説明

ホルタ型心電図モニタ及び心電図モニタシステム

【課題】心電図測定の状態において患者の傍らで心電図を見る。
【解決手段】得られる心電図データを時刻情報に対応させて着脱可能な外部メモリ16に記録する。心電図データに基づく不整脈の簡易解析を行って、不整脈対応時刻情報を記憶する簡易解析手段と、イベントボタン21の操作に応じてイベント時刻情報を記憶するイベント対応手段と、情報を表示するための表示部18と、前記不整脈対応時刻情報による時刻リスト及びイベント時刻情報による時刻リストを前記表示部18に表示するリスト表示制御手段と、前記表示部18に表示された時刻リスト中の時刻選択に応じて外部メモリ16の対応時刻の心電図データに基づく心電図を前記表示部18に表示する心電図表示制御手段とを具備した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯型であり患者を拘束することのないホルタ型心電図モニタと、このホルタ型心電図モニタを用いて構成した心電図モニタシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の心電図モニタとしては、ベッドサイドモニタと称されるシステムがあり、患者に装着された電極と心電計及びモニタの間は有線回線により接続されているものが知られている。このベッドサイドモニタにおいては、有線回線を構成するケーブルがベッド周辺に引き回され、煩雑なものである。これに対し、回線を無線としてデータ送信を行うものが知られており、ベッド周囲の煩雑さを解消できる。また、患者は自由に院内を移動できるのでリハビリに役立つが、電波の受信エリア以外においては心電図を見ることができない。
【0003】
上記に対し、ホルタ型心電計が知られており、このホルタ型心電計は図15に示される通り、SDカードやメモリによる記憶装置110をホルタ型心電計120にセットして、心電図データを例えば24時間分連続的に測定及び蓄積するものである。そして、心電図データが蓄積された記憶装置110はホルタ型心電計120から取り出されて、解析のために専用解析機130にセットして使用される。専用解析機130においては、不整脈などの詳細解析が行われるものである。
【0004】
また、ホルタ型心電計120には、イベントボタン140が設けられており、患者が動悸など異常を感じた場合にイベントボタン140の操作により心電図データ測定及び蓄積が行われるものである。このようなイベント式心電計としてホルタ型心電計120を用いた場合にも、心電図データが蓄積された記憶装置110はホルタ型心電計120から取り出されて、解析のために専用解析機130にセットして使用される。いずれにしても、ホルタ型心電計120においては表示器150を備えているものの、心電図測定の状態においてイベントボタンが押されたときの心電図を見たり不整脈解析を行ったり、その結果を表示器150で見たりすることはできない。
【0005】
また、特許文献1には、心電図データをイベントスイッチの操作に応じて記憶する携帯型心電計が示されているが、上記に述べた通り、心電図測定の状態においてイベントボタンが押されたときの心電図を直ぐにその場で見るなどはできない。
【0006】
更に、特許文献2には、テレメータタイプのホルタ型心電計を用いた生体信号の通信システムが示されている。しかし、このシステムにあっても、電波の受信エリア以外においては心電図を見ることができず、遠隔へのデータ送信が図られているに過ぎない。
【特許文献1】特許第2789274号公報
【特許文献2】特開2001−78974号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、ホルタ型心電計では心電図測定の状態において測定し記憶した心電図を患者の傍において直ぐに容易に見ることはできないという問題点、更に、生体信号の通信システムでは電波の受信エリア以外においては心電図を見ることができないという問題点に鑑みてなされたものである。それ故、本発明の目的は、心電図測定の状態において患者の傍らで心電図を見ることが可能であり、特にイベントボタンの操作がなくとも不整脈に該当する部分の心電図を特定して表示可能なホルタ型心電図モニタを提供することにある。また、上記ホルタ型心電図モニタを用いて得られたデータに基づき、より観測し易い状態で心電図を出力することが可能な心電図モニタシステムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係るホルタ型心電図モニタは、得られる心電図データを時刻情報に対応させて着脱可能な記憶装置に記録するホルタ型心電図モニタにおいて、心電図データに基づく不整脈の簡易解析を行って、不整脈対応時刻情報を記憶する簡易解析手段と、得られる心電図データを記憶する記憶手段と、イベントボタンの操作に応じてイベント時刻情報を記憶するイベント対応手段と、情報を表示するための表示手段と、前記不整脈対応時刻情報による時刻リスト及びイベント時刻情報による時刻リストを前記表示手段に表示するリスト表示制御手段と、前記表示手段に表示された時刻リスト中の時刻選択に応じて前記記憶装置内の対応時刻の心電図データに基づく心電図を前記表示手段に表示する心電図表示制御手段とを具備したことを特徴とする。
