説明

ホウ酸塩発光ガラスおよびその製造方法

ホウ酸塩発光ガラスおよびその製造方法を提供する。当該ホウ酸塩ガラスの組成は:aMO・bY・cAl・dB・eSiO・xCeO・yTbであり、式中、MはNa、K、およびLiから選択される少なくとも1種であり、a、b、c、d、e、x、およびyはモル部であり、それぞれ、aの値が0〜20であり、bの値が7〜15であり、cの値が20〜40であり、dの値が40〜60であり、eの値が0〜15であり、xの値が0.1〜1.5であり、およびyの値が0.1〜3である。その製造方法は、上述したホウ酸塩発光ガラスの組成に従って原料を量り取り;原料を溶融した後に冷却して成形し;成形したガラスに対して熱処理を行い、前記ホウ酸塩発光ガラスを得ることを含む。本発明のホウ酸塩発光ガラスは、優れた光透過性、高い均一性および高い安定性を有し、発光媒体材料に適している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光材料に関する。さらに詳しくは、ホウ酸塩発光ガラスおよびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、蛍光体は、主な発光材料として使われている。現在の電界放出デバイスに使用される蛍光材料は、主に、従来の陰極線管およびプロジェクターテレビ用ブラウン管に用いられた硫化物系、酸化物系および硫黄酸化物系の蛍光体である。硫化物および硫黄酸化物系の蛍光体は、高発光輝度かつ導電性を有するが、大量の陰極線と衝突すると、分解し易く、放出された硫黄成分が陰極部を劣化させ、さらに、他の生成された沈殿物が蛍光体表面を覆うことによって、蛍光体の発光率が低下され、ゆえに電界放出デバイスの寿命が短縮されてしまう。
【0003】
ホウ酸塩発光ガラスは、ガラスとしての優れた光透過性を有するため、新たな光学ガラスとして、レーザー、光通信、光増幅器などの光電子分野で、ますます注目されている。しがしながら、従来のホウ酸塩発光ガラスは、その発光強度が相対的に弱く、均一性および安定性が低いなどの欠点がある。
【発明の概要】
【0004】
本発明が解決しようとする技術課題は、従来技術のホウ酸塩発光ガラスにおいて、発光強度が弱い、均一性が悪い、および安定性が低い欠点であり、本発明は、高発光強度、優れた均一性および安定性を有するホウ酸塩発光ガラスを提供する。
【0005】
前記技術課題を解決するために、本発明の一実施形態におけるホウ酸塩発光ガラスは、下記一般式:
aMO・bY・cAl・dB・eSiO・xCeO・yTb
式中、MはNa、K、およびLiから選択される少なくとも1種であり、a、b、c、d、e、x、およびyはモル部であり、それぞれ、aの値が0〜20であり、bの値が7〜15であり、cの値が20〜40であり、dの値が40〜60であり、eの値が0〜15であり、xの値が0.1〜1.5であり、およびyの値が0.1〜3である、で表される物質を含む。
【0006】
本発明に係るホウ酸塩発光ガラスにおいて、前記a、b、c、d、e、x、およびyは、それぞれ、aの値が0〜15であり、bの値が7〜12であり、cの値が24〜37であり、dの値が40〜55であり、eの値が0〜10であり、xの値が0.3〜1.2であり、およびyの値が0.3〜1.5である。
【0007】
本発明に係るホウ酸塩発光ガラスにおいて、前記a、b、c、d、e、x、およびyは、それぞれ、aの値が4.5〜10.5であり、bの値が7.5〜8であり、cの値が26.25〜36であり、dの値が42〜52であり、eの値が0〜6であり、xの値が0.5〜0.8であり、およびyの値が0.4〜0.8である。
【0008】
本発明に係るホウ酸塩発光ガラスにおいて、前記ホウ酸塩ガラスは、波長が330〜380nmの範囲にある紫外線によって励起される。
