説明

ホログラム箔接着製品の製造方法、及び、製品

【課題】ホログラム箔が強固、且、正確に接着された製品を、安価に製造する方法、及び、この製造方法により製造された製品を提供する。
【解決手段】本発明に係るホログラム箔接着製品の製造方法は、まず、被接着物1に、樹脂を主成分としたベース基材と、接着成分としてシランカップリング剤とを混合して得られた接着剤2を塗布し、次に、被接着物1を所定の温度範囲T1で熱処理して、被接着物1に塗布された接着剤2を半硬化させ、次に、半硬化状態の接着剤2に対し、ホログラム箔4を押し付ける工程を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ホログラム箔が接着された製品を製造する方法、及び、この製造方法により製造された製品に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ホログラム箔は、再生が困難であるため偽造防止性に優れ、又、その意匠性も高いことから、パッケージ、ラベル、ステーショナリー、ICカード、磁気カード、おもちゃ、雑貨、電気機器又は携帯電話等に利用されている。
【0003】
この種のホログラム箔接着技術に特有の問題として、通常の接着剤では、ホログラム箔を接着することは非常に困難であることが知られている。特に、ガラス製品に対し、ホログラム箔を強固に接着することができない。
【0004】
上述した問題を解決するため、例えば特許文献1には、専用の貼り付け機により、ICカードにホログラム箔を加熱加圧し、更に、その表面一体に、紫外線硬化樹脂層を設け、ホログラム箔の密着接合性を強固にするホログラム箔の添付方法が記載されている。
【0005】
しかし、特許文献1の開示内容では、専用の貼り付け機が必要となり、新たな設備負担を強いられる。しかも、ホログラム箔上に、紫外線硬化樹脂層を設ける必要がある分だけ、工程数が増加し、コスト高を招く。
【0006】
さらに、特許文献1の開示内容では、表面が平坦でないものに接着する際に、加圧の圧力が分散し、均一な接着を行なうことができないから、剥がれやすくなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2003−132319号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の課題は、ホログラム箔が強固に接着された製品を製造する方法、及び、この製造方法により製造された製品を提供することである。
【0009】
本発明のもう1つの課題は、ホログラム箔接着製品を安価に製造する方法、及び、この製造方法により製造された製品を提供することである。
【0010】
本発明のもう1つの課題は、ホログラム箔が正確に接着された製品を製造する方法、及び、この製造方法により製造された製品を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述した課題を解決するため、本発明に係る製造方法は、まず、被接着物に、樹脂を主成分としたベース基材と、接着成分としてシランカップリング剤とを混合して得られた接着剤を塗布し、次に、被接着物を熱処理し、被接着物に塗布された接着剤を半硬化させ、次に、半硬化状態の接着剤に対し、ホログラム箔を押し付ける工程を含む。
【0012】
上述したように、本発明に係る製造方法において用いられる接着剤は、樹脂を主成分としたベース基材と、接着成分としてシランカップリング剤とを混合して得られたものであるから、ホログラム箔に強固に接着することができる。
【0013】
本発明に係る製造方法に用いられる接着剤は、ホログラム箔に対して優れた接着力を有するから、被接着物に接着剤を塗布することにより、従来、ホログラム箔が接着できないとされているガラス製の被接着物に対しても、ホログラム箔を接着することができる。
【0014】
接着剤の塗布は、既存の塗布装置、及び、印刷技術などを用いて行うことができるから、製造コストが安価になる。
【0015】
本発明に係る製造方法は、接着剤の塗布工程の後であって、ホログラム箔の箔押し前に、被接着物を熱処理し、被接着物に塗布された接着剤を半硬化させる工程を含む。この熱処理工程により、接着剤の塗布領域が安定する。従って、ホログラム箔の箔押しを正確に行うことができる。