【0009】
本発明に係るホルタ型心電図モニタでは、前記リスト表示制御手段は、設定された時間毎の時刻情報における長時間波形の時刻リストを前記表示手段に表示し、前記心電図表示制御手段は、前記表示手段に表示された長時間波形の時刻リストにおける時刻選択に応じて前記記憶装置内の対応時刻の心電図データに基づく心電図を前記表示手段に表示することを特徴とする。
【0010】
本発明に係るホルタ型心電図モニタでは、前記心電図表示制御手段は、スクロール操作に応じて心電図を前記表示手段においてスクロール表示することを特徴とする。
【0011】
本発明に係るホルタ型心電図モニタでは、少なくとも得られた心電図データを時刻情報に対応させて無線送信する無線送信部を具備していることを特徴とする。
【0012】
本発明に係る心電図モニタシステムは、請求項1乃至4のいずれか1項に記載のホルタ型心電図モニタと、前記ホルタ型心電図モニタが有するデータを取り込む取込部と、心電図データに基づく不整脈の解析を行って、不整脈対応時刻情報を記憶するセントラル側解析手段と、情報を表示するためのセントラル側表示手段と、セントラル側の不整脈対応時刻情報による時刻リストまたはホルタ型心電図モニタによる時刻情報による時刻リストを前記セントラル側表示手段に表示するセントラル側リスト表示制御手段と、前記セントラル側表示手段に表示された時刻リスト中の時刻選択に応じて取込部から取り込んだ対応時刻の心電図データに基づく心電図を前記セントラル側表示手段に表示出力するセントラル側心電図出力制御手段と、前記セントラル側心電図出力制御手段により送られたデータに基づくプリントを行うプリント手段と、を備るセントラルモニタ装置とを具備することを特徴とする。
【0013】
本発明に係る心電図モニタシステムでは、前記セントラル側心電図出力制御手段は、要求に応じて拡大心電図を前記セントラル側表示手段に表示することを特徴とする。
【0014】
本発明に係る心電図モニタシステムでは、前記取込部は、記憶装置をセットするリーダ部、無線受信部であることを特徴とする。
【0015】
本発明に係る心電図モニタシステムでは、前記取込部から複数の患者に対応するデータを取り込んでおり、選択された患者に対応するデータに基づき前記セントラル側リスト表示制御手段及び前記セントラル側心電図表示制御手段が処理を行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明では、心電図データに基づく不整脈の簡易解析を行って、不整脈対応時刻情報を記憶し、イベントボタンの操作に応じてイベント時刻情報を記憶し、前記不整脈対応時刻情報による時刻リスト及びイベント時刻情報による時刻リストを表示手段に表示し、表示された時刻リスト中の時刻選択に応じて記憶装置内の対応時刻の心電図データに基づく心電図を前記表示手段に表示するので、心電図測定の状態において患者の傍らで心電図を見ることが可能であり、患者の傍で直ぐに心電図を見られるので医師は患者の診断・治療方針を早い段階で決定できる。また、イベントボタンの操作がなくとも不整脈に該当する部分の心電図を特定して表示可能である効果を有する。
【0017】
また、本発明では、上記ホルタ型心電図モニタと、ホルタ型心電図モニタが有するデータを取り込み、心電図データに基づく不整脈の簡易解析を行って、不整脈対応時刻情報を記憶し、新たな簡易解析で得られた不整脈対応時刻情報による時刻リストまたはホルタ型心電図モニタによる時刻情報による時刻リストを表示し、表示された時刻リスト中の時刻選択に応じて取込部から取り込んだ対応時刻の心電図データに基づく心電図を表示出力し、送られたデータに基づくプリントを行うセントラルモニタ装置とを備えて心電図モニタシステムが構成されているので、より観測し易い状態で心電図を出力することが可能であるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明では、時刻リストを表示手段に表示し、表示された時刻リスト中の時刻選択に応じて記憶装置内の対応時刻の心電図データに基づく心電図を表示する構成を採用して、心電図測定の状態において患者の傍らで心電図を見ることが可能とする目的を達成したものである。また、心電図データに基づく不整脈の簡易解析を行って、不整脈対応時刻情報を記憶し、前記不整脈対応時刻情報による時刻リストを表示し、表示された時刻リスト中の時刻選択に応じて心電図を表示する構成とすることで、特にイベントボタンの操作がなくとも不整脈に該当する部分の心電図を特定して表示可能とする目的を達成したものである。