【0009】
本発明に係るホウ酸塩発光ガラスにおいて、前記ホウ酸塩発光ガラスの励起波長が330〜380nmの範囲であり、波長366nmの紫外線よって励起したとき、発光波長が、530〜560nmの範囲であり、最大発光波長が544nmである。
【0010】
前記技術課題を解決するために、本発明の他の実施形態におけるホウ酸塩発光ガラスの製造方法は、下記一般式:
aMO・bY・cAl・dB・eSiO・xCeO・yTb
式中、MはNa、K、およびLiから選択される少なくとも1種であり、a、b、c、d、e、x、およびyはモル部であり、それぞれ、aの値が0〜20であり、bの値が7〜15であり、cの値が20〜40であり、dの値が40〜60であり、eの値が0〜15であり、xの値が0.1〜1.5であり、およびyの値が0.1〜3である、で表される各元素のモル部に基づき、ガラス原料を量り取り;
前記ガラス原料を溶融し、その後冷却して成形し;
前記冷却して成形したガラスを熱処理して、前記ホウ酸塩発光ガラスを得ることを含む。
【0011】
さらに、前記溶融温度の範囲が1580〜1750℃であり;前記ガラス原料を温度範囲1580〜1750℃で溶融し30分間保温し、その後冷却して成形する。
【0012】
さらに、前記熱処理が、具体的に、前記冷却して成形したガラスを、還元環境中に置き、650〜900℃で、4〜12時間加熱し、その後再び室温まで冷却することによって、前記ホウ酸塩発光ガラスを製造する。
【0013】
本発明に係るホウ酸塩発光ガラスの製造方法において、前記モル部a、b、c、d、e、x、およびyは、ぞれぞれ、aの値が0〜20であり、bの値が7〜15であり、cの値が20〜40であり、dの値が40〜60であり、eの値が0〜15であり、xの値が0.1〜1.5であり、およびyの値が0.1〜3である。
【0014】
本発明に係るホウ酸塩発光ガラスの製造方法において、前記a、b、c、d、e、x、およびyは、ぞれぞれ、aの値が0〜15であり、bの値が7〜12であり、cの値が24〜37であり、dの値が40〜55であり、eの値が0〜10であり、xの値が0.3〜1.2であり、およびyの値が0.3〜1.5である。
【0015】
本発明に係るホウ酸塩発光ガラスの製造方法において、前記a、b、c、d、e、x、およびyは、それぞれ、aの値が4.5〜10.5であり、bの値が7.5〜8であり、cの値が26.25〜36であり、dの値が42〜52であり、eの値が0〜6であり、xの値が0.5〜0.8であり、およびyの値が0.4〜0.8である。
【0016】
本発明に係るホウ酸塩発光ガラスの顕著な利点は、優れた光透過性、高い均一性、および高い安定性を有することである。それに加えて、本発明に係るホウ酸塩発光ガラスは、大面積で成形することが容易にでき、かつデバイスへ実装する際に簡単に加工できる。したがって、本発明のホウ酸塩発光ガラスは、高性能の発光ガラスとして実現でき、照明およびディスプレー領域において発光媒体材料として非常に適している。
【0017】
本発明に係るホウ酸塩発光ガラスの製造方法は、技術上簡単であり、低コストである。発光ガラスがガラスの製造条件およびガラス構造によって制限され、多くの活性イオンがガラスの中で弱く発光するまたは発光できないという問題についても、本発明で解決できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施例が提供するホウ酸塩発光ガラスの製造方法のフローチャットである。
【図2】島津RF−5301蛍光光度計を用いて測定した、実施例1で製造されたホウ酸塩発光ガラスを366nmの紫外線で励起した場合の励起スペクトルおよび発光スペクトルである。
【図3】島津RF−5301蛍光光度計を用いて測定した、実施例2で製造されたホウ酸塩発光ガラスを366nmの紫外線で励起した場合の励起スペクトルおよび発光スペクトルである。
