説明

ホストコントローラ

【課題】 低消費電力でホスト−デバイス間の切断検出を高精度に行える切断検出回路を含むホストコントローラを提供すること。
【解決手段】 ホストコントローラ400は、ホストとデバイスが接続ケーブルを介して接続されている状態からデバイスが接続ケーブルから切断された状態に変化する際に生じるフレームパケットの反射波を検出してホスト−デバイス間の切断状態を検出する切断検出回路52−3を含み、切断検出回路52−3は、差動信号対を構成する第1及び第2の差動信号DP、DMのうち、第1の差動信号DPのフレームパケットの後の所与のタイミングでの電圧レベルと反射波比較電圧RCVを比較し、第2の差動信号DMのフレームパケットの後の所与のタイミングでの電圧レベルと反射波比較電圧RCVを比較し、第1及び第2の差動信号DP、DMの少なくとも一方の所与のタイミングでの電圧レベルが反射波比較電圧RCVよりも高い場合には、ホスト−デバイス間の切断状態を検出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ホストコントローラに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、パーソナルコンピュータと周辺機器(広義には、電子機器)とを接続するためのインタフェース規格として、USB(Universal Serial Bus)が注目を集めている。このUSBには、従来は別々の規格のコネクタで接続されていたマウスやキーボードやプリンタなどの周辺機器を、同じ規格のコネクタで接続できると共にいわゆるプラグ&プレイやホットプラグも実現できるという利点がある。
【0003】
一方、このUSBには、同じくシリアルバスインタフェース規格として脚光を浴びているIEEE1394に比べて、転送速度が遅いという問題点がある。
【0004】
そこで、従来のUSB1.1の規格に対する下位互換性を持ちながら、USB1.1に比べて格段に高速な480Mbps(HS(High Speed)モード)のデータ転送速度を実現できるUSB2.0規格が策定され、注目を浴びている。また、USB2.0の物理層回路や論理層回路のインタフェース仕様を定義したUTMI(USB2.0 Transceiver Macrocell Interface)も策定されている。
【0005】
このUSB2.0では、従来のUSB1.1で定義されていたFS(Full Speed)モードに加えて、上述したHSモードと呼ばれる転送モードが用意されている。このHSモードでは480Mbpsでデータ転送が行われるため、12Mbpsでデータ転送が行われるFSモードに比べて格段に高速なデータ転送を実現できる。従って、USB2.0によれば、高速な転送速度が要求されるハードディスクドライブや光ディスクドライブなどのストレージ機器に最適なインタフェースを提供できるようになる。
【0006】
ただし、USB2.0では、USB1.1よりも高速に小振幅の信号が転送される。周波数の高い小振幅の信号は、伝送路の品質やホスト及びデバイスの終端抵抗によって大きく影響を受ける。従って、USB2.0においてホストコントローラは、このような影響を受けやすい小振幅の信号に対してもホスト−デバイス間の切断検出を高精度に行える切断検出回路が必要となる。
【0007】
なお、特許文献1には、差動信号線の2つの電圧の差が設定値よりも大きいか小さいかを判定するためのウインドウ電圧コンパレータが開示されている。また、特許文献2には、差動対の受信信号の有無を検出するスケルチ回路を設け、差動対の切断検出を、一方の電圧レベルを用いて検出することが開示されている。
【特許文献1】特開2002−232273号公報
【特許文献2】特開2002−344540号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、以上のような技術的課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、低消費電力でホスト−デバイス間の切断検出を高精度に行える切断検出回路を含むホストコントローラを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、バスを介して差動信号対によるデータ転送を行い、所与の規格で規定されたフレームパケットを前記所与の規格で規定された間隔でデバイス側に送信するホストコントローラであって、ホストとデバイスが接続ケーブルを介して接続されている状態からデバイスが接続ケーブルから切断された状態に変化する際に生じる前記フレームパケットの反射波を検出してホスト−デバイス間の切断状態を検出する切断検出回路を含み、前記切断検出回路は、前記差動信号対を構成する第1及び第2の差動信号のうち、前記第1の差動信号の前記フレームパケットの後の所与のタイミングでの電圧レベルと反射波比較電圧を比較し、前記第2の差動信号の前記フレームパケットの後の所与のタイミングでの電圧レベルと前記反射波比較電圧を比較し、前記第1及び第2の差動信号の少なくとも一方の前記所与のタイミングでの電圧レベルが前記反射波比較電圧よりも高い場合には、ホスト−デバイス間の切断状態を検出するホストコントローラに関する。
【0010】
これにより、フレームパケットが反射波の影響を受け、フレームパケット中の差動信号の電圧レベルを監視しても切断状態を検出できない場合であっても、ホスト−デバイス間の切断状態を検出することができる。また、このようにすることで、第1、第2の差動信号の少なくとも一方の反射波の電圧レベルが反射波比較電圧よりも高い場合に切断検出を行うことができるため、第1又は第2の差動信号のどちらか片方しか監視しない場合に比べて精度の高い切断検出が可能となる。
【0011】
また、本発明では、前記切断検出回路は、前記第1の差動信号を受け、前記第1の差動信号の前記フレームパケットの後の所与のタイミングでの電圧レベルと前記反射波比較電圧を比較し、前期所与のタイミングでの前記第1の差動信号の電圧レベルが前記反射波比較電圧よりも高い場合には、ホスト−デバイス間の切断状態を検出する第1の反射波比較器と、前記第2の差動信号を受け、前記第2の差動信号の前記フレームパケットの後の所与のタイミングでの電圧レベルと前記反射波比較電圧を比較し、前期所与のタイミングでの前記第2の差動信号の電圧レベルが前記反射波比較電圧よりも高い場合には、ホスト−デバイス間の切断状態を検出する第2の反射波比較器と、を含み、前記切断検出回路は、前記第1及び第2の反射波比較器の少なくとも一方がホスト−デバイス間の切断を検出した場合にホスト−デバイス間の切断を検出するようにしてもよい。
【0012】
このようにすることで、切断検出回路は第1、第2の差動信号のいずれかの反射波の電圧レベルが反射波比較電圧より高い場合にも確実に切断状態を検出することができる。また、第1、第2の差動信号が供給される側に第1、第2の反射波比較器を接続することで、第1、第2の差動信号に影響する寄生容量のバランスを整えることができ、第1、第2の差動信号のいずれか一方側に反射波比較器を設ける場合よりも差動信号の信号品質を良好にすることができる。
【0013】
また、本発明では、前記第1の差動信号を受け、前記第1の差動信号の電圧レベルと前記反射波比較電圧を比較し、前期第1の差動信号の電圧レベルが前記反射波比較電圧よりも高い場合には、ホスト−デバイス間の切断状態を検出する第1の反射波比較器と、前記第2の差動信号を受け、前記第2の差動信号の電圧レベルと前記反射波比較電圧を比較し、前期第2の差動信号の電圧レベルが前記反射波比較電圧よりも高い場合には、ホスト−デバイス間の切断状態を検出する第2の反射波比較器と、前記第1、第2の反射波比較器の出力信号の論理和結果を反射波検出用信号に基づいてラッチするラッチ回路と、を含み、前記反射波検出用信号は、前記フレームパケットが送信された後の所与のタイミングでアクティブに設定され、アクティブに設定された前期反射波検出用信号に基づいて前記ラッチ回路は前記論理和結果をラッチし、前記切断検出回路は、前記第1及び第2の反射波比較器の少なくとも一方がホスト−デバイス間の切断を検出した場合にホスト−デバイス間の切断を検出するようにしてもよい。
【0014】
また、本発明では、前記切断検出回路は、前記第1の差動信号を受け、前記第1の差動信号の前記フレームパケット中の前記所与の範囲に対応する電圧レベルと前記比較電圧とを比較し、前記所与の範囲に対応する前記第1の差動信号の電圧レベルが前記比較電圧よりも高い場合には、ホスト−デバイス間の切断状態を検出する第1の比較器と、前記第2の差動信号を受け、前記第2の差動信号の前記フレームパケット中の前記所与の範囲に対応する電圧レベルと前記比較電圧とを比較し、前記所与の範囲に対応する前記第2の差動信号の電圧レベルが前記比較電圧よりも高い場合には、ホスト−デバイス間の切断状態を検出する第2の比較器と、を含み、前記切断検出回路は、前記第1及び第2の比較器の少なくとも一方がホスト−デバイス間の切断を検出した場合にホスト−デバイス間の切断を検出するようにしてもよい。
【0015】
このようにすることで、切断検出回路は第1、第2の差動信号のいずれかの電圧レベルが比較電圧より高い場合にも確実に切断状態を検出することができる。また、第1、第2の差動信号が供給される側に第1、第2の比較器を接続することで、第1、第2の差動信号に影響する寄生容量のバランスを整えることができ、第1、第2の差動信号のいずれか一方側に比較器を設ける場合よりも差動信号の信号品質を良好にすることができる。
【0016】
また、本発明では、前記切断検出回路は、前記切断検出回路のイネーブル制御を行うためのイネーブル信号を受け、前記イネーブル信号は、ホストコントローラ側の送信回路の定電流源がオンに設定され、且つ、前記フレームパケットがホストからデバイスに送信される場合に、アクティブに設定され、前記フレームパケットが送信されない場合にはノンアクティブに設定され、前記切断検出回路は、前記イネーブル信号がアクティブに設定される場合には、ホスト−デバイス間の切断状態を監視し、前記イネーブル信号がノンアクティブに設定される場合には、その動作がオフ状態に設定されるようにしてもよい。
【0017】
このようにすることで、効率よく切断検出回路の動作を制御できる。例えば切断状態を監視する必要の無い場合などに切断検出回路に無駄な電流を流さずにすむため、消費電力の低減が可能となる。また、フレームパケット中の所与の範囲に対応する差動信号の電圧レベルを比較電圧と比較するため、フレームパケットが送信されない場合には切断検出回路の動作をオフにすることができる。従って、切断検出回路に無駄な電流が流れることを抑えることができ、消費電力の低減が可能となる。
【0018】