【0019】
本発明では、上記ホルタ型心電図モニタと、セントラルモニタ装置などのモニタ装置とを備えて心電図モニタシステムが構成し、セントラルモニタ装置において上記ホルタ型心電図モニタが有するデータを取り込み、心電図データに基づく不整脈の解析を行い、新たな解析で得られた不整脈対応時刻情報による時刻リストまたはホルタ型心電図モニタによる時刻情報による時刻リストを表示し、表示された時刻リスト中の時刻選択に応じて取込部から取り込んだ対応時刻の心電図データに基づく心電図を表示出力、送られたデータに基づくプリントを行う構成として、より観測し易い状態で心電図を出力するという目的を達成したものである。
【実施例1】
【0020】
以下添付図面を参照して、本発明に係るホルタ型心電図モニタ及び心電図モニタシステムの実施例を説明する。各図において、同一の構成要素には同一の符号を付して重複する説明を省略する。図1には、本発明に係るホルタ型心電図モニタにおける第1の実施例のブロック図が示されており、図2に、その外観斜視図が示されている。ホルタ型心電図モニタの本体部10には、CPUを含んで構成される中央処理部11及び心電図測定回路12が備えられている。心電図測定回路12には、生体に装着される2〜3個の電極が接続される心電図検出用電極線28を介して、例えば2チャネルの生体信号が到来し、心電図測定回路12では心電図信号(ECG信号)を取り出して出力する。心電図測定回路12には、A/D変換器13が接続されており、ここで1チャネル分の信号がディジタル値に変換されて中央処理部11へ送られる。
【0021】
中央処理部11には、簡易解析用のプログラムが格納された簡易解析用RAM14、ワーキングメモリなどに用いる内部RAM15及び外部メモリ16が接続されている。外部メモリ16は、着脱可能な記憶装置を構成しており、中央処理部11が上記A/D変換器13から得た心電図データ(ECGデータ)が到来時刻情報と対応付けられて記憶されるものである。
【0022】
中央処理部11には、表示制御部17が接続されており、表示制御部17には例えばLCDにより構成される表示部18が接続されている。表示部18は、表示手段を構成して、心電図波形などの情報を表示するものである。表示制御部17は、中央処理部11により送られる表示データに基づく表示を表示部18に対し行うものである。電池を含んで構成される電源部19からは本体10内の各部へ電力供給がなされている。
【0023】
更に、中央処理部11には、患者が動悸など異常を感じた場合に操作するイベントボタン21と、表示部18における表示内容を切り換える指示入力等を行うための選択ボタン22と決定ボタン23とが接続されている。
【0024】
以上の通りに構成されたホルタ型心電図モニタは、図3に示されるフローチャートに対応するプログラムにより動作する。すなわち、外部メモリ16のセット(S11)、電池のセット(S12)がなされると、心電図の測定を開始する(S13)。そして、中央処理部11は表示制御部17を制御してリアルタイム波形を表示する(S14)。ステップS14に続いて選択ボタン22の操作が検出され(S15)、選択ボタン22が操作されると記録条件画面を表示部18に表示する(S16)。更に、選択ボタン22と決定ボタン23のいずれの操作がなされたかが検出され(S17、S19、S23)、選択ボタン22の操作があると順次に被験者情報画面、リアルタイム波形画面、イベント波形選択画面、長時間波形選択画面を表示部18に表示する(S18、S20、S22)。また、ステップS17、S19、S23において決定ボタン23の操作が検出されると、現画面に対応する所定画面を表示し、ボタン操作の内容に応じて更に異なる画面または元の画面を表示部18に表示する(S25)。ステップS25において、ステップS16、S18、S20、S22へ向かう矢印は元の画面を表示部18に表示する処理を示している。
【0025】
上記においてステップS14においてリアルタイム波形が表示されている状態においてステップS15にて選択ボタン22の操作が検出されると、記録条件画面が図6に示すように表示部18に表示され(S16)、ここで決定ボタン23が操作されるとステップS17からステップS25へ進み、図6に示す画面において「年」に相当する「2006」の表示がブリンクするなどして変更可能となり、例えば、選択ボタン22の操作により「2006」の数字が切り換えることができ、所望の数字になったときに決定ボタン23の操作により次の項目に係る「年月」に相当する「02/14」の表示がブリンクするなどして変更可能となり、以下同様に数字の入力がなされ、以下同様に時刻の設定がなされ決定ボタン23を操作すると、現在時刻を確定させることができる。