【図4】島津RF−5301蛍光光度計を用いて測定した、実施例4で製造されたホウ酸塩発光ガラスを366nmの紫外線で励起した場合の励起スペクトルおよび発光スペクトルである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の好ましい実施例において、本発明にかかるホウ酸塩発光ガラスは、本発明のホウ酸塩発光ガラスを製造するための原料として、Al、B、少なくとも一種のYの酸化物、炭酸塩およびシュウ酸塩、少なくとも一種のCeの酸化物、炭酸塩およびシュウ酸塩、少なくとも一種のTbの酸化物、炭酸塩およびシュウ酸塩、並びにSiOおよび/またはアルカリ金属の炭酸塩を好ましく採用する。最終的に、下記一般式:
aMO・bY・cAl・dB・eSiO・xCeO・yTb
式中、MはNa、K、およびLiから選択される少なくとも1種であり、a、b、c、d、e、x、およびyはモル部であり、それぞれ、aの値が0〜20であり、bの値が7〜15であり、cの値が20〜40であり、dの値が40〜60であり、eの値が0〜15であり、xの値が0.1〜1.5であり、およびyの値が0.1〜3である、で表される物質を含むホウ酸塩発光ガラスを製造することができる。
【0020】
当業者にはよく知られているように、上記は比較的好ましい原料を列挙しただけである。上述の原料に加えて、加熱、酸化またはその他の化学反応を介して下記の物質を生成する材料または下記物質を含む鉱物などから選択することができる。その物質とは、Al、B、少なくとも一種のYの酸化物、炭酸塩およびシュウ酸塩、少なくとも一種のCeの酸化物、炭酸塩およびシュウ酸塩、並びに少なくとも一種のTbの酸化物、炭酸塩およびシュウ酸塩である。
【0021】
以下、NaCO、Y、Al、B、SiO、CeOおよびTbを原料として、本発明を説明する。本発明の下記実施例を通して、当業者は、好適比率のKCO、LiCOまたはそれらとNaCOとの混合物を容易に選択し、少なくとも一種のYの酸化物、炭酸塩およびシュウ酸塩、少なくとも一種のCeの酸化物、炭酸塩およびシュウ酸塩、少なくとも一種のTbの酸化物、炭酸塩およびシュウ酸塩、並びにAl、Bを生成できる物質と反応させ、本発明にかかるホウ酸塩発光ガラスを得ることができる。本発明の好ましい実施例において、採用された原料の純度は、分析レベル純度以上である。
【0022】
図1を参照して、本発明の実施例にかかるホウ酸塩発光ガラスの製造方法の流れを説明する。
【0023】
ステップS1において、一般式:aMO・bY・cAl・dB・eSiO・xCeO・yTb(式中、MはNa、K、およびLiから選択される少なくとも1種であり、a、b、c、d、e、x、およびyはモル部であり、それぞれ、aの値が0〜20であり、bの値が7〜15であり、cの値が20〜40であり、dの値が40〜60であり、eの値が0〜15であり、xの値が0.1〜1.5であり、およびyの値が0.1〜3である)で表される各元素のモル部に基づき、ガラス原料を量り取る;
ステップS2において、ガラス原料を溶融し、その後冷却して成形する;
具体的には、温度1580〜1750℃で溶融し、30分間保温し、その後溶融したガラスをステンレス鋼板に注ぎ、冷却成形させる。
【0024】
ステップS3において、冷却成形したガラスを熱処理し、ホウ酸塩発光ガラスを製造する。
【0025】
具体的な熱処理は、冷却して成形したガラスを還元環境中に置き、650〜900℃まで加熱し、4〜12時間保温し、その後再び室温まで冷却することである。
【実施例】
【0026】
以下、多数の実施例に基づき、本発明のホウ酸塩発光ガラスの異なる組成およびその製造方法を例として説明するが、これらに限定されるものではない。