【0016】
また、被接着物に塗布された接着剤は、熱処理工程によって、半硬化状態となっているから、ホログラム箔を接着剤に押し付けたときに、加圧によるホログラム箔の不正移動が回避される。従って、ホログラム箔を、接着剤を塗布した所定の位置に正確に接着することができる。
【0017】
さらに、被接着物に塗布された接着剤は、熱処理工程によって、半硬化状態となっているから、接着剤に対するホログラム箔の乗りがよくなる。従って、ホログラム箔を強固に接着することができる。
【発明の効果】
【0018】
以上述べたように、本発明によれば、次のような効果を得ることができる。
(1)ホログラム箔が強固に接着された製品を製造する方法、及び、この製造方法により製造された製品を提供することができる。
(2)ホログラム箔接着製品を安価に製造する方法、及び、この製造方法により製造された製品を提供することができる。
(3)ホログラム箔が正確に接着された製品を製造する方法、及び、この製造方法により製造された製品を提供することができる。
本発明の他の目的、構成及び利点については、添付図面を参照し、更に詳しく説明する。添付図面は、単に、例示に過ぎない。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明に係るホログラム箔接着製品の製造方法について簡略化して示す図である。
【図2】図1の塗布工程により得られる製造中間品の正面斜視図である。
【図3】図1の箔押し工程に用いられるホログラム箔について一部を省略して示す拡大断面図である。
【図4】図1の箔押し工程について一部を省略して示す拡大図である。
【図5】図4に示した工程のあとの状態を示す拡大図である。
【図6】図1の工程により得られるホログラム箔接着製品の正面斜視図である。
【図7】本発明に係るもう一つのホログラム箔接着製品の製造方法について簡略化して示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1は本発明に係るホログラム箔接着製品の製造方法について簡略化して示す図である。また、図2は図1の塗布工程により得られる製造中間品の正面斜視図、図3は図1の箔押し工程に用いられるホログラム箔について一部を省略して示す拡大断面図である。さらに、図4は図1の箔押し工程について一部を省略して示す拡大図、図5は図4に示した工程のあとの状態を示す拡大図である。
【0021】
図1の製造方法は、クリーニング工程S1と、塗布工程S2と、第1の熱処理工程S3と、箔押し工程S4とを含み、上述した順序に沿った工程でホログラム箔接着製品が製造される。
【0022】
まず、クリーニング工程S1は、ホログラム箔接着対象品の本体部分(被接着物1)の表面に付着した塵埃等を除去する。被接着物1は、ガラスまたは合成樹脂材料の何れかを主成分し、予め当該製品の用途に応じた形状に成形されている。図1の被接着物1は、従来、ホログラム箔が接着できないとされているガラス製であり、当該製品の用途は化粧品容器である。もっとも、被接着物1は、化粧品容器に限定されるものではなく、パッケージ、ラベル、ステーショナリー、ICカード、磁気カード、おもちゃ、雑貨、電気機器、携帯電話など幅ひろい分野から選択された何れか一種を、対象製品とすることができる。
【0023】
塗布工程S2は、クリーニング工程S1のあとの工程であって、被接着物1の表面に接着剤2を塗布する。塗布工程S2は、接着剤2の塗布面が曲面である場合、曲面に追従して印刷可能なスクリーン印刷によって行うことが好ましい。
【0024】
塗布工程S2は、好ましくは、第1の塗布処理と、第2の塗布処理とを含む。第1の塗布処理は、まず、接着剤2をスクリーン24に入れる。スクリーン24は、ホログラム箔(4)の接着領域(21)に対応したマスクパターンを有しており、スクリーン24上の接着剤2をスキージ25によって押し伸ばすことにより、スクリーン24の下に置かれた被接着物1の表面に接着剤2が塗布され、ホログラム箔(4)の接着領域(21)が形成される。
【0025】
第1の塗布処理で用いられる接着剤2は、樹脂を主成分としたベース基材と、接着成分としてシランカップリング剤とを混合して得られた組成物が好ましい。本明細書において、接着とは、製品の通常使用できるとされる期間内に剥離することがない性質を指す。また、本明細書において、接着成分とは、それ単独で接着効果を有するものを指し、接着促進剤等の補助的な接着剤は含まない。