【0026】
現在時刻を確定させると、更に、記録条件画面が図6に示すように表示部18に表示された状態において、「不整脈解析」に相当する「Y」「N」の表示がブリンクするなどして変更可能となり、例えば、選択ボタン22の操作により「Y」「N」のいずれかを選択し、以下前述のように決定ボタン23の操作により次の項目へ進み、選択ボタン22の操作により選択または数字の歩進入力を行って記録条件に関する設定が続けられ、「長時間波形間隔」に相当する例えば「30」分と「15」分とのいずれかを選択したときに決定ボタン23を操作すると、ステップS23に戻り被験者情報画面が図6に示すようにブリンクなく表示部18に表示され、最終的に無線送信について有りと無しのいずれかを選択して、決定ボタン23を操作すると、ステップS16に戻り記録条件画面が図6に示すようにブリンクなく表示部18に表示され確定させることができる。この記録条件画面にて設定された情報及び前の被験者情報画面にて設定された情報は外部メモリ16へ記憶され、後に説明するセントラルモニタ3、3Aにおいても読み出されて必要な表示等の場合に用いられる。
【0027】
記録条件を確定させた場合において、選択ボタン22を操作すると、これがステップS17において検出されステップS18へ進んで、ステップS18において被験者情報画面が図5に示すように表示部18に表示され、ここで決定ボタン23が操作されるとステップS18からステップS25へ進み、ID対応の数字の表示がブリンクするなどして変更可能となり、例えば、選択ボタン22の操作によりID対応の数字が切り換えられ、所望の数字になったときに決定ボタン23の操作により次の項目に係る「性別」に相当する「MF」の表示がブリンクするなどして変更可能となり、例えば、選択ボタン22の操作により「MF」のいずれかを選択し、以下同様に「年齢」と「体重」に係る数字の入力がなされて被験者情報に関する設定が続けられ、最終的に「体重」に相当する「50」Kgについて所望の数字になったときに決定ボタン23を操作すると、ステップS21に戻り被験者情報画面が図5に示すようにブリンクされずに表示部18に表示され、確定させることができる。
【0028】
被験者情報画面において被験者情報を確定して、選択ボタン22を操作すると、これがステップS19において検出されステップS20へ進んで、イベント波形選択画面が表示される。このステップS20からステップS23間での処理は、初期設定においては無関係であるため、ステップS19、S21、S23において選択ボタン22の操作が検出されたものとして説明を続ける。ステップS23において選択ボタン22の操作が検出されると、既に計測を行っているかを記録中フラグに基づき検出し(S24)、記録中であればステップS14へ戻る。記録が開始されていなければ記録開始を問い合わせるメッセージを表示部18に表示し(S26)、ステップS27において選択ボタン22の操作が検出されるとステップS14へ戻るが、ステップS27において決定ボタン23の操作が検出されると記録を開始し、記録中フラグをセットして(S28)、記録開始して1〜2分後、図4における時刻表示画面において現在時刻及び測定開始時刻を表示部18に表示する(S29)。時刻表示画面において、選択ボタン22の操作が検出され(S29A)、このステップS29Aにおいて選択ボタン22が操作されるとステップS14へ戻って処理が続けられる。
【0029】
図3におけるステップS29の記録開始により中央処理部11は図7に示すフローチャートのプログラムを起動して、A/D変換器13によりA/D変換された心電図データを取り込み、時刻データに対応させて外部メモリ16へ記憶し(S31)、イベントボタン21の操作を検出し(S32)、イベントボタン21の操作がなされた場合にはイベント時刻を外部メモリ16へ記憶する(S33)。ステップS32においてNOへ進んだときには、不整脈簡易解析の設定がなされている場合に不整脈の簡易解析を行う(S34)。ここに、不整脈簡易解析では、例えばRR時間計測による心拍間隔の乱れ(平均値と所定率ずれた場合)を検出する等の手法が採用され、不整脈検出の時刻情報(不整脈対応時刻情報)を外部メモリ16へ記憶する。
【0030】
設定されている場合に行う不整脈簡易解析(S34)に続いて電源OFFを検出し(S35)、電源OFFとされなければステップS31へ戻って処理続ける。電源OFFとされた場合には、記録終了処理を行い(S36)、電源を実際にOFFとする(S37)。この後、外部メモリ16の取り出しが行われる(S38)。
【0031】