【0027】
実施例1
一般式:15NaO−7.75Y−26.25Al−50B−0.5CeO−1Tb(モル比)に従って、6.83gの炭酸ナトリウム、7.53gの酸化イットリウム、26.62gのホウ酸、11.52gの酸化アルミニウム、1.6gの酸化テルビウム、0.36gの酸化セシウムをそれぞれ量り取り、ボールミルまたはモルターミルにより均一の粉体を得た。研磨された原料をアルミるつぼに入れ、1630℃の高温で30分間保温した。その後、ステンレス鋼板に入れ、冷却し成形した。成形したガラスを体積比95:5(N:H)である還元性気体の雰囲気に置き、700℃まで加熱し、4時間熱処理を行うことで、下記一般式:15NaO−7.75Y−26.25Al−50B−0.5CeO−1Tbを有するホウ酸塩発光ガラスが得られた。
【0028】
本実施例で得られた発光ガラスは、330〜380の波長範囲の紫外線によって励起することができ、波長366nmの紫外線によって励起した時、発光輝度が高い緑色発光を示した。図2に示すように、当該励起波長範囲は330〜380nmであり、発光波長範囲は530〜560nmであり、最大発光波長は544nmである。
【0029】
本発明のその他の実施例において、炭酸ナトリウムの代わりに、炭酸カリウム、炭酸リチウム、もしくはシュウ酸ナトリウム、シュウ酸カリウム、シュウ酸リチウムまたはそれらの混合物を使用することができる。
【0030】
実施例2
一般式:12Y−37Al−50B−0.5CeO−1Tb(モル比)に従って、7.8gの酸化イットリウム、17.8gのホウ酸、10.86gの酸化アルミニウム、0.24gの酸化セシウム、1.07gの酸化テルビウムを量り取り、ボールミルまたはモルターミルにより均一の粉体を得た。研磨された原料をアルミるつぼに入れ、1700℃の高温で30分間保温した。その後、ステンレス鋼板に入れ、冷却し成形した。成形したガラスを体積比95:5(N:H)である還元性気体の雰囲気に置き、800℃まで加熱し、5時間熱処理を行うことで、下記一般式:12Y−37Al−50B−0.5CeO−1Tbを有するホウ酸塩発光ガラスが得られた。
【0031】
本実施例で得られた発光ガラスは、330〜380の波長範囲の紫外線によって励起することができ、波長366nmの紫外線によって励起した時、発光輝度が高い緑色発光を示した。図3に示すように、当該励起波長範囲は330〜380nmであり、発光波長範囲は530〜560nmであり、最大発光波長は544nmである。
【0032】
本発明のその他の実施例において、イットリウム、セシウムおよびテルビウムのそれぞれの酸化物の代わりに、少なくとも一種のそれぞれの炭酸塩またはシュウ酸塩を使用することができる。
【0033】
実施例3
一般式:10Y−37Al−40B−10SiO−0.5CeO−3Tb(モル比)に従って、12.78gの酸化イットリウム、27.99gのホウ酸、21.35gの酸化アルミニウム、3.39gの二酸化ケイ素、0.48gの酸化セシウム、6.21gの酸化テルビウムをそれぞれ量り取り、ボールミルまたはモルターミルにより均一の粉体を得た。研磨された原料をアルミるつぼに入れ、1680℃の高温で30分間保温した。その後、ステンレス鋼板に入れ、冷却し成形した。成形したガラスを体積比95:5(N:H)である還元性気体の雰囲気に置き、850℃まで加熱し、7時間熱処理を行うことで、下記一般式:10Y−37Al−40B−10SiO−0.5CeO−3Tbを有するホウ酸塩発光ガラスが得られた。
【0034】
実施例4