また、本発明では、前記第1及び第2の比較器は、その出力をグランドレベルに固定する出力固定スイッチを含み、前記出力固定スイッチは、前記イネーブル信号がアクティブの場合にはオフに設定され、前記イネーブル信号がノンアクティブの場合にはオンに設定されるようにしてもよい。
【0019】
これにより、第1、第2の比較器の動作状態がオフ状態の場合であっても、各比較器の出力レベルをグランドレベルに設定することができるため、オフ状態のときに各比較器の出力レベルが不安定になることを防ぐことができる。従って、切断検出回路の誤検出を防ぐことができる。
【0020】
また、本発明では、前記第1及び第2の比較器の電流源を調整するバイアス信号を発生するバイアス信号発生回路を含み、前記バイアス信号発生回路は、前記イネーブル信号がアクティブの場合に前記バイアス信号を発生し、前記イネーブル信号がノンアクティブの場合には前記バイアス信号を発生しないようにしてもよい。
【0021】
これにより、イネーブル信号に基づいて第1、第2の比較器の電流源を制御することができ、消費電流の低減が可能となる。
【0022】
また、本発明では、前記第1及び第2の比較器は、第1及び第2の差動増幅器を含み、
前記第1の差動増幅器は、第1の電源と第2の電源の間に並列に設けられた第1及び第2の入力トランジスタを含み、前記第1の入力トランジスタのゲートには前記比較電圧が入力され、前記第2の入力トランジスタのゲートには前記第1及び第2の差動信号のいずれか一方が入力され、前記第2の差動増幅器は、第1の電源と前記第1の電源より電源電圧の高い第2の電源の間に並列に設けられた第3及び第4の入力トランジスタを含み、前記第3の入力トランジスタのゲートは、前記第1の入力トランジスタと前記第2の電源との間の第1の出力ノードと接続され、前記第4の入力トランジスタのゲートは、前記第2の入力トランジスタと前記第2の電源との間の第2の出力ノードと接続されてもよい。
【0023】
これにより、比較電圧と、第1、第2の差動信号のいずれかの電圧レベルとの差が小さい場合にも、比較電圧と差動信号の電圧レベルを比較することができる。
【0024】
また、本発明では、前記第1、第2、第3及び第4の入力トランジスタはP型トランジスタで構成されてもよい。
【0025】
また、本発明では、前記第1及び第2の比較器の検出結果は、前記第4の入力トランジスタと前記第2の電源との間の第3の出力ノードの電圧レベルに基づいて出力されてもよい。
【0026】
これにより、比較電圧と第1又は第2の差動信号の電圧レベルとの比較結果を第1又は第2の比較器の検出結果として出力することができる。
【0027】
また、本発明では、前記第1及び第2の入力トランジスタはP型トランジスタで構成され、第3及び第4の入力トランジスタはN型トランジスタで構成されてもよい。
【0028】
これにより、第2の差動増幅器の第3及び第4の入力トランジスタは、第1、第2の出力ノードの電圧レベルが高い周波数で振幅する場合にも対応することができる。従って、切断検出回路は高速に切断検出を行うことができる。
【0029】
また、本発明では、前記第1及び第2の比較器は、前記第2の差動増幅器の電流源を調整するための第2の差動増幅器用バイアス信号を発生する第2の差動増幅器用バイアス信号発生回路を含み、前記第2の差動増幅器用バイアス信号発生回路は、前記イネーブル信号がアクティブの場合に前記第2の差動増幅器用バイアス信号を発生し、前記イネーブル信号がノンアクティブの場合には前記第2の差動増幅器用バイアス信号を発生しないようにしてもよい。
【0030】
これにより、第2の差動増幅器の電流源を効率よく制御することができ、切断検出回路の消費電力の低減が可能となる。
【0031】
また、本発明では、前記第1及び第2の比較器の検出結果は、前記第4の入力トランジスタと前記第1の電源との間の第3の出力ノードの電圧レベルに基づいて出力されることを特徴とするホストコントローラ。
【0032】
これにより、比較電圧と第1又は第2の差動信号の電圧レベルとの比較結果を第1又は第2の比較器の検出結果として出力することができる。
【0033】
また、本発明では、前記所与の規格は、USB2.0規格であってもよい。
【0034】
これにより、切断検出回路をUSB2.0規格に準拠した製品に適用することができる。
【0035】
また、本発明では、前記フレームパケットは、前記USB2.0規格で規定されるSOF(Start Of Frame)パケットであってもよい。
【0036】
これにより、切断検出回路はUSB2.0規格において切断検出を正確に行うことができる。
【0037】
また、本発明では、前記所与の範囲は、前記USB2.0規格で規定されるEOP(End Of Point)に対応するようにしてもよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0038】
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照して説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではない。また以下で説明される構成のすべてが本発明の必須構成要件であるとは限らない。なお、以下の図において同符号のものは同様の意味を表す。
【0039】
1.USB2.0
USB2.0(広義には所与の規格)によれば、USB1.1又はUSB2.0対応の複数の周辺機器(デバイス)は、例えばハブ装置を介在させて、ホストに接続することができる。
【0040】
このようなホストには、USB2.0に対応したホストコントローラが搭載される。ホストコントローラは、接続されているデバイスがUSB1.1対応かUBS2.0対応かを判断して、バスを介したデータ転送を制御する。
【0041】
またハブ装置には、例えばUSB2.0に対応したハブコントローラが搭載される。ハブコントローラは、接続される周辺機器がUSB1.1対応かUSB2.0対応かを判断して、バス転送方式を制御する。
【0042】
また、周辺機器(デバイス)にも、USB1.1又はUSB2.0に対応したデバイスコントローラが搭載される。例えば、デバイスコントローラがUSB2.0に対応する場合、このデバイスコントローラは、USB1.1及びUSB2.0のインタフェース規格に対応した物理層回路と、搭載される周辺機器に応じたデータ転送制御を行う論理層回路とを含む。
【0043】
本実施形態におけるホストコントローラは、バスを介して例えばUSB2.0で規定されたデータ転送を行うことができる。
【0044】
2.ホストコントローラ
図1に、本実施形態におけるホストコントローラ400の構成の一例を示す。
【0045】
このホストコントローラ400は、論理層回路と物理層回路を含むが、これに限定されない。
【0046】
論理層回路は、データハンドラ回路10、HS(High Speed)回路20、FS(Full Speed)回路30を含む。物理層回路は、アナログフロントエンド回路40を含む。なお、このホストコントローラ400は、回路ブロックの全てを含む必要はなく、それらの一部を省略する構成としても良い。
【0047】
データハンドラ回路10は、USB2.0に準拠したデータ転送のための種々の送信処理及び受信処理を行う。より具体的には、データハンドラ回路は、送信時には、送信データにSYNC(SYNChronization)、SOP(Start Of Packet)、EOP(End Of Packet)を付加する処理や、ビットスタッフィング処理等を行う。一方、データハンドラ回路10は、受信時には、受信データのSYNC、SOP、EOPを検出し、削除する処理や、ビットアンスタッフィング処理などを行う。更に、データハンドラ回路10は、データの送受信を制御するための各種のタイミング信号を生成する処理も行う。このようなデータハンドラ回路10は、SIE(Serial Interface Engine)に接続される。
【0048】
SIEは、USBパケットIDやアドレスを識別するためのSIE制御ロジックと、エンドポイント番号の識別やFIFO制御などのエンドポイント処理を行うためのエンドポイントロジックとを含む。
【0049】
HS回路20は、データ転送速度が480MbpsとなるHS(High Speed)でのデータの送受信を行うためのロジック回路である。
【0050】
FS回路30は、データ転送速度が12MbpsとなるFS(Full Speed)でのデータの送受信を行うためのロジック回路である。
【0051】
アナログフロントエンド回路40は、FSやHSでの送受信を行うためのドライバやレシーバを含むアナログ回路である。USBでは、DP(Data+、広義には第1の差動信号)とDM(Data−、広義には第2の差動信号)を用いた差動対の信号によりデータが送受信される。
【0052】
本実施形態におけるホストコントローラ400は、その他にHS回路20で用いる480MHzのクロックや、装置内部及びSIEで用いる60MHzのクロックを生成するクロック回路(図示せず)、アナログフロントエンド回路40の各種制御信号を生成する制御回路(図示せず)をさらに含む。
【0053】
HS回路20は、DLL(Delay Line PLL)回路22、エラスティシティバッファ(elasticity buffer)24を含む。
【0054】
DLL回路22は、図示しないクロック回路によって生成されたクロックと、受信信号とに基づいて、データのサンプリングクロックを生成する。
【0055】
エラスティシティバッファ24は、装置内部と、外部装置(バスに接続される外部装置)とのクロック周波数差(クロックドリフト)等を吸収するための回路である。
【0056】
USB2.0では、HSモードとFSモードが、転送モードとして定義されている。HSモードは、USB2.0により新たに定義された転送モードである。FSモードは、従来のUSB1.1で既に定義されている転送モードである。
【0057】
HSモードでは、HS回路20を介して、データハンドラ回路10とアナログフロントエンド回路40との間で、データの送受信が行われる。
【0058】
FSモードでは、FS回路30を介して、データハンドラ回路10とアナログフロントエンド回路40との間で、データの送受信が行われる。
【0059】
このため、アナログフロントエンド回路40では、差動対の送受信信号であるDP、DMをHSモードで送受信を行うためのHSモード用ドライバ及びレシーバ、FSモードで送受信を行うためのFSモード用ドライバ及びレシーバが別個に設けられている。
【0060】
より具体的には、アナログフロントエンド回路40は、FSドライバ42、FS差動データレシーバ44、SE(Single Ended)_DPレシーバ46、SE_DMレシーバ48、HSカレントドライバ50、切断検出回路52、HS_SQ回路54、HS差動データレシーバ56を含む。