図4において説明したように、時刻表示画面を表示部18に表示する(図8(V10))。この状態において、選択ボタン22の操作がなされたかが検出され(図3のS29A)、選択ボタン22の操作があると図8(V11)に示すように、リアルタイム波形画面を表示部18に表示する(S14)。このとき、リアルタイムの心電図データから心拍数を算出して表示している。この状態において、選択ボタン22の操作がなされたか、或いは、選択ボタン22と決定ボタン23のいずれの操作がなされたかが検出され(S15、S17、S19)、選択ボタン22の操作が3度あると図8(V12)に示すように、イベント波形選択画面を表示部18に表示する(S20)。
【0032】
図8(V12)に示すようにイベント波形選択画面が表示部18に表示された状態において選択ボタン22と決定ボタン23のいずれの操作がなされたかが検出され(S21)、決定ボタン23の操作があると図8(V13)に示すように、外部メモリ16に記録されたイベント時刻情報による時刻リストを作成して表示部18に表示する(S25:リスト表示制御手段)。この図8(V13)に示す画面では、イベントボタン21によりスクロール方向(DOWNとUP)の切り換えがなされ、選択ボタン22の操作によりスクロールがなされ、決定ボタン23の操作によりイベント時刻が確定され、時刻リスト中の時刻選択に応じて外部メモリ16内の対応時刻の心電図データに基づく心電図を表示部18に表示する。つまり、図8(V14)に示すようなイベント波形画面が表示部18に表示される(S25:心電図表示制御手段)。この図8(V14)に示す画面では、イベントボタン21によりスクロール方向(心電図の時間方向)の切り換えがなされ、選択ボタン22の操作によりスクロールがなされ、決定ボタン23の操作により図8(V12)に示すようにイベント波形選択画面を表示部18に表示する状態に戻る。
【0033】
上記の通り本実施例では、時刻表示画面が表示部18に表示された状態(図8(V10))にて、選択ボタン22の操作を行い、図8(V11)に示すようにリアルタイム波形画面を表示部18に表示させることができる。そして、リアルタイム波形画面が表示部18に表示された状態(図8(V11))にて、選択ボタン22の操作を行い、図8(V12)に示すようにイベント波形選択画面を表示部18に表示させることができる。このイベント波形選択画面が表示部18に表示された状態(図8(V12))にて決定ボタン23の操作を行い、図8(V13)に示すようにイベント時刻情報による時刻リストを表示部18に表示させることができる。更に、時刻リストが表示部18に表示された状態(図8(V13))にて選択ボタン22と決定ボタン23の操作により所望の時刻を選択して、図8(V14)に示すように当該時刻対応のイベント波形画面を表示部18に表示させることができる。斯して、本実施例によれば、リアルタイムで収集された心電図波形、更に被験者がイベントボタン21を操作した時刻だけでなく、不整脈簡易解析による不整脈対応時刻の心電図波形を選択して表示部18に表示することができ、医師等が被験者と対話をしながら心電図による診断を行うことが可能である。
【0034】
またステップS17において、イベント波形選択画面が表示部18に表示された状態(図8(V12))なると、選択ボタン22と決定ボタン23のいずれの操作がなされたかが検出され(S18)、選択ボタン22の操作があると図8(V15)に示すように、長時間波形選択画面を表示部18に表示する(S19)。
【0035】
図8(V15)に示すように長時間波形選択画面が表示部18に表示された状態において選択ボタン22と決定ボタン23のいずれの操作がなされたかが検出され(S20)、決定ボタン23の操作があると図8(V16)に示すように、設定された長時間波形の時間間隔毎の時刻情報による時刻リストを作成して表示部18に表示する(S25:リスト表示制御手段)。この図8(V16)に示す画面では、イベントボタン21によりスクロール方向(DOWNとUP)の切り換えがなされ、選択ボタン22の操作によりスクロールがなされ、決定ボタン23の操作により長時間波形の時刻が確定され、時刻リスト中の時刻選択に応じて外部メモリ16内の対応時刻の心電図データに基づく心電図を表示部18に表示する。つまり、図8(V17)に示すような長時間波形画面が表示部18に表示される(S25:心電図表示制御手段)。この図8(V17)に示す画面では、イベントボタン21によりスクロール方向(心電図の時間方向)の切り換えがなされ、選択ボタン22の操作によりスクロールがなされ、決定ボタン23の操作により図8(V15)に示すように長時間波形選択画面を表示部18に表示する状態に戻る。
【0036】
