗して目的とするポリアミド逆浸透複合膜を製造した。
【0040】
上記ポリアミド逆浸透複合膜の初期性能は、上記膜に塩化ナトリウム32000ppmとホウ素(ホウ酸形態に存在)5ppmを含有する水溶液を、pH8で、800psi(約5.516MPa)圧力と25℃温度条件で、交差流方式により通過させて測定される。塩除去率とホウ素除去率はそれぞれ99.5%及び86%、透過流量は18gfdであった。上記ポリアミド逆浸透複合膜は次亜塩素酸ナトリウム(NaOCl、sodium Hypochlorite)100ppmとヨウ化カリウム(KI)20ppmが溶解されたpH5の水溶液で、225psi(約1.551MPa)圧力と25℃で、30分間交差流方式によりヨウ素溶液を通過させて、追加処理した。ヨウ素溶液処理結果、塩除去率とホウ素除去率はそれぞれ99.7%及び95%であった。また、透過流量は上記と同様の条件で測定され、15.2gfdが確認された。表1は上記結果を示した。
【0041】
<比較例1>
比較例1はヨウ素化合物を含有する水溶液で追加処理しないことを除いては、上記実施例1と同様にして実施した。塩除去率、ホウ素除去率及び透過流量はそれぞれ99.5%、86%及び18gfdであり、下記表1に記載した。
【0042】
<比較例2>
比較例2は上記複合膜を、ヨウ素化合物を含有する水溶液で処理する代わりに、上記複合膜を100ppmの次亜塩素酸ナトリウム(NaOCl)と10ppmの臭素化ナトリウム(NaBr)のpH5の水溶液で処理することを除いては、上記実施例1と同様にして実施した。塩除去率、ホウ素除去率及び透過流量はそれぞれ99.7%、93.6%及び11.8gfdであり、下記表1に記載した。
【0043】
<実施例2>
実施例2は上記複合膜を次亜塩素酸ナトリウム(NaOCl)とヨウ化カリウム(KI)(その場でヨウ素分子が形成されると仮定)を含有する水溶液で処理する代わりに、上記複合膜を5ppmのヨウ素分子(I2)が含まれたpH9の水溶液で処理することを除いては、上記実施例1と同様にして実施した。塩除去率、ホウ素除去率及び透過流量は、それぞれ99.7%、94.1%及び14.1gfdであり、下記表1に記載した。
【0044】
<実施例3>
実施例3は上記複合膜を、次亜塩素酸ナトリウム(NaOCl)とヨウ化カリウム(KI)(その場でヨウ素分子が形成されると仮定)を含有する水溶液で処理する代わりに、上記複合膜を5ppmの臭化ヨウ素(IBr)が含まれたpH9の水溶液で処理することを除いては、上記実施例1と同様にして実施した。塩除去率、ホウ素除去率及び透過流量は、それぞれ99.7%、95.0%及び14.0gfdであり、下記表1に記載した。
【0045】
<実施例4>
実施例4は上記複合膜を、次亜塩素酸ナトリウム(NaOCl)とヨウ化カリウム(KI)(その場でヨウ素分子が形成されると仮定)を含有する水溶液で処理する代わりに、上記複合膜を5ppmの塩化ヨウ素(ICl)が含まれたpH9の水溶液で処理することを除いては、上記実施例1と同様にして実施した。塩除去率、ホウ素除去率及び透過流量は、それぞれ99.6%、94.6%及び11.9gfdであり、下記表1に記載した。
【0046】
<実施例5>
実施例5は上記複合膜を、次亜塩素酸ナトリウム(NaOCl)とヨウ化カリウム(KI)(その場でヨウ素分子が形成されると仮定)を含有する水溶液で処理する代わりに、上記複合膜を3ppmのヨウ素分子(I2)が含まれたpH5.5の水溶液で処理することを除いては、上記実施例1と同様にして実施した。塩除去率、ホウ素除去率及び透過流量は、それぞれ99.7%、93.9%及び11.8gfdであり、下記表1に記載した。
【0047】
<実施例6>