一般式:15NaO−7Y−26.25Al−49.5B−1.5CeO−1Tb(モル比)に従って、6.86gの炭酸ナトリウム、6.82gの酸化イットリウム、26.44gのホウ酸、11.56gの酸化アルミニウム、1.11gの酸化セシウム、1.61gの酸化テルビウムをそれぞれ量り取り、ボールミルまたはモルターミルにより均一の粉体を得た。研磨された原料をアルミるつぼに入れ、1680℃の高温で30分間保温した。その後、ステンレス鋼板に入れ、冷却し成形した。成形したガラスを体積比95:5(N:H)である還元性気体の雰囲気に置き、650℃まで加熱し、12時間熱処理を行うことで、下記一般式:15NaO−7Y−26.25Al−49.5B−1.5CeO−1Tbを有するホウ酸塩発光ガラスが得られた。
【0035】
本実施例で得られた発光ガラスは、330〜380の波長範囲の紫外線によって励起することができ、波長366nmの紫外線によって励起した時、発光輝度が高い緑色発光を示した。図4に示すように、当該励起波長範囲は330〜380nmであり、発光波長範囲は530〜560nmであり、最大発光波長は544nmである。
【0036】
実施例5
一般式:20NaO−8Y−24Al−46.5B−1.5CeO−1.2Tb(モル比)に従って、6.79gの炭酸ナトリウム、5.79gの酸化イットリウム、18.03gのホウ酸、7.84gの酸化アルミニウム、1.4gの酸化テルビウム、0.82gの酸化セシウムをそれぞれ量り取り、ボールミルまたはモルターミルにより均一の粉体を得た。研磨された原料をアルミるつぼに入れ、1630℃の高温で30分間保温した。その後、ステンレス鋼板に入れ、冷却し成形した。成形したガラスを体積比95:5(N:H)である還元性気体の雰囲気に置き、650℃まで加熱し、10時間熱処理を行うことで、下記一般式:20NaO−8Y−24Al−46.5B−1.5CeO−1.2Tbを有するホウ酸塩発光ガラスが得られた。
【0037】
実施例6
一般式:10.5NaO−7.5Y−20Al−60B−0.8CeO−1.5Tb(モル比)に従って、6.01gの炭酸ナトリウム、9.15gの酸化イットリウム、40.11gのホウ酸、11.02gの酸化アルミニウム、3.02gの酸化テルビウム、0.74gの酸化セシウムをそれぞれ量り取り、ボールミルまたはモルターミルにより均一の粉体を得た。研磨された原料をアルミるつぼに入れ、1630℃の高温で30分間保温した。その後、ステンレス鋼板に入れ、冷却し成形した。成形したガラスを体積比95:5(N:H)である還元性気体の雰囲気に置き、750℃まで加熱し、6時間熱処理を行うことで、下記一般式:10.5NaO−7.5Y−20Al−60B−0.8CeO−1.5Tbを有するホウ酸塩発光ガラスが得られた。
【0038】
実施例7
一般式:4.5NaO−10Y−40Al−45B−0.3CeO−0.5Tb(モル比)に従って、2.38gの炭酸ナトリウム、11.3gの酸化イットリウム、27.86gのホウ酸、20.42gの酸化アルミニウム、0.93gの酸化テルビウム、0.25gの酸化セシウムをそれぞれ量り取り、ボールミルまたはモルターミルにより均一の粉体を得た。研磨された原料をアルミるつぼに入れ、1750℃の高温で30分間保温した。その後、ステンレス鋼板に入れ、冷却し成形した。成形したガラスを体積比95:5(N:H)である還元性気体の雰囲気に置き、750℃まで加熱し、6時間熱処理を行うことで、下記一般式:4.5NaO−10Y−40Al−45B−0.3CeO−0.5Tbを有するホウ酸塩発光ガラスが得られた。
【0039】
実施例8
一般式:11Y−33Al−55B−0.3CeO−0.8Tb(モル比)に従って、12.39gの酸化イットリウム、33.92gのホウ酸、16.78gの酸化アルミニウム、1.49gの酸化テルビウム、0.25gの酸化セシウムをそれぞれ量り取り、ボールミルまたはモルターミルにより均一の粉体を得た。研磨された原料をアルミるつぼに入れ、1680℃の高温で30分間保温した。その後、ステンレス鋼板に入れ、冷却し成形した。成形したガラスを体積比95:5(N:H)である還元性気体の雰囲気に置き、900℃まで加熱し、12時間熱処理を行うことで、下記一般式:11Y−33Al−55B−0.3CeO−0.8Tbを有するホウ酸塩発光ガラスが得られた。