このように本実施例では、時刻画面が表示部18に表示された状態(図8(V10))から1度目の選択ボタン22の操作を行い、図8(V11)の表示を得て、この図8(V11)の表示から3度の選択ボタン22の操作により図8(V12)の表示を得て、更にもう1度選択ボタン22の操作を行って図8(V15)に示すように長時間波形選択画面を表示部18に表示させることができる(S22)。そして、長時間波形選択画面が表示部18に表示された状態(図8(V15))にて決定ボタン23の操作を行い、図8(V16)に示すように長時間波形の時間間隔の時刻情報による時刻リストを表示部18に表示させることができる。更に、時刻リストが表示部18に表示された状態(図8(V16))にて選択ボタン22と決定ボタン23の操作により所望の時刻を選択して、図8(V17)に示すように当該時刻対応の長時間波形画面を表示部18に表示させることができる。斯して、本実施例によれば、リアルタイムで収集された心電図波形だけでなく、記録されている心電図データについて、定められた時間間隔による時刻を選択して対応する心電図波形を表示部18に表示することができ、医師等が被験者と対話をしながら所望時刻付近の心電図履歴を得て診断を行うことが可能である。
【0037】
図9には、上記のホルタ型心電図モニタ1を用いた心電図モニタシステムの構成例が示されている。この心電図モニタシステムは、ホルタ型心電図モニタ1とセントラルモニタ3により構成され、ホルタ解析機4は必要な場合に用いられる。すなわち、ホルタ解析機4はホルタ型心電図モニタ1の外部メモリ16に対応する記録装置5をセットして処理を行わせるものであり、ホルタ解析機4ではPVC(心室性期外収縮)などの検出、不整脈の数量化を行う様々な処理が行われる。
【0038】
心電図モニタシステムに用いられるセントラルモニタ3は、図10に示すように構成されている。本体部30は例えばパーソナルコンピュータにより構成される。本体部30には、CPUを含む中央処理装置31が備えられ、この中央処理装置31には、不整脈解析部32、データ保存メモリ33、キーボードやマウスなどから構成される入力部34、LCDなどにより構成される表示部(セントラル側表示手段)35が接続されている。不整脈解析部32はセントラル側解析手段であり、心電図データに基づく不整脈の解析を行う例えばソフトウエアにより構成され、RR時間計測による心拍間隔の乱れ(平均値と所定率ずれた場合)を検出する等の手法や、QRS波形のパターンを比較するなどの手法により、不整脈対応時刻情報を得るものである。
【0039】
中央処理装置31には、ホルタ型心電図モニタ1が有するデータを取り込む取込部としてのリーダ部36、プリンタ37が接続されている。リーダ部36には、ホルタ型心電図モニタ1の外部メモリ16がセットされ、リーダ部36は中央処理装置31からの指示を受けて外部メモリ16内のデータを読み出し中央処理装置31へ転送するものである。
【0040】
以上の通りに構成されたセントラルモニタ3は、図11に示されるフローチャートに対応するプログラムにより動作する。すなわち、リーダ部36への外部メモリ16のセットが行われ(S41)、中央処理装置31はデータ読取の指示を検出する(S42)。入力部34からマウスによる画面クリックやキーボード操作によりデータ読取の指示を受けて、中央処理装置31はリーダ部36を制御して外部メモリ16内のデータを読み出しデータ保存メモリ33へ保存し(S43)、該当患者対応の保存データに基づく表示を行う(S43A)。このステップS43Aにおいては、外部メモリ16には、イベント時刻情報と設定された長時間波形の時間間隔による時刻情報が記憶されているため、イベント時刻のリストと長時間波形時刻リストのウインドウと、予め定められた時刻の長時間波形を含んだ画面を例えば、図12に示すように表示する(セントラル側リスト表示制御手段)。図12の例では、拡大波形が表示されているが、この表示は含まなくとも良い。なお、本実施例では、セントラルモニタ3と表示しているがセントラルモニタに限定されるものではなく、例えばベッドサイドモニタなどのセントラルモニタと同様な機能を有するモニタ(表示)手段であれば、全て適用可能なものである。
【0041】
次に、中央処理装置31は図11に示すフローチャートのステップS44において不整脈解析の指示を検出し、指示があると不整脈解析部32による解析を行い(S45)、解析結果によるイベント時刻リストを作成して、図13に示すように表示する(S46:セントラル側リスト表示制御手段)。ステップS46に続いて解析結果の編集の指示を検出し(S47)、編集指示が入力されると編集を行う(S48)。この編集においては、例えば、外部メモリ16に記憶されていたイベント時刻情報との相関を求めて対応付け記憶したり、スクリーニングを行ったりを実行するものとする。また、設定により解析の指示がなくともデータ読み取りと同時に不整脈解析部32による解析を行うように設定することも可能である。