実施例6は上記複合膜を、次亜塩素酸ナトリウム(NaOCl)とヨウ化カリウム(KI)(その場でヨウ素分子が形成されると仮定)を含有する水溶液で処理する代わりに、上記複合膜を3ppmの臭化ヨウ素(IBr)が含まれたpH5.5の水溶液で処理することを除いては、上記実施例1と同様にして実施した。塩除去率、ホウ素除去率及び透過流量は、それぞれ99.8%、95.6%及び9.8gfdであり、下記表1に記載した。
【0048】
<実施例7>
実施例7は上記複合膜を、次亜塩素酸ナトリウム(NaOCl)とヨウ化カリウム(KI)(その場でヨウ素分子が形成されると仮定)を含有する水溶液で処理する代わりに、上記複合膜を3ppmの塩化ヨウ素(ICl)が含まれたpH5.5の水溶液で処理することを除いては、上記実施例1と同様にして実施した。塩除去率、ホウ素除去率及び透過流量は、それぞれ99.6%、97.0%及び9.7gfdであり、下記表1に記載した。
【0049】
<実施例8>
実施例8は上記複合膜を、次亜塩素酸ナトリウム(NaOCl)とヨウ化カリウム(KI)(その場でヨウ素分子が形成されると仮定)を含有する水溶液で処理する代わりに、上記複合膜を5ppmの三塩化ヨウ素(ICl3)が含まれたpH3.9の水溶液で処理することを除いては、上記実施例1と同様にして実施した。塩除去率、ホウ素除去率及び透過流量は、それぞれ99.7%、95.0%及び8.9gfdであり、下記表1に記載した。
【0050】
<実施例9>
実施例9は上記複合膜を、次亜塩素酸ナトリウム(NaOCl)とヨウ化カリウム(KI)(その場でヨウ素分子が形成されると仮定)を含有する水溶液で処理する代わりに、上記複合膜を100ppmの過酢酸(CH3COOOH、peracetic acid)と20ppmのヨウ化カリウム(KI)(その場でヨウ素分子が形成されると仮定)が含まれたpH3の水溶液で処理することを除いては、上記実施例1と同様にして実施した。塩除去率、ホウ素除去率及び透過流量は、それぞれ99.7%、95.5%及び9.1gfdであり、下記表1に記載した。
【0051】
<実施例10>
実施例10は上記複合膜を、次亜塩素酸ナトリウム(NaOCl)とヨウ化カリウム(KI)(その場でヨウ素分子が形成されると仮定)を含有する水溶液で処理する代わりに、上記複合膜を5ppmの過酸化ヨウ化カリウム(KIO4)と18ppmのヨウ化カリウム(KI)(その場でのヨウ素分子の収率仮定)が含まれた水溶液で処理することを除いては、上記実施例1と同様にして実施した。塩除去率、ホウ素除去率及び透過流量は、それぞれ99.7%、94.0%及び11.5gfdであり、下記表1に記載した。
【0052】
<実施例11>
実施例11は上記複合膜を、次亜塩素酸ナトリウム(NaOCl)とヨウ化カリウム(KI)(その場でヨウ素分子が形成されると仮定)を含有する水溶液で処理する代わりに、上記複合膜を20ppmの三ヨード化カリウム(potassium iodide iodine,KI3)(その場でヨウ素分子が形成されると仮定)が含まれた水溶液で処理することを除いては、上記実施例1と同様にして実施した。塩除去率、ホウ素除去率及び透過流量は、それぞれ99.6%、93.6%及び13.3gfdであり、下記表1に記載した。
【0053】
【表1】

【0054】
表1から分かるように、ヨウ素原子を含有する化合物で処理された複合膜(実施例1〜11)は、未処理された複合膜(比較例1)に比べて顕著に高いホウ素除去率を示した。また、実施例1〜4の複合膜は、臭素処理された複合膜(比較例2)に比べて高い透過流量を示し、実施例6〜10の複合膜は、臭素処理された複合膜(比較例2)に比べて顕著に大きなホウ素除去率を示し、実施例1〜10の複合膜は臭素で処理された複合膜(比較例2)に比べて高いホウ素除去率を示した。さらに、臭素で処理された複合膜のそれに類似するホウ素除去率を示した、実施例11の複合膜は顕著に高い透過流量を示した。