【0061】
FSドライバ42は、FSモードにおいて、FS回路30からのFS_DPout及びFS_DMoutからなる差動対の送信信号を、DP及びDMからなる差動対の送信信号として出力する。このFSドライバ42は、FS回路30からのFS_OutDisにより出力制御される。
【0062】
FS差動レシーバ44は、FSモードにおいて、DP及びDMの差動対の受信信号を増幅し、FS_DataInとしてFS回路30に対して出力する。このFS差動レシーバ44は、FS_CompEnbにより増幅制御される。
【0063】
SE_DPレシーバ46は、FSモードにおいて、シングルエンドの受信信号であるDPを増幅し、SE_DPinとしてFS回路30に対して出力する。
【0064】
SE_DMレシーバ48は、FSモードにおいて、シングルエンドの受信信号であるDMを増幅し、SE_DMinとしてFS回路30に対して出力する。
【0065】
HSカレントドライバ50は、HSモードにおいて、HS回路20からのHS_DPout及びHS_DMoutからなる差動対の送信信号を増幅し、DP及びDMからなる差動対の送信信号として出力する。このHSカレントドライバ50は、HS回路20からのHS_OutDisにより出力制御されると共に、HS_CurrentSourceEnbにより駆動電流の制御が行われる。
【0066】
切断検出回路52は、HSモードにおいて、ホスト−デバイス間の接続状態を監視し、ホスト−デバイス間が切断されている場合に、切断検出結果としてHS_Discoを出力する。切断検出回路52については、詳細を後述する。
【0067】
HS_SQ回路54は、HSモードにおいて、DP及びDMの差動対の受信信号の有無を検出し、信号検出結果としてHS_SQをHS回路20に対して出力する。このHS_SQ回路54は、HS回路20からのHS_SQ_Enbにより動作制御され、HS_SQ_Pwrにより省電力制御されるようにしてもよい。
【0068】
HS差動データレシーバ56は、HSモードにおいて、DP及びDMの差動対の受信信号を増幅し、HS_DataIn、HS_DataIn_Lを出力する。このHS差動レシーバ56は、HS_RxEnbにより増幅制御される。
【0069】
差動対の送受信信号DP、DMのうちDPは、SW1及びプルアップ抵抗Rpuを介して、電源電圧3.3Vに(電気的に)接続される。また、差動対の送受信信号のうちDMは、SW2に接続される。SW1及びSW2は、RpuEnbにより制御される。負荷バランスを考慮すると、DMについても、SW2を介してプルアップ抵抗Rpuと同等の抵抗を介してプルアップしてもよい。RpuEnbは、FSモードのとき、少なくともSW1によりDPをプルアップ抵抗Rpuに接続させる。
【0070】
このようにデータ転送制御装置は、HSモードとFSモードの転送速度に対応したドライバ及びレシーバを含んで構成されている。
【0071】
3.切断検出
3.1.SOF
USB2.0規格では、所与の間隔でSOF(Start Of Frame)パケットがホストコントローラからデバイスに送信される。この所与の間隔はUSB2.0規格で規定されている。
【0072】
ホストから送信されるSOFパケットは、SYNC、PID(Packet Identifier)、フレームナンバー、CRC5、EOP(End Of Point)で構成され、トータル96ビット長である。SYNCは、32ビット長で規定されている。PIDは送信されるパケットを示し、SOFの場合、PIDはA5hに規定されている。フレームナンバーはSOFパケットのフレームナンバーを示し、USB2.0規格のHSモードでは8マイクロフレーム毎にフレームナンバーが1つインクリメントされる。CRC5はCyclic Redundancy Checkというビットエラーを検出するために付加される5ビットのデータである。これは、フレームナンバーのデータを保護するために使われる。これにより、パリティチェックより高い効率でビットエラーの検出が行える。
【0073】
EOPは、HSモードでは40ビットに設定される。EOPのデータは、40ビット連続してK又はJ状態のデータに設定される。USB2.0規格において、K状態はDMがハイレベルであり、DPがローレベルである状態を示す。反対にJ状態はDPがハイレベルであり、DMがローレベルである状態を示す。EOPのデータは、フレームナンバー及びCRC5のデータによって、K又はJ状態のいずれかに設定される。これは、USB2.0規格において、EOP以外のデータでは、8ビット以上連続して同じ状態(K又はJ状態)に設定されることが禁止されているためである。
【0074】
図2はUSB2.0規格で規定されているSOFパケットを説明するための図である。図2は、実測された信号波形ではなく、説明の簡略化のため、DMの波形振幅が模式的に図示され、データ(PID、フレームナンバー、CRC5)が省略されている。なお、図2は、ホスト−デバイス間が切断状態にある場合のDMの波形振幅を示す。
【0075】
USB2.0規格では、ホスト−デバイス間が接続状態にある場合、理想的にはホストコントローラ400のDP、DMで400mVの振幅がみられる。図3(A)に示すようにEOPでは400mVの振幅が確認できる。また、ホスト−デバイス間において切断状態にある場合には、理想的にはホストコントローラ400のDP、DMで800mVの振幅がみられる。図3(B)に示すようにEOPでは800mVの振幅が確認できる。これは、切断状態の場合にデバイス側の終端抵抗がホストから切断されるためである。
【0076】
即ち、図2に示すように例えば比較電圧を700mVに設定し、SOFパケットの波形振幅レベルと比較電圧を比較することで、切断状態を検出することができる。
【0077】
なお、USB2.0規格では、このSOFパケットのEOPでの振幅レベルが525mV〜625mVを超える場合にホスト−デバイス間の切断検出を行うことが規定されているが、具体的な検出方法は規定されていない。
【0078】
3.2.比較例の切断検出回路
比較例の切断検出回路500を図4に示す。図4の切断検出回路500は、DM又はDPのいずれか(例えばDM)の振幅レベルと比較電圧とを比較し、その検出結果を出力する。こうすることで、図3(A)又は図3(B)に示す波形がSOFパケットとして送信された場合、ホスト−デバイス間の接続状態又は切断状態のいずれかの状態を検出することができる。
【0079】
しかしながら、SOFパケットのEOPの振幅は、DP及びDMが差動信号であるため、DPがハイレベルの場合にはDMがローレベルとなる。逆に、DMがハイレベルの場合にはDPがローレベルとなる。即ち、DM側の振幅しか見ない比較例の切断検出回路500では、SOFパケットのEOPにおいてDMの振幅レベルがローレベルである場合には、ホスト−デバイス間の切断状態を正しく検出することができない。この場合、EOPでのDMの振幅レベルがハイレベルであるSOFパケットが送信されるまで、正しい切断検出ができないことになる。
【0080】
また、比較例の切断検出回路500の場合、ホスト側のDMにのみ切断検出回路500が接続され、ホスト側のDPには切断検出回路500が接続されない。USB2.0規格のHSモードは高速なデータ転送を行うモードであるため、差動信号が出力されるDP、DMに要求される精度はシビアである。例えば、差動信号から正しくデータを読み取るためにはDP、DMに付加される容量や抵抗はDP、DMともに等しくすることが重要である。
【0081】
この点において、比較例では上述のとおり、ホストのDM側に切断検出回路500が接続され、例えば切断検出回路500の入力トランジスタのゲート容量がDMに対する付加容量となる。一方、比較例ではホストのDP側には切断検出回路500が接続されないため、結果としてホスト側では、DPとDMの容量(例えば配線容量等)が大きく異なってしまう。DPとDMの容量が異なると、差動信号のアイパターンが乱れ、信号品質が低下する。また、ホスト側のDP、DMの容量が異なると、ホストからデバイスに送信される差動信号の品質が劣化するだけでなく、デバイス側から送信される差動信号をホスト側が受信する際にも、その受信信号の品質を低下させる。このように、比較例の切断検出回路500は、ホスト−デバイス間で転送される差動信号の信号品質を低下させる原因となる。
【0082】
また、図3(A)、図3(B)の波形は、理想状態に近く、ホスト側及びデバイス側の終端抵抗や、ホスト−デバイス間を接続する接続部分(例えば接続ケーブル)がUSB2.0規格に準拠されている場合におけるSOFパケットの波形である。
【0083】
市場にはUSB2.0規格を満たさない製品が出回っている場合がある。例えば、デバイスのDP側の終端抵抗及びDM側の終端抵抗の少なくとも一方がUSB2.0規格を満たしていない場合、SOFパケットの波形の乱れを生じる。例えばデバイスのDP側の終端抵抗は規格をみたし、デバイスのDM側の終端抵抗は規格を満たさない場合、デバイスのDM側で信号の反射を生じ、DM側のSOFパケットに波形の乱れを生じる。これにより、DM側のSOFパケットのEOPの振幅が理想状態からかけ離れた状態となり、DMしかみない比較例の切断検出回路500では、切断状態を正しく検出できないおそれがある。
【0084】
3.3.切断検出回路
本発明の切断検出回路52の一部を図5に示す。切断検出回路52は第1及び第2の比較器CMP1、CMP2を含む。第1の比較器CMP1はDPの信号レベルと比較電圧CVとを比較し、その比較結果として検出信号COMP_OUT_DPを出力する。また、第2の比較器CMP2はDMの信号レベルと比較電圧CVとを比較し、その比較結果として検出信号COMP_OUT_DMを出力する。
【0085】
検出信号COMP_OUT_DP、COMP_OUT_DMは、NOR回路に入力され、NOR回路からの出力信号はインバータを介して切断検出信号HS_Discoとして出力される。なお、切断検出回路52のNOR回路及びインバータは一例であり、例えばNOR回路及びインバータをOR回路に置き換えて切断検出回路52を構成してもよい。
【0086】
このように、本発明の切断検出回路52は、DP及びDMの双方の信号レベルに対して個別の比較器を用いて比較電圧CVと比較し、それぞれの比較器CMP1、CMP2のうち、少なくとも一方が切断状態を検出した場合、例えばアクティブに設定された切断検出信号HS_Discoを出力する。
【0087】
こうすることで、DP及びDMの信号波形を監視することが可能となり、EOPがK又はJ状態のどちらの場合であっても、ホスト−デバイス間の切断検出を正確に行うことができる。