【0042】
次に、中央処理装置31は印刷の指示を検出し(S49)、指示を受けると図12、図13の「患者毎の各波形表示画面の印刷を行い(S50:セントラル側心電図出力制御手段、プリント手段)、各リストの時刻の選択がなされたかを検出し(S51)、選択された場合には該当時刻に応じて心電図データに基づく心電図を、セントラル側表示手段である表示器35に表示出力する(S52:セントラル側心電図出力制御手段)。これにより、図12、図13における「長時間圧縮波形表示」領域に該当の心電図波形が表示される。また、図12、図13における「拡大波形表示」領域には、「長時間圧縮波形表示」領域に表示された波形に対し、例えばマウスにより指示されると、中央処理装置31は、この部分を拡大して表示する。ステップS52に続いて終了入力があったかを検出し(S53)、終了の入力がなければ不整脈解析を終了しているか判定して(S54)、不整脈解析未終了であればステップS43Aへ戻って処理を続け、不整脈解析未終了であればステップS49へ分岐して処理を続け、ステップS53において終了の入力を検出するとエンドとなる。斯して本実施例によれば、より観測し易い状態で心電図を出力することが可能である。
【0043】
なお、データ保存メモリ33に記憶された複数の患者に対応するIDなどの情報が記憶され、これに対応して中央処理装置31は図12、図13に示されるように、画面に患者選択画面の領域に患者A〜Fを表示する。患者A〜Fのいずれかを選択することにより、中央処理装置31は図11のフローチャートにおけるステップS43Aから動作を行う。
【実施例2】
【0044】
図14には、第2の実施例に係る心電図モニタシステムの構成図が示されている。この心電図モニタシステムにあっては、ホルタ型心電図モニタ1Aとセントラルモニタ3Aとにより構成されており、ホルタ型心電図モニタ1Aは中央処理部11に接続された無線送信部24を備えており、セントラルモニタ3Aは中央処理装置31に接続された無線受信部38を備えている。セントラルモニタ3Aは取込部としてリーダ部36と無線受信部38を備えることになる。ホルタ型心電図モニタ1Aの中央処理部11は、図7におけるステップS31の動作を行う際に、取り込んだ心電図データを時刻データに対応させて患者IDなどと無線送信部24から送信する。中央処理装置31は、無線受信部38から心電図データ等を取り込みデータ保存メモリ33へ保存し、表示部35へリアルタイム表示し、或いは図11のフローチャートに対応するプログラムにより処理を行う。この実施例により、心電図データがリアルタイムで送信され、セントラルモニタ3Aで処理されるので、ナースセンタなどから監視が可能となる。また、送信により欠落した等のデータは、外部メモリ16に記憶され、後に補充することができ、適切な解析処理を可能とする。
【0045】
なお上記のセントラルモニタ3とセントラルモニタ3Aでは、不整脈解析部32を備えるものとしたが、この不整脈解析部32を備えることなく、図11のフローチャートにおけるステップS44〜S48及びステップS54の処理を除く処理を行う波形ビューワの構成としても良い。この構成によっても、より観測し易い状態で心電図を出力することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明に係るホルタ型心電図モニタの実施例を示すブロック図。
【図2】本発明に係るホルタ型心電図モニタの外観を示す斜視図。
【図3】本発明に係るホルタ型心電図モニタの実施例における動作を説明するためのフローチャート。
【図4】本発明に係るホルタ型心電図モニタの実施例において表示される時刻表示画面の表示例を示す図。
【図5】本発明に係るホルタ型心電図モニタの実施例において表示される被験者情報画面の表示例を示す図。
【図6】本発明に係るホルタ型心電図モニタの実施例において表示される記録条件画面の表示例を示す図。
【図7】本発明に係るホルタ型心電図モニタの実施例における計測時の動作を説明するためのフローチャート。
【図8】本発明に係るホルタ型心電図モニタの実施例による動作において表示される画面の変遷とボタン操作を説明するためのフローチャート。
【図9】本発明に係るホルタ型心電図モニタの実施例を用いて構成した心電図モニタシステムの第1の実施例を示す図。
【図10】本発明に係る心電図モニタシステムの第1の実施例に採用されているセントラルモニタの構成を示すブロック図。
【図11】本発明に係る心電図モニタシステムの第1の実施例に採用されているセントラルモニタの動作を説明するためのフローチャート。
【図12】本発明に係る心電図モニタシステムの第1の実施例に採用されているセントラルモニタにより不整脈解析前に表示される画面の一例を示す図。