【0026】
ベース基材の主成分となる樹脂は、従来、接着剤に使用され得るものから選択することができる。好ましくは、エポキシ系樹脂、アクリル樹脂、又は、ポリエチレン樹脂等から選択された少なくとも1種類である。
【0027】
ベース基材は、市販されている樹脂インク等から選択することができる。好ましくは、No.1000(株式会社フェロ・ジャパン製)、1000 710ブラックインキ(株式会社セイコーアドバンス)、1000NC510アメリカンレッド(株式会社セイコーアドバンス)、1000 120ホワイトインキ(株式会社セイコーアドバンス)、を使用することができる。
【0028】
シランカップリング剤は、その構造中に、エポキシ基、及び、シラン(Si)を含有するものであり、好ましくは下記(i)、(ii)から選択され、より好ましくは、下記(ii)γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランである。
(i)β−(3,4 エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン

【0029】
(ii)γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン

【0030】
ベース基材(g)/接着成分(ml)は、好ましくは、(20/0.02)〜20/0.06(g/ml)の範囲にある。ベース基材(g)/接着成分(ml)が、(20/0.02)(g/ml)より大きい範囲では、要求する適度な接着力を得ることができない。他方、(20/0.06)(g/ml)より小さい範囲では、粘度が高くなりすぎ、被接着物1に対して均一に塗布することができない。
【0031】
さらに接着剤2は、希釈剤、硬化剤、着色料等を含有することができる。本明細書において、希釈剤とは、接着剤の粘度を調整するために用いられるものであり、通常、使用されているものから選択することができる。用いられる希釈剤としては、好ましくは、有機溶媒であり、特に、キシレン、ブチルセルソルブ、1、3、5トリメチルベンゼン、Nブタノール、エチレングリコールモノブチルエーテル、芳香族炭化水素溶剤、ケトン溶剤から選択される少なくとも1種類である。
【0032】
硬化剤は、通常使用されているものから選択することができ、特に限定するものではない。例えば、脂肪族系樹脂が挙げられる。
【0033】
第2の塗布処理において、スクリーン24は、文字や記号、模様など(文字等22)に対応したマスクパターンを有し、スクリーン24上の接着剤2をスキージ25によって押し伸ばすことにより、スクリーン24の下に置かれた被接着物1の表面に接着剤2が塗布され、マスクパターンに沿った文字等(22)が形成される。
【0034】
第2の塗布処理で用いられる接着剤は、第1の塗布処理で説明した接着剤2に、着色料を混合したものが好ましい。着色料は、通常使用されているものから、所望の色に応じて選択することができ、特に限定するものではない。好ましくは、酸化チタン、有機赤色系顔料、硫酸バリウム、カーボンブラックである。
【0035】
塗布工程S2によって、図2に示すように、被接着物1の表面に文字等22(例としてabc)と、ホログラム箔(4)の接着領域21(例としてDEF)とが形成された製造中間品10が得られる。以下、説明の都合上、接着領域21と、接着領域21を構成する接着剤2とを同じ意味で用いる。同様に、文字等22と、文字等22を構成する接着剤2とを同じ意味で用いる。
【0036】
再び図1に戻って製造方法を説明する。第1の熱処理工程S3は、塗布工程S2のあとの工程であって、被接着物1を熱処理し、被接着物1に塗布された接着剤2を半硬化させる。具体的に図1の熱処理装置3は、内部に熱風が流通されており、製造中間品10を熱処理装置3に案内し、被接着物1、接着領域21、及び、文字等22を、所定の温度範囲T1の雰囲気で、全体的に熱風乾燥する。
【0037】
温度範囲T1は、好ましくは60℃以上70℃以下であり、より好ましくは65℃である。また、処理時間は、好ましくは10分以上35分以下であり、より好ましくは20分以上25分以下である。
【0038】