【0088】
また、第1及び第2の比較器CMP1、CMP2は同様の回路で構成することができる。これにより、DP及びDMの配線容量等の寄生容量を等しくすることが可能となり、図4の比較例に比べて、信号品質の低下を緩和することができる。
【0089】
3.3.1.切断検出回路の具体例
図6に切断検出回路52の一部の具体的な構成例を示す。切断検出回路52−1は、第1及び第2の比較器CMP1、CMP2、制御回路100、バイアス回路110(広義にはバイアス信号発生回路)を含むが、これに限定されない。例えば、切断検出回路52−1は制御回路100を含まない構成でもよい。
【0090】
制御回路100は、上位層の回路(例えば図1のデータハンドラ回路10)からイネーブル信号ENを受け、イネーブル信号ENに基づいて制御信号XENHを第1、第2の比較器CMP1、CMP2及びバイアス回路110に供給する。制御回路100は、アクティブに設定されたイネーブル信号ENを受けると、制御信号XENHをアクティブに設定する。反対にノンアクティブに設定されたイネーブル信号ENを受けると、制御回路100は制御信号XENHをノンアクティブに設定する。
【0091】
バイアス回路110は、制御回路100からの制御信号XENHに基づいてバイアス信号BPを発生し、第1、第2の比較器CMP1、CMP2に出力する。具体的には、制御信号XENHがアクティブに設定されている場合、バイアス回路110はバイアス信号BPをハイレベルからローレベルに設定する。反対に、制御信号XENHがノンアクティブに設定されている場合には、バイアス回路110はバイアス信号BPをハイレベルのままに設定する。
【0092】
第1、第2の比較器CMP1、CMP2の電流源は、バイアス信号BPの信号レベルに基づいて調整される。具体的には、バイアス信号BPがローレベルに設定されている場合に各比較器CMP1、CMP2の電流源がオンに設定され、バイアス信号BPがハイレベルに設定されている場合に各比較器CMP1、CMP2の電流源がオフに設定される。
【0093】
また、第1、第2の比較器CMP1、CMP2は、制御回路100からの制御信号XENHがアクティブに設定されている場合に、DP(又はDM)と比較電圧CVとの比較結果を検出信号COMP_OUT_DP(又はCOMP_OUT_DM)として出力する。反対に、制御信号XENHがノンアクティブに設定されている場合には、第1、第2の比較器CMP1、CMP2は検出信号COMP_OUT_DP、COMP_OUT_DMの信号レベルをローレベルに設定する。
【0094】
即ち、各比較器CMP1、CMP2の検出信号COMP_OUT_DP、COMP_OUT_DMは、イネーブル信号ENに基づいて、DP(又はDM)と比較電圧CVとの比較結果又は、ローレベルの信号のいずれかに設定される。例えばイネーブル信号ENは、切断検出回路52−1の動作をオフ状態に設定する場合にノンアクティブに設定される。
【0095】
切断検出回路52−1は低消費電力で動作が可能であり、切断検出回路52−1がオフ状態に設定された場合であっても、各比較器CMP1、CMP2の出力レベルが不安定になるおそれがある。これに対して本実施形態では、イネーブル信号ENがノンアクティブに設定されている場合には、各比較器CMP1、CMP2の出力がローレベルの信号に設定されるため、切断検出回路52−1がオフ状態の場合に各比較器CMP1、CMP2が誤検出を行うことを防止することができる。
【0096】
なお、イネーブル信号ENは、ホストからデバイスにパケットが送信される場合であって、且つ、送信されるパケットがSOFパケットである場合にアクティブに設定される。こうすることにより、ホストからSOFパケットが送信されない場合や、ホストから何もパケットが送信されない場合において、切断検出回路52−1で消費される電力を極限まで抑えることができる。例えば、イネーブル信号ENがノンアクティブに設定されると、バイアス回路110から出力されるバイアス信号BPがハイレベルに設定される。このため、第1、第2の比較器CMP1、CMP2の電流源がオフに設定され、切断検出回路52−1の動作が不要な際の無駄な消費電流をカットすることができる。
【0097】
(比較器)
図7に第1の比較器CMP1の構成例を示す。なお、第2の比較器CMP2は第1の比較器CMP1と同様の回路構成である。比較器CMP1は、p型MOSトランジスタPTR1〜PTR3(広義には電流源)、n型MOSトランジスタFNT(広義には出力固定スイッチ)、NTR1を含む。また、比較器CMP1は第1の差動増幅器200、第2の差動増幅器210を含む。各トランジスタPTR1〜PTR3のゲートには図6のバイアス回路110から供給されるバイアス信号BPが入力される。バイアス信号BPの電圧レベルに基づいて各差動増幅器200、210に供給される電流やノードND5に供給される電流が調整される。
【0098】
n型MOSトランジスタFNTのゲートには図6の制御回路100から供給される制御信号XENHが入力される。制御回路100は上記のようにアクティブなイネーブル信号ENを受けると制御信号XENHをアクティブに設定する。このとき制御信号XENHは例えばローレベルに設定される。これにより、バイアス回路110から例えばローレベルに設定されたバイアス信号BPが各比較器CMP1、CMP2に供給される。また、ローレベルに設定された制御信号XENHを受け、図7のn型トランジスタFNTはオフ状態となり、比較電圧CVと差動信号DM(又はDP)の電圧レベルの比較結果が検出信号COMP_OUT_DM(COMP_OUT_DPとして出力される。
【0099】
第1の差動増幅器200は第1の入力トランジスタIPT1、第2の入力トランジスタIPT2を含む。第1及び第2の入力トランジスタIPT1、IPT2はp型MOSトランジスタで構成され、第1の入力トランジスタIPT1のゲートには比較電圧CVが入力される。第2の入浴トランジスタIPT2のゲートには差動信号DM(又はDP)が入力される。
【0100】
第2の差動増幅器210は第3の入力トランジスタIPT3、第4の入力トランジスタIPT4を含む。第3及び第4の入力トランジスタIPT3、IPT4はp型MOSトランジスタで構成され、第3の入力トランジスタIPT3のゲートは第1の差動増幅器200のノードND2(広義には第2の出力ノード)と接続される。また、第4の入力トランジスタIPT4のゲートは第1の差動増幅器200のノードND1(広義には第1の出力ノード)と接続される。
【0101】
また、n型トランジスタNTR1のゲートは第2の差動増幅器210のノードND4と接続される。
【0102】
以上のように図6の制御回路100に供給されるイネーブル信号ENがアクティブに設定されると、バイアス回路110のバイアス信号BPがアクティブにされる。これにより、各比較器CMP1、CMP2のp型トランジスタPTR1〜PTR3がオンとなり、各比較器CMP1、CMP2の差動増幅器200,210が動作状態となり、比較電圧CVと差動信号DM(又はDP)との信号レベルの差に応じて第2の差動増幅器210のノードND4(広義には第3の出力ノード)の電位が変化する。このノードND4の電位に応じてn型トランジスタNTR1が制御され、比較電圧CVと差動信号DM(又はDP)との比較結果が検出信号COMP_OUT_DM(COMP_OUT_DPとして出力される。
【0103】
次に、図8(A)〜図8(D)、図9(A)〜図9(D)の波形図を用いて、比較器CMP1、CMP2の動作を説明する。なお、図8(A)〜図8(D)は、ホスト−デバイス間が接続状態にある場合の波形図であり、図9(A)〜図9(D)は、ホスト−デバイス間が切断状態にある場合の波形図である。また、図8(A)〜図8(D)、図9(A)〜図9(D)では、比較電圧CVが図8(A)に示すように例えば600mVに設定されている。
【0104】
図8(A)のA1は例えば差動信号DPのEOPを示し、A2は例えば差動信号DMのEOPを示す。また、図8(A)のA3は例えば差動信号DMのEOPを示し、A4は例えば差動信号DPのEOPを示す。
【0105】
まず、ホスト−デバイス間が切断されていない場合の切断検出回路52−1の動作を説明する。ホスト−デバイス間が接続状態の場合には、図8(A)のA1やA3に示すように、SOFパケットが送信されたときの差動信号DP及びDMのEOPの電圧レベルは比較電圧CVの電圧レベルよりも低い。この場合、切断検出回路52はホスト−デバイス間が接続状態にあることを示す信号を出力しなくてはならない。
【0106】
このとき、図7の比較器CMP1、CMP2のノードND1の電圧レベルは、図8(B)のA6、A8に示すようにローレベルであり、ノードND2の電圧レベルはA5、A7に示すようにハイレベルとなる。これは、入力トランジスタIPT1のゲートに入力される電圧レベルが入力トランジスタIPT2のゲートに入力される電圧レベルよりも高いためである。なお、図8(B)は図7のノードND1、ND2の電圧レベルを示す波形図であり、A5〜A8は差動信号DP、DMのEOPに対応する期間でのノードND1、ND2の電圧レベルである。
【0107】
これにより、図7の差動増幅器210の入力トランジスタIPT3のゲートにはハイレベルの電圧が入力され、入力トランジスタIPT4のゲートにはローレベルの電圧が入力される。従って、このときのノードND4の電圧レベルは図8(C)のA9、A11に示すようにハイレベルとなる。なお、ノードND3の電圧レベルは図8(C)のA10、A12に示すようにローレベルとなる。
【0108】
ノードND4の電圧レベルがハイレベルに設定されるため、n型トランジスタNTR1がオン状態となり、ノードND5の電圧レベルがグランドレベル側に変化する。従って、図8(D)のA13に示すように各比較器CMP1、CMP2の検出信号COMP_OUT_DM、COMP_OUT_DPの電圧レベルがローレベルに設定される。即ち、図6の切断検出回路52−1は、ホスト−デバイス間が接続状態の場合に、誤った切断検出をすることなく、切断されていないことを示す検出信号を出力することができる。
【0109】
なお、A14は図6のイネーブル信号ENの電圧レベルを示す。切断検出の際にイネーブル信号ENはハイレベル(アクティブ)に設定され、それに伴い、バイアス信号BPは図8(D)のA15に示すようにハイレベルからローレベルに設定される。これにより、図7の各トランジスタPTR1〜PTR3のソース・ドレイン間に電流が流れる。
【0110】