【図13】本発明に係る心電図モニタシステムの第1の実施例に採用されているセントラルモニタにより不整脈解析後に表示される画面の一例を示す図。
【図14】本発明に係るホルタ型心電図モニタの実施例を用いて構成した心電図モニタシステムの第2の実施例を示す図。
【図15】従来例に係るホルタ型心電図モニタを説明するブロック図。
【符号の説明】
【0047】
1、1A ホルタ型心電図モニタ
3、3A セントラルモニタ
10 本体部
11 中央処理部
12 心電図測定回路
13 A/D変換器
14 簡易解析用RAM
15 内部RAM
16 外部メモリ
17 表示制御部
18 表示部
21 イベントボタン
22 選択ボタン
23 決定ボタン
24 無線送信部
30 本体部
31 中央処理装置
32 不整脈解析部
33 データ保存メモリ
35 表示部
36 入力部
37 プリンタ
38 無線受信部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
得られる心電図データを時刻情報に対応させて着脱可能な記憶装置に記録するホルタ型心電図モニタにおいて、
心電図データに基づく不整脈の簡易解析を行って、不整脈対応時刻情報を記憶する簡易解析手段と、
得られる心電図データを記憶する記憶手段と、
イベントボタンの操作に応じてイベント時刻情報を記憶するイベント対応手段と、
情報を表示するための表示手段と、
前記不整脈対応時刻情報による時刻リスト及びイベント時刻情報による時刻リストを前記表示手段に表示するリスト表示制御手段と、
前記表示手段に表示された時刻リスト中の時刻選択に応じて前記記憶装置内の対応時刻の心電図データに基づく心電図を前記表示手段に表示する心電図表示制御手段と
を具備したことを特徴とするホルタ型心電図モニタ。
【請求項2】
前記リスト表示制御手段は、設定された時間毎の時刻情報における長時間波形の時刻リストを前記表示手段に表示し、
前記心電図表示制御手段は、前記表示手段に表示された長時間波形の時刻リストにおける時刻選択に応じて前記記憶装置内の対応時刻の心電図データに基づく心電図を前記表示手段に表示することを特徴とする請求項1に記載のホルタ型心電図モニタ。
【請求項3】
前記心電図表示制御手段は、スクロール操作に応じて心電図を前記表示手段においてスクロール表示することを特徴とする請求項1または2に記載のホルタ型心電図モニタ。
【請求項4】
少なくとも得られた心電図データを時刻情報に対応させて無線送信する無線送信部を具備していることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のホルタ型心電図モニタ。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1項に記載のホルタ型心電図モニタと、
前記ホルタ型心電図モニタが有するデータを取り込む取込部と、心電図データに基づく不整脈の解析を行って、不整脈対応時刻情報を記憶するセントラル側解析手段と、情報を表示するためのセントラル側表示手段と、セントラル側の不整脈対応時刻情報による時刻リストまたはホルタ型心電図モニタによる時刻情報による時刻リストを前記セントラル側表示手段に表示するセントラル側リスト表示制御手段と、前記セントラル側表示手段に表示された時刻リスト中の時刻選択に応じて取込部から取り込んだ対応時刻の心電図データに基づく心電図を前記セントラル側表示手段に表示出力するセントラル側心電図出力制御手段と、前記セントラル側心電図出力制御手段により送られたデータに基づくプリントを行うプリント手段と、を備るセントラルモニタ装置と
を具備することを特徴とする心電図モニタシステム。
【請求項6】
前記セントラル側心電図出力制御手段は、要求に応じて拡大心電図を前記セントラル側表示手段に表示することを特徴とする請求項5に記載の心電図モニタシステム。
【請求項7】
前記取込部は、記憶装置をセットするリーダ部、無線受信部であることを特徴とする請求項5または6に記載の心電図モニタシステム。
【請求項8】
前記取込部から複数の患者に対応するデータを取り込んでおり、
選択された患者に対応するデータに基づき前記セントラル側リスト表示制御手段及び前記セントラル側心電図表示制御手段が処理を行うことを特徴とする請求項5乃至7のいずれか1項に記載の心電図モニタシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2007−244531(P2007−244531A)
【公開日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−70047(P2006−70047)
【出願日】平成18年3月14日(2006.3.14)
【出願人】(000230962)日本光電工業株式会社 (179)
【Fターム(参考)】