【0055】
本発明の実施例は単純な例示に過ぎなく、本発明が属する技術分野の技術者であれば、本発明の技術的思想内で多様な変形及び改善が可能である。また、このような変形及び改善は、特許請求の範囲によって本発明の保護範囲に属する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)多孔性支持体、
(b)上記多孔性支持体上に配置されたポリアミド層、からなり、
上記ポリアミド層にヨウ素原子が共有結合されることを特徴とするポリアミド逆浸透複合膜。
【請求項2】
(a)多孔性支持体を製造する段階、
(b)上記多孔性支持体上にポリアミド層を形成する段階、及び
(c)上記ポリアミド層を、少なくとも一つのヨウ素原子を含む化合物で処理し、ヨウ素原子を上記ポリアミド層に共有結合させる段階、
からなる製造方法で製造されたことを特徴とするポリアミド逆浸透複合膜。
【請求項3】
上記少なくとも一つのヨウ素原子を含む化合物が、ヨウ素分子、臭化ヨウ素(iodine monobromide)、塩化ヨウ素(iodine monochloride)、三塩化ヨウ素(iodine trichloride)及び三ヨード化カリウム(potassium tri‐iodide)よりなる群から選択されることを特徴とする請求項2に記載のポリアミド逆浸透複合膜。
【請求項4】
上記処理段階が、上記化合物からなる水溶液を提供し、その後、上記ポリアミド層を上記水溶液と接触させる、ことを含むことを特徴とする請求項2に記載のポリアミド逆浸透複合膜。
【請求項5】
上記水溶液が、上記化合物を水溶性溶媒に溶解して製造されることを特徴とする請求項4に記載のポリアミド逆浸透複合膜。
【請求項6】
上記溶解段階が、まず、上記化合物を水溶性有機溶媒に溶解し、その後、上記化合物が溶解された上記水溶性有機溶媒に水を添加する、ことを含むことを特徴とする請求項5に記載のポリアミド逆浸透複合膜。
【請求項7】
上記水溶液が、水溶性溶媒にヨード塩(iodide salt)と酸化剤を添加し、上記化合物をその場で(in situ)製造することを特徴とする請求項4に記載のポリアミド逆浸透複合膜。
【請求項8】
上記ポリアミド層が、ESCA(Electron Spectroscopy of Chemical Analysis)によって測定された濃度として、ヨウ素原子を少なくとも0.05%濃度で含有することを特徴とする請求項2に記載のポリアミド逆浸透複合膜。
【請求項9】
(a)多孔性支持体を製造する段階、
(b)上記多孔性支持体上にポリアミド層を形成する段階、及び
(c)上記ポリアミド層を少なくとも一つのヨウ素原子を含む化合物で処理し、ヨウ素原子を上記ポリアミド層に共有結合する段階、
からなることを特徴とするポリアミド逆浸透複合膜の製造方法。
【請求項10】
上記少なくとも一つのヨウ素原子を含む化合物が、ヨウ素分子、臭化ヨウ素(iodine monobromide)、塩化ヨウ素(iodine monochloride)、三塩化ヨウ素(iodine trichloride)及び三ヨード化カリウム(potassium tri‐iodide)よりなる群から選択されることを特徴とする請求項9に記載のポリアミド逆浸透複合膜の製造方法。
【請求項11】
上記化合物が、臭化ヨウ素、塩化ヨウ素及び三塩化ヨウ素よりなる群から選択されることを特徴とする請求項10に記載のポリアミド逆浸透複合膜の製造方法。
【請求項12】
上記処理段階が、上記化合物からなる水溶液を提供し、その後、上記ポリアミド層を上記水溶液と接触させる、ことを含むことを特徴とする請求項9に記載のポリアミド逆浸透複合膜の製造方法。