【0040】
実施例9
一般式:12Y−36Al−52B−0.1CeO−0.1Tb(モル比)に従って、13.47gの酸化イットリウム、31.97gのホウ酸、18.25gの酸化アルミニウム、0.18gの酸化テルビウム、0.08gの酸化セシウムをそれぞれ量り取り、ボールミルまたはモルターミルにより均一の粉体を得た。研磨された原料をアルミるつぼに入れ、1680℃の高温で30分間保温した。その後、ステンレス鋼板に入れ、冷却し成形した。成形したガラスを体積比95:5(N:H)である還元性気体の雰囲気に置き、700℃まで加熱し、6時間熱処理を行うことで、下記一般式:12Y−36Al−52B−0.1CeO−0.1Tbを有するホウ酸塩発光ガラスが得られた。
【0041】
実施例10
一般式:15NaO−7.5Y−26.5Al−50B−0.3CeO−0.7Tb(モル比)に従って、8.78gの炭酸ナトリウム、9.36gの酸化イットリウム、34.2gのホウ酸、14.95gの酸化アルミニウム、0.66gの酸化セシウム、0.61gの酸化テルビウムをそれぞれ量り取り、ボールミルまたはモルターミルにより均一の粉体を得た。研磨された原料をアルミるつぼに入れ、1580℃の高温で30分間保温した。その後、ステンレス鋼板に入れ、冷却し成形した。成形したガラスを体積比95:5(N:H)である還元性気体の雰囲気に置き、780℃まで加熱し、5時間熱処理を行うことで、下記一般式:15NaO−7.5Y−26.5Al−50B−0.3CeO−0.7Tbを有するホウ酸塩発光ガラスが得られた。
【0042】
実施例11
一般式:10Y−37Al−50B−0.5CeO−3Tb(モル比)に従って、6.33gの酸化イットリウム、17.33gのホウ酸、10.58gの酸化アルミニウム、0.24gの酸化セシウム、3.14gのテルビウムをそれぞれ量り取り、ボールミルまたはモルターミルにより均一の粉体を得た。研磨された原料をアルミるつぼに入れ、1680℃の高温で30分間保温した。その後、ステンレス鋼板に入れ、冷却し成形した。成形したガラスを体積比95:5(N:H)である還元性気体の雰囲気に置き、850℃まで加熱し、7時間熱処理を行うことで、下記一般式:10Y−37Al−50B−0.5CeO−3Tbを有するホウ酸塩発光ガラスが得られた。
【0043】
実施例12
一般式:10NaO−7Y−25Al−42B−15SiO−0.3CeO−0.5Tb(モル比)に従って、7.21gの炭酸ナトリウム、10.76gの酸化イットリウム、35.37gのホウ酸、17.35gの酸化アルミニウム、6.13gの二酸化ケイ素、0.34gの酸化セシウム、1.24gの酸化テルビウムをそれぞれ量り取り、ボールミルまたはモルターミルにより均一の粉体を得た。研磨された原料をアルミるつぼに入れ、1680℃の高温で30分間保温した。その後、ステンレス鋼板に入れ、冷却し成形した。成形したガラスを体積比95:5(N:H)である還元性気体の雰囲気に置き、780℃まで加熱し、5時間熱処理を行うことで、下記一般式:10NaO−7Y−25Al−42B−15SiO−0.3CeO−0.5Tbを有するホウ酸塩発光ガラスが得られた。
【0044】
実施例13