第1の熱処理工程S3により、被接着物1が20℃〜40℃程度に温められるともに、接着領域21が、好ましくは乾燥率60%〜80%程度、より好ましくは乾燥率70%程度の半乾燥状態(半硬化状態)となる。ここで、温度範囲T1が60℃未満であると、接着領域21の乾燥率が60%〜80%程度の適正範囲T2に達せず、接着領域21を半硬化させることができない。その結果、後に箔押ししたときに接着領域21に付着させたホログラム箔(4)が剥がれやすくなる。他方、温度範囲T1が70℃より高いと、接着領域21の乾燥率が適正範囲T2を超過し、接着領域21が硬化してしまう。従って、後に箔押ししたときにホログラム箔(4)が付着しにくくなる。
【0039】
箔押し工程S4は、第1の熱処理工程S3のあとの工程であって、接着領域21に対し、ホログラム箔4を押し付ける。本明細書においてホログラム箔は、一般的なホログラム箔の他、透明ホログラム箔、さらにキャリアフィルム上に薄膜形成されたホログラム層等を含む。図3に示すホログラム箔は、所謂ホログラム箔フィルムであって、ホログラム箔4が、離型層42を介して、キャリアフィルム41上に積層形成されている。
【0040】
ホログラム箔4は、好ましくはレーザー加工などによるエンボス処理が施されたエンボス層と、アルミなどの金属蒸着層を有している。ホログラム箔4は、エンボス層の直後に金属蒸着層が積層されている構成により、可視光線のスペクトル波長の発色を呈する。
【0041】
キャリアフィルム41は、好ましくはポリエチレンテレフタレート(PET)などの耐熱性合成樹脂を、12μm〜25μm厚程度のフィルム状に形成したものであって、ホログラム箔4を支持するための基材である。
【0042】
離型層42は、ホログラム箔4とキャリアフィルム41との界面に薄膜形成され、加熱により活性化する性質を有することで、ホログラム箔4をキャリアフィルム41から剥離しやすくする。
【0043】
再び図1に戻って製造方法を説明する。箔押し工程S4は、所謂ホットスタンプ方式であって、送り装置43と、熱転写機44とを含み、送り装置43によって送られるホログラム箔4を、熱転写機44で加熱加圧することにより、被接着物1に転写させる。
【0044】
送り装置43は、繰り出しローラ431と、巻き取りローラ432とを含む。繰り出しローラ431は、図示しない駆動装置によって回転駆動することにより、ホログラム箔4を矢印F1の方向に繰り出す(図4参照)。繰り出しローラ431から繰り出されたホログラム箔4は、熱転写機44を経由し、繰り出しローラ431と協働する巻き取りローラ432に巻き取られる。
【0045】
熱転写機44は、被接着物1の箔押し面が曲面である場合、箔押しローラ440と、支持台441とを有することが好ましい。箔押しローラ440は、シリコンゴムなど耐熱性及び体積弾性を有する樹脂材料で構成されている。他方、支持台441は、箔押しローラ440に対し、被接着物1を垂直に配置するためのものであって、被接着物1を、箔押しローラ440の回転方向に沿って回転可能に保持している。ホログラム箔4は、箔押しローラ440と、被接着物1との間において、被接着物1に面する側に案内される。
【0046】
箔押しローラ440は、図示しない熱供給装置により、ローラ表面が好ましくは60℃以上70℃以下の温度範囲の熱を有しており、被接着物1上のホログラム箔4に対して、60℃以上70℃以下の温度範囲で加熱しながら、0.5秒から数秒程度、加圧する。
【0047】
ホログラム箔4は、箔押しローラ440からの加熱によって離型層42が活性化し、離型層42が活性化した部分が剥離しやすくなる。さらに、接着領域21も、箔押しローラ440からの加熱によって活性化する。このように離型層42、及び、接着領域21が活性化した状態で、箔押しローラ440がホログラム箔4を加圧することにより、ホログラム箔4がキャリアフィルム41上から剥離し、剥離したホログラム箔4が接着領域21へ付着する(図5参照)。
【0048】
箔押し工程S4において、箔押しローラ440のローラ表面温度が60℃未満であると、ホログラム箔4が離型層42から剥離しにくくなるとともに、接着領域21へ付着しても剥がれやすくなる。他方、箔押しローラ440のローラ表面温度が70℃より高いと、接着領域21が活性化しすぎ、ホログラム箔4が付着しにくくなる。
【0049】