【請求項13】
上記水溶液が、上記化合物を水溶性溶媒に溶解して製造されることを特徴とする請求項12に記載のポリアミド逆浸透複合膜の製造方法。
【請求項14】
上記溶解段階が、まず、上記化合物を水溶性有機溶媒に溶解し、その後、上記化合物が溶解された上記水溶性有機溶媒に水を添加する、ことを含むことを特徴とする請求項13に記載のポリアミド逆浸透複合膜の製造方法。
【請求項15】
上記水溶性有機溶媒が、アルコール、エーテル、スルホキシド、スルホン、アミド、エステル、及びニトリルよりなる群から選択されることを特徴とする請求項14に記載のポリアミド逆浸透複合膜の製造方法。
【請求項16】
上記水溶性有機溶媒が、エタノール、イソプロピルアルコール、メトキシエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジメチルスルホキシド、テトラメチレンスルホキシド、ジメチルスルホン、エチルスルホン、テトラメチレンスルホン、N,N‐ジメチルアセタミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N‐メチルアセタミド、N‐メチルプロピオンアミド、N‐メチルピロリジノン、エチルアセテート、メチルプロピオネート、アセトニトリル及びプロピオニトリルよりなる群から選択されることを特徴とする請求項15に記載のポリアミド逆浸透複合膜の製造方法。
【請求項17】
上記水溶液が、水溶性溶媒にヨード塩(iodide salt)と酸化剤を添加し、上記化合物をその場で(in situ)製造することを特徴とする請求項12に記載のポリアミド逆浸透複合膜の製造方法。
【請求項18】
上記酸化剤が、塩素分子、次亜塩素酸ナトリウム、亜塩素酸ナトリウム、塩素酸ナトリウム、過塩素酸ナトリウム、臭素分子、臭素酸ナトリウム、ヨウ素酸カリウム、過ヨウ素酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過マンガン酸ナトリウム、クロム酸ナトリウム、過炭酸ナトリウム、過ホウ酸ナトリウム、過酸化水素及びそれらの誘導体よりなる群から選択されることを特徴とする請求項17に記載のポリアミド逆浸透複合膜の製造方法。
【請求項19】
少なくとも一つのヨウ素原子からなる上記化合物が、上記水溶液の0.1〜500ppm含量で上記水溶液に存在することを特徴とする請求項12に記載のポリアミド逆浸透複合膜の製造方法。
【請求項20】
少なくとも一つのヨウ素原子からなる上記化合物が、上記水溶液の0.5〜100ppm含量で上記水溶液に存在することを特徴とする請求項19に記載のポリアミド逆浸透複合膜の製造方法。
【請求項21】
上記接触段階は、上記ポリアミド層がpH2〜11の範囲で、常温〜95℃の温度で、1分〜10時間、上記水溶液を含浸またはスプレーすることを含むことを特徴とする請求項12に記載のポリアミド逆浸透複合膜の製造方法。
【請求項22】
上記接触段階は、上記ポリアミド層がpH2〜11の範囲で、50〜800psi圧力と20〜40℃の温度で、1分〜1時間、交差流方式(cross flow mode)で上記水溶液を通過させることを含むことを特徴とする請求項12に記載のポリアミド逆浸透複合膜の製造方法。

【公開番号】特開2007−268530(P2007−268530A)
【公開日】平成19年10月18日(2007.10.18)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2007−90560(P2007−90560)
【出願日】平成19年3月30日(2007.3.30)
【出願人】(598140722)サエハン インダストリーズ インコーポレーション (1)
【Fターム(参考)】