一般式:15NaO−8Y−24Al−46B−6SiO−0.3CeO−0.5Tb(モル比)に従って、10.61gの炭酸ナトリウム、12.06gの酸化イットリウム、37.99gのホウ酸、16.34gの酸化アルミニウム、2.4gの二酸化ケイ素、0.34gの酸化セシウム、1.21gの酸化テルビウムをそれぞれ量り取り、ボールミルまたはモルターミルにより均一の粉体を得た。研磨された原料をアルミるつぼに入れ、1680℃の高温で30分間保温した。その後、ステンレス鋼板に入れ、冷却し成形した。成形したガラスを体積比95:5(N:H)である還元性気体の雰囲気に置き、780℃まで加熱し、5時間熱処理を行うことで、下記一般式:15NaO−8Y−24Al−46B−6SiO−0.3CeO−0.5Tbを有するホウ酸塩発光ガラスが得られた。
【0045】
実施例14
一般式:12Y−35Al−50B−1.2CeO−1.8Tb(モル比)に従って、15.3gの酸化イットリウム、34.91gのホウ酸、20.14gの酸化アルミニウム、3.71gの酸化テルビウム、1.16gの酸化セシウムをそれぞれ量り取り、ボールミルまたはモルターミルにより均一の粉体を得た。研磨された原料をアルミるつぼに入れ、1680℃の高温で30分間保温した。その後、ステンレス鋼板に入れ、冷却し成形した。成形したガラスを体積比95:5(N:H)である還元性気体の雰囲気に置き、750℃まで加熱し、4時間熱処理を行うことで、下記一般式:12Y−35Al−50B−1.2CeO−1.8Tbを有するホウ酸塩発光ガラスが得られた。
【0046】
実施例15
一般式:10NaO−15Y−25Al−40B−10SiO−0.2CeO−0.4Tb(モル比)に従って、4.19gの炭酸ナトリウム、13.4gの酸化イットリウム、19.57gのホウ酸、10.08gの酸化アルミニウム、2.37gの二酸化ケイ素、0.06gの酸化セシウム、0.57gの酸化テルビウムをそれぞれ量り取り、ボールミルまたはモルターミルにより均一の粉体を得た。研磨された原料をアルミるつぼに入れ、1680℃の高温で30分間保温した。その後、ステンレス鋼板に入れ、冷却し成形した。成形したガラスを体積比95:5(N:H)である還元性気体の雰囲気に置き、780℃まで加熱し、5時間熱処理を行うことで、下記一般式:10NaO−15Y−25Al−40B−10SiO−0.2CeO−0.4Tbを有するホウ酸塩発光ガラスが得られた。
【0047】
実施例16
一般式:15NaO−8Y−24Al−46B−3SiO−0.3CeO−0.5Tb(モル比)に従って、10.61gの炭酸ナトリウム、12.06gの酸化イットリウム、37.99gのホウ酸、16.34gの酸化アルミニウム、1.2gの二酸化ケイ素、0.34gの酸化セシウム、1.21gの酸化テルビウムをそれぞれ量り取り、ボールミルまたはモルターミルにより均一の粉体を得た。研磨された原料をアルミるつぼに入れ、1680℃の高温で30分間保温した。その後、ステンレス鋼板に入れ、冷却し成形した。成形したガラスを体積比95:5(N:H)である還元性気体の雰囲気に置き、780℃まで加熱し、5時間熱処理を行うことで、下記一般式:15NaO−8Y−24Al−46B−3SiO−0.3CeO−0.5Tbを有するホウ酸塩発光ガラスが得られた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式:
aMO・bY・cAl・dB・eSiO・xCeO・yTb
式中、MはNa、K、およびLiから選択される少なくとも1種の元素であり、a、b、c、d、e、x、およびyはモル部であり、それぞれ、aの値が0〜20であり、bの値が7〜15であり、cの値が20〜40であり、dの値が40〜60であり、eの値が0〜15であり、xの値が0.1〜1.5であり、およびyの値が0.1〜3である、
で表される物質を含むことを特徴とするホウ酸塩発光ガラス。
【請求項2】
aの値が0〜15であり、bの値が7〜12であり、cの値が24〜37であり、dの値が40〜55であり、eの値が0〜10であり、xの値が0.3〜1.2であり、およびyの値が0.3〜1.5であることを特徴とする、請求項1に記載のホウ酸塩発光ガラス。