箔押し工程S4の後、常温の無風状態で10時間以上、好ましくは12〜17時間程度、自然乾燥させることにより、図6に示した製品が得られる。
【0050】
図1乃至図6を参照して説明した製造方法によると、ホログラム箔4が強固、且、正確に接着された製品を、安価に製造することができる。例えば、接着剤2は、樹脂を主成分としたベース基材と、接着成分としてシランカップリング剤とを混合して得られたものであるから、ホログラム箔4に対して優れた接着力を有する。従って、被接着物1に接着剤2を塗布することにより、従来、ホログラム箔4が接着できないとされているガラス製の被接着物1に対しても、ホログラム箔4を接着することができる。
【0051】
また、接着剤2は、耐水性を備えるため、水周りで使用されることが多い化粧品容器などの製品に、例えば、装飾用として、ホログラム箔4を接着する場合にも適している。
【0052】
本発明に係る製造方法は、被接着物1に対して接着剤2を塗布する工程を含む。接着剤2の塗布は、例えば、スクリーン印刷など既存の印刷技術、及び、印刷装置などを用いて行うことができるから、製造コストが安価になる。
【0053】
また、被接着物1の表面に接着領域21を形成するから、被接着物1の表面構造や形状などを考慮して適当な範囲に、適切な量で接着領域21を形成することができる。従って、ホログラム箔4を、ガラス等の接着困難な素材で構成された被接着物1や、曲面を有する被接着物1に対して強固に接着することができる。
【0054】
本発明に係る製造方法は、スクリーン印刷により接着領域21を形成することができるから、製品の特徴毎に様々に異なるデザインに追従した接着領域21を形成することができる。
【0055】
図1からは必ずしも明らかではないが、第1、第2の塗布処理は、作業効率の観点からは、同時に行うこともが好ましい。他方、接着領域21と、文字等22とが、近接して配置されている場合、例えば、先に第2の塗布処理を行い、文字等22の定着後に第1の塗布処理を行うなど、第1、第2の塗布処理を個別に行うこともできる。第1、第2の塗布処理を個別に行うことにより、被接着物1に対する加飾バリエーションが確保される。
【0056】
本発明に係る製造方法は、塗布工程S2の後に第1の熱処理工程S3を含む。接着領域21は、第1の熱処理工程S3により半硬化状態となるから、接着領域21の形状が一定に保たれる。従って、接着領域21を正確に形成することができる。
【0057】
また、接着領域21は、第1の熱処理工程S3により半硬化状態となるから、ホログラム箔4を接着領域21に押し付けたときに、加圧によるホログラム箔4の不正移動が回避される。従って、ホログラム箔4を、接着領域21に、強固、且、正確に接着することができる。
【0058】
さらに、接着領域21は、第1の熱処理工程S3により半硬化状態となるから、接着領域21に対するホログラム箔4の乗りがよくなる。従って、大判なホログラム箔4はもとより、微細なデザインのホログラム箔4も正確に接着することができる。
【0059】
他方、第1の熱処理工程S3により、文字等22も半硬化状態となる。従って、例えばホログラム箔4を箔押しする際の加圧によって、文字等22にかすれや変形、歪みが生じる不具合が回避される。
【0060】
ホログラム箔4の接着は、接着剤2そのものの接着力と、接着剤2を半硬化状態にすることにより得られる特性とに基づくものである。従って、箔押し工程S4に用いられる熱転写機44に特に限定はなく、被接着物1の構造に応じ、既存の技術から適宜選択することができる。例えば化粧品容器など曲面に対してホログラム箔4を箔押しする場合、箔押しローラ440を用いることができるから、ホログラム箔4を適切に接着することができる。従って、ホログラム箔が強固に、且、正確に接着された製品を製造することができる。
【0061】
図7は、本発明に係るもう一つのホログラム箔接着製品の製造方法について簡略化して示す図である。図7において、図1乃至図6に示した構成部分と同一の構成部分には、同一の参照符号を付す。
【0062】
図7の製造方法は、図1乃至6を参照して説明した工程S1乃至S4に加え、さらに第2の熱処理工程S5を含む点に違いがある。以下、相違点を中心に説明する。
【0063】