次に、ホスト−デバイス間が切断されている状態の場合の切断検出回路52−1の動作を説明する。ホスト−デバイス間が切断されている状態の場合には、図9(A)のB1やB3に示すように、SOFパケットが送信されたときの差動信号DPやDMのEOPの電圧レベルは比較電圧CVの電圧レベルよりも高い。この場合、切断検出回路52はホスト−デバイス間が切断状態にあることを示す信号を出力しなくてはならない。
【0111】
例えばSOFパケットのEOPにおいて、差動信号DP、DMが図9(A)のB1、B2に示すような場合、図7の比較器CMP1の入力トランジスタIPT1のゲートには比較電圧CVが入力され、比較器CMP1の入力トランジスタIPT2のゲートには、図9(A)に示すように比較電圧CVよりも電圧レベルの高い差動信号DPが入力される。
【0112】
これにより、図7の比較器CMP1のノードND1の電圧レベルは図9(B)のB5に示すようにハイレベルとなり、比較器CMP1のノードND2の電圧レベルはB6に示すようにローレベルとなる。従って、比較器CMP1の差動増幅器210の入力トランジスタIPT3のゲートにはローレベルの電圧が入力され、入力トランジスタIPT4のゲートにはハイレベルの電圧が入力されることになる。即ち、差動増幅器210のノードND3の電圧レベルは図9(C)のB7に示すように、B8のノードND4の電圧レベルより高くなり、ノードND4の電圧レベルは図9(C)のB8に示すようにローレベルとなる。
【0113】
これにより、図7の比較器CMP1のn型トランジスタNTR1のゲートにはローレベルの電圧が入力されるため、図7のノードND5の電圧レベルはp型トランジスタPTR3によって調整されたレベルとなり、比較器CMP1の検出信号COMP_OUT_DPはハイレベルとなる。
【0114】
一方、差動信号DMが入力される比較器CMP2側では、図7の比較器CMP2の入力トランジスタIPT1のゲートには比較電圧CVが入力され、比較器CMP2の入力トランジスタIPT2のゲートには、図9(A)のB2に示すように比較電圧CVよりも電圧レベルの低い差動信号DMが入力される。
【0115】
これにより、図7の比較器CMP2のノードND1の電圧レベルは図9(B)のB9に示すようにローレベルとなり、比較器CMP2のノードND2の電圧レベルはB10に示すようにハイレベルとなる。従って、比較器CMP2の差動増幅器210の入力トランジスタIPT3のゲートにはハイレベルの電圧が入力され、入力トランジスタIPT4のゲートにはローレベルの電圧が入力されることになる。即ち、差動増幅器210のノードND3の電圧レベルは図9(C)のB11に示すように、B12のノードND4の電圧レベルより低くなり、ノードND4の電圧レベルは図9(C)のB12に示すようにハイレベルとなる。
【0116】
これにより、図7の比較器CMP2のn型トランジスタNTR1のゲートにはハイレベルの電圧が入力されるため、図7のノードND5の電圧レベルは、前述のホスト−デバイス間が接続状態にあるときと同様にグランドレベル側に変化する。
【0117】
以上のようにして、比較器CMP1の検出信号COMP_OUT_DPはハイレベルに設定され、比較器CMP2の検出信号COMP_OUT_DMはローレベルに設定される。即ち、切断検出回路52−1は図9(D)のB13に示すようにハイレベルの信号を出力し、ホスト−デバイス間の切断状態を検出する。これは、図9(A)のB1のように差動信号DPの電圧レベルが比較電圧CVの電圧レベルを上回った場合における切断検出であり、図9(D)のB13に示すように切断検出回路52−1は、図9(A)のB1の差動信号DPと比較電圧CVとを比較して直ちに切断検出することが可能である。
【0118】
なお、図9(D)のB14は図8(D)と同様に図6のイネーブル信号ENの電圧レベルを示し、B15はバイアス信号BPを示す。
【0119】
また、図9(A)のB3、B4に示すように、SOFパケットのEOPにおいて、差動信号DMの電圧レベルが比較電圧CVの電圧レベルより高く、差動信号DPの電圧レベルが比較電圧CVの電圧レベルより低い場合には、図7の比較器CMP1の入力トランジスタIPT1のゲートには比較電圧CVが入力され、比較器CMP1の入力トランジスタIPT2のゲートには、図9(A)に示すように比較電圧CVよりも電圧レベルの高い差動信号DMが入力される。
【0120】
この場合の切断検出回路52−1の動作は、前述の差動信号DPの電圧レベルが比較電圧CVの電圧レベルより高い場合とほとんど同様であり、各ノードND1〜ND4の電圧レベルを示す波形が比較器CMP1とCMP2とで入れ替わるだけである。
【0121】
例えば、図9(B)のB16は比較器CMP2のノードND1の電圧レベルを示し、B17は比較器CMP2のノードND2の電圧レベルを示す。また、B18は比較器CMP1のノードND1の電圧レベルを示し、B19は比較器CMP1のノードND2の電圧レベルを示す。
【0122】
同様に図9(C)のB20は比較器CMP2のノードND3の電圧レベルを示し、B21は比較器CMP2のノードND4の電圧レベルを示す。また、B22は比較器CMP1のノードND3の電圧レベルを示し、B23は比較器CMP1のノードND4の電圧レベルを示す。
【0123】
結果として、図7の比較器CMP1のn型トランジスタNTR1のゲートにはハイレベルの電圧が入力されるため、比較器CMP1の検出信号COMP_OUT_DPはローレベルとなる。また、比較器CMP2のn型トランジスタNTR1のゲートにはローレベルの電圧が入力されるため、比較器CMP2の検出信号COMP_OUT_DMはハイレベルとなる。即ち、切断検出回路52−1は、図9(D)のB24に示すようにハイレベルの信号を出力して切断検出する。
【0124】
このように、切断検出回路52−1は、差動信号DMの電圧レベルが比較電圧CVの電圧レベルを上回った場合でも直ちに切断検出が可能である。
【0125】
以上のように、切断検出回路52−1は、差動信号DP、DMのいずれか一方の電圧レベルが比較電圧CVを上回った場合に直ちにホスト−デバイス間の切断検出を行うことができる。
【0126】
3.3.2.切断検出回路の変形例
図10に切断検出回路52の一部の具体的な構成例の変形例を示す。図10の切断検出回路52−2は、第1及び第2の比較器CMP1、CMP2、制御回路100、バイアス回路112(広義にはバイアス信号発生回路、第2の差動増幅器用バイアス信号発生回路)を含むが、これに限定されない。例えば、切断検出回路52−2は制御回路100を含まない構成でもよい。
【0127】
制御回路100は、切断検出回路52−1と同様の構成でよく、イネーブル信号ENに基づいて制御信号XENHを第1、第2の比較器CMP1、CMP2及びバイアス回路112に供給する。
【0128】
バイアス回路112は、制御回路100からの制御信号XENHに基づいてバイアス信号BP及びBN(広義には第2の差動増幅器用バイアス信号)を発生し、第1、第2の比較器CMP1、CMP2に出力する。具体的には、制御信号XENHがアクティブに設定されている場合、バイアス回路110はバイアス信号BPをハイレベルからローレベルに設定し、バイアス信号BNをローレベルからハイレベルに設定する。反対に、制御信号XENHがノンアクティブに設定されている場合には、バイアス回路110はバイアス信号BPをハイレベルのままに設定し、バイアス信号BNをローレベルのままにする。
【0129】
第1、第2の比較器CMP1、CMP2の電流源は、バイアス信号BP、BNの信号レベルに基づいて調整される。具体的には、図11にも示されているが、バイアス信号BPがローレベルに設定されている場合に各比較器CMP1、CMP2の第1の差動増幅器200の電流源がオンに設定され、バイアス信号BPがハイレベルに設定されている場合に各比較器CMP1、CMP2の第1の差動増幅器200の電流源がオフに設定される。同様に、バイアス信号BNがハイレベルに設定されている場合に各比較器CMP1、CMP2の第2の差動増幅器210の電流源がオンに設定され、バイアス信号BNがローレベルに設定されている場合に各比較器CMP1、CMP2の第2の差動増幅器210の電流源がオフに設定される。
【0130】
切断検出回路52−2と切断検出回路52−1の相違点は、バイアス回路112と、各比較器CMP1、CMP2の構成である。その他に関しては切断検出回路52−2は本実施形態は切断検出回路52−1と同様である。
【0131】
(比較器)
図11に変形例にかかる切断検出回路52−2の第1の比較器CMP1の構成例を示す。なお、第2の比較器CMP2は第1の比較器CMP1と同様の回路構成である。図11の比較器CMP1は、第1の差動増幅器200と、第2の差動増幅器220を含む。なお、切断検出回路52−1の比較器CMP1と変形例の比較器CMP1の相違点は第2の差動増幅器210、220である。その他の構成は切断検出回路52−1、52−2とも同様である。
【0132】
第2の差動増幅器220は第3の入力トランジスタINT1、第4の入力トランジスタINT2を含む。第3及び第4の入力トランジスタINT1、INT2はn型MOSトランジスタで構成され、第3の入力トランジスタINT1のゲートは第1の差動増幅器200のノードND2と接続される。また、第4の入力トランジスタINT2のゲートは第1の差動増幅器200のノードND1と接続される。
【0133】
また、第2の差動増幅器220は、n型トランジスタNTR2を含み、n型トランジスタNTR2のゲートには図10のバイアス回路112からのバイアス信号BNが入力される。バイアス信号BNの電圧レベルに基づいて差動増幅器220に供給される電流が調整される。
【0134】
また、n型トランジスタNTR1のゲートは第2の差動増幅器220のノードND14と接続される。
【0135】
制御回路100は上記のようにアクティブなイネーブル信号ENを受けると制御信号XENHをアクティブに設定する。このとき制御信号XENHは例えばローレベルに設定される。これにより、バイアス回路112から例えばハイレベルからローレベルに設定されたバイアス信号BP及び例えばローレベルからハイレベルに設定されたバイアス信号BNが各比較器CMP1、CMP2に供給される。これにより、各差動増幅器200、220の電流源であるトランジスタPTR1、NTR2がオン状態となる。
【0136】
以上のように図10の制御回路100に供給されるイネーブル信号ENがアクティブに設定されると、バイアス回路112のバイアス信号BP、BNがアクティブにされる。これにより、各比較器CMP1、CMP2の電流源がオンとなり、各比較器CMP1、CMP2の差動増幅器200,220が動作状態となり、比較電圧CVと差動信号DM(又はDP)との信号レベルの差に応じて第2の差動増幅器220のノードND14の電位が変化する。このノードND14の電位に応じてn型トランジスタNTR1が制御され、比較電圧CVと差動信号DM(又はDP)との比較結果が検出信号COMP_OUT_DM(COMP_OUT_DPとして出力される。