【請求項3】
aの値が4.5〜10.5であり、bの値が7.5〜8であり、cの値が26.25〜36であり、dの値が42〜52であり、eの値が0〜6であり、xの値が0.5〜0.8であり、およびyの値が0.4〜0.8であることを特徴とする、請求項2に記載のホウ酸塩発光ガラス。
【請求項4】
波長が330〜380nmの範囲にある紫外線によって励起されることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載のホウ酸塩発光ガラス。
【請求項5】
前記ホウ酸塩発光ガラスの励起波長が330〜380nmの範囲であり、波長366nmの紫外線によって励起したとき、発光波長が530〜560nmの範囲であり、最大発光波長が544nmであることを特徴とする、請求項4に記載のホウ酸塩発光ガラス。
【請求項6】
一般式:
aMO・bY・cAl・dB・eSiO・xCeO・yTb
式中、MはNa、K、およびLiから選択される少なくとも1種であり、a、b、c、d、e、x、およびyはモル部であり、それぞれ、aの値が0〜20であり、bの値が7〜15であり、cの値が20〜40であり、dの値が40〜60であり、eの値が0〜15であり、xの値が0.1〜1.5であり、およびyの値が0.1〜3である、
で表される各元素のモル部に従って、ガラス原料を量り取り;
前記ガラス原料を溶融し、その後冷却して成形し;
前記冷却して成形したガラスを熱処理して、前記ホウ酸塩発光ガラスを得ることを含むことを特徴とする、ホウ酸塩発光ガラスの製造方法。
【請求項7】
前記溶融温度範囲が1580〜1750℃であり;前記ガラス原料を温度範囲1580〜1750℃で溶融し30分間保温し、その後冷却して成形することを特徴とする、請求項6に記載のホウ酸塩発光ガラスの製造方法。
【請求項8】
前記熱処理が、具体的に、前記冷却して成形したガラスを、還元環境中に置き、650〜900℃で、4〜12時間加熱し、その後再び室温まで冷却し、前記ホウ酸塩発光ガラスを得ることを特徴とする、請求項7に記載のホウ酸塩発光ガラスの製造方法。
【請求項9】
aの値が0〜20であり、bの値が7〜15であり、cの値が20〜40であり、dの値が40〜60であり、eの値が0〜15であり、xの値が0.1〜1.5であり、およびyの値が0.1〜3であることを特徴とする、請求項6に記載のホウ酸塩発光ガラスの製造方法。
【請求項10】
aの値が0〜15であり、bの値が7〜12であり、cの値が24〜37であり、dの値が40〜55であり、eの値が0〜10であり、xの値が0.3〜1.2であり、およびyの値が0.3〜1.5であることを特徴とする、請求項9に記載のホウ酸塩発光ガラスの製造方法。
【請求項11】
aの値が4.5〜10.5であり、bの値が7.5〜8であり、cの値が26.25〜36であり、dの値が42〜52であり、eの値が0〜6であり、xの値が0.5〜0.8であり、およびyの値が0.4〜0.8であることを特徴とする、請求項10に記載のホウ酸塩発光ガラスの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2012−533508(P2012−533508A)
【公表日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−520883(P2012−520883)
【出願日】平成21年7月23日(2009.7.23)
【国際出願番号】PCT/CN2009/072891
【国際公開番号】WO2011/009238
【国際公開日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【出願人】(512016928)海洋王照明科技股▲ふん▼有限公司 (14)
【Fターム(参考)】