第2の熱処理工程S5は、箔押し工程S4の後の工程であって、ホログラム箔4が接着された状態の製造中間品11を熱処理し、接着領域21を硬化させる。具体的に図7の熱処理装置5は、内部に熱風が流通されており、製造中間品11を熱処理装置5に案内し、被接着物1、接着領域21、及び、ホログラム箔4を、所定の温度範囲T3の雰囲気で、全体的に熱風乾燥する。
【0064】
温度範囲T3は、好ましくは55℃以上75℃以下、より好ましくは65℃である。また、処理時間は、好ましくは20分以上35分以下である。
【0065】
第2の熱処理工程S5により、接着領域21がほぼ硬化し、ホログラム箔4が被接着物1上に安定的に定着する。ここで、温度範囲T3が55℃未満であると、一旦接着領域21に付着したホログラム箔4が剥がれやすくなり、又は、付着したホログラム箔4に皺が生じる等の不具合が生じる。他方、温度範囲T3が75℃より高いと、付着したホログラム箔4が割れる等の不具合が生じる。
【0066】
第2の熱処理工程S5の後、さらに常温の無風状態で10時間以上、好ましくは12〜15時間程度、自然乾燥させることにより、図6に示した製品が得られる。
【0067】
図7の製造方法は、図1乃至図6を参照して説明した工程S1乃至S4の利点を全て有する。さらに、図7の製造方法は、第2の熱処理工程S5を含み、ホログラム箔4が接着された状態の製造中間品11を、所定の温度範囲T3で熱処理するから、ホログラム箔4を強固に接着することができる。
【0068】
また、図7の製造方法は、第2の熱処理工程S5を含むから、図1の製造方法よりも、製造中間品11の自然乾燥に要する時間が短縮される。従って、製造効率が向上する。
【0069】
以上、好ましい実施例を参照して本発明の内容を具体的に説明したが、本発明の基本的技術思想及び教示に基づいて、当業者であれば、種種の変形態様を採り得ることは自明である。
【符号の説明】
【0070】
1 被接着物
2 接着剤
21 接着領域
4 ホログラム箔
S1 クリーニング工程
S2 塗布工程
S3 第1の熱処理工程
S4 箔押し工程
S5 第2の熱処理工程

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ホログラム箔が接着された製品を製造する方法であって、
まず、被接着物に、樹脂を主成分としたベース基材と、接着成分としてシランカップリング剤とを混合して得られた接着剤を塗布し、
次に、前記被接着物を熱処理し、前記被接着物に塗布された前記接着剤を半硬化させ、
次に、前記半硬化させた前記接着剤に対し、前記ホログラム箔を押し付ける、
工程を含む製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載されたホログラム箔接着製品の製造方法であって、
前記ホログラム箔の押し付け後、さらに前記被接着物を熱処理し、前記ホログラム箔に接着している前記接着剤を硬化させる、
工程を含む製造方法。
【請求項3】
請求項1又は2に記載された製造方法であって、前記シランカップリング剤は、r−グリシドキシプロリルトリメトキシシランである、
製造方法。
【請求項4】
請求項3に記載された製造方法であって、
前記ベース基材(g)/前記接着成分(ml)が、
(20/0.02)〜(20/0.06)(g/ml)の範囲にある、
製造方法。
【請求項5】
請求項1乃至4の何れかに記載された製造方法であって、前記被接着物は、ガラスまたは合成樹脂材料の何れかを主成分としている、
製造方法。
【請求項6】
請求項1乃至5の何れかに記載された製造方法によって、前記ホログラム箔が接着されている、製品。
【請求項7】
請求項6に記載された製品であって、化粧品容器、パッケージ、ラベル、ステーショナリー、ICカード、磁気カード、おもちゃ、雑貨、電気機器又は携帯電話から選択された何れか一種である、
製品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−167747(P2010−167747A)
【公開日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−14551(P2009−14551)
【出願日】平成21年1月26日(2009.1.26)
【出願人】(508092990)
【出願人】(508093012)
【Fターム(参考)】