【0137】
次に、図12(A)〜図12(D)、図13(A)〜図13(D)の波形図を用いて、変形例における比較器CMP1、CMP2の動作を説明する。なお、図12(A)〜図12(D)は、ホスト−デバイス間が接続状態にある場合の波形図であり、図13(A)〜図13(D)は、ホスト−デバイス間が切断状態にある場合の波形図である。また、図12(A)〜図12(D)、図13(A)〜図13(D)では、比較電圧CVが図8(A)に示すように例えば600mVに設定されている。
【0138】
図12(A)のA1は例えば差動信号DPのEOPを示し、A2は例えば差動信号DMのEOPを示す。また、図12(A)のA3は例えば差動信号DMのEOPを示し、A4は例えば差動信号DPのEOPを示す。なお、図12(A)、図12(B)の波形は図8(A)、図8(B)と同様である。切断検出回路52−1、52−2では第1の差動増幅器200が同様の動作をするため、入力される差動信号DP、DMが同じなら、各ノードND1、ND2の波形も大体同じになる。
【0139】
まず、ホスト−デバイス間が切断されていない場合の切断検出回路52−2の動作を説明する。ホスト−デバイス間が接続状態の場合には、図12(A)のA1やA3に示すように、SOFパケットが送信されたときの差動信号DP及びDMのEOPの電圧レベルは比較電圧CVの電圧レベルよりも低い。この場合、切断検出回路52−2はホスト−デバイス間が接続状態にあることを示す信号を出力しなくてはならない。
【0140】
このとき、図11の比較器CMP1、CMP2のノードND1の電圧レベルは、図12(B)のA6、A8に示すようにローレベルであり、ノードND2の電圧レベルはA5、A7に示すようにハイレベルとなる。なお、図12(B)は図11のノードND1、ND2の電圧レベルを示す波形図である。
【0141】
これにより、図11の差動増幅器220の入力トランジスタINT1のゲートにはハイレベルの電圧が入力され、入力トランジスタINT2のゲートにはローレベルの電圧が入力される。従って、このときのノードND4の電圧レベルは図12(C)のC1、C3に示すようにハイレベルとなる。なお、ノードND3の電圧レベルは図12(C)のC2、C4に示すようにローレベルとなる。
【0142】
ノードND4の電圧レベルがハイレベルに設定されるため、n型トランジスタNTR1がオン状態となり、ノードND5の電圧レベルがグランドレベル側に変化する。従って、図12(D)のC5に示すように各比較器CMP1、CMP2の検出信号COMP_OUT_DM、COMP_OUT_DPの電圧レベルがローレベルに設定される。即ち、図10の切断検出回路52−2は、ホスト−デバイス間が接続状態の場合に、誤った切断検出をすることなく、切断されていないことを示す検出信号を出力することができる。
【0143】
なお、図12(D)のC7は図10のイネーブル信号ENの電圧レベルを示す。切断検出の際にイネーブル信号ENはハイレベル(アクティブ)に設定され、それに伴い、バイアス信号BPは図12(D)のC8に示すようにハイレベルからローレベルに設定される。また、バイアス信号BNがC6に示すようにローレベルからハイレベルに設定される。これにより、図11の各トランジスタPTR1、PTR3、NTR2のソース・ドレイン間に電流が流れる。
【0144】
次に、ホスト−デバイス間が切断されている状態の場合の切断検出回路52−2の動作を説明する。ホスト−デバイス間が切断されている状態の場合には、図13(A)のD1やD3に示すように、SOFパケットが送信されたときの差動信号DPやDMのEOPの電圧レベルは比較電圧CVの電圧レベルよりも高い。この場合、切断検出回路52−2はホスト−デバイス間が切断状態にあることを示す信号を出力しなくてはならない。
【0145】
例えばSOFパケットのEOPにおいて、差動信号DP、DMが図13(A)のD1、D2に示すような場合、図11の比較器CMP1の入力トランジスタIPT1のゲートには比較電圧CVが入力され、比較器CMP1の入力トランジスタIPT2のゲートには、図13(A)に示すように比較電圧CVよりも電圧レベルの高い差動信号DPが入力される。
【0146】
これにより、図11の比較器CMP1のノードND1の電圧レベルは図13(B)のD5に示すようにハイレベルとなり、比較器CMP1のノードND2の電圧レベルはD6に示すようにローレベルとなる。従って、比較器CMP1の差動増幅器220の入力トランジスタINT1のゲートにはローレベルの電圧が入力され、入力トランジスタINT2のゲートにはハイレベルの電圧が入力されることになる。即ち、差動増幅器220のノードND3の電圧レベルは図13(C)のD7に示すように、D8のノードND4の電圧レベルより高くなり、ノードND4の電圧レベルは図13(C)のD8に示すようにローレベルとなる。
【0147】
これにより、図11の比較器CMP1のn型トランジスタNTR1のゲートにはローレベルの電圧が入力されるため、図11のノードND5の電圧レベルはp型トランジスタPTR3によって調整されたレベルとなり、比較器CMP1の検出信号COMP_OUT_DPはハイレベルとなる。
【0148】
一方、差動信号DMが入力される比較器CMP2側では、図11の比較器CMP2の入力トランジスタIPT1のゲートには比較電圧CVが入力され、比較器CMP2の入力トランジスタIPT2のゲートには、図13(A)のD2に示すように比較電圧CVよりも電圧レベルの低い差動信号DMが入力される。
【0149】
これにより、図11の比較器CMP2のノードND1の電圧レベルは図13(B)のD9に示すようにローレベルとなり、比較器CMP2のノードND2の電圧レベルはD10に示すようにハイレベルとなる。従って、比較器CMP2の差動増幅器220の入力トランジスタINT1のゲートにはハイレベルの電圧が入力され、入力トランジスタINT2のゲートにはローレベルの電圧が入力されることになる。即ち、差動増幅器220のノードND3の電圧レベルは図13(C)のD11に示すように、D12のノードND4の電圧レベルより低くなり、ノードND4の電圧レベルは図13(C)のD12に示すようにハイレベルとなる。
【0150】
これにより、図11の比較器CMP2のn型トランジスタNTR1のゲートにはハイレベルの電圧が入力されるため、図11のノードND5の電圧レベルは、前述のホスト−デバイス間が接続状態にあるときと同様にグランドレベル側に変化する。
【0151】
以上のようにして、比較器CMP1の検出信号COMP_OUT_DPはハイレベルに設定され、比較器CMP2の検出信号COMP_OUT_DMはローレベルに設定される。即ち、切断検出回路52−2は図13(D)のD13に示すようにハイレベルの信号を出力し、ホスト−デバイス間の切断状態を検出する。これは、図13(A)のD1のように差動信号DPの電圧レベルが比較電圧CVの電圧レベルを上回った場合における切断検出であり、図13(D)のD13に示すように切断検出回路52−2は、図13(A)のD1の差動信号DPと比較電圧CVとを比較して直ちに切断検出することが可能である。
【0152】
なお、図13(D)のC7は図12(D)と同様に図10のイネーブル信号ENの電圧レベルを示し、C6はバイアス信号BN、C8はバイアス信号BPを示す。
【0153】
また、図13(A)のB3、B4に示すように、SOFパケットのEOPにおいて、差動信号DMの電圧レベルが比較電圧CVの電圧レベルより高く、差動信号DPの電圧レベルが比較電圧CVの電圧レベルより低い場合には、図11の比較器CMP1の入力トランジスタIPT1のゲートには比較電圧CVが入力され、比較器CMP1の入力トランジスタIPT2のゲートには、図11(A)に示すように比較電圧CVよりも電圧レベルの高い差動信号DMが入力される。
【0154】
この場合の切断検出回路52−2の動作は、前述の差動信号DPの電圧レベルが比較電圧CVの電圧レベルより高い場合とほとんど同様であり、各ノードND1〜ND4の電圧レベルを示す波形が比較器CMP1とCMP2とで入れ替わるだけである。従って、切断検出回路52−2は、図13(D)のD14に示すようにハイレベルの信号を出力し、ホスト−デバイス間の切断状態を検出する。この場合も、図13(D)のD14に示すように切断検出回路52−2は、図13(A)のD1の差動信号DPと比較電圧CVとを比較して直ちに切断検出することが可能である。
【0155】
ここで切断検出回路52−1と、切断検出回路52−2を比較すると、切断検出を行った場合における検出信号のハイレベルである期間が異なる。切断検出回路52−1の場合は、例えば図9(D)のB25に示すように差動信号DP、DMのEOPに相当する期間に切断検出を示す信号がハイレベルに設定される
これに対して、変形例の切断検出回路52−2では、図13(D)のD15に示すように、差動信号DP、DMのEOPに相当する期間と、D16に示すようにEOP以外の期間に切断検出を示す信号がハイレベルに設定される。即ち、切断検出回路52−2の比較器CMP1、CMP2は、EOPよりも前の期間での差動信号DP、DMの電圧レベルを比較電圧CVと比較することができる。EOPよりも前の期間では、図9(A)や図13(A)に示すように差動信号DP、DMは高い周波数で振幅している。そのため、切断検出回路52−1の比較器CMP1、CMP2では高い周波数で振幅する差動信号DP、DMに追従することができないため、切断の検出はEOPの期間で行われる。
【0156】
これに対して、変形例の切断検出回路52−2に用いられている比較器CMP1、CMP2は図11に示すように第2の差動増幅器220の第3、第4の入力トランジスタINT1、INT2がn型トランジスタで構成されている。n型トランジスタはp型トランジスタよりも高速にスイッチングが可能なため、図11の比較器CMP1、CMP2は図7の比較器CMP1、CMP2に比べて高速に動作することが可能であり、高い周波数で振幅する差動信号DP、DMに対しても比較電圧CVと、その電圧レベルを比較することができる。
【0157】
また図11の比較器CMP1、CMP2は、図7の比較器CMP1、CMP2の差動増幅器210を差動増幅器220に置き換えたものと見ることができる。差動増幅器210,220の消費電力は、ほぼ同じにすることができる。従って、変形例では、低消費電力を維持しながら高速動作を実現することができる。
【0158】
以上のように、変形例の切断検出回路52−2は、EOPの前の期間においても切断検出が可能であり、ホスト−デバイス間が切断された際に切断検出回路52−1よりも素早く切断検出を行うことができる。
【0159】
4.反射波の比較検出
ホストとデバイスは例えば所定の長さのケーブルを介して接続される場合がある。このとき、ホスト側のレセプタクルをAレセプタクルとし、デバイス側のレセプタクルをBレセプタクルとする。Bレセプタクルでデバイスからケーブルがはずされると、ホスト−デバイス間が切断状態となり、この場合、ケーブルの両端のうちのBレセプタクル側でSOFパケットの反射が起こり、Aレセプタクル側では反射波が観測される。Aレセプタクル側でホストからケーブルが切断される場合にはこの反射波をほとんど見られない。
【0160】
この反射波による影響は、ケーブルの長さが長いほど大きくなり、図14(A)、図14(B)はそれぞれ、例えば5m、10mのケーブルを用いたときのBレセプタクル側での切断を行った場合の、Aレセプタクル側で観測されるSOFパケットの波形図を示す。
【0161】
図14(A)のE1や図14(B)のE2に示すように、差動信号DP、DMは反射波の影響を受け、そのEOP部分の波形が乱れてしまう。この結果、ホスト−デバイス間は切断状態にあるのに、ホスト側が接続状態と誤認識してしまう事態を生じる。
【0162】
例えば、図14(A)では、反射の影響により、EOP部分において、差動信号DP、DMが比較電圧よりも電圧レベルの高い状態が継続する期間がE1に示すようにかなり短くなってしまう。このような場合、切断検出回路52−1、52−2は正確に切断検出を行えないおそれがある。
【0163】
また、図14(B)では、反射波の影響により、EOP期間での差動信号DP、DMが非常に乱れ、切断検出回路52−1、52−2は切断検出が行えない。
【0164】
そこで、図15に本発明に係る切断検出回路52−3の構成例を示す。切断検出回路52−3は、切断検出回路52−1又は52−2の構成に対して、第1、第2の反射波比較器RCMP1、RCMP2とラッチ回路120が追加されている。第1、第2の反射波比較器RCMP1、RCMP2の具体的な構成は、図7又は図11に示される比較器CMP1、CMP2の構成と同様であり、図14(A)のE3や図14(B)のE4に示す反射波の電圧レベルと反射波比較電圧RCVとを比較する。
【0165】
反射波の電圧レベルと反射波比較電圧RCVとの比較結果はラッチ回路120に供給される。ラッチ回路120は反射波検出用信号STBに基づいて該比較結果をラッチする。具体的には、反射波検出用信号STBが例えばアクティブに設定されると、ラッチ回路120は比較結果をラッチする。
【0166】
反射波検出用信号STBは、例えば上位層の回路ブロックによって設定され、例えばSOFパケットが送信された後の所定のタイミングでアクティブに設定される。これにより、反射波が発生した場合に反射波の電圧レベルと反射波比較電圧RCVとの比較結果をラッチ回路120にラッチさせることができる。なお、上位層の回路ブロックにてSOFパケットを送る指示をすることも可能なため、SOFパケットの送信されるタイミングはホストコントローラ側で把握できる。また、SOFパケットのビット数はUSB2.0規格により定義されている。このため、反射波検出用信号STBをSOFパケットのEOPの後の所定のタイミングにアクティブに設定することが可能である。
【0167】
次に図16(A)〜図16(C)、図17(A)〜図17(C)を用いて切断検出回路52−3の動作を説明する。
【0168】
なお、図16(A)〜図16(C)は、ホスト−デバイス間が接続状態にある場合の波形図であり、図17(A)〜図17(C)は、ホスト−デバイス間が切断状態にある場合の波形図である。また、図16(A)〜図16(C)、図17(A)〜図17(C)では、比較電圧CVが図16(A)に示すように例えば600mVに設定され、反射波比較電圧RCVが例えば200mVに設定されている。
【0169】
図16(A)のF1、F6は例えば差動信号DPのEOPを示し、F2、F5は例えば差動信号DMのEOPを示す。また、図16(A)のF3、F8は例えば差動信号DPの反射波を示し、F4、F7は例えば差動信号DMの反射波を示す。
【0170】
まず、ホスト−デバイス間が切断されていない場合の切断検出回路52−3の動作を説明する。ホスト−デバイス間が接続状態の場合には、図16(A)のF1やF2に示すように、SOFパケットが送信されたときの差動信号DP及びDMのEOPの電圧レベルは比較電圧CVの電圧レベルよりも低い。この場合、切断検出回路52はホスト−デバイス間が接続状態にあることを示す信号を出力しなくてはならない。
【0171】
このとき、図16(A)のF1に示すように差動信号DPの電圧レベルは反射波比較電圧RCVよりも高い。したがって、図15の第1の反射波比較器RCMP1の検出信号OUTDP2は図16(B)のF9に示すようにハイレベルとなる。
【0172】
しかしながら、図16(C)のF16に示すように反射波検出用信号STBはSOFパケットのEOPの後の所定のタイミングでアクティブに設定される。このため、図16(C)のF10に示すタイミングでは反射波検出用信号STBがノンアクティブ(例えばローレベル)に設定されているため、図16(B)のF9に示すハイレベルの検出信号OUTDP2はラッチ回路120にラッチされない。
【0173】
また、差動信号DMの電圧レベルは図16(A)のF2に示すように反射波比較電圧RCVより低いため、図15の第2の反射波比較器RCMP2の検出信号OUTDM2は図16(B)のF11に示すようにローレベルとなる。
【0174】
また、図16(A)のF1やF2に示すように差動信号DP、DMの電圧レベルは比較電圧CVよりも低いため、図15の比較器CMP1、CMP2の検出信号OUTDP1、OUTDM1は、図16(B)のF11に示すようにローレベルとなる。
【0175】
以上のようにして、切断検出回路52−3は図16(C)のF15に示すようにローレベルの検出信号を出力し、ホスト−デバイス間が接続状態であることを検出する。
【0176】
なお、図16(C)のF14はイネーブル信号ENを示す。また、図16(A)のF5に示すように差動信号DMのEOPでの電圧レベルが反射波比較電圧RCVよりも高い場合には、図16(B)のF12に示すように図15の第2の反射波比較器RCMP2の検出信号OUTDM2がハイレベルとなる。これについても、前述と同様であり、反射波検出用信号STBは図16(C)のF13に示すタイミングでノンアクティブ(例えばローレベル)に設定されているため、検出信号OUTDM2はラッチ回路120にラッチされない。従って、この場合でも図16(C)のF17に示すように切断検出回路52−3の検出信号はローレベルに設定されるため、正確にホスト−デバイス間の接続状態を検出することができる。
【0177】
次に、ホスト−デバイス間が切断されている状態の場合の切断検出回路52−3の動作を説明する。ホスト−デバイス間が切断されている状態の場合には、切断検出回路52はホスト−デバイス間が切断状態にあることを示す信号を出力しなくてはならない。このとき、図17(A)のG1やG5に示すように差動信号DP、DMの電圧レベルが反射波の影響により、比較電圧CVを上回らない場合には、切断検出回路52−3はG3やG6に示すように反射波の電圧レベルを反射波比較電圧RCVと比較することができる。
【0178】
図17(A)のG1に示すように差動信号DPの電圧レベルが反射波比較電圧RCVより高いため、図17(B)のG9に示すように反射波比較器RCMP1の検出信号OUTODP2がハイレベルとなる。ただし、前述したように、ラッチ回路120は反射波検出用信号STBに基づいてラッチ動作するためG9に示すハイレベルの検出信号OUTDP2はラッチ回路120にラッチされない。
【0179】
また、図17(A)のG1、G2に示すように、差動信号DP、DMの電圧レベルが比較電圧CVよりも低いため、図15の比較器CMP1、CMP2の検出信号OUTDP1、OUTDM1は図17(B)のG10に示すようにローレベルに設定される。
【0180】
また、図17(A)のG3に示すように差動信号DPの電圧レベルが反射波比較電圧RCVより高くなるため、図17(B)のG11に示すように反射波比較器RCMP1の検出信号OUTDP2がハイレベルに設定される。このとき、図17(C)のF16に示すように反射波検出用信号STBがアクティブに設定されるため、ラッチ回路120に図17(B)のG11に示すハイレベルの検出信号OUTDP2がラッチされる。従って、図17(C)のG12に示すように切断検出回路52−3はハイレベルの検出信号を出力し、SOFパケットが反射波の影響を受ける場合であってもホスト−デバイス間の切断状態を検出することができる。
【0181】
図17(A)のG6に示すように差動信号DMの電圧レベルが反射波比較電圧RCVを上回った場合にも、上記と同様の動作により、第2の反射波比較器RCMP2の検出信号OUTDM2が図17(B)のG13に示すようにハイレベルに設定される。これにより、切断検出回路52−3はホスト−デバイス間の切断状態を正確に検出することができる。
【0182】
以上のようにして、切断検出回路52−3は、差動信号DP、DMのEOPでの電圧レベルが反射波の影響を受ける場合であっても、反射波の電圧レベルを反射波比較電圧RCVと比較することができるので、正確な切断検出が可能となる。
【0183】
上記のように、本発明の実施例について詳細に説明したが、本発明の新規事項及び効果から実体的に逸脱しない多くの変形が可能であることは当業者には容易に理解できるであろう。したがって、このような変形例はすべて本発明の範囲に含まれるものとする。例えば、明細書または図面において、少なくとも一度、より広義又は同義な異なる用語と共に記載された用語は、明細書または図面のいかなる箇所においても、その異なる用語に置き換えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0184】
【図1】本発明に係るホストコントローラの構成例を示す図である。
【図2】SOFパケットを説明ためのする図である。
【図3】図3(A)は接続状態におけるSOFパケットの波形図であり、図3(B)は、切断状態におけるSOFパケットの波形図である。
【図4】本発明に係る比較例の検出回路の構成例を示す図である。
【図5】本発明に係る切断検出回路の構成例を示す図である。
【図6】本発明に係る切断検出回路の一部の構成例を示す図である。
【図7】本発明に係る比較器の回路構成を示す図である。
【図8】図8(A)〜図8(D)は接続状態における本発明に係る切断検出回路の動作を説明するための波形図である。
【図9】図9(A)〜図9(D)は切断状態における本発明に係る切断検出回路の動作を説明するための波形図である。
【図10】変形例に係る切断検出回路の構成例を示す図である。
【図11】変形例に係る比較器の回路構成を示す図である。
【図12】図12(A)〜図12(D)は接続状態における本発明に係る変形例の切断検出回路の動作を説明するための波形図である。
【図13】図13(A)〜図13(D)は切断状態における本発明に係る変形例の切断検出回路の動作を説明するための波形図である。
【図14】図14(A)及び図14(B)は、SOFパケットが受ける反射波の影響を示す波形図。
【図15】本発明に係る変形例を示す図である。
【図16】図16(A)〜図16(C)は接続状態における本発明に係る切断検出回路の動作を説明するための他の波形図である。
【図17】図17(A)〜図17(C)は切断状態における本発明に係る切断検出回路の動作を説明するための他の波形図である。
【符号の説明】
【0185】
52,52−1、52−2、52−3 切断検出回路、100 制御回路、
110 バイアス回路、112 バイアス回路、120 ラッチ回路、
200 第1の差動増幅器、210 第2の差動増幅器、220 第2の差動増幅器、
BN バイアス信号、BP バイアス信号、CMP1 第1の比較器、
CMP2 第2の比較器、CV 比較電圧、DM 第2の差動信号、
DP 第1の差動信号、EN イネーブル信号、FNT n型トランジスタ、
IPT1 第1の入力トランジスタ、IPT2 第2の入力トランジスタ、
IPT3 第3の入力トランジスタ、IPT4 第4の入力トランジスタ、
INT1 第3の入力トランジスタ、INT2 第4の入力トランジスタ、
ND1 第1の出力ノード、ND2 第2の出力ノード、ND3 第3の出力ノード、
RCMP1 第1の反射波比較器、RCMP2 第2の反射波比較器、
RCV 反射波比較電圧、XENH 制御信号

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バスを介して差動信号対によるデータ転送を行い、所与の規格で規定されたフレームパケットを前記所与の規格で規定された間隔でデバイス側に送信するホストコントローラであって、
ホストとデバイスが接続ケーブルを介して接続されている状態からデバイスが接続ケーブルから切断された状態に変化する際に生じる前記フレームパケットの反射波を検出してホスト−デバイス間の切断状態を検出する切断検出回路を含み、
前記切断検出回路は、
前記差動信号対を構成する第1及び第2の差動信号のうち、前記第1の差動信号の前記フレームパケットの後の所与のタイミングでの電圧レベルと反射波比較電圧を比較し、
前記第2の差動信号の前記フレームパケットの後の所与のタイミングでの電圧レベルと前記反射波比較電圧を比較し、
前記第1及び第2の差動信号の少なくとも一方の前記所与のタイミングでの電圧レベルが前記反射波比較電圧よりも高い場合には、ホスト−デバイス間の切断状態を検出することを特徴とするホストコントローラ。
【請求項2】
請求項1において、
前記切断検出回路は、
前記第1の差動信号を受け、前記第1の差動信号の前記フレームパケットの後の所与のタイミングでの電圧レベルと前記反射波比較電圧を比較し、前期所与のタイミングでの前記第1の差動信号の電圧レベルが前記反射波比較電圧よりも高い場合には、ホスト−デバイス間の切断状態を検出する第1の反射波比較器と、
前記第2の差動信号を受け、前記第2の差動信号の前記フレームパケットの後の所与のタイミングでの電圧レベルと前記反射波比較電圧を比較し、前期所与のタイミングでの前記第2の差動信号の電圧レベルが前記反射波比較電圧よりも高い場合には、ホスト−デバイス間の切断状態を検出する第2の反射波比較器と、
を含み、
前記切断検出回路は、前記第1及び第2の反射波比較器の少なくとも一方がホスト−デバイス間の切断を検出した場合にホスト−デバイス間の切断を検出することを特徴とするホストコントローラ。
【請求項3】
請求項1において、
前記第1の差動信号を受け、前記第1の差動信号の電圧レベルと前記反射波比較電圧を比較し、前期第1の差動信号の電圧レベルが前記反射波比較電圧よりも高い場合には、ホスト−デバイス間の切断状態を検出する第1の反射波比較器と、
前記第2の差動信号を受け、前記第2の差動信号の電圧レベルと前記反射波比較電圧を比較し、前期第2の差動信号の電圧レベルが前記反射波比較電圧よりも高い場合には、ホスト−デバイス間の切断状態を検出する第2の反射波比較器と、
前記第1、第2の反射波比較器の出力信号の論理和結果を反射波検出用信号に基づいてラッチするラッチ回路と、
を含み、
前記反射波検出用信号は、前記フレームパケットが送信された後の所与のタイミングでアクティブに設定され、アクティブに設定された前期反射波検出用信号に基づいて前記ラッチ回路は前記論理和結果をラッチし、
前記切断検出回路は、前記第1及び第2の反射波比較器の少なくとも一方がホスト−デバイス間の切断を検出した場合にホスト−デバイス間の切断を検出することを特徴とするホストコントローラ。
【請求項4】
請求項2又は3において、
前記切断検出回路は、
前記第1の差動信号を受け、前記第1の差動信号の前記フレームパケット中の前記所与の範囲に対応する前記電圧レベルと前記比較電圧とを比較し、前期所与の範囲に対応する前記第1の差動信号の電圧レベルが前記比較電圧よりも高い場合には、ホスト−デバイス間の切断状態を検出する第1の比較器と、
前記第2の差動信号を受け、前記第2の差動信号の前記フレームパケット中の前記所与の範囲に対応する前記電圧レベルと前記比較電圧とを比較し、前期所与の範囲に対応する前記第2の差動信号の電圧レベルが前記比較電圧よりも高い場合には、ホスト−デバイス間の切断状態を検出する第2の比較器と、
を含み、
前記切断検出回路は、前記第1及び第2の比較器の少なくとも一方がホスト−デバイス間の切断を検出した場合にホスト−デバイス間の切断を検出することを特徴とするホストコントローラ。
【請求項5】
請求項4において、
前記切断検出回路は、前記切断検出回路のイネーブル制御を行うためのイネーブル信号を受け、
前記イネーブル信号は、
ホストコントローラ側の送信回路の定電流源がオンに設定され、且つ、前記フレームパケットがホストからデバイスに送信される場合に、アクティブに設定され、
前記フレームパケットが送信されない場合にはノンアクティブに設定され、
前記切断検出回路は、
前記イネーブル信号がアクティブに設定される場合には、ホスト−デバイス間の切断状態を監視し、
前記イネーブル信号がノンアクティブに設定される場合には、その動作がオフ状態に設定されることを特徴とするホストコントローラ。
【請求項6】
請求項4又は5において、
前記第1及び第2の比較器は、その出力をグランドレベルに固定する出力固定スイッチを含み、
前記出力固定スイッチは、前記イネーブル信号がアクティブの場合にはオフに設定され、前期イネーブル信号がノンアクティブの場合にはオンに設定されることを特徴とするホストコントローラ。
【請求項7】
請求項4乃至6のいずれかにおいて、
前記第1及び第2の比較器の電流源を調整するバイアス信号を発生するバイアス信号発生回路を含み、
前記バイアス信号発生回路は、前記イネーブル信号がアクティブの場合に前記バイアス信号を発生し、前期イネーブル信号がノンアクティブの場合には前記バイアス信号を発生しないことを特徴とするホストコントローラ。
【請求項8】
請求項4乃至7のいずれかにおいて、
前記第1及び第2の比較器は、第1及び第2の差動増幅器を含み、
前記第1の差動増幅器は、第1の電源と第2の電源の間に並列に設けられた第1及び第2の入力トランジスタを含み、
前記第1の入力トランジスタのゲートには前記比較電圧が入力され、
前記第2の入力トランジスタのゲートには前記第1及び第2の差動信号のいずれか一方が入力され、
前記第2の差動増幅器は、第1の電源と前記第1の電源より電源電圧の高い第2の電源の間に並列に設けられた第3及び第4の入力トランジスタを含み、
前記第3の入力トランジスタのゲートは、前記第1の入力トランジスタと前記第2の電源との間の第1の出力ノードと接続され、
前記第4の入力トランジスタのゲートは、前記第2の入力トランジスタと前記第2の電源との間の第2の出力ノードと接続されていることを特徴とするホストコントローラ。
【請求項9】
請求項8において、
前記第1、第2、第3及び第4の入力トランジスタはP型トランジスタで構成されていることを特徴とするホストコントローラ。
【請求項10】
請求項8又は9において、
前記第1及び第2の比較器の検出結果は、前記第4の入力トランジスタと前記第2の電源との間の第3の出力ノードの電圧レベルに基づいて出力されることを特徴とするホストコントローラ。
【請求項11】
請求項8において、
前記第1及び第2の入力トランジスタはN型トランジスタで構成され、第3及び第4の入力トランジスタはN型トランジスタで構成されていることを特徴とするホストコントローラ。
【請求項12】
請求項11において、
前記第1及び第2の比較器は、前記第2の差動増幅器の電流源を調整するための第2の差動増幅器用バイアス信号を発生する第2の差動増幅器用バイアス信号発生回路を含み、
前記第2の差動増幅器用バイアス信号発生回路は、前記イネーブル信号がアクティブの場合に前記第2の差動増幅器用バイアス信号を発生し、前期イネーブル信号がノンアクティブの場合には前記第2の差動増幅器用バイアス信号を発生しないことを特徴とするホストコントローラ。
【請求項13】
請求項8、11又は12において、
前記第1及び第2の比較器の検出結果は、前記第4の入力トランジスタと前記第1の電源との間の第3の出力ノードの電圧レベルに基づいて出力されることを特徴とするホストコントローラ。
【請求項14】
請求項1乃至13のいずれかにおいて、
前記所与の規格は、USB2.0規格であることを特徴とするホストコントローラ。
【請求項15】
請求項14において、
前記フレームパケットは、前記USB2.0規格で規定されるSOF(Start Of Frame)パケットであることを特徴とするホストコントローラ。
【請求項16】
請求項15において、
前記所与の範囲は、前記USB2.0規格で規定されるEOP(End Of Point)に対応することを特徴とするホストコントローラ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2007−49273(P2007−49273A)
【公開日】平成19年2月22日(2007.2.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−229354(P2005−229354)
【出願日】平成17年8月8日(2005.8.